今週の範馬刃牙 SON OF OGRE 171話〜180話

←第三部 161話〜170話  ↑最新↑  181話〜190話→
バックナンバー 餓狼伝 疵面 シグルイ Gロボ みつどもえ 蒼天航路 日記 掲示板 リンク1 リンク2 TOP


2009年8月6日(36+37号)
第3部 第171話 見たいな… (827回)

 やっとマトモに戦わせてもらえる。
 ストレスが溜まりまくっているピクルの反撃がはじまった。
 う〜ん。なんか主人公的な展開だよな。

 ピクルの攻撃は、両手を振り落とす単純なものだった。防御を考えていない攻撃だ。
 巨大ハンマーで殴っているような重い打撃に、刃牙が沈む。
 超大陸パンゲアのようにスケールが大きく雄大だ。

(地面に――――――じゃないッッ
 地面を叩きつけられたようだ………………ッッ)


 一発で体が反転してしまい、逆立ちのような形で叩きつけられる。
 いや、逆立ちというよりシャチホコだな。
 細かいところで笑いをとる。丁寧な仕事っぷりが範馬刃牙の真骨頂だ。
 刃牙は基本マゾだから、こういう痛い攻撃 大歓迎なんだろうな。

 ピクルは追撃で両足での踏みつけ(スタンプ)攻撃だ。
 さらに踏む踏む踏む踏むッ!
 闘技場の砂地に衝撃のあとが刻まれていく。
 まるで隕石でも落ちたかのようだ。
 真っ向勝負なら、こんなもんだろう。
 たっぷり痛い思いをして刃牙は大満足っぽい。

(まるで…………)
(防御したその腕が……)
(急所になってしまったような……………………)


 受けがぜんぜん通用しないッッッ
 まるで範馬勇次郎の攻撃のように、防御した腕が破壊されそうな威力だ。G刃牙7巻 61話)
 痛恨の一撃みたいに防御を突き抜ける。
 なんとか立ち上がった刃牙は、ピクルのアッパーで三度舞う。
 また、30メートルダイブだ。

 しかし、刃牙は普通に着地する。
 二度も30mダイブを経験したから なれたのか?
 一度体験した技は次から効かないのが聖闘士(セイント)の法則だ。
 刃牙は聖闘士(セイント)じゃないけど。
 範馬の辞書にダメージの蓄積という言葉は無い!

 空を舞いながら刃牙は三人の男を思い出していた。
 ビスケット・オリバ。
 花山薫。
 そして、範馬勇次郎。

 この三人なら、小細工なしでピクルと真ッ向勝負だろう。
 純粋な力と力の比べあい。
 まさに神話の世界だ。
 刃牙はそんな戦いを見てみたいと思う。

 そりゃ、見てみたい。
 刃牙とピクルの戦いよりも見てみたい。だからこそ、花山外伝があるんだろうけど。
 小細工を突き詰めていけば、長距離から銃で狙撃するという結論になりかねない。
 見たいのは、そういう戦いじゃない。
 少なくとも刃牙世界で狙撃は不要だ。

(だけど………)
(そう……… 本当の興味は…… 本当に見たいのは――)
(範馬刃牙なら どうコイツを仕留めるか……ッッ)


 なんという自分大好き宣言かッ!?
 格闘技の最先端を走っているのは常に俺。と信じ込んでいそうだ。
 とにかくスゴイ自信だよ。

・範馬刃牙 名言
 勝つのは前提にすぎない。どう勝つのかに興味がある。
 目標は、未来の俺。尊敬する人は、明日の俺。
 マイブームは俺。生まれてから18年、常にムーブメントがある。
 Blogを作ったらアクセス数が100,000/day。あまりに面白いので、自分でも毎日99,990回は見てしまう。
 俺の尿にすら愛を感じる。もったいないので、ついつい飲む。

 一瞬で捏造できるほどの伝説(レジェンド)感があふれている。
 落下のダメージを死ぬ気で誤魔化していたのと同一人物とは思えない。
 時間かせぎのために、あらゆる卑怯を駆使したのは誰だ?
 そろそろ、花山を語り始めたいのです。刃牙ではなく…ッッ
 だが、刃牙の興味は刃牙に集中している。
 次回も俺伝説がつづく……


 範馬刃牙が伝説になる瞬間を目撃してしまった。
 超一流になるためには、自己を鼓舞することができる才能も必要なのだろう。
 刃牙は充分すぎるほどの有資格者です。

 すでに刃牙の脳内では、ピクルに勝つことが確定しているようだ。
 リアルシャドーのやりすぎだろうか。
 さすが一国の軍隊に匹敵する腕力をもっている男の息子だ。

 まあ、実際問題としてピクルには不利な材料が多い。
 刃牙の手品でもてあそばれ、精神的に追いつめられている。
 人間がもっとも疲れを感じるのは脳が疲労したときだ。(〈勝負脳〉の鍛え方
 汗ダラ状態に追いつめられたピクルは、もう燃料切れ状態だろう。

 さらにピクルは刃牙の尿結界の中にいる。
 刃牙は自分の尿ならもちろん平気だろう。
 さらに、人の尿をかけられても喜べる 極めつけの変態だ。(8巻 62話
 だが、ピクルはさらに精神的ダメージを受けるだろう。

 とりあえず、ピクルに水平タックルの選択肢を捨てさせたのはスゴイや。
 真っ向勝負といいながら水平タックルをしてきたら、また上空に吹っ飛ばすんだろうな。
 今の刃牙って勇次郎が相手でも吹っ飛ばせるんじゃなかろうか。
 範馬刃牙が困ったぐらいに最強へと近づいている。

 しかし、私も「本当に見たいのは―― 自分なら どうコイツの感想を書くのか……ッッ」とか言ってみたいものだ。
 いや、言うだけならできる。言うのはタダだ。まったく問題なくできる。
 問題は、世間と翌日の自分が読み返したときの反応だ。
 たぶん、烈海王っぽい反応をするだろう。

「バカでしょ……?」


追記 (09/8/19)
 範馬刃牙による、範馬刃牙リスペクト宣言だッ!
 今、もっとも自分が興味をもっているのは、自分です。

 というワケで、刃牙はどうやってピクルを倒すのだろう。
 真正面からぶつかり合うのは、無いな。
 そういうのは、オリバとか花山にまかせればいい。
 刃牙は、この二人よりも自分の闘いに興味がある。

 弱者がいかに強者に勝つのか?
 そのペテンにこそ刃牙の興味が向かう。
 どんな逆転の秘策がッ!?
 本来なら燃えるシチュエーションなんだろうけど、ガッカリが待っていそうで不安だなぁ。

 なにしろ、弱を強といつわるペテンは、いままでさんざんやってきた。
 時に鞭打を使い、時に恐竜のモノマネをし。
 そして、尿をぶちまけたりもした。
 いろいろな意味で汚い。そこに刃牙はシビれるし、憧れるゥのだろう。
 刃牙って、バカでしょ……?

 まあ、次回は目玉がひっくり返るような刃牙伝説が誕生するのだろう。
 ナニをやらかすんだろうな。
 相変わらず予想はさっぱりつかない。
 尿だけでは満足できず、大きいほうまでするかも。

 いっそうのこと、ガイアが出てきて刃牙にたいしてトンネルを仕掛けてくれないものか。

※ 参考:バキ外伝 GaiA(ガイア)2 感想

2009年8月20日(38号)
第3部 第172話 玩味(がんみ) (828回)

 刃牙とピクルが闘いはじめたのは156話(4/23)だった。
 そして、前回までが序章だ。
 前フリ。前書き。最悪、読まなくてもOK。
 約四ヶ月…………。長い、長い前フリでした。

 刃牙とピクルが闘うッ!(ついに!)
 ついに超絶の獣二匹が戦闘開始だ。
 ピクルはいきなり豪快に蹴りあげる。
 防御のことを一切考えていない攻めに徹した蹴りだ。
 だが、刃牙はかろやかにバク転でよける。

 範馬刃牙18歳。
 地上最強の生物・範馬勇次郎を追い続けた18年だ。
 って、闘っているさいちゅうにナニ考えてんの?
 なんかセックスしている最中に別の女のことを考えるような感じだ。
 原作・餓狼伝の姫川は冴子とセックスしながら丹波のことを考え、射精までしていましたけど。

 姫川の性癖は、おいといて。
 刃牙の体はピクルと闘っている。だが心は勇次郎のもとにある。
 勇次郎は刃牙の母である朱沢江珠を殺した。
 だが、刃牙は勇次郎を憎みきれていない自分を発見する。
 戦闘中に自分探しかよ。
 余裕あんな。

(バカな……)
(どうして憧憬(あこがれ)など…ッッ)


 やっぱり鬼父(パパ)が大好きらしい刃牙であった。
 つうか、母の死後にここまで心が揺れたのは初めてだ。
 前から鬼父(パパ)が大好きな様子はあったんだけど、ついに自覚症状がでたらしい。
 でも、ピクルと戦闘しているときに自分の内面を見つめなおさないでも良いのに。
 ほかにすることはないのですか?

 別のコトを考えながらも、刃牙はピクルの拳をかわしている。
 両手はだらりと下げてノーガードだ。
 上体をそらしてよけるボクシング的なディフェンスをしている。
 強かったころのアライJr.や、全盛期のアライ父も トランクスを脱いで逃げ出すような技量だ。

 やはり刃牙は頭を使わないほうが強いのだろうか?
 今後もメシを食いながらとか、読みきり『魔界都市ハンター』の さやかちゃんが三歳ぐらい幼くなっているように見える件とか考えて、集中力を切らして闘えばイイのだろう。
 ジャックと戦ったときに、いきなり失禁したのも集中力が切れたためだろうか。
 刃牙の頭なんて飾りです。

(一つだけハッキリしていることがある)
(範馬勇次郎の強さ)
(否定のしようもない 徹頭徹尾 非の打ち所がない)
(それはある意味)
(信用とさえ言える)


 範馬勇次郎という揺るぎないモノサシで強さを測ってきた。
 最強と闘うため、鍛えている。

(だから躱(かわ)せる これなら躱せる)

 範馬勇次郎を仮想的として鍛えてきたからピクルにも対応できるぜ。
 言うなれば大リーグを目指して特訓してきた人間なら、高校野球にも対応できるといったところだ。
 マジメに闘えるのなら、もっと早くに闘って欲しかったけどな。

 最近の刃牙は父親のことを忘れがちだと思っていた。
 しかし、意識の根底にはちゃんと範馬勇次郎がいる。
 ピクルとの闘いも範馬勇次郎への道なのだ。迷走しているワケじゃ、無い!
 イヤ、迷走はしてんだけど 方向は大体おおむねアバウトに合っているっぽい。みたいな。


 刃牙はピクルの攻撃を紙一重でかわしていく。
 宮本武蔵は五寸(約15cm)の見切りで攻撃をかわせたと言われる。
 刃牙はそれ以上だ。

「最初(はじめ)―――― 大きく身を翻していたのが」
「毛髪に触れるようになり――――――」
「皮膚に触れるようになり――――――」


 一撃必殺となるピクルの攻撃を刃牙はギリギリでかわす。
 何度か範馬勇次郎で妄想していたからできる技なのか?
 しかも、どんどん攻撃を近くでよけるようになっている。天才がさらに加速した。
 最小の動きでかわせるということは、より反撃の体勢が整いやすいということになる。
 刃牙がまだ反撃しないのはタイミングを計っているのだろうか?

 つうか怖くないのか?
 そうか、マゾだから むしろ興奮しているな!
 よけるだけで反撃しないのは、肛門が縮みあがるようなスリルを楽しんでいやがる。

「格闘技というより――――」
「武というより」
「舞――――」
(そう――――――闘牛士…… マタドールのような……)


 烈海王が語りたおす。
 刃牙の存在はついに武を離れてしまった。
 それが、武の化身である烈海王の見立てらしい。
 範馬勇次郎を倒すためには、常識的な闘いかたじゃダメなのか。

 現代人の烈海王にとっても刃牙の動きは不可解だ。
 もしや闘牛士でも憑依しているんじゃなかろうか。
 それともタコの象形拳だったりして。
 烈海王にわからないものが、ピクルにわかるワケもない。

 ピクルはまたまた汗ダラ状態になる。
 白亜紀ファイターは汗腺がおおいなぁ。
 現代の環境は、もうちょっと温暖化したほうがピクルにとっての適温なんだろうか。
 さまざまに姿を変えてきた範馬刃牙という怪物が、今度は殴っても当たらない怪人になった。
 コイツは汗ダラもやむなし。

 人間は1%の確率で10,000円もらえるよりも、100%の確率で100円もらえるほうを選択する。
 逆に、100%の確率で100円を失うよりも、1%の確率で10,000円を失うほうを選択する。(行動経済学入門
 それぞれのケースで期待値は同じなのに、アンケートをとるとハッキリとした差になるらしい。
 野生動物の名残なのか、小さくても確実な目先の利を得る行動をとりやすいのだ。

 これを格闘技に当てはめると、小さい攻撃を確実に当てたほうが気持ちよく闘える。
 小さい攻撃だとしても、何度も当てられるのはイヤだ。大きいけど当たりにくい攻撃はプレッシャーになりにくい。
 まあ、当たる確率と威力をどう評価するのかが難しいので簡単に比較はできないけど。
 ドラクエ(AA)でいえば、メタル狩りで会心の一撃を狙うより、確実なダメージ蓄積を狙いたくなる傾向か?
 たしかに、私は魔人斬り+一閃突きが連続で当たらないとストレス感じるなぁ。

 というワケで、攻撃が一切当たらないのは大きなストレスになる。
 蹴りが、拳が、まるで当たらない。
 ピクルは抱きかかえるようなタックルをしかける。
 これもハズレだ。

『またしてもの初体験』
『速度の概念を越えた速度』

「通り抜けるというより」
「透り抜ける」


 ピクルのタックルは、刃牙の体をすりぬけた。
 まるで体を量子化したみたいだ。
 ダブルオーガンダムかよッ!
 俺がオーガだ!

 またもや超常現象を発生させた刃牙に、ピクルは蝶を思いだす。
 太古の蝶、デカっ! そして、キモッ!
 もしかしてキモいつながりで、刃牙と連想したんですかい。
 ピクルの記憶に打開策は眠っているのだろうか?
 次回へつづく。


 最小の動きで攻撃をかわすのは、ガイアとおなじディフェンスだ。
 ガイアも相手の攻撃がすり抜けるような錯覚を見せていた。
 ただ、ガイアの場合は相手の殺気を感じとることができる能力のおかげと言える。
 刃牙にもそれに匹敵する能力があるのだろうか?

 ガイアは銃殺されかけ、髪が抜け落ちるような恐怖を味わった。
 このときに殺気を感じとる能力を身につける。
 たぶん、ガイアという人格も生まれたのだろう。
 刃牙も同じような体験をしたのだろうか?
 まあ、日常的に恨まれて殺気を受けていそうではありますが。

 ピクルは刃牙の動きに蝶を連想したようだ。
 蝶のように舞い、蜂のように刺す。
 次回、またモハメド・アリの偉業が炸裂しそうだ。
 烈はどんだけボクサーが好きなんだか。
 よく考えたら、蝶・蜂・蟻で昆虫つながりなんですね。(違ッ

 白亜紀最強の戦士であるピクルも蝶を捕まえるのことは苦手らしい。
 蝶を捕まえられないのは、手のおこす風圧で蝶が飛ぶからという気もしますけど。
 鳥やコウモリから見れば、蝶や蛾は手ごろなエサですぜ。

 前回までの刃牙が問題行動をしすぎていたせいで、普通の行動をするだけでカッコ良く見えてしまう。
 だまされているのかも。
 でも、カッコイイ! 刃牙さんカッケー!
 刃牙△(バキさんカッケー)(参考:「本田△」が“読め”れば、ワールドカップもきっと面白い

 持ち上げてから落とす噛ませ犬効果の逆パターンだ。
 ツンからデレに転じるツンデレ効果ッ!
 最初からフレンドリーに接してくれる異性は証券取引の勧誘電話ぐらいという殺伐とした生活を送っていると、こんなツンデレにも コロリとだまされる。

 今回は蝶のように舞ったワケだから、次回は蜂のように刺すのだろう。
 ダラ → デレ → ツンという複雑なコンビネーションだ。
 さすが自分をリスペクトするだけあって、肝心なところで いきなり強くなる。
 先週までの刃牙はなんだったんだろうか。

 ピクルは水平タックル出せばいいのに。
 やっぱり、片手で吹っ飛ばされたコトがトラウマになっているのだろうか。
 何も考えていないのだろうけど、刃牙の行動は勝利に向かっている。
 刃牙の行動は、本能ゆえに正しい。

 ちなみに、今回のタイトル『玩味』の意味は以下のとおり。
1 食物をよくかんで味わうこと。「よく―して食べる」
2 言葉や文章などの表している意味や内容などを、よく理解して味わうこと。「古典の作品を熟読―する」
  (参考:Yahoo!辞書 - がん‐み【玩味/翫味】

 今回の話は、なにを味わったんだろう。
 刃牙の天才性ですか?
 どこまでも、自分自身への敬意を忘れない刃牙であった。

 否定のしようもない。徹頭徹尾、非の打ち所がない。
 それはある意味、信用とさえ言える。
 ナルシスト。

追記 (09/8/26)
 ディフェンスの最高峰といえば、攻撃がすり抜けるような動きだ。
 あたっても平気な顔をしているというのもあるけど、あれは防御というより、人外の耐久力だからちょっとちがう気がする。
 すり抜ける動きは北斗神拳でも奥義『無想転生』として珍重されているぞ。

 刃牙はいつのまに、こんな動きを身につけていたのだろう。
 いつものコトながら、できるなら最初からやれ! だ。

 まるで体を空気と化すような動き。
 アレか。刃牙が最近、空気と化していたのはこの動きをマスターするためだったのか?
 ステルスバキが完成したら、リーチしても周囲が気がつかなくなるぞ。
 卓外に審判がいないとチョンボになりそうな諸刃の剣だ。

 調子にのってディフェンスしまくって、また存在が空気にならなきゃいいけど。
 ピクルを倒したら、今度こそ勇次郎と闘う!
 と、思わせて新キャラ投入になったら、まちがい無くステルスバキが発動するのだろう。

 主人公といったら野球で言うところの四番バッターだ。
 その主砲が技巧にばかり走ってどうする。
 送りバントや、振り逃げ、打撃妨害による進塁といったテクニックは他の人にやってもらえ。
 明日こそ、四番がバットを振ってくれることに期待します。

 掲示板からの情報ですが。
・思わずやってしまった後悔はしていないさん
ロボ ジェネレータ
http://genzu.net/robot/

こちらで
ハンマユウジロウとバキの名前をそれぞれ単体で入力してみてください。
納得の結果がでます。
製作者は判ってやっているのか、それとも偶然なのか・・・


・mさん
由来ジェネレータ
http://genzu.net/yurai/

ここで「バキ」と入れるとw
 バキロボットは「仕事をしない」
 バキの由来は「バカ」
 妙に説得力のある結果が出るのが刃牙クオリティーなのか?
 大丈夫、時代が追いついて お馬鹿キャラとか流行っているし!


2009年8月27日(39号)
第3部 第173話 Like a butterfly (829回)

 またまた、回想タイムのはじまりだ!
 ピクルは少年時代に蝶を狩りそこねたことを思い出す。
 四ページにわたって。…………長いよ。
 なんでも熟成させりゃイイってもんじゃないぞ。
 カレーだって寝かせすぎると辛味や香りが抜けてぼんやりした味になってしまう。

 とにかく、少年ピクルは蝶を捕まられない。
 これが道具をつかわない原始人の限界だ。
 虫アミを使えば、スピードの無い蝶なんて楽勝ですよ。
 むしろピクルは微妙な動きをとらえるのが苦手なのかもしれない。
 恐竜を相手にした、大雑把で速い動きは得意だけど、精密動作性が超ニガテだ。
 刺身のパックに黄色いタンポポをのせる勝負なら、ピクルに勝てるかもしれない!

 つうか、ピクルは昆虫が好きだね。
 白亜紀人は昆虫が主食だったのだろうか?
 ちょっかいを出すわりに、ピクルは蜂や蝶にヒドい目にあわされている。
 ピクルはもう昆虫とかかわるのを止めたほうがイイかもしれない。
 刃牙が蟷螂拳で攻めつづけたら、さすがのピクルも危なかったかも。
 蜂拳を完成させれば、ピクルも泣いて逃げだすぞ。


『実戦空手の父と云われる高名な空手家』

 って、ノータイムで別の解説が入った!
 なんで白亜紀の蝶から、実戦空手の父に話が飛ぶの?
 どんな超展開だよ。
 つうか、なんで匿名?

 高名すぎるから名前を書くまでもないということなんだろうか?
 それとも、ひとつの話に大山倍達と愚地独歩の名前を同時に書いてはいけないのかも。
 対消滅を起こして世界が崩壊しそうだし。

 板垣先生は極真の人に『独歩は大山倍達と別人であると明記しろ』と言われたことがあるらしい。(参考
 作中にもマス大山が登場しているので、独歩とは別人だと思って欲しいそうです。(G刃牙26巻 227話)
 アリとアライが共存するのも同じような理論なのだろう。
 今回のサブタイトルは『Like a butterfly』だ。
 また、モハメド・アリ系ボクシングかと思ったらちがったよ。(バキ19巻 164話

 そういえば、前にトリケラトプスの角の形状がちがうと書いた。(166話
 けど、アレもよく知られているトリケラトプスとは別のトリケラトプスなのかも。
 村上春樹は小説で車のトランク位置を間違えて書いたことがあるそうだ。
 でも、エッセー中で謝罪はしたものの、あの世界はトランク位置がちがう世界だと思って欲しいとも書いていた。
 世界の謎は追求しすぎないのが、ここでのたしなみ。


 高名な空手家は毎日鍛錬をしていた。
 相手の攻撃をギリギリでかわす。
 毎日何度も繰りかえしていた。

『――とある日常の稽古』
『驚愕の境地を体験する』
『"通り抜けたのだ"…と』


 最小の動きで背後にまわりこむ。
 それが完成したとき、相手を通り抜けるような動きになった。
 刃牙がピクルの攻撃をスリぬけたのも同じ原理だ。
 問題は刃牙がいつのまに、こんな高度な動きを手に入れたかなんだけど……
 範馬一族に不可能は無いってか?

 これほどの技術は、愚地独歩・渋川剛気・郭海皇の三人でもムリじゃね?
 烈海王は例によって汗ダラで解説する。
 また刃牙リスペクトがはじまったらしい。

 烈には悪いが、渋川さんと郭海皇ならあっさりできそうな気もする。
 独歩の場合はよけるのではなく、カウンターを取る。
 世界三大武神といえる彼らなら ヤってくれると思う。

 そもそも、スリぬけるのは高度な技術だが、手段にすぎない。
 目的は相手を倒すことだ。
 ピクルの攻撃から身を守れて、ピクルにダメージを与えることができれば、手段は問わない。それでイイ。
 なんか刃牙の行動は技術にこだわって利用者のことを考えていないハイテク機器みたいだな。

 それにしても、いつから郭海皇が烈の師匠になったんだろうか?
 たぶん大擂台賽の後だろうな。
 大擂台賽で烈以外の海王はイマイチと判明したので、見込みのある烈を弟子にしたのだろう。

 弟子たるもの、師匠をつねに持ちあげなくちゃいけない。
 だが、烈は刃牙の演出に過剰反応してしまう。
 なんか詐欺にひっかりそうなほどの純粋戦士っぷりだな。
 烈は何歳になってもお化け屋敷を本気で怖がることのできる人かもしれない。
 きっと、泣きながらグルグルパンチでお化けをたおすぞ。


 ピクルから見たら、刃牙はあいかわらず妖術使いだ。
 はやく戦士系に転職すればいいのに。
 すでに体力が回復しているハズの刃牙だが、相手を幻惑して翻弄するのが楽しいらしい。
 攻撃しないでもてあそんでいる。
 この悪魔め! 変態めッ!

 ピクルをいじるのに飽きたのか、ついに刃牙が反撃開始する。
 タメにタメて熟成しきった糸を引くような粘りだ。
 いつのまにか、ピクルのフトコロへ。
 そして、刃牙の右手がピクルのまたに入っている。
 ピクルの股間がデンジャラスだ。

『その左拳には見えないサーベルが握られ』
『猛牛 元へ恐龍ピクルの急所を深々と抉った』


 急所? 急所ってどこだ?(宇宙刑事ギャバンの主題歌っぽく読んでください)
 ふぐり付近のことさ。
 愛ってなんだ?
 ためらわないことさ。
 いや、そこへの攻撃はためらってくれ。

 刃牙の拳が もんまりとピクルの股間に埋まっている。
 そこには宝がッ! 人類の未来を照らす子宝が詰まっているのに。
 ペイン博士が見たら、ショックで悶絶しますよ。
 お前は『北斗の拳』に出てくる、大事な種モミを食べたがる悪党か。

 まったく容赦しないで、刃牙の復帰第一発がピクルの股間を貫いた。
 これはいきなり勝負アリか!?
 ピクルのラブマシーンが無事かどうかは、次回のお楽しみ。
 いや、楽しめねぇ。


 ピッチャー第一球がいきなりビーンボールですか。
 タマよ砕けろと玉砕特攻でフトコロに入るところまでは良かったんだけど。
 刃牙のせいで、ピクルはフクロ叩きにあってしまった。

 やっぱり、刃牙はソコへの攻撃が外せないんだね。
 刃牙のアッパーはジャック兄さんのアッパーと遜色ないのだろう。
 吹っ飛べば、ピクルの全体重200kgが睾丸にかかる計算だ。
 ひとタマあたり100kg!(どんな計算だよ)。
 白い汁を撒き散らしながらピクルが吹っ飛ンでいそうだ。

 過去、脳震盪の描写は頭蓋骨内で脳がぶつかるようすが描かれていた。
 ならば、陰嚢内で睾丸がぶつかるようすが描かれそうだ。
 複雑睾折でピクルは再起不能になってしまうかもしれない。
 性的な意味で。

 刃牙は30mの落下で横隔膜が上がったままになった。(160話
 だから、復讐(正確には、逆恨み)としてピクルの臓器が上がったままになる攻撃を選択したのかも。
 睾丸だって内臓です。
 ありゃ、金玉が胃までせり上がってそうだ。
 刃牙は血ヘドを吐いたが、ピクルは血尿をだすかも。
 まさに金断の攻撃だ。

 烈や克巳も狙いはした。だが、ココまで酷くはなかった。(13巻 98話16巻 125話
 二人はコンビネーションのひとつとして撃っている。
 だが、刃牙はこの一撃で終わらせるといわんばかりの攻撃だ。
 なんか殺意を越えたジェノサイドな悪を感じる。

 将を射んと欲すれば、まず馬を射よ。家を滅ぼさんと欲すれば、まず種を絶て。
 種にこだわる虎眼先生ならば本気で嫌がる残虐技だ。
 ヘタしたらピクルは無丸先生に改名するかも。
 刃牙は調子にのって、この技にゴールド・クラッシュ・アッパーとか技名をつけそうだな。

 女性向けの衣服でカップ付きキャミソール(AA)がヒットしたらしい。
 ピクルも似たものを装備していないのだろうか?
 つまり、ファールカップ付きフンドシだ。
 ユニクロで商品化しそうな予感がする。
 色のバリエーションを増やし、既存フンドシのイメージを一新する意欲作だ。

 恐竜もピクルにこんなヒドい仕打ちはしていないだろう。
 ならば、この痛みも初体験だ。
 そうなると、ピクルは金的打ちの痛みも魔法だと思うのだろうか?
 刃牙の妖術に新たなる1ページが……

 ところで、去勢した男を宦官という。
 『宦官―中国四千年を操った異形の集団(AA)』によると、去勢の方法はイロイロとあるらしい。
 子供のうちに睾丸をもみ潰すという方法もあるとか。
 ところが、スゴイね人体って感じに、成長するにつれて再生しちゃう人もいるそうだ。
 二個とも逝ったとしても、まだ希望はあるぞ!

 次回の烈は 刃牙の金的打ちも大絶賛するのだろうか?
 「野郎………… とんでもねェ タマだったぜ」
 「その時、花山氏がピクルを語り始めたのです。過去形でッッ」
 ……ピクルが立つ姿が、まるで思い浮かばない。

追記 (09/9/2)
 どうやって、自分はピクルを倒すか?
 それが最大の関心事である最近の刃牙さんでした。
 けっきょく、その手段は金的打ちと理解してよろしいのでしょうか?
 チャンピオン最強のヨゴレ系主人公だぜ!(誉め言葉。と書いておけばフォローになる、と

 この一撃でピクルは死んだだろう。
 雄的な意味で。
 そんなワケで次回からは、新展開だ!(さすがに、それは無いか?

 刃牙の立ち位置がすっかり悪役になっているのは、刃牙以外に悪役がいないからだろう。
 周囲が白いと灰色は黒く見える。
 ならば、とびっきりの黒をおいてやれば灰色も白く見えるというものだ。
 いや、もういまさらフォローできないかな?
 だまし絵みたいに、ピクル編の黒い刃牙と新編の白い刃牙は同一人物なんですよと指摘されて驚きたい。

 『悪役の魅力=作品の魅力。大相撲初場所にて再認識。』
 板垣先生は朝青龍をみて、悪役が作品を面白くするとコメントしていた。(チャンピオン2009年9号
 だからって主人公が悪役にならんでも。
 たしかに良くできた悪役だ。
 歴代でもっともムカツク人物かもしれない。
 でも、それ主人公の役割じゃないでしょ。
 なんかチームの四番が相手チームに買収されてサボっているような状況だよ。(のちに改心して活躍するフラグ)

 思えばバキには悪役がいないのかもしれない。
 ピクルは悪役と言うにはピュアすぎる。
 ワイルドを通りこして野生……むしろ原始だし。
 来いよ、どこまでもワイルドに生肉を喰ってやる。って感じです。人間なら調理しようよ。

 死刑囚も昔は悪い人だったが、改心したりダメ夫に変化したりで悪を貫けていない。
 柳は悪を貫いていたかもしれないけど、記憶に残る姿が「本部にやられた人」だもんな。
 スペックやドリアンは性格(……というか脳そのもの?)に問題はあったが、そのファイトスタイルのおかげで、ただの悪役では無くなった。
 シコルスキーもただのネタキャラになっちゃったしな。
 今はなにをやっているんだろ。
 覆面かぶらされて、猪狩のところでプロレスやっていたりして。

 そんなワケでピクルの次があるなら、すごい悪が出てくると予想する。
 ピクルとは正反対に文明に染まりきっていて、超卑怯なヤツ。
 鞭打とかモノマネで実力をごまかし、絶対に相手とまともに殴りあわない。
 基本的に練習はしないのだが、範馬の血筋だけで理不尽に勝つ、第三の範馬Jr.だ。  ん、なんだ、刃牙のことか。

 とにかくちゃんと魅力ある悪役がでてこないと、バキ世界は停滞するかもしれない。
 今のままでは、最大の悪が梢江ってことになりかねないぞ。


2009年9月3日(40号)
第3部 第174話 激痛(いた)み (830回)

 刃牙の反撃は金的打ちからはじまったッ!
 むしろ、この一撃でピクルが終わりそうだ。
 そして今回はBS熱中夜話なみの熱心さで、睾丸について語られる。
 最初から最後まで余すことなく金玉について語りつくそう。
 心はホット、股間はクール。それがキンタマニアのたしなみだ。

 範馬刃牙の攻撃!
 生物の根幹を揺るがす痛恨の一撃だ。
 全身を筋肉という鎧で守っているピクルだが、睾丸は鍛えようがない。

「がちょッ」

 聞いたことのない音がした。
 生肉と金属がぶつかる音を混ぜたら、こんな音になりそうだ。
 200kg超のピクルが浮くほどの打撃を股間にうけると、こういう音がするのか?
 原始人であっても、この痛みは同じらしい。

 いや、痛みはおくれてやってくる。
 机の角に足の小指をぶつけたときのように。
 脳は瞬時に激痛を予測して覚悟を決める。
 どんな覚悟で痛みをむかえるのか?

 それはさておき、机の角に足の小指をぶつけるとは、かなり現代的だ。
 原始人には机という文明の利器など想像できまい。
 つまりピクルの回想ではなく、ナレーターの解説だな。
 ナレーターが勝手に解説しているから、信用度がちょっと低いと思われる。
 しかし、足の小指を痛打した最初の事例っていつなんだろうか。

『過去に2度……』
『激戦のなかで刻まれた確かな記憶』
『くるッッ 過去最大の痛波!』
『衝撃の感触が―――― 振動の大きさが――――
 それを教える』


 烈海王と愚地克巳に股間を穿かれた記憶がよみがえる。(13巻 98話16巻 125話
 金的の苦い記憶はこの二例しかないのだろうか?
 白亜紀には急所攻撃という概念がなかったのかもしれない。
 生きのこるのに必死な時代では、仲間の種袋を攻撃している場合じゃないンだろうな。
 つまり金玉攻撃は生活の余裕が生み出した文明的行為なのだ!(新説)

 ピクルが痛みを実感するまで、時間がかかった。
 そもそも痛みという実感は脳が作りだしている。
 打たれた場所の神経が打たれると、刺激をうけたという信号をおくりだす。
 脳が信号を受けとり、これは痛いと判断して、やっと痛みになる。(と考えられている)
 だから肉体がうけるダメージと、脳が感じる痛みの間にはタイムラグがあるのだ。

 瞬時に痛みを感じる気がするのは、脳が調整してごまかしている。
 意識と肉体の動きには0.5秒のズレがあるが、脳が調整しているのと同じだ。
 毎度おなじみの『ユーザーイリュージョン』(AA)ネタですね。(参考:範馬刃牙9巻 70話

 痛みといえば、全身麻酔をすると痛みを感じなくなる。
 だが、神経からは痛みの信号がちゃんと出ているらしい。
 つまり、脳が処理をサボれば、体は痛くても気がつかないのかも。
 ぼやかして書いているのは全身麻酔の理屈がちゃんとわかっていないからだ。(99.9%は仮説

 ピクルも睾丸からやってくる痛みを着信拒否すればヤリすごせたかもしれない。
 心頭滅却すれば火もまた凉し、ですな。(参考
 刃牙の場合は痛みの信号を快楽のラインにつないじゃうから、気持ちよくなるんだろうか?

 恐竜のステゴサウルスは巨体のわりに脳が小さい。
 なので噛まれても痛みを感じるまでに時間がかかると描写されることが多い。
 たとえば「恐竜大紀行」(AA)でも、ステゴサウルスは痛みを感じるのがおそかった。
 ニブいピクルも脳が小さいのかも。


 そして時は動き出す。
 ピクルを襲ったのは未曾有の激痛だった。
『"くの字"なんて可愛いもんじゃない。痛みで、二つに折れるどころでは収まらなく、体が丸まってしまっている。こういうのを"のの字"とでも言えばいいのだろうか。』
 ひたいを打たれて悶絶する板垣先生みたいなリアクションだ。(格闘士烈伝

 ピクルはさらに加速するッ!
 その動きはまるでネズミ花火だ。
 白亜紀最強をささえるスピードで回転している。
 そして、刃牙は悠然とピクルを見下ろすのだった。
 勝者の余裕ですね。

 無敵をほこった 鉄(くろがね)の城があえなく落城していくさまに、徳川さんたちは冷や汗を流さざるをえない。
 そりゃぁ、男ですもの。理解(わ)かります。
 ここで烈海王から大切なお知らせがはいる。

「断言しますッ」
「睾丸とは内臓なのですッッ」


 烈の解説を要略すると「冷却のために露出している内臓を攻撃されたらキツい」だ。

「仮に――――」
「皮膚一枚に包まれた心臓が股間にぶら下がっていたら」
「戦闘時――――」
「どれほどの弱みとなることか…ッッ」


 烈海王の放つ渾身の解説に徳川さんも納得するしかないッ!
 しかし、烈が想像する『股間にぶらさがる心臓』はキモい。
 このキモさのためにチャンピオンをもう一冊買って魔よけ用にしてもいいぐらいだ。
 刃牙のフクロであればコレぐらのキモさもありうるかも。
 勇次郎の場合だと、股間にも鬼が浮かんでいそうだ。

 金玉は子作りの心臓です。
 ピクルは肋骨を切りおとして直接心臓に打撃を受けたようなものだ。
 徳川さんはピクルが敗北したと宣言する。
 そんな決着でいいのか?

 だが、花山薫・烈海王の戦士組みは、終わっていないという。
 たしかにピクルはダウンした。
 しかし、「いい貌(かお)で倒れやがった」そうだ。(花山薫/談)
 このセリフを烈がひろう。
 やはり、解説合戦は中国四千年の歴史がモノを言うらしい。

「立ち上がるのか―――――――― そのまま沈むのか――――」
「それは打たれた瞬間――」
「その一瞬の心の裡(うち)でこそ決定(きま)る」
「"やられたッ" "許してくれッ" ――と思うのか!!?」
「"やりやがったッ" "許さんッ" ――と思うのか!!?」


 倒れたときの表情で判定できる。
 心が折れていなければ、戦士は立ちあがるのだ。
 何度でもッ!
 それは、みずから二度目の30mダイブをした刃牙にもいえそうだ。(162話

 ここで、痛みがおくれてやってくるというエピソードがいきてくるのだ。
 予想される激痛をどう受けとめるのか?
 恐怖するだけだと立ちあがれない。
 過小評価していたも実際の痛みに負けるだろう。
 たちむかう勇気と冷静な判断力が必要だ。

 勇気とバカはちがう。勇気と無謀もちがう。
 真の勇者だけが立ちあがれるのだ。
 まさか、金的攻撃にこれほど深い意味がこめられていたなんて。
 でも、刃牙の30m再ダイブはバカだと思う。(162話

「先ほど見せたピクルのあの形相―――」
「立ち上がるどころか――」
「刃牙のヤロウ……」
「どうやら」
「ピクルの芯を噛んじまった」

『共に震えていた』
『緊張で』
『憤怒(いかり)で』


 ピクル本日2回目の大激怒だッ!(1回目は156話
 ホント、刃牙は人を怒らせる天才だな。
 怒らせてはみたものの、その後のことを考えていない。
 激昂するピクルを見て緊張してしまう。

 刃牙は激痛を予想してふるえる。
 いま倒れたら、どんな表情をするんだろう。
 "やられたッ♥" "もっとくれッ♥" ――と思うのか!!?
 痛みを変換できる刃牙は、気絶させないかぎり起きあがってきそうだ。
 次回、刃牙の本性が問われる!


 とにかく今回は睾丸話だった。
 内臓描写(おもに睾丸の)が続いたので、ややグロ注意といったところだろう。
 前回感想で「睾丸だって内臓です」と書いたのが、今回の烈とシンクロニシティーでした。

   ※ 以下は、ひたすら金玉話。

 烈が説明するとおり、動物は恒温動物になったとき、冷やすため睾丸を無防備に露出せねばならなかった。
 人間は毛がない(少ない)動物だが、陰毛がのこっているのは、そこだけは守りたいと言うせめてもの気持ちなんだろうか。
 恐竜は恒温動物であるという説が現在は支配的だ。
 だから金玉露出型なんだろうな。

 野生動物は股間を集中的に狙うような狩りや防衛をするのだろうか?
 まあ、たいてい四足だから狙いにくいだろうし、発展していないだろう。
 金玉を狙い打つのは人類が生み出した革新的な技術だ。
 そういう意味でピクルは金的 後進国なのだろう。
 どおりで、よく打たれるワケだ。

 遊牧民は家畜を飼育するさいに去勢を行う。
 もっとも、江上波夫は純粋な騎馬民族はもともと去勢の習慣がないと主張していますが。(騎馬民族は来なかった
 どちらにせよ、ピクルの一族も去勢の技術はもってなさそうなので、放牧も行っていないのだろう。
 基本的に狩猟・採取生活だろうか。
 ちなみに去勢でとった睾丸はご馳走として食べるそうです。
 う〜む、異文化だな……

 痛みを感じない無痛症の人は、負担のかかる姿勢をつづけて関節をいためたり、舌をかんだりすることが多い。(痛みの心理学
 睾丸への打撃が痛いのは、そこがとても大切な部分だからだろう。
 金というより、むしろピュア。銭に汚れていない純真な部分ですよ。
 どうせならピュアボールと名づけたい。

 女性は子宮で考えるという。
 ならば、男は睾丸で考えるのだ!
 ピクルは脳髄を痛打されたに等しい。
 睾丸からわきあがる怒りで戦え!


 今週のBGMは森進一「おふくろさん
 または「金太の大冒険」(AA

 「金太の大冒険」↓は、チャンピオン漫画「オヤマ!菊之助」で、さらっとネタになったことがありました。
 激・下ネタ注意



追記 (09/9/9)
 刃牙さんの金的打ち すげぇーっス!
 と、全国で絶賛されているのでしょうか。
 正直、キンタマの話はお腹いっぱいなんですが、今回の駄ネタ追記も金玉の話です。

 わににばさんからメールをいただきました。
> 刃牙の力で200kgもあるピクルを金的アッパーで浮かすのは無理があると思うのです。
> ピクルは自分から跳んで衝撃を和らげたんじゃないでしょうか(前回の最後爪先立ちでしたし)。

 刃牙のパワーは基本的に理不尽なので、200kgぐらい浮かせられると思います。
 まあ、それはそれとして、ピクルが跳んだというのは、じゅうぶんありそうです。
 なにしろ潰れていない!(たぶん)

 範馬一族の睾丸だってけっして壊れぬ鋼鉄の玉だ。
 ピクルも同じ強度を持っているかもしれませんが、とっさに跳んだという可能性のほうが高い。
 恐竜と戦ってきたピクルは、とっさによける本能が育っているのかも。
 だとすれば、人類の宝も無事ですね。


 掲示板で、sosouさんから情報をいただきました。
> 少し記憶が曖昧なんですけど、以前野生動物のドキュメンタリーで
> ハイエナだかライオンだかが水牛をハントする際に睾丸に執拗に噛み付く
> という攻撃方法が紹介されてましたね。
> やはり睾丸攻撃は有効な手段として発展し、伝統芸として我々まで受け継がれてきたのでしょう。

 野性の世界にも金的打ちが存在していたんですね。
 体の大きさを考えると、低い位置から攻めるハイエナの攻撃でしょうか。

 狩りでの有効度というのはともかく、性器への攻撃は有効だ。
 体の柔らかい部分なので、皮を裂きやすい。
 宇宙人が家畜を殺して目や性器を切り取るといわれるキャトルミューテーションも、小動物がやわらかいところから食べ始める現象が原因らしい。
 まあ、チャンピオン漫画情報なんですけど。
 漫画では、新しく畜産業をはじめた人が、家畜の死体を見て宇宙人の仕業と騒いだのが原因というオチでした。

 ただ、狩りの場合だと性器狙いはイマイチだろう。
 ウシカモシカは、腸が飛びだし引きずりながらも走って逃げようとする。(最強格闘技の科学
 だから狩りは、頚骨をへし折り、気道を圧迫し、足にかじりつき、執拗に追いかけスタミナを奪う。

 ピクルにとって、股間一択の攻撃方法ははじめての経験なのだろう。
 正直、カンベンしてほしいだろうな。
 読者としても、もうそろそろ股間の話題はカンベンしてほしい。
 砕かれる夢とか見ちゃったら、最悪ですよ。


2009年9月10日(41号)
第3部 第175話 最終形態 (831回)

(長かった この闘い――)
(終了(フィナーレ)が近い…………ッッ)


 長かった刃牙 vs. ピクルもついにクライマックス!
 むしろ、今からがスタートだ。
 金的アッパーなど前座にすぎん。
 あやうく、その前座でピクルの人生が終わりかけたけど、本番はこれからだ。

 しかし、いままでの展開で刃牙は闘った気になっていたのか。
 刃牙って闘いをひたすらさけていたと思うのだが。
 逃げることも闘いだ!

 ピクルは歯を食いしばったまま、唇をひらく。
 歯茎までムキだしになり、唾液がたれる。
 眉間を中心に顔中にシワがよってきた。
 烈・克巳・ジャックの前座三人衆のときには見せなかった顔だ。

 メスをめぐるケンカや、縄張りあらそいをするとき、動物は毛を逆立て威嚇する。
 だが、狩りのときはむしろ気配を消して近づく。
 ピクルは喰うための狩りではなく、同属へのケンカとして闘っているのだろうか。

 いままで妖術を使われて翻弄されていた。
 すこしでも、優位に立ちたいという必死の抵抗かも。
 相手は常識の通用しない変態だから、威嚇したくなる気持ちもよくワカる。
 ピクルは、がんばってテンションを上げて、幻惑魔獣・範馬刃牙に決戦をいどむ!

「刺創(しそう)――――――」

 本気になったピクルの体に疵創(きずあと)がうかんだ。
 右肩から左脇腹にかけてナナメに走っている。
 斬られた疵ではない。
 等間隔に青龍刀でもを突き立てられたような痕が連続している。

 スカーフェイスならぬ、スカーボディーだ。
 興奮して目立たなかった疵が浮かびあがったのだろうか。
 背中に刺青がうかぶドラゴン紫龍ライブラ童虎みたいなものかも。
 しかし、『聖闘士星矢 LOST CANVAS』の童虎はせっかく復活したのに弱くてションボリだ。

 ピクルにこれだけの疵創をきざみつけたのは、ナニモノか?
 解答(こたえ)にたどりついたのは、見学をしていた三人だった。
 刃牙からは見えないピクルの背中、そこも疵がある。
 輪切りにされそうな形でついているのだ。
 人間を丸かじりにできる顎をもつ巨大生物――――

「青龍刀の正体はティラノサウルスの牙!!!」
「ピクルとはTレックスの顎から生還した勇者(おとこ)だったのですッッ」


 ティラノサウルスを倒して喰っていたことは、すでに知られている。
 だが、ピクルがどうやって倒したのかは不明だ。
 楽勝だったのか?
 苦戦したのか?

 自分の数十倍も重い肉食獣と闘う。
 その苦戦を教えるのが、この疵だ。
 やっぱり、ティラノサウルスはハンパ無く強かった。
 ピクルは命をかけて、巨龍を屠ったのだ。

「結論に至った我々3名は――――」
「期せずして3名同時に拍手を送っていました」


 これはシンクロニシティーか?
 ピクルが睾丸を打ち抜かれたときは、「期せずして3名同時に股間を押さえていました」か?

 ピクルは噛みつかれるという劣勢からの逆転を果たし、いまここに生きている。
 思わず拍手してしまったらしい。
 全身が疵だらけの花山なんかは、深い敬意を抱いていそうだ。
 引退したくなるような傷をうけてなお、現役の戦士でいる。

 ピクルの強さを支えるのは、無敵のタフネスや、稲妻のようなスピードだけではない。
 燃え尽きない闘争心も重要なのだ。
 範馬刃牙の妖術にも屈しない。
 逃げずに、闘うッ!

 ところで、刃牙もリアルシャドーでティラノサウルスを倒しているハズだ。(15巻 122話
 刃牙がちゃんとした意味で本気をだしたら、全身に噛みあとが3つぐらい浮きでたりして。
 『肉食恐竜の真実「ティラノサウルス」』で、ティラノサウルスの咬合力を推測していたのだが、凄まじいものだった。
 人間の手足ぐらい簡単に噛みきりそうなのだが、ピクルも刃牙も頑丈すぎるから平気なのだろう。


 だが、ピクルの本気はまだ底があった。
 関節をはずす。いや、組み変えたッ!
 肩、股関節、ヒジ、手首ッ!
 ピクル自身が恐竜になったような異形のスタイルだ。

「やっぱ…」
「言わなきゃ ならねェんだよな…」
「勝負はここからだ…………?」

『関節を組み変え――――――
 完全なる戦闘体形に変容したピクルの最終形態………………』


 やっぱり、今からスタートだ!
 本格的に闘いはじめるのはこれからですよ。
 関節を変形させたピクルは、今までのピクルではない。
 動きを生みだす関節が変化したのだから、動きもちがってくるだろう。
 誰も見たことのない真のピクルが動きだす。

 対抗するためには、刃牙も限界を突破するしかないだろう。
 筋肉を組み変えて鬼の面に変容させても、勝てるのかどうか。
 刃牙に、さらなる隠し技がなければ、死ぬ!?
 恨み倍返しで、金的を打たれて昇天しちゃうぞ。

「残念ながら―――――
 わたしとの戦闘の際には起こらなかった現象です」
「後の愚地克巳氏 ジャック氏の際にも………」


 自分たちはピクルの本気を引き出せなかった。
 烈は質問者にそういう。
 確かに、ピクルは過去の闘いで変形しなかった。
 それは、烈たちがピクルの肉体を攻撃したからだ。

 いっぽう刃牙はピクルの精神を攻撃している。
 侮辱し、痛みを与え、恐怖イメージを見せ、非戦闘地域への重爆だ。
 まさに性域なき攻撃改革。
 容赦のカケラもありません。

 刃牙の攻撃は、精神的苦痛を与えることに特化した。
 そりゃ怒る。
 自制心の強そうな寂海王だって、コレをやられたら教育者の顔を崩して襲ってくるぞ。
 烈はピクルをここまで怒らせなかったことを、むしろ誇るべきだ。
 負けたけど、烈海王は紳士だった。

「え?」
「物語(はなし)が」
「闘いが進んでない?」

「決着は直後でした」


 烈がつっこまれた!
 まさか展開がおそいというツッコミをされるとは思わなかった。
 インタビュアーもそうとうジレていたのだろう。

 ただ、話が進んでいないという点はちがうと思う。
 ピクルが本気の本気になった今回こそ、話がスタートしたのだから。
 今までは予告編のメイキングにすぎない。
 これからが本編です。

 だが、決着は直後だったそうだ。
 ピクルが本気を出せば、現代の生物で勝てるヤツなどいない!
 つまり、一撃で決着なのだろうか。
 異形の関節がくりだす攻撃は、どんなモノだろう。
 次回へつづく。


 ピクルは可変機構を持っていた。すごい独自進化だ。
 やっぱり、コイツはホモサピエンスとは別の生物だな。
 白亜紀では変形ぐらい常識だったのかもしれないけど。

 関節は「自由に動ける」「体を支える強さ」という矛盾する機能を求められている。
 だからポコポコ外れたりしないで、骨と骨が組みあっているのだ。(骨と関節の不思議
 ピクルの体構造は現代の生物から見ると、かなり変わった生物だといえる。

 あれだけ関節が自由に動くということは、手足を伸ばして攻撃するのも可能かもしれない。
 刃牙はピクルの自由すぎる関節をもパクリまくるつもりかもしれない。
 背中が鬼どころではなく、全身が鬼と化す!
 これなら範馬勇次郎にも勝てるかもしれない。

 ところで、刃牙は勇次郎と闘うときも金的打ちを使うつもりなんだろうか?
 打たれて股間を押さえる勇次郎ってのは、想像しにくい。

追記 (09/9/16)
 烈海王いわく「決着は直後でした」
 まあ、スポーツ界や武術界の直後や一瞬ってのは長いからな。
 さて、決着は何話後だろうか。

 ピクル最終形態で関節を組み変えた。
 でも、ぶっちゃけ あんま意味ないよね、コレ。
 関節ってのは動いてナンボだから、変な位置で固定されてもなぁ。

 それとも、稼動域を広くしたのかもしれない。
 だが、大きく動くようになれば、関節の固定が弱くなる。
 殴った反動で関節がバラバラになってもしらないぞ。

 まあ、基本的にインパクト重視なのが刃牙世界の法則だ。
 関節を組み変えて戦闘モードになった! スゲー!
 で、説得力も増えるというものだ。
 攻撃特化したピクルが殴った反動で全身バラバラになってしまったら、合理的展開だとは思うけど楽しくないだろうし。

 ピクル特攻形態(仮名)がどんなものか想像してみよう。
 合理的(むなしい言葉だ)に考えると、妄想関節マッハ突きと同じ理論ではなかろうか?
 妄想関節マッハ突きは関節の数を増やすことで加速の機会も増やしていた。
 ピクル特攻形態は、間接の稼動域を増やすことで、加速する時間を増やすのだ!
 どっちにしても「関節だけじゃなくて筋肉も増やさないと加速しないだろ!」と友人のみなみさんが言っていましたが。

 たぶん、刃牙世界では骨も筋肉でできているんだよ。
 いや、この説明には無理がありすぎる。
 でも迫力もあるから説得できそうな気がするぞ!

 ピクルは刃牙と闘うとき、急に弱くなったように見えてしまう。
 いままでバブルのように高騰していたピクル株が暴落する瞬間なのだろうか?

 もしかすると、範馬勇次郎が刃牙に敗北するときも、あっさりしたモノなのかもしれない。
 刃牙に鞭打で打たれて半泣きになる範馬勇次郎。
 刃牙に合体恐竜の幻影を見せられてビビる範馬勇次郎。
 刃牙に蝶のような防御をされて汗ダラになる範馬勇次郎。
 刃牙に金的を打ち抜かれて高速回転で身悶える範馬勇次郎。

 いくらなんでも、これは見たくないな。


2009年9月17日(42号)
第3部 第176話 失ったもの (832回)

 肩、肘、手首、腰の関節を組みかえるッ!
 これがッ! これがッ!
 これが『ピクル』だッ!
 そいつに負けることは喰われることを意味するッ!
 最終形態ッ!

 とりあえず上半身の組みかえが多いので、腕の攻撃に特化したスタイルなのだろう。
 変形前は、四足でのタックルが最強の技だった。
 最終形態は立って戦うために必要なのかもしれない。
 もしかしたら、睾丸の位置も組みかえられて金的に強くなっているかも。
 まあ、金玉まもりたければコッカケを学べってコトなんですけど。

『呼び覚まされた原始の記憶は――』
『既に頑強(つよ)かった部分をより堅牢(つよ)く』
『強力(つよ)かった部分を――』
『より凶暴(つよ)く』
『強健(つよ)かった部分を――』
『より強靭(つよ)く造り変化(かえ)た』


 理屈はわからんが、とにかくスゴい迫力だ。
 『迫力があるから説得力もあるって寸法だ』格闘士烈伝
 なんだか肉体そのものが大きくなったような気もする。
 これも迫力の影響か?

 今まで出しおしんできた宝刀はサビついていないのか?
 使わなければ関節だって動かなくなる。
 そもそも野生動物って力をだしおしみする余裕なんてないハズだ。
 より素早く、より安全に敵を倒して、体力を温存する。
 生きのこるタメ、手抜きはしないだろう。

 獅子はウサギを狩るのにも全力を出すというじゃないですか。
 群れでくらすライオンがウサギだけ食って生活できるとも思えないんで、ウソっぽいけど。
 動物は今日を、今を生きるのに精一杯で、明日のことを考える知能がないから全力をだすのだろう。
 つまり、刃牙イズムあふれる「明日やる」の思想は人間らしいのかも。
 俺はまだ本気出してないだけ。

 逆に考えると、ピクル究極体は今この瞬間にもリスクが発生するスタイルなのかもしれない。
 関節を限界まで酷使することで得られる刹那のきらめき。
 ルーレットなら黒の13に全賭けみたいな感じで。
 だから短期決戦になったのだろうか?

 人類は武器を手に入れ強くなった。
 逆に肉体は強さを失っていく。
 ピクルは人類が失ったものを持っているのだ。
 パンツ一枚もってなかったけど、筋力はスゴいぞ!
 まあ、今では文明に譲歩してフンドシつけていますけど。

 そんなピクルのそばにいる。
 刃牙は逃げずに踏みとどまると言いだした。
 いまさら!?
 最後の印象を良くして勝ち逃げする気だろうか?
 なんか壇ノ浦から逆転勝利を目指す平家みたいな感じだけど、やる気だけは感じる。
 ついに四番打者が逃げずに勝負を選んだぞ!

 ピクルは上半身をひねって、全力で殴りかかる。
 刃牙は吹っ飛ぶ。
 いや、地に足つけて横滑りだ。
 耐える。耐えきった。倒れない。
 なんという頑丈(タフネス)だ。

 ちょっと前まで、(防御したその腕が……)(急所になってしまったような)と言っていたのに。
 ……もう なれたのか?
 進化する18歳はムチャにムチャを重ねることで、ムチャを普通にかえてしまうらしい。
 ヤムチャも うらやむサイヤ人体質だ。
 こうなった刃牙は、もう手がつけられない。いろいろな意味で。

 今の刃牙はちゃんとガードすれば最終形態ピクルの打撃にも耐えられる。
 切り札である鬼の背中をだしていない状態で互角だ。つまり、勝ちはまちがいなし。
 つうか、関節組みかえてもピクルの攻撃パターンは変わんないのかよ。
 攻撃をくらった刃牙は平気な顔している。
 ピクルの打撃は、変形したことで威力おちてないか?
 変形……失敗だったかな。

 ピクルは憤怒の形相でアッパーを放つ。
 アッパー! つまり、息子のカタキ打ちか!?
 刃牙のゴールデンクラッシュでうけた痛みを数倍にして返すんだ。(174話
 地をはうような低空飛行から、天を突くアッパーカットォ!
 砕いて突き抜けろ!

 刃牙はジャンプした。バカめ、股間が無防備だ。
 いや、このジャンプは回避ではない。
 空中から刃牙が両足でピクルのアッパーを蹴り落とす。
 まさか、ピクルのアッパーを踏み台にして?

「ピクル渾身の一撃で――」
「刃牙さんが飛ばされないッッ」


 おもわず烈海王も叫ぶ。
 私も叫んだ。(心の中で)

 アッパーを蹴ったんだから、普通は上空に飛ぶはずだ。
 空中に逃げることで威力を消したとか、そういうんじゃなくて?
 つうか、また上空に飛んだら本日三度目の30mダイブになっちゃうもんな。
 いくらなんでもワンパターンすぎる。
 むしろ照明にしがみついて、落ちてこないってのはどうだ?
 いや、それだとオチがない。

 なぜ、刃牙は飛ばなかったのか?
 妄想力で空中ブレーキをかけたか?
 烈海王ともあろうものが、これだけ取り乱すのだ。
 いつものコトという気もするけど、大変な事態がおきているらしい。
 四千年を驚愕させた、範馬刃牙の秘術はなんだ?

「なんちゃない………………」
「よりスピーディーに より鋭角的に同じ力量(ちから)で迎え打っただけのこと」
「これが技術…」
「これが進化だッッ」
「俺達は格闘技を手に入れたッ」
「何も捨てちゃいないッッ」
「ここは一歩も譲らねェッッ」


 烈海王・花山薫・徳川光成の三人は、期せずして3名同時に拍手を送っていました。
 魔拳・烈海王が四千年の恋もさめるダメな表情でマユゲを八の字にした。
 それは悲しんでいるのか、呆れているのか。
 それとも、感動しているのか?
 この表情のためだけにチャンピオンをもう一冊買ってもいいぐらいだ。
 使い道ないけど。

 人類が失った強き肉体をピクルはもっている。
 だが、人類は失った肉体と同等の技術を手に入れた。
 全格闘家、全現代人の代表として、刃牙はピクルに挑戦だ。
 烈海王から、愚地克巳から受け取った武術のバトン、たしかに刃牙がもっている。(17巻 136話
 現代人代表として知性の、謀略の限りをつくした反撃がはじまるぜ。
 次回へつづく。


 刃牙が急に強くなりました。
 なにか特殊なことって起きたか?
 むしろ、ピクルが変形して弱くなったと考えるほうが妥当かもしれない。
 妖術使いに対抗すべく、魔よけの体形に変形しちゃったんだ!
 けっして強くなったワケじゃない。

 次回で刃牙が強くなった理由が説明されるかもしれない。
 まあ、脈々と受けつがれてきた人類の英知が刃牙の中で花開いたのだろう。
 どうせなら四千年の継承者・烈海王の時点で花開いて欲しかった。
 でなければ、新世紀のスタイルを生み出した克巳のときに。
 もしくは、現代科学により肉体を改造したジャック・ハンマーでもイイのだが。

 ただ、刃牙でないとダメな理由もわかる。
 アッパーを蹴って防御したのに飛ばないってのは武術じゃない。妖術だ。
 世の中には作用・反作用の法則ってものがある。(参考
 ある物体に力を加えると、同じ大きさで正反対の力(反作用)が生じるのだ。

 下からくるピクルの拳に互角の力で踏みつけると、同じ力が刃牙の足にかかる。
 もちろんピクルの腕にもかかるから、両者は天と地に弾き飛ばされるだろう。
 どっちかの身体が破壊されているのなら、そこでエネルギーが消費されるので飛ばない。
 もしかして、すでにピクルは破壊されているのか?
 また、刃牙が足のバネでピクルの打撃を吸収した場合も飛ばない。

 だが、刃牙は同じ力を加えて相殺したと言っている。
 そういう意味だよね?
 つまり物理法則を無視した技を使ったのだ。
 これは過去(四千年の烈海王)や現代(克巳とジャック)の技術ではない。
 未来の技だ。あるいは異次元の。度胸星(AA)のテセラックなみ物理法則ムシっぷりだ。

 こういう妖術は範馬刃牙にしかつかえない。
 積みあげられた人類の英知に妖術を加えることで、奇跡が起きたのだ!
 と、思うのだがどうか。

 反作用に耐えるため、足裏と地面の摩擦以上の打撃を撃つことができない。
 もちろん、人間が人間と戦うときは気にしなくてもいいンだけど。
 この摩擦の限界を超える技がゲバルの地球拳だ。……たぶん。(7巻 52話

 相手をつかんで殴れば、最大値は相手をつかむ腕の強さにかわる。
 この場合も反作用のせいで最大値に制限が生まれてしまう。
 だが、範馬刃牙が反作用を消すことができたとしたら?
 もはや『とある魔術の禁書目録』なみのリアリティーと無敵感を獲得したも同然だ!
 どうせ獲得するなら美少女にすればいいのに。
 以前、友人に『とある魔術の禁書目録』の疑問点を延々と述べていたら「だってライトノベルだし」の一言で論破されて、たいそう悔しい思いをしました。

 反作用の法則は古典物理学だ。
 現代物理学で考えれば、条件によって刃牙の技も説明可能かもしれない。
 とにかく、刃牙はなんかの壁を超えちゃった。
 もう二億年という時間だってこわくない!
 まさに決着のときだ。

 …………って、ほんとうに決着は直後なんだろうか?
 烈は四千年を基準に物を考えるから、時間感覚がちがうのかもしれない。
 四千年から見たら「6時間後 = 直後」だよな。

追記 (09/9/23)

 ピクルの変形は見かけだおしの弱体化ではないか?
 そんなふうに疑っている時期が今の俺でした。

 ロボット物とおなじでリアリティーを求めると、変形ってデメリットのほうが大きいってヤツだな。
 普通は、可変機構に必要な部分の重さが、得られるメリットよりもはるかに小さい。
 優れた兵器や商品ってのは一つの特性に特化しているモノが多いのだ。
 ガンダムSEEDはアレな話だが、戦況にあわせて武装を換装できるシステムは好きだった。
 作中では、ほとんど意味をなさなかったけどな! そんなに長距離射撃は嫌いか!?

 ピクルが関節をゆるめて変形させたため グラングランになって威力の落ちたアッパーになっていたのかもしれない。
 ならば刃牙が飛ばなかったのも理解できる。
 稼動部が増えることにより構造が弱くなることは、変形による問題点の一つだ。

 刃牙のセリフはなにげにカッコ良かった。
 それは認める。
 だが、金的打ちまでの積み重ねがセリフをダメにしている気がしてならない。
 たしかに、技術で対抗していたけどさ。
 なんか素手を極限まで鍛えた人を機関銃で撃ち殺しているようで申し訳ない気分になる。

 でも、シュトロハイムがカーズに少しのあいだ優勢だったときは、爽快な気分だったんだけどな。
 刃牙にはナニが足りなかったんだろうか?
 むしろペテン要素が多すぎるのかもしれない。
 最近はアオリ文までペテンにかけられている気がするし。
 範馬流ペテン術はあなどれない。


2009年9月24日(43号)
第3部 第177話 歴戦の疵 (833回)

 衝撃の決着はCMのあとスグ! と言って本当にはじまることは、めったにない。
 決着は直後という烈海王の言葉も、またしかり。
 刃牙とピクルの決着はいつだッ!?
 たぶん、10月中にはなんとか。最悪、今年中にはなんとか。

「多くを積み重ねた」
「筋力(ちから)を」
「迅(はや)さを」
「持久力(スタミナ)を」
「経験を」
「だがここまでは――――……」
「俺も君も同等……」

 刃牙がピクルを自分と同格と認めたッ!
 ここに来て、またまたスタート地点だ。
 ……なんか刃牙は言ったさきから、発言をリセットしまくるな。
 え〜〜と、今ってどっちが優位に立ってんだっけ?

 まあ、とにかく刃牙はピクルを好敵手と認めたようだ。
 もしかすると、ピクルは自分より強いかもしれない。
 刃牙は謙虚に相手を大きめに評価した。
 ……ここ、ツッコむ所ですか?

 刃牙は圧倒的な精神的優位に立っている。
 もはや肉体のダメージなど関係ない。
 体力差も意味なし!
 人間がもっとも疲れを感じるのは脳が疲労したときなのだ。(〈勝負脳〉の鍛え方
 今一度言おう。刃牙は圧倒的優位に立っている。


 ギャドッ

 憤怒のピクルが両手で鉄槌を打ちこむ。
 だが、刃牙は両腕でガードした。
 もうピクルの攻撃など問題にならない。普通にガードできる。
 ピクルの重爆を弾きかえせるのなら、同等の攻撃も出せるハズ。
 刃牙が加速的に進化している。

 進化した刃牙は、どう反撃するのか?
 力任せの正面攻撃かもしれない。
 または、超スピードによる連打だろうか。
 刃牙が選択したのは……

(何をもって闘う…? 何をもって支える…?)
(技術(わざ)だろッ)


 技術(わざ)だったのかよッ!?
 ピクルの攻撃を力でかえしたように見えたけど技術(わざ)だったらしい。
 技術で鍛えあげた筋力というコトなのかも。
 前回、ピクルと互角の打撃が打てるようになったのも、技術のおかげだったし。
 とにかく、ウソでもハッタリでも妄想でもなく、刃牙はピクルなみの打撃を打てるようになりました。

 ピクルの頬に反撃の廻し蹴りだ。
 口の中が切れる。とうぜん血飛沫。流血する。
 金的と同じく、鍛えようのない部分=口中を狙う!
 これも技術だ。

 野生動物は食事をする口にダメージをおうとかなり致命的だ。
 食べることが生きることですから。
 象の歯はすりへると生え変わるのだが、歯の数は人間と同じで有限であり、使い切ったら命も終わる。(参考
 刃牙は的確に相手のイヤがる攻撃をしている!


(始めた記憶がないほど遠い過去から積み上げた技術)
(苦痛に耐え――――)
(磨き――――)
(育み――――)
(挑み)
(闘った………………ッッ)


 範馬刃牙の修行は「父にコンクリートに叩きつけられるところから始ま」った。G刃牙4巻 31話)
 激痛(いた)みから始まり、幼年編の修行へ。
 脳内麻薬(エンドルフィン)の力をかりて、苦痛を快楽にかえた。
 ガケから飛び降りて、死に際の集中力を身につける。
 妄想の巨大カマキリと闘う!
 …………刃牙のなかでは、巨大カマキリ戦はけっこう重要なエピソードなんですね。

 人類がつくりあげた戦いの技術が刃牙の身体にやどっている。
 まるで日本刀のようだ。
 材料・形状・工法。長い年月をかけて鍛えあげ、芸術作品とよべるほどに磨きあげた。
 完成された技術の結晶が範馬刃牙だ。
 範馬勇次郎の息子というのが、やっぱり最大のブランドだよな。

 だが、ピクルだって負けちゃいない。
 数多の恐竜たちを屠ってきた。
 激闘の歴史がピクルの身体に刻まれている。
 ピクルは号泣して自分の過去をアピールした。

『己の背景(れきし)に目覚めた刃牙の眼に――――――』
それが目撃(みえ)るのはむしろ必然』


 むしろ必然!(ッッッ!? 言い切った!)
 リアルシャドーと逆の発想だ!
 ダメージをうけるほどリアルなシミュレーションをするのが、リアルシャドーである。
 ならば、ダメージ痕からリアルなファイトを幻想するのも可能だ。
 ついに刃牙は他人の妄想も見えるようになった。

 刃牙がきゅうに強くなったのは『背景(れきし)に目覚めた』ためらしい。
 数学の公式が理解できた瞬間、過去苦しんだ問題をかんたんに解けるように!
 鬼の背中が肉体的な覚醒なら、『背景(れきし)に目覚めた』のは精神的な覚醒だ。
 どっちも『背』がつくのは偶然だろうか?
 なるべくなら前向きな覚醒がよかったな。

 現在の刃牙は愚地独歩や渋川剛気にも負けない達人クラスの技術をもっている。
 もしかしたら本部なみの解説もできるかも。
 刃牙は手のつけられない最強キャラになりつつある。
 範馬勇次郎まで、手が届きそうなレベルだ。

 見える人になった刃牙は、ピクルの背後に異物を感じた。
 恐竜にまじって、烈海王・愚地克巳・ジャック範馬の姿がッ!
 ピクルの歴史には、近代格闘技の若手代表といえる烈たちも加わっているのだ。
 せっかく芽生えた刃牙の優位点がイキナリ消えた!

 でも、大丈夫。
 烈たちはみんな打撃系だ。
 刃牙には実戦柔術の雄・本部以蔵の歴史も混じっている。
 少なくともジャマにはならない。
 解説でピクルを圧倒しろ!

「何が……」
「見えているんだ!!?」


 ついに烈海王も刃牙の世界について行けなくなった。
 烈海王ですら、常人みたいな反応をするしかない。
 恐るべき世界をひらいてしまったな。
 4001年目どころか、いっきに一万年の進化をしたような範馬技である。
 塩漬け一億年に対抗するには、これぐらいのムチャが必要だ。

 ピクルは恐竜と闘った歴史に、烈たちとの激闘の記録も加えた。
 刃牙は人類進化の歴史を背負って闘う。
 恐竜のぶんだけ、刃牙が不利かもしれない。
 でも、ここに範馬勇次郎を乗せればつりあいは逆転するぞ。

「極まったな」
「総力戦だ」


 喧嘩師・花山薫が戦いの流れを感じとる。
 両者ともにすべて出しきった。
 ここから先は、まるごと全部をぶつけあう総力戦だ。
 ついに決着がつくのか!?
 答えはCMのあとなのか?

 花山は極まったと言った。
 だが、刃牙はまだ背中の鬼を残している。
 予備兵力をもっているぶん、刃牙のほうが有利だろう。
 最終決戦の最終局面で、さらなる範馬が爆発するのか?
 また金玉に爆発させるのか?

「厄介…」
「……………というより……………」
(こんな強敵見たことねェッッ)
(こんなとき俺は


 ピクルの攻撃が閃光となって襲いかかる。
 せっかく目覚めた刃牙の歴史だが、対応策をもっていなかった。
 刃牙はこのままピクルの攻撃を喰らってしまうのか?
 次回へつづく。


 刃牙がさらなる高みに覚醒した。
 覚醒しちゃったのなら、しかたがない。
 オリバと戦ったとき、刃牙はすでに宮本武蔵レベルの脱力を手に入れていた。(9巻 69話
 そこから、さらに上の技術までつかえるようになったのだろう。

 『己の背景(れきし)に目覚めた刃牙が――――――』『勝利するのはむしろ必然』
 てな感じです。
 ピクルが烈たちの背後霊を背負ったぐらいで、泣き言いうなよ。

 しかし、覚醒とはおそろしい。
 『情欲(いろ)に目覚めた刃牙の眼に――――――』『梢江が美人に目撃(みえ)るのはむしろ必然』
 という状況だったんだろうな、SAGAのころは。

追記 (09/9/30)
 決着は直後だったり、極まったりしながら、戦いは最終局面に入ったッ! ……と思う。
 今までの刃牙は範馬遺伝子による肉体の差で勝つケースが多かった。
 体重差も身長差も 問題にしない圧倒的な範馬肉による勝利だ。
 筋肉最高ッ! 筋肉万能主義ッ! 天才とは99%の筋肉と1%のひらめきである。 少年よ筋肉をいだけ! 敵は筋肉にありッ!

 しかし、ピクルは刃牙よりも優れた筋肉を持っている。
 だから刃牙は筋肉以外の要素で勝たねばならないのだ。
 刃牙が本気で勇次郎と闘うのであれば、やっぱり自分より上の筋肉と戦うコトになる。
 そろそろ筋肉以外の要素で勝っとかないと、先が見えない。

 オリバのときは正面から力でネジふせていた。刃牙の自己申告によれば。
 まあ、実際は技術を使っている描写なんですけどね。(10巻 76話
 とにかく、オリバに力で勝ったので一般地球人で範馬一族に力で勝てる人間はいなくなったのだ。

 そう考えると、刃牙が技術でピクルに勝つのは必然なのだろう。
 と、まあ一週間もたつと、少しは冷静になってモノを考えられるようになる。

 でも、ここまで考えないと納得できないってのも困りモノだ。
 どうしても、いきなり理不尽に強くなったように見えてしまう。
 実際、いきなりで理不尽だとは思うけど。
 刃牙が勝てるなら、烈・克巳・ジャックが勝ってもいいじゃないか。
 寂が買ってもいいだろうし。

 最近の刃牙が技術的に成長したのって、巨大カマキリの妄想と戦って、蟷螂拳をマスターしたことぐらいじゃなかろうか?
 むしろ、戦いの途中で宙に浮いたことのほうが大きいかもしれないけど。
 進化しすぎた人類の脳が生み出した超常の力でないと、ピクルや勇次郎には勝てないのだろうか?


2009年10月1日(44号)
第3部 第178話 迎撃(カウンター) (834回)

 ついに刃牙が主役っぽい活躍をするッ!
 ……まさか、死亡フラグじゃないだろうな?

 刃牙は無策・無謀にピクルの間合いへ入っていく。
 正真正銘、何も考えていない!
 なにしろ刃牙は大脳が無くたって戦う気でいる男だ。(8巻 57話
 考えるんじゃない。感じるんだ!

(最前線で俺は何をするのだろう……………… 何ができるのだろう)

(おお……)
(なるほど…)
(そうきたか……)

 いきなり刃牙が他人事のように自分を語りだした!
 171話で、自分大好き宣言をしたのはダテじゃない。
 本気で自分の行為に期待して興味をもっている!
 刃牙が梢江ちゃんへの興味を失った(ように見える)のは、自分の美しさに気がついたためだろうか?

 まあ、刃牙の自己愛ネタは冗談として……
 刃牙は究極の客観視を手にいれたのだろうか?
 世阿弥は自分の演技を客観的に見る『離感の見』を重視していたらしい。(参考1参考2
 刃牙も自分を客観視することで、他人事のように驚いているのかもしれない。
 合計60mダイブで脳に問題が発生していたという展開はカンベンねがいたい。

 ピクルの豪拳をカウンターにとる!
 危険地帯から逃げださず、むしろ踏みこんで攻めた。
 だが、ピクルはひるまない。
 すぐに反撃してくる。だが、刃牙はその反撃も迎撃(カウンター)で返す。
 カウンターの連発だ!

(拳は……)
(打つのではなく――)
(既に打ち込まれていなければならない)
(敵の動きに応じ――――)
(勝手に――――)
(導かれていなければならない)


 刃牙は無心に攻撃している。
 頭で考えて打つのではない。
 身体が勝手に動くのを眺めるがごとく。
 こんなところで『離感の見』が完成だ!

 また、おなじ話題ですが『ユーザーイリュージョン』(AA)系のネタですね。(9巻 70話
 人間が身体を動かすとき、脳から筋肉へ指令がでる。
 この指令には、指令を出す前の準備が必要だ。銃を撃つために弾丸を装填して撃鉄を起こす必要があるように。
 身体を動かす準備は、実際に身体が動く0.8秒前に観測される。
 肉体は動くための準備を、けっこう早い段階からしているのだ。

 ところが「動こう」と意識するのは、実際に身体が動く0.2秒前なのだ。
 つまり肉体は意識よりも0.6秒早く動きだしている。
 だから「打とう」と意識するよりも、身体が自然に動くに任せるほうが、早く動けるのだ。
 「ブッ殺す」と心の中で思ったならッ! その時スデに行動は終わっているんだッ!


「カウンター」
「迎撃には――――」
「2つの効果が期待できる」


 またまた烈海王が未来から解説をはじめる。
 この出たがりさんめ。
 烈は「決着は直後でした」発言(175話)をしてから、ちょっと信用度がさがった。
 また失言をしたりしないよな。

 カウンターの効果、ひとつは物理的な効果だ。
 向かってくる相手を打つので、打撃の相対速度があがる。
 烈が出したイメージはボールを打つバットだ。
 速球を真芯でとらえればホームランが打てると よくいわれる。
 でも『同じ威力で相殺理論』だと、ボールは飛ばないよね。(176話)

 カウンターの物理的な効果については異論がない。
 ごく常識的な発言だ。
 で、もう ひとつは何だ?

「心理(こころ)の隙間」

「闘争の最中 被弾を忘れた肉体への迎撃」


 打たれる覚悟の問題だ。
 常識的な答えで よかった。

 攻撃力を上げるのは、敵を倒す方法のひとつにすぎない。
 前にも書いたが、攻撃は速ければイイってもんでもない。
『相手に目をつぶらせて(中略)、そ〜っと近づいていって思いっきり顎を叩いたら絶対倒れるんですよ。』
『達人たちはフォームやスピードより、そういう状況設定作りが巧いってことなんじゃないでしょうか』

 板垣先生も、そう言っている。(餓狼伝 最強格闘技作法

 攻撃をしようとしているときは、スキだらけになっている。
 頑丈なピクルであっても、防御の供えがなければ倒せるのだ。
 烈海王は著名なボクサーを引き合いにだして語る。
 また、ボクサーかよ。烈はどこまでボクシング好きなんだ?

『"象も倒す"と怖れられる豪打の持ち主がいた』
『31代世界ヘヴィ級王者(チャンピオン)
 G(ジョージ)・フォアマン』


 歴代No.1のKO率なのだが、10カウントの勝利は少なく、タオル投入かレフェリー・ストップがほとんどだ。
 逆に、多くの対戦者に10カウントを聞かせた男がいる。

『御存知グレーテスト』
『M(モハメド)・アリである』

『意識の隙間を縫う絶妙の巧打』
『被弾を覚悟する隙を与えない』
『対戦者にとってはまるで不意打ち』


 まさに、目をつぶっている相手を殴るような一撃だ。
 そして、今の刃牙もM・アリとおなじような技術をもっているらしい。
 人類の格闘史に目覚めた刃牙は偉人の技も使いこなせるのか!?

 そうなると未来の烈がボクシング話ばかりしていたのも納得だ。
 刃牙を語るにはボクシングを語るしかない。
 中国四千年に比べたらボクシングの歴史は浅いかもしれない。
 だが、その密度は濃く進化速度も速かった。
 刃牙は進化したボクシングの技術で戦っているのだ。

「だからこそ」
「追いつめることができたのです!!!」

 まだ、ピクルは追いつめられていなかったッ!?
 ピクルの究極体はこれから登場するのだろうか。
 決着は直後で極まった闘いも、ついに終焉が見えてきた。
 次回こそ、今度こそ決着が近いのか?


 刃牙の進化が止まらない。
 でもまあ今回はあまり理不尽じゃなかったですね。
 範馬の筋力に、M・アリのテクニックが加わったら最強じゃね アタックだ。
 やっぱり理不尽だろうか?

 烈海王や愚地克巳には技術があっても筋力がなかった。
 ジャック・ハンマーには筋力があったが、技術が足りない。
 ふたつを兼ねそなえた範馬刃牙だから、ピクルを追いつめることができたのだ。
 と、なると範馬勇次郎ならピクルも余裕で倒せるんだろうか。

 あと、ピクルは本来の持ち味である四足歩行をすてているのが痛い。
 二足歩行での戦いは、刃牙のほうが得意だろう。
 ピクルの間合いで戦っているように見えるが、実際は刃牙のホームグラウンドで戦っているようなものだ。
 足を止めての連打戦なら範馬刃牙のもつ歴史がモノをいう。

 戦いかたも、刃牙は工夫しているようだ。
 烈たちは自分から積極的に攻撃をしかけるスタイルだった。
 だが、刃牙はピクルを極限まで怒らせて、攻撃してきたところを迎撃する作戦だ。
 いままでの行動は、すべて勝利にむけた伏線だったのだろうか?
 大脳つかっていないくせに、スゴい作戦を考えているよな。

 は むずかしいこと考えずに本能で行動して、巨大な巣をつくりあげる。
 刃牙も本能で行動しているうちに、たまたま偶然に偉大な成果をあげたのかも。まさにアリ。
 今回の刃牙は、無心 ――――すなわち、なにも考えていないっぽい。

追記 (09/10/7)
 刃牙がまともに活躍しているのだが、あまり評判がよろしくない。
 私はひさしぶりに許せる刃牙を見た思いだったんですけど。
 やはり、積みあげてきた実績というか信頼感が刃牙にあるのだろうか?
 では、刃牙の人気を再燃させるにはどうすればいいのか?

 方法のひとつが、性格の悪いライバルを登場させる!
 王道中の王道となる展開だ。
 餓狼伝でいえば鞍馬をだすことで、自然と長田を応援したくなるようなもの。
 残念ながら鞍馬は自滅しちゃったので破壊のカタルシスを味わえませんでしたが。
 変な話だけど、性格悪くなった丹波がレスラー3人にやられたときは、ちょっとスッとした!(いや、丹波は主人公ッ

 ただ、刃牙ではこの手のライバルがうまく機能しない。
 性格の悪いライバルがとる行動パターンに「人気キャラを汚い手段でたおす」というのがある。
 最近だとアライJr.とピクルがこれをやっていた。
 アライJr.にいたっては、主人公の彼女にまで手をだすという暴挙を行っている。
 いろんな意味で暴挙だ。
 ボクサーの生命線である視力に問題があるんじゃないかと思ったほどの暴挙ッ!

 ピクル本人は卑怯じゃない。
 しかし、存在自体がズルいぞ。原始人なんてムチャもたいがいにしてくれ。
 いくら攻撃してもほとんどダメージがないのは、やっぱり卑怯だ。

 で、アライJr.とピクルがどうなったか?
 ふたりとも刃牙に金玉を攻撃された。
 まあ、金玉はともかくとして、ズルめの攻撃で沈められている。
 結果的に、なんか二人には同情してしまう。
 最後まで憎いキャラであり続けることができなかった。

 刃牙世界では戦ってしまえば親友(ダチ)になるし、負ければ憑き物が落ちて善人になる。
 まあ、死刑囚の一部は負けたあと姿を消しちゃったけど。
 憎まれキャラが存在しにくい世界なのかもしれない。

 その中心で勝ちつづける刃牙は負の評価も背負う宿命にあるのだろうか。
 格闘士たちの原罪を背負い、まるでキリストのように……
 と、ムリヤリきれいにまとめてみたかったけど、まとまらなかった。


2009年10月8日(45号)
第3部 第179話 俺は (835回)

 圧倒的で理不尽な暴力にたちむかう。
 まさに勇者のあるべき姿だ。
 勇者ピクルが若鬼・範馬刃牙に反逆する。
 とりあえず、回想ッ!

 6ページ分の回想を簡単に省略すると俺は、恐竜たちをブチのめしたから最強だ!」といったところ。
 現実に打ちのめされているピクルがすがりつくものは過去の栄光だけなのか。
 思考が後ろむきだぞ。さびしいぞ。せつないぞ。
 でも、トリケラトプスの角をつかんで投げとばす姿は、ちょっと面白かった。

『最強の自分が追い込まれている』

 現実は非情である。
 自分より小さな相手にピクルは後退していた。
 う〜〜む。オリバと同じパターンか。(10巻 76話
 まあ、オリバのときとは違い、今回の刃牙は自覚して技術をつかっている。
 それだけピクルのパワーが強かったのだろう。

 ピクルは恐竜とばかり戦ってきたので、小さい相手と闘った経験がないのかも。
 戦士として小柄な刃牙はピクルの苦手なタイプかもしれない。
 刃牙は体格のハンデを背負っている。
 小さいからリーチは短いし、のせられる筋肉に限界があって体重もすくなくなる。

 だが、反則筋肉・範馬肉のおかげで、パワー問題は解決した。
 体重は増えてないけど、なぜか当たり負けしないので大丈夫だ。
 リーチの短さは懐にはいって連打することで、武器となる。
 範馬刃牙は、常識やぶりの戦いにくい生物なのだ。
 短所を長所にかえた逆転の発想といえる。

『なんという技術(わざ)の偉力』
『なんという技術(わざ)の不可思議』
『古代人は戸惑っていた』


 変形までして出した自分のベストパンチが当たらない!
 ピクルは大ショックだろう。
 強敵(とも)を食べることで生じる別離(わかれ)の涙だったハズが、悔し涙に変わっていそうだ。
 今の涙はしょっぱいぞ。

 くるしむピクルはジャック戦でつかった超スピードで脱出する。18巻 146話
 ピクルもバカではない。恐竜の攻撃をいつも正面から受けとめていたワケじゃなかろう。
 キケン度の高い攻撃はよける!
 爬虫類でも理解できる基本戦術だ。

 でも、烈は驚いている!
 驚くなよ。ピクルに失礼だよ。
 あ、刃牙の攻撃がピクルをビビらせたことに驚いていたのか。
 やはり刃牙の評価はうなぎのぼりだ。
 つかみ所のない進化がにあっている。
 そろそろ、刃牙のことを呼びすてにするの止めたほうがイイんだろうか?

 ピクルが逃げだしたくなる気持もワカる。
 自分の出す攻撃は全部カウンターにされているのだ。
 思わず寝転がって「攻めないぜ」などと言ってみたくなる。
 まあ、そうしたら刃牙が尿を飛ばしてきたりするんだろうけど。

 とりあえず超スピードで逃げて気持と体勢を立て直すんだ。
 ジャック・ハンマーですら見えなかった驚愕のスピードなら、逃げ切れる。
 そんなふうに考えていた時期がピクルにもありました。

「そのピクルに――」
「刃牙さんは」
「追いついている…………」


 最後の切り札が敗れたッ!
 範馬勇次郎をも凌駕した腕力が無効化されたピクルにとって唯一のよりどころだったスピードがッ
 ピクルに残された最後の希望はここについえた。
 もう後は最下位が決定したチームの消化試合みたいなものだ。
 来年に期待をもとうや。

 それにしても、刃牙はいつのまに こんなスピードを手にいれたのだろうか?
 さすが理不尽な一族の後継者だ。
 範馬勇次郎がジャックは血が薄いといっていた。(19巻 154話
 血が濃いと、ここまでパワーアップできるということなんだろうか。

 今の刃牙なら全速力のチーター(100km/h)を走って追い越せそうだ。
 ウサイン・ボルトが37.6km/hだから、人類をはるかに超えている。
 刃牙さん、また遠い存在になっちまったなぁ。
 さすが自力で飛べる人は、どこか違うモンだ。

 ピクルを完全に追いつめ、あとはトドメを刺すだけの状態だ。
 範馬刃牙の完全勝利は近い。
 って、決着はまだなのかよ。

「口を慎みたまえ」
「ウソは言っていません」
「数瞬を詳しく語っているだけです」

 烈海王に怒られたッ!
 く、口を慎みたまえ!?
 はい、スイマセンでしたァ。土下寝。
 丁寧語にもどしているけど、烈はスゲェ怒っているよね。
 インタビュアーに怒っているのだろうけど、まるで自分が怒られているような感じだった。

 烈海王の抗議により、数瞬の戦いはまだ詳しくつづきそうだ。
 まるで百科事典棒のような高密度の情報体となろうとしている。(参考「ベイビー・プリンセス」「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」)
 この闘争(たたか)いは、いつまで続く。どこまで続く。
 次回、なんとなくクライマックスか?


 烈海王が怒っている。
 こりゃ、そうとうインタビュアーに「話し長いっすよ」「すぐに決着じゃなかったんですか」と言われたにちがいない。
 で「ウソつき」と言われて激怒したんだろうな。
 偽装とかウソという言葉に過敏になっているのだろう。

 烈がインタビューに答えはじめたのは、169話からだ。
 このとき すでにカレーを例に高密度情報について語っていた。
 カレーが伏線だったのか!?
 烈の解説とカレーは煮こむほど美味くなるといったところですな。

 そして、175話で例の発言だ。
「え?」「物語(はなし)が」「闘いが進んでない?」「決着は直後でした」
 時計の時間では直後だけど、体感時間だと長いのだ。
 ほら、亜光速で移動するとウラシマ効果で時間がゆっくりながれるじゃないですか。
 …………いや 関係ないな。

 まあ、とにかく烈も話を進めろと文句いわれていたのだろう。
 今の時点で刃牙の勝利はゆるがないと思われるが、解説的にはここからが本番かもしれない。
 刃牙がなんで急に速く動けたのか解説が必要だし。
 烈海王は、口を慎む気がまるでない。


 今週の作者コメントは以下の通り。
『運命か! 2丁目で森川ジョージ氏とダチになる!! くれぐれも誤解なく。』

 板垣先生が森川ジョージ先生と勝負を望んでいたのは、2006年のころだった。(2006年19号
 サイン会でその後の進展を質問したのだが、森川先生がのってこないので進んでいないらしい。

 だが、ここに来て急展開だ。
 タイマン張ったらダチじゃあ〜!的なバトルでもあったのだろうか?
 2丁目でボクシング関係者2人…………、勝負でしょう。
 わざわざ「くれぐれも誤解なく」と書くのがアヤシイが。

「口を慎みたまえ。ウソは言っていません。結果を語っているだけです」
 ……邪推して、申し訳ありません。

追記 (09/10/14)
 ピクルが過去の栄光にしがみつくようになるとは……
 範馬刃牙は相手の持ち味を殺して勝つのが得意らしい。

 現在の闘いは烈海王がインタビュアーに語っているものだと思われる。
 謎の多い状況だが、NHKスペシャル甦った原始人みたいな番組でも制作しているのだろうか。
 そうなると全国区に「口を慎みたまえ」が放送されるんだよな。

 ピクルの内面描写も烈がかってに解説しているのだろうか?
 烈視点とピクルの心情描写と、神視点のナレーションが混ざっている感じだな。
 ぜんぶ烈が数瞬をくわしく語っているとするのなら、ウソに限りなく近いよな。
 少なくともピクル本人は会話できないので、神視点が必要だ。
 四千年の力をもってすれば、ピクルの心情をくみとることなど雑作もないのだろうか。

 烈さん、それって捏造じゃ……
「口を慎みたまえ」

 刃牙のパワーアップが理不尽すぎやしませんか?
「口を慎みたまえ」

 刃牙は勇次郎と戦うといいながらコミックス20巻以上が過ぎましたが……
「口を慎みたまえ」

 ギャンブルフィッシュのポーカーでカードが尽きたら、その後の展開をどうするんですか?
「キノコ君は慎みたまえ」


2009年10月15日(46号)
第3部 第180話 Finale(フィナーレ) (836回)

 ついにッ! ついにッッ! 決着ッッッ! フィナーレだ!
 烈海王が本気をだして話を巻きはじめたのか!?
 もう寄り道はない。回想も禁止だ。
 いざ、決着へ。

 ピクルの超高速にも平気で追いつく、それが範馬刃牙だ。
 理不尽なパワーアップにつづき、説明不能なスピードアップをした。
 あとは、ピクルを倒すだけだ。

『絶望的な体力差を――』
『埋め難い筋力差を――』
『格闘技という文明の利器で克服』


 ピクルが攻撃してくればカウンターで迎撃する。
 逃げれば、行く手をふさぐように廻し蹴りを打ちこむ。
 もうピクルは攻撃することも逃げることもできない。
 刃牙の攻撃でピクルの心は砕ける寸前だ。
 ピクルの涙が止まらないッ!

 刃牙は烈海王→愚地克巳とつづいてきた格闘技代表のバトンを受けとっている。(17巻 136話
 ピクルと闘った格闘士たちの思いが手足にこもっているのだ。
 現代格闘士の代表として刃牙は闘う。
 ……ジャックのことは無かったコトにしているのか?

 刃牙に蹴り飛ばされたピクルが宙をまう。
 もはや技術というだけでは説明できない威力だ。
 コイツは烈に解説してもらうしかあるまい。
 って、時間ないから解説ぬきですか。
 気分的にはBGMに「蛍の光」が流れて閉店まぎわだ。

 だが(困った方向に)進化する18歳は止まらない。
 さらなる高みを目指す。
 梢江を喰らわばSAGAまでッ! の精神だ。
 ピクルを陥落寸前までおいつめた刃牙は、さらなる暴挙にでる。

『今や勝利目前!!!』
『そんな栄光を前にして――――』
『今 少年刃牙の心に』
『芽生えてしまった衝動』

『救い難き強欲』
『飽くなさすぎの欲深さ』
『この期に及び技術(わざ)による勝利を拒否』
『堂々の体力による勝利を狙う無謀 浅薄(あさはか)


 ここにきて、刃牙が真っ向勝負の殴り合いを選んだ!
 力技で勝つ気なのか?
 というか勝てると思っているのかよ。
 それともマゾの本性が痛みを求めてしまったのかも。

 とにかく刃牙はピクルと両拳をあわせて力勝負をいどむ。
 刃牙は知らないだろうが、勇次郎とピクルが力比べをしたスタイルだ。(11巻 87話
 そして、刃牙がピクルに挑まれたスタイルでもある。(14巻 112話
 ピクルを間にはさみ、刃牙と勇次郎が闘っている状態かもしれない。

 刃牙はピクルにならいつでも勝てると思ったのだろうか。
 だからこそ、力でねじ伏せたい。勝ちかたにもコダワるのが超一流だ。
 まあ、美学はともかく、向上心はスゴいよな。
 常に一歩も二歩も先の目標に向かっている。
 救い難き強欲 飽くなさすぎの欲深さは 人が成長するための重要な要素だ。

 私の理性は刃牙の強欲が良いコトだと言っている。
 でも、感情がイマイチついてこない。
 なんでしょうか。刃牙の所業が悪いんだろうか。
 さんざん卑怯技でかき回して、いまさら力勝負などと言うなよ。と言いたいのかも。

 真っ向勝負ならピクルが圧倒的に優位だ。
 刃牙はあっという間に打ち負けて沈んでいく。
 たおれていく刃牙の腕をピクルがつかんだ。
 投げた! ピクルが合気ッ!?
 あんま意味ない局面だけど、合気を使った!

(ピクルが技術(わざ)を…ッッッ)

 見学の三人はみんな衝撃をうける。
 思わず全員が指さしてしまう。
 どんなツッコミだよ。

『腕力(ちから)比べの最中――』
『確かに感じた』
『敗北への恐怖(おそ)れ……』
『永きに渡る』
『新旧 雄(おとこ)比べ……』
『古代人は武器を手にした』
[死闘決着!!!]


 敗れたり範馬刃牙ッ!
 貪欲と傲慢により、勝利をモノにできなかった。
 範馬刃牙の敗因としては実にピッタリだな。
 うつろな目で刃牙は横たわる。

 倒したピクルも無傷ではなかった。
 肉体よりも精神にダメージがある。
 妖術に恐怖し、敗北を恐れ、武器を使った。
 涙をながしピクルは刃牙に背をむけて体育座りする。
 勝利のダンスが出る余地はないらしい。

『◆ 堂々、497Pに渡る雄(おとこ)比べ!!
   勝者はどちらに…………!!?』

 って、判定はこれからですか!?
 審議ランプが消えません。
 どう見てもピクルの勝ちなのだが、戦いの機微というヤツは簡単には割りきれないのだろう。
 刃牙は試合には負けた。だが、雄(おとこ)比べには勝ったのだ。
 そんなオチがまっている予感がする。

 柴千春 vs. アイアン・マイケルみたいだな。
 さんざん反則をしても、柴千春は見逃してもらえた。
 だが、アイアン・マイケルは一回の反則で負けを宣告されたのだ。(G刃牙29巻 254話)
 アイアン・マイケルの人生が下りに入ったのは、この瞬間だったのかもしれない。

 だから、次回で刃牙の逆転勝利もありうる。
 範馬の辞書には理不尽の文字が全ページに入っているぞ。
 次回、今度こそ決着だ!
 ――――たぶん!


 まあ、とりあえずピクルが暫定勝者です。
 自分のほうが強いのに武器を使っちゃったから負け。
 そんな理論が発動するのか?
 もうなんか、イデの力が発動して『ドスペラード』(AA)だかなんだかワカらん状態になりそうだ。

 ピクルは無敵の肉体とも鉄(くろがね)の城とも言えるステンレスのように鍛えた身体をもっている。
 肉体を破壊するのは困難だ。
 刃牙が取った作戦は、肉体を狙わない。精神の破壊だ。
 自分より大きな相手を素手で倒してきたというのがピクルの誇りだった。
 刃牙は、その誇りを粉砕したのだ。

 自分より小さい相手に負けそうになる。
 恐怖のあまり武器を使用した。
 屈辱の行為をしたことで、ピクルの自我は崩壊するかもしれない。
 狙ってやったのなら、刃牙はすごいな。

 刃牙は範馬勇次郎にも同様の精神戦をしかけるのだろうか?
 勇次郎の服にこっそり刃物を入れまくって、警察に通報して銃刀法違反を狙うなどイヤガラセをするかも。
 ピクルだけではなく、勇次郎だって武器の使用をしたらプライドがズタズタだろうし。
 どちらにしても、最強の原始人をたおしたので、今度こそ範馬勇次郎との戦いに向かうのではなかろうか。

 今週の作者コメントは次のものだった。
『気をつけろ! TBSのナツメロ番組、3時間中、CM5時間!! (自分的に)』

 ッッッ!
 今、ファンサイトとして不適切なことを言いそうになった。
 とにかく本筋以外で水増しすると、時間稼ぎのように感じられるのですよ。

 今回、烈海王が解説をしなかったのは前回インタビュアーにツッコマれたからだろうか。
 オカゲでかなりスピーディーな展開だった。
 今後も寄り道ヌキでお願いしたい。

追記 (09/10/21)
 決着はついたが判定はこれからだ!
 烈海王が回想して、また引っ張ったりして。

 とりあえず私の予想としては、先週書いたとおり『刃牙は試合に負けて、勝負に勝った』だろう。
 そこは主役の特権、範馬の血縁、正妻の生んだ嫡男だ。
 いや江珠も正妻じゃないけど。

 刃牙が技を使いまくったのに、ピクルが使ったとたん敗北ってのは納得できないという意見があった。
 まあ、そこは気位の問題だろう。
 刃牙は卑怯な手段を用いても恥じるところがない。
 ピクルは恥を知る誇り高き人間なのだ。
 う〜む、刃牙がすっかり破廉恥な人になってしまった。

 ここでピクルが完全勝利という展開になっても面白いのだが。
 でも、相手に背を向けて体育座りしているような人間は敗残者だよな。
 あとは脱け殻のようになったピクルに勇次郎が絡まないのを祈るだけだ。
 範馬勇次郎は強いのに残飯処理が多い。

 今後のピクルはどうなるのだろう。
 もう、いじめないでアフリカのサバンナあたりに開放してあげればいいと思うのだが。
 まあ襲ってくる強敵がいないのですぐに餓死してしまいそうだけど。
 これからのピクルの人生を思うと不憫でしょうがない。
 ピクルの超野性にひかれた相沢アナウンサー(♀)と結婚して、ささやかな幸せを得てもらいたいものだ。

 で、刃牙は今度こそ範馬勇次郎と戦うのだろうか?
 ピクルには勝ったものの、いまだ勇次郎に勝てるとは思えない。
 足元にも及ばないとは言いませんが、せいぜいヒザ下ぐらいの強さだよな。

 ただ、刃牙はもう戦う相手がいない。
 ピクル以上の相手など、もう地球上には範馬勇次郎ぐらいしかいないだろう。
 さすがに宇宙人や未来人はでてこないと思うので、残りは勇次郎しかいない。
 まあ、しばらくは烈海王と愚地克巳とジャック・ハンマーを合成させた怪物とのリアルシャドーでつなぎそうだけど。
 名づけて阿修羅シャドー編だ。


←第三部 161話〜170話  ↑最新↑  181話〜190話→
バックナンバー 餓狼伝 疵面 シグルイ Gロボ みつどもえ 蒼天航路 日記 掲示板 リンク1 リンク2 TOP

和書
コミック

 チャンピオン 
ジャンプ
マガジン
サンデー
RED
 板垣恵介 
夢枕獏
山口貴由

DVD
アニメ
CD
 ゲーム 
DS
PSP
Wii
PS3
360
PS2
PCゲーム
 PCギャルゲー 
フィギュア
パソコン
テレビ
メディア
家電
サプリメント
板垣恵介の激闘達人烈伝 板垣恵介の格闘士烈伝
駿河城御前試合 獅子の門 雲竜編 (カッパ・ノベルス)
管理人:とら  連絡先(E-mail):E-Mail
【特定電子メール法に基づく表示】広告メール、迷惑メールの送信はお断りします