今週の範馬刃牙 SON OF OGRE 61話〜70話

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2007年3月8日(15号)
第3部 第61話 規律 (717回)

 前回はオリバとマリアのラブラブ話だった。
 もはや、ストーリーの流れからも繋ぎ止められないアンチェインっぷりだ。
 そのまま流されて太平洋でもさまよっていてください。
 掲示板でも書かれていたけど、松山せいじゾクセイ』っぽいツンデレ展開だった。
[マリア 年齢:3X歳 身長:175cm 体重:300kg B:200(Z) W:200 H:200]
 という感じにスペックのせればよかったのに。

 刃牙とマリアが並んで寝ていたとき、マリアの背が高かった。(範馬刃牙 6巻 46話
 だからマリアは背も高い。
 太る前はモデルのような容姿だったのかも。
 たぶん、オリバの10万キロカロリーの食事につきあったりしたうちに太っていたんだろうな。
 オマケに作業は全部オリバがやってくれるのだろう。当然、動かなくなる。
 となると、オリバが悪いのか?

[懲罰房……]
[通称……ブラックドア]


 23話で刃牙が入れられた独房だ。
 実はけっこうな人数が入っている。
 背中側で両親指を固定する『指錠』を全員つけられているようだ。
 不自由な体勢に加え、冷暖房不備なのでとても苦しい。
 みんな早く出してくれと泣きついている。

 だが、われらが主人公・範馬刃牙はまったく動じない。
 寝てるッ!
 熟睡だッッッ!
 さすが、本格派のマゾである。


 もう指錠の責め苦に慣れちゃったらしい。刺激が足りなくて退屈したのだろうか。
 猪狩の卍固めぐらいなら、喰らいながら寝ちゃいそうなヤツだもんな。
 マゾ度・柔軟性 の造りと使用法が他の囚人とは一線を画している。


 というか、刃牙くん怒られて懲罰房ですか。
 オリバを言葉で凹ませた59話のあとで入れられたらしい。
 けっきょく、許可なき外出は許されないのだ。
 まだまだ刃牙は、アンチェインっていうレベルじゃねェぞ。

 自称アンチェインから、誰もが認めるアンチェインにレベルアップしなくてはならない。
 オリバはもちろん、ゲバルの域にも達していないぞ。
 小さなワガママを積み重ねていって、立派なアンチェインになる必要がありそうだ。
 素手で外出するぐらいでは初心者アンチェインなのだろう。
 もっとも、刃牙の変態性を考えると進んで懲罰を受けた気もしますが。


 熟睡していた刃牙が目覚めると、オリバが立っていた。
 真のアンチェインはあらゆる部屋に出入り自由なのだ。
 もしかすると、刃牙を懲罰房に入れるようオリバが仕組んだのかもしれない。
 生意気な刃牙に報復しておかないと、気がすまないだろうし。

 刃牙を懲罰房に送り込んだとすれば、待たせる時間がそのまま苦痛につながる。
 待ち時間は、マリアといちゃつくのでムダにならない。
 効率的な時間の使いかただ。さすが頭脳派アンチェインですな。
 もっとも、刃牙はわりと快適そうにすごしていますけど。

「元気そうじゃねェか」

「アンタは…?」


 思ったより刃牙が元気そうなので、ちょっとガッカリですよ。
 即座に質問で切りかえすほど、刃牙には元気と生意気が溢れている。
 ちなみにオリバは、刃牙の質問を無視した。
 刃牙とまともに会話しようとすると、話がややこしくなるので付きあわないのが吉です。

「バキよ…」
「現実とはキビしいものだな」
「いかにわたしの不自由を嗤(わら)い」
「いかに自分の快適を叫ぼうが―――――この現実…」

 とりあえず刃牙の言い分には耳を貸さず、言葉責めだ。
 うむ、しつこい勧誘電話と同じ攻略法だ。
 向こうはこっちの話や都合を無視するので、こっちも一方的にしゃべれば良い。

 現実は厳しいと言うより、刃牙の脳があますぎる気がする。
 脱獄未遂もどきなんだから、普通は刑期が延びるような大罪だ。

 ただし、刃牙は素手で所長を倒せると証明した。
 つまり素手によるテロリズムだ。
 ゲバルと同じ戦法で所長を脅している。(範馬刃牙4巻 25話
 さすがに所長も刃牙を処罰しにくいだろう。

 そうなると、やはりオリバの指示で懲罰房なのだろうか。
 ただ、刃牙がマゾ特性だった事はオリバにとって誤算であっただろう。

 懲罰房の仕打ちも刃牙には効かない。
 オリバの口撃もイマイチ効果がないようだ。
 そこで、オリバは自慢作戦に出る。
 これから贅沢な食事をすると言いだす。
 彼女自慢をしないのは、自覚があるのか……?

「上等なアペリティフ(食前酒)に最高級ワイン」
「デザートにはコニャックを注いだマスクメロン」
「食後には極上のシェリー酒」
「シガー(葉巻)………」


 うわっ、酒ばっかだ。健康に悪そう。
 刃牙は未成年だし酒の良さをワカっていない可能性が高い。
 オリバはちょっと攻め口を間違えている。
 相手の食欲を突くと言う作戦は良かった。でも、動物性タンパク源の自慢をしようよ。
 でも、刃牙も悔しそうな表情っぽいし、結果オーライか?

 主に酒関係の自慢だったせいか、刃牙のダメージは少ないようだ。
 なんか脳内で「コニャックを注いだマスクメロンって美味いのか?」と疑問符が浮かんでいそうな感じですけど。
 ちなみにメロンにブランデーを注ぐ人はいました。コニャックは見つかりません。

 イロイロ試したオリバだが、口で刃牙を凹ましきることは出来なかった。
 そこで、ビスケット・オリバは最終手段に出る。
 ズボンのチャックを下ろすッ!

 ッッッ!
 まさかSAGAる気か!?

 ジャンプにはお色気マンガ『ToLOVEる』があるように、チャンピオンには『SAGAる』があるとでも言いますか!?
 『軍鶏』の一巻みたいな展開が待っているのかッッッ。
 これって浮気になるのでは?
 刃牙とオリバとマリアで奇妙な三角関係が完成してしまう。

 と、思ったら『尿』でした。
 刃牙の頭に放尿する。
 あれだけ酒の話をしたように、普段から良く飲んでいるのか、大量の尿だ。
 まるまる二ページを使用して刃牙にたっぷりと注ぐ。
 メロンにはコニャックを注ぐけど、キサマにはこの琥珀色の芳醇な液体を注いでやるぜ!的なノリか?

 だが、範馬刃牙はタダ者ではない。
 尿をかけられて、口元が緩んでいくような男なのだ。
 (わら)っているッ!?
 コイツ、かけられているのに、なんか勝ち誇っている。

「オリバよ」
「誓ってもいい」
「ごく近い将来」
「アンタは俺に平伏する」
「どうか戦ってくれとッッ」
「俺の挑戦を受けてくれとッッ」
「ハハハハハハハハ」

 刃牙、壊れた?
 デスノートで屈辱を噛み締めた直後に笑い出した夜神月のような笑いかただ。(画像の載っている考察サイト:12
 この状況で大笑いできる胆力、というか狂気はスゴい。
 どうやってオリバを平伏させるつもりなんだろう。
 主人公、尿まみれのまま、次回へつづく。


 ちっともアンチェインになれていない刃牙でした。
 ダメじゃねぇか。
 ここで回復不能のダメージを負わされたら、今度こそアウトですよ。
 状況、ワカってんでしょうか?

 六年半つづいた『ショー☆バン』が最終回をむかえる節目に、放尿するなんてヒデェよ。
 放尿が餞別がわりですかい。
 グルメ漫画が載っている横で、大量ゲロをぶちかました餓狼伝BOYのころから変らぬ唯我独尊っぷりだ。

 まあ、刃牙のことだから尿をかけられても逆に元気になるかもしれない。
 指錠を引きちぎってヤイホサーと跳ね起きそうだ。
 そういえば、ゲバルも尿使いの達人だった。(範馬刃牙5巻 33話
 アンチェインになるためには、尿術が必須なのだろうか。
 刃牙は才能ありそうだから、こっち方面は楽にクリアできそうだな。


 ところで、今週の『鉄鍋のジャン!R』で、牛肉が体の回復に効果的と判明した。
 オリバのステーキ療法はまったくのデタラメではないらしい。
 刃牙は、たまにこういう事があるから油断できないのだ。

 と言うわけで、次回はパワーアップを計る刃牙が食事に牛肉を出せとダダをこねて暴れる。
 力ずくでステーキを作らせて、喰う。
 結果、懲罰房へ。
 という無限スパイラルにおちいりそうな予感だ。
 まあ、三周目あたりでパパさんが助けに来るんでしょうけど。
by とら


2007年3月15日(16号)
第3部 第62話 弱者 (718回)

 範馬刃牙、尿まみれで大笑い!
 精神が壊れてしまったのではないかと心配だ。
 まあ、刃牙はド変態なので、これが正常なんだろうけど。

 むしろ、刃牙のことをあまり知らないオリバのほうがビックリだろう。
 やべっ、尿かけたのはやりすぎか? 壊れちゃった?
 と、心配しているのかもしれない。
 尿をかけた相手が爆笑したら、ふつうは狂ったと思う。

 刃牙は、汚物にまみれることで絶好調だ。
 舌がまわる、まわる。尿を潤滑油にしているような滑らかさだ。
 なんか刑務所にきてイチバン輝いているかもしれない。
 すっかりヨゴレ系主人公ですな。比喩的な意味ではなく。

「刑務所(ここ)で一番エライ アンタがよォ」
「身動き一つ取れねェような俺に」
「小便まで喰らわしてよォ」
「今の2人には それほどの差があるんだ」
「なのにどうよ……………」
「アンタときたらちっとも笑ってねェッッ」


 狂っているわりに的確なツッコミをする刃牙だった。
 たしかに刃牙のほうが楽しんでいるように見える。
 でも、"笑ったほうが勝ち"と言う事もなかろう。
 ならば、くすぐりの刑を受けている人は勝っているのか?

 現在の刃牙は、なにか理由をつけて射殺されてもおかしくない状況だ。
 オリバと比較したらあきらかに負けている。
 精神的な自由だけを根拠に勝ち誇られてもなぁ。
 さすが、リアルシャドーの達人だとなっとくすれば良いのだろうか。

 オリバにしてみたら、狂人を相手にしているようで気持ち悪そうだ。
 やっぱ、尿かけるんじゃなかったと後悔しているに違いない。
 みんなも むやみやたらと放尿しちゃいけないぞ。

「笑わねェのかいミスターアンチェインッッ」
「笑えねェのかいミスターアンチェインッッ」
「ハハハハハハハハハハハハ」


 刃牙が醜い顔で大爆笑をする。
 なんか先に笑ったモン勝ちみたいな態度だ。
 これでオリバが笑い出しても、狂人が一人増えただけのように見えるだろう。
 悔しいがここでオリバが笑っても、負けたような雰囲気になる。
 屁理屈で負けてしまった。

 実際はハネっ返ろうとした刃牙が失敗して拘束されているのだが。
 なぜ刃牙はここまで自信たっぷりなんだろう。
 巨大カマキリを具現化しちゃうほどの妄想力が原因か?


 刃牙にコケにされたオリバは、そのまま引き下がっちゃったらしい。
 暴力が幅をきかせる世界なんだから、拳で思い知らせてやればいいのに。
 変に紳士的だから、尿をかぶっても平気な野蛮人に負けるのだ。
 『相手のいうことなどまるでわからない(わかろうとしない?)石頭のほうが、えてして自分のいいたいことを押しとおしてしまったりするものである。』(野崎昭弘「詭弁論理学」)

 傷心のまま部屋にもどったオリバは前回の予告どおり、10万キロカロリーの食事をはじめる。
 ビンテージ物の『ロマネ・コンティ マグナム』が今回の掘り出し物だ。
 オリバさんが七ページぐらい使ってイロイロ言っていますが、要約すると「美味い」
 だが…………

「この葡萄を醗酵させた液体のどこに―――――」
「10ドルで売られる手頃なワインの10000倍もの価値がある」
「ウマさはせいぜいが19倍」
「喜びもせいぜいが22倍」


 まるでマウス三兄弟のようにウマさと喜びの度合いを標準と比較する。(範馬刃牙4巻 30話
 アイアン・マイケルなんて常人の3.2倍の戦闘能力で数百万ドルの収入を得ていたのだ。
 マイケルのほうが、ずっと勝ちですよ。すごいじゃないか、マイケルさんよ。
 ロマネよりずっと効率がいいぞ。

 マラソンの記録でいえば、世界記録が2時間4分55秒で、日本の高校記録が2時間24分24秒だ。
 二つの記録から速度を出して比較すると、世界ランナーは高校生より1.16倍速いとワカる。
 世界の壁は意外と小さいというか、トップ同士の差は少ない。
 シャアザクが通常機より1.3倍上の性能を持っていれば、実力差は圧倒的になるのだ。

 能力に20倍ちかい差があれば一万倍の価値があっても良いのではなかろうか。
 どうもオリバは刃牙が放った言葉の毒にやられている気がする。
 刃牙も腕力でかなわないからって、口で攻撃するなんて……。
 オリバがかわいそうだ。

 刃牙のせいで傷ついたオリバは最高級のワインも楽しめない。
 職員がもつロマネの巨大なビンを引っつかんで割ってしまう。
 テーブルにワインが飛び散って、料理も酒も台無しだ。
 ちなみに、「巨大なビン」と書きましたが、オリバの腕と同じぐらいの太さがある。だから高いのか?

「所長を呼べ」

 怒りのオリバがついに復讐を開始するのか?
 でも、直接 刃牙のところへ行かず所長を呼ぶのが、ちょっと弱気だ。
 刃牙の二枚舌にまたもや翻弄されそうな予感がする。
 しゃべる前に殴るしか無いと思うぞ。


 その頃刃牙は、ジイさんに一杯の水を飲ませてもらっていた。
 汗をかいているから、タダの水も甘露と化す。
 大満足の刃牙であった。

 不幸な境遇の小さなしあわせは、とてもうれしい。
 ようは気の持ちようと、体調なんだろう。
 満腹のとき、さらに豪華な食事を出されても喰えたもんじゃないし。

 刃牙とオリバの対比をしても、どっちがしあわせだとかアンチェインだとか、そういう問題では無いと思う。
 やっぱりオリバは刃牙の口車に乗せられているようだ。
 つうか、刃牙も言葉でオリバを攻撃していないで、拳を使ってはどうか?
 この場に勇次郎がいれば一話につき十回ぐらいブチ切れそうな気がする。
 そして、このまま次回につづくのだった。


 どうも58話あたりから話が進んでいない。
 だが、ついにオリバも怒りだしたようだ。
 ついに読者待望の本格バトルがはじまるのだろうか?
 そもそも、『範馬刃牙』になってから、刃牙はリアルで戦っていない。
 架空のアイアン・マイケルと妄想の巨大カマキリは、現実ではないので数に入れていいのか悩む。

 オリバは所長を呼びつけている。
 つまり、回りくどく刃牙を攻める可能性が高い。
 勇次郎との決戦を富士の頂上とすれば、今は麓についたぐらいだ。
 いや、その手前の樹海で迷っているのかな。
 なんにしても、全力でぶつかり合って欲しい。


 前回『メロンにブランデーを注ぐ人はいました。コニャックは見つかりません。』と書いた。
 掲示板で木賃ふくよし(芸名)さんとyouさんに教えていただいたのですが、「コニャック地方で作られたブランデー」をコニャックと言うそうです。
 情報ありがとうございます。
 コニャックでググると説明しているところもありましたね。

 木賃ふくよし(芸名)さんによると、ブランデー&メロンはフレンチでは有名なデザートらしい。
 安い・若い・青臭いメロンでやってもマズいので高級メロンじゃないとダメだそうで。
 つまり、オリバの自慢は正しかったようです。
 刃牙は水で満足しちゃう奴なので、やっぱりコニャック・メロンときいても反応ニブかったんでしょうね。
 ちなみに、今回の食卓にちゃんとメロンが置いてあります。

 オリバが砕いたロマネは、木賃ふくよし(芸名)さんのサイトの用語解説によれば「ワインの王様」だ。
 刃牙の母親・江珠がロマネの31年物を飲もうとしたことでも有名である。(グラップラー刃牙10巻 86話)
 ワインの王様を持ちだしても、範馬の血には勝てないらしい。

 次回は怒りのオリバが逆襲するのか!?
 さもなくば、次回感想は今日発売された『餓狼伝 Breakblow Fist or Twist』感想に変更される(ウソです)。
 勇次郎がゲバルを喰いたいと言ってから(50話)姿が見えないのは、ゲームに出張しているからだろうか。

 主人公をさしおいて勇次郎が登場している点が、主人公の不甲斐なさを感じさせる。
 さらに、もう一人呼べと言われたら花山・烈海王・オリバあたりになりそうだし。
 最近、ますます華が無くなりつつある主人公であった。
 凄みのある獣臭は出しそうですけど。
by とら


2007年3月22日(17号)
第3部 第63話 平伏す (719回)

 真性のヘンタイである範馬刃牙にバカにされてしまったオリバだった。
 バカにバカって言われるとムカツきますが、オリバもそんな感じだろうか。
 そして、オリバの逆襲がはじまる。
 刃牙と会話しても、話がややこしくなるだけだから やめておけよ。

 さっそくマイケル・ホールズ所長がオリバの部屋に呼ばれた。
 使いっ走りの人間みたいな あつかいの軽さだ。まるで威厳なし。
 でも、きっと上等の葉巻や酒をふるまってくれるだろうし、少しだけ役得だ。

「試合をしたいのだね」
「ミスター…」


 所長から話を切りだした。
 せめて話の主導権をとりたいと思っているのだろうか。
 オリバの言うことをハイハイ聞いているだけでは、雇って一週間のアルバイトとかわらない。
 仮にも所長なんだから、有能さをアピールしたいのだろう。
 普段はそうとう見くびられているんだろうな。

 マイケル所長はサングラスをはずして、オリバに向きあう。
 ちょっと腹をわった話をするらしい。
 今日の所長は、本音で勝負だ。

「先日バキが実行した」
「正面切ってのお散歩」
「あの反響がすさまじい」


 実力で外出した刃牙が人気急上昇らしい。
 確かにすさまじい散歩劇だった。
 しかし、その後はグダグダだ。
 オリバと戦いたいのか、戦いたくないのか、ハッキリしない。
 自分の考えではなく、オリバの言うことに逆らっているだけにも見える。
 君は反抗期の子供ですか。

 そして、現在は懲罰房で拘束されている。
 結果だけをみるとすさまじい負けっぷりだ。
 尿を浴びて大笑いしている人の、どのヘンを支持すればいいのやら。
 もっとも、一般の囚人たちはくわしい事は知らないのだろう。
 刃牙のイイ部分だけを見て尊敬しちゃっているのかもしれない。

 ちなみに『散歩』とは、もともと中国の言葉である。
 三国志の後期に使われはじめた五石散という麻薬は使い方がむずかしい。
 飲み食いにも制約があるし、服用後は毒性を発散させるために歩き回る必要があった。
 これを「行散(散発、石発ともいう)」といい、後に散歩と言うようになったらしい。(参考:井波律子「酒池肉林」)
 刃牙も、もうちょっと毒性を散らせばよかったのに。

 話をもどす。
 なぜ、外出したぐらいで、囚人が熱狂したのか?
 理由を説明する前にマイケル所長はサングラスをかけなおす。
 オリバには言いにくい事だ。
 だから、感情を隠したいのだろう。

「君やゲバルが外に出られることと」
「バキの外出は意味が違う」
「君やゲバルの外出は立場の強さによるもの」


 オリバやゲバルは立場が強いからムリを通せた。
 だが、刃牙は実力でまかり通る。
 純粋な力としては、刃牙のほうが上か?
 そんな話になっているらしい。

 オリバやゲバルのアンチェインっぷりが、立場の強さによるものだったのは意外だ。
 最初のうちは腕力に物言わせてワガママを通していたと思っていた。
 十分に肉体の強さを見せていたからこそ、オリバ vs. ゲバルが盛りあがったハズ。
 マフィアのボスみたいな感じで、最初から所内で特別待遇だったけど、腕力でそれを補強したと言うことだろうか。
 ホワイトハウスに刺客を送りこんでいるゲバルはともかく、オリバはどんな方法で立場が強いのだろう?
 米国の汚い仕事をうけおった事があり、弱味を握っているのかもしれない。

「やって見せようか」
「正面からの外出…」

「だから言いたくなかったのだッ」
「君がその気になりゃ」
「マリーン(海兵隊)だって止められるものじゃない」


 所長、必死です。
 オリバなら、本気で見せつけかねない(マリアに)。
 暴れだしたら、刃牙の時をうわまわる被害を出すだろう。
 今度ばかりは責任問題になりそうだ。
 だからマイケル所長は全力でなだめにかかるのだった。
 もっとも、オリバは冗談だったのか、わりと静かに次の話題にうつる。

「我がアリゾナ刑務所が世界へ向けて発信する」
「一大格闘イベント!」
「伝説のアメリカ最強の男ビスケット・オリバが」
「地上最強の少年バキ・ハンマを迎え撃つ」


 刃牙 vs. オリバをTV中継のイベントにして儲けちまおうという作戦だ。
 でも、刃牙とオリバの知名度って一般には高くないはず。
 視聴率は大丈夫なのか?
 でも、所長はオリバマジックにのせられて、もう大金を手にしたような気分らしい。
 やっぱり、この所長はダメな人だ。

 もしかするとオリバはアメリカでは有名なのかもしれない。
 刃牙は大統領監禁事件で名を上げた。(範馬刃牙 3巻 16話
 そう考えれば、銭の稼げる試合になるかも。ケーブルテレビも飛びつきます。
 あと、オリバの人脈をもってすればスポンサーだって見つかるだろう。
 よく考えたら、スバラシいアイデアだ!
 あれ? 俺、ダマされている?

 そうなると、前座はアイアン・マイケル vs. マウス兄弟か?
 一人はまだ入院しているだろうし、二人相手ならマイケルにも勝機がある!
 そう思わせといて噛まれるのが、最近のアイアン・マイケルなんだよな。


 所長との会合で盛りあがったオリバは、今日もマリアの部屋に行く。
 なぜか、オリバはしょんぼりしている。
 まだ、刃牙の放った言葉の毒が効いているのだろうか。
 あんなの詭弁なんだから気にしなくていいのに。
 とても、気の毒だ。

 マイケル所長の前では強気だった。
 しかし、今では自信を無くしているように見える。
 刃牙と戦って勝つ自信がないのだろうか?
 確かに刃牙は地上最強の生物の血を引く、不条理な格闘サラブレッドだ。
 ときどき理不尽にパワーアップして、相手をヒドい目にあわせる。

 だが、それを差し引いても実力はオリバのほうが上だと思う。
 オリバを倒すだけの攻撃力が刃牙には無い。
 それでも、オリバには不安がある。
 やっぱり、口喧嘩で負けたのが痛かったのか。
 こういう時は『議論に強いからといって、頭がよいとは限らない』(野崎昭弘「詭弁論理学」)と、思って流すんだ。

「街の誰もが振り返る美しさを持った君は――――」
「病に侵され」
「おびただしい薬物の投与により………」
「今の姿になった………」


 なんと、衝撃の事実が判明したッ!
 昔のマリアは本当に絶世の美女だったのだッ!
 び、美女だッ!
 び、び、びッッッ―――〜〜―〜―(板垣絵の壁)―――……、うん、美女、美女だよ。
 大丈夫、大丈夫。問題ない。

 実は悲劇により容貌がかわっていたと判明する。
 という事は、オリバは美人時代のマリアにホレたのだろうか?
 マリアの性格は、長めに付きあわないとワカりにくい良さだ。
 性格にほれたという展開が考えにくかっただけに、謎が一つ解けた。

「女性にとって最大の生きがいであるハズの」
「美しい容姿を失った」
「なのにどうだ」
「君はまるで揺るぎない」
「かつての傲慢さをそのままに」


 せ、性格は昔から同じなんですか……。
 てっきり容貌が失われたのでヒネくれたのかと。わずか1ページしか持たない妄想だった。
 美人かつキケンな性格だったなんて、周囲の男たちはヒドい目にあっていそうだ。
 だから、オリバは体を鍛えたのかな?

 なんでか知らんがオリバは自信を無くしている。
 でも、愛する女性の姿がかわってもオリバは揺るがなかった。
 それは誇ってもいいと思う。
 オリバは立派な人間だよ。
 物に当たったり人に尿をかけたりするけど、帳消しにできる。

「わたしだってギリギリさ…」

 落ちこむオリバを抱き寄せ、マリアはささやく。
 オリバは号泣する。
 このバカップルは、ただのバカップルじゃ無い。
 偉大なるバカップルだ。

 マリアのためにも、勝つんだ、オリバよ!
 あ、でも逃げ道ができたって事は敗北フラグなのか?


 そして、オリバはタキシードも脱がずに刃牙の元へ。
 二週間後の試合をつたえる。
 早ッ、もうスケジュール決まったのかよ。
 TVもスポンサーもオリバの一声で決定したんだろうな。
 たぶんアメリカのどこかで番組宣伝のCM作成が開始されている。
 アメリカは、オリバを中心に動いています。

 相変わらず刃牙はふてぶてしい態度だ。
 尿をかけられたぐらいじゃ、刃牙は揺るがない。
 まあ、コイツもある意味では偉大だよな。
 オリバに全米中継の試合を告げられても、刃牙は揺るがないのだ。

「ワカっちゃいねェなミスターチェイン」

 まだ言いがかりをつける気か、コイツ!
 空気読めよ。戦えよ。
 この永遠の反抗期ヤロウがッ!

 もう、チャンピオン史上でもっとも扱いにくい主人公になってしまった気がする。
 オリバがあれだけ妥協して戦ってやろうと言うのに、なぜ抵抗するかな。

 たしかにオリバは刃牙のワガママに振り回されている。
 アンチェイン(繋ぎ止められぬ者)から、チェイン(繋ぎ止められた者)になってしまった。
 でも、そこをネチネチ攻めても話が進まない。
 刃牙こそ、オリバに反対するという行動に縛られている。

 次回も刃牙は面倒な抵抗をつづけるのだろうか?
 もう、オリバはこの場で殴っていいぞ。
 そのまま、決着だ!


 マリアの意外な過去があきらかになる。
 コンビネーションバラエティさんの所で紹介されていた(1/18)ニュースを思い出した。
 声優の後藤邑子さんも薬の副作用が原因で太った事があるらしい。(Blog 12
 そういう過去があると、マリアの印象もまた変わってくる。
 でも、あの性格はどうかと思いますが。

 こうして、主人公である刃牙にたいする好感度がまた下がるのだった。
 たまにはイイところを見せて欲しいものです。
 つうか、すこしは戦おうよ。


 今週の1ページグラビアコーナー『チャンピオンラLOVE!』は、杏野はるなさんだった。
 以前、日記で書いたことがある(12)のだが、刃牙好きで有名な人だ。(本人のBlog:杏野はるなの日常。
 最近、忙しかったのでチェックしていなかったのだが、相変わらず勇次郎の絵を描いたりしている。

『撮影現場にも激厚の『バキ』増刊&フィギュア他、バキグッズを大量に持参』

 ライターさん、引いてませんか?
 大丈夫デスカ?


[好きな食べ物] チョコ味のプロテイン、ささみ
[好きな男性のタイプ] 範馬勇次郎が一番の理想
[好きな言葉] 喰らわせつつ喰らい足りぬ雌であれ


 徹底しているッ!
 グラビアアイドルがたんぱく質とかプロテインというと、エロ方向に妄想が広がるんだが、彼女の場合 筋肉に直結してしまう。
 ちなみに「ささみ」というとキックボクシングの武田幸三が主に食しているものだ。
 これも、筋肉に直結する。

 一応、当サイトでは 杏野はるなさんを応援しています。

はるな14歳 [制服美少女図鑑] はるな14歳 [制服美少女図鑑]
by とら


2007年3月29日(18号)
第3部 第64話 こーゆー意味 (720回)

 二週間後に範馬刃牙 vs. オリバが決定だ。
 しかし、当然のように刃牙は不満顔をする。
 戦ったら負けだと思っているのだろうか。
 とりあえず、人の言うことに逆らうのが範馬刃牙流らしい。

 反逆のバキではあるが、両腕が封印されている。
 だから毎度のごとく口で反撃だ。
 刃牙は「オリバ = チェイン」発言で挑発しまくる。
 1ページ目はコマ間チェイン登場率100%だ。2コマしかないけど。

「チェイン(繋がれし者)かわたしは」

「やろうとしているのは所詮ケンカだぜ」
「2週間後もクソもねェ」


 相手の質問をまるで聞かないのが範馬流だ。
 そして、自分のペースに巻きこむ。
 恐るべきは範馬流会話術である。
 59話62話で、オリバは刃牙の言葉に敗北した。
 もしかして三度目の敗北があるのか?

「どういう意味だ」

 オリバがのってしまったッ!
 自分の質問は流されるのは許す。そして、相手の言葉に反応してしまう。
 オリバは性格がいいから、議論が苦手なんだろうな。
 そして、刃牙は性格悪い。

 刃牙は返事と同時に蹴りを放つ。
 チェインを連発しながら立ちあがったのは、攻撃のためか。
 軽い蹴りだが、十分な挑発行為である。

「こーゆー意味」
「俺かアンタ…………」
「どちらか1人でも動いちまえば否も応もない」
「その場でおっ始まるってことだ」


 最近、口先ばっかりだった刃牙がついに戦う気になった!
 クララが立ったときのような衝撃だ。
 今回の刃牙は奇跡を起こしている。

 今まで、戦いをさけまくってきた刃牙だが急にケンカをはじめる。
 テメエの思い通りに動きはしねェという感じだ。
 今度の行動もオリバに逆らうタメだろうか。
 すさまじいまでの理由なき反抗状態だ。

「俺とアンタ2人だけのケンカ」
「誰に見てもらう必要があるんだい」


 確かに刃牙の言うことに一理ある。
 全米中継する必要は無い。
 まあ、オリバの食費を補うと考えれば、金儲けもアリだ。
 刃牙には関係ないし、オリバのために戦いたくないのだろうけど。

 金の話を抜きにしても、刃牙は花山の時といっていることが違う
「そして見物人(ギャラリー)は多いほどいい!」(グラップラー刃牙13巻 113話)
 と、昔は言っていた。
 刃牙って、自分に都合のいい事ばかり言ってる。

 しつこいが、刃牙は両手が使えない。
 そんな状態で戦うつもりかとオリバは言う。
 58話でダメージがあるのに俺と戦うつもりかッ!?と刃牙に逆ギレされたので、お返しのつもりだろう。
 だが、刃牙は自分の都合で言動を変える男だ。オリバの抗議を100%無視する。
 俺がケンカを売りたきゃ、売る! 状態だ。

 不利な状況を打破するのは戦いの醍醐味だ。
 漫画の主人公はたいてい弱小チームに所属している。
 ○年連続で日本一のチームに所属していたり、最初からチャンピオンと言う設定はあまりない。
 まあ、刃牙は最初から地下格闘場の王者でしたけど。

 しかし、刃牙が不利な状況で戦ってもイマイチ盛りあがらない。
 オリバとの戦いはお互いにベストコンディションで戦って欲しいものだ。
 なんで、2週間ぐらい待てないのだろうか。
 範馬勇次郎との決戦は「すぐやる」と言いながら、ひたすら回避しているように見えるのに。
 そのサボリ癖をオリバにも分けてあげて欲しい。


 油断しまくりなオリバへハイキックッ!
 奇襲効果でダメージ抜群だ。
 打たれ強いオリバが片手をついた。目もゆれている。

 それでも、まだ戦う姿勢を見せないオリバに蹴りを三連打した。
 だが、鼻血も出ていない。
 ノドを蹴られたのでちょっと唾液が飛び散ったが、ダメージはほとんど無いようだ。

 さすがにオリバも怒ったらしい。
 蝶ネクタイを外して戦闘モードに入った。
 迫る刃牙に、強烈な張り手を打つッ!

 ドグァ

 壁を突きやぶったッッッ!

 刃牙はかつて範馬勇次郎に壁を突きやぶる攻撃を喰らっている。(バキ23巻 199話
 オリバの攻撃も勇次郎と同等なのかもしれない。
 あと、壁に頑丈さで勝てる刃牙もスゴイぞ。

「今まさに試合開始だ」

 ついにオリバが全開だ。
 刃牙は隣室の独房で転がっている。
 さすがに出血しているし、汗も出た。
 オリバを挑発しすぎたことを、ちょっと後悔しているかもしれない。

 刃牙は、この劣勢をどうハネのけるのか!?
 また口先で切り抜けそうな気もしますが……。
 けっきょく、刃牙が本気でオリバと戦いたいのかワカらないところに問題がある。

 もう、こうなったら戦いが始まるかどうかは、刃牙しだいだ。
 全てのカギは刃牙が握っている。
 さすが主人公と言うべきだろうか。
 次回、刃牙はどう動くッ!? それとも、動かない!?


 ひさしぶりに戦う方向へ動き出した範馬刃牙だ。
 相変わらず詭弁気味なので、最後まで動き続けるかどうかあやしいけど。
 両手を拘束したまま戦うのは、なんか「負けたときの言い訳」にするつもりに思えてしまう。
 オリバだって、この状態の刃牙に勝っても自慢できないし。
 けっきょく再戦になりそうだ。

 そして、隣室の囚人はとても不幸だ。
 刃牙とオリバの戦いに巻きこまれたら、無事ではすまないだろう。
 電話ボックスで不幸に逢ったショウくんなみだ。(バキ17巻 143話144話
 隣人の失禁予報は60%と言うところだろう。
 替えのパンツを用意したほうがイイ。

 しかし、なんで刃牙はここまで反逆するのだろうか?
 TV中継の話をまとめるため、オリバは見えないところで苦労しているはずなのに。
 むしろ、オリバの計画を台無しにするのが目的か?
 刃牙が勝てばそれでイイ。
 負けても、中継をダメにできればオリバの顔をつぶせる。
 どちらに転んでもオリバにダメージを与えることのできる選択だ。
 あ、悪魔め……。


 メールで『ラーラはただのデブ』という小説がマリアの境遇に似ているとの情報をいただきました。
 情報、ありがとうございます。
 Amazonの紹介を抜粋すると、『幼いころから数々の美人コンテストでも優勝していたラーラは、病気の薬がきっかけで、急に太りはじめる。取り巻きたちは手のひらを返したように冷たくなり、「外見なんて気にしない。いつまでも愛している」と言っていたボーイフレンドまで離れていってしまい…』というモノらしい。
 元ネタとまでは行かないかもしれませんが、似ている話です。

ラーラはただのデブ ラーラはただのデブ


 病んだマリアのそばに最後までのこり、支えつづけたのがオリバだ。
 オリバはマリアのために強くなった。
 誰も見ていない場所では、オリバのモチベーションは半減する。
 刃牙が懲罰房で戦いを仕掛けたのには、そういう理由があるのかもしれない。
 まあ、変態の考えることは変態にもワカらんですよ。
by とら


2007年4月5日(19号)
第3部 第65話 純粋 (721回)

 懲罰房で刃牙とオリバが激突だ。
 だが、刃牙の両親指は指錠で固定されていた。
 絶対不利な状況でありながら、刃牙はオリバを挑発しまくる。
 刃牙はなにを考えているのか?
 また、口先で闘争を回避しそうだな……

 餓狼伝の丹波文七は機会がないから、闘わない主人公になっている。
 でも、刃牙は機会はあるのに闘いを回避して、活躍していない。
 せっかく料理が出てきているのに、文句をいって手をつけていないのと同じだ。
 戦いに不自由している人(丹波)にあやまれ。そして、闘え。

 あと、刃牙とオリバが空気みたいに無視している隣室の囚人にも気を使ってください。
 ダンプカーが行きかう高速道路に放りだされたような心境だろうな。
 こういうハプニングも含めての"懲罰"房なんだろうか。

 アンチェインは気まぐれに懲罰房へやってくる。
 ゲバルも刃牙の部屋近くに来ていたことがあった。(範馬刃牙4巻 27話
 刃牙が看守と問題をおこさなかったら、ゲバルも尿の差し入れをしていたかもしれない。


「オーガの倅(せがれ)だけのことはある」
「闘争に対しては生真面目なんだな」


 オリバが一応刃牙をほめてみる。
 いや、勇次郎をほめているのか?

 "せがれ"という言葉は"息子"よりも敬意が少ない。(参考:大辞林
 オリバは刃牙をほめているようで、ほめていないのかも知れない。
 ちなみに『ドラクエVIII』で、ゼシカが婚約者のことを「大臣の せがれ」呼ばわりしていた。(参考:ゼシカのセリフ集
 ほめているようで、ほめていない。やっぱ自分の婚約者にたいし好感度ゼロかと、当時は思ったものです。
 感想には書きませんでしたが。


「わたしが間違っていた」

 刃牙をなめていたとオリバが謝罪する。
 ついにビスケット・オリバが本気を出すのだ。
 オリバは両腕を上にのばし、筋肉を緊張させる。
 それはおよそ一切の流派に聞いたことも見たこともない奇怪な構えであった。
 あれこそは、オリバ必勝の構え。怪力無双のお姿……
 大擂台賽やゲバル戦で見せつけた、オリバのポージングだ。(バキ23巻 197話範馬刃牙6巻 42話

 バリュッ

 オリバ、本気のクロス・アウッ!!(脱衣)
 ゲバルと闘ったときは、服を置き去りにして自分が飛び出した。
 今度は服が後ろに吹っ飛ぶ。
 なんて多彩な脱衣ができる漢(おとこ)だ。
 マリアに見せるため数百種類の脱衣術をマスターしているのかもしれない。

 今回 自分が飛ばなかったのは、天井が低いからだろうか?
 思いっきりジャンプすると、たぶん頭を天井にぶつける。
 頭を打ったショックで毛根が死んでしまったら取り返しがつかない。
 やはり、うかつに飛ぶべきではないのだ。
 知性派のオリバらしい選択である。

 壁に飛ばしたタキシードは張り付いて地面に落ちない。
 一体どんなトリックを使ったのだろう?
 象を超える高カロリー生活なオリバは汗にも糖分が入っていそうだ。
 粘着質な汗をかくにちがいない。
 森で野宿すると、全身にカブトムシだらけになるだろう。虫の王様も惚れる漢(おとこ)なのだ。


 たいする刃牙は、肩関節をはずして手を前に持ってくる。
 前回よりもさらに滑らかなはずしかただ。(範馬刃牙4巻 27話
 懲罰房内はヒマだから、そうとう練習したんだろうな。

 手は前に来た。
 だが、両手はつながったままだ。
 藤田和日郎の短編集『夜の歌』には、両手を固定されたまま牢に三年入れられた主人公が、両手で突く技をあみだす話がある。
 いくら刃牙が天才で変態でも、いきなり新技完成したりはしないだろう。
 まだまだ圧倒的に不利な状況だ。


 刃牙はワキをしめて腕に力をこめる。
 まさか、指錠を破壊する気なのか!?
 オリバなら可能だろうけど、刃牙にもできるのか?
 範馬の血は、そこまでやるのか? そこまでバケモノなのか!?

 と、思っていたら指錠が抜け落ちた。
 今度は、どんなトリックを使ったのだろうか?
 単にヌルっとなって外れたのかもしれないけど。
 こんなときこそ、知性派のオリバさんに解説をお願いしたい。


 刃牙は発達した筋肉で動脈を圧迫し、腕に流れる血液を減らして指を細くしたのだ!
 な、なんだって〜〜〜〜!?
 そんな人体コントロール術が可能なのか!?
 刃牙の指は海綿体かよッ!?

 指錠は指の関節部分に引っかかっているから抜けない構造だと思っている時期が昨日までだった、俺です。
 刃牙ぐらい筋肉が発達していれば、関節を上まわるほど肉がついているのかもしれない。
 その肉にあわせて締めたのなら、ぬくことも可能だ。
 実際に抜けているんだし、信じるしかなかろう。

 格闘やスポーツは、けっきょく自分の肉体と精神をコントロールする行為だ。
 思い通りに体を動かす。
 それを極めていくと、こんな肉体コントロールもできるのかもしれない。

 組み技での攻防時に膨張・収縮をやったら有効だと思う。
 逃げる瞬間を狙って細くなったり、絞めるときに太くなれば強力だ。
 もしかして、SAGA時に発明した技だろうか。
 昔「オナクール」の話題に乗ったとき、血管の収縮がポイントではないかと仮説を立てた事を思い出した。最悪だ。


「ぶっこわれた壁1枚……… 隔てちゃいるが」

「ああ…」
「2人は既に間合(エリア)だ」


 ドンッ

 刃牙が行ったァ〜〜〜〜ッッッ!
 防御を無視した大振りパンチだ。
 対するオリバは腰を落として防御の姿勢をとる。
 本当に始まってしまった!
 やっと始まった。
 範馬刃牙、ついに本格始動だッッッ!


 刃牙をすっかり見くびっていました。
 ついに、まともかつ現実(リアル)に戦いはじめたのだ。
 やればデキる子だと思っていなかっただけに、感動している。

 範馬勇次郎へとつづく道に刃牙が復帰した。
 ずいぶん長い間 脱線していた気がするけど。
 今までさんざん悪口いってすいませんでした。
 もう、次回は最初からクライマックスだぜッ!


 その頃、マイケル所長は『地上の星』を流しながら、TV放送に向けて各所に働きかけているんだろうな。
 私を男にしてくださいッ! と土下座したり、がんばっているハズだ。
 そう思うと、刃牙とオリバの戦いを日の当たるところに出したかった。
 おどろき役は多いにこしたこと無いし。

 できれば、解説役も欲しかった。
 たぶん本部に依頼が来ているんだろうな。
 本部がかかわったとたん、話がつぶれたのなら、本部らしい気もするけど。


 指痩せを引き起こす(?)動脈の圧迫は、治療では重要な技術だ。
 止血点などは、おぼえておくと役に立つかもしれない。(参考:止血の仕方Wikipedia
 当然、逆に考えると止血点を斬ると人は死ぬのか? という考えが浮かぶのだが、そういう物騒な実例は聞いた事がない。

 バキでは愚地独歩が止血を実践している。(バキ3巻 25話
 患部を直接圧迫すると血がめぐらず壊死をおこし、切れた部分がつながらなくなるのだ。
 だから、今週の『ギャンブルフィッシュ』はちょっとマズいんじゃないかと……


 最後にちょっとニュースを。
タイ女性受刑者、刑務所内での試合に勝つ
 リアル刑務所内バトルです。
 しかも、勝った受刑者は刑期を減らしてもらえるそうだ。
 やっぱ、刃牙は試合をして勝ったほうが良さそうだよな。
by とら


2007年4月12日(20号)
第3部 第66話 受刑者は語る (722回)

 ついに刃牙vs.オリバが開始(はじま)るッ!
 18話で刃牙がオリバに殴りかかってから、48話(読者時間で371日)をへてついに開始(はじま)るのだ。
 長かった。そして、伝説へ……

 穴の開いた壁をはさんで、刃牙とオリバがテンションをあげる。
 刃牙の位置からは、オリバの足や みぞおちの辺りが見えた。
 下乳チラ状態で、ちょっぴりセクシーだ。
 ボーイズラブ大好きな女子高校生あたりにバカ受けですな。
 BL好き女子高校生はチャンピオン読まないだろうけど。

 ドッ

 刃牙が行ったァ〜〜〜〜ッッッ!
 いきなりの全力パンチだ。
 一撃目で倒す気マンマンである。
 手を出さず口を出したり、二言目には やめる気マンマンだった少し前とはえらいちがいだ。
 今の刃牙なら、出番のない丹波のほうがまだマシなんて言わせない。

 刃牙のパンチは直撃した。だが、オリバは微動だにしない。
 うわっ、刃牙くん一年前から、まるで成長していない……。
 これには仕掛け人もガッカリだ。
 それとも顔殴ってダメだったから、腹を狙ったのだろうか。

「かなりいいぞバキ」
「この限られた条件下で放ったボディブロー」
「こうまで体重を乗せることはなかなか…」


 せまい空間でも体重移動をして腰の入ったパンチを撃った。
 もうちょっと練習すれば寸勁も撃てるようになるかもしれない。
 刃牙の技術力が高いとわかる。

 しかし、なんというかインパクトが足りない。
 剛体術で壁を突きやぶりつつ殴るとかのムチャをしてほしかった。
 そんなんだからジミ主人公と言われるんだ。
 カマキリと戦うような変態性を、もう少し活用しよう。
 妄想の力で飛ぶんだ。浮け!

 オリバは刃牙の腕を引っぱる。
 消費カロリーが象の2.5倍だけにパワーも象以上だ。
 刃牙は、象を捕食する巨大カマキリ(という妄想)に勝った実績があるのだが、現実に力負けする。
 妄想と現実はちがうと言うことかッ!

 刃牙やオリバに比べて、コンクリートの壁はあまりにもろい。
 あっという間に、壁はくずれて刃牙はオリバにキャッチされた。

[ リッチ・コックス(米国)33歳 懲役18年―――――――――――― ]
[ 後に彼はこのビックマッチ最初の目撃者として―――――
 受刑者仲間 数百人に数百回 同じ話をさせられることになる ]

 米国にも片平恒夫巡査(34)クラスがいたッ!バキ5巻 37話
 巻きこまれた男が実況中継である。
 刃牙vs.オリバはビックマッチとして、大勢に目撃される運命らしい。
 もしかして二週間戦いつづけて、TV放送にも間に合ったりして。

「壁がどーなったか……って?」
「ないよ……もう」
「部屋が一つになっちまったんだ」


 懲罰房に入る人間は両腕を拘束されている。
 ゆえに脱走する可能性はほとんどない。
 脱走が想定外なので、壁が薄いのだろう。
 だから、壁があまりにあっさり壊れるのだ。

 いくらオリバが怪力無双・象ニ匹半とはいえ、監獄の壁をボコボコやぶれるとは思えない。
 そんな壁だったらスプーンだけで穴が開きそうだ。
 脱走の心配がない懲罰房は、他に比べて壁が薄いから、壊れたのだろう。

 こんな部屋に閉じこめられたら、狂って壁に頭を打ちつける自傷行為をする囚人も出てくると思われる。
 クッションになるものが壁にはってあるのが普通だろう。
 ブラックペンタゴン的には、囚人なんて死んだら死んだで、まあイイか……ぐらいの扱いらしい。

 中国は床や柱が石なので、頭を打ちつけて自殺する人もいるらしい。ちょっとウソくさいけど。
 ジャンプの『銀魂』に名前が出ていた南宋の岳飛ですが、彼が死んだとき、部下が頭を打ちつけて死んでいる。(田中芳樹「岳飛伝」)
 ちなみに、岳飛は三国志でいえば姜維のポジションだ。『三国志演義』百十三回で、姜維の状況を岳飛にたとえている。
 どちらにしても、頭を打ちつけてイイ事は少ないだろう。
 アメリカは人権がうるさい国だと思うが、ブラックペンタゴンの囚人にはなんの権利も無いのだ。

 ジャマだった壁はなくなって広いリビングの趣になった。
 広くなった空間で、オリバが刃牙の手と足をつかむ。
 まずい。地面に投げつけられるか? それとも、関節を取られるのか?

「叩きつけたのか……って?」
「イヤ…違うんだそれが」

 オリバが、刃牙をタオルのようにはたく。
 まるで洗濯物を干す前のようだ。
 オリバは自分でハンカチを洗濯している。(範馬刃牙6巻 39話
 洗濯時に、この荒業をあみだしたのだろうか?
 まさに、暮らしの中に修行ありだ。
 刃牙もSAGA時に、血液の流入が体の一部を大きくしたり小さくしたりすると知ったのだろうし。

 何度もバサバサとふられる。
 刃牙がタオルなら水分が全部外に飛び出ているところだろう。
 おそらく、すさまじいGが刃牙にかかっている。
 F1レーサーたちは加減速やコーナーでの遠心力で、血液が体内にかたよって行くのがわかるらしい。(参考
 刃牙だって、内臓や血液がぐちゃぐちゃだ。

 ある意味、脳や内臓に直接ダメージを与えているようなものだ。
 臓器が体内を動いて、臓器同士でぶつかり合う。
 特に、平衡感覚をつかさどる三半規管は大打撃だ。
 洗濯機にかけられたタコのようにヘナヘナだろう。


 あんまり振ると、口とか尻から漏れてしまいそうだ。
 オリバは何回か刃牙を振って満足した。
 普通ならトドメで地面に投げつける。
 しかし、オリバは普通ではない。
 上に投げた。

 落下する刃牙をキャッチしてダッシュだ!
 キャッチするなら、別に投げなくても良かったのでは……?
 と、ツッコむ間もなく、壁に激突した。
 壁を突きやぶる。突きぬける。駆けぬける。
 壁三枚を破壊した。

 まさにアンチェインだ。
 オリバがその気になれば、壁なんて意味がない。
 脱獄を警戒した鉄筋コンクリートでも破壊しそうな雰囲気がある。
 そして、壁三枚分の衝撃を喰らった刃牙は無事なのだろうか?
 本気になったオリバは、ここまで強い!
 次回へ、つづくッッッ!


 オリバの怪力っぷりが本格始動だ。
 もはや重機人間といってもいいようなパワーを持っている。
 本当に生身の肉体なのだろうか。

 さて、刃牙は一方的にやられてピンチのように見える。
 しかし、無抵抗に打たれている刃牙は無傷な場合が多い。
 理屈はよくワカらんが、急所をすこしズラせば無限の打撃に耐える事ができるのだ。
 むしろ急所を打たれても話数をズラせば回復する。

 オリバの壁破り超特急は見た目はハデだけど、刃牙を抱えるという構造に欠点がある。
 刃牙をホールドしているため、最初に壁と接触するのはオリバの手なのだ。
 オマケに 絵をよくみるとオリバの頭が最初にぶつかりそうにも見える。
 もしかすると、一番ダメージがデカいのは、オリバ本人かもしれない。
 立っているだけで、精一杯だ。


 オリバのアタックをもう二三回くりかえすと、外壁も破ってしまいそうだ。
 そして、壁の外には建設途中の試合場が待っていたりして。
 刃牙が挑発したように見せて、オリバの計算どおりと言うオチだ。

 最近入獄した刃牙には、どの部屋も同じに見えるかもしれない。
 しかし、オリバは計算高く行動している可能性があるのだ。
 まあ、刃牙の挑発で始まった闘いだから、計算ちがいだらけなんだろうけど。

 一番の計算ちがいは抱きかかえた刃牙の体が、オリバの尿まみれだった点だろう。
 因果応報である。
 むやみに人やミミズに尿をかけるのは、止めたほうがよさそうだ。
by とら


2007年4月19日(21号)
第3部 第67話 刑務官は語る (723回)

 オリバがコンクリートの壁を三段ブチぬいた。
 アンチェイン流の試し割りというところだろうか。
 そして、ブラックペンタゴンの支出に不明瞭な修理費が追加される。

 刃牙は声も無く倒れている。
 まるで浜にうちあげられた魚だ。
 オリバは大トロ・マグロ状態の刃牙をもちあげる。
 追撃のセカンドブリッツが炸裂か!?

[ 第二の目撃者となったエドワード・バカラ(米国)29歳 懲役8年 ]

 第二のアメリカン恒夫(34)があらわれた!
 アメリカの人口は日本の二倍以上だから、恒夫クラスが二人いてもおかしくない。
 大国は人材も豊富だ。
 え、じゃあ中国には恒夫クラスが10人いるのか?
 恐ろしい国だ……。

 バカラ(29)は『アンチェイン=法や権力に縛られない』だと思っていた。
 実際にオリバやゲバルは、法や権力を無視して行動している。
 究極の自由人であるオリバがなんで刑務所にすんでいるのかは謎ですが。
 ある意味、住む場所に縛られていますよ。

 でも、アンチェインが真に意味するところは違う。
 バカラは目撃する。
 単純でリアルなアンチェインっぷりを見たのだ。

「閉じ込められる」
部屋がないッ」
「つーことなんだよ」


 刃牙をトビラに押しつけ、殴る!
 電撃をほとばしらせる強力な打撃だ。一撃でトビラが壊れかけた。
 さらに殴る。トビラごと刃牙が吹っ飛んだ。
 人体という柔らかなクッションをはさんでなお、鉄のドアを破壊する。
 すさまじいパワーだ。

 オリバは、素手でこんな破壊をしてしまうのだ。
 どこに閉じこめても繋ぎとめる事ができない。
 範馬勇次郎も核シェルターみたいなトビラを素手で破壊してのけた(グラップラー刃牙36巻 315話)。
 やはり、ポスト範馬勇次郎はオリバで決定だろうか。

 五体満足なオリバを物理的に閉じこめるのは不可能だ。
 だからこそ、アンチェインなのだろう。
 ゲバルも穴を掘って脱出している。55話
 壁や床を破壊して移動するのは、アンチェインに必要な条件なのかもしれない。
 もしかして、ドリアンがトンネルを素手で掘ったのも、アンチェインに憧れていたからか?(バキ8巻 70話
 いや、素手による掘削の歴史はドリアンが一番最初だよな。

 と言うわけで、素手によるトンネル掘りは重要な鍛錬であり儀式なのだ。
 刃牙も妄想のカマキリと戦っていないで、トンネルを掘ればよかったのに。
 そして、梢江の部屋に床下から侵入だ!
 もちろん、部屋にアライJr.が止まっている事を知って、凹みまくるというオチが待っている。


 とにかく、刃牙は落下した。
 三階からコンクリートの床に落ちた。
 死んでもおかしくない高さだ。むしろ、普通は死ぬ。
 三階の高さは、テリーマンですらビビって飛べなかったと言う逸話がある。
 人間なら、岩鬼が開幕戦の初球ホームランを打つぐらいの確率で死ぬ。

 でも、刃牙は死なない。
 とっさに五接地転回法をしたのだろうか?
 なにしろ、『7〜8m(3階の窓)からコンクリートに落下しても無傷が保障される』のだ(グラップラー刃牙17巻 148話)。

 刃牙を追いかけるように、オリバが飛びおりた。
 ふつうにファ‥‥と着地する。
 なんという柔らかな動きだ。
 足腰のバネが刃牙よりもはるかに上なのだろう。
 そして、五接地転回法のありがたみが、激減した。


「そこからは わたしが話そう」
[ ボブ・マッカーシー(米国)27歳 刑務官]


 バ、バカなッ!
 三人目のアメリカ恒夫(34)だとォ!
 アメリカの恒夫は無尽蔵にあるのか!?
 さすがリアクション大国アメリカだ。
 前に日記で書いたのだが、『スター・ウォーズ EP1』の映像特典からうかがえるアメリカ人のリアクションは激しすぎる。
 やっぱ、肉を主食にしている人種はエネルギー量が違うのだろうか?

 まあ、でも、われらが片平恒夫巡査(34)には和のテイストがあります。
 繊細な表現はアメリカ人にマネできまい。
 カステラなんて単語は、ふつう出てきませんよ。

 ボブが見るところ、オリバは非常に落ちついた目をしていたらしい。
 殺人も辞さないような血走った目ではないのだ。
 まさに紳士である。
 オリバは強いから、気持ちにも余裕があるのだろう。

 刃牙はいきなりオリバのヒザを狙った蹴りを放つ。
 だが、あっさり捕まる。
 刃牙を冷静に観察していたオリバは、攻撃を予測していたのだろう。
 倒れた状態の刃牙ができる事と、今の間合を考えれば攻撃パターンは限られてくる。
 野球でも次の球種がワカると打つのはたやすい。
 刃牙の反撃が予想できていればキャッチもできるのだ。

 もっとも、オリバの動きが素早いと言うのもポイントだ。
 40話の感想でも書いたが、オリバはすばやい動きが可能な体型をしている。
 刃牙の蹴りは速いのだろうが、オリバはもっと速い。
 そして、一度捕まえたら離さない怪力無双の持ち主だ。
 刃牙が多少蹴って抵抗しても揺るがない。

 オリバはボブたち刑務官に退避を命じる。
 そして、刃牙の足首を持ったまま、おおきく振りかぶった。
 全力投球をするピッチャーのごとく、刃牙を地面に叩きつける。

 メキョッ

 AC3(アメリカ版恒夫3号)も聴いたことのない音が響いた。
 下はコンクリートですぜ。
 さすがに刃牙でもダメだろう。頭蓋が割れる。

 オリバは、なぜ独房で刃牙を叩きつけなかったのだろうか?
 なんかムダに回り道をしたように思える。
 もしかすると、思いっきり振りかぶるための空間が欲しかったのかもしれない。
 刃牙を全力で叩きつけるために壁を壊し、ドアを破り、一階におりた。
 ご利用が計画的だ。

「バキ・ハンマというスタンプが刻印したそれは――――――――」
「後に測定された結果 最深部は30cmにも達していた」


 コンクリートの床が砕けた。
 刃牙の体よりもコンクリートのほうが弱いらしい。
 コンクリートが砕けることで、多少クッションの役割を果たしている可能性もある。
 試し割りってのは、割れればイイけど、割れないと殴った手がメチャメチャ痛くなるものだ。

 だが、いくらなんでもこのダメージは深刻っぽい。
 刃牙の耳や鼻から普段は出ない液―――、からいのや、すっぱいのや、ぴりっとしたの――― が出てきそうな勢いだ。
 それでも、いまだ大量出血していないところが、刃牙の変態性を物語っている。
 まだまだ元気なんだろうな、コイツ。

「しかし――――その時はまだ」
「我々はその変化には気付いていなかった」


 ヘイ、ボブ、ナニに気がつかなかったんだい?
 答えは次回のお楽しみ。
 予想通りな怪力オリバと刃牙の死闘であった。
 もっとも一方的に刃牙が死にそうな闘争だけど。


 静かに発生した変化とはなにか?
 イチバン簡単に思いつくのは、刃牙の背中に鬼が浮きでるということだ。
 ただ、タイミング的にまだ早い。
 いきなり切り札を出してどうするか。
 刃牙は最初からクライマックスなタイプではない。

 他に思いつく変化としては、場所が変っている。
 広い空間は軽量級の刃牙にとって、有利に働く。
 スピードをいかして、足でかき回せばいい。
 でも、オリバも速いからあんまり有効な作戦ではないな。

 刃牙が投げられながらも、オリバに一矢報いていたという可能性もある。
 餓狼伝キャラは相手の攻撃を受けながら、帯をほどくことが多い(餓狼伝 175話)。
 刃牙も投げられながら、パンツを破っていたのかもしれない。
 でも、オリバは見られると喜んじゃう人だから効果薄いか。
 オリバの逸物が今まさに変化しつつあるのかも知れないけど。


 常人なら一撃で13回ぐらいは死ねそうな投げとコンクリートのコンボだ。
 しかし、範馬刃牙には効果が薄いだろう。
 なにしろ刃牙の『格闘技修行は』範馬勇次郎に『コンクリートに叩きつけられるところから始ま』ったのだ(グラップラー刃牙4巻 31話)。
 コンクリートに対する耐性は高い。
 お笑い芸人が熱々おでんに強い耐性を持っているのと同じだ。

 コンクリートへの投げつけが刃牙の原点だ。
 あー、そういう入り方が一番危険な気がする。
 だから刃牙は お笑い芸人 マゾな体質になったのかもしれない。
 でも、だからこそ、今回は逆転の可能性があるのだ。
 人生は何がどうなるのか、予想もつかない。
 次回の『範馬刃牙』も、まったく予想がつかないのだった。
by とら


2007年4月26日(22+23号)
第3部 第68話 その変化 (724回)

 範馬刃牙が大ピンチだ。
 でも、マゾっ子刃牙ちゃんだけに、ピンチを楽しんでいるんだろうな。
 なんでも楽しんでしまう刃牙は、あるいみ最強だ。
 格闘者としては問題大有りなんだが。

 四年前に七階から落下した囚人がいた。当然、即死だ。
 刃牙が叩きつけられてできた激突痕は、七階から落下した物の倍あるらしい。
 重力加速度は9.8m/s^2だから、七階(仮に21mとする)から落ちると時速73kmになる。
 イメージ的には、制限速度を守っている車にはねられたダメージぐらいか。
 激突痕が倍だから、運動エネルギーが倍と考えれば、刃牙の激突速度は時速103kmぐらいだ。

 ガイアが刃牙を地面に叩きつけたときは、時速80kmで七階からの落下に等しいと言っているグラップラー刃牙16巻 143話)
 つまり、オリバはガイアの2倍強い。
 ガイアと比較すると、なんか凄みが薄まった気がするから不思議だ。
 本当は、かなり強い人のはずなんだけど……。


 推定時速100kmでコンクリートに激突した刃牙でした。
 しかし、鼻血すら出ていない。とんでもない頑丈さだ。
 普通なら必要十分に死んでいる。

 オリバはやや怒ったような表情で刃牙を見ていた。
 勝者の笑みでも余裕でもない。
 なにか気にくわない事があるのだろうか。
 オリバだけは危機を感じとっているのかもしれない。
 きっと、2週間後に開催すると宣言しちゃった刑務所デスマッチの放送をどうしようか悩んでいるのだ。

 刃牙が動いた。
 立ち上がる事はとてもできない。
 せめて、寝返りをうってあお向けになる。
 それでも自力で動いたことに刑務官たちは驚きをかくせない。

(ああ……)
(気持ち……いい…………)


 刃牙が現在の心境を漏らす。
 ……。
 …………。
 ………………今まで、さんざん刃牙をマゾだ変態だと言ってきましたが、本人の口から聞くと、形容しがたい感情に襲われます。
 嬉しいのか悲しいのか怒りなのか、自分でもワカりません。
 あえて言語化すると「ついにカミングアウトしやがったッ!」かな。

 オリバの全力攻撃を受けて絶頂(エクスタシー)にひたっている。
 ごく自然に射精していそうで、股間ふきんがアップになるとドキドキだ。
 運良く(?)股間ド真ん中は見えなかった。
 股間の変化は追わんでもよろしい。

(甘い痺れ……)
(5年前―――――――)
(父・範馬勇次郎を相手に闘い―――― 味わい尽くしたあの感覚)
(その差が理解(わか)らぬほど隔たる実力差)
(懐かしい……)


 刃牙はオリバの怪力に範馬勇次郎を見ていた。
 結局はパパ大好きっ子である。
 勇次郎に倒された記憶は、母の喪失とつながっているハズだ。
 しかし、母の事は思いださない。
 刃牙は勇次郎への憎しみを忘れてしまったのだろうか?

 刃牙は思いつきで行動している部分がある。
 熱しやすく冷めやすい性格なのかもしれない。
 今は父親大好き期に入っているのだろうか。
 もしかすると素直に勇次郎へ好意を示せない反動から、擬似勇次郎=オリバに対して素直に甘えているのかもしれない。
 そちらにしても、叩きつけられて"気持ちいい"ってのは変態の極みなんだが。


 エンドルフィンッ!
 来ッたァ――――――!!
 ひさしぶりに脳内麻薬が大爆発だ。

 刃牙は幼年編のころがイチバン強そうに見えるという意見がある。
 確かに、17歳以上の刃牙は、ヘタレた部分がめだつ少年だ。
 刃牙がヘタレた理由として、エンドルフィンの枯渇が考えられる。
 エンドルフィンを出さなくなったから、弱くなっているという説明だ。

 エンドルフィンさえ出れば刃牙は強くなるのだ。
 SEXして強くなったのも脳内麻薬が出たためだろう。
 だから、あえてダメージを受けて、エンドルフィンをひねり出そうとしている。
 説明のつじつまは合っている、と思う。

 今回、勇次郎クラスの一撃を喰らってエンドルフィンが出すぎちゃったらしい。
 刃牙は自分の体が溶けていく感覚を味わっている。
 まさに麻薬中毒患者の幻覚体験だ。
 刃牙は髪の毛と目玉を残し、液体化する。
 それでも、全身に刻まれた傷痕が液体についているようだ。
 わりと自己主張の激しい液体です。

 液体となった刃牙は、床一面に広がる。
 これは意識の拡大だろうか?
 『バガボンド』にも出てくることだが、意識を広くもち一点にこだわらないのは兵法の目指すところだ。
 『マリオカートDS』で言うなら、下画面も見ながら運転できれば上級者という感じである。
 溶けてしまった刃牙は、周囲のすべてを理解し飲み込んだのだろうか?
 それこそ、天舞宝輪とか天衣無縫とか絶天狼抜刀とか空裂眼刺驚とか滋養強壮薬用養命酒なみにスゴいことが起きているに違いない。


「そう……ハネ上がったんだよバキが」

 寝たままの姿勢で跳躍(とん)だッ!
 北斗の拳でいうならフォックスの使う跳刀地背拳である。
 スタンド使いならポルナレフか。
 なんにしても、人間のレベルを超えている。
 そして、範馬刃牙の背中にが宿ったッ!

「日本の古武道(マーシャルアーツ)にだけ存在し――――――」
「遂には封印された…………」
「打撃筋(ヒットマッスル)」「鍛錬法(エクササイズ)


 第三の目撃者ボブ・マッカーシー(27歳 刑務官 米国)が熱く語る。
 が、たぶん間違った知識を教えられている。
 "背中の鬼"は昔から存在していたワケではないし、誰かが封じたものでもない。
 中国拳法の頂点に立つ郭海皇も「その筋肉の構成が」「明らかに通常と異なる」と言っている。(バキ27巻 236話
 普通の人間が鍛錬しても鬼は宿らないのだ。

 ボブは誰に間違った知識を教えられたのだろうか?
 オリバが間違えるとは思えない。
 ゲバジュンもちゃんとした知識はもっていそうだ。
 他の人間は鬼の形面(めん)すら知らないだろう。

 いた。
 見たことのある人間がいる。
 刃牙が背中に鬼を宿らせた最大トーナメントに出場していたアイアン・マイケルだ。
 なんで、君はツッコミの入りやすいポジションに居るかな。
 マイケルが、尾ひれをつけて話をしたにちがいない。

 刃牙は、鬼参上!状態になった。
 コイツが出たからには、途中からクライマックスだぜ。
 しかし、今の刃牙は脳内麻薬の出しすぎて、一皮むけている。
 刃牙の姿は宮本武蔵 肖像画のように脱力して自然体だ。

 ・ 参考
真説宮本武蔵 ← 誰もが知っている(?)宮本武蔵の肖像画

 まさか、消力(シャオリー)まで使う気なのか?
 でも、力みまくる鬼の面と消力(シャオリー)では、相性が悪そうだ。
 剛体術とマッハ突きを同時にやろうとして、失敗するような展開が待っていそう。
 背中は力んでいるけど、手足が脱力していてパワーが正確に伝わらない。

 しかし、百錬自得や才気煥発など、竹脇無我も裸足で逃げ出すような境地に達した刃牙だ。
 なんかスゴいことをやりそうな気がしてならない。
 実は、まだ脳が溶けていて、ぼ――……としている だけかもしれないけど。
 ゴールデンウィークのため次週はチャンピオンがお休みだ。
 新・刃牙の活躍は二週間後につづくッ!


 みんなが予想する、背中に鬼と言う展開はない。そう思っていた時期が俺にもありました。
 見事に裏をかかれたようだ。
 むしろ、メインは液状化現象かもしれない。
 ものすごい、体液さらさら効果だ。
 時速100kmで地面にぶつかって鼻血が出なければ、ああなるのだろうか?
 ぜひとも、健康番組で取りあげてもらいたい。

 溶けた刃牙だけど、目玉は残っていた。
 なんか『ゲゲゲの鬼太郎』の目玉の親父みたいだ。

3D球体パズル 60ピース  目玉おやじ 2003-285 ← 目玉の親父

 鬼太郎の父はなくなったとき、遺体の腐敗がひどかったため埋めてもらえなかった。
 腐乱した遺体からこぼれた目玉に子を思う一念がやどり、現在の姿になったのだ。
 アニメ化するには問題点の多すぎるエピソードです。
 まあ、刃牙だったら目玉じゃなくて睾丸にやどったかもしれない。
 運良くトランクスに隠れていたけど、たぶん溶けのこっている。

 刃牙を冷静に見ているオリバは、刃牙の覚醒を予想していたのだろう。
 オリバだって勇次郎を倒すことを夢見ている部分がありそうだ。
 目覚めた刃牙を倒せないと、勇次郎と戦う資格はない。
 あえて、真の範馬刃牙を待っていただろう。

 一方、覚醒した刃牙はどう変化するのか?
 とりあえず床中の情報を手に入れていそうだ。
 わずかな くぼみや、滑りやすい場所なども完全把握している。
 いきなり地面に落ちている小銭を見つけて拾いはじめたりして。
 脳が溶けているから、考えて行動できなくなるのが欠点だ。
by とら


2007年5月3日
チャンピオンはお休みです

 というわけで、ちょっと今までの展開をふりかえってみる。
 たまに過去を見直してみると、思わぬ発見もあるかもしれない。
 とりあえず、途中まで整理する。


 刃牙と勇次郎
サブタイトル内容
第1話 闘神の血族 範馬勇次郎は巨大象を狩る。刃牙への愛ゆえに……
第2話 その人の子 小学生に喧嘩をうられた刃牙は本気でこたえた!
第3話 世界最強の高校生 刃牙は小学生の尻をたたいて川にブチ込む。これでダチだ
第4話 小さな親友(だち) 刃牙は適当な相手と闘うと宣言する
第5話 てきとうな相手 リアルシャドーなアイアン・マイケルが登場しちゃった
第6話 幻影闘争(ファントムマッチ) アイアン・マイケルを蹴り倒す
第7話 意志力 真打・妄想の巨大カマキリが登場だ!
第8話 初戦 蟷螂拳の元ネタだけにカマキリは強いのだと力説する
第9話 異"種"格闘技 カマキリは強い。刃牙は格闘技の枠を飛び越えていく
第10話 その先 カマキリは脳震盪をおこさない。強い
第11話 ヒトとムシ カマキリは硬いし、攻撃範囲が広いし、ムチャな相手なのだ
第12話 戦闘形態(ファイトスタイル)   考えろ、蟷螂と闘うオリジナル闘法!
第13話 好機(チャンス) 刃牙は蟷螂拳に開眼する
第14話 同種から捕食種へ 鳥になってカマキリを撃破した
第15話 鬼の笑み 勇次郎は殺人プールで戯れ、エフッエフッエフッエフッと笑う   

 15話までは、刃牙と勇次郎の話だ。
 二人は直接会っていないが、常に互いの存在を意識している。
 刃牙が妄想のカマキリと戦うのも、人類の規格を超えた範馬勇次郎との決戦を視野に入れてのことだろう。
 目的はともかく、方法が正しいのかどうか、とても怪しいけど。


 二代目アンチェイン=純ゲバル
サブタイトル内容
第16話 次戦(ネクストステージ)   刃牙はオリバに逢うため大統領を拉致する
第17話 道筋 刃牙とオリバが対峙する
第18話 第2の男 刃牙にはオリバと戦う資格がない。まずはNo.2と戦え
第19話 唯一の自由 アイアン・マイケルも受刑者でした。そして、No.2登場だ!
第20話 監獄と地獄 さわやかナイスガイ・ミスター2は特別扱いをされている
第21話 自由の種類 ミスター2は挑戦してきた元力士を金的蹴りで圧倒した
第22話 挑戦権 三半規管破壊技がミスター2の必殺技だ
第23話 2(セカン) ミスター2とは二代目アンチェインのことだった
第24話 掟 一国の大統領ジュン・ゲバルがミスター2の正体だ
第25話 若き獅子 ゲバルは素手による『どこでもテロ』で、アメリカから独立を脅しとる  
第26話 次世代 勇次郎・オリバ・ゲバルが動くとカーナビが狂うらしい
第27話 対峙 刃牙は刑務官をぶちのめしつつ、魅了する。まるで主人公だ
第28話 徒手 アイアン・マイケルへの刺客・マウス三兄弟が登場する!
第29話 戦争 マウス三兄弟 vs. アイアン・マイケル が始まるッ!
第30話 チームワーク 常人の3.2倍強いマイケルもコンビネーションにかなわない
第31話 1+1+1=? ひたすらボコられるアイアン・マイケルであった
第32話 滅多 前転しながらゲバルが助けに入る
第33話 戦士(ウォーリアー) ゲバルはいったん尿でゲバル三兄弟を退ける。次なる秘策は?
第34話 海の賊(おとこ) ジュン・ゲバル、闘争(たたか)いのメイクアップッ!
第35話 風 一撃でゲバルはマウス三兄弟を倒す

 オリバと刃牙の対決と思わせつつ、実はゲバルの話だった。
 まとめてみると、どう考えてもゲバルの話なんですが。

 ゲバルがこの先、重要な役割を果たすのか、現時点(68話)ではワカらない。
 関わってくれないと、なんのためにゲバルが出てきたのやら。
 話の傾向として、個人のもつ素手の力がどれだけ偉大なのかを強調する話が多い。
 範馬刃牙らしい素手の世界なのだ。


 この先は、オリバ vs. ゲバルになる、と思わせてオリバの話になっている。
 知られざる恋人が明らかになり、オリバの過去が少し明らかになるのだ。
 と言うわけで、オリバ編以降の まとめは次の休載時にやります。
 …………いつになるのだろうか?
by とら


2007年5月10日(24号)
第3部 第69話 刹那 (725回)

 ボブ・マッカーシー(米国)27歳 刑務官が語るッ!
 最初のページから語る。1ページ丸ごと大ゴマにして語る。
 2ページ目も語る。
 3ページ目も語る。
 4ページ目も語る。これも1ページ丸ごと大ゴマだ。
 5・6ページ目も語る。2ページ見開きで語りやがった。
 ボブ、語りすぎだよッッッ!

 ちなみに、主人公である範馬刃牙のセリフ数は0だ。


 ボブは宮本武蔵の肖像画について語る。
 前回に引きつづき、この絵です。 →
 理想的に脱力して重心を読ませない姿らしい。
真説宮本武蔵

『「識者の眼から見ると単なる人物画の域を超越(こえ)るものと言う」』

 識者じゃないのでワカりませんが、武術の理想姿勢っぽいらしい。
 絵が写実的じゃないから、ダラっとしているように見えると考えてはいかん。
 ちなみに、ボブは「自画像と言われている」と言っている。
 しかし、この絵は武蔵が自分で描いたのではないようだ。(参考
 まあ、ボブは米国人だから、詳しい話をしらないのだろう。

 武蔵を見たことの無い人が想像だけで描いた絵だったりすると、ボブの発言がむなしくなる。
 まあ、絵を描いた人も達人で、ちゃんと理屈にあった姿なのかもしれませんけど。

 武蔵の身体能力は金メダリストをはるかに凌駕するとボブは言う。
 さすがに、それは言いすぎだ。
 刃牙世界ではイロイロな人が噛ませ犬になっているが、金メダリストもけっこうヒドい扱いをされている。
 たしかに昔の人はタフだろうが、忍者でも100mを10秒以内で走るのは無理だろう。
 記録が落ち続けているなら、昔の人のほうが速いかもしれないけど、記録は向上しているのだ。
 金メダリストは言いすぎだって。

 なんかボブはだまされている気がする。
 親日家の友人でもいるのだろうか。
 東洋の神秘とか言って、妙な健康器具を売りつけられているかもしれない。
 時代劇から入って、今ではすっかりジャパニメーションのファンだったりして。

 なお、宮本武蔵は『身長は六尺(約180センチメートル)程』といわれている。(参考
 江戸時代の男は平均身長155〜158cmぐらい(参考)なので、感覚的には巨人だ。
 現代人から見ると、空条承太郎(195cm)ぐらいの大きさと思っておけばいいだろう。

 武蔵でググっていたら『武蔵とイチロー』という本があるのを知った。
 もしかしたら、ボブはこの本から情報を得たのかもしれない。
 どの程度信頼できる本なのかあやしいが……
 まあ、外国人がもつ日本の知識は微妙に間違っているのが相場だし。


「遅いぞバキ」
「年長者をそんなに待たせるものじゃない」


 オリバが立ちあがった刃牙に声をかける。
 年長者として余裕ある態度をみせているのだろうか?
 というか、あのダメージを受けても刃牙は立つと思っていたらしい。
 まあ『Dämons(ダイモンズ)』(AA)とは世界観がちがうし……。
 人間、コンクリートに叩きつけられたら、普通はアウトなのだ。

 そして、再びボブ・マッカーシー(米国)27歳 刑務官が語りだすッ!
 今度は3ページだ。
 出すぎだよ、ボブッ!?
 もし君がムックだったら、ガチャピンに文句言われてる。おおいよ!

 ボブはかつて見た日本映画で対峙する剣豪に思いをはせる。
 永い睨み合いから、一瞬で決着がつく展開だ。
 スポーツとはまるでちがう戦いを期待しているらしい。
 長い睨み合いから一瞬の決着と言うと『椿三十郎』(AA)が有名だ。
 ボブは、黒沢ファンなのかもしれない。

 やっぱり、ボブには日本通の友人がいてあれこれとよけいな情報を教えているのだろう。
 もしかしたらゲバルが教えたのかもしれない。
 葵の紋が入った印籠をみせると平伏するかも。
 それどころかジャパニメーション好きだったりして。

 余裕ぶっているオリバだが、汗が一筋流れた。
 汗ッ!
 刃牙世界における敗北への狼煙だ。敗北フラグだ。
 いきなりオリバがピンチになっている。
 さすが「鬼の形相」と言うべきか。浮き出ただけで場の空気をかえやがった。

「どうやら わたしは……」
「大変なスイッチを押してしまったようだな」


 オリバは自分がピンチだと理解している。
 だから、余裕ある発言をして誤魔化そうとしているのだ。
 刃牙だけではなく、自分にも言い聞かせているのだろう。
 そして、すこし会話をしたことで多少落ちついた。
 刃牙が強敵だと認め、心の準備を整えたらしい。
 汗も引っこんだ。

 一方の刃牙は無反応だ。
 なにしろ液状化したぐらい脱力している。
 もう、指を動かすのもダルいのだろう。
 まさに脱力を超えた脱力――― 超・脱力だッ! 激・脱力だッッ! 汁・脱力だッッッ!

 力入っているのか、ゆるんでいるのか、不明です。
 目つきも、鋭いのか腐っているのか良くワカらない。
 この液体は熱いのか? 冷たいのか?
 まさに不可解な生命体となっている。
 確かに、コイツには手を出しにくい。
 さわったら、どんな感触するのかワカらないし。

 オリバが気づかって刃牙に話しかけている。
 でも、刃牙は完全に無視だ。ものすごく態度悪い。
 ちょっと自分の立場が有利になると、急にエラそうになる。刃牙の悪いクセだ。

 刃牙は、あくまでシカトをつづける。
 ついに我慢できなくなったのか、オリバが一歩踏みだす。
 こういう状況だと、先に動いたほうが不利だ。刃牙以外でも通用する世界のオキテである。
 ページをめくるのが、ものすごく不安だ。



 オリバ、ダウン!


 やっぱり……。
 ……って、え――――――ッッ!?
 なにそのまま倒れてンの?
 上半身が不自然にカクッっと倒れている。
 刃牙が手で頭をつかんで、下に投げたのだろうか?
 もしかして、ページ飛ばしちゃった???


 そして、またまたボブ・マッカーシー(米国)27歳 刑務官が語りだす。
 今度は3ページ強だ。
 合計すると今週は12ページも語ったことになる。
 表紙をのぞいて19ページのうち、12ページだ。
 ちなみに刃牙が出ているページは10ページである。刃牙を超えたッ!

『「ミスターオリバは前に出ようとしたんだと思う」』
『「ほんの微かだが……重心が前へ移動したように見えた」』
『「そして気が変わったかのように床へ謎のダイブ……」』


 ダメだ。コイツなにも見てねェ……
 役に立たないよ、ボブ。
 語り、おおいよ!

 だが、刑務所の定番アイテムがボブを救った。
 監視カメラだ。
 すべては監視カメラが見ていたらしい。
 衝撃の映像は次回へッ!


 なんかTV番組における「衝撃の映像はCMのあと!」みたいな終わりかただった。
 そして、オリバは郭春成みたいな終わりかただ。(バキ24巻 212話
 いや、まだ終わってないだろうけど。(希望)

 刃牙の攻撃は完成された居合いのようなモノだったのだろうか。
 語り好きなボブが、まったく語ることができない。
 監視カメラの画質なんてタカが知れていると思うけど、とにかく良かった。
 遠くにある監視カメラに負けるぐらいだから、ボブは眼が悪いのかもしれない。
 アニメは、部屋を明るくして画面から離れて見ろッ!

 それにしても、オリバの倒れ方が気になる。
 普通に倒れたらうつぶせになるのに、捻りを加えたのか、あおむけで倒れているのだ。
 刃牙がフック系の打撃で倒したと言うことだろうか?
 もしかすると、ひっくり返した意味があるのかもしれない。
 たとえば、気絶しているオリバの顔面に尿をかけるとか。
 まさに尿の復讐だ。
by とら


2007年5月17日(25号)
第3部 第70話 無意識 (726回)

 オリバが謎のダウンをする。
 ボブ・マッカーシー(米国)27歳 刑務官は見ていたが、観ていなかった。
 小さい目をしているボブだが、文字通り節穴のような目だ。
 きっとマイケル所長の記憶とリストラ候補リストに、ボブの名が深く刻みつけられたコトだろう。

 ボブは役に立たなかったが、監視カメラはきっちり仕事をしていた。
 カメラの映像さえあれば、2週間後のTV放送も乗り切れるかもしれない。
 というか、衝撃の映像特集にするしか無いんだろうな。
 10万キロカロリーなオリバの食事シーンだけでオモシロ映像の資格アリだ。

 そして、マル秘映像が再生される。
 二人がにらみ合う。
 0.109秒後に刃牙が動き出す。
 0.206秒でパンチがヒットする。
 この一撃でオリバはダウンした。

「あの……」
「オリバが無抵抗じゃないか」


 オリバが捧のように倒れるという異常事態に、マイケル所長も動揺している。
 部下であるボブに対しての態度もぎこちない。
 「あの……」は「あのオリバ」という意味かもしれないが、ボブに遠慮して「あの……、質問いいっスか?」という感じにも見える。
 とにかく、汗がでまくりだ。

 オリバの身に何が起きたのか?
 真相は、倒れたオリバ本人から発表される。
 現在の刃牙は、覚醒期で成長期で増長期に入っているので、メンドウなことは人に任せるのだ。
 肉はオマエが焼け。俺は喰う。みたいな状態だ。

「鼻たれのオマエが」
「よもやの急成長」
「やはり範馬の血」
「期待しててよかった……」


 ダウンしても余裕の態度を崩さないビスケット・オリバであった。
 意識が飛ぶほどの攻撃を受けたんだから、ダメージが足にきている可能性がある。
 だが、ダメージを感じさせない表情だ。
 ただし、すぐに立とうとしない。もしかすると立てないのかも。
 苦しいときほどニヤリと笑え。ハタから見てみな男だぜ。

 オリバは刃牙に期待していたらしい。
 ちょっと、ウソっいけど、範馬の血を引いているのは確かだ。
 血統的に強くなる素質がある。
 ただ、血統だけで勝てるならサラブレッドだって苦労しない。
 素質に加え、訓練も必要だ。

 さて、刃牙は今まで何をやって来たのだろうか?
 刃牙のやって来たことって、少ないよな。
 期待するほど、刃牙はガンバっていたのだろうか?

 刃牙がいきなり強くなるのは、不測の事態だ。
 しかし、ここで驚いていたら餓狼伝の梶原になってしまう。
 一度、おどろき役になってしまうと、浮上するのは不可能に近い。
 オリバとしては、想定内だと言ってごまかすのが、上策だ。
 むしろ期待していたと言えば、なんか勝った気がしてくる。

 期待していたと言えば、尿をかけた行為も正当化できそうだし。
 花に水をあげるように、範馬に尿をあげましょう。


「トール・ノーレットランダーシュ著」
「「ユーザーイリュージョン――――――意識という幻想」」


 オリバは体を動かさず、口を動かす。
 もしかすると回復のため、時間を稼いでいるのかもしれない。
 ところで、この本は実在しているハッタリでは無いッ!
 税込 \4,410- わりと高い。

 本によれば「意識は0.5秒遅れてやってくる」ものらしい。
 ワカったような、ワカらんような説明がつづく。
 目で物を見たあと、見たという情報が神経を伝わって脳に届くまで0.5秒かかると思っておけばイイのだろうか?
 人間の反応速度には限界があるのだ。
 ブロードバンド回線にして、ネットで動画見放題だと言っても、回線速度には限界がある。
 たぶん、何事も肝心なときほど詰まるものなのだ。

 修羅場の数々と、範馬の血が刃牙に0.5秒の世界を開いた。
 だが、オリバは恐れない。
 両手を突き上げ肉のポーズだ!
 ビスケたんには、隠し筋肉があるッッッ!

(…………ッッ)
(なんだいこりゃッッ)


 やっと しゃべったと思ったら、驚きセリフしかいえなかった範馬刃牙である。
 まあ、驚愕しても驚き役固定にならないのが主役の特権だ。

 オリバはどんな肉を解放したのか!?
 53話で、オリバは自分の肉は刑務所よりも大きいと言っていた。
 あとでウソだというのだが、部屋一つを埋めつくすぐらいの肉は隠しもっていそうだ。
 室内で戦ったのが運の尽きだと、肉解放をするのかもしれない。
 でも、ボブは生きて解説しているんだから、肉範囲はあまり広く無いと思われる。

 はたして、オリバの肉はどこまでデカいのか?
 次回へつづく。


 オリバじゃないけど、0.5秒以内の攻撃を そんなに恐れる必要はない。
 野球の場合を思い出していただきたい。
 マウンドからホームベースまでは60フィート6インチ(18.44m)の長さがある(参考)。
 ピッチャーが140kmの球を投げた場合、0.47秒で目の前を通りすぎる(150kmだと0.44秒)。
 投げたのを見てから、反応することは不可能な世界だ。

 なぜ、打者はボールを打てるのか?
 それは投げる前からピッチャーの動きを見ているからだ。
 フォームや投げる瞬間の手を見て、打者は球のタイミングと軌道を予測している。
 生体機能の限界として反応時間は0.5秒以内なのだろう。
 しかし、生物はそれを上まわる力を発揮できるのだ。

 じゃあ、なんで刃牙の打撃がヒットしたのか?
 たぶん予備動作がほとんど無いためだろう。
 不意打ちを喰らうと、バカ正直に相手の動きを見てから反応するしかない。
 手品のように うまく気をそらせば0.5秒以内に動かなくても、相手にバレない動きができる。
 液化するほどの脱力が、ムダな動きを無くし、予備動作なしの攻撃を生んだのだろう。

 日本の武術には『無拍子』という概念がある。
 流派や人によって解釈がちがうので簡単に説明できないが、反応できない攻撃という意味が多い。
 『無拍子』も、予備動作を減らした上で0.5秒以内に攻撃するものだろうか。

 ボクシングでいうと、スピードそのものはジャブよりストレートのほうが速い。
 だが、実際は動かす部位を最小にしてスキを減らしたジャブのほうが速いと感じる。
 「はじめの一歩」の最強ボクサーリカルド・マルチネスの放つ完璧なジャブに一歩は反応できなかった。
 動きの少ない攻撃は速いだけの攻撃よりキケンなのだ。


 ならば、オリバはどんな対策を取るのだろう?
 刃牙の攻撃が予備動作もふくめて0.5秒以内だとすると、動きを予測することもできない。
 でも、オリバなら、筋肉ガードができる。
 あらかじめ守りをかためておけば、速いけど軽い攻撃は効かない。
 より強い打撃を打とうとすれば、大振りになって動きを読める。

 刃牙はガマン強く打撃を重ねていける性格ではない。
 一点買いの大穴狙いが好きな男だ。
 ガードをかためたら、すぐに大振りになるだろう。
 あとは、刃牙を捕まえて ひねるだけだ。

 ただ、範馬の血は驚異的な防御力にも発揮される。
 刃牙を捕まえることができても、刃牙を気絶させるのは難しそうだ。
 オリバは負けないかもしれないけど、勝つ方法がワカらない。
 だいたいコンクリートに打ちつけたのに、血も出てないのだ。
 攻撃したほうが絶望する。

 それにしても、刃牙の液体化について全然ふれてこない。
 液状化にはなんか意味があったのだろうか?
 ただ単に、脱力完成というだけかもしれないけど。
 もしかすると範馬一族は妖怪であるという伏線なのかもしれない。
 宇宙人ではなく、妖怪だったのだッ!
 溶解しただけに。

追記 (07/05/23)
 オリバが言及した『ユーザーイリュージョン―意識という幻想』という本について掲示板で情報をいただきました。

・ まにまにさん
人間の活動は、意識が先なのか、肉体が先なのか。
神経伝達や脳の処理の限界で「○○しよう」という意識が発生するには
0.5秒の遅れが発生しますが、
実際には「それ以前に」身体が動いている。
「意識して身体が動く」というのは脳の作り出した錯覚である。


・ ふつくちきさん
我々は、腕を動かそうと思って腕を動かしていると思っているけど
「ユーザーイリュージョン」では、全くこの常識に反する結論がでています。
実際には、腕が動くのと腕を動かそうと意識するのは、腕が動くほうが先なんです。

つまり
×「腕を動かそうと意識する」→0.5秒→「腕が動く」
○「腕が動く」→0.5秒→「腕を動かそうと意識する」 ということです。

意志と行動という因果関係が逆転してしまいますが、
身体の状況の変化を、意識が後付で解釈していると考えれば論理的かもしれません。
(「腕が動いた」ので、自分は「腕を動かしたいのだろう」と解釈する)

 情報ありがとうございます。
 今度、本を買ってちゃんと読んでみます。

 つまり、反応速度の話ではなく、人間にとって意識とはなんだ?という話のようです。
 脳髄は肉体の奴隷なのか。
 なんともまあ、ドグラマグラな話である。

 だとすると、殴っている刃牙にも意識のズレがあるし、殴られているオリバにもある。
 無意識に体が反応して防御してもイイんじゃねェの? って疑問がわく。
 ちょうど、この間の戦隊モノ「ゲキレンジャー」と同じ展開だ。(参考
 忘我の中に最高の技が生まれる。
 極めると、水の上を走れるのだ!(烈海王かよ)

 考えなくても体が動くようになるまで徹底的に反復練習をする。
 格闘技でもスポーツでも同じだ。
 意識と肉体の間にズレがあっても、特に問題は無いと思う。
 じゃあ、なんでオリバがあんな事を言ったのか?
 ダメージ回復のための時間かせぎかもしれない。

 一部の世界には、タメになる話をはじめたら闘いの手を休めて聞き入らないといけないという暗黙のルールがある。
 その間、時間の流れが止まったり遅くなったりするのだけど、体力はけっこう回復するのだ。
 一方の世界では1秒の出来事でも4ページぐらい進んでしまう。
 ある意味、これもユーザーイリュージョンなのか?


・ 参考
ユーザーイリュージョン―意識という幻想 ユーザーイリュージョン―意識という幻想
by とら


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