今週の範馬刃牙 SON OF OGRE 181話〜190話

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2009年10月22日(47号)
第3部 第181話 闘争の不文律(おきて) (837回)

 数瞬だけど長かった戦いもついに決着した。
 刃牙がピクルに肉をもらったのが4/2だから、半年間も戦っていたのだ。(19巻 155話
 少なくとも半分は回想と解説だった気もするけど。
 …………はい、口を慎みます。

 ピクルはうつろな目で体育座りをしている。
 意気消沈したのかティラノサウルスに噛まれた傷痕も消えてしまった。
 傷心のピクルに闘技場の小坊主たちも手がだせない。
 しかし、彼らは今までどこにいたんだろうか。
 見えなかっただけど、こっそり見学していたのかも。

 刃牙は担架で運ばれていく。
 11人で対応しているあたり、気絶しても超VIPですね。
 刃牙であれば、気絶した うつろな瞳もセクスィに見えるというものだ。
 ピクルは意識がありながら目が死んでいる。
 気絶して目が死んでいる刃牙のほうが優位な感じですね。
 いや、このフォローには無理があるな。

 さて、決着はついた。判定は いかに?
 地下闘技場には審判がいない。
 基本的に戦闘不能になったら負けだ。
 今回のような場合は、どうなるのだろう。

「動こうとしないピクル」
「動こうにも動けん刃牙」
「この状況」
「お二人はどう見る」


 みっちゃんが丸投げしたッ!
 戦闘中に「アンタは戦士じゃないから、ワカらんのですよ」的なことを言われつづけて自信をなくしたのか?
 まあ難しい判断は専門家に聞いてみるというのが早くて確実だ。
 ちなみに全員が汗ダラです。
 どんだけ衝撃の決着だったんだよ。

 まずは烈海王が回答する。
 今回の戦いでは解説面で活躍してきた烈海王だ。
 判定でも烈の舌鋒が光るのか?
 得意分野で戦うことになったためか、汗も引いてきたぞ!

「ピクルに攻撃の意思が認められぬとはいえ」
「生殺与奪が彼にある以上 解答(こたえ)は明白」
「ピクルの勝利(かち)です」


 もしピクルにその気があれば、いくらでも刃牙を食すことができた。
 ピクルに足を喰われた烈海王から見れば、ピクルの勝利でまちがいない。
 刃牙が喰われなかったのはラッキーにすぎず、敗北は敗北だ。
 もしピクルが気を変えたら、刃牙は即座に喰われてしまうだろう。

 だが、ピクルが刃牙に背を向けているのも、また事実だ。
 刃牙はピクルの肉体を破壊できなかったが、精神を砕いたのかもしれない。
 精神にダメージを受けたピクルには生殺与奪を考える力も残っていないのかも。
 いっぽう、花山の意見はどうか?

「技術(わざ)ってやつぁ そもそも」
「強え者(もん)とハリ合うため弱え者(もん)が作ったもんです」

「強く生まれちまった者(もん)の不文律(おきて)
「小細工する権利はない」


 花山は心情的に刃牙を勝利(かち)としたい。
 身体を鍛えないことが強者に生まれた自分のハンデ。そう思っていそうな花山らしい理論だ。
 誇り高い性格だから、小細工を嫌う。
 出された料理は一口だけ食べて、あとは下げさせるという王侯貴族なセレブ感覚だ。

 強者でないとワカらない感覚なんだろうな。
 私にはワカらない。
 小細工しまくった刃牙にもワカらないのだろうか。
 でも、刃牙はまた違った次元でモノを考えていそうだしな。
 現に、最後で力勝負を選んだから小細工のコトは忘れろ、という空気を感じる。

 烈海王と花山薫から異なる判定がだされた。
 では、徳川さんの総合判定はどうだ!?

「さすがじゃ……」
「武に生きる烈」
「侠(おとこ)に生きる花山」
「共に正しく共に厳しい」


 どっちも評価しているということは、引き分け!?
 武としてはピクルの勝ちで、侠(おとこ)として刃牙の勝ちだ。
 なんか、それぞれの得意分野で負けたって感じですね。
 両者自爆により双方敗北す。
 この夜 観客達は初めて 勝者のいない闘争(たたかい)を目撃した。
 最強者の決定(きめ)られぬ試合(よる)…………

 刃牙が腕力でも勝ちたいと欲張った結果、不必要にピクルの心を傷つけたとも言える。
 大きな欲望は人を不幸にするのだろう。
 傷心のピクルは歯や爪の混じった闘技場の砂を握りしめたあと、ひとりで外出する。
 まるで餓狼伝の丹波文七だ。あいつも失敗すると旅に出たがった。

 ピクルを追うように刃牙も医務室から失踪した。
 範馬の直感で刃牙はピクルの居場所をつきとめる。

「傷ついて――…………」
「ヘコんで」「落ち込んだとき」
「見たい景色がある」


 付近で一番高いビルの屋上だ。
 ジャックが宙吊りにされたところだろうか。(19巻 153話
 もしかして、ピクルは傷心のヤケ喰いをするために来たのか?
 保存食のジャックがいなくて、しょんぼりだ。

 傷つけた本人が来ンなよ。
 そんな気もしますが、ピクルは無反応をもって刃牙を歓迎する。
 あるいは、刃牙を無視した。

「ここからなら――」
「見えるんだろうな」
「有史以前―― 遥か以前の手付かず……」
「大白亜の絶景が……」


 屋上は郷愁にひたるピクルが、過去の風景を思い出す場所だった。
 刃牙もピクルの見る風景を感じる。
 これもリアルシャドーのなせるワザだろうか?
 すべてをぶつけ合った ふたりだ。
 喧嘩が終わり、残ったものはふたりの友情だった。……みたいな?
 次回につづく。


 刃牙とピクルは死闘をつうじて友情をはぐくんだ。
 夜叉猿との闘いに似た展開ですね。
 まあ、野性つながりなのだろう。

 ピクルの野性にたいするのは、刃牙の文明だったハズだ。
 『文化としての闘争(たたか)い』は どうした?(20巻 158話
 最終的に力勝負をしたんだから、文化全否定だよね。
 文化なんていらねェ! 服もパンツも必要ないッ!
 目覚めろ野性ッ!

 烈海王と花山薫が勝負について語るのが面白い。
 花山薫と戦ったときの愚地克巳が言っていたが「武道はエゲツない」。(G刃牙27巻 238話)
 今回は克巳の代理という形で烈が花山と語っている。
 もうちょっと深く語ってくれても良かったんだけど。
 武は生きるための道具だが、侠は生きるための思想という感じだろうか。

 とりあえず刃牙とピクルの闘争は決着となった。
 問題はこの後だ。
 ピクルだけでなく、刃牙も燃え尽きちゃった感じがある。
 刃牙はまだ範馬勇次郎と闘うつもりなのだろうか?

 ピクルを実質的に倒してしまったので、もう刃牙と勇次郎の間に邪魔者はいない。
 いたとするなら、巨凶範馬の血を引く生まれながらにしての強者ぐらいしか残ってないだろう。
 今後の展開はどうなるのか?

 刃牙は範馬DNAという理不尽なまでの強者要素をもっている。
 と、なると花山の発言は皮肉なんだろうか?
「強く生まれちまった者(もん)の不文律(おきて)」「小細工する権利はない」
 ただし範馬は例外ですか。

 そろそろ勇次郎の暴力に対抗する、愛の力も補充しておきたいところだ。
 松本梢江がどうなったのかハッキリさせて欲しい。
 モテカワ愛されガールの梢江だから、アライJr.あたりと付きあっている可能性が高いと思うけど。
 きっと花山さんも梢江を高く評価するだろう。
「美しく生まれちまった者(もん)の不文律(おきて)」「化粧する権利はない」
 悪く言うとスネ蹴られて、石をぶつけられます。

追記 (09/10/28)
 心情的にピクルを倒した。
 さて、どうしたものか。
 範馬勇次郎とたたかうまでに残されたハードルが無くなってしまった。
 やっぱ、オヤジと戦わないとダメっすか?
 と、いうのが刃牙の心情だろうか?

 やっぱり、ピクル以上に強いヤツが出てこないと話がつづかない。
 思い切って本編休んで脇役の話を進めるのも方法のひとつだが……
 手足を失い戦士として大きく戦力ダウンとなった烈海王と愚地克巳が再生する話なら個人的に大歓迎なんだけど。
 刃牙は最大トーナメント優勝時点で強くなりすぎちゃったので、戦わせるのにも工夫が必要になってしまった。
 いっそうのこと、地下闘技場にデビューしてから王者になるまでの刃牙を描いた、チャレンジャー刃牙編をはじめたらどうか?

 ちなみに疵面は秋に連載再開と言っていた。
 まあ、年内に再開すれば御の字と思っているので、まったく動揺していない!
 していないッッ!

 原作餓狼伝みたいに、今頃になって最強キャラ松尾象山のライバルを登場させるとかの大技が必要かもしれない。
 エベレストに山籠りの修行をしていたが、勇次郎を倒す工夫がついたと言って下山してきた雪男っぽいライバルだ。
 う〜む、これだと怪物系でピクルとネタがかぶってしまうな。

 とにかく今後の展開は次の3パターンだと思われる。
(1) 刃牙はあきらめて範馬勇次郎と戦う
(2) 脇役の話をする
(3) 新たなる強敵を出す

 でも、第四の選択肢に突っこんでいくのが刃牙世界の法則だ。
 よみがえった原始人をだすなんて常識をもっていたら出てこない。
 ピクルひとりを出したおかげで、2年ぐらい話を引っ張ることができた。
 また想像外の展開が待ち受けていそうだ。
 刃牙が戦国時代にタイムスリップするとか。
 刃牙が女装に目覚めて男の娘になっちゃうとか。

 闘いが終わったということで、とりあえず勇次郎が出てきて刃牙はまだ甘いなどとツンデるのだろうな。
 しかし、ジャックの母であるジェーンの登場は何年放置したままにしておくのだろう。


2009年10月29日(48号)
第3部 第182話 友好条約 (838回)

 範馬刃牙はピクルに勝利した!(心情的に)
 刃牙の戦いがひとくぎりつくと登場するのは地上最強の親バカだ。
 というワケで乱れる髪先が表紙にでている。
 この髪の持ち主は………… 夜叉猿?

 舞台はアメリカ合衆国だ。
 ワシントンDCの中心街デボンサークルブロックにある老舗のセント・レナスホテルは厳重警戒態勢となっていた。
 そこにいるのは米国大統領だ。
 最強の軍隊を指揮するものが地上最強というのであれば、彼こそが地上最強の男である。

 だが、大統領はいきなり発汗していた。
 大統領をこれほどまでに緊張させる男とは――――ッ?
 説明不要なまでに範馬勇次郎だった。

 足を投げだし、ものすごく ふんぞり返って座っている。
 ここまでくると普通に座るほうがラクなんじゃなかろうか。
 でも、不自然主義なのが範馬勇次郎だ。
 筋力がスゴいからムリな体勢ですわっても疲れない!
 毎日同じ服でも、筋力で乗りきるッ!
 夏冬兼用だぜ!

「ただ…………大学(カレッジ)時代からの憧れ(マイヒーロー)を前にする」
「わたしの昂りも察して欲しい」
「何しろ第40代大統領(プレジデント)ロナルド・リーガンから始まる「重大申し送り事項」」
「コードネームOgre(オーガ)こと「Yujiro・Hanma(ユージロー ハンマ)」」


 大学でも範馬勇次郎の話が出てくるのかよ!
 国際的に有名人だな。
 そして大統領は素手での暴力に憧れていたらしい。
 有色人種のヒーローということで憧れたのかも。

 大統領の話が長くなりそうなので、勇次郎がちょっと怒る。
 他人におだてられるのに慣れているから、飽きているんだろうな。
 勇次郎に怒られたので大統領は話を切りあげ、本題にはいるらしい。
 立ち上がり、胸に手をあてる。

「宣誓ッ」
「我が 米国合衆国(ユナイテッドステイツ)国家は 戦士(マスター)範馬勇次郎氏とここに交友関係を結び」
「氏を尊重し氏における一切の生活を侵害することなく」
「この確約をいかなる事態が起ころうが遵守し」
「神の下 この確かなる友好条約を全うすることを誓う」
「2009年10月3日 合衆国大統領 バラク・オズマ」


 オズマ大統領による範馬勇次郎への友好宣言だッ!
 どうも毎期、宣言をやっているらしい。
 大統領就任のときは聖書に手を当てて宣誓する。(参考
 勇次郎のときは聖書を使っていないので略式なのかも。

 範馬勇次郎の暴力は一国の軍事力に匹敵するといわれる。
 だからこそ、国同士が同盟を結ぶように個人と国が友好宣言をするのだろう。
 でも、勇次郎も宣誓しなきゃ片手落ちだ。
 つまりコレは接待としての宣言ごっこなのか?

 とりあえず第40代リーガン大統領のころから範馬勇次郎と友好契約をしていたらしい。
 現実のレーガン大統領の任期は1981年1月20日〜1989年1月20日だ。
 冷戦が終わったころであり、軍縮を考えるうえで範馬勇次郎とも仲良くなっておこうと考えたのかもしれない。
 ストライダムを接待将軍に任命して勇次郎に当たらせれば、莫大な警備費用がうくのかも。


 とりあえず儀式は終了した。
 ここでオズマ大統領は勇次郎にお願いをしてみる。
 炭素に10万気圧の圧力を加えるとダイヤモンドになるという。(参考
 ならば、石炭(コール)を握力でダイヤモンドにできないものか?

「核より強力と云われる 君の―――――――― その握力なら!!!」

 ボッシュもそうだけど、アメリカ人はチャレンジャーだッ!
 勇次郎が危険人物と知りながらも、ちょっかいを出さずにはいられない。
 とんだ冒険野郎たちだ。
 米国大統領戦はある意味、最大のギャンブルといった『ギャンブルフィッシュ』(AA)は正しかった!

 勇次郎はモンクをいいながら石炭をつかむ。
 そして、握りつぶした。
 でも、ダイヤモンドは無理ッ!だろ。
 どうやってゴマかす気だ?

 と、勇次郎は握った拳を中指一本拳に変化させて、ガラスのテーブルに当てる。
 そして、ガラスのテーブルをカットしていった。
 勇次郎の拳がまるでダイヤモンドだ。
 テーブルをみごと両断する。
 握力でダイヤモンドを作ることはできなかったが、うまく注意をそらした。
 オズマ大統領もビビるしかない。

「Yes, you could(あなたは できた)

 こうして範馬勇次郎は自分の有能性アピールを更新できたのだった。
 ダイヤモンドは砕けないッ!
 刃牙のことを気持がいいくらいスルーしたまま、次回へつづく。


 勇次郎がピクルにあまり絡まないと思っていたら、契約更新でいそがしかったらしい。
 米国大統領と契約するぐらいだから、日本の総理大臣ともやっているんだろうか?
 でも、幼年編の総理襲撃事件では、当時の総理は勇次郎の顔を知らなかった。(G刃牙18巻 153話)
 日本の防衛意識はアメリカに20年ぐらい遅れているのだろうか。

 ところで、バキ外伝 GaiA(ガイア)に出てきた大統領(当時は次期大統領)は、本編の大統領にあまり似ていない。
 外伝世界は文字どおりパラレルワールドになっているのだろうか?
 ちなみにGaiA(ガイア)の漫画担当である富沢ひとし先生はチャンピオンREDで来月から新連載をはじめる。
 GaiA(ガイア)の連載昇格は望み薄だ。

 米国大統領は国民にネタを提供するという使命感があるのだろうか?
 グラップラー刃牙から三代の大統領を見てきたが、みなチャレンジャーだった。
 命がけで勇次郎にジョークを言う、言わずにはいられない。
 というか、より難易度が上がっている気がする。
 実は勇次郎にアピールの機会を求められていたりして。

 フレデリック・フォーサイスの小説『神の拳』(AA)では、相手に答えられない質問をわざとするというテクニックがある。
 質問に答えられなかったので、次の質問や要請にはつい答えたくなる心理を突くものだ。
 作者フォーサイスがジャーナリスト時代につかったテクニックだろうか?
 オズマ大統領も同じコトをしたのかもしれない。

 石炭から人工ダイヤモンドを作るのは無理だ。
 圧力を長時間与えつづけなくてはいけない。
 いますぐ作れというのは不可能だろう。
 できないことを頼む。
 つまり、オズマ大統領は勇次郎の鼻をヘシ折っておきたかったのだ。

 勇次郎は人工ダイヤモンドをつくるコトができないと知っていたのだろうか?
 まあ、握ってみたあとに「やっぱ無理ッ!」と思ったかもしれない。
 だからガラスカットでごまかしたのだろう。
 迫力があれば相手を説得できるという好例だ。

 この技は最凶死刑囚のひとりシコルスキーと同じだ。
 拳の握りかたとしては、空手などにあるのだが、切るように使うのはオリジナル、だと思う。
 人の技をパクるのは範馬のお家芸だ。
 勇次郎は誰かを切り裂くときのために、こっそり練習していたのかも。

 刃牙がピクルを心情的に倒したので、勇次郎も動きはじめるだろう。
 そう考えていたが、今回は"静"の話だった。
 もしかすると勇次郎が米軍を動かして刃牙と競わせるのかも知れないけど。
 原始に勝ったから、つぎは科学と勝負だ!
 まあ、刃牙世界だと科学は筋肉に勝てない傾向がある。
 いまさら米軍に頼ることもないな。

 ただ、範馬勇次郎クローン計画ぐらいはあるかもしれない。
 素直に世界中にバラまいた勇次郎の種を回収したほうが早そうですが。
 CIAに息子探しをさせる気か?
 この局面で米国大統領なので、どうしても勇次郎がなにか企んでいると思えてしまう。

 とにかく、今後のオズマ大統領は苦労が耐えないことだろう。
 最初の試練は勇次郎がツンデレながら語る息子自慢を聞くことだ。
 勇次郎が刃牙をけなしても、うっかり同意しちゃイケナイぞ!
「Yes, your son can ! (あなたの息子ならできる)

追記 (09/11/4)
 心情的に勝利した刃牙は、いまごろ祝勝会でもやっているんでしょうか?
 勇次郎はみごとにスルーしちゃったけど。
 で、刃牙は勇次郎に挑戦するのだろうか?
 刃牙だって いつか本気を出すのだろうけど、そろそろ本気で親子喧嘩をはじめてもらわないと地球上に闘う相手がいなくなるぞ。

 刃牙世界でなければ、サイボーグか宇宙人を出さないと収まらない展開だ。
 今後、本気でどうするんだろ?

(1) 四千年に頼る
 海皇と対になる存在、陸皇が出てくる。
 闇に埋もれた暗殺拳の使い手、陸皇と12人の陸王が登場だ!
 で、片足となって戦力ダウンした烈海王が刃牙たちに援軍をたのむ。
 13人vs13人の団体戦がスタートだ!
 これでコミックス20巻分は引っぱれる!

 忘れたころにトーナメントというのもアリではなかろうか。
 でも、最近は大会開いてもきっちり決着させるコトが難しい感じだしな。
 とりあえず、ムエタイ陸王と巨人陸王が出てきて瞬殺されるのはマチガイないだろう。

(2) 範馬の血族が大量に
 範馬一族が大量に出てくるのが、もっとも現実的なインフレ策だろう。
 で、烈とか克巳が一般人による範馬越えを目指す。
 負けた範馬は、勇次郎に「血が薄い!」と怒られて、日に二度倒される。

 世界中にバラまいた種を回収するのは今だ!
 範馬兄弟が世界各地から集結する。
 とりあえず、ムエタイ範馬と巨人範馬が出てきて瞬殺されるのはマチガイないだろう。

(3) サイドメニュー美味ッ!
 ワキ役の話で引っぱる。
 ピクル編も刃牙が闘わないうちは、ワキの話だったし。
 進化する克巳とかは涙なくして読めない熱戦だったと思っている。(刃牙は?)
 あの感動をもう一度!

 個人的には、ムエタイと巨人が闘ったら、どっちが勝つのか気になる。
 実際の格闘技では巨人が勝った。
 刃牙世界だとムエタイが意地を見せるのか?
 というか、ムエタイが強いところをたまに見せないと、みんなムエタイはネタキャラだと思い込んでしまうぞ。
 少なくとも思いこみかけている。

(4) 地獄ムエタイ編
 思いきって、ムエタイキャラのオンリーイベントでどうか?
 おもわず花山もムエタイを修行してしまうようなムエタイ尽くしの展開が待ちうける。
 ラスボスは脛蹴りに定評のある、ムエタイ梢江だ。


2009年11月5日(49号)
第3部 第183話 範馬勇次郎/談 (839回)

 勇次郎の髪が表紙でゆらめいている。
 前回よりも高い位置でッ!
 つうことは次回さらに浮上するのか?
 全部出てみたら勇次郎じゃなくて、髪形かえてイメチェンした刃牙だったりして。

 さて、今日の舞台はオリバのくらすアリゾナ州立刑務所だ。
 通称ブラックペンタゴンである。
 オリバはここで大量の蔵書と 大型な彼女にかこまれて暮らす。

「過剰に搭載した筋肉―――――」
「図書館並みの蔵書―――」
「所有する量はそのまま」
「不安の裏返しにも見て取れる」


 範馬勇次郎はデカいグローブを装着しながら話している。
 アンタのグローブも過剰だよ。
 拳に刃引きをしない範馬勇次郎だったハズだが、今回は特別なのだろうか。(バキ20巻 170話
 刃牙が(心情的に)勝利したので機嫌がイイのかも。

 相手を破壊し蹂躙するのが勇次郎のよろこびだったと思う。
 ならばグローブをつけるのは、料理を飲みこまず吐きだすようなもの。
 いや、見てニオイをかぐだけでガマンするようなものか?
 『ギャンブルフィッシュ』(AA)で言えば、死人がでたら大変とカイザー水原が脱衣を諦めるようなもの。
 どちらにしても勇次郎にしてはめずらしい行動だ。

 そして、オリバのことを小心ゆえの過剰武装と挑発してみる。
『バーベルトレーニングなどで造った不自然(アンナチュラル)な筋肉ではない…………
 闘いの中で淘汰され積みあげられた格闘(グラップル)の結晶だ』

 ストライダムにそう評された勇次郎らしい発言かも。(グラップラー刃牙7巻 61話)
 必要な筋肉だけ つけるべし。

 不安になると過剰装備をしてしまうのは人間心理だろう。
 ただ、オリバの場合は知識と筋肉が好きなだけという気がする。
 気がするというレベルではなく、信仰にもにた確信だ。
 オリバに不安はまったくなく、あるのは筋肉愛のみだ!
 あっ、マリアへの愛情もすこしありそうだけど。

 なんでも過剰に消費するのは米国の気質という感じだ。
 巨大化する『ニンテンドーDSi LL』(AA)は米国で大人気になると予想する。
 PSPも大型化したほうが米国でもヒットするんじゃないか?
 根拠ありませんけど。

 オリバは勇次郎の挑発をムシして服をぬぐ。
 今日はエレガントに脱衣するぜ。
 この人は、しょっちゅう服を破りながら脱いじゃう。
 パンツさえ無事なら、なんとかしちゃうのがオリバ流だ。
 きっと日曜日の教会から、政府高官との会議まで、すべてパンツ一丁でのりきる実力を持っている。
 なぜ乗り切れるのか?
 筋肉愛があるからだ。


 勇次郎の発言をムシするのは勇気がいるだろう。
 だがオリバは刃牙の話題をだす。
 親バカに子供の話をふればまちがいない。
 やっぱり勇次郎もホイホイのってしまうのだった。

 刃牙vsピクルの決着は、どうよ?
 オリバの質問に勇次郎の親バカが反応する。
 弱者の攻撃で、強者はおもわず武器をつかってしまった。
 この場合、弱者の勝利じゃないの?
 という『心情的に刃牙が勝利』派がある。

「不純」「穢れ」「汚濁(にご)り」「不真面目」

 だが、勇次郎は心情的勝利を「不純」等と言いはなつ。
 ついでに殴りかかってきたオリバをカウンターでフッ飛ばす。
 刃牙はピクルに技だけではなく筋力でも勝ちたいと思っていた。(180話
 しかし、勇次郎はためらいなく技を使うようだ。

 ブ厚いグローブがオリバの顔を食うかのように、メリ込んでいた。
 ほとんどグローブ意味なしというような攻撃だ。
 純粋に 穢れなく 澄みきった 真面目な打撃といえる。
 もてる力を最大に発揮しようという意思がみなぎっていた。
 これが勇次郎の回答なのだろうか?
 いかなる手段をもちいようと勝利を目指せ!

「感動……… 努力……… 勤勉………」
「それらの装飾(デコレーション)は――」
「しばしば」
「勝負の純正を」
「曇らせる…………」


 感動したから、負けても許す。
 がんばったから、結果でなく過程を評価する。
 そういうのは勇次郎的にNGらしい。
 「はじめてのおつかい」みたいな番組を見ちゃったら、テレビに鬼哭拳を叩きこむほど激怒しそうだ。
 24時間テレビなんて見た日にゃ、その場からチャリティーマラソンの走者を追いかけて、捕まえしだいジャガッタする。

 戦場で戦ってきた勇次郎にとって、過程や感動は余分なものなのだろう。
 勝って生きのこることが すべてだ。
 どんなに努力しても死んでしまえば意味がない。
 観客に感動をあたえるプロ選手や、勝負に徹する競技選手も上まわる、戦士の心得ですね。

「打撃勝負じゃ分がワルい…」

 オリバは打撃をすてた。
 合理的な米国人であるオリバも「かなわないけど精一杯がんばりました」というような思考はないらしい。
 持ち味をイカせッッ だ!(バキ24巻 208話
 パワーだけならオリバと勇次郎は互角ッ!
 そんなふうに考えていた時期が刃牙に負けるまではありました。

 オリバは手をのばす。
 勇次郎がグローブでこたえる。
 そして、手四つ状態だ。
 筋力勝負に入った!

 この状態から、どう攻める?
 勇次郎ですら想像したくなかった顔面突きを狙うのか?(バキ24巻 210話
 だが、勇次郎の両腕は不動の防壁となる。まったく動かない。
 グローブを破るほどの握力で、勇次郎がオリバを圧倒する。

「頭の位置を」
「より高きに置くもの」
「それが勝者!!」


 ある種の最後まで立っていたほうが勝者理論だ。
 『獅子の門』における久我重明の考えと同じである。(青竜編
 非常にワカりやすくシンプルな理論だ。
 勇次郎は力で、オリバを押さえこみ、自分のほうが強いと知らしめるのだった。

「頭の位置をより高きに置くもの。それが勝者!!  範馬勇次郎/談」
 オリバも納得する決着だ。
 同時に刃牙の敗北も決定した。
 でも、まあ、ピクルにとっては慰めにならないんだろうけど。
 刃牙の敗北も確定し、次回からは新展開か?


 いまごろになって、刃牙の食べのこしを回収しにきた勇次郎であった。
 なんか刃牙と関わると不幸になりますね。
 ゲバルは刃牙と対戦しないで正解だった。
 そのうち、ピクルのところにもやってくるんだろうな。
 見えないところでシコルスキーも倒していたりして。

 勇次郎にしてみれば、愛息の成長を確認するための儀式なのだろう。
 そして「まだまだ刃牙もたいしたことないな」「うわー、やっぱりパパはスゴイや」という やり取りをしたいのだろう。
 だから今日も刃牙を誉めつつ叱る。

 刃牙は力勝負でも勝ちたくなり、ピクルに負けた。
 つまり、手抜きで負けたのだ。
 負けたけど勇次郎的にも満足なのかもしれない。
 逆にピクルにとっては、勝ったけど手抜きされたという意識があってプライドが傷ついたのかも。

 勇次郎はピクルに筋力で負けた。
 でも、勝利こそが至上という考えなら、筋力で負けても総合して勝てばよし。だろう。
 そうやって最強の自分という自我を保っていそうだ。

 勇次郎の強さは自我の強さでもある。
 ゆるぎない精神力は、理不尽な筋力よりも恐ろしいのだ。
 そういう勇次郎から見たら、やっぱり刃牙は甘いのかもしれない。

 今回の勇次郎は筋力でオリバを圧倒している。
 あれは、ピクルに筋力で負けたのが気に入らなくて鍛えたのかもしれない。
 そういう負けん気や克己心を精神力が支えているのだろう。
 でも、普段は努力なんてしてないよというポーズを崩さないんだろうな。
 郭海皇を相手に、技術は不要だと宣言しちゃったし。(バキ27巻 234話

 今回のタイトル『範馬勇次郎/談』は『二宮清純/談』のパロディーだろうか?(参考
 昔の読みきりアスリート漫画で多用されていて、おおひなたごうもパロったネタです。
 私も2 ほど使いました。
 範馬勇次郎は笑いを取るためのパロディーも辞さないらしい。
 油断していると爆発アフロとかベタな技を使ってくるかも。
 アフロで髪の毛が盛りあがった分、頭の位置が高くなって最強っぽく見える!!  範馬勇次郎/談

追記 (09/11/11)
 オリバが手四つで勇次郎に敗北した件に関して
・るるえーすαさん
 勇次郎の言ってる内容からして、私は勇次郎は技を使ってるように思いますね。
 今回の話で純粋な力勝負をしても意味はありませんので。

 言われてみたら、そうかもしれない。
 単純なぶつかり合いでも技術を使う余地がある。
 合気は流派や人によって解釈がちがう。
 『合気 - Wikipedia』でも、いろいろな解釈がのっている。

 そのうちのひとり、保江邦夫のつかう『合気』は相手の筋肉に力を入れる命令を妨害するものらしい。
 これだけ聞くとトンデモ理論なんだけど、実際にこの人はできるらしいから扱いにこまる。
 くわしくは著書の『武道vs.物理学』(AA)でも読んで見てください。(日記で書いた感想

 なお、大谷悟『心はどこまで脳にあるか』(AA)によると、テレパシーを真面目に研究したグループがいたらしい。
 電波的に遮断した状態でも念じると、対象者の脳波に変化が生じたそうだ。
 作者はツッコんでないのだが、脳波の変化と意思が伝わるのは同じではない。脳波が変化しただけでは意味も少ない。

 脳波がどのように伝わっているかは『量子もつれ』『アインシュタイン=ポドルスキー=ローゼンのパラドックス』の仮説を当てはめれば説明できるのではないかというのが有力仮説らしい。
 仮説の仮説かよ。
 EPR(アインシュタイン=ポドルスキー=ローゼン)通信は漫画『銃夢』で、ケイオスと電をつなぐ道具として使用されている。
 内容が難しいので、原理がよくわかりません。
 保江邦夫流の『合気』はこれと同じように伝わっている可能性もある。

 話はそれたが、勇次郎の必殺ジャガッタ・プレスは保江邦夫流の合気も使用しているのかもしれない。
 無抵抗になった相手を一気にたたむ!
 相手を倒すためには手段を選ばない。
 最後まで立つための総力戦だ。
 範馬勇次郎らしい攻撃といえる。
 そういえば酔った独歩に対しても容赦しなかったよな。

 そうなると、やはり刃牙は甘い。
 砂糖にハチミツいれてガムシロップでわって釘宮理恵の声を聞かせたぐらいに甘い。
 だが、よく考えてみよう。
 ピクルは刃牙に(心を)陵辱されて体育座りだ。
 刃牙は寝ていたがタンカで運ばれる。

 ッ!?
 この瞬間ッ!
 タンカにのせられた刃牙の頭の高さは、ピクルよりも上なんじゃなかろうか?
 俺のほうが頭の位置が上だから、勝ちッ! すべて計算どおりだッ!
 刃牙の完全勝利かもしれない。


2009年11月12日(50号)
第3部 第184話 範馬脳 (840回)

 チャンピオン買う前に刃牙だけ先に読む。読んで思わず「おいおい」と声に出して突っこんでしまった。
 周囲に人がいなくて良かったよ。
 前に声が漏れたのはいつだっただろうか?
 たしか「口を慎みたまえ」でも、素で吹いたよな。(179話
 なんだ、けっこう最近じゃん。

 話を本編にもどす。
 ピクルとの激闘を終えた刃牙はドクター紅葉のところで検査をうけていた。
 どうも刃牙は今までちゃんと検査を受けていなかったようだ。
 歯の矯正効果のあるテンプレートを使用する末堂に、歯医者いってないから歯並び悪いと言ってたころの刃牙は、もう居ない。(G刃牙1巻 2話)

 最近の刃牙は医術をこえた魔術を手にいれている。
 科学に頼らなくても、野性と超常のチカラでなんとかなっちゃうのだろう。
 野性の獣は病院など 行かん!
 毒を裏返して治したときに、もう医術はいらないと思ったのかもしれない。
 スゴいね 人体 ♥(はぁと)バキ30巻 265話

「この検査はむしろ遅すぎたくらいだ」
「たとえプロ格闘家でも君ほどのダメージを身体に刻んじゃいない」


 そりゃ、格闘家は攻撃を防御するから、ダメージも少ないだろう。
 むしろ刃牙はプロレスラーに近い。
 より痛そうな攻撃を進んでうける。
 自主的に30mダイブを行う。

 いや、やっぱり刃牙はプロレスラーじゃない。
 プロレスラーは観客のために身体を張る。
 だが、刃牙は痛みのために身体を張るのだ。
 プロフェッショナルなマゾヒスト。プロマゾラーだ。

 まあ、範馬一族は肉体的に普通じゃない。
 普通の感覚で検査しろというのは違うんだろうな。
 紅葉も本当は範馬一族の肉体を調べるという学術的興味が優先しているかも。
 ちょっとだけなら、解剖(ひら)いてもイイよね? と考えていそう。


 夜。刃牙のデータを見ていた紅葉ははげしく発汗し、一本の電話をかける。
 呼ばれたのは、国内最高の脳科学者 藻木研一郎だった。
 さすが鎬紅葉だ。医者・科学者に顔がきく。
 夜に電話一本で呼びだし、オマケに藻木は女性との約束があったらしい。

「オンナなんて6000万人いるッッ 今すぐ来いッ」

 さすが刃牙世界でもトップクラスのイケ面であり、高額収入者でもある鎬紅葉だ。
 他の連中は高額どころか、無職っぽい。
 鎬紅葉には、不自由してない感がありまくり。
 まあ、本人は弟萌えだから(断定)、女性にモテても意味ないんでしょうけど。

 やってきた藻木は、衝撃の映像を見ることになる。
 刃牙の脳が鬼だッ!
 脳のシワが鬼のような形になっている。
 刃牙の脳にモモタロスが憑依したんじゃないかと思うような鬼面ッ!
 これが範馬脳の正体かッ!

 イヤイヤイヤ。
 無いだろ、それッ!
 はじめて読んだとき、おもわず声に出して突っこんでしまった。
 そりゃ、無い。ムチャしすぎだ。
 店員さんに「鬼面はいくらなんでもムチャしすぎだよね」と同意を求めそうになる。
     PCトモノカイ パソトモ モモタロス
モモタロス

 範馬といえば背中の筋肉が鬼の形相になっているコトが有名だ。
 だが、脳の形まで鬼化しているとはッ!
 見えないところにこだわるなんて、粋だね。江戸っ子だね。

「れっきとした人科」
「日本人男子18歳の前頭葉だ」


 驚愕する藻木に紅葉が被験者のデータをつたえる。
 ホントに人科の生物なんだろうか。
 発言している紅葉もうたがっているかも。
 人間というか、哺乳類の脳にすら見えない。
 まさに宇宙人的な脳髄だ。

 脳の形状と人間性に関連はあるのか?
 関連しないというのが常識だ。
 しかし、紅葉も自信がなくなってきたので専門家を呼んだらしい。
 自分より優れた人に助けをもとめるなんて、意外と素直な紅葉であった。

「俺たちはさァ……」
「脳のことなんて 何……にも知らないんだな」
「脳ってやっぱりスゲェよ」
「脳はやっぱりサイコーだよッ」
「偶然の産物か………… 神の悪戯か……………」
「こんな奇跡に出会えるなんて……ッッ」


 藻木はステキな範馬脳を見せられ大興奮だ。
 スゴい脳フェチですね。
 刃牙がそこに寝ていたら「なぁ、ちょっとだけ切開(あけ)てみようよ」と言いだしそう。
 さすが紅葉の友人である。
 科学の発展に魂(というか良心)を売りわたすタイプだ。

 まあ、専門分野でのスゴいモノを見たら興奮しますな。
 闘争のたかぶりだけでなく、知性のたかぶりも刃牙世界にはあるのだ。

 藻木を見る紅葉の表情はやわらかい。
 紅葉も知性派だから、こういう喜びに共感できるのだろう。
 電話で呼びだしたのは、自分の都合だけじゃ無かった。
 藻木が喜ぶことを予想していたのだろう。

 藻木さんも、女性よりも脳という状態なのだろう。
 やっぱり女性に求めるものは外見よりも内面なのか?
 解剖学的な意味で。

「紅(くれ)ちゃん」
「これはね」
「この持ち主の人間性は――」
「悪魔のような奴にキマッてんだろ――ッ」

「藻木…」
「あってるよソレ」

「ワカんないってことなんだけどね ♥(はぁと)


 鎬紅葉も認めた。
 範馬刃牙は悪魔だ。

 冗談のつもりが本質をついてしまった。
 脳の形状が異常でも、人間性には関係ない。
 誤差範囲内であれば、だ。
 範馬脳の変化は異常すぎる。
 脳のサイズは知性と関係ないらしいが、極端に大きかったり小さければ影響もでてくるだろう。

 範馬脳は悪魔の証拠なのだろうか?
 人間という生物がもつ最大の武器は知性だ。
 つまり脳機能こそが重要といえる。
 その最重要機関がさらに進化すると、範馬脳かもしれない。
 範馬一族はニュータイプなのか?


 いっぽう悪魔的な脳の持ち主である範馬刃牙は大量のイエ鼠をビビらせながら帰宅する。
 沈没する船からネズミが逃げだすように、刃牙から逃げだす。
 もはや範馬刃牙の存在はタイタニック号なみだ。
 不吉すぎる。近づかないほうが安全かもしれない。

 筋肉だけではなく、脳まで鬼化してきた範馬刃牙であった。
 迫力を出しすぎて説得力が暴走し、笑劇力になっている気がする。
 ここまで進化しちゃった18歳は、このあとどこへ向かうのか?
 なんか進化の無駄遣いという感じもするけど。
 次回へつづく。


 またもや範馬一族の異常性が判明した。
 外側だけではなく、中身も異常だったのか。
 こうなると、腸も鬼面になっているかもしれない。
 もしかしたら、睾丸も鬼面状か?
 脱糞したあと、便器をのぞいたら鬼面に積まれているかも。
 とにかくスゴそうだ。

 紅葉がこれだけ驚くからには、ジャック兄さんには無い特徴なのだろう。
 勇次郎の「血が薄い」発言は正しかったのかもしれない。(19巻 154話
 こうなると勇次郎の脳も確認してみたくなる。
 まあ、確認させてくれないンでしょうけど。

 刃牙は『いつ』『どうやって』範馬脳になったのだろう?
 リアルシャドーのやりすぎで脳がゆがんだのか?
 やっぱり妄想はほどほどにしないと脳によくないのかも。

 茂木健一郎の「超一流の仕事脳」という連載では『井上雄彦「バガボンド」』も扱っていたりする。
 宮本武蔵の脳も特殊だったりするのだろうか?
 水戸黄門なら葵の紋型になっていそうだ。

 普通の人は、わざわざ脳の形状を確認しない。
 知らないだけで、あなたや私の脳も特殊な形状をしているのかも!
 まあ、鬼面になっても特に問題は起きないだろうけど。
 刃牙は脳が鬼面だから変態というワケじゃなく、変態だから脳も変化したのだろう。

 もともと、大脳なんて刃牙にとって飾りみたいなモノ。(8巻 57話
 飾りだから、多少(大いに)ゆがんでいても問題なしッッッ!

追記 (09/11/18)
 範馬脳の恐怖!
 30mダイブを繰りかえすと脳の形状が鬼になってしまうぞ!

 掲示板で端役Aさんが指摘していたのですが、刃牙はブラックペンタゴンに入るとき全身をチェックされている。(3巻 17話
 同様の指摘をメールでもいただきました。

 ふたつのコトが考えられる。
 範馬脳がブラックペンタゴンでの検査後に発動したと考えるのがひとつ。
 二つ目が検査では見つからなかったというコトだ。

 刃牙はオリバ戦でドロドロになった(イメージ的に)。
 その時に脳が再構築されて範馬脳になったのかもしれない。
 または30mダイブやなにやらで、打ち所が悪く脳がゆがんでしまった。

 打ち所が悪いと脳が鬼型になるのかと疑問に思う方もおられよう。
 もちろん、ならない。なるわけない。
 だが、そこは悪魔の子・範馬刃牙である。
 常識が通用したら裏返りなんて起きないんですよ。

 そんな非常識な刃牙だから散歩をするだけで脳みそ裏返ったりするんだろうな。
 まあ、カンジンなことは、どう見えるかよりもどう機能するかなんだけど。

 もうひとつが検査で見つからなかったという考えだ。
 脳は半球形の形をしている。
 これをスキャンした場合、輪切りの映像となる。
 で、輪切り状態だとどんな形をしているのかワカらないのだろう。
 鎬紅葉が夜までかかって画像を重ねていったから、範馬脳を発見できたのだ!

 ネタ的には面白いのだが、範馬脳ってどんな効果があるんだろうか?
 天井に吊りさげられたバナナを道具を使わずジャンプして取れる身体能力を手に入れるのかもしれない。
 まさに野性の力だ!

 よく人間は最大出力の30%しか使っていないといわれる。
 名古屋大学の矢部京之助・教授らが皮膚の上から電気を流して、意志とは無関係に筋肉を収縮させたところ意識して出す力より30%大きな出力が記録されたそうです。(湯浅景元「筋肉」)
 範馬脳はこういう限界突破の出力ができる脳なのかも。
 まあ、こういう最大出力はCPUをオーバークロックするようなもので負担がかかって推奨できないのだろうけど。
 理不尽な回復力をもつ範馬にだけ許された方法ですな。


2009年11月19日(51号)
第3部 第185話 原人(ピクル)の帰する所 (841回)

 ピクルをどう扱うべきか?
 いまさらだけど、みんなが悩みだした。
 おそいよ、その話題。ロシアの喧嘩なみにおくれている。ジャブより全然おそい。
 ピクルを掘りだしたときにすべきだ。(ピクル 1話
 二年以上おくれているぞ。

 なぜか会議は日本で行われている。
 米国で米国人が発掘したンだから、ピクルをどうするのかは米国が決めることじゃね?
 やはり事件は現場で起きているということだろうか。
 今イチバンHOTなのはピクルのいる日本だ!
 とりあえず、会議で今後のことを考えましょう。

 内閣総理大臣 波斗山征夫
 政治学者 金尚中(キム サンジュン)
 実業家 與田政道
 映画監督 木頼武
 住職 世戸内若鳥
 科学者 アルバート・ペイン
 軍人 ゲリー・ストライダム


 なんかスゴいメンバーがそろっているッ!
 どういう基準であつめたのか よくワカらない。
 まちがいなく議論が噛みあわないよ。
 誰だよ、この面子をチョイスしたの。

 世界のキタノはピクルで一本映画をとるのだろうか?
 若手芸人をイジる感覚で普通にギャグ要員にしちゃいそうで怖い。
 世戸内若鳥はやっぱりピクルにも説法をする気だろうか。
 源氏物語の良さを原始人に理解させられたら勝ち、みたいな。

 つうか、米国の大統領だけでなく日本の総理もかわっていたんだね。
 やっぱり範馬勇次郎に友好宣言をしたんだろうか?
 むしろ友愛宣言だ。いや、勇愛宣言ですね。勇次郎LOVE!
 官房機密費の内容を公表できないのは勇次郎への接待費がそうとう額はいっているのかも。(参考

 ストライダムの名前は「ゲリー」だったのか。
 汚れ仕事が似合いそうな名前だ。
 勇次郎の接待は天職なのかもしれない。

 世間ではピクルをもとの岩塩層にもどすべきだと言っているらしい。
 貴重な生体サンプルなのに、もったいないことだ。
 どちらにしても、こんな会議で結論が出るワケない。
 そして、500001572 vs 500000543 ッ!

『全世界およそ10億人という投票の結果』
『実にその差1000票余りという僅差』

 ピクルをもとに戻すと決定したッ!
 世界投票とは、またまたムチャをしたものだ。
 どれぐらいの国が投票に参加したのだろうか?
 もう一カ国ぐらい参加させたら、結果が変わったかも知れないのに。惜しいことです。
 ペイン博士は愚かな結果と思いつつ、多数決に従うつもりだ。

 だが、ピクルはムチでしばかれて従う家畜じゃない。
 野性の力と誇りが爆発する。
 麻酔から自力で目覚め、拘束具を破壊して外に飛びだす。
 でも、フンドシはしめたまま。だって紳士のたしなみだもの。
 そして、ペイン博士と とぼとぼ歩くストライダムの所へッ!
 お土産はティラノサウルスの頭だ。

「ストライダムくん…………」
「これは感謝だ…」
「約束を果たした君への…」
「手土産だよ………」


 ピクルがしゃべったッ!?
 クララが立ちあがれないまま、カポエラをマスターして逆立ちで戦っちゃうような衝撃ッ!
 会話できたんかい、アンタ……

 って、イヤイヤイヤ。
 これはペイン博士が解説しているのか。
 いままで格闘士とピクルの行う肉の交流に遅れをとっていた。
 しかし、最後に論理的思考でピクルの行動を解説することができたのだ。
 筋肉に科学が一矢を報いた瞬間である。

 ピクルはティラノサウルスの生首(冷凍だけど)をのこして去っていく。
 野性は野に帰っていくのだ。
 次回につづく。


 ピクルは貴重な食料であるティラノサウルスを冷凍庫から持ちだしてストライダムにわたした。
 狒々の頭部の黒焼きは「天印」と呼ばれて珍重されているらしい。(シグルイ 73景
 恐竜のお頭も高価なものなのだろう。
 刃牙に食べさせたら異常な脳みそも正常になるかもしれない。

 世界に飛びだしたピクルはどこに向かうのだろうか?
 これからは生肉業者のトラックと立ち合って中身を食べる日々なのかもしれない。
 刃牙と戦ったショックで、文明に目覚めてコンビニでおでんを買うようになる可能性もあるけど。

 ピクルは刃牙と戦って、妖術などの理不尽な恐怖を知ってしまった。
 恐怖が戦士としてのピクルを鈍らせ、戦いよりも逃走を選ばせてしまったのかもしれない。
 今後のピクルは人目をさけてコソコソ生きていくのだろうか。
 だとしたら、白亜紀最強戦士があまりにも哀れだ。
 とりあえず息子とヤッた男の味見をしたがる勇次郎には気をつけろ。

 来週は刃牙がお休みだ。
 偶然かもしれないが、去年の52号も刃牙は休載だった。
 なんかパターンが生まれているのかもしれない。
 と、いうワケで来週は刃牙vsピクルをふりかえってみる予定です。

 刃牙は どれほど戦わなかったのか?
 烈はどれだけ数瞬を詳しく説明しているのか?
 そんな疑問をあらためて検証してみたい。
 けっきょくのところ試合も解説も、ペテン大戦みたいな感じが――――
「口を慎みたまえ」
 怒られました。

 ↓Amazonで「ピクル」を検索したら見つかった絵本です。
ピクルちゃんとかっこママ
ピクルちゃんとかっこママ


 ペットの名前がピクルちゃんッ!?
 飼い主を喰ったりはしないようなので、一安心。

追記 (09/11/25)
 明日のチャンピオンは刃牙が休載で、特別企画「決戦前夜」があるらしい。
 とうとう刃牙が勇次郎と戦ってもいいと本気で思いはじめたのかも。
 まあ戦うと言い出してから長い時間がたち、範馬刃牙にタイトルを変えてもうすぐ21巻が出ます。
 あまり信用できないな。

 イブニングで連載中の餓狼伝は、原作路線への軟着陸をはたそうとしている。
 ただ、ブラジリアン柔術が衝撃の来日をする部分がぬけているっぽい。
 もちろんいまごろ来日されても時代おくれすぎて困るのだろうけど……
 漫画版では、ブラジリアン柔術という黒船はこなかった世界になるのだろうか?

 で、刃牙だ。
 とりあえず世界中にバラまいた勇次郎の種はなかったことになるのだろうか?
 そして、決戦をはじめる準備をはじめることを決心するぐらいのペースで勇次郎戦にむけて進むのだろう。
 刃牙はどこへ行こうとしているのだろうか……

追記 (09/12/2)
 次回から新章に突入だッ!
 ……本当に勇次郎と闘うんですかぁ?
 親父と闘う闘うサギをはじめてから、四年ぐらいたっている。
 やっぱり、いまだに闘う気配しか感じられない。
 リアルシャドーで満足していそうだよな。

 でも、そろそろ本当に刃牙も闘いはじめるのかもしれない。
 永遠に闘わないんじゃないかと心配だったピクルとだって、けっきょく闘ったんだし。
 そろそろ範馬勇次郎とも闘う準備をするかもしれない。

 ベタな作品だと、ここでオーガ四天王とかが出てきて弱いほうから順番に刃牙に倒されていく。
 ムエタイ・オーガ、ジャイアント・オーガ、サンボ・オーガ、柳オーガ、シコルスキー・オーガが登場したら、だれがイチバン弱いのか悩む。
 五人いるけど実力的には四人相当なので問題なし。
 個人的には、そろそろムエタイ狩りの季節だと思うのだが、どうだろう。

 刃牙の闘いは、刃牙が勝つとワカっているから盛りあがりにくい。
 やっぱり、手足を失った烈と克巳が復活する物語を見たいものだ。


2009年11月26日(52号)
範馬刃牙 VS.ピクル まとめ

 タイミングよく(?)刃牙が休載なので、『刃牙 VS.ピクル』を まとめてふりかえってみる。

 なお、前回までのまとめは以下のとおり。
 今までの連載は半分以上がピクルだった。
範馬親子編、純ゲバル編(1話〜35話)
純ゲバル編2、オリバ編(36話〜79話)
烈海王 VS. ピクル(外伝ピクル、80話〜102話)
愚地克巳 VS. ピクル(103話〜138話)
ジャック・ハンマー VS. ピクル(139話〜155話)


ピクル争奪戦 第五章 範馬刃牙 VS. ピクル
 サブタイトル  内容
 155話 醒悟(せいご)  刃牙はピクルのそばに居座る覚悟をキメる。
 156話 超雄同士… 刃牙がピクルを挑発をした。
 157話 食べる為ではなく… 刃牙はピクルを侮辱しているぞ!
 158話 矜持(きょうじ) 文化としての闘争を教えるべく、刃牙が攻撃をしかける。
 159話 ダイビング 刃牙とピクルは30mの高さから落ちた
 160話 祈り 落下した刃牙はダメージで動けない。ピクルが心配する。
 161話 安全物 あなどられた刃牙は、ふたたび30mダイブに挑戦する。
 162話 強肉弱食 弱っている刃牙の攻撃で、ピクルが謎のダウンをする。
 163話 皮一枚 刃牙のかするパンチでダウンしたピクルは、刃牙のことを妖術師だと思う。 
 164話 平等な打撃 ダメージが消えていない刃牙は鞭打で時間稼ぎをする。
 165話 コロンブスの卵 鞭打。ひたすら鞭打。追い込まれたピクルはタックルの構えだ。
 166話 完全憑依 刃牙はトリケラトプス拳でピクルをビビらせる。
 167話 天才性 恐竜合体ッ!
 168話 初対決 ピクルが未知の怪物相手にガンバる。
 169話 スタート 水平スタートによるピクル屠龍タックルだ。
 170話 柳に風 タックルは刃牙に通用しない! そして、真っ向勝負へ……
 171話 見たいな… 刃牙は「刃牙がピクルを倒す光景」を見たい。
 172話 玩味(がんみ) 勇次郎と戦うつもりの刃牙だから、ピクルの攻撃はかわせます。
 173話 Like a butterfly 蝶のように舞、闘牛士のように股間を刺す!
 174話 激痛(いた)み 断言しますッ 睾丸とは内臓なのですッッ
 175話 最終形態 T-レックスに噛まれた痕をうきあがらせ、ピクルが変形した。
 176話 失ったもの 俺達は格闘技を手に入れたッ 何も捨てちゃいないッッ
 177話 歴戦の疵 極まったな。総力戦だ。
 178話 迎撃(カウンター) カウンターをつかって刃牙はピクルを追いつめる。
 179話 俺は 刃牙はピクルの速度について行ける。烈が「口を慎みたまえ」と怒った。 
 180話 Finale(フィナーレ) 刃牙は技術をすてた。ピクルは技をつかう。
 181話 闘争の不文律(おきて)  心情的に刃牙の勝利。

 長いッ!
 まさに死闘の26話だ。
 と、いっても半分以上は まともに闘っていない。
 刃牙の成分は半分以上がリアクション芸人となっている。

 まとめてみると、話の内容が異常にうすいときがチラホラあった。
 話の内容よりも、その場のリアクションで乗りきるリアクション芸人の芸風ですね。
 動物とからむのはリアクション芸人にとって定番である。
 刃牙とピクルが勝負するのは必然だったのだろう。


ピクル編 エピローグ
 サブタイトル  内容
 182話 友好条約 範馬勇次郎が米国大統領をビビらせる。
 183話 範馬勇次郎/談 ピクルの勝ちで刃牙は負け(範馬勇次郎/談) ついでにオリバをひねる。
 184話 範馬脳 脳みそまで鬼的=範馬ッ!
 185話 原人(ピクル)の帰する所  岩塩内にもどされそうになったピクルは逃げだし、自由になる。

 エピローグがインパクト強かった。
 範馬脳は一発ネタなのか、今後に伏線となるのか……
 今後、範馬腸などもでてきたりして。
 とりあえず範馬一族は特殊だと知らしめてた。
 そしてピクルは退場する。
 のこるは範馬一族内の闘い、すなわち地上最大の親子喧嘩だッ!


 さて、今後の『範馬刃牙』ですが……
 来週12/3はセンターカラーで連載再開となる。
 12/8にコミックス21巻が発売だ。
 再来週の12/10からバキ和柄Tシャツ 花山薫ver. 応募者全員サービスらしい。
 そして、チャンピオンがお休みの12/17は、『増刊バキ総集編 戦場の詩』発売だッ!

 いつもの増刊だけど『戦場の詩』というタイトルからすると軍人ネタが豊富なのだろうか?
 ガイア外伝の新作があったりすると嬉しい。
 まさかのストライダム外伝があったりして。

 さらに12/24のチャンピオンでは刃牙2話掲載+疵面(スカーフェイス)の刃牙三倍祭りだ!
 ……一倍でいいから休まないで欲しかった。
 つうか、疵面(スカーフェイス)の復活だよ!
 連載再開は秋と告知されていたので、再開は年明けだろうと思っていたが、ずいぶん早いな。
 やっと風呂敷をたたむメドがついたのだろうか。

 そこ行くと板垣先生はスゴいよな。
 毎週のりきっている。
 むしろ、最初から たたむ気なんてなさそうだし!


2009年12月3日(1号)
第3部 第186話 闘いの遺伝子 (842回)

 クリスマスのバキ3倍祭に先駆けて、松本梢江3倍祭りだッ!
 ページ数はいつもと同じだけど、心情的な負担が3倍です。もう、梢江はたくさんですよ。
 通常の1.3もあれば体感的に3倍と感じるのは赤いザクで証明されている。
 前に書いたが戦闘機でも最高速度が1.7倍あれば体感的に3倍ぐらい速く見えるらしい。
 なんか3年分ぐらいの松本梢江を見た気がする。

 我々が最後に松本梢江を目撃したのは、読者時間で2005年11月10日のことである。(バキ31巻 274話
 4年以上も音信不通だったが ついに再発見された。
 梢江嬢はベッドの上でアライJr.のことを思いだす。
 ……今、とてもイヤな想像をしてしまった。みんなにも、ぜひしていただきたい。

「スゴい貌(かお)だったナ…」

 えっ、油断しているときの顔を鏡で見たんですか?
 と言うワケではない。
 刃牙に敗北(ま)けた直後にアライJr.が見せた貌(かお)のことだ。

 涙と鼻水とヨダレをタレながし、顔中をクシャクシャにした。
 たしかにスゴい貌(かお)だ。
 オモシロ顔特集にエントリーされること間違いなし。
 まあ、梢江ちゃんもスゴい貌(かお)に関しちゃ負けちゃいないぞ!

 274話で梢江がアライJr.を抱きしめたのは『愛』だ。
 恋の感情ではない。母親のような気持だそうです。
 弱者にたいする憐憫の情みたいなモンですか。
 雨に濡れている子犬を見つけたら、なんとかしたくなる感じだ。
 まあ、アライJr.の場合はオモシロ顔すぎるので、同情しにくいケドな。

 古い話ですが『101回目のプロポーズ』(AA)の武田鉄矢にキュンとくるような感じだろうか。
 ほら、古本屋で大量に並んでいる『バキSAGA』をみつけたら、ちょっとだけキュンとくるじゃないですか。
 ……こない?
 なお、唐突に勃起して困ったときは『バキSAGA』を思い出せば、キュンとなって平静にもどるという裏技もある。

 梢江は修羅道を爆走する刃牙に愛想をつかし、アライJr.にのりかえた。
 そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。
 だが、梢江は不憫なアライJr.をなぐさめただけだったのだ。
 相手をその気にさせたうえで、たたき落す。
 まるで範馬流のような技で梢江はアライJr.にトドメをさしていた。

 刃牙はアライJr.の肉体を破壊した。そして、梢江は精神を破壊する。
 ものすごいコンビネーションだ。
 まさに最凶カップルである。
 いろいろな意味でかかわりあいたくない。

 そして、現在ッ!
 となりに住んでいる刃牙と半年ぶりに顔をあわせた梢江は、刃牙に蹴りを入れるのだった。
 蹴られたバキ君、スゴい貌(かお)だったナ…
 次回につづく。


 萌えを終わらせちまった女として恐れられる、松本・デビルフィッシュ・蛸江が復活した。
 ドカベンのサチ子に唯一対抗できる女神の降臨だッ!
 もしかして、次回も登場されるんでしょうか?
 できればご遠慮していただきたいところです。

 勇次郎との決戦が近づいたので、基本にかえるつもりで梢江と再会したのだろうか?
 刃牙は米国大統領を拉致・監禁して刑務所に入っていた。(3巻 16話
 出獄して半年ぶりにする会話がコレかよ。
 おそろしく淡々としている。
 なんか熟年夫婦みたいな状態だな。
 もっとも熟年夫婦は蹴りを入れたりしないだろうけど。

 パンをくわえたまま玄関でバッタリ出会う。
 ココでぶつかったら、二度目の恋に落ちたかもしれない。
 なんというラブコメ展開か。
 最近のチャンピオンは恋愛マンガがすくないので、刃牙が助けに入ったのだろうか?

 一時期のチャンピオンは美少女系マンガが異常におおかった。今は逆にすくない。
 なので刃牙も『萌え』要素を加えて死角をなくす気だろうか。
 もっとも、梢江には『萌え』などいらない。シコルスキーにパンツぐらいに いらない。
 雑巾を飾りつける必要がないように、梢江に『萌え』は不要だ。

 ところで、初期の梢江は歯磨きしながら玄関をでて全裸で水浴びをする刃牙と遭遇した。(G刃牙2巻 12話)
 梢江のポーズが今回とほぼ同じだ。
 まさに原点回帰といえる。
 しかし、あの時の梢江は歯を磨きながら、ナニをする気だったんだろうか?

 過去の話はおいといて、今回はラブラブだったと。
 刃牙と梢江め、蛸の触手のように指をからめてんじゃねーよ。
 人目を気にしながら、小キックをくりだす彼女と手をつなぐ展開ですね。
 うむ、自分で自分の『ラブプラス』(AA)体験を汚してどうする、俺。

 『バキSAGA』の時もそうだ。
 刃牙が梢江の腋責めとかするから、腋フェチネタを見るたび梢江の顔がチラつく。
 まさに梢江は萌えの破壊者。最終兵器彼女だよ。20年ぐらい草も生えない。
 今後20年ぐらいは小指をからめあうシーンを見るたびに、梢江の顔が浮かぶのだろう。
 だれか、俺の記憶を消去してくれ。

 気持をきりかえる。
 今回のタイトルは『闘いの遺伝子』だ。
 内容にあまり合ってない。
 タイトルどおりだとすると、梢江の体内には新しい生命がうごめいているのかも。
 なんかイメージは『エイリアン』だけど。

 それとも、刃牙は遺伝子の強さだけでアライJr.に完全勝利ですか。
 やはり話の流れは範馬一族の最強伝説に向かいそうだ。
 範馬勇次郎も認めた女傑が松本梢江である。
 もしかすると、最強の種付けをするため、梢江争奪戦になるのかも。


 12/17発売のバキ増刊『戦場の詩』は、やはりミリタリー特集らしい。
 残念ながら新作はなさそうだけど、外伝ガイアや板垣先生の自衛隊漫画が2本収録される。
 自衛隊漫画はけっこう古いヤツなので未読の人も多いかもしれない。
 2本とも面白い作品なので、未読ならば必見ですね。

 ここ数年、チャンピオンが休みのときはバキ増刊だのみになっている。
 ただ、さすがにネタ切れという感じが出てきた。
 次は誰の特集にするのやら。
 まさか、松本梢江 特集じゃないよね?

追記 (09/12/9)
 刃牙世界のリーサルウェポン松本梢江が投入されてしまった。
 なるべくなら、この話題は引っ張らないで欲しいものだが。
 でも、このタイミングで登場したということは、梢江がしばらく出る可能性もあるワケだ。
 ピクルが梢江にマウントポジション取られてフルボッコ(精神的に)されるという展開だって…………

 梢江のことは忘れよう。
 刃牙世界に美少女は不要だ。
 いや、美少女なら歓迎だけど。
 ……とにかく忘れよう。

 とにかく刃牙が勇次郎と戦う気になったのかどうかが問題だ。
 一ヶ月ぐらい同じコトを言いつづけている気がするけど、重要問題だから仕方がない。
 なにしろ『範馬刃牙』が始まってから ずっと放置しつづけた問題ですよ。
 親子対決をするためのタイトルリフレッシュだったのに。

 これじゃ本当に『ヤルヤル詐欺』だ。
 みんな呆れるよ。
 そりゃ、当サイトの掲示板でSAGAで抜けるかどうかの議論が始まってしまう。
 もっと、がんばって刃牙の今後に関心をもつんだ!

 刃牙が勇次郎と戦うのならば、大きな問題がのこっている。
 勇次郎に勝てるとは、まったく思えないのだ。

 返り討ちにあった。刃牙死亡確認。完ッ!
 今 戦ってもそんな展開になるしかない。
 刃牙も本能で負けるのがワカっているから、逃げているのかも。
 前向きに、もっと修行すればいいのに。

 オレはいつでも親父とヤっちゃうから。勝敗とかカンケーないし。
 と言いながら逃げる刃牙さん、カッコイイ、のか?

 そこで、梢江ですよ!
 こういう展開なら話がちがう。
 刃牙のヤル気に火をつける燃料として梢江が立ちあがってくる。
 という展開なら梢江も大歓迎なのだが。
 刃牙の股間だけが立ちあがる展開だったら、最悪というしかあるまい。


2009年12月10日(2+3号)
第3部 第187話 親友(とも)よ… (843回)

 刃牙のターン! 梢江とのSAGAを発動させるッ! と、思わせてストライダムのターンだ。
 って、ストライダムなのか? 誰かとマチガえていませんか?
 そういえば外伝希望アンケートにも名前が出ていたよな。
 ああ見えてストライダムは人気があるのかもしれない。
 たとえば、剛毛フェチに人気ありそうだし。

 本日は米軍基地での格技講習だ。
 教えるのはキャプテン・ストライダムである。
 なぜかブラックベルトをしめていた。
 有段者だったのか!?
 どんな武道を学んでいたのだろう。
 アレキサンダー流忍術とか。

 米兵たちが着ている道着は、エリの部分がシャツみたいになっている。
 現代社会の普段着をイメージした稽古着なのかもしれない。
 そういえば、佐山聡がつくった掣圏真陰流も、スーツみたいな道着を使っていた。
 ストライダムが教えるのは 精神鍛錬や護身術ではない。

「正々堂々の暴力――」
「すなわち戦場で行使される技術だ」
「よってそこには反則がない」
「――――ではなく"反則があるなら 即 使え"――――――――だ」


 ここは戦場格闘技の真髄を叩きこむ場らしい。
 みなさん、体育座りでストライダムの話を聞いている。
 正座じゃないところが、非日本的な光景だ。

 ストライダムは精神論をいわない。
 そうなると説得力になるのは実際の力だ。
 自然と立ちあって有効性を見せつける必要がでてくる。
 戦場では地位も金も役に立たない実力の世界なのだ。

 元有名選手がスポーツのコーチや監督をやることが多いのは、上手い人が言っているから説得力がでるという面もあるらしい。
 サッカーの元日本代表監督であるオフトは現役が無名だったので、最初は指導が選手に反発されていたらしい。
 理論が有効だとわからせたり、実際に上手いプレイを見せたりして信頼されていったそうだ。(狂気の左サイドバック

 周囲に接待将校などと言われていそうなストライダムである。
 言葉だけでは説得力がでない。
 戦場格闘技を教えるためには、実力を見せつける必要があるのだ。
 というワケで、黒人のマークを対戦者に指名する。

「ムエタイのキャリアが長い」
「そしてMMAも…………」(※ Mixed Martial Arts。総合格闘技の意。)


 ムエタイ!!
 これは安牌(アンパイ)だ。ドラだろうがナンだろうが、安心してすてられる。
 ストライダムはメンバーたちの経歴に目を通していた。
 そして選び出したのが、ムエタイだ。

 絶対に勝たなくてはならない最初の相手である。
 ストライダムだって緊張しているだろう。
 勝ってリラックスし、兵士たちに強さをアピールしたい。
 そこでムエタイという、鉄壁の噛ませ犬を選びだした。
 戦いは戦場に入る前からはじまっている。

 マークはムエタイらしく、高い位置の構えだ。
 タックルに対する警戒心がすくないように見える。
 不慣れなタックルを受けて腕を折られるのは、ムエタイの常套手段なのか?

 恐れを知らぬマークはいきなり上段回し蹴りを放つ。
 だが、ストライダムは小さく鋭い蹴りで、ガラ空きとなったマークの股間を打った。
 ムエタイに金的!
 これまた鉄板にして定番なイジりかただ。
 カモとネギのコラボレーションかというほど相性のいい噛ませ犬臭がでている。

 初戦はストライダムの完全勝利であった。
 これで調子がのってきたのか、ストライダムは次々に相手を指名していく。

『柔道経験者ハワード』『目潰し……』
『ボクシング経験者リチャード』『裏投げ…』
『レスリング経験者スミット』『打突……』
『古流武術経験者タカハシ』『緊縛…』


 相手のニガテとする攻撃でしとめていく。
 ダーティープレイこそが戦場格闘技なのだ。
 米国兵は命がけの戦場に送りこまれることもある。
 ためらいなく相手の目に指を突っこむコトが命を救うかもしれない。
 軍人として生きのびるのは切実なのだ。

 ストライダムは勇次郎の接待係として活動している。
 この仕事も命がけだ。
 軍務の厳しさを教えるのに最適の人材かもしれない。
 しかし、ストライダムってちゃんと強かったんですね。


 ストライダムは慎重に火薬をあつかっていた。
 小さじ一杯の量で、ナイフを砕ける爆発力がある。
 この火薬を金属で保護された拳とツマサキに仕込む。
 爆砕拳と爆裂脚の完成だ。

 身体には銃弾もハネ返しそうな防具をつけている。
 もちろん股間には超強化型のファウルカップを装備しているぞ。
 フルアーマー・キャプテン・ストライダムの完成だ。

(待っていろ……………)
(我が親友(とも)………… 範馬勇次郎!!!)


 ストライダムが範馬勇次郎の宣戦布告だッ!
 死ぬか!?
 死ぬ気なのか、ストライダム!?
 ギャグにしてはリスクが大きすぎるぞ。

 ただ接待するだけなら、誰にでもできる。いや、ムリだな。
 まあ、かわりになる人もいるだろう。
 だが勇次郎の親友(とも)であるためには、戦わなくちゃならないのか?
 ストライダムが地上最強に挑む!


 ストライダムで年をこすことになりそうだ。
 予想外にもほどがある。
 来週発売される特別編と合わせて軍人祭ですね。
 勇次郎に勝てるワケないんだけど、どこまで健闘するのか楽しみだ。
 ハッキリいって現在の刃牙が勇次郎と戦うよりも楽しみかもしれない。

 ストライダムは軍人格闘技のエキスパートだったことも判明した。
 ベッドの中にもナイフを仕込ませるなど、常に戦いを忘れない男だ。(G刃牙15巻 132話)
 勇次郎を接待しつつも、戦うことを忘れていなかったのだろう。

 ストライダムは単に戦って強いわけじゃない。
 戦術が優れている。
 稽古をつけるときも、まずムエタイで試し割りをして強さをアピールした。

 刃牙世界のムエタイは強いけど勝てない競技である。
 カワラよりも試し割りに最適であると事情通も語っているだろう。
 ムエタイを倒したことで、料理の前に イイ素材を集めたというVTRを流すようなものだ。
 これでお客さんの心を八割方もっていく。

 次に柔道家と戦う。
 反則をすると見せつけられた直後だから、警戒して動きも固くなろう。
 でも、柔道は組みつく格闘技だ。いずれ近づく。
 さらに組みついている間は腕でガードできない。
 目が無防備になった瞬間を狙われたのだろう。

 3人目はボクシングだ。
 ボクサーは実際に殴りあう経験がある。
 狙うのが急所だろうと打撃は打撃だ。ディフェンスしてみせる。
 そう思っていたところ、つかまれて投げられたのだろう。
 急所攻撃と思い込んでいたことが反応をニブらせた。

 レスリングはストライダムの行動が読めずに混乱していたのだろう。
 だから真っ直ぐな打撃に反応できなかった。
 奇襲ばかりやって相手が極度に警戒しちゃうと、正攻法が奇襲に見えるようになるの法則だ。

 で、オチ担当が古流武術ですよ。
 武術は戦争の道具っスからと丹波文七なみに意気ごんでいたのだろう。
 そしたら、道着かぶせられて縛られる
 恩返しを期待して鶴を助けたつもりが鷺(さぎ)だったようなものだ。
 タカハシさん、縛られて泣いてますよ、きっと。

 で、ネタが尽きたところでお開きにしちゃう。
 勝ち逃げのセンスも素晴らしい。
 兵士たちのプロフィールを見て、事前にどう料理するのか考えていたんだろうな。
 なにごとも準備しておくと良い結果が出るのだ。
 まあ、ワカっちゃいるけど できないのが人間ですけど。
 明日からガンバる。

 ストライダムの厳しい指導は兵士たちの身を守ることになるだろう。
 パットン曰く「半リットルの汗は、5リットルの血を節約する」だ。(名将たちの戦争学
 ストライダムも同じように鍛えられたのかもしれない。
 いや、ストライダムは全身傷だらけだ。
 なまけて死にかけ反省した結果が、現在のストライダムなのか?
 血を流すより、汗を流そう。

 ストライダムが勇次郎に付きあえるのは、強さの裏づけがあったから。
 ピクルの前で全裸になれたのも、強さへの自信があるからだろう。(ピクル 最終回
 解説が本職だった本部だって、武器をもったら強かった。
 ならば接待が職業であるストライダムだって武器をもてば強くなるかもしれない。
 2009年の最後に、奇跡は起きるのか!?

 次回はくしくもクリスマス・イヴ!
 奇跡が起きるにはもってこいだ。
 せめてクルシマズに!

追記 (09/12/16)
 17日はチャンピオンが休みで、かわりに『増刊バキ総集編 戦場の詩』が出ます。
 軍人つながりなのかストライダムが活躍しそうな状態だ。
 まあ、相手が勇次郎だから活躍できるワケないんだろうけど。

 これでストライダムが勝っちゃったら、どーすんだろ。
 刃牙は親のカタキとしてストライダムに勝負をいどむのか?
「この一撃は親父の分だ!」
「これはオフクロの分ッ!」
「これは夜叉猿のッ!」
「これは独歩さんのッ!」
「これは再起不能のされた花山さんのッ!(あとで治ったけど)」
「本部さんの分は、べつにいいッッッ!」

(ほとんど勇次郎への恨みじゃないか!?)

 と、ストライダムもやられるしかあるまい。
 ストライダムの身を案じるなら負けたほうがいいんだろうな。
 最近の刃牙は相手の精神を徹底的に破壊する傾向がある。
 勇次郎と力比べをしていたときのオリバは、すでに廃人同然だったのだろうと脳内補完だ。

追記 (09/12/23)
 キャプテンストライダムが出陣する!
 範馬勇次郎に対する究極の接待なのだろうか!?
 究極の愛は心中と、昔チャンピオンで連載していた『サンガース』で言っていました。(作中では片思いの男相手に無理心中を迫るモノだったが)
 ならばストライダムの自己犠牲も、また愛だ!(そうか?)

 しかし、本来ならストライダムが戦うというだけでギャグですよ。
 ドラゴンボールでいえばサイヤ人が出るようになってからウーロンが戦うようなもの。
 ギャルのパンティーでどこまで戦えるのかやってみるようなものだ。
 ストライダムは、どんなギャグで読者と勇次郎を楽しませてくれるのだろう。

 今までのバキ三倍祭の傾向だと、1話目は基本的に前フリするだけで終わる。
 となると、次回の最初はストライダムが回想空間に逃げこんで、なんで戦うのかを説明して終わりそう。
 そして、実戦では勇次郎のワンパンチで決着だ。
 いくらストライダムががんばったって、勇次郎にはかなわない。
 猿が大学受験をするようなモノで無駄に終わる。そもそも猿には願書だせないよ。

 ストライダムの戦闘能力にはまったく期待していない。
 だが、接待能力はかなり気になる。
 「満足したぞ、ストライダム!」「なんてイイ接待なんだ!」
 勇次郎にそう言わせたらストライダムの勝ちだ。


2009年12月17日
バキ総集編 戦場の詩

 チャンピオンが休みなので、かわりに増刊号が出ていました。
 ……出ているハズだよね?
 この日、チャンピオン増刊号をもとめて近所の本屋をハシゴする私の姿があった。
 はじめからイチバン大きい本屋に行けばよかった。
 最初に発見した雑誌が最後の一冊でしたよ。
 近所のバキ増刊はオレが買い占めた。一冊だけだけど。

 のっている漫画は全部既出のものだ。
 まあ、板垣先生の自衛隊実録マンガは古いうえに単行本未収録だったりする。
 知らない人ならお買い得の一品と言えよう。
 ――――売ってたらな。

 実録自衛隊マンガ「200000歩2夜3日」と「340メートル60秒」は1998年ごろにヤングチャンピオンに掲載された作品だ。
 手元にある「340メートル60秒」は1999年01号(1998年12月8日発売)のヤングチャンピオンに掲載されている。
 「200000歩2夜3日」は再録された増刊号(2000年11月7日発売)を持っているので、正確な初出がワカらない。
 まあ、どちらにしても10年以上前の作品ですね。

 どちらの作品も板垣先生の実体験にもとづく第一空挺団の話だ。
 リアリズムにあふれる訓練のようすを淡々としつつアツく語っている。
 陸上自衛隊の最強部隊だけに訓練の過酷さも最強だ。


 他に収録されているのは以下のとおり。
・外伝ガイアが二本。(感想
・「ガイア VS シコルスキー」(バキ149話〜151話154話あたり)
・「勇次郎米軍基地侵入編」(範馬刃牙82話
・「シークレットウォー・イン・ベトナム」(グラップラー刃牙347話〜355話)
・「刃牙 VS 自衛隊5人衆」(グラップラー刃牙132話〜141話)
 そして、板垣先生のインタビューものっている。

 板垣先生のインタビューは第1空挺団の思い出だ。
 これがメチャメチャ面白い。
 第1空挺団は陸上自衛隊の最強部隊といわれている。
 そこにいる人たちだから、やっぱり最強クラスの人間がそろっているそうだ。

『風貌、服装、節度、どれをとっても他部隊とは違う。なんかもうオーラが違うっていうのはビンビン感じたね』

 『ナンバ走り』では高校バスケにナンバ走りの動きを取りいれる話があります。
 優れた生徒ってのは、きちんとした格好をしている傾向があるそうだ。
 服装や節度が違うというのは、同じような傾向なのかもしれない。
 デキる人の机は整理されている説と同じような感じか?

 戦場では個人の勝手な行動が部隊全体の危機につながることも多い。
 鉄の規律こそが部隊の強さを支えるのだろう。
 規律で押さえつけられてなお浮かび上がるモノが、真の個性ってヤツなんだろうな。

 空挺団にも運動会があるらしい。
 もちろん、スゴい人ばかりの運動会だから、やっぱりスゴいそうだ。
 特に『棒倒し』が盛りあがる。

『始める前に教官が「顔面を拳で殴ってはいけません」って言うんだよ。』
『正直ちょっとヌルいなって思ったんだよね。』
『でも、その教官が続けて「え〜、人間は顔面を殴られたぐらいでは動きが止まりません! 確実に制圧するには首を狙ってください。以上…」』

 いや、制圧ってッッッ!?
 さすが日本最強の部隊はいうコトがちがう。
 運動会ですら実戦の延長なのだろうか?

 こんな感じで面白い話は まだまだイッパイあるそうだ。
 なので「我が青春の習志野第一空挺団シリーズ」の新作をそのうち描くらしい。
 これは実に楽しみだ。
 それだけではなく、板垣先生の画業20周年を記念してイロイロと企画もあるらしい。
 来年も刃牙周辺はアツそうだッ!


2009年12月24日(4+5号)
第3部 第188話 友情の証 (844回)

 ストライダムが範馬勇次郎に挑む!
 実に無謀だ。
 シグルイで言えば徳川忠長のところへ就職しに行くようなもの。
 運がよければ楽に死ぬ。運が悪けりゃ苦しんで死ぬ。

 クリスマスイヴの決戦、ストライダムに奇跡が起きるのか!
 まあ、勇次郎と勝負する時点で奇跡なんで、もう奇跡も打ち止めなんでしょうけど。
 自分の血で真っ赤に染まって、サンタのコスプレに成功するというオチにちがいない。

『ストライダムよ………………
 俺との関係を維持したくば――――――』
『年に一度――――――――――
 俺を狙え』


 ストライダムの挑戦は、範馬勇次郎からのリクエストだったッ!
 なんと! このバトルも接待ッ!
 どこまで行っても接待だ。
 まるで金太郎飴のように無限につづく接待地獄である。
 金銭の要求でなく勝負を挑ませるのが勇次郎らしい。

 しかし、勇次郎の要求って なんか愛人契約みたいな響きがあるな。
 かつての明沢江珠にも同じこと言ってそうだ。
 まあ、江珠の場合は勇次郎を満足させるため刃牙を強く育てるコトが条件だったけど。

 私はストライダムのことを過小評価していた。
 彼はプロの接待屋だったのだッ!
 妥協なき接待。献身的な接待。捨て身の接待。
 蒼天航路風に言えば、捨身飼虎の接待だ。
 ストライダムがこれほどの決意で接待していたとは……。
 これは国防的な接待だ。子供に誇れる接待ですよ。たぶん国家機密だから話せないだろうけど。

 範馬勇次郎はあらゆる手段をもちいて襲えという。
 刃物、銃器、爆薬、核、なんでも来い。ドンと来い。
 そんなワケでストライダムは爆薬で武装している。

 ちなみに「爆薬可(よし)」のシーンで、ストライダムのファウルカップが写っている。
 股間を守るファウルカップに爆薬を仕込んでいるという伏線なのだろうか?
 ストライダムの股間はすでにブレストファイヤーと化している!
 まさに玉砕覚悟の必殺技だ。

『全身全霊を傾けよ 必ず仕留めると決意せよ』
『範馬勇次郎の』
『知己を名乗りたくば―――』
『オーガの側近と認められたくば――――』
『それが』
『唯一無二の方法だ』


 ストライダムって勇次郎の側近だったンか!?
 芸能人の面倒を見ている人を見て、付き人だと考えるのと同じように、ストライダムを接待係と認識していた。
 まあ、知己・側近という名の付き人・下僕って所でしょう。
 だって普通だと側近っていったら松尾象山における姫川勉のポジションですよ。
 ストライダムが全身に爆薬を装備したって姫川にはなれない。
 まあ、全身に爆薬つけたらどこ叩かれても一発で爆死しそうでダメなんですけど。

 ストライダムは在日米軍基地(横田基地?)の草むらでウォームアップしている。
 なんで、こんな所でやっているんだろ?
 と、いつの間にか背後に範馬勇次郎がいた。

 遮蔽物のない場所で接近に気がつかなかっただとッ!
 勇次郎は天から降ってきたのか、地からわいたのか!?
 登場するだけで、すでに人知を超えている。
 まさにオーガッ! 出るも入るも自由自在化かよ。
 そりゃ息子の部屋に忍びこんでセックスを未遂に終わらせちゃううよ。

 すでに勇次郎の間合いだッ!
 用を足すためズボンとパンツ下ろして座り込んでいるとき、虎に襲われたような危険度です。
 ストライダムはどう逃げるか。生きのびることができるのか!?

 ここで軍人ストライダムとしての真価が発揮される。
 すばやく転がって緊急回避だ。
 回転逃避殺法(ローリングエスケープ)ッ!
 ハンドポケットの相手に大げさすぎる回避だが、本人は命がけで真剣だ。
 転がるときに火薬を誤爆させないで良かったね。

 この美技とストライダムの発したセリフ「今回は――」で、範馬勇次郎は大爆笑した。
 なんと涙まで流している。
 鬼の目にも涙……

「今回はなんだと!!?」
「いいッ」
「言わんでいいッ」
「去年は100年に一度の――――――」
「2年前は類稀にみる――――――」
「その前は空前絶後の――――――」
「まるでボジョレ・ヌーボのキャッチフレーズだぜ」


 そういえばボジョレ・ヌーボは毎年スゴい当たり年らしいですね。
 ストライダムも今年は超スゴい、で毎年乗りきっているようだ。
 おもわず勇次郎もツッコンでしまう、魔性の芸人空間を発生させるほどの当たり年ッ!
 ちなみにボジョレ・ヌーボの当たりを探してみたら、こんな感じだった。
2009年:ボージョレ・ヌーボーが成田到着、過去50年でも素晴らしい出来?
2008年:今年のは昨年よりも 素晴らしい品質のヌーヴォーが見込めそうです
2007年:ここ数年のトップ5に入る素晴らしいもの
2006年:この2006年の作柄は、なんとあの数百年に一度の2003年に並ぶ【非常に良い】との評価が今や巷を駆け巡り、さらには、その複雑味は2003年をも凌ぐ!!、とも言われる素晴らしいヌーヴォーと出会える可能性が大
2005年:ここ100年間でも屈指の出来
2004年:2004年のボジョレー・ヌーボーは大当たりの年でした。ただし、フランスでの収穫量は、平年の半分ほどだったようです。2003年ほどではありませんでしたが、2004年も大当たりの年でした
2003年:ここ100年間でも屈指の出来
 ストライダムは勇次郎を呼び出したのだろうか?
 遅い時間の呼び出しってさ、ちょっとドキドキするね。
 イヤ、そうでなく、呼んだにしてはストライダムがドキドキしすぎだろ。
 対勇次郎戦の最終調整をしていたら、不意打ち喰らったのかもしれない。

 いくら武装したって、勇次郎には攻撃が当たらないだろう。
 となれば不意打ちしかあるまい。
 だが、不意打ち計画は勇次郎の逆不意打ちで砕かれてしまった。
 そして、正面に立って泣くほど笑っていた勇次郎が、瞬時で至近距離にッ!
 垂直に蹴り上げる。ストライダムの頭部を守っている面が飛んだ。

 真正面にいた勇次郎の動きにまるで反応できなかった。
 勇次郎の移動速度がジャブより速いッ!
 こりゃドーピングしたチーターよりも速いぞ。
 まるで完成された居合いのようだ。
 銃を持っていても、早撃ちするまえに蹴られるだろう。

「約束を違えたな」
「勝てるハズがないと捨ててかかってるッ」


 勇次郎が怒ったッ!
 接待の質に問題があったらしい。
 望むものは本気でかかってくる覚悟だ。
 ヤケクソや義務感での攻撃など、味のにごった養殖モノにすぎぬのだろう。
 と、範馬勇次郎氏がムチャ申しております。

 自他共に認める地上最強に勝つ覚悟って、どんな能天気だよ。
 核爆発をウチワであおいでハネ返すみたいなモンです。
 つまり、致命的なまでの楽観主義者、地獄のポジティブ思考、バカで陽気な人間にしかできない。
 それがキャプテン・ストライダムだったのだ。
 なるほど、緻密にして無計画という逸材だからできる接待だったのか。

 そして、ストライダムはあきらめていなかった。
 爆撃パンチ&キックをかます機会を狙っている。
 さすが大胆にして的外れ、底抜け天井知らずのストライダムだ。
 実にアメリカ的な前向きの姿勢ですね。

 しかし、ここでストライダムの防具に異変がおきる。
 胴が切り裂け、ファウルカップも真っ二つだ。
 股間の守りがとけたとき、ストライダムは勝ち目の捨てたらしい。
 まあ、いちおう本気だったということで勇次郎も満足したようだ。

「Aッchiiッ」

 敗北を悟ったストライダムは、両拳をぶつけ自爆する。
 最後はリアクション芸人として、華々しく散った。
 これが米国最強の接待軍人ゲリー・ストライダムである。
 範馬勇次郎も認める芸人根性の持ち主だ。
 次回登場するときは爆発の後遺症でアフロかな。
 予想されるセリフは「ストライダムさんがデカいッッ! 前に会ったときよりもッッッ」

 来年は、これ以上の芸――……じゃなくて戦いをしなきゃならない。
 ストライダムはボジョレ・ヌーボ以上に大変だな。
 範馬勇次郎の側近・懐刀といわれるために必要な努力なのだろうけど。
 ちなみに懐刀は花山が稲城文之信にやったように、相手に折らせて力量を試すためにある。
 キャプテン・ストライダム、接待役にして試し切られ役だ。


2009年12月24日(4+5号)
第3部 第189話 恋に殉ずる (845回)

 刃牙三倍祭の第二弾ッ!
 タイトルの『恋に殉ずる』を見ただけで、不吉な影が脳内をよぎった。
 Kozue…… ハハッ、まさかね。
 回転逃避殺法(ローリングエスケープ)で逃げたい。

 さいわい例のカノジョは出てこなかった。
 クリスマスイヴだし、自粛してくれたのだろうか?
 意外と気が利く。
 いっぽう刃牙は二人の不良に絡まれていた。

 なぜか不良に絡まれることが多い範馬刃牙である。
 根本的に態度が不遜なんだろうか?
 中学生のころは近所の不良に恐れられていたし、高校でも最強と言われている。(1巻 2話
 強いことで有名なんだから不良に絡まれないと思うのだが……
 ワザと不良にぶつかったりしているのか?

 愚地克巳にちょっと似ているクレちゃんが刃物を出した瞬間、刃牙はヤる気をだす。
 黄河は水溜りを叱らないというが、刃牙は全力で叱る! というか手をだす気だ。
 烈海王以上にオトナ気ない!
 だが、惨事は起きなかった。
 栗谷川さんが仲裁したのだ。

 幼年時の刃牙を見守っていたお目付け役が栗谷川さんだ。
 見た目サエない おっさんだが周囲の物を武器に変える武術的センスに優れた戦士である。
 試合ではなく喧嘩に強いタイプだ。

 その栗谷川さんの見立てだと、声をかけるのが1秒おくれていたら不良たちは顔面骨折・脳挫傷・内臓破裂・歯冠破折・失明などになっていたらしい。
 陰茎断裂や睾丸破裂はないのか?
 あ、「睾丸とは内臓なのですッッ」だった。(21巻 174話
 じゃあ、金的攻撃は内臓破裂にふくまれるな。

 刃牙に睨まれただけで、ナイフがまるで頼りなくなったように感じた不良たちは、栗谷川さんの言葉で逃げだす。
 二人っきりになった刃牙と栗谷川さんは再会を祝うのだった。
 栗谷川さんは刃牙が母・江珠の仇を討てると信じているらしい。
 過剰な思いいれは判断を狂わす。
 5年前も勇次郎と戦おうとする刃牙を止められなかった。
 また悲劇が繰りかえされるのだろうか。

 だが、刃牙は今ごろになって5年前の悲劇をうたがう。
 自分は勇次郎を憎んでいるのだろうか?
 勇次郎は母・江珠の仇なんだろうか?


 アニメ感想の時に書いたが、死ぬときの江珠は幸せだったようにも見える。
 この描写の解釈は十数年のあいだ読者にとって議論となっていた。
 刃牙は自分の解釈を栗谷川さんに語る。

 
朱沢江珠は「恋に殉じた女性です」
「女性としてのお袋の悲願はあの瞬間 成就したんだ」

 十数年目の真実ッ! 衝撃の伏線回収ッ!

 ストライダム接待自爆の直後に新たな爆発だ。
 次回、さらに詳しく刃牙がかたってくれるらしい。
 ついに風呂敷がたたまれる時がきたッ!

 ……って、あまりに ながく広げたままだったから、ソレが風呂敷であることを忘れていたよ。

追記 (10/1/6)
 『sabra (サブラ) 2010年 02月号』に板垣先生と石井慧選手の対談がのっている。
 内容はとうぜん2009年大晦日のダイナマイトを迎えるに当たってのものだ。
 そちらの内容は簡単に感想を書きました。

 だが、石井選手は生粋のバキファンである。
 対談の最後で刃牙vsピクルについて質問しちゃうのだった。
 雑誌の性質をまったく無視。空気よまねえなぁ。大物になるよ!

 非常に深い内容の問答だったのだが、さすがに全文引用ははばかれる。
 なので簡単に要約してみる。

・ 刃牙が倒れているピクルを見下ろす画は描きたくなかった。
・ 現時点で刃牙は勇次郎の対戦相手として釣り合いが取れていない。
・ ピクル戦の結果をどう考えるかは読者にゆだねた。

 板垣先生にとって、やっぱりピクルは強者だったようだ。
 主人公とはいえ刃牙が簡単に倒していい雄(おとこ)ではない。
 ただ、刃牙が急に強くなっていたから、最後のほうは話の流れが変な感じになっている気もするけど。

 そして、それでも刃牙は勇次郎に勝てないらしい。
 しばらく刃牙の修行編があるのだろうか?
 でも、もう刃牙と勇次郎の間にいる人なんていないだろ。
 アレか? ストライダムに歩けなくなるほどニトログリセリンを装備させて突撃させればいいのか?
 やっぱり『範馬刃牙』は、まだまだつづきそうだ。
 範馬刃牙よ、どこへゆく。

 最近のシグルイもそうだけど、読者にゆだねる描写ってのは難解だね。
 読者を信頼しているからできる展開なんだろうけど。
 というわけで、読者ひとりひとりの感想が、それぞれ正解らしい。
 なんかピクルが生殺しにされてみたいでカワイソウだ。(これもまた ひとつの正解)

 sabra (サブラ) 2010年 02月号 [雑誌]


2010年1月7日(6号)
第3部 第190話 あの言葉があったから… (846回)

 新年一発目の範馬刃牙は闘わないッ! 今後を暗示するような初弾であった。
 つーわけで、今回の刃牙はひたすら栗谷川さんとダベる。
 解説も驚愕(リアクション)も闘いだッ!
 今回は解説でも驚愕でもないけど。

 刃牙が強く育ち、朱沢江珠は女として報われた。
 勇次郎も強い血に満足する。
 だが、刃牙自身はそれでいいのだろうか?

「大切なのは御自身の人生です」
「刃牙さん御本人の人生のハズです」


 栗谷川さんが刃牙に問いかける。
 範馬勇次郎=最強と闘うことを宿命として生まれ、育った。
 だが、刃牙本人はどう生きたいのだろうか?
 いまごろ正論というか重要な問いかけが出てきてしまった。

 なんか『ナンバデッドエンド』みたいな展開だな。
 ある意味、刃牙も二重生活をやっているのだけど。
 急に絵が描きたいと言い出したら、やっかいだ。

 周囲の期待にはこたえているが、本人の自由意志が感じられない。
 いっそうのこと梢江ちゃんとセックス三昧のリアルが充実した性生活を送ってみたらどうか?
 もちろん冗談ですが。
 まあ、無理に勇次郎と闘うことはないと思う。運悪ければ死ぬし。

 栗谷川さんは誰かが言わなきゃいけないコトを、あえて今言ったのだろうか。
 無責任にけしかけるだけじゃなくて、冷静な助言を与えるのも大人の役割だ。
 刃牙が「やっぱ親父と戦いたくないっス。こわいっス」と言ったら、就職先を紹介してくれそう。
 就職難の世の中だが、栗谷川さんならなんとかしてくれる!
 でも、栗谷川自身が職についているのかどうか不明だけどな。

 刃牙は栗谷川さんの問いに答えない。
 かわりに昔話をする。
 幼年編で勇次郎と闘ったときのことだ。
 勇次郎に殴られ死を目前としたとき、母・江珠が刃牙をたすけるために割って入った。

「おわかりでしょう」
「範馬勇次郎に闘いを宣言する その意味」
「我が身と引き替えに――― 俺を救おうとした」
「俺はもう十分です」
「あの一言だけで十分です」
「あの言葉と残りの人生―――――」
「引き替えにしたっていい」


 刃牙は自分の人生を他人にささげているように見える。
 だが、その刃牙の人生は江珠から ささげられたものだった。
 刃牙のくせに感動的なことを言いやがる。
 年とると不幸も多く経験するから、涙腺を刺激するツボが増えるんだってば。

 自分の存在や価値を認められる。
 この世にたった一つしかない自己の命を犠牲にできるほど、認めてくれた。
 母であることより女であることを選んだはずの江珠が、勇次郎ではなく刃牙を選んだのだ。

 刃牙の強さをささえるものは、江珠の愛だった。
 母の優しさにこたえるため、刃牙は勇次郎と闘う。

『仇討ちではない…………………』

 憎しみを超え、愛で闘う。
 SAGAった後とは一味ちがう覚醒だ。
 強者として生まれ育った範馬勇次郎には無い力かもしれない。
 新生刃牙は新たな決意で勇次郎戦に向けて進みだす。


 そんなワケで10年以上前の伏線が回収された。
 というより、刃牙が過去の事件をやっと冷静にふりかえることができたと言う感じだろうか。
 勇次郎のことが好きだということを認め、復讐ではない闘いだと位置づける。
 やっと刃牙は勇次郎と闘う意味を見つけたのかもしれない。

 かつて板垣先生が『sabra(サブラ)2002年 14号』で井上雄彦先生と対談したことがある。
 『バキ』『バガボンド』のテーマは愛じゃないかとふられて『僕は引き継がれていくものだと思います。誰でもというわけじゃなくて、運良く渡されたもの。』と答えた。
 江珠の愛は刃牙に引き継がれているようだ。

 今回はいい話でしたが、新年早々しめっぽいな。
 2010年は感動を全面に出して攻めてくるつもりなんだろうか?
 花山薫のちょっとイイ話とかして「花山さんが笑ったッ!」みたいなノリだ。
 まあ、実際に花山の笑顔はちょっと見てみたい気はしますが。

 暴力ではなく、愛で戦う。
 ならば範馬勇次郎もサプライズ誕生パーティーひらいて大歓迎だ。
 ストライダムは全身に毒をぬって決死の接待をするぞ!
 範馬勇次郎を感涙で溺死させるのですッ!

 ここで思い出すのは、びっくり祭にはかかせない人材と判明したキャプテン・ストライダムだ。
 江珠が命をかけて勇次郎の前に立ったように、ストライダムも命がけだったよな。
 シークレット・ウォー・イン・ベトナムでは勇次郎にふれて死にそうになっていた。(G刃牙40巻 351話)
 博物館をまわっても自ら死亡フラグを立てていた。(10巻 79話
 そして、毎年開催される接待ファイトだ!(188話

 刃牙はもうちょっとストライダムを評価してあげてもイイと思う。
 ストライダムは死んでないせいもあるが、毎回勇次郎の前に立ちつづけているんだぞ。

 刃牙が感動したのは「我が身と引き替えに――― 俺を救おうとした」という自己犠牲の精神だった。
 ならば、前号の『みつどもえ』で刃牙は感動したんだろうな。
 杉崎が我が身と引き替えに――― みつばを救おうとした!(カンちがい だったけど)
 まさに愛だ。愛だよ。おまえら、さっさと相思相愛だってことに気づいて結婚しちゃえよ。
 ストライダムも勇次郎の嫁になればいいのに。

 刃牙はこのあと、人情物になるんだろうか?
 ゲバルをたずねて海賊を手伝い、素手で豪華客船を試し割りするとか。
 これじゃ人情じゃないな。
 刃牙が深い愛に目覚めた今が、本来ならオリバと闘う時期だったのかもしれない。

 ルーツ探しということで勇次郎の母をたずねるのもアリかも。
 出家したと伝えられる刃牙の祖母だ。(2巻収録 範馬勇次郎誕生
 そこで勇次郎の父・範馬シンタロウについての情報が……
 ……いや、無いか。
 とりあえず、刃牙が「鬼父(パパ)大好き!」と言って抱きつけば、勇次郎ですらキモくてヒクとおもう。

追記 (10/1/13)
 190話は刃牙の感動的な話だった。
 ただ、当サイトとしては刃牙をいじってネタにしているので、感動的な話をされると書くことがなくなる。
 そりゃ刃牙が鼻から大量に液体を流しているところにツッコンでもいいんだけど、場の空気がそれを許さない。

 次回は反動でギャグ話になるかも。
 運動テストのときみたいに、スゴいやつが欲しい。
 刃牙はイイ人になりすぎている感があるので、この編でダメっぷりを見せてバランスを取らねばなるまい。
 バランスのいい山本選手が怒りだすよ。

 しかし、いまごろ伏線を回収するとは思わなかった。
 ならば次はジャック母・ジェーンの伏線回収だろうか?
 『グラップラー刃牙』最終回に登場して『バキ』まるまる一本分放置されている。
 これも早目の回収がまたれるネタだ。

 実は生んだのが双子で、弱いほうに日本語で弱の意味をもつ『ジャック』と名づけ、強いほうには『ユーザブロー』と名づけたのかもしれない。
 で、ユーザブローが出てくるときに『あいもかわらずヒョロ長い男よ』と言って、ジャックをジャガる。
 今度こそ最大範馬トーナメントの開催だ。

 他にのこされた伏線ってあっただろうか?
 最凶死刑囚たちの、その後ぐらいかな。
 まあ、正直いってアイツら戦士としてジャック以上に終わっているから出てこないだろうけど。

 あとは最大トーナメントで夜叉猿に襲われたあと錯乱して逃げだした栗木くんの行方も気になる。
 乗り物に乗る知性はなさそうなので、日本から出て行くことはないだろうけど……
 いまだに走っていて日本一周ランニングを達成しているかもしれない。


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