餓狼伝 (VOL.161〜170)
←VOL.151〜160 ↑最新↑ VOL.171〜180→
バキ バキ外伝 疵面 バックナンバー 日記 掲示板 リンク TOP
2006年1月10日(3号)
餓狼伝 Vol.161
もはや噛ませ犬はいないッ!
弱者という贅肉を落とし、北辰会館 空手トーナメント三回戦がはじまる。
残っているのは犬など問題にもならない猛獣ばかりだ。一部にヒコイチという名の馬がいるけど。
一回戦は長田弘と工藤健介の体重合わせて243Kg以上が闘う。
まずは体重120Kgの工藤が試合前のウォーミングアップを開始する。
工藤の前に完全武装の後輩が立った。
頭には防具のスーパーセーフをつけ、体にはキャッチャーのような防具をつけている。
肩・腿・スネ・金的までがっちりとガードした、まさに完全武装だ。いや、完全防具か。
戦国武将のようないでたちになった後輩が工藤のまえでガードをかためる。
「先輩ッッ 遠慮なくッッ」
工藤が両手を広げ気味にして前進する。
あまり防御を考えていないようだ。
顔の前で両手をかためるピーカブースタイルっぽい構えの後輩とは対照的だ。
工藤のウォームアップは守りをかためた後輩をひたすら殴るモノなのだろうか。
工藤が打ちこもうとした瞬間、後輩が先に手をだした。
まともに左拳が工藤の鼻にメリこむ。
だが工藤は意にかいさず右拳を打ちこんだ。
後輩は右手でガードしているのだが、腕が動いてスーパーセーフにぶつかったらしい。
そして、体がフッ飛ぶ。足が地面をこすって、後退する。
殴り合っているので、ちゃんとしたスパーリングのようだ。
ガードした右腕がビリビリビリっとしびれてしまう。
それでも工藤が追い討ちをかけに迫ってくる。
右腕が動かないためか、後輩は右ハイキックで工藤を攻撃する。
工藤の頭に直撃した。
しかし、工藤はとまらない。剛毛な足で強烈な中段蹴りを叩きつける。
左手でガードして体を丸める後輩だが、そのまま壁まで飛んでいく。
まるで大人と子供が闘っているようだ。
後輩の攻撃はまともに当たっても工藤には全然きかない。
逆に、工藤の攻撃はガードしていても大ダメージだ。
大人と子供というより、人間と猛獣並みのちがいがある。
後輩は回想する。
かつて工藤が人間は羆(ヒグマ)に勝てないといっていた事を。
もちろん素手限定だろうが、たしかに普通の人はヒグマに勝てない。
牛を倒した松尾象山ぐらいじゃないと勝てないだろう。
「ならば どーする」
「なっちまえばいいんだよ羆に」
「あの人は夢を叶えたんだ」
ヒグマになったのか〜〜〜〜〜〜!?
おれは人間をやめるぞ! ジョジョ―――――ッ!! って事なのか!?
人間を別方向に超越しちゃったよ、この人……
私もクマだとかヒグマだとか呼んでいたけど、本当にヒグマだったとは。
二歩足 立って歩ける ヒグマかな。
思わず一句よみたくなるインパクトだ。
ちなみにヒグマは冬の季語だ。季節感バッチリじゃねぇか。
丹波文七は梶原と戦うためにクマのきぐるみを使用(つか)って試合後に乱入した。
工藤は強くなるため、ヒグマになってしまったようだ。
となると、今は人間のきぐるみを使用(つか)っているのか?
『3回戦 第一試合ッッッ』
『"剛よく剛を断つ"力対力の実現だッッ』
だが、工藤"ヒグマ"健介は知らなかった。
長田弘もまた肉体にクマを飼う男だということを!
いや、知っているかも。
今までの長田の戦いを見ていれば、おのずと知れるもの。
クマの道はヒグマということか。
共に偉大なクマを持つ者同士の共有感(シンパシー)。ともかく一頭が奔(はし)り出しそうだ。
というワケで、力で力に対抗する筋力クマ祭りが開催される。
投げるクマが強いのか? 殴るヒグマが強いのか?
人知を超えた死闘が期待される。
決まり手は、クマだけにベアーハッグかな。
前回、鞍馬と片岡を中量級と書きました。
それに関して不破天斗さんからメールをいただきました。<略>
二人とも立派な重量級かと思います。
僕は柔道出身なので、空手の階級とかは分からないのですが・
・・軽量級とか重量級は下記のように呼んでいます。
軽量級・・・60kg以下級・66kg以下級
軽中量級・・・73kg以下級
中量級・・・81kg以下級・90kg以下級
軽重量級・・・100kg以下級
重量級・・・100kg超級
<略>
たしかに、二人の体重は中量級とはよべないですね。
残った選手の中では、と言うことにしておいてください。
情報、ありがとうございます。
あと、鞍馬のケータイについて冷奴さんからメールをいただきました。<略>
鞍馬の携帯って、折りたたみでなくて一本型(?)ではなかったでしょうか?
<略>
情報ありがとうございます。
鞍馬の携帯にかんしては なんとなく憶えていたのですが、イヤガラセを思いついちゃったので書きました。
クサヤとかドリアンをすりこむなども考えたんですけど、パンツの中にケータイを入れる鞍馬が相手では多少におっても平気っぽいし。
におったり ヌルヌルしたりするより、ケータイを使えなくなるほうが、鞍馬には効くだろう。
鞍馬にとってのケータイは、ドラクエにとっての「ザオリク(蘇生呪文)」みたいなモンだ。
なると瀕死の重傷でも立ちあがる。
片岡と闘って臨死体験をすれば鳴りだすかもしれない。
今大会ではあまり危機におちいっていないためか、ケータイが沈黙したままだ。
考えにくいのだが、ちゃんと電源を切るかマナーモードにしているのだろうか?
もしかすると、グレート巽に人質にとられていたりして。勝たなきゃ破壊するという感じで。
ひょっとすると、すでにフラれているからケータイがならないのかも。
PS2ゲーム『餓狼伝Breakblow』で、鞍馬が使う三つの奥義(必殺技)はすべて作中に登場したものだ。
ムカツクことに、どれも性能がいい。だから鞍馬はかなり強いキャラだ。
他のキャラは使えない奥義をひとつぐらい持っていること。鞍馬だけズルイと思う。
いっそうのこと、鞍馬にダウン中に発動させると携帯がなってゲージ回復とかでもよかったかも。
もちろん、電話にでる前に攻撃したら回復失敗だ。
携帯の音に心折られて負けたら、すごくシュールな図になってしまうのが欠点だが。
寸止めに負けたような感じか?
とにかく次回は、超重量級の対決だ。
今までにない最大のド突きあいになるだろう。
ぶつかり合う二大クマの肉の間に、こっそり鞍馬のケータイをはさんでみたいものだ。
2006年1月24日(4号)
餓狼伝 Vol.162
熊の頂上決戦だッ!
長田 弘(プロレスリング 183cm 123kg) vs. 工藤建介(北辰館 193cm 120kg)
巨漢の二人が激突する!
さすがに三回戦になると怪物度がちがってくる。
同じ怪物でも、特級の怪物だ。
とくに工藤は人の皮をかぶったヒグマである。
不測の事態への備えで、陣幕の外側に鉄砲隊が配備されていてもおかしくない。
(工藤建介 優勝候補の一人と聞く)
(今日 俺が初めて体験する――――)
(俺以上の体力(パワー)の持ち主)
怪力乱神の工藤をまえにして、長田もちょっと不安らしい。
大会中の工藤は、ほとんどしゃべっていない。
人間ヒグマにちゃんと人語が通じるのだろうか。
冬のクマは凶暴だという話もある。いや、作中時間が冬だったかどうか、忘れましたけど。
とにかく、試合がはじまった。
同時にゆらァ〜〜‥っと工藤が前進する。
歩くだけで、獣臭がただよっているのか。
気の弱い犬ならシッポをまたの間にはさんで失禁しているところだ。
(なんて圧力ッッッ)
工藤の気配だけが先に長田にとどき、気配だけで長田を押し流そうとしている。
まるで激流の中にいるような圧力だ。
きっと梶原と練習していたときには感じたこともない圧力なのだろう。
長田は肉体面で優位にたっていることが強みだった。
巨大な筋肉が生みだす圧倒的な攻撃力と要塞なみの防御力が技の不足をおぎなっている。
だが、工藤は人中の羆といわれる男だ。
一回戦では、圧倒的な攻撃力と防御力を見せつけた。
二回戦では、いがいと器用な部分を見せた。
パワーとテクニックをかねそなえたヒグマが工藤建介なのだ。
冒頭で長田がいったように、長田に負けていない肉体を有している。
(一歩でも退がれば――――)
(押し切られるッ)
苦しいときこそ、前に出ろ!
野生動物に背をむけるのは襲ってくれというようなものだ。
気迫で押しかえさないと、逃げることもできない。
クマに死んだフリなど通用しないのだ!
「ローキック」(これが!!?)「痛」「シンプル」(重ッ)「痛」
「防御(ふせ)いでいながら なおこの衝撃ッッ」
単純なローキックだが、衝撃はヒグマ級だ。
北辰会館の黒帯も持っている梶原の蹴りとは雲泥の差なのだろう。
もうひとりの協力者である藤巻も、どちらかと言うと組み技が得意だ。
未体験である超重量級の打撃が長田をおそう。
長田の足元がくずれる。
考えるヒグマである工藤はスキをのがさない。
左の豪腕フックをぶち込む。
おつぎは右の大砲ボディーアッパーだ。
(まるで羆(ヒグマ)!!!)
左の前蹴り〜〜〜〜〜ッッ!
松尾象山がのりうつったかのような一撃だ。フォームが良く似ている。
館長にあこがれ、毎日研究して身につけた前蹴りなのだろうか。
工藤は人間ヒグマではなかった。空手バカ ヒグマだ!
(押し切られるのかッッ)
(俺(プロレス)が この工藤(カラテ)に)
おしよせるヒグマの連撃に長田は防戦一方だ。
プロレスラーとしてたたかう長田が、空手家に敗れ去るのか!?
闘技場下にいる梶原は汗を流すだけで、なにもできないッッ。
そして、もうひとり。
わが身に苦痛を受けているように歯をくいしばる男がいた。
変装することで、倍は怪しくなって めだってしまった男、藤巻十三である。
「ク…ッ」
「なぜ使わん……ッッ」
「竹宮流をッッ」
カツラを脱ぎすて、サングラスをはずし、つけヒゲもはがして、藤巻が吼えた!
変装が だいなしだッッッ!
そ、そして、ツンデレだァ〜〜〜〜〜〜!
周囲の観客たちが、ツンデレな不審人物に注目しまくっているんですけど、いいンですか?
明日見ぬ、ツンデレ逃亡者・藤巻十三の咆哮が会場中にこだましているらしい。
ツンデレに関しては日記に書いたことがあるので、参考にしてください(1、2、3、4)
コミックス13巻の109話で、藤巻は長田にいろいろと暴言をいう。
「失望した」「才がない」「ペッ(注:ツバを吐く音)」「これほどのボンクラとは」「バカを見た」「今日からまた他人」「もう会うこともない」
よくも、一話でこれだけ言ったものだ。
もちろん、本心は別のところにある。
そして53話後の今回、ついに藤巻が本音をもらした。
「ク…ッ」「なぜ使わん……ッッ」「竹宮流をッッ」
うめき声まで入って、どうみてもツンデレです。本当にありがとうございました。
応援したくても事情があって人前に出られないから。
竹宮流教えたことだって、全部ムダなんだから。
今日はたまたまコート着てカツラつけてヒゲつけてサングラスしたかった気分なの。
つかれたから座ったら、偶然北辰会館トーナメントだったってだけなんだから。
ク…ッ なぜ使わん……ッッ 竹宮流をッッ
なんですか、この人は?
長田が竹宮流をつかわないと、服までやぶりすてそうなイキオイを感じる。
もちろん、下着もやぶって投げすてるだろう。
なんで、藤巻がそこまで追い込まれねばならんのだ。
のこり試合はまだあるのに、いきなり藤巻が崖っぷちに立ってしまった。
東の海原雄山にたいし、西の烈海王といわれるツンデレ海王も、ハダシになりそうなツンデる戦闘力だ。
藤巻十三、恐るべし。
会場の注目を集めちゃっている藤巻の期待にこたえるためにも、長田は勝つしかない。
それも、竹宮流でだ。
でないと、手がつけられないほどに藤巻が荒れる。
逆に竹宮流で長田がかったら、どんな反応を見せるのやら。
べ、べつに竹宮流が勝ったのがうれしいだけで、長田なんか応援していないんだから。プイッ。
藤巻さん、はやく旅にでてください。
長田の問題に戻る。
ついに秘密兵器である『虎王』を出すときなのだろうか。
一撃必殺の『虎王』なら、ヒグマの連撃をうちやぶって逆転できるだろう。
しかし、『虎王』を出すことには問題がある。
この試合に勝っても、長田はあと二回 闘うのだ。
おそらく鞍馬と姫川が相手になるのだろう。
早い段階で手の内をさらしてしまうと、次の闘いが非常にきびしいものになる。
とくに鞍馬は人の技をインスパイヤして自分のモノにしてしまう男だ。
切り札を出さないと今勝てず、出すと次に勝てない。
むずかしい問題だ。
そして、油断すると主人公が出てこないのも、むずかしい問題だ。
もうちょっと話が進むと主人公力を発揮するチャンスがあるかもしれないのだが。
丹波って、堤と闘ったときが最初で最後の輝きだったのだろうか………
2006年2月14日(5号)
餓狼伝 Vol.163
人間をすて、ヒグマになった男がいた。
ヒグマの魂をもつ漢・工藤健介がクマになりきれない男・長田弘に突撃する。
ツメのイメージがわきでるようなアッパーを放ち、フックを打ちこむ。
このクマ、コンビネーションを使用(つか)いやがるッ!
『羆の攻撃が防げぬなら』
『己が羆になればよいッッ』
『空手家・工藤の有名な言葉です』
ゆ、有名だったんか!
ヒグマをめざす異端の空手家として、工藤の迷言が業界に知れ渡っていたようだ。
はじめて工藤が「ヒグマ」になると言いだしたときは、関係者全員が頭を抱えたと思われる。
おそらく「頭部への打撃がマズかった説」が流れたのだろう。
以下は勝手な推測だ。
(1) 昔の工藤は虚弱児の見本みたいな人だった。
(2) しかし、ヒグマ・ワーカーを手に入れてから見違えるようにたくましくなった。
(3) オマケに少なかった体毛もばっちり生える。
(4) 今では街に出るだけで であった女性が黄色い悲鳴を上げる毎日だ。
(5) 銃を持った猟師にも追いかけられる。
ヒグマ・ワーカーは少年チャンピオンの広告になったりするのだろう。
しかし、少年チャンピオンの広告って、あやしげなのが多いんだよな……。
あやしげな商品を買ってくれる読者層だと思われているのだろうか。
どちらにしても、ヒグマになると言いだした工藤少年(?)の夢が実現したのは、松尾象山の北辰会館だからだろう。
松尾象山だったら、なんでもアリだ。
少年部、女性部、一般部、ビジネスマン部などの他にも、動物部があるかもしれない。
ヒグマ空手だけではなく、猛牛空手やアナコンダ空手もありそうだ。
基本的に松尾象山の稽古相手をつとめて、大部分が殉職する。
ヒグマの連撃を喰らって、長田がバランスを崩す。
野生動物は獲物が見せる弱みを見逃さない。
工藤が跳躍した。
オキテやぶりのフライング・ヒグマ・ドロップキックだァッ!
このヒグマ、跳躍(とべ)るのかッッ!
すげェよ、ヒグマ。惚れてしまいそうだ。
たまらず長田が場外までふっとんだ。
空手家が(しかもヒグマ)、プロレス技を使いやがった。異常な展開に観客がどよめく。
しかし、セコンドの梶原は落ちついている。
この展開は予想の範囲内だったのか?
むしろ、落ちついていないのは藤巻だった。
いや、ホント、君は落ちついたほうがいい。
外したカツラが手元にない。勢いあまって投げすてちゃったのだろうか。
「自ら変装をかなぐり捨てるとは……」
「己の強さと………」
「竹宮流以外には何一つ興味がないと思ってましたが……………」
藤巻をおいつめる警部にとっても意外な 藤巻カミングアウト現象であった。
べ、べつにアンタになんて興味ないんだからねっ。
などと藤巻はいっていたのだが、行動がまるで逆である。
いちおう世間的には、泉冴子にも興味があったはずだ。
しかし警部の分析では「藤巻は冴子に興味なし」となっているようだ。
じゃあ、長田への思いはなんですか?
(竹宮流を使え 長田ッッ)
声に出さないだけまだマシだが、あいかわらず熱いエールを送り続ける藤巻十三(属性:ツンデレ)であった。
あんまり焦らすと会場に乗り込んでいきそうな感じだ。
長田がすみやかに竹宮流を使わないと、ほんとうに大変な事になってしまうぞ(藤巻が)。
「い〜〜〜いドロップキックだったぜ」
(お陰で目ェ覚めたァ……)
長田がついに目覚めた!
よいよ竹宮流を解放するときがきたのか。
はやくしないと、藤巻がもう限界だ。
長田は両手を広げ、スタンスも広くとった。
そして、ノーガードで殴られる。
骨を断たせて肉を切る。目覚めたのはプロレスラーの原点だ。
でも、竹宮流をつかわないと、ちがう人の骨とかが折れそうだ。藤巻のとなりにいる人の骨がポキっと。
「へっ」
「どってことねェ……」
打たれる覚悟を決めたプロレスラーは 難攻不落の要塞だ。
藤巻の切なる願いだって通用しません。
ツンデレと鈍感は数年連載をつづけても仲が進展しない最強・最悪のカップリングだ。(主に高橋留美子系)
長田も数年ぐらい竹宮流を出し惜しみするかもしれないぞ。
「この……」
「芸達者なクマさんが……」
打たれながら、捕る!
長田が工藤の両襟をつかんだ。
多少打たれても、つかんでしまえばこっちのものだ。
とにかく つかむのがプロレスラーの戦術である。
工藤の首に喰らいついた長田は、どうしとめるのか?
竹宮流は爆発するのか?
むしろ、藤巻が爆発しそうだ。
次号、決着か!?
藤巻の精神衛生上よくないので、長田には竹宮流をつかってもらうしかない。
執念深い藤巻だけに、ツンデレの根も深いのだろう。
しかし、そこまで竹宮流をつかって欲しいのか。秘密の技だったハズなんだが。
それでも、長田がプロレス技で仕留めちゃったら、藤巻がスゲェ怒りそうだ。
で、竹宮流を使ったら もうデレデレでしょうか。
となりのお客さんをつかまえて自慢しまくりそうだ。
一通り自慢が終わると落ちているカツラとヒゲをひろって、つけなおす。
かえってあやしい。
藤巻がガマンできなくなった場合、丹波からクマのきぐるみを借りて乱入するかもしれない。
とつぜん乱入してきたクマに会場は騒然となる。
乱入した責任をとって、藤巻が場を収めなくてはならない。
「なんだ、このクマは!?」と聞かれたら、「俺は長田の恋人だ!」と、いきおいで誤魔化すしかない。
翌日のスポーツ新聞には『プロレスラー長田弘 熱愛発覚』の文字がおどっているはずだ。
2006年2月28日(6号)
餓狼伝 Vol.164
チャンピオン連載の『範馬刃牙』では主人公が巨大カマキリの妄想と戦っている。
一方『餓狼伝』では長田弘が人間ヒグマと闘っていた。
こちらは、妄想ではなく実体だ。ヒグマをめざした空手家・工藤健介と闘っている。
刃牙と長田は、同じような事をやっているようだが、方向性が全然ちがう。
ファンタジーとリアルファイトのちがいだ。
やっぱり人間同士の闘いでないと、イロモノになってしまう。
長田が工藤の襟をつかんだ!
組みついてからはレスラーの領域である。
ただし、襟をつかんでいる。はだかで組みつくレスラーとは異質のつかみだ。
もっとも、襟をつかむほうが 体をつかむより楽だからかもしれないが。
腕を交差して襟をとるのは柔道ともちがう。
柔道も絞め技に入るときは、こういうつかみが出るかもしれない。
だが、立っている状態なら こうはつかまない。
このつかみはいったい!?
「オオ…ッッ」
(あの掴*みッッ) [* 漫画では「掴」が「手へんに國」の正字表記]
おもわず藤巻がほえる。
おちつけ。
アンタめだっちゃダメなんだろ。
すでに周囲に注目されるパフォーマンスをしているが、これ以上に目立つことはない。
工藤に打たれながらも、長田は手をはなさない。
体重をいきなり下にかけて、工藤のバランスをくずす。
藤巻も今にも飛び出しそうな勢いで身をのりだした。
アンタ、過剰反応しすぎだ。
「竹宮流じゃねェかッッ」
泉宗一郎に竹宮流を学んだ丹波が異変に気がついた。
むう〜、ひさしぶりに主人公にも役割が与えられた。
だが丹波文七の出番はコレだけだった。
決勝戦が終わるまで、ずっと こんな調子でオドロき役だろうか。
襟をつかみながら相手のアゴの下に上腕をいれる。
かなり独特の型だ。
丹波が泉宗一郎に勝ったのは、襟のない服を着ていたという要因がある(原作では)。
竹宮流には襟をつかんでからの技が多い。
プロレスラーのような裸の敵には弱いが、空手着のような襟つきの敵には効果的だ。
丹波が知っているということは、泉先生に教えてもらったのだろう。
丹波 VS. 堤の試合は、空手着を着て闘った。
堤に対抗するために丹波へさずけた秘策その1だったのかもしれない。
「シュ」
長田が襟をつかんで投げに入った。
工藤は腰をおとし投げに対抗しようとする。
だが、投げは長田の専門分野だ。
そのまま強引に投げとばす。
(首がロック)
(受身ッ)
(空手にない…)
(耐えられるのか?!!)
(むり……)
(ムリ…)
(無理……)
野生動物であるヒグマに受身の発想はない。
受身を考えてしまった工藤は、最後の最後で間にもどってしまったようだ。
ここがヒグマにあこがれた人間の限界だろうか。
人間が作りだした破壊の技に、人間ヒグマが沈もうとしている。
ドキャ
長田の体重をのせたヒジが工藤の首に落とされた。
ギロチンチョークと投げが組みあわされた恐るべき必殺技だ。
一呼吸の間をおき、工藤が吐血した。
鮮血をあびながら長田が勝ち名乗りを受ける。
ただの一投げで決めた。文字通り一撃必殺の投げに会場がわきあがる。
(どこかで見ていてくれてるか…… 藤巻よ…ッ)
(お前が授けてくれた)
(竹宮流だッッ)
どこにいるとも知れない ただ一人の観客に向けるかのように、長田はたかだかと右手を上げる。
切り札である竹宮流を使ってしまった。今後の試合はとてもキビしいものになるだろう。
しかし、長田の表情は晴れやかだった。
(見事なり長田ッッ
見事なり"雛落とし"ッッ)
全米が大絶賛して涙して興行成績No.1になりそうな勢いで藤巻が賞賛している。
藤巻は腕をつかんで激情をこらえていた。
本当は、会場に乱入して長田に抱きつきたいところなのだろう。
しかし、優しきツンデレはよろこびや親切心を隠す生物なのだ。
試合中の藤巻は、『Shall We ダンス?』の竹中直人なみの迫力でカツラを投げすてた。
さらに、弾丸タックルのような勢いで身をのりだす。
切り札を見せてしまった長田以上に、やってしまった感がある。
これで周囲にバレていないと思っているのなら、かなりのボンクラだ。
非常マズイ状況なのだが、満足そうだしイイか。
雛人形の首を落とすがごとき必殺技である竹宮流"雛落とし"で長田は勝利した。
ちなみに、この技は『ゲーム版 餓狼伝』における長田の最終奥義だ。
さりげない部分にネタバレの技が入っているので、このゲームは油断できない。
原作に敬意を払っているのはいいんですけど、先の展開がモロバレですよ。
勝利を胸に、長田と梶原が控え室に帰ろうとする。
なんか梶原が一方的にしゃべっていて、長田はだた聞いているだけのようだ。
愛情の温度差を感じる。
きっと長田は観客席のどこかにいる、ガングロツンデレな藤巻のことを想っているのだろう。
「がっかりさせてくれるぜ」
「長田大センパイ……」
そこに登場したのは鞍馬彦一だった。
あいかわらず無礼な態度だ。
鞍馬の携帯電話に雛落としをかけて、破壊したれ。きっと泣いてよろこぶぞ(読者が)。
鞍馬は頭にバンダナをまいている。
前の試合で、鞍馬は油断して かなりのダメージを受けていた。
グレート巽に再教育を受けて、髪の毛が激減したのだろうか?
話をもどすと、長田がプロレス技で勝てなかったのは事実だ。
そこにツッコまれると痛い。
鞍馬は三回戦もプロレス技で勝ってやる宣言をするためにきたのだろうか。
対戦者は人間凶器の片岡輝夫だ。カンタンな相手ではない。鞍馬には、秘策がありそうだ。
ただ、鞍馬はしょっちゅう相手の実力を見誤る。
久我さんに無礼な態度をとって、えらいこっちゃ〜になった時もあった。
次回も期待にこたえて、ヒドい目にあって欲しいものだ。
長田と鞍馬が対決することになると、竹宮流と久我さんの間接対決ということになるのだろうか。
そうなると、教えてもらった技の数から長田有利という気がする。
ただし、長田は竹宮流を使ってしまった。
秘密兵器を公開してしまったのは痛い。
今からでも遅くないから、"雛落とし"を"羆殺し"と改名して、プロレス技と言うことにしてはどうだろうか。
でも、勝手に改名すると藤巻がツンツンになって怒りそうだなー。
2006年3月14日(7号)
餓狼伝 Vol.165
勝利の喜びをだいなしにする男・鞍馬彦一が乱入だ。
鞍馬だって携帯電話で話しをしているときに、呼びとめられたらイヤだろ?
自分がされてイヤなことを人にしてはイケナイぞ。
しかし、鞍馬はグレート巽に教育されたのだ。
人のイヤがることをすることが美徳という価値観をもっているのかもしれない。
「見損ないましたよ」
「大センパイ…………」
モンクから入る攻め口は、いっけんツンデレのようである。
しかし、鞍馬はツンデレではない。もっとおぞましい純粋な嫌がらせだ。
だいたい、「見損なう」などと言っているが、鞍馬はもともと長田を高く評価していなかった。
長田がカッコよく勝ったもんだから、いいがかりをつけに来たのだろう。
思えば、中学生のころも注目を浴びている人の足を引っぱりたかったのかもしれない。
梶原の試合をのっとった。柔道家・船村のデビュー戦をだいなしにした。
目立って輝いている人が許せない性格なのだろうか。
かなり、タチが悪い。いずれグレート巽に噛みつこうとして返り討ちにあいそうだ。
「じゃまだ」
「どけ」
激闘のあとで疲れている長田にかわって、梶原が鞍馬を排除しようとする。
だが、梶原は首にかけていたタオルを 鞍馬につかまれて『雛落とし』を決められるのだった。
寸止めであったから、ダメージは無い。無いが、しかしッッッ
ァ、アンタどこまで梶原なんだよォ!
いいのか、負け犬一直線な路線でよォ!
おかげでセリフもほとんど無い。
梶原よォ、なんで、なんでオマエはそうなっちまうんだ。
なんで、他人の掘った墓穴に落ちるんだよ。
仮に梶原が「バガボンド」に出演したとしよう。たぶん、武蔵の幼馴染である本位田又八に斬られる。
非常に情けない役どころだ。オマエは肌の色を白にもどせ。
梶原の不遇に関しては多くを語るまい。
いや、もう かなり語ってしまったが、忘れよう。
それにしても鞍馬のコピー能力はおそろしいものだ。
空手経験者と組み手をしただけで、空手技を身につけた経験もある。
高い学習能力は敵ながらあっぱれと言うしかあるまい。
と、なると中学生のころは比較的素直そうな性格だった鞍馬が、現在の性格に変化した理由も予想がつく。
グレート巽をコピーしちゃったんだろうな。悪い部分だけ。
長田に いちゃもんをつけるのもグレート巽流だろう。
そのうち、相手選手の腕を折っておきながら、相手側を怒るという理不尽なスタイルへと進化しそうだ。
というか、「梶原を投げながら長田をしかる」は巽と同じスタイルだな。
ヤバい! 梶原がもつ最後の睾丸が狙われる。
話をもどす。
やはり、藤巻がいきどおりのあまり服を破りすてて全裸になっても竹宮流を使うのは控えたほうがよかったかもしれない。
同じ技は使わないにしても、秘密兵器の存在がバレてしまった。
奇襲効果を失ってしまったので、次に出す竹宮流も不発に終わる可能性がある。
長田が勝つ確率がすこし下がってしまった。
「あんたプロレスラーだろッッ」
自分のことはさておき、鞍馬が長田を責める。
周囲に人が多いので、宣伝効果も考えて大声を出しているようだ。
自分たちが注目されていることを確認し、鞍馬の口元が笑っている。
だが、顔を上げるときは真剣な表情をつくっていた。
くやしいが、うまい。プロレスラーに必要な演出力を持っていやがる。
「なくなりかけている古武術の後継者じゃない」
「あなたは」
「真の……」
プロレスを真剣に愛している男を演じる鞍馬だったが、セリフを最後までいえなかった。
長田が鞍馬の首をつかんでダマらせる。
もう、そのままヤってしまえ!
梶原のカタキだッ!
…………梶原のこと、忘れないでください。
「なんでもヤレるのがプロレスラーなんだよ」
カッコよさで長田が勝った!
そうだよ、プロレスラーならなんでもアリで勝たねば。
口先だけでプロレスへの愛をかたる鞍馬とはちがい、長田は体を張ってプロレスを見せつけてきた。
細かいことにこだわって、相手をなじる鞍馬より、ふところの大きい長田のほうがカッコイイぞ!
そりゃ、藤巻も惚れるというものだ。
ところで、「古武術の後継者」ってところを藤巻が聞いたら、やっぱ照れてゴマかすんでしょうか。
「バ、バカ。おまえは後継者ってワケじゃない。竹宮流はそんな簡単に極められるものではないんだぞ。
やはり、俺が教えてやらねばならんか」
梢江の三倍はもえそうだ。
なぜ、鞍馬は長田の技が古武術だと気がついたのか?
おそらくグレート巽のアドバイスだろう。
巽は長田の性格を把握しているにちがいない。
プロレスをキーワードにして挑発すれば、いい反応をすると読んでいるだろう。
鞍馬をしむけたのは、長田を輝かせるためだったのかもしれない。
ここにもツンデレがいやがったッ!
長田にカッコよく決められて、鞍馬が本性をあらわにする。
タメ口でナマイキにしゃべりはじめた。
最後まで演技を続けることができないのは、鞍馬らしい集中力が欠けている証拠か。
安原との試合でも打撃予報を途中で変更した。
鞍馬には一貫性が欠けている。セコくて持続性が足りないようだ。
「あのガチガチの空手屋 片岡に―――――」
「プロレスさせる」
そして、鞍馬が爆弾発言をした。
野武士チックな空手家・片岡輝夫にプロレスをさせる。
人間をヒグマに変えたり、巨大カマキリの妄想をするより、はるかに難易度が高そうだ。
これもグレート巽の注文なのだろうか。
むしろ、グレートな罰ゲームか?
片岡にプロレスをさせる秘策とはなにか?
というか、ナニをするとプロレスになるんだ?
条件があいまいだから、試合後に詭弁を使えば「さっきの試合はプロレスだった」となるかもしれない。
とにかく、どんな汚い手を使われようと、鞍馬のペースにのるのはよくない。
携帯電話を使用した挑発には、特に気をつけよう。
鞍馬がなんかセコい手を使うのは、確定済みということで。
鞍馬の約束は信用できない。
プロレスと言っておきながら、久我さんの技を無断借用しそうだ。
決めゼリフは「なんでもヤレるのがプロレスラーなんだよ」だな。
セリフまでパクリやがる。
鞍馬が久我さんを怒らせた場合、ツンデレの逆を行く行動になるのだろうか。
名づけて「ツンクラ」だ。ツンツンした態度で相手を破壊(クラッシュ)する。
ひとおもいに鞍馬をやってください。
2006年3月28日(8号)
餓狼伝 Vol.166
本格派の空手家・片岡輝夫にプロレスをさせるッ!
お子さま向けの番組に、大きいお友達向けのエロ要素を埋めこむような暴挙だ。
お父さんはミニスカートにときめき、お母さんはホストみたいなイケメン役者にメロメロになる。
なんだ、わりと自然な展開じゃないですか。ミニスカートOK! イケメンOK!
でも、鞍馬彦一はゆるさんッッッ!
鞍馬の謎発言を受けて、ジャーナリスト引木はさっそく片岡にインタビューをこころみる。
当然ながら片岡は困っていた。
プロレスさせるといわれても、片岡が組みあったりフォールしたりに付きあうとは思えない。
鞍馬が催眠術でも使えるなら別だが………。
グレート巽が催眠術師を用意していそうな気がしてきた。
餓狼伝にグレート巽と松尾象山がいなければ、小粒のドラマになって終了していただろう。
ある意味では、主人公よりも重要な人物なのだ。
たぶん人気も主人公よりありそう。
そもそも、主人公が誰か知らない人が最低でも10%ぐらいいると思う。
話をもどす。
引木は片岡のプロレスを見たいという。
ジャーナリストというより、1ファンとしての発言だろう。
だが、ちょっと発言が過激すぎた。
片岡のこめかみに 怒りの血管が浮いている。
もし、自分がプロレスをやっているように見えたなら……
「わたしが過去に行った」
「どんな鍛錬より苦痛でしょうから」
見世物芸人にはならぬ。
古風な空手家である片岡らしい決意だ。
片岡は、苦痛をともなう鍛錬にも永遠に耐えられるといった男である。
肉体的な痛みより、精神的な痛みのほうがダメージがでかいようだ。
しかし、困ったことに 鞍馬はあいてのイヤがることをするのが大得意だった。
片岡にとって、予想もしない方向からの大ピンチである。
いっぽう鞍馬はマスコミ関係者を集めて、試し割りの実演をしていた。
何日も前から乾かしたブロックや、何時間も常温で放置した氷はかんたんに割れるのだ。
ものすごく憎い表情で鞍馬がトリックをあかす。
うむ、その下品な顔を範馬勇次郎に剥いでもらえ。
マスコミの数が多いのは、宣伝力に長けたプロレス組織のバックアップがあったからだろうか。
片岡には引木さんと助手しかいなかった。
情報戦では、片岡の完敗である。
「インチキ紛(まが)い物 トリックが横行している」
「これは事実です」
「ただし」
「ホンモノがある」
鞍馬による空手ニセモノ説の場に、片岡がやってきた。
氷を握りつぶし、乾燥していないブロックを破壊する。
見せるための破壊ではない。自分の居る場所を確認するための破壊だ。
片岡の空手はまちがいなくホンモノである。
「かつて刀剣の世界では――――――
人体を使用した試切りを行っていた」
「わたしは鞍馬君との試合で」
「ぜひこれを実行したい」
鞍馬彦一を公開処刑にッ!
なんて すばらしいアイデアだ。
片岡の拳が生みだす破壊力を生き試しにて測定するのだ。
スペシャルゲストで久我さんにも登場してもらいたい。
あと、鞍馬が動かなくなったのを確認してから、梶原も呼んでやれ。
だが、片岡の宣言は逆効果だった。
見せることを意識してしまったため、ちょっとプロレスっぽくなったのだ。
鞍馬がまたもやイヤらしく笑う。
キサマの顔など藤木と伊良子に斬りとってもらえ。鞍馬かまいたち事件として語りつがれろ。
鞍馬の挑発にのってしまい、プロレスっぽくなってしまったところで次回へつづく。
ただし、次号はお休みだそうで。
なんか連載スケジュールまで鞍馬の陰謀という気がしてきた。
鞍馬が見せた試し割のトリックを、丹波がみたらすごく恥ずかしい気持ちになるだろうな。
餓狼BOYだったころの丹波も試し割のトリックを使っていた。
丹波にしてみたら、消してしまいたい過去だ。
そういう過去があるからこそ、ホンモノの強さを求めているのだろう。
ところで、鞍馬が試し割のトリックを知っていたとは思えない。
オマケに都合よく乾燥したブロックや、常温に放置した氷を用意できたのもヘンだ。
準備に何日かけているんだ?
やはり、鞍馬の影にはグレート巽がいるのかもしれない。
道具はすべて巽が用意して、鞍馬が脚本どおりに演じている可能性がある。
試し割りをトリックだということは、北辰会館にもダメージが行く。
ついさっき、松尾象山が館長演武でタタミを突き破ってみせた。
試し割り=トリックというイメージを植えつけられると、松尾象山のイメージダウンにもなる。
タタミも特注のやわらかい物を使っていると思われてしまう。
片岡を挑発し、松尾象山のイメージを悪くする、一石二鳥の効果的な作戦だ。
この知能犯っぷりは、やはりグレート巽なのか?
そして、あいかわらず鞍馬はバンダナを巻いている。
バンダナの下にもグレート巽が考えたステキ演出がありそうだ。
どんなサプライズがまっているのだろう。
とりあえず爆発だろう。最低限が爆発だ。爆発以下は許せないぐらいの気持ちがある。
爆発によって鞍馬がアフロ化するのだ。
アフロになった新・鞍馬彦一が試し斬られるという展開が理想かな。
2006年4月11日(9号)
餓狼伝 二回戦まとめ
餓狼伝がお休みなので3、大会二回戦をまとめてみる。
途中でアッパーズが休刊になってイブニングに移籍したりと、作品内外で波乱の連続だった。
最初の掲載誌バーズは出版社が倒産した。次の掲載誌アッパーズは休刊になった。
現在の掲載誌イブニングは なくなりませんように。
長田 弘(プロレスリング183cm・123kg) vs. 井野康生(講道館柔道) (vol.135、vol.136、vol.137、vol.138)
二回戦、第一試合はプロレスラー長田弘と柔道金メダリストの井野康生が闘う。
鞍馬の乱入によって幻になってしまった梶原年男 vs. 船村弓彦が復活したような試合だ。
梶原と船村だと、盛り上がらないんだろうな。
負け犬と噛ませ犬が下を決める闘いだし。
とても、後ろ向きだ。
プロレスの投げと柔道の投げを競う闘いになるかと思われていたが、試合内容はちがった。
投げる柔道と、耐えるプロレスの闘いだ!
船村が自信をもっている投げを受けきることで、相手の心を折るのだ。
やはり、梶原と船村には荷が重い。
よけいな詮索をすると、vol.139でアッパーズが終了になってしまうので、vol.138でムリヤリ終了したのかもしれない。
本当ならもうちょっと長い試合になったかもしれないのに、残念だ。
松尾象山と闘う理由(vol.139、vol.140、vol.141)
vol.139とvol.140の間には四ヶ月ちかい断絶がある。
ただ待つということはつらいのだ。
泣き虫(クライベイビー)サクラの母親のようにぐったりとしたままファンは待ちつづけた。
そして、待っている間に松尾象山がますます強くなっている。
君川京一(北辰会館 173cm・89Kg) vs. 工藤健介(北辰会館 193cm・120kg) (vol.142)
短期決戦で工藤の勝利だ。
このころはまだヒグマの片鱗を見せていなかった。クマなのにウロコってのも変ですが。
まさか、工藤があんなにクマな人だったなんて。
飛行機で異変が起きたら「お客様の中にクマはいらっしゃいますでしょうか?」とスチュワーデスが聞いてまわることもあるだろう。
不確定な世の中なのだ。無知な科学者には理解できない事態が起こりうる。
そうなったら工藤が「押忍。自分、ヒグマですが」と名乗りでるのだ。
まるでヒーローのようだ。パンダだってあこがれる。ほれる!
片岡輝夫(空手・志誠館 182cm・95kg) vs. 門田賢次(北辰会館 186cm・94kg) (vol.143、vol.144)
門田は地味だけど現代風空手バカって感じで、けっこう好感をもっている。
しかし、それ以上に痛みに耐えまくる片岡がすごかった。
理不尽な耐久力は、プロレスラーと互角かそれ以上だろう。
少なくとも梶原の倍は頑丈にできている。
痛みに耐える素質ってのは、長田のスタイルとかぶっている。
ある意味プロレスラー向きなのかもしれない。
この試合をみて、鞍馬は邪悪な計画を立てたのだろうか。
いや、計画したのはグレート巽かもしれないけど。
安原健次(キック 176cm・71kg) vs. 鞍馬彦一(プロレスリング 185cm・105kg) (vol.145、vol.146、vol.147、vol.148、vol.149)
二回戦でイチバンの激戦だった。
肉体の強さとセコイ闘いかたで鞍馬が安原を追いつめる。
安原も打撃では打ち負けていない。むしろ勝っていた。
だが、セコイ鞍馬は打撃で不利になると組み技に移行するのだ。
鞍馬はハデなことばかり やっているようだが、地味に相手の弱点をつく闘いかたをする。
油断のならない曲者だ。
しかも、背後で見張っているのがグレート巽なのだ。とてもタチが悪い。
同じ事をやっても、巽はなぜか憎めない。
しかし、鞍馬がやるとかなり憎い。人徳の差だろうか。
好意的な裏設定を考えると、鞍馬には幼い弟が五人ぐらいいて養育費を稼ぐためにイヤイヤ悪事をしているのだろう。
ちなみに、幼い弟とは携帯電話を擬人化した鞍馬の妄想です。養育費は電話代だ。
おまえは文通でもしてろ。
ちなみに、鞍馬は電話を利用してもメールは使っていないようだ。
携帯好きなわりに、電話もシンプルな外見をしている。
もしかすると、鞍馬って機械がニガテなのか?
遠野春行(北辰会館 190cm・92kg) vs. 畑幸吉(古武道・拳心流 175cm・71kg) (vol.150、vol.151)
畑幸吉は、二回戦を勝ちのこった選手の中で、イチバン地味だと思う。
今回もたいしてかたる要素もなく勝ちあがる。
本当なら、近代カラテの中にあって古武道で戦うというオイシイ立場だ。
しかし、神山さんのほうが目立っているので、畑は影になっているようだ。
とうぜん、ゲームには出てきません。
椎野一重(日本拳法 195cm・123kg) vs. 畑中 恒三(レスリング 181センチ・105キロ) (vol.152、vol.153)
椎野一重は出てくるたびに椎野だったり椎名だったりする誤字の達人だ。
この人もゲームに出てきません。
けっこう前から名前の出てくる重要人物なんだけど、人気ないんでしょうか?
日拳なのに。総合格闘技ですよ。
必殺の直突きは獅子の門 雲竜編にも出てくるのに。
マジ泣けてきますよ。
期待はあるんだけど、どうも地味になってしまう椎野であった。椎名だっけ?
椎野 vs. 畑は ちゃんと盛り上がるのだろうか?
神山徹(伝統派空手 175cm・74kg)vs. チャック・ルイス(ボクシング 198cm・95kg) (vol.154、vol.155、vol.156、vol.157、vol.158)
鞍馬 vs. 安原と同じぐらい長い試合だった。
いつか爆発すると期待されている神山さんの暗黒面は今回も不発だった。
はやく見たい。
久我重明も暗黒面に期待しているようです。
この試合は神山さんのすごさというより、松尾象山の強権を思い知らされた。
そりゃ、松尾象山には逆らえませんよ。誰が逆らえるというんですか。
無傷のチャック・ルイスは控え室で泣いています。
「オレって世界ランカーなのに……」
だが、松尾象山のランキングのほうが高いとみた。
仁科行男(サンボ 180cm・95kg) vs. 姫川勉(北辰会館 186cm・87kg) (vol.159、vol.160)
姫川の試合は盛りあがりにくい。
たまには拳で語らう夢枕格闘ゾーンに突入してみたらどうか?
すごく似合わないけど。とにかく似合わない。
丹波がモテモテになってしまうぐらい似合わない。
姫川と闘うと、対戦相手がなんか一方的に汚れてしまう気がする。
話が先行している原作を読むと、対戦相手のムゴさっぷりが本当に気の毒だ。
放浪の旅にも出たくなるってもンだ。
せめて、神山さんはみじめにしないで欲しい。
さて、次回は鞍馬 vs. 片岡戦がはじまる。
鞍馬のことだから、なにか言いがかりをつけて、片岡がプロレスをやったと言いふらすのだろう。
そこで逆上してしまったら、片岡の負けだ。
でも、片岡は武士だから肉体の痛みに耐えられても、侮辱には耐えられないんだろう。
そして鞍馬の頭にまかれたタオルの下には、なにがあるのか!?
携帯電話が埋めこまれているぐらいのムチャ展開は覚悟しておこう。
2006年4月25日(10号)
餓狼伝 Vol.167
生意気な刃牙といつもの鞍馬彦一を比べて、どちらが憎いかッ!?
今回、答えが出た。
鞍馬ッ!
て、てめぇ なんかムカつくんですよ!(逆襲されたら負けるので丁寧語)
片岡輝夫は禁欲的(ストイック)に空手を極めようとする求道者タイプの男だ。
鞍馬がそんな片岡をコケにする。
人の努力をあざ笑うかのような行為は許しがたい。
まあ、鞍馬も努力しているらしいけど。
マメに電話しているし。いや、そっちの努力じゃなくて。
片岡は見世物あつかいされることを嫌っている。
空手は目立つための手段ではなく、極めるべき目標なのだ。
鞍馬はそれを知りながら、片岡と空手を見世物あるかいするのだ。
人が大切に思っているものを踏みにじることも許しがたい。
おまえだって携帯電話を壊されたらイヤだろうと説教せねば。
そして、まわりくどい嫌がらせが本当に憎い。
ハイレベルな ほめ殺し戦術か。
たまには梶原のこともほめてみやがれッ! Peッ
ちょっと今、自分の吐いたツバが足にかかった気がする。
「石・レンガ・板・ブロックといった無機物ではなく」
試割(しわ)りに生体をもちいる。
かつて人間の死体で刀の斬れ味を試したように、生きた人間で志誠館の拳を確かめるのだ。
でも、第二試合で門田の胸を陥没させたのを忘れたのか?
もしかすると、さらに本気な攻撃がまだあるのかもしれない。
ならば、その拳を鞍馬に叩き込む姿がみたい。
ちなみに板は有機物だ。
ちょっとイイこと言ったと思って調子にのりやがって。バカチンが。
すこしでもスキを見つけたら全力でツッコむのが、鞍馬への対応だ。
おまえの携帯電話を試しに割ってもらえ。
「これはウケますよ片岡さん」
鞍馬がまたもや片岡を挑発する。
そんなにウケが欲しいのなら、携帯を飲み込む人間ポンプ芸とかやって見せろ。
いっそうのことスクール水着を装着してフェロモンをふりまくお色気プロレスラーとかになってしまえ。
でも、本当に着たら「キサマは、スクール水着を冒涜した」といって怒ります。
「客ウケはどうでもよいこと」
「できるだけスピーディーに できるだけ合理的に終わらせます」
執拗な挑発をくりかえす鞍馬であった。控室で乱闘がはじまっても おかしくない雰囲気だ。
しかし、片岡は武士(もののふ)である。
むやみに振るう力はただの暴力だ。己を律することで武道になる。
もちろん、試合では非合理的にじっくりと殴って終わらせて欲しい。
だが、相手は相手は増長王子・鞍馬彦一であった。
相手が模範解答をかえしても、反撃してくる。
とっさに出てくる口先交渉術は携帯電話のトークでおぼえたのか。
「さすがは天性のショーマン」
「対戦者の挑発にも動じることなく」
「徹底して自分の役を演じ切る」
鞍馬はイヤな表情で感心したフリをする。
本心は別だ。うわべでほめていますよ。むしろバカにしてる。
そんな内面が、わざと相手に伝わるような表情だ。
とりあえずレベル3奥義でいいからかけさせろッ!
誌面を通して見ている私が、すごくムカつくんだから片岡もそうとうムカついているんだろう。
もう、殴っていいよ、コイツ。
前歯を全部折って かわりにおばあちゃんの入れ歯を移植しろ。
鞍馬は言いたいことだけ言って、反論を聞かずに立ち去る。
背後から虎眼流の"流れ"でスパッッとやりたい。
相手の言葉をつごうよく曲解する詭弁術を鞍馬はもちいた。
これをやられると、相手に自分の主張を正しく理解させるところからはじめなくちゃいけないので、とてもつらい。
しかも、相手はもともと理解する気が無いのだ。ほど無敵だ。
相手を怒らせるのも鞍馬の作戦だろう。
久我さんに練習をつけてもらったときも、必要以上に挑発していた。
安原と闘ったときも同じだ。
ところが、相手を怒らせたことで鞍馬が利益を得ているとは思えない。
相手の冷静さを失わせるたりしないで、闘志に火をつけるだけだ。
効果がない。むしろ損をしている。ダメダメだ。
たぶん、相手をおちょくるのは鞍馬の性癖なのだろう。
某タレントの のぞき癖のように、ワカっちゃいるけど やめられない。
鞍馬の前にグレート巽があらわれた。
試合前の激励だ。
ついでに、ちょっとハジけすぎている鞍馬の状態を確認する。
鞍馬は本気だった。
片岡の拳が凶器だと知りながら挑発していたのだ。
のぞき癖といっしょでやめられないのだ。
そして、巽はちょっとうれしそうだ。
鞍馬のムチャな行動は望むところなのだろう。
ちなみに二人の周囲には人がいる。
二人の会話は聞かせるための会話かもしれない。つまり、シナリオどおりだ。
すべて巽が仕組んだ罠なのかもしれない。
鞍馬も被害者だと思ったほうが、ちょっと楽しいぞ。
「ホンモノの魔法使いを手品師に――――――」
「行ってこいッッ」
パシッ
グレート巽が激励のビンタを叩きこんだ!
勝負ありッ! 勝負あり、だろ。
鞍馬、立つな――――――!
などと思うのだが、巽のビンタは営業用だったらしく鞍馬は無事に試合開始をむかえるのだった。
「はじめいッ」
『始まりました 水 対 油』
片岡はスタンスを広くとり、低い体勢で待ちの構えだ。
スピーディーに倒すといっても勝ち急いでいるわけではない。
平常心で いどんでいる。
低く構えたのは投げを警戒しているからだろう。
鞍馬はいままでの試合をブレンバスターやヘッドロックなどとプロレス技で決めている。
やはり組みつかれるのはキケンなのだ。
対する鞍馬は左手を前に出して不用意に近づく。
だが、本当に油断しているわけではない。
左手を伸ばしているので、相手が突っこみづらいはずだ。
『餓狼伝 9巻 Vol.66』でも久我さんと闘う鞍馬は右腕を伸ばしてガードしていた。
打撃対策の構えなのだろう。
オマケに鞍馬には久我さんから盗んだ(インスパイヤした)寸勁がある。
左手を伸ばしたままでも、相手にダメージを与えることができるのだ。
腕を突き出す動作よりも動きが少ない分、速いかもしれない。
鞍馬はヨーイドンで闘うつもりなどないのだろう。
鞍馬の腕が伸びてくる。見かけ以上にキケンな腕だ。
片岡は動かない。
鞍馬の手が作る影が片岡の顔にかかる。まだ動かない。
―――――― 一閃ッ!
ドグァ
片岡の右正拳が鞍馬の胸に突きささった!
土管だって破壊できる打撃だ。さすがの鞍馬もノーダメージではすむまい。
だが、久我さんも認めるタフネスが 鞍馬の武器だ。
キケンな間合も計算していただろうし、この一撃で鞍馬が倒れることはないだろう。
鞍馬はいかに試合をプロレスにかえるのか?
巽の助言「ホンモノの魔法使いを手品師に」が気になる。
鞍馬はわざと片岡の打撃を受けて肉体の強さをアピールするのだろうか。
今のように安全に打たせればダメージは少ない。
そして鞍馬は一発殴ったら殴り返すというプロレスっぽい打撃戦を狙っていそうだ。
とりあえず、マジメに闘う片岡がかわいそう。
普通に野球の試合をしているはずなのに自分の攻撃のときだけフニャフニャな軟球を投げられている気分だ。
鞍馬はふざけてゆるい球を投げるのだが、球に弾性がないから飛ばない。
観客には片岡もふざけているように見えちゃうのだろう。
せっかく久我さんが会場にいるんだから、試合後 鞍馬にお仕置きしてください。
鞍馬はけっきょくバンダナをつけたままだ。
あの下に何をかくしているのだろうか。
どうしても、森田まさのり『べしゃり暮らし』の頭ネタが浮かんでしまう。
でも、それやっちゃったらプロレスラーじゃなくて、芸人だよな。
いいか 鞍馬は芸人で。
2006年5月9日(11号)
餓狼伝 Vol.168
片岡輝夫が正拳を鞍馬彦一の胸に叩きこむッ!
ジャブもフェイントもいっさいない愚直なまでの直球勝負だ。
ドリブルでいえば日向くんの強引なドリブルなみの勢いがある。
コイツは強いぜ。
『モロにヒットォオオ〜〜〜ッッ』
「入ったァッ」
「まともだッッ」
アナウンサーから観客まで、まんべんなく大喜びである。
鞍馬め、最期の最期でいい仕事しやがって。
来週契約がきれるからプロレスやめて田舎に帰って、文通していた彼女と結婚してもよさそうな感じだ。
つごうのいい妄想は置いといて、実際のダメージが気になる。
レントゲン映像のような透過図が出てきて……、鞍馬の胸骨にヒビがはいっている!
え、もう亀裂骨折なのか?
早過ぎる。逆に不安だ。
胸に隠しもっていた携帯電話が折れただけ って事は無いよな。
しかし、鞍馬は平気そうな表情をしている。ダメージは無いのか?
打ちこんだ片岡は追撃せずに、静かに構えていた。
一発ごとにアピールタイムが入るなんて、なんかプロレス チックだ。
って、鞍馬のペースに乗せられているのか!?
「まァ こんなもんでしょ」
(効ィた〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ)
口では強がっているが、ダメージがある。
しかし、鞍馬彦一はくさっているけどプロレスラーだった。
効いていなくても痛がってみせ、効いていても平気なフリをする。
体を張ったパフォーマンスで観客を魅了するのだ。
きっとバンダナの下もパフォーマンスだろう。
自分の頑丈さを見せつけるのは長田が使った方法である。
鞍馬は長田をパクリ ……インスパイヤしたのだろうか。
しかし、相手は打撃系だ。
プロレスラーで受け身が上手い長田だから柔道技をしのぎきれたが、鞍馬は打撃に耐えられるのか?
久我さんとの稽古で、変に自信をつけちゃって威力を読みまちがえたか?
(彼の肋骨は確実に――――――)
(折れているッッ)
アナウンサーと観客は鞍馬にダマされている。
しかし、殴った片岡はちゃんとワカっていた。
殴った感触で折れたかどうかがワカるのだ。
片岡さん、アンタ人体で試割りするのはじめてじゃないでしょ?
そうとうヤってるね?
打撃の感触で肋骨が折れているとわかるのは、タダ者じゃない。
そうとうな数の骨を折ってきたとみた。
って、肋骨?
あの……、折れたのは胸骨ですよ。(参考:肋骨/胸骨)
折った骨を間違えるのは経験不足のためだろう。
たとえるなら異性にモテモテでデートもいっぱいしているけど表面だけのつきあいで、実は純情って感じだ。
野武士・片岡輝夫にキケンな属性が追加された。
となると、片岡が即座に追撃しなかったのは優しさのためだろうか。
鞍馬がギブアップするのを期待していたのかもしれない。
だが、鞍馬は天邪鬼だ。ギブアップするぐらいなら、暴言を吐いてよりひどく殴られるほうを選ぶ。
自分の体を担保にかけて、さらに掛け金をあげる賭博泥沼録な道をまっしぐらだ。
決着をつけるべく、片岡が前進する。
そこへ鞍馬がタックルだ。
しかし、間合いが遠い。
近い間合いでのタックルは短距離・短時間で相手にぶつかるので成功しやすい。
だが近づくということは、打撃を受けるということだ。
相手の打撃を恐れず近づかなく必要があるのが総合格闘技のタックルだ。
だが、鞍馬は間合いが遠いうちからしかけた。
これは罠かもしれない。
(なんという無策(ありきたり)な仕掛け)
フェイントもいれず、遠い間合いからのタックルである。
とうぜん対応しやすい。
片岡は渾身の右正拳をつっこんでくる鞍馬の顔面に叩きこむのだった。
マズい。なんか罠っぽい。
ドカベンでいうところの「いい当たりは定位置に飛んでくる」理論だ。
スキだらけの顔面に打ちこむのは真っ当すぎてキケンだ。
鞍馬がブザマにふっとんだ。
アゴの骨が折れている。
文句ナシの倒れっぷりに審判も「一本」を告げようとした。
罠じゃなかったんだ……。
鞍馬がただのアホだったのかもしれない。
だが、鞍馬は立ちあがる。
それも一度逆立ちしてからキレイに立つ。
くやしいが、長田にはできないスマートな立ちあがりかただ。
こういった虚勢の張りかたが鞍馬流なのか。
たぶん、グレート巽に叩き込まれたパフォーマンスなのだろう。
医療実験に使われるネズミのように死にそうな目にあいながら憶えたにちがいない。
華麗な立ちっぷりを評価され、判定を「技有り」にしてもらって復活だ。
しかし、胸骨とアゴの骨が折れている。
刃牙世界では骨折箇所にゴムチューブを巻くという民間療法が存在する。
たいていの骨折はゴムチューブで なんとかなるのだ。
餓狼伝世界もゴムチューブでなんとかなる、かもしれない。
でなければ鞍馬の退場が確定してしまう。
しかし顔にゴムチューブをグルグルまくと窒息してしまいそうだ。
もう、鞍馬に逃げ道なしか?
次の一撃で鞍馬を沈める。決着をつけるべく片岡が動く。
鞍馬のダメージは大きい。
しかし、予定どおり「ホンモノの魔法使いを手品師に」見せることに成功している。
普通の勝負とはちがうところで、鞍馬が有利だ。
みたび両者がぶつかろうとする。
が、鞍馬が急停止した。
「毛……」
「えッ」
鞍馬が片岡の股間ふきん(?)を指さす。
片岡が思わず おのれの股間を確認してしまった。
スキだらけだ。
鞍馬彦一は、弱みを見のがさない。
梶原が弱みを見せたら、深い意味なく投げ飛ばす男だ。
まして今は試合の真っ最中である。スキはのがさない。
しかけた技は、安原をシメ落したヘッドロックであった。
ガキッ
「バ〜〜〜カ」
『なんと卑劣な不意打ちかァッ』
たしかに卑劣だ。
しかし、鞍馬が卑劣なのは チャンピオンにエロと暴力があるのと同じぐらい当たり前だ。
試合中なのに、よそ見をしてしまった片岡が悪い。
むしろ、問題は「毛……」?
なに毛? どこの毛? やわらかい毛?
ヘッドロックだというのに毛が気になってしかたがない。
道着に毛がついていてもたいした事はない。ただの毛なら無視できる。
しかし、道着を突きやぶって毛が出ていたらどうだ。
片岡は針金のような剛毛の持ち主で、ムダ毛処理に気を配っていた可能性も考えられる。
考えるだけなら自由だし、可能性は無限だ!
それとも「毛」という単語になにかトラウマがあるのだろうか。
抜け毛や薄毛などの呪われた言葉に縁があるかもしれない。
それとも毛海王のことか?
藤巻十三が相手なら、股間を指さしながら「シミ……」というと かなり動揺するはずだ。
片岡にはアレに匹敵するトラウマがあるのだろうか。
いや、たとえあったとしても鞍馬が知っているのはおかしい。
巽が吹き込んだんだろうか?
それとも、片岡が寝ているときに耳元で「毛……毛……毛……」と言いつづけて、暗示をかけたのかもしれない。
ヘッドロックに戻ろう。
頭を締められながら片岡は必死になって拳を叩きこむ。
しかし、通用しない。
腕力だけで叩くパンチは威力が少ない。
踏みこまずに投げるボールや、腕力だけで振るバットのようなものだ。ぜんぜん飛ばない。
組み合っている状況は打撃系の片岡にとって、非常に不利だ。
『しかしこの試合ッッ』
『どこかプロレスっぽく……………??』
二重の意味で大ピンチだ。
試合に負けて、勝負にも負けそうな勢いである。
ああ、もうッ。「毛」がぜんぶ悪いんだ。
だから、「毛」ってなんなのさ!?
・「毛」をGoogleで検索 (TOPは「育毛大辞典」)
・「毛」をYAHOO!で検索 (TOPは「アホ毛 - Wikipedia」)
・「毛」をAmazonで検索 (TOPは「耳毛カッター」)
2006年5月23日(12号)
餓狼伝 Vol.169
空手家にムリヤリプロレスをやらせるのは、コアラに陸上生活を強制するのに似る。
いや、水中生活か?
おぼれるコアラがユーカリの葉をもつかむような必死さで、空手家・片岡輝夫がもがく。
だが、その姿がかえってプロレスっぽい。
魔性の男・鞍馬彦一がヘッドロックで片岡を締めあげる。
観客の評判は賛否両論だった。
面白がっている観客はプロレスファンだろうか。異種格闘技大会になった北辰会館トーナメントを面白がっている人たちだ。
怒っているのは純粋な空手ファンだろう。打撃戦を見に来たのに、ヘッドロックを見せられてはたまらない。
ただ、主催者である松尾象山は普通に楽しんでいそうだ。
なんか、楽しんだもの勝ちって感じがする。
(手打ちは体重も乗らねェから効きゃあしねェが――――――)
(折れた胸骨に響きやがる………ッッ)
余裕ぶっている鞍馬だったが、実は打撃が効いているらしい。
前回予想したとおり、腕力だけのパンチは効かないようだ。
鞍馬も効かないと思ってヘッドロックをしたのだろう。
だが、骨に響くのは計算ちがいだったようだ。
片岡は鞍馬の肋骨を折ったと思っている。
しかし、実際に折れたのは胸骨だった。
やっぱり本人は折られた場所がどこなのかワカっているようだ。
片岡が正確に骨折場所を知っていれば、エゲつなく胸骨を狙って叩くだろう。
生き延びるためには手段を選ばないのが武術だ。弱点は攻める。
人体破壊の経験が少ないことが、アダとなったのか。
(そろそろ展開を変えなきゃ――――)
(マジで効いてくる)
先のことをナニも考えていない鞍馬であった。
勢いでバキSAGAを11冊買ったけど、発する存在感が不気味でずっとフクロをかぶせていたぐらいのダメ人間だ。
しかし、鞍馬の窮地におけるヒラメキとしぶとさは携帯電話のアンテナなみに強い。PHSとは比べ物にならん。
ここで3択だ。 一つだけ選びなさい。
(1) ハンサムの鞍馬彦一は突如反撃のアイデアがひらめく
(2) 電話がかかってきて助けてくれる
(3) かわせない。 現実は非情である
俺がマルをつけたいのは(3)だが期待はできない。
携帯に電話がかかってきて、電話のバイブレーション機能で胸骨がさらに砕けるってのはどうか?
「片岡さんよォ……」
「自慢の拳もその体勢じゃあなァ…………」
「でも心配にゃ及ばねェ」
「アンタにもちゃ〜〜んと見せ場作って」
「やるって♥(はぁと)」
鞍馬の脳内にある悪人領域は、携帯の電磁波をあびると邪悪なアイデアが湧きでるぞ!
片岡に恩をきせるような発言をして、鞍馬は後方に飛んだ!
鞍馬は片岡にヘッドロックをしたままだ。
ちょうど片岡の体を軸にして回転したような状態になった。
『武人 片岡のバックドロップ〜〜〜〜〜ッッ』
外から見ると、片岡がバックドロップをしたように見えた。
実際は鞍馬が脱出のために飛んだだけなのだ。
鞍馬は、バックドロップで落されたような演技をする。
続けて大ダメージをうけたフリだ。
ちょっと転がりすぎちゃって、一本取られてもおかしくない。
自作自演が自爆になって負けたのなら、ネタ的には面白いんだけど。
ダメージがあるフリをして、試合場内をふらふら歩く鞍馬であった。
鞍馬の策略で、片岡はプロレス技をした空手家といわれる。
こうなっては毛を剃られたコアラのようなものだ。オーストラリアに帰ることもできない。
ちなみに、みょうにコアラの話が出てくるのはイブニング連載中の動物園漫画の影響だ。
空手家も動物も見世物になると、それなりにつらいらしい。
最大級の怒りで、片岡の黒目が消えた。
たぶん理性も消えている。
マズい! 鞍馬のペースだ。
「よしッ」
グレート巽が、認めた!
丹波の驚愕10コマ分ぐらいの価値がお墨付きだ。
お金じゃ買えない価値がある。
このまま片岡は鞍馬ゾーンから脱出できずに終わってしまうのか?
ベシィッ
先手を打ったのは鞍馬だった。
暗黒空手の久我重明から直伝されたかもしれない、強烈なローキックだ。
意外にも本格的な蹴りを喰らい、片岡の動きが止まった。
さんざん鞍馬にダマされたため、打撃対策を忘れてしまったようだ。
もちろん、片岡が見せた一瞬のスキを鞍馬はのがさない。
ガキッ
『これはッ』
『コブラツイストォォ???』
グレート巽の必殺技は卍固めだろう。
卍固めの前に使っていた必殺技が、コブラツイストだと思われる。
鞍馬は鞍馬なりに、師匠への敬意をあらわした必殺技なのだろうか。
陽気に見えて、ねちっこい鞍馬にピッタリな技かもしれない。
『グラップラー刃牙 33巻』287話で描かれているとおり、打撃格闘家は体がやわらかい。
だから片岡にコブラツイストは通用しないはずだ。
はずだが、なんか効いているッ!?
「ね♥(はぁと)」
ビクッ
「!?」
自分の知らない感覚が体を支配して、意志とは無関係に反応している!
なんだ、その調教系エロゲーな展開はッ!?
まさか、こっそり股間へ攻撃しているのか?
無限の痛みに耐えられるといわれる片岡が苦痛(?)で表情をゆがめている。
「あんのヤロウ…………」
「尻(ケツ)つねってやがる」
松尾象山は見ていた。
さすが松尾象山だ。あらゆる戦闘パターンを知っている。
夢枕獏「本朝無双格闘家列伝」によれば、極真空手創設者の大山倍達は、親指だけで逆立ちができるようになると指で耳でも鼻でも引きちぎれるといったそうだ。
『グラップラー刃牙 31巻』の268話では、愚地独歩が天内悠のツメをむしりとって逆転した。
握力は重要なのだ。
バキ 39話感想で花山がスペックをつねりまくった時も書きましたが、浦安鉄筋家族によると「つねり」は「本気で痛いプロレス技No.1」らしい。
鞍馬の「つねり」はプロレスの裏技か?
片岡は地味な裏技で、屈辱のまま敗北するのか!?
もっとも痛みに強い男と、人を痛めつける天才が真っ向勝負だ。
どう見ても責められる側が不利です。
がんばれ、片岡ッ! 鞍馬をつねり返せッッ!
片岡の旗色がとても悪い。
鞍馬のことだから陰にかくれてヒドいことをするに違いない。
久我重明の必殺技「鼻フック」を使う可能性すらある。
鼻の穴に指を思いっきり突っこんで、中で指を曲げることで固定する超荒業だ。
原作の『餓狼伝 1』でも外人レスラーが使っている、由緒正しい裏技である。
板垣版の餓狼伝でもついに炸裂するのだろうか?
プロレスの裏技というとカール・ゴッチを思いだす。
情報元は忘れたが、ゴッチは関節を極める直前に相手の肛門へ指を突っこむと力が抜けるので、簡単に折れると言っていたらしい。
なんで そこまでして折りたいのか聞きたくなるような執念だ。
鞍馬がコレをやるかもしれない。
しかも、尻フックだ。
「やだっ指曲げないで…」とか言われたら、さらにエグる。
なんのエロ漫画ですか、みたいな展開になってしまう。
そういえば、鞍馬 vs. 立脇如水のときもエロ台詞がでてきた。(注:言いがかり)
鞍馬空間はエロ世界なのだろうか。
って、ことは鞍馬は自分にかかってきた電話をエロ変換してから会話しているのかもしれない。
電話の相手は鞍馬の妄想が生んだリアルシャドーなのか?
2006年6月13日(13号)
餓狼伝 Vol.170
鞍馬彦一の卑劣なワナが、片岡輝夫の尻につきささる。
コブラツイストと見せかけた尻つねりだッ!
隆慶一郎「影武者徳川家康」でも、主人公(家康の影武者)が側室に尻をつねられて動きをとめている。
天下人ですらひるむ威力があるのだ。
家康も動きをとめる尻つねり。
尻って、そんなに痛いのか?
ためしに自分で尻をつねってみたら、ガチに痛くてちょっとビックリした。
でも、金的の痛みのほうがキツいと思う。
全選手中で もっとも苦痛に強いはずの片岡が脂汗を流している。
本当にただツネっているだけなのか?
なにか、特殊なテクニックを使用していそうだ。
今週の軍鶏では毒をぬった極細針という外道技を使っていた。
鞍馬もナニかしかけているのだろうか。
もちろんグレート巽直伝だ。体で(ムリヤリに)覚え(させられ)た尻ツネリ技だろう。
…………実は、ちがうところを責めていたりして。
鞍馬は、巧妙にコブラツイストのかげからつねっている。
そばにいる審判すら気がついていない。
気がついているのは松尾象山やグレート巽たち一流の餓狼たちだけだ。
「ケッ」
「しょ〜〜〜もねェ…………」
もちろん、長田も気がついている。
純粋プロレス馬鹿である長田は、鞍馬のペテンが気に入らないらしい。
うむ、さすが長田だ。
鞍馬が青色一号が入りまくった毒毒ジュースなら、長田は南アルプスの天然水である。
実にすがすがしい。
大会に長田が出場していなければ、興味も半減するところだ。
で、梶原は?
……ふつうの表情だ。もしかして ツネリに気がついていないのか?
さすが梶原とほめておこう。
地に足の着いた庶民派である。
梶原、おまえはムリをしなくていいんだ。
『こ……ッッ これは?!』
『つねっている???』
片岡がツネり返した。
目には目を、ツネリにはツネリをッ!
思わず鞍馬の表情が真剣になるほどの握力だ。
もはや、「つねる」ではない。つかんでいる。握撃一歩手前の強烈攻撃だ。
ガリ ガリ ガリ
鞍馬の皮膚を削りとったッ!
ひとりウェーブをやってしまうほど大喜びだ。
どうせなら、鞍馬の携帯を探し出して にぎりつぶしてしまえ。
メモリーが復元できないように徹底的にやれ。
携帯を服に入れたまま、洗濯してしまえ。(そりゃ、私だ)
『コブラツイストに窮した武人片岡ッッ』
『女性(おんな)のように引ッ掻きで難を逃れたのです』
ライオンのように―――― と言ってもらいたいね。
ジャック・ハンマーのように言い返すんだ!
だが、無骨な武士(もののふ)である片岡は、口ゲンカがニガテなのだ。
片岡は、だまって屈辱に耐えている。
痛みの耐性がひくい鞍馬は引っ掻かれて逃げだす。
尻ツネリと引っ掻きではダメージがちがう。ツネリ合戦になると、自分が不利だ。
鞍馬は冷静に計算をしている。
だが、ダメージは片岡のほうが深刻だった。
肉体のダメージではない。精神のほうだ。
呆然とした表情をしている。
脱出のためとはいえ、空手家らしからぬ攻撃をしてしまった。
片岡は166話で、自分がプロレスをやっているように見えたなら「どんな鍛錬より苦痛」と言っていた。
まさに今、どんな鍛錬よりも大きな苦痛を味わっているのだろう。
鞍馬のペテンによって、プロレスをしているように見えた。
観客の見る目がないと思えば、まあなぐさめられる。誤解をとくチャンスもあるだろう。
しかし、自発的に空手以外の技を使ったのはショックだった。
自分をダマせるほど片岡は器用じゃない。
引っ掻き攻撃に怒った観客がヤジをとばす。
だが、引っ掻き攻撃にイチバン怒っているのは片岡本人かもしれない。
鞍馬はねちっこく審判に片岡の反則をアピールする。
細かいところで、挑発のダメ押しをするあたり、芸が細かい。
観客は罵声を浴びせつづけた。
片岡が、キレた。
再開の合図もきかず、二本抜き手で鞍馬の目を狙う。
いかん、目を狙うのは反則中の反則だ。
鞍馬のワナだぞ。
目玉より、金玉を狙え!(それも反則)
ガッ
鞍馬が頭突きで、二本抜き手を迎撃する。
頭と指では圧倒的に指のほうが弱い。
片岡の指が、ぐしゃぐしゃに折れてしまった。
片岡の右手が破壊された。
戦闘能力が大幅に低下だ。
悲鳴を上げないのはさすがだが、かなり逆転が絶望的になった。
『またしてもヘッドロックゥゥッッ』
「思った通ォ〜〜〜りに演じてくれんだもの」
片岡を挑発し、追い込んできたのは全て鞍馬の計算どおりだった。
ふたたび魔性のヘッドロックで片岡を拘束する。
しかも、今度は右手で殴られる心配なしだ。
鞍馬の表情にも余裕がある。
鞍馬は片岡の頭を固定した状態で、パンチをあびせる。
腰の入っていないパンチだから威力は少ない。
しかし、確実に顔面に当たっているので蓄積されるダメージは無視できないだろう。
また、鞍馬は片岡の左手側に背中を向けている。
無傷の左手で攻撃されても、折れた胸骨には当たらない。
計算しつくした狡猾な試合運びだ。
純朴な空手家がカモにされている。
空手専門の詐欺=カラサギって感じだ。
(フィニッシュまでもう一息……)
「しっかり演じてくれよ」
「相棒」
まさにド外道ッ!
相手の実力をおさえこんで、自分のペースに巻きこむ。
戦術的には正しいのだが、なんか許せん。
誰か鞍馬彦一をとめてくれ。
そんな感じで次回につづく。
最初から最後まで、片岡の持ち味を殺している。
純粋すぎる片岡では、天性のペテン師・鞍馬のエジキになるだけだ。
ただ、片岡にも逆転のチャンスが残っている。
片岡は右手を負傷した。普通なら、右手は使用不能だ。鞍馬もそう思っているだろう。
しかし、砂袋をたたいて鍛えた片岡はちょっとちがう。
骨折しても、かまわず砂袋をたたき続ける狂気が、志誠館の門下生たちにも存在した。
骨折した右手で、あえて殴る。
鞍馬には予想不能の奇襲になる攻撃だ。
逆転するためには、捨て身の攻撃しかない。
砕けた胸骨にダメ押しすれば、一撃で勝負がきまる。
ただ、鞍馬ほどのペテン師であれば、右手での攻撃も計算に入れていそうだ。
最後の一撃をきめるのは、どちらか?
やっぱり、最後の最後は鞍馬の頭髪状況が決めるような気がする。
バンダナの下が、絶対にあやしい!
相原コージの忍者漫画「ムジナ」に出てくる忍法「跳頭(はねがしら)」のような技かもしれない……
本当にやったら、大会がブッ壊れるような大爆笑だと思う。
←VOL.151〜160 ↑最新↑ VOL.171〜180→
バキ バキ外伝 疵面 バックナンバー 日記 掲示板 リンク TOP