今週の範馬刃牙 SON OF OGRE 131話〜140話

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2008年10月2日(44号)
第3部 第131話 感謝 (787回)

 克巳の骨がムキ出しだッ!
 肉が完全に飛び散ってしまった。
 最新最後の必殺技はマッハ・メガンテ突きだ。

 範馬一族やピクルは圧倒的な防御力をもっている。
 それこそ、重装甲騎兵や鉄甲艦や(序盤の)ガンダムのように。
 普通の攻撃では、出血させることもできない。
 できればビーム兵器が欲しいところだ。

 ビームはムリなので、克巳は超音速が生みだす衝撃波を武器にする。
 地上専用の攻撃だから、使用コストも低そうで安心だ。。
 超兵器なのはよかったが、肉体がついていけなかった。
 美少女格闘漫画だったら、愚地克美ちゃんの服が破れて全裸になるぐらいですんだのに。
 肌を見せるどころか、肉を通りこして骨チラ。否ッ、骨モロですよ。
 TVの放送時だと湯気や光が入って見えなくなる状態だ。

「骨が鞭なわきゃねぇ…」
「魔法が解けた……」


 自分の骨を直接見て、克巳は現実(リアル)を知る。
 現実をつきつけられたから、もう多関節イメージはできないのか? 現実には勝てない!
 「やればできる」幻想は、実際にやった瞬間 消えさってしまうものなのか。
 つうか、多関節イメージは魔法レベルの荒業だったのかよ。
 ところで、刃牙は妄想力で飛んでいた。(2巻 14話
 刃牙の魔法はいつ解けるんだろうか。
 今も脳内で飛びつづけていそうだ。脳内麻薬的な意味で。

 克巳は帯で右腕をしばって止血する。
 腕を折られた鎬高昇や、握撃を喰らった昔の克巳も傷口を帯でしばった。(G刃牙3巻 26話、同28巻 242話)
 帯は、空手家にとってゴムチューブなみに頼りになる回復アイテムだ。
 だが、無くなった肉が帰ってくることもなく……

 克巳は大の字になって倒れるピクルに近づいていく。
 トドメを刺す気だろうか?
 過去、夜叉猿におなじくトドメを刺そうとして、刃牙に介入された経験のある克巳だ。(G刃牙23巻 197話)
 背後にも気をつけたほうがいい。

 むしろ、出血もしないで倒れているピクルが怖い。
 コイツはきっと元気イッパイだぜ。
 いかにもガバァっと起き上がって反撃しそうだ。
 ホラー映画の主人公が暗くて危険そうなところに行かずにいられないように、克巳も危険地帯に近づきたいのか?

 ピクルは起きなかった。寝たままだ。
 克巳は空手家として再起不能に近いダメージを受けたかもしれない。だが、立っている。
 ピクルは出血していない。だが、倒れたままだ。
 ならば、克巳の勝ち!

 ほとんど骨だけとなった右手を突き上げる。
 今まで生きてきた21年と、これから生きるであろう五十数年をささげた勝利だ。
 5万5千人が克巳の勝利に沸きあがった。

(みんながくれた勝利だ…………)

(頭を下げずにいられない)
(こんな俺にアリガトウ)
(こんな俺なのにアリガトウ)
謝りたいと感じてる…………)
(だから感謝というのだろう
 これを感謝というのだろう)


 愚地克巳が応援してくれた5万5千人の神心会門下生たちに頭をさげる。
 幼いころから克巳は天才だった。
 だから、人を見下すことになれて、傲慢な性格になったのだろう。
 最近は自分よりずっと上の怪物に出会って挫折を知ったが、なかなか性格が変わるもんじゃない。

 でも、いまの克巳は素直に頭を下げている。
 烈海王や郭海皇から教えてもらったとはいえ、マッハを最終進化させたのは克巳だ。
 自分が単独で成し遂げたと誇ってもよかろう。
 しかし、克巳はみんなに感謝する。
 技だけではなく、心も大きく成長したらしい。

 みんなの応援があったから力を出せた。
 みんなの期待があったから力を出せた。
 勝利して おごらず、手柄を独りじめにしない。
 愚地克巳は、今やっと神心会の館長にふさわしい人間へ成長したのだろう。

「あの小僧ものの数日間で―――――」
「武を50年は進歩させおったわ」


 郭海皇も克巳の成果を認めた。
 4001年目どころか、4050年目に達したらしい。
 あまりのマッハに、時代がついて行けなくなったぞ。

 たしかに、急激な進歩をした技に肉体がついていけていない。
 こんな自爆技だと使いどころが難しいだろう。
 今後の課題は、50年分の空白を埋めて安全にマッハ突きをすることだろうか。
 ゴールがわかっているので、たどり着くのはかなり早くなるハズだ。
 危険を恐れず進む偉大なる武の開拓者。それが愚地克巳である。

「あり余る才能に……」
「愚地克巳が追いついたのォォ……ッッ」


 徳川さんも大感激している。
 今までの克巳は、才能はあるけど活かせていなかった。それが徳川さんの見解らしい。
 技はスゴいんだけど、戦いで勝てないタイプなのだろうか?
 たしかに、強敵と戦うときは油断して苦戦する印象がある。
 才能をムダ使いしていたのかもしれない。

 だが、いまの克巳は才能にふさわしい活躍をした。
 むしろ才能を超えた力をだしたんじゃなかろうか。
 超えちゃいけない限界を超えたから、体を壊すことになったのだ。

 でも、克巳は後悔していないだろう。
 灼熱の時間を生きたことに、感謝しているようだ。
 独歩はまったく姿を見せない。
 現在見せている息子の輝きと、これから待ち受ける暗き道のりに、喜びと悲しみを味わい涙しているのだろうか?


 みなに感謝の礼をつづける克巳は異音を聞きとる。
 発生源はピクルだ。
 動いている。まさか反撃か!?
 いや、寝返りをうっただけだった。
 寝返り!?

(倒されているのではないッッ)
(ただ………………
 眠っているだけ………………!!?)


 克巳が才能と肉体のすべてを出し切ったのにもかかわらず、効いていない。倒せていない。
 これが超時空原人ピクルなのかッ!?
 4050年すら通用しない。
 もう、素手の人類は、コイツを倒せないのか?
 次回へつづく。


 さすがに眠っている、は無いだろ。
 気絶から寝るのコンボに入ったんじゃなかろうか。
 刃牙も得意とするコンボだから、頑強な肉体にありがちな現象なのだろう。

 衝撃波を出したときに、気圧が下がって酸欠になったというコトも考えられる。
 刃牙も柳の攻撃で、あっさり気絶したぐらいだし。
 常人なら立ち上がれないダメージのハズなんだけど、刃牙はすぐに目を覚ました。
 ピクルもちょっとした刺激で目を覚ましそうだ。

 克巳は良くやった。
 さっさと帰って腕の治療をしろと言いたい。
 だが、相手を倒しきれていないと知ったら、克巳はまだ戦うつもりだろう。
 多関節の魔法はとけてしまった。
 もう、真マッハすら出せないかも。
 それでも、克巳は前を向いて戦うことを選ぶのだろうか?

 こうなったら、ピクルにマッハ突きをマネさせて自爆を狙うしかなさそうだ。
 でも、原人に「イメージの力で多関節」なんて説明できないよ。
 この作戦はダメダメだ。

 もう、打撃でピクルを倒すことは不可能にちかいとワカった。
 範馬勇次郎の本気ぐらいをぶつけないと、通用する気がしない。
 刃牙やジャックの打撃も通用しないと思う。
 でも、花山の拳なら別種の重みがあって通用しそうな気がするから不思議だ。
 そういえば、『疵面』は秋から連載再開なんだよな。
 もうすぐ、連載開始だろうか。

 花山も本気の拳をにぎると、強すぎる握力で拳が破壊されるらしい。(疵面1巻 1撃
 大きな力を得るためには、それなりの犠牲が必要なのだろうか。
 ……刃牙ってナニを捨てているんだろ?

 ――ッ
 ――――ッッ
 ――――――ッッッ
 出番かッ!? 出番なのかッッ!?
  すごく大切なモノだぞ、それ。
 ピクルを倒すため、限界を超えた攻撃をしたら50話分ぐらい出番が無くなるかも。

 前回も書いたが、ピクルを倒すのに有効な技は絞め技だと考えている。
 ただし、ピクルの牙とツメの対策をしておかないと、切り裂かれて血まみれになりますが。
 現在、片腕状態の克巳に絞め技はむずかしい。
 やはり、逃げだしてほしいところだが……

 でも、愚地克巳はヘビ属性だ。
 全身の骨を多関節イメージにして、マッハ真コブラツイストを極めればピクルにも勝てる!
 失った魔法をもう一度とりもどして、トライ・アンド・エラー。
 次回、魔法の空手家ビッグスネーク克巳 vs. 超時空原人ピクルF(ふんどし)の最終決戦だ。
 というか、このへんで克巳を助けるため独歩が乱入してきそうな予感がする。

追記 (08/10/8)
 日本人のノーベル賞受賞者が続出している。
 板垣先生のおかげですね。
 作中でペイン博士というノーベル賞戦士をDISったので、海外の候補者が不振だったのだろう。

 板垣恵介が作中でキャラをいじるとモデルの人間が不調になる伝説――――――
 餓狼伝と朝青龍の関係により、すでに証明されている。
 多数のノーベル賞受賞者が出たのは、ペイン博士がダメダメだからだ。

 次は、米国アカデミー受賞者を毒牙にかけてください。
 日本人が主演で賞を取る日も近いぞッ!
 …………ハイ。現実逃避でした。


 先週、ピクルを倒すには絞め技・関節技が有効ではないかという話をした。
 しかし克巳はすでに片腕だ。もうダメかもしれない。
 という話に関して、不破天斗さんからメールをいただきました。
いや、三角絞めならば、両足と片手が無事ならば可能ではないでしょうか?
それで勝てるかどうかは別として、まだ克巳に出来る技ではないでしょうか?

あと、寝てるなら・・・プライドをかなぐり捨てて、金的蹴りとか・・・

回りくどい闘り方だと、以前天内戦で独歩師匠がやっていた、顎外しとかカマせば・・・とりあえず噛まれなさそうだし・・

あと腰骨に鉄槌とか・・・
 確かにフィニッシュで三角絞めなら片手でもできますね。
 ブラジリアン柔術だと、手を使わず足だけで相手を絞めることができる選手もいるらしい。
 まだ、克巳にもチャンスがある。
 片腕で三角絞めに持っていくのはけっこうタイヘンかもしれませんけど。

 だが、問題もある。
 三角絞めの状態って、相手の口が太ももや股間に近い。(参考:Google イメージ検索
 上手く相手の腕を間にはさめばイイが、失敗したら食いちぎられるぞ。
 ほら、太ももには動脈が通っているし。
 もちろんナニもライオン級にデンジャラスなんですけど。

 まあ、刃牙世界では超一流になると金的での決着が無効になる。
 刃牙は蹴るほうでも有名だが、蹴られて砕かれないアンブレイカブル・ ボール ボーイでもある。
 一流は股間までもが一流なのだ。
 打たれてダウンしたサムワン海王はしょせん、そこまでの器だったか。
by とら


2008年10月9日(45号)
第3部 第132話 勝利の咆哮 (788回)

 ピクルはダウンしたのではない。寝ているだけだ。
 オマエは動物園のライオンか。
 恥ずかしい物語 舐め合っても ライオンは強い。
 でも、なんか野生度低いぞ。

 だが、哀しいことに神心会のみなさんはピクルがノーダメージであることを知らない。
 知らずにすごい盛り上がっている。
 またまた5万5千人で正拳突きやっているよ。
 嗚呼……、気まずい……

 ミエはって面接がうまくいって就職きまったといったら、親戚まで呼んで祝福されたような気分だ。
 朝定時に起きて、公園で弁当食う生活がはじまってしまう。
 この逆境を利用して、このまま みんなに胴上げしてもらって勝利を祝いつつ、病院に駆けこんだらどうか?

 ちなみに、刃牙も笑顔で克巳の勝利を祝っている、ようだ。
 祝福するときにかぎってニブイ。
 場の異変に一人気がつくのは主人公の特権と昔から決まっているのに……
 範馬の巨凶体質が、良い行いを許さないのだろうか。

 ノーベル賞戦士・ペイン博士だけがピクルの眠りを見破っていた。
 すごい眼力だ。なんでも鑑定団に出演できるよ。
 ピクルと心を通わすことはできなかったが、観察で勝った。
 格闘家たちは、克巳への思いいれが強すぎて冷静な判断ができなくなっているのかもしれない。

 てっきり、刃牙はクールというよりドライに観戦していると思っていた。
 まだ優しい心がのこっていたんですね。
 ならば克巳の敵討ちが期待できる。
 そして、克巳が喰われる前に救出してやってくれ、たのむッッッ!

 ペイン博士は冷徹な科学者の目で、現在の状況を把握していた。
 大自然で戦っていた場合、克巳のダメージは回復不能である。
 逃げたとしても、血の跡がのこるので追いかけるのは簡単だ。
 あとは克巳が弱るのを待つだけ。
 文字通り、果報は寝て待て状態だ。

 ピクルは無理をせずに獲物にトドメをさす機を狙っているらしい。
 『腹を食い破られ腸を引きずりながらなおも逃げようと走り続けるウシカモシカもいる』(最強格闘技の科学
 野生動物はタフだ。変につつくよりも、弱るのを待つのがピクル流なのだろうか。
 実際のところ、あまり遠くに逃がしちゃうと別の肉食獣に食われてしまう可能性もある。
 寝るのはどうなんだろ。

 もともとピクルは無防備に眠る雄だった。12巻 93話
 昼寝の最中、スーパーサウルス(体重40トン)にふまれても問題ない頑丈さを誇っているのだろう。
 もともと戦うのが目的だから、弱った相手への興味はうすれるハズ。
 合理的というより、気分的にのらないのだろう。


 そして、ピクルが泣いた。
 眠りながら涙する。
 これは喰う前兆だ。
 ヤバイ。本格的にヤバイ。
 早く逃げろッ!

(この惑星誕生以来 最強とまで言われる雄(おとこ)が………………)
(俺を強敵と認めてくれる)
(報われた………………)


 ダメージを与えることができないと悟った克巳は、すでに敗北を認めていた。
 ピクルに強者と認めてもらえたことに救いを見出している。
 克巳の心は完全に折れているのだろうか?
 精神的なダメージは運動能力を低下させる。(〈勝負脳〉の鍛え方
 マラソンで相手を抜くときは一気に抜く。抜き返された動揺してダメージが大きくなるのだ。

 克巳は今まで持ち上げに持ち上げられてきた。
 東京タワーぐらいの高さにまで上っている。
 ここから落とされるのだ。精神的ダメージは計り知れない。
 戦う意欲もわかないだろう。

『怖いというレベルでなく、自分の力では、どう立ち向かっていっても何もできないことは明白な、敗北感しか体内に残っていない。掛かっていく気さえ、起こらなかった。』格闘士烈伝
 たぶん、ボコボコにされた板垣先生のような心境だ。
 恐怖することもできない無力感。
 努力した過去や 痛みを感じる現在を否定され、未来など無い。

『エサとして見られる経験なんて生まれてこのかたなかったから、恐怖を通り越して逆に気持ちいいんだ。絶対的な強者に食われるという恍惚……』激闘達人烈伝
 サファリパークでライオンと向かい合ったとき、空手の達人・宇城先生の拳を受けるとき、板垣先生は食われる恍惚を感じたらしい。
 ピクルの圧倒的な力を前にして、克巳の生存本能すら屈してしまったのだろうか。

 勝利とは、相手に敗北を認めさせることだ。
 バキでいえば、最凶死刑囚たちは負けを認めず厄介なことになった。
 小説の餓狼伝でも、若き日の巽が負けを認めず食い下がって勝ったことがある。
 だが、克巳は敗北を受け入れてしまった。
 もう……勝負ありだ。

「館長……」
「逃げろ……」


 異変に気がつき、末堂が声を漏らす。
 そうだ逃げるんだ。
 武において、逃亡は許される。
「敗北(まけ)るくらいなら逃げる」は 克巳、お前が言ったことなんだぞ。(グラップラー刃牙28巻 240話)
 生きて再起をはかるんだ。

 だが、克巳はジタバタしない。
 すでに心はエサの心境なんだろうか。
 今こそ、5万5千人の人海戦術で克巳を救出するんだ。
 刃牙も口をあけていないで、たすけに行ってくれ。

「持ってけ……」
「この命ごと」


 ピクルに強者と認められ、克巳は満足した。
 強さを求めつづける戦士だからこそ、史上最強に評価されたことの誇りがある。
 右腕は、もう再起不能だろう。
 武の歴史をいっきに50年も進めた。
 思いのこすことは、無い。

 だが、やはり潔すぎる。
 克巳にはもっと生きて欲しい。
 活躍してもらいたい。
 刃牙みたいに、負けても「これで親友(ダチ)」と、ふてぶてしく生きろ。

 ――――――閃光!
 ピクルが跳躍した。
 右腕を止血していた帯が舞う。
 克巳の右肩から先が描写されない。

(なぁ ピクル………………)
(俺は美味いかい……………………)


 喰うことは別れること。
 空手家の魂である利き腕の拳は この瞬間、完全に失われた。
 烈海王につづき、愚地克巳が武術家としての死をむかえる。
 次回につづく。


 重い。
 重すぎる展開だ。
 予想の範囲内なのだが、想像と現実は別物だ。

 『範馬刃牙』は刃牙シリーズ最終章である。
 刃牙という少年の物語に決着をつけるハズだ。
 同時に刃牙世界の戦士たちにも、決着を与えるのだろうか?

 烈の片足より、隻腕のほうが損失は少ないと思われる。
 『シグルイ』の藤木源之助は隻腕だ。
 隻眼隻腕の剣士丹下左膳だっている。
 あと、北欧神話のテュールも巨狼フェンリルに噛み切られて片腕だ。
 この神様は戦の神なのに、目立つ活躍がコレぐらいという不思議な存在ですが。
 ドイルから機械の腕を紹介してもらえば、十分すぎるほど復活できるかもしれない。
 大砲とかサイコガンを仕込んじゃえ。

 ピクルは相手の優れた部分を喰っているのだろうか?
 本部と戦ったら脳を喰われそうだ。
 花山なら侠客立ちの彫られた背中か?(拳だろ)

 刃牙ならSAGAに必要な部分かもしれない。
 なにしろ、「バキ」でググると「他のキーワード」にバッチリ『バキSAGA』が出てくるぐらいだし。
 Google的にも、刃牙といったら SAGAなのか!?

 『みつどもえ』(AA)の みつばなら脂肪を吸引される。
 脂肪のない みつばなんて、雌豚失格でただの雌ですよ。

 克巳の右腕は肉がほとんど無くなっていた。
 それでも、右腕を狙ったのはピクルなりの気づかいなのだろうか?
 にも書いたが、初期の人類は骨を食べていたという説がある。(われら以外の人類親指はなぜ太いのか
 肉がなくてもピクルは満足するかもしれない。
 むしろ、満足してください。おねがいします。

 最初に読んだとき、右手だけですんでラッキーと思ってしまった。
 克巳だけではなく私の心も折れて敗北を受け入れていたらしい。
 このあと、さらに喰いにくるのだろうか?
 刃牙は頼りにならない。
 やはりペイン博士の凶器攻撃(麻酔)に期待するしかなさそうだ。

 克巳も「持ってけ……」「この命ごと」なんて哀しいことを言わないでほしい。
 「持ってけ」ならセーラー服ですよ ←結論


・おまけ
 『範馬刃牙 15巻』の作者近影はジョシュ・バーネットとの写真だった。
 ゴング格闘技10月号で対談したときのものらしい。
 以前に日記(8/30)で、対談の感想を書きました。
 板垣先生も、ジョシュ・バーネットも、どっちもスゲェよ。

追記 (08/10/15)
 先週の更新で書きわすれていたが、板垣先生が今夜(10/15)の『堂本剛の正直しんどい』に出演するらしい。
 板垣先生の仕事場というと、玄関先にクマの剥製が飾ってあることが有名なので、そこでビビるに1000ペリカ。

 この番組で はじめてバキを知る人も出てくるのだろうか。
 もうすぐ800回をむかえる長寿作品だけに途中から入るのに敷居が高いかもしれない。
 まあ、深く考える必要はほとんど無くて、明日からでもファンになれますよッ!
 平野綾のグラビア目当てでチャンピオンを買った人も間違いなくファンになっている。
 たぶん『みつどもえ』(AA)のファンに……

 バキを知らん人が明日のチャンピオンを読むことを想像してみよう。
 1ページ目で原始人が空手家の右腕を喰っている地獄絵図がいきなり飛び込んでくる(推定)わけですよ。
 そら、引きます。全力で引く。
 なんかもう絶妙のタイミングだ。
 新規読者をビビらす最高のツカミだよ。

 いきなり読者をふるいにかける。
 このシーンを乗り越えないとバキ読者にはなれないという試練だ。
 原人ピクルは止めないと、どんどん人体を喰っていく。
 オールドファンとしては、ペイン博士の注射器攻撃で眠らせて欲しい。
 それ以外に止める方法が無いのが現状なのだ。
 だから下手すると、明日は人肉祭りとなる可能性もある。
 いきなり、ハードル高いな。

 次回の克巳は生き残ることができるのか?
 今こそ、主人公バキが活躍する時かもしれない。
 まあ、こういう時に思うようにならないのが範馬刃牙なんですが。
by とら


2008年10月16日(46号)
第3部 第133話 合掌 (789回)

 生きながら喰われるか、死体になって喰われるか。それが問題だ。
 愚地克巳は人生最大のピンチをむかえる。
 もしかしたら最期のピンチかもしれない。
 人生最後の食事を選べるとしたら、私はタマゴかけご飯がいいな……

 5万5千人が見守る中で、愚地克巳が公開捕食されようとしている。
 だれかピクルを止めることのできるヤツはいないのか!?
 やっぱりペイン博士の力にすがるしかなさそうだ。
 ノーベル賞受賞者の科学(麻酔)力は世界イチ〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!

 克巳の右腕は肩のすぐ下あたりで切断されていた。
 道衣の右半分に血がしみていく。
 限界を超えたマッハに加え、右腕切断で、大量の出血だ。
 愚地克巳は肉体・精神ともに限界となる。

(おまえの勝ちだ………)
(喰ってくれ……………)
(腕と言わず…… 脚と言わず……)
(頭と言わず………… 残すなよ…………)


 気絶し、前のめりに倒れる。
 完全に敗北を認めてしまった克巳が願うのは、喰われることによる同化なのだろうか?
 人肉食(カニバリズム)には、死者の力を得るという宗教的な意味合いを持つことも多い。
 強者であるピクルと一体化したいと思いはじめているのだろうか。
 前回も書いたが、克巳は完全に心が折れているようだ。

 克巳は気絶し、目もうつろだ。
 今なら猫にだって喰われる。
 それどころか、すぐに治療しないと出血多量で死んでしまうだろう。
 血とともに克巳の命が流れ出ていく。

 ピクルが克巳の前にたつ。
 右腕はほとんど骨だけになっていた。
 のこりの肉を喰うつもりなのだろうか?
 克巳のピンチがクライマックスだ。

(許せピクル………………)
(ここは恐龍時代ではない…………)
(約束は守れんッッ)


 徳川光成が合図をだしたッ!
 すかさず腕っこきのハンター四人が立ちあがる!
 これぞ、範馬勇次郎を捕らえた、必勝の構えだ。
 さすが天下をとった徳川家康の子孫である。ちゃんと備えがあった!

 5万5千人の門下生も徳川さんの策だったのかもしれない。
 ピクルは銃のことをよく知らないだろう。(アレンくんに撃たれたけど ピクル 3話
 だが、鉄と火薬のニオイで危険を察知する可能性は高い。
 火薬の成分は人体に有毒なので、ニオイを不快に感じる感覚は原始からあるはずだ。
 もっとも、ミリタリーマニアの人は火薬のニオイにときめくんでしょうけど。

 だが、5万5千の人間がいれば銃のニオイは目立たない。
 あやしげな道具をもっていても見つからないだろう。
 すべて奇襲の十字砲火でピクルを止めるため。
 これが徳川家の戦術なのか!?

「銃を――――――」
「下ろさせな…………ッッ」


 必勝だった徳川アタックを破綻させたのは、克巳の義父・愚地独歩であった。
 克巳の尻をふくために登場するんじゃなかったのか!?
 こ…こは 何事!?
 独歩は乱心したのか?

 末堂たち門下生も「総帥」「初代」と大騒ぎだ。
 克巳が館長になったので、名称がかわったらしい。
 なんにせよ、末堂たちにも独歩の行動は理解できないようだ。

「男と男が」
「克巳がピクルと交わした不文律」
「端から口を挟める問題じゃねェ」


 ……武士(もののふ)だ。
 形に残さない約束だからこそ、誇りにかけて守る。
 手段を選ばずに勝つことを目指すのが武士であるが、同時に死を恐れず卑怯なふるまいをしないのも武士だ。
 命が惜しいからといって、約束をたがえたら武士じゃない。切腹させてもらえない。

 匈奴烏丸といった遊牧騎馬民族も文字をもたないけど、口約束は必ず守るらしい。
 三国志の烏丸伝をみたら、約束というより族長の命令に従うという意味で書かれていたので、ちょっとニュアンス違うかも。(三国志4
 約束は社会性をもたないとできない、人間らしい行為だ。
 だからこそ大事なのだろう。

 私は武士じゃないので、素直に克巳を助けてやって欲しい。
 独歩も内心ではそう思っているのだろう。
 だが、独歩は感傷よりも武術家の誇りを重んじる。
 独歩は、父親であることよりも空手家であることを選んだのか。
 いや、空手家でもある父 としての選択なのかもしれない。
 その心中にはどんな嵐が吹き荒れているのだろうか。

 独歩自身が己の意志をつらぬいて戦い、一度死んだ。
 経験者が口をはさむなといっている。
 誰が独歩を止められよう。
 いや、刃牙なら、あるいは……
 空気よまずに反論するのは範馬の特権だ!


 徳川狙撃隊も不発に終わり、克巳の命も終わろうとしていた。
 だが、克巳に終焉をもたらすハズのピクルが動きを止める。
 掌(てのひら)を合わせ、ヒザをつく。
 その姿は、祈りに似ていた。

『あらゆる障害(もの)を超越(こえ)て人類が取ってしまう行為がある』

『戦利品だったハズの肉(もの)
『それは強敵(とも)が与えたものだった』
『いかに野性とはいえ人間(ひと)として……………』
『いかに原始とはいえ親友(とも)として……………』


 ピクルは有効打撃を克巳に与えられなかった。
 克巳は自爆して敗北したのだ。
 ピクルにとって不本意な勝利だったのかもしれない。
 万策尽きた克巳は、自ら肉をさしだした。
 そこに友情を感じたのだろう。

 克巳は肉体の戦いでは勝てなかった。
 しかし、心の戦いで勝ったのかもしれない。
 合気道の塩田剛三先生は、自分の敵と友達になることが最高の技だといった。(合気道修行
 克巳はピクルと友達になることができたのだ。
 右腕は失ったが、大きな成果を手に入れた。
 次回へつづく……


 烈海王につづき、愚地克巳も敗北した。
 肉体を失う大ダメージつきだ。
 だが、克巳は烈以上の成果を上げることができた。
 4050年目の奇跡はムダではない。

 今後、ピクルに戦いを挑む人間は出てくるのだろうか?
 負けたら確実に喰われてしまう。
 一部か全部かは不明だが、喰われるにはちがいない。
 これだけのリスクを犯して戦う人間がいるのだろうか?

 とりあえず、独歩が戦うかもしれない。
 息子の敵討ちで無謀な勝負をいどむ可能性がある。
 武術家は特攻隊じゃないと言っていたのに……
 まあ、独歩は克巳と烈と郭海皇が殴ってでも止めてくれそうだ。
 それで負傷するかもしれないが、喰われるよりはマシだろう。

 あとは、鎬昂昇・ジャック範馬・渋川剛気・寂海王・ガイアの五人が候補である。
 渋川さんは用心深いので、無謀なことをしない気がする。そもそも、たどり着けない。
 鎬昂昇は兄の紅葉に止められそうだ。麻酔をブスっと打たれてダウンですよ。
 そうなると、ジャック範馬・寂海王・ガイアだ。

 ジャックは戦うだろう。
 ちょっと前まで明日を見ていなかった人だし。
 最近は薬をやめて、明日を見ているかもしれないが。
 ちゃんと天気予報もみてカサを用意したり、夏服と冬服を入れ替えたりするのだろうか?

 ガイアはさっぱり読めない。
 危険察知能力の高い人だから、やっぱり近づかないのだろうか?
 手下(?)のシコルスキーをけしかけて、データ収集をする可能性はありますが。

 そして、寂海王の勧誘力に期待する。
 克巳が友情を結べるのなら寂海王の勧誘に応じる可能性もあるハズ。
 精神的な強さだと、寂海王は手ごわいぞ。
 寂海王と猪狩が手を組んだら、日本征服を実現させかねない。

 そして、われらが主人公・範馬刃牙はどう動くのか?
 やっぱり、目の前で知り合いを喰われたら引くよな。
 戦う気が失せるかもしれない。
 まあ、刃牙のことだから心配しなくてもイイんだろうけど。

 バキ的には、すでにピクルと親友になっている。
 喰われる心配しないで戦うのかもしれない。
 まあ、いざという時は勇次郎が助けてくれるハズ。
 刃牙を救うのは"愛"なんですね。
 梢江方面の愛は枯れたのかもしれないけど。

追記 (08/10/22)
 掲示板でピクルの合掌は「いただきます」じゃないかという意見がけっこうあった。
 いくらなんでも、それはむごい。
 せめて「ごちそうさま」にならんだろうか。

 烈海王とちがい、克巳は自爆で敗れた。
 ピクルは反撃を予想していたのに、肉を差し出されたので拍子抜けしたのだろう。
 やっぱりピクルは向かってくる敵を倒すのが基本なんだ。
 身を守るだけなら、戦わないことが最善の策らしい。
 まあ、あそびでコキャられたり蹴られたりはしますが。
 そうなると相手に背をむける寂海王の戦術は有効なのかもしれない。


 先週の堂本剛の正直しんどいに板垣先生が出演していた件について日記に書いた
 予想外の部分も含めて予想通りな板垣先生でした。
 人を驚かせることが最優先だもんな。
 いわば、驚愕至上主義だ。

 驚かせるためだったら「今の腕はニセモノだ」と言って、克巳が無事な腕を服の下から出してくるかもしれない。
 「常識で考えろ、衝撃波で骨ムキ出しにならないだろ?」とか言って。
 人力で音速超えるヤツが常識語るなッ!

 ちなみに製作現場の風景で刃牙と独歩が出ているページがあった。
 先週のチャンピオンに該当するページは無かったので、アレは明日のチャンピオンにのる原稿だったのかもしれない。
 けっこう厳しいスケジュールで動いているんですね。

 そして、たぶん今週も何らかのサプライズを用意しているのだろう。
 ちなみに奇襲は英語でサプライズ・アタックだ。
 低所得者向けローンはサブプライムローン
 刃牙世界のムエタイ選手は戦力的にサブプライムでサプライズに倒れる。

 末堂がガンバって応援しているのはイイんですが、加藤はどうした?
 ピクルを倒そうと、文字通りてぐすねひいてまっているのだろうか。
 加藤がピクルに敗れたら、加藤の命である、テグスが喰われそうだ。
 釣り屋ナガレなら釣り竿が、弱虫ペダル(AA)なら自転車が喰われる。

 ピクルのアレは、合掌ではなく、目の前に蚊が飛んでいたから潰しただけかもしれない。
 なにしろ野性なんだし。
 それともパンツがピクルを文明化させたのだろうか?
 なにごとも形から入ってみるもんだ。
 私もワイルドさを演出するため、全裸の時間を作ったほうがいいのだろうか。
by とら


2008年10月23日(47号)
第3部 第134話 結晶(たからもの) (790回)

 ピクルがひざまずいて合掌する。
 まるで文明社会の人間みたいだ。ふんどし一丁なのが、ちょっと惜しい。せめてズボンもはこう。
 手をあわせるのは祈りの姿だ。
 時代劇だと、おとなしくお縄を頂戴いたしますというポーズだけど。

 中国拳法だと右拳を左手で包む抱拳(包拳?)が礼になる。
 一般的な利き腕である右手をおさえることで、敵意は無いことを示しているのだろう。
 なお、左拳を右手で包むと「勝負しましょう」という意味になるらしい。
 金庸の武侠小説『書剣恩仇録』(AA)などでは、そんな感じに描写されている。
 烈海王は、よく左拳を右手で包んでいた。さすが蛮勇ふるいまくりだ。

 ピクルの人間らしいしぐさを、みなは驚愕しつつ見守る。
 つうか、はやく克巳を止血してやんないと。
 髪が真っ白になって今にも死にそうですよ。
 そして、ピクルは克巳の右腕をお供え物のように置いて祈るのだった。

『挑まれ――――――』
『戦闘(たたか)い――――――――――』
『勝利し――――』
『食す』


 それがピクルの生活プランであり、闘争生活であり、食生活だ。
 雌のはいるスキマ、いっさいなし。
 ヤることはヤる生物なんだが、闘争のほうが優先順位高いんだろうな。(11巻 80話
 SAGA方面なら刃牙のほうが上だッ!

 ピクルが倒した恐竜は草食もいる。
 たぶんピクルは、ナワバリ内を荒らして挑発したのだろう。
 闘争に関しては容赦も妥協もしないッ!
 バブル期の就職活動なみに、相手に不自由しないぞ。
 しかも、巨大な好敵手ばかりだ。
 もうすぐ隕石落下で恐竜バブルが終わるとも知らずに……

『相手は超ド級のヘビー級』

 うーん…超ド級とヘビー級で大型表現がダブってしまった。
 超ド級は最強戦艦といわれていたドレッドノートを超える軍艦のことだ。らき☆すたファンなら周知のはず。
 相手が恐竜だけに、この場合は超ドラゴン級だろうか。
 異文化で超ド級といわれると、そのドはなんのド?と気になってしまう。

 ドレッドノートという、イギリスの首相チャーチルが面白い話を残している。
 軍事力強化のためドレッドノート級戦艦をもっと建造すべきだという話が国会で出た。
『海軍本部は六隻を要求した。財政専門家たち(チャーチルはそのひとりだった)は四隻なら造ってもいいといった。そして最終的に、妥協の名人であるわれわれイギリス国民は、あいだをとって八隻建造することにしたのだ』(戦争の世界史
 なんか、コントみたいなオチだ。
 なんで増えてるねん。なんで、増えてるねん!
 次にピクルと戦うのは刃牙かジャックか? あいだをとって本部にした。みたいな。

 ついでに、ヘビー級と言い出したのは爬虫類だからか?
 もうすこし小さいとトカゲ級とか。
 愚地克巳はとうぜんヘビー級だ。
 まあ、ピクルの思考はほんやくコンニャク的なもので現代日本語訳されているのだろう。

 巨大な恐竜たちを倒す。
 自分より大きく強い相手を倒すのが、ピクルの誇りだったのだ。
 ある意味、少年漫画の主人公は小柄なタイプが多い理論に通じる。
 『SLAM DUNK』はどうなんだと反論されそうですが。
 まあ、花道は素人なので技術の無さでカバーだ。

 愚地克巳は弱小(ちい)さな敵だった。
 小さいだけではなく、牙や爪のような武器もないし、毒もない。
 ピクルはペイン博士の麻酔攻撃でダウンした。(13巻 101話
 毒には勝てないというのが、ピクルの感想なのかもしれない。
 くやしい。でも、眠っちゃう。

 毒や武器に敗北するのは、まあイイだろう。
 範馬勇次郎だって麻酔銃には勝てなかったし。
 だが、素手の相手に負けたら、プライドが傷つく。
 それも、自分より小さい相手だったりしたら。

『この雄は多くの努力と引き替えに』
『強大な武器を手にしたのだろう』


 小さき体でありながら、克巳の攻撃力は恐竜なみだった。
 野生の動物にはない知恵と努力が、体格のハンデを超えたのだ。
 計画的に努力して強くなる動物はいない。……いないハズ。
 そして、動きを工夫して技を考える動物もいないハズだ。
 道具をつかう動物は工夫しているかもしれないけど。

 つまり、克巳の強さは人間の強さなのだ。
 勇次郎に合気をかけられ、その理合を考え抜いたピクルには、克巳の努力と工夫がわかるのだろう。
 まさに結晶(たからもの)といえる技であり、肉体だった。
 たとえ、ピクルを倒すにいたらなかったとしても。

『努力 犠牲 弱小 結晶 研磨 宝 ……………………』
『何一つ言葉を持たぬまま理解していた』


 ピクル原人たちも、計画的な努力はまだ身につけていないのだろう。
 なんとなく強い奴らと戦っているうちに効率のいい動きを身につける。
 鍛え上げた肉体という概念はまだなさそうだ。
 克巳の行為に名前はつけられないが、理解した。

 グレートはグレートを知る。
 ピクルは戦士として、克巳に敬意をもったのだろう。
 克巳が差し出した右腕を喰わずに置いて、去っていく。

『初めて選択する 空腹のままの帰路』
『雄(ピクル)の五体に得体の知れぬ満足感が行きわたる…………』


 原始的な欲求である食欲を、気持ちでおさえる。
 ダイエットする現代人でもなかなか難しい偉業をやってのけた。
 ピクルが、より人間に近づいた瞬間だ。
 次からは、ズボンもはけよ。
 Yシャツにフンドシ一丁という趣味的なサービスはいらないから、下をはけ。

 でも、へんに文明化しちゃったらピクルも弱体化しそうだ。
 気がついたら、体はジャンクフードで出来ているとか。
 血潮はコーラで、肉はハンバーガー。
 幾たびの電話を憶えて出前。
 ただ一度の外出もなく、ただ一銭の収入もなし。
 ニートはここに独りピザで舌鼓を打つ。
 …………メタボなピクルは見たくないな。

 心は満腹でも、体の栄養が足りていない。
 ちょっぴり成長したピクルはどこへ行く。
 数時間後の東京ドームは試合が始まりそうなんだけど、血とか肉片は大丈夫なのか?
 問題先送りのまま、次回につづく。


 克巳は勝負に負けたけど、気持ちで勝ったということでいいんでしょうか。
 スゴい攻撃だったと認めるのはいいのだが、くらって寝てたよね、ピクルさん。
 それとも、寝ることで体力を回復していたのだろうか?
 ポケモンの技『ねむる』はHP全快らしいぞ。
 克巳は、寝ているピクルに追撃しておけば名実ともに勝てたかもしれない。

 弱小の人間には興味ありません。という態度だった朝比奈ピクルの憂鬱は、克巳の活躍で解消されたのだろうか。
 今後は積極的に小さき人間とも戦うかもしれない。
 でないと小柄な刃牙の立場がなくなる。
 小柄なのは主人公の証だぜ!

 単純に体格のはなしをするなら、ジャック兄さんが対戦候補となる。
 おそらくピクルと互角以上の身長をもつのはジャックだけだろう。
 そして、両者とも噛みつきの達人だ。
 巨漢同士の噛みつき対決ッ!
 チャンピオンでさえモザイクがかかりそうな、血なまぐさい戦いになるだろう。

 ピクルは自分よりデカい範馬ジャックを倒したら、残さずに全部喰うんだろうか?
 小さい相手には遠慮しても、大きい相手なら全力だよね。
 やはり、ジャックはピクルと戦わないほうがいいかもしれない。
 骨ものこさず喰われそうだ。

 今回、食事ができなかったピクルはなにを食べるのだろうか。
 気持ちが満足しているから、普通に食事をするかもしれない。
 以前、訓練した犬をピクルにけしかければいいと書いた。(12巻 90話
 でも、今のピクルなら鍛えられた犬に感動して食べずに去りそうだ。
 やっぱり、肉を満載したトラックを用意するしかないのか。

 克巳の特性は『努力 犠牲 弱小 結晶 研磨 宝』だった。
 なら、刃牙は『才能 特権 巨凶 遺伝 教育 鬼』というところか。
 そろそろ、普通に友情や闘争心で戦って欲しいところなんですが。
 努力か、才能か。あいだをとって驚愕しそうだ。

追記 (08/10/29)
 クラナドは人生。
 Fateは文学。
 とらドラ!は数学好き好き大好きっさん情報)
 世の中にはさまざまなキャッチコピーがある。
 なら、刃牙にもキャッチコピーがあってもイイはずだ。
 というわけで、新規顧客の心をわしづかみにできるコピーを考えてみる。


・刃牙は体育
 数学に対抗するなら、体育だ。
 もっとも、刃牙は人間のできる運動を超えていますが。
 体、育ちすぎなんだよ。


・刃牙は保健体育
 SAGA的な意味もこめて。
 セックスも闘争だ。
 こうなると、『生物の板垣、物理のゆで』というキャッチフレーズもより立ち上がってくる。


・刃牙は生物
 でも、こういっちゃうと非生物な外見なのかと突っ込まれそうだ。
 刃牙の異常なタフネスの正体はサイボーグだったから!
 そう考えていた時期が俺にはありませんでしたが、そういう人がいても不思議ではない。


・刃牙は筋肉
・刃牙はマッスル
・刃牙は速筋

 格闘漫画というより筋肉漫画だ。むしろ肉!
 いや、ただの肉だとキン肉マンとの区別がつかなくなりそうですが。
 筋肉先進国であるアメリカっぽく、マッスルと書いたほうが雰囲気でますか?
 成分的には瞬発力の高い速筋のイメージで。


・刃牙は武術
・刃牙は大相撲
・刃牙はプロレス

 刃牙は武術……というより大相撲……というよりプロレスだよね。
 たいていのバトル漫画も同じなのだが、刃牙はサッカーというより野球的な攻防をするのだ。
 攻守がはっきりと分かれており、攻撃側は攻撃に専念し、防御側は防御に専念する。
 だから、現実の試合では実現しにくい全力同士のぶつかり合いが成立する。
 条件を限定することで、全力のぶつかり合いを実現させる相撲や、肉体のパフォーマンスを見せるプロレスに近い。

 自分のパンチが当たるなら相手のパンチも当たる。右手で攻撃したら、防御できるのは左手だけになる。
 だから実戦では、防御をすてて全力で打ったりしない。
 オマケに全力で打っても相手を倒せるとは限らないのだ。
 板垣先生はボクシング出身なので、そういう部分をワカった上で、理想の戦いを描いている。

 まるで喧嘩のようなアウティメットを見て板垣先生は泥臭い実戦を感じる。
「何より、戦いが美しくなかった。それだけ、実戦に近いということだろう。でも洗練されていない。」
「だからこそ、マンガの存在意義があるんじゃないか。」(格闘士烈伝
 確実性の高い技だけを使い、用心深く攻めるのではない。
 全ての技を使い、難易度の高い技を実戦で試す戦士の姿を見てみたい!
 それが刃牙シリーズなのだ。


・刃牙はライブ
・刃牙はアドリブ
・刃牙はエチュード

 忘れてはいけない刃牙の良さにライブ感、というか生中継の面白さがある。
 来週どうなるのかワカらないというのは、雑誌派の喜びですよ。
 台本を使わず条件だけ決めて演技する即興劇(エチュード)にも似ている。

 反面、その場のノリを重視するため話がグダグダになるコトもある。
 テンポ良くまとまった話を読むことができるのがコミックス派の喜びですよ。
 コミックスで読みかえすと、このエピソードってこんなにテンポ良かったんだと思うし。


・刃牙はフリーダム
・刃牙はバーリトゥード

 結局、刃牙を既存のワクに収めようとするのがマチガイなのかもしれない。
 刃牙はジャンルコード「その他」ですよ。
 木火土金水のどの属性と聞かれたら「肉」と答えるぐらいに、ジャンルその他だ。
 まさに、刃牙はなんでもアリ。


・刃牙は板垣
 けっきょく、ジャンル板垣恵介ってことで。
 刃牙が板垣恵介なのか、板垣恵介が刃牙なのか……
 刃牙が『バキ』を描いているようだと言われているぐらいだしな。(週刊少年『』


・おまけ
 繰り返しになりますが、板垣先生が『堂本剛の正直しんどい』に出演した件について、感想を日記に書きました

 刃牙と独歩のカットから見て、製作風景はちょうど今回の原稿を描いていた時のものと思われます。
 商業用の原稿用紙は、チャンピオンよりも一回り大きい。
 今週のチャンピオンだと、ちょっとした1カットだけど、実物はけっこう大きくて丁寧に作られている。
 刃牙に限らずマンガは高密度な努力・犠牲・結晶・研磨された宝なんだな。そう思った。



 youtubeの動画が消される気配無いので、貼っておきます。










by とら


2008年10月30日(48号)
第3部 第135話 開花 (791回)

 真マッハ衝撃拳(仮)をもってしてもピクルは倒せない。
 もう、素手でピクルを倒す術はないのかッ?

 敗北をさとった愚地克巳は戦士の誇りから、自分の体を食料としてさしだす。
 だが、ピクルにも戦士の誇りがある。
 自分より小さな相手に与えられた肉に甘んじて受けるワケにはいかない。
 克巳は勝負には負けた。だが、戦士の誇りをかけた戦いでは引き分けだ。

 甘いといえば、甘い決着である。
 刃牙なら金玉蹴り上げたうえで、超本気でチョークかけていますよ。
 少なくともアライJr.には、そうした。(バキ31巻 271話
 でも、ピクルには ……人間には守るべき尊厳があるのだ。
 そう書くと刃牙には尊厳が無いみたいに聞こえるけど。

 とにかく、克巳はがんばった。
 次は刃牙の番だ! 番なのか!?
 刃牙は、やらない理由を無限に用意できるので油断できないけど。バキ27巻 240話


 克巳は担架で運ばれていく。
 肩とワキの下がベルトで縛られていた。
 とりあえず止血はやっているようだ。これで一安心。
 正直、傷口そのままで、いつまで克巳を放置しているのかと心配でならなかった。

 ちぎれた右腕も布につつんで担架にのせてある。
 くっつけることは、……絶望的なんだろうな。
 独歩の右手がくっついたのは例外中の例外だ。
 刃牙世界ではダメージにけっこうシビアである。
 ガーレンの指とかもつなげて欲しかった。

 でも、渋川先生はアキレス腱を食いちぎられても、あっさり治っていた。
 真ん中が無くなっても、前後が無事なら回復するのだろうか?
 克巳も腕を切断されなければ、肉がもどっていたかもしれない。
 いや、ムリだよな。

 担架で運ばれる姿を見ると、アニメ版の『キン肉マン』を思いだす。
 原作だとラーメンマンに体を真っ二つにされたブロッケンマンは、アニメ版だとラーメンにされてしまう。
 そして、ラーメンが担架にのせられて退場する。
 すごいシュールで、ヘタな残酷描写よりかえって怖かった。
 あのラーメン、誰かが食うのだろうか? そう思ったら、ますます怖くなる。

 ところで克巳は、わざわざ黒帯を締めなおしてもらっている。
 やっぱり、黒帯は空手家の魂なんでしょうか。
 小坊主たちのイキなはからいなのだろう。
 そんなナイスガイ丸坊主な三人は、克巳を担架にのせてホッとしたところで異変に気がつく。

「5万人が…ッッ」
「いないッッ」


 東京ドームがいつのまにか無人になっている。
 不気味だ。どんな手品を使ったのだろう。
 実は、みんな正座していたのだ。
 われらがリーダー克巳を見下ろすことが耐えがたく、正座して視線を伏せた。

 命令されたわけではない。
 自発的な行動だった。
 「本当の忠義は従うじゃなく慕う気持ちから来るモンだ」ってヤツですね。(バキ外伝 疵面 2巻 13撃
 みなが愚地克巳を誇り慕っている。


 5万5千人が静かに克巳を送りだす。
 通路には独歩・刃牙・徳川さん・ペイン博士が待っていた。
 やはり、この四人は別格らしい。

 ここで、誇るべきわれらが主人公・刃牙が反省する。
 123話で「まさかアンタに先を越されるとはな」と言った。

『嫉妬(ジェラシー)から思わずほとばしり出た失言だった』

 失言だったのかッ!?
 なんか、励ます意味も含めた軽口だったと思っていたよ。
 そのあと(アンタでいい)と刃牙は克巳のことを認めているようだった。
 だから、刃牙のことを信用していたのに。

 やっぱり「オレの前座はアンタでいい」というのが本心だったのだろうか?
 どうせ、思いつきとノリでピクルと戦うつもりなんだろ。
 オレはちゃんとピクルに蹴られているんだよ。だから親友(ダチ)だぜ。
 ピクルと遭遇することもできなかったノロマがでしゃばるなよ。(14巻 112話
 たぶん、刃牙の思考はこんな感じ。

『過去 数多くの局面で――――』
『この男に失望してきた』
『お調子者の――』
『お坊ちゃまリーダー……』
『そんな彼がよもや――――――――
 これほど気高い開花を見せようとは……………………ッッ』


 刃牙が、誉めてる。
 誉めてるんだけど、……なんかッ!
 今まで、克巳のことをココまで低評価していたのかよッ!

 初期の克巳は性格悪かったけど、強さは一流だった。
 刃牙と絡んだときも、実力は克巳のほうがやや上かと思わせる描写がある。
 克巳は烈海王と戦って株をさげた。
 刃牙は烈海王に勝つため巨凶なる範馬の血に目覚め、克巳のはるか上を行くことになる。

 刃牙が克巳より強いとはっきり言えるようになったのは、準決勝の後からだ。
 それ以前は良くても互角。
 だが、刃牙視点だとトーナメントが始まった時点から克巳には失望しまくりだったらしい。
 さすが増長王子・範馬刃牙である。

 最後に誉めているが、克巳は期待に応えられない鈍秀才だと言ってる。(鈍秀才:不幸を呼ぶ秀才の意。食事に招待したりすると家が火事になる。「警世通言」)
 それを言ったら、最近の刃牙だって……
 まあ、克巳は気高く開花したから良しとしよう。
 しかし、克巳の右腕は、もう失われてしまったのだ。
 せっかく開花した才能も消えてしまうのだろうか。


 独歩はみごとに化けた克巳を誇っていた。
 でも、昔はあまり期待していなかったらしい。
 もともと克巳は天才だった。
 だからこそ努力や気迫がたらず、超天才にはかなわなかったのかもしれない。

 克巳の心に火をつけたのは、烈海王の敗北だった。13巻 103話
 友情パワーが克巳に力を与えたのだろうか?
 右腕は失ったが烈や独歩との絆が深まった。
 そして、一瞬だが経験できた灼熱の時が、克巳に新たな進化を与えるかもしれない。

 烈海王の姿はない。
 克巳を止めずにピクルと戦わせたことに責任を感じているのだろうか?
 それとも、足が不自由なので移動に時間がかかっているのかも。
 肉体を失ったショックを克巳と共有できるのは、烈海王だけだ。
 じつは救急車へ先回りしているのか?


 ピクルは涙を流しながら遠吠えしていた。
 強敵(とも)を喰らわずにはいられない、己のサガにたいする嘆きだろうか?
 傷ついた克巳への悲しみだろうか?
 原人の心は、まだ理解しかねる。

 出血はしていないが、ピクルにもダメージはある。
 衝撃波は肉をつきぬけ内臓系を傷つけたのだろう。
 克巳は、ピクルの人生を変えるほどの強敵だった。
 ピクルは勝利したのに空腹という境遇をはじめて味わった。

 もしかして、ピクルが泣いているのって空腹だからじゃないよね?
 いまのピクルなら、そのへんの駄馬でも喜んで食べそうな雰囲気がありますが、ダメでしょうか。
 伝統派空手の栗木くんだって食いそうだ。
    (※ 夜叉猿に襲われ、全力でどこかへ逃げ出した人。夜叉猿を見て「人間じゃねェ」の名台詞を残した。グラップラー刃牙22巻 194話)
 食糧問題だけは解決しないまま、次回へつづくのだった。


 原人ピクルの慟哭は、人間らしい心を得るための産みの苦しみだろうか。
 逆に、刃牙は人間をやめ鬼になる。
 原始から脱却しようとするモノと、原始にかえろうとする者の、再戦は近い。
 近いハズ。近い時。近ければ。近いかも。近えッ!(誤段活用)

 刃牙は克巳のことを見下していた。
 でも、戦いはとめない。
 まるで、喰われてしまえというような態度だ。
 自分はピクルに蹴られても喰われなかったので、安心していたのだろうか。
 やはり、刃牙の運は超一流だ。

 今度こそ、刃牙が戦う番だと思う。
 ここで戦わないでどうする。
 でも、刃牙が戦っちゃうとジャック兄さんの出番がまたまた無くなるのだ。
 思い切ってジャック兄さんと二人で山籠りでもしたらどうか?

 克巳の真マッハ衝撃拳(仮)でもピクルは倒せなかった。
 出血すらしていない。真っ暗な気分になるほどのタフネスだ。
 刃牙はピクルと戦う前に、有効な攻撃方法を考えておかないとマズイ。
 ピクルを仰天させるような新必殺技が欲しいところだ。

 刃牙の妄想力は克巳の数倍上だ。
 克巳が脳内彼女をひとり作れるのなら、刃牙は脳内愛人365人ぐらい作る。
 関節を増やすイメージをすれば、関節が増えすぎてかえって曲がらなくなるぐらいの妄想力があるハズ。
 なにしろ、すでにピクルとは親友設定ですから。

追記 (08/11/5)
 次回から新章開始だッ!
 ……たぶん。

 仮面をかぶった謎の戦士、ミスター・カラテドーとか出てこないかな。
 ミスター・チュウゴクケンポーでもいいや。
「私は烈海王ではないッッッ」
「いや、まだ何にも言ってません!」

 前回感想でアニメ版キン肉マンではブロッケンマンがラーメンにされて担架で運ばれると書いた。
 どのへんの話なのかとメールで質問をいただきました。
 ラーメンマンとブロッケンマンの試合後に、ビビったキン肉マンが試合を辞退するとダダをこねます。
 そのとき、横を担架が通って、さらにキン肉マンを恐怖におとしいれるというエピソードでした。
 私も小学生のころに見たきりなので、記憶に間違いがあるかもしれません。

 ラーメンマンの試合だけはYoutobeにもあると教えていただいたのですが、ラーメンマンって食っているんですよね、人肉ラーメンを。
 負けた相手を喰うという究極の罰ゲームはラーメンマンがすでに通過していた!
 さすが中国四千年だ。あなどれない。

 グロい話なんで書きませんでしたが、中国は昔から敵を殺したら喰うことが多々あります。
 フィクションですが三国志演義でも劉備が人肉を喰う描写があります。
 十九回で逃亡中の劉備が宿を借りたところ、主人の劉安は食料がなかったので妻を殺して狼の肉といつわり提供するのだ。あとでバレますが。
 作中のヒーローである劉備に人肉を食わせるのはいかがなものかと思いますが、これも誠意のあらわれらしい。

 これの元になるエピソードは三国志の臧洪伝と思われます。(三国志 2
 臧洪は篭城して食が尽きたとき、残った米を自分だけが食べても仕方がないといい、『薄い粥を作り、みんなに分けてすすらせ、自分の愛妾を殺して将兵たちに食べさせた。』
 部下たちは泣いて感謝し、全員死ぬまで戦ったという。
 臧洪はここで死ぬので、まあ許す気にもなれるが、劉備と劉安はどうなんだろか。

 話はそれましたが、ピクルと戦ったものは回復不能のダメージを受けている。
 助かったのは刃牙ぐらいだ。
 さすがチャンピオンである。
 刃牙なら恐れることなくピクルに戦いを挑むのだろうか。

 ある意味、刃牙はなにも考えていないから恐怖を感じずに戦えるんだろうな。
 インテリの鎬紅葉や知識人の本部以蔵にはマネできまい。


・おまけ  ラーメンマン vs. ブロッケンマン


 ハーケンクロイツに時代のおおらかさを感じる。
by とら


2008年11月6日(49号)
第3部 第136話 日中合作 (792回)

 究極進化した愚地克巳のマッハ突きは、自らの肉体をも滅ぼす破壊力を発揮した。
 克巳の努力・覚悟・犠牲を理解したピクルは、喰わずに帰る。
 ピクルもまた空腹という覚悟と犠牲を払ったのだ。

 灼熱の時間(とき)は、おそらく数分間だったのだろう。
 昆虫で言えばユスリカの成虫なみに燃えつきた。
 今月の『ベクター・ケースファイル』(AA)によれば、ユスリカは成虫になると食事もせずに生き急ぐらしいぞ。
 長く愛される花は儚く終わることが肝要。
 天才・愚地克巳の空手人生は第一部完だ。次回作にご期待ください。


 克巳は杉谷総合病院に入院していた。
 右肩から先は、切断されている。
 そして、上半身裸だ。
 烈海王のときもそうだが、服を上下着せてあげようよ。(13巻 102話
 それとも、武術家は裸で放置が礼儀なんだろうか。
 雄度高ぇな。

「中国茶だ」
「わたしがブレンドした」


 つきそいは烈海王ひとりだった。
 そして、例によってかいがいしく世話を焼いてくれる。
 本日はオリジナルブレンドのお茶でおもてなしだッ!
 料理も得意だし、烈は立派な嫁になれるよ。

 烈が「わたしがブレンドした」と自己主張しているのは、文化のちがいだろう。
 日本人とはちがい「あなたのために手間と時間をかけました」と主張しているのだ。
 これが日本人だと「つまらない物ですが」などと言ってしまう。
 国によっては「つまらない物」と言うのは侮辱の言葉になるから注意が必要だ。
 烈はツンデレだけど、けっこう素直な男だな。

 烈海王の手料理にハズレ無しの格言どおり、お茶も美味い。
 なにしろお茶も中国発祥と言われている。
 油断すると四千年の歴史を語りかねないぞ。

 紅茶や烏龍茶が赤や茶色なのは、茶葉を醗酵させているからだ。
 烈はそういう醗酵されたお茶が好みらしい。
 イロイロと工夫をかさねた技をつかう烈らしい好みだ。
 作る料理もさぞかし手がこんでいるんだろうな。

「君に嫉妬している」
「それが癪だ………」


 克巳は自分を追いこし、超マッハの世界に入った。
 戦いの中でさらに進化し、ピクルと究極のバトルを繰り広げる。
 片平恒夫的に言えば「チョット憧れちゃいますね武術家として…………」てなモンだ。

 自分でもすごい試合だったと思っている。
 だが、克巳は自分一人の功績ではないという。
 武に生きた先人たちの努力・知恵・時間が作り上げたのだ。
 日中合作の試合だった。


「なのに勝てない」

 絶妙のタイミングで範馬刃牙が登場する。
 バラの花束を手にやってきた。
 そして、いきなり厳しい現実をつきつける。
 誰かが言わねばならないキツイことを、あえて言う。
 刃牙は汚れ役を引きうけたのだろうか。
 たんに性格悪いというオチではないハズ。

 武術はピクルに及ばなかった。克巳も自覚している。
 自分たちは、やれるだけのコトはやった。
 もう、あれ以上はない。
 だから……

「君に継(つ)なぎたい」

 武術界から、刃牙へバトンタッチだ。
 大擂台賽 後半戦まとめで書いたが、技術だけでは範馬勇次郎を倒すことができない
 ピクルも技術だけでは倒すことができなかった。
 あとは理不尽な腕力+技術で戦うしかない。
 だから、範馬刃牙へつなぐのだ。

 刃牙はバラを握りこむ。
 花束から搾りとれた、たった一滴の貴重な液体を手に受ける。
 その芳香(かおり)で克巳を包んだ。

「受け取ったよ」

 今度こそ、ピクルに戦いをいどむ。
 武の思いも歴史も受け取った。
 範馬刃牙の決意声明だ。
 次回、ついに範馬刃牙の物語が動きだすッ! ……か?


 克巳が苦労して生みだした真マッハ突きを、刃牙があっさりコピーするんじゃないかという心配は昔からあった。
 今回のやり取りを見ていると、やっぱりコピーしそうな感じだ。
 とりあえず、今回は花山の技をパクりまくっている。
 グラップラー刃牙13巻 112話で花山がやったバラの香水作りと同じだ。
 これは人の技をパクりまくると言う刃牙の決意表明だろうか?

 花山の母はバラの香水『ライマン』が好きだった。だからバラの香りは素晴らしいプレゼントだ。
 しかし、事情をしらない克巳は、バラ攻撃をされてとまどっただろう。
 花山の母とは、まったく関係ないし。
 克巳ってバラ好きで有名なんだろうか?

 そもそも見舞いの花が、なんで薔薇なのかと。
 薔薇族というゲイ向けの雑誌があるため、薔薇にはゲイの意味合いもあります。
 克巳が誤解して怒りそうだ。

 体が資本の人たちだから、果物のほうが良かったと思う。
 ちなみに、今回の表紙は刃牙がフライドチキンを喰おうとしているところです。
 見舞いにフライドチキンはやめとけ。せめてチキンナゲットに。
 骨つき肉は絶対ダメッ!

 バラの花束のことは置いておこう。
 とりあえず、刃牙は厳しき友情を見せた。
 失敗を見ないフリして甘やかすのが、友情ではない。
 指摘するところは指摘したうえで、相手の実力を認める。
 お互い、言うべきことは言う。大人の友情だ。

 チャンピオンの友情喧嘩マンガ『クローバー』(AA)でも、先週厳しき友情があった。
 「すごい年上の女性… 中学生…」「どっちと付き合おうとそれはいいと思うよ」
 「が」「二股はダメだろ!!」

 いいづらいことも言う厳しき友情だ。花山ケンジは人間ができている。
 もっとも、カン違いですけど。二股じゃなくて親娘丼です。(もっと、ダメだろ)

 克巳も、刃牙にビシッと言ったほうがイイ。
 米国大統領監禁の罪はどうなったの?
 梢江ちゃんとはどうなったの?
 勇次郎と戦うとか言ってたけど、アレどうなったの?

 どれも、質問しづらいな。

 刃牙が戦う気になったのはイイ。
 しかし、ピクルに勝てるのだろうか?
 ピクルは勇次郎よりも腕力がある存在だ。
 今の刃牙では、かなり厳しい。

 そもそも、最近の刃牙は特訓をしていないし、成長もしていない気がする。
 オリバに勝ったあとから、何も変化(かわ)っていない
 とりあえず、剛体術を超える新必殺技が欲しいところだ。。
 克巳の真マッハ突きをパクって解決するかもしれませんが。

 ピクルに負けないように、野性度を高めるのも有効かもしれない。
 とりあえず、肌の露出をもっと高める。
 いや、すでにパンツ一丁で戦うのが刃牙のスタイルだな。
 だから刃牙は強いのか?
 ともかく、これ以上は脱げない。脱ぐのは各方面に問題が発生する。
 ならばヒモ状のパンツに変更して露出を増やしてみてはどうか。

 どうせなら、服の素材を天然由来のものにする。
 ピクルが倒したシベリアトラの毛皮を有効活用して、ヒモパンの素材にするのだ。
 でも、それだとピクルの成果を盗んでいるみたいで印象が悪い。
 それに、鎬昂昇に紐切りをやられたら一撃必殺なのが弱点ですけど。
 妄想巨大カマキリのカマをぶらさげるイメージで対応するか?

 あとは、SAGA第二章か。
 常識を超えた力を出すためには、非常識なコトをしなくちゃいけないのだ。
 でも、梢とHしたあと、不運なアクシデントで刃牙は絶不調になった。
 梢江は運勢をさげるのだろうか。SAGAというよりSAGEだ。
 やはり、SAGAは控えめにしたほうがいいかもしれない。読者のためにも。

 『範馬刃牙』は、親子の相克がテーマのひとつだ。
 刃牙よりはやく、愚地親子がぶつかり合って、互いを認め合った。
 ピクルとの戦いだけではなく、親子の戦いでも先手をうたれている。
 なるべくなら、こっちの遅れも取りもどしたい。
 そこで、気になるのが範馬勇次郎の動向ですが……
 何をやっているんでしょうか、あの人は。

 地上最強の親バカですから、刃牙を影で見守っている可能性は高い。
 ご馳走を必死にガマンして息子が立ちあがるのを待っているのだ。
 そろそろ、シビレを切らして刃牙へのアドバイスをするかもしれない。
 となると、動くのはストライダムか!?

 8関節同時加速による進化した真マッハ接待だ。
 刃牙の野性を解き放つため、SAGAの宴をお膳立てするかもしれない。
 梢江ちゃんと、その母・絹江さんによる親娘同時加速の真マッハSAGA!
 そして、花山に「二股はダメだろ!!」と怒られる。
 花山は刃牙に怒る権利があるハズだ。

追記 (08/11/12)
 ついに、範馬刃牙が始動するッ!
 するのか!?

 オリバ編を思い返すと、刃牙は本気になってからが長い。
 こっちが迫ると逃げるし、譲歩すればつけこまれる。
 ウブなピクルも刃牙の手玉に取られるのだろうか。
 まあ、ピクルは純粋ゆえに刃牙の欺瞞工作に引っかからないかもしれない。
 なにしろ言葉が通じないから。
 風俗店の呼び込みもダマせていなかったし。(14巻 108話

 そうなると、刃牙が働きかけるのはピクルの周辺かもしれない。
 まずは外堀を埋める。
 むしろピクル戦に備えて、まわりの人間と特訓をするのかもしれない。
 妄想ティラノサウルスとリアルシャドーばかりしていても、ピクルには勝てそうもないし。

 ピクルはピクルで、技を覚えてパワーアップする可能性もある。
 戦いの中で原始の友情を感じた烈と克巳が技を教えて手のつけられない怪物に育てあげるとか。
 烈と克巳の敵討ちをするつもりで戦いにきた刃牙は涙目の展開だな。


 現実世界では、つぎの米国大統領がバラック・オバマ氏に決まった。
 刃牙世界の米国大統領というと、範馬勇次郎の機嫌をとるのが重要な仕事だったりする。
 オバマも勇次郎にいじられる運命なのだろうか。

 刃牙世界では、クリントン風大統領 → ジョージ・W・ブッシュ風大統領 → オバマ風大統領 と三代も大統領が変わることになりそうだ。
 ついでに、政権が民主党 → 共和党 → 民主党と入れ替わった。
 この政権交代も範馬勇次郎効果なんだろうか?


 メールで次のような質問を受けました。
『質問ですが、バキ完全版22巻の表紙の顔は誰なんですか?克己ですか?』

 いや、俺に聞かれても(^^;
 まあ、とにかく。22巻はこの人です。

グラップラー刃牙 22 完全版 (22) (少年チャンピオン・コミックス)

 FAWの長田弘ですね。
 いや、ちがうッ!

 掲示板で通行人Bさんは次のように書いていました。
『22巻、今ごろ加藤かよ! と、思ったら、違う人でした。
 なら、23巻は彼女ですよね?』

 克巳でも加藤でもない。
 おそらく、ベトナム戦争時のヤング勇次郎でしょう。
 これでも16歳なんだよな。
 現在の刃牙よりも若い。

 ちょっと、ふくよかな気もしますが若さゆえのアヤマチなのでしょう。
 認めたくないものですが。
 ちなみに、私がパっと見て長田だとカンちがいしたのは本当の話です。
by とら


2008年11月13日(50号)
第3部 第137話 会談 (793回)

 忘れていた。刃牙のターンのあとは、勇次郎のターンだッ!
 妄想カマキリと戦ったあとは、勇次郎が出てきた。(3巻 15話
 刃牙がオリバに勝ったあとも出てきたぞ。(10巻 79話
 食事の最後を飾るのがデザートであるように、刃牙の活躍を飾りたたえるのが勇次郎だ。
 ……って、刃牙は活躍していなかったか。

 なんにしても、ひさしぶりに範馬勇次郎が登場する。
 最後に出てきたのが364日前なので、ちょうど1年ぶりだ。(12巻 88話
 ピクルに興味ありまくりで、押しかけていったほどだが、その後姿を消す。
 今までかくれていたのは、刃牙の奮起を願ってのことだったのだろうか?
 そして、刃牙がなかなか動かないので先に動いちゃったのだろう。

 道ゆく勇次郎に近づいたものは、老若男女とわず体の動きが止まる。
 至近距離で捕食者と出会いパニックで体がかたまる草食動物のようにッ!
 いつものように4ページにわたる解説術が繰りひろげられた。
 チーターはわずか4秒で最高速度の110km/hにたっする。
 まさに、『プロ中のプロ』だッ!
 チーターは、プ……プロフェッショナルなのか。今まで、甘く見ていた。

 至近距離でチーターに遭遇したインパラは、絶望的状況に全身がすくんで固まってしまうという。
 まるで、ゴルゴ13に狙われたような死亡フラグだ。
 たしかに、これは固まってしまう。

 ちなみに、このネタはグラップラー刃牙14巻 123話にも登場する。
『至近距離でチーターに出くわしたカモシカは身動きがとれなくなるという…
 絶対に逃れられぬという絶望からパニックに陥るためといわれるが…………
 ここに居合わせた見物人(ギャラリー)たちの状態はまさにそれであった……………………』


 草食動物が固まるという話は、たまに聞きますが、どの程度真実なんでしょうか。
 小説『ジュラシック・パーク』(AA)に「ティラノサウルスは止まっているものを見るのが苦手」という学説が出てきた。
 だから、草食動物は動かずに捕食者をやりすごすこともあるらしい。
 実際のところは、どうなんでしょうか。
 サバンナの映像ってのは、望遠レンズで撮影する。
 距離感が狂って見えているだけで、実は安全距離でかたまっている可能性もあるし。

 草食動物の謎は謎のまま、範馬勇次郎はコンクリート・ジャングルを歩く。
 市民はみな、勇次郎の底知れぬナニかを感じよけて通るのだった。
 オリバも愛読している『ユーザーイリュージョン』によれば、無意識の行動こそ重要らしい。
 無意識に危険を感じ、勇次郎に道をゆずる行為は、生物として正しい選択なのだ。

 だが、範馬勇次郎に道をゆずらない男がいた。
 武神・愚地独歩である。
 60兆の細胞から発せられる生命危機をうったえるサインを、意思でねじふせ立ちふさがる。
 高所で綱渡りをするような、デートの参考書に刃牙SAGAのような、危険行為だ。

「立ち合いたい」
「――――ということでもなさそうだが」

「ちょっと付き合ってくんねェかな」


 独歩は勇次郎を飲みに誘うのだった。
 そして、二人は高そうなバーへ。
 勇次郎の迫力があれば、このバーによる人がいなくなるだろう。
 天然の店貸切男だ。

 だが、バーテンダーもプロ中のプロである。チーター級のプロだ。
 範馬勇次郎を前にして、シェイカーをふる手元にいささかの狂いなし。
 彼も一国一城の主なのだ。
 城は自分で守るぐらいの気構えをもっているのだろう。

 存分にシェイカーをふり、カクテルをグラスにそそぐ。
 表面張力で盛りあがるぐらいに、いっぱいだ。
 『ジョセフ vs. ダービー兄』並みの表面張力ですよ。もう、コイン1枚も入らない。

「お口のほうから――――」
「迎えてあげて下さい………………」


 勇次郎に対し、ナニ言ってんの!?
 すすれと言うのか!?
 勇次郎にすすれって言ってんのか!?

 なんて命知らずな。
 いや、コイツは鈍いんだ。

 勇次郎の前でもビビらなかったのは鈍感だからだろう。
 文明に浸りきっている人間のなかには、こういうヤツもいる。
 本能を100%発揮できないのは、才能だ。
 文化的な仕事につけば力を発揮できるぞ。

 勇次郎は、テーブルを指で突く。
 衝撃でグラスが浮いた。
 空中でグラスをキャッチし、そのまま飲みほす。
 カクテルは一滴もこぼれなかった。

 あわてて杯に口をつけるようなマネはしない。
 肉体のパフォーマンスを最大に発揮して飲むのが勇次郎の美学だ。
 鈍感なバーテンダーに、範馬勇次郎のすごさを刻みつけることもできた。
 酒を飲むという単純な行為でさえ、範馬勇次郎に敗北は許されないのだ。
 このパフォーマンス失敗していたら即効で逃げ出すんだろうか。3秒で120km/hに達する勢いで。

 愚地克巳がみせた灼熱のような進化。
 きっかけは範馬勇次郎の一言にあった。
 独歩はそう考えている。

「だから相手にもされんのだ―――――――――
 俺にも刃牙にも父親にも」
11巻 86話

 勇次郎の過剰に厳しい指摘が、克巳を進化させた。
 環境に変化があると種の絶滅や、進化がおきやすい。(参考
 追い詰められた克巳が、生き残るため必死になって進化したのだろうか。

 135話で、独歩は烈の敗北が克巳に火をつけたと考えていた。
 だが、ゆっくり考えると起源は勇次郎の発言だったらしい。
 遠くのピクルよりも、近くの勇次郎・刃牙・独歩だ。
 身近な人から相手にされていない という指摘が克巳に危機感を与えたのだろう。

 しかし、進化したのはいいが、克巳は最後までプラン無しだった。
 何も考えずに行動しすぎだ。
 でも、克巳はがんばって強くなったよね。
 独歩は、そんな克巳をほめまくる。
 勇次郎も克巳が化けたことには同意した。

「しかし愚地独歩よ」
「貴様等は重大なミスを犯している!!!」

 勇次郎は親バカ勝負でも負けるつもりは無いッ!
 カクテルを飲むときのように、アクロバティックな技で刃牙を持ちあげるのか!?
 範馬勇次郎と愚地独歩。
 最強・二大オヤジが激突する!?
 次回へつづく。


 立っているだけで存在感あふれまくり、GPS狂いまくりの範馬勇次郎でした。
 「色を知る年齢(とし)か!」バキ9巻 74話
 と、刃牙と梢江のデートを見守ったときも、通行人がよけていた。
 やはり、昔から目立つ人だったのだ。
 勇次郎がいると周囲の人間がいなくなって静かになる。周囲が静かになれば、雰囲気も出てくるかも。
 大胆に目立っているが、影から息子のデートをサポートしていたのかもしれない。

 ところで、独歩はどうやって勇次郎の位置を知ったのだろうか?
 GPSが狂う位置を三角法 でつなげると勇次郎の居場所が判明するのかも。
 人が逃げてくる先に勇次郎がいるのかもしれない。
 まあ、勇次郎の位置は米軍が把握しているだろうから、ストライダムに聞けばわかるよね。
 そのストライダムは勇次郎の命令で、刃牙へのご機嫌うかがいだろうか。

 それにしても、命知らずのバーテンダーもいるもんだ。
 知らぬこととはいえ、鬼に酒をすすれと申したか。
 勇次郎のことだから「邪ッ」と気合をはっして、空中から吸いこむんじゃないかと思ったよ。
 理由がどうあれ、勇次郎が頭をさげる姿は想像しにくい。
 勇次郎は、小銭おとしても頭さげたくないから拾わないよ、きっと。

 酒をすするのも似合わないが、回転寿司なんかもムリっぽい。
 勇次郎は、目の前で大トロを取られて怒りに表情をゆがめるのは、似合わないの極致だ。
 怒るのはいつものコトという感じだけど。
 そもそも回転のペースがあわないと文句をいう。
 自分でベルトコンベアを回す。皿が飛びちって阿鼻叫喚となる。
 全客・全店員ノックダウンで勇次郎完全勝利として帰るというオチになるだろう。

 マクドナルドなども似合わない。
メガマック100個。すぐにだ」
「イ、イエッサーッッ!」

 マクドナルドのマニュアルに収まりきらぬ男である。

 ちまちま食べるのは似合わないけど、カニだと似合いそうだ。
 ゾブッ! バリッ! コリッ! ドリュッ!
(甲羅ごとッッッ!? 食べ方、教えたほうがいいのか?
 あんまり似合わないかもしれない。

 勇次郎がプッチンプリンを喰うなら!
 裏の空気穴から、掌で空気を送りこむ。
 強力な空気圧に押され、プリンが空中に飛びでる。
 喰うッ!
 ワイルドかつスイーツな食べかただ。

 話を戻す。
 独歩たちが犯したミス、が今回の宿題だ。
 まさか独歩と教育論を戦わせたりはしないだろ。
 二人とも、父親としては失格気味だ。
 子育てについて語れる資格がない。
 勇次郎なんて、教育以前に親子関係が破綻気味だし。

 というワケで、戦いについての反省会になると思われる。
 単純に敗北したコトが失敗だろうか?
 修復不能のダメージを受けたことも失敗といえる。
 刃牙の出番が無かったことかもしれない。
 そりゃ、失敗というより勇次郎の不満だよな。

 勇次郎は今まで参加できなかったからスネているのかもしれない。
 本当はピクルと戦いたかったのだろう。
 でも、刃牙のためにガマンしたのだ。
 その結果が克巳の灼熱だから、勇次郎としては面白くない。

 勇次郎は克巳の試合内容をどれぐらい知っているのだろう。
 知ったうえで戦略・戦術的なミスに気がついたのかもしれない。
 われわれは、ピクルの本質を見誤っていたのだろうか。
 克巳は努力する方向を間違えたのかも。
 刃牙に正しいトレーニングを課すため、範馬勇次郎が親バカを爆発させぞうだ。

 勇次郎の威圧感は神心会5万5千人よりスゴイぜ!


追記 (08/11/15)
 掲示板で えんさん、Tさん、それとメールでも指摘を受けましたが、最後に範馬勇次郎が登場したのは15巻 116話でした。
 うっかり失念していました。まことに申し訳ありません。
 情報ありがとうございます。

 やっぱり、勇次郎は刃牙がアクションを起こすたびに登場していますね。
 どんだけ親バカなんだか。
 常に刃牙のあとをつけていそうだ。
 やっぱり、すごい堂々と通行人にさけられながら尾行しているんだろうな。
 『色を知る年齢(とし)か!』事件のときみたいに。

 チャンピオンの予告には『克巳VS.ピクルの死闘をみた勇次郎の口から衝撃の言葉か…!?』とあった。
 勇次郎はこっそりドームに潜入して迫力満点で見学していたのだろうか。
 観客席に人が避けてできた空白地帯があれば、その中心に勇次郎がいるッ!
 まあ、最大トーナメント時にはふつうに見学していたんで、その気になれば覇気をおさえることもできるんでしょう。
 デートをつけるときは、おさえる気まったく無いらしいけど。

追記2 (08/11/18)
 範馬勇次郎の指摘する重大なミスとは、いったい何だろうか?
 当サイト掲示板の意見を要点だけ抜き出して簡単に並べてみる。

・ピクルに人間性をあたえ、野性を薄れさせた。

・克巳さんのミスは生き延びる意識が弱い点だと思います。

・ピクルに技を教えたことではないか。克己の成長よりも、ピクルの成長を指摘したいんでしょ。

・野生を鈍らせたことだと思います。

・ピクルに「こいつら(人間)の全力はこの程度なのか…」と印象づけてしまった。

 書き込むぐらいだから、ありきたりな説がないですね。
 誰でも思いつきそうなところだと……

・人間技にたよった。
・再起不能のダメージを受けた。
・ピクルにエサをあげなかった。
・もっと刃牙に興味をもて。

 よその感想を見るとマサキさんは「バキが心配」派、大吉さんが無派閥だ。
 いや、大吉さん そこでちゃんとボケないと。
 一日30時間のSAGA感想からやりなおせッ!

 それはさておき、独歩たちのミスとはなんだろうか?
 ピクルの弱体化というのは、なかなか斬新だ。思いつかなかった。
 格闘技を学んだボブ・サップが弱体化したように、文明を知り野性を失ったピクルも弱体化するかもしれない。
 手でつかむとバイキンがつきそうだからとハシで寿司を喰うようなピクルは見たくないですよ。

 まあ、それを言うと勇次郎だってピクルに技を教えたことになるんだけどな。(12巻 88話
 自分のミスをごまかすため、過剰に独歩を責めるつもりか!?
 上等なハチミツに砂糖をぶちまけるがごとき行為ッ!
 甘いッ! 甘すぎるッ!
 独歩も絡みにくいだろうな。

 それとも、愚地克巳と思われていた人間は、範海王だったのだろうか。
 だとしたら、大きすぎるミスだよな。
 そりゃ、ちょっと待ってくれと言いたくなる。
 むしろ勇次郎が主張するなら「俺は範懐王となんか因縁がありそうだったけど、そんなことは無かったぜ!」か?
 いまさらですが……
 範海王の謎がとける日は来るのだろうか?
by とら


2008年11月20日(51号)
第3部 第138話 本分 (794回)

「貴様等は」
「重大なミスを犯している」


 範馬勇次郎からの宿題だッ!
 思い返してみると、克巳はなんかミスだらけだった気もする。
 良いとこ探しをするほうが大変かもしれない。
 マッハを出せてよかったけど、自爆だったもんな。

 克巳が、武術の歴史に新たなる一ページをしるしたのはマチガイない。
 だが、進化しすぎちゃって実用に向いていない技術という感じだ。
 青銅聖闘士(ブロンズセイント)から、やり直せ。

 前回、危機意識の欠落をみせつけたバーテンダーが汗を流している。
 勇次郎の行動で、やっと生存本能が目覚めたようだ。
 いまなら勇次郎が近づいただけで細胞が危機をかんじて動きをとめるだろう。

 それにしても緊張しすぎという感じだ。
 過剰に危険をかんじちゃって、「貴様等」の中に自分も入っていると思ったのかもしれない。
 だって、バーテンダーが前回やった行動って、あきらかに失敗だし。
 シャレがつうじる客かどうかを見極めるのもプロの腕前だろ。
 大擂台賽における範海王なみに残念な実力だ。

 独歩とやりとりしつつ、勇次郎は酒を注文する。
 度数70%のスコッチ『ポート・エレン』だ。(参考
 刃牙世界の住人は強くてクセのある酒が好きらしい。
 たしかに、安売りセールで発泡酒を買いこむ姿はにあわん。

「ア…」「はい」
「ハイッ」「ハイッ」


 勇次郎に呼ばれ、あわてて返事をするバーテンであった。
 ハイが多すぎだ。
 まさに全細胞が危険を感じている。

 前回みせた余裕は微塵もなく……
 デコに刻まれたシワが消えない。
 短時間で老化しそうな勢いだ。
 そして、メガネはずんどこズリ下がっていく。

 勇次郎はポート・エレンをボトルごとわたせと命じる。
 そして、ボトルの底をつかむと、ビキッと割ってあけた。
 ビンの首部分を折って飲む、花山と逆の発想ッ!
 花山は力で折るけど、勇次郎の場合は力と技とスピードで切る。
 人間の頭をつかんで揺らすことで、脳震盪をあたえるシェイク技の応用だろうか。(バキ30巻 266話)

 勇次郎は、底のぬけたボトルを傾け、中身をジョッキにうつした。
 うつすのかよッ!?
 直飲みじゃなくてッ!?
 意外とお上品(?)じゃねぇか。
 というか、そのジョッキはどこから出したんだ?

 そして、アルコール70%のスコッチをジョッキで一気飲みだッ!
 ひとビン700mlだとすると、アルコールを490ml摂取した計算になる。
 アルコールの致死量は378〜456mlらしいので、うっかりすると死ぬ。参考
 まあ、勇次郎は体重が100kg超えているので、致死量はもっと多いだろう。
 オマケに内臓も無敵だろうし、アルコールにも負けない。

 ○ 範馬勇次郎 VS. ● ポート・エレン (決まり手:ジョッキ イッキ飲み)

 勇次郎がさらに加速する。
 今度の相手はタバコだッ!
 一本くわえて火をつける。
 そのまま一気吸いだ。フィルターが焦げるまで吸いつづけた。
 勝負アリッ!

 ○ 範馬勇次郎 VS. ● タバコ (決まり手:イッキ吸い)

 勇次郎は、吸いこんだ煙を一気に吐きだす。
 忍者が身を隠せそうなほどの煙がたちこめる。
 直撃を喰らったバーテンは激しくむせかえるのだった。
 受動喫煙効果がバツグンだ。

 勇次郎は前回の仕打ちをけっこう根にもっていたのだろうか。
 バーテンのあつかいが悪い。
 でも、勇次郎は過去の恨みを引きずったりしないハズだ。
 徳川軍団の麻酔鉄砲隊・三段撃ちで倒されたあとも、とくに恨んでいなかったし。
 ただの趣味か?
 それとも、息子にかまってもらえない うっぷんを人にぶつけているのか?


 話を「貴様等のミス」にもどす。
 勇次郎が話し出すよりはやく、独歩がミスを認める。
 独歩の自覚は、勇次郎も予想していなかったようだ。
 本来なら鬼説教モードにはいるところだったが、勇次郎は待ちの姿勢に変化した。
 ここで勇次郎が酒を飲んだのは、腰をすえる覚悟なのだろうか。

「甘きに………」
「傾きすぎた……………」


 灼熱の進化を遂げた愚地克巳に、みな酔いしれた。
 それが甘かったというコトらしい。
 抽象的な禅問答みたいで、真意がつかみにくいな。
 でも、勇次郎にはバッチリ通じている。
 筋肉で語る人たちには、難しい理屈は不要なのだ。
 言語の差もカンタンに超えてみせる。

 独歩は克巳を甘やかしてしまった。
 と、いう意味ではない。
 独歩は自分に甘かった。
 いや、克巳を応援していた者たち、みなが甘かったのだ。

「たとえ親兄弟でも手加減をするなッッ」

 己こそが最強であるというワガママを通す。
 それが武術家の本分である。
 だが、独歩たちは自分たちで戦わず、仲間を応援した。
 自分の戦いを放棄して、なんの武術家か。

 克巳を最前線に立たせてしまった後悔も、すこしありそうだ。
 いまだ現役で戦う気概を持ちつづける武神であった。
 だが、勝算はあるのだろうか?
 真マッハ突きを上回る破壊力を、どこから持ってくるのだろう。

 克巳を応援していた人間が甘いのなら、刃牙も甘いコトになる。
 と考えていた時期が私にもありました。つい さっきまで。
 思い返せば、刃牙って克巳のことを前座ぐらいにしか考えていなかった。(135話)
 刃牙はビター味だ。きびしく苦い。

 でも、克巳を殴りたおして代わりに戦うという蛮行に出なかったところが甘い。
 克巳を見下していたことを反省したのも甘いのだろうか。
 けっきょく刃牙もバーモントカレー中辛ぐらいだ。
 勇次郎は間接的に刃牙を批判している。……のかな。
 はやく戦って欲しいだけかもしれんが。


 戦ってこその武術家である。
 認識を確認しあった勇次郎と独歩は、話の中心であるピクルについて語りあう。
 1億9000万年眠っていたピクルが、人間が現役でいられる50年のうちに目覚めてくれた。
 50 / 1億9000万 = 1 / 380万 の奇跡ッ!
 この確率は偶然ではないッッッ! (力説ッ)

 1 / 380万という理屈はあきらかに おかしい。
 おかしいけど、言わんとすることはワカる。
 大いなるナニカが地球史上最強を見たくなったのだ。
 そして、ピクルをこの時代によみがえらせた。
 現在現役の生物は、みな地球史上最強の挑戦権をもっている。

 現役に間に合った独歩は、地球規模のビックチャンスに心動かされているのだろうか。
 どうせ、いつか死ぬのであれば、納得のいく死にかたをしたい。
 独歩・渋川・郭海皇といった高齢の戦士たちは、最期の戦いを選びそうだ。
 そして、本部には最期の解説をお願いしたい。


 刃牙はピクルをリアルシャドーで召喚しようとしたのだが、失敗した。
 リアルなシャドーで宙に浮くことすらできる刃牙だが、妄想にも限界があるらしい。
 勇次郎やティラノサウルスは召喚できるのに、ピクルは無理なのか。(122話バキ31巻 最終話

 これは理解が足りないのだろう。
 刃牙がピクルと戦ったときは油断して蹴られて終わった。
 克巳とのバトルは、克巳が一人で自爆する展開だ。
 ピクルが動きまわる姿を、ほとんど見ていない。

 それと、ピクルは刃牙のことをジャれる相手としか見ていなかった。
 妄想ピクルは具現化しそうになると、どこかへ旅立ってしまうのだろう。
 刃牙と戦うピクルなんて、御神木で木像を作ったら神さま(美少女)が出てきたという展開なみにありえない。
 最大の失敗はピクルとのファーストコンタクトで醜態をさらしまくったコトだよな。
 アレいらい、花山も出てきてくれない。
 外伝が今秋連載開始という情報はどうした。まあ、疵面にはありがちなコトですが。

 独歩に、刃牙に動きがあった。
 地球史上最強を決めるバトルが始まるのだろうか?
 しばらく出番のなかった戦士たちも地上で羽化するセミのごとく動き出しそうだ。
 なにしろ、戦士みんなが最強候補なのです。
 加藤だって、きっと!
 次回につづく。


 酒にタバコと、身体に悪そうなことばかりする範馬勇次郎であった。
 勇次郎は悪習慣にも勝つ気なのだろうか。
 刃牙も「癌細胞だってかなわない」と絶賛していたし。(1巻 7話
 どこまでパパ大好きっ子なんだか。

 花山もそうだけど、勇次郎の飲みかたはガラスの破片が入っていそうだ。
 それでも大丈夫なのところが、範馬勇次郎性なのだろう。
 餓狼伝の伊達潮雄みたいなタバコの吸いかたしていますが、それも範馬勇次郎性だ。(餓狼伝5巻 28話)
 刃牙も、もっと俺イズムを磨いたほうがいいかもしれない。
 自分の中に範馬刃牙性[SAGA]を作れ!

 勇次郎の飲みかた吸いかたは文明の洗練から遠い。
 野性度を上げるためのアプローチなのだろうか?
 ビンに、お口のほうから迎えてあげなかったのは、ガラスでくちびるを切るのが怖かったのかも。
 カッコつけていても、くちびる切ったらダサいよね。野性だいなしだ。
 てっきりボトルに対して「ショットガン飲み(承太郎が留置場でやった飲みかた)」を仕掛けるのかと期待したんだけど。

 今回、みょうな計算をみせてくれた愚地独歩であった。
 じつは数学が好きなのだろうか?
 子供のころに、ひたすら9を書きつづけて1になるかを試していたぐらいだし。
 武の才がなかったら、学者になっていたかもしれない。

 ピクルが最強の世代を狙いうって復活した説はいいとしよう。
 ならば、なぜ勇次郎の最晩年まで待たなかったのか?
 勇次郎は今でも強くなりつづけている。
 もう少しまっても良かったハズだ。
 まさかと思うが、勇次郎の寿命は長くないのだろうか?

 そして、次の世代である範馬刃牙に期待がかかるのだった。
 あとジャックにも期待だ。
 期待しているんだけど、刃牙が輝いて見えるほどに出番無いんだよな。

 刃牙のリアルシャドーはリアルゆえに上手く行かないこともあるらしい。
 ならば、刃牙が呼びだした範馬勇次郎も、現実とはすこしちがう性能だったのだろう。
 戦っても軽症ですむていど。
 勇次郎というより、勇三郎か勇四郎ぐらいの強さで。
 その後も刃牙は元気に活動している。妄想勇次郎が弱かった証拠だ。

 すると理想の彼女も具現化できないんだろうな。
 外見はメッチャ好みなんだけど声が堀江由衣ではなく小島幸子みたいな感じで。
 ちなみに小島幸子さんは、アニメで松本梢江を演じておられます。

追記 (08/11/26)
 明日のチャンピオンは、刃牙がお休みだ。
 なので、次回は烈 vs. ピクル以後の刃牙を振りかえる予定です。
 08年3月13日から はじまる灼熱の8ヶ月だ。

 しかし、話としてはすごいスローテンポですな。
 なにしろ『克巳が新技開発して、ピクルに負ける』で説明できちゃう。
 まあ、戦っている間は良かった。
 何百回と突っ込んだり、何回か感動で泣きそうになったし。

 でも、その後の勇次郎と独歩のトークは展開遅すぎ。
 導入からが遅い。スローリーだ。

『至近距離でチーターに出くわしたカモシカは身動きがとれなくなるという…
 絶対に逃れられぬという絶望からパニックに陥るためといわれるが…………
 ここに居合わせた見物人(ギャラリー)たちの状態はまさにそれであった……………………』

(by グラップラー刃牙14巻 123話)

 昔は、このナレーションの1ページで終了していたのに。
 進化しつづける勇次郎は、おなじ強さ表現でも時間がたつにつれて迫力が増すのだろうか?
 タバコ1本すうのにコマ使いすぎだよ。
 将来的には、チーターを見てパニックを起こす草食動物の家族関係も掘りおこして回想するのか?

 刃牙もリアルシャドーの説明が確実にクドくなっていた。
 これも巨凶なる範馬の血が目覚めた弊害だろうか。
 油断していると、ルー大柴なみにくどくなった上、説明がかえってわかりにくくなりそうだ。
 ジャックも、うっかり9週間の回想をするなど、素質はあったんだけどな……

追記 (08/12/3)

 先週は刃牙がお休みだったので克巳編のまとめをしました。
 克巳はこんなにガンバっていたのに、ホント刃牙はなにやってるんだろうな。
 でも、これからが(たぶん)刃牙のターンだ。
 ウザいぐらいに活躍してくれるんじゃないかと期待する。

 烈が負けて、克巳が負けた。
 普通に考えたら二人より弱い人間が戦うことにはならない。
 だが、「いまさら克巳?」という感じで克巳が出てきて、がんばったのだ。
 いまさら加藤が出てきてもおかしくない。いーや、自然だ!
 それこそ、てぐすねひいて加藤が出番を待っているだろう。

 もっとも、ピクルを打撃技で倒すことに限界を感じつつある。
 マッハを持ち出しても勝てないんだ。
 スピードをこれ以上あげても勝てない。

 そうなると、刃牙世界なら『力』の勝負になる。
 だが、オリバをアメリカから呼んだとしてもピクルに力で勝てるとは思えない。
 かなり手詰まりっぽいな。

 でも、花山には気力で補ってピクルを止めた実績がある。
 刃牙も精神的な支えを手にすればピクルを止めることができるかもしれない。
 ……今の刃牙には、ナニがあるんだろうか?
by とら


2008年11月27日(52号)
愚地克巳 VS. ピクル編まとめ

 今週は『範馬刃牙』がお休みなので、今までの展開を振りかえってみる。
 だいたい30話ぐらいで、まとめをしている計算になる。
 今までの、まとめは以下のとおり。

妄想のカマキリ戦 〜 純・ゲバル編 (1〜35話)
オリバ vs. ゲバル 〜 刃牙 vs. オリバ (36〜79話)
外伝ピクル 〜 烈海王 VS. ピクル (80〜102話 + 外伝7話)

 次にまとめを するのは170話あたりになるんだろうか。
 そのころには、ピクルもついに敗北を味わっているのかもしれない。
 逆に、まだ刃牙と戦っていないかも。


ピクル争奪戦 第三章スタート
 サブタイトル  内容
 103話 敗北の報 烈海王の敗北を、独歩は冷静に受け止る。克巳は怒った。   
 104話 強奪 脱走したピクルは剣持武志(21)を襲って服を奪う。
 105話 徘徊 烈を思いながら歩いていたピクルはトラックにはねられる。
 106話 発見 トラックに逆襲したピクルは荷台に大量の肉を発見する。
 107話 長たる器 克巳は神心会門下生を総動員し、ピクルを捜索した。
 108話 強き父を持つ事  ピクルの前に花山が登場する。克巳は独歩と対立した。
 109話 奇妙な二人 克巳は独歩を倒し、花山はピクルに殴られる。
 110話 通行止め ピクルは花山にトリケラトプスを感じるのだった。
 111話 精神力 花山が足止めしている間に、範馬刃牙が到着した。
 112話 到着 ピクルが合気をつかう。刃牙が蹴る。そして、どこかへ行く。
 113話 恋慕 克巳は、ピクルとの戦いは不可避だと決意する。
 114話 羽化 刃牙はピクルの誘いにのらず、蹴られて失神した。

 ピクル争奪戦の第三章は冷静な独歩と怒る克巳の対比ではじまった。
 その後の展開をかんがえると、克巳の怒りが長い伏線になっている。
 独歩の静かな態度も、今後の展開にかかわってきそうだ。

 克巳の行動はプラン無しだ。
 でも、克巳には目的がある。組織の行く先を示しているのだ。
 目的地を考えるのがリーダーの仕事で、道を考えるのは部下の仕事。
 そう思えば、克巳もりっぱな組織の長かもしれない。

 ピクルは服を着たりトラックにぶつかったりして、文明にふれていく。
 そして、花山の精神力にトリケラトプスを感じた。
 ピクルが現代人に近づき理解を深めるエピソードだ。
 つまり、野性が失われていくと言うことでもある。
 現代人はいそいでピクルと戦わねばならない。……のかも。

 それにしても、刃牙の異常なやる気の無さはどういうことだろうか?
 嵐の前の静けさ、ツッコミの前のボケ、破壊の前のムエタイ ですね。……たぶん。
 逆に、刃牙にやる気を出させるためのエピソードだったのかもしれない。



進化する愚地克巳 〜マッハを超えるマッハ〜
 115話 501年目 克巳は純粋にピクルと勝負したい。烈海王がサポートだ。
 116話 克己心 刃牙はやる気をだす。克巳はマッハ突きの進化をめざす。
 117話 オアシス 刃牙はやる気をだし、ピクルは待つ気じゅうぶんだ。
 118話 超音速 背骨の個別加速+指関節加速+頭部の重さをのせる = 新マッハ突き   
 119話 完全技 郭海皇が登場する。関節を増やした、さらなるマッハ!
 120話 生への渇望 イメージの力で、さらなるマッハ突きに進化する。
 121話 天賦の才 克巳はさらに進化したマッハ突きを完成させた。
 122話 対野人戦準備 克巳はマッハ突きのさらなる可能性に気がつく。刃牙はリアルシャドー。
 123話 最終兵器たる所以  克巳の応援に義母と実母が参戦だ。
 124話 若きリーダー 神心会5万5千人が正拳突きで克巳を応援する。

 修行編です。
 仲間の助けを借りて新必殺技をあみだす展開は、まるで少年漫画の主人公みたいだ。
 オマケにみんなが応援までしてくれるし。
 でも、少年漫画の文法にのっとるなら、ピンチになってから応援するもんだよね。
 ジャンケンは後出し有利だというのに、おしいことを。

 花山の強さと同じく、克巳の強さも精神(イメージ)力がみなもとだ。
 ある意味、精神万能主義ですね。
 範馬勇次郎の強さも、強靭な自我(エゴイズム)に支えられている。(グラップラー刃牙15巻 132話)
 心の強さが格闘の強さだ。
 そうなると刃牙のハンパない妄想力が立ち上がってくるぞ。
 SAGAれたのも心の強さだ!

 121話で克巳の妄想によって、腓骨がザクの動力パイプみたいになっていると書いた。
 桜木晃彦『自分の骨のこと知ってますか』という本によると、腓骨はほとんど役に立っていない骨なのだそうだ。
 だから動力パイプになっていても、まったく問題なし。
 克巳は正確な医学知識にもとづいて妄想していたのだろう。

 あと、この本によると人間以外の動物にはたいてい ペニスに骨がある らしい。
 ピクルの股間はどうなっているのだろう。
 下世話な意味じゃなくて、進化をめぐる学術的な興味として。
 ペニス骨が先祖がえりした人間というのはエロネタ的にありなんだろうか。
 けっきょく、下世話な興味になってしまった。



愚地克巳 VS. ピクル
 125話 歴史 vs 時空 技の克巳に、ピクルは力で対抗する。
 126話 巨大な牙 克巳の真マッハ突きが炸裂する。恐竜なみの破壊力だ。
 127話 狩り(ハンティング)  拳を、足を破壊しながらも、克巳は超音速で攻撃する。
 128話 空気の壁 音速の壁が克巳の手足を破壊する。ピクルはダメージから回復しつつある。
 129話 体重差 ピクルと克巳の体重差が大きなハンデだ。だが、克巳には切り札があった。
 130話 成りし時 衝撃波での間接攻撃が切り札だ。代償で克巳の右腕は骨がむき出しになる。
 131話 感謝 克巳は応援してくれた仲間たちに感謝する。が、ピクルは倒されていなかった。 
 132話 勝利の咆哮 ピクルは克巳を強敵と認める。克巳は敗北と死を認めた。
 133話 合掌 ピクルは克巳の右腕を喰いちぎる。だが、克巳に敬意と友情を感じていた。
 134話 結晶(たからもの) 努力により作られた強さにピクルは敬意をはらい、喰うのをやめた。
 135話 開花 敗北したが克巳はヒーローだ。
 136話 日中合作 克巳と烈の共同作業もピクルに及ばない。つづきは刃牙に託された。

 実戦で真マッハ突きが炸裂した。
 そして、さらに進化する。
 だが、その代償はあまりに大きい。

 烈のときもそうだけど、ピクルはまだまだ全力を出していないようだ。
 ピクルはほとんど攻撃していない。
 進化した克巳ですら、ピクルの本気を引き出せなかった。
 どうすれば、ピクルが全力攻撃するようになるのだろうか。

 そして、ピクルはさらに人間の心を理解するようになる。
 烈や克巳とは親友(ダチ)といってもいいだろう。
 刃牙についても、同じように思っているのか、不明ですが。



幕間 オヤジ対談
 137話 会談  範馬勇次郎と愚地独歩が飲みに行く。
 138話 本分 ピクルと戦う資格は現代の全員にある。地球史上最強を決める戦いだ。  

 話を仕切りなおす。
 現役の人は、みんな地球史上最強に挑戦する資格アリだ。

 今までの対ピクル戦は、個人的な興味で戦っていた。
 だが、これからは地球史上最強を目指しての戦いになる。
 地上最強の称号を得るため範馬勇次郎を狙っていたように、ピクルを狙うようになるのだ。

 烈や克巳は、戦いの意義がハッキリする前に散ってしまった。
 世界は勇気ある先駆者によってひらかれる。
 刃牙世界では、それが烈海王であり、愚地克巳なのだ。

 地球史上最強を目指す!
 つまり、これは地球史上最大トーナメントの開催だろうか。
 とうぜん動物も参加自由だ。
 ペイン博士がムリヤリティラノサウルスを解凍・蘇生させて参加させる展開もありうる。
 現代最大の肉食動物マッコウクジラとも真っ向勝負だ!
by とら


2008年12月11日(1号)
第3部 第139話 Like an Ogre (795回)

 今日も刃牙は地下室に こもってリアルシャドーだ。
 だが、うまく妄想できない。
 無限とも思われた範馬刃牙の妄想力にも限界があった。
 ピクルの実力をはかるのって、巨大カマキリと戦って宙に浮くより難しいんだ……

 直接ピクルとむかいあった。手足を、目を、牙を観察している。
 克巳と戦っている姿もみた。
 普段の刃牙ならコレでじゅうぶんなハズ。
 しかし、うまく妄想できない。
 ちなみに蹴り飛ばされてヨダレ流し+失神した を忘れたのか、思い出していない。15巻 114話


 ここで、烈海王が登場する。
 地下室の天井にある出入り口から、まず三つ編みをたらす。
 釣ってる! なんかの反応を釣ってるよ、コレ!?
 つっこんだら負けか?
 ならば、負けたかもしれない。

 さらに三つ編みをズームアップだ。
 なんで、そこでアップにすんの? どういう演出だよ、コレ!?
 刃牙の驚き顔を一コマはさむと、烈はすでに頭を全部だしていた。
 三つ編みの演出は、いったい何なんだ?
 烈は三つ編みにセンサーを仕込んでいたりして。潜望鏡のように、三つ編みで状況を探っていたのか?
 さすが、四千年である。きっと墨子の軍事技術にのっている技法なんだろうな。

「怪物製造工場(モンスターファクトリー)……………」
「想像していた通りシンプルなものだ」


 地下室に入った烈は周囲の様子をみわたす。
 本棚を見ると持ち主の思想がワカるという。
 どんな器具でトレーニングしているかを見ると、その人の戦いかたも予想がつく。
 だが、刃牙の妄想部屋はがらんとしているのだった。
 現在の刃牙には道具は不要。妄想でおぎなう!

 松本家のとなりにある家は けっこう道具がそろっていた。(グラップラー刃牙2巻 10話)
 むこうでは身体を鍛え、落書きハウスでは心を鍛えるのだろうか。
 最近の刃牙は、常識をこえた力を見せはじめているのだろう。
 だから、烈も「あの強さは道具で造れるモンじゃねェよ」と思っていたにちがいない。
 じっさいのところ、SAGAで造りました。

 烈は刃牙の家の中を、どんな風に想像していたのだろうか。
 最近の奇行を参考にすると、もっとサイケデリックな部屋だと警戒してしまう。
 たとえば、冷蔵庫のなかにはびっしり仏像がつまっている。……そんな不思議ちゃん的なイメージが。
 そりゃ、まず三つ編みを入れて反応をさぐってみたくもなる。
 シンプルな部屋でよかった。


 ピクルの全力は戦った烈にもワカらない。
 克巳も烈も、本気を引きだすことができなかった。
 まあ、蹴りとばされた刃牙より ずっとマシだけど。
 知らないということは、時に救いになるんだな。

「たまんねェな烈ちゃん……」
「こんなことって……」
「想像もつかねェ強ェ奴と」
「心ゆくまでヤレるんだぜッッ」


 なんかしらんが、刃牙は非常に前向きになって戦う気でいる。
 自分で自分を抱きしめちゃう。
 汗だらけで、きゅんきゅんだッ!
 控えめにいえば、けっこうキモい刃牙ちゃんだった。
 つうか、なんで急に烈ちゃんなんだよ。エンドルフィン出しすぎだよ。

 まあ、なんにしても主人公がヤる気をだした。
 そういえば、オリバ編だと本気になった場所は独房だ(9巻 64話
 窓のないせまい部屋で自分を抱きしめつつ浅黒い肌の男と会話をすると、スイッチがはいる体質か?
 なんぎだなァ、刃牙ちゃん……

「準備は整っているようだな」
「明日にでも徳川氏へ連絡を取ろう」

「連絡じゃねェ」
「明日…………」
「直…………」
「俺がピクルの下へ出向く」


 性急すぎじゃないかと思うような烈の提案だった。
 だが、刃牙は上をいく。
 アポなし突撃で勝負だッ!
 焦げつきそうなほど熱くなった刃牙は、もう止まらない。止められない。赤信号だってムシする勢いだ。
 ひさしぶりに強い奴と戦いたいモードに入っている。

 だが、ピクルに勝てるのだろうか?
 特訓をするなどして、もうすこし準備したほうがいいように思える。
 負けたときの罰ゲームが「24時間笑ってはいけないシリーズ」の比じゃない。
 リスクが大きすぎるんだから、もっと慎重に。
 でも、後退のネジをはずしているのがグラップラーなんだよな。

(まるで…………)
(オーガと話しているようだったよ…………)


 ひさしぶりに戦闘モードに入った刃牙に、烈海王はオーガの遺伝子を感じた。
 しゃべる前に「クス…」と笑うあたりが、オーガっぽい。
 『浦安鉄筋家族』の刃牙パロでも「クス…」はよく使われているし。
 もっとも、しゃべりかた じゃなくて闘争心が重要なのだろう。

 巨凶モードになった刃牙のすがたは、範馬勇次郎の狙いどおりだ。
 勇次郎がピクルに手を出すのをガマンしていたのは、刃牙の覚醒をまっていたのだろう。
 刃牙はヤる気をだしたが、すべて勇次郎の計算どおりなのか?
 物語は止まらず、一気に加速する。


 東京ドームに太陽がかかっている。
 時間は、朝か?
 それとも、夕方か?
 疾走する影はドアを破壊し、闘技場の柵も破壊して、ピクルの前にあらわれた。

『ジャック・ハンマー参戦ッッ!!』


「探したぜ…」
「直立原人……」

 刃牙が明日戦うというなかで、明日みぬ男ジャック・ハンマーがピクルに奇襲だ。

 自分主義をつらぬく範馬の長男(推定)が、先手をうった。
 身長2mオーバーの超常怪獣バトルがはじまるッ!
 次回へつづく。


 期待はしていたけど 予想していなかった、ジャック・ハンマー参戦だッ!
 刃牙の居ぬ間にピクルとやるぜ。
 太陽が夕日ならば、刃牙がやってくるまでの時間は12時間……
 いや、刃牙のことだから寝すごして24時間かもしれない。
 ジャックだけに、ジャック・バウアーのようにドラマが止まらず24時間戦うのかもしれない。
 いそがないと、刃牙の武力介入がはじまるぞ。

 ところで、ジャックはピクルのことを探していたらしい。
 烈がピクルに喰われた情報は聞いている。(13巻 103話
 どこで喰われたのかを聞いていなかったのだろうか?
 いまだにピクルが米軍基地にいると思って、なんども潜入を試みていたのかもしれない。

 それとも、ジャックは地下闘技場への入りかたを知らないのだろうか?
 最大トーナメントのときは案内されていただろう。
 シコルスキーと戦ったときは、猪狩に連れていってもらった。(バキ17巻
 バキ最終話でも、となりに猪狩がいる。(バキ31巻
 やはり、入り口を知らないのかもしれない。
 そうなると、トビラを破壊して進入する切羽つまった感じも理解できる。
 ジャックはけっこうアセっていたんだね。実際にからだじゅう汗まみれ。

「より明日強くなるために――――」「今日をもっと」グラップラー刃牙39巻 339話)
 そう生きてきた刃牙は、戦いを明日にまわす。

「今日強くなれるなら明日はいらない」
 そう生きてきたジャックは明日などまたず、獲物を探す。
 まあ、結果的にずいぶん時間がかかりましたが。

 二人の考えが、そのまま行動につながっている。
 ジャックは、あしたっていまさッ!タイプだ。
 刃牙は、宿題を明日やる。……明日こそ、やるよ。

 いっぽう、烈は蛮勇引力と見せかけて礼節を重んじる。
 目上の人にあう場合は、まず手紙を出して都合を聞くタイプっぽい。
 伝統武術はけっこう縦関係にキビシイのだ。
 先生は師父と呼んで、実父と同等の敬意をはらう。
 兄弟子は師兄で、先生の兄弟子は師伯、先生のおとうと弟子は師叔と呼びわけなくてはならない。
 人が集まると、相手の身分を瞬時に見抜いて呼びかたをかえる。ハンパなくきびしい世界だ。

 ピクルは自分より小さい人間を喰わなくなったかもしれない。134話
 だが、ジャック・ハンマーの身長は210cm以上でピクルよりでかいのだ。
 これは、負けたら喰われる。
 恐ろしいまでの崖っぷちだ。

 ジャックもピクルと同じく噛みつきファイターだ。
 両者噛みあう異質な戦いになりそう。
 相手に噛まれたら、今度こそピクルも容赦しない。
 ジャックの敗北はそのまま死につながりそうだ。

 だが、今まで『範馬は範馬でしか倒せない』という伝統があった。
 未熟だったころの刃牙や、不意打ちなどの例外はありますが、基本的に範馬最強伝説だ。
 ピクルがジャックを倒せたら、歴史的快挙とすら言える。
 1億9千万年のキセキは、範馬の血を超えることができるのか!?


・ おまけ1
 先週は刃牙がお休みだったので「愚地克巳 vs. ピクル まとめ」をしました。

・ おまけ2
 年末年始でチャンピオンが休むときは、花山薫総集編がでるらしい。
 しかも、二冊ッ! 12/18と1/6だッ!
 新作部分があると書いていないのがさびしいな……
 いちおう買って感想を書く予定です。
 『疵面』の「本誌本格連載始動、前夜祭」らしいので、春までには連載がはじまるかもしれない。

・ おまけ3
 愚地克巳とピクルが、灼熱のバトルをする『範馬刃牙 16巻』は12/8の発売だ。
 なぜか知らないが、本格的に画像が用意されていない。
 画像へのアドレスが存在しないのだ。
 出版できないような画像なんだろうか??

追記 (08/12/10)

 前回感想で『だが、今まで『範馬は範馬でしか倒せない』という伝統があった。/ 未熟だったころの刃牙や、不意打ちなどの例外はありますが、基本的に範馬最強伝説だ。』と書いた。
 これに関して掲示板で空師さんから次のような指摘をうけました。
範馬を倒すのは範馬しかいない、って
バキはトーナメント後だけでも
柳の空掌・毒に侵された時の烈の不意打ち・
ゲバル&オリバW攻撃・ピクルキック
で昏睡(ダウン)をもらっているし、
ジャックもジョン博士に会う以前に
スパーリングで気絶させられている描写があるけど
あれはノーカウントですか?

 たしかに、柳には完全に負けていますね。失念していました。申し訳ありません。
 刃牙の場合、柳以外は例外とした不意打ちだと思います。
 不意打ちを認めると勇次郎ですら無敗じゃなくなりますよね。

 ジャックの場合は広い意味での未熟だったと思います。
 刃牙も未熟なころは不良100人・ユリー・夜叉猿に敗北していますし。

 そもそも、倒した倒された・勝った負けたという判定基準はどこにあるのだろうか?
 最凶死刑囚編のテーマはそこにあった。
 勝ち負けは本人が決める。自分が負けだと思わないかぎり負けじゃない。
 柳が発言し、勇次郎も認めた主張だ。(バキ18巻 157話
 原作・餓狼伝のグレート巽も若いころは同じことを言っていた。

 つまり敗北条件は心が折れることと考えればいいのだろう。
 もうひとつの条件は、死亡ですね。
 肉体が死ぬか、精神が砕けると負けだ。
 最凶死刑囚たちは、なかなか負けを認めないから、グダグダな展開になることが多かった。
 なお、試合をする場合は審判の判定で勝負が決まる。
 路上とはちがい、グダグダになる可能性が減るのでありがたい。

 で、刃牙だけどピクルに蹴られたことを忘れているように、不意打ちのダウンは負けと思っていないようだ。
 逆に柳に負けたあとは、徳川邸で謝っているので負けた自覚があるらしい。(バキ6巻 48話)

 どうも、範馬一族は不意打ちと毒物に弱いらしい。
 もちろん生物は たいてい不意打ちと毒物に弱いんだけど。
 ピクルもペイン博士の麻酔でグッスリだ。
 柳ならピクルにも勝てる!
 勇次郎が柳を粛清したのは、範馬一族最大の敵になりうる存在だと警戒していたのかもしれない。

 巨凶なる範馬一族は異形の筋肉をもっている。
 スタートラインが普通の人間とはちがう。
 だから、強さにおごって油断しまくる遺伝因子があるのかもしれない。

 オマケに刃牙にはマゾ属性の疑惑がある。
 敵の技はとりあえず一回受けてみたいと考えているような行動が多い。。
 低酸素の毒も、スゴい技ときいて、喰らいたくなったのだろうか。

 そして、もう一人の範馬であるジャックがひさしぶりに戦う。
 ジャックも基本的に防御をしない男だ。
 やっぱり油断しまくりっぽい。
 範馬DNAは吉と出るのか凶と出るのか?
by とら


2008年12月18日(2+3号)
第3部 第140話 歯VS牙 (796回)

 推定長男ジャック・ハンマー参戦ッ!
 鬼父さん、子種問題をスッキリさせてください。

 骨延長をおこない2メートルを超える大巨人となった。
 ガーレンや末堂に負けないサイズだ。
 だが、大きすぎて不便になったのか出番がほとんどない。
 そんなジャックに訪れたひさしぶりの春であった。
 大丈夫。餓狼伝の丹波文七よりはマシだ。

「立てよ……」
「言葉はワカらんでも」
「理解(わか)るだろう」
「ヤルんだよ俺らは」


 シャツを脱ぎながら、ジャックは決定事項として戦いをつげる。
 ほれぼれする直球の口説き文句だ。
 服を脱ぐ時間すら、惜しい。脱ぎながらしゃべる。
 明日をまてないから、今日戦う。
 戦いに餓えている。だから、より道しない。

 ジャック VS. ピクル
 オーバー2mの怪獣大決戦がはじまろうとしている。
 って、ピクル でかッ!
 ジャックの身長は、「明らかに斗羽さん以上だ」と猪狩が保障している。(バキ17巻 145話
 ならば最低でもジャックの身長は210cmだ。
 だが、ピクルはもっと大きい。

 いまのピクルは、猫背に身をかがめている。
 背筋をのばしたら、220cmぐらいはありそうだ。
 でも、ピクルは2m・130kg超と言われていた。(14巻 105話
 見た目と数字がずいぶんちがう。

 ジャックが縮んでしまったのだろうか?
 いや、ピクルが育ったのかもしれない。
 ピクルはまだ10代で成長期なのだ。
 20cmぐらいなら、1週間でのびる。いや、この説にはムリがある。

 やっぱり、ジャックが縮んだのだろうか。
 骨延長で造り上げられた長大な骨格は贅骨と断ぜられ淘汰され―――― 切り捨てられ――――
 もとのサイズにまで短く絞られた高密度な肉体はまさに――――――
 ダイヤモンド!!!
 ――――――なのか?

 2mとナレーションが入ったときのピクルは現代世界に潜伏していた(つもり)。
 精一杯がんばって目立たないようにしたので、見た目が2mと小さく見えたのかもしれない。
 それでも、じゅうぶんすぎるほどデカいんですが。
 キリンが頭をさげて馬のふりしているようなものだよな。
 かえって目立つ。

 身長のことはともかく――、ピクルは歓喜した。
 闘技場には強敵がやってくる。
 まっているだけで、ご馳走が運ばれてくるのだ。
 果報は寝てまて状態である。
 だからピクルはおとなしくフンドシしめて待っていたのだろう。

 烈海王や愚地克巳ともちがう。
 新手の格闘技使いだ。
 ジャック・ハンマーは構えない。
 技を駆使した、拳法家たちとは違っているッ!

 ……あの、ところで刃牙のことは忘れたのでしょうか?
 記憶のはしっこにも出てきません。
 まあ、刃牙にたいして好印象があったとも思えませんけど。
 刃牙がいきなりピクルの前に出てきても、敵として認識してもらえるのか不安になってきた。


 ガコッ

 ジャックは右拳をフルスイングした。
 ホームランと三振の二択しかないと言わんばかりの豪快な一撃だ。
 相手に技術があればカウンターの餌食になりかねない。
 セオリーも安全性も、ぜんぶ無視した攻撃特化型のパンチだった。

 烈や克巳のように歴史をかんじさせる技術はない。
 ひたすら筋肉の力にたよったような攻撃だ。
 さすが筋肉貴族・範馬一族である。
 最近はじまった米原秀幸『風が如く』には刃牙に憧れる少年がいるんだけど、「目標ヒグマ」なみにムチャだぞ。
 人間には、人間の限界があるんだ。

『その獰猛さはある種――――――』
『懐かしささえ憶えるほどだった』


 まさに野性の攻撃だ。
 目覚めろ野性!
 刃牙が夜叉猿と戦ったときのような、防御を考えない全力攻撃ッ!
 それこそがピクル攻略の手段なのかもしれない。

 だが、相手はマッハの衝撃すら耐えた驚愕のタフネス原人である。
 ジャックの攻撃をまともに喰らっても、ダメージはない。
 むしろ、ジャックの打撃をよろこんでいそうだ。

 殴ったジャックも、ピクルの脳にダメージがないと分析している。
 野性なだけではなく、知性もあるのがジャック・ハンマーだ。
 ピクルの頚骨が水牛なみだと判断した。
 だが、それは既知の情報ですよ。(13巻 99話

 なぜ、ジャックは烈vs.ピクルの顛末をしらぬ。
 東京砂漠で迷子になって情報収集どころではなかったのだろうか。
 いや、実際にピクルの頑丈さを試してみたのだろう。
 ジャックの攻撃ですら、ピクルの脳をゆらすことができないとは……


 だが、ジャックは骨の太さより気になるコトがあるらしい。
 ……いや もっと首のことを気にしたほうがイイと思うぞ。
 最終的には、ピクルにダメージを与えてたおすつもりなんだし。
 首を絞めても、まるで効かないという展開になってから後悔しても遅いぞ。

 ジャックが注目したのは、ピクルの"牙"だ。
 さすが噛みつきマニアである。
 自分の得意分野のことは気になるのだろう。

 ピクルの犬歯は牙と言えるほどのサイズだ。
 『われら以外の人類』(感想)によれば、霊長類だと犬歯は威嚇の道具という意味合いが大きい。
 だが、ピクルは武器として使っているようだ。
 やはり、現代人の先祖ではないのだろう。

 DNAに仕込まれた武器で、劣っている。
 だが、ジャックは噛む力を鍛えてきた。
 エモノで負けても、勝負に負けるつもりはない。
 噛むぜェ。超噛むぜェ〜〜〜ッッッ!

「噛みっこだ」
「ヤシの実を切り裂くまでに進化させた」
「俺の咬筋力」
「あの時代―――恐龍達の鎧を噛み破った貴様の牙」
「どっちが上なのかな」


 前代未聞ッ!
 噛みつきバトルの開催が宣言された。
 女子供のようにではなく、ライオンのように噛みつく。
 肉食獣どうしの放送不可能バトルだ。

 噛みつき勝負は、ジャックに不利っぽい。
 犬歯のサイズがちがう。
 脇差で太刀にたたかいを挑むようなものだ。
 自慢の咬筋力にしても、ピクルのほうがスゴそうだし。

 でも、好材料もある。
 人間の歯は他の動物にくらべエナメル質があつい。(親指はなぜ太いのか
 生物をつくる物質の中でもっとも硬いのがエナメル質だ。
 鋭く硬い歯で、相手の肉を切り裂くことができるかもしれない。
 この勝負は、カミソリとナタの対決だ。
 適切な場所を狙えば、切り裂いて勝てる!

 また、ピクルの頭部形状にも注目したい。
 噛む筋肉はアゴと頭蓋骨のあいだにつながっている。
 ピクルの噛む筋肉が人類をはるかに超えているなら、頭頂部が筋肉でもりあがっているハズ。たとえば、ゴリラのように。
 かたい植物を主食にしているゴリラは、噛んでばかりなので頭頂部が筋肉でもりあがるのだそうだ。
 その点、ピクルの噛む筋肉量は人間とあまり変わらないだろう。
 勝てる可能性は、あるッ!

『言葉を解しないまま赤子が母の心を知るように』
『言葉を交わさぬまま恋人同士が』
『接近するように』
『それぞれの時代を代表する二つの凶器は――』
『互いの激突を求めあった』


 たとえが、赤ちゃんと恋人かよッ!?
 対極にありそうなモノと比較されつつ、二匹のけものが喰らいつこうとする。
 歯と牙がぶつかりあいそうなイキオイだ。
 そのまま次回につづく。


 想像以上にガチで戦うつもりらしい。
 むしろ、噛みあうつもりだ。
 コイツは血をみるぜ。

 ジャックが、ピクルの頚骨を重視しなかったのは、噛みついて出血させる作戦だからだろうか?
 打撃が通用しなくても、噛みつき切り裂き攻撃は有効だ。
 ピクルを倒すには関節技しかないと思っていたが、意外な方法があったらしい。
 ただ、ジャックの噛みつきがキケンなのは、手足の打撃と組んだ攻撃として機能するからだ。
 最初から噛みつき狙いでいくと、攻めが単調になって通用しないかもしれない。
 あ、ピクルは技術を気にしないから、大丈夫か。

 そんなワケでジャックが勝つ可能性はじゅうぶんにある。
 でも、ジャックが勝つと刃牙の立場がなくなるのは 問題だよな。
 明日とか言わなければ、良かったのに。
 刃牙くんは8月30日ぐらいになってから夏休みの宿題をはじめるタイプかね?
 やってやるさ、明日からッ!
 ……8月31日からはじめるタイプだな。


 来週はチャンピオンがお休みで、花山薫増刊号がでる。
 伝説の名勝負『愚地克巳 vs. 花山薫』が収録されるらしいぞ。
 せっかくだから、この一戦の感想を書くか!

 そして、再来週のチャンピオンは刃牙が一挙2話掲載だ。
 餓狼伝が休載になるのは、そういうワケかッ!?
 最近はバランスが刃牙にかたよっている気がする。
 さらに、オマケで『バキ外伝 GaiA(ガイア)』も あるぞ!
  参考:超軍人・ガイアが特別袋とじオールカラー8Pで次号 (ゴルゴ31さん情報)

 漫画を担当するのは、板垣先生の元アシスタントの富沢ひとし先生だ。
 チャンピオンで『肥前屋十兵衛』を連載していたときは、どうみても板垣絵だったのに、『エイリアン9』で美少女評価が上がった異端の漫画家だ。
 『電気郎』(※)はどうしたッ!?  (※ グラップラー刃牙29巻に予告がのった 富沢ひとし作品。けっきょく連載にならなかった)

 筋肉と美少女………
 どっち側の絵が出てくるんだろう。
 まさに多重人格なガイアにふさわしい作画担当だ。

追記 (08/12/24)
 139話追記について、メールで某千代の富士さんから質問がきました。
「麻酔銃で眠らされた勇次郎はノーカウントですか?w」

 ……まあ、黒星つけるのはカンベンしてあげましょうよ。
 いちおう、あの人も地上最強の生物という看板背負っているんですから。
 調子にのって酒をかっくらったけど、次の日二日酔いになってストライダムに薬を買ってきてもらったとしても、見なかったことに。

 勝ち負けは本人が決める説は、勇次郎のお墨付きだ。(バキ18巻 157話
 目覚めたあとの勇次郎はいきなりデカい態度だった。
 たぶん、本人は負けたと思っていないのだろう。
 自分を撃ったハンターをこっそり倒して、勝ちを再確認したかもしれない。
 まあ、撃たれたあとは観客席に行かなくなったので、けっこう恥ずかしい思いをしているのかも。

 軍事・武術だと、奇襲を受けることは恥ずかしいことなのだ。
 バッターがよそ見しているときに球を投げられてストライク取られたら、そりゃバッターの恥だという理屈ですな。
 短いスカートをはいてパンツを見られるのは、短いスカートをはくほうの恥、……ちょっと違うか?

 日本の真珠湾攻撃では、米軍のハズバンド・キンメル大将が責任を取らされて、解任・降格されている。
「軍人にとって、眠っている敵を打撃することは自慢にならない。それは単に打撃されたものの恥に過ぎない」とは、山本五十六 元帥の言葉だ。(名将たちの戦争学

 範馬一族は奇襲で倒されたことについて、恥じているのだろうか?
 とくに範馬刃牙。油断しすぎだ。
 それとも、刃牙の場合は「いまの俺はメチャメチャはずかしい状態になっているッッッ!」と思って興奮するプレイなんだろうか?
by とら


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