今週のバキ121話〜130話
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2002年4月4日(19号)
第2部 第121話 死闘の果てに(501回)
互いに凶器を開放し、まさに死闘を繰り広げた烈とドイルだった。
血をしたたらせ苦痛に表情を歪めながらドイルは去ってゆくジャックの背中をただ見つめる。
その表情は、敗北する寸前で助けられたと言う不満が原因かもしれない。そして、自分を追い詰めた男=烈海王に複雑な視線を向け、ドイルは立ち去る。
おびただしい出血により朦朧としているのか、せっかくジャックに渡された紙バックも落としてしまう。
「本だよ雑誌だぜ…」
「揺らすなよ」
「チャイニーズかよ」
だが、その状態でありながら、背後で交わされた会話にドイルは反応する。
振り返るとタチの悪そうなガキが2人で烈の懐を探っている。
烈が寝ているのをいい事に金目のものを盗もうとしているのだ。
「そーと そーと」
「すげえガタイしてやがんなコイツ」
そう言いながら烈の紙袋を逆さにして中身を路上にぶちまけている。
ちなみに1ヶ月以上前から気になっていた烈の買った本の内容ですが、字が読みにくくハッキリと見えないのですが、2字が目立つ装丁から「秘伝」や「武術」のような武術関連の雑誌ではないでしょうか。
ちなみに全部で7冊あります。買い過ぎ…。
そして、わずかに字の読める本があるのですが「AYU□I」(注:□は判別不能)と書かれています。あゆみ…? 浜崎?
この本は浜崎あゆみの写真集かなにかでしょうか。
なお、今週のいたがきぐみにはスタッフの「浜崎あゆみJAPAN」さんの名前は書かれていません。餓狼伝の方には書かれていたので、スタッフの作業分担が進んでいるのかもしれません。「バキ」と「餓狼伝」の両者のスタッフを見比べると微妙に違いがあってなかなか興味深いです。
まあ、「モーニング娘。」と言う嫌な予想が外れてくれたので、少し良かった。
話が大幅に逸れてしまいましたが、失敗した若作り本部と言う外見の男と、ピチッとした帽子をかぶったやせた男の2人組みは、布製の袋を紐で縛られた烈老師の古風な財布をゲットする。
「見逃してやる…………」
「そのサイフを置いて去れ………」
息も絶え絶えで人の心配しているよりもアンタが病院に行けという状態でありながら、ドイルはチンピラどもを追い払おうとする。
バキに逃げられた時はあっさりと諦め、オリバと闘った時はあっさりと逃げ出す。なんか執着心が少なさそうな感じのするドイルにしては珍しく烈にこだわっているような気がします。
急にどういう心境の変化なんでしょうか。
「オマエが去れば?」
「試しちゃうよ」
「20万ボルト」
ニセ本部は警棒型スタンガンをズボンから取り出し、痩せ男はバタフライナイフを振り回す。
血まみれのドイルの姿にビビらないのは、ある意味凄いのですが(と言うかなにも考えていないだけか?)自慢の武器を手にはしゃいでいます。
手を軽く振りドイルは血を飛ばす。
顔に血が当たり、一瞬気を取られたニセ本部の手首を掴み、片手でいきなり折った。
更に警棒型スタンガンをノドに突き当てる。感電してニセ本部は倒れ落ちた。
すぐにドイルは痩せ男の上腕に拳を突き込む。折れた。折れた反動で、握られたままのナイフが自分自身の肩に刺さる。
あたりに響く悲鳴を上げ、2人は逃げていく。
ドイルはダメージを受けなかったものの、状態が状態なだけに息を切らし汗を流す。
だが、ドイルはこの状態でも闘いの数瞬間は汗も引き、息も乱れていなかった。試合に向けてコンディションを作るスポーツマンではなく、いついかなる時も闘う武道家に近い思想をドイルは実践しているのかもしれない。
この不良であり続ける才能の無さそうな2人を追い払ったシーンですが、チンピラたちは自らの武器で傷を負う羽目になっています。これはドイルが武装の虚しさを感じると言う暗示になっているのかもしれません。
チンピラは追い払ったので、今度こそ立ち去ろうとする。
が、今度は犬が烈に吠えかけている。
日ごろの蛮勇の報いなのか、烈は次から次へと因縁をつけられて行く。そもそも、この日はドイルやジャックにも出会っているので、今日の烈の運勢は30年に1度の大凶だろう。
ちょっと悩んだものの、ツバを吐きすてドイルは犬を追い払う。
ドイルが近づくと「ハウッ」とビビる犬がちょっとラブリーだったりするが、ドイルは再び烈の前に立つ事になる。
自分を敗北寸前まで追い込んだ男の前で、ドイルは何を思うのだろうか…
やがて、朝日が射し、烈もようやく目覚めを迎える。
「どう解釈しろと言うのだ………」
「死刑宣告まで受けた罪人が…………………………ッッ」
「死を賭(と)して………」
「俺を警護していたと言うのか!!?」
水溜りになるほどの大量の出血の中で立ったままヘクター・ドイル 暁に死す!?
次号へ続く。
ドイルさん、カラスにつつかれていてほとんど死体寸前なんですが、大丈夫なんでしょうか。このままではジャックと闘うなんてとてもじゃありませんが実現不可能です。
そして、これを「どう解釈しろと言」われると、アンタに惚れてたんじゃないの…と思えて仕方がありません。そもそも、烈を飲みに誘う表情が妙にホモっぽいと思っていたんですけど…
イギリス人はホモが多いと「パタリロ(作:魔夜峰央)」に書かれていたと思いますが、ドイルはイギリス人ですからね(信じる信じないは個人の自由)。
まあ、ホモ話は置いておいて、少し真面目なフリをして考えます。
勝つためならどんな手段を使っても構わないとドイルは公言していた。顔面を殴る、金的を蹴る、などから始まりルール無き闘いを突き詰めて行くと、いかなる武器を使おうとも勝つ事が正しい事となる。武器を使うのは卑怯だと言うのは敗者の負け惜しみで、勝てない戦士に価値は無い。
しかし、この考えを突き詰めると戦闘技術を比べる闘いが、武器の強さを比べる闘いになってしまう。
だからドイルは武器にこだわるのではないだろうか。自分の装備する最新の武器を跳ね除ける、戦闘技術を見つけるために。
武器の仕様をためらうはずの無い職業軍人であるストライダムでさえ、ドイルの武器仕様に不快感を見せたと言うのに、烈は自身も恥じることなく武器を使い真っ直ぐに自分を追い詰めた。中国の格言に「士は己を知る者のために死す」と言う言葉があるが、自分の価値観と似たものを烈に感じて親近感を覚えたのかもしれない。
自分よりもずっと原始的な武器を使いながらも、肉体と戦闘技術でその差を越えて自分を追い詰めた烈=中国武術こそがドイルの求めていた技術だった。
なんて裏があったりすると、ドイルが烈に弟子入りして、烈+ドイルドリアン+の危険な中国武術トリオが完成しそうです。そして、渋川+オリバの合気&愛気コンビと、範馬ブラザーズによる三つ巴の闘いが始まるのかも。
ところで、チンピラ2人組みが烈の服の下を探った時に、ムワァ〜〜〜と匂いが立ち込めたりしなかったのだろうか…
2002年4月11日(20号)
第2部 第122話 警護(まも)る(502回)
目覚めた烈の目の前には、まったく動かずに立ったままカラスに襲われているヘクター・ドイルの姿があった。
潰れた左眼にカラスがクチバシを突っ込もうとする。
「邪ッ」
目覚めたばかりとは思えない俊敏な動きで烈が石を投げ、カラスを追い払う。
いつ、どこで石を手に入れていたのか分かりませんが、相手が凶器人間であるドイル(注:人間凶器ではない)だけに、スキを見て石を隠し持っていたのかもしれません。
爆薬を使う相手に石では相手にもならないと思われそうですが、横山光輝の「闇の土鬼」でも石飛礫は十分な殺傷力を持つ攻撃として描かれていますし、実際に戦国時代の戦傷者を書き止めた資料によると投石によるケガは意外と多いようです。
武田信玄などは投石部隊を編成していたりしていますし、火縄銃とは言え1000以上の弾丸が飛び交う戦場でも、白兵戦なら石でも十分な兵器になりうるのです。
ところで、動物は体の柔らかい所から食べるそうですから、眼が狙われるのは自然な現象だと思われます。絵的にエグイだけではなく、ちゃんとリアルな描写です。
「理由は問題ではない」
「この男がわたしの敵であることも」
「わたしが何者かにより眠らされたことも」
「肝心なのは―――――――」
「数時間もの間――――――」
「瀕死のこの男が 敵であるわたしを――――――」
「警護(まも)った」
「わたしがこの男により警護(まも)られたというその事実のみ」
何者かに眠らされたと言う部分にかなり深い恨みを感じるような気がしますが、烈にとって今は復讐よりも恩義を返す方が大事なようです。
ドイルの脈を確認し、ドイルを背負い服をロープ代わりにして縛りつける。上着だけ使えばいいのに、下に着ていたタンクトップも無くなっています。もちろん、本気だから脱いだのでしょう。今日の烈はやる気ですッ!(今日も、か?)
「死なせはせん!!!」
そもそも、誰が死ぬほどの重傷を負わせたかはともかく、烈は走る! 目指すは医者が常勤している神心会本部1階だ。
って、救急車呼べッ!
「最速でッッ」
「最短距離をッッ」
あくまで直進、あくまで真っ直ぐ。縄を飛ばし高架道路に駆け上り、飛び出すバイクは片手で止め先を急ぐ。
ラガーマンたちを相手に見せた克巳の狛犬壊しなど通過済みと言わんばかりに、前を突いて後輪をバラバラにする荒業を見せつけつつ烈は走る。
「すまぬッッ」
「わたしの名は烈―――――― 空手道神心会へ連絡をくれ」
烈老師、情報少な過ぎです。多分、連絡こないでしょう。
って、バイク壊さず、借りろッ!
おそらく彼は神心会に世話になってから、ずっとこの調子で買物をしているんでしょうね。
次に烈の行く手を阻むのは対岸まで10メートルの川であった。
一番近い橋まで1kmの距離がある。
「やむを得まい」
ここまで全速力直進を続けて来た烈海王もさすがに断念かと思われた。
だが、烈海王は本物の 変人 漢であった。
歩数にして、700〜800踏み。
「問題はない!!」
「15メートルまでなら!!!」
4000年の歴史はついに水上歩行を可能にしたッ!
走ります、烈海王が水の上をかける。10cm当たり7〜8回と言う神速の蹴りのみが可能にする水上歩行だ。
「2人だと……………ッッ」
「さすがに沈むな…………ッッ」
と、少し焦りながらも烈海王、ドイルを背負ったまま10mを走破するのだった。
一見ムチャに見えるこの水上歩行ですが、あながちウソとは言い切れません。
中国の古い諺に南船北馬と言うものがあります。揚子江(長江)以北の平原では移動手段に馬を用い、揚子江(長江)以南では船を使うと言う中国の交通事情を現しているのですが、それは拳法にも言える事で北派は安定した大地での蹴り技が発達し、南はでは不安定な船上での手技が発達したそうです(参考:藤原稜三「格闘技の歴史」)。
つまり、船がぶつかり合うような、水上での闘いでは船と船の間を行き来できるような歩行術があれば絶対有利であり、中国拳法は4000年の時をかけてその歩行術を完成させているのだった!(ひょっとしたら)
何しろ中国拳法の最高峰の称号が「海王」です。これは「海王」襲名条件に海(水)上歩行が入っていて、海も征する漢と言う意味が入っているのかもしれません。
あと100年もすれば、中国の選手は水泳の自由形で水上を走るようになるでしょう。
「すまぬッ」
「お騒がせした」
釣りをしていた少年に丁寧にお詫びをし烈は再び駆ける。しかし、今日の烈は妙に礼儀正しいです。
ドイルの命を賭した紳士的態度に感銘を受けたのでしょうか。
橋まで1kmだと、時速60kmの車でも往復で2分かかってしまいます。それなら、水上を走ったほうが早いのですが、もうちょっと全体的な視点で考えると、タクシーを呼…ばんでいいッ!
ええ、もうカッコイイので許します。
あれだけの事をやってくれれば、後は震動でますますドイルの出血がひどくなろうと、水上歩行に失敗してドイルもろとも川下に流されても、ガーレンスペシャルで対岸にドイルを放り投げても、何しても構いません。
そんなこんなんで、人には丁寧に接しつつ破天荒な行動をしながらも、烈はついに神心会の門前に達する。
「誰かッッ」
「誰かおらんかッッ」
早く医務室に駆けこめよと思いつつ、今週はここで終わるのだった。
闘いを通じて、ドイルに烈に対する好意が生じたように、烈にもドイルに対する好意が生じたようです。
こうなってくると死刑囚2人を引きつれて海王チームを結成する事になりそうです。なんか、キング・オブ・ファイターズに酸化しちゃいそうなメンバー構成ですが…
それにしても今週はギャグとしても面白い仕上がりになっています。
ヘタなギャグマンガよりもずっと笑えました。カッコいいんですけど、極限状態で真面目にやっているんだけど、それが少しずれていて笑っちゃいました。
次回はバキの身辺整理が行われるのか、烈がジャックに怒りをぶつけに行くのか、それとも烈がオリバの魔の手からドイルの体を警護(まも)るのか。
まあ、忘れた頃に柳はんという可能性も十分あるのですが、それは来週を楽しみに待ちましょう。
ところで、バキの表紙から「いたがきぐみ」の募集がなくなっているのですが、新スタッフが入ったのでしょうか。
アシスタント募集のページを見ると今週を含めて5本の新連載が始まるようですが、その分終わる作品もあるんですよね…
2002年4月18日(21号)
第2部 第123話 アリガトウ(503回)
ある意味では戦闘よりも激しかった緊急輸送も無事終わり、空手道神心会本部道場医務室にてドイルはベッドの上で意識を取り戻した。
全身包帯グルグル巻きにされて、輸血もしっかりとしてもらっています。
この人の場合、点滴なんかで針を刺そうとすると、ケーブルや金具に当たって大変そうです。場所によっては感電しそうだし。
ちなみに、胸は普通の肉体のようなので、やはりブレストファイヤーは外付けの装備のようです。
窓から入る爽やかな風にドイルは目を細める。その表情になにか満ち足りたものを感じるのはわたしの気のせいでしょうか。
「お……」
「目覚めたか………」
そこに烈がやってきます。料理の載ったトレイを持って。
まさか手料理ッッ!?
「2昼夜………」
「そんなに昏睡(ねむ)っていたのか」
「ここは医務室だと言ったな」
「病院でもない医務室などに」
「輸血の用意があるとは思えんが………………」
「門下生達が名乗りを上げたのだ」
「君に輸血が必要と判ったとたん次々と…………」
目覚めてすぐにもかかわらず冷静な判断力をみせるドイルに、神心会のちょっと良い話を聞かせてあげていますが…、実は烈に脅されて血を抜かれていたりして。
でも、グレートはグレートを知ると言いますし、神心会の人達は強者に対する尊敬をしっかりと持っていると考えた方が自然かもしれません。
神心会は最近ケガ人続出ですので、他人事には思えなくて思わず助けちゃったりしたのでしょうか。
「小林寺に伝わる回復料理だ………」
「数種の薬草を調理してある」
「日本じゃ入手できない薬草もあって十分ではないが………」
「効果はある」
「君が作ったのか」
「ウマくはないぞ」
やっぱり、手料理で彼のハートをゲット作戦に出てしまったようです。
いや、もうなにも言いますまい。
烈は今まで中国拳法の達人と言うだけで流派は不明でしたが、取り合えず「小林寺」とは深い縁があるようです。
いや、それにしても烈老師は料理の腕もかなりのものです。どの料理も手が込んでいるし、おかゆらしきものも含めて6品もあります。
頑強な肉体を造るのには食事の内容がものを言います。1回の食事で30品目以上の食材を使っていそうな見事な料理と、怪しげな薬草のブレンドで烈はあの驚異の肉体を完成させたのでしょうか。
しかし、本当はどんな薬草を入れたかったんだ、この人…。薬事法違反の草ですよね、どう考えても。
そんな栄養いっぱい、愛情いっぱい、危険もいっぱいの手料理を「ウマい…」と言いながらドイルは食べていくのだった。
「人間は水の上を走れるのだな」
「意識があったのか」
「あんだけ揺れりゃあな………」
烈も無茶をしたと言う自覚があったのかこう言われて、今までに見せた事のないようなもの凄く良い顔で笑う。
こんな心を許し合った友にしか見せないような表情を見せると言うことは、この2人の間には何のわだかまりもない朋友とも言えるような心境になっているのでしょう。
なんと言ってもお互いに命を狙い合い、命を助け合った仲なんですから。
「烈」
「アリガトウ」
ドイルは部屋から出て行く烈の背中に小さい声で礼を言う。
烈もそれに答えず満足そうな笑みを浮かべただけで、振り返りもせずに部屋を出る。
「たしかにな…」
「いつまでも居られるわけもない…………」
次に烈が部屋に入ると、空になった食器を残して、ドイルは消えた。烈はいなくなる事を予期していたような口ぶりでありながら、どこか寂しげな表情を浮かべる。
せっかく、実は得意技の武器攻撃に付き合ってくれる友人ができたのにすぐ居なくなってしまったので、ガッカリしちゃったのでしょうか。
ちょっぴり切ない余韻を残して、今週の烈の出番はこれでお終いです。
続発する武器使用の嵐に対抗するためか、烈の武器使用に対抗するためか、本日の神心会・黒帯研究会のお題目は刃物対策のようです。
「蹴るのは手首じゃない」
「刃だ!」
迫る匕首の横っ面を蹴り、弾き飛ばすは若き天才空手家・愚地克巳であった。
刃物を飛ばされ素手になった門下生に、膝・金的・水月(みぞおち)・喉と蹴りを軽く触れて見せる。
敵の攻撃を外回しで受けると言うのは基本通りなんですけど、それを刃物相手にやったり、その後の正中線4連蹴などはまさに天才の技量です。
それにしても、練習に本物の刃物を使うと言う所も並じゃありません。この研究会に参加している人達のレベルの高さがうかがえます。
神心会の将来を担うと思われる黒帯連中に自分の天才性を見せつけ、自分の存在をしっかりアピールしている克巳の前に、なんとドイルが再び現われる。
「靴を脱がんかァ〜〜〜」
克巳がいきなり逆上して叫ぶ。
確かに、道場に土足は如何なものかとは思いますが、そんな瞬間的にブチ切れられても困ります。
果たして、この2人はどうなる。次回、烈の親友の座を賭けて2人が激突か!?
なんか予想つかない展開のまま、ますます予想外の方向に流れて行ってますね。
克巳があそこまで怒っている理由が判りませんが、食費や雑誌やバイク修理費などの烈関連の請求書がものすごい勢いで来ていてちょっぴりご機嫌ナナメなのかもしれません。
それとも、やっぱりドイルを助けるために神心会の門下生が何人か犠牲になったのかも知れません。
例えば…
「誰かッッ、誰かおらんかッッ」
ドイルと同じ血液型の人間を烈は探していた。だが、誰も名乗り出ようとしない。
わずかな間とは言え、自分達のコーチをしてくれた鎬昂昇を卑劣な手段で倒したのだから無理も無いのかもしれない。
「やむを得まい」
門下生達が悲鳴を上げた。ドイルに輸血が必要だと(烈が)知ったとたん次々と…。
「さ、医者殿、こやつらが目を覚ます前に血を抜いてもらおう」
「押忍、烈先生。これ以上血を抜くのは生命に危機が…」
「たしかにな…、いくらでも血を絞れるわけもない…」
と言うような惨劇が克巳の留守に起きていたら、克巳が怒るのも無理ないかと…
この展開だと柳の出番はまだまだ先のようですね。
最後に、書こうか書くまいか、少し迷ったのですが、書きます。
烈は寝ている(と思っていた)ドイルに食事を持ってきていましたが、どうやって食べさせるつもりだったのでしょうか…。どうしても、ウマくはない考えが浮かんでしまいます。
スミマセン、「もののけ姫」でも見て勉強し直します。
2002年4月25日(22+23号)
第2部 第124話 ドイル再び(504回)
ドイルと烈の友情が静かな感動を呼んだ前回に続き、今回もドイルの登場です。
が、道場に入ったとたん「靴を脱がんかァァッッ」と克巳のお叱りを受けます。
いきなりキツイ言葉を浴びせられても、ドイルは怒ることなく素直に靴を脱ぎます。人に命を救われた事で、性格がずいぶん丸くなったのでしょうか。
「失礼をした」
「気を悪くしないでくれ」
「東洋の習慣は無知なこと故……………」
「すまなかった」
なんと、いきなり非礼をわびています。やっぱり、素直になっているようです。
でも、本気で謝っている気がしません。なんか『俺が悪いんじゃなくて、家の中で靴を脱ぐような日本の習慣が悪い』と言い訳しているように感じます。
それでも、問答無用で怒鳴られた後に逆ギレしなかったのは成長した証といって良いのでは無いでしょうか。
「わたしに輸血をしてくれたと聞いている…」
「心から礼を言う」
「アリガトウ」
予想通りと言うべきか、やはり神心会の皆さんにお礼を言いに来たようです。
なんか素直過ぎてウソ臭い気もしますが、烈には素直にお礼を言ったわけですし、お礼は素直に言うのがドイルの行動方針なのでしょうか。
そして、その言葉に対して現時点での組織の代表者・愚地克巳はこう答えるのだった。
「礼には及ばねェよ」
「他にもまだなにかありそうだな」
なんか眉間にしわを寄せていて、喧嘩をしかける時、もしくは不快感をこらえているような表情です。克巳は額面通りにドイルの礼を受けていないようです。
まあ、死刑囚達には色々と被害を受けていますし、特別コーチだった鎬昂昇を倒したのは目の前にいるドイルですし、油断するわけにはいかないのでしょう。
その克巳の予想通りと言うべきか、ドイルは危険な思惑と共にやって来ていたのだった。
「実に……」
「言いにくいことなのだが………」
「この場であなたたちを」
「葬ることにした」
「スマナイ」
ドイルが無表情に淡々と言う。
「スマナイ」と先に謝っていますが、カタカナ表記なので感情のこもらない無機質な響きと言う印象があります。まあ、そう言うとさっきの「アリガトウ」も硬い印象ですが、これも後でぶちのめす気マンマンだったので、やや硬いお礼となったのでは無いでしょうか。
先週も烈に対し「アリガトウ」とカタカナで言っていましたが、これは滅多にお礼を言わないので少しぎこちなくなっていたのかもしれません。
ただ、ドイルはもともと無表情であり、攻撃の前に予告なんてするようなヤツではありませんでした。
今回、襲撃予告をしているのは、助けてもらったことを気にしているのかもしれません。
そう考えると「スマナイ」はドイルなりに本気で謝っているのかもしれません。烈との間に生まれかけた友情や、命を助けてもらった恩義を感じながらも、自分だけが知っている最強を貫くため、あえて最凶死刑囚として生きるつもりなのか。
「対立するもの同士 決着は必然故…………」
「納得してくれ」
珍しくドイルが言葉を尽くしています。闘う前から相手にことわりを入れるのは今までのドイルらしく無い行動に思えますが、それなりに敬意を払っているということなのでしょうか。
しかし、ドイルの立場としては神心会は潰しておかなくてはなりません。この組織を放って置くと動向をチクイチ確認されて、挑戦者を送りこんで来たり、自分の武装を調べられたり、戦況的に不利になるばかりです。
ゆっくりとケガを回復させるためにも、早めに排除しておくのがベストでしょう。
「おあつらえだぜ アンタ」
「よーし オマエらは見学してろ」
「言いだしたのはアンタだぜ」
「いい機会だ」
「対武器…………………………よーく見てろ」
克巳の方は自信マンマンで迎え撃つようです。
なにしろここは神心会総本部の道場で、凄腕の黒帯連中がたっぷりといます。いざとなったら人数に物を言わせて集団リンチも可能と言う状況です。
対ドリアン戦で神心会の方々は組み手を挑まれると一対一で闘わざるを得ないと言う弱点が明かされましたが、克巳はその弱点を打ち消すために敢えて一対一で戦いを挑み武器を使わせることで『組み手』の枠を外し、集団攻撃のための大義名分を手に入れようと考えているのかもしれません。
この台詞をドイルは神妙な表情で聞いている。
そして、台詞を聞き終わると表情が戻ってくる。人を小バカにしたような余裕の表情がかすかに見え始める。
まるで、君は最大にして最後のチャンスを失ったと言いたげだ。
「カラテのフリーファイトということなら」
「ワタシもカラテ着に……」
いきなりドイルが空手着を着て闘いたいと言い出す。しかも、持参したバックの中に入っていると言う用意の良さだ。
そりゃあ、もう、メッチャ怪しいんですけど、克巳は空手着の着用を許可してしまうのだった。
バックを開けると、ドイルはいきなりバックに片足を突っ込む。更にもう一方の足も突っ込み、ズボンを足に通しているようだ。
そして、そのまま「ズルル〜〜〜〜ッッ」と一気に上まで引き上げる。
空手着ではなかった。上下のつながった、銀色に光る服。
「アルミ箔!!?」
「これは!?」
「たしか消防…」
「耐火服!!!」
克巳の思考がそこまでたどり着いた時、ドイルはヘルメットのようなフードも装着していた。
耐火防御完了。
業火の中でも生き延びられそうな耐火服に身をつつんだ。
「空手じゃないッ」
「先手を…ッッ」
予想外の行動にあっけに取られていた克巳が、ここで自分を取り戻し走ろうとする。
が、ドイルのほうが早い。
更にバックから20Kgの薄力粉の袋を取り出し道場内に撒き散らす。
「メリケン粉………………粉」
「粉塵爆破」
「着火」
「熱」
「今ッ」
ドイルが手にしたライターに火をともした。
ドワッ
吹っ飛ぶ神心会館。
騒然となる周囲を余所に、無傷のドイルは平然と現場から離れていく。
なお、靴は替わっているので、道場で脱いだ靴は吹き飛んでしまったようです。
「あ〜〜あ」
「ひでェことしやがる」
「オイラの首フッ飛んじまったぜ」
現場から立ち去ろうとするドイルの前に、謎の人物が現われる。
と言っても、ハゲの後頭部に食いこむ眼帯の紐で誰なのかは十分に分かるのですが、問題は正面がどうなっているかです。
「兄(あん)ちゃん…………」
「てめェで火ィつけていてどこへ行こうってんだい」
武神・愚地独歩、顔中傷だらけになりながらも復活ッッ!!
と言うわけで次回は、ゴールデンウィーク後の5月9日です。
なんかオリバにボコボコにされた元警官のジェフ君のような傷だらけの顔になって、独歩が帰ってきましたがよくぞこの短期間に復活したものです。
ちなみに「首フッ飛んじまった」とは、神心会の壁に描かれた独歩の頭部分が偶然飛んじまった事を言っているようです。
そのフッ飛ばした粉塵爆発ですが、「大辞林第二版」によりますと、
ふんじん-ばくはつ ―ぢん― 【粉塵爆発】
粉塵(2)の濃度が適当な範囲内にあると、火花・閃光などで引火して爆発すること。石炭微粉末による炭塵爆発のほか、穀物・砂糖・プラスチックなどの粉末による爆発など。粉体爆発。
とあります。白土三平の忍者漫画で「タンデンの術」として時々使われている現象ですが、解説の無い所がいかにもバキっぽいです。
技や原理のウンチクを描くのではなく、爆破が起きた事でキャラクターがどう動くかを描く。18号の考察で書いた「ハンニバル」風のキャラクター構築法をストーリ面にも使用しているようです。
でも、粉塵爆破を知らない人にはよく分からないんでしょうね、やっぱり。
さて次回からは、独歩vsドイルとなるのでしょうか?
しかし、ドリアン徳川邸爆破大脱出をやってのけた克巳ですから、今回も無事に逃げ出しているのではないかと思われます。
そして、次回背後からドイルの肩を叩く男が…
愚地克巳!? 体格がまるで違うじゃないかッ、なにより身長がッッ。5センチ…、いや10センチは大きい。
そうか、頭が爆破でアフロにッッ!?
髪の分10センチはデカくなった新生・愚地克巳が華麗に舞うッ! そんな展開も良いかなぁ…って。
2002年5月9日(24号)
第2部 第125話 バカヤロウ(505回)
刃牙には『長期の休み前は次回が待ち遠しくなる展開で終わる』と言うジンクスがあると思います。今回も2週間を長く感じさせる引きでした。
虎殺しは生きていたッ! 武神・愚地独歩 奇跡の復活劇に、ドイルも驚きを隠せず押し黙る。
「てめェン所のビル 火ィ着けられちまうわ」
「犯人にすぐ出会っちまうわ」
「運がいいンだか悪いンだか…………」
笑顔の独歩を見ていると、ビルより門下生と息子の心配もしてあげようや、などと余計な事を言いたくなります。
でも独歩ちゃんは復帰後初となる喧嘩が嬉しくて、細かい事は忘れちゃっているようですね。
「なァ若ェの…」
「もういいだろ…」
「いい加減 そろそろ決着じゃねェかって言ってンだよ」
なんか、死刑囚が敗北するあたりの読者の反応みたいな事を言っています。
最凶死刑囚の最後は負けそうで負けない寸止め展開が長々と続くので、そういう意見が多く見られました。もっとも、シコルスキーと言う例外もありますが…
独歩もラスト近くの展開でひどい目に遭わされた経験があるから、こう言う台詞が出てくるのかも。
「おめェさん 聞くところによるとさァ」
「オリバとかいう米国人と うちと関係する烈海王」
「この2人にヒデェめに会ったンだって?」
………良く知っていますね、この人は。
本当に今まで入院していたんでしょうか?
良く考えたら夜中に退院は変なので、すでに自宅に戻ってリハビリ中と言うのが正解でしょう。
そうなると、CIAも凌駕する神心会の情報力で死刑囚の動向を探っていたと推測できます。
ドイルが神心会に監禁されていた時、身体検査はもちろん、精神科医も呼んできて退行催眠で体に仕組まれた秘密武器と過去の戦闘など、文字通り頭の中からパンツの中まで調べ上げたはずです。
ここで遊び好きの克巳が『ゾウさん』を書くなどのイタズラをしていたとしたら…。
ドイルが神心会爆破を決意したのにはそう言う理由があったのかもしれません。
「決着ではないッッ」
やっぱりドイルは負けていないと言い張る。
ほとんど子供の理屈のような気がしますが、負けない事がドイルの譲れない一線なので、決着がついたと認める訳には行かないのでしょう。
そんな自分勝手なドイルに、独歩は小バカにしたような笑いを見せる。
「カッコ悪ィんだよおめェさんはよォ」
「いっつも いっつもォ」
「キサマ…」
「侮辱する気か」
ストライダムに文句を言われた時は怒らなかったのに、今回は怒っている。やはり烈との闘いでドイルは自分を見つめなおし、成長したのだろうか。
神心会を爆破した後もあまり嬉しそうではなかったし、ドイルも少しは自分の闘い方に疑問を持ち始めているのかもしれない。人は、自分が気にしていいる部分を人に指摘されると怒ったり動揺するものです。
更に精神的動揺を与えるためか独歩はオリバと烈の身の上に起きた衝撃ニュースを伝える。
「死ンじまったぜ」
「2人共」
っえぇっ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!?
マジっすか!?
ひょっとして、爆破に巻きこまれて2人ともッッ!?
「かわいそうになァ 2人共……」
「オリバは道 歩いてたら隕石に当たり」
「烈は大地震に巻き込まれ地割れに落ちちまった」
「不運にも程があるよなァ…………」
オリバは自分の半分にも満たないサイズの隕石が頭の端っこに当たり「ITEッ」、烈は下半身だけが地割れにはまって「救命阿(ジュウミンヤ)」と叫ぶ。
どちらも、ニューヨークの鋼鉄人マイク・クインの「ギバーップ」に匹敵する危機的状況です。
こんな強烈なアメリカンジョーク(かな?)を聞かされてイギリス人のドイルが黙っているはずもない。声もかけずに襲いかかろうと踏みこむ。
そこへベレー帽が飛ぶ。ヒジカッターで切り裂く。
「…………ッッ」
独歩の右拳が顔面の前で寸止めされていた。百戦錬磨の独歩がドイルに誘いをかけ、不意打ちを不意打ちで返したのだ。
偶然身につけていたベレー帽を利用し、死角になっているドイルの左目を狙って右拳で打つ見事な戦術だ。
「いいかい兄ちゃん」
「勝負ってのは一回一回の決着だぜ」
「途中で尻っ尾巻いといてよォ…」
「敗北を知りてェとかゴタク並べてんじゃねェやバカヤロウ」
寸止めにより勝負ありとはならなかったものの、これも一つの決着です。奇襲勝負は独歩の勝ちだ。
独歩は自分の優位性を教えると共に、「敗北を知りたい」と言いながら、敗北(まけ)ないことにこだわるドイルの矛盾点を指摘する。
そうやって相手の心の急所をズバズバ突いて精神的に優位に立ってから、独歩は場所移動を提案する。
「ちなみに逃げるのは自由だぜ」
「今日はちょっとなァ〜 とか思ったらね(はぁと)」
相手を侮辱する台詞を言って、逃げにくくさせている。策士です。
さらに戦闘場所として選んだ公園ではドイルに隠し武器・バクヤクを使うのも自由と言い放つ。
「老人相手に」
「わたしが武器を使用(つか)うとでも………」
「使うだろうね」
「そういう男だから おめェさんは」
とことん侮辱+挑発している。
基本的にドイルの武器は不意打ち用なので、警戒されると効果が半減するはずです。そうなると武器を使いにくくなります。
相手の武器に対して油断しないのは当然ですが、相手が武器を出しにくい状況にするのは、もう一つ上の戦術と言えます。
「なんならブン殴り合ってみるかい」
「かわりばんこに」
「空手も使わねェ 武器も使わねェ」
「男同士 腕力だけで思いっきりよォ」
喧嘩好きの独歩が今度は西部劇のようなハデなブン殴り合いを提案する。もちろん本気じゃないんでしょうけど。
ところで「男同士」と言っているのは暗にドイルの女装癖をバカにしているのかもしれません。
「ごめん ごめん」
「困らせちまった」
「いくら空手を使わねェと言っても信用できねェよなァ」
すいません、とりあえず私は信用していませんでした。
だって、独歩ちゃん前科あるし。
「オモシロイ…」
「やると言っているのだッッ 堂々と………」
「イヤ…」
「やらないだろうね」
「アンタこの老人を相手に武器を使うよ」
「空手を使わねェという俺の言葉を信用してねェだろう」
ついにドイルが正々堂々と闘う宣言をした。
と言うか、ここまでドイルを怒らせたのはどの台詞だったんでしょうか。
地道に侮辱し続けたのが効いたのか、独歩ギャグに素で怒ってしまったのか、自分の趣味をバカにされてキレたのか…。
しかし、独歩は相変わらずドイルの言葉を信用していない。
「空手を使わねェ」と言う言葉を信用していないからドイルは武器を使うと、独歩は言っていますが、ドイルだったら空手を使おうが使うまいが、不利になったら武器を使うヤツですよ、きっと。
だが、ここまで へなちょこ呼ばわりされつづけたドイルはつい意地になって普通に殴りかかってしまう。
名付けて、俺だってロブとやる前までは(期間、短ッ)素手で闘っていたんだパ〜〜ンチ!
「よっ」
独歩ちゃん、廻し受け。
「カラ…テ………?」
「うそ…」
顔面! ボディー! ボディー! ボディー! ボディー! ボディー! 金的ッ!
殴る、殴る、殴る、殴る、蹴る(金的を)!
空手技連発でドイルの歯をボロボロに砕き、顔の包帯を引き裂き、一気にダウンを奪う。
「ヘッ」
「空手家が空手使って」
「どこがワルいンでェ…………………」
やっぱりこの人は嘘つきでした。んで、次回に続く。
独歩ちゃん、最高! カッコいい!
と言うか、むしろドイルが信じていたと言うのが信じられない。
俺なんか、「カラ…テ………?」「うそ…」の台詞を読むまで一片の疑いもなく独歩の言う事を信じていなかったもん。
これで次回ドイルが「卑怯者、だましたなッッ」などと言い出したら本当にヘッポコでかなり笑えます。
もしくは、独歩にボコボコにされ瀕死になったドイルが最後に呟く。
「これで死ぬのか…。だが、烈のそばに行けるのなら、それでもいい…」
「イヤ、烈が死んだってのは冗談」
「ジョウダ…ン………? うそ!?」(がくっ)
こんなオチが待っていても笑えます。
…って、なんか笑える展開しか期待していないみたいですが、激闘が繰り広げられるのもちゃんと期待しています。
2002年5月16日(25号)
第2部 第126話 認めるかい?(506回)
先週のラストでダウンしたドイルさんですが、実はあのまま気絶しちゃいました。
今週の冒頭で目覚めると、そこは道場の板間だった。独歩に攻撃されて、再び出血をした左目もきっちり治療されている。
ドイルの側には黙々と飯を喰う1人の男が座っていた。
包帯グルグル巻きになりながらも、小粋に帽子と空手着を着こなす 天才空手家・愚地克巳である。
生きていたんですね、コイツ。爆発ぐらいで死ぬヤツとは思っていませんでしたが、まさか入院もせずにピンピンしているとはッ。
コンビニで買ったらしきオニギリをほおばりながら、克巳はドイルを睨む。
その視線に思わず口を開いてしまい、唇の傷口が開く。苦痛に思わずドイルはうめく。
マジに痛そうです。この人、最近痛い目に会ってばかりですね。
「待っていたぜ」
「おまえさんが目覚めるのをよォ…………」
どうやら克巳は、独歩に昏倒させられたドイルを神心会本部へ運ばせて、今までドイルの寝顔をオカズにメシを喰っていたようです。
あっさり気絶してしまうようなドイルが喧嘩相手では独歩も満足できず、とりあえず克巳に預けたのでしょうか。
克巳も、死刑囚を拉致・監禁するよりおとなしく入院していた方が良いと思うんですけど…
「火は消し止めた」
「ただし…」
「オレのほうは」
「ほぼ全身 第二度火傷」
「いい男台無しになっちまったがな」
帽子を取ると、ハゲ! …じゃなくて頭髪がほとんど焼け落ちて、眉毛も無くなっています。なんかガイアの親戚みたいだ。
克巳が男前であると言うのは刃牙ファンであれば大部分の人が認めるでしょうが、それを自分で言い切るのが自信過剰な克巳らしい所です。
「今このビルは」
「ポリスや消防関係でごったがえしているが…………」
「ここに俺ら2人がいることを知るのは」
「一部の道場関係者のみ」
「ジャマは入らねェ」
台詞だけ聞くと怪しげな会話ですが、爆発ハゲの恨みがそう言わせているのでしょう。きっと、お仕置きリストの13番目ぐらいにはバリカン頭髪刈りが入っているはずです。
「どうよ………?」
「敗北……」
「認めるかい」
一応、克巳が質問をします。
死刑囚達が敗北をなかなか認めようとしないと知っているのに、遭えて質問していると思われます。性格悪いです。
そして、返事を聞く前に廻し蹴りッッ!
返事をされる前に急いで蹴ったと言う感じの唐突な攻撃です。座った相手に対しても容赦しません。
蹴られたドイルは吹っ飛び後頭部を床に叩き付けられ、また失神する。
「ヘッ」
「「僕ノ負ケデチュ」と這いつくばるまで」
「何十回だって繰り返すぜ」
本気で根深い恨みを抱いているようです。陰湿です。
多分、一言一句違わず「僕ノ負ケデチュ」と言わないと許さないのでしょう。もちろん平仮名でしゃべったら不合格です。
日も暮れ始め、爆発で傷ついた神心会ビルが赤く染まる。
2度目も気絶をしていたドイルが跳ね起きる。
だが、暇つぶしに文庫本を読んで待っていた克巳が待ち構えていた。
「敗北……」
「認めるかい」
すっかり追い詰められてしまったドイルが、久しぶりに腕にしこまれたスプリングを発動させる。鎬昂昇の顎を外した(けどノーダメージ)のロケットパンチが克巳を襲うッ!
だが、あっさりと克巳にヒジで防御されて、膝・金的・胸・ノドへの4連蹴りで逆襲を受ける。黒帯研究会で見せていたお手本通りにきっちりと技を決める所はやはり天才と言っていいでしょう。
この攻撃でドイルは本日3度目の失神を経験する。
偽装失神の可能性はありますが、ケガが完治していないので今のドイルは非常に打たれ弱いのでしょう。
「さァ…」
「続き続き」
克巳はドイルを殴る時に投げ捨てた本を拾い読書を再開する。再びドイルが目覚めるまでの暇つぶしのようです。
なにが何でもドイルの目覚めの瞬間を逃したくないのでしょうが、執念深すぎます。
そんなに素敵な髪型にされたのが腹立たしいのでしょうか。
やっぱり、腹立たしいんでしょうね、そりゃ…
そんな訳で克巳の行動のベクトルは「敗北を認めさせる」よりも「とにかく蹴る」に傾いているようです。
ここで場面は松本梢江嬢の部屋に移る。
115話以来の登場になる彼女ですが、レポート用紙に向かうときもバキの事が歯痛のように気になる様子です。
「明日…………………
2人は会う」
確信めいた思いを浮かべる美少女・梢江。会えば、その場で始まるのが2人のルールだ。
読者に究極とも言える不安を与えて、次回巻頭カラーに続く。
ところで、先週こっそりと「重大発表あり!!」と書かれていたのですが、今週号のどこにに重大発表があったのかわかりませんでした。
世間のバキ系サイトではヤングチャンピオンでバキが同時連載と言う情報が流れて騒然となっています。
多分、次回からバキと梢江は本編から切り離され外伝的な形でヤングチャンピオンにて同時連載となるのでしょう。
「4号連続!! トータル100P!!」とありますが、4回で終わるとはどこにも書かれていないので、濡れ場がコミックス1冊分の量になる可能性も十分あります。
そもそも板垣先生は人の美を追求する漫画「メイキャッパー」シリーズに対する思い入れも強いですし、「MARIA」と言う読み切りでは成人向け恋愛漫画に挑戦(だと思う。私にはテーマが良く分からなかったのだが…)しています。
ヤングチャンピオンにて「バトル・ロワイアル」連載中の田口雅之先生に負けない、勝利のメイクラブをブチかまそうと企んでいるのでしょう。
板垣先生の事ですから、人がどこまで獣になれるのかを描き切ってしまうものと思われます。
と言うわけで5月28日から隔週でバキ外伝(?)も感想を書いていくしか無いのでしょう。ついでに我がサイト名も「だったらヌケるぜ?」に変更かッ!?
あ、そうそう。次回以降のドイルですが、このままボコられ続けるのでしょうか。
気がついたら、ボコり応援部隊として鎬昂昇がやって来るような気がして、非常に可哀想です。
克巳の事ですから、烈が助けに入らないように情報を遮断していることが考えられますが、ジャック兄さんの乱入などで流れると言う可能性も捨て切れない所です。
どちらにしろ、決着は近いと思われます。それにしても闘いの節目に必ずと言って良いほどバキ&梢江の話が挿入されるのはどういう事でしょうか。
2002年5月23日(26号)
第2部 第127話 奔走(はしる)(507回)
ほんそう 【奔走】
(名)スル
(1)物事がうまくいくように、あちこちかけまわること。「国事に―する」「知人の―で就職できた」
(2)ごちそうしもてなすこと。「賭引の手物は、亭主―か/庭訓往来」
(3)大切にすること。かわいがること。「初は賢者をいかにも―して/毛詩抄 6」
(「大辞林第二版」より)
とにかく(2)と(3)がイヤ。イヤ過ぎる。そんなごちそう要いりません。かわいがりません。持って帰ってください。
でも、俺はあえて毒を喰らってやるぜ、皿ごとな。
それにしてもサブタイトルの当て字があまりにも的確すぎてビックリしました。熱いセリフにこだわる板垣先生は、まさに言霊使いです。
それから、すぐに本編の内容に触れないのは、ちょっと怖かったり嫌だったりしていると思われているかもしれませんが、そんな事もあります。
では、意を決して本編へッ。
バキの部屋のドアに手紙がはさまっていた。
「会いたい…
わたしを見つけて
……。」
女の子らしい丸文字で書かれた手紙だった。
前回、机に向かっていたのは宿題をするためではなく、これを書くためだったようだ。
手紙を書くのに、前回ラストで机の上に置かれていたレポート用紙を使用しているようだ。よっぽど事務処理的な用件でもない限り、女性はちょっと可愛い感じの紙に手紙を書くと思うのですが、梢江ちゃんはそういう紙を探し出す手間も惜しいぐらいに猛っていたようです。
細い線(シャーペンか?)で書かれていますが、気分的には極太筆で「後楽園へ向かう 勇次郎」並の気迫を込めて書いたことでしょう。
走る!
バキはガクランのまま走った。学校をサボるのはもちろん、カバンも地面に置いたまま、家のドアも開けっぱなしで走ったに違いない。
全てを忘れ投げ捨て、梢江とセックスするためにバキは走る!
「不器用なタイプでもなかった」
「しかし 確信とも言える肉体信仰が―――――」
「少年に乗り物を選択(えら)ばせなかった」
「急ぐのだからこそ奔(はし)るッッ」
コイツも烈と同じくグラップラー星人な漢でした。
行動の目的がちゃんとしていれば、十分カッコいいハズなんですけど、求めるモノがモノだけになんかアレですね…。
やっぱ、回り道して橋を渡ったりせずに、ジャンプして川を飛び越えたりするんでしょうね、コイツ。
一方、梢江ちゃんは電車で移動中です。
妄想でもしているのか頬を赤らめています。
萌エェェッッ!!!
(重要なお知らせ:今週の「A.-D.O.G.S」にはチャウのパンチラが載っていますので、傷ついた心はそっちで癒してください。リカオンは相変わらず短いくせに身持ち堅いです。ちぇっ)
あ〜〜、ちなみに私はエイケンを見るとイヤされすぎて胸焼けを起こすので後回しです。
ところで、梢江の乗っている電車は立っている人もいるのに、梢江の両隣の席は空いている。
彼女がハァハァしていて、他の乗客に避けられているのでしょうか。
または、座れずに困っているお年寄りのために「しつれいじゃん。お年寄りの前で座りつづけるなんて、嘗(な)めてンじゃん」と座っている男のスネを蹴って、車内の人に怖れられているのかもしれません。
「必ずここに来るハズ……」
「一日中わたしの行きそうなところを駆け回って ―――――」
「見つけらられなくて ―――――」
「打ちひしがれて ―――――」
「疲れ果てて―――――」
「最後に辿りつくのが―――――」
「きっとここ」
そこは刃牙幼年編でお馴染み、落書きだらけの刃牙ハウスだッ!
……………………。
私には理解できないセンスだ。こう言う小汚い所の方が盛り上がるタイプなんでしょうか。
そういや、家に書かれていた「皮かむり」の落書きが無くなっています。バキ君もこの落書きだけは許せなかったのでしょうか?
それはともかく、2年前に梢江はバキにここを教えてもらったようですが、こんな家に住んでいたバキのことを最近までごく普通の高校生だと思っていた彼女は、ものすごい天然ボケです。皆さん、ここ萌えポイントです。「しゅーまっは」の、ゆまさんセーラー服バージョンに逃げてはいけません。
しかし、人の住んでいなさそうな別宅に勝手にやって来て、鍵はどうするのかとか、ドアを蹴り開けるつもりなのかとか、新しい家があるんだから落書きハウスは売った方が良いんじゃ無いかとか、ガス・水道は通っているのかとか、色々と疑問がつきません。
もちろん大事の前の小事と言うか、自宅が火事で全焼している時にビデオのタイマーをちゃんとセットしたかどうかを気にしているような物です。先に進みましょう。
でも、前田光世方式を採用して、本当に街中で会った時はどうするつもりだったんだとか、これから闘いに挑む男を疲れ果てさせてどうするつもりなんだとか…
まあ、元気イッパイのバキが相手では、体の心配もあるでしょうけど、どうしようもなく電波系な行動です。
「遅かったな」
バキ君、家の中でスタンバっていました。
もう、ハァハァしています。
「俺が君ならここにくる」
「探しあぐねたオレが最後にここへ安らぎにくる」
「そう確信しここで帰りを待つハズだ」
さすがリアルシャドーの達人、勝ったのは君だった。
すでに1戦やらかした後のような呼吸の乱れと大量の汗も伊達じゃありません。
「2人は………」
「ここでするの……?
…………………セックス」
「君はイヤなのかい」
はい。あ、じゃなくて引用を続けます。
「世界一強い男になりたいものね」
「強くなるにはそれがいいんだものね」
「梢江………」
「俺は今まで一度だって……」
「世界最強なんて夢見たことないぜ」
「親父より…………」
「範馬勇次郎より少しだけ強けりゃいい」
「あとはいらない」
えーと、グラップラー刃牙の第12話とか…。あ、なんでも無いです。
まあ、言葉の言い換えと言う事で一つ…。
「食事の仕たくするわ………」
「いらない」
「お風呂に行かせて」
「いらないッ」
ガシッ
ラブシーンとは思えぬ擬音で次回へ続く。
そして次回は28日発売のヤングチャンピオンに掲載ッ!
どういう構造で進むのかは分かりませんがいたがきぐみの情報によると「同時刻に別々の場所で起こっているストーリーをザッピング!?」だそうです。
ヤンチャンは刃牙vs梢江、少年チャンピオンは克巳vsドイルと言う事なのでしょうか。
それだと余りザッピングと言う感じがしないので、家の外に柳がいて部屋に乱入しようとするが、そこに渋川 (or オリバ)がやってきて闘うと言うのがありそうです。
そうなると、窓を通して互いのバトルの様子が見えるとか。
そして互いの状況を利用し合えるのなら面白いですね。例えば、向こうバトルで飛び散った液体をこっちで利用して目潰しに使うとか…。嘘です。忘れてください。
とりあえず、ヤンチャンの方は4回100ページで終了ということが確定したみたいなので、次回からも頑張って読みましょう。
2002年5月30日(27号)
第2部 第128話 意地(508+1回)
今週のチャンピオンには、ヤングチャンピオンに掲載されている「バキ」の特別編の広告がやたらと載っています。
そんなに、あの漫画を見せたいのでしょうか…
今週は、横になって点滴を受けている克巳の姿で始まる。
頑張っているけど、やっぱりこの人は重傷人なんですね。そこまで無理をしてもドイルを殴りたいのでしょうか。
克巳を治療しているのは神心会専属の老医師だった。
「医師は人の身体(からだ)を治すことが仕事」
「武道家は人の身体(からだ)を壊すことが仕事」
「わたしも神心会の専属医である以上――――――」
「あなたのやりかたを尊重する立場です」
すごい医者ですね、この人。伊達に神心会の専属医やってません。
死刑囚をかくまっているだけで十分ヤバイのに、闘おうとする克巳を止めずに、武道家は身体を壊すことが仕事と、その行為を肯定しています。
この人も昔は神心会の猛者として人を壊しまくっていたのかもしれません。
なんとなく克巳を見る表情に暖かい物がありますが、昔の自分を思い出しているのでしょうか。
ドイルが目覚めると、点滴の針を抜いてもらい克巳は跳ね起きる。
「オハヨウ…………」
「なァ」
「腹減ったろう」
帽子をかぶりながら、目覚めたドイルに近づく。
今回は、ドイルの監視役として黒帯の門下生まで連れて来ています。
そして、その門下生に食事を運ばせる。
焼き魚・サラダ・目玉焼き・フランスパンと、ドイルの目覚めにふさわしく洋風朝食料理でしょうか。
一方、克巳はコンビニで買ったらしきおにぎり・餃子とサラダを用意させて食べ始めます。
この人って、コンビニの食い物が好きなんでしょうか…
「たいしたゴチソウでもないけど……」
「戦争中だしな……」
そう言いながら飯を喰う克巳であり、黙々とナイフとフォークを使うドイルであった。
人の食事間隔はだいたい6時間ぐらいですから、ドイルが最初に克巳にぶちのめされてから6時間が経ったと思われます。
監禁6時間目ともなると、なんか見えないところでも色々と殴られていそうだなぁ…
それにしてもドイルだけ手作り料理なのが、不思議です。
考えられる理由として、摂取すると、やたらとハッピーになってヤングチャンピオンの巻頭カラー作品に萌え狂ってしまう薬が入っている。
実際に薬は入っていなさそうですが、手作りだと変なモノが入っているのではないかと不安になるはずです。そう言う精神的な嫌がらせを狙って手料理を出したと考えられます。
この嫌がらせに対しても平然と飯を喰うドイルに門下生も呆れたような表情を見せている。肉体はともかくドイルの精神面でのタフさは非凡と言えます。
もう一つ考えられる理由ですが…、アレですね…、ガングロ中国人の 愛妻料理 友情の差し入れでしょうか。
細かい事は置いといて…、両者共に飯を食い終わったところで、再び戦闘開始!
ドイルがいきなり立ち上がり構えをとる。
対する克巳は座ったままで余裕を見せている。
「へェ…」
「フォークもナイフも皿もあるのに素手かい」
「らしくねェなおい」
この挑発は義父譲りの方法でしょうか。フォークやナイフはともかく皿まで使うのかは疑問ですが、確実にドイルの怒るポイントを突いています。
よっぽど腹が立ったのか、ついに一言も発しないままドイルは右前蹴りを放つ。
克巳は座ったまま体を回転させてかわし、ドイルの軸足に廻し蹴りを叩きこむ。
受身もとれず背中から落ちたドイルの顔面の真横に足を落とし、正拳を寸止めする。
「手品が通用しねェことがワカってきたようだな」
「いいかい…………」
「俺の下段突きはコンクリートブロック3枚を粉砕するぜ」
この形は、最大トーナメントで克巳がイスタスと闘ったときにも発生した体勢だ。これが試合なら、ここで勝負ありと言われる所だが(もっとも、イスタス戦ではここから逆転されかかりましたけど)、これは試合ではない。
「敗北(まけ)を……………………」
「認めるかい………………………?」
だが、ドイルは眉一つ動かさない。
なにか逆転の秘策でもあるのだろうか。それともヤケになっているのか…
ドイルはあくまでクールに目を細めただけだった。
「そうやって死ぬまで……」
「意地を張り通すつもりかい」
ニィ…
ひび割れた唇でドイルが笑った。欠けた前歯が悲壮だ。
今回、食事以外でドイルが口を開くのはこの笑いの時しかなく、最後まで喋らなかった。
死んでも意地を張り通す。それがドイルの決意なのだろうか。
敗北を認めずカッコ悪く悪あがきする姿は、子供っぽい意地の張り方に見える。だが、地上最強とは自分こそが最強と言う子供っぽい意地を張りつづける事に通じる。
ひょっとすると、このドイルの意地に克巳も多少の共感を感じているのかもしれない。握る拳は汗を浮かべているし、克巳の表情は怒りに加えて少し悲しげな物が混じっているように感じる。
「バカだぜあんた」
カキャッ
克巳の正拳が打ち落とされ次号へ続く!
克巳の拳は顔面に当たったのだろうか。
硬質の音が起きた所を見ると、ドイルが何らかのギミックを使ったのかも知れない。
なんにしても、これでドイルが敗れたとは思えません。
来週の刃牙はお休み。ヤングチャンピオンでも特別編を描いているから隔週になると言うのはわかるんですけど、それなら週を上手くずらして、週に一度はバキが読めるようにして欲しかった。
あと、売り文句であった特別編との同時展開と言うのもあまり意味なかったですね。ただ、平行に2つの話しを進めていると言うだけの印象があります。
次回以降にもう少し趣向を凝らした展開が出て来るかもしれませんし、それを期待することにしましょう。
なんにしても、最後のアオリ文句の「YC(ヤングチャンピオン)13号(6/11発売)では刃牙と梢江がすごいことに…!?」と言うのは確かに真実をついていますね。
すごいと言うか、とんでもない事になっているッッ!
2002年6月6日(28号)
今週はお休み
アッパーズで連載中の餓狼伝も、チャンピオンで連載中のバキも、今週はお休みです。さらにヤングチャンピオンも隔週の谷間に入っているので、今週は板垣作品無しの週となっております。
まあ、スゲェもん見せられて色々な物があふれ出そうになっていたので、小休憩には良いのかもしれません。
と、言うわけでバキ以外の漫画の感想を少し書きます。
まず「A.-D.O.G.S」ですが…、次回・最終回!?
短いお付き合でしたが、好きな漫画でした。
チャンピオンは、凄く面白い漫画を短期で打ち切ったりするくせに(そしてコミックスは出ない)、物凄く微妙にしか面白みを感じない漫画がダラダラ続いたりする変な雑誌ですけど、今回も同じ悲劇のパターンでした。まあ、好き嫌いは個人の主観なので致し方ない事ですが。
それにしても、名乗りを上げることなく死んでしまったパイソンとか、結局最後までパンツを見せそうに無いリカオンとか語り残した部分が多い気がします。
今回の話では、ニシキの幻覚能力は薫りを利用していると書かれていました。嗅覚は原始的な感覚で、脳の記憶部分を強く刺激すると聞いた事があります。その辺、荒唐無稽な設定の様でちゃんと科学的な理由付けがされています。
「女にはね…」「いろいろと薫りを作り出す場所がありますのよ」
このニシキのセリフは、妙に色っぽい表情で言ってくれるので、ちょっと萌え〜っとなるはずなんでしょうけど…。
女、ニオイ?
嫌ッ、生々しい、クサっ、肉臭ッ!!
何故か拒否反応が出てしまいました…。なんか相当深い精神的外傷を負ってしまったようです。
救命阿(ジュウミンヤ)ッッ!!
前回、勝つためのラーメンを作ると言い出して今週の展開が気になっていた「虹色ラーメン」ですが、私はこんな予想をしていました。
ラーメンができる間の時間つぶしとして、太陽はヤングチャンピオン12号をお客さんたちに見せる。
「うわっ、くさッ」「生々しい」「肉、イヤっ」「ゲロ吐きそうッ」
有馬純太郎の作る超濃厚トンコツラーメンは、濃厚な肉の薫りが仇となりお客さんたちの胃に受け入れてもらえなかった。
「レイ様、結果の発表までご覧にならないので?」
「―――――彼には失望したよ」
太陽が、勝負に勝っても、人間として大事な物を捨ててしまうんじゃないかと心配です。
個人的な事ですが、においでちょっと思い出したことがあります。
私は小学生の頃に空手を習っていたのですが、空手の道場はやっぱり汗臭いものです。
少年部は小学生と言うこともあって夜の稽古が終わると、道場まで親が迎えに来きます。
私の母親はある日「汗臭くて吐きそう」と言ったきり迎えに来なくなりました。
まあ、当時の私は小学生だったわけですし、かなり寂しい思いをしたものです。
そんな訳で烈老師の「もわァ〜〜〜」とむせ返るような練習は、少年部の母親に不評ではないかと少し心配です。
2002年6月13日(29号)
第2部 第129話 それぞれの敗北(509+2回)
撃ち落とされるはコンクリートブロック3枚を粉砕する愚地克巳の下段突き。拳がドイルの顔面にめり込む。
わざと外して地面を殴るとか、ドイルが変なギミックを使って防ぐとか、そういった逃げ道が用意されていると思っていたのに、本当に当てちゃいました。
グボ…
液体と気体が混じる時の音を立てて、克巳が拳を引きぬく。
ドイルの顔面は拳の形に陥没して、耳からも血を流している。
この状態、アンパンならアンコ出てます。克巳君、バキより一足早く童貞捨てた?
「センセイ………」
「お願いします」
お願いするにしても、治療なのか死体の処理なのか疑問ですが、最凶死刑囚だけに死にそうで死にません。
さらに神心会所属医の能力を持ってすれば、この程度の陥没程度は1ページ程度で回復させて見せます。鼻筋とか元に戻っているんですけど、どこから材料を調達したんだか…
「10年以上 空手やってるけどよ…」
「本気で下段突き入れるなんて見たことねェよ」
お手伝いの黒帯・寺田にそこまで言わしめた強烈な一撃だった。
もっとも、空手の試合なら倒れた時点で「止め」の合図が入るはずです。彼も地下闘技場へ行っていれば、夜叉猿やイスタス相手に克巳が下段突きを撃とうとした所を見る事ができたんですけど。まあ、どちらのケースも未遂に終わっていますが。
治療を受け、目覚めたドイルは慌てて跳ね起きる。だが広い道場に居たのはドイルと寺田の2人だけだった。
「師範はもうおりません」
「師範の言葉をそのまま伝えます」
「この勝負」
「あなたの…………」
「勝ちだと…………」
なんだと〜〜〜ッ!。
今までボコりにボコっておいて、アンタの勝ちとはどういう事ですか?
5時間前―――――――
「センセイ…………」
「武道家は」
「人の身体をブッ壊すのが仕事とおっしゃいましたが」
「だとしたら…………
自分は才能が無いかもしれません」
「もう これ以上―――――――」
「そいつを壊せねェ」
完全に壊れたからこれ以上は壊せないと言う意味では無い。明確な戦闘行為の放棄を意味している。
闘争心が高く、自他ともに認める天才である自信家の克巳がどういう心境の変化でしょうか。点滴を受けるような状態でありながら、執念深くドイルを殴っていたと言うのに。
徹底的に相手を破壊する覚悟、と言うよりは狂気だろうか、とにかくそう言う一線を超えるような覚悟は無いようだ。
ドリアンをガソリンで丸焼きにした事もある克巳ですが、ちゃんと良心は残っていたようです。
それにしても良い方向に何かを悟るときの克巳は、才能が無い発言+敬語になるみたいです。決着をつけましょう、ドイルさん。俺の負けでいい。って感じですね。
「いつもそうなんだよなァ…」
「肝心なとこで」
「いつも甘ェんだ俺は」
詰めが甘いと言う点では確かに甘くて何度か逆襲を食らっている彼ですが、それも心に優しさを持つ故にトドメをさし切れず、相手に逆転のチャンスを残してしまうと言う点があるのかもしれません。
克巳は今までの闘いでは、必死に優しさを捨てて冷酷になろうとしていたのだろうか。
5歳の克巳は、父を殺したライオンを心を以って沈めて無傷で捕らえていた。実は、人や動物を傷つけたくないと言う優しい心の持ち主だったのかもしれません。
夜叉猿をブチのめしていた時はすごく楽しそうに見えていたんですけど(歌まで歌って…)、アレも気のせいだったのかなぁ…
決して敗北を認めないドイルの意地の前に、これ以上殴り続けることができず、克巳は敗北を認めるのだった。
「負け」と言う言葉を自分で直接伝えずに寺田に代弁させていますが、やっぱり克巳も負けを認めるのは悔しかったのかもしれません。それとも、また5時間待ってドイルが起きるのを待つのが辛かっただけだったりして。
場面は変わり、マンションの玄関です。表札に「310 愚地克巳」とあります。
どうやら1人暮しをしているみたいです。実家は玄関を独歩ちゃんが蹴り壊したので、修理をしていて仮住まいなのかもしれません。
まあ、克巳だって成人男性ですから、自分だけの生活が欲しくて1人暮しを始めているのかもしれません。
1人暮しを良い事に、なんかヤバい遊びとかもやってそうですね。外国人監禁してボコるとか。
そう言った邪推は置いといて、克巳は火傷だらけにもかかわらず、スポーツバックを持って外出する。
ドアを開けると、そこには…
「初めて受け容れる………」
「心に去来したものは」
「それは意外にも開放という名の歓喜(よろこび)だった」
ドイルが自分の服を地面に敷き、ひざまずいて克巳を迎える。
烈に倒され、独歩に倒され、克巳に倒されて、ついに自分から敗北を認めたようです。
自分の過ちを認めるというのは、精神的に意地を張りつづけ子供だったドイルが成長したと言う事なのでしょう。
人間的な成長を遂げ、ドイルは開放された。
でも、しぶとい死刑囚らしく、服の下に落とし穴があって踏むと3階分の高さを落下する羽目になったり、服の下には「熱く溶けた泥の海」が用意してあったりしないかと、少しだけ心配です。
これでドイルも心を入れ換える事になると思いますが、漫画や小説では悪人が心を入れ換えたとたん悲劇的な死を迎えたりするパターンが多くて少し不安です。
とりあえず、オリバがドイルの引渡しを要求してきそうですし、ジャックも因縁をつけにくる可能性が有ります。
どちらにしろ、来週はバキがお休みなので再来週まで結果はわかりませんが…。
ところで、その休みことになったヤングチャンピオンの特別編ですが、板垣先生のコメントでは「ヤングチャンピオンで花火上げてます。大マジメに。賛否両論、上等です。」と書かれています。
やっぱ、どこまでも本気で突っ走っているんですね、板垣先生。
次回はとりあえず反省の証として、克巳がドイルの髪を刈る、とか?
2002年6月20日(30号)
バキはお休み
もうしばらくバキの隔週連載状態は続きます。
こう言うペースで進むと言う事は、ヤングチャンピオンと少年チャンピオンでは〆切りから印刷までの時間が違うのでしょうか?
先週「A.-D.O.G.S」が終わってしまったので、ちょっと寂しいのですが(だからパンツ見えても喜び半分)、次号から瀬口たかひろ先生の新連載が始まるようです。…少年チャンピオンのベクトルがどんどんズレて行きますね。
最近、新連載が続いていますが、この新連載を並べて見るとある法則に気が付きます。
6連発・新連載
ジャンル |
|
直球 |
変化球 |
ファンタジー系 |
|
SAMURAIMAN |
キャラメルリンゴ |
ギャグ系 |
|
一丸伝記 |
無敵看板娘 |
スポーツ系 |
|
拳魂〜ケンダマ〜 |
ラフ&ラフ |
異世界の戦士と融合して戦う「SAMURAIMAN」はありがちな設定ですが、直球勝負のバトル物としてチャンピオンっぽい作品と言えるでしょう。
対する、「キャラメルリンゴ」はチャンピオンらしく無い作風で、異端と言うか変化球です。昔「SPRING MAN」と言うバスケマンガを書いていた時は、曽田正人先生の「シャカリキ!」に作風が似過ぎと言われたぐらいチャンピオン路線の直球な人だったんですけど、何があったんでしょうか。
「一丸伝記」は岩塚卓先生はチャンピオンではおなじみの人なので省略(ォィ
「無敵看板娘」は「しゅーまっは」で気を良くしたのか、美少女+バイオレンス路線で攻めています。今ではこの路線が定着しているのか、それなりに評判が良いようです。直球と言っても良いんですけど、萌え路線はチャンピオンでは変化球という気がするので、こっちに分類しました。
スポーツ系では空手の「拳魂〜ケンダマ〜」とゴルフの「ラフ&ラフ」です。
格闘技を題材にした漫画はチャンピオンだけではなくどの少年誌でも王道ですが、「拳魂〜ケンダマ〜」は「ショー☆バン」の影響なのか空手講座的なノリがあります。
そして「ラフ&ラフ」ですが…、少年チャンピオンで長続きしたゴルフ漫画は「激闘!!荒鷲高校ゴルフ部」しか知らないのですが、チャンピオン編集部はまだ夢を捨てていないのでしょうか。他の少年誌でゴルフ漫画に人気があるから安易にゴルフ漫画にしたのなら、やや考えが甘い気がします。
新連載は「ファンタジー系」「ギャグ系」「スポーツ系」の少年漫画らしいラインナップをそろえ、「直球(チャンピオン風)」「変化球(非チャンピオン風)」で分けているのです。編集部はこれで、読者が「ファンタジー系」「ギャグ系」「スポーツ系」のどのジャンルを好むか、「直球」「変化球」のどちらを受け入れるのか、調べるつもりなのです(考え過ぎ)。
実際問題として、今のチャンピオンの定番である「バキ」「フルアヘッド! ココ」「浦安鉄筋家族」「ドカベン・プロ野球編」「優駿の門」が終わった時の事を考えて、替わりになりうる作品を探しているのかもしれません。そう言えば、この定番漫画って「バトル系」「ファンタジー系」「ギャグ系」「スポーツ系×2」ですね…
そんな訳で6連発・新連載のうち3つが打ち切りになった時、次にチャンピオンが進む道が見えて来るのです。
それと、次号から始まる瀬口たかひろ先生の新連載ですが、これは「ななか6/17」が連載再開してアニメの放送が開始となって美少女ファンがチャンピオンに流れてくる事を期待しての布陣と思われます。気が早すぎですが…
それよりもう一つの新連載ですが、予告だけだとイメージが掴みにくいのですが企画物のようです。チャンピオンは時々変な企画をぶち上げたりしますが、これもそのうちの一つでしょうか?
おまけ情報、23日に「しゅーまっは」の伯林先生のサイン会があるそうです。秋葉原書泉ブックタワーへGO!
かなりアレな内容のバキ解析本も、たぶん売っているぞ!(内容をよく読んでから買うべきか判断しましょう)
2002年6月27日(31号)
第2部 第130話 毒手(510+3回)
バキでは格闘家の拳や足のアップが表紙になる時がある。
拳や足は、攻撃し防御する戦いの歴史が刻まれる場所だ。格闘家のもう一つの顔と言っても良い。今回は「手」だった。当然ただの手じゃない。通常の武術家とは明らかに異質な鍛え方をした手だ。
「板垣恵介の激闘達人烈伝」を読んだことがある人は、この手を見ただけで誰が出て来るのか判ってしまう。
この「手」の持ち主が、今回の主役と言っても過言では無い。
久しぶりに御老公が登場する。
訪ねる先は「大日本武術空道」であった。
ドイル敗北の情報を入手し、最後の死刑囚である柳龍光の情報を求めに「空道」の総本山を訪れたのだろうか。
どちらにしろ「空道」は柳のオリジナル武術ではなく、ちゃんとした流派だったようです。
そうなると格闘士として柳はしっかりした基盤を持っている事になり、5人の死刑囚の中でも最高級の技術を持っている可能性がありそうです。
喩えるなら、「海王」の称号を持つ、烈並の技術を…って、あれ?
「ドウゾ オ上ガリ下サイ」
(外人かいな…)
出迎えたのも外国人ならば、廊下ですれ違ったのも外国人だった。黒人・白人・ロシア系っぽい人や、失敗した烈みたいな人など人種も国籍もバラバラなのは、世界各地から門下生が集まっている証拠です。
彼らは、黒でも白でも無い帯に、裾が見えない上着(ズボンに入れているのか?)、足首のところがすぼまったズボンと変った色付きの道着を着ております。これが「大日本武術空道」の道着なのでしょうか。
そう言えば、つい2日ほど前に実力を再評価された天内も足首がすぼまったズボンを使用していましたが、ヤツの職業はボディーガードだけに、空道から独立して天内流の看板を上げたのでしょうか。
少し先走ってしまいましたが、門下生が外国人ばかりと言う御老公の質問に案内係のお弟子さんが説明をしてくれます。
「ソレハキット マスター国松ガ日本ヨリムシロ」
「海外デ有名ダカラデショウ」
「特ニFBI 軍隊(アーミー) 警察(ポリス) 要人警護(ボディーガード)ナドノ闘イノエキスパートノ世界デハ」
「マスター国松ノ名ハ 国境ヲ越エテ絶対デス」
むぅ…、「絶対」の名を持つ男が、また出てきましたね。ここまで言い切るとは、マスター国松の武名は勇次郎やガイアに匹敵するのでしょうか。
軍人・警察官の多く登場するバキですから、マスター国松の前に立つと、かしこまって敬礼するキャラクターが何人も居そうです。園田警視正とか、そう言うシーンが似合いそうだなぁ…。
絶対の名・国松を象徴するかのように廊下の壁一面に感謝状や勲章が飾られている。
「各国ノ要人達カラノ感謝状デス」
「FBI長官 米国大統領 ロシア書記長ナドノ指導者ノモノバカリデス」
一国の代表者に感謝されるなんて何をしたのか聞いてみたくなりますが、どれもトンデモ無い事をやったんでしょうね。ちなみに、モデルの一人と思われる初見良昭先生の肩書には「ズール族名誉族民」とあるんですけど、何をやったら名誉族民にしてもらえるんでしょう。サッカーのワールドカップで決勝トーナメントまで連れていくぐらいしないと貰えない気がするんですけど…。本当にスゲェ事やって感謝されていそうだ…
この場合、FBIや大統領に感謝されている訳だし、最凶死刑囚たちを捕まえたのはマスター国松ではないかと思ってしまう。
連中の事だし捕まっても、死ぬまで敗北を認めなさそうだし、それほど矛盾は生じない気がします。
「遠いところへわざわざ」
「ようこそおいで下さった」
「国松デス」
そして、満を持してマスター国松、普段着で登場だッ!
かなりの高齢者のようで、頭髪は寂しげでシワも深い。
左腕の袖が揺れている。隻腕なのだ。
メガネの奥で斜視が動く。どこを見ているのかわかり難く、不気味な印象がある。
「茶の間もないことはないんじゃが ―――――――――――」
「ワシャ どーも道場の方が落ちついて…… カッカッカッ」
本人は落ちつくと言っていますが、壁には剣・槍・手裏剣・拳銃などが飾ってあって普通の人なら絶対に落ち着かない場所と言えます。
この時点で、マスター国松は圧倒的有利な地の利を得ているわけです。得てどうすると言う感じもしますが、マスター国松にしてみると訳の判らん客を相手にすので、多少は精神的優位なポジションを確保しておきたいのでしょう。
一方の御老公は出されたお茶をすすり落ち着きを取り戻そうとする。
その時、湯のみを持つマスター国松の手に気がつくのだった。
何度も爪を剥がして重ね鍛え上げたと思われる、板のように厚みのある爪だった。
(なんちゅう手だ…………………ッッッ)
(人間の手じゃないッッ)
(まるで猛禽類ッッ)
しかもタバコをふかしていると見せかけて、吸っているのは大麻だったりする。
臭いだけで大麻と見破ったミッちゃんも相当なものだと思うが、初対面の人の前で堂々と大麻を吸ってみせるマスター国松はもっとただ者じゃない。
「まァ〜〜 一口に空道つっても」
「内容は様々ですからなァ〜〜〜〜…」
「空掌 毒手 活手 殺手 縛法………」
「まァ…… 平たく言やあ殺人術ですで」
「ウヒァヒァヒァヒァ」
字だけではどんな技なのか判らない物も多いが、その辺も聞く人を煙に巻くようにワザと判りにくく説明しているのかも知れません。
手の内を見せると言う事は自分にとって不利になるので、情報封鎖を謀っているのでしょうか。
とりあえず、「空掌」の実演と言う事で何故か用意してあったボーリングの玉に手を当て玉を引っ付けたまま持ち上げる。
なんでボーリングの玉がこの道場に置いてあるのか謎ですが、手の中に真空を作ってその吸着力で持ち上げているそうです。
「こういう滑らかなのは比較的カンタンじゃが」
「柔らかくて軽くて粗いものになるにつれ難しい」
「昔の弟子で一人 天才がいましてなぁ」
「そいつァ空中で和紙を掌(てのひら)に吸い付けちまう」
「そんな掌で呼吸器ふさがれちまったら」
「そらエラいこっちゃ」
ボーリングの玉でも十分ビックリ人間大賞クラスだと思いますが、この能力で呼吸器をふさがれたら確かにエラいこっちゃです。
昔の弟子で天才と言うと、ある人物を連想しますが、たぶん重要な事では無いでしょう。ちなみに連想したのは本部門下の天才弟子・花田のことです。
ちなみに背景に出てくる壁に飾られた武器ですが、手裏剣など小さい武器は日本製っぽいですし、アフリカ系のナイフもチラッと見えますが、大きい物は西洋系の武器が多いようです。どちらにしても銃刀法違反は大丈夫なのでしょうか。平気で拳銃を飾っているんですけど…
大麻の件もありますし、捕まったらかなりヤバイ物ばかりが転がっています。
「国松門下最強の実力者というと…?」
「柳 龍光でしょうな」
「ほらさっき話した和紙の………」
「あれ柳です」
「なかでも柳の毒手の腕と言ったら………」
「ドクシュ…」
「アンタら素人さんは知らんでもいいことですがな」
「ヒャヒャヒャヒャヒャ」
自分で毒手と言って置きながら、聞き返されると、ギョロリと目を光らせ笑ってごまかしてしまう。本当に油断なら無ぬ男です。
御老公の目的は柳龍光の情報を集める事にあったようですが、柳の底知れぬ不気味さを再確認するだけに終わったようです。
「そうそうこの腕…」
「これも柳に落とされたんですわ」
「ヒャヒャヒャヒャア」
ダウナー系の大麻を吸って、なおこのハイテンション。もし素面になったら、どこまではしゃぐのでしょうか…
柳が自分の腕を落としたと楽しげに笑いながら話しているのも不気味過ぎます。
さすがの御老公も、これには冷や汗を流すしかなかった。
場面は変わって、柳龍光が道場に正座している。
狭い板の間だが、壁には日本刀や木刀が架けられており、マスター国松の落とされた腕の骨が飾られている。骨になっても猛禽の爪は健在でちゃんとくっついている。切り口の部分は筋か何かがついており鋭利な切断とは違うようだ。
目の前に置かれた紙に精神を集中する柳龍光。
手を置き、持ち上げるだけで紙がくっついてくる。恐るべき天才の「空掌」だ。最後に残った最凶死刑囚・柳龍光。その実力はまだまだ未知数だ。
今回の新キャラ・マスター国松は伝説の達人・高松寿嗣先生がモデルのようです。高松先生の顔と猛禽の手に、後継者である初見良昭先生(武神館武道)のエピソードを加えたのが今回の国松先生ではないでしょうか。
初見先生をベースにしなかったのは、やっぱり生きていて面識のある人をモデルにするのには差し障りがあるからでは無いでしょうか。
ヘタに描いちゃうと呼び出されて「漫画読ませてもらいましたが、技の理解がまだ浅いですね。折角ですから簡単に教えますよ、体に」などと言われそうですし。
それはともかく、克巳とドイルの微妙な関係はその後、どうなったか不明のまま柳編に入ったようです。
こうなると渋川&オリバの出番が近いのでは無いかと言う気もしますが、それは次回からのお楽しみでしょう。
今までの傾向からすると、本命の前に懐かしのキャラクターが噛ませ犬として登場する可能性があります。と言うか、すでにジャック兄さんがスタンバイしていますね。
ジャックではさすがに豪華すぎるので、国松先生が各国に散らばる弟子の中からボディーガード代表と傭兵代表を選び、天内&ガイアの勝ち目薄そうなコンビが再登場と言う可能性も高そうです。
どちらにしても、再来週のお楽しみですね。
2002年7月4日(32号)
バキはお休み
「HUNTER×HUNTER」のファンサイトの人は大変だなぁ、と思う今日この頃です。
さすがに隔週連載が続くと寂しいのですが、たぶん次回から元のペースに戻ると思われます。
寂しいと言えば、今週は「フルアヘッド! ココ」が最終回でした。
でも、1ヶ月後に新連載が開始らしい。まだまだ未知の世界を残しつつの最終回ですが、米原先生はバイクとか車が描きたくなったのかもしれませんね。
前回から7年経が経ち子供たちは成長しましたが、大人はあまり老けていません。…デッドの姿が見えませんが。
そう言えば、ココの使っていた剣はデッドの剣ですね。代理出演でしょうか。
5年4ヶ月の長期連載でしたから、終わりに関して、色々と感慨深いものがありました。
来週は「BM〜ネクタール〜」の最終回だそうで…。チャンピオンからまた濃い作品が消えていきますねェ…。
新連載の「キリエ」ですが、何事もなかったかのように、連載再開していますね。前に比べて、ギャル率が急激に上昇していますが、わたしは一向にかまわんッッ!
そして、次号には「A.-D.O.G.S」の鈴木ダイ先生が読み切りを描くそうです。「衝撃のゴシック・ロリータ・バイオレンス読み切り32P(ページ)!!」だそうですが、どこに重点が置かれたキャッチコピーなのかさっぱり分かりません。私には難しすぎる…。
ちなみに、「ゴシック式」だと「ヨーロッパ中世の美術様式」だそうです。ますますワカラン…。でも、ニシキ顔のヒロインの絵だけで、ものすごく期待しちゃっています。
こんな短期間で読み切りを描くと言う事は「A.-D.O.G.S」は決して不人気ではなかったと言う事なのでしょうか。と、なると人気以外になにか問題が生じて連載休止になったのかも。
ついでに新創刊するらしい月刊誌「チャンピオンRED」ですが、伯林先生や元いたがきぐみの富沢ひとし先生も連載を始めるようです。
富沢先生は「エイリアン9」の続編のようですが、グラップラー刃牙の29巻に予告を出した「電気郎」をいつか描いてもらいたいです。ちなみにこの絵は「肥前屋十兵衛」と「エイリアン9」の中間の絵柄で富沢先生の歴史がわかる貴重な絵です。
他にも美少女系の作家がちらほらいますが、その中に石川賢先生とかがいるのが、なんか非常にチャンピオンらしいです。
そう言えば「ハングリーハート」のアニメ化など、最近のチャンピオンはなんか路線がメチャクチャと言う気がします。
そんな「HUNTER×HUNTER」以上に連載率の低い上に、コミックスが1冊も出ていない作品をアニメ化して大丈夫なんだろうか…
ここで、先週のおさらいです。
まず、国木田さんから大麻について以下の指摘がありました。
『>ダウナー系の大麻を吸って、なおこのハイテンション。
とありますが先に結論から言いますと
必ずしもアッパー/ダウナーの語感と気分の高揚等は一致しません
麻薬を分類するときに使われるのは主に
ダウナー(抑制)/アッパー(興奮)/サイケデリック(幻覚) の三種ですが
どれもスラングで正式な医学用語ではありませんから
色々な意味が含まれていますが一般には肉体への作用をいうものです
(サイケデリックだけは精神的な作用といえますが)
アッパー:(主に)肉体的な興奮作用
効果としては交感神経の過剰優位、血圧脈拍上昇,瞳孔散大,血管収縮等
ダウナー:(主に)肉体的な鎮静作用
効果としては大脳新皮質の抑制=理性・知性の抑制(結果として本性が覚醒)
を意味するのが通常だと思います
(もちろん日常使われる単語としてはこの中には精神的な作用も含まれますが)
例を上げると
お酒(アルコール)はダウナーに分類され痛みや苦痛を和らげる作用がありますが
例外はあるものの陽気になる人が多いのはご存知のとおりだと思います
あと今回の大麻についてですが
肉体的な作用としてはダウナーに分類されますが
精神的には高揚も抑制もどちらでも起こり得ます>セッティング次第とも言える
(すごくハイになる人がいる反面、おとなしくなって黙り込んだりと)
また服用してもまったく効果の得られない人も少なからずいるようです
一般に常用する人ほど精神的高揚が得られやすいともいいますが>マスター国松もきっと
これはバッドトリップした人は再度手を出しにくいからとも考えられます
ところで湯飲みの模様が気になったのはうちだけじゃないはず
指で削り取ったにしては一番下の模様は向きがおかしいけど』
どちらにしても、国松先生は法の破壊者のような生活をしていそうですね。
ご指摘ありがとうございました。
先週は時間が無くて書かなかったのですが「毒手」について幾つか思う所があります。
まず柳の通り名は「猛毒 柳」です。これは渋川先生が45話で言っています。
ところが、47話では、刑務所内で囚人を実験台にして低酸素の「猛毒」を完成させて「猛毒 柳」と呼ばれるようになったと柳本人が語っています。
おかしい。
渋川先生が「猛毒 柳」の異名を知っているということは、柳が服役する前に「猛毒 柳」と呼ばれていないとおかしいのではないでしょうか。
刑務所内の情報を渋川先生が集めていたとすると、柳の技「低酸素」を知っているはずですが、渋川先生は「猛毒」がどんな技か知らなかった。
そうなると、柳本人は気が付いていなかったかもしれないが「猛毒 柳」の異名は服役前にはつけられていた。そう考えるのが自然です。
次にマスター国松の場合です。
彼は「なかでも柳の毒手の腕と言ったら………」と言っています。
柳が「猛毒」を完成させたのは刑務所内でのことであり、やはりマスター国松には柳の腕を知る事ができません。
それでも、仮に知っていたとします。「なかでも柳の(略)」と言うセリフには「空掌 毒手 活手 殺手 縛法………」と幾つか技があるなかでも柳の毒手は凄い、と柳の実力を良く知った上で評価したものです。
この評価は自分の元で柳が修行していたとき、幾つか技を教えたがなかでも柳の毒手は凄かった、と言う意味で言ったと考えるのが自然だと思います。
柳自身は「低酸素」の技を「毒手」とは称していません。
おそらく、低酸素は「空掌」を応用して柳が完成させた技で、「毒手」とは別の技なのでしょう。
そして「毒手」がどんな技であるかについては、予測不能です。
名前の通り「毒の手」で攻撃する技、では無いでしょう。
藤沢周平の「秘太刀 馬の骨」の解説によると、基本的に武術の秘技は聞いただけではイメージが掴めないものだそうです。
名前を聞いただけで、どんな技かわかってしまうと、実際に闘うとき不利になるからです。
現在の話ですと、SAS(イギリス陸軍特殊空挺部隊:Special Air Service)は対テロなどの特殊部隊なのですが、敵対国を混乱させるため、陸軍所属部隊なのに空軍と誤解させる名前をわざとつけたそうです。
まあ、そう言うわけですから、意表をついて頭突きから始まる技であるかも。
「空掌」は名前のまんまの技でしたが…
柳の低酸素は「息を止めていれば効かないのでは?」と言う疑問が出ている技ですし、弱点が多そうです。
柳の考えとしては、低酸素の怖さを印象付けてフェイントに使い、本命は「毒手」による攻撃にしようと企んでいるのかも。
どちらにしろ、次回に期待ですね。
ヤングチャンピオンの広告には、ちゃんとバキ特別編最終話とあるので心置きなく、来週を迎える事ができそうです。
でも、正直言って、最近「素」で面白いと感じ始めちゃったりして…
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バックナンバー(仮) 今週の餓狼伝(最新版) 今週のグラップラー刃牙(アニメ版)(5月26日更新予定)