今週の範馬刃牙 SON OF OGRE 51話〜60話

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2006年12月21日(4+5号)
第3部 第51話 刃牙 (707回)

 ヤイサホー!
 今年最後の『範馬刃牙』だけど、主人公の出番は1コマだけだゾ。
 環境に配慮して、省エネなんだろうか。
 最近は、餓狼伝の丹波よりマシという言い訳も通用しなくなりつつある。

 ゲバルはオリバの全力ビンタでダウンした。
 だが、ゲバルは起き上がろうとしている。それでも、ダメージが大きいのか動きは緩慢だ。
 スキだらけのゲバルだったが、オリバ追撃をせずにゲバルを見ているだけだった。よゆうですな。
 そして、刃牙も闘いを見ているだけだ。よゆう、なのかなぁ?
 範馬刃牙にとって、これが2006年最後の出番となる。

 今回、刃牙の出番はこの1コマだけだった。セリフは無し。
 サブタイトルにわざわざ主人公の名前を持ってきているのに、本人はやる気ないようだ。
 でも、範馬勇次郎が接近しつつある状況なので、結果的に体力を温存できるのかもしれない。
 生き残るセンスだけは、バツグンの主人公であった。

 ゲバルは、かつて「戦うために何かが…… 誰かが必要――――」「それは むしろ弱みだというのが持論だ」と発言した。(範馬刃牙 5巻
 己のために戦うはずのゲバルだったが、ふらつきながら思いだすのは国の弱き民たちの姿だ。

 喰うのにもこまっていそうな貧しい人たちが路上にいた。
 ゲバルはマリア像に祈りをささげる。なにを思うのか。
 海賊旗をあげ、ゲバルは海にくりだす。巨大資本の象徴ともとれる巨大な豪華客船、ゲバルたちが快速小船でのりこむ。
 反逆の海賊時代だ。

「今日は」
「死ぬにはいい日だ」


 ゲバルが立ち上がった!
 目に光がもどっている。まだヤル気だ。
 そして、覚悟を決めたのか、いつものセリフを再び口にする。

 ベトナム戦争時の米兵が言いだした言葉だと、オリバが解説攻撃だ。
 しかし、この言葉の真意は「死んでもいい」という意味ではないとオリバもゲバルも主張する。

「死ぬにはいい日など―――― 死ぬまでないッッ」
「いつだって―――――― 今日を生きるしかないッッッ」


 ゲバルが言いはなつ。
 勇敢に戦い、国に帰るための言葉なのだ。
 死の重みを知っているからこそ、充実した今日を生きることができる。

 まるで、刃牙とジャック・ハンマーの考えかたのようだ。
「今日強くなれるなら明日はいらない」
「より明日強くなるために今日をもっと」

 目的はズレているかもしれないが、今日を強く生きぬくという考えに違いはない。
 なんで、この肝心なときに主人公は顔を出さないかな。

 獲物に襲いかかる肉食獣のようにゲバルは身をかがめる。
 オリバは心拍数を上げて、血流速度を増やし、拳を握った。
 全身に血管が浮かび上がる。
 ついに、オリバが拳をにぎったッ!
 シコルスキーなら一撃で七回死にそうな破壊力を感じる。

「風立ちぬ……………」
「いざ生きめやも」


 風が起きた、生きてみなければならない。
 堀辰雄風立ちぬ』の冒頭に引用されるポール・ヴァレリーの詩を口ずさみ、ゲバルが進む。
 生きるために、前へ!
 オリバとゲバル、ふたりのアンチェインが最後の激突をする。

[決着の刻(とき)!
]

 しかし、決着は来年に持ち越されるのだった。
 次回('07 1/4)に つづく!


 ゲバルの「今日は死ぬにはいい日だ」は、『板垣恵介の激闘達人烈伝』での内容とほぼ同じだった。
 生き延びるための、「死ぬにはいい日だ」発言だ。
 ゲバルは、最後の切り札をきったような状況だ。次回こそ決着がつくのだろうか。

 しかし、ゲバルには根本的な弱点がある。
 ゲバルの闘いには弱き民を救うという意味があった。
 だが、今のゲバルは民を捨ててアメリカに来ている。
 強さを発揮するための民がそばにいないのでは、テンションが上がりきらないだろう。
 最愛の人・マリアを試合場までつれてきたオリバのほうが、一枚上手だ。

 ゲバルが勝つには、刑務所内の人間を仲間につけてモチベーションをあげるしかない。
 みんなで、ヤイサホーを合唱して場をもりあげる、でどうか?
 いっそうのこと、もっとポップな感じにアレンジすればオリコンでも上位を狙える。
 恋のマイアヒにインスパイヤされて完成した、ゲバルだけに海賊版として「恋のヤイサホー」に仕上げるんだ。

♪ヤイサハー、ヤイサヒー、ヤイサフー、ヤイサホッホー♪
 と歌い出せば、2007年のナンバー1洋楽になれます。
by とら


2007年1月4日(6号)
第3部 第52話 新たなる動き (708回)

 主人公が半放置状態で年をこした『範馬刃牙』だった。
 とうぜん新年も主人公は活躍しない。その他大勢とおなじ扱いだ。
 いなくても問題ないだろう。
 今年一年を象徴するかもしれない展開である。

(180cm余りの身長(フレーム)に―――――)
(人類史に前例を見ない150キロを超える筋肉の搭載)


 ゲバルが改めてオリバを評価した。
 40話でも引用したが、吉福康郎「最強格闘技の科学」によれば『背が高く細い選手より背が低く太い選手のほうが動きがすばやくなる』。
 オリバは、単純なパワーだけではなくスピードも速い。
 つの丸みどりのマキバオー』でも、軽自動車に馬力のあるエンジンを載せたほうが速い理論があった。
 たとえば本部に武器を持たせて強くすると、もとから強い人よりもインパクトが高くなる!
 じつに完成された理論だ。

 過去のいかなる格闘家も持てなかった超肉体をオリバは持っている。
 未知の攻撃に対応するのは難しい。
 ゲバルは人類未体験の筋肉にどう対応するのか。

(俺の持つ想像力を――――――)
(超えはしない!!)


 超筋肉も 想定の範囲内かよッ!?
 ゲバル、想像力ありすぎだ。
 オリバの恋人なんていないと言っていたわりに、発想が柔軟ですな。
 それとも格闘専用の予想能力なのだろうか。

 でも、範馬勇次郎の象狩りは、想像というより物理法則を超えた所業だった。(範馬刃牙1巻 1話
 やはりゲバルは測定不能な強さをもった人間に倒される運命なのかもしれない。

 何だか知らんが とにかくよし!(by 覚悟のススメ 56話
 とりあえず、ゲバルには対オリバ用の作戦があるらしい。
 オリバの筋力が生みだすパワーもスピードも対応可能だ。
 だったら、最初からマジメに戦えばよかったのに……。
 今までの戦いは、オリバの実力をはかるための探りだったのだろうか。


 ゲバルはビシッと指をさす。
 その先にはオリバが脱ぎすてたタキシードがあった。
 オリバが脱いだときのまま、まだ立っている。
 この伏線が生きていたとはッ!?
 予想外の罠に、観客たちの意識はタキシードに集中だ。

 へにゃ……

「立っていたタキシードが」
「まるで命じられたようにッッ」


 倒れた!
 たぶん、倒れそうなタイミングを見計らっていたのだろう。
 風も計算に入れ、ベストのタイミングで指をさす。
 見た者は、まるでゲバルがタキシードを倒したかのような印象を受ける。

 5巻 35話で唇(リップ)が指摘したように、ゲバルはイメージ戦略がうまい。
 今回もゲバルは自分の神秘性を演出している。
 さらに、オリバの気勢をそらした。
 オリバは、もう拳を握っていない。
 スーパーハイテンションにまで高められた筋肉が通常状態にもどっている。
 自分の能力を演出し、オリバの意識をそらす。
 ゲバルの行動は、一粒で二度おいしい"作戦"だったのだ。

 よく考えると、いまだに立ちっぱなしだったオリバのクロス・アウッ!!(脱衣)のほうがスゴい。
 ゲバルはオリバを踏み台にして自分をアピールしている。
 二倍のダメージを生むクロスカウンター理論を実践したようなものだ。


 今までの武術には、まったく進化していない部分がある。
 ゲバルはそう主張した。

「筋力・脱力・重心(バランス)――――――――――」
 筋力=力、脱力=速度、重心=山本選手の得意なバランスだ。
 身体をいかに動かすかを格闘家や運動選手は考えてきた。

「速度・角度・急所――――――――――」
 相手の体にダメージを与えるには、どこにどの角度で打てばいいのか?
 格闘家は研究を重ねる。

「気や呼吸力にまで及ぶ」
「様々な技術革新創意工夫」

 さらに呼吸力といった技術まで開発していく。
 だが、ゲバルの理論はそれらとは違う。
 決定的に足りないものが ひとつある。
 ゲバルの主張する足りないものとは――――

「支えだ!」

「あらゆる格闘技が大地を斜めの面でとらえることに何の疑問も持たない」


 ゲバルは「脱力」=「郭海皇の攻めの消力(シャオリー)」だけでは不完全だと思っている。
 ちゃんと立っていないと主張しているのだ。
 陳海王の三合拳は「気」「拳」「地」を合わせて打っていたけど、不完全なのだろう。
 では、ゲバル理論とはいかなるものか?

「地球という――――――――――――
 偉大な支えを認識していないのだから」

「今から君は実感する」
「地上から6378000メートル地下に存在する核の硬さを!!!」

 スケールでかッ!
 ついに地球規模のハッタリになりやがった。
 まあ範馬星人に勝つには地球を持ちだしてこないとダメなんだろうな。
 勢いあまれば地球を割りかねないパワーを感じる。
 しかし、地面を殴って地震を止めた勇次郎の通過した場所という気がするので、勇次郎に勝てるとは思えない。

 それでも、地球を持ちだされてはオリバが負ける気がしてきた。
 逆立ちして「地球をもちあげた」という、親父ギャグを炸裂させてもムリだ。


 ゲバルはオリバの足を払う。
 いきおいでオリバはゲバルの頭上まで飛ぶ。
 浮きすぎだろッ!?
 まず、そこにオドロくよ。
 これも地球効果なのか?
 そして、ゲバルは垂直に大地をふみしめる。

「とらえろッッ」
「俺の脚――――――――――――」
「地底の遥か底の底――――――――――――
 この惑星(ほし)の真中心(まんなか)にある確かな物体(もの)
「核の硬さを!!!」


 ゲバルの最終奥義・地球拳(仮名)が炸裂する!
 オリバに当たるシーンは映っていないが、当たれば即死級の打撃だ。
 少なくともシコルスキーなら14回分死ぬ。
 八関節同時加速によるマッハ突きを上回る理論にオリバの肉体は耐えられるのか!?
 次回へつづく。


 こんな妄想を2007年の一発目に持ってきやがるとはッッッ!
 格闘史や人類史を持ちだし 地球でしめる壮大な理論だ。昨日今日にわいたネタとも思えない。
 構想半年から一年の大作ではなかろうか。
 ちなみに一年前の『範馬刃牙』は巨大カマキリとの戦闘を控えていた
 昆虫から惑星へ。
 スケールが一気にデカくなっていやがるッ!


 いちおう冷静(?)に考えると理屈はワカらんでもない。
 普通に殴ると、反作用が生じるので相手をフッ飛ばすかわりに、自分も飛ぶ。
 だから、飛ばないように踏んばる。

 踏んばるということは、重力と摩擦力を利用する。
 生じる反作用のベクトルは斜め方向だ。
 重力を100% 利用できていない。

 だが、真上に打撃を打てばどうなるのか?
 摩擦は必要ない。
 反作用はすべて真下にくる。
 重力も関係なく、自分の筋力を100%いかした攻撃を出せるはずだ!

 たぶん、以上の発想から地球拳が生まれたのだろう。
 逆の発想をすれば地面に寝ている相手に上空から落ちる攻撃になる。
 マウス三兄弟も使ったカカトで踏む攻撃が近い攻撃だ。
 寝ている相手を踏む攻撃が強力なのは、正しい。とくに問題ない。
 だが、逆も真なり、まで言えるかどうかは保留にしたいところだ。

 踏む攻撃は体重と重力を必要とする攻撃で、技術や筋力の不足をおぎなえる。
 上への攻撃は、逆に筋力と技術が必要で体重があまり関係ない。
 カカト踏みつけは筋力を使わないシロウトむけの技だ。
 地球拳は、筋力と技術が必要な玄人好みのあつかいにくすぎる技なのか。

 なお、重量挙げの世界記録は200kgを超えている。(参考
 単純比較はできないが、地球拳は200kgの物体が落ちた衝撃と同等の破壊力なのかもしれない。
 ただ、相手は空中に浮いているから衝撃を受けて、そのまま高く飛ぶだけという可能性がある。
 もちろん、高いところから落ちればダメージありますが……。
 これでは文字通りの『空論』だな。

追記 (07/1/5)
 地球拳の理合についての推論で、われながら説明が下手だったので表現をかえる。

 水平方向の打撃を打ち込んだ場合(つまり普通の打撃)、出力の限界は体重と床の摩擦(係数)によって決まる。
 土の上で打つとワカりにくいので、摩擦が少ない氷上で殴った場合を考えてみよう。
 氷上だと、どんなに強い打撃を出しても相手に当たると、反動で自分もすべる。
 ナナメに踏みしめようが、どう踏んばろうが、水平に打撃を打つかぎり、すべる床の限界があるのだ。

 これを垂直の打撃に切りかえる。
 相手を空中に飛ばし(この時点で一般人には不可能だけど)、落下地点に移動だ。
 落ちてくる相手に地球拳を打ちこむ。
 今度はすべる床の限界は関係ない。
 打撃の限界は、打つ人間の背骨などの強度に依存する。
 攻撃する人間が丈夫なら、会心の一撃が炸裂だ!

 もちろん、一般人がマネをすると背骨がグニャっと曲がって大変なことになる。
 たぶん殴られた人よりも、殴った人のダメージのほうが大きい。

 また、垂直に殴っても滑ることは滑る。
 それでも、たぶん打撃の期待値は、水平よりも高いだろう。
 なにしろ打つ人間のほうが命がけなのだ。
 大ダメージになってもらわないと、世間体が悪い。

 もう一つ、限界値を決める要素がある。
 足場である氷の強度だ。
 氷が弱いと、割れて水没する。
 ますます命がけになってしまう。


 氷上での打撃は、かなり極端な例だ。
 打撃力は体重とほぼ比例する。
 だから強い打撃を出せる人は体重が重いぶん、反作用に耐えることのできる体重を持っていることになるのだ。

 垂直の打撃が有効なのは、体重が軽いのに異常な筋力を持っている人間だ。
 ゲバルはけっこうスマートな体型だし、条件にピッタリな異常人間なのだろう。

 さっき、垂直打撃には足場が問題になると書いた。
 ゲバルは『核の硬さ』と発言している。
 足場の硬さを武器にするということは、やっぱり垂直打撃なのかもしれない。

 でも、どんなに強い打撃でも、オリバが宙に浮いているかぎり、上空に飛ぶだけなんだよな……。


 と、ここでヒラメイた!
 地球拳でオリバを打ち上げる。
 落下地点に移動して、もう一度 地球拳を打ったらどうか?
 オリバを上手く拾いまくれば、無限コンボで99HITSも夢じゃない。

 なんか、『キン肉マン』に出てきそうな技になってしまった。
by とら


2007年1月11日(7号)
第3部 第53話 決着の刻(とき) (709回)

 ゲバルが大歓声で勝利の祝福を受けている。
 あれ、地球拳はけっきょくどうなったんだ?
 先週のチャンピオンをうっかり読み忘れちゃったのだろうか?

「あなたにはかないませんッッ」
「許してッ」


 米国大統領のボッシュも土下座であやまる。
 って、いつの間にやってきたんだ?
 やっぱり勇次郎の運転手となって刑務所にまで来たのだろうか。
 それにしても、米国人が土下座かよ。

 ∀ガンダムに登場する月の女王ディアナさまも、土下座(というか正座で三つ指)をする。(13話
 DVD解説書によると『戦う意志のない動物がするように、自分の体を小さく見せるのが一番』という意味を富野監督は込めたらしい。
 ならば、万国共通の降伏のポーズと言うことで、ボッシュが土下座をしても違和感がなかろう。
 最近のカツラと同じぐらい自然な演出だ。見分けがつきません。

(おかしい………………)

 しかし、当のゲバルには違和感があるらしい。
 もちろん読者にもある。
 先週のチャンピオン読んだハズだよな??

 困惑にトドメを刺すかのように、今度は範馬勇次郎が登場する。
 で、ゲバルが最強だとほめてくれるのだった。
 ありえねェ〜〜〜〜ッッ!

 ナニ、コノ勇次郎?
 汗流して、うつむいてますよ。
 ED(勃起不全)の治療に『バキSAGA』を使用することよりもアリエナイ。

 勇次郎だって、独歩と闘ったときは汗を流したこともある。(グラップラー刃牙7巻 59話)
 しかし、その後の勇次郎は底抜け絶倫な大理不尽の悪鬼と化した。
 範馬勇次郎は、もはや汗を流すようなキャラクターじゃない。
 ゲバル自身が感じているように、これはおかしい現象だ。
 否、おかしすぎるッッッ!



 夢オチでした。
 オリバの拳を喰らって頭が地面にメリ込んでいる。
 ゲバルは爪先まで真っ直ぐに伸ばしたままだ。ある意味、とても美しい倒れ方かもしれない。
 仮装大賞に「シーソー」ってタイトルで出場できそうなほど完成したスタイルだ。

 観客たちは衝撃的な光景を見て、ため息ひとつ漏らさず沈黙を守る。
 しめった音をたてながら、オリバは拳を引きぬく。
 拳は血と血じゃないヤバそうな体液で濡れている。
 ゲバジュンの死を予感させるダメージだ。
 中国医術の粋を尽くさないとヤバいかもしれない。

「闘いは終わりだ」
「もう歌は聴こえない」


 カッコよく決め台詞をいうオリバであった。
 きっとマリアに聞かせるために一生懸命かんがえたのだろう。
 ただ、知的にまとめすぎてインパクトがたりない。
まるで歯痛のように……… なにをしていても梢江が消えないぐらいの、ハッタリが欲しいところだ。
 言われて、嬉しいかどうかは別にして。


「あなたの…」
「肉体への信仰が勝った」


 ものすごい関係者ヅラをして刃牙が勝因をまとめてみる。
 空白の時間でオリバは勝利した。
 どうも肉体の力で勝ったらしい。

 範馬勇次郎の異形な肉体こそが最強という世界では、当然の結果かもしれない。
 一に筋肉、二に筋肉だ。
 とにかく肉を喰え。

 オリバには、筋肉への愛があふれている。
 技術などの要素に頼らず、筋肉のみに愛を注ぎつづける。
 かつてオリバは刃牙に「なに喰ったらそんな体になるんだい」と質問された。
 答えは「愛以外に人を強くするものなどあるものか」である。(バキ12巻 98話
 マリアへの愛がオリバを強くしたのかと思いきや、実は筋肉そのものに対する愛が強くするのかもしれない。

 オリバに「筋肉とマリア、どっちが大事?」と質問したら「筋肉」と即答しそうだし。
 マリアを恋人にしているのも「重いから筋トレになる」という理由かもしれない。
 真の恋人はマリアではなく、オリバの筋肉そのものだった! というオチが待っていそうだ。


 さらに、オリバいわく、筋肉は閉じ込めているのだ。
 デカく見えるけど、オリバの筋肉は氷山の一角にすぎない。
 解放しちゃうとブラックペンタゴンをハミ出して吹っ飛ばせるほどの肉量がある!
 いや、ないだろ。
 どんなブラックホール体なんだ?

 私ぐらいの年代だと、即座に『AKIRA』を思い出すような肉の暴発だ。(漫画版の画像はこちらのサイトに多少引用されています)
 ところどころ、男根に似た形状なのがちょっとヒワイである。血管ういてるのが良くない。

 範馬一族は通常とは異なる筋肉をもつ生物だ。
 対して、オリバは超圧縮された肉をもつ生物なのかもしれない。
 宇宙人のような範馬一族に勝てるのは、異次元生命体のようなオリバだけなのだろうか。

 もしかするとゲバルは人間としての限界点に達していたかもしれない。
 人体運用を極めた郭海皇に匹敵する可能性もある。
 そして、技術では圧倒的な力に勝てないのだ。むしろ肉に勝てない。

 範馬一族の刃牙は、異次元生命体のオリバに勝てるのだろうか?
 次回に続いちゃうらしい。


 正直に言って、地球拳は惜しかった。
 設定の雄大さとハッタリ度において、ひさしぶりに馬鹿興奮した技だ。
 しかし、不発したらしい。
 次回で地球拳はいかに肉に敗れたのかをやるようなので、地球拳の雄姿もすこしだけ見る事ができそうだ。

 地球拳が敗れた理屈は想像できる。
 前回感想の追記で地球拳の原理を 妄想 想像してみた。
 ただし、『一般人がマネをすると背骨がグニャっと曲がって大変なことになる』だろう。
 ゲバルは一般人じゃないけど、ブラックペンタゴンよりも大きな肉塊に押されたら勝てない。
 逆に押し負ける。

 地球の核がもつ硬さを支えにするのが、地球拳だ。
 だが、オリバは体重を武器にして地球の核がもつ硬さにゲバルをぶつける。
 これぞ、オキテ破りの逆地球拳だッ!
 まさに、壮絶なしっぺ返しを喰らったことになる。


 今回のゲバル妄想は、シグルイの伊良子仕置きを思い出した。
 ページをめくると、拳を顔面に落とされ ヒドい目にあっている(現在進行形)。
 今度こそ、ゲバルも再起不能だろう。

 ところで刃牙は、それでもやっぱりゲバルと戦うのだろうか?
 今の外道な刃牙なら容赦なくダメ押ししそうだ。
by とら


2007年1月18日(8号)
第3部 第54話 完全決着 (710回)

 今回の範馬刃牙はオリバ vs. ゲバルの解決編だ!
 ただしゲバル殺人事件のトリック説明ではなく、オリバ筋肉事件の真相解明だった。
 え…………、地球拳敗北の説明は無いの?
 シコルスキー対ガーレン秘話みたいに137話後に説明するのだろうか。

「イヤ…」
「ないない それはない」


 『圧縮を解放したら巨大筋肉』に刃牙がツッコむ。
 みんなが思ったツッコみを代弁してくれた。
 なんて読者に優しい主人公であろうか。
 バファリンよりも、バキリンのほうが変なところに効いて胃にも優しそうだ。
 イヤ…。ないない それはない。

 なんにしても、その他大勢に埋もれずオリバと対等に会話をするところが範馬刃牙である。
 最近まったく闘っていないけど、デカい顔しています。
 ゲバルに挑戦すると言ったいたことは、すっかり忘れているようだ。
 空気読みすぎというか、変わり身早すぎ。
 そりゃ、梢江への態度が急変した男である。心変わりがジャブよりも速い。


「俺の一日の食事――――――」
「そのカロリーの総量は――――
 10万キロカロリーを下回ることはない」


 オリバのエネルギー消費はとんでもない。
 オリンピック選手ですら1万カロリーをとることは難しい。
 おにぎり500個分のカロリーなのだ。
 常人の20倍のカロリーが必要(餓狼伝6巻 36話)と言っている泣き虫(クライ・ベイビー)サクラもビックリな消費量である。

 そりゃあもう、PS3ニンテンドーDSなみの消費電力&スペック差がありそうだ。
 性能の違いが戦力の決定的差ではないということを教えてくれそうな予感がする。

 範馬刃牙1話に登場した巨大象・松尾象のときに一般的な象の摂取カロリーを計算した。
 動物園で飼われている象は一日4万KCalで生活している。
 つまり オリバ = 象×2.5 !
 むしろ、象がおにぎり200個分で生きていけることにオドろいた。

 オリバの筋肉を維持するために、象2.5頭分の食料が必要になる。
 なんか野生動物絶滅の原因にオリバが関わっていても不思議ではない。
 もちろん範馬勇次郎のほうが、野生動物にとって悪鬼そのものであるというのは定説だ。
 しかし、オリバの存在も油断ならない。

 余談であるがWWF(世界自然保護基金)が野生動物を狩りつづける範馬勇次郎を敵視しているのも定説になっている。
 未確認だが、勇次郎の首には100万米ドルの懸賞金がかけられているらしい。
 また、勇次郎憎しのあまり格闘技関連も憎くなり、プロレス団体WWFを訴え名前をWWEに変更させた逸話も裏社会では有名である。

 閑話休題(それはさておき)、とにかく10万KCalはハンパじゃない。
 サーロイン(輸入牛)で10万KCalだと33.75kgだ。
 だいたい10歳の子供と同じ重さの肉を毎日喰っていることになる。
 10万KCalなんていったら、1トンの水を0℃から100℃に温めることのできるエネルギーですよ。
 密室で二人っきりになったら、全部の酸素吸われそうな気がしてこわい。


 常識をはるかに超えた筋肉が10万KCalを消費している。
 生み出される圧倒的なパワーは、かるく刃牙を叩いただけで壁までフッ飛ばす。
 宙を舞いながら、刃牙は範馬勇次郎クラスの筋力をオリバが有していると感じていた。
 そういう事は、オリバを殴ったのに効いていなかった時点で気がついて欲しい。範馬刃牙3巻 18話

 いちおう打倒・勇次郎のために入獄した刃牙ですから、勇次郎に匹敵する力の持ち主と戦うのは自然なことです。
 16話で立てた目標を今ごろ思い出したらしい。
 9ヶ月ぐらい まわり道をしたが、ついに闘いがはじまるのだ。
 と、思ったらオリバが頭を下げている。

「大きなことばかり言ってスマなかった」
「俺が建物より大きいなんてウソだ」

「知ってるよそれは」


 刃牙が激しくツッコんだ!
 普段はボケキャラなのに、今日はどうしたのだろう。
 なんか、ノリが『24のひとみ』みたいになっている。
 また、ウソかよッ!

 というか、どこからがウソだったんだ?
 体のサイズはもちろんハッタリだろう。
 では、消費カロリーはどうか。
 象2.5頭分は、さすがにムチャすぎる。
 ウソだとしたら、無駄にカロリー計算して、総務省のサイトにアクセスして子供の体重調べた私の立場は……。

「この筋肉も実は―――――」
「闘う為に鍛えたものじゃない」


 愛しいマリアを抱き上げるための筋肉さ。
 ちょっとオリバが男前だ。
 う〜〜む、やはり愛が筋肉を育てたのか。
 餓狼伝の泣き虫サクラと強くなる動機が同じだ。
 共通点は、大量のカロリーが必要という部分だけではなかった。

 そうなると、マリアはずいぶん前から重かったことになる。
 実は幼なじみだったのかもしれない。
 ツンデレ・幼なじみ・お姫様だっこと、ギャルゲーみたいな連続技になってしまった。
 なんと言うギャルゲー体質なんだッッッ!(ただし外見はのぞく)


 ゲバル戦は完全決着してしまった。
 あとは、範馬勇次郎の到着をまつしかないだろう。
 GPSも爆発しそうな世界三台巨頭の大集合だ。

 今回は、気勢をそがれた感じの刃牙だった
 うまく気持ちを切り替えて、オリバとの再戦を狙う事ができるのか?
 オリバが部屋に引きこもる前に何とかしないと、ヤバいぞ。
by とら


2007年1月25日(9号)
第3部 第55話 脱走 (711回)

 ゲバルの退場により、物語の焦点はオリバ・刃牙・勇次郎の筋肉大好きっ子たちにうつる。と思われていた。
 だが、読者の予想をあざ笑うがごとく、話は別方向に転がる。
 ちなみに、この場にジャック範馬がいないのがかわいそう。
 痛い思いをして骨をのばしたのは放置されるためではなかったハズだ。
 うまくすれば、まだまだ刃牙より強い可能性があると思うんだけど。

 清掃箱の中がカラッポだった。
 ゲバルがいないらしい。
 つうか、ケガ人を清掃箱に詰め込んだんですか?
 さすがに刑務所側も、殺人に相当するような罰ゲームを行ったりはしないだろう。
 ゲバルが、一晩中立てるぐらいに回復したと考えたほうが良さそうだ。
 なんにしてもスゴい回復力だ。
 オリバに無理矢理ステーキとワインを流し込まれて強制回復したのかもしれない。

 試合から何日たっているのか不明だ。勇次郎は到着していないようなので、一日後かもしれない。
 やっぱり、回復しすぎだよな。
 朝になって清掃箱を開けてみたら、ゲバルの姿が消えていた。
 かわりにオリバ&マリア宛の手紙が置いてある。
 中には100 GUEVARU札が一枚入っていた。

「奴の島の通貨じゃねェか」

 さすが博識のオリバだ。なんでも知っている。
 刃牙なんて背景に溶けこんでセリフも無いし表情の変化も無い。
 丹波文七に負けない絶滅危惧主人公ッぷりだ。

 100 GUEVARU札は中央に船の絵があり、右にゲバルの肖像画がのっている。
 なんか海賊行為を奨励しているような感じだ。
 海賊国家なんでしょうか。

 というか、自分の肖像画をのせたり、通貨名を"ゲバル"にしちゃうなど、ワガママ放題だ。
 大統領だと言っていますが、実質は独裁政治をしているのかもしれない。
 いつまでもヤンチャなガキ大将魂を持ちつづけているのだろう。

「使用(つか)える場所はこの世で一つ」

 あ、刃牙がしゃべった。めずらしい。
 紙幣はゲバルからの招待状だったのだ。
 オリバ(とマリア)に来いと言っている。
 そして、刃牙は呼ばれていない。

 今度はホームで戦おうというのだろうか。
 毎日10万KCalを必要とするオリバなら兵糧攻めがよく効く。
 島ごと罠にして、誘い込んでしまえば、勝てる!
 今のゲバルは、そんなふうに考えている時期です。

「ン〜〜〜〜………… 今日はいいかな」

 オリバは、とりあえず今日は出かけないらしい。
 それでも、借りたビデオを返しに行くよりも気楽そうに言いやがる。
 元アメリカ領とはいえ、海外ですよ。
 行くのは楽じゃないはずだ。
 さすが、真アンチェインである。肝が太い。

 今日は行かないけど、いずれ行くと言うことだろうか。
 そして、呼ばれていない刃牙はどうする。
 ムリヤリ入国して、ゲバルにあっても「この人だれだっけ?」と言われそうだ。


 ゲバルは清掃箱の底に穴を掘って、抜け道を作っていた。
 脱獄を黙認するより、脱獄に気がつかなかったほうが罪は軽い。
 我が意は通すけど、迷惑は最小限にする。ゲバルの細やかな心づかいだ。
 無事に刑期をつとめあげるとか、入獄理由の罪をうまく無罪にして出て行くとか、最上級の気づかいじゃないのがゲバルらしい。
 気づかいもアンチェインでマイペースである。

 とりあえず、掃除道具を部屋の中に置くと言うのが失態になるのだろう。
 武器になりそうなものがイロイロ入っている。
 脱走にも利用されたかたちだし。
 いくら気を使っても、ワガママを通せば誰かが傷つくのが世界の法則なのかもしれない。


 ゲバルは、すでに島に戻っていた。
 絆創膏ひとつ貼っていない、元気な姿だ。
 そしていきなり、斧で木の伐採をはじめる。
 現場主義の大統領だな。

「どこ行ってたンすかボスゥ」
「一か月のトイレは長すぎだッつーの…」


 そう、一ヶ月前に米国でイチバン強いといわれるオリバの話をしていたら、そのまま勝負するためゲバルは渡米しちゃったらしい。
 オリバも気軽だったが、ゲバルはさらに上だ。
 玄関に新聞を取りに行くような感覚で、海外ケンカ遠征に出かけてしまう。
 わずか一ヶ月で、ブラックペンタゴンに入り、No.2までのぼり、オリバと戦った。
 なんて、アグレッシぶぅ〜〜〜〜っな活動なんだ。
 この根性なら、いきなり黄金伝説に出演できるぞ。

 ゲバルは、オリバに敗北したと報告しようとする。
 だが仲間たちがタイミングよく一ヶ月間の近況報告を大声でしたため、話しそびれてしまう。
 強さにこだわっているのは、実はゲバル一人なのかもしれない。
 敗北を知ったゲバルは仲間たちとの日常へかえっていくのだろうか。
 次回は、どうなる? 話つづけちゃってイイのか?


 ゲバル軍団のテロ的威嚇で独立したゲバル国(仮名)だが、ずいぶん平和的になっているようだ。
 今回ゲバルと日常会話をしている連中は、顔に疵をもっている者が多い。
 おそらく元海賊たちなのだろう。
 いまは足を洗ってマジメに働いているようだ。

 海賊仲間たちは、穏やかな生活を望んでいるのかもしれない。
 いまだに喧嘩するため渡米しちゃうようなゲバルとは、多少意識のズレがありそうだ。
 強いがゆえに生じる孤独がゲバルにはあるのだろう。
 しかし、大統領が一ヶ月行方不明でも機能している国だから、かなりユルい行政なんだろうな。
 金が無いからって、紙幣を大量につくりインフレ起こさなきゃいいけど。


 見かたによっちゃ、尻まくって逃げだしたように見えるゲバルの逃走劇だった。
 それでもゲバルのタフネスは、アメリカ大陸No.1という気がする。
 ゲバルなら、車にハネられてもピンピンしてそうだ。
 そして、勇次郎が到着する前に逃げたカンの良さは、護身完成に通じる。
 ゲバルは、武術家としてすごい優秀な男だったのかもしれない。

 むしろ、勇次郎がやってくるとも知らずのんきにしている刃牙たちの今後が心配だ。
 勇次郎も喰う相手が逃げたのでは不機嫌になっているだろう。
 手負いの猛獣もこわいけど、餓えた猛獣はもっとこわい。
 マウス三兄弟がわざわざ復活して、三人同時に攻撃されて、また敗北しそうな予感がする。
 戦士のリサイクルで地球にも優しい展開だ。

追記(07/1/31)

 かつてゲバルは「戦うために何かが…… 誰かが必要――――」「それは むしろ弱みだというのが持論だ」と言っていた。
 しかし、ゲバルが戦う動機は弱きものを守るためだったようだ。
 ゲバルが国に帰ったのは、自分の本心に気がついたからだろうか。

 板垣先生が考える夢とは「素手による地上最強」だ。
 夢枕獏先生は「世界征服」らしい。
 どっちも困難な夢だから、代替の目標を立てる。
 腕力最強になれないなら、漫画界最強を目指す。
 世界征服ができないなら、空手界の制覇を目指す。

 ゲバルの野望がどこにあるのか不明だが、一国の大統領ってのは ある意味『世界征服』だと思う。
 『世界』を、人間が認識できる範囲の『世界』だとすれば、ゲバルは自分の世界で頂点に立った。
 民忠誠度も高そうだし、マジメに生きようとしたら充実した意義ある人生になるだろう。
 ただ、最強に届かず、かわりの夢として大統領を選んでいるとしたら、悔いの残る人生になってしまう。

 オリバは、マリアと言う世界を征服しようとしている。征服しているかもしれないけど、征服されているのかも。
 刃牙はみごとに放浪生活をしている。勇次郎と同じ人生だ。
 ゲバルは試合に負けても、人生で勝っているのかもしれない。


 それはさておき。
 ゲバルの地球拳はどんな技だったんでしょうか。
 もしかすると、地面に叩きつけられた時に脳がゆれて平行感覚を失っていたのかもしれない。
 だから地球の核をふみはずしたのだ。

 ならば刃牙が驚異のコピー能力をいかして、地球剛体マッハ拳という究極の打撃に昇華させてほしい。
 あ、その前に合気で相手を浮かせれば、合気地球剛体マッハ拳だな。
 落ちてくるところを斗羽スペシャルでひろって、すかさず卍固めに入る。
 さらに拳の形を菩薩にすれば、合気地球剛体マッハ菩薩拳斗羽スペシャル卍固めッ!
 ここまですれば、勇次郎にも勝てそうだ。
by とら


2007年2月1日(10号)
第3部 第56話 距離 (712回)

 ゲバルの事は忘れてください。
 華麗にスルーしましょう。
 PS3で無くなった震動機能なみに触れてはいけない話題だ。
 震動なんて飾りです。えらい人にはそれがワカるんですよ。

 ゲバルが去り、刑務所に新しい日常が訪れた。
 囚人たちは廊下にならび、点呼を受ける。
 身動き一つ許されない状況なのだが、われらが主人公・範馬刃牙がとつぜん動く。

「外出……いいスか」
「ちょっと外の空気を吸いたいんで」
「ほんの4〜5分…」


 でた、刃牙「48のグラップラー殺し」のひとつ、『空気を読まず暴言を吐く』だッ!
 強い敵には効きにくいが、弱いヤツならすぐに叩きのめすッ!
 ごく普通の常識的な必殺技である。
 今後の展開は、刃牙のワガママに看守が振りまわされることジャイアントスイングの如しだ。


 刃牙が問答無用で看守に膝蹴りを叩きこむ。
 さすがに仰天した。
 正当防衛どころの騒ぎじゃない。
 看守が否定の言葉を発する前に蹴りやがった。
 仮にも主人公がやることか!?

 憎しみの連鎖がとか、不殺がどうのという以前の問題ですよ。
 相手が殴る気をおこす前に、殴る。攻撃できる位置に顔があったから、蹴った。
 そんな、衝動的かつ確信的な暴力である。
 ジョジョで言えば、第一話でダニー(犬)にいきなり膝蹴りをかますディオのごとき暴力だ。
 なっ! 何をするだァ――――――ッ ゆるさんッ!

 とうぜん、横にいたもうひとりの看守が銃をむける。
 だが、刃牙はバオッと頭上を跳びこし背後に着地した。
 親指一本拳をもちいて左右同時にコメカミを打撃する。
 一撃でナックダウンだ。

 なお、親指一本拳はグラップラー刃牙 22巻190話で、本部が使用したり(※ 不発)、餓狼伝3巻 14話で丹波がもちいた物だ。
 けっこう威力の高い握りらしいのだが、相手を倒したのは今回が初めてだ。
 使った刃牙も満足そうな顔をしている。
 こいつ……、暴力に酔っているのか?


「いってらっしゃァァい」
「行ってこい少年ッッ」
「外の空気たっぷり吸ってこいッッ」
「そのままどこか行っちまえッッ」


 刃牙の中央突破による脱獄に、囚人たちが大歓声をあげる。
 いつのまにか 刃牙はみんなの人気者になっていたようだ。
 マリアに添い寝を敢行したことで、囚人たちのハートをワシづかみにしたのだろうか。

 でも、「そのままどこか行っちまえッッ」というセリフは、普通に嫌われている証拠かも。
 刃牙がいると、無用なトラブルが発生しやすい。
 妄想の巨大カマキリと戦うような、(微妙な方向に)ヤバい人だし。
 いなくなって欲しいのは、本音かもしれない。


 看守たちは容赦なく発砲する。
 だが、刃牙はジャンプしてひねりを加える絶技乱舞で銃弾をかわす。
 訓練された軍人でも、拳銃で狙って当てることのできる距離は意外と短い。たしか、10mぐらいだ。
 しかも、刃牙は高速で移動している。
 当てるのは非常に困難だろう。

 でも、空中に跳ねるのって、意味ないような気がするんですけど。
 一刻も早く、走って物陰に隠れたほうがいいぞ。
 人間は動いている物を狙うのに三秒かかると自衛隊で教えている。(参考:西原理恵子「できるかなリターンズ」、根津進司「逃げたいやめたい自衛隊」)
 三秒以内で物陰から物陰に動いたら、無傷で移動できるのだ。少なくとも理屈の上では。
 でも、ひねりを加えないと美しくないし高得点を狙えないんだろうな。

 至近距離になったらなったで、刃牙の瞬発力により撃つ前に打たれるッ!
 三人の男が、一瞬で打ちのめされた。
 今の刃牙は、猛獣に知性とドーピングコンソメスープを与えたようなものだ。
 捕らえようと思ったら、勇次郎を捕獲したように、網をかぶせて麻酔銃を撃つしかあるまい。

 倒した看守からカギを奪い、刃牙は疾走する。
 鍵穴の下についている数字キーはただの飾りだろうか。
 けっこう監視体制のあまい刑務所だ。
 まあ、最終的に腕力でこじ開けたのかも知れないけど。
 刃牙世界では、筋力 > 理合 > 科学 > ムエタイ ですね。

 透明ケースの檻に入っている囚人たちの前を、刃牙は駆け抜ける。
 コイツらってオリバの間に向かう途中にいたはずだ。
 刃牙は、オリバに会いに行くのか?
 いや、道を間違えたんだな。広い敷地と入組んだ通路がブラックペンタゴンが有する罠の一つなのだろう。
 テレビ局の通路が迷路みたいなのは、クーデータ対策って話もありますし。(参考[小説]:中島らも「ガダラの豚」)

 扉を出ると、空が見えた。だが、巨大な外壁があるので視界はふさがれ空も見えにくい。
 そして、所長と10名近い職員が完全武装で待ちかまえていた。
 彼らの武器は、おそらくM-16だろう。
 拳銃とは比較にならない殺傷能力を持っている。
 連射もできるので、すばやい動きをしても当たる確率が高い。
 映画「バトル・ロワイヤル」の監督深作欣二も、自身の戦争体験から連射できる銃じゃないと当たらないと言っていた。
 さすがの刃牙も大ピンチか?

「聞かせてくれんかね」
「暴挙の意味を」


 所長マイケル・ホールズは、余裕を見せている。
 だが、こういう人ほど金的蹴りを喰らって宙に浮くものだ。
 刃牙の足が届く間合に入ってはいけない。
 そんな基本的なことも知らず、所長はキケン領域内に立っているのだった。
 足を上げればつぶせる位置ですよ。所長さん、そんな所に立ったアンタが悪い。
 マイケルという名前はダメなのだろうか。アイアン・マイケルとか……。

「俺もね…」
「なろうかなって…………」
「アンチェイン…」


 刃牙がアンチェイン・ザ・サードになる宣言をしたッ!
 わりと人の技をパクるのが得意な刃牙だけに、アンチェインの立場もパクるつもりか?
 小銃に囲まれても、アンチェインになる事ができると刃牙は言い放つ。
 どうやってこの状況を切り抜けるのか?
 そして、アンチェインになった刃牙はなにを狙う?
 次回へつづく。


 勇次郎はどうしたッ!?
 今回もまだ出てきません。
 50話で、ボッシュを運転手にやとってアリゾナまでドライブ中なんでしょうか。
 アメリカは広いんだから、飛行機使おうよ。
 ボッシュに嫌がらせをするためなら、多少の不便はガマンするのか?

 勇次郎が来る前に刃牙が脱獄して、すれちがいな展開になるのだろうか。
 でも勇次郎の事だから、ゲバルの脱獄を聞いて、すでにゲバル国にわたっているかもしれない。
 なんにしても、勇次郎乱入の可能性はかなり減った。


 そして、今回はオリバも出てこない。
 マリアといちゃいちゃするのに忙しいのだろうか。

 ゲバルに招待されたから、そろって旅行の準備をしているのかもしれない。
 道中、ずっとお姫様抱っこで行くと常識からのアンチェインな提案をして、マリアをこまらせている可能性もある。
 さりげなく、『範馬刃牙』最萌えのバカップルだ。
 完成しちゃうと、考えるまでもなく たどり着けちゃうんですよ。

 刃牙が所長たちをブチのめしたら、オリバがやってきて、旅に誘うという展開もありうる。
 なにしろ、刃牙はゲバルに招待されていない。アポ無しで逢いに行っても門前払いされかねないのだ。
 刃牙の必殺技『空気を読まず暴言を吐く』を使っても、かまってもらえる可能性は低いだろう。
 ゲバルに会うためには、オリバに便乗するのがイチバン確実だ。


 しかし、刃牙はアンチェインになってどうする気だ?
 外出の自由を得て、武者修行の旅に出るのだろうか。
 どっちにしても、米国大統領を拉致したのだから無罪にはならない。
 刑期をどこかで誤魔化さないと、活躍する事ができなくなる。
 ボッシュにつきまとう勇次郎に帰ってもらって、その功績により特赦をもらうなどの、逆転技があるかもしれないが……。
 やはり、無理な展開か?

 刃牙がアンチェインになりたい理由が、梢江を刑務所に呼ぶためだったらイヤだな。
by とら


2007年2月8日(11号)
第3部 第57話 オリバと刃牙 (713回)

 俺、除隊したら結婚するんだ。なら死亡フラグである。
 俺、出所したらアンチェインになるんだ。なら何フラグでしょうか。
 俺、アンチェインになって出入り自由になりたいんだ。だと、ますますワカらない。
 中ニ病フラグでもなさそうだし。

 アンチェインになるため、とりあえず力ずくで外出しようと、刃牙は試みる。
 さっそく、小銃装備の男六人に包囲された。ついでに所長マイケル・ホールズのオマケつきだ。
 完全包囲で普通なら敗北確定の状況である。
 しかし、それでも刃牙なら……。刃牙ならきっと何とかしてくれる、はず。

 監視塔からも刃牙たちの動向を見守っている。
 狙撃銃はわきに立てかけているので、緊急事態ではないようだ。
 タバコ吸いながらリラックスムードだし。
 敵に油断があれば、なんとか切りぬける事もできるかもしれない。
 刃牙に逆転のチャンスあり、だ。

 でも、下手に暴れたら、遠方から狙撃されるだろう。
 なんでもアリなら、超一流の狙撃手であるゴルゴ13が最強という説は昔からある。
 実際、勇次郎でも狙撃されたら勝てないはずだ。銃に負けた過去もあるし。
 窓のそばに立たないなどの、狙撃されないための努力をすることが生存するためには必要なのだ。
 なんか、現状の刃牙には活路が無いような気がしてきた。


 しかし、刃牙は自分が現状を打破していると言い切る。
 もしかして、巨大カマキリのスタンドを出している、などと言い出したりしないよな。
 最低でも周囲の人間に見えないと、効果が無い。
 いきなりパントマイムをして、宙に浮いたり、謎の出血をしたりするのだろうか?
 理由もなく出血したら、不気味だし病気を疑うはずだ。
 病院に搬送されることで脱出する事が狙いかもしれない。

 とつぜんホールズ所長のサングラスが砕けた。
 腕の届く間合に入った瞬間に、刃牙がやったという。
 しかも、狙撃手六人の第二ボタンをすべて引きちぎっている。
 奪われたことにも気がつかない。人間の反応速度を超えた恐るべき高速だ。
 コイツは、ジャブより速い。いや、ジャブでいいのか。

 前回のラストで刃牙は髪をかきあげるしぐさをしていた。
 あの動作をフェイントにしてボタンを奪ってサングラスを破壊したのかもしれない。
 格闘家をやめてもマジシャンとしてやっていけそうな才能だ。

「銃を過信し…」
「近づきすぎ…」
「俺の間合(エリア)に入ってしまった」


 前回、所長の股間が刃牙にいつ蹴られてもおかしくないデンジャラスライオン状態だと指摘した。
 まさにその通りだったようだ。ドリアンにケンカ売る加藤を見るような心境です。
 ヤバッ! 危なッ、危なッ!

 狙撃手たちも、不自然なほど刃牙に近づいている。
 撃つよりも、銃で小突いたほうが早そうな位置だ。
 なんでこんなに距離を詰めてしまったのだろうか。

 彼らは、オリバやゲバルが相手のときも、間合いを詰めたのだろうか?
 ならば、所長たちはアホだという結論がでる。
 「美味しんぼ」や「もやしもん」も推奨する純米酒のような、正統派のアホだ。何も足さず、全部引く。
 まあ、所長と言っても実質的にオリバの接待役だ。閑職あつかいだろう。優秀な人材とは考えにくい。
 ブラックペンタゴンの人事は以下のような変化をしていると思われる。

・ ダメな人がオリバの接待をする↓
・ さらに嘗められる↓
・ さらにみんなが嫌がる部署になる↓
・ ますますダメな人の左遷先になる↓
(上にもどる)

 壮絶な負のスパイラル現象だ。
 そりゃもう「旋風の橘」もビックリなスパイラルですよ。
 マイケル・ホールズはダメのエリート、ダメ王(キング)に違いない。
 狙撃銃を構えたまま思いっきり近づけと指示を出しても不自然ではなかろう。
 きっと映画『デビルマン』を参考に訓練をしたのだ。(「日本刀一本だけの相手に、銃を持っているのに突入していく部隊」by Wikipedia「デビルマン (映画)」

 もしかすると刃牙には思わず近づきたくなるような特殊なフェロモンがあるのかもしれない。
 きっと相手に嘗められるオーラが出まくりなのだ。
 人に道を尋ねまくられたり、小学生にケンカ売られたりする毎日なのだろう。

「運動神経を司る小脳を」
「正確に撃ち抜かなければ俺は確実に動く」


 大脳なんて飾りです・本能だけで動いています 宣言だッ!
 それって哺乳類として自慢していいポイントなのか? なんで、誇らしげ!?
 自分が撃たれるまでに最低でも二人を殺せると刃牙は断言する。
 なんか口先で丸め込まれた気がしますが、ダメ王マイケル・ホールズは圧倒された。

 目前で大言壮語する少年は、たしかに大脳を失っても関係なさそうな気がする。
 部下に撃てと命令はするものの、反応が鈍い。
 自分も股間を蹴り上げられて宙を舞う経験はしたくない。
 つうか、刃牙の言っている二人以上って一人は確実に所長を狙うよな。
 そんな思考がうずまいたのか、ホールズ所長の心が折れたようだ。

 キャプテン・ストライダムは同じような状況で自分ごと撃てと命令した。グラップラー刃牙40巻 351話)
 ストライダムに比べると、胆力がまるで足りない。
 ……やはりダメ王なのか。
 同じ接待役でも、対象が勇次郎とオリバでは、これだけの能力差が出てしまうようだ。


「所長ワルいんだけどさ」
「肩組んでもらえね?」


 刃牙がさらに増長する。
 素手の犯人が、銃を突きつけた人質を脅しているのだ。
 そして、所長にカギを開けさせて、肩を組んだまま刑務所の外に出る。

[バキ 晴れて 繋がれぬ者(アンチェイン)に!!!]

「受刑者ハンマ バキ帰還します」
「手錠を…」


 って、本当に外の空気を吸うだけなのか!?
 ミッションを終えた刃牙は自主的に帰るのだった。
 う〜〜む、読者の予想にもアンチェインな奴だ。
 次回に続いてしまう。


 範馬刃牙の大暴れは、けっきょくワガママを貫くだけだった。
 でも、それが大事だったりする。
 何事もできると証明する事が重要なのだ。
 刃牙が本気になれば、自由に刑務所を出る事ができるという実績が生まれた。
 そのうち、刃牙に刃向かってもムダという空気が生まれることだろう。

 ただ、刃牙の間合に所長たちがまた入るとは思えない。今回の方法は二度通用しない。
 近づくのはキケンだとワカったのだ。長距離からの狙撃するに限る。
 刃牙は大脳にたよっていないだけあって、未来の予測ができないのか。
 オマケに、刃牙に手錠をしたら全力で間合いを取って銃を撃つ可能性すらある。
 行き当たりバッタリな行動は、刃牙らしいけど、もう少し計画性を持とう。

 しかし、脱走しない刃牙の行動も理解できる。
 脱走したら罪を重ねることになって逃亡者生活だ。
 長い目で見るなら、合法的に刑務所を出なくてはならない。
 脱獄するにしても、生活に困らない状況を作ってから逃げだすべきだ。
 モンテ・クリスト伯(岩窟王)だって資金があるから手のこんだ復讐を楽しめたワケで、金が無ければ脱獄できてもみじめなだけです。

 所長と肩を組んだのは長距離からの狙撃を警戒していたのだろう。
 大脳を使っていないわりに考える事が細かい。
 所長の気まぐれで外に出たというような状況にしたのは、自分に責任がかから無いようにだ。
 刑期が延びるのはこまる。責任はぜんぶ所長に押しつけた。
 ここより下の左遷先がないなら、所長の地位も安泰だし、あまり迷惑じゃ無いだろう。

 刃牙は自分の手を汚さず、アンチェインの実績だけを手に入れた。
 じつに巧妙な手口である。
 もしかして、「刃牙は小脳だけで動いている」説はハッタリだったのか。


 どちらにしても、今後の刃牙はさらにムチャなことを言って、アンチェインの実績を重ねるのだろう。
 看守のタバコを抜きとる日も近い。
 まあ、刃牙は未成年なので看守の持っているエロ本を拝借するぐらいだろうか。
 ス…(本をぬきとる)、シュバッ、ビチャッ、パタン(本を閉じる)、ス…(本を返す)
 刃牙のアンチェインすぎる行動に、みんな見ないフリをするしかあるまい。

 そして、例によってアイアン・マイケルに話しかけるのだ。
「今週のチャンピオンの目玉ってナニ?」
「ドカベンで、里中がサチ子にプロポーズします」
「まいったなァ…、苦手なんだよなァ サチ子」
「オマエが言うなッ!」ガッ
 マイケルが看守に殴られる。

 そして、刃牙のチャンピオンだけ、サチ子の作画(たとえば「みつどもえ」風とか「ペンギン娘」風とか)が違うという特別仕様だ。
 アンチェインがちょっと(かなり?)うらやましくなるぞ。
 このプロポーズってチャンピオンの表紙をかざらなくちゃいけないほど、大事件なんでしょうか……。


 というわけで、次回はドカベンSAGA「野球とセックスはッッ そっくりだ!」
 ……じゃなくて、刃牙のアンチェインっぷりが炸裂すると思われます。
 それにしても、ゲバル・オリバ・勇次郎は放置したままですか?
by とら


2007年2月15日(12号)
第3部 第58話 刃牙の自由 (714回)

 本当に外の空気を吸うためだけに大暴れした範馬刃牙だった。
 56話で、盛大に送りだしてもらったのに何事も無く帰ってくるんだから、しらけるだろうな。
 主人公のくせに誰よりも空気を読んでいない。
 むしろ空気をオレ色に染めるつもりか!?


「外出(で)られるのか」
「あるいは外出(で)られないのか」
「知りたかったのはそれだけなんだ」


 自分のアンチェイン度を確認するために刃牙は数人の職員を殴ったらしい。
 その精神性がアンチェインだ。
 少なくとも日本の倫理観による鎖に繋がれざる者、である。
 協調性なんて父の代から持っていないし。

 前回も書いたが、間合に入った相手を人質にする作戦は二度と通用しない。
 長距離から狙撃すれば刃牙だって対処不能だ。
 次回からは、繋がれた者になってしまうぞ。
 まあ、マイケル・ホールズ所長たちはアホの集団という可能性もあるし、同じ作戦が何度も通用する可能性もある。

 聖闘士(セイント)には同じ技が二度通用しないのが常識だと言うのに、なにをやっているか。
 でも、ペガサス流星拳など主役たちの技は何度も通用している。
 主役特権なんでしょうか。
 ならば、刃牙もイケますな。

「祝福してくれるかい」

 刃牙が勝ち誇っているッ!
 銀行から大金を盗んだ男が、銀行の経営者に祝福を求めるようなものだ。
 まさに盗人猛々しい。
 だが、それこそ範馬刃牙だ。
 勇次郎的な要素を身につけるため、形から入っているのだろうか。

「立場上 そうもいかんのでな」

 チョット、憧れちゃいますね男として………的な感じになっている所長だった(by バキ5巻 38話)。
 刃牙の攻撃範囲内に股間があるので、危険を感じて機嫌をとっているのだろうか。
 もっとも所長も強さにこだわりのある人だろうし、強い生物を見ると憧れちゃうのかもしれない。
 テレビの上に木彫りの熊とかが飾ってありそうだ。


 刃牙に手錠をかけ ふたたび開門を命じる。
 巨大な門が開くと、そこにオリバがいたッ!
 オリバは、デカいバイクにまたがり、サングラスを装備したチョイ悪ファッションだ。
 ぶっとい腕のためか袖の無い上着をまとっている。
 「北斗の拳」のジャギから肩当をとって色を黒くしたような感じだな。(最悪な例しか思い浮かばなかった)

コールドキャスト製胸像 ジャギ リペイントVerコールドキャスト製胸像 ジャギ リペイントVer

 マッドマックス的な世紀末ファッションをビシッと着こなしたオリバである。
 きっと、マリアに自分のファッションを見せてカッコつけたのだろう。
 そして「いいから早く行け」と追い出されたに違いない。
 オリバがなんとなく不機嫌に見えるし。

 オリバは、ちゃんとエンジンをきってバイクを降りる。
 アイドリング・ストップをするとは、紳士的だ。
 意外とエコロジーなアンチェインです。地球にも優しい。
 唾液を吐きかけられたハンカチも洗って再利用するなど、オリバはけっこう倹約家なのだ(範馬刃牙6巻 39話)。
 チョイ悪だけど、(地球に)優しくて倹約家とは、萌え対策もしっかりしてやがる。

「脱走はあきらめたのか」

「脱走ではなく―――」
「外出…?」


 口答えしまくりだ。さすが範馬刃牙である。
 刃牙が本気で生意気になると餓狼伝の鞍馬彦一ですらヌルく感じるほどだ。
 しかも、表情がすごい。
 なに、アンタ、そんな事もワカらないの? 的な表情なのだ。
 これは殴りたくなる顔である。むしろ殴れ。

(怒っている……ッッ)
(あの取り乱したことのないオリバが…)


 つきあいの長い所長はオリバの怒りを敏感に感じ取っている。
 さすが接待役だ。
 しかし、刃牙によるマリア添い寝事件で オリバは地震が発生しそうなほど取り乱していた。範馬刃牙47話
 もしかすると、オリバは添い寝事件から刃牙への報復を狙っていたのかもしれない。

「俺と並んだつもりか」
「ぼうや」

「武器を使用(つか)わず堂々と外へ」
「用が終われば帰る」
「俺とあんた――――――
 いったいどこが違うのかなァ」


 刃牙をぼうや扱いすることで、添い寝事件を無効化したい心理でも働いているのだろうか。
 子供となら、風呂に入ってもOKだし、いっしょに寝てもノーカウントだ。
 特殊性癖の持ち主なら、かえってアウトですが。

 なんにしてもオリバの刃牙に対する憎しみはただ事じゃない。
 ゲバルだって刃牙以上の自由を満喫していたのに、野放しだったのに。
 なにしろ試合の二日前まで、オリバはゲバルに会ったことも無かったのだ。(範馬刃牙5巻 36話
 ゲバルに比べると、刃牙に対しての怒りが大きすぎる。
 単純に刃牙の自由を許せないでは説明がつかない。

 まあ、受け答えが生意気すぎてシメたいという感情があるのかもしれないが。
 刃牙に出て行って欲しいと思っている人たちも、けっこう多そうだし。

「マイケル」
「手錠を外してやれ」


 オリバが、所長をファーストネームで呼びすてだ。
 イチバンえらい人を名指しで指定しているところがきつい。
 部下の手前、威厳はみせたいけど、言うこと聞かないのも怖いし……。
 『HUNTER×HUNTER』でキメラ=アントの王が生まれたときのコルトみたいだ。キサマに命じたのだ 拭け、って感じで。

 やはり、ブラックペンタゴンは巨大なオリバの接待場なのか?
 オリバのスペシャルルームもちゃんと設計図にのっていたのかもしれない。
 戦場の食べ歩きが趣味の勇次郎とちがい、オリバにはマリアと言う港がある。
 オリバには、帰る家が必要なのだ。国にとっては迷惑だけど。

「外出から戻らなかった時のみ」
「教えるつもりだったが」
「日本には「お灸を据える」という言葉がある」
「ボウヤ」
「抵抗は自由だ」


 門のすぐそばでバイクに乗って待機しているなんて、追跡する気満々じゃねェか!
 やはりオリバは、なにがなんでも刃牙にお灸を据えたかったようだ。
 門を出て三分たったら追跡開始ぐらいのつもりだったのだろう。

 ここで看守の一人が気を利かせて刃牙の手錠をはずしにかかる。
 たぶん彼が鍵を持っていたのだろう。
 なんにしても所長の面目もこれで保てた。

 だが、緊迫した場面なのでなかなか鍵を外すことができない。
 そこで刃牙は自力で手錠の鎖を引きちぎる。
 刃牙クラスなら、単純な力だけでも猛獣並みだ。

 もっとも手錠の引きちぎりは最凶死刑囚の一人スペックもやっている(バキ2巻 11話)
 最低限、これぐらいの力を持っていないとオリバと喧嘩するなんて、とてもとても。

「2日前ミスターゲバルと派手に喧嘩し」
「多少ダメージが残っちゃいるが」
「相手は子供だ問題はあるまい…………って」

「嘗めてんのは てめェなんだよォッッ」


 ノリツッコミだッ! 見開きでノリツッコミしやがった。
 刃牙め、すっかりノリツッコミをマスターしやがったな。
 37話のアレは偶然出た技じゃ無かったのか。

 掲示板でも指摘されていましたが、餓狼伝でも長田がノリツッコミをするなど、ノリツッコミが流行っているらしい。
 ツッコミってのはボケに対するカウンター攻撃だ。
 カウンターもツッコミも、鋭さが命である点も同じである。あれ、鋭さは違ったか??
 まあ、とにかく、一度相手のボケに乗ってからツッコムのは前に踏み込むジョルトカウンターのようなものだ。
 つまり、ノリツッコミ格闘家ってのは捨て身の攻撃を決意したと受け取ってよい。
 って、この説明は無理がありすぎるだろッッッ!

「今日は見逃してやる」
「飯喰って出直してこいッッッ」

 さらに刃牙が逆ギレる!

 暴走する18歳の ノリツッコミから逆ギレという高度なコンビネーションだ。
 ジャパニーズ・オワライの必殺技にさすがのオリバも反応しにくい。
 顔は怒っているけど、困惑模様のオーラが出ている。
 ワガママっぷりに磨きをかけてしまった、刃牙にどう対抗するのか!?
 次回へつづくッ!


 ここ数回の展開読めないっぷりはただごとじゃない。
 捨ててしまった伏線を拾っているパターンかもしれないけど。
 とりあえず、オリバとの対決路線は復活しました。

 そのかわりゲバル関係が捨てっぱなしだ。
 となると、今度はゲバルの伏線を拾う番かもしれない。
 ゲバルと刃牙の対決と、ゲバルにそそられた勇次郎という展開は、次回から急浮上なのか?

 ここまで啖呵をきった刃牙が、今日中に脱走してゲバル国に高飛びする可能性だってある。
 とにかく今後の刃牙がどうなるのか、予想がつかない状態だ。


 オリバは片方の鼓膜が破れている。(範馬刃牙 47話
 刃牙はそれを知った上で、勝負を挑むのだ。ちょっとセコい。
 やはりオリバに休みを与えるという大義名分のもと、本格的に外出しそうだ。
 そして、オリバが刃牙を追いかければ追跡戦になる。
 たまには、移動しながら戦うのも面白そうなんだけど。

 なんにしても、刃牙が本格的に戦ってくれる事を願う。
 そして、すべてを破壊し台無しにする男・範馬勇次郎はいまなにをしている?
 ボッシュに運転させた車が、カーナビの不調で迷子になっているのだとしたら、自業自得だ。
by とら


2007年2月22日(13号)
第3部 第59話 追う者、追われる者 (715回)

 忘れたころに逆ギレるのが最近の範馬刃牙だ。
 出番が無くなったことによる反動なのだろう。
 刃牙が野球界にいれば、四番・ピッチャー・逆ギレと三拍子そろうに違いない。

 範馬刃牙の逆ギレ力が炸裂する。
 かつて「散歩するだけで強くなる理由を見つけてくる」と言われた刃牙だ。(バキ16巻 137話
 しかし今では散歩するだけで逆ギレする理由を見つけているようだ。
 そして、今回「ちょっと外の空気を吸う」だけで見事に逆ギレる。
 まさに暴走する18歳だ。

「飯喰って出直してこいッッッ」

 刃牙がオリバに吼える。
 思いっきり上の立場から物言っています。
 さすが増長する18歳だ。
 オリバは殴っていいぞ。

[飯喰って出直してこい]
[飯喰って出直してこい]


 ショックがつよかったのか、二度も刃牙のセリフを繰り返してしまう。
 そして、言葉を繰りかえすたび血管が浮き上がっていく。
 もう、顔に血管が浮いているというより、血管のスキマに顔があるって感じだ。
 この顔は、ちょっと……いや、かなりキモいかも。
 今週のチャンピオンは『お笑い軍団 バキを包囲!』という表紙に書いてある。
 血管浮きまくりのオリバを中和するのにチャンピオン中のギャグ漫画が必要だったのかもしれない。

 53話オチの仮定話みたいに、オリバの筋肉が膨張しそうな雰囲気だ。
 あわてて職員たちが距離をとる。
 なんか所長がイチバン逃げ遅れている感じだ。
 周囲にフォローされていないのは、人望が無いためだろうか?

 刃牙は暴言を吐いたものの、身構えている。
 どうやらオリバを挑発していたらしい。
 もともと闘う気だったオリバをなぜあおるのか?
 相手を怒らせて、冷静な判断力を奪う作戦かもしれない。
 まあ、刃牙のことだから天然で行動している可能性が高いのだけど。

「君の言う通りだ」
「わたしは まだ朝食をすませてなかった」


 オリバが血管を急に引っこめて穏やかな表情になった!
 ムリしている。なんか、ムリしているっぽいッ!
 刃牙の挑発にのって怒ったら負けだと思っているのだろうか?
 確かに相手の意図通りに動くのはよくない。相手のペースにのせられている状態だからだ。
 だからといって、なにがなんでも逆の行動を取ることも無いのに。

 ちなみにオリバの朝食発言は「お前のお仕置きなんて朝飯前なんだよ」という意味がこめられているのかも。
 オリバだって、ちょっとぐらい言い返したいのだ。
 そういえば、刃牙も朝飯前の脱走だった。
 帰ると言い出したのは、空腹だったのかもしれん。
 21話などを振りかえると、刃牙は食事の優先順位が高そうだからなー。

「大人ってのはタイヘンなものだ」
 …略…
「いい大人がガキに躍らされたくないもんな」

 二ページにわたってクドクドと刃牙が挑発する。
 ねちっこいッ!

 いつから、刃牙は粘着質キャラになったんだ?
 頭髪量が気になり始めた中間管理職みたいな感じだ。
 家庭で嫌なことでもあったんだろうか。空気みたいに無視されたとか……

 刃牙は、この場で闘いたいのか、闘いたくないのか、どっちなんだろう。
 前者なら、口を出さずに手を出すんだ。
 なんかムダに挑発している。
 オリバのストレスを高めて、髪の毛にダメージを与えようという長期的な計画だろうか。
 できれば拳による短期決戦でお願いします。

 一方、オリバは別に刃牙と張り合っているわけじゃないんだよと フレンドリーに接する。
 ゴマカしているッ! ムリしてゴマカしているッ!
 なんか論戦で負けた人が、もともと口論なんてして無いと言い訳しているような状態だ。
 こんな、オリバの姿はみたくなかった……

 あんた、アンチェインなんだからルールなんて気にしないで、力で押しつぶせばいいのに。
 変なところで律儀だから動きが拘束されちゃうんだ。
 刃牙は空気を読まない。だから、刃牙に話をあわせているとペースが乱される。
 なんか、刃牙が最凶死刑囚たちに似てきた気がする。
 そのうち勝負に対する屁理屈を言い出すかもしれない。

「世界一 自由でなければ 自由を感じられない……って」
「なんて不自由な男だい」


 トドメの捨て台詞を吐いて、刃牙は去る。
 きっとメシが喰いたいのだろう。
 さっそくアンチェインの特権を利用して豪華な朝飯だ。
 予想:「おじやに梅干をそえて、デザートはバナナだ!」→「バナナ以外は無理です」
 刃牙、ブチ切れる。


 なぜか刃牙に論破されたような雰囲気になってオリバはうなだれている。
 実際、うまい返しができなかったのが痛い。
 本当にオリバは知力も優れているんでしょうか?

 傷心のオリバは、バイクをバックホームへの送球のように車庫へ投げ飛ばす。
 当然バイクはブッ壊れ、オリバは新車に換えてくれと要求する。
 物に当たった上に、自分のアンチェインっぷりをアピールしやがった。
 なんか、オリバの株がまた下がってしまった気がする。
 こんな、オリバの姿はみたくなかった(二度目)。


 今回は逆ギレした刃牙の勝ちだろう。
 いや、なにが勝ち負けなんだかワカらんが。
 とにかく、オリバに敗北感を与えたのは事実だ。
 しかし、とことん戦わない主人公だな。急に不殺に目覚めたのか?

 次回からはオリバの逆襲がありそうだ。
 コケにされたぶん、三倍返しで刃牙に苦しみを与える!
 オリバの超頭脳がどう活躍するのか?
 でも、今回の負けっぷりをみると、超頭脳もたいしたこと無さそうだな。

 ただ、刃牙にコケにされて自分の愛車に当たるという展開は、『刃牙 VS. 花山』と同じなのだ。
 もしかすると、名試合が生まれるかもしれない。
 もっとも、幼年編の刃牙は蹴りで花山のプライドを傷つけたが、現在の刃牙は言葉で傷つけた。
 方向性がずいぶん違う。

 刃牙が来てから、オリバは戦闘で負けていないのに精彩を欠いている。
 今、勇次郎の助けを必要としているのは、刃牙よりもオリバかもしれない。
 ただ、勇次郎は刃牙よりもワガママが上なのでかえってヒドい目にあいそうだ。
 『人間は、自分が『強い』と思えば、行動を抑制することをやめてしまう』らしい(参考)。
 強者である勇次郎がワガママなのも当然なんだろう。

 でも、刃牙の場合、強さよりワガママが先行しているような……
by とら


2007年3月1日(14号)
第3部 第60話 追う者 (716回)

 前回のタイトルは『追う者、追われる者』だ。
 そして今回は『追う者』である。
 つまり、新人アンチェインの刃牙がアンチェイン王者オリバを追うのだろう。
 戦いの出だしが、刃牙のせいでグダグダになりかかっていたので、早目にバトル突入は大歓迎です。

(何があろうと毎日)
(彼女(マリア)の下へ)


 オリバです。
 今日はチェックの上着でカジュアルさを演出してみました。
 もちろん例のハンカチを装備しています。
 アンタ、まだ使っていたのか……。
 自分とは直接関係のないハンカチにこだわる男って、トキメキ?

 そもそも、日本と中国に行っていたとき、オリバはマリアに逢っていないハズだ。
 毎日ってのはウソだよな。
 それとも衛星中継したTV電話で逢っていたのだろうか?

 そもそも、オリバがあっさり日本に行ったのはなぜだろう。
 マリアに「当分顔を見たくない」とでも言われて、傷心旅行だったのかもしれない。
 でも、けっこう楽しそうにやっていたし、死刑囚を捕まえる努力をあまりしていなかった。
 オマケに中国へ寄り道だ。
 本当に帰る気があったのだろうか?
 実は、マリアへの土産を買うための旅行だったりして。


(彼女との出逢いから既に10余年が経つ)
(まるで 今日初めて逢うかのように浮つき……)
(まるで 今日が最後の日であるかのように油断していない)


 十余年昔のデビュー戦をいまだに忘れていないらしい。
 オリバとマリアの出逢いがどんなものか気になる話題だが、どーでもイイや。
 とにかくオリバは、マリアと逢うとき最初からクライマックスの勢いだ。
 油断していないと言いながら、毎回怒られている点については触れてはいけない。

 オリバがノックをしても返事がない。
 ま、まさか、刃牙がすでに潜入していて、添い寝をしているとか!?
 今の刃牙は挑発をひたすら繰りかえす変なヤツだ。
 オリバ最大の弱点であるマリアを狙う可能性だってある。

 などと心配していたのだが、マリアは普通にシカトしていただけだった。
 これは喜んでいい状況なのだろうか?
 なんかマリアの眉間に縦ジワが入りっぱなしなんですけど。

 入ってきたオリバにムダ口をきかず、マリアは拳をみせる。
 どうも『ジャンケン勝負』の合図らしい。
 ま、まさか伝説のジャパニーズ・アーツ"野球拳"をヤる気か!?
 と、思ったら普通のジャンケンでした。
 オマエらはサザエさんのエンディングを見すぎではないか?

 オリバはどうとでも取れる曖昧な手の形を出す。
 そして、自分の負けだと主張する。
 相手に勝ちを譲るのが、オリバの優しさらしい。
 私は、対戦ゲームとかであからさまに手を抜かれると、けっこうムカツクほうなんですが……。
 もちろん負けても悔しいけど。
 互いが幸せなら、それでいいか……。
 バカップルの間に入ろうとすると馬に蹴られるような目にあう気がする。


 ジャンケンをしているうちにマリアは眠ってしまう。
 オリバは優しい笑顔で蝶ネクタイをはずす。
 ついでに全部脱ぐ。
 部屋の照明を落とした。

 ッ!
 〜〜〜〜〜ッッッ!

 まさか、今宵の『範馬刃牙』は大人の『範馬刃牙』か!?
 むしろヤングチャンピオン状態かもしれない。
 ダイニングメッセージは『SAGA……


 と、思ったら普通に添い寝でした。
 くしくも刃牙とおなじスタイルである。(範馬刃牙 6巻 46話
 刃牙め、マリアとファイトする時のスタイルを本能的に感じ取っていやがったか……。
 ただし、オリバはマリアの左側に寝ている。刃牙は右側だった。
 隆慶一郎の『吉原御免状』で、遊女は好感をもつ客がきた場合、客の利き腕が自由になるよう自分の左側に寝かせるとあった。
 より、有利なポジションを確保する刃牙の天才性には敬服しといたほうがいいのだろうか。
 オリバは謙虚なだけですよね?

「ダーリン…」
「今夜は…」
「わたし一度も勝てなかったけど」
「今度は一つも譲らない」


 そして、マリアも勝ちをオリバに譲るのだった。
 愛により、ジャンケンすら曖昧で優しいゲームに変る。
 何事も無いまま、今週は終了するのだった……


 なんだったんだ、今週は?



 今回はオリバの安らかな日常(ツンデレ風味ですが)を描いた。
 という事は次回で刃牙がオリバの幸せを破壊すると言うことだろうか。
 怒るオリバ → 決戦 → 決着、という流れだ。
 さすがに刃牙もそこまで悪人じゃないと思う。
 ただ、なんらかの事件でオリバの幸せが崩れる可能性はありそうだ。

 ところで、オリバは毎日決まった時間に、同じように花束を持って訪れるらしい。
 そして同じようにジャンケンだ。
 ワンパターンで飽きないのだろうか?
 むしろ、米の飯のように毎日でも飽きない境地に達したのかもしれない。

 古い衣服を捨てるように、梢江を捨てた(と思われる)刃牙に比べると、情が深い。
 アンチェイン度はさておき、愛情度はオリバの圧勝だ。
 オリバの強さは「愛」らしい。
 ならば、愛を失った刃牙の勝機は薄そうだ。

 今回のタイトル『追う者』が刃牙のことではないなら、オリバの事か?
 なんかストーカーみたいで嫌だな。
 ならば、次回は『追われる者』となって、マリア過去編がはじまるのだろうか。
 マリアがシェイプアップすると、超マッチョになってオリバよりも強い! なんて展開があるかも。

 マウス三兄弟やゲバルなど、刃牙は引き立て役を別人に喰われている。
 意図的に戦闘を避けているような気配だ。護身完成しちゃったのか?

 オリバでも同じ展開になったらどうしよう。
 いきなりやって来た勇次郎がオリバを倒す。
 または、マリアの中から出てきた人がオリバを倒しちゃうとか。
 どちらも悪い展開なので、このあたりで刃牙に主人公らしい活躍をしていただきたい。
by とら


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