今週の範馬刃牙 SON OF OGRE 221話〜230話

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2010年8月26日(39号)
第3部 第221話 拳闘(ボクシング)の神 (877回)

 烈海王のヘビー級ボクサーぶん殴り劇場の第二幕がはじまる。
 対戦相手はジョー・クレーザー36歳、通称スモーキンだ。
 ボクサーとしては、けっこう年をとっている。
 日本の場合だと通常プロライセンスは36歳までらしい。(参考:プロボクサー
 選手間では長老といってもいいような、ベテラン中のベテランだ。

 アマ時代にG・G(ゴールデングローブ)を獲得し、プロに転向する。
 勝ったり負けたりしながら、やっと王者に届く位置へたどりついた。
 う〜む、苦労人ですね。

「年寄り(ロートル)だ」
「どーってこたァない」


 と、カイザーは軽いことを言う。
 ワーレフを倒したことで、さらなる強敵が出てくるとカイザーは言っていた。(217話
 なのにワーレフより劣るんじゃ問題あるだろ。
 発言がブレまくりだよ!
 どうもカイザーの言うことは信用できない。

 なお、ロートル(老頭児)はもともと中国語ですね。
 『武装錬金』読者であれば通過済みの知識だッ!
 中国では年を取ることは成熟の証であり、敬意をもたれる。
 先生のことを老師と呼ぶのなんかが、その一例ですね。
 最近は若いほうが良いという傾向になっていそうですが。
 烈は古風な男なのでクレーザーに悪い印象を持っていなさそうだ。

 ホテルの部屋にもどった烈は、原田(深町?)コーチと対策を練っているようだ。
 カイザーはクレーザーのことを才能が無いと評した。
 烈は、才能が無い部分には同意する。

「いい風貌(かお)をしていた」

「一朝一夕でできる風貌(かお)ではない」
「乏しい才能――
 低い身長――
 それでもなお絶望を断固拒否し――――
 死線を踏み越えた」
「風貌ひとつで」
「彼はそれをワカらせる」


 才能にも体格にも恵まれなかった。
 だが、努力と勇気で這い上がってきた男だ。
 烈海王はそれを見抜く。
 身長が176cmの烈は、けっして体格に恵まれていない。
 だから、クレーザーの苦労と努力が理解できるのだろう。

 原田(深町?)コーチもクレーザーのファンらしい。
 ボクシング関係者に好かれているということは、技術も高いのだろう。
 そして、ボクシングを愛していると思われる。
 クレーザーはボクシングへの侵略者である烈海王に制裁を加えるため試合を承諾したのかも。
 夢にまで見た王者挑戦を保留にする覚悟でッ!

 と、ここで意外な来客があった。
 俺はボクシングだけではなく、全スポーツのグレーテストだ!
 伝説のヘビー級チャンピオン!
 マホメド・アライの登場だ!

 烈海王が、会っただけで一筋の汗を流した。
 さすがアライだ。
 自己紹介もキャラクター紹介も不要の有名人である。
 範馬刃牙(2005/12/1開始)からの読者は知らないハズだが、潔すぎるな。

「中国拳法とやらがボクシングに一泡吹かされるところ」
「観たくないワケではないが…」
「ハンマファミリーとの友情があるのでね」


 アライは烈海王にクレーザーとの試合を止めるよう忠告する。
 ボクサーとしては中国拳法の無様な姿がみたい。
 だが、友情を優先したのだ。
 つうか範馬一家と友情が結ばれていたんだ。

 勇次郎はアライを尊敬していて、交流がつづいている。(バキ19巻 165話
 刃牙とは死を覚悟した戦士同士で心に通じるものがあった。(バキ31巻 272話
 アライの息子と刃牙はひとりの美少女(※ 梢江)をめぐって争った仲でもある。
 たしかに家族ぐるみの友情かもしれない。
 そのうち、範馬・アライ家でバーベキューとかやったりするんだろうか?

 ボクサーにはさまざまな異名がある。
 TNT(ダイナマイト)、アイアン(鋼鉄)、マーベラス(驚異的)、サンダーボルト(雷(いかづち))、ファントム(幻(まぼろし))などだ。
 だが、どれも形容されているモノ以下の存在でしかない。
 主にアイアン・マイケルのことか!?
 最大トーナメントのころは、まだ鋼鉄っぽかったんだけど。

 しかし、スモーキンは本当に煙のような男らしい。
 それって能力者ってことか?
 モクモクの実の能力者だったりして。
 とにかく烈の打撃は通用しないといわれる。

「ほどなく君は煙に包まれるだろう…………………………」
「そして必ず打ち込まれる」
「恐らくは世界最強の――――――」
「左(レフト)フック!!!」


 ボクシングでもっともKO率の高い攻撃は左フックといわれている。餓狼伝17巻 151話
 その左フックを喰らうと宣言されたのだ。
 場の空気が重くなる。

 だが、烈海王はひるまない。
 相手が武器を使おうが「わたしは一向にかまわんッッ」男だ。(バキ14巻 117話
 負けるといわれようが、一向にかまわない。
 烈海王は強敵クレーザーとの死闘を決意するのだった。
 次回につづく。


 またもや烈海王の圧勝かと思われたボクシング二戦目の相手は意外と強敵だった。
 『後退のネジを外した男、絶対に後ろに下がらないフレージャー、アリが認めた格闘士。』
 『命と引き換えに自分に向かってきたのは、ジョー・フレージャーしかいなかった』
板垣恵介の格闘士烈伝
 きっと、そんな感じの命知らずな戦士なのだろう。(参考:スモーキン・ジョー・フレーザー

 強さを保障しているのがアライという点も大きい。
 スゴいヤツ発言に説得力があるのは、スポーツや戦場でも同じだ。狂気の左サイドバック傭兵の生活
 範馬勇次郎が強さを保障すれば、かなり信頼できる。天内の件はちょっと微妙だけど。
 アライの保障なら、勇次郎に次ぐ信頼度じゃなかろうか?

 コレが本部さんなら、けっこう悩む。
 あの人は解説はうまいけど、予想が下手なんだよな。簡単に信用できない。
 刃牙のことを最初は軽く見てたし(というか見もしなかった)、渋川さんの勝利を疑っていたし。
 まあ、ボクサーならボクサーに聞けって事でアライの発言は信頼できるだろう。

 そうなると、カイザーはなぜ烈に楽勝だと言ったのだろうか?
 烈海王が自分の意のままにならないため、大きくなる前に消すつもりなのかもしれない。
 ボクシングのことを良く知らないガングロとなめられていそうだ。
 烈は前にいる対戦相手だけでなく、背にいるプロモーターにも気をつける必要がある。

 クレーザーは攻撃と防御に長けた正統派らしい。
 そして、努力と根性と勇気も持ちあわせている。
 烈とスタイルが噛みあいそうだ。
 お互い至近距離で壮絶な手技の応酬になるのかも。

 パンチの打ち合いこそ、ボクシングの歴史であり強みだ。
 烈の武術は、そのスピードについていけるのだろうか?
 次の試合こそ「拳法 vs. 拳闘」となるのだろう。

 しかし、この人は名前を呼ばれてないけど、アライさんで良いんだよね?
 範馬親子と親交があるんだし。
 刃牙世界には厄介なことに、モハメド・アリも実在している。
 なにしろ烈が解説でモハメド・アリを語っていた。(たとえば、21巻 170話22巻 178話
 烈が「ずっとファンでした、サインください、アリさん!」と言ったら世界が崩壊しそうだ。

追記 (10/9/1)
 ジョー・クレーザーは強敵っぽいぞ!
 戦っている姿をまだ見てないので油断は禁物だが、期待できそうだ。
 やっぱり、片足の烈にとってフットワーク巧者は苦手なんだろう。

 戦士の強さは板垣先生の思い入れに影響されやすい。
 モハメド・アリのライバルであるジョー・フレージャーがモデルなら思い入れバッチリだ。
 辰吉よりも、マイク・タイソンよりも、ずっと強いぞ。

 たぶん板垣先生のなかでNo.1ボクサーはモハメド・アリだろう。
 それだけにアライとアライJr.は強いオーラが出まくっていた。
 最初のうちは実際に強かったし、刃牙のライバルになりそうだったのだが……
 なにを、どこで、間違えたのだろう。

 Jr.が登場したのは、モハメド・アリだと時代的にムリだからだろう。
 でも、息子はアリ本人じゃなかった。
 劣化コピーにすぎない。
 やっぱり本人出さないとダメだよ。

 って、ことでジョー・フレージャー本人モデルの登場ですよ。
 思い入れ度数から考えると、愚地独歩級だ。
 さすがの烈も苦戦するだろう。

 ただ、まだ噛ませ犬の可能性も残っている。
 次回がポイントだ。
 いきなり試合が始まっちゃったらヤバい。
 ここは溜めてじらす所だ。
 ピクルなんて、刃牙と戦う詐欺で何ヶ月じらしたことか。

 次回、クレーザーがどこぞのムエタイ戦士を試し割りしだしたら強敵フラグと予想する。
 ブラジリアン柔術でもイイぞ!


2010年9月2日(40号)
第3部 第222話 威圧感 (878回)

 烈海王の次なる相手はジョー・クレーザーだ。
 足りない才能を努力で埋めた36歳、まさにボクサーの鑑である。
 中国拳法は本物のボクシングに通用するのか!?

 そう考えていた時期が昨日の俺でした。
 なぜか舞台が日本にもどっている。
 そして登場するのは米国人ヤン・ウィリアムスだった。
 彼は事件の目撃者である。

 地下足袋(ニンジャブーツ)はいた柴千春が路上にいた。
 ヤン・ウィリアムスは地下足袋を見て、千春を忍者と確信する。
 いまどき そんな情報で忍者と確信しちゃうなんて。

 日本では珍しいクルーザー級のボクサー西島洋介山は地下足袋をはくことで、ニンジャボクサーという異名をもっていた。
 烈のヘビー級挑戦とシンクロしているのかもしれない。

 今日の芝千春ファッションは路上(ストリート)に舞おりた堕天使的な感じだろうか。
 上半身裸でサラシをまいて、上着は肩に引っ掛けるだけ。
 引っ掛けた上着は紫色だ。
 紫(ムラサキ)だよ、柴(しば)じゃない。字が似ているから親近感があるんだろうか?
 黄色いタオルをハチマキがわりにして、タバコをくわえている。
 そして、足元を地下足袋でかためていた。

 これは通行人が避けて通るファッションセンスだ。
 いつの時代のヤンキーだよって感じで。
 路上に大量の吸殻が落ちているので、かなりの時間ここにいることがワカる。
 千春はナニをしているのだろうか?

 果し合いの相手を待っている。というのがヤンの見立てだ。
 忍者は路上の真ン中で仁王立ちして、果し合いの相手を待ったりしない。
 ヤンは たぶん『NARUTO -ナルト-』(AA)で忍者の知識を得たんだろうな。
 それ、忍者といってるけど かなり違うから!
 せめてチャンピオン漫画の『キャラメルリンゴ』(AA)で学習して。
 いや、こっちのほうがもっと酷いな。

『その表情には――――――
 並ではない決意と
 並ではない意志の強さと
 並ではない根性?――が
 現れていた』


 前回、烈はジョー・クレーザーのスゴさが風貌に出ているといった。
 柴千春も顔に度胸と根性がにじみでているようだ。
 出ているものが努力や自信などではなく、根性系というのが千春らしい。
 タバコの煙が目に入っても、千春は根性だして目を閉じないのだ。
 根性の向かう先が なんか違う気もするけど、千春だからしょうがないか。

 千春は根性だして立ったまま、ある人物を待っていた。
 その人物とは、一見普通の少年である範馬刃牙である。
 あえて厳しい状態で人を待つのが、千春の根性なのだろう。
 待つ相手が あまりうれしくないのも根性の見せ所だ。

 なぜか柴千春は刃牙を待ちかまえていた。
 二人とも花山と親しい間柄だ。
 しかし、花山ぬきで会ったことはほとんど無い。いや、まったく無い。
 そもそも今回が初会話じゃなかろうか?
 お互い名前に"さん"づけしている辺り、距離を感じる。

「範馬刃牙さん」
「なんにも言わず」
「喧嘩買ってください」


 突然、意味不明の喧嘩上等だ。
 いったい柴千春の身(というか脳)にナニがッ!?
 花山に近づくため、逢える人間の中でもっとも強い男にケンカを売ったのだろうか?

 刃牙は勇次郎との戦いを、勝ち負けに関係なくヤるといっている。
 千春も同じように負けようが戦うというつもりなのだろうか?
 有言不実行の刃牙とはちがい、いきなり行動しちゃうのが特攻隊長・柴千春らしい。

 千春が特攻服を着ていないのは、族の看板を下ろしているのだろう。
 つまり必敗の覚悟を決めている。
 だが、千春は きっと想像を絶するような はずかしめを刃牙に受けるんだろうな。
 刃牙が本気を出したときのサドっぷりは、さすがオーガの息子って感じだぜ。


 米国では烈海王 vs. ジョー・クレーザーが始まろうとしていた。
 早ッ! まったく溜めなしかよ。
 柴千春と同じく、いきなり勝負となった。

 ジョー・クレーザーは180センチ・92キロだ。
 身長は烈(176センチ・106キロ)より高いが、軽い。
 ヘビー級の中ではかなり小柄なほうだろう。
 体格は天から与えられた才能とも言える。
 つまり、やっぱり、ジョー・クレーザーは才が少ないのだ。

 だが、非才でありながら生き残ってきたのも事実である。
 才能は無いかもしれないが、強い。
 ジョー・クレーザーは強い威圧感を出している。
 肉体や人格の密度がまるで違っているみたいだ。
 クレーザーの目は静かであり、眉間にシワも無く、気負っていない。
 まるで修行僧のような精神修練を積んできたのだろうか?

 烈海王にとって、己のすべてをぶつけられるオイシイ相手だ。
 奇策を出すことも無く、通常どおりに構える。
 ゴングが鳴った。

『中国4000年にまるで臆する様子もなく』
『ベタ足のボクサーは最短距離で烈へ歩み寄った』


 クレーザーも自分のスタイルで前進する。
 お互いに自分の存在をかけて真っ向勝負だ。
 絶技繚乱の予感をさせつつ、次回へつづく。


 親子対談も終了したので、しばらく放置かと思われていた刃牙に予想外の勝負がやってきた。
 理屈なんてどうでもいい。戦士は闘いたいんじゃ! と、徳川さんなら言うかもしれない。
 柴千春は練習しないで、ひたすらケンカで強さを磨いてきた。
 だから、レベルアップのために より強い相手と戦いたいのだろうか?

 ただ、「なんにも言わず」って所が気になる。
 言うに言えない事情があるのかもしれない。
 弱味を握られて、刃牙と闘えと脅されているとか?
 勇次郎が変な親心を出した、ってコトは無いだろうな。

 どちらにしても、羽織っただけの紫上着がポイントだ。
 背中のキングギドラを開放する気マンマンですよ。
 事情はわからないが、本気が感じられる。
 柴千春は特攻する気だ。

 あとは、刃牙が受けるかどうかなんだけど。
 刃牙には柴千春と戦う理由がない。
 やる気のない刃牙は戦いをさける傾向がある。
 今回も どっからともなく梢江をひねり出して、お姫様抱っこして逃げだすかもしれない。

 逆に刃牙が積極的に仕掛ける可能性もある。
 勇次郎にビビってしまった自分が許せなくて、八つ当たりファイトだ。
 人として問題のある行動だけど、戦うだけマシかもしれない。

 まともに戦えば、刃牙が勝つのは間違いない。
 だが、柴千春はアイアン・マイケルを相手に奇跡の勝利をおさめた男だ。
 偶然にも烈がボクサーと戦っている。
 アイアン・マイケル撃破の奇跡よ再び!って感じになるかも。

 そして、対になる戦いが烈海王 vs. クレーザーだ。
 もうちょっとクレーザーの話を掘り下げてから戦うかと思っていたけど、いきなり始まった。
 こうなると試合中に回想開始! かもしれない。
 クレーザーは未知数すぎるので今後の展開が読めません。

 とりあえず、クレーザーが早くも煙化している。
 序盤の烈は苦戦しそうだ。
 クレーザーの運足はカカトを地面につけるベタ足である。
 ということは、華麗なフットワークではない。
 どちらかというと、上半身の動きでパンチをよけるディフェンスなのだろうか?

 両者足をとめて高速の拳打を応酬しそうだ。
 それでいて、二人とも一発もあたらない!
 一方、日本では刃牙と千春が足をとめて殴り合っている。
 二人ともまったくよけない!
 対照的な殴り合いが同時進行するかも。

 で、刃牙と千春の異常な殴り合いをみて、米国人のヤンは二人が忍者であると確信するんだろうな。
 忍者はミュータントや超能力者や宇宙人ではありません。
 範馬一族はミュータントや超能力者や宇宙人という可能性もあるけど。

追記 (10/9/8)
 予想外の柴千春参戦だ!
 普通に考えたら刃牙に勝てるワケがない。
 だが、勝てるワケのなかったアイアン・マイケルに勝ったことのある柴千春だ。
 刃牙相手でも奇跡を起こすかもしれない。

 なにしろ刃牙は気分にムラっ気がある。
 最低の刃牙と最高の千春が戦えば、千春が勝ちそうだ。
 でも、千春は族と関係なしに戦っているっぽい。
 これだとテンションが上がりきらず、最高の状態にならないかも。

 それにしても千春はなぜ刃牙と戦いたがるのだろう。
 花山を人質にとられているのか?
 いや、花山はそういうキャラじゃない。
 じゃあ田中KENあたりが捕まったのかも。
 キャラ的には似合っているけど、刃牙と勝負させる意味が無くなるよな。

 まあ、とりあえず風呂敷を広げるのは刃牙のお家芸だ。
 先のことをあまり気にせず、たたまれるのを待てばいい。
 とりあえず、どんなファイトになるのかが問題だ。
 目撃証言からすると、警察に呼ばれるレベルの事件になるらしい。
 ニンジャと確信するような、エクストリームな戦いが待っていそうだ。

 刃牙が進化したリアルシャドーで集団幻覚を引き起こす。
 柴千春が、それを度胸と根性で乗りきる。
 まさにスーパー忍者大戦だ。
 とりあえず刃牙は巨大ガマの幻影を出しそうだな。

 一方の烈海王はどんな感じだろうか?
 スモーキンは強そうだけど、まだエピソードの重みが足りない。
 これは、あまり長期戦にならないパターンかな。
 試合中に回想開始しないと、スモーキンは一言もしゃべることなく敗北しかねん。

 スモーキンが活躍するかどうかは、アライさんの解説にかかっているかもしれない。
 やっぱり、刃牙世界のバトルは解説とセットじゃないと。


2010年9月9日(41号)
第3部 第223話 戦う理由 (879回)

 緊急対戦! 範馬刃牙 vs. 柴千春!
 柴千春はいきなり背中に彫られたキングギドラを開放する。
 だけど左手にはタバコを持ったままだ。これが千春のこだわりなのか?
 三つ首怪龍が路上(ストリート)に舞い降りた。

 目撃者ヤン・ウィリアムスはキングギドラを知らないらしい。
 まあ米国人だから知らないのだろう。
 それか、ゴジラよりもガメラ派なのかも。
 柴千春の所属する巖駄無連合はガメラよりゴジラ、マクロスよりガンダム派なんだろうな。
 ランバ・ラルとかをペイントした痛族車が多数あるにちがいない。

 戦う理由を告げることなく、柴千春が仕掛ける。
 タバコを刃牙の顔面に弾き飛ばし、同時に右拳を振りかぶった。
 路上の実戦(ケンカ)で磨きぬいた必勝の奇襲技だ。
 だが、相手は地上最強の息子・範馬刃牙である。
 考えごとをしながら、千春にカウンターを喰らわしてブッ飛ばした。

(いくら何でも唐突すぎるよ柴さん……………)

(そりゃあ何も尋かず)
(黙って受けりゃカッコイイだろうけど…)
(カッコイイのはワカるけど……)
(さすがにそれは……)
(俺と柴さんじゃ…)
(闘う理由がない……!!!)


 千春の奇襲にとまどいながら刃牙は どうすればカッコイイのか考え中だ。
 でも、考えてカッコつけているうちは未熟なんだろうな。
 『BLEACH』みたいに呼吸するようにオサレをしないと。
 パワーアップした主人公を見て最初に突っ込むのは髪の長さというように、常住坐臥オサレに気を配れ。

 刃牙はキングギドラを上回る四つ首の怪物を出せば良かったかも。
 ピクルを恐怖させたトリケラトプス+プテラノドン+T-レックス拳が刃牙にはある。(21巻 167話
 さらに新恐竜をを加えた超恐竜拳をだしてドギモ抜いたれ。

 もっとも、ただ殴るだけなら刃牙にはたやすい。
 撃ち終わった後の構えで、撃ったとわかる神速の一発(?)で千春は5mもハジけ飛んだ。
 自慢の黄色ハチマキがとれて宙に舞う。
 普通であれば、ここで勝負アリだろうけど……
 不屈の根性をもつ柴千春がこれで終わるワケないだろう。

 ダウン中に回想開始ッ!
 柴千春は花山薫に呼び出されていた。
 ワイルドターキーを飲(や)りつつ、花山は千春に刃牙とヤレと命じる。
 意味不明だ。無口な花山はちゃんと説明してくれないし。

「柴 千春には――――」
「理由が………」
「必要か………」


 尊敬する花山薫にそう言われると困ってしまう。
 困ったままでも千春は刃牙に勝負を挑んだようだ。
 夜の公園で武術家二人のように、イイ男とイイ女がであったように、刃牙と梢江がSAGAったように。
 強者を目指すものに理由など必要ないッ!

 花山には花山の思惑があるのだろう。
 どんな裏があろうと、花山を信じているから従うのだ。
 たぶん千春はそう考えて刃牙と勝負したのだろう。
 もしかしたら千春がヘマやって、罰ゲームとしての勝負かもしれないけど。


 一方、烈はボクシングで苦戦していた。
 いきなり大量の汗をかいている。
 ヤラれているのか!?

 ジョー・クレーザーの攻撃を烈はちゃんと防御している。
 両腕できっちりと受けて、頭や胴に喰らっていないようだ。
 ボディーへの攻撃で思わず足を上げちゃっているのは、普段のクセが抜けてないようだけど。

(全ての攻撃は防御(ふせ)いでいる………………)
(なのに―――― 身体の奥深く――――――)
(内臓に奥深く――――)
(消え残る損傷(ダメージ)………)

(まるで鋭利な刃物を秘めたような……)


 テンパってるのか、烈のたとえが少しおかしい。
 グラブの中に刃物があるような攻撃なら、ガードした腕にダメージがあるはずだ。
 でも、烈はガードした腕を通過して内臓にダメージが届いている。
 ゲーム風に分類すると防御不可とか防御貫通って感じじゃなかろうか。

 とにかく防御ばかりしていたら、ダメージが蓄積されていく。
 烈は反撃に転じる。
 クレーザーのアゴに右拳をメリ込ませたッ!
 だが、烈もアゴを打ち抜かれている。
 ひょっとこ風に顔がゆがみ、耳までなびく。

(不覚………)

 マウスピースが飛ぶ。
 自分の失策を意識しているので気絶はしていないようだ。
 だが、烈は大ピンチをむかえている。
 烈のひょっとこ具合を見るに、左フックを打ち込まれたようだ。
 まさにアライの予言した左フックである。(221話

 この一撃で烈はダウンするのか?
 クレーザーの打撃にはどんな秘密があるというのだろう。
 次回へつづく。


 千春は予想以上にあっさりダウンした。
 烈は予想外にあっさりと打撃を喰らってしまう。
 両者大ピンチだ。
 あ、なんか主人公(刃牙)視点で話を見てない感想になってしまったぞ。

 千春の黒幕が花山だったのは意外だ。
 たしかに、千春に命令できるのは花山ぐらいだろう。
 でも花山は裏でコソコソ指示を出すより、自分で動くイメージがあった。
 幼年編で刃牙とケンカした時だって、人にまかせず自分で刃牙を尾行してたし。

 だから、刃牙と闘うのは柴千春じゃないとダメな理由があるのだろう。
 最近の刃牙に欠けまくっているのが根性だから、千春に見せつけさせるとか そんな感じで。
 勝ち目がなくとも正面から挑んでいく姿を見せて感動させる作戦かも。
 千春の姿に、全刃牙(グラップラーとかバキとかバキSAGAとかの刃牙)が泣いた。

 で、千春にもなんかメリットがあって欲しい。
 いつの間にか刃牙は世界最強の高校生として有名になっている。(1巻 2話
 世界一に挑戦したということでハクをつけることになるかもしれない。
 でも、別次元の 変態 強さを見せつけられて、千春がヘコむ可能性もありそうだよな。

 一方、烈はボクシングの洗礼を受けている。
 打撃を腕で受けるのではなく、よけることができればイイのだが。
 そういうディフェンス技術は中国拳法に無いものなのかも。

 逆にクレーザーは評判になっている煙のディフェンスをまだ見せていない。
 つまり、まだ本当の実力を発揮していないのだ。
 烈はクレーザーを追いこめていない。
 珍しく本当に大ピンチかも。

 グローブをつけた打撃は、素手と違った衝撃があるらしい。
 とくにボディーはグローブのほうが効く。
 大道塾の東孝氏いわく『素手ならば拳を筋肉の力で跳ね返せるが、グローブだと息がとまるようなショックがある』そうだ。(最強格闘技の科学

 刃牙を苦しめた鎬紅葉の打震や 中国武術・北派は、人体の内部にダメージを与える。(G刃牙8巻 70話)
 クレーザーはグローブを利用して、内臓に伝わる打撃を完成させたのかも。
 烈とはグローブ使用の熟練度に差がありすぎる。

 そんなワケで、烈にとっては八方ふさがりの状況だ。
 この状況を打開するには、どうすればイイのか?
 とりあえず中国武術に頼って噴ッ破ッするしか無いんだろけど。

 ダメージを浸透させる北派の技なら烈にも使えるだろう。
 逆転の可能性は、その辺にあるかもしれない。
 まあ、それ以前に烈のパンチが当たる保障が無いんですけど。
 今回の攻撃だって、当たったと思ったらスカっている可能性があるし。

 まあ、烈海王には超必殺技の空気鉄砲がある。
 あれで目潰し喰らわせれば、クレーザーだってイチコロだ。
 反則とられて、烈がルール上イチコロにされるかもしれないけど。

 あとは千春がどれだけガンバれるかだ。
 いきなり5mも吹っ飛ばされているけど、挽回なるのか?
 刃牙が本気を出したら、アイアン・マイケルの数倍スゴいはずだ。
 アイアン・マイケルの攻撃が750cc(ナナハン)なみなら、刃牙はダンプカーぐらいか?

 750cc(ナナハン)ブチかまされたときよりも ずっとスゲェ……
 だったら逝けるぜ……

追記 (10/9/15)
 烈海王が予想以上にピンチだった。
 めったに目撃できないような変顔を披露してマウスピースを吐きだしている。
 まあ、烈海王のことだから「ちょっと効いた」ぐらいで済ましそうだけど。

 一方、柴千春は予想通り刃牙にブッ飛ばされている。
 こっちは予想通りなので、意外性がない。
 あとは千春がどう反撃するかどうかだけど……

 今の刃牙が性格の悪い刃牙なら、きっと酷いこと言うんだろうな。
「やめてよね。本気で喧嘩したら柴さんが僕に勝てる訳ないだろ」
 ぐらいは言いかねないな。
「柴さんって悲鳴を上げたことがないって言うけど(※ 推測)、骨を何本折ったら声を出してくれるかな?」
 ぐらいも言うかもしれない。

 刃牙と千春を比べた場合、千春が勝る点は身長と根性ぐらいだろう。
 身長とリーチの優位があっさり消える刃牙世界では、根性のほうが重要だ。
 千春は刃牙に根性を見せつけるために呼びだされた捨て駒なのだろうか?
 いや、千春なら噛ませイヌが逆に主役を噛み殺すような展開もありうる。
 刃牙のキンタマ噛み切るような逆襲に期待だ!

 あと、刃牙が持つ最大の弱点は「油断」である。
 格下の敵と戦うときや、戦闘前はボーっとしていることが多い。
 刃牙は千春のことを、かなりナメきっていると見た。
 うまく油断していれば、一気に倒すこともできるはず。
 って、本気で主人公の敗北を願ってどうするんだ、俺。

 一方の烈ですが、まだクレーザーがどんな人間かみえていない。
 人格者なのか、サディストなのか、わからない状態だ。
 努力家なのは判明しているけど、性格がわからない。
 スモーキンと呼ばれるディフェンス技術もまだ不明だし。

 烈のほうは、刃牙と千春が片付くまで苦戦のままなのだろうか?
 最終的に中国武術をボクシング風にアレンジした凄技を披露して逆転するんだろうな。
 うっかり防御で足を使いかけていた烈海王だけに、相手を蹴らないことを祈る。
 あの人、激怒したらルール忘れて絶対に蹴るよ。


2010年9月16日(42号)
第3部 第224話 無数の傷 (880回)

 範馬刃牙は普通(なみ)に見える少年だった。
 だが中身はとんでもない怪物だ。
 露出狂のド変態でも服を着ていれば まともに見えるのと同じ理屈だな。
 花に擬態するハナカマキリみたいなもので、うかつに近づくと変なもんを出してくるぞ。

 目撃者のヤン・ウィリアムスは改めて刃牙を観察した。
 首・肩幅・腕は太く発達している。
 そして身体には無数の傷跡がきざまれていた。
 どう見ても、タダ者じゃない。
 路上でキングギドラの彫り物を見せつけている柴千春よりも、ずっと危険な生物だ。

 一方ダウンした千春は起きあがる。
 刃牙の攻撃はこんなモンかと不敵な笑みだ。
 バッタリ大の字に倒れていたから、もちろんダメージはあるのだろう。
 こういうやせ我慢がハードボイルドで侠(おとこだて)ってヤツだな。

「千春さん」
「今のが最後だ……」
「千春さんが仕掛け――」
「俺が怪我をさせないように反撃する」
「次はもうない」


 刃牙の態度がきゅうにデカくなった!
 前回まで「柴さん」と呼んでいたのに「千春さん」になっている。
 好感度が上がったわけじゃない。より見下したのだろう。
 こりゃ、次回あたりで「千春ちゃん」になっているかも。

 『疵 花形敬とその時代』(AA)によれば、『不良の感覚からすると、「ちゃん」づけは、少し格上の人間に対して用いられるものだそうで』とある。
 時代がちがいすぎるけど、「千春ちゃん」は無いか。
 刃牙ならもっと屈辱的な呼び方を開発してくれるハズだ。

 花山のことも、そのうち「薫さん」って呼ぶようになるんだろうか?
 「薫さん」「千春さん」じゃ、女の子のコンビみたいだな。
 コレに「紅葉さん」まで加えたら、立派なアイドルグループだ。

 話をもどす。
 お前、弱いから手加減したけど、次から本気出すよ。
 刃牙の無礼な発言に柴千春の血管はピクピクだ!
 もっとも エラそうに言ってる刃牙も一発で千春を無力化できなかったんですけどね。

 たしかに「今のは手加減したけど、次本気出すから」は使えるセリフだ。
 捨て台詞……じゃなくて、カッコつけ台詞として一度は使ってみたい。
 発車直前の電車にかけこみ、ドアが閉まる直前に言い放てば後腐れもなくて良さそうだ。

 問題は、次で倒せなかったら赤っ恥という点だな。
 倒せなかったら、最初の攻撃がけっこう本気だったとバレてしまう。
 次の刃牙は面子にかけて倒しにくるぞ。
 大人気なく剛体術とかマッハ突きとか使ってきそう。

 怒りの千春が全力キックだ。
 いかにもシロウトっぽいモーションの大きい攻撃である。
 だが、それだけに体ごとぶつかってくるような勢いだ。
 洗練されていない攻撃だけに、予想外の軌道でよけにくい攻撃かもしれない。

 だが、刃牙は最小の動きでよける。
 まるで千春の蹴りが体をスリ抜けたようだ。
 最小の動きでよけたから、反撃につながりやすい。
 千春が気がついた時、刃牙はすでに射程距離内にいた。

 千春の顔を張り飛ばし、宙をまわせる。
 拳で殴っていないから、まだ手加減しているようだ。
 もっともアスファルトの上で宙にまわせるのはキケン過ぎるけど。
 頭から落ちたら、路上のスイカ割り祭りになりますよ。

(ああ……………)
(強ええな………… やっぱ……)
(本物だわ……)
(いったい……)
(俺と………)
(どんだけ差があるのか…)
(見当がつかねェ……)


 実力差は歴然としている。
 だが柴千春はすぐに立ち上がり反撃だ。
 月に石を投げつけるような行為かもしれないが、あきらめないのが柴千春である。
 まるでピッチャーのように おおきく振りかぶった一撃だ。
 つくづく全力攻撃の好きな男である。

 踏み込んだ柴千春の足に、刃牙が左のローキックを打ちこむ。
 つづけて右のアッパーカット、左のフックを叩きこんだ。
 さらにトドメと右のヒジが千春のアゴを撃ち抜く。
 郭春成を完膚なきまでに叩きのめしたときのような容赦ない連撃だ。バキ24巻 212話

 いきなりトップギアで攻めてきた。
 超本気で潰す気ですね。
 一発目の攻撃で倒しきれなかったから、けっこうイラついているのかもしれない。
 範馬勇次郎は歯向かう敵は赤子だろうと容赦しないと言われている。
 刃牙に足りないのは、暴力に身をゆだねる思いっきりの良さなのかも。

 範馬勇次郎という怪物と対抗するには、怪物にならないといけないのだろうか。
 愛で戦うことに目覚めた刃牙は人のまま戦うのかもしれない。
 相手の土俵で戦うのは不利という戦闘の基本を考えると、勇次郎を人間に戻すほうが望ましいんだけど。
 刃牙の家族団欒ってのは、そいういう意味で効果的な作戦だったのかもしれない。
 力づくで来いと、返されたけどな。

 目撃者ヤン・ウィリアムスには見えないほど速い刃牙の四連撃だった。
 おそらく千春は失神しているだろう。
 刃牙は千春の打撃をよけるまでもなく、あえて喰らってみせる。
 その油断と思い上がりが刃牙らしい。油断している時の金的にご用心。
 本当に千春はこれで終わってしまったのか?
 次回へつづく。


 予想するまでもなく刃牙が千春を圧倒した。
 まあ、ここで少しでも苦戦したら刃牙の強さがワケわからんコトになる。
 だが柴千春の真価はここからだ。
 常識では立ち上がれないダメージを受けた時が、柴千春のスタートになる。
 750cc(ナナハン)以上のダメージを受けた経験が千春にあれば、立ち上がれるハズ!

 戦闘中は興奮状態だから多少痛くても倒れない。
 前にも書いたけど、サッカーの本並健治選手は、試合中に腎臓破裂の怪我をしたが試合を最後までつづけた。
『ブラジル人たちは、とっくにそういう事実に気づいているから、ダメージを与える打撃でなくて、カットして流血を狙う打撃を繰り出そうとする。』(格闘士烈伝
 だから刃牙は脳震盪=意識喪失を狙って、肉体ではなく精神を停止させようとしたのだろう。
 狙いは実に正しい。だけど、容赦なさすぎだよな。

 ちなみに達人・塩田剛三先生は「痛いと感じさせるようじゃダメだ」と言っていたらしい。(格闘士烈伝
 相手をどうしようもない状態にして、抵抗できなくするらしいのだが、達人の戦いは難しすぎる。
 技を極めれば勇次郎も封じることができるかもしれない。
 でも、勇次郎は隠れテクニシャンなので勇次郎以上の技を身につけることも不可能に近いのだった。
 八方塞がりだよ。

 刃牙の脳震盪フルコース四連打を喰らってしまった。
 千春が復活するには、どうすればいいのか?
 一瞬で意識を取りもどす秘策があればいいんだけど。
 幼年編の刃牙は口の中にガラスを仕込んで、舌を切り裂かれる痛みで意識を取りもどした。(G刃牙14巻 122話)
 千春も同じようなコトをすればいいのかも。

 ただ、全身麻酔中って神経は痛みを感じている(痛みの信号を脳に送っている)けど、脳が知覚しない状態らしい。
 そもそも全身麻酔は仕組みが良くわかってないそうだけど。(99.9%は仮説)
 全身麻酔が痛みを知覚していないだけなら、脳震盪も痛みを感じないのでは?
 でも、刃牙はちゃんと目覚めたって?
 そりゃ、あなた、思い込みの力ですよ!
 あ、じゃあ千春も目を覚ますような気がしてきた。

 花山が千春に向かわせたのはワケがあると思う。
 LOGIC&MATRIXの游星さんから受け取った『華と修羅』 レビューヤマカムさんに投げたら、今度はカフェオレ・ライターのマルコさんに流れていったというような場当たり的な行動じゃないだろう。
 9月22日に餓狼伝 25巻が発売される予定だったけど、また発売延期になったよ。
 みたいな無計画さとも違うと信じたい。

 これは第二回・最大トーナメントの予兆にすぎぬのだ!
 いや、わかりませんけど。
 最大トーナメントの最終特別試合で親子対決するってのは、分かりやすい構図だと思うのだが。
 徳川さんが地上最強の親子喧嘩を見て満足そうに逝く。なんて。

 もしかすると徳川さんの野望は地下闘技場に収まらなくなっているのかもしれない。
 世界中から真・最凶死刑囚を集めちゃって東京に解き放つ!
 試合と喧嘩という二つのイベントを同時に楽しむつもりだ。

 今回の地下戦士代表は、より路上が得意なものを選抜する。
 路上の喧嘩術といえば柴千春だろう。
 刃牙を相手にどこまで食い下がれるのかという実験が今回の喧嘩かもしれない。
 本当に実験ならイロイロな意味で迷惑だけど。

 路上戦士として柴千春以外の候補は誰だろうか?
 チームリーダーとしては花山を外せない。
 ただ、花山は外伝の仕事が出てくるかもしれないし、顧問や切り札的存在として前線に出ないほうがいいかも。

 次に加藤だ。
 ヤクザになっていた時期もある路上のスペシャリストですよ。
 千春と勝負したら、どっちが勝つのか本気でわからない辺りが絶妙な実力といえる。

 加藤がいるなら、花田も出さねば。
 マウント斗羽に路上で倒されるなど、意外とストリートの経験値が高い。
 人前でも平気でパンツはきかえるコトができるあたりにも、適正を感じる。

 もちろん本部さんを外せない。
 武器を持ったら別人のように強くなるのが本部さんの魅力だ。
 路上で範馬勇次郎に喧嘩を売るほどの実力をもっている。

 花山・柴・加藤・花田・本部!
 この五人組が組んだら、目を離せないチームになりそうだ。
 ちょっと目を離すと花山以外の誰かがいなくなっていそうで、心配で目が離せない。

追記 (10/9/21)
 柴千春はこのまま退場するのだろうか?
 ここで終わってしまっては、花山の指示の意味がわからない。
 まあ、意味なんていらないというのが柴千春の喧嘩なんですけど。

 花山の期待にこたえるためにも千春には立ち上がって欲しい。
 刃牙と戦うための心構えとして、花山の全力パンチを喰らっておいたとかの理由で復活だ。
 油断した刃牙がうしろを向いているスキに、足にタスキを巻きつければ逆転の可能性はあるぞ。

 もしかすると、花山の指示にはなんの意味もないのかもしれない。
 それどころかアレは花山薫ではなくニセモノだったりして。
 ややこしい血縁関係にある花山匂で、天然の薫に対抗して科学トレーニングで強くなった男だ。
 などという源氏物語ネタが待ちかまえているかも。
 そういえば、源氏物語の昔から、川に落ちたら生存フラグがあったんだよな。

 まあ、とにかく柴千春は立ち上がって、刃牙を少しビビらせるに一票だ。
 刃牙も純粋な闘争本能の大切さに気がつくだろう。

 そして、そろそろ烈海王の話に戻ることじゃないかと思う。
 殴られたまま何話も放置されては、こっちがたまらん。
 すでにKO負けして、ショックを受けた烈がラスベガスの路地裏で飲んだくれていたりしたら、もっと困る。
 烈と千春のダウンがシンクロニシティーで、両者の復活も同調するのかもしれない。
 ってコトは、やっぱり刃牙は敵のポジションなのか?


2010年9月22日(43号)
第3部 第225話 グローブ (881回)

 刃牙の見えざる四連撃で柴千春はダウンする。
 中国武術界の最高峰である郭海皇の息子・郭春成を轟沈させた攻撃は二秒だった。(バキ24巻 212話
 それよりも、さらに速く成っている。格闘のシロウトである千春が耐えうるはずもない。
 いや、非常識なシロウトである千春だから耐えられそうな気もするけど。

 意識を失った千春はまだパンチを出していた。
 刃牙はよけるまでもないと、喰らってみる。
 打撃で顔の肉がブルルンと変形した。

 肉が変形しすぎじゃね?
 刃牙の中に眠るマゾの本性が目覚めて、千春の拳につっこんでしまったのかも。
 名づけるなら自爆カウンター。相手の攻撃を逆に利用して自爆する。
 相手を倒しつつ、自分のマゾも満足させてしまうとは、おそるべき才能だ。
 一般的には役に立たない才能だけど。

 柴千春は、なぜ自分に喧嘩を売ったのか?
 刃牙は疑問をもつが、あっさり背を向けて去っていく。
 去っちゃうの?
 寝ている千春に上着をかけるとか、一切せずに?
 グラップラー刃牙 1巻のころは、加藤が倒した武術家のことを気にかける優しさがあったんだけど。

 でも、敗者が勝者に気づかわれるのは屈辱でしか無いのかも。
 放置するのは刃牙の優しさなのかもしれない。
 単にめんどいだけっぽいけど。

(ヤレ……)
(刃牙と………)
「おまえ だからいい……………」


 大地に顔面くっつけている千春の脳裏に花山の声がよみがえる。
 やっぱり、刃牙と戦わせる理由があるらしい。
 花山は千春に、対刃牙の強みがあると考えていそうだ。
 アイアン・マイケルの拳を喰らってなお立ち上がった男・柴千春が復活か?


 そのころ烈海王はリングの上でダウンして大の字になっていた。
 烈は右の縦拳(ストレート)を当てたが、同時にクレーザーの左鉤打ち(フック)を喰らっている。
 ストレートとフックでは、間合いがちがう。
 射程の短いフックが当たっているので、ストレートは腕が伸びきらない状態で当たったハズだ。
 つまり、ベストパンチを当てたのはクレーザーだ。

 烈はどんなパンチを喰らったのか見えていなかったようだ。
 状況から判断して左フックと推定している。
 まだ冷静さを失っていない。心も折れていないようだ。
 寝ながらボクサーのパンチとグローブについて考える。

 烈は修行時代にグローブで戦ったことが幾度もあった。
 やっぱりケガをさせずに殴りあうにはグローブが最適なのだろう。
 クレーザーのパンチは、過去の経験と比較にならないほど重く、切れ味鋭い。

『素拳ならではの――
 硬さと鋭さこそないものの――――――――』
『グローブその物の重さが加わる故―――――――
 脳へのダメージ自体は明らかに素手を上回る』


 素手とグローブ、どっちが強力なのか?
 古くから格闘義界で議論されていた話題だ。
 最近ではグローブをつけたほうがダメージは大きくなるという結論が出つつある。
 まあ、素手で殴ると鋭く硬いので、肉を切ったり骨折させたりするというメリットもあるようだけど。
 相手の肉に貫き手を突き刺すのは武術家にとって理想の攻撃だろうし。

 グローブは相手の顔ではなく、自分の拳を守る働きをしているようだ。
 なにしろ、グローブ最大のメリットは拳が痛くないから思いっきり殴れるところにあるらしい。(格闘技「奥義」の科学
 素手よりも強くなる傾向があると計測されている。

 クレーザーから受けたグローブの打撃は、刃牙やピクルの拳になかったものだ。
 刃牙やピクルよりも強い。とは言っていないが、別の衝撃があるようだ。
 たとえば、刃物の攻撃と、ハンマーの攻撃のような差だろうか?
 まあ、刃牙もボクサーも両方ともハンマーっぽいですが。

 烈は、なんとか8カウントで立ち上がった。
 深町(原田?)コーチはタオルを握りしめ、烈を見守っている。
 立ち上がった烈は、グローブという道具についてある発見をしていた。

(そうだったのか……ッッ)
(彼等一流ボクサーの強み……)
(それは………)
(グローブという道具の――
 使用方法に長けているという事実ッッ)


 脱力しての肝臓打ち(リバーブロー)や、フリッカージャブ!
 ボクシングは、150年の歴史をかけてグローブを武器化してきたのだ。
 烈海王は、やっとボクシングの本質に気がついた。

 だが、気がつくのが少し遅かったようだ。
 一発喰らっただけだが、烈海王のダメージは深刻である。
 烈の見る世界はドロドロのグニャグニャになっていた!
 アイアン・マイケルのパンチもかすっただけでドロドロになる。(G刃牙24巻 207話)
 烈はまともに喰らったので、もっと深刻かもしれない。

 三半規管がゆれて、酩酊したような状態なのだろうか?
 今の烈はまっすぐ歩くことすら難しいかもしれない。
 この状況をどうやって、乗り切るのか!?
 第一ラウンドは始まったばかりだぞ。
 次回へつづく。


 烈海王と柴千春が大ピンチだ。
 ふたりとも脳震盪なのがシンクロニシティーか?
 違うのは、烈が起き上がり、千春が寝たままだという所だ。
 だけど、花山の期待にこたえて千春は置きあがるかもしれない。
 千春の武器は何度でも立ち上がるしぶとさだ。

 刃牙はすっかり千春を倒した気になっている。
 この油断が花山の狙いかもしれない。
 ゾンビ映画だと割と初期に油断してヤラれるタイプだ。
 強すぎる肉体を持ったためか刃牙は油断が多い。
 油断している刃牙に背後から迫って金玉蹴り上げるのは、ボケに対するツッコミみたいなもの。

 そして、烈海王が大ピンチだ。
 グローブでもピンチだけど、ボクシングのルールでもピンチである。
 本人はダメージを超回復できるかもしれない。
 だが、コーチに回復がワカらなければタオルを投げ込まれて負けるかも。
 レフリーに危険と判断されるかもしれない。

 烈は超人ルールで戦っているつもりかもしれない。
 でも、ボクシングのリングは常識で運用されている。
 死なない限り、負けないという理屈が通用しないのだ。
 烈海王としては恐竜時代からよみがえった原始人にタックルされても死なないかもしれない。
 でも、常識だとそれは成り立たない。どのへんから成り立たないのかは、触れませんが。

 ボクシングはグローブという武器を使って戦うスポーツと判明した。
 これは柴千春がアイアン・マイケルと戦ったとき、すでに出てきた概念でもある。
「失敗したなァ チャンピオン」
「グラブという武器を捨てちまってよォ」
29巻 252話)
 グローブは武器です。
 パンツじゃなければ恥ずかしくないのと同じぐらい自明である。

 烈も同じ武器を装備しているとは言え、熟練度がまるでちがう。
 でも、烈はいままで気がつく機会が無かったんだろうか?
 アニメで音楽やれば、誰でも『けいおん!』みたいにオリコン1位とれるワケじゃないんですよ。
 刃牙キャラの筋肉自慢でバンド組んでもダメ。間違いなくダメ。

(そうだったのか……ッッ)(彼女等一流シンガーの強み……)
(それは………)(女子高生という可愛さの―― 使用方法に長けているという事実ッッ)

 ただグローブをつけるだけじゃダメなのだ。
 烈がそのまま おさげの女子高生になっても、あんま可愛くないのでダメなのと同じように。

追記 (10/9/29)
 烈海王がピンチだぞ。
 視界がグニャっているときは、ダメージが回復するまで逃げるのがセオリーだ。
 でも、逃げたり防御を固めて亀になるのは烈の性格的にどうなんだろう。
 酩酊した状態だから、酔拳にきりかえて時間を稼いでみたらどうか?

 でも、烈の本質的な危機は、クレーザーがまだ本気を出していないところだろう。
 クレーザー最大の武器は煙(スモーキン)と評されるディフェンス技術だ。……ったハズ。
 烈はまだそのディフェンスを引き出せていない。
 いや、一発喰らった時点で引き出していたのかもしれないけど。

 グニャったままでは、ディフェンスをさせるどころか一方的に殴られるだけで終わってしまう。
 でも、中国武術4000年の歴史には、こういう状態からの逆転方法もあるかもしれない。
 蹴り技で逆転だったらアウトだけどな。
 それでなくとも、追い詰められると、烈が蹴りを出してしまいそうで、ちょっと心配だ。

 ボクシングで国体に出場したこともある板垣先生は、おそらく漫画家の中でもっともボクサーレベルの高い人だ。
 本気で描くボクシングシーンを見ることができるのかもしれない。
 でも、板垣先生のことだから面白さ・迫力優先だろうな。

 空手や中国拳法にはボクシングにない突き技がいくつかある。
 餓狼伝と同じイブニングで連載中の『オールラウンダー廻』でも使われている、追い突きなどだ。
 前進しながらの打撃ということで、中国拳法では震脚からの突きが似たようなモノだ。

 この手の技術がボクシングにないのは、連打がきかないからだろう。
 一発で倒せることがあまりないボクシングでは、打ち終わったあとのスキが危険になる。
 ストレート系の打撃は、フック系よりも脳震盪を起こしにくいという弱点もあるし。
 ただ、奇襲技として一回ぐらいは通用するかもしれない。

 一方、刃牙にダウンさせられた柴千春はどうだろうか?
 千春もきっと視界がグニャっているだろう。
 そのグニャりを根性で克服できるのか?

 烈と千春の戦いが同時に始まったことに意味があるのなら、グニャった状態からの対応に違いが出てきそうだ。
 武の烈海王と、侠の柴千春。
 技術論と精神論の戦いだ。

 烈が戦う相手はボクシング技術に長けているから技術対決になるかもしれない。
 でも、千春の相手は刃牙だ。
 ほとんど未知の生物みたいなものだよな。
 やっぱり相手がまともじゃないと、技術よりも根性がモノをいうのだろうか?


2010年9月30日(44号)
第3部 第226話 最高峰 (882回)

 最強の高校生・範馬刃牙が帰宅する!
 落書きだらけのバキハウスにつながる落書きだらけの刃牙ロードだ。
 非常にご近所迷惑です。
 範馬の強すぎる力は、存在しているだけで迷惑になるのだ。

 最近は松本家の隣にある家に帰ってないのだろうか?
 SAGAの乱以後、さかりすぎて出入り禁止にされたのかもしれない。
 とことん範馬はご近所迷惑な存在だ。

 バキハウスの前に柴千春が仁王立ちしていた。
 いつの間に先回りをッ!?
 って、そうじゃなくて長時間気絶していたから追いかける事ができなくなって家の前で待ち伏せしていたのだろう。
 やっぱり四連撃のダメージは大きかったらしい。

 気絶するほど殴られても、すぐに再選を挑む。
 肉体は倒れても、柴千春の心は折れない。
 ハチマキもしめなおし、上着も羽織って準備万端だ。
 両腕を上げた範馬勇次郎・オーガのポーズで勝負をいどむ。
 刃牙は当然、だが断る状態だ。

「さっきはノリで買っちまったけど」
「2度はダメだぜ」


 さっきだって、買ってないじゃん!
 買ってないじゃん!
 成り行きに流されただけだよ。
 カッコ良く受けたみたいに脳内変換しやがって。

 今回も刃牙は積極的に喧嘩を回避する。
 範馬の血が、相手の嫌がる事をせよと命じているのだろうか?
 本当に範馬一族は迷惑な存在だ。

 登山愛好者は、そこに山があるから登る。
 「サイコーの漢(おとこ)と サイコーの女が」「同じ部屋にい」るなら、ファイトするしかない。(19巻 156話
 夜の公園で武術家ふたりなら、勝負でしょう。(バキ18巻 153話
 戦士が闘うのに理由などいらないッッッ!
 そう考えていた時期が刃牙にもあったと思う。

「ハイその通りです」
「俺には理由が必要です」


 見下したッ!
 刃牙が千春を見下している。文字通り見下しているッ!
 視線が下を向いているぞ。
 刃牙は千春よりも背が低いはずなのにッ!
 いつのまにか、刃牙は高い所に立っているのだろうか。
 気持ち的に、俺は上に位置するってアピールしているのかも。

 上から目線を体現しつつ、刃牙は不戦をアピールする。
 ここで「ハイその通りですぅ〜、俺には理由が必要ですぅ〜」と語尾をのばして脳内再生してみよう。
 すっごくムカつく態度だぞ。

 範馬刃牙は戦いを避けたいのか?
 それとも相手をバカにして喧嘩を買いたいのか?
 どっちなんだ?
 天才の考えることは理解(わか)らん。

 千春には千春なりの理由があるようだ。
 喧嘩の練習、ただし刃牙の。
 やはり、この喧嘩は花山がしくんだ刃牙強化計画のようだ。
 どのへんが刃牙の練習になるのかは、まだ謎である。

 ここまで言われて引き下がるのが、範馬刃牙だ。
 理由さえあれば、親父との宿命的な対決だって避けてとおる男である。
 当然、拳骨で語ろうという千春の攻撃を受けとめない。
 右の平手打ち、というか掌底打ちみたいな感じで、千春のアゴを打ち抜きKOする。

 千春はアスファルトに頭から落ちた。
 危険な落ちかただ。
 こんなことを何回もやれば、そのうち死ぬぞ。
 落ちる千春を受け止めたりしないところが、範馬刃牙である。

 刃牙は気絶している千春に、アンタ弱すぎるから練習にならない(意訳)と説得した。
 気絶しているのに!
 千春にはちゃんと届いているのだろうか?

 刃牙が玄関の扉を閉めて4コマ後、千春は覚醒した。
 脳裏に浮かんだのは花山の言葉だ。

「弱ええオメェだからいい」

 謎の言葉である。
 だが、理由はともかく あの花山が名指しで依頼してきたのだ。
 世界でたった一人オンリーワンに柴千春を指名している。(そこまで言ってない)
 士は己を知る者の為に死す
 法や道徳を無視してでも、人のつながりを重視するのが侠(おとこだて)だ。
 柴千春はみたび立ちあがる。

(スゲェな……)
(全く諦めてない……………)
(もう準備してやがる……)
(ダメか………)
(あの手の漢(おとこ)は一度―――― 徹底的に)


 横になって本を読んでいた刃牙は、おもての気配を感じ取っていた。
 スゴい探知能力だ。
 超一流になると敵の気配も感じ取れるようになるのだろうか?
 塩田剛三先生の師匠である植芝盛平先生は、神棚の供え物をネズミが食べていると隣の部屋で察知して木刀でぶった斬ったことがあるそうだ。(合気道人生合気道人生)
 植芝先生の神がかりっぷりは、さすがの塩田先生も理解不能らしい。

 刃牙もリアルシャドーのやりすぎで、すごい能力に目覚めたのかも。
 あるいは幻聴だったりして。
 虫が巨大化する幻覚が見えたりしていませんか?
 もしかして地上最強の父親というのも妄想だったりしたらどうしよう。

 とにかく、刃牙は千春を徹底的に痛めつけるため外に出ようとする。
 刃牙の思う徹底的レベルってどれぐらいだろう。
 人間にはだいたい200の骨がありますが、それを折って250ぐらいに増やす感じだろうか?
 話し合いで解決などと考えない、圧倒的高所からの思考だ。

 バッシャア

 玄関のガラス戸を破って拳が突っこんできたッ!
 ガラス越しの奇襲だ。
 刃牙は圧倒的な強さを背景にした、超・油断 状態だった。
 不意打ちの拳が刃牙の顔面にメリこむ。
 次回へつづく。


 衛星軌道から見下ろしているような、超上から目線。
 そして、圧倒的な油断だ。
 実に刃牙らしい。
 格闘技の申し子と呼ばれ、天才でもなく体重も少ないと自嘲していた『グラップラー刃牙』から『バキ』を経て『範馬刃牙』に進化した姿がコレだ。
 刃牙は強くなったが、イロイロ大事なものを落していったのかもしれない。

 ところで、刃牙が読んでいた本だがキャラクター立てについての本みたいだ。
 どうも小池一夫『人を惹きつける技術』(AA)らしい。
 ……刃牙さん、自分のキャラクターに問題を感じはじめているんだろうか?

 キャラクターとしては実にワカりやすいのが柴千春だ。
 刃牙と比べると、実力で はるかに劣っている。
 唯一の武器が根性だ。柴千春の身体は根性でできている。
 諦めない根性で刃牙に一矢報いた。

 この根性を刃牙に思い出させたいというのが、花山の狙いだろうか?
 格上に喧嘩を挑む心意気を見せつけるのだ。
 勝機も策もなく、ただ愚直にぶつかれ!
 でも、刃牙はそうやってぶつかってきたアライJr.を叩き潰したんだよな。

 油断していたとはいえ、範馬刃牙だ。
 象にネズミが噛みついたところで倒す事はできない。
 千春の攻撃は刃牙の皮膚しか傷つけられないだろう。
 肉も切れないし、骨も断てない。

 だが、そこは増長王子・範馬刃牙である。
 油断しすぎて逆転負けする可能性もありそうだ。
 刃牙は天井は高すぎて見えず、底も深すぎて見えない。
 どこまで昇って、どこまで落ちるのやら。
 なんか人生が緊張と弛緩で打撃のインパクトになっている。

 それにしても、刃牙の上から目線がすごかった。
 自分より背の高い相手を物理的に見下しちゃうんだもん。
 もしかしたら、地面のアリを見ていたのかもしれないけど。
 そして、オマエ弱いからもう来るな発言だ。
 さらに徹底的に痛めつけようと考えていた。

 なんか今回の刃牙は『弱虫ペダル』(AA)の御堂筋や、『バチバチ』(AA)の大鵠などの悪役よりも上から目線で憎々しかったかも。
 視点の高さでいえば、範馬勇次郎を超えたんじゃなかろうか。
 表紙でも、範馬勇次郎が等身大に見えるといっているし。

 今週からバキ マニアックスというコーナーができたようだ。
 第一回は元極真空手・世界王者 八巻建弐の話だった。
 八巻は末堂のモデルとして刃牙ファンには知られている。
 昔、チャンピオンのコメントで「八巻建弐と食事をしたが、末堂のモデルが彼だと言えなかった」みたいな事を書いていた。
 やっぱり、板垣先生の中で末堂のイメージはあまり良くなかったようだ。

 キャラクターのイメージはやっぱり重要なのだろう。
 だから刃牙もイメチェンを狙って『人を惹きつける技術』を読んでいるのかも。
 そのうち魅力的な人間になるためのHow toネタが満載になったりして。
 『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』みたいな、感じで『もし女子マネージャーがバキを読んだら』が発売される。
 たぶん、部員全員が炭酸抜きコーラを愛飲するようになる。

追記 (10/10/6)
 刃牙が痛恨の一撃を喰らった!
 まあ、増長したあげく油断して喰らったんだから、自業自得なんだけど。
 で、千春の打撃を喰らった刃牙はどうなったんだろう。

(1) あまり効いてない
 油断していたとはいえ、鉄の城・範馬マッスルの持ち主だ。
 不意打ちで攻撃を喰らい、失神してヨダレをたらすような事は二回ぐらいしかやっていない。
 二度あることは三度あるとも言いますが、まあたぶん大丈夫だろう。
 刃牙を気絶させたのは、オリバ+ゲバルやピクルなどの実力者だ。
 千春の攻撃力じゃ、たぶん失神まで追い込めないんじゃないかと思う。

 で、千春の攻撃と割れたガラスで顔面血まみれになった刃牙は不敵に笑うのだろう。
「人が優しく倒してやれば頭に乗りやがって……。その背中のキングギドラ、剥ぎとって一本首にしてくれるわッ!」
 とても主人公とは思えない残虐非道な発言でお仕置きタイムの発動だ。
 そう、刃牙に足りなかったのは容赦なく敵を屠る鬼の心だった。

(2) あっさり気絶する
 次回が始まったら、もう夜になっていて、刃牙は布団で目覚める。
 かたわらには花山が座っていた。
 なさけない主人公に説教タイムの発動だ!

 獅子はウサギを狩るのにも全力を出すというが、今の刃牙に必要なのはそういう一所懸命な心がけなんだよ。
 刃牙のためを思って苦言をていす花山だったが、たぶん刃牙の心には届かない。
「俺、負けてないし!」
 うわっ、コイツ、最凶死刑囚みたいなこと言ってるよ。
 見苦しいし面倒くさいな。
 そう思う花山だが、刃牙のために説得をつづける。

 刃牙は昔から油断しすぎなんだよ。
 石丸コーチに殴られて気絶したり、ズールに不意打ちされて負けたりしただろ。
 常に戦場にいる気持ちでいないと。それが喧嘩道だ。
 と、正論を言うのだが、たぶん刃牙は聞く耳もたない。

「だって、俺はあのとき童貞だったもん!」
 逆ギレの刃牙が意味不明な反論だ。
 脱童貞の今でも不意打ち喰らってんじゃんと思う花山だったが、さすがに付き合いきれなくなるのだった。
 油断するクセは消えないけど、刃牙は勝利に対する執念を身につける。
 まるで靴底にくっついたガムみたいな粘着性だと花山も感心するしかない。


2010年10月7日(45号)
第3部 第227話 闘譜(とうふ) (883回)

 殴られた範馬刃牙のことは置いといて、烈海王のボクシング編に話がもどる。
 柴千春と烈海王の危機がシンクロニシティーしているかと思っていたが、いつのまにか刃牙と烈になっていた。
 さすが範馬刃牙、主導権を取りもどしたというコトか。
 今はダメージを受けているほうが旬だ。

 烈海王はボクシングでもっともKO率が高いといわれる左フックを喰らってしまった。
 この一撃で烈の見る世界はグニャりまくりの ゆれまくりだ。
 烈には対戦相手ジョー・クレーザーも溶けているように見えている。
 こんな状態で闘えるのだろうか?

 烈の視界が溶けていることにかまいもせず、止まらない男クレーザーが迫ってくる。
 溶けているから距離感がわかりにくいけど、たぶん近づいているようだ。
 そして、ふたたび左フックで襲いかかる。
 ジャンプッ! 飛んだッ!
 烈海王が飛び上がって回避した。

 普通のボクシングではありえない回避だ。
 でも、ボクシングでは腰から下を殴るの反則だから安全といえば安全な防御かもしれない。
 攻撃できる場所は殴っちゃダメなところだし。
 着地した時にバランス崩れて無防備になりそうだから、マネしないほうがイイだろうけど。
 いや、マネしたくてもマネできないだろうな。

 跳躍した烈はクレーザーの頭を越えて、リングの反対側まで飛んでいく。
 リングは一辺18から24フィート(5.47から7.31メートル)らしいから、助走なしに5m以上飛んだことになる。
 さすが、15メートルまでなら水面を歩ける男だ。(バキ14巻 122話
 これだけジャンプして離れたら、相手は追いつけない。
 着地で体勢を崩しても追撃されないぞ。

 レフリーには「OK!?」と訊かれたけど。
 ユーの常識はOK!? って意味かもしれませんが。
 これはボクシングなんだから、そんなにジャンプするなよ。OK!? って意味かもしれない。

(この溶けた景色………)
(初めてではない………)


 烈が回想したのは、まだ少年だったころの修行時代だった。
 って、もう回想するのか!?
 回想や解説はパワーアップのために必要な儀式といえる。
 魔術に呪文の詠唱が必要なように、パワーアップには回想が必要だ。
 柴千春だって、花山の言葉を回想したから起きあがれたんだよ!(力説)
 たまに不発に終わるから、回想すれば安心ってワケでもないけど。

 とにかく、こんな早い段階から回想を使ってしまうとはッ!
 烈はかなり追いこまれているようだ。
 もっとも烈には四千年分の回想と解説がある。
 伝統武術の歴史は武器になるのだ。

 烈少年は砂鉄袋による打撃の修行を受けていた。
 防御をしないで、あえて受けなくちゃいけない。
 砂鉄だから皮膚や骨を傷つけず、衝撃だけを与える武器なのだろう。
 原理がグローブと似ている。

 アゴに打撃をうけた烈少年は、見える世界がドロドロにグニャっていた。
 まさに現在の烈と同じ状態だ。
 地面が傾いているように感じている烈少年は立つことも ままならない。
 指導する老師(先生)は倒れる烈少年を見て満足そうに微笑んでいる。
 白林寺の修行はハードだな……

 烈少年に脳震盪を体験させたところで、ダメージの原理を説明だ。
 老師は椀にはいった豆腐をもっている。
 椀を頭蓋骨、豆腐を脳に見立てているのだ。
 この状態で椀を叩く。
 椀は割れないが、中の豆腐に振動がつたわり、豆腐が椀にぶつかって砕ける。
 飛び散って落ちた豆腐は、あとで烈海王が美味しくいただいたと思う。

「習い憶えたハズの防御」
「不覚にも未遂に終わり打たれる」
「甘い修行が祟り―――」
「まともに打拳を浴びる日がくる」
「ならば…………」
「どうするッッッ」


 老師は新たな豆腐に打拳を浴びせようとする。
 ふたたび罪無き豆腐が砕け散るのか!?
 だが、老師は椀を叩いた瞬間に体を回転させた。
 老師と椀と豆腐は一体となって回転する。
 そして、回転を止めても豆腐は無事だった。

 打たれても、豆腐=脳を無事に保つ技だ!
 これが烈海王にとって逆転の秘策となるのか!?
 次回につづく。


 さすが中国四千年だ。
 すでに回答が歴史の中にある!
 ボクシングルールで戦っていても、烈の本質は中国武術なのだ。

 でも、豆腐の技って、打たれた時につかう技だよね?
 今の烈はすでに打たれている。打たれてドロドロだ。
 この状態から豆腐の技で回復できるのだろうか?

 老師は 崩れた豆腐を回転で再生させたワケじゃない。
 それとも烈は回転する事で脳震盪から回復するのだろうか?
 喰らった打撃とは逆の方向から衝撃をあたえることで止まった心臓が動く『聖闘士星矢』の原理か?
 それって、塩を入れすぎたから砂糖で相殺するって感じのダメ技って気もしますが。

 豆腐の秘技は衝撃を回転することで受けながす技だろうか?
 だとすると、刃牙とかもやっている技だったりする。
 攻撃が当たる瞬間に首をひねって受けながす防御は、フィクション武術だとよく登場する技だ。
 なにしろ『あずまんが大王』(AA)でもやっていたぐらいだ。目を回して失敗していたけど。(参考

 相手の打撃より速く首をひねって受けながす技って、あまり速く動くと打撃を喰らうのと同じ加速がかかるから自爆しそうな気がする。
 たぶん、当たるより早く動くことで加速の最大値を減らすのだろう。
 当たった瞬間というのはイメージというか印象論だろうな。

 現在のダメージをなくす事はできないだろう。
 だが、今後のダメージは受けないようにできるハズだ。
 クレーザーがどんなにフックを打ってこようが、烈は大回転で勢いを殺す。
 ジャンプに回転だなんて、まるでフィギュアスケートですな。
 きっと烈はフィギュアスケート・ドラゴンと呼ばれる。

 なんか、ますます烈が色物ボクサーになっていくようで心配だ。
 これもカイザーの作戦なのだろうか?
 クレーザーが強いことはプロモーターであれば把握しているだろう。
 なのに油断させるようなコトを言って烈をぶつけている。
 これが刃牙だったら、今頃ブッ倒れてヨダレをたらしている所だ。

 最近姿を見ていないが、カイザーはどんな表情で試合を見ているのだろう。
 計算通り、と黒い笑顔を浮かべているのかも。
 やっぱり、カイザーは信用ならない。
 烈は背後から飛んでくる弾丸にも気をつけなければならないだろう。

 クレーザーの攻撃は豆腐防御でかわせるかもしれない。
 でも、攻撃はどうするのだろう?
 いまだにクレーザーのディフェンス技術が公開されていない。
 烈はすでにダウンしているから、相手を倒さないと判定で負けてしまう。

 防御だけではなく、攻撃でも回想する必要がありそうだ。
 豆腐防御ができるのなら、豆腐攻撃もできるはず!(いや、ムリだろ
 ボディーを攻撃したのに脳震盪って感じの必殺技が炸裂するかもしれない。

 ところで、今回のサブタイトル『闘譜(とうふ)』は豆腐との駄洒落っぽい。
 闘譜――――闘争の記録という意味だろう。
 駄洒落を言うのは誰じゃ、まったく。
 『闘譜』とかけまして『豆腐』と解きます。
 その心は、どちらもマメ(豆・マメ)から生まれます。なんちて。

追記 (10/10/13)
 餓狼伝が休載になってしまった。
 板垣先生は餓狼伝の展開に悩んでいるのかもしれないが、刃牙の展開を持て余しているのかもしれない。
 Let's ボクシング編はともかく、刃牙編と新地下闘技場編が展開に困っているような気がする。

 とくに地下闘技場はほとんど情報がない。
 新キャラクターがうまく立ち上がらないのかも。
 だから刃牙が小池一夫『人を惹きつける技術』(AA)を読んでいたのかもしれない。
 この本を一応買ってみたんですが、刃牙が読んでいたのは37ページのあたりみたいだ。
 ぜんぜん読めていませんね。
 さすがマイペースの範馬刃牙だ。

 『人を惹きつける技術』には、主人公にオーラを、ライバルにはカリスマをと書いてある。
 温かみのある人間的魅力がオーラで、人を恐れさせ支配する力がカリスマだとか。
 三国志演義がまさにこのパターンですね、人情派のオーラ劉備と、覇権主義のカリスマ曹操の対立だ。
 でも諸葛亮が仲間になってからの劉備は、とんだ偽善者のくわせ者にしか見えない気もしますが。
 この人は時計を借りたら壊れても返さないタイプの人ですよ。

 で、刃牙はオーラを身につけるのだろうか?
 絡んできたチンピラ(柴千春)があきらめないから、ちょっと徹底的に痛めつけてやろうと考える。
 まったくオーラじゃない。どっちかというとカリスマだ。
 恐怖と痛みで他人を支配しようとする行動だもんな。
 オーラを持っているのは、どっちかというと花山かも。

 と、なると刃牙が倒すべき相手が判明するわけですよ。
 ふたたび花山薫を倒す!
 絶望的な力の差を見せつけて恐怖で支配するワケだ。
 すっかり、悪役のポジションですな。

 などという未来が見えてしまうので、刃牙は未来を変える気かもしれない。
 どうやればオーラがでるのか練習中なのだろう。
 でも、強くなってしまった刃牙はすっかり恐怖で支配するほうが似合う人になっちゃっているしな。

 一方、烈海王は逆襲をはじめるのだろうか?
 右殴られて脳震盪になったのなら、左を打って相殺すべし!
 いや、全然違います。たぶん。

 ダメージ回避方法を思い出したのはイイのだが、脳にのこったダメージをどうするのか?
 ドロドロのまま酔拳で闘うのかもしれない。
 カイザーに酔拳を見せてやれといわれたのが伏線だった説である。
 スモーキン vs. ドランク・ドラゴンという世期のイロモノ対決になっちゃいそうだ。
 興行不可解ッ!


2010年10月14日(46号)
第3部 第228話 戦闘力 (884回)

 今回は舞台を日本にもどし 範馬刃牙vs.柴千春だ。
 また途中でチェンジかよ。豆腐はどうなった!?
 それとも刃牙の脳みそが豆腐のように崩れるということなんだろうか。

 気絶から復活した柴千春は扉のまえで構えを取る。
 セオリーも防御も無視した全力攻撃の構えだ。
 もはやボクシングや空手などの格闘技とはかけはなれたポーズになった。
 トルネード投法どころか、円盤投げぐらいに体をヒネっている。

 ここまで体をヒネると前が見えない。
 だからか、千春は目を閉じていた。
 全神経を耳に集中し、壁向こうにいる刃牙の動きを探る。
 ここで、千春が異音を感じた。

(シューズのカカト潰したまま履きやがった………………!!?)

 思わず目を開く。
 小学生のころ教師にカカトを踏むなと注意されたのは誰しも経験があることだろう。
 靴が脱げやすく危険だ。
 刃牙は あまり動く気がないらしい。

 さらにいえば、カカトを踏んでクツを履くというのは、すぐ脱ぐことを意味する。
 トイレのスリッパに履き替えるがごとき手軽さ。
 千春を倒すことなど、トイレと同じぐらいの時間ですむと思っていやがる。
 ハンドポケットよりも はるかにナメきった態度だ。

(カカトを潰したシューズの不利ッッ)
(戦力は10分の1 !!!)
(バカだぜアンタ…)


 刃牙が引き戸に手をかけた瞬間に柴千春が奇襲をしかけた。
 ドアごとぶち抜く超本気ストレートだ。シロウト丸出しッ!
 まるでピッチャーのように体を躍動させている。
 目標すら見ないで、ただひたすらに力をこめる一撃だ。
 長距離飛行のため前方視界すら犠牲にしたスピリットオブセントルイス号のように目的意識が徹底している。

 ドラクエでいうならメタル狩りの切り札・魔人斬り。
 フォームはめちゃくちゃで狙いも定まらないだろう。
 だが威力だけは高く刃牙は吹っ飛ぶ。
 つっかけただけの靴が脱げた。
 頭から着地して、頭を支点に回転して倒れる。
 壮絶かつコミカルなダウンだ。

(スゲェな…………)
(素人のパンチじゃない)


 威力だけは一級品の攻撃だ。
 あの範馬刃牙がすぐに起きあがれない。
 マゾ気質のある刃牙のことだから、痛みの余韻を楽しんでいるのかもしれないけど。
 闘いのさいちゅうにボ〜〜っとするなんて、お前の頭には豆腐でも入ってンのか?

 土足であがりこんだ千春は刃牙の首をクラッチする。
 そのまま、ブリッジで後方に投げすてた!
 大技が決まった! 刃牙さん、マジ油断しすぎ。
 なんて技だろう? 腕をホールドしていれば、ダブルアーム・スープレックスなんだろうけど、首だからな……

 外に投げだされた刃牙に、千春が追撃する。
 蹴る。殴る。殴るゥ!
 刃牙は反撃も防御もできず、ブッ飛んだ。
 だが、体勢を立て直し、着地する。

 柴千春は技術的に素人だ。
 肉体的にも鍛えたアスリートに及ばないだろう。
 だが、この攻撃力はなんだ?

(これって――――)
(闘志そのものの戦闘力!!)


 柴千春の強さは、心の強さ。闘志の強さだ。
 シロウトで弱くて 徹底的に痛めつけるべき相手と考えていた柴千春が意外な強敵に見える。
 力や技の差は絶望的だ。
 でも、その差を闘志で埋めて闘えるのだ。

 鼻血を流しながらも刃牙は立ちあがり不敵な笑みを浮かべた。
 上から目線が帰ってきたようだ。
 千春は圧倒的な精神力で闘志を燃やしている。
 対する刃牙は圧倒的な精神力で高所から見下ろす自分を演出しているっぽい。

「アリガトウ」
「テーマができた」


 この闘いは範馬刃牙のために!
 千春の闘志が刃牙に新たなテーマを教えてくれたようだ。
 教えてもらった立場だけど、やっぱり上から目線ですね。
 今この瞬間に自分が練習方法を発見したかのような言いかただ。

 なんとなく主人公っぽい覚醒の瞬間である。
 次回、刃牙卍解の予感!
 あ、でも烈海王の豆腐話のつづきになるかも。
 刃牙につづいて、烈も覚醒するのか!?


 刃牙の油断×千春の闘志=ダメージ だったようだ。
 油断だけではダメ。
 闘志だけでもダメなんだよ。
 二つがそろって、範馬にダメージが通るのだ。

 どんなに油断しまくっている刃牙だろうと、加藤ではダメージを与えられない!
 思わず断定しちゃったけど、千春と加藤が戦ったら千春のほうが勝つと思うんだ。
 どっちも属性は不良・ヤクザだけど、加藤は技に頼りすぎている気がする。
 柴千春なら根性で夜叉猿にも勝てる! ……かもしれない。

 花山が刃牙に学ばせたかったのは何か?
 イロイロな意見を見ましたが、精神面の学習というモノが多かったようです。
 花山の精神力が生みだす力は1トリケラトプス力に匹敵する!14巻 111話
 その力をもつ花山だからこそ、刃牙にも目覚めて欲しかったのだろう。

 で、やっぱり刃牙は闘志の強さを再確認したらしい。
 最近の刃牙は力と技が強くなりすぎて、心がおろそかになっていたのかも。
 これでバランスよく戦えるのではなかろうか。

 ただ、刃牙が精神面を鍛えても範馬勇次郎には届かない気がする。
 なにしろ勇次郎の最大の強みは、偉大な指導者や宗教家にも負けない精神力にある。(G刃牙15巻 132話)
 と、ストライダムさんが言っていました。
 その精神力でストライダムをいじるのだから、たまらんだろうな。

 とにかく、勇次郎の肉体と技をつくりあげ、維持してきたのは精神なのだろう。
 自分の強さを磨くという執念が肉体を育てた。
 戦場に向かうという意思が未成年のゲリラ兵を生みだし、貴重な経験をもたらす。
 完成した肉体は、精神力が無くても充分すぎるほど強いのですが。

 でも、刃牙が精神面で強くなれば勇次郎との距離が縮まるだろう。
 最近の刃牙は真の意味で勝敗を度外視しているので、勝てなくてもイイ闘いができれば満足する。
 父もまた究極にして至高の料理を味わうかのように満足するだろう。
 刃牙は勇次郎に追いつけなくてもいい。
 一歩でも近づければ満足なのだ。

 そんな達観した精神状態だと思うのだが、なんで刃牙は上から目線なんだろう。
 勇次郎との戦いに一切の邪念はないけど、それ以外で邪念だしまくりなのか?
 力を手にしちゃったら使わずに耐えるのは難しい。
 著名人がTwitterで失言をしがちなのも、発言力という力を使いたくなるからだろう。
 18歳の刃牙に、耐えろというのもムチャな話かも。

 もしかすると、花山が教えたかったのは自制心だったのか?
 花山も子供のころから強者だった。
 雑誌を引き裂ける握力をもち、木崎に自慢したこともある。
 今の花山はそれなりに自制しているようだ。
 自慢する以前に無口だし、弱者に興味はないようだ。

 花山は刃牙にも自制心をもって欲しいのかも。
 だから、弱い柴千春が必要だったのだ。
 でも刃牙は基本的にマゾだから、自制心とか芽生えなさそうだよな。
 刃牙が他人に痛みを与えるのはご褒美感覚なのかもしれない。

 上から目線も、勇次郎の真似をしているだけかも。
 親父から見下されている。くやしい、でも感じちゃう!
 刃牙はその快感を人にも分けてあげたいのだろうか。
 その性癖にはついていきにくいよなぁ。
 やっぱり、最強の血族・範馬ってのはイロイロな意味で孤独なのかもしれない。

追記 (10/10/20)
 刃牙は柴千春の闘志を学びそうだ。
 人の技をパクリまくるのが得意な刃牙だけど、闘志のようなものまで真似ることができるのだろうか?
 まあ、刃牙だからヤっちゃいそうだ。
 リアルシャドーを使えば、大抵の妄想を現実にできる。
 精神力というか妄想力というか、思い込みの強さもトップクラスだ!

 逆に、千春の闘志を消し去るのが刃牙のテーマかもしれない。
 どうすれば千春の心を折る事ができるのか?
 携帯電話をとりだして「梢江、来いッ! 今すぐにだッ!」と言えば、読者の何割かは心折れます。

 ひたすら千春を殴って闘志の限界を見せてもらうという陰惨な手段もあるかも。
 あまりヒドイことをすると、主人公としてのオーラが消えてしまいそうなので自重して欲しいところですが。
 とにかく刃牙の目的は勇次郎と戦うためのパワーアップだ。
 ちゃんと真っ当な手段でパワーアップして欲しい。

 最近は刃牙と烈海王の話を交互にやっている。
 となると、次は烈のターンだ。
 烈は崩れた豆腐状となっている自分の脳を再生できるのだろうか?

 左フックでダメージをうけたから、右フックを喰らう事で相殺だ!
 などとムチャ理論で回復を狙わなければよいが……
 脳が揺れているから、正常な判断ができないはず。
 過去の記憶すらドロドロかもしれない。
 烈のピンチはいまだにつづいている。
 刃牙の戦いとシンクロニシティーがあるのなら、烈は闘志で復活するのだろうか?

 ゲームの話ですが……
え,あの範馬 勇次郎がキャバクラに来店!? レベルファイブの新作「キャバ嬢っぴ for Nintendo 3DS」
クラブ・グラップラー - LEVEL5 VISION 2010に参加してきました!

 思わず日付が4月1日じゃないのか確かめたくなる情報だ。
 そうか、範馬勇次郎もキャバクラに行くのか。
 もちろん経費は米軍持ちなんだろうけど。(ストライダムが領収書をもらっている)
 刃牙は未成年だから来店できないのはしかたがないにしても、主役を押しのける気迫をみせるあたりが地上最強の生物だ。
 紹介動画を見たら、きっちり「地上最強の生物」と紹介されていたぞ!

 これで刃牙のファン層が広がるかもしれない。
 どの辺に広がるのか、イマイチわかりませんが。


2010年10月21日(47号)
第3部 第229話 震盪 (885回)

 今回は烈海王ボクシング編だ。
 前回は刃牙vs.柴千春をやっていたので一回分休んでいたのだけど、烈の脳は震盪(ゆれ)たままだ。
 227話で思い出した技術をつかえば、震盪(ゆれ)を止めることが可能(でき)るのか!?
 中国拳法4000年の歴史が炸裂する!

(この震盪(ゆれ)が……………
 静止(とま)るまで……………)
(次なる一打……!
 断じて打たせてはならぬッッ)


 あ、やっぱりダメージは回復しないのか。
 回転したら崩れた豆腐も元通りってのは魔法とか手品のたぐいだよね。
 ムチャ理論が炸裂しなくて、なぜか安心した。
 ここは素直に追加のダメージを避けるべし。
 素直に物理法則に従うべし。

 それにしても、いまごろ打たれちゃダメと言いだした。
 打撃対策がヌルすぎる。最初の左フックを喰らう前から対策しとけよ。
 烈は油断していたのかも。
 ワーレフ相手に完勝したことが烈の心を微妙にゆるめたのだろうか。

 烈は今まで両腕を上段に構えていた。
 それを右が上段、左は下段に変える。
 右半身を前にしたサウスポースタイルだ。
 上段の右腕は立てられているので、左フックを警戒しているのだろう。
 烈は左フックでダウンしたから、さっそく対策している。

 深町(原田?)コーチが烈に止まるな廻りこめと指示をだす。
 だが片足の烈にとって動きまわるのはムズかしい。
 オマケに脳がゆれまくっている。
 大地震の中で歩くようなものだ。

 万全の状態でも一流ボクサーであるクレーザーから逃げるのはムズかしい。
 これは深田(※ 混ぜました)コーチの指示ミスかも。
 やっぱり原町(※ 混ぜました)コーチはボクシング内の知識でしか考えられないのだろう。
 ならば、4000年だ!
 4000年の歴史なら、ボクシングにはない発想で きっと何とかしてくれる!

 烈がスタイルを変えてもクレーザーは変わらない。
 煙(スモーキン)のように追いすがり、煙のように まとわりつく!
 左を警戒しているらしき構えの逆を突いたのか、右フックで襲いかかる。
 ガードの真ん中、スキマを狙われた顔面に当た……

 ドリュ

 バク転でかわしたッ!

 まわれの意味がちがうけど、指示どおりだ。
 今度は左フックがくる。横回転で受けながす。
 右ストレートだ。義足を軸にコマのように回転した。
 ぜんぶ回転してよけている。
 これが4000年の力か!?

 つうか、烈さん回りすぎ。
 攻撃がワン・ツーで来たら喰らっちゃいそうなんだけど。
 たしかに227話での教えでは、かなり回転していたけど……
 実戦で回転しすぎだ。お前はフィギュアスケートの人か?

(よし……ッッ イケるッッ)

 烈海王は回転防御に手応えを感じているようだ。
 とりあえず追加ダメージはないから視界のゆがみも小さくなっている。
 でも、アレだけ回転したら目が回ってフラフラになりそうだけど。
 回転は普段から練習してなれているのだろうか?
 安藤美姫って回転しても ほとんど目が回らないらしいし。

 もう少しで烈の状態異常は回復するだろう。
 今度は反撃だ!
 まだ、汗は引いていないが烈に勝機が生まれはじめた。

 攻撃を空振りすると当たった時よりも体力を失うと言われている。
 空振りではないがクレーザーの攻撃は当たっていない。
 肉体的・精神的に負担が大きいだろう。
 などと思っていたら、あまり動揺していないようだ。

 クレーザーは烈海王が優秀なファイターであると認識している。
 だから、この程度では驚かないようだ。
 いや、回転防御にはもっと驚いて欲しいんだけど。
 普通の人間は回転防御なんてやらないし、できないぞ。生粋の変態だけが可能な絶技だ。
 烈を良く知る私が驚いているんだから、地球人ボクサーなら驚いてほしい。

 クレーザーは上体をゆすりはじめる。
 まるでデンプシー・ロールのような高速ウィービングだ。
 烈はクレーザーの動きに幻惑される。
 冷や汗が止まらない!

 高速ウィービングから、高速連打が繰りだされた。
 烈は必死にガードする。
 ガードだ。回転防御ができない。やはり連打には弱いか。
 そして、ガードのスキマからボディーに、頭に被弾した。
 烈海王の脳がふたたび震盪(ゆれ)るのか!?
 次回につづく。


 烈海王が反撃開始だ!
 と思わせてピンチがつづくよどこまでも。
 やっぱり、ボクシングルールでボクサーに勝負挑んだら勝てませんよ。

 刃牙vs.千春がシンクロニシティー起こしているなら、刃牙のピンチもつづくってコトだろうか?
 テーマができたと言いながらフルボッコにされるかも。
 千春の闘志でダメージをうける ってのが新テーマだったりして。
 一流マゾ芸人の刃牙さんらしいテーマかもしれない。

 空手や拳法などの打撃系武術は連打の概念がうすい。
 刃物も飛び出してくるような実戦だと、ヒット・アンド・アウェイのほうが安全ってことだろうか?
 だからボクシングの連打をうけると伝統派はヤバい。
 刃牙幼年編で通過済みの話題ですけど。

 でも、烈はけっこう連打の攻防をやってきたような気もする。
 カンフー映画だとお互い高速で打ち合う場面はよくあるし。
 もっとも、アレは観賞用の攻防だから連打しているだけかもしれないけど。
 実際にボクシングだって、すごい連打の攻防ってのは滅多に無いしな。

 イロイロ考えたのだが、烈が逆転する方法を思いつかなかった。
 ドサクサにまぎれて蹴るしかないのか?
 もっとも、ボクシングは大地を蹴る格闘技的な意味での蹴りですけど。

 刃牙世界の攻防ってのは、基本的に相手の防御力をどう崩すのかというものだ。
 ピクル戦はとくにそんな感じだった。
 主人公サイドは、あまり防御の事を考えなくても良い。
 でも、ここに来て真剣に防御を考える必要がでてきた。
 不慣れな事態だから、まったくアイデアがでてこない。

 烈の回転防御は消力(シャオリー)に似ている。(バキ26巻 229話
 もっとも消力とちがい、リキんで回転しているけど。
 自分は若すぎるから消力を使えないと烈は言っていた。
 だけどダメージを受けてほどよく力が入らなくなれば、使えるかもしれない。
 今回限りの消力に期待するしかないか?

 ところで、前回で柴千春が使った投げ技ですが、掲示板やTwitterで情報をいただきました。
 「フロント・ネックチャンスリー・ドロップ」だそうです。
 情報ありがとうございます。

 「フロント・ネックチャンスリー・ドロップ」柔軟性も要求される難易度が高そうな技だ。
 柴千春は基本的に練習をしないハズ。
 つまり実戦でなんども試したのだろう。
 闘志と根性があればなんでもできるって実例ですね。
 となると、烈も気合でなんとかなるのかも。

 今週の板垣先生のコメントは次のとおりだった。
『「体育の日」、皇居を走る花山は幾度も尋(き)かれたことだろう。『疵面』は?』
 やっぱ、尋(き)かれるんだ。連載再開についての情報が出てこないし。
 そりゃ尋(き)きたくなる。私だって質問したい。
 いつ連載再開するのだろうか?
 丹波文七にも尋(き)いてみたい。

追記 (10/10/27)
 烈海王がヤバいぞ。
 ピクルの時みたいに命の心配はしなくてもいいんだけど、選手生命がピンチだ。
 色物ボクサーだと一回負けたら商品価値が下がりまくるんだろうな。
 逆全盛期のボブ・サップみたいな扱いされるよ。
 名前の後ろに(笑)をつけられるような感じで。烈海王(笑)

 でも、次回は順番で行くと刃牙のターンなんだろうけど。
 刃牙の見つけたテーマは何なのだろう。
 自分のキャラをたてる方法が見つかったのだろうか。

 タイマンはったらダチじゃああっ!
 って ノリで千春と仲良くなれば、最近の悪いイメージも改善できるかも。
 やっぱり最近の刃牙は目線が高すぎる気がする。
 どんだけ上から目線なんだよ。
 それだけ範馬勇次郎に近づいているってコトなんだろうけど。
 もうちょっと身長相当の地に足の着いた目線になって欲しい。

 刃牙に反省をうながす意味での刃牙vs.千春ではなかろうか。
 試合の後にユニフォームを交換する選手のようにさわやかな交流がありそうだ。
 刃牙は基本的にトランクス一丁で戦うし、千春も上半身裸だ。
 ズボン交換で友情UPってところだな。

 刃牙と花山と千春がそろえば背中に特徴のある三人衆になる。
 あと二人そろえば、立派な戦隊物だ。
 戦力にかんしてはガチで戦隊と戦えそうだし。
 こいつらだったら、巨大ロボットも素手で倒しそうだ。


2010年10月28日(48号)
第3部 第230話 純闘志 (886回)

 今回は日本で範馬刃牙vs.柴千春だ!
 刃牙は千春との喧嘩にテーマができたとご機嫌らしい。
 くちびる切れたり鼻血出たりで けっこう出血しているが、すごい偉そうだぞ。
 流血なれしているから平気なのだろう。
 どうせ スグに引っこむし。

 刃牙は両手を広げて前に構える。
 体重は後ろにのっているようだ。
 刃牙がよく使うファイトスタイルだから、わりと本気なのだろう。
 グラップラー刃牙30巻の構えって感じだ。→

 体重を後ろに乗せているせいか上半身がのけぞっている。
 つまり、刃牙がなんかえらそうだ。
 視線が思いっきり見下しているぞ!
 実際に刃牙のほうが格上だからしかたがないのか。
    グラップラー刃牙 (30) (少年チャンピオン・コミックス)

 素手の拳で殴ると手を傷めやすいのは有名な話だ。
 平直行は後ろ足に体重をかけながら殴ると、体重が乗らず拳を痛めないと言っていた。(格闘技のおもちゃ箱
 千春はアイアン・マイケルと戦ったとき、相手の拳を破壊して勝っている。(G刃牙29巻 254話)
 だから、拳破壊カウンターを警戒して拳をにぎらず、後ろに体重をかけているのかも。
 刃牙は千春を危険な相手だと考えているようだ。

 柴千春はもちろん範馬刃牙が強いと認識している。
 もう人間のレベルを超えた、大怪獣だと思っているようだ。
 イメージ的には指一本が千春の身長と同じぐらいの巨大サイズ。
 たぶんガンダム(全長18m)より大きい。

 もちろん普通の人間が素手でガンダムに勝てるワケがない。
 ザクに乗っても、かなりムリだ。
 だが、柴千春は突っこんでいく。
 勝てるから勝負する。勝てないからやらない。
 そういう次元で戦っていないのだ。
 勝敗は度外視した闘争(たたか)いである。

(アッパーカットにゆくと見せかけといて―――――………)
(事実――――――――――)
(ゆくのはアッパーカットなんだよなァ……)


 格闘技を習っていない千春はフェイントなどが使えないのだろう。
 愚直に最大の攻撃を出していくだけだ。
 刃牙ぐらいの上級者になると、なんのヒネリもなく真っ直ぐな攻撃がかえってフェイントになるかもしれない。

 そして、柴千春のアッパーカットは当たった!
 砕けた。
 殴った千春の手のほうがッ!
 刃牙のアゴ、硬ッ!
 どんだけ丈夫なんだよ。どんなガンダリウム合金製だよ。

 そして刃牙がすかさず反撃だ。
 手の甲で千春の顔面を痛打する。
 目と鼻を打たれて泣いちゃう。見えない。
 スキだらけとなった千春の右脇腹(肝臓)に平拳をメリこませた。
 抹殺のラストブリットは右ハイキックだ。
 柴千春は一回転して、倒立状態となってダウンする。

 相手の視界をうばう。
 肝臓打ちはもっとも効くボディーブローと言われる。
 そして、ハイキックだ。
 プロでも即刻TKOとなるような打撃をフルコースで喰らってしまった。
 当然、柴千春は失神して立ちあがれない。

 刃牙は千春を放置し、玄関の扉をとりつけ読書を再開する。
 千春はムシかよ!?
 これが刃牙のテーマなのか?
 お前は取るに足らない存在とアピールすることで精神的に痛めつけるプレイだったりして。

 すっかり路上で気絶するのが お仕事になってしまった柴千春であった。
 だが、千春のモノローグは止まらないッッ!
 気絶しているけど背景でしゃべっている。
 なんか、これから死亡する人のシーンみたいで不吉だな。

(俺らの勝負ってのは――――)
(2人のうち――――――)
(どっちかが "敗(ま)け"と認めたときが決着なんだ)


 死刑囚理論ですね。
 敗北を認めないかぎり戦いは終わらない。終わらないから勝ちも負けもない。
 餓狼伝・原作で昔のグレート巽もおなじコトを言っていた。
 敗北を認めるか、死なないかぎり負けじゃない。
 千春は気絶して寝ているわけじゃない。充電中なのだ!(モノは言いよう)

 一方、読書をして知力を充電中の刃牙は時計を見る。
 本に飽きたのだろうか。
 格闘技系の本ばっかり読んでいるから、普通の本を読みなれていないのだ。
 それとも『人を惹きつける技術』を読んでいたら、自分のキャラクターに問題を感じてつらくなったのかもしれない。

 三時半をすぎていた。
 空腹になったのか、刃牙は買い物へでかける。
 倒れていた柴千春はいなかった。
 拳が砕けていたし、病院にいったのかもしれない。
 刃牙的には満足な結果なのだろうか?

 パンと牛乳などを買ってきたようだ。
 さきほど外出したときに買っておけばいいのに。
 刃牙はノリだけで行動しているっぽい。
 ぼっちゃん、気まぐれから一流は生まれませんよ。
 いや、刃牙の場合はコレでいいのか。

 そして、帰り道に柴千春がまちぶせしていた。
 右手は治療済みのようだ。
 もちろん短時間で治るようなダメージじゃない。
 この手で殴ったら、もっと酷いケガをするぞ。
 でも殴るのが柴千春なんだろうな。

(千春さん)
(アリガトウ)
(勉強させてもらいます…ッ)


 今度の刃牙は先手を取った。
 買い物袋を置く間もなく、いきなり殴る。
 千春がセリフを全部言い終わるまえにダウンした。
 また気絶か!?

 刃牙は余裕で倒れた千春をみおろす。
 千春から諦めない心を学習するのだろうか?
 でも刃牙は千春が目を覚ましてどう反応するのかを待つことを諦めている。
 やっぱり、ノリだけで無計画に行動している気がしてならない。
 刃牙は、このあとナニをする?
 たぶん何も考えていない! 次回につづくッ!


 刃牙は千春から根性を学ぶようだ。
 でも、人間がどこまで苦痛に耐えられるのかを実験して楽しんでいるようにも見える。
 どちらも刃牙の本性なんだろうけど。

 とりあえず、刃牙は千春の純粋な闘志に敬意をもったらしい。
 もう「柴さん」という呼び方には戻らないみたいだけど。
 ……本当に敬意をもっているんだろうか?

 克己はエンドレスにドイルをボコりつづけることができなくて、ドイルに勝ちをゆずった。
 刃牙のサディズムは克己よりもはるかに上だ。半年ぐらいなら平気で殴りつづけるだろう。
 オマケに読書の合間にボコるような手軽さで責めている。
 本を読みながら菓子を食べるよりも真剣さが足りないかも。
 千春はちょっと殴られ損っぽいな。

 この作業が終わったら刃牙は成長するのだろうか?
 殴られている千春のためにも何かをつかむんだ!


 今回はスペシャル企画で、板垣先生とシルベスター・スタローンが対談している!
  ・ 関連 『ロッキー7』もあり?最後は死ぬところを!?「刃牙」作者との夢の対談でスタローン上機嫌!

 最高傑作は常に次回作!な 板垣先生らしい『ロッキー7』リクエストですね。
 で、ちょっと前の作者コメントである、久しぶりに全力疾走したら転びそうになったという謎がとけた。
 スタローンの映画に影響されたらしい。

 ランボーで戦場に行く前の準備のシーンに板垣先生はしびれたそうだ。
 刃牙幼年編で山籠りまえに準備をするところに反映されているのだろうか?
 私は、あの山籠り準備のシーンが好きで 準備に指先確認するときはマネしちゃいます。
 わかもとよしッ! (ここで、今はわかもと要らないだろと突っこまれる)

 スタローン好きが再燃して、全力疾走の肉体感覚を再確認したからには、刃牙世界にも影響が出てきそうだ。
 つまり、刃牙が新しい肉体に違和感をおぼえるほどパワーアップする。
 一撃でオセロが全部ひっくり返って色が変わるように!
 新生・範馬刃牙の予感がするぞ。
 千春の脳震盪や骨折は無駄じゃなかった!

 あ、烈はどうなるんだろう?
 オセロがひっくり返ったように…………
 色白になる?

追記 (10/11/3)
 えーっと、次は烈海王のターンでいいのだろうか?
 最近は交互に刃牙と烈の話をやっているから、話の進行スピードが1/2ですよ。
 1年で3・4回しか試合をしないドカベンなみだ。
 次の試合は日本シリーズだろうか。

 で、烈海王は大丈夫なんだろうか?
 イロイロな角度から何度も殴られていましたが。
 アレは回転で打ち消すことができないだろうな。

 でも、そこは中国四千年だ。
 なんかスゴい回避方法があるのかもしれない。
 柔らかくて崩れやすい豆腐を 崩れない高野豆腐に変えるような秘術がッ!

 たぶん烈海王のことだから、変な技で回避するのだろう。
 中国拳法・身代わりの術でパンチを受けていたのはレフリーだったというオチが待っているかもしれない。
 その場にあるものを有効活用するのが武術というものだ。たぶん。
 グローブを武器化することはもちろん、レフリーだって武器にしないと。

 いっぽう刃牙は千春を限界まで痛めつける作業にはいっている。
 勉強させてもらうといっているが、相手にたいする敬意がまるでない。
 まあ、巨凶に目覚めた刃牙ならこんなものか。
 烈海王も暗黒面に目覚めちゃって、色がさらに黒くなった上に性格も悪くなったりして。


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