今週の範馬刃牙 SON OF OGRE 201話〜210話

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2010年3月25日(17号)
第3部 第201話 強きを求めし者 (857回)

 ヘビー級ボクサーに烈海王が挑む。
 9戦9勝8KO。烈と同じ階級の実力者である。
 そう、烈海王のボクシング挑戦は今からがスタートなのだ。

 黒人ボクサーは調整のためジムに来ているらしい。
 日本で試合をする予定なのだろうか?
 試合前に烈とスパーリングすると不幸になる伝説に新たな一ページが……
 このボクサーも調整にきたつもりが、生意気な武術家をシメてくれといわれて困っただろうな。

「ジムから死亡事故を出すワケにゃいかねェ」

 深町コーチは烈にヘッドギアをかぶせる。
 けっこう優しいところもあるぞ。ツンデレか!?

 だが、コーチは烈海王の力量をまだ見誤っている。
 烈ならドカベン山田太郎のフルスイングを受けても死なない。次回でダメージも回復する。
 ……たぶん。
 痛みのショックでなにか漏れるかもしれないけど。
 とにかく、それぐらい頑丈だ。
 烈の心配をするぐらいなら、黒人ボクサーの心配をしたほうがいいぞ。

 対戦相手となる黒人ボクサーを烈海王は観察する。
 烈よりも15キロ以上重そうな体格でありながら、動きは速く、リーチも長そうだ。
 そもそも烈は身長176cm 体重106kgでけっこう背が低い。
 ロングレンジの打ちあいになれば烈海王は一方的に打たれてしまうかも。
 超ド級の語源となった戦艦ドレッドノートが最強と恐れられたのは、射程距離と速度が他の戦艦よりも上だったからだ。(戦争の世界史

 黒人ボクサーの左ジャブが烈に撃ちこまれる。
 ガードしたものの烈は吹っ飛んだ。
 まるで餓狼伝に登場したチャック・ルイスのような高射程ジャブだ。(餓狼伝15巻 131話
 烈には届かない距離。追いかけようとしても、相手は速い。
 まさにドレッドノートと戦うような状況だ。

 だが、烈海王は冷静だった。
 とりあえずガードしていたのでダメージは無いらしい。
 そして、今の攻防で敵の戦力を読み取っていた。

(速度(スピード)……………… よし)
(重量(おも)さ……………… よし)
(握り………………………… 悪(あ)しッッ)


 ボクサーの拳はグローブで守られている。
 だから空手・拳法とくらべて握りが甘い。
 烈は一度撃たれた感触だけで、相手の状態を把握した。

 拳を強く握りしめると、余計な力が入ってスピードが落ちる。
 弛緩と緊張の振り幅が打力の要!ですよ。(バキ26巻 232話
 だから、ボクシングでは手首だけ固めて強く拳は握らない。(板垣先生トークショー 菩薩拳への質問を参照)
 守村大の漫画『あいしてる』で主人公がボクシングに挑戦したときも、ムチをつかむ練習をしていた。(つまり拳を固めない)
 拳を固めないのがボクシング流なのだろう。

 拳を固めてないのはワカった。
 だが、遠い間合いから一方的に打たれる展開は変わらない。
 烈はこの逆境をどうハネのけるのか?

 と、烈はノーガードで近づく。
 まだボクサーの間合いではないのだろう。
 だが、すぐに間合いに入る。
 とうぜんジャブが飛んできた。
 同時に烈も動く。

 頭突き!
 ボクサーの拳を頭で迎撃する。

『人骨最大の厚みと強度を有する頭骨前部(額)』
『大小約27個もの骨片で形成される握り拳』
『局部鍛錬を経ぬ拳の破壊はあまりにも必然だったが――――――』


 頭突きでボクサーの拳を完全破壊だ。
 ちょっ、拳! ボクサーの命!
 烈さん、さすがにそれはヒドい。
 アライJr.の場合は自分から喧嘩売った結果 拳が砕けたので自業自得だけど、スパーリングで砕くかよ。

 まったく容赦しない。
 さすが烈海王だ。
 「水たまりを全身全霊こめて叱りつける黄河」という異名がピッタリだぜ。

 普通なら、これで決着だ。
 なにしろ拳砕けている。
 だが、烈海王は止まらない。
 左拳を突きだし、右拳を振りかざした構えで近づいていく。
 容赦ねェな、オイ。まだ破壊(こわ)すつもりかよ。

 本来なら烈の蛮行を止めるべきなのだが、予想外の展開だったせいか周囲は動けない。
 烈は躊躇せずに近づいていく。
 黒人ボクサーはガードを固めて守りの体勢だ。
 本来なら打つべき場所がない。

『標的(ねらい)は――――』
『急所(ウィークポイント)ではなく』
『防御(ブロック)している上腕骨………』


 ボクサーの上腕骨を折ったッ!
 烈海王、スパーリングの意味を微塵も理解していない。
 試合に向けて練習するためのスパーリングでしょ。
 相手を徹底的に壊してどうする。

 烈海王のブッ壊し伝説はまだ始まったばかり。
 しかし、普通にヒドい。
 そのうち金払うから出て行ってくれと言われるぞ。
 烈はボクシングの世界で、どこまで自分のワガママをつらぬけるのか?
 ボクシング協会が泣いてお願いしようと、烈海王はつらぬくぞ! きっと!


 そのころ、ニューヨークでは範馬勇次郎がストライダムと食事をしていた。
 ストライダムは包帯巻いてキズだらけだ。
 勇次郎と接待(たたか)ったときの自爆傷だろうか?23巻 118話

 ストライダムは刃牙が変化し、勇次郎に会いたがっていると伝える。
 空腹時はイライラしやすい。
 おいしい料理を食べさせて満足しているときこそ、難しい話をするチャンスだ。
 ストライダムの一流接待術が今日も炸裂している。

 さて、刃牙は勇次郎と会ってナニをするというのだろう。
 まあ勝負以外に考えられないんですけど。
 勇次郎への愛を自覚したもんだから、刃牙がきゅうに親孝行したくなった可能性もありますが……

「なんと刃牙(かれ)は君と――――」

「野郎 そんなことを…ッッ」


 おもわずナイフとフォークを ぐにゃらせて勇次郎が髪をざわつかせる。
 刃牙はナニを言い出したのか?
 勇次郎は怒っているようで喜んでいることが多い。
 刃牙はお父さんを喜ばせちゃったのかも。
 『範馬刃牙』はじまって以来の親子対面か?
 次回へつづく。


 板垣先生の画業20周年特集号にふさわしく、刃牙は出てこなかった
 ほんとうに、ある意味バキらしい。
 なお、画業20周年特集の感想は明日更新予定です。

 烈はリーチの短さを、相手の腕を攻撃することで補うようだ。
 『ホーリーランド(AA)』の緑川ショウゴも同じようなことをしていた。
 刃牙もマウント斗羽と戦ったときは、末端から攻めて活路を開いていたし。
 リーチの差をおぎなうには、相手の手足を攻撃するのが基本なのだろうか?

 リーチが短くてもカウンターが取れるのなら、烈に死角はなくなる。
 いや、ある。
 強打せずに軽く打って、判定勝ちを狙われたら烈はルールに負けそうだ。
 判定狙いの相手に、烈はどう対応するのか?
 この卑怯者がッ! と激怒して蹴ったりしないかが心配だ。

 また、烈に頭突きカウンターがあると知れわたったら対策されるだろう。
 軽いジャブをフェイントにして頭突きをさそい、アッパーかフックを打つ。
 パターンが読まれたら烈はピンチだぞ。

 ボクシングはディフェンス技術も高い。
 相手の攻撃が一切触れないような防御だってできる。
 烈が狙う腕を破壊する攻撃だって からぶるかもしれない。

 片足の烈はフットワークが大きく劣るだろう。
 蝶のように舞い蜂のように刺す相手には苦戦しそうだ。
 そうなると、やっぱりアライJr.の再登場ってことなんだろうか?
 まあ、アライJr.なら なんど拳を壊されても「スゴイね、人体」で治っちゃうから安心だな。

 そして刃牙は勇次郎と会う決意をしたらしい。
 さすがに「ケーキバイキングに行かない?」とかの話ではないだろう。
 決戦にむけて、改めて宣戦布告するのだろうか。

 刃牙に「もう憎んでいない。むしろ好き」なんて言われたら、勇次郎がデレデレになってしまいそうだ。
 鬼デレ状態の勇次郎は想像もつかんな。

 ッッッ!
 背中の鬼がニヤけてるッッッ!
(なのか?)

追記 (10/3/31)
 明日は4月1日の木曜日だッ!
 つまりエイプリルフールである。
 最近はネタを仕込んでいたのだが、木曜日とかぶっちゃうと、本気に取る人が出てくるかもしれない。
 なので自重します。(参考:四月一日のバキ

 本物の刃牙がときどきエイプリルフールみたいな状態になるから、油断できない。

 今度、塩漬けの原始人が出てきてさ。 → 無い無い。
 烈海王が発狂して腕を振りまわしたグルグルパンチをした。 → 無い無い。
 なんか刃牙が理不尽に勝ちそうなんだけど。 → あー、ありそう。
 刃牙がわざわざヤンチャンに行ってまで梢江とセックスするらしい。 → それはカンベンねがいたい。
 今週の『はじめの一歩』だけど…… → さすがに、あれは無い。

 というワケで、本編にかすりもしないようなウソ感想を書くのはけっこう大変だったりする。
 なにしろ、ときに本部ですら強くなるぐらいだもん。
 渋川剛気を圧倒した柳龍光を圧倒する本部以蔵(武器あり)って、どんな構図なんだか。
 そこまで読んでいない人に説明しても信じてもらえる自信が無い。

 烈のボクシング挑戦だって、唐突に烈が飽きてやめるかもしれない。
 または真の怪物がリングにいたと言って烈をフルボッコにできるような新キャラ登場とか。
 そうなると、克巳が烈の敵討ちを狙えばオイシイか。
 ムエタイほどじゃないにしても、ボクサーだって不遇だし、反動があるかもしれない。
 ただ、ムエタイには今後も風が吹かないだろうけど。


2010年3月25日(17号)
板垣恵介漫画秘話 『イタバキ』

 板垣先生の画業20周年記念ッ!
 漫画家や格闘家、芸人など幅広い人からお祝いが届いているぞ。
 浜岡賢次先生のイラストにはスゲぇ端っこのキャラまで描いていて愛があふまくっている。
 井上雄彦・曽田正人 両先生の描く刃牙が男前で逆に笑ってしまった。

 そして、板垣先生の盟友・笠原倫が板垣恵介漫画秘話 『イタバキ』を描いているのだ。
 古くからのチャンピオンファンであれば漫画巧者・笠原倫は説明不要ッ!
 『刃牙が『バキ』を描いてい』ると評された板垣先生の素顔がちょっとだけ明らかになるッ!(週刊少年『』

 ボクシング亀田戦を見にいくとき、野村S代にトイレの場所を聞かれる板垣先生。
(わからない)
(なぜS女史はこの群衆の中にあって 彼にだけ尿意を伝えたのだろう)

 匂いかな……かな。ここの匂いにつられて――
 そりゃ、尿といえば刃牙。刃牙といえば尿ですよ。
 野村S代の一流を嗅ぎつける嗅覚が尿意とあわさって、反応したのだろうか。

「A型の自分をB型に見せるのに忙しいんだよね」

 これが自己演出力だ。
 つうか思い込み。
 むしろリアルシャドー!?

 さすが、バキを描いているバキだ。
 つねに思い込みの補充をわすれない。

「それだよ沢ちゃん」
 範馬勇次郎誕生のきっかけは、何気ない一言だった。
 ちなみに、この「沢ちゃん」とは現チャンピオン編集長の沢考史 氏であろうか?(参考:チャンピオン 歴代編集長
 範馬勇次郎を生んだ功績がデカいんだろうな。

『"リアルバキ"を体現するためには大量の「自信」が必要なのだった』
 奥さんに誉めまくってもらい自信をチャージしている。
 これもイメージトレーニングですね。
 妄想力を高めることで、潜在能力を限界以上まで発揮するのだろう。……たぶん。

 アシスタントさんたちに置いていかれたと思っただけで、自信喪失してしまう。
 けっこう繊細だ。
 板垣先生の恐いものは『必要とされなくなることですね。環境というか、周囲、社会から。』(週刊少年『』
 プロレスラーが、お客さんがいないと痛い技に耐えられないと言うように、読者がいないと漫画を描く苦行に耐えられないのかも。
 やはり、読者あってこその板垣恵介なのかも。

 さらに細かいエピソードもありましたが、妄想を実現させるリアルシャドーを実在させちゃっている感じですね。
 つまり、作中で実在格闘家を痛めつけると現実に帰ってくるのは必然!
 なんだろうか?


2010年4月1日(18号)
第3部 第202話 家族団欒 (858回)

 今日 四月一日はエイプリルフールだが、今回の感想にウソ偽りなど無いッ!
 いや、無いんだってば。
 ネタ満載みたいな話なんだけどさ。

 まず、サブタイトルがウソっぽい。
 「家族団欒」ですよ。「家族」で「団欒」!
 加速で肉弾の間違いじゃなかろうか。

 食事中の範馬勇次郎に思わずナイフとフォークをぐにゃらせてしまった刃牙のセリフとはなんだったのだろう?
 つうか、どういう風に力を入れればこんなに曲がるのだろうか?
 勇次郎なら怪力マジシャンとして、やっていけるぞ。

「落ち着きたまえオーガ」
「サービスマンが近寄れない」


 ストライダムがツッコンだッ!
 勇気ッ! 無謀ッ! さすが自爆芸人ッ!
 さりげなく責任をサービスマンに転嫁しているのが熟練の極み。
 危険地帯に踏み込みながらも退路の確保を忘れない。
 砂漠の狐・ロンメルも「大胆な案は一か八かの案とは異なる。大胆な案は、最悪な事態における代替案をもち、それに転換できる予備を保有していること」の言っている。(戦術と指揮

 ストライダムは、なんで危険をおかしてまでツッコミいれたいんだろ。
 年1で挑戦するのが友情契約であるように、日々のツッコミも欠かせないかも。
 さすが接待のスペシャリストだ。
 かゆいところにツッコミがはいる。

 勇次郎はミミズみたいにのたうったナイフとフォークを手放し、ストライダムに話のつづきを促す。
 ッッ!?
 なんと、勇次郎を御している。
 これがストライダムの実力かッ!?


「親子でゆっくり食事をしたい」
「そのどこがオカシイんだい!!?」


 これが刃牙の要求だッ!
 お父さんといっしょに飯を喰いたいッ!
 いや、ちょっとまて。
 そりゃエイプリルフールのネタだろ。

 これには当然ストライダムがツッコむ。
 範馬勇次郎にだってツッコむ男だ。
 ここでツッコまなければ軍人失格である。
 素早く、強く、的確にツッコミを入れろッ!

「範馬刃牙と範馬勇次郎が食卓を囲む異常さ」
「想像してみるがいいッッ」
「その不自然さを!!!」

 浮かんだのは、ちゃぶ台をかこんで笑いながら飯を喰う範馬親子の図であった。
 異常だッ! 否、異常すぎる!
 俺を笑い殺す気か。
 コンビニで不審者になるところだったよ。
 おそるべきストライダムの一撃であった。

 さすがの刃牙も、この想像図を持ちだされては黙りこむしかない。
 もちろん本人も異常という自覚があるのだろう。
 一緒にご飯を食べて、デザートはハーゲンダッツ。そんな光景は似合わない。

「そんなありきたりを楽しむにはバキよ」
「おまえ達 親子は」
「雄大(おお)きくなりすぎたッッ」


 ストライダムが鋭いツッコミをあびせた。
 そう、刃牙たちは大きくなりすぎたのだ。
 親子喧嘩するだけで首相に連絡が入るほどに大きくなっている。
 有名人が平凡で誰にも干渉されない生活を送りたいと願うようなものだ。

 だが、本来なら刃牙にだってそういう日常があってもおかしくなかった。
 たとえば織田信長だって波乱の人生だけど、幸せな日常も持っていたかもしれない。
 少なくとも秀吉の奥さんに心のこもった手紙を出す日常があったようだし。
 刃牙は、異常な家庭環境で育ち、両親と同居することなく成長した。
 そう考えると、日常の風景をしただけで、ギャグになるのは不幸なのコトかも。
 と、家に帰って再読すると、ストライダムの表情にそんな悲しみを感じた。

「そして―――」
「俺ばかりが―――」
「炊飯係ってのもオカシなハナシだ」
「たまには親父にも」
「飯ィ炊いてもらわなきゃなァ…………」


 炊飯係ってのは、なんかの比喩だろう。
 刃牙が勇次郎への食事を作ったこと無いし。
 見えないところで料理を作ったことも無さそう。

 勇次郎にとって、刃牙は自分を満足させるためのご馳走にすぎない。
 いつも自分ばかりが勇次郎に尽くしている。
 だから、たまには俺に尽くしてくれ。
 刃牙はそう言いたいのだろうか?
 お父さんラブが覚醒した刃牙は、いまごろになって父親の愛を欲しているのかも。

 ストライダムも刃牙に負けないぐらい勇次郎へのサービスをしている。
 強者として生まれた勇次郎は尽くされることに感謝すらしていないっぽい。
 だから、ストライダムは刃牙の願いが実現しないと断言する。

 断言したストライダムだがニューヨークまできて勇次郎にこの話をしているのだ。
 ストライダムほどの軍人が一分の勝算もないまま特攻するとは思えない。
 勇次郎の逆ご奉仕にかすかな希望を見出し、話をしたのだろう。
 もしかしたら、刃牙と勇次郎が歴史的な和解をするかもしれない。
 まあ、和解しても戦うんだろうけど。


「この俺が…………」
「飯を…」
「炊く…」


 あまりに想像外の注文がきた。
 さすがの勇次郎も黙って出ていってしまう。
 とうぜん支払いはストライダムがします。
 尽くされて当然なのが、範馬勇次郎だ。

 いつのまにか、ナイフとフォークが新しいものになっているけど、それも無視するのが勇次郎である。
 肉がまだ少し残っているのに、外出ちゃった。
 勇次郎にとって、初体験の衝撃だったのだろう。

 ストライダムはイスから立ちあがるが、勇次郎を追わない。
 いや、追えないのだろうか?
 ストライダムは、まだステーキの大半を残しているし。
 いや、論点はそこじゃないな。

 相手が ひとりで考えたいときは、距離をとる。
 ときに「何もしない」ことも接待なのだろう。
 スペシャリストであるストライダムは勇次郎の空気をよんで追わなかったと見る。
 けっして、ステーキが惜しかったワケじゃない。

「飯炊きかァ…」

 歩きながら勇次郎は、飯炊きについて考えるのであった。
 いや、飯炊きってのは比喩表現であって、料理を作ればいいってものじゃ無いと思うぞ。
 飯を喰うにしても、ただ一緒に喰うだけじゃなく、会話のほうが重要だろうし。

 なんとなくズレた感じの勇次郎に不安を感じる。
 だが、勇次郎の手料理がどんなモノかという期待感もあるのだった。
 次回、どう転ぶのか?


 刃牙の願いは勇次郎との会食だった。
 ごく普通の願いが異常事態になる。それが範馬親子だ。
 いっしょに風呂に入ったり、いっしょに寝たりとステップアップしていくのだろうか?
 「どっちが電気を消すの?」とか言って、暗闇で試合開始かよって感じに緊迫したり。

 刃牙は勇次郎とじっくり話がしたいだけだろう。
 勇次郎は力でも言葉でも相手を屈服させずにはいられない人だ。
 いまさら普通の会話なんてできないんだろうな。

「親父はすぐそれだッッ」
「自分以外の意見を聞こうともしねェッッ」
「耳を貸す度量がないッッ」


 と刃牙も怒っています。
 刃牙の怒りは実際もっともだと思う。
 勇次郎はあまりに相手の話を聞かない。
 あげく暴力で口をふさごうとする。

 腕力が強すぎて、ワガママしほうだいの人生が勇次郎をこんな性格にしちゃったのだろう。
 度量が無いってのは、勇次郎の意外な弱点だよな。
 まあ、弱点として機能していませんけど。

 そんな勇次郎だが、愛息・刃牙のためなら料理も辞さない雰囲気だ。
 やっちゃうのか? 料理?
 メイド服を着て給仕したりするのだろうか?
 勇次郎のことだから、みょうに着こなして、違和感ゼロになるかもしれない。

 やっぱり格闘士らしい料理なんだろうか?
 女体盛りならぬ、ムエタイ盛りを出してきたりとか。
 デザートは新発売のハーゲンダッツだ。
 炭酸抜きコーラ味、オジヤ&ウメボシ味という刃牙好みの品を用意する。
 もちろん開発者をおどして作らせた。

 勇次郎の手料理が猿の脳みそで、刃牙がまた激怒したりするかも。
 つうか勇次郎の料理はムダに物が壊れそうだ。
 ダイニングキッチンで料理していたら、バーニングキッチンになっていそう。
 豚の丸焼きをつくるハズが、部屋の丸焼けになる。

 う〜む、どうしても惨事のオヤツって感じだな。
 やはりストライダムのサポートに頼るしかなさそうだ。

 そのストライダムが親子関係の修復に熱心なのは、なぜだろう?
 刃牙に優しくなった勇次郎が、ストライダムにも優しくなることを期待しているのかもしれない。
 「オーガ、君のその言葉が聞けただけで、ワタシの人生は報われた」と言いそうだ。
 で、徳川さんが「範馬勇次郎ともあろう者に――――」とブチキレて、ストライダムを殴打するワケです。

追記 (10/4/7)
 ここで状況を整理しよう!
(1) 烈海王はボクシング界に(文字通り)殴りこみをかける。
(2) 愚地克巳は隻腕という個性を完成させつつあるらしい。
(3) 徳川さんが最後に夢見るのは、大格闘祭! ポロリもあるよ!(睾丸がフクロから落ちるの意)
(4) 範馬勇次郎が飯炊きに挑戦!?

 スイマセン、板垣先生。
 山盛りすぎます。あと何年連載する気なんですか?
 米原先生なんて、刃牙がつづいている間に何本連載したと思っているんですか。たしか6本だよ。

 というワケで、最終章と言いながらやめる雰囲気がつかめません。
 烈と克巳の話は早く片づけて、第二回最大トーナメント(仮)を始めたらどうだろうか。
 で、今回のトーナメントはストップ・ザ・範馬、ノーモア範馬の精神で地球人限定の戦いだ。
 怒った勇次郎(刃牙の二連覇が見たかったので怒っている)が、範馬軍団を結成して、範馬無双として戦う。

 予想はイロイロありますが、とりあえず勇次郎の作る料理が気になる。
 本当に料理するんだろうか?
 勇次郎はアフリカで水牛を焼いて食べていたコトがある。
 そういう野性味あふれた料理が似合う。

 それともハーゲンダッツをチマチマとスプーンでほじくって食べるのだろうか?
 勇次郎なら「邪ッ!」と、アイスの箱を握りつぶして、空中に飛びでた中身をパクっと食べそうだ。
 で、アイスを急に食べたから頭痛に苦しむ。
 いや、範馬勇次郎はアイス頭痛にも負けないハズだ。
 刃牙の前なら、頭痛がしても耐えてみせる。

 そんな一家団欒の地獄絵図が展開されるのだろうか?


2010年4月8日(19号)
第3部 第203話 緊急有識者会談 (859回)

 合衆国大統領バラク・オズマが極秘来日だッ!
 ヒミツだから横田基地に着陸する。
 出迎えるのは総理大臣・波斗山征夫だ。
 あいかわらずフットワーク軽いというか、ヒマですね。
 お仕事してないんですか?

 オズマ大統領は勇次郎のファンである。(22巻 182話
 勇次郎に関する重大会議なのでやってきたようだ。
 他の国は呼ばなくていいのだろうか?
 ロシアの人とか、KGB出身だから強そうなんだけど。
 まあ、重要な情報は隠したほうがいいのかもしれない。

 集まった人間は日本の大物と米国大統領だ。
・ 警視総監 柿崎省吾。警察は当然、範馬勇次郎のことを知っている。
・ 主民党幹事長 大沢一朗。裏ボスなので、波斗山首相よりも情報通だ。
・ 防衛大臣 北澤俊男。防衛にも関わることなので呼ばれたのだろう。
・ 文部科学大臣 川端達巳。なんで、文部科学大臣なんだ? 文部科学省はスポーツも扱っているから?

 まあ、とにかく大物がそろった。
 範馬勇次郎に息子が挑戦することを知っているのは、オズマ大統領・波斗山首相・大沢の三人だけらしい。
 いきなり情報格差が生じている。
 せめて警視総監と防衛大臣は知っておいて欲しかった。
 知らずに核弾頭と同居しているようなものですよ。危機意識がたりない。

 範馬刃牙は地域にとってキケンな存在になりつつある。
 なにしろ、刃牙は妄想で地震を起こす。(193話
 遠くのテロ国家よりも、近所の地震発生源だ。
 刃牙の家だけ建築基準法を変えないとマズいんじゃなイカ?

「ナルホド」
「Mr.ボッシュを誘拐したあのスーパーボーイか」

 オズマ大統領が、ちょっと嬉しそう!
 政敵の不幸は楽しいのだろうか。
 まあ、ボッシュさん アホそうだったし見ていて面白かっただろうな。

 刃牙の大統領拉致事件は忘れられずにいた。(3巻 16話
 てっきり歴史から忘れられているのかと思っていたよ。
 大統領を誘拐した少年こそが勇次郎の息子・範馬刃牙である。
 すごい重大事件なんだけど、忘れちゃうものなのか。

 むしろ、重大事件の犯人がいつのまにか自由に出歩いて帰国している事実にツッコンでもらいたかった。
 あきらかに法から逸脱した行為だよな、アレ。
 追いだしたオリバも、出ていった刃牙も、本当にアンチェインだ。

 とりあえず、みんなは刃牙も国家レベルの強さに近づきつつあると話し合う。
 ここで警視総監が、親子喧嘩なんだから勝手にやらせておけばと言いだす。
 役人特有の事なかれ主義だろうか?
 だが、すごい正論という気もする。
 べつにアンタらが介入することじゃないよね。
 関わると不幸になりそうだし。

 だが、オズマ大統領が、待ったをかける。
 そして勇次郎に握りしめてもらった石炭を取りだす。(22巻 182話
 親子喧嘩に介入する理由を話すのかと思ったら、コレクション自慢をはじめやがった!

 なんなの、この大統領!?
 ラブプラスの彼女自慢をやりだす俺なみにウザいし、空気読めてない。
 相手が引こうが わめこうが おかまい無しか?
 大国の長らしいマイペースっぷりだ。
 A型の自分をB型に見せる練習でもやっているのだろうか。

 有頂天なオズマを前に、日本勢に電撃が走る。
 まさに、ハトが豆鉄砲くらった状態だ。
 オズマのコレクションに驚いたのではない。
 いつの間にか、範馬勇次郎が出現していたのだ!

 ドアを開けた気配もなく、いきなり出現した。
 そして「クスクス」笑って、オズマ大統領の空回りを楽しむ。
 すべてワカったうえで、静かに入ってきたのだろうか?
 つうか、もう勇次郎がどんな空間でも出入り自由なのは、説明不要になっているな。

「他にリクエストはプレジデント」

 みょうに気前がいいぞ!?
 これは爆発するための前フリなのか?
 前回ニューヨークにいたはずの勇次郎がいつのまにか来日していた。
 軍事衛星はちゃんと勇次郎の行動を補足していたのだろうか?
 本気になった勇次郎は太平洋すら超えるのかもしれない。

 この場に降臨した勇次郎の真意はなんだ!?
 やはり、飯炊きに関することなんだろうか。
 まさかマグロ国際取引禁止案が否決されたのは、勇次郎の力が働いていたとか……
 とにかく次回へつづく。


 てっきり範馬勇次郎・料理編だと思っていたら、勇次郎わっしょい祭だった。
 やっぱり勇次郎は奉仕するより、リスペクトされるほうが似合うのだろうか。
 刃牙と食事するにしても、せまい部屋で つつましく……なんて できないのだろう。
 それこそ豪華客船を貸切にして鯨解体ショーで鯨の活け造りをやりつつ、襲ってくるシーシェパードを撃退する食事会になりそう。

 勇次郎が人になにかを頼むというのは想像しにくい。
 常に命令するのが勇次郎だ。
 そう考えると、食事会のために有識者にお願いする行為はちがう。
 範馬勇次郎は一方的にナニか命令するためにやってきた。
 まあ、親バカな注文なんだろうけど。

 刃牙との対談は自力でなんとかしそうだ。
 あんまり他人の手を借りたくない部分だろうし。
 そうなると、徳川さんの夢に協力させるという展開もありそうだ。
 たとえば、オリンピック戦士を根こそぎ提供させるとか。
 どちらにしても、おエラいさんたちにとって難題を押し付けられそうだ。

 刃牙世界で格闘家が潰されると、現実でも不調になる。
 そんな現象が刃牙ファンの間では確認されています。
 政治家の場合、支持率が下がるのだろうか。
 実際、下がりましたね。
 次のエピソードによっては、さらに大きな影響が出てきそうだ。

 ところが次号は刃牙が休載っぽい。
 その次の21+22号が刃牙三倍祭りだ!
 またかッ!?
 ファンサイト泣かせの三倍祭ッ!
 増やさず減らさず安定飛行をしてくれたほうがありがたいんですけど。

 次の外伝作品はナニがくるのだろうか。
 忘れたころに、疵面の復活とかあるかもしれない。

追記 (10/4/21)
 噂をすれば範馬勇次郎ッ!
 日米のトップが集まる部屋に勇次郎が降臨した。
 なんかモノマネをしていたら背後から本人登場みたいな展開だ。

 で、範馬勇次郎は何をたくらんでいるのだろう。
 まあ、何も考えていない可能性もありますが。
 とりあえず会談の真っ只中に勇次郎を放り込んでみれば面白いんじゃね的なノリで突入しちゃったんじゃないだろうか。

 とりあえず勇次郎の行動のベクトルは常に親バカに向いている。
 あふれんばかりの愛情で刃牙に干渉しそうだ。
 過激で過剰なプレゼント。
 話の流れからすると、超豪華なディナーにご紹介だろう。

 いや、勇次郎がそんな予想通りの行動をするとは思えない。
 パチンコの玉みたいに意外なところに飛びこむんだろうな。
 刃牙をもてなすのは闘争以外に無いという信念で、米兵と自衛隊を刃牙にけしかけるとか。
 で、刃牙がピンチになったら、さっそうと勇次郎が登場。
 勇次郎のカッコよさに刃牙もメロメロだ!

 いや、勇次郎はそんな頭の悪いことを考えないか。
 親子水入らずの食事をするからジャマすんなと釘を刺しにきただけかもしれない。

 三倍祭りだから、二話まとめて一話ぶんみたいなスローテンポな話になりそう。
 まあ、いつものコトと言う気もしますが。

 三倍祭りの残りは疵面だ。
 ちょっと時期を外しているけど、花見で侠客立ちとかやるのだろうか。
 花吹雪の中であのイレズミを見せるのはフルカラーの絵としてイメージがいいと思う。
 それにしても、疵面の本編はいつ連載再開になるのだろう。


2010年4月15日(20号)
刃牙はお休みです

 今週は『範馬刃牙』が休載だ。
 穴埋め企画にはたいしたことが書いてなかったので、ピクル編以後の話をまとめてみたい。
 ちなみに、来週はいつもの刃牙三倍祭りだッ!
 疵面がまた袋とじ。
 花山ならハサミを使わず素手で袋を開けるんだろうな。

まとめ 186話〜203話 烈ボクシング挑戦!
 サブタイトル  内容
 186話 闘いの遺伝子 松本梢江、復ッ活ッ! 刃牙との縁は切れてなかった。
 187話 親友(とも)よ… ストライダムは軍隊格闘技のエキスパートだった。
 188話 友情の証 ストライダムは命がけの芸で勇次郎の友情を勝ち取る。
 189話 恋に殉ずる 母・朱沢江珠は恋に殉じた女性だった。
 190話 あの言葉があったから…   刃牙は憎しみではなく、愛で戦う。母から受けた愛で。
 191話 そっとして… 徳川は首相に範馬親子の喧嘩を黙認させるよう働きかける。
 192話 腕力家 地上最強の腕力家・範馬勇次郎に政府首脳陣がビビ。
 193話 イマジネーション 刃牙はリアルシャドーのダメージで地震を起こしてしまう。
 194話 特殊能力 勇次郎には見ただけで相手の弱点がわかる特殊能力があった。  
 195話 拳闘(ボクシング)入門 烈海王はボクシングに入門する。
 196話 事切れる前に… 徳川はナニかをたくらみ、烈はボクサーを挑発する。
 197話 堂に入る 烈は拳法を使用し、ボクサーを一発で沈める。
 198話 個性=オリジナル 克巳は片腕の空手を完成させつつあった。
 199話 新たなる境地 克巳は片腕の空手を完成させつつあった2。
 200話 天命 戦士たちを相応しき相手に引き合わせる。それが使命!
 201話 強きを求めし者 烈はヘビー級ボクサーをスパーリングで破壊する! ヒデぇ!
 202話 家族団欒 刃牙は勇次郎といっしょに食事がしたいらしい。
 203話 緊急有識者会談 範馬の親子喧嘩にかんする緊急有識者会談が開催された。

 ふりかえってみると、3つのエピソードが同時に動いていることがワカる。

 まず、範馬親子の問題だ。
 範馬勇次郎が大物すぎるので国際問題になっているが、根本は親子関係の話である。
 とりあえず、お食事会の開催が最初の目標だろうか。
 刃牙と勇次郎の間にストライダムが挟まれて、超脂汗を流す展開があったりして。

 次に烈海王のボクシング挑戦だ。
 いつでも、どこでも、蛮勇をふるう烈海王であった。
 弟子入りしても無礼は忘れない。
 ボクシングジムの人は災難ですね。
 で、このエピソードはどこまで続くんだろう。
 王者に返り咲いたアイアン・マイケルを徹底的に破壊するまで止めない気か?

 最後が徳川さんの野望だ。
 大格闘大会が開催される予感がする。
 いまのところ、コレがイチバン楽しみだ。
 新手のムエタイ選手は出てくるんだろうか? 倒錯した期待が止まらない。

 というワケで、バラバラに進んでいく三つのエピソードがある。
 三つは収束して、どこかでまとめるのだろうか?
 それとも、独立したまま話は進むのか?
 範馬親子と烈海王はズバ抜けた存在だから、隔離しているのかもしれない。

 とりあえず、次回は範馬勇次郎が日米トップをイジるだろう。
 勇次郎の狙いは、なんだ!?
 刃牙といっしょに、ホワイトハウスでちゃぶだい食事会だろうか?
 もちろん給仕は各国首脳陣がやらされます。


2010年4月22日(21+22号)
第3部 第204話 親子宣言 (860回)

 核シェルターだろうとコイツを阻止できない。範馬勇次郎の入場だァ〜〜〜〜ッッッ!
 日米首脳があつまる場だから警戒態勢も世界最高クラスのハズだが、範馬勇次郎には関係ない。
 ホワイトハウスのトイレにだって入ってくる。
 息子の情事にだって武力介入しちゃう。

(この男は―――――― 忍び込まない)

 忍び込むとすれば、息子の情事現場ぐらいだ。
 首脳たちは、勇次郎がココにいるという残酷な現実を突きつけられて思いいたる。
 警備陣はすでに壊滅しているのだ。
 ヘンゼルとグレーテルが通り道にパンくずを落として目印にしたように、勇次郎の通り道にも落ちていた。
 気絶したSPたちだ。

 みな声も立てずに気絶したのだろう。
 目立つ外傷もなく、無表情だ。
 瞬時に頚動脈を絞められたのだろうか?

 そして、全員失禁していた。
 画面に登場する者はもれなく もれている。
 あまりに徹底しているため、勇次郎がわざわざ搾り出したのではないかと疑念が生まれたほどだ。
 まあ、首が絞まって気絶すると筋肉が緩んで失禁しやすいという理屈はワカるが。

 だが、全員が失禁ですよ。
 略すと全失。いや、全禁かもしれない。
 とにかく異常事態だ。
 警備の人はなるべくトイレに行かないよう、飲食に気をつけるだろ。
 トイレ行ってる間に大統領さらわれましたじゃ、末代までの恥だ。
 『ろくでなしBLUES』の薬師寺と同じミス。

 そんなSPたち全員に失禁させるのは、異常中の異常だ。
 勇次郎は気絶させる前に大量の液体を飲むよう強要したのだろうか?
 まさに鬼の所業だ。
 勇次郎ならばAV男優・加藤鷹ですら漏らさせるにちがいない。

 オズマ大統領が「オーガにやらせた」と自慢していた石炭を、勇次郎はとりあげる。
 範馬勇次郎が人の命令で動いたみたいに誤解させる言い方が気に喰わないのだろうか。
 まあ、オズマさんの器が小さいのはワカった。
 オズマも調子にのりすぎたと自覚しているのだろう。漏らすべき尿がなくなるほどに汗ダラだ。

 勇次郎は石炭を再度握りつぶし、オズマの手の上に散らした。
 その形は十字架ッ!
 十字架は聖書のかわりだ。
 聖書を手に宣言した勇次郎への誓いを再現させる。(22巻 182話

 って、連載時の22巻 182話だと聖書を持っていなかったハズだが……
 と、思って雑誌とコミックスを見比べたら、聖書が追加されていた。
 なんと細やかな修正をしていやがるッ!
 妥協なき完成度への追求ですね。

 とにかく勇次郎はオズマに宣誓を繰りかえさせる。
 問題にしたのは「氏における一切の生活を侵害することなく」の部分だ。
 生活侵害してるじゃん!
 俺ン家の問題に口をだすな!

 息子とのラブラブ(他人から見ると死闘)が待っているのに、ジャマすんなと言うことらしい。
 さすが鬼父さん、刃牙がかかわると親バカがスパークします。
 イロイロあるけど、けっきょく刃牙のことを大事に思っているんだろうな、この人。

 家庭の事情に口をだすな。
 これは正論だ。
 唐建国を智謀で支えた名臣李勣皇帝に皇后問題を聞かれたとき「それはあなたの家庭の事情です」と言って答えなかった。
 家庭の問題はそれだけ ややこしい。

 しかし、オズマは米国大統領であった。
 世界のあちこちに軍を派遣する史上最強に押しが強い国の長だ。
 勇次郎の迫力にも負けずに反論する。

 範馬親子の喧嘩は、もはや戦争レベルだ。
 だから、周囲に被害が出ないように守る必要がある。
 自分の行為を正当化しつつ、アンタら強すぎなんだよ とお世辞も忘れない。
 攻防一体の口撃だ。
 さすがスピーチの名手ですな。

 勇次郎は、ニィ……と笑う。
 自分が誉められるのはなれているが、刃牙もほめられたので嬉しいのかも。
 現在の勇次郎は基本的に ご機嫌である。
 なぜなら、刃牙がメシをいっしょに喰いたいと歩みよってきたからだ。

「掌から神を捨て――」
「初めて偽りなき言葉を口にしたな」
「視界には入るな」
「厳守しろ」


 聖書に手を置くのは神に誓って本当のことを言いますという意味だ。
 だが、鬼による暴力こそがオズマの本音を引き出した。
 人間はまだ野生動物の本能を引きずっているというコトなんだろう。
 純粋で根源的な肉による暴力は人の本性を暴く。

 オズマの本音をひきだした。
 ついでに範馬親子が恐ろしいというイメージを改めて植えつけることに成功する。
 いや、こっちが本命か?
 計画どおりいってご機嫌なのか、勇次郎はあっさりとオズマたちを許しちゃう。

 見るだけならOKだ。
 どうせ、ダメと言っても見るんだろうし、こう言ったほうが貸しを作ったことになる。
 今回は範馬流交渉術が炸裂したようだ。
 説得力が迫力に支えられるのであれば、交渉も迫力で乗りきるッッッ!

 そして、今週はこのまま205話に雪崩れこむ。


2010年4月22日(21+22号)
第3部 第205話 美しき打拳 (861回)

 範馬勇次郎が政界を腕力で黙らせていたころ、烈海王はボクシング界を拳法で黙らせていた!
 ボクシング界をひそかに動かしているのがプロモーター(興行師)だ。
 大金が動き利権がからむため、黒いウワサが耐えない職業である。
 そして、超大物プロモーターが緊急来日した。
 この男は、ドン・キング!? いや、カイザーさんだった。

 カイザーの目的は、とうぜん烈海王だ。
 烈はあいかわらずボクシングジムで拳法風の修行をしている。
 烈に勝てるボクサーは国内にいない状態だ。
 しかたがなく、みんなは烈を無視して練習している。
 みんな気まずいだろうな。

 非常に空気悪いだろうけど、烈はたんたんと練習をしている。
 普通ならこんな空気の中で練習なんてしたくない。すぐに逃げ出す。
 恐ろしく強い心だ。
 中国武術に ゆるがない信頼をよせているから、本人もブレないのだろう。
 たんに鈍感なだけかもしれませんけど。
 ツンデレ=鈍い は我々の世界では常識である。烈も鉛みたいに鈍そうだ。

 ジムにやってきたカイザーは、そんな逸材の烈を見る。
 一目で見抜いた。

「ビューリホー………………」

 花山を美しさを見破ったスペック並みの反応だ。(バキ4巻 30話
 このカイザーとやら、デキるッ!

 実際、烈の筋肉は見る者が見ればワカるようだ。
 最大トーナメントでは、烈海王が脱いだだけで観客がどよめいた。(グラップラー刃牙22巻 193話)
 加藤は刃牙に判定を依頼し、話をごまかされる。
 つまり、烈海王の肉体はそれだけスゴい。

 カイザーは烈海王の肉体に金脈を見出したのだろうか?
 さっそく話しかける。

「静かにせんかァァッッ」
「稽古の邪魔をするなら出ていけェッッ」


 いきなり、キレたッ!
 さすが烈海王だ。
 反応が予想外だよ。
 おもわず笑った。いや、ココ笑うところなのか?

「ビューリホー………………」

 そういう反応なの!?
 このカイザーも予想外だ。
 キレる姿に美を見出したのか?
 それとも、キレ好きですか?
 『のだめカンタービレ』(AA)で奇声をあげる主演の川澄綾子にときめく人かもしれない。

 美しいかどうかはともかく、カイザーは烈に強さを見せてほしいという。
 練習のジャマすんなというセリフに対して、マイペースな返事だ。
 大物プロモーターはこれぐらい図太くないとダメなんだろうな。
 逃げずに見せてくれ と言うのが、テクニックだ。
 烈海王の性格上、逃げられない。

 と、いうワケで烈はパフォーマンスを見せる。
 右手だけにイチバン大きなグラブをつけた。
 コレでサンドバッグを叩く気だろうか?

(フン………………
 センスは人並みだな)


 と、カイザーは烈を値踏みした。
 ここで人並みじゃないセンスを出すにはどうすりゃイイんだろ。
 部屋のスミから引っ張り出したムエタイ選手を破壊してみるとか?

 自己アピールは下手。
 つまり、宣伝してやる人間が必要だ。
 カイザーにとって、望む展開だろう。

 だが、烈海王の器はカイザーに見切れるものじゃない。
 その場で烈は突きをだす。
 鋭い一撃だ。
 あまりに鋭すぎてグラブが破れて、拳が突き出てた。

「ビュ…………ッッ ビューリホー…ッッ」

 この一撃も美しいのか!?
 三度目のビューリホー……が出やがった。
 大事なことだから三度も言ったのか?
 ウホッ! ビューリホー……

 とにかく、カイザーはとんでもない逸材を見つけたようです。
 グラブが無効になってしまう一撃だ。
 これで人を殴ったら、肉や骨を直接裂くような打撃になりそう。
 やはり、烈はリングの上に立ちながら、拳法で戦うつもりらしい。

 カイザーという危険なプロモーターと出会った。
 もはや、烈のプロデビューは決まったも同然だ。
 最初の犠牲者はアイアン・マイケルだろうか。
 業界的はマイケルに引退して欲しがっていた。
 烈の強さアピールと、マイケル破壊で一石二鳥の計画という感じだが……

 そして範馬家のお食事会も決定なんだろうか?
 でも、次回は徳川さんのターンだったりして。
 徳川さんとカイザーが烈をめぐってプロモーター合戦だ!

追記 (10/5/5)
 範馬親子の食事会と、烈海王のボクシング界制覇は着実に進んでいる。
 となると、のこるは徳川さん最後の野望だ。
 次の大会はトーナメント方式になるのか、複数の試合を組むだけになるのか……?
 ちゃんと決着のつく試合になるのであれば、トーナメントでなくてもイイと思うけど。

 旧キャラがいっぱいいるから新キャラが登場する余地がなさそうだ。
 新ムエタイとか出てくるんだろうか?
 巨漢ロシア人のムエタイ使いとかで勝てる要素まるで無しっぽいヤツとか。
 で、本部と戦ってあっさり勝ってしまったり。
 やっぱり、本部は武器をもってないとダメなんだと再確認する展開だ。

 先週でた増刊号の感想で、刃牙に愛を教える相手が梢江しかいないと書いた。
 つうか、のこりが絹代&夏恵では、選択の余地がなさそう。
 という点に関して掲示板で意見をいただきました。

・爪さん
> とらさん・・・トーナメント編の猪狩戦でお母んに化けた猪狩の愛人を忘れてる・・・
> ある意味脈がありそうなのに・・・

 そ、その手があったか〜〜〜〜
 これは忘れていました。
 猪狩を締め上げて(新卍や新コブラで)連絡先を聞きだせば、即挿入できそう。
 愛はなさそうだけど。
 いや、刃牙のことだから最中に愛をマスターしそう。天才だし。

・厳蓙列簾さん
> そんなこといったらジェーンはどうした

 さすがに監視カメラのモニター越しに見ただけの人じゃ対象にはなりにくいだろう。
 いや、刃牙さんならばあるいはッッ

・ユンボさん
> ピクルに犯されたアナウンサーは?

 刃牙ならテレビで見たことのある女子アナウンサーとセックス可能なのか?
 なんかチャンピオンのグラビアに出ている小池理奈を見たことがあるからできる! みたいなパワーを感じる。
 まあ、刃牙のことだからリアルシャドーを現実に変えるような力を出すかもしれない。天災だし。

 もっともバキ時代は、女子アナなど視界に入っていなかったと思われる。
 小説『羊たちの沈黙』(AA)でも、身近にあってよく見る物に人は憧れると言っていた。
 格闘バカの刃牙にとって、視界にはいる雌は梢江だけだったのかもしれない。
 その母・絹代という可能性も高かったワケだが。


2010年4月27日
バキ総集編 刃牙 VS 勇次郎 特集

 チャンピオンが休みなのでバキ増刊号が出た!
 本当は昨日発売なんだけど、一日遅れで感想更新です。

 タイトルどおり刃牙と勇次郎の因縁にしぼった総集編ですね。
 幼年編のヤング勇次郎、刃牙との初戦は ひさしぶりに読むとやっぱり面白い。
 つうか、このころはまだ人間の枠内にいた感じだな。
 現在の範馬勇次郎は人間の枠に収まっていないぞ。

 で、バキSAGAはおいといて……
 SAGA前夜も 面白いな。ネタ的な意味で。
 梢江のスゴさを改めて思い知らされたよ。

 で、増刊のオマケ部分はバキSAGA誕生秘話だ。
 SAGAの誕生秘話かよ!?
 もっと他に語ることあるんじゃね?
 などと考えていた時期が俺にもありました。
 けっこうマジメに興味深い内容だった。
「刃牙」シリーズのキャラクター。その中でも最も大きな成長を遂げたのは勇次郎でしょ。もはや宇宙的と言っていい。なのに刃牙はどうよ。
父・勇次郎への対抗心は勇ましい限りだが、その成長速度は父のそれと比較すると絶望的と言わざるを得ない。
何故!!?
―――出ました、結論。
闘う理由が"自分の為"でしかないから。
これじゃあ駄目だ。人が最も大きな力を発揮する局面。それは既に人類史及び俺史が証明している。"愛する人のため"これ以外には有り得ない。
―――「では誰を?」
梢江でキマリでしょ。選択の余地はない。

「梢江……
  おいで…………………………………」
 他にもイロイロ深い秘話があったんですが、もうこれで充分すぎる。
 うむ、確かに。
 モチベーションは重要だよ。

 自己の強さに対する言ってんの曇りも無い自信が勇次郎の強さを支えている。
 刃牙が自分の為に闘ううちは、同じ土俵で戦うことだ。
 それじゃ勇次郎には勝てない。

 というワケで、刃牙はちがうジャンルで勝負をかけるワケだ。
 相手が梢江なのは読者的にアレだけど、選択の余地がない。
 他に登場する女性は絹代(梢江の母)、夏恵(独歩の奥さん)、神心会女子部の井上さんぐらいだ。
 刃牙の知り合いは絹代・夏恵の熟女二人だけだが……
 勝負でしょうか?

 そして、現在の刃牙は母の愛も知った。
 父への愛も再確認した。
 自分に愛をくれた人たちに報いるために闘う。

 勇次郎は孤高の強さを発揮する。
 刃牙は、みんなの思いにこたえて強くなる。
 今なら勇次郎の強さにも、対抗できるかもしれない。
 刃牙 VS 勇次郎、決戦の時だ!
(更新 10/4/28)


2010年5月6日(23号)
第3部 第206話 皇帝(カイザー) (862回)

 ボクシンググローブを引き裂く拳だ、烈海王。
 海王じゃないぞ。あと、と間違える人もいる。そのまちがいはヒドい。
 周囲の人間は烈の一撃にド肝抜かれた。
 まさに烈のスーパーパフォーマンスだ。

 刃牙世界で一流格闘家になるには、試し割などのパフォーマンスも重要なのだ。
 パフォーマンスができないと末堂にも及ばない。
 あと、解説ね。
 解説だけだでもダメですが。
 本部さん、いつになったら再登場するんだろ。

 だがパフォーマンスに成功した当の烈海王は反省していた。
 破りやすいと考えて、痛んでいる大きなグローブを選んだ。
 烈海王的には卑怯な行為らしい。
 なら、若くて健康なムエタイ選手なら良かったというのかッ!

 へんにハッタリをきかせず、真っ当な武術を見せるべきだった。
 烈はそう思っているのかもしれない。
 東洋の武術は西洋文化が入ってきたときに時代遅れ扱いをうけた時期があった。
 生きのこるため武術が選択した方法のひとつに大道芸化がある。
 腹の上に置いた石をハンマーで割ったりする芸で金を稼ぐのだ。
 そういう暗い時代があったから、武のパフォーマンスを嫌っているのかもしれない。

(辞めよう………… 今日で……)
「失礼しました」
「ただのトリックです」
「強さとは何の関係もない」


 烈海王がボクシングから撤退する気だ!?
 無職にもどる気か?
 なんか今日の烈は傷つきやすい。
 みょうに繊細だ。桜が散るのを見ただけで涙しちゃいそう。
 髪をセットするときに、うっかり三つ編み切っちゃって、心折れてしまったのだろうか?

 だが、カイザーは烈の強さが本物であると力説する。
 プロモーターとしての能力が、烈から銅臭を嗅ぎとったのか?
 選手をたきつけたり、なだめたりして、売れる試合を作るのがプロモーターだ。
 さっそく烈をその気にさせるつもりらしい。
 カイザーは烈を転がして金儲けに利用するつもりだろうか。

「ボクシングの象徴であるグローブ」
「彼はそれを破壊したのだ」


 ボクシング界に異端者・烈海王が戦争を仕掛ける。
 グローブ破壊は、それを端的にあらわしているらしい。
 つまり、オリバが丈夫な道着のソデを破って柔道に挑戦したのと同じか?(バキ12巻 102話)
 今も昔も、物凄いヤツが○○をやったらどうなるのか? が、バキ世界のテーマらしい。
 刃牙だって、物凄い体力測定とかやったし。(バキ3巻 17話)

 ボクシング150年と中国武術4000年の戦い。
 カイザーは烈がやろうとしていることを、そう評した。
 古代4000年の歴史は、近代150年に勝てるのか?
 烈海王の登場で、古代と近代の対決がはじまろうとしている。

「ミリオンダラー(百万の富)が――――」
「ダースで舞い込む」
「欲しくはないのかね」

「わたしを侮辱――」

「そして」
「逃げ出したくなるような怪物(モンスター)達もね」


 カイザーは金で吊ろうとした。
 だが、烈が激昂する。
 ついさっきまで、あんなにショボンとしていたのに いきなりテンション上がった。
 さすが最速のキレ師といわれる烈海王ですな。
 カミソリの切れ味とナタの重さをあわせもつ日本刀よりもはるかにキレやすい。

 だが、カイザーはすぐに対応する。
 烈がキレた瞬間、好敵手の話題に変えた。
 とうぜん烈が興味をもつ。
 すかさずカイザーは戦士として烈をあつかう。

 さすが帝王と呼ばれるプロモーターだ。
 まるでジャブのように、会話を探り牽制し相手を捕らえている。
 この人なら範馬流話術にも対抗できるかもしれない。

 公式試合ではなくエキシビジョンで戦わせる。
 金でも名誉でもなく、ただ戦うための試合だ。
 烈海王はコロリと落ちたらしい。
 ホイホイと米合衆国(ステーツ)へ飛びたつ。

(な…………)
(なんで俺まで…?)


 烈海王のとなりには深町コーチが座っていた。
 世界戦を控えている麻仁を置いて、ムリヤリ同伴されたのか!?
 帽子をかえる猶予も与えてもらえていない深町コーチの明日はどっちだ?
 次回につづく。


 徳川さんが試合を組もうと動く前に、烈海王がかっさらわれた。
 みっちゃんが激怒して また吐血するかも。
 まあ、烈がどんなボクシングをするのかは、徳川さんも興味があるだろう。
 試合によっては大喜びしそうだ。

 ただ、カイザーが金儲けを重視した試合を組みそうなのが心配だ。
 落ち目のアイアン・マイケルと戦わせて、公開処刑とかやりかねない。
 烈は契約書をちゃんと読んだほうがいいぞ。
 映画監督の周防正行は、海外上演をするときに契約書にサインしろとなかば監禁されたことがある。(『Shall we ダンス?』アメリカを行く)
 契約書にサインをするときは最大限の注意を払わないとダメだ。
 油断していたら、烈は奴隷契約とか愛人契約とかを結ばされるハメになるぞ。

 どちらにしても、烈は米国で本格デビューらしい。
 ダマされてアフリカにでも飛ばされなきゃの話ですが。
 しばらく、中国拳法 vs ボクシングの話がつづくのだろうか。
 勇次郎が烈の試合を見ながらの食事会を提案したりするかもしれないが。

 ボクシングルールの中で、どう戦ってどう勝利するのか?
 エキシビジョンマッチだから、烈がグローブ破った打撃をだしても許されそうだ。
 どちらにしても、烈はルール ギリギリのところを突いて勝利するしか無いのだろう。

 それにしても、烈がちょっとセコいことしただけで心折れるとは思わなかった。
 あれぐらいで反省していたらキリ無いぞ。
 刃牙も烈の半分でいいから反省すればいいのに。

 イタバキ先生が『"リアルバキ"を体現するためには大量の「自信」が必要』らしい。
 烈も蛮勇を発揮するためには、大量の「自信」が必要なんだろうか?
 もっと難しい条件でグローブ破りを成功させるような自信がないと、ボクサーの腕を折りつづけるのは難しいのかも。
 できる! と思わないとスタンド能力だって発揮できないもんな。

 それにしても、烈海王といえば「退かぬ! 媚びぬ! 省みぬ!」タイプの人だったハズ。
 なんで急に反省するようになっちゃったんだろ。
 人生観が変わるような体験があったのか?

 片足を失ったのは人生変わったと思う。
 だが、その後とくに変化はなかったと思う。
 やっぱりナニか烈の身にあったのだろうか?

 不自然主義に目覚めて、あえて不自然に反省してみたのかも。
 反省する烈海王なんて、息子のために料理をする範馬勇次郎なみの不自然だ。
 ……勇次郎も不自然主義をヤる気か!?

追記 (10/5/12)
 掲示板(どもさん、通りすがりさん ありがとうございます)とヤマカムさんに教えていただいたのですが、206話で烈海王の足が再生しているコマがあった。
 これはどういうことかッ!
 烈であったらニトログリセリン程度に爆発していたにちがいない。

 なぜ、こんな現象が起きたのか?
 実は根っこのところに問題があると思えてなりません。
 問題を一行にまとめてみる。

 烈海王を片足にした意味ないんじゃね?

 確かに回復不能のダメージを受けているんだけど、烈さん前と同じように生活しているように見える。
 特に不自由なさそうだ。
 ボクシングやるにあたって、義足はさっぱり議題にあがらない。
 やる機会がないだけで、飛んだり跳ねたり自由自在なんじゃないかと疑ってしまう。
 ためしに水面歩かせてみたら、20mぐらいイケるかも。自己ベスト更新だよ!

 つまり、烈海王を片足にしてみたものの、能力は変化していないつもりなのだろう。
 足がどうなっていようが烈海王なのだ。
 だから足が生えてても不自然じゃない! むしろ自然じゃ!

 烈が足を失ったとき、私は烈の今後を心配した。ものすごく心配した。(参考:101話・追記
 なにしろ諸国蛮勇記の烈海王だ。
 あちこちで恨みをかっているだろう。
 烈が片足になったと聞いて復讐にくる連中が千人ぐらいはいそうだ。
 とうぜん、片足になった烈海王は負けるだろう。そう考えていた時期が俺にもありました。

 本来なら楽にたおせるような相手に烈海王が苦戦どころか敗北してしまう。
 悔しさに烈は涙するであろう。
 で、悪ノリする敵に全裸にされて、キン肉バスターをかけられちゃうわけですよ。
 そこを股間にピンとあわせて写メとられる。
 すかさず世界に向けて発信しちゃう。
 恥辱の限りをうけて、烈が常時 白目になるぐらい悔しい。

 なんて展開を想像して心配していたワケですよ。
 いや、キン肉バスターはおととい出てきた妄想ですが。

 だが、現実は残酷だ。
 鍛えられた烈海王は多少弱くなっても、普通の人間が勝てる相手じゃなかった。
 これだけ強かったら、足がうっかり生えても差がわからんよ。

 まあ、思えば独歩も片目になっても変化なかったよな。
 距離が重要な打撃格闘家でも問題ない。
 ならば、片足でも まったく問題なしッ!
 範馬クラスになると、失明したって普通に戦っちゃいそうだな。


2010年5月13日(24号)
第3部 第207話 家庭料理 (863回)

 表紙をめくると汗だくで寝ている非実在青少年の顔が目に入った。
 まさか、逆襲のSAGAッ!
 いや、ちがった。刃牙がリアルシャドー疲れで寝ていただけだ。

 ……
 …………
 ………………まさか、SAGAを予感しただけで、こんなに恐ろしいとはッッッ!
 本当に恐かった。軽いパニックに陥ってしまったよ。
 SAGAで心的外傷後ストレス障害になったのだろうか。
 もう戦えない。戦士として終わった。
 SAGA-2やっても感想書かないッ!

 とにかく刃牙はいつものように仮想・範馬勇次郎とリアルシャドーをする毎日のようです。
 だが、以前のように壁にメリ込んでいない。(193話
 汗は大量に流しているが、出血が少ないようだ。
 バーチャル勇次郎と戦ってもダメージが少なくなっているらしい。
 つまり、刃牙は勇次郎の強さに近づいている。

 刃牙は自分が何のために戦うのかを確認した。(23巻 190話
 動機がハッキリしたから鍛錬にも力が入って成長したのかも。
 もしかしたら、本当に、刃牙と勇次郎が戦う日は近いのかもしれない。
 でも動機だけで強くなるのなら、ジャック・ハンマーの動機は弱かったのかよってツッコミ入るんだろうけど。
 血筋とヤル気と努力がそろうと、強くなるのだろう。


 朝のリアルシャドーを終えた刃牙は朝食をつくる。
 って、朝練で勇次郎と戦ったのかよッ!?
 なんてハードな朝飯前だッ!
 前菜・勇次郎なんてありえなさすぎるメニューだよ。

 勇次郎と戦ったあとで学校に行くという行動もムチャクチャだ。
 刃牙は本当にタフになった。
 なんか紛争地域に行ってボランティア活動をしてから、そのまま学校に行くという行動だって こなせそうだ。
 範馬刃牙はとんでもない怪物になりつつある。

 で、今朝のメニューは「ベーコンエッグ」「ワカメのみそ汁」「さんまの塩焼き」「山盛りのキャベツ」だ。
 タマゴ4つッ! さすがタンパク質大好き人間だな。
 キャベツ山盛りすぎッ!
 これは、ぜひ手元のチャンピオンでキャベツと刃牙の頭を見比べてほしいサイズだ。

 刃牙といえば野菜より肉な人だと思っていた。
 野菜を喰うぐらいなら、生肉喰ってビタミン補充するぐらいの覚悟をもっていそう。
 でも、ちゃんと野菜も食べるんですね。
 勇次郎への恨みが消えて、バランスが良くなったのかもしれない。

 そして刃牙が喰う。
 モリ… メリ… モニュ…
 うむ。「モニュ」来ました。
 刃牙オフ会を開けば、飯を喰うとき必ず誰かが言い出す「モニュ」音である。
 モニュが出たから安心だ。

 そして、戦いはすでに始まっていたッ!
 ちゃぶ台の向かいには仮想・範馬勇次郎がッ!
 刃牙の脳内では料理をつくったのは勇次郎という設定になっているらしい。
 リアルシャドー・朝食編だ。

 刃牙はバーチャル勇次郎に、みそ汁がしょっぱいと文句を言う。
 たちまち範馬勇次郎は激怒する。
 あっという間に ちゃぶ台返しだ。
 まるで幼児の反応だ。
 最強ゆえに誰にはばかることもなく感情を爆発させてきたから、こうなった。
 刃牙は後方に飛び、空中一回転で着地して、戦闘態勢にはいる。

「――――ってな」
「始まるワケだ…」
「どこにでもある親子喧嘩」


 あー、あるある。って、ねえよ!
 料理の感想きいて一分以内に喧嘩発生って気が短すぎ。
 いくらなんでも始まりすぎだ。

 範馬親子なら、どんな会話からでも喧嘩に発展しそうだ。
「今週のイカ娘、オチがギャグじゃなかったのが残念」→ 喧嘩
「今週のみつどもえ、背景がぐにゃ〜ってなるのは刃牙パロかな?」→ 喧嘩
「今週の…」→ 喧嘩
 もはや理由など不要とばかりに始まりそうだ。

 さすがの刃牙も、vs勇次郎をこのまま続けたりはしなかった。
 喧嘩がはじまることを確認して刃牙は立ちあがる。
 そりゃ、食前・食後に範馬勇次郎は重すぎるよ。

 これは範馬勇次郎との食事会をシミュレートしたようだ。
 どんな風に会っても、けっきょく勝負でしょう、と。
 やはりリアルの親子喧嘩が近づいているようだ。
 会えば必ず喧嘩が起きる。
 ブラジリアン柔術のタックルが不発に終わるように。


 そして、刃牙は制服に着替えて登校するのだった。
 バーチャルとはいえ勇次郎と戦ったあとに登校かよ!
 刃牙は、本当に元気だな。
 手がつけられないほどの絶倫だよ。

「誰 泊めてンの…………」

 そして、玄関の前には美少女・松本梢江が立っていた。
 路上に咲く一輪のラフレシアがごとくに強烈なフェロモン臭を発している。
 とてもシロウトとは思えない。
 プロの女子高生みたいな貫禄がある。

 そんな松本梢江さんは刃牙の浮気を疑っているらしい。
 刃牙の関心が自分から離れている。
 そして、家の中から何者かの気配がただよっていた。
 女のカンは鋭い。

 ただ、浮気相手は女じゃない。
 それに実体でもないぞ。
 非実在鬼父親だ。
 妄想の産物なので本来は無害である。

 刃牙はソレが妄想の産物だとは説明せず、中を確認してみるかと言う。
 こういう言いかたをすると、こっそり裏から出て行って今はいませんという風にも聞こえるから不思議だ。
 そこは熟練女子高生(略して熟女)の梢江さんである。
 無駄な追求をしないで、おとなしく刃牙と登校するのだった。

「そんなに心配ならさ」
「もっと泊まりにくれば…?」

「……………………そうする」


 恐怖で体温が二度ぐらいさがった。
 さすが刃牙さん。言葉だけでコレだけのダメージを与えるとはッ!
 絵つきになったらリアルでシャドーな被害がでそうだ。
 心の傷は時が解決してくれるというが、追撃されたら永遠に治らないよ。

 勇次郎との決戦が近づきつつあるようだ。
 だが、刃牙はまだ日常との接点をのこしている。
 特攻するというような悲壮な覚悟ではなく、生きて帰ると考えているのだろう。
 帰るべき場所をのこして出撃する。前向きな姿勢だ。


 刃牙とは逆に残り時間が無い徳川さんは地下闘技場に来ていた。
 なぜか栗谷川さんがそばにいる。
 刃牙の監視役は朱沢江珠の死後に解消されたはず。
 その後は仕事がなかったのだろう。
 だから、徳川さんに雇われたのかもしれない。

 徳川さんは栗谷川さんに戦士(もののふ)どもが餓えていると言う。
 戦国を制した徳川の血が、乱世の始まりを感じたのだろうか。
 最近、地下闘技場での試合もあまり開催していないようだし、戦いの機会が減っているのかも。

 徳川さんの言葉を裏づけるように、達人・渋川剛気が夜の街を行く。
 餓狼伝の松尾象山のように喧嘩を求めているのだろうか?(餓狼伝227話
 達人の奥義が次回 実戦(喧嘩)でバクハツする!?


 刃牙のリアルシャドーがさらに進化した。
 戦い以外の部分でも使えるようになったぞ。
 こりゃ、リアルシャドー彼女を実現する日も近いな。
 梢江の不安は的中だったわけだ。

 家の外にいる梢江にも感じとれるようなリアルな存在感を達成した。
 刃牙もスゴいけど、実体がなくても存在感バツグンな勇次郎もスゴい。
 家に落書きしている不良どもも異様な空気を感じて近づかなくなるんじゃなかろうか。
 ところで、梢江のセリフは刃牙ハウスを一晩見張っていたようにもとれる。
 ……さすがに、それは無いと思いたい。
 梢江にヤンデレ要素まで加えたら水銀の海にも浮かばないほど重いキャラになるよ。

 渋川先生は夜の街に喧嘩を求めて徘徊しているのだろうか?
 ご高齢の人に徘徊という単語をあわせると、危険な感じがしますが、そこは置いとく。

 合気道の塩田剛三先生が修行中のことである。
 流派が試合禁止だったため、実戦形式で技を使うことができない。
 そこで街に出てヤクザに喧嘩を売って実戦で技を試していたそうだ。(合気道人生)

 渋川先生も同じようなコトを考えているのだろうか?
 ピクルには逃げられちゃったし、欲求不満があるんだろうな。
 来週、ムエタイとブラジリアン柔術の運勢は最悪なので、外出しないほうがいいぞ。

 刃牙のリアルシャドーは、どこまで正確なのだろうか?
 スゴく正確だと、私は思う。
 同時刻の勇次郎は刃牙との会食にそなえて料理をしているかもしれない。

 そして、刃牙との食事をシミュレートする。
 刃牙に、みそ汁しょっぱいと言われて、ちゃぶ台返し。
 遠く離れた地球上の二箇所で、同時にリアルシャドーしていそう。
 まさにシンクロニシティーだ。

 そして、悲しいお知らせがあった。
 刃牙が第二回SAGA祭りの開催をつげたのだ。
 まあ、健康な高校生だし、普通ならしかたがないか。
 もっともコイツら普通じゃないから、しかたがないでは済まないんだけど。

 ここは譲歩しよう。
 人目につかない範囲でなら、SAGAって良し。
 今ほど、公然わいせつ罪という犯罪の重さを感じたことは無い。

追記 (10/5/18)
 渋川先生は夜の街で戦いを求めているようだ。
 中途半端に武道をかじった人間よりも、刃物を持ったシロウトのほうが恐ろしいと言われている。
 不確実で危険な喧嘩に渋川剛気の血がたぎるのだろうか?

 平直行が言うには、できる人の蹴りは狙ってくるところが決まっている。ボタンが三つしか無いようなもの。
 「素人の蹴りは怖いんですよ、どこに飛んでくるかわからない。素人の場合はボタンが百個くらいあると思う」(格闘技のおもちゃ箱

 無茶苦茶なシロウトのほうが怖いという刃牙世界の典型例はオリバだろう。
 力だけで戦って技を凌駕する。
 まさに剛よく柔を断つだ。

 だが、渋川先生はすでにオリバを倒していた。
 ならばオリバが出ようとピクルが出ようと大丈夫な気がする。
 あとは武器をもった本部が怖いぐらいかな。
 渋川先生は柳の武器攻撃に遅れをとっている。武器は苦手なのかもしれない。
 本部がヤカン攻撃に出ればあるいは……

 一方、刃牙と勇次郎の頂上会食は実現するんだろうか?
 やっぱり立会人はストライダムだろうな。
 食事終了後にストライダムだけが倒れていると予想する。
 こいつは命がけの接待になりそうだ。

 でも、本当に勇次郎は料理をするのだろうか?
 食事よりも、料理の段階で死人が出そうだ。ストライダムが三回は死ぬ。

 やっぱり素材の確保からはじめるんだろうな。
 北極行って白熊狙い。ストライダムが半殺しになる。
 次に料理の道具が必要だ。
 やっぱり関の刀匠に頼もう。ストライダムが試し斬られる。
 よく考えたら勇次郎は武器を身につけないという宗教上の理由があった。
 料理に表道具は不要。
 勇次郎は素手による野獣の連撃で調理完成させる。
 飛び散った肉片に当たってストライダムも危うく肉片になるところだった。

 ストライダムが毎年勇次郎に芸を見せているのは、旅についていっても死なない身体を作るためかもしれない。


 掲示板で、なまずさんに教えていただきましたが、水上走りを楽しむ動画があるそうです。
 なんか仕掛けがありそうですが、世界がようやく烈海王に追いついてきた感じですね。
 きっと2500年前ぐらいに通過ずみ。漫画の墨攻(AA)でやってたし。いや、あれは立ち泳ぎか。




2010年5月20日(25号)
第3部 第208話 火事の鉄則 (864回)

 達人・渋川剛気が本気のケンカをするッ!
 この人は何歳だっけ?
 作中が何年なのか安定してないし断定できないが、少なくとも70歳はこえているはず。
 70歳が本気のケンカだッ!

 だが、ちょっと待ってほしい。
 ここで栗谷川さんがつっこむ。
 戦士たちが餓えているのはワカる。
 だが、一流戦士の彼らは自制心も一流のはず。
 ちゃんと闘争心をコントロールできるのではないだろうか。

 栗谷川さんの言うことはもっともだ。
 戦士たちがみんな範馬勇次郎みたいだったら困る。
 欲望のおもむくままに大統領を監禁したり、挨拶がわりにハイキックとかマジ困る。(3巻 16話14巻 112話)
 頼むから、みんな自制心をもってほしい。
 たぶん栗谷川さんの願望が入っているな。この人も範馬勇次郎・被害者友の会だし。

 徳川さんは栗谷川さんの言葉に反論する。
 超一流の戦士たちはそうじゃない。
 まるで渋川先生の行動を見ているかのように長い語りで説明するのだった。

「奴等の心の裡(うち)に棲む殺傷本能(キラーインスティンクト)
 そんな生易しいシロモノじゃない」
「もちろん指導者の地位を持つ奴等のこと」
「決して自分からは喧嘩を売らぬ」


 というワケで、殺傷本能(キラーインスティンクト)がたぎりまくっている渋川先生が夜の繁華街を歩いている。
 まるで範馬勇次郎のような行動だ。
 渋川先生は、夜の公園を歩いているときアライJr.に襲われたことがある。(バキ28巻 242話
 アレも喧嘩をもとめて徘徊していたのかもしれない。

 渋川先生はチンピラ風の二人組みにぶつかる。
 これが火事の元になる火種だ。
 喧嘩を買いたい人は、こういった火種を逃さない。
 去っていこうとする二人組みに、小声で(しかし聞こえるように)もんくを言う。

 デカい図体して道の真ん中歩くな、ブタ野郎。とか言ったんだろうか。
 ブタが人間様の道路を歩くなよ。かな。
 いや、セリフは短そうだ。
 せいぜい「あほぅ」ぐらいだよな。
 短い言葉で鋭く刺したようだ。

 渋川先生の言葉をきいたチンピラ二人が、つっかかってきた。
 これには渋川先生も困り顔だ。……めずらしい表情ですな。
 チンピラの怒りは静まるどころか、増している。
 なんか怒らせるような謝りかたしたんだろうな。

 スイマセン。あんまり邪魔なんで、つい本音を言ってしまいました。みたいな感じだろうか。
 胸倉つかまれているから、よっぽど怒らせることを言ったんだろうな。
 怒鳴られている渋川先生は、男が大量に鼻毛を出していることに気がついた。
 このタイミングで、どーでもいいコトに気がついたな。
 男を指差しながら、はみ出るオサレ毛を指摘してあげる。

 男はさらに怒って、渋川先生の指を取った。
 罠だッ!
 渋川剛気の身体をつかむことは、投げ飛ばされることを意味する。
 ちょいなっ! と 男を投げた。

 頭を下にして落ちていく。
 地面はアスファルトであり、ここに落とされたら一発でアウトだろう。
 ヘタしたら死ぬかもしれない。
 渋川先生が足をだす!
 頭が激突するのを守ってくれるのだろうか?
 と、思ったらノドを踏んでダメ押しの一撃だ!

 地面に頭から激突するだけで、ヤバいのにダメ押ししちゃった!
 これは正当防衛や過剰防衛ではなく、殺人未遂に問われそうな一撃だよ。
 でも、渋川先生はあわてない。
 なに一人で転んでるの、この人。みたいな態度で、倒れた男を指さす。

 もうひとりの男がナイフを抜いた。
 いきなりの真剣モードだ。
 渋川剛気はナイフを笑顔でむかえる。
 眼鏡をはずしながら、輝くような狂気の笑顔だ。
 ナイフをもつ男のほうが汗をながしている。

 眼鏡 vs ナイフ!
 ナイフが先手を取ろうと、光ってうなる。
 だが、眼鏡が男にパスされた。
 顔面めがけて飛んでくる眼鏡を反射的に弾き飛ばす。
 渋川剛気には、このスキで充分だった。

 人差し指が男のノドに刺さるッ!
 オリンピック戦士レスリングのロジャー・ハーロンを沈めた必殺の攻撃だ。(G刃牙25巻 220話)
 とうぜん男は倒れる。
 頭から……
 また、頭からかよ。危ないって!

 宙に舞う眼鏡を指一本で引っかけ、流れるように装着する。
 教科書には出てこないようなカッコイイ眼鏡のかけかただ。
 ナイフを抜かせてから眼鏡をかけるまで、一連の動きがスゴい!
 ハリウッドの特撮でなきゃ再現できないよ。
 まさに魔法のような技をつかう渋川剛気だ。

『警視庁は極めて優秀』
『現場からは――――――――――
 2分以内に脱出(エスケープ)じゃ…………!』


 徳川さんの言葉に押されるように、渋川ダッシュ!
 まっしぐらに走って逃げる。
 70歳以上限定のオリンピックがあれば金メダル取れそうな勢いだ。
 もはや渋川先生をとめることのできる人間はいない。
 へたに前にたつと投げ飛ばされそうだし。

 具体的なタイムリミットを持ちだし、徳川さんの話は終わった。
 栗谷川さんの話を「聞き齧りの知識」と徳川さんは一蹴している。
 ならば、徳川さんのは「聞き齧りの知識」じゃないのだろうか?
 愚地独歩の実体験を聞いたり、一緒について行って見たのかも。
 渋川先生と同じことを独歩もやっていそうだしな。

 まあ、とにかく欲求不満をかかえた戦士たちはキケンきわまりない。
 なんとか息抜きさせてあげたい。
 そこに徳川さんは天命を感じているのだ。

「ヤリたくて ヤリたくて ヤリたくてたまらぬ戦士(もののふ)たち」
「ならば どーする――――」
「"ステキな出逢いを"じゃッッ」

「ンなるほどッッ」


 栗谷川、大いにヒザを叩く。
 納得しすぎッ!
 まあ、徳川さんがやろうとしていることが重要なのはワカった。
 戦士たちに質の高い相手を提供しないと、せっかくの技術も錆びてしまう。

 これで後楽園御前試合の土台が整ったことになる。
 あとは選手入場だ。
 次回につづく。
 …………烈は?


 達人が想像していたよりも、過激だった。
 あれは走って逃げないと逮捕されるレベルの喧嘩だ。
 舗装された道路に頭から落としているんですよ。
 これはヤバい。否、ヤバすぎるッッッ!

「柔術家を相手に地面(した)がコンクリートだと怖いか」G刃牙6巻 49話)
 本部以蔵が、こう言いだすほどコンクリートの地面はキケンなのだ。
 ちなみに、本部に言われた相手は範馬勇次郎だったりする。
 そして本部は投げつけられて負けた。地面がコンクリートじゃなくて良かったぜ。

 本部も増長するような条件でもダメ押しを忘れない渋川先生には、狂気を感じた。
 『格闘士烈伝』では、塩田剛三先生について次のように書いてある。
以前、人は笑った顔にその人間の持つ本性が表れると聞いたことがあるんだけど、爆笑したときの塩田館長の顔は、怖かった。
 ハッハッハッハと笑う顔に凶暴さを感じることが、ままあった。狂気を感じた。
 常識や法律では測ることのできない、危険な精神を渋川先生はもっているのだろう。
 まさに心に鬼を飼っている。
 もしかしたら、飼っているのではなく、心そのものが……

 一見、楽勝にみえる渋川先生の戦いだが、かなり全力を出している気がする。
 渋川先生の眼鏡はべっこうのいい所を使った最高級品だ。
 刃牙に大事にあつかえと言うほどの一品である。
 そんな大切なものをフェイントにつかう。
 勝利のために、大きなコストを払っているのだ。

 覚悟を決めて勝利に執着しているのはイイ。
 だが、目撃者が多すぎないか?
 警察が聞きこみしたら特徴がモロバレですよ。

 小柄・眼鏡・和服という萌え三点セットの老人が男をブン投げて逃走した。
 該当者は世界中探しても渋川先生しかいない。
 これはちょっと任意で事情を聞きにいかないと。
 もっとも、警察は渋川先生に武術指導をうけている。
 ある意味、身内の不始末になって都合が悪いかも……

 それに、本気で渋川先生を拘束しようと思ったら、発砲許可が必要になるだろう。
 喧嘩を買ったという犯罪内容と、予想される被害を天秤にかけると、見えないフリが正しいのかも。
 ……渋川先生、勇次郎(オーガ)の素質があるよ。
 というか、戦士たちはみんな範馬勇次郎みたいな生きかたしてんだなぁ……
 そりゃ、戦わずにはいられない。

追記 (10/5/26)
 徳川光成、最期の花火がついに打ちあがる!
 のだろうか。
 で、烈だけ米国で一人ぼっち。

 地下闘技場ファイナルイベント、レッツ米国ボクシング、範馬家の食事会。
 とりあえず三つの話が進んでいるのだが、家庭時の事情にイチバン興味がもてない。
 しょせんメシを喰うだけだもんな。
 いや、範馬親子なら喰いながら、即ケンカになるんだろうけど。

 まあ、とりあえず地下闘技場ファイナルイベントの試合内容が気になる。
 おなじみの闘士が出てくるのを期待するのは当然だろう。
 個人的には紅葉の初勝利が見たいんですが……
 刃牙世界は美形にキビしいから、紅葉に光が差すと思えないのがつらいところ。

 あとは本部さんだよな。
 でも、最後に戦ったとき強い姿を見せることができたんだから、もうイイかな……
 強かった本部さんのイメージを壊さないためにも、保護してやらないと。
 いやいや。過去形じゃなく"強い"ですね。

 そして、新キャラだ。
 新しいムエタイ。ムエタイの究極形態が登場してくるのではなかろうか?
 今度こそ勝てるムエタイだ。
 ただのムエタイじゃなくて古流ムエタイで行く。戦場の格闘技だよ!
 まあ、最終的には噛まれるんだろうけど。

 正直なところ、最近は新キャラの登場が減っている。
 それだけ世界中の強者をさらってしまったと言うことなんだろうけど。
 なにしろ原始人まで出してきちゃったんだしな。
 これじゃ、のこりは宇宙人と未来人と超能力者ぐらいだよ。

 良く考えてみたら範馬一族は宇宙人みたいなものだ。
 殺気を感知できるガイアは超能力者かもしれない。
 そうなると、のこるは未来人だけか。
 でも、ドイルはサイボーグみたいなものだから、未来人といってイイかも。
 …………『範馬刃牙』はすでに行くところまで行ってしまっていたのかもしれない。


2010年5月27日(26号)
第3部 第209話 喧嘩勧誘(ナンパ) (865回)

 地位も名誉もある達人・渋川剛気が見せる裏の顔だった。
 いや、こっちが表か?
 とにかく達人は、死んでもおかしくないような攻撃をシロウトにしかけて逃げだす。
 地位や名誉がなかろうと、こういうコトやるの良くないよなぁ。
 しかし、あえてヤってしまう達人にシビれるゥし、憧れもするゥのだった。

 渋川先生は建物の間にあるスキマにひそむ。
 息が乱れている。
 若くないから持久力が落ちているのだろう。
 老人が全力疾走して休憩する姿は不審だ。かなり疑わしい。
 だから、こんな汚そうな暗がりで人目につかないように休憩している。
 けっしてカッコイイ姿ではない。

(そのうち捕まっちまうぜ
 こんなこと繰り返してちゃよう………………)


 ヤバいことやってる自覚はあるようだ。
 ちょっとボケを心配していたが、とりこし苦労だった。

 倒した相手が生きていれば訴えるかもしれない。復讐を考えるかもしれない。
 周囲に目撃者が多数いた。
 老人なのに強いというのは、目立つ。
 イッパツで逮捕されてもおかしくない条件がそろっている。
 しかも、渋川先生の口ぶりだと、なんどもヤっているのだろう。
 今まで捕まらなかったのは運がよかった。

 あぶないと理解(わか)っていても止められない。
 タバコや酒の中毒性をうわまわる、暴力中毒だ。
 すっかり範馬勇次郎化しちゃってる。
 そういえば、米軍基地に侵入して原始人と喧嘩しようとしたこともあったな。(11巻 84話

 身を破滅させるような危険をおかしても戦いたい。
 そんな破壊衝動に突き動かされているようだ。
 範馬勇次郎みたいに戦場に行かないだけマシなんだろうけど。
 この病気は草津の湯でも治るまい。
 やはり、徳川さんに早目の大会開催をお願いするしかないか。


 いっぽう、愚地独歩は夜の屋台で焼き鳥を食べていた。
 屋台の横にテーブルがあり、飲食ができるようになっている。
 店じゃなく、こういう所で食事をする目的はなんだろう?
 夜の公園で散歩の途中、ってワケじゃないよね。
 穏やかではない目的で夜の街を徘徊しているのだろうか?

 独歩以外に客が三人いる。
 二人組みの若者と、ハゲ+ヒゲのオッサンだ。
 ハゲ! ヒゲ?
 これはタダモノではない容貌だな。
 危険なニオイを感じる。

 とりあえず おっさんは置いとく。
 自称「不良」「喧嘩上等」の二人組みが独歩と話をしている。
 独歩は空手の達人であり、一方的にド突くのが好きで、虎殺しも達成して、喧嘩は神の領域だという。
 二人組みは独歩の大げさな言葉をホラだと思っているようだ。
 そりゃ思うだろうな。とくに虎殺しとか。

 基本的に独歩は本当のことを話している。あとで文句を言われないためだろうか?
 ただ、独歩の話にもウソがある。
 一方的にド突くのが好きってのは、ちがう。
 独歩は範馬勇次郎に敗北し、再戦を望んだ。
 そして、圧倒的な筋肉の差を見せつけられても、また戦うつもりだった。(G刃牙30巻 264話)
 ドリアンの催眠術にかかったときも、ちゃんと戦っている。(バキ9巻 76話

 一方的にド突くってのは、理想の勝ちかたという意味なのかもしれない。
 武術にとってダメージ無しで勝つことが理想だ。
 そういう理想を目指しているってコトかも。
 どちらにしろ、二人組みになめられるような内容を話しているのだろう。

 二人組みは独歩に喧嘩しようともちかける。
 どうやら街の喧嘩自慢のようだ。
 相手を探して夜の街をさまよっていたのだろう。

 だが、二人組みを制止する者がいた。
 とりあえず置いといたハゲヒゲだ。
 やはり、この男はデキる。……気がする。
 しかし二人組みは オッサンのことを無視して、立ち上がり独歩の横に回りこんだ。

「なにしてンのオッさん」
「始まっちまったぜ」
「ケンカ」


 独歩にそんなコトを言うとはッ!?
 身のほど知らずの、見る目無さすぎ夫がッ!
 フリーザ様に新型スカウター貸してもらって出直せ。
 おまえの甘い認識は総入れ歯となって支払われるだろう。
 あ、バキ世界だと歯も生えるんだっけか?

 予想通り、殴られた。
 って、殴ったの独歩とちがう。
 ハゲヒゲのオッサンだ。

「ハゲはねェだろ」

 …………すいません。

 ヒゲのオッサンは一人をなぐって倒した。
 もう一人は腕をとって投げる。
 コンクリートの地面に激突だ。
 さらに、踏みつけ!?

 やるのかッ!?
 渋川剛気と同じ、不必要なダメ押しをッ!
 ヒゲも心に獣を飼う男なのか。

 踏みおろされた足は、頭の横だった。
 セーフ。良心派だ。常識をもっている。
 だが、それゆえ達人には勝てないだろう。
 戦いに対する覚悟の質と量がちがっている。

「タチが悪いにもほどがある」
「街の喧嘩自慢相手に腕を振るうレベルではないハズだ」
「愚地独歩さん」


 ヒゲの男―――― 心瞑活殺流(しんめいかっさつりゅう)船井 零は、独歩と知って声をかけた。
 自分の名前をよばれ、独歩も相手が武術家であると知る。
 独歩が目深にかぶっていた帽子とサングラスは変装だったらしい。
 二人組みが独歩にケンカを売ったのは、無知というより変装の成果なんだろうか?
 愚地独歩と知っていれば喧嘩を売らなかったかもしれない。
 逆に、愚地独歩と知って喧嘩を売る船井はかなりの実力者だ。

 高名な空手家にフリールールで挑戦できるチャンスだ。
 夜の公園で武術家2人……………、勝負でしょう。
 独歩の話が終わる前に、船井が仕掛ける。
 正面からの奇襲か。絶妙なタイミングだ。

 だが、独歩もすばやく反応していた。
 身を沈め深くふみこみカウンターをとる。
 人差し指一本拳で人中を痛打した!

『人中(痛急所)
 頭部 正中線に存在する最大の急所の一つ
 直角に強打
 仮死または殺傷 可
 行動を完全に停止あるいは昏睡状態に陥らせる
 (活法による回生 可)』


 なんか、スゴい解説が出てきた。
 今まで何度か人中を攻撃することはあったけど、効能が出てきたのは初めてだ。
 でも効能だけで原理は書いてないですね。
 成分不明だけどよく効く薬みたいで、ちょっとブキミだ。

 高橋華王『武道の科学』(AA)によれば、人中とは上顎間縫合のことだ。
 骨の継ぎ目だから弱い。と言う理屈はワカる。
 でも、頭蓋骨を割るというのは、ダメージとして違う気もしますが。

 頭部への打撃は、脳へのダメージがイチバン合理的だと思われる。
 ならば、人中への打撃がどうやって脳を揺らすのか?
 ボクシングに、人中を狙う打撃が無いのは有効性が無いからだろうか。
 グローブでは人中を狙えない可能性もあるけど。
 いつか謎が解明されてほしい。

 とにかく人中を打たれてヒゲの船井は失神する。
 地面に倒れる船井を見もしないで独歩は去っていく。
 えっ、活法による回生やんないの?
 『レッドクリフ part II』(AA)では、人中を押して気絶を回復させていた。
 船井も人中を押せば回復するんだろうか?
 でも、独歩は船井を放置してクールに去るのだった。

(一般人(しろうと)相手の喧嘩三昧………)
(そのうちブッ殺しちまうぜ…)
(こんなことを繰り返してちゃよう…)


 愚地独歩も内なる野獣に振りまわされていたのだった。
 相手の心配をしているから、つかまる心配をしている渋川先生よりも良心が残っているのかも。
 まあ、イタチテンのどっちが残酷かを比べているようなものですが。
 どちらも食べないのに獲物をいたぶって殺すことがあるとか。

 なんにしても、達人たちのストレスは爆発寸前だ。
 いや、小規模に爆発している。
 被害が少ないだけで、ヤバいことに違いはない。

 徳川さんに試合を決めてもらわないと、被害者がどんどん出るぞ。
 ケンカを買っている形にしているので被害者の自業自得といえなくもないけど。
 達人は保護されている! ではなく、一般人を達人から保護しろ! ですね。

 船井が独歩を発見したのは偶然だろうか?
 愚地独歩らしき人物が喧嘩を買いまくっているというウワサが流れているのかもしれない。
 一般人のためにも、達人のためにも、早く保護してやらないと。
 喧嘩好きの一般人が絶滅してしまう。

追記 (10/6/2)
 渋川が、独歩が、日本の治安を破壊していくッ!
 で、次回はどこに話が転がるのだろうか?
 最近は三つのエピソードが同時進行なので、前回のつづきだと思っていると別の話になることが多い。
 そろそろ範馬親子の話になるのだろうか?

 今日、鳩山首相+小沢幹事長が退陣表明した。
 刃牙で実在格闘家をモデルとした人間が噛まれると、本物が不調になるという現象が何度か確認されている。
 203話で勇次郎にニラまれた影響がついに出てきたようだ。
 と、なると次はオバマ大統領が危ない。
 そのうち「刃牙に大統領を出さないで欲しい」と、米国から要請が来るようになるんだろうな。
 恐るべき範馬勇次郎パワーだ。

 と言うわけで次回は勇次郎が首相をフルボッコにしているシンクロニシティーな展開がありうるワケです。
 範馬親子に手出し無用宣言がうまく行かず怒られる。
 次回でなくとも、いつかヤるかもしれない。
 首相退陣の裏に勇次郎あり、だ。

 などと思っているとデンジャラス達人伝説がつづくかもしれない。
 路上に舞いおりた達人ですよ。
 寂海王が出てきて街の不良を勧誘しまくる、とか。
 この人の場合、文字通りナンパだからタチが悪い。

 ひょっとしたら本部さんが登場するかも!
 5人ぐらいの集団にケンカ売って危うく倒されそうになる、とか。
 まさに達人がデンジャラスだ。
 怒って日本刀ふりまわしたところに警察官がやってきて、さらにピンチになりそう。
 まあ、いくら本部さんでも街の不良に遅れを取るとは思いたくないけど。

 達人たちが簡単にケンカを売られるのは、強さオーラを消しているからだろうか?
 芸能人は有名人オーラを消すことができて、けっこう目立たなくなることができるらしい。
 達人たちも、同じように強さオーラを消すことができるのだろう。
 昔、加藤にケンカ売られかかった本部さんは、オーラを消すまでも無いのかもしれないが。


2010年6月3日(27号)
第3部 第210話 液化現象 (866回)

 今回の『範馬刃牙』を読む場合は食事時を避けたほうがいい。
 当然、飲食店も注意だ。
 つうか、飲食店に刃牙とかシグルイは置かないか。

 刃牙は範馬勇次郎に食事会の招待券を叩きつけたッ!(202話
 でも、返事がない。
 仕方がないのでリアルシャドーでひとり家族団欒をするのだった。(207話
 なんか、帰宅時に自分で「ただいま」と言って、自分で「おかえり」と返す さびしい人みたいだ。
 あまり悲壮感がないのは刃牙が陽気な性格だからだろう。
 それに、こいつ彼女もちのリア充だし

 家族団欒に飽きたのか、刃牙は地下で練習をしている。
 またリアルシャドーかよ!
 梢江や家族団欒には飽きても、リアルシャドーに飽きないんだな。
 どんだけエアバトルが好きなんだか。
 訂正する。こいつはリア充じゃない。リアルシャドー充だ。

 でも、今回はリアルシャドーじゃ無いらしい。
 なんかイメージトレーニングをしているようだ。
 戦わないけど、やっぱり妄想力バクハツなのか。

(筋肉(にく)を……… 液化する……)

 ワケのわからん課題を出してる!
 腕を液化するイメージで攻撃する鞭打を改良する気だろうか?
 全身で鞭打して、そこからコブラツイストに移行するという刃牙スペシャルを考えたのかも。
 ねっとり まとわりつくので、とても気持がわるい技だ。これはギブアップしちゃうだろう。

 汗ダクになりながら、刃牙は液化を目指す。
 発想方法から察するに、脳はもう液化していそうだ。
 脳みそ柔らかすぎて液状化している。脳汁だしすぎて、脳が汁になっとる。
 すでに、溶けた脳が耳や鼻からこぼれていて、頭のなかはカラッポかも。
 そんな刃牙ですが、自分以外の生命体を見つけた。
 まだ脳は動いているらしい。

(お久しぶりです………)
(師匠………………)

 師匠=ゴキブリ

 〜〜〜〜〜ッッッ!?
 ゴキブリなの? ゴキブリかよ? これが師匠ですかい!?(参考 画像アリ:ゴキブリ - Wikipedia
 やっぱ、刃牙の脳は取り返しのつかない状態になっている。
 換気のない地下室で特訓ばかりやっているから、酸素欠乏症になって……

 刃牙はゴキブリの速度を評価している。
 また昆虫の身体能力スゲー理論ですね。
 昆虫は小さいから優秀なのであって、大きくしてもダメなんだ。
 という話は巨大カマキリのときに書いたんで、そっち見てください。(8話感想
 でも、とりあえず刃牙は師匠の偉大さを力説する。

『最高速度でスタートダッシュ出来る稀有な存在!』

『彼等の体長が人類並だとするなら――――――』
『あろうことか時速270キロメートル!!!』


 人間が270キロでスタートしようとするなら、新幹線に突き飛ばしてもらわないとダメだ。師匠にはかなわない。
 さすが刃牙は発想の飛躍がスゴいぞ。
 そもそも100mを6秒で走っても時速60キロだ。
 人間がどんだけ加速したって師匠には負ける。

 人間は速く走ることを目的に進化した動物じゃないから仕方がない。
 だいたい師匠だって、リアルに270キロだしているワケじゃないし。
 師匠をリスペクトするぐらいなら、新幹線に憧れろ!
 本物の営業速度時速270キロだぞ。
 昆虫を模倣できるなら、電車だってできる。唸れ国電パンチ!

 師匠に憧れながら近付けない。
 ある日、刃牙はスゴい発見をする。
 路上で果てていた師匠の中身は乳白色の液体だった。
 ココで刃牙に電撃走る。

 液体だから速いんだ!

 〜〜〜〜〜ッッッ!?(本日二度目。コンビニで身をよじる)
 いや、昆虫も筋肉で動きますよ。人間とは種類がちがうけど。
 液体はたぶん、人間でいう血とかの体液だから。
 刃牙の言ってることは直感で間違っていると思うのだが、正確に説明する知識がない。
 ちょっとググると、こんな感じかな。

 範馬刃牙は直感で生きる雄だった。
 イメージ力全開で身体を液化していく。
 それこそターミネーターT-1000みたいに液体化した。
 渋川先生が見たら「ドロドロかな?」と言ってくれるだろう。

 そして、加速ッ!
 皮膚についた汗が空中に置いていかれるような速度だ。
 オマケに残像まで発生している!
 打撃のさいに、身体が消えて見えた範馬勇次郎に匹敵するスピードだ。

 理屈はたぶん間違っているが、思いこみの力でパワーアップした。
 俺が正しいと思うから正しいんだッ! みたいな感じ。
 これはもう手に負えない。
 まさに範馬が通れば道理ひっこむ。
 迫力があれば理不尽だって実現するんだ!

 なんというか、限界ってやっぱり自分で作っちゃっているモンだな、と。
 常識とか知識が邪魔をしている限り、刃牙には絶対勝てない。
 戦うリングにすらあがれない状態だ。だって、刃牙はちがうリングで戦っているんだし。

 刃牙は非常識なパワーで師匠の足元に届く。
 おそらく範馬勇次郎の足元にも……
 これで決戦に一歩近づいたのか?
 次回へつづく。


 師匠の存在が精神的にキツい回でした。
 なんか読者への直接攻撃みたいな感じだ。
 『ベクター・ケースファイル』のゴキブリ話じゃないんだからさ。

 ゴキブリと書くと嫌悪感がわくことがある。
 飲食店では名前も出せない。
 刃牙にならって、今後は『師匠』と呼ぶのがイイかもしれない。

○ 用例
・ 「店長、師匠がいます!」「叩きだせ!」
・ 寝ようとしたら師匠が出てきたので、師匠越えを果たすまで安心して寝れなくなった。
 うむ、これは使いやすい。さすが刃牙と、その師匠だ。

 富士山麓の古木を長老と名づけたりするなど、刃牙はかってに名前をつけるのが好きですね。
 物に名前をつけちゃうのは、赤毛のアン症候群と俗にいいますが、刃牙もそんな感じか?
 想像力豊かといえば、誉め言葉だッ!

 しかし、刃牙は師匠をどれぐらい大切にしているのだろうか?
 個体を師匠としているワケでなく、種族全体を師匠にしているようだ。

 梢江が師匠を撲殺したら「師匠ォォォ!」と亡骸にすがりついたりするんだろうか?
 想像力が豊かすぎると社会生活がむずかしくなりそうだな。
 日常生活に支障があっても、強ければイイ。
 それが範馬刃牙の生きかただ。

 刃牙はオリバ戦で液化を体験している。(9巻 68話
 その経験が生きたようだ。
 オリバに勝ったのも、無意識のうちに液化加速していたのかもしれない。

 この調子だと、刃牙は最終的に気化するかも。
 さらに進化してプラズマ化してファイヤー刃牙となったりして。
 炎になれば勇次郎にも勝てるかもしれない。
 まあ、刃牙は物理関係に踏み込まないか。
 あくまで物理のゆでに対する生物の板垣ですから。

 液化加速で刃牙は勇次郎に勝てるのだろうか?
 たぶん、ダメだと思う。
 戦闘に勝つためには、速度だけでなく攻撃力と防御力も必要だ。
 もちろん速度があがれば、攻撃力もあがる。
 でも、実際にナニかを破壊してみないと、攻撃力があがった証明にならない。
 どっかに手ごろなムエタイ選手が落ちていないものか……

 刃牙はピクルを倒しきることができなかった。
 課題はスピードよりも攻撃力だと思う。
 すると、今度はどんな生物のマネをするんだろうか?
 呼びかたは「先生」「老師」「先輩」「兄貴」「兄者」「あんちゃん」「お兄ちゃん♥(はぁと)」とか、そんな感じか?
 刃牙が男の娘化して「お兄ちゃん♥(はぁと)」と抱きついてくれば、師匠並みのダメージを与えることができそうだ。読者に。

追記 (10/6/9)
 メールでゴキブリ師匠の情報をいただきました。(※ 師匠の画像あります)
http://www.t-scitech.net/kitchen/goki/page04.htm
 やっぱり、師匠には筋肉あるみたいですね。
 ただバキ世界で重要なのは思いこみの強さと迫力だ!
 迫力があれば何でもできる。

 ただ、刃牙の思い込みが強すぎる点がちょっと心配だ。
 なりきりすぎて触覚とか生えてきたらどうしよう。
 そうしたら、G刃牙という略称がグラップラー刃牙じゃなくなってしまうぞ。
 と、思っていたけど、刃牙は師匠になりたいんじゃなくて液化したいだけだった。
 いいとこ、スライム刃牙ぐらいだよな。
 ドラクエだと最弱だけど。

 液化すれば打撃の威力も吸収できる気がする。
 もちろん打震を喰らえばちゃんとダメージ受けるんだろうけど。
 とりあえず、液化することで速度と防御は勇次郎に匹敵するかもしれない。

 だが、やはり攻撃力をどうやって上げるのかが問題だ。
 なにしろ範馬勇次郎という男はほとんどダメージを受けたことがない男である。
 仮面ライダーWでいえばヒート・メタルなみに硬くて熱い。いや、ヒート・メタルはけっこうダメージ受けてるか。
 まあ、とにかく硬いんですよ。

 刃牙は液化したんだから、次はゴム化してみるのはどうだろうか?
 なんか現在日本でイチバン売れる漫画になるかもしれないぞ。
 ゴムゴムの剛体術で範馬勇次郎も倒せる!
 いや、ダメだろうな、これは。いろいろな意味で。


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