今週の範馬刃牙 SON OF OGRE 161話〜170話

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2009年5月28日(26号)
第3部 第161話 安全物 (817回)

Q:30メートルの高さから落ちて、呼吸不全、吐血、立っているのがやっとの状態になってしまいました。どうしたらいいでしょうか?

 そんなダメージ受けて、なんで生きてんの?
 いや、質問を質問でかえしてすいません。
 30メートルの高さから落ちた刃牙は、どうするのか?
 衝撃の答えが、今週の最後で明らかになる!

 とりあえず、範馬刃牙は闘いを選択した。
 さすが、格闘技の申し子だ。(本部以蔵/談 G刃牙4巻 30話)
 ちなみに「花田は格闘技の大天才」である。(本部以蔵/談)
 そういえば花田って、2部『バキ』になってからバキ31巻 275話276話に出ただけだ。
 たぶん「花田って、だれ?」と言う人も増えてきているんだろうな。

 刃牙は、肺が押しつぶされたため声も出せない。
 だが、ピクルになめられた怒りで、ムリヤリ体を動かす。
 動いて横隔膜が元にもどったのか、息を吸えるようになった。
 復ッ 活ッ!
 範馬刃牙 復活ッッ!


 見ている者すら冷や汗を流す状態だが、刃牙はヤる気だ。
 ファイティングポーズをとって、ピクルと向きあう。
 刃牙の奇襲で また倒れたピクルは起きあがる。
 ピクルは脚が長いせいか、ダメージもないのによく転ぶな。
 まだ二足歩行があまり得意ではない生物なんだろうか。

 立ちあがったピクルは、刃牙に攻撃をしかける。
 巨大な拳を振りまわして撃ちこんできた。
 野味あふれる おおざっぱな殴りかたである。
 小細工をしない素材勝負の攻撃だ。

 ピタッ

 寸止めッ!?
 そして、地下闘技場のマスコットゆるキャラになりそうな、ゆるゥ〜っとした動き。
 ピクルの拳が、刃牙のほほにペト…と当たった。
 やわらかッ!
 刃牙のほほはスゴいやわらかいぞ。『みつどもえ』(AA)の、ひとは なみですよ!
 お前こそ、ゆるキャラだ。

 ピクルは、ひたすら ゆるい打撃をくりかえす。
 あずまんが大王でいえば、大阪のポジションよりもゆるい。
 今日のピクルは癒し系だッ!
 シワになって見えないけど、フンドシには動物の絵がプリントされてるぞ! たぶん。

『気付いたのは』
『徳川氏を除く現役3名だった』

(ボクと遊ぼう♥(はぁと)

『自らの凶器を―――』
安全物と偽る 超手加減!』

 刃牙は瀕死だけど、ピクルは必死だッ!
 逃げないでほしい。
 新入生を勧誘するサークルみたいに、なりふりかまわないアピールだ。
 がんばって笑顔まで作っている。
 むしろ逆効果。ちょっとキモい。

 徳川光成はセレブなので、こういう接待に慣れているかも。
 慣れてしまうと感覚がマヒして、その背後の気持ちに気がつかなくなる。
 だが、刃牙と花山薫・烈海王の現役組は理解した。
 少年部を指導する空手部が「君、いいパンチもっているよ」と誉めちぎるような接待攻撃だ。
 格下どころか、弱者と見られて力を加減されている。
 とんだ、格闘技の偽装事件だよ。

 ピクルは、刃牙にやられた侮辱行為をやり返されている気もする。(157話
 まあ、ピクルは天然というか野性なんでむずかしいこと考えてないんでしょうけど。
 刃牙の場合は悪意100%だから安心だ。
 舗装された平らな道。漂白された白。塩化ナトリウム100%の塩。
 文明がもたらした完璧なる悪意でした。

『過去―――― 肉体の緊急事態でのみ発動した』
『少年の脳内麻薬(オリジナル)
『その脳が――――』
『肉体のダメージを経ずして反応した』


 屈辱が刃牙の脳内麻薬に火をつけたッ!
 つまり、これが精神的苦痛を快楽にかえるマゾの構造なのか。
 範馬刃牙=マゾ説が科学的にも証明された。
 やはり、マゾで刃牙に勝てる生物がいないのかもしれない。
 『地上最強の生物』の息子は『地上最強のマゾ』だ。

 とうとう、触れてもいないのに侮辱されただけでイってしまった(脳内麻薬的に)刃牙である。
 初体験の快感で恍惚となっているのかと思ったら、そうでもなかった。
 おとなしくなって、ピクルに背をむけた。
 なんだろ。
 コスチュームチェンジ(パンツ履き替える)でもするのだろうか?

 刃牙は階段をしずかに上がっていく。
 どこへ行くンだ、チャンピオン?
 俺達は君を待っている?
 って、とうとう最上段まで来てしまった。

 刃牙が屈辱をうけ、ピクルが接待パンチを打った。
 ゆがんだ闘いになったのは、誰のせいでもない。

(俺が……)
(俺が弱いから…ッッ)


 刃牙が地面にむけて ふたたびダイビングする。
 落とされるのではなく、みずから落ちた。
 落下の衝撃が、そんなに気に入ったのかッ!?
 暴走する18歳・範馬刃牙、本日二度目のダイビング!
 次回へつづく。


 というワケで、「Q:30メートルの高さから落ちたら、どうするか?」の答えが出ました。
A:もう一回落ちるッ!

 バッ…バカかてめェェッ!
 さすが刃牙さん。オレには想像もつかないことをやってのける。
 また落ちるって、どんなパフォーマンスなんだよ。
 どんだけマゾなんだか。

 前回追記で、範馬一族のサイヤ人っぽさを書いてみた。
 本当に瀕死でパワーアップを目指しているようだ。
 刃牙の理不尽なまでの強さは あなどれませんな。
 どこまでマゾになれるんだ、この男はッ!?

 刃牙が自殺するとは思えない。
 これは、30メートルの落下なんて全然平気だから遠慮なく打ってこいというパフォーマンスだろう。
 金竜山と闘ったときの猪狩みたいな虚勢を感じる。(G刃牙27巻 231話)
 「こいコノヤロウッッッ」「ぜんぜん効かねェぞ コノヤロウッ」
 刃牙も、自分を窮地に追いこんで潜在能力を発揮する気なのだろうか。

 なんか、『ピューと吹く! ジャガー』(AA)の阿部長巳(あべ おさみ)みたいだ。
 超ドMな阿部は苦しいのをガマンしすぎて入院してしまう。
 医者にガマンすることをガマンするように言われるが、ガマンをガマンできず ふたたび苦しいのをガマンするのだった。
 刃牙もそのうち、公園の遊具が拷問道具に見えてトキメクようになっちゃうんだろうか?

 今回出てきた(俺が弱いから…ッッ)という刃牙の台詞も気になる。
 かつて刃牙は、母である江珠に「オマエがッッッ」「弱いからァ――――ッッ」と罵倒された。(G刃牙18巻 159話)
 似た台詞を言っているのは、偶然だろうか?
 また、母に罵倒された直後に刃牙を支えてくれた花山がこの場にいるのも偶然なのだろうか?

 死に際の集中力・脳内麻薬(エンドルフィン)・弱いから発言。
 すべて幼年編でのエピソードだ。
 もしかすると、範馬刃牙が劇的にパワーアップするかもしれない。
 ドMが裏返って、ドSにッ!

 もう、ピクルの嫌がることしかしません。
 闘わないで、あえて寝る!
 ……あんまり、現在(いま)と変わらんな。


追記 (09/6/3)
 なんで、刃牙は飛び降りたりしたんだろうか?
 バカなの?
 本当に死んで最終回になっていたら、たしかに予想を上回る展開ではあるんだけど。
 今まで刃牙のことをマゾ呼ばわりしていたけど、今後は冗談じゃすまなくなった。
 コイツは本物だッ!

 落としてみたものの、いいリアクションが取れなかったから、やり直しだったりして。

 次回の展開を予想してみよう!

● 普通の予想
・普通に着地する。
・落下したら、なぜかサンドバッグに変わり身している。(中身は刃牙)
・地面に鬼面の跡がついた!
・地面に東京都型の跡がついた?(地理問題・難)
 誰も東京都型だと気がつかず、ただの跡として流される。
・足から着地して首まで埋まりそう。このまま、ノコギリ引きで処刑されそうな感じだ。
・落ちる最中に、烈の三つ編みに捕まって、事なきを得る。

● マゾ方面な予想
・落ちたあと、また上って落ちる。マゾだから。
・ダメージ的に物足りなくなって、どんどんエスカレートしていく。
・剣山を敷きつめる。
・ガラスの破片をまく。

・蛇も放つ。自分以外の利用者がいることも考えてください。
・ピラニアを放つ。砂の上なので、すぐに死んでしまう。
・熱湯を入れたタライをセットする。
・ピラニアを放つ。熱湯なので、すぐに死んでしまう。
・トリモチを仕込んでおく。
 このあたりで、ピクルがあきれて帰る。
 みっちゃんも帰る。
 烈と花山はがんばって見守ってあげる。友情の侠客(おとこ)立ちだ。
 イイ話っぽいけど、ちっともイイ話なんかじゃない。

・電流・爆破
・もっと高いところを求めて、最終的に東京タワーに行き着く。
 さすがに烈と花山も ついていけない。

● パワーアップ予想
 二度の落下で刃牙がパワーアップするとしたら、どんな感じだ?

・ありがちなのが、背が伸びる。
 でも、それはジャック兄さんが通過した場所だ。
 だいたい「ムダに巨体」は刃牙世界の噛ませ犬フラグですよ。
 まだ、ムエタイ習ったほうが良い。いや、ダメか。

・筋肉が増える。
 これが刃牙世界的に正しいパワーアップだ。
 衝撃を受けたことで筋肉が刺激されて、筋肉増量するぜ!
 まあ、いきなり肉が増えるのはアリエナイよな。
 ティラノサウルスの肉を強奪して、ひとりで全部喰うってのは、どうか?

・とにかく増える!
 なんか、デカくなった!
 そう、落ちた衝撃で刃牙の体がぺったんこに成ったのだ。
 体積はいっしょだけど、正面から見たサイズは格段にデカくなっている。
 横から見たらペラペラだけど。
 作者名、『板垣恵介』の"板"が伏線だったのだ!

2009年6月4日(27号)
第3部 第162話 強肉弱食 (818回)

 互いにダメージを与えあうのが刃牙世界のオキテだ。
 ディフェンスに定評のある人は出番が減る。
 だから、打たれ強さは必須である。打撃だって、どんとこいです。

 と言うわけで刃牙は自分の打たれ強さを証明するために、ふたたび30メートルダイブをするのだった。
 理屈がワカるようで、ワカりません。
 やっぱり脳神経のフォーマットが宇宙人用なんだろうな。
 ところで、ジャンプ力でピクルに負けているから、いいとこ20メートルダイブじゃないか?

 落ちたッ!
 窪塚洋介っぽい感じで、アイ キャン ダイブ!
 ものすごい自虐プレイだ。
 超絶マゾップラー刃牙ッ!

(俺から仕掛けておきながら……
 俺から誘っておきながら……)
(君に気を遣わせた…………)


 なんか誤解をうけそうな言いかただ。
 刃牙がピクルを口説いたように見える。
 まあ、こういうハーレム待遇は主人公の醍醐味ですからね。
 目が合った女はみんなオレの嫁状態だ。
 脳内国家では一夫多妻制ですよ。

 弱い犬がケンカをしかけたけど、あまりに弱かったんで撃退したほうが気まずくなった。
 こういう状況が許せないのだろう。
 範馬刃牙という男は常に上から目線じゃないとダメなんだ。俺を見下すな。
 きっと刃牙の脳内はこんな感じにで屈辱にまみれている。

 もう一度、上から目線をするために、決死のダイビングだ。
 今度は自分ひとりの体重だし、受け身も自由に取れる。
 一見無謀なヤケクソ行為に見えるけど、刃牙はきっと本能で計算しているのだ。
 オリバを倒したときも、真正面から殴り勝ったと思わせつつ、小細工していたし。(10巻 76話
 刃牙は天然だから無自覚にやっているんだろうけど。

 本日二度目の大落下だ。
 大砂煙が立ちあがる。
 掃除する小坊主どもは、あとで大変だろうな。
 さて、大激突した刃牙の運命やいかに?
 トラックにひかれたカエルみたいになっているだろうか?

 煙がはれると、刃牙はふつうに座っていた。
 体育座りッ! いつの間にッ!?
 正面から見ると股間が無防備なのでパンチラに移行しやすい攻撃特化の構えだ。
 グラビアアイドルには欠かせない。
 今週のグラビア担当・ライダーヒロイン小池里奈もやってますな。→

 刃牙も表紙でポーズをとるだけのグラビアアイドル時代が長い(いちおう現在進行形)。
 おそらく体育座りも、そこで会得したのだろう。
 パンチラ必見の構えで刃牙が攻める!
 うむ、これで体育座り萌えが落ちるぞ。
 思い返すとバキSAGA』読んでからエロマンガの読む量が激減したんだよな。
 刃牙よ、お前は体育座りではなく、正座しろ。
   小池里奈 写真集 里奈日和

 だが、ピクルもフルヌードで体育座りをしていた猛者だ。(12巻 90話
 この程度の攻撃に動じない。
 動じないハズ。
 否ッ、動じてる!?

 マゾという性質はピクルには理解不能なのだろう。
 ピクルは刃牙の自虐行為を理解できずに困っていた。
 痛いのが気持ちいいなんて、大自然の摂理に反している。野性にはない習慣だ。
 ピクルは刃牙の変態行為に気をとられすぎず、マイペースに闘ったほうがいいぞ。

 刃牙はピクルを何億歳の年上と断じてキレる。
 たしかにピクルは昔の生物だけど、その大半(99.99999%以上)は寝ていた。
 いくらなんでもキレかたが不条理すぎるぞ。
 もしかしたら、富士の樹海にいる長老の木にもキレていたんだろうか?
 「てめぇ、樹齢千年だと思ってイイ気になりやがって!」

 絶好調の刃牙は散歩しただけでもキレる理由を見つけることができる。(8巻 59話
 前回は自分の弱さを反省していたが、いまの刃牙はちがう。
 上から目線を取りもどすため、範馬刃牙は雄雄しく戦うのだ。

 ピクルは困っていた。
 ここまで虚勢をはる生物なんて見たことない。
 どう扱っていいのか困ってしまう。
 強肉弱食をやろうとしている、コイツはどうしようもなくアホの子なんだろうか?

 だが、ピクルは忘れている。
 ピクル自身が恐竜を喰う、強肉弱食を達成していることを。
 自分のことだから客観視できていないが、世界のことわりを破壊しようとする行為は刃牙と同じである。
 二人は似た者同士の、反逆者だ。
 かなわないと言われても強いものに挑まずにいられない。


 ピクルは、とまどって棒立ちだ。
 こういうスキを刃牙はのがさない。
 衝撃の左ストレートでピクルのアゴ先をかすめる。
 追撃の右フックで、またアゴ先をかすめた。
 そして、殲滅の飛び蹴りで、またまたアゴ先だ。

 ピクルの見る風景がゆっくり傾いていく。
 そして、ピクルが真っ直ぐに倒れた。不可思議・謎ダウン!
 烈海王だけが、刃牙の技に気がついたらしい。
 いったい、刃牙はナニをしたのだ?
 次回へ、つづく。


 予想どおりというべきか、落下ダメージに落下ダメージをぶつけることで、刃牙が復活したっぽい。
 一回目に落ちたときよりも、ずっと元気だ。
 ピクルが反応できないぐらい動けている。
 もっともピクルは人間相手にほとんど防御しないヤツだったけど。

 刃牙の攻撃は猪狩戦で使った打撃に似ている。(G刃牙33巻 285話)
 打たれ強い猪狩のアゴを高速の打撃で打ちぬきダウンを奪った。
 プロレスラーは打たれる前に、覚悟を決める。
 だから、覚悟を決める時間を与えない神速の攻撃が有効なのだ。

 ピクルは首が頑丈すぎて脳がゆれない。
 ある意味、プロレスラーに似た耐久力といえるだろう。
 ならば、ピクルが打たれると意識する前に打撃をする。
 vs.オリバ戦での0.5秒理論っぽい感じで、ピクルの体が弛緩しているうちに打つ。(9巻 70話

 頭部への打撃は、首を支点にして頭が動く。
 首からもっとも遠いところを打つのがテコの原理としては有効だろう。
 イチバン遠いのは頭頂だけど、丸いからすべる。
 現実的にはアゴ先への打撃がベストだ。
 実際、アゴへの打撃はKO率が高い。

 ごく些細なゆれだったけど、三発分を重ねることで、ピクルをダウンさせた。
 烈海王だけが特殊な打撃だと気がついていたようだ。
 中国拳法にある技なのだろうか。
 打撃の振動波を三つ重ねて大きくし、共鳴攻撃でもやったんだろうか。

 人間に限らず、動物ってのは前に進む生き物だ。
 なので、前以外の方向からうける攻撃には弱い。
 刃牙はピクルを攻撃する角度を調整して、倒せる角度を探していたのかもしれない。

 最強クラスに打たれ強かったピクルだが、相手が刃牙だからよく倒れるキャラになっている。
 ここ数回だけを初心者に見せたら、ピクルは打たれ弱いとカンちがいしそうだ。
 やっぱり、範馬一族に関わると運気を吸われて不幸になるらしい。

 なんにしても、刃牙がピクルからダウンをうばったのは事実だ。
 次回から、刃牙の目線がさらに上がるぞ!
 高いところからダイブしたのも、高所の目線を獲得するための布石だ。
 もはや、徳川さんに対しても「頭が高いッ!」と言ってのけるほど増長しそうだ。

 刃牙が落下しても元気なのは、リアクティブアーマー風に衝撃を衝撃で中和したのだろうか。
 落ちたダメージを失禁で打ち消す!
 いや、大きいほうを出して相殺したのかも。
 だから、刃牙の蹴りでピクルはダウンしたのか?
 足元にたれて、気絶するような臭気をはなっているんですよ。

 けっきょく寝ただけでした! なんてオチはカンベン願いたい。
 刃牙はピクルからダウンをうばったものの、まだ勝てなさそうだ。
 まだまだ、エサと捕食者の関係に近いのだろう。
 ピクルから見たら、地下闘技場なんて男の子牧場なんだろうか。


追記 (09/6/10)
 かするパンチでピクルをダウンさせることができるのなら、最初からやっとけよ。
 刃牙はマゾだから死なないうちは積極的にダメージを受け入れてしまうのだろうか。
 力を出し惜しむのは、より長く痛い思いをするためだ!

 しかし、落下した刃牙が平然と体育座りをしていたのはなぜだろう。
 せっかく激突・激痛という快楽を与えられたんだから、マットにたたきつけられたプロレスラーみたいに痛みをアピールすればいいのに。
 やっぱり二度目の落下だと痛みも快感も少なかったのだろう。
 落ちてみたものの、イマイチだったので体育座りで呆然としていたのかも。
 だとすると、ピクルに向けた怒りの鉄拳は、八つ当たりなのか?

 落下して体育座りってのが、そもそも異常なんだよな。
 やっぱり、アレはリアクションのとりかたを失敗したんじゃなかろうか。
 落下の勢いで、首まで地面に埋まっている。これは普通のリアクションだ。
 ギャグ漫画なら普通すぎる展開といえる。ボクシングで言うならジャブみたいなもの。
 これを爆笑につなげるのは、ツッコミ役のリアクションにかけるしかない。

 今回の観客は徳川さん・花山薫・烈海王だ。
 リアクションという点では弱い人ばかり集まっている。
 基本ボケ担当の徳川さんに、無口な花山、やっぱりボケ担当の烈だ。
 ツッコミ不在の布陣となっている。

 落下しながら刃牙はツッコミ不在に気がついたのだろう。
 加藤かストライダムがいてくれれば、どんだけ助かったか……
 刃牙がどんどん過激な自虐プレイに走るのはツッコミがいないからではなかろうか。
 ツッコミが入らないから、さらに過激なボケをする。
 ボケっぱなしの連鎖をどこかで断ち切らなくては世界平和が訪れないぞ。

 落下した刃牙には埋まったり、シャチホコのポーズをとったり、コスプレしたりという選択肢があった。
 だが、どれも適切なリアクション抜きだと弱い。
 とりあえず着地する。(たぶん、放屁の噴射力で無傷着地して砂煙を巻き上げ一石二鳥したのだろう)
 ツッコミ弱者でも対応できるボケはどんな物がいいのか?
 刃牙は必死になって考えた。でも、なにも思い浮かばず座ったままの姿勢で出てしまう。とうぜん、ツッコミ無し。
 今の刃牙はトップランナーの孤独を感じているのかもしれない。

 勇次郎のようにボケ切って自己完結するのではなく、刃牙が求めていたのは戦いにおけるボケとツッコミの交流だった。


2009年6月11日(28号)
第3部 第163話 皮一枚 (819回)

 今まで一方的にダメージを受けていた刃牙が、ついに反撃だ。
 一方的というか、自虐的というか。
 ピクルも対戦(遊び)相手がいきなり自殺未遂したときは驚いただろうな。

 とにかく、ここから刃牙のターンだ。
 まずは、刃牙のナゾ攻撃で白亜紀の鋼鉄原人ピクルがダウンした。
 烈海王の四千年も、愚地克巳の音速(マッハ)も、ジャック・ハンマーのドーピングでも倒せなかったのに。
 人類が失ってしまった極太頚椎によりピクルは難攻不落の防御力を持っている。
 超ドラゴン級のタフネスをどうやって破ったのかッ!?

 ダウンしたものの、ピクルは起きあがろうとする。
 だが、三歩も歩かないうちに、ふたたび倒れた。
 けっこうダメージは深刻だ。
 ピクルって、こんなに打たれ弱かったのかッ!?

「烈さん」
「何が起こってるんだ!?」


 うむ、私も知りたい。
 ――って、花山が烈にも敬語つかってるよッ!
 何が起きたんだ、花山の身にッ!?
 しかし、最近の花山は口数も多いし、表情も豊かだな。
 人格に異変が起きるようなことでもあったのだろうか?

 とにかく、観客三人のうち、刃牙の技を理解できたのは烈海王だけだ。
 花山は理性ではなく本能で戦うタイプだから理論には弱い。
 反面、戦士の心情など心理面をよく理解している。
 最近の徳川さんはすっかり驚き役なので、目先のことで一喜一憂するのが仕事だ。
 ここは素直に四千年の英知に頼ろう。

「皮一枚の打撃」

「まともに当てるのではなく」
「ギリギリにアゴを掠らせる」
「ボクシングのリングでは稀に見られる現象です」


 強烈な直撃弾に耐えていたボクサーが、かするような打撃でダウンする。
 どの程度の確率かわからないが、たしかに似た場面は多い。
 というか、ボクシングのKOはポコンと軽く当てたように見えるのに倒れることが結構ある。
 予想外の打撃を喰らうと人は簡単に倒れるという実例かもしれない。

 烈海王の解説はボクシングだった。
 中国武術と違ッ!
 だが、烈海王は迫力で押しきる。
 中華料理の達人なら、フランス料理について解説しても説得力があるのだ。
 なにしろ、迫力がちがう。

「弛緩(ゆる)んだ顎へ薄皮一枚を掠めさせる」

 この一閃が脳を「超高速で震撼(ふる)えさせる!」
 全米No1ヒットしそうな感じの攻撃だ。
 烈海王、いっさい中国武術を語らず。

 しかし、烈の解説はあくまで事例の紹介だった。
 理論の説明ではない。
 直撃パンチと かするパンチの差は、どこにあるのだろう?
 一見すると「弛緩(ゆる)んだ顎へ」というのが説明っぽいが、相手が弛緩したなら普通の直撃パンチだって効く。
 相手を油断させる打撃というのであれば説明はつくけど、なんか納得しにくい。
 なんか雪男の目撃情報だけをひたすら出されて、正体についてはスルーされた気分ですよ。

 あたる面積が小さいから運動エネルギーが集中されたってことなのかもしれない。
 同じ力で押しても、針は物に刺さり、棒は刺さらないみたいな状態だ。
 ならば、鎬流空手の鋭い打撃も有効なのかも。
 「使用する部位が鋭いほど強力なものとなる」G刃牙3巻 23話)
 でも、ピクルにつかったら、指のほうがダメになると思うから止めたほうがイイんだろうな。

 グローブ部分だけが当たると最強な「かすりパンチ最強伝説」だ。
 そういえば、李猛虎はアイアン・マイケルのパンチに「かすっただけで めまい」を起こした。(G刃牙24巻 207話)
 肉や果物は熟して腐る寸前が美味なように、パンチは外れる寸前のかすりが強力なのかもしれない。
 しかし、かすりパンチが当たったのに李猛虎を倒せなかったアイアン・マイケルって……

 とにかく、刃牙は最小かつ最強の攻撃したことになる。
 頭部打撃の究極目標は、脳をゆらすことだ。ゆらせるのであれば、軽かろうと遅かろうとかまわない。
 『格闘技「奥義」の科学』の考察によれば、頭部は胴体に比べて軽いので、重い打撃よりも速い打撃のほうが有効だとしている。(参考:殴打技
 さらに言えば、首の構造上、正面からの打撃よりも横からの打撃のほうが有効だ。
 刃牙はそれらの理論を総動員して攻撃している。

 ジャック・ハンマーよりも科学的な打撃だ。
 恐竜時代にはなかった攻撃だろう。
 人生初体験の脳震盪を起こし、ピクルは重力感覚が狂っている。
 立っているつもりでも、地面のほうが起き上がってくるようだ。
 かつて刃牙にダウンさせられた斗羽もおなじような経験をしている。(G刃牙5巻 38話)
 あと、範海王も。(バキ26巻 224話

 文化にまで発展したボクシングを経験したことのないピクルには、未知の技術だ。
 そして、もちろん初体験の脳震盪で、混乱している。
 混乱しきったピクルは、勝手に死にかけている刃牙が恐ろしく思えた。

『瀕死のバキの姿を――――――』
『地面をも自由に操る 無敵の妖術使いへと変身させていた』

 ピクルが、刃牙のペースに飲まれたッ!
 刃牙のイメージが強そうになってる。
 梢江が思い浮かべる刃牙のイメージは150%ほど美形だったのと同じ現象だ。(バキ10巻 84話
 なんか刃牙のリアルシャドーが他人にも影響を与えていそう。

 充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。クラークの三法則
 科学のきわみ、三連かすり攻撃は、ピクルにとって妖術のように感じられた。
 というか、妖術って概念をもっているんですね。
 最近、殺しても死なないゾンビ男と戦ったばかりだ。(151話
 対戦相手がどんどん異常能力者ばかりになってホラーな気分になってしまいそう。
 今回もピクルは逃げだすのだろうか?

『ピクル戦慄す しかし――――』
『未だ逃亡せず!!!』


 恐怖を感じながらも、ピクルは闘いにふみとどまる。
 肉体的に追いこまれた(というか自分で追いこんだ)刃牙と、精神的に追いつめられたピクルの闘いは、まだこれからだッ!
 刃牙くんの次回策にご期待ください。
 つづく。


 まあ、わりと普通の攻撃だった。
 理屈はともかくパンチが効くのなら、烈の攻撃も効果あってほしかったよ。
 未知の生物・ピクルには、未知の技術で勝負するしかないんだろうか。
 かすりパンチって、外れると思って相手が油断したところに当たるパンチなんだろうか。
 あまり、勇ましい技じゃないですね。技術的には高度なんだけど。
 名前も弱そうなんだよな。「かすりパンチ」って。

 グローブをつけていると、拳が大きくなる。
 だから、かする余地というか、グローブの皮が厚くなるのだ。
 だが、刃牙は素手でかすっていた。
 まさに皮一枚の間合いを見切って撃った一撃だ。
 地味だけど、すごい高度な技です。本当に心底地味だけど。

 とにかく刃牙はピクルより精神的上位に立った。
 あとは増長するだけだ。
 次回からは肉体のダメージなど無かったことにする勢いで戦うだろう。
 魔法のような絞め技とか、手品のような関節技でピクルをさらに苦しめそうだ。

 ピクルは刃牙に肉をわけてあげた。
 お礼に、スゲェ侮辱される。
 一緒に30メートル落下した。刃牙はさらにもう一回落ちた。
 妖術を使われて地面がかたむく。
 ……どのへんが文化としての戦いなんだろう。
 前衛的だな。


追記 (09/6/17)
 範馬刃牙は妖術使いッ!
 そのような認識など、刃牙が妄想バトルで飛んだときに通過しているッ!
 リアル妖術使いだ。

 その昔、チャンピオンで板垣先生と佐竹雅昭が対談をしたことがあった。
 たしか、佐竹を主人公にした『となりの格闘王』が連載される前だ。
 佐竹は、グラップラー刃牙(当時)に自分をモデルにしたキャラを出してくれという。
 最近、黒魔術に凝っているから空手家でありながら黒魔術を使いキャラがいいと言い出した。
 そう、佐竹雅昭は昔から変な格闘家だったのだ。

 その後、黒魔術を使うキャラは出てこない。
 佐竹がモデルのキャラも出てこない。……出てないよな?
 『女郎』には佐竹がモデルのキャラが、けっこうメインで出てきたんだけど。

 もしかしたら、板垣先生は十年以上も昔に佐竹とかわした約束を、いまごろ果たしたのかもしれない。
 妖術使い……
 コイツは厄介だ。

 ところで、格闘家の刃牙感想って、トレーニングして学校に行くようなシーンが良いという人が多い。
 自分が実際に同じようなことを経験しているから共感するんだろうか。
 私のような普通の人間には超えられない経験の壁ですね。

 さて、我らの範馬刃牙ですが、次回はどうなるんだろうか?
 もともと頭が高い人間だ。
 ピクルがビビったのを敏感に察知して、Sモードに切り替わるかもしれない。
 ガイアのマネをして、大声でグニャらせる。
 さらに渋川流をパクりまくって、地面に叩きつけてドロドロにする。
 ピクルはますます刃牙のことを妖術使いと思って恐れるのだ。

 マゾが裏返って、ドSになるッ!
 次回の刃牙が楽しみなような、恐ろしいような……

2009年6月18日(29号)
第3部 第164話 平等な打撃 (820回)

 ついに範馬刃牙の逆襲がはじまる。
 本気になった刃牙は、裸になった梢江よりも恐ろしい。
 マギ――――ッ!
 ピクルは耐えられるのか!?

 攻撃に耐える。ピクルには自信があった。
 恐竜たちのあらゆる攻撃に耐えきった鉄(くろがね)の城である。
 超合金Zやガンダニウム合金なみに頑丈だ。
 尻尾に、踏みつけに、ツノに、牙に、蜂にッ!
 すべてに耐えきった。
 ……イヤ、最後のは耐えきれてないだろ。
 生きたまま焼却炉で焼かれた犬なみに暴れまわっていたぞ。(19巻 149話

『五体に刻み込まれた無敵感』
『決して屈しないという確信』


 さまざまな恐竜が疾駆し火山が噴火する地獄絵図の中で、ピクルは雄雄しく大地を踏みしめる。
 もちろん全裸だ。
 防具を一切身につけず。それでも無敵という誇り。
 如何なる生物・天変地異にも負けない自信だ。
 範馬勇次郎に匹敵する最強の自負心である。

 現代においても、挑んでくる敵の攻撃に耐えきった。
 死んでも死なない男に追いかけられて逃げたこともありましたが、痛みには耐えましたよ?(19巻 151話
 だが、ナゾの妖術使いが地面を動かすという特殊攻撃をしかけてきた。
 ピクルは深刻なピンチを感じている。
 だが、逃げ出すのはまだはやい。勝負はこれからだ!

 悪人に騙されているとも知らず、美少女が賭け脱衣麻雀(しかもイカサマ)から逃げ出さないと決意した。
 そんな、悲劇に向かう勇気を感じる。
 範馬刃牙と戦うと、すべてむしられてしまう。
 ピクルに残されたフンドシも、ティラノサウルスの肉も全部とられるぞ。


(まだだ)
(俺の機能は―――――)
(未だ2度の落下のショックから回復していない)
(真っ向勝負はまだ……………)


 ピクルは気持ちの上でのピンチだが、刃牙は肉体的にヤバいらしい。
 まだダメージがのこっている。
 調子にのって二回も落下するからだよ、バカ。じゃない、バキ。
 体が動けば三度の落下に挑戦しかねない危うさが刃牙にはある。

 いまだに真っ向勝負で勝つ気でいたんだ。
 根拠のない自信かもしれないが、刃牙の精神力は勇次郎にちかづいている。
 そのうち、加藤クラスの戦士なら視線だけで殺せると言い出しそうだ。

 とにかく刃牙はダメージが大きすぎて反撃の態勢がととのっていない。
 かする攻撃でダウンさせたけど、まだ本調子じゃないのだ。
 なんか、「セコイ方法を使用(つか)うなら、ダウンとるぐらい朝飯前ですよ」的な傲慢を感じる。
 烈海王や愚地克巳とは根本的に血統差があるってコトっスか。

 ピクルは鋭い。かする攻撃は2度と通用しないのかもしれない。
 刃牙は別の方法で回復の時間をかせぐ必要がある。
 花山と闘った克巳がダメージから回復するため逃げ回ったときのような状況だ。
 「あと10秒ダメージを負わなければ」「俺の体内に反撃の体勢が整うッ」G刃牙28巻 240話)
 ……同じようなシチュエーションなのに、なんで受ける印象がこんなにちがうんだろう。

 克巳は体力回復まで花山の攻撃から逃げまわっていた。
 絶技を駆使して逃げるものだから、かえって体力を消耗しないか心配だったけど。
 とにかく格兵器(たぶん「格闘人間兵器」の略だろう。G刃牙34巻 293話)克巳は時間をかせぐために逃げた。
 天才すぎて変人に見える刃牙は、どうやって時間をかせぐのだろう。

 ゆらり……

 刃牙が脱力した〜〜〜〜〜ッ!

 いきなり、なにごとだッ!
 またヤる気をなくしたのだろうか?
 それとも宮本武蔵の脱力なのか?
 宮本武蔵はこんなにだらしなく無いぞ。きっと。

 ここで烈海王が驚愕する。
 また、アンタか。すっかりオドロキ役だな。
 烈驚王とかに改名してみたらどうだ。

 とにかく烈が知っているということは、中国武術の技なのだろう。
 脱力する中国武術といえば、消力(シャオリー)か!?(バキ26巻 229話
 見た技はなんとなくコピーしてしまう範馬刃牙である。
 一度見た技は、自分の物にして商標登録も提出しちゃうにちがいない。

 守りの消力を会得すれば、転じて攻めの消力も使えるかも。
 剛体術がオリバに通用しなかったことを考えると、新必殺技ができるのは頼もしい。
 まあ、刃牙なら真マッハ突き 衝撃!Z編を使っても肉が飛び散らず、攻撃力だけ美味しくいただきそうだけど。

 守りの消力ならピクルの攻撃を受け流すことができるだろう。
 パワーとスピードがケタちがいだが、ピクルの攻撃はかなりシンプルだ。
 受け流すのには最適といえる。
 まあ、捕まって噛みつかれたら、消力も意味ないけど。

 ビタァァ

「度々すまんが烈さん」

「秘拳…… 鞭打……」
「赤ン坊から範馬勇次郎まで――――」
「全人類に等しく平等な打撃技です」


 刃牙の平手がピクルの肌に打ちつけられる。
 思わずピクルが悶絶してダウンだ。
 まさかの鞭打ッ!?
 刃牙世界において、寂海王の握手とならぶ特殊技だ。

 鞭打(べんだ)は、最凶死刑囚のひとり柳龍光が得意としていた技だ。(バキ15巻 133話
 あいての皮膚を打つことで「単純に痛い」という画期的な攻撃である。(バキ16巻 134話
 打撃は基本的に敵の肉体を破壊することが目的だ。
 脳への攻撃は精神攻撃ともとれるが、脳という肉体にダメージを与えた結果の精神攻撃なので間接的なダメージだろう。
 だが、鞭打は痛みを与えることで、相手の戦闘意欲をそぎ、心を折る。
 直接的な精神攻撃だ。

 おそらく範馬刃牙にもっとも似合う最痛の打撃だ。
 宮本武蔵クラスの脱力を経験しちゃった刃牙は、いまや全身が軟体生物である。
 ねちっこく絡みつく鞭打がピクルを襲った。
 痛みに特化した攻撃など、ピクルは受けたことがないだろう。
 脳震盪につづき、未知の攻撃を喰らった。
 まさに、敵は妖術使いだッ!

 しかし、なんで烈まで鞭打を知っているんだ?
 中国での鞭は棒状の打撃武器である。
 横山光輝の水滸伝では双鞭の呼延灼(こえんしゃく)の武器が、日本式のしなるムチになっていた。
 日中国交断絶の影響による情報不足のためらしい。
 藤崎竜の封神演義に登場する聞仲(ぶんちゅう)の禁鞭もしなるムチだけど、あれはカッコ良さ優先っぽいな。
 まあ、中国と日本では鞭の意味がちがうってことだ。って、前に書いたネタでしたね。

 いやらしいコトをさせたら国士無双の範馬刃牙であった。
 ピクルは本人も知らない、体の痛い所を刺激されつづけるのか!?
 次回へつづく……


 刃牙は的確にピクルの弱点を突いていく。
 たしかに天才だよな。
 人の嫌がることをする才能にあふれている。
 刃牙が犯罪者になったら手がつけられない。

 オリバと戦ったときは、真っ向勝負にこだわっていた。(本当は技をつかっていたけど)
 だが、ピクル相手だと真っ向勝負にこだわらないようだ。
 ならば、勇次郎との決戦もセコイ手を使いまくるのだろうか?
 鞭打でピチピチ打って、毒盛って、落とし穴に落とすぐらいはヤりそう。
 あなたに勝つには、これしかなかったッ! と自分を正当化しながら、トドメをさしにくるぞ。

 ところで、烈は日本にきてからムチの味を知ったのだろうか?
 それとも中国武術に同じ技があるのかも。
 気をきかせて日本の技名で話してくれていそうだ。
 今の烈海王は気づかいと解説の魔人と化している。

 花山まで烈の解説に頼りきりだよ。
 …………もう本部はいらないんですね。

「ここにきて それに気付くとは――――」
(あの時 何故あれを思い付けなかったのだ〜〜〜〜〜〜ッッ)
「やはり君は天才だッッ」
(やはり君は天才だッッ)


 などと烈がツンデレしつつ解説していた。
 確かに鞭打をつかえばピクルをしりぞけることはできただろう。
 オリバやピクルのような無敵の筋肉鎧をまとっている怪物にも鞭打は通用するハズ。(参考
 ただ、鞭打で勝って、それでイイのかという問題がのこる。
 セコイ手で勝って満足なら、徳川鉄砲隊に狙撃してもらったほうが早い。
 つなぎに使うぐらいなら許されても、相手が泣くまで鞭打で打つのは格闘士のプライド的に問題オオアリですよ。

 こうなったら、一刻も早く刃牙の体力が回復するのを祈るばかりだ。
 弱った刃牙が卑怯な手を使いまくるのは、刃牙とピクルの両者にとって良くない。
 しかし、あんな痛いだけの攻撃をされたら、腹立つだろうな。
 友情が成立する余地がないぐらい、ピクルは怒りまくるだろう。
 数回、いや十数回ぐらいは噛んでもイイと思った。

 ピクルの時代には痛めつけることに意味をもたせた拷問という文化は無かったんだろうな。
 文化としての闘争を教えるはずが、拷問という文化を教えるハメになってしまった。


追記 (09/6/24)
 烈海王がなんで鞭打を知っているのかという疑問について、掲示板でイロイロとご意見をいただきました。
 ありがとうございます。
 というワケで、いただいた情報で追記を乗りきるセコイ手段にでる。
・LINISさん
 死刑囚の戦闘スタイルや技がどんなものであったかの情報も、
 ある程度共有していると思いますし。
 特に、柳に関しては毒を受けたバキを救出する為に中国へ連れてったのが
 烈先生である事を考えると
 「バキが毒を受けて死にそうです」「どういう事か」「毒手使いが鞭打で」
 くらいの会話はあったろうと思いますし

 中国武術に「鞭打」があるのでは無く、柳龍光のつかう「鞭打」を知っていた。
 そう考えればつじつまが合いますね。
 花山が「鞭打」を知らなかったのは、相手の情報を集める行為すら女々しいと思っていたのだろう。
 未知の技「鞭打」を、烈はちゃんと研究したと思われる。

 刃牙も「鞭打」を使えるから、烈に教えてあげたのかもしれない。
 「刃牙さん、例の鞭打を私にも教えていただけないでしょうか?」
 「ああ、いいっすよ」
 ビターン!
 「破吁(ハウ)ッ! な、なにをするんだ、刃牙さん」
 「いや、鞭打は体に教えるのがイチバンなんですよ」
 ビターン!
 「ギニャーッ!」

 そんな感じで、烈は体中に鞭打の痛みを教えられる。
 技のうちかたは教えてもらえなかった。


・Nさん
 達人烈伝で板垣氏と対談していた中国武術の蘇東成老師のDVDに『鞭手』という技が出てきてたので、烈が鞭打を知ってても不思議じゃないかも。
ていうか多分、鞭打の元ネタそれですね。
 なるほど。たしかに、蘇老師にはそういう技があると聞いたことがあります。
 蘇老師の技術体系は打撃は相手にダメージを与えるためのものではない。
 最終的に投げて倒すための、きっかけとなる攻撃なのだそうだ。
 肉体へのダメージを狙わない「鞭打」という発想は、ここから生まれたのかもしれませんね。


・偽加藤さん
 中国にもしなる鞭はありますよ。
 『鞭』という言葉が指し示す武器の範囲が、日本人のイメージするそれより広いだけで。
 ヌンチャクや三節棍なんかも、二節鞭、三節鞭なんて分類をされたりもします。
 もっともサーカスで見られるような柔らかくて長いものは戦闘用でなく、専ら動物の調教用ですが。
 刑罰に使われるものも棒状ではありますが、ガチガチに堅いわけでなく(堅いと罪人の骨がすぐ折れちゃうので)やはり若干のしなりを持たせてあることがあります。
 ただし棒打ちの刑と同義になってる場合もあるため、革を被せた堅い棒で打つ刑である、というのも完全に間違いではないのですが。
 wikiのほうに若干の誤りというか誤解があるだけです。

・少佐さん
 しなる鞭は皮鞭というそうです。
http://www.gaopu.com/4444.html

 言われてみれば、刑罰用の鞭ってのがありましたね。
 そもそも打撃武器の「鞭」が登場したのは鎧が発達し、剣が通用しなくなってきた唐代(618〜907)です。
 刑罰用の鞭はもっと昔からありました。

 「中央研究院 漢籍電子文獻」で正史を「鞭」で検索すると960件の使用が認められます。
 用例を簡単に見たところ、慣用句・馬用の鞭・刑罰の例が多いようです。
 刑罰の場合、三国志の張既が鞭三十を受けても死んでいないので、威力はあまり高くないようだ。
 劉備が「鞭杖百餘下,欲殺之(鞭杖で百あまり叩き、殺そうとした)」という例もあるので、百回ぐらいだと死ぬこともあるらしい。
 曹叡は「最近無実の罪でありながら[鞭うちのため]死に至る者が多数ある」と言っている。
 鞭打ちはけっこう死に近い刑罰らしい。

 ちなみに、笞(むち)で検索すると殺とセットになっている場合が多い。
 こっちの笞は殺す用のムチなのかもしれない。
 皮鞭というのもあるようですし、しなるムチもちゃんとあったようですね。

2009年6月25日(30号)
第3部 第165話 コロンブスの卵 (821回)

 破壊ではなく、痛みッ!
 痛めつけることに特化した必痛技・鞭打がピクルに炸裂だ。
 未知の痛打にピクルが痛がっている。
 ものすごく身をよじっているぞ。
 ヒザを頂点にした変則ブリッジをしてしまうぐらい痛い。つうか、ヒザ下長ッ。ヒザ下長ッッッ!

 顔のデッサンがおかしくなるほど、よじれている。
 キュビスム的な痛みなのだろうか?
 まさに異次元の痛みなんだろうな。
 さすがに「お父さんを喜ばせなさい!!!!!!」よりは、ゆがんでいませんけど。(G刃牙19巻 169話)

「激痛(いた)がってる…………」
「あれほどの強靭(タフ)が……」


 花山が驚愕している。
 頑丈(タフネス)の代名詞といえば花山薫だった。
 最近はすっかり驚き役になっていますけど……
 耐久力が高い花山だけに、ピクルの打たれ強さを評価していたようだ。
 だが、ピクルはダウンしてグニャっている。

 ようやく動きを止めたピクルの皮膚には刃牙の手形がくっきり残っていた。
 内出血してアザになったのだろうか。
 叩かれて毛細血管がプチプチ破れ、皮下に血がたまっていそうだ。
 鞭打の効果がこれほどとはッ!

「あれが鞭打です」
「日本国の古流体術「空道」に伝わる秘拳」
「我が 中国武術界においても"コロンブスの卵"と讃えられる打技です」


 烈海王はちゃんと日本の武術を研究していたようだ。
 愚地克巳と空手をスゴい勢いで否定したいた頃にくらべると ずいぶん丸くなった。(G刃牙22巻 191話)
 水たまりの良さも理解できたのだろう。

 なお、徳川さんは「空道」の国松先生に技を見せてもらっている。(バキ15巻 133話
 あらためて烈に解説してもらわんでも良さそうだけど。
 ボケたのか?
 烈が気持ちよく解説しているから初耳のフリをしているのかも。
 だとすれば、徳川さんは器がデカいな。

 鞭打は技術立国・日本が開発したオリジナル技らしい。
 ラーメンカレーライスみたいに、独自進化したのだろうか。
 中国武術だけではなく、日本の古流体術までカバーしやがった。今日も烈海王の言葉がほとばしる。
 解説の鉄人・本部以蔵が出場することなく敗北した感じだ。

 前回「あの時 何故あれを思い付けなかったのだ」と烈は言っていた。
 ならば、烈も鞭打を使えるのだろう。
 刃牙に教えられたんだろうな、体に直接。刻みつけられるようにして。
 忘れたいほどの痛みをともなう練習だったから、記憶から抜けたままだったのだろう。

 なお、前回感想で鞭打について追記しています。


「筋肉を0(ゼロ)レベルまで弛緩させ――」
「身体(からだ)の末端まで脱力を極める」
「不思議なことに」
「脱力が実現するにつれ」
「手足は重量感(おもさ)を増す」


 脱力すると威力が上がる。
 このナゾ現象を「不思議なことに」で片づけられてしまった。
 不思議じゃ、しょうがないか。

 筋肉で支えられていた肉体が、脱力すると重く感じる。これは技を使う本人の感覚だろう。
 客観的には、脱力したほうが無駄な力が入らず速くなるのかもしれない。
 威力をもとめる攻撃ではないので、とりあえず速ければイイのだろう。

 とうとう刃牙は表情まで脱力する。
 目は上空をだらしなく見て、口は半開きだ。
 うつろな顔が、怖い。キモい。
 これがウワサの アヘ顔ってやつですか。(ちがう)

 皮膚への痛みは、花山薫だろうが赤ン坊だろうが、同じだッ!
 烈海王の力説に徳川さんも花山も納得するしかなかった。

 脱力ゾンビとなった刃牙が襲いかかる。こいつはホラーだ。
 まるで海豹科の猛獣のような しなやかな動きだ。ツルッ・ぬぺっとしている。打たれたらできる怪我はアザらしい。
 すごい、ライトノベルの主人公みたいッ!
 強い・怖い・キモいの三拍子がそろっている。

「皮膚の全てを標的とした――――
 鞭的な武器を使用する生物は皆無!!」

「た………たしかに…………」

(納得の推理じゃッッ)


 烈さんの説得力、スゲー!
 花山も徳川さんも完全に ダマされ 納得し ている。
 政治の世界に進出したら頂点とれるんじゃないか?
 烈は、片足を失ったが、人間の器は大きくなったようだ。

 鞭打は生物史上・初の皮膚攻撃らしい。
 まあ、当然だろう。
 人間は他の生物にくらべて皮膚が弱い生物だ。
 一部地域を除いて裸じゃ生きていけないほどに弱い。
 理由は毛がないから。

 皮膚は生物にとって体内と外界を隔てる城壁だ。
 本来なら強くないとマズい。
 細胞レベルで見ても、細胞膜はけっこう丈夫らしい。(生物と無生物のあいだ
 他の生物はもっと皮膚が強いから攻撃対象になりにくいのだ。

 普通、生物は毛やウロコで皮膚をまもっている。
 象やカバのような毛のすくない生物は、皮膚自体が頑丈だ。
 だから、象やカバに鞭打をやってもたぶん効かない。だれか実験してください。
 もちろん毛のある生物に鞭打をしても、殴っているのと同じ効果しかなかろう。

 人間誕生の謎はいくつかある。
 なぜ二足歩行をはじめたのか?
 なぜ脳が巨大化していったのか?
 なぜ発情期が無くなり、万年発情になったのか?
 そして、なぜ体毛が一部にしか無いのか?

 謎はともかく、人間の皮膚が弱点なのはたしかだ。
 神の設計ミスともいえる弱き皮膚を狙う。
 ホモ・サピエンスの急所へ攻撃だ。
 だから、毛のある頭で受ければ、あまり痛くない。……ハズ。
 髪の設計は、まあまあですな。

 人類は、運悪く毛の無い生物になったけど、服と家のおかげで生き延びたという説がある。(はだかの起源
 毛を無くした直後は、なんのメリットも無かったけど生き延びることができた、ってのは理屈に合っていると思う。
 別の部分での説明が強引なので全面的に信用しないけど。
 とにかく、頭髪が薄くなっていると気が付いたときに感じるショックを、ご先祖様も全身で感じたのだろう。
 ウホッ! ハゲてるッ! ガビーン!

 というわけで、刃牙は裸族ピクルの弱点を的確に突くのだった。
 エゲツねェ〜〜!
 でも、これは女子供のケンカだよな。

 痛いのイヤ! ってことで、ピクルがはじめてガードした。
 両手を伸ばして守りの構えだ。
 自慢の高速移動でよければいいのに。146話
 あまりの痛みで、思考がマヒしたのだろうか。

 追いつめられたピクルは、四足の構えをとる。
 一撃離脱で、叩かれる危険性を最小にする気だろう。
 本気の本気になったピクルと互角に戦えた戦士はいない。
 刃牙はどう対応するのか?
 次回へつづく。


 壁を背にして、ピクルが来たらよける。そうすればピクルは壁にぶつかって自爆だ。
 今の刃牙には、こういうセコイ戦いが似合う。
 失敗したら自分が壁にぶつかるハイリスクな戦法なんだけど、消極的でセコイ感じが良い。
 それとも、尿鉄砲でピクルの目をつぶして、背後をとったりするんだろうか。
 どう考えても、まっとうな活躍はしなさそうだ。

 ピクルのタックルをどう防御するのか?
 ここからが刃牙の正念場だ。
 合気をつかって飛ばすのか?
 カウンター攻撃して、逆に飛ばされるのか?
 いや、飛ばされたらダメだ。

 常識で考えたら、よけるしかない。
 でも、刃牙は基本的に常識を無視する生物だから、油断できないな。
 地下闘技場の地面が砂ということを利用して、もぐって回避するかもしれない。
 または、上に逃げる。イキオイあまって、また30mダイブしちゃう。

 そういえば刃牙のダメージは回復したのだろうか?
 鞭打で痛めつけるのは、回復のための時間稼ぎだったハズ。
 しかし、気がつくと痛めつけるという行為に熱中していそうだ。
 痛がる姿がこれほど甘美に見えるとはッ! などと言いながら、鞭打しまくっていそうで こまる。

 餓狼伝の丹波文七が体を張ったピザギャグをしていたころ、刃牙はピクルを張っていた。
 あつあつピザも皮膚への攻撃だよな。
 ピクルにたいする最後の攻撃は、ピザアタックか?


追記 (09/7/2)
 ついにピクルが本気になったッ!
 刃牙としては回復までの時間かせぎがしたかっただけだから、本気だされたら作戦失敗だよね。
 本気で時間かせぎがしたいなら、ダメージがあるふりをすれば良かったかもしれない。
 猪狩みたいに俺は立っているので精一杯なんだと力説してピクルを困らせるのだ。
 まあ、実際にダメージあるんだけど。

 刃牙のかかえる問題は自尊心が高すぎることなのかもしれない。
 要するにカッコつけすぎ。
 まあ「俺、カッコイイ!」という感覚は中学生のよって立つべき土台だからしかたがないのだろう。
 あ、刃牙は高校生か。
 三国志の劉備だって若いころは勉強サボっておしゃれとギャンブルやっていたんだし。

 問題なのは、カッコつけた刃牙の選んだ手段が卑怯だということだ。
 真っ向勝負を避けて、痛いだけの攻撃をえらぶ。
 相手より自分のダメージがでかかった克巳の真マッハ突きに比べると、あまりにセコい。
 でも、刃牙基準だと強敵相手を卑怯技で翻弄する俺カッコイイ!なんだろうか。
 素直にダウンしてピクルに肉をわけてもらえよ。

 以上をふまえると、ピクルのタックルを刃牙がどうかわすのか予想できる。……気がする。
 刃牙の展開予想ほど当たらないものも無い。

(1) 弱っている姿は見せない
(2) 卑怯は大歓迎
(3) 俺カッコイイ!(烈海王、大絶賛)

 この3点をカバーする妙手を刃牙はうってくるだろう。
 いまや、烈海王は刃牙の御用評論家だな。
 武術界が涙したユーラシア大陸No.1ヒット激痛巨編と絶賛しそうだ。
 とにかく、主人公はカッコよくあれ。

 とにかく、刃牙は卑怯な手段できりぬけるのは確定と思っていいだろう。
 地面に油をまいて、ピクルを滑らせるような感じの卑怯技が炸裂だ。
 もっとも油なんて用意していないだろうから、代用品が必要だな。
 …………尿?
 いやいやいや。ノーノーノー。尿、カッコわるい。
 現在の刃牙なら もらさずに闘うだろう。

 ならば刃牙の美意識を満足しつつ、卑怯な手段はなんなのだろう。
 つうか体育座りは刃牙的にカッコよかったんだ。(162話
 まあ、グラビアアイドル御用達の美技だしね。

 もしかすると、あの体育座りに秘密があったのかもしれない。
 砂煙が出ているうちに、落とし穴を掘っていたのだ。
 罠を隠すために、刃牙は体育座りをして見せたのかも。
 ピクルが調子にのって突っこんできたら、ズボっと落ちます。

 さらに穴のそこには汚物ッ!
 一粒で二度悔しい設計だ。
 いや、だから排泄物ネタは無いってば。
 刃牙は尿ネタから卒業できた(?)のに、俺はカッコ悪いままだ。
 くそぅ、刃牙め。自分だけキレイになろうたって、そうは行かんぞ。

2009年7月2日(31号)
第3部 第166話 完全憑依 (822回)

 人間(?)の身でありながら数多の恐竜を屠ったピクルの必殺技が、四足からのタックルだ。
 技とは呼べないような単純な攻撃。
 腰の回転もヒジの角度もまったく気にしない。
 全力ダッシュで、頭からぶつかるだけ。

 だが、全身で当たることで、文字通りに全体重をのせた攻撃になる。
 まさにシンプル・イズ・ベストだ。
 たまごかけご飯のような単純かつ強力な一品である。
 ピクルという素材を活かしきることのできる、ワイルドな攻撃といえよう。

 中国四千年を背負った烈海王にとって、苦い思いがある構えだ。
 ピクルの屠龍タックルは 烈海王すら一撃で倒した。(13巻 100話
 四千年の英知も 理も、すべて破壊しつくすロードローラーのような圧倒的パワーがある。
 克巳はタックルを止めることに成功した。だが、かわりに腕一本を失う。(16巻 130話
 このタックルに勝てた生物は、いまだ地球上に存在しないッ!
 勝てる可能性があるのは、範馬勇次郎ぐらいだな。

 大砲に照準をあわされているような危険きわまりない状態だ。
 でも刃牙はよそ見をしている。
 なに、そのゆとりッ!?
 脱力と油断は別物だよ。
 たしかに範馬刃牙は油断が大得意だけど。

 おっ、刃牙がふりむいた。
 とりあえず、よそ見で死亡は回避できたようだ。
 だが問題はピクルの屠龍タックルをどう防御するのかだけど……
 刃牙に策はあるのだろうか?

 ピクルは読者に尻をアピールして攻撃の態勢だ。
 なんというセクシーショットか。
 ピクルは読者にもキビしい技をしかけてきやがる。
 もっと布面積を増やして欲しいのう。

「もう」
「鞭打……は使えねぇな」


 花山もむずかしい表情をした。
 鞭打は、しょせん痛みで相手をひるませる技だ。
 突進してくるピクルを止めることはできない。
 ならば、どうする?

 刃牙はゆら〜な動きをやめない。
 そのまま鞭打なのか?
 いや、脱力するなら消力(シャオリー)というコトも考えられる。(バキ26巻 229話

「虎形拳(こせいけん)ッッ」
「!!?」「!!?」


 刃牙の動きはムチではない。
 手は虎の爪のごとく形づくられ、背景効果に猛虎の姿が浮かぶ。
 これは日向くんのタイガーショットもビックリだ。
 烈の解説によれば、虎の形と虎の勢いがある拳法らしい。

 いきなり見慣れぬ動きをしたため、ピクルは戸惑っているようだ。
 さらに刃牙は動きを変化させる。
 両手を大きく羽ばたかせ飛びあがった。
 烈海王が吼える。吼えまくる。

「鷹爪拳(ようそうけん)ッッ」
「蟷螂拳(とうろうけん)ッッ」
「猴拳(さるけん)ッッ」
「熊掌拳(ゆうしょうけん)ッッ」


 スゴい、烈海王が間髪いれずに解答していく!
 いやいやいや。ものまねクイズじゃないんだから。
 刃牙のくりだす怒涛のモノマネに、ピクルはうっかり見入ってしまう。
 文化でピクルの攻撃を封じたのか!? デカルチャー!

 刃牙の技は単なるモノマネではない。
 ちゃんとした武術の技だ。
 動物の動きにヒントを得て考え出された。
 昔も今も人類は自然から学んでいる。
 新構造で話題の多い水着も、以前はサメの肌を参考にしていた。(参考

(動物の形をとり入れる象形拳)
(これ程 完璧に憑依できる天才性は見事と言う他ないが―――)


 烈海王も絶賛する憑依だ。(形意拳
 いやいやいや。憑依って。 ターちゃんじゃないんだから。
 動物が憑依しなくても武術は使えるぞ。
 熊になりきっちゃったら、ハチミツの誘惑に勝てなくなるような問題も発生しそうだ。
 紅天女でも目指しているんですか。
 わかる。わかるわ。熊の気持ちが……

 だが、動物になりきったところで、相手はピクルだ。
 熊だろうと、虎だろうと、パンダだろうとエサにすぎない。
 捕食される動物をマネているうちは、ピクルを超えられないのだ!
 つうか、刃牙なら熊だろうが虎だろうが倒せるだろ。
 パンダは……。ちょっと、殴りにくいだろうな。パンダは。
 と、いうワケで『風が如く』(AA)の戦うパンダ・坂田さんがチャンピオン最強候補だ。

 自分より弱い動物を憑依させてどうする。
 加藤に弟子入りした克巳なみの意味不明行動だ。
 しかも、克巳は加藤のことを全然尊敬していないっぽいし。
 話がそれた。
 刃牙は現状じゃ勝てない。

 烈が心配していたら、刃牙は新たな動物を憑依させたようだ。
 天才の実力が舞台を荒らしまくるか?
 スポットライトを浴び、刃牙は天を見上げる。
 刃牙はスキだらけだけど、ピクルは動かない。
 ピクルも、刃牙の演技に引きこまれているのだろう。

(何を――――)
(何を演ずる…!!?)


 解説の烈海王が見守るなか、刃牙の演技がはじまる。
 腕を振りおろし、足を踏みしめた。
 なんとなく、『マッハ!!!!!!!!』(AA)でやっていた古式ムエタイの演武にも似ているような?
 烈老師、解説をお願いいたします!

(ウム……)
(これも動物だな…)
(しかも…… 力強い……… 相当に…ッッ)
(でかいな……)
(相当に……)(大きい……)
(……?? この形は!!?)
(これは――――  象………!? 犀(さい)……!?)

「……………………ウッソ……」
「ト………………………ッッ
 トリケラトプス……………
 ―――――――――拳ンン!!?」


 ショックッ!
 正解はトリケラトプスだった。
 こっちが「ウッソ」って言いたいよ。
 イタコが先祖の原始人を呼びだしちゃったような衝撃だ。
 日本語どころか、あらゆる言語が通用しねェよ。
 なに、憑依させてんの!?

 つうか、トリケラトプスだとわかる烈もすごいよ。
 評論家がいてこそ、芸人のやっていることが理解されるワケですね。
 四千年の英知はトリケラトプスも理解していたのだ。
 そして、この瞬間こそ『範馬流・三角龍(トリケラトプス)拳』の誕生である。
 両手と左ヒザが三本の角をあらわしているようだが、どれぐらい実戦的なんだろう。

 かつての好敵手が登場したことで、ピクルは衝撃をうける。
 思わず、四足の構えをといてしまった。
 刃牙もスキだらけだったけど、今のピクルもスキだらけ。
 演技にダマされピクルは攻撃の機会をのがす。

 次回、三角龍拳の秘技が炸裂するのだろうか?
 いやいや刃牙の進化はもう止まらない。
 次回は覇王龍(ティラノサウルス)拳だッ!


 刃牙がカッコつけ、烈が絶賛するのは予想していた。
 そして、やっぱり予想の左ナナメ上あたりを行かれた気がする。
 トリケラトプス拳は ねェよ。

 ちなみに、トリケラトプスは一般的に→のような復元図になっている。
 刃牙のイメージはフリルのトゲがもっと大きい。
 ただのトリケラトプスではなく、強化された超トリケラトプスなのかも。
 人間との構造が、あまりに違うんですが、どういう動きをするんだろうか?

 しかし、今週の烈海王はノリノリである。
 一流料理審査員の一流リアクションでも、ここまで驚かないぞ。
 烈海王が想像以上に大絶賛している。
 刃牙がティラノサウルスとリアルシャドーしたのは伏線だ。15巻 122話
 だから、次回は本命のティラノサウルス拳も出すと思う。
   恐竜王国〈3〉トリケラトプス (恐竜王国 (3))
トリケラトプス デスクトップモデル

 どちらにしても、本当に刃牙はまともに闘う気がないらしい。
 はやく体力を回復させて、試合にもどって欲しいものだ。
 演技で、かなり元気に動き回っている気がするんだけど、本当は回復しているんじゃないのか?
 サボりたいだけだろ。
 普段は道端の雑草のように出番がないのに、いざ闘うとなると徹底的にサボる。
 バキ……恐ろしい子……

 刃牙が恐竜を憑依させて喜んでいるところ悪いのだが……
 けっきょく、どの恐竜もピクルに勝てなかったんだよね?
 トリケラトプスも、ピクルのエサだ。
 虎や熊を憑依させたのと、たいして変わらんぞ。


追記 (09/7/8)
 西暦2009年7の月、超古代の動きを取り入れた最新の拳法が誕生した。
 その名も『トリケラトプス拳』だッ!
 いやいやいや。ねぇよ、さすがに、それは。

 などとツッコミたくなるのだが、できてしまったものは仕方がない。
 出されたネタは すべて受けきる。それがファンサイトのたしなみというもの。
 覚悟の量を間違えたら、あの世行きだ。

 とりあえず、トリケラトプス拳がどんなモノか考えてみよう。予想するだけムダな気がするのはいつものコトだ。
 そもそも、形意拳って有効な動きをマネるだけで、そのものになりきる必要はないハズ。
 大きさや重量感をだす必要ないと思うのだが、刃牙はやらずにはいられないのだろう。
 じゃあ、蟷螂拳で憑依したら、本物のカマキリなみに小さくなれよって話になるんだけど。

 トリケラトプスは三本のツノと首まわりに大きなヒダをもっている草食恐竜だ。
 ヒダのせいで後方の視界が悪い。
 なので肉食恐竜に襲われると、つねに正面を向いて構えたものと思われる。
 肉食恐竜が近づいてきたら、ツノでカウンター(?)を取るのだ。
 だから刃牙の闘いかたも似た感じになると思う。

 両手と片ヒザを三本のツノに見立てて刃牙は構えている。
 不自然でバランスの悪い構えだから、すばやい動きはできな い。
 刃牙の動きもカウンターを取るものになるだろう。
 自分から動かないで、相手のミスにつけこむ。
 なんとなく、刃牙に合った戦術という気がする。

 現在の刃牙が狙っているのは体力回復をするための時間かせぎだ。
 待ちの姿勢こそ、刃牙スタイルといえよう。
 だから、本気でトリケラトプス拳に賭けているワケじゃない。
 ピクルがタックルしそうになったら、新作の憑依拳を見せて、また時間かせぎをする。
 と言うワケで、次から次へと新作発表する展開が、イチバンありそうだ。

 それとも、本気で三本ツノ攻撃をする気だろうか。
 実際にティラノサウルスを撃退したトリケラトプスの化石が発見されている。(肉食恐竜の真実「ティラノサウルス」)
 だから、トリケラトプスが強いのは事実だろう。
 でも、刃牙にはツノがない。圧倒的にツノが足りない。
 思い込みの力でツノ出すんだろうか?
 その姿、まさに鬼<オーガ>だ!

そんな発想、刃森尊が15年前に通過している!!朝目新聞さん情報)
 そういや、ノリタカにあったような……(うろおぼえ)

 あと、掲示板で74さんに教えていただいたのですが。
あれ、これって辰天昇・・・
いや若い人は”押忍!!空手部”知らんでしょうが
昔のヤンジャンの格闘漫画で型意拳で次々に獣を憑依させ最終的に竜の力を具現化
する必殺技があったんです。
トリケラトプスも竜っていえば竜だし
ゲバルの地球拳も加味すれば極楽蛙鳴昇になるな
 『押忍!!空手部』! これまた懐かしいですね。
 インフレのひどい漫画を集めたらまちがいなくTOP3に入る作品だ。
 強い動物のマネをしたら強くなれるという思想は昔からあるんですね。

 ちなみに最古の中国拳法とも言われているのが、三国志・華佗伝(AA)に伝わる「五禽之戲」だ。
 『一曰虎,二曰鹿,三曰熊,四曰剥,五曰鳥(虎、鹿、熊、サル、鳥)』の動きをまねて躍(は)ねまわる。
 華佗は健康術といっているが、足腰も鍛えられるらしい。
 まちがいなく、戦闘にも有効であろう!
 1800年ぐらい前に通過されていた!



2009年7月9日(32号)
第3部 第167話 天才性 (823回)

 進化する天才・範馬刃牙が、またやらかしたッ!
 新象形拳・トリケラトプス拳だ。
 トリ……?

 まあ、恐竜ってのは強いってイメージがある。
 強そうなものをパクるのは古代からの伝統だ。
 名前も強そうなものがいい。宿衛兵は虎賁(こほん)というし(三国志8 官職表より)、マケドニアの弓騎兵はドラグーン(竜騎兵)と呼ばれていた。(戦争学
 ウサギ部隊とか、そういう癒し系の名前は弱そうで頼りない。
 まずは、強そうなイメージで攻めるのだ。

 というワケで、刃牙はトリケラトプスのモノマネをするのだった。
 ピクルは、刃牙からトリケラトプスの重量感・力感・ツノ感を感じる。
 ツノの感覚もあるんだ。イメージの上では、すごくトガっているらしい。
 普通、格闘技は強くてナンボの世界だ。
 だが刃牙は戦わなくても強そうと感じさせることに成功した。
 『戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり』。つまり、戦わずに勝つのが最上なのだ。(孫子

 ピクルは刃牙のモノマネ術におどろいて攻撃するのも忘れている。
 文化としてのモノマネに戸惑っているのかもしれない。
 そりゃ、長年バキの奇行を見守ってきた読者だって こまった。
 思わずググって世界に問いかけたくもなる。

 ちなみに、7/5に当サイトが検索された言葉の上位3つは……
 トリケラトプス拳=142回
 スゲェな、トリケラトプス拳ッ!

「なんで あんなことが可能なんじゃ」
「170センチに満たぬ小男が」
「なぜあんなふうにッッ!!?」


 徳川さんが叫ぶ。
 もはや、ナニを言っているのかワカらん。
 だが、いいたいことは良くワカる。
 読者も錯乱したくなるってものだ。

 トリケラトプスのモノマネで、なんで映像まで見えるの?
 そもそも、モノマネで質感まで出すなよ。
 どんな幻術を使ったんだ?
 徳川さんの発言を翻訳すると、たぶんこんな感じ。

 花山が身長関係ないと的確にツッコむ。
 むむッ! 花山め、いつの間に高度なツッコミをおぼえたんだ?
 さすが外伝で主人公をつとめる漢よのぅ。進化している。
 花山・本人は知らないだろうが、君もミスター・トリケラトプスだ。(14巻 110話

「烈さん」
「アンタならこれもワカるのかい」

「想像力……」
「イメージの力が桁外れなのです」

 ワカっちゃうんだ!
 オレにだって……わからないことぐらい…ある…、と投げても良いんだぞ。(参考
 とにかく、刃牙は妄想力が強いからトリケラトプスと思いこめるらしい。
 そりゃ、毎日(妄想を)鍛えてますから! リアルシャドーで。

 他人をも巻きこむ迷惑な想像力が爆発だ。
 刃牙の圧倒的なイメージ力がピクルたちの脳を侵食しているらしい。
 前回から、トリケラトプスの姿がちがっていて気になっていたけど、謎が解けた。
 刃牙の知識が間違っていたんだ。
 イメージが間違っていても、他人に押しつけちゃうのが刃牙クオリティー。

 かつて、刃牙はルミナにリアルシャドーで幻影を見せた。(1巻 5話
 刃牙は象形拳の動作により、相手を「変性意識状態」にして幻覚をみやすくしたのだろう。(洗脳原論
 おそらくドリアンが表演をして幻覚を見せたのと おなじ方法だ。バキ9巻 75話
 刃牙め、ドリアンの技までパクりやがった。


 烈海王は刃牙のリアルシャドーについて語る。
 実際にダメージを受けるほどの妄想力だ。
 仮想・烈海王と刃牙が戦った駐車場は虐殺現場のようになっていた。
 でも、実際に烈と戦ったときは、あれほど血飛沫が飛んでなかったハズ。
 刃牙は調子にのって自分を痛めつけすぎたのだろうか?

 壁や天井にまで血に染まった手形がついていた。
 当時から、刃牙は妄想で飛べた証拠である。
 そして、今回も刃牙が飛ぶ!
 高い! どこまで飛ぶ気だッ!?

 着地ッ!
 その姿はまるで化鳥のたぐいだ。
 翼竜の代名詞プテラノドンのイメージ体か?
 刃牙は飛んで逃げる気かもしれない。
 飛ばれたら、ピクルだって困る。

 だが、刃牙は逃げない。
 巨大な口を開けるイメージで構える。
 圧倒的な巨大感だ。

「オワッッ」
「T-レックス  たぶん


 やはり、やったか。
 恐竜拳のなかでも最強といわれるティラノサウルス拳(T-レックス拳)だッ!
 まさに恐竜の王だ。ガチの強さ検証無用の、最強イメージ生物。
 虫の王様がカブトムシであるように、百獣の王がライオンであるようにッ、09年春アニメの女王がけいおん!であるようにッッ!

 もっとも、トリケラトプス・翼竜・T-レックスは、すべてピクルに喰われている。
 ムエタイ選手をいくら憑依させても試合で勝てないように、恐竜じゃピクルに勝てない。
 ネタとして面白いが、それだけだ。
 芸人・範馬刃牙は、このあと どーする!?

 もっとも、文化としての芸人を見たことのないピクルは大ショックだった。
 キャラクターの方向性が変わってしまうほどビックリしている。
 いかん。この驚きっぷりはネタキャラあつかいされる前兆だ。
 もう最強候補にはもどれない。

『大地を操る妖術(あやかし)を駆使(つか)う魔者が矢継ぎ早の七変化』
『元の構えに戻ったときには もう遅く――――』
『ピクルのその眼には』
『天下無敵の大怪物に成り遂げていた』

「ここまでくると…」
「魔法じゃの」


 恐竜合体したッ!
 トリケラトプス+プテラノドン+T-レックス=天下無敵の大怪物だ。
 ツノもトゲも翼もあるT-レックスですよ。
 間違ったイメージだろうと、あいての脳にすりこめる範馬流リアルシャドーの発展形だ。
 オリジナルの怪物すら、相手に見せることができる。できるのだッ!

 泣きそうな顔をして、ピクルは後ずさるコトしかできない。
 そりゃ、こんなモン見せられたらどうしようもなかろう。
 無敵の肉体を持っていても、精神は傷つくのだ。
 原人ピクルは文化に敗北するのか!?
 次回へつづく。


 ピクルは恐竜に勝っている。だから、恐竜を憑依させても意味ないじゃん。
 そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。
 刃牙の出した答えがコレだ。
 だったら、もっと強い恐竜を出せばいい。

 そして『僕の考えた最強恐竜』が誕生した。
 ティラノサウルスをベースにしてトリケラトプスのツノをつける。
 翼もつけた。
 もう、どんと来い状態ですよ。

 掲示板で、RZOさんが書いていましたが、まさに爆竜合体アバレンオー状態だ。(爆竜戦隊アバレンジャー
 もう、合体してロボットになってもいいよ。
 いっそ、ガンダムになっちゃえよ。ビーム撃て。
 おまえがガンダムだ!

 ティラノサウルスにツノをつけるという発想はなかったよ。
 なんか『ふしぎの海のナディア』(AA)に出てくるサンソンみたいだな。
 サンソンは妙にツノが好きで、ブラックキングを作るときに「ツノをつけよう」と言いだす。(注:ウルトラ怪獣のパロディ
 グラタン2号を作るときにも「ツノをつけよう」と言っていた。
 きっと、オリジナル怪獣を作るときにも「ツノをつけよう」と言うだろう。
 刃牙と気が合うかもしれない。

 いずれにしても、刃牙のマジックに全世界が泣く。
 ピクルももう少しで泣きそうだ。
 刃牙はホント的確に弱点を攻撃する。
 痛みと恐怖で、ピクルの自我が崩壊しないか心配だ。

 しかし、刃牙はとことん戦いませんね。
 追記で、トリケラトプス拳の動きを予想した時点で、どうせビビらせるだけで使わないんだろうなと思った。
 こまったことに当たりましたね。
 次回も戦わないような気がする。
 戦ったら、ナゾの合体恐竜が妄想だとばれてしまう。
 脳内最強を維持するコツは、現実に向き合わないことだ。

 掲示板で、通りすがるぜ!さんと とらさんへさんに、ジャックがピクルのタックルを防御していたと指摘されました。
 忘れていました。申し訳ありません。
 問題のシーンは18巻 143話です。
 たしかに、ジャックはピクルのタックルを無傷でかわしている。

 マックシングした直後なので、力が重要だったのかもしれない。
 つまり、範馬だから防御できた。
 やはり範馬一族の最強を証明するできごとだったのかも。

 ただ、ピクルにはダメージが無いようだ。
 防御だけしていては勝てない。
 現在の刃牙は、ピクルをビビらせて決戦を先送りにしている。
 夏休みの宿題を後回しにする小学生のようだ。
 どこかで、取りかからないと、あとで大変なコトになるぞ。
 いつか、魔法はとけるのだ。

 しかし、刃牙に魔法使い属性がつくとは思わなかった。
 これなら、ドラクエIX(AA)で刃牙をキャラメイクするときは魔法使いも選択できるぞ。
 武闘家・盗賊・旅芸人もにあう。最近は芸人らしさが光っているし。
 刃牙は、けっして戦士ではない。


追記 (09/7/15)
 進化しすぎた18歳・範馬刃牙が暴走するッ!
 肉のぶつかり合いから、幻術合戦に変化していますなあ。
 なんか格闘家よりも手品師のほうがピクルに勝てるんじゃないかと思えてきた。
 稀代の手品師は戦争を止めたりしているそうなので、油断できない。

 MSKさん範馬勇次郎拳をやるかもと書いていました。
 でも、トリケラトプス拳のときに書いたけど、実際の体重が増えるワケじゃない。
 モノマネしても身体能力は変わらないハズだ。
 勇次郎のモノマネしてもたいして強くならないンじゃなかろうか。

 はるな愛がエアあややをしても、松浦亜弥ファンを奪い取れないのと同じように。いや、違うか。
 まあとにかく松本梢江拳だけはカンベンねがいたい。
 刃牙のことだからエア松本梢江とエアSAGAしちゃうんだろうな。
 ピクルより先に読者がくたばる。

 体力回復するための時間かせぎで変ワザを使いはじめたハズだった。
 気がついたら、変ワザのために闘っているような状況だ。
 いつのまにか手段が目的になっている。
 本当に時間かせぎがしたいなら、背中向けて座れば良い。
 ピクルは戦う意思がない相手を襲わないはずだ。

 リアルシャドー芸でピクルを戦意喪失させるのが刃牙の狙いではない。……なかったハズ。
 今度こそ、本当に戦いはじめるのだろう。はじめるとイイな〜。
 刃牙は、かする攻撃・鞭打・妄想憑依合体拳でピクルを精神的に追いつめた。
 だが、肉体にダメージを与えていない。
 これからの刃牙は無敵の肉体と向かい合っていくのだろうけど……

 刃牙はどうやってピクルにダメージを与えるのだろう?
(1) パクりまくる
 人の技をパクるのは刃牙の得意なところ。
 紐切り、打震、マッハ突きなど とにかく人の技で攻める。

(2) 今のピクルは防御力が低い
 精神的にもデッサン的にも崩壊しかけている今のピクルは打たれ弱い。
 打たれる覚悟をなくしているので、夜叉猿を昼寝から起こせないほど優しい加藤の打撃でも大ダメージだ。

(3) 理屈じゃねーんだよ
 理由は知らんが、とにかく効きはじめる。
 これがイチバンありそうで怖いけど。
 いくらなんでも理不尽すぎだろ。

 まあ、オリバ戦のように力でねじふせているように見えて、実は技を使っている展開になるかもしれない。
 周囲の人間はあっさりダマされるけどな。

(4) 背中に鬼が……
 いや、三本角だから鬼トリケラトプスッ!
 刃牙は最後の切り札をまだ出していない。
 本来は、鬼が宿ってから、打撃が効くとか効かないの議論をすべきなんだろう。
 7月中に背中の鬼を解放するのか!?

 とりあえず、(3)だけはカンベンしてください。


 今週のBGMは、折笠富美子『魔法使いですけど。



2009年7月16日(33号)
第3部 第168話 初対決 (824回)

 ティラノサウルス+トリケラトプス+プテラノドンッ!
 これがッ! これが、大あばれ最強恐竜だッ!
 僕の考えた最強恐竜は無敵だよ。

『こんな怪物』
『見たことないッッ』


 魔術的な恐竜合体拳にピクルはおびえている。
 見たことない、ってホメてんのか?
 皮肉じゃないと思いたい。

 プテラノドンの翼に、この巨体を飛ばせる力は無い。
 ツノを持つ動物は草食動物に多い。(参考:角 - Wikipedia
 肉食獣はエモノを追いかけるので、重くなるツノを持たないのだろう。
 体にジャマなものをいっぱいつけているので、生存競争に弱そうだ。
 そりゃ、こんな生物見たことないだろうな。生き残れないもん。

 究極合体恐竜バキサウルスが襲いかかってくる。
 牙ッ、角ッ、爪ッ、嘴ッ!
 く、クチバシもっスか?
 見えないものにおびえているピクルは、ついていないハズのクチバシにもおびえている。
 恐怖はヒトの判断力をここまで奪うのか。

(天才と言う他ないここまでの展開…ッッ
 しかし――――
 ここから どうする!!?)
(現実の刃牙さんの体重は――――)
(恐竜(かれら)の100分の1以下!!!)

 体重が増えたワケじゃないと烈海王が常識的なツッコミをした!
 妄想力で空を飛べることを烈は知らないからな。
 さすがに体重の100倍化はムリだろうけど、50倍ぐらいならやりそうだ。
 きっと刃牙の足裏には範馬液が分泌されている。
 でもって、尋常でない粘着力が体重差を無効にできる踏んばりを与えてくれるんだ!

 烈海王が常識的なのは、とても心あたたまる。
 でも、常識にしばられていたら非常識キャラには勝てないのだ。
 この上なく非常識な存在である範馬刃牙なら、やってくれる。
 やんなくてもイイことをして、場をあらす。
 範馬刃牙の舞台あらしがはじまるッッ!

 刃牙はT-レックスの構えでピクルに襲いかかる。
 だが、刃牙の貧弱な攻撃ではピクルに出血させることもむずかしいハズだ。
 どうやって、この場をごまかす気なんだろ。
 オマエの天才性を見せやがれ。

 と、刃牙はピクルの手をつかむ。
 まるで、T-レックスに噛まれたかのようなイメージがピクルの脳内でスパークする。
 いやいやいや。恐竜とは、サイズ全然ちがうから!
 冷静になろうよ。ちゃんと手を見ろ。血は出ていないぞ。

 ピクルは格闘技のシロウトだ。
 シロウトの無知につけこむのが サギ 駆け引き である。
 刃牙は手首をひねって投げとばす。
 どうやら、関節をきめる激痛(いたみ)をT-レックスの牙と誤解させたようだ。
 あー、オレオレ、オレだけどと電話して、相手が親しい人とカンちがいさせる、あのテクニックだよ!
 ペ、ペテン師め…… Peッ!

 投げられたピクルは自分の手を見る。
 血は出ていない。そこに気がついたのだろうか?
 だが、刃牙はピクルを冷静にさせる気はない。
 すぐに声をかけて、突っこんでいく。

 今度は、なんの策も計画もなく行く気なのか?
 ごく近いところの成功体験で目がくもり まくりだ。
 そもそも、体力はいつの間に回復しやがった?

(刃牙さんッッ)
(それはヤリ過ぎだッ)

「まともに当たる気か!!?」

(思い上がるな 刃牙…ッッ)

 烈も、徳川さんも、花山も、みんながツッコんだ。
 戦士の二人は声に出していない。
 刃牙に配慮しているんだろうか。
 いや、ちゃんと言ってあげたほうがイイぞ。

 刃牙はバカとの一線を超えてしまった天才だ。
 もはや見分けがつかない。
 なにも考えていないようで、実際に考えていないと思う。
 しかし、結果を出しちゃうのが天才なのだ。
 もはや天災レベル。祈ってやりすごすしかない。

 だから、突っこんでいく刃牙には、秘策があるハズ。
 厳密には無いんだけど、結果がついてくる予定だ。

 プテラノドンが憑依して飛ぶかもしれない。
 そして、また落下して体育座りだ。
 ダメージ回復のために鞭打で時間かせぎして、モノマネでビビらせる。
 いかん、無限ループしてしまう。千日手で、エンドレスエイトだ。今週こそ、決着してくれ。

『どの好敵手(ライバル)とて出逢ったときには初対決……!!!』

 ピクルが覚醒したッ!
 そう、見たことがない敵との初対決は常にある。
 ピクルだって、はじめてティラノサウルスと戦ったときは、初対決だったハズ。

 誰も戦おうとしなかった巨竜に、立ち向かう。
 ピクルは初心にもどり、柵を蹴る。
 竜どもを屠った高速移動がはじまるのか!?
 次回へつづく。


 やっとピクルが冷静になった。
 最初から高速移動をしていれば、刃牙のニセ噛み攻撃にダマされることもなかったのに。
 まあ、刃牙は奇行をしまくっていたから、ピクルも冷静でいられなかったのだろう。

 初対決というものは緊張する。
 たとえば、はじめて食べる料理だって、ある意味 初対決だ。
 友達の家で出されたナゾの料理に箸をつけてしまった瞬間の、あの気持ちを思い出せ!

 初めての飲食店に入るときの、ドキドキする感じだ。
 腹が減ったとき、そこにあった店に入る。そんな野武士っぽい感じでいく。
 野性と野武士は なんか似ている。野がついているから。
 でも、生野菜定食は野武士だって食べない。(参考:「野武士のグルメ」レビュー(AA))

 格闘技やスポーツで試合をすると、たいてい相手は未知の敵だ。
 とくに始めたばかりのころは、知らない相手ばかり。
 未知の敵を探り、戦うのは理解力や応用力を問われる。
 ピクルは優れた戦士だ。
 すぐに刃牙のペテンを暴くだろう。

 料理やギャンブルだって、未知の食材や、未知のギャンブルがでてくることが多い。
 「鉄鍋のジャン!」(AA)は変な料理ばかり作るし、「ギャンブルフィッシュ」(AA)は変なギャンブルばかりだ。
 未知への挑戦することは、それ自体がすばらしい。

 バキSAGA」(AA)も今思えば未知への挑戦だったな。
 …………………………………………
 挑戦は、ときにツライものらしい。

 完全な情報など望むべくもない。
 敵はつねに不確定要素という霧の中にいる。
 『約二五パーセントの情報が入手できれば、攻撃開始である。』(ゲリラの戦争学
 不死身という未知の怪物ジャックに追われたピクルはちゃんと反撃していた。
 ピクルは霧の中に飛び込んで行ける勇者なのだ。
 ハチ喰ってひどい目にあったりもしたけれど、挑戦はやめない。

 刃牙たちにしても、ピクルと戦うことは初対決だった。
 原始人と戦った史上初の例だ。
 歴史に残っていないだけで、戦っていたのかも知れないけど。
 マイクル・クライトンの『北人伝説』(AA)は、そんな話だった。
 ちなみに、映画版「13ウォーリアーズ」(AA)は、大ゴケしたらしいですが。
 って、この話は前に書いたか。

 烈海王は、原始人に初挑戦した。
 愚地克巳は、超音速に初挑戦した。
 ジャック・ハンマーは噛み合い対決に初挑戦した。

 そして、ピクルは未知の怪物に初挑戦だ。
 もしくは、魔法使いに初挑戦かもしれない。
 ペテン師で卑怯なサギ野郎の姦計を打ち破るんだ!

 それにしても、ピクルが主人公みたいな展開だな。


追記 (09/7/22)
 ついにピクルが反撃にでるようだ。
 天才ペテン師・範馬刃牙の策略にずいぶん長くダマされていたな。

 ピクルから見ると刃牙はとんでもない変体野郎だったかもしれない。
 二人の出会いをすこし振り返ってみる。

(1) 出会い
 花山にピクルの足止めを命令した刃牙は、ついにピクルとの対面を果たす。
 思わず刃牙はピクルを蹴る。
 ピクルは喧嘩を売られたと理解して、刃牙を地下闘技場に誘う。
 だが刃牙は戦いを拒否する。
 とりあえずピクルは弛緩しまくっている刃牙を蹴り飛ばし勝利のおどりをする。

(2) 粘着
 刃牙はピクルが戦う気になるまで近くにいればいいと思いつく。
 ピクルは貴重な肉をわけてあげる。

(3) 侮辱
 ピクルは刃牙に優しくタッチ=最大級の侮辱をされた。
 いきり立つピクルを刃牙は蹴り倒す。

(4) 落下
 蹴られて絞められたピクルは、反撃で30mの落下を行った。
 刃牙は瀕死だ。
 ピクルは刃牙を心配する。
 だが、刃牙はもう一回ダイビングするのだった。

(5) ペテン
 刃牙はダメージをごまかすために、かするパンチ・鞭打・妄想象形拳で戦う。
 ピクルは刃牙のことを妖術使い・魔法使いのたぐいと思い込む。
 だが、相手がバケモノだろうとピクルは戦う覚悟だ。

---------------

 振り返ってみると、刃牙は一貫して正面からの戦いを避けているようにみえる。
 そんなに戦いたくないのなら、一生妄想で戦っていろ。
 地下闘技場戦士から自宅闘技場戦士に転職すればいいのに。
 自宅の最強王者だ。

 主人公といえば野球で言えば四番バッターですよ。
 その四番が変幻自在の秘打で高い出塁率を誇ってもなぁ。
 四番ならホームランを狙って欲しい。

 つねに四死球なんかで出塁することを考えているよ、この四番は。
 しかもボールが当たってないのに、当たったことをアピールして塁に出るタイプだ。
 リアルシャドーで打撃痕を作りだせるから手におえない。


2009年7月23日(34号)
第3部 第169話 スタート (825回)

 短距離走は しゃがんだ状態から走るクラウチングスタートというのが現在の常識だ。
 だが、古代では立った状態から走っていた。(参考
 陸上選手は試行錯誤を重ねスタートの姿勢をかためていく。
 たとえば、平泳ぎの改良からバタフライが生まれて、独立しちゃったように。(参考

『短距離走のスタートの歴史は』
『どこまで水平に近付けるかの歴史と云える』


 スターターの使用などで、人は体を水平に近づけていく。
 人間の体にも慣性の法則は当てはまる。
 静止している上体をそのままにして走ろうとすると、上半身がのけぞってしまう。
 だから、上体を前に傾けて重心を前に持っていく必要がある。

 『中国拳法の中で最も強力な連打をすると言われる翻子拳』では『重心を低くし、前傾するというラッシュ攻撃に最も適した構えをしている。』(最強格闘技の科学
 理屈は格闘技でもおなじだ。

 あとは力をかける方向の問題ですね。
 力を前方に集中することで、前進する力を最大にできる。
 体に車輪がついていれば それでも良いんだろうけど、普通にやったら体を地面にこすりつけるだけですよ。
 だが、身体能力がまるでちがうピクルならば……

『本日―――――― 遂に―――――― 人類初の――――』
『水平のスタートを実行した者が出現(でた)…!』


 そう、超時空原人ピクルならば、柵を蹴って水平ロケットスタートを可能とする。
 柵を足場にしてッ!?
 アイアン・マイケルとおなじ発想だ!グラップラー刃牙24巻 207話)
 マイケルはかするパンチを不発させたりもしている。(同話)
 発想はいいのに、なんで結果が出ないんだろう。無残な……

 前進に100%の力を集中する。
 ゲバルの地球拳と逆の発想……じゃなくて90度回転の発想ッ!7巻 52話
 横方向に打撃を撃つ場合、足と地面の摩擦が威力の限界になる。
 ならば、縦方向に撃つことで、地球の核がもつ硬さを利用するのが地球拳だッ!
 という技だと思うのだが、不発だったんだよな、アレ。

 いっぽうピクルがだす攻撃は、水平方向に100%の力をあつめるモノらしい。
 名づけるなら水平タックル。全部英語ならホライズン・タックル。
 いっそうのこと、パワーホライズン! チャンピオン作品の『おやつ』(AA)からパクりまくる。
 うまく行けば衛星軌道にのりそうな攻撃だ。

 重心を前方にかたむける発想は武術にもあることは上で書いた。
 相撲でも、立ち合いでちゃんと手をついて深い姿勢から突っ込んだほうが威力が高くなる。(格闘技「奥義」の科学
 つまり最速の武道は相撲なのだ。孔雀王 退魔聖伝』でもそんなことを言っていた。
 ならば、大相撲最強伝説が今回の裏テーマだな。国技最強伝説である。
 1/4トンを超える生物と実際に戦う唯一の格闘技が、大相撲なのだ。
 刃牙も相撲をリアルシャドーすればいいのに。


 まるで水泳選手が折り返しのターンをするようだった。
 空気が渦巻いている。
 ピクルの姿は空中を泳ぐ魚のごとし。
 おそらく刃牙のところまで着地なしに飛んでいくだろう。
 重さ200kgの弾丸だ。

『中国武術師範 烈海王氏』
『この時の様子を後にこう語っている』
『"感じた"……と』


 なぜか烈海王インタビューがはじまった。
 烈、なんでこんなコトをしているんだ? 片平恒夫巡査(34)か、オマエは。(バキ5巻 37話
 サングラスしているけど、どんな心境の変化なんだよ。
 まさか、刃牙が本当にビームを撃って、目を痛めてしまったのか?
 サングラス越しでも太陽のような強い光を直接見てはダメだと、あれほど言われていたのに。

 烈海王は悔しいけど感じていた。……と、いうワケではない。
 ピクルが刃牙に向かっていく1秒未満にイロイロと感じていた。
 5トンの恐竜相手に戦うため、ピクルは岩や木を利用して水平タックルをかましていたのだろう。

 柵を蹴ることによる高速移動が、ピクルの本気速度である。(18巻 146話
 ピクルはすでに水平ダッシュを見せていたのだ。
 この速度があるから、恐竜たちに勝てた。

 運動エネルギーは1/2×質量×速度^2だ。
 体重200kgのピクルが体重5000kgの恐竜と互角の運動エネルギーを出すには、5倍の速度を出せば良い。
 ピクルの高速移動なら恐竜と互角のエネルギーを生み出せるだろう。
 もっとも、ピクルは恐竜の踏みつけを受け止めていたから、力でも互角らしい。

 とにかく、ピクルの水平タックルは恐竜と互角の破壊力だ。
 全速力のチーターも置き去りにしそうな速度がある。
 刃牙はどう防ぐのか?
 イヤ、防げまい。
 烈海王は範馬刃牙の敗北を予感した。

 一瞬のできごとでありながら、細かいことを考えている。
 なぜ烈はこれほど考えていたのか?
 烈海王はカレーライスを例にして解説した。
 カレーライスには味・香り・食感など多くの情報がつまっている。
 人間は口に入れた瞬間にそれを感じるのだ。
 おなじようにピクルの攻撃を一瞬見ただけで、烈は多くの情報を感じとったらしい。

 ところで、カレーライスはほとんど日本のオリジナル料理だ。
 相手にわかるように説明するあたりに、烈海王の配慮を感じる。
 昔の烈なら、なにがなんでも中国武術で説明していそうだったけど。
 烈は器が大きくなっている。私もあやかりたいな。

 ところで、烈がはじめてカレーを食ったときのリアクションを見てみたかった。
 きっとスゴい勢いで思考が回転していたんだろうな。
 「熱ッ」(否、辛味!?)「ジュウミンヤ」(肉。ブタではない。牛!?)「ハフ、ホフゥ」(リンゴとハチミツが你好(ニイハオ)
 汗をかきながらカレーを食べる姿が烈には似合う。
 ターバンとか巻いたら、別の意味で似合うだろうな。


 話をもどす。
 カレーを食べたとしたら、味や食感などの情報は 脳の別部分で処理される。
 刺激を受けると脳の各地が同時に発火(反応)するのだ。
 文字通り人間の脳は一瞬で多くの情報を感じとっている。
 それらの情報が統合されて、人はカレーという存在を感じているらしい。
 (参考:脳の中の「私」はなぜ見つからないのか?意識は科学で解き明かせるか

 生の情報をまとめて、わかりやすいカレー像を完成させる部分は無意識が行っている。
 意識が受けとっているのは、わかりやすく編集されたカレーなのだ。
 もともと多くの情報がふくまれていた真のカレーは、意識が受け取るときに幻のカレーになっている。
 すくないデーターだからこそ、意識は流れつづける時の中で、カレーに注意をはらえるのだ。
 というのが、『ユーザーイリュージョン』(AA)の話だ。(9巻 70話

 烈は、それをもう一度元の情報にもどそうとしているのだろう。
 ピクルが柵を足場にしたこと。そこから生まれた構えと、意味。生み出された速度。
 烈はピクルのタックルを経験している。
 地面から突撃する低速の攻撃だったが、経験があるのは大きい。
 ピクルのタックルをみて、烈海王の脳は各地で発火したコトだろう。

 あとになって、烈は脳の発火を個別に分析すれば原理もわかる。
 漠然と感じていた思いは、記憶の細部に目をこらすことで合理的な説明がつくようになった。
 本気のピクルタックル、これはペテンで返せる攻撃ではない。
 烈海王は範馬刃牙の敗北を予測した。

「ところがです」
「飛んだのです…………ッッ
 ピクルがッッ」


 刃牙が片手で吹っ飛ばした!
 観客席の最上階近くにまで飛んでいる。
 なにをしたッ?
 合気かッ!?

 だが、烈が言うにはハエを追い払うような動作だけで、相手を飛ばす型は合気にもないらしい。
 未知の料理を出されては、烈海王も分析できない。
 範馬の戦いは難しすぎる。
 烈の脳は完全に鎮火状態だ。

 ジャックがピクルを飛ばしたのと同じ方法だろうか?(18巻 143話
 いや、刃牙はジャックとはちがい片手で投げ飛ばしている。
 刃牙がやったことは、もっと おぞましい なにかだ。
 そもそも、ジャックがどうやってピクルを飛ばしたのか分からないのだけど。

 ジャックの場合はマックシングした直後だから、マックシングに関係ある理論だと考えていた。
 刃牙も脳内麻薬でマックシングに似た効果をだしたのかもしれない。
 ただ、肉体の力を極限まで高める効果があったとしても、片手で飛ばすのはムリだろう。
 薬の影響で、全身から妙な液体がしみだして摩擦がほとんどなくなるとか。
 ただ、刃牙のことだからジャックより上(変態度が)の方法で解決している可能性ある。

「スゲェな…………」
「ピクルは」
「野郎………… とんでもねェ タマだぜ」

(その時…………)
(花山氏が――――――
 ピクルを語り始めたのです――――――
 刃牙ではなく…ッッ)


 刃牙が花山に見すてられたッ!?
 たしかに最近の刃牙はセコイことばかりだ。
 喧嘩の美学をつらぬく男には、ちょっとカンベンならない部分があったのかも。

 烈には理解できない部分が花山にはわかったようだ。
 ピクルの行動は花山にとってのオムライスといったところらしい。
 よく知っている味だから、理解できる。(疵面1巻 4撃

 刃牙のもっとも古き友が、敵を評価する。
 花山はピクルを どう語るのか?
 来週はお休みで、次回が刃牙三倍祭りだ。
 特別編には、だれが来るッ!?


 今回の謎は二つだ。
(1) 刃牙はどうやってピクルを飛ばしたのか?
(2) 花山はピクルをどう語るのか?


 (1)については、ヒントがすくない。むしろ無い。
 脱力していたから、力ではなく技で飛ばしたのだろう。
 ピクルのスピードを利用したコトも考えられる。
 というか、ピクルの平衡感覚はまだ狂っていて、角度を間違えて自滅したのかも。
 背中の鬼が覚醒すれば、こんなモンという可能性もあるけど……、それはちょっと。

 (2)も、ヒントがすくない。
 花山が評価するからには、男気や侠(おとこだて)の世界なんだろうな。
・魔法使い相手でも逃げださない勇気がある。
・つねに自分より大きい相手と戦ってきたプライドを感じた。
・卑怯な攻撃ばかりしてくる刃牙を相手にしても、常に正面から戦う戦士の美学がある。
・よくみたら背中に侠客(おとこ)立ちがあった。いや、竜客(おとこ)立ちか?
・逆に背中には傷が無い。あるいは少ない。逃げないのが男の誇りだ。完璧超人理論ですな。

 ネプチューンマンは、その後の試合で背中を傷つけられているけど、流してくれや。
 ワンピースでも、ゾロが「背中の傷は剣士の恥だ」と言っていた。
 日本の鎧でも、背中のスキマをまもる部分は臆病板といったりする。(参考
 映画『ロード・オブ・ザ・リング』(AA)の恐るべき戦闘部隊ウルク=ハイも背中を見せない。(感想
 というか、ヤツらの鎧は後ろのガードが無いデザインなんだと。
 背中を襲われるのは逃げるときだけではないのだが、背中の傷を恥とする文化はわりと共通なのかもしれない。
 若さは、ふりむかないことさ!


 今週の名言は「その時、花山氏がピクルを語り始めたのです。刃牙ではなく…ッッ」(省略形)ですね。
 本命キャラから浮気した瞬間に使用(つか)える。

「その時、花山氏がFF13を語り始めたのです。ドラクエ9ではなく…ッッ」 (ドラクエ感想はいずれ日記で書きます)
「その時、花山氏があずにゃん を語り始めたのです。澪ではなく…ッッ」 けいおん!
「その時、デジタル放送推進協会がチデジカを使い始めたのです。草なぎではなく…ッッ」 (復帰、オメデトウゴザイマス)
「その時、とら氏がみつどもえを語り始めたのです。刃牙ではなく…ッッ」 (いや、来週もなにかしら刃牙ネタを書きますよ)


追記 (09/8/5)
 明日は刃牙三倍祭だッ!
 オマケの外伝ガイアはどうせページが少ないので、実質2.5倍祭ぐらいという気もするが。
 まあ、シャアザクだって通常の三倍のスピードと言いながら、実際は1.3倍のスピードだったという説もありますし。

 一週間やすんでいたので、前回からの宿題を思い出してみる。
 次回のポイントは二つだ。
(1) 刃牙は どうやってピクルを投げ飛ばしたのか?
(2) 花山はピクルをどう語るのか?

 変態すぎて卑怯ともちがう感じが出てきた刃牙に対して、興味が薄れてきたらしい。
 花山も真っ向勝負の世界が見たくなったのだろうか。
 そりゃ、刃牙ではなくピクルを語りたくもなる。

 この二つはピクル吹っ飛び事件の裏と表なのだろうか。
 つまり、刃牙が飛ばしたのではなく、ピクルが飛んだ。
 ピクルすげー! と、花山氏が絶賛する。
 例によって数ページを使って解説してくれそうな予感だ。
 刃牙が二話分だから、解説も二倍にする気かよ!?

 最近は烈だけが語っていたから、花山も反撃したくなったのだろうか。
 戦うのは闘技場の上にいる人間ばかりではない。
 場外ではリアクションと解説の壮絶な戦いがあるのだ。

 それにしても、花山が解説合戦に参加するとは思わなかった。
 無口・無表情の花山は人の行動にあまり口出しをしない。
 むしろナレーションが花山の行動を解説するほどだ。
 最近の花山は口数も多くなり、表情も豊かだ。

 木崎はピクルに腕を折られて たぶん休養中だ。
 なにごとも自分でやる習慣ができたのだろうか。
 それとも、組織内の地位が上がって、会話をする必要が増えて性格が変わってきているのかも。
 極端から極端に走って、軽い人間にならないか心配だ。

 花山はピクルのナニを見たのだろうか?
 もしかして、ナニか?
 ふんどしが破れてポロリだ。
「とんでもねェ タマだぜ」
「サオもすごいぞ」
 いやいやいや。こんな会話はイヤだ。

 ピクルが飛んだのは、ピクル自身の意思だとする。
 すると、いまの刃牙はさわるとキケンな生物だ。
 たとえば、尿で結界を張って周囲に湯気を立たせているかもしれない。

 無敵の肉体をもつピクルでも尿は嫌がるだろう。
 臭そうだし、範馬特有の毒があるかもしれない。
 まさに 触るなキケンだ。

 それとも、刃牙がキケンな技を使う気だったのかも。
 脱力した状態から、柳龍光のつかった「低酸素の毒」で、ピクルをやる気だったとか。
 人の技をパクりまくるのが得意な刃牙なら「低酸素の毒」ぐらい平気でマスターするだろう。
 もしかしたら、ドイルの埋め込まれた武器だって、妄想で再現できるかもしれない。
 刃牙のリアルシャドー力は無限だ。

 うっかり、金玉を生で蹴られたシコルスキーを憑依させちゃって、なにもしていないのにのた打ち回ればイイのに。
 刃牙はひとりでダメージを受け、ひとりで逆転し、ひとり自爆する。



2009年7月30日(35号)
刃牙はお休みです

 今週の刃牙はお休みだけど、来週は刃牙三倍祭だ。
 普通に毎週連載してくれるだけでイイんですが。
 刃牙のない木曜日は、なんか水曜日みたいだ。

 刃牙三倍祭の醍醐味といえば袋とじオールカラーの外伝作品だ。
 過去には『板垣恵介 激筆24』『バキ外伝 GaiA(ガイア)』『Extra Round 烈海王』などがあった。
 また、バキ外伝 疵面(スカーフェイス)のプレ連載として『起源(ルーツ)』『恰も獅子の如く』(疵面 5巻収録)もある。

 来週の外伝作品は『ガイア』だ!
 ガイア・シリーズの第二弾が掲載される。
 超軍人ガイアの活躍が読めるのはチャンピオンだけ!

 去年末にやっていた『GaiA(ガイア)』のつづきだろうか。
 前回(?)のガイアは就任目前の米国大統領を護衛していた。
 ならば、今回は辞任直前の総理大臣を護衛したりして。

 個人的にはソマリア沖で海賊退治をして欲しいな。
 大地の神ガイアだけに、水上は苦手かもしれないけど。
 きっと、新しい人格・海の神ポセイドンが誕生することだろう。
 イメージ的には、オネエ言葉をしゃべりながら襲ってくる感じ。

 ガイアはいちおう本格連載を視野に入れているらしい。
 作画協力:富沢ひとし先生は過去に何本も連載をしている実績があるので、疵面のように息切れは起こさない。……と思う。
 しかし、作画協力って肩書きはなんだ?
 全部描くわけではないのかも。

 紛争やテロの起きている近年では、大規模な軍隊より少数精鋭の特殊部隊のほうが必要とされるケースも多い。
 ガイアを必要とする地域は無数にあるのだ。
 ただ、ガイアを主人公にすると格闘漫画というより軍人漫画になっちゃうよな。
 元空挺部隊の板垣先生が原作を担当すれば、おそろしくマニアックな軍人漫画が生まれそうだ。


 ところで、刃牙とピクルはどうなっているのか?
 刃牙は200kgを超えるピクルを片手で投げ飛ばした。
 妄想力で人をなげとばすことができるようになったのか?

 もっとも、花山によるとスゴイのはピクルのほうらしい。
 刃牙と関わるとロクなことがないと見破って緊急退避したのなら、たしかにスゴイな。
 あのまま、走って外に逃げだせば、生き死にの勝負では勝ちになるぞ。

 それとも、刃牙はトリケラトプスの動きを見せることで、ピクルが角をよける動きをしたのかも。
 とっさによける反射神経が並じゃない。
 花山も敵がフトコロに銃を入れているときは、建物の3階ぐらいまでジャンプで回避できるのかも。
 いや、花山は防御しないか。

 刃牙の天才性が強調されるのは構わないのだが……
 ……なんで刃牙の才能って戦わない方向にばかり開花するんだろ。


2009年8月6日(36+37号)
第3部 第170話 柳に風 (826回)

 刃牙が片手を動かしただけでピクルを吹っ飛ばした。
 いったい どんな魔法を使ったのだ!?
 もう多少の魔法じゃ驚かないぞ!
 だが花山はピクルを評価した。刃牙ではなく…ッッ

 さっそく徳川さんが、投げ飛ばした刃牙のほうがスゴいだろと突っ込む。
 人生のベテランだけに徳川さんは立てるべき人を心得ているのだろう。
 闘技場までは遠いから心配ないだろうけど、花山の失言が刃牙に聞こえていたらえらいコトですよ。
 ドMでありながら、ドSの素質ももつ刃牙が 逆恨みで花山を痛めつけるにちがいない。
 48時間、梢江にスネを蹴らせ続けるとか。

 とにかく、花山はもぎたてフレッシュな20歳(推定)だ。
 ウソがつけない。
 余裕ぶっている刃牙よりも、汗ダラのピクルがスゴいと主張する。

「出る力 進む力が強ぇえほど」
「横からの力に弱ぇえってことだ」


 拳銃で撃たれたとき、腹から入った弾丸(タマ)が横ッ腹や肩から抜けることがある。
 花山は理屈や理論で語らない。理由は知らず、現象のみを話す。
 たぶん実体験なのだろう。さすがヤクザ家業だ。
 自慢の豪腕をとられて、刃牙に投げられたこともある。(G刃牙14巻 118話)
 銃で撃たれた経験もある。(G刃牙23巻 201話)
 疵面じゃ撃たれすぎだけどな。(疵面5巻 34撃

 隆慶一郎『花と火の帝』(AA)にも、撃たれたヤクザが布団で銃弾をそらした逸話があった。
 銃弾がそれるというのは、よくあるコトなのだろうか。
 とにかく、ピクルのタックルは弾丸なみだから軽い動作でハネた。それが花山の見解だ。
 花山もこっそり回転しているから、撃たれても平気だったのだろうか。

「花山氏の言葉で思い出した闘いがあります」

 1964年 ボクシング ヘヴィ級タイトルマッチ
 ソニー・リストン VS カシアス・クレイ


 花山の解説を烈海王が拾う。
 壮絶な解説合戦だ。カウンターを取られた。
 163話につづき、またボクシングの例を持ち出してきた。
 烈は、どんだけボクシングが好きなんだ。

 カシアス・クレイ(のちに改名してモハメド・アリ)が、ソニー・リストンの右ストレートをパリング(払い落とし)した。
 リストンの強すぎる推力は、行く先をなくし肩を脱臼させてしまう。
 強すぎる攻撃は、我が身も滅ぼす諸刃の剣なのだ。

 強いから飛ぶ。
 なら、加藤の攻撃に横の力を加えても まったく変化しないハズだ。
 夜叉猿を昼寝から起こすこともできないと評された加藤の軟撃ならブレない。きっと大丈夫。(G刃牙22巻 196話)
 そのまま真っ直ぐ刃牙に命中するだろう。
 脱力しているからモロにダメージを受けて刃牙が悶絶する。
 弱いことも強さにつながるのだ。

 ところで、花山がピクルを「たいしたタマ」といったのは、銃弾(タマ)とかけていたのか?
 花山さんが……、駄洒落かァ〜〜〜〜〜
 160キロを超える体重で駄洒落はあり得ぬと たかをくくった自分に腹が立つ…………ッッッ

 ジョジョ6部でも打撃は横からの力に弱いといっていた。
 『最強格闘技の科学』でも、攻撃の運動量の向きを変えろとしている。
 でも、飛んでいくのは違う気がするぞ。

 上方向の運動量は刃牙が持ち上げる分だけだ。
 常にジェット噴射してれば向きが変わって上昇するだろうけど、この場合は前進の運動量に変化無い。
 なお、拳の場合だと肩(関節)を支点にした運動なので変化が生じる。
 ピクルはタックルだから前進そのものは変わらない。暴走するトラックを吹っ飛ばせないのと同じだ。
 まあ、刃牙なら吹っ飛ばして東京タワーのテッペンに突き刺すぐらいやりそうだけど。


 刃牙は闘技場へ放尿する。
 八角形(オクタゴン)の八辺にマーキングだ。
 砂を変えないことで有名な地下闘技場に新たな汚物が投入された。
 これ以上、ワシの闘技場を汚さんでくれッ!

 やはり範馬刃牙といえば尿ッ!
 尿を出してからが本気で本番だ。
 好きな物質はCH4N2O=尿素!

「どうよ……」
「ギリギリ8か所のマーキング」
「そんなところで怖気づいているうちに――――」
「俺の縄張り(テリトリー)になっちまったぜ」

 放尿して勝ち誇る18歳ッ!
 それが範馬刃牙だッ!
 最悪が具現化して人の形をとったらコイツになるのか?
 闘技場を まんべんなく尿で汚しやがった。

 徳川さんはさすがにショックを隠せない。
 烈海王はなぜか感心している。
 花山は白目で笑う。
 白眼視ってやつですか? ハハ……

 ピクルは怒ったッ!
 そうだ。今、お前は怒っていいんだ。
 いっきに飛び降りて刃牙の前へ立つ。
 刃牙の魔術にビビっているのか、まだ汗ダラだ。
 でも、ヤル気だ。卑怯な技に逃げたりしない。

「もういいだろ」
「手品は終わりだ」


 ついに刃牙が手品終了を宣言した。
 なんか上から発言だ。
 頼まれて手品をやっていました みたいに聞こえます。
 手品をやったのはピクルのせいだ。俺は悪くない。

 吹きすさぶアンモニア臭がよくにあう。
 ダメージが ついに完全回復した(?)範馬刃牙がピクルと真っ向勝負する気だ。
 なんか、最後のほうは手品でダマすことに愉悦(よろこ)びを感じていたように見えたが、改心したらしい。

 ホモ・サピエンス同士、真っ向勝負する気だ。
 やぼなツッコミだが、ピクルはホモ・サピエンスじゃないぞ。
 ネアンデルタール人がホモ・サピエンスじゃない以上に、ピクルはホモ・サピエンスではない。
 骨格があれだけ違えば、立派に別種の生物だ。生きてきた年代もちがいすぎる。
 現代人と進化の年代が開きすぎているから、収斂進化でたまたま似た姿をしている別の生物なのだろう。
 空を飛べても鳥とコウモリがちがう生物であるように、現代人とピクルは別の生物だ。

「バカでしょ……?」

 そりゃ、烈海王もツッコミたくなる。
 いや、烈は真っ向勝負したがる刃牙をバカと言っているんだけど。
 なんつうか範馬刃牙の全存在に向けてのメッセージという気がしてならない。
 そして、バカの真っ向勝負は刃牙三倍祭の第二弾へとつづくのだった。


・おまけ ソニー・リストン VS カシアス・クレイ
 残念ながら、肝心なパディングのシーンは出ていません。


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