今週のチャンピオン(と言うかバキ)
2001年5月24日(26号)
第2部 第81話 爆裂(461回)
オゥ トワ ラヴィー
独歩の顔面に爆裂ゴッドフィンガー(違います)を決め、鎮魂歌(レクイエム)代わりにお得意のシャンソンを歌いあげるドリアン。
爆弾の仕込まれていた手首から大量の血を吹き出し、ドリアン自身もかなりのダメージを受けている様です。
やはり、あの攻撃はドリアンにとってもハイリスクな最後の攻撃だったのでしょうか。
そして、攻撃を喰らった独歩は顔面を煙に包まれピクリとも動きません。
そして煙がはれて行くと…
顔面の皮膚が全て破け去り人体模型のごとく筋肉を剥き出しにした独歩の顔がッ!!
鼻は剥がれ落ちかけ、唇はかろうじて付いていると言ったレベルです。
スペックの弾丸攻撃を喰わされた花山の状態よりも悪そうです。いや、悪いだろう、これは…。
そんな独歩を見てドリアンは勝利の歌を歌い上げる。
ドリアンにとっては加藤に勝つのも、独歩に勝つのも同じレベルなのか?
そう、そして強敵(とも)が顔を吹っ飛ばされて苦しい時はこの人の出番です!
一方、場面は変わって…
範馬バキ17歳。ただいまデートの真っ最中ッ!
(※きまぐれオレンジロードをイメージしていただければ幸いです)
♪もし……苦しいときは 青く晴れた空を思い たへて行こう それが人生〜♪
耐えろ、独歩ッ!
とりあえずバキはデートだッ!
バカップルについては省きます。書いても面白くないし。別の意味で面白いかもしれませんが。
簡単に書くと、互いに「今夜は刃牙の部屋で一緒にいたい」と思いながらも言い出せない微妙なすれ違いをしつつ、またもやキスをして「……舌!?」と梢江ちゃんがビックリしてみたり、そんなんです。
このラブシーンは今回の「バキ」20ページ(表紙を入れて)のうち、たったの10ページしか無いのですから、やや大目に見てあげましょう。
まあ、本当は
「わたしが何故ツッコムかワカるか」
「色を……知りました」
「主役辞めろ」
とでも言いたい気分ではあるのですが、止めておきます。
不毛だし、今週は残り2ページしか無いし。
血をボタボタたらし、裸足にパジャマで移動しているらしいドリアンさん。満面の笑みを浮かべて
「よかった…」
と言い出します。
語り掛けた相手はなんと烈海王ッ!
「君が現われてくれて」
何なんでしょうか、この言い草は?
そして、なぜ烈がここにッ!?
誰も見ていないから、貴様を殺せば証拠は残らないとでも言うつもりなのでしょうか?
同門対決の予感を残しつつ次回へ続く…
さて、ドリアンの言葉の真意ですが、ひとつ予想できる事があります。
まず、ドリアンは左手をギブスで固めている。この状態では左手を使う事ができません。ちなみに膝も機械で補助しているだけの様ですが、これで良くあちこち歩き回れるものです。
話が少しそれましたが、ドリアンは左手が使えない状態にあります。
次にドリアンは右手を爆裂させたのでダメージがあります。右手からはいまだに出血しつづけています。
現時点では両腕が使えず、とても喧嘩のできるコンディションとは言えません。
そして、1番肝心な点として仮にも烈は同門であり、一応先輩を立ててくれた、と言う事実があります。
ドリアンは出て来たのが烈でさぞかしホッとした事でしょう。
ああ、これでやっと右手に止血をしてもらえる。左手が使えないから止血できなかったんだよね(T_T)
と言うわけで感情を挟まない理論的な分析の結果、ドリアンは烈に止血を依頼すると予想できます。結果は次回のお楽しみ!
もう1個おまけ。
梢江ちゃんがもしバキの部屋に行ったらどうなるのでしょうか?
「あっ、バキくんッ、あたし、もうだめェ」
「まだだ、梢江ちゃん。あと少し…」
「あっあっあっ、こ…!? 」
と言うわけで地下の練習所で常識を超えた特訓の果てに出るエンドルフィンを梢江ちゃんにも味あわせたあげたいと言う刃牙のいじらしい心遣いだったと言うオチが待っていた事でしょう。
Hなシーンと見せかけて違う展開で外すのはギャル漫画では常套手段ですから。
しかし、まあ、夏恵さんがどうなったのか結局分からず仕舞いでしたね。
おわびと訂正
前回の感想でスタン・ハンセン氏について「この方、亡くなっているんですけど」と書きましたが、NEROさんにスタン・ハンセン氏はまだ元気に生きていらっしゃると指摘されました。
私は、引退した事を不完全なまま伝え聞いて、不完全なまま記憶し、そうとも知らず功が成ったとカン違いしている愚かで不完全な刃牙ファンでした。
以後も記述に間違いがあれば、お手数でしょうがメールもしくは掲示板で指摘をお願いいたします。
2001年5月31日(27号)
第2部 第82話 喜劇(462回)
闘うこと、すなわち勝利―――
求むもの、すなわち敗北―――
ドリアンの孕むこの絶対的矛盾ッ!!
と言うアオリ文句と共に(表紙だけでは)元気いっぱいの刃牙が暴れております。
それより、サタイトルが「喜劇」とはどういうことか?
油断してやられるとは武道家なんて所詮「喜劇」を演じるだけなのだ、とでも言いたいのでしょうか?
様々な疑問と共に物語は容赦なく始まるのであった。
「よかった」「君が現われてくれて……」
と、出血も止まらぬまま烈と対峙するドリアンであった。
「質問をしたい」
「強さとは…………」
「強さとはいったいなんだろう」
いきなり、何を言い出すのか、このペテン師はッッ!?
いつものペテン・タイムの始まりなのかッ!?
「自己(おのれ)の意を貫き通す力――」
「我儘(わがまま)を押し通す力――――」
「私にとっての強さとは」「そういうものです」
これが烈の答えだった。
凄く実感がこもっていますね。試験を受けられなければ、幽閉場所を破壊して門番をぶちのめし、各地で蛮勇を振るい、他の格闘技は3000年前に通過していると主張する。
メチャクチャに己の意を、我儘を押し通していますよこの人は…。
日本中にあるラーメン屋を「貴様らのいる場所は3000年前に通過している!」とか「『支那』と言うな『中国』と訂正せよッ!(by 美味しんぼ)」と言って破壊しまくりそうなぐらい、己の意を通す事にかけては超一流です。
そんな烈先生のお言葉に(なぜか敬語)ドリアンは悟るのだった。
「わたしは勝ったことがない」
満天の空を見上げドリアンは哀しげに呟く。
「喜劇だ…」
「敗北を望んで以来――――」
「勝利を飽食し尽くしていると思っていたわたしが実は」
「一度も勝ったことがない」
えーっと、どう言う事でしょう、コレ?
強いと言う事は自分の思いを遂げる力があるということだ(人間力に通じますね)。だから敗北を望むドリアンは自分の思いを遂げる事ができていないので、勝ったことがない。
と、こう言うことのようですね。
ついでに言うと、ドリアンは力で圧倒しても、武道家の心を折る事はできていないんですよね。ドリアンにとっての敗北とは、「こうすれば良かったとか、あれを使用ったら勝てたとか、一点の疑問の入る余地もなく曇りもなく」敗れ去る事でしょう。
しかし、加藤はゾンビの様に立ち上がり、ジェットコースターの上で身をすくませていたはずの末堂は三戦で逆襲する。
ドリアンこそ彼らに一点の曇りも無いような敗北を与える事ができていない。
つまり、勝利も無い。
ややこしいのですが、多分そんな事を考えて己の滑稽さに気がついたのでしょう。そして、ドリアンは思い出すのだった。
「ならば……」「勝ちたいな」
ドリアンもここに来て、やっと初心を取り戻したのでしょう。
倒した相手が、「誘いに乗らなければ良かったとか、あれを使用れなければ勝てたとか、一点の疑問の入る余地もなく曇りもなく」己の敗北を確信できるような、勝利。
負けたけど、「なんか… 気持ちいいや」と思わせるような勝利を…
倒した相手に「名誉ある敗北を………、手にすることができた………」と言わせるような勝利を…手に入れたいッ! おそらくドリアンはそう思ったのでしょう。
だが、話した相手は、ミスター・蛮勇、先行者もとっくに通過済みの中国産・格兵器であるところの烈 海王ッ!
「それはかないません」
「たった今」
「生まれたばかりのささやかな夢」
「この拳が断つ」
本気で容赦ありません、この人は。先輩を立てるとか、同門対決はNGとか、そんな事は知らん、我が意を通すッ!と先ほど言った言葉をさっそく実践しています。
この挑戦にドリアンも怒ったのか、簡単に巻いていただけの包帯をとき、烈の顔にかぶせ襲いかかるッ!
「海王ッッッ」
だが、そんな物も意に介さず、烈の中指一本拳がドリアンの人中にめり込むッ!
気付いていたよ烈 海王(1ページ)
わたしは敗北者だったのだ(1ページ)
勝利に彩られていたハズの
わたしの人生が(1ページ)
その実 暗黒に満ち―――――(1ページ)
――――――――――………ッッ
◆ドリアン敗北を「2度」知る…!!(1ページ)
と言う訳で5ページに渡ってじっくり殴られ、ドリアン完全敗北(?)
今週は妙に難解な話でした…。
なんか、烈の一人勝ちと言う気がします。全てを捻じ伏せるような最後の一撃に中国4000年の重みがこめられている様に感じました。
神心会の皆さんはやられ損…
これを機に烈も克巳も最前線で闘うようになってもらいたいものです。
今回の話も、根源部分の「なぜ死刑囚は敗北を求めるのか?」と疑問は解消されない様です。
次回、ドリアンが敗北の余韻を楽しみつつ急激に老けるのでしょうか?
で、そろそろシコルかドイルにも登場してもらいたいのですが…
結局、長かったドリアン編は「ペテン師、自分自身にもペテンを掛けていました」と言うオチだと言うところでしょうか…。
2001年6月7日(28号)
第2部 第83話 キャンディ(463回)
敗北したドリアンに付き合ってか、表紙の刃牙まで呆けたような表情をしています。おまけに髪の毛まで白いし…。不幸な目に会う前触れでしょうか。
救急車に大量のパトカー、更に暴徒鎮圧にはもってこいの放水車まで並べて一群の警察関係車両が疾走しています。
「署長……」「ダイジョウブでしょうか…」「こんな沢山のパトカーが監視しているけど……」「患者が患者ですからね……………」
と、心配される通り、乗っているスペシャルゲストはミスター・ドリアンだッ!
救急車にその巨体を窮屈そうに横たえて、横には烈先生と警視庁特殊部隊の方が2名に救急隊員が1名と言う編成です。
なお、警視庁特殊部隊の方の装備はスペック編に出て来た「警視庁 対テロ機動部特別機動隊 正式採用の完全武装装備」とは違うようです。
タコ魔人の前にあまりに無力だったため、解散させられてしまったということなんでしょうか?
何にしても、この環境と言うのはほとんど罰ゲーム状態です。
目の前には馬鹿デカい死刑囚、横にはガングロ蛮勇な中国人。同じ空間にいるだけで、むわァ〜〜〜… と酸欠になりそうです。
こうして並んで座っていますが、戦力的にドラゴンボールで例えると悟空、ヤムチャ、亀仙人、ブルマと言うところでしょうか…。一人だけかめはめ波が撃てません。
「あの…」「このヒト…………」「アメリカで脱獄した死刑囚…って」
と救急隊員(気分的にはブルマ)がたまらず確認してきます。
「大丈夫です……」「警視庁の威信に懸けて…………ッッ」
と、無精ひげを生やした特殊部隊の方(気持ち的にはヤムチャ)が気張ります。
「あの…」「もしものときはお願いしますわ」「ビシッと」
って、威信はどうしたッッ!??
戦う前から腰抜けです。おそらくスペック事件は警察内では生々しい恐怖として残っていて、死刑囚に対する伝説ができているんでしょうね。
見ず知らずのガングロ中国人にこんな事を頼むのは変ですから、この人も神心会の関係者かもしれません。
「その必要はありません」
「……エ?」
っとこれは予想外です。いきなり突き放されてしまいました。
「今やこの男を囲む……」「一本の鉄条網すら必要ない」
と、烈先生はドリアンの無害性を語ります。敗北してしまった死刑囚はもはや危険物では無いと言うことなんでしょうか。
と、思っていたらいきなりガバリと起き上がるドリアンッ!
一気に窓ガラスに張りつきます。
が、なぜかそこで動きを止めてしまいます。
「キャンディ………」
「ホラ…」
「キャンディ………」
とイルミネーションの光りの玉を浮かべる東京タワーを指さします。
「パパがね…………」「2つしかくれないの………………キャンディ…」「ボクは…たくさん欲しいのに……………」
急にヤバい人になってしまったドリアンに、さすがの烈の目にも微かな涙が浮かびます。
「勝ちつづけることで 支えてきた自我――――――」
「その実―――――」
「一度の勝利もなかったと解した今――――――」
「彼の脳は自我の崩壊を選択した」
先輩である、もう一人の海王の哀れな姿に同情してしまったのでしょうか?
今までに見せたことのない優しげな表情です。
烈が汗だけではなく涙を流す事ができたと判明したのですが、これって泣くほどの事なんでしょうか??
「ドリアンくん」
「俺がキャンディを山ほど買ってやる」
「好きなだけ買ってやるさ」
と、すっかりドリアンを子供扱いして今週はおしまい。
いや、烈って今までにも他の格闘家を子供扱いしてきた事が多かったんですけどね、違う意味で。
ドリも「ホント!?」「ホントに!?」とすっかり童心に返って大はしゃぎです。
ところで、烈先生、キャンディはどこで手に入れるつもりなんでしょうね?
やっぱりアレですか、近くの病院に入院している猪狩+プロレスラー3人を急襲 見舞いに行って、「入院中にこう言うものは毒だ、私が処分してやるから有難く思え」とアメ玉レスラーのアメを袋ごと持って行ってドリアンに与えるとか…。
今回も前回に続いて考えさせる展開です。
私は、ストライダムが勇次郎の強さを称した言葉「ユージローの強さを支えるもの……」「それはヤツの持つ自我(エゴイズム)に他ならない!!」を聞いたとき、勇次郎が敗北することは自我の崩壊=死につながるのではないかと感じました。
自我の崩壊とは自分である証を失う事ですから、ドリアンにとって勝利の否定とは実は今までの人生は夢オチでしたと言うぐらいのインパクトがあったのでは無いでしょうか。
今までの人生が幻だったとわかったら幼児退行して現実逃避したくなる気もするでしょうね。
スペックの場合は望んでいた敗北を手にして、安らかに老けていきましたが、ドリアンは初めて勝ちたいと思い敗れたため、安らかな境地に逃げ込んだと言う事でしょうか。
スペックが恍惚として、あるべき自分に返ったのに対し、ドリアンは勝利も敗北も知る前の自分に返った、と言う気がします。
どちらにしろ、死刑囚編の敗北は勇次郎の敗北をシミュレーションとなっていると思います。
まあ、本当の所はどうなのか今後わかって行く事になりそうですが。
そうなると、柳、ドイル、シコルの望む敗北と敗北した後の姿はどうなるんでしょう?
全力を出した闘いに満足して敗北を受け入れるのか?
敗北を知る事で更に強くなれると思うのか?
敗北者の気持ちが知りたかっただけで、知的好奇心を満足させるのか?
どうなるのか予想がつきません。
そう言えば、最近敗北を知って腑抜けているヤツが一人いましたね(^^;
タイミング的にも次は彼の出番かな?
それにしても、神心会の方々は報われない終わり方でしたね…。ご愁傷様です。
2001年6月14日(29号)
第2部 第84話 10分後…(464回)
今週のチャンピオンは、表紙&巻頭カラーが「バキ」!
そして、グラビア特集は刃牙フィギュア & 刃牙トレカ特集!
今週のチャンピオンは刃牙が制覇しております!(笑)
さて、そんな刃牙尽くしのチャンピオンですが、今週のアオリ文句は…?
強いヤツ――――――
怖いヤツ――――――
凄いヤツ――――――
そんなヤツらと
闘いたい!!
……闘ってください。思う存分。つうか、闘え。
さて、本編の方ですが…。
梢江ちゃんを先に帰し、約10分の冷却期間を置くバキくんです。
が、その背後に怪しげな人影が…。親バカなお父さんがストーキングしているのでしょうか?
全国100万人の勇次郎ファンが出番を待っているぞッ!
さて、帰宅した梢江ちゃんをむかえたのは久しぶりに登場の絹代さんだ。相変わらず、和服を常着しています。
昔は明るい感じの人だと思ったのですが、いつのまにか無言の迫力を出して、極道の妻みたいな感じになっています。
その恐るべき人間力は、梢江ちゃんが誰と出かけていたのか、またそれを誤魔化すために何をする気なのか、全て見通しています。
「ほォら10分………………」
バキ君、モロばれですよ。
さて、部屋に帰った梢江ちゃんは素足をさらした無防備な姿で寝転びます。これは全国1万人の梢江ちゃんファンが萌え立つ事間違いありません。
ところで、初公開の梢江ちゃんの部屋ですが…
コンポらしきものが一式。コンポの横にそうとう量のカセットテープが積まれています
リアルっぽい犬のぬいぐるみが1個、なぜか果物の入ったカゴがひとつ。化粧品らしきビンが3つ。
それと全身が映る鏡が一つあるようです。
部屋が片付いている事から、割りと几帳面な性格の様ですね。
で、コンポがMDではなく、いまだにカセットと言うのは物持ちの良さを感じさせます。
化粧品の数が少ない事からも、母親との2人暮しでつつましく暮らしている姿が想像されます。
その割には値の張りそうな鏡がありますが…?
一方、絹代さんに見破られているバキ君の帰宅を迎えてくれるのは、愛犬・ムサシです。
「ハッ ハッ」と息を荒げていますが、これは燃焼しきれなかったバキ君の心境でもあるのでしょうか?
さて、全身を鏡に写して梢江ちゃんは髪をほどきます。なんか、前ページからの続きのせいでいきなり刃牙の髪が伸びたのかと思ってしました。
梢江ちゃん、なんか刃牙に似てきた?
鏡に己を写して、梢江ちゃんは思うのでした。
「いっちゃおうか」
「バキくんの部屋……」
はい、皆さんご一緒に、 萌え………………。 お疲れさまでした。全国1万人の梢江ちゃんファンのため息が聞こえてきそうです。
読んだことは無いのですが、ハーレークイーンと言う女性向恋愛小説文庫ではヒロインは鏡に全身を写して自信を取り戻すらしいですが、それを実践していますね。
おそらく、今の梢江ちゃんは頭の中で実戦を想定したシャドーを繰り広げている事でしょう。
ちなみに梢江ちゃんがシミュレート中の「オレモ行こうと思っていたんだ……」「キミの部屋……」と言っているバキ君は、150%ほど美化されている様です。
そのとき、窓を叩く音が…
刃牙かと思い、梢江ちゃんは窓を開けます。
だが、誰もいない。
ザワ… と不気味な風が吹く。
不安を感じ、窓を締めた梢江ちゃんの背後に…
ロシアから来た死刑囚・シコルスキー参上!
これには全国10万人のシコルスキー ファンも大喜びです。
問答無用で梢江ちゃんの口を手でふさぎ、足を絡ませシコルが迫る。
「君ノ オ母サンハ無事ダ」
「ソレハ約束シヨウ」
「シカシ モシ君ガ ココデ大声ヲ出シタナラ…」
「君ト オ母サンヲ殺シマス…………………ワカルネ?」
「シバラク…オトナシク シナサイ……」
去年の3月30日に土下寝して以来の登場なんですけど、なんか日本語がカタカナになっていますね?
スペックやドリアンがカタカナから平仮名で喋る様になったのとは逆のパターンです。
梢江ちゃんを恫喝するための演出でワザとカタカナにしているのでしょうか?
それは、それで梢江ちゃん大ピンチのまま次回へ続くッッ!
ドリアン編では独歩が家を襲われ、今度は刃牙がシコルに家を襲われる。
犯罪者が相手らしく非情の展開が始まっていますね。
そう言えば、独歩&夏恵夫婦はどうしているのでしょうか? 全国100万人のファンが心配しているのですが…
死刑囚に絡まれる率では主人公らしく最高値をはじき出している刃牙ですが、最大トーナメント編の頃から変わらず、不意打ちには弱そうです。対スペック戦の時の様にいい所なく殴られ損に終わりそうな予感がしますが…
刃牙のこのピンチに、スペックや柳の時と同じように仲間が懸けつけてくれるのでは無いかと思うのですが、第1候補は鎬兄弟でしょうね。
と、言うか戦力になる連中の中で友達と呼べるのはコイツらしかいませんし。
猪狩は、もう出てこないですよね。
巻末の板垣先生のコメントより
「漫☆(F)画太郎さんの読み切り「裸一貫」(YJ(ヤングジャンプ))。一体何回笑った事だろう。」
(注:☆の中に「F」なんて変態文字は秋田書店でもなかったのか、合成っぽいのですが、Web上でも当然再現できていません。雰囲気で読んでください)
漫画太郎氏といえばピエール滝を原作に、チャンピオンで連載を始めると電車の中吊り広告に乗っていたのですが、今週も予告が載っていません。
実は、あれ自体がギャグだったのでしょうか?
同時に載っていた、二つの新連載は無事に始まっているだけに不気味です。
で、そんな中でヤンジャンで読み切りです。しかも、かなり長い作品で板垣先生のおっしゃる通り、なんか打っているんじゃないかと言うような切れっぷり。
見るたびに崩れていくデッサンと、反比例する様に増える書き込み。
麻薬中毒者はものすごい集中力を発揮して、単純作業をいつまでも熱心にできるらしいのですが、なんか鬼気迫る作品でした。
あれを見ると、集英社が漫画太郎氏を手放すのが惜しくなって監禁してムリヤリ作品を描かせたんじゃないかと疑ってしまったほどです。
何にせよ、来るなら来やがれ、漫画太郎ッ!
チャンピオンの紙面はすでに萌えに走っているのか、燃えているのか、存在自体がギャグなのかわからない状態だッ!
ここで訳のわからんもんが入ってこようと、たいして変わらんッッ!
と、言う訳でチョット好きだった「黄泉の影郎」の後釜として次回、予告が載ってるといいですね。
おまけ:絹代さんの変化を確認するのに「グラップラー刃牙2巻」を読み返したのですが、72ページに出ている刃牙の本棚に「塩田剛三 合気道」があるのを発見!
刃牙で実名が出るのはけっこう珍しいですね。挿絵はやっぱり板垣先生か?(笑)
この本棚には「ケーフェイ」などもあるので趣味と実用が混ざっているのかもしれませんね。しかし、佐山がモデルらしいアメ玉レスラーは生きているのでしょうか?
2001年6月21日(30号)
第2部 第85話 許さねェッ!!(465回)
◆シコルスキー侵入!!
梢江の身に今、かつてない
危険が迫りくるッ!!
と、梢江ちゃんの大ピンチモードで始まる今週のバキ!
シコルスキーの分厚い手のひらが梢江ちゃんの口を覆い、もう一方の手は頭を鷲掴みにしています。
「大声ヲ出セバ君ノ母(ママ)ガ死ヌコト…………」
「伝ワリマスネ」
「ソシテ私ニハソレガ実現可能ナコト…………」
「伝ワッタノナラ静カニ眼ヲ閉ジテ……」
この恫喝に梢江ちゃんが抵抗できるわけも無く、素直にまぶたを閉じる。
それを見てシコルスキーも梢江ちゃんを開放する。
「イイ子ダ……」
よく見ればさっきまで口はもちろん鼻までふさがれていた梢江ちゃん、大きく息を吸い込んでいます。
ちなみに、シャツの脇からブラチラをしています。これには男性読者はドキドキだ(そんな余裕は無いか…)。
「初めて逢うあなたの言葉…………」
「スゴク信じられるわ」
と、怯え震えながらも梢江ちゃんは話します。
「あなたの表情あなたの姿カタチが…」
「どれもウソじゃないと伝えている…」
恐るべき、巨凶(?)松本の血です。初対面でもシコルの恐ろしさを十分に認識しています。まあ、夜中にいきなり侵入してくるデカい人間はマトモじゃないとスグにわかるのでしょうが。
この恐るべき危険人物に対峙して、梢江はどうするのかッ!?
「でも……」
「同じくらい信じられることがある……」
むぅ、これは愛です。
大声を出せば、確実にこの男は私を殺そうとするだろう。でも、刃牙くんは自分を助けにきてくれる。刃牙くんならこの男に勝てる。刃牙なら私を助けてくれる。
己の命をも賭けることのできる信頼関係。
私は、このバカップルを甘く見ていたようです。このバカップルはただのバカップルではないッ。地上最強のバカップルだッッ!
ただイチャツクだけでは無い、本気の覚悟が存在しています。
己の死すら覚悟した梢江の言葉を聞き、シコルスキーが興味深そうな表情を浮かべます。
猪狩と立ち合った時の、悪意の表情。相手の真意を探る表情だ。
「ソレニ賭ケテミルカイ……」
「………ッッ」
「何ヲ?」とは問わない。それが、自分と母親の命である事は互いに理解している。
本気で、自分と母親の命をあの少年に賭けるのか、とシコルスキーは問うている。
そして、それに息を飲む梢江も自分の命を刃牙に賭ける事ができるのかと、一瞬ためらったのだろう。
だが、その迷いはすぐに消えた。顔を上げた時の表情には決意が表れている。
「バ……」
叫ぼうとする、梢江。だが、その顔面に向かって「ブンッ」とシコルスキーの拳が迫るッ!
鍛えられた格闘家ですら仕留めるシコルスキーの拳!
一般人の、それも女性の梢江ちゃんが喰らえば、間違いなく即死ッ!?
が、そこに刃牙が窓を割っての強襲!
まわし蹴りでシコルを撃破ッ!
梢江ちゃんが「…キくんたすけてエエエッッ」と叫びきる前の早技です。
この余りのタイミングの良さに梢江ちゃんも信じられないと言った顔で「バ…」と絶句する。
「ここでなにしてやがるッッ」
シコルスキーに対し怒りをあらわにする刃牙。
「梢江」
と、匕首(?)片手に飛び込む絹代さん。
「覗キノ趣味ガアッタノカイ…………」
と、殴られた悔しさを口で返すシコルスキー。
「わぁああ」
と、泣き叫び刃牙に抱きつく梢江ちゃん。
4者4様の反応で、梢江の部屋に役者が揃います。
「最強ノ男ト聞キ君ヲ追イ続ケタ」
いきなりのシコルスキーのストーカー宣言。これには絹代さんもビックリだ(違う)。しかし、最近この漫画ストーカー多すぎ。
この言葉に反応したのか、刃牙はまだ泣いている梢江を脇へ押しのけます。
「え…ッ」
と、梢江はショックを受ける。この辺、ちょっと2人の絆に質の違いがあるのを感じます。ひょっとしたら、今後の2人に暗い影を落とす結果になるかも。
「シカシソノ実体ハドウダ…」
と、非常に痛い所を突いてくるシコルスキーの喉に刃牙の後ろまわし蹴り気味の足刀が容赦の無く炸裂するッ!
更にそのまま回転を生かし、振り下ろしの右フックを顔面に叩きこむ。
この猛攻に、さすがのシコルスキーも膝から崩れる様にダウンする。
「てめェは――――――」
踏み込んじゃ
ならねェ
領域に踏み込んだ
そのまま刃牙、怒りの頭突きッ!
これは久しぶりに完全な戦闘モードに入っています。
ランニングを着ているのでわかりませんが、現在(いま)の刃牙の背中には鬼が浮かんでいる事でしょう。
「やってやるよ」
更に凄む刃牙。この炎はシコルスキーを倒すまで、もう消えないようです。
が、シコルスキーも黙ってやられるわけではない。
幾多のレスラーを血祭りに上げた、切り裂く中指一本拳が唸るッ!
が、刃牙はその攻撃を前から袖を掴むスープレックス気味の投げで切り返す。上体を反らす事で拳をかわし、しかもそのまま投げに持って行く。攻防一体の見事な技です。
そのまま、シコルスキーを窓から投げ飛ばし、戦場は松本家の中庭へ…
「ここで完全決着だ」
◆もう、今のバキは
誰も止められない!!
次号につづく!!
と、言う訳でスマン、刃牙。お前はイカしているよ!
はい、今週は刃牙がカッコよすぎでした。
今までのヘタレぶりも今回爆発するためのためと思えば納得が行くと言うものです。
が、それとツッコミは別です。
いくつか気になるところも、当然あります。
いや、むしろ、多いぐらい、か?
まず、刃牙の乱入のタイミングの良さが気になります。
まるで謀ったかのようなベストのタイミング。これは、後でシコルに「覗キノ趣味ガアッタノカイ…………」と言われている通り、窓の下で待機していたに違いありません。
そんな所で何をしていたのかと言うと…やっぱりタイミングを謀っていたのではないでしょうか。
梢江ちゃんがシコルスキーに捕らえられたままの状態で飛びこんでも、盾に取られれば手も足も出ません。そこで、シコルが梢江ちゃんの体から手を放す瞬間、周囲に配られている意識が途切れる瞬間を、窓の下で焦る心を押さえて耐えていたのでしょう。
もっとも、シコルに気がついて部屋に来たのか、別の目的が合ってきたのかは知りませんが…
次に、絹代さんの匕首も気になります。
暖かい季節になり、各家庭にも黒光りのするアレが出たり出なかったりする時期だと思います。
さて、ゴキブリが出たときに殺虫スプレーを探して見つからなかった事はありませんか?
普段使わないものは、意識して置いておかないととっさには見つからないものです。
絹代さんの反応は刃牙には遅れているとは言え、恐るべき早さです。しかも手にはどこから取り出したのか、匕首が。
これは常日頃から、暴漢に教われたときの事をシミュレートしているとしか思えない反応です。少なくとも、学生の非難訓練よりも真剣かつ実戦的に…。
さすが、武道家の嫁。伊達に女手一つで梢江ちゃんをここまで育ててきていません。
腹の据わり方が違っています。「極道の妻たち」も真っ青です。
後、シコルスキーの目的も気になります。
彼の「最強ノ男ト聞キ君ヲ追イ続ケタ」と言うセリフから、猪狩との戦いの後から刃牙の事をストーキングしていたと推測されます。
で、その間刃牙のやった事と言えば…
公園でイチャつく。 スペックを花山に預けて逃げる。ドイルの襲撃に逃げ出す。 柳に敗北する。ドリアン襲撃に遭遇、しただけで何もしていない。 街中でイチャつく。 色を知る。
ロクな事をしていません。
これにはシコルスキーも失望した事でしょう。どうせなら、花山か渋川の方が闘う相手としては良いのでは…、と思ったのかもしれません。
が、そこでシコルスキーは思い出すのです。
そう言えばスペックにデートの邪魔をされそうになっていた時は妙に怒っていたな、と。
と、言う訳で梢江ちゃんをさらい刃牙を本気にさせる作戦を考えたのでしょう。
さらう事にしたのは、スペックの時のようにいきなり邪魔が入ったらイヤなので自分のペースで闘いを進めたいと言う意識の現われなのでしょう。
そう言う意味では、刃牙が本気になって「ここで完全決着だ」と言い出すのは、シコルにとっては目的達成なのかもしれません。
と、言う訳で次回のシコルスキーの動向に油断はできません。
最後に、本当に完全決着するの?というのが気になります。
上で書いた理由からシコルスキーの底力は、まだまだある様に感じます。
そして、梢江ちゃんをさらう気だったシコルは何処かに対刃牙用のスペシャルステージを用意している可能性があります。
そう言う意味では、楽しみは後に取っておいてこの場は逃げる、と言う行動をシコルがとるのではないでしょうか。
もちろん刃牙は追いかけるのでしょうが、そこに父親もしくはドイルの邪魔が入りシコルスキーには逃げられてしまうという事も考えられます。
せっかく、バトルの熱が上がってきているところなのですが、梢江ちゃんの心を落ちつけることより、自分の怒りのおもむくまま闘う事を選択した刃牙の心境の変化と梢江ちゃんとの関係が非常に気になるので、煮え切らないまま闘いが中断され新展開を迎えると言うのもアリかと思うのですが…
なんにせよ、次回を早く読みたいッッ!
2001年6月28日(31号)
第2部 第86話 子供(ガキ)は子供(ガキ)(466回)
今週の表紙には「協力:東京大学大学院教授 松原隆一郎」と、あります。一体どんな協力をしてくれているのでしょう?
やはり突然フェードインして来る、「最も強い○○ですか? それはですね…」系の教授なのでしょうか?
それはともかく…、久しぶりの超本気モードに入ったバキが、シコルスキーに迫る。
「完全決着だ」
と、本気のバキ。さすがは主人公です。まだ若いのに第1部での闘いと、第2部での闘いの違いがワカっている。決着がつかずどちらかが逃げ出すパターンが多い事を踏まえた上での「完全決着だ」宣言です。
が、投げ飛ばしたはずのシコルスキーがコートだけ残していなくなっているッッ!
先週のラストでは確かに体ごと投げられていたはずなんですけど、いつのまにッッ!
まさに空蝉(うつせみ)の術だッ!
ちなみにシコルスキーのコートは猪狩襲撃の時と袖のデザインが若干違っていたので、こう言うときのために特注したコートなのかも…(考えすぎ)
コートだけを残して消えてしまったシコルスキーを前に、さすがのバキも冷や汗を流します。
「うっそだろう……………」
あまりの衝撃に、バキも普通のリアクションしかできません。慌てて、梢江ちゃんの部屋に戻るものの、そこに梢江ちゃんの姿はない…。
「大丈夫ッスか おばちゃんッッ」
と壁にもたれている絹代さんに声をかけるバキ。と言うか、「おばちゃん」は無いでしょう…。
昔は「大家さん」と礼儀を込めて言っていたのに…
その一言に怒っているのか、シコルにやられたダメージなのか不明ですが、絹代さんは視線も合わせず「さらわれたよ………………」「コ…ズエ」と呟くだけであった。
一方のシコルスキーは、奪い取ったと思われる「健康食品 オカザキフーズ」のトラックで逃走中です。ちなみに、この社名はスタッフの岡崎勝也さんが元ネタかと思われます。
「踏ミ込ンデハ ナラヌ領域…トキタカ」
と悪い時の猪狩(と言うか餓狼伝のグレート巽)並の悪い微笑で口元を歪めています。
「ハッハッハッハッハッハッ」
「笑ワセテクレル………」
「王者(チャンプ)トハ言エ 子供(ガキ)ハ ショセン子供(ガキ)ダ」
「ハハハハハハ」
と、助手席に梢江ちゃんを乗せてご満悦です。
かつて猪狩たちに拉致られた時にされたようなテープを梢江ちゃんに張りつけていますが、アメ玉はあらかじめ入れてあるのでしょうか?
と、言うか横書きで喋っているんですけど、ロシア語で話しているのでしょうか? それでは梢江ちゃんは意味がわからず困ってしまいますよね…
侵入方法や脱出方法といい、とにかく、謎ばかりです。
壁のよじ登りや、不意打ちに対するこだわり、タヌキっぷり、そして侵入脱出とシコルスキーのスキルは忍者を思わせるものが多いと思います。忍者の達人・初見良昭先生に師事していた事でもあるのでしょうか?
場面は変わって警視庁――――――
警視庁と言えばこの人、ちょび髭の警視正・園田盛男 本名で登場だ―――!
スペックにコキャコキャにやられた後、登場する事も無く生存が危ぶまれていましたが、完全復活です。
そして、彼が迎えるのはいずれも大物ばかり…
米国 FBI局長 バート・アレン
英国 刑事法院長 ジュリアス・ノートン
ロシア共和国 元KGB高官 バレンチン・ソコロフ
米国 司法省副長官 ジョン・スペンサー
日本 警視庁副総監 名護秀信
さり気なく、死刑囚の登場順に各国の人物がイスに座っているのがポイントです。
「現時点での逮捕者は2名」「お手元の書類でご確認済みかと思います」
と、アメリカ2人組みのレポートを報告しております。
「検挙率世界一を誇る警視庁ではありますが」
「この一件に関してはいたずらに時間を浪費し続けているのが現状です」
以前から、失態をごまかす事無く報告すると言う姿勢に好感を持っていたのですが、今回もその姿勢は崩していないようです。
「本土上陸以後 犠牲者既に6名」
「脱走を許したみなさんの責任を問うているのではありません」
「どうか ご協力願いたいッッ」
こっそり自慢しつつ、恫喝し、下手に出て協力を請う、けっこうしたたかですね、このおっさん。
しかし、犠牲者が6人と言うのは少なすぎる気がするのですが…。死者の数か、警察内の人数は省いているのか、そのどちらかでは無いかと言う気がします。今回は誤植が多いそうなので、誤植と言うのが1番可能性が高いのですが…。
そして、最初に口を開いたのはロシアのバレンチン・ソコロフ氏であった。
ところで、この会議の出席者なんですけど、
FBI局長、刑事法院長、元KGB高官、司法省副長官、警視庁副総監と居るのですが、一人だけ現職じゃないですよね。
現職ではないのに、この場に居ると言う所に、彼のキケン度を感じさせます。
その、バレンチン・ソコロフ氏が発言する。
「日本の諺に…………」
「「毒を似て毒を制す」という言葉があるそうだが…………」
むう、またもや日本語の解説ですか…。シコルといい、ロシアでは日本語研究が流行っているのでしょうか?
「バート局長」
「アリゾナ刑務所に大変な受刑者がいるそうですな」
「受刑者にありがちな刑務所を自由に外出し」
「実質 彼の監視は24時間体制 偵察衛星に頼るしかないという」
ちなみに「ありがちな」は「ありながら」の誤植だと思われます。受刑者が自由に外出するのが「ありがち」と言うのはおかしいですよね(^^;
「ソコロフ氏ッ」
たまらず、バート局長が口を挟みます。
「我々合衆国の恥部――――――
よく御存知のようだ」
「そしてあなたの曰れんとしていることは特効薬的な効果も考えられる」
「しかしながら」
「犯罪者に対してポリスが依頼」
「事情がどうあれそんなことが果たして……」
まさに苦渋の決断。警察の威信に関わる問題の様です。
「チッ」「チッ」「チッ」
だが、そんなバート氏の苦痛をあざ笑うかのように舌打(?)をするソコロフ氏であった。
「今 あなたは確かに認めた」
「特効薬的効果とッッ」
「はたしてメンツを重視しているときですかな」
一気に畳み掛けるソコロフ氏。現役でもないのにこの会議に参加しているのは伊達じゃありません。まさに曲者です。
「あの怪物をあなたは御存知ないッ」
「あの怪物オリバをッッ」
その噂のオリバは、広大な荒野に作られた要塞のような刑務所の中、高級な扉の中に存在するッ!
「ミスターオリバ お食事をお持ちしました」
と、敬語まで使って、まるでウエイターのような看守たちが冷えたワインと高級料理を持ってきます。
「入れッッ」
と、ミスターオリバは一喝するのみ。
刃牙ファンの中で今まで噂が絶えなかった、第6の死刑囚。第2部・死刑囚編のラスボス、これが最凶最後の規格外死刑囚となるのかッッ!
驚愕怒涛の展開のまま、次回へ続くッ!
う〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん。こう言う展開できましたか。
多分これは、死刑囚の中でもずば抜けていそうだったドリアンが惨めな最後を迎えてしまった挙句、敗北を知りたい人達の意義まで根こそぎ揺るがしてしまったため、新たな展開を持ちこんだのでしょう。
なんとなく、ガーレンの初登場や、勇次郎inシェルターと小坊主とか、泣き虫(クライベイビー)サクラを彷彿とさせる登場シーンです。
死刑囚5人は、登場したてのころは本当に怪物じみていたのですが、段々とそのインパクトが薄れつつあり、ハッキリ言って強そうではあっても、その格付けがイマイチわからず怪物性と言う点ではそれほどずば抜けていない気がしていました。
そう言う意味では、明らかに格上となる怪物を登場させると言う事は、ストーリーを引締める効果があると思います。
おそらく、オリバの前ではスペックもドリアンも「ミスター オリバッッ! お目にかかれて光栄です」と言って機嫌を取ったりするんでしょうね。
しかし、どんなヤツなんでしょうね、オリバとは?
プラトーンなんかの監督「オリバー・ストーン」を連想させる名前ですが、その実体はまだまだ不明です。
そして、連れ去られた梢江ちゃん。次回貞操の危機か?
ちなみに元KGBが出て来たと言う事はシコルスキーもまたKGBに所属していたのではないかと思われます。現代の忍者・特殊部隊出身とか?
あと、あの会議って横書きで書かれていたので英語なんでしょうけど、軽視正は英語が喋れたんですね。人は見かけによらないモンですね。
板垣先生も大注目の「漫$画太郎」(注:「$」の縦棒が一本足りませんが気にしないで下さい)新連載。表紙&巻頭カラーとあのエイケンを上回るVIP待遇!
大丈夫か、チャンピオン…
ちなみに「ドリアン」で大笑いしてしまいました。
今回はやや地味目だったので、次回からはエキサイティングに行って欲しいものです。
2001年7月5日(32号)
第2部 第87話 ミスターオリバ(467回)
今週の表紙は、刃牙フィギュアのイラストッッ!
これがどう言うネタなのか良く分かりませんが、実物は中々良いできのようです。
ちなみに私はここしばらく捜し歩いているのですが、まだ入手できていません。昨日、さくやらホビー館のショーケースに入っているのを発見して、勇気を出して(少なくともエロ本を買うときよりも多めに)店員に尋ねたのですが「今日売りきれちゃいました」とさわやかに言われ沈んでいるところです。
まあ、それは置いといて…
久しぶりの新キャラ、ミスター オリバです。
先週からのWeb上での評判を見る限り、「ガーレン級の噛ませ犬?」「泣き虫(クライベイビー)サクラか?」と意見が真っ二つ。個人的にはガーレン好きなんですけどね。
ここまで期待と不安を持たせる、ミスター オリバとは一体何者か!?
舞台はアメリカ「フェニックス・スカイハーバー国際空港」へ。降り立った男は、ちょび髭の警視正・園田盛男ッッ!
わざわざ、アメリカまで行くとは実にご苦労な事です。
前々から思っていて掲示板でも書いた事なのですが、園田さんが数々の失態にもかかわらずいまだに警視正でいられるのは、死刑囚全員が捕まるまでに起きるであろう失態を全て園田さんに被せて保身を図ろうとしている警察庁上層部の陰謀を感じます。
迎えるは、アリゾナ州立刑務所長M(マイケル)・ホールズ氏であった。
「ホテルでシャワーを浴びビアでもあおりたいところだろうが」
「このまま現地までご同行願いたい」
その言葉を聞き不敵な笑みを浮かべる園田警視正であった。
「観光にきたわけじゃない」
「気遣いは無用だ」
アメリカ産の最凶死刑囚と今まで真っ向から張り合ってきた(正確には、張り倒されてきた)修羅場の経験がこの男の胆力を鍛えたのか、なんか園田警視正がカッコ良くなっている気がします。
ちなみに先週も書きましたが、横書きのセリフから判断するに園田警視正は英語がペラペラのようです。
伊達に警視正まで上り詰めていません。頭の方も中々の切れ者の様です。
さて、早速車で現場に直行する園田+アリゾナ州立刑務所所員です。
「米国(アメリカ)人は残業を嫌うと聞いていたが……………」「働き者なんだな」
と、園田警視正が軽口を叩き緊張(?)をほぐそうとしています。
だが、マイケル・ホールズ所長の答えは重いものだった。
「これは理解しにくいことなのかも知れないが…………」
「今夜の時間外労働はミスターオリバの命令で動いている」
「知っているのか!?」「わたしがくることをッ」
って、園田警視正、もう余裕無くなっています。速くも冷や汗をかきやられキャラモードに入っています。
「知らぬことなどないよ彼(ミスター)に………」
サングラスをかけているのでその表情は良く分かりませんが、呟くように言う口元から察するに、やはりこう言う現状はマイケル・ホールズ所長にとっても苦々しいものなんでしょう。
「ホントに受刑者なのか…………?」
と、わかっちゃいるけど聞かずにはいられない園田警視正に、
「合衆国(ステイツ)的にはね」
と、やや投げやりな答えを返すホールズ所長であった。
金網のフェンス、門その1、シェルターの様にでかい門と、きっちりとチェックを受けないと先に進めない厳重な警備の刑務所。
「まっとうな刑務所じゃないかッッ」
「刑務所(ここ)を自由に出入りする男―――――」
「いったいどんな怪物!!?」
そして、所内では、ガラス張り(?)の部屋に受刑者が1人ずつ入れられている。
「どこにでもある――――――」
「ごく普通の刑務所風景」
と、園田警視正は行っておりますが、こう言うガラス張りの部屋がずらりと並んで建てられているのはあまり普通ではないと思うのですが…
まあ、それはともかく、本格推理漫画に出てきて「この鍵は複製できませんし、この扉を破る事はできません」と言われそうな頑丈な扉と鍵を開け、ついにオリバへの道が開くッッ!
「ここからはアンタ1人だ」「それがミスターの希望だ」
と、ホールズ所長に言われてしまう園田警視正。やっぱりツイていませんこの人。せっかく拾った命で、またもや死地に向かわなくてはならないようです。
そして、扉の向こうには、超豪華な通路がッッ
「涼しい……」
「空調(エアコン)が効いている…………ッッ」
「高価そうな絨毯」
「よく理解(わか)らぬが名画っぽい額(え)と彫刻………」
「ミスターオリバの趣味なのか!?」
園田警視正もビックリ仰天の豪華な廊下。天井にはシャンデリア、数ある絵画と人の背丈よりも大きそうな彫刻の数々。
彫刻や絵画は基本的に人物像・人物画の様です。
おそらく、ミスターオリバの関心は人体に向いているのでしょう。哲学的関心の持ち主であるのならば、抽象画などが多いでしょうし、自然に興味があるのならば風景画を飾ると思います。
つまりは、肉体。オリバにとって世界は肉、マッチョこそ世界。ワールド・イズ・マッスルです!(すみません、最近暑いんで錯乱気味です)
この趣味を見ると芸術を愛し、肉体に興味を持つと言う人物像が浮かびます。
とりあえず、扉を開けたら、(チャンピオンだけに)一面にネコ耳メイドで「にょ〜」な等身大フィギュアが立っていて、「よく理解(わか)らぬがミスターオリバの趣味なのか!?」と言う展開でなくて良かったと思いました。
「いるのかッッ」
「あのドアのむこうに!?」
この廊下の奥にもう一つの扉がッッ。ファイトだ盛男、ノックだ警視正ッ!
が、扉に手が触れる前に向こうから声がかかる。
「入りたまえ」
「に……ッッ 日本語!?」
さすがは「知らぬことなどないよ彼に………」と言われるだけのことはあります。日本語もちゃんと知っているようです。
「遠路はるばるようこそ訪ねて下さった」
「園田警視正」
しっかり、チェック入れられています。これは盛男ピ――ンチ!
そして、ついに我らの前に姿をあらわしたオリバ。その容貌は、ヒゲ。黒人、マッチョだけど背が小さそう。髪型が谷村新司に似ている。板垣版餓狼伝の松尾象山に似ている。などと言われていますが、どうもあんまり強そうでは無い気がします。
5人の死刑囚に比べると不気味な存在感と言うものがあんまり感じられ無いのですが…
さて、直に見ている園田警視正の感想は…
肥満――――――――!!?
否!!!
肥満(デブ)ではない!!!
よく絞り込まれた
とてつもなく巨大な!!!
筋肉!!!
と、思っているスキに握手を「ミシ」とされて、盛男 大ピ――――――ンチ!
のまま、次週へ続くッッ!
これはアイアン・マイケル以来の強い黒人戦士の登場でしょうか。
が、やっぱりオリバの強さははっきりと見えてこない気がします。
肉体だけでは無く、知性も凄まじいものを持っていると言う展開なんでしょうけど、その凄さは次回以後のお楽しみみたいですね。
ところで、今週のシンクロニシティーなんですけど、バキの直前に掲載されている「浦安鉄筋家族」にて「変なヒゲ男が主演のB級アクション映画」のおっさんが妙に似ている気がします。ダメ? 似ていない?
しかし、このオリバさん、次回は何をやらかしてくれるのでしょうか。
そして、成田・アリゾナ間は20時間近くかかると思うのですが、これで梢江ちゃんが誘拐されてから、2日は見つからない事になりそうなんですけど、無事なんでしょうか?
オリバの初仕事はバキ vs シコルスキーの邪魔になりそうな予感…。
2001年7月12日(33号)
第2部 第88話 ハンター(468回)
先週の握手で園田警視正の拳が破壊されるのでは、と心配していたのですが「痛ッ」と言う悲鳴だけですんでいるようです。
運が悪い中にもラッキーが潜む。園田警視正もただでは起きあがりません。宝くじを100枚買ってほとんど外れたけど、一番下の当たりは10枚あったから、被害は1割軽くなった、と言う感じでしょうか。
「明日でもよかったのだが わたしはせっかちでね」
と、笑みを浮かべるオリバさん。多分、言外に「お前は自分の自由意思でここに来たと思っているだろうが、実は俺が呼んだんだぜ」と言う意味を込めているものと思われます。
日本語を喋っているのも「こっちはお前がうっかり漏らした日本語でも意味がわかるんだぜ」と言う遠まわしなプレッシャーをかけているのではないかと考えられます。
さて、対する園田警視正も伊達に修羅場を(本人の自由意思とは関係なく)潜り抜けてきたわけではありません。冷や汗をたらしながらも
「日本語が」「うまいんだな」
とお互いの立場が対等である事ををアピールするようなタメ口で切り返します。
これを聞き、にこやかな表情のままながらも歯を見せて笑っていたオリバが口を閉じます。一撃で園田警視正を屈服させる事ができなかったので、ちょっとだけムカついているのかもしれません。
そのまま無言でオリバは巨大な冷蔵庫へ向かう。ちなみに冷蔵庫の隣にはこれまた巨大なテレビが置かれています。
「シャンパンが冷えてるんだがビールが好みかな?」「日本のもあるぞ」
「受刑者が―――――」「酒だと!!?」
先ほどの舌戦で致命傷を与えられなかったオリバが自分の特殊待遇を見せつけ一気に畳み掛けている様です。
「安物だがけっこうイケるんだ」
と言ってシャンパンを開ける。安物なんて簡単に言っていますが多分公務員である園田警視正には簡単に手が出ない値段をしている事は想像に堅くありません。
チン、とグラフを軽く触れ合わせ乾杯し、シャンパンを飲み干すオリバ。今度は胸ポケットから葉巻を取り出しスパスパやり始めます。
「葉巻かよ…………
…………………受刑者が」
「掛けたまえ 園田くん」
「だいたい何故 俺の名を…!?」
と、今回は園田警視正がすかさずツッコミ驚いてくれるおかげで、読者はラクなものです。
ところで園田さん、突っ込む事に夢中で入ってからずっと立ちっぱなしだったようですね。オリバの方はとっくにソファーに座って葉巻の煙を鼻から出してくつろいでいると言うのに…
「この腕のバカげた太さときたら…―――――――――女性のウエストどころではない」
と、向かい合って改めてオリバの筋肉に驚嘆していますが、この男の真価はやはり筋肉にあると言う事なんでしょうか。
「いろいろ質問がありそうだな」
「なにから尋(き)いていいのやら」
「何故わたしだけが自由なのか……」
「聞きたいな………………」「ぜひ」
と言うわけで、ここからがやっと本番のようです。
なぜ、オリバがこのような特権を有しているのか、その答とは…
「わたしが優秀なハンターだからさ」
「いかなる犯罪者もわたしは捕らえることができる」
「ここアリゾナ州立刑務所に収監される受刑者の大半はわたしが捕獲したものだ」
これは意外な事実でした。ただのワガママ受刑囚かと思いきや、実はハンターでしたか。だとすれば、犯罪者に手を借りていると言うのもアメリカの恥部であるし、死刑囚逮捕に対する切り札と言うにふさわしい存在です。
「なぜ捕まえるんだ?」
「どちらかと言えば犯罪者達は君側のハズじゃないのか?」
と、園田警視正も動揺が極みに達したのか、疑問を素直に口に出します。
それを聞いたオリバは嬉しいそうな笑みを見せる。これで園田警視正を精神的に屈服させる事ができたと確信したのでしょうか。
と、ここでオリバの携帯電話にコールがかかります。もちろん園田さんも「け…携帯…!?」とすかさずツッコミ&驚く。
そして「これで受刑者と言えるのか!?」と本日、何度目なのかわからないこの言葉をまたもや吐くのだった。
「喜べ園田事件発生だ」
「はァ!!?」
と、肝心な事を言わずに現場へ出動することに。なんか、このタイミングは狙ったかのようにピッタリなのでひょっとするとオリバが仕組んだものなのではないかと疑ってしまいます。
刑務所の外塀と内塀(?)の間の空間にヘリが待機済み、これで現場に直行するつもりの様だ。
と、そこで園田盛男が見たものは…
刑務所の壁一面に描かれたオリバの絵だった!
にこやかに明日を指差す(?)オリバの姿と背景で嫌そうに泣き笑いしている囚人と看取たち。
「受刑者オドして描かせたのさ」
「よく似てんだろ」「チョットだけ髪の毛多くさせたンだ」
この絵は自慢の一品なのか良くぞ気がついたとばかりに、大喜びで解説してくれるオリバさんでした。と、言うかこの絵を見せるために、わざわざヘリポートでもないような場所にヘリを着けて乗りこもうとしていたんでしょうね。やはりただ者じゃありません。
髪の毛が本来の後期・谷村新司型から中期・谷村新司型になっているところも指摘される前に自分で言ってしまうなどの点もやはりしたたかと言うべきでしょう。
しかし、壁の絵の泣いている人達の顔が泣き笑いにしても、眉を八の字にして微妙に嫌そうに泣いている所に「受刑者オドして描かせた」と言う言葉の重みを感じます。本気でイヤだったんでしょうね。
「刑務所の壁に……………………」
「受刑者の巨大肖像画か ハハハ…」
と、部下である片平恒夫巡査(34)の持ち技まで使って、冷や汗掻きまくりです。
と言うか、今週の園田警視正は汗をかきっぱなしでしたね。汗を掻いていない絵が無いぐらいです。(注:小さい絵と後ろを向いている絵は省きます)
そして、ヘリで現場へ急行。
次回、近代ビル群を舞台に人狩り(マンハント)が開始されるッ!?
と、言うわけで今回もオリバの凄さを説明する話でした。
前回、今回と外堀からオリバの規格外っぷりを見せてきましたので、次回はオリバの肉体そのものの驚異を見せるのではないでしょうか。
今回出て来た「ハンター」と言う言葉で少し気になったのですが、優秀なハンターとは「獲物を見つけるのが上手い」ハンターを指すんですよね。
捜査官物の作品でも犯人をいかに探し出すかが話の焦点になっています。つまり、オリバの優秀性は情報収集と分析にあると言う事になります。「知らぬことなどない」と評されている彼のことですから、その辺は非常に優秀なんでしょうね。
問題は肉体的にどれだけ強いのかと言う事なのですが…、それは次回のお楽しみですね。
ちなみに前回の「刃牙フィギュア」についてですが、一部の方々に心配をかけてしまいましたが、無事に入手する事ができました。
今年のコミックマーケットのスペース(S−08a)に連れていく予定です(笑)
2001年7月19日(34号)
第2部 第89話 いい度胸だ(469回)
なにもかもが規格外!!
なにもかもが予想外!!
その男の名は「オリバ」!!
と言うアオリ文句と、呆けているのか、さわやかなのか判別のつきにくいバキくんの素敵な笑顔の表紙で始まる今週のバキッ!
さて、現場は大変な事になっています。まるで爆弾テロにあったかのようにビルの1階はメチャメチャになり「犠牲者は最低でも15名前後かと」と言う状況です。
破壊されたビルの前に集まる警官の姿などから映画「ダイハード」を連想してしまいます。そして、今回のこの騒ぎを引き起こした「犯人の人数は?」「1人です…」と言うわけで、たった1人で大人数相手に闘うと言うところまで「ダイハード」な展開のようです。もっとも、こっちは犯人が「ダイハード」の様ですが。
「たった1人でこのビルを制圧したというのか」
「綿密な計画に裏打ちされた行動のようで…」
と、やはりただならぬ怪物がこのビルを占拠しているようです。
その犯人は1人イスにすわり煙草をふかす。
その吸い殻の量から判断するにかなり長い時間座って煙草を吸っているようだ。
こう言う状況で煙草を吸うと言うのは何かを待っている間の時間つぶしと相場が決まっている。果たして、この男何を待つのか…?
そして、この現場「20名以上が最上階に軟禁状態のようです」と報告された、この状況で犯人が要求する事とは―――――――
「わたしを連れてこい……………
そう言っているのだろう」
「ミスター オリバッッ」
と、まるで正義のヒーローの様に颯爽と登場するヒゲの怪人・ミスター オリバ!
さすが警察組織に名も容貌も知れ渡っているようです。通常はこう言う現場は一般人が立ち入らないように封鎖しておくものですが、彼に関してはまったくのフリーパスのようです。
不敵な笑みを浮かべてビルに向かうオリバさん。
「ア… チョ…ッ」
「どこへ行くのですかッッ」
と、警察官も思わず敬語で話してしまう相手がミスター オリバのようです。
「アンタらもういいぜ」
と、邪魔をするなと言わんばかりの捨て台詞を残し、単身ビルの内部へ入っていく。
爆発で吹き飛んだと思われる1階を通りすぎ、2階へ。そこに倒れる2人の遺体を見てもオリバの笑みは絶えない。
この辺の嬉しそうに危険地帯を闊歩する様はスリルを麻薬のように楽しむ、危険な漢の芳香を臭わせています。
「会いたかったよ ミスターオリバ」
先ほどのオリバの言葉を証明するように犯人自らが声をかけてくる。この時、初めてオリバの笑みが消え何かを探るような目つきになる。
「覚えているかい」
「元ニューヨーク州警官ジェフ・マークソンだ………………」
全身が黒ずくめの男であった。黒い靴に、黒いズボンをはいていた。
ベルトも黒い。着ているシャツまでが黒く、黒い手袋をしている。
異様なのは顔であった。顔中に刻まれた傷跡。傷跡が顔にあると言うより、傷跡の隙間に目鼻口のパーツが埋まっていると言えるような状態だった。
ひときわ目立つ傷跡は頭の斜め右から発生する疵であった。
頭蓋を削り頭の輪郭を歪ませている。
「1977年・夏…………」
「マンハッタン7番街」
その怪異な容貌に微笑を浮かべ、ジェフ・マークソンは語り出す。
「当時 わたしはヒッピー相手に秘密(シークレット)のアルバイトに精力的だった」
「そんなある日 君は私の背後に立つ」
「逆上するわたしの武術を君はあざけり」
「恐るべき破壊を実行する」
悪徳警官だったジェフ・マークソンの攻撃を偉そうにふんぞり返ったまま受けるオリバの姿が回想シーンにシルエットで出ていますが、やはりオリバの能力は規格外の超肉体にあるようです。
そして、次ページからジェフ・マークソンの受けた「恐るべき破壊」の回想が始まる、
「顔を破壊し」
「腕を破壊し」
「足を破壊し」
「およそ人体が絶命だけを免れる
ギリギリの破壊――――――――」
「その日以降のわたしの人生が想像できるかね」
「まともな手足は一本もない………」
「君に会いたかった」
「わたしは24年間準備してきたのだよ」
「今日……この日の為に…………」
このビルの占拠は全てオリバに対するジェフ・マークソンの復讐だったと言う訳だ。
ジェフ・マークソンのモデルですが、自分の肉体を破壊した相手に対する復讐と言う点では「羊たちの沈黙」の続編「ハンニバル」に出てくる異形の復讐者メイスン・ヴァージャーを連想させます。ただし、顔はメイスンの復讐相手であるレクター博士(アンソニー・ホプキンス)がモデルみたいですね。
それはともかくジェフ・マークソンはショットガンを構えオリバにすごむ。
「後悔先にたたず…」
「あの時わたしを殺しておくんだったな……」
だが、今まで難しい顔を見せていたオリバの表情がここにきて柔らかくなる。
「とんだ誤解だ」
「20余年前に樽に詰めたワイン
まるで今から栓を抜いてグラスに注ぐような…………」
「嬉しいやら 楽しいやら ……………」
と、この状況が起きるのを待っていたかのような発言に加え「ニィ……」と危険な笑いを浮かべる。
だが、ジェフ・マークソンも伊達に24年間も復讐を計画してきませんでした。この程度の脅し(?)には屈しません。
「まずは着ている物を脱ぐんだ」
「上も下も全部だ」
再会してすぐなのに、いきなり脱げだなんてジェフ君たら強引なんだから…。
と、言うか何で脱がすんでしょうか?
監禁している場合だったら服を着せないのは脱走しにくくさせると言う意味がありますが、この場合はただの嫌がらせでしょうか?
また、裸足にさせるのには相手を走れない状態にさせると言う意味がありますが(なれない人が裸足で走ると足の裏はすぐにボロボロになります)、その状態でオリバを逆に狩ると言う予定でも立てているのでしょうか。
が、相手は噂のオリバさんです。なんか嬉しげにさらりと脱いでします。
そして、ついに現われた驚異の肉体。
3週前に初めてオリバの名前が出た回で、yamamotoさんにオリバとは胸囲がウエストのサイズの2倍を越えた初めてのボディビルダーのオリバがモデルでは無いかと情報をいただいたのですが、その情報通り過去に登場したどの闘士よりも胸囲と肩周りの筋肉が膨れ上がっています。
そして、満面の笑顔ッ。ほって置いたら勝手にポージングをしちゃいそうです、この人は…。
その筋肉を前にしてジェフ・マークソンも冷や汗をかかずにはいられません。
「ナルホド…………」
「一介の警察官(ポリスマン)など歯が立たぬわけだ」
って、オイオイ、やや負け犬ムードが漂っていますよ…。強気で行きましょうよ。
と、ジェフの視線がオリバの股間に――――――――
「いい度胸だ…
今夜を待った甲斐がある」
そう、オリバの逸物は天を向いて猛っているのだ!
「再会を喜びあおいじゃないかジェフ………」
って、アンタ何で喜ぶ気だッ!?
さすが規格外受刑囚・ミスターオリバそんなところまで規格外…
縮まらないならともかく、何でパワーアップしてるの?
「殺し屋 −イチ−」じゃ無いんですから、戦闘前後に猛らないで下さいよ…。
そして、俺のマグナムも負けていないぜとばかりにジェフ・マークソンのショットガンが火を吹いて次週に続く!
今週もハチャメチャでした…。おかげで園田警視正が出てきていない事を忘れてしまうところです。
なにをやっているんでしょうね、あの中華まん警視正は…。
それと今回の話で、年代が2001年になっていることが判明しましたが、そうなると71話でドリアンが烈の事を「今世紀最後の海王を継承した」と発言していますが、それは何かおかしい事に…。
まあ、ドリアンはあの時点から既にアレになりかかっていたので勘違いしていたんでしょうね。
今週のオリバさんは驚異の肉体と、黒い背景に白く浮かび上がるアレを見せただけですが、次回はよいよその能力を見せるのでしょうね。
次回もまた、楽しみです。
2001年7月26日(35号)
第2部 第90話 君はつまらん(470回)
男の太さを競い合う、ビックマグナム対決!(スクライド風)で、始まる今週の刃牙。いきなり見開きでジェフ・マークソンのショットガンが火を吹く。
ドン ドン ドンッ ドンッ
容赦のない4連発。腕でガードをしたとは言えこれではオリバもひき肉(ミンチ)になるしかないのかッ!?
と、思いきや、散弾銃の硝煙が晴れる中から規格外の男・オリバが余裕の笑みを浮かび上がらせる。
そして、全身の筋肉を収縮させる。
上腕から、肩から、腹筋から、オリバのその規格外の筋肉から、肉に食いこんだ散弾がひねり出される。
「銃が小さすぎるぜ」
「なあジェフ」
そう言い、己の筋肉の鎧を見せつける。肩周り、胴回り、全てが規格外、筋肉の要塞だ。
ついでに言うと煙で見えていないけど、「銃が小さすぎるぜ」と言うからにはオリバのマグナムもやはり規格外なのだろうか。
だが、ジェフ・マークソンもただ者ではない。ショットガン4連発を喰らい平然とそそり立つオリバを見ても、その表情には動揺が無い。
「散弾銃(ショットガン)じゃわたしを獲れんよ」
「大型の猛獣を散弾銃(ショットガン)では仕留められんようにね」
と、自分を大型獣に比喩し余裕を見せるオリバ。至近距離からのショットガンを受けてノーダメージと言うのはまさに規格外と言うしかない。
オリバさんはあなどった事を言っていますが散弾銃は弾丸を選べば「鹿、熊、猪」にも通用する兵器です。寄生獣だって即死ですよ、アンタ。
そう言う意味ではやはりただ者ではありませんオリバさん。
が、しつこいですが、ジェフ・マークソンもただ者ではない。
「知っていたさ」
えっ、知っていたってアンタ、それってダメじゃん。
闘いを優位に進めたいのなら、主導権を決して相手に渡してはいけませんよ。最初から最大の攻撃を繰りだしつつ、常に次善策を用意していないと行けません。
この散弾銃にしても、熊も屠りさるスラッグ弾(1粒弾) を使うとか、銃のチーョク(絞り:散弾を絞るとより強力な攻撃になる)をもっと絞るとか、そう言う所にも気を使ってもらいたかったものです。オリバの筋肉からひり出された弾丸のサイズを見る限りでは、ウサギ狩りが精一杯と言うところでしょうか…。
余談ですが、散弾銃の存在感が強い小説として宮部みゆき作の「スナーク狩り」があります。これを読めばオリバさんのタフネスさがより理解できる事でしょう。人間の善悪と復讐についてにも書かれたこの作品は現在のバキのテーマに対して一つの考えを見せてくれる事でしょう。残念ながら、ARMSのレッドキャップスとかには関係ありません。
話しが大幅にそれましたが、余裕を見せるジェフに対して更に余裕を見せるオリバさんでした。
「ナルホド」「次の用意があるようだな」
この余裕は、実は1階下で倒れていた被害者の傷を見てジェフの装備がなにか既に予想している所からきているのではないでしょうか。
だから、散弾が小さい事を知っていてワザと受けて見たり、こう言う状況でも余裕を持って対処できる、と考えられます。
それが事実かどうか、それはともかくジェフさんの次なる手段は…
「ハハ 日本刀(サムライブレード)とは」
映画「ダイ・ハード」のごとく背に隠していた日本刀での奇襲ッ! 鉈の重さに剃刀の切れ味だッ!
その渾身の1撃も1歩引くだけで、オリバは軽やかにかわす。おそらく、イチモツの先を刃物がかするような見事な見切りだ。
「そう動くことも――――」
「知っていたッッッ」
站ッ
と、オリバの動きを予想し、復讐鬼ジェフ・マークソンが渾身の突きを放つ!
が、刃はオリバの肉体を貫く事ができなかった。
「心臓をプレートでカバーしてあるのさ」
やれやれ、ダメダメだねぇ、といった感じに首を振りため息を吐くオリバさん。
「君はつまらん」
ドンッ
規格外の筋肉でブン殴るだけと言った感じの右ストレートが炸裂ッ!
オリバに掴まれていた日本刀ははずみで折れ、胸に巨大な凹みをつけられたジェフは窓を突き破りビルの外へ吹っ飛ぶッ!
外で待機していた園田警視正は突然窓を突き破り宙を舞う犯人をただ呆然と見上げるしかできないのであった。
と、言うわけで次号へ続く…
なんと言うか、やっぱり規格外でしたね、オリバさん。
ショットガンを喰らって平気と言うのはチトやり過ぎと言う気もしないでもありませんが。
ジェフ君の最大の敗因はオリバにつけられた頭の傷が完治する前に闘いを挑んだ事ではないでしょうか。やる事なす事間抜けですもん、彼。
しかし、折れず曲がらずと言われる日本刀をあんなオマケみたいに折られては、渾身の拳で折った稲城 文之信が報われませんね。と、言うわけで花山とどっちの拳がデカいのか対決などやってくれると嬉しいです。
まあ、次回からはシコルと梢江ちゃんの話に戻るとは思うのですが…。まだ、オリバさんの話し続くのかな?
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