今週のバキ 第2部111話〜120話
バックナンバー 今週の餓狼伝(最新版) 今週のグラップラー刃牙(アニメ版)(5月26日更新予定)
2002年1月17日(8号)
第2部 第111話 来いッ!!(491回)
全身から刃を飛び出させ、ヘクター・ドイルが全開モードに入った。
新紐切りの構えを取る鎬昂昇に対し、両腕を下げたまま構えも取らずにドイルが近づいて来る。
そして、キャプテン・ストライダムは2人の対決をただ固唾を飲んで見守るしか無いのだった。…ところで、なんでストライダムさんの顔に血がついているんでしょうね? NG?
「体内に強力なスプリングを内蔵している」
「間合いに入ったら躊躇なく武器を使用するだろう」
一方、全身凶器のドイルに正面から挑む鎬昂昇は冷静にドイルの武器を見極めようとしている。やはり、アゴを外されるような攻撃を受けたのも、間合いを見極めるためにした事だったのかもしれない。
そして、ドイルの「ロケットパンチ(?)」ですが、強力なスプリングと言う説明だけで済まされています。スプリングだとしてもどういうバネなのか、撃った後の伸びたバネをどうやって元に戻すのか、その辺の事も説明が欲しい所です。
と、言っても動き出してしまった二人はそんな些細な疑問では止まらない。
「間合いに…………ッッ」「入った!」
が、動かない。
無表情と言うよりも、呆然とした表情のドイルからは何も読み取れない。開いた口とかすかに傾いた首が痴呆にでもなったかのような印象を見せる。
「来いッッ」「来いッッ」「なぜ来ないッッ」「来れば動くッッ」「即ッッ」
射程距離内と言う緊張からか汗を流し鎬が待つ。だが、動かない。
独歩vs渋川戦のラストのような一撃必殺の攻撃を持ちながら互いに間合いに入り動かないと言うギリギリの対峙だ。
夢枕獏作品ならば、こう言う状況では精神的に追い詰められている方が先に動くと解説が入るところだが…
「なにをしている!」「なぜ動かぬ!」
「どれほど迅(はや)く動こうが」「なにを使用(つか)おうが……」
「武術家のわたしが先に届く」
「手か!?」「肘か!?」「足か!?」「膝か!?」
と、板垣版・餓狼伝10巻に収録されているVOL.74の姫川勉vs松尾象山のシーンのように、鎬昂昇のモノローグを吹き出しと書き文字の同時進行で書き出して見せます。
おそらく、これは餓狼伝を描く上で使用した描写を刃牙に逆輸入したのでしょうが、一瞬の間に錯綜する鎬の焦りと戸惑いを見事に表現していると感じました。
こう言う表現は少女漫画では結構見かける手法です。少女漫画を読みなれないうちは、どの台詞から読んだら良いんだろうと悩みました。
複雑な心の迷いを、複雑な台詞配置にする事で表現する手法は、読者層が若い女性中心の少女漫画ならではの表現ではないかと思います。
で、それを少年漫画にもって来るとこう言う感じになるわけですね。
「ッッこいッッ」
と、精神的に追い詰められたのか、鎬が吠える。
それに呼応するかのようにドイルは右腕をス…と上げる。
「ちェいいいいッッ」
限界まで引き絞られた弓を維持できずに矢が放たれるように、右足を大きく踏みこみ、鎬昂昇の右腕が突き出される。
対するドイルの動きは静。静かに左親指を曲げただけだった。
「カキ」
スイッチが入った。
ドンッ
いきなりの爆裂音。
ドイルの胸から閃光とも爆風ともとれる物が吹き出した。
血飛沫が天井にすら届く。見守るストライダムの顔にも血が飛び散る。
凄まじい衝撃で両者は吹っ飛ぶ。
鎬は顔面をプスプスくすぶらせて床に沈み、ドイルは壁まで吹っ飛び背を打ちつける。
焼けて破れたドイルのシャツの下には防弾チョッキのような物が見える。
指のスイッチと連動していた事から、何らかの爆薬が体に埋めこまれていたと考える事もできるが、起爆用の信号だけを体内から出して爆薬は服と体の間にしかけていたと考えるのが妥当だろう。
そうでないと、1度これを使うたびに外科手術を受け直さなくてはならない。
手術は強化のために必要な事かもしれないが、麻酔にかけられ無防備に刃物で切られるのは敵の多い死刑囚にはあまり取りたくない手段だろう。
そして、ロケットパンチの次がコレ、ブレストファイヤーと言う訳ですか、ハハ。
右目と右眉はかろうじて無事のようですが、顔から上半身までをプスプスと煙に覆われてしまった鎬昂昇を見て、勝利のためなら手段を選ばないはずのストライダムさんも「これが男の闘いと呼べるのか」と、ドイルの非情の手段に疑問を禁じえないのだった。
アゴを外される直前まで爆薬に対しても警戒していたはずの昂昇も、まさか胸から火を吹くとは思っておらず、無念のリタイヤのようです。
で、空手界のリーサルウエポンは何をやっているんでしょうか…。
彼が関わると空手会の実力者がどんどん再起不能になって、偶然とかたずけて良いのかどうかわからないのですが…
そして、もう一つシンクロニシティーと言えば、この人です。
誰かの顔が焼ける時、なぜか彼がイチャついていると言う不思議な偶然性がある。範馬刃牙、自室でパンツ1丁で登場だッ!
なぜか、布団をしいているのに中に入らず、布団の上に寝転がっている。寒いからか、ムサシも布団の上で丸くなっています。
そして、考える事は梢江ちゃんの事だった。
「最愛にくらべたら」「最強なんて」「タカが…知れてる………」
自分の今までの人生を否定するような発言に対し、どう向き合っていくのか、ここが刃牙の正念場です。
と、そこにノックの音が…
やって来たのは当然梢江ちゃん。
「あがって………
いいかな………」
断ったら当然蹴りが入ります。
と、言う訳で次回へ続く。
そして、予想通りと言うべきか、彼女がやってきました。
ファンの誰もが予想し、誰もが望まなかった闘いがついに始まってしまうと言うのだろうか…
なんか、恐怖の大魔王が遅れながらも律儀に来たような気分です。
もはや「盤面この1手」、2人の関係がここまで来たのなら、この話題は避けては通れないのです。
と、言う訳で鎬昂昇の安否も気になりますが、それ以上に刃牙の安否も気になるラストでした。
でも、肝心なところでお父さんが乱入して来ると言う可能性もあるので、希望は捨てずに次回を待ちたいと思います。
ところで、回が増すごとに改造人間率が高まって行くドイルですが、オリバとの闘いの時は、婦警の服を大事にしたかったので爆破は使わなかったのでしょうか?
それとも、やっぱり服の方に爆薬がしかけてあったので、使う事ができなかったのでしょうか?
そして、ドイルの身体能力の高さを現すエピソード、2階へのジャンプなのですが、改造もここまで来ると、あのジャンプもスプリングの力で跳んでいるのでは無いかと疑いたくなります。
2002年1月24日(9号)
第2部 第112話 うれしい…(492回)
今回のタイトルは「うれしい…」です。「うれしい…」ですか…。♥後の会話、ですかね…
先週の引きからして、バキ最大最悪の山場に突入したのかと思いきや、場面はドイルと昂昇の死闘が行われたホテルに戻ります。
「男の闘いじゃねえッッ」
「刃物 スプリング あげ句(く)に爆薬」
「これはファイトじゃない」
ストライダムが吠える。先週はちょっとつぶやいていた程度だった事を、改めて問い詰める。
勝利のためならいかなる手段も用いるであろう軍人であるストライダムでさえ、この闘いは「男の闘い」では無いと怒りを感じている。
ちなみに、鎬昂昇はこの間も地面に転がってプスプスいってます。ストライダムさん、怒る前に昂昇を病院に連れていくと言う選択肢は無かったんですか?
でも、よく見ると昂昇の顔は原型をとどめている様ですし、「当分 葉巻はいらないな……」と言いながら復活すると言う可能性もありそうです。
なお、この武装ラインナップで怒ると言う事は、ドリアンの行為を知れば同様の怒りを持つことでしょう。
ストライダムさんは若き日の勇次郎に生命の危険を承知で握手を求めたりしていますし、かなりの格闘好きです。その格闘好きから見れば、全身武装で闘うドイルの行為は、許せない物だろう。
「ファイト…って」
「どういうのがファイトなんだ……………?」
問い詰められている方のドイルは不思議そうな表情をする。
まるで子供のような、害意の無い顔で切り返され、ストライダムも一瞬言葉に詰まる。
「わたしから質問しよう」
「もし わたしがここで君とファイトになり…」
「わたしが拳銃を抜いたらどうだ」
「え…?」
「使用(つか)えばいいじゃないか」
「勝つために拳銃が必要なら迷わずに使うべきだ」
ストライダムはおそらく意地悪のつもりで質問をしたのだろうが、あっさりと銃を使えば良いと答えられる。確かにドイルは脱獄の時に敢えて看守に銃を使わせ、それを打ち破り勝利をしている。
ドイルは武器の使用をまったくためらわない。自分も使うし相手が使う事も気にしていない。
「君らはカン違いしている」
「わたしはファイターではない」
「世界チャンピオンを目指したり名声を欲しているワケではない」
「わたしだけが知っていればよいことだ」
「わたしの最強をね」
と、改めてドイルは自分の戦闘観を語る。
独歩が聞けば美意識のカケラも無いと思うであろう思想だ。
「最強」=「敗けぬこと」
これを突き詰めて行くと、遠距離から狙撃するスナイパーが最強だとか、核兵器のボタンを押せる大国の大統領が最強とか、そう言う理論が出て来る。ドイルはそう言う思想の元で闘い、己の最強を貫こうとしているようです。
ただし、この思想には欺瞞が隠されています。
「勝つ」ではなく「敗けぬ」を最強の条件にしている事と、「わたしだけが知っていればよい」と言う自分に都合の良い限定の闘いにしている事の2点がそれです。
このルールだと、最強であることは自分だけが知っていれば良いから、強い相手と戦って強さを証明しなくても良いし、「敗けた」と自分で認めない限り「最強」でいられる。自分が勝てないと感じた相手から逃げても「敗けた」と思わなければ「最強」でいられる。
「しかし君は敗北を知りたがっている」
ストライダムはここで敗北を知りたがりながらも勝利を目指す死刑囚たちの矛盾を指摘します。
この矛盾点はすでにドリアン編で指摘されていて、残りの死刑囚たちの行動原理も危うくしてしまいました。
ドイルの答えもドリアンと同じく、全力を尽くして負けた時こそ、敗北を満喫できると言うものでした。
ただ、ドイルの場合はドリアンとは目指す物が多少違うようです。それに付いては、後で書きます。
卑怯な手段を使いながら「ファイターはホントに甘い…………」と笑うドイルにストライダムは怒り・諦め・不快の入り混じったような表情で、冷や汗を流しながら言い捨てる。
「わたしがもし核ミサイルを持っていたなら」
「君に向けてスイッチを押したいところだよ」
「モチロンそれもありさ」
「ただしわたしに仕留(しと)められずにスイッチを押せたらのハナシだ」
と、核兵器相手でも自分の主義を通すと宣言して今週のドイルは退場となります。
核兵器を持っていようが結局は人 対 人の闘いでり、一見危険物を持っていないように見せている自分ならどんな相手だろうと忍び寄って殺せると主張したいようです。
さて、ドイルとドリアンの思想の差ですが、ドリアンは本気で敗北を望んでいたのかもしれませんが、ドイルの場合は逆説的に勝利を望んでいるようです。
「最強」が「敗け」ない事と主張しているドイルにとって、敗北を知ることができない状況は「最強」である条件と同じです。
ドイルは勝利によって最強を証明する必要も無いし、本気で負けたいと思っている訳でも無いので、ムリに勇次郎と闘いたいとも思っていないのでしょう。
この子供っぽい思想や、悪意のない表情などから、ドイルは人格的に幼児性をのこしたまま成長した男なのではないでしょうか。
自分の基準で物事を考える自分勝手な性向は、周囲が自分の思い通りになると思っている幼児の考えに近いと思えます。
ドイルは罪悪感を持つことなく、自分が最強でありたいと言う欲求を理性的に効率良く求めて行く。闘争本能や理性は十分に育っているが社会性が育っていない秩序型の犯罪者です。
ドリアンは強さを求めるうちに、道を見失い迷走した印象があります。
柳には空道を更に完成に近づけるために、自分に敗北が有るのかを知ろうとする求道者的なものを感じます。
それに比べると、ドイルの思想が1番危険ではないでしょうか。負けないためなら何度でも逃げて、使えるのであれば核でも使用し、敵を倒せば自己満足の笑いに浸る。…と言う男であるのなら、勇次郎でも手を焼く存在かもしれません。
ちなみに残りの死刑囚スペックとシコルスキーの敗北観は、語る前に退場しちゃったので良くわかりません……
さて、今週はここからが後半戦!
……………………………………………………………………止めても、いいっスか?(+_+;)
気を取り直して、行きます。
互いに互いの事しか考えられない状態になった刃牙と梢江ちゃん。まさにバカップルここに極まりと言ったところだろう。
「まるで歯痛のように………
なにをしていても梢江が消えない」
と刃牙が呼び捨ててで口説くと、梢江ちゃんも「うれしい……」と答えます。
虫歯にたとえられて嬉しいのか? と言う疑問も世界に二人だけ状態の盲目カップルには届きません。
が、梢江ちゃんは気持ちを伝えたら落ちついたと言い、帰ります。根性無しの刃牙は「泊っていけよ」の一言が言えず、とりあえず危機は回避されます。
ちなみに先週パンツ1丁だった刃牙ですが、今週はさすがにタオルを肩に乗せておめかし(?)をしています。トランクスが刃牙の本気パンツであるのなら、今夜の刃牙はとことん本気だったのでしょうか、あせり過ぎてムサシを布団の上に乗せたままでした。
梢江ちゃんの帰る宣言は「布団から、その小汚ねェクソ犬をどけろやッ!」と言う無言の抗議だったのではないでしょうか?
「またくる………」と再襲撃宣言を残し、超ド級のウルトラ美少女は帰りましたが、刃牙は布団に入っても「こずえ」「こずえ」「こずえ」…と、汗をかいて梢江の名を思い浮かべるばかりです。
そこへ、足音、人の気配、シャンプーの香り、服を脱ぐ音…
そう、ヤツは戻って来た。
松本梢江、下着姿で刃牙の枕元に降臨すッ!
アオリ文句も予告も無し!
もはや編集部も完全沈黙。次回へ続く!
ムサシがいなくなったのを好機ととらえたのでしょうか、とにかく板垣先生は1週程度で楽にさせる気なんてこれっぽっちも無いようです。
今週はページをめくるのが非情に恐い回でした。めくった先に見開きで凄いシーンが有ったらと思うと、読む前から失禁してしまいそうな恐怖があります。
それはそうと、今週のチャンピオンはパンチラ率が非常に高かったのですが、これも梢江効果を少しでも薄めようとする編集部の思いやりなのでしょうか?
あんまり薄まっていませんでしたが…。
今回のラストで、梢江ちゃんが出て来るのと、意表をついて絹江さんが出てきているのとでは、どっちが良かったのでしょうか…
紅葉先生、助けてください。梢江の下着を目の当たりにしたショックのため、泌尿器系が深刻な恐慌(パニック)状態にあるようです。
私は次回、人類史上最凶の完成度を持つ肉体の闘いを目撃しないといけません。
ダイジョーブかな、こんな体調で……
2002年1月31日(10号)
第2部 第113話 緊張(493回)
今週の話をまとめると1行になります。
〜〜今週のあらすじ〜〜〜
梢江と刃牙がイチャつこうとしたら、部屋に勇次郎がいた。
以上、今週のバキでした!
と、シンプルに書き捨てるのを1度やってみたかったのですが、いくらなんでもそれはサボり過ぎですね(^_^;
今週のあらすじは本当に上の通りなんですが、もう少し詳しく突っ込んでいくと…。
まず梢江ちゃんの潜入に、刃牙が悶える。
梢江が裸でいる
―――――――――――――――――
――――――――――――― たぶん
と、百戦錬磨である刃牙も「未知なるモノに恐怖」(今週の「がんばれ酢めし疑獄!!」より)したのか、リアルシャドーとは下着1枚の誤差が生じているようです。
ところで、今週の「がんばれ酢めし疑獄!!」の最後から2コマ目で、台詞を少し変更すると、次のようになります。
正に恐怖の世界だ
どうする? もし初夜の相手が梢江だったら
「とりあえず アイマスクが要るな」
しっかり眠る気かよ
なんとなくシンクロニシティーで、すさんだ心が別の方向へと動き出す笑いがでるかもしれません。
さて、ムサシも固唾を飲んで見守る中で梢江は布団の側で立ち尽くす。まったく動きが無いと言う状況を表すためコピーしたと思われる絵が2コマ続き、梢江はしゃがむ!
き……ッッ
きた〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
もちろんエンドルフィンでは無く梢江ちゃんの事です。布団の中に入ってきます。そして、横を向く刃牙の背中から抱きつく。
ムサシも鼻をピクピクさせて部屋の異変を嗅ぎとる。
そして、刃牙はほとんどパニック状態だった。
入っちゃったよ――――――――――――――
フトンに――――――――ッッ
触れてるっつーか
密着してンじゃん 肌
と、「じゃん」口調がうつっちゃったじゃん、っつーか、そう言う思考をしながらも
「冷ってェ〜」「肌ッ」「柔かい」「下着!?」「全裸じゃない」
「脱がすのか!?」「オレが!!!」
と、前々回(110話)でも使われた餓狼伝風の精神錯乱モノローグです。
未知の恐怖に直面し混乱した精神状態を、複雑な台詞配置にする事で表現する手法は、読者層が若い男性中心の少年チャンピオンならではの表現かもしれません。
そう言えば、状況も前々回に似ています。
刃牙『フトンに…………ッッ 入った!』
梢江『来いッッ、来いッッ! なぜ来ないッッ、来れば動くッッ 即ッッ!
なにをしている! なぜ動かぬ! どれほど迅(はや)く動こうが、なにを使用(つか)おうが……、武術家の娘のわたしが先に届く』
と、言う感じです。
それはともかく、すっかり弱腰の刃牙は動く事もできずに心臓だけをバクバクさせています。
一方の梢江ちゃんは初めてすがりつく刃牙の体の感触に驚く。
「柔らかい……」「筋肉……」「まるで女性のよう………」
「幾人もの巨人を倒してきた鋼鉄の身体(からだ)がこんなにソフト………」
ヨガ行者も裸足で逃げ出す関節の柔らかさを有する刃牙ですが、関節だけでは無く筋肉も柔らかいようです。
偉大なアマレス選手アレキサンダー・カレリンの筋肉はとても柔らかいそうです。1流のアスリートは筋肉もやはり1流と言う事なのか。
そんな刃牙の体を梢江は抱きしめる。
「あなたは誰のものなの……バキくん…………」
「あなたの母親? 父親? ライバル達? 敵?」
「今はわたしのもの」
もう、私に子を生ませろッ! って感じで全力トキメキ状態です。
このシーンだけ見れば萌える要素はあるかも知れないんですけど、私達は10年(!)の年月をかけて「松本梢江は萌えない」と言う認識を育て上げてきました。
今更、こう言うシーンを見せられても、受けつけられない体になっています。これが、女子部・井上さんだったらまだ何とかなったのかもしれませんが…
さて、がっちりと梢江嬢にホールドされ、寝たフリも不自然過ぎると気が付いたバキはついに反撃を決意します。
しかし梢江ちゃんは、刃牙の体の下に手を通して抱きしめているんですけど、それって刃牙が体を浮かせ無いとムリです。パニクっているので本人は気が付いていないんでしょうけど、実はちゃんと動いていたようです。
で、刃牙はついに最後の扉を蹴り破る決断をする。
「ヤッてやるさ………………ッッ」
(何を!?) (セックス)
と、自分ツッコミ(?)をしつつ、振り返り梢江の頭をワシ掴みヤッてやろうと意気込む。
その時、刃牙はいつの間にか部屋に侵入していた勇次郎に気がつくのだった…
相変わらず怒っているのか喜んでいるのかわからない表情の勇次郎が刃牙を見下ろし次回へ続く…
勇次郎さん、眉毛は怒っているんですけど、口元は笑っているんですよね。
息子が色を知る瞬間に立ち会えた喜びか、不甲斐無い息子に対する怒りなのか、どっちなんでしょうか?
しかし、日に2度も侵入を許す馬鹿犬は無事なんでしょうか。部屋のスミで静かに殺されていそうな気が…。
そして、次回は梢江ちゃんの命+貞操の危機が予感されますが、なぜか勇次郎の登場にものすごくホッとしているのは私だけでしょうか?
物語とは、どん底のピンチから逆転して盛り上げるものですが、今週はまさに危機一髪からの逆転劇でした。スペックも、シコルスキーも、そして花山すらも撃退したバカップルもついに解散ソロデビューとなるのでしょうか?
純粋に、次回は楽しみです!
2002年2月7日(11号)
第2部 第114話 親父ッ!!(494回)
全国のファンの期待を一身に集め、範馬勇次郎 降臨すッ!
と言う衝撃のラストから1週間。刃牙と梢江がメルトダウン寸前と言う緊急事態にいったい何をするのか気になる一週間でした。
そして…
◆キミの視線の先には、最強という頂きただ一つ。
と、言うウソ臭いアオリ文句のついた表紙で始まる今週のバキですが、実際に目の前には地上最強の具現者がいて、腕の中には現時点での地上最愛の体現者がいます。はたして、刃牙は無事にこの場面を切り抜けることができるのか…
勇次郎の出現に、とりあえず刃牙は布団を投げ飛ばし梢江ちゃんをガードする体制に入る。
でも、梢江ちゃんを前にして抱きかかえているので、勇次郎に襲われたら最初に殴られるのは梢江ちゃんだろう。生き残る事を最優先とする武道家であるのなら正しい行為なのかもしれませんが……。
驚きのあまりものすごい顔になっている梢江ちゃんの口を手で押さえ絶叫を止めて、刃牙は久々にまじめな表情で勇次郎を睨みつける。
「趣味 悪すぎるぜ」
「倅(せがれ)の情事のぞき見るなんてよォ」
のぞき見に関しては刃牙も前科持ちという気がしますが、2部に入ってからの勇次郎は刃牙のデートを堂々とつけ回す立派なストーカーになっているので、こんな侮蔑の言葉を投げつけられても仕方ありません。
もっとも、女性の「趣味 悪すぎる」と言う意味では、刃牙のほうが上を行っているという気がします。
「クス(はぁと)」
「クスクスクスクス」
「オモシロイことを言う」
今まで「ニィ」と笑うことが多かった勇次郎氏ですが今回は嘲笑とも呼べるクスクス笑いを発して、いかにも面白い事を聞いてしまったというように首を傾け全身を震わせる。
「挑まれた雌に背を向けて震えることを情事と呼ぶなど」
「生物史 始まって以来のことだろうぜ」
あ〜〜〜〜〜っと、突っ込んではイケない部分に突っ込んでしまったぞ、勇次郎ッッ!
さすが傍若無人を地で行く男です。
人が気を使って触れないでいた事にもズブリと突っ込んでしまう。先ほど己の不甲斐無さに自分ツッコミをしまくっていただけに、この台詞は痛烈に刃牙の心をえぐっている事でしょう。
しかし、この台詞で勇次郎が部屋の中をじっとのぞいていてベストのタイミングを見計らっていた事がわかります。なんかこの台詞を言うためにわざわざ刃牙が梢江ちゃんに反撃する寸前まで邪魔をするのを我慢していたとすら思えます。
なお、このキッツイお言葉のショックで刃牙は梢江の口を覆う手をはずしてしまい、梢江は叫ぶ事を忘れ、ムサシは部屋のスミでブルブル震えます。
そして、ここからが今夜の目的となる勇次郎的お説教の開始です。
「伝える事がある」
「キサマが女(いろ)と戯れる日々に……」
「もの知らぬ浅はかな者供があれこれと世話を焼きたがるだろう」
「毒にも薬にもならぬ駄菓子のごとき助言」
「いらぬ世話をッッッ」
「一切聞く耳を持つなッ」
「禁欲の果てにたどりつく境地など」
「高が知れたものッッ」
「強くなりたくば喰らえ!!!」(注:見開き)
「朝も昼も夜もなく喰らえッッッッ」
「食前食後にその肉を喰らえッッ」
「飽くまで喰らえッッ 飽き果てるまで喰らえッッ」
「喰らって喰らって喰らい尽くせッッ」
と、7ページに渡っての大熱弁。非常に勇次郎らしい無茶を超えた無謀な理論をぶちまける。
とりあえず勇次郎は禁煙はしていない様ですし、己の欲望に忠実であると言う点では、この言葉通りの事を実行しているのかもしれません。
空手道拳道会総帥の中村日出夫先生はタバコが人体に及ぼす影響を自身の体で検証するために1日に200本のタバコを吸っていたそうですが、勇次郎もそれに習い『やるなら徹底的にやれ』と言うつもりで言っているのかもしれません。
何しろ、朝昼晩・食前食後ですからね。副作用の少ない薬だって、ここまで服用するのはお勧めできません。しかも、相手は松本梢江です。これでは、吐いては喰い喰っては吐くと言う、かつての中世貴族のような堕落した無限地獄的生活を送れといっているようなものです。
でも、刃牙が梢江ちゃんとイチャつこうとした時、イチバン邪魔をしていたのが勇次郎であると言う気もするのですが…
これは「俺を押しのけてでもHしてみせろ」と言う勇次郎の期待の表れなのかも。
なお「駄菓子のごとき助言」と言うのは私も含めた刃牙ファンのブーイングも含まれていると思います。もしかすると板垣先生は勇次郎にこの台詞を言わせるために刃牙に腑抜け切らせていたのかもしれません。
事実がどうであれ、ここまで無茶な事を言われて刃牙も思わず「バカな…」と言うしかありません。話がムチャクチャ過ぎてどの辺に対して「バカな…」と言っているのかすらわかりませんが……
やっぱり梢江ちゃんにハァハァしていたものの、格闘者として罪悪感が心の何処かにあったのでしょうか。
かなり深刻そうな表情で汗をかいています。
そうして悩んでいる刃牙はとりあえず無視して、勇次郎の標的は梢江ちゃんにうつります。
「梢江とやら…」
「自己を高めろ」「雌として」
飽き果てるまで喰らわせつつも――――――――
「足りぬ」
雌であれ!!!
「喰らい尽くせぬ女であれ」
と、なんと息子の恋人に恋愛指導(?)まで行う細やかな心遣い。まさに地上最強の親バカ・範馬勇次郎です。
ちなみに、この一連の台詞を梢江ちゃんは呆けた表情で聞いていますが、いきなり変な事を言われて脳がついて行けていないのか、パパの人間力の深さと広さに一発で惚れて息子を捨てて親父に走ろうと考えているのか、謎のままです。
ところで「喰らい尽くせぬ女」と言うのはまさに江珠の事だったのでは無いでしょうか。
刃牙と勇次郎の闘いで、江珠が最後に母性を取り戻すと言うのは勇次郎の計算に入っていなかった様ですし、江珠と言う人間の底は勇次郎でも計りきれなかったのかも知れません。
逆にジェーンは正体が判明して喰った後は足りてしまったから、アッサリと捨てたのでしょうか。
どちらにしろ、梢江ちゃんに範馬流の花嫁修行を教えたようです。
「祝福するぜ」「二人とも」
と、一方的に言いたい事を、言いたいだけ言って勇次郎は退場します。
入った時の侵入方法が謎でしたが、退出方法は更に謎。ドアの前からフッっと消える。まるで超能力者か忍者です。
こうして、範馬勇次郎と言う超ド級の暴風雨が過ぎ去りました。
勇次郎のお墨付きをもらったバカップルですが、ここまで場を荒らされては次回でHをする気力も無さそうです。果たして、今後の展開はどうなるのでしょうか?
しかし、勇次郎の発言の真意はどこにあるんでしょうか。
とりあえず「強くなりたくば喰らえ!!!」と言っているように、刃牙に強くなってもらいたいと言うのが本心のようです。色を知るのはそのためのステップの1つなのかも知れません。
ついでのはずみで初孫ゲットと言う狙いもあるかもしれませんが、勇次郎は元々SEXより水より酸素より闘争を求める男なんですから、最終的な目標は刃牙を強くして美味しく頂くと言う所にあるのは間違い無いでしょう。
最強を目指すには色を知り尽くした後に、強さへの渇望が沸きあがる事が必要なのかもしれません。
細谷不二彦のボクシング漫画「太郎」では、視覚を鍛えるのに有効なのは、聴覚・味覚などの視覚以外の感覚を鍛える事が必要だと(この説明の合間にベッドシーン ^_^;)ありましたが、勇次郎も刃牙の感覚を研ぎ澄ますために2人をけしかけているのかもしれません。
ところで個人的に心配していたムサシは部屋のスミでガタガタ震えていただけですんでいたようです。まあ、尿とかフンとか漏らしているかも知れませんが…
2002年2月14日(12号)
第2部 第115話 約束(495回)
父親である範馬勇次郎の説教を受け刃牙と梢江は呆然としたまま固まっている。
アオリ文句や前号までのあらすじでは「強さへの超確信」と表現されていますが、確信と言うか妄信と言うか、常人には百年たっても理解不能です。
あまりのショックに脳が活動停止している刃牙&梢江だが、最初に正気を取り戻したのは梢江の方だった。
「……………喰らえって……………」
「喰らう………」「……の?」
と、顔を見合わせて尋ねる。
布団の上に座って下着姿のままの質問に、健康な男子ならかなりドキドキもんの状態ですが、勇次郎来襲の直後で相手があの松本梢江ではさすがの刃牙でも荷が重過ぎると言うものです。
そんな、ちっともロマンチックな雰囲気で無くても刃牙は頑張ります。
「やるよ」
「君とセックスをする」
ついに口に出しちゃいました。
さっきまでは「挑まれた雌に背を向けて震え」ていたのですが、偉大な鬼父(パパ)のエールに背を押されたのか急に大胆な宣言です。
と、言っても勇次郎の「強くなりたくば喰らえ!」宣言の後だけに梢江も疑り深くなっている。
「強くなりたいから?」
「ちがう」
と、それに対して刃牙が即答する。
「したいから」
「オレが君と―――――― 」
「梢江とだけしたいからする」
「親父の言葉―――――― それはそれ」
「それとこれとは無関係だ」
と力説する。まぁ、ここで力説しとかんとGoodエンディングには行けません。
この言葉に梢江も納得し、なぜかムサシも落ちつきを取り戻す?
……なんで、このシーンにムサシのカットが入っているんだ? コマが余ったのか、梢江の心情の変化を表す風景描写代わりに震えていないムサシを使ったのか?
アニメ化して分かったのですが、刃牙は話自体はシンプルなのですが台詞回しやカット割りなどは読者に想像の余地を残している高度な作りをしています。(感性で描いているだけと言う説もありますが…)
この辺を谷田部監督が再びアニメ化してくれるのなら説明口調の台詞で谷田部流解説をしてくれるのでしょうが…。
「次」
「次回二人が会うとき 俺は君とする」
そして、今すぐできない事情があるのか、勇次郎のせいで興がそがれたのか知りませんが、取り合えずバトルは次回へ持ち越しとなりました。
花山の「明日 範馬刃牙を殺す…!」に匹敵する力強いお言葉で今回は幕となり、梢江ちゃんも「うん」と可憐(?)に頷くのだった。
一方、場面は中華料理屋の「広州酒家」へ変わる。
ちなみにグラップラー刃牙2巻で独歩と加藤が食事をした中華料理屋とは作りは似ていますが違う店です。
ここで1人食事をしていたのは大きなお子さんを保護していらい行方知れずになっていた烈海王でした。
食後のお茶を飲み一息ついていますが、育児疲れでもあるのでしょうか。
ちなみに店名の「広州酒家」は中国に実在するお店で、広州の四大酒家の1つと言われる老舗です。
広州とは広東(カントン)省の事を言い、香港の辺りになります。香港からやって来た事になっている烈海王には馴染みの料理なのでしょう。
老舗だけにお値段も高めだと思われますが、神心会が代理コーチを呼ぶほど指導をサボリまくっていると推定される烈先生ですが、彼の食費はどこから出ているのでしょうか。
まあ、当然のように我が意を通して克巳あたりに払わせているんでしょうけど。
その烈先生の横を給仕が通る。運ぶは「火考(火偏に考)乳豬(子豚の丸焼き)」です。
運ばれた先には男が1人で座っている。
「火考 乳豬(子豚の丸焼き)を一人で食するのか……」
飯を食ったばかりだと言うのになんとなく人の食事を物欲しそうに見ています。
さすが、闘・食・性などの本能に根ざすものを追求する執念は他国民の追随を許さない中国人です。烈先生も「喰らって喰らって喰らい尽く」すタイプのお人なんでしょうか?
それはそれで、豚の丸焼きを食す男の様子を観察します。この辺はいついかなる時も闘う事が頭から離れない格闘士としての性だと思われます。
「大きい…………………………」
「2メートル……いや」
「2メートル10センチ…それ以上……」
座っている人間の身長は分かりにくいものですが、それでもサイズを読む所に海王としての眼力と経歴がうかがえます。
と、その大男が立ち上がる。
「空!?」
「火考 乳豬(子豚の丸焼き)がものの10秒で!!!」
なんと、あの烈海王が冷や汗を流す早業だ。
1人で食べ切ると言う大食いの要素もさる事ながら、その早食いの速度も人知を超えている。
そして、その大食い早食いの大男が烈のテーブルの前で足を止める。
「何の用かな……………」
「思い出したぜ」
「どこかで見た顔だと思った…………………」
「東京ドーム地下スタジアムだ……………
トーナメント…」
「君は……」
「ジャック・ハンマー!!?」
「別人じゃないかまるでッッ」
いや、あんま変わってねェーよ、と思いつつもマッチョな体に戻ったジャック・ハンマーが復活ッッ!!
さすが、病み上がりのベストコンディション。板垣先生も全開で飛ばしています。
それにしても20歳前後のはずのジャックが、193センチから210センチ強に成長すると言う凄まじい復活劇です。さらに、頚動脈を噛み切られたはずが、なぜかノドの中央に傷跡が残っていると言う理不尽さも合わせています。
生え揃っている歯を自慢気に見せていますが、この歯で豚の丸焼きをバリボリ喰らったのでしょう。
突っ込むまでもなく、人間の永久歯は1度抜けたら生えてきません。刃牙と同じく、範馬一族挿し歯疑惑が再び浮上です。本部さんのように総入れ歯宣言をする日も近い?
さて、ここに来て嬉しいキャラクターの復活となりました。
薬物を克服して、死と隣り合わせの危険な体を手に入れたジャックですが、入院中にパーフェクトナチュラルパワーの体に改造したのでしょうか。
勇次郎は、ジャックでは無く刃牙の方に期待をかけているようなフシがありますが、薬物の使用が理由の1つであるなら、ジャックはさらに勇次郎に近づいた事になります。
これで、ますます主人公として刃牙の立場が無くなりそうです。
今後の展開ですが、ジャックの目的は範馬勇次郎を倒す事にあります。つまり、勇次郎と近しい関係にあるオリバと闘う可能性があります。
そして、オリバの背後にはかつてジャックに敗れた男・渋川剛気の影が…
柳に敗れた事を忘れず、街中をやかんを持って徘徊した達人です。ジャックに対しても何らかの行動を起こす可能性が十分に考えられます。
と言うか次回の刃牙の行動を考えるよりもずっと健全です。
次回の刃牙といえば、刃牙と梢江は同じ学校に通っているし、同じ敷地内に暮らしているんだから嫌でも次の朝には顔を合わすはずなんですが…。
考えられる展開としては…
1.トレーニング後に裸で水浴びをしている刃牙の輝くボディを見ちまってコーフンした梢江と、その場で…
2.絹代さんが朝食を作っていると、窓からいつもより高い位置に梢江の頭が見える。不審に思って外を覗くと、刃牙と梢江が駅弁スタイルで…
3.時間になっても起きてこない刃牙に対し絹代さんは梢江に「なかの様子をみてこい」と命令する。「イェッサー」と梢江は部屋に入る。
「シィィット」
勇次郎+ジェーン状態で出て来た刃牙と梢江に対峙し、絹代さんはドスを取り出すのだった。
4.教室にて「範馬と松本は休みか?」
いきなり開くドア。
「シィィット」(以下略)
さて、どのプレイがイチバン嫌でしょうか?
私としては、警察官に呼び止められ「もうすこしだけ続けさせてくださいッッ」と泣きながら街中を走り回る、ぐらいハジけちゃってくれた方が良いです。
2002年2月21日(13号)
第2部 第116話 強者への執念(496回)
ジャック・ハンマーの奇跡の大復活を目撃し烈海王は驚愕する。つま先から胸元に、そして顔をじっくりと見回してジャックが本物であるかどうかを確かめようとする。
結論……
「体格がまるで違うじゃないかッッ」
「なにより身長がッッ」
「10センチ………」
「イヤ20センチ……か!?」
と、思いながらも最近多用している錯乱風の自分ツッコミも織り交ぜます。
「別人!?」
「3人めの兄弟!?」
「しかしわたしを知っている…ッッ」
あの烈先生ですら困惑する驚異の成長です。
3人目の兄弟と言う疑惑が妙に笑えるのですが、勇次郎なら朝も昼も夜もなく食前食後食中に飽くまで喰らい尽くしていそうな性生活を営んでいてもおかしくなさそうなので、聖闘士星矢のように100人の兄弟がいてもまったく不自然ではありません。少年誌やTVアニメとして世に広めるのに倫理上の問題があるかもしれませんが…
どちらにしても、中国拳法の最高峰である海王の称号を持つ烈小龍ですら汗を流さずにいられない怪奇現象がジャックの身の上に起きたようです。
「シークレット………………… 上げ底の靴………………?」
「バカなッ」
自分で思いついておいて、「バカなッ」も無いのですが今の烈先生はまともな精神状態では無いようです。
あまりの困惑に先週からお茶を持ったまま呆然としています。そして、湯のみを机に置く事も忘れ、去っていくジャック・ハンマーを立って見送るのでした。
「打撃格闘技において身長は重要な要素(ファクター)を占める」
「功夫(クンフー)を極めた烈 海王がよもや身長を見誤ろうわけもなく――――――」
「成人を迎えた者の身長が延びるなどということが果たして………………」
そして烈先生は驚き役として出ただけだったようです。
しかし、身長が延びた理由を「範馬の血」に求めなかったのは好感の持てる態度でした。やっぱり、範馬一族もそこまでバケモノと言う訳では無いんですね。
範馬一族なんだから背が伸びて歯も生えるかも、と思考を放棄しかけてしまった私よりもずっと常識的なツッコミでした。
特にシークレット・シューズと言う発想がすぐに出て来たのが意外です。176センチと刃牙の登場人物の中では小柄な方の烈だけに、ひょっとすると通過済みのアイテムだったのかもしれません。
さて、酸素マスクをつけ包帯巻きになっている鎬昂昇と、弟のカルテを見る鎬紅葉のいる病院に場面は移ります。
無言でカルテを見る鎬紅葉の事を昂昇の担当医師が不安そうに見守っています。
「適切な処置ではないでしょうか」
「この病院に運ばれた弟は幸運でした」
さわやかな笑顔で医師に語りかける。そこには人体実験まがいの事をしてアニメ放送の際に設定を変えられてしまった狂医師の姿はありません。
これを聞いて、医者もホッと一息つきます。
「イヤァ 緊張するものです」
「実物のDr.鎬にカルテを見られるのは」
そりゃそうでしょう、巧妙なカルテの操作に関しては世界トップクラスの実力を持つといわれる紅葉です。その気になれば、白を黒と言いくるめ、カルテ1つから賠償金をひねり出す事ができそうです。
まあ、今の彼には破れえぬ口約束があります。医者の仕事はサボリがちのようですが、かなり善良な人になったものです。
「爆発物の使用による決着……………」
「これが格闘技の試合だったならば 良し悪しの判定は議論を待たない」
「しかし――――」
「昂昇が自ら踏み込んだこれは」
「試合などという生易しいものではない」
と>毎度の事ながら、白格闘と黒格闘の違いに突っ込んでくれます。
ただ、昂昇は目元は無事のようですし、こうして心配してくれる肉親がいて、敗北後もちゃんと誌面に登場できるだけ幸せです。
独歩や末堂なんて、紙面に出てこなくなったわ、身内のはずの克巳は見舞いにも行かずに好き勝手な事をしているわで不幸過ぎです。
しかし、武道と言うものが護身術であるのなら、不当な暴力から自分や家族・友人・恋人の身を守る事が必要であると思います。
つまり、爆発物に対する警戒が甘かった昂昇は武道家としてまだ功が成っていないのでは無いでしょうか。
まだまだ、烈海王の境地は遠いようです。
当然、この闘いは試合とは言えないものですが、こう言う闘いこそが武の本質に近いのかもしれません。
場面は再び変わり、ジャック・ハンマーが食事をしています。
この人、さっき子豚の丸焼きを喰ったばかりだと言うのにまたメシを喰っています。朝も昼も夜もなく飽くまで喰らうつもりなんでしょうか…。
サク サクッとTボーンステーキの食べ残しらしき骨だけを喰ってウエイターを驚かせています。
プロレスラーかと思われているようですが、プロレスラーでもここまでムチャな食べ方はしないと思います。
この辺のパフォーマンスと言うか、目立ちたがりな所は範馬一族の特徴なのでしょうか。
キスをする時は人通りの多い道や後をつける人の前で、ストーカーをするなら道の真ん中から堂々と、そしてメシを喰う時は極力目立つように。そんな無言の主張を感じます。
そして、骨喰う男ジャック・ハンマーと同席しているのは先ほど弟の姿を確認していた鎬紅葉であった。
「奇蹟だな」
「骨延長手術の効果がこれほど顕著に現われた例は」
「世界でも空前だろう」
「しかも―――」
「1年に満たぬ時間で20センチ………!!」
「運動能力も一切そこなうことなく――――」
「―――どころか」
「身長に正比例するように延ばしてさえいる」
「骨延長」
病気や粉砕骨折等で骨の一部を欠損した場合に施す手術。
「ボルトの調節(1回転1mm)による仮骨の成長速度は」
「成長期にあって1日1mm 成人に至っては1日0.25〜0.5mmと言うスピードである」
なにやら拷問器具のような機械で、強制的に骨を伸ばしてしまうと言う治療のようです。ジャックは相変わらずムチャをやるのが好きみたいです。
絵を見る限りでは骨を直接固定して引っ張りながら成長させているようです。
意外な事ですが、骨と言うのは常に作り替えられているそうです。年をとるとかかりやすい病気に骨粗鬆症(こつそしょうしょう)がありますが、これは古い骨を破棄する能力に対して、新しい骨を作る能力が追いつかなくなるために起こる症状だそうです。
ちなみに骨粗鬆症の原因の一つにはステロイドの摂取があるのですが、ジャックは麻薬捜査犬がダースで群がりそうなぐらいのヤク漬けでありながら、骨の再製能力は落ちていないようです。やっぱり、範馬一族はただ者ではありません。
「重傷にあえぐジャックが紅葉に希望した骨延長手術は―――――――――――」
「両腕 両脚各2ヶ所ずつ都合8ヶ所切断による延長と言う非常識であった」
「たった1ヶ所の延長でも毎夜襲いくる圧痛に耐えかね」
「二度目の手術を断念する患者もいるのに」
「ジャック範馬 まさに君だけの発想だ」
やっぱりマッドサイエンティストとしての血が騒ぐのか、鎬紅葉も大絶賛しております。
20センチ身長が伸びたと言う事は、1ヶ所につき10センチ伸びている事になります。成長期を終えている人なら本当は400日から200日の日数が必要みたいなのですが、それを1年足らずで成し遂げてしまうのがジャックの恐ろしいところです。
普通なら、治療中はロクに運動ができずに筋肉が落ちるので、リハビリに時間がかかりそうなものですが、これも日に30時間のリハビリと言う矛盾で解決したのでしょうか。
グラップラー刃牙では無駄に身長が高くても良い事が無い世界なので、ちょっと心配ですが取り合えずジャックの完全を超えた完全復活にイヤでも期待が盛り上がります。
「兄弟愛(ブラザーシップ)には興味がないが………………」
「俺がアンタの仇を打つことになるだろうな」
ジャックがドイルに対しての戦意をうかがわせ笑い、今週は幕となる。
身長が伸びたのは良いのですが、歯はどうした?
体内に機械を埋めこみ凶器と化したドイルに対し、体を最先端技術を用いて改造し凶器となったジャックの対決は見ごたえがありそうです。
ドイルとの闘いも勇次郎との決戦の前のトレーニングのつもりなのでしょうが、新ジャック・ハンマーの闘い振りがどう変わるのかに注目していきたいです。
今回の骨延長手術と言うのは板垣先生が空手(大道塾)の加藤清尚選手と対談した経験が生かされているのかもしれません。
加藤選手は交通事故で開放性粉砕骨折になり膝と足首の間の骨が10センチくらい無くなってしまったそうですが、そこから復帰されています。
加藤選手の無くなった10センチの骨は骨延長手術で回復したものと思われますが、その長さがジャックが伸ばした骨の長さと同じ所にこだわりを感じます。
今週の「鉄拳伝タフ」でも人体改造っぽい関節捻りの強化をやっていたのが密かなシンクロニシティーですが、こう言う人体改造は中国拳法ではやっていないのでしょうか?
烈先生は驚いていましたが、中国4千年の歴史の中ではそれくらいの事をやっていそうです。
人体改造の有名どころでは女性の足を小さくする纏足(てんそく)がありますが、幼児の時に髪を強制的に剃る事で頭髪を増やすと言った事もやっていたそうです。
琉球唐手では強い指先を得るために指をわざと折ったりする事もあるらしいですが、中国拳法ならもっとムチャな事もやっていそうな気がします。偏見かもしれませんが…
なお纏足については「ワイルドスワン」と言う本に詳しい事が載っています。祖母、母、著者の3代に渡る伝記なのですが、著者の祖母が纏足だったので生々しい記述が書かれています。
さて、そんな中国人の烈老師(中国では若くても「先生」は老師と呼ぶ)ですが、本当に驚くだけで退場なのでしょうか?
ぜひドイルとジャックのバトルにも姿を見せてもらいたいものです。何しろ死刑囚の動向はしっかりチェックしている人の家に厄介になっているんですから。
ところで刃牙と梢江ちゃんなんですが、前田光世方式でも何でもいいので、早くごく自然に出会って、ごく自然に決着をつけてもらいたいものです。
多分、今までのように次の闘いのクライマックス時に割りこんで来る可能性が高いのですが…
2002年2月28日(14号)
第2部 第117話 なんたる偶然!!(497回)
今週は、なんと烈海王が表紙を飾っています。
刃牙以外の人間が表紙を飾るのは珍しいのですが、それがなんと烈海王とはッッ!
どうなる、今週はッッ!?
と、言う訳で今週は烈先生がエレベーターに乗っている所から始まります。
デパートの中にある本屋からの帰りなのか一般客と一緒に大きなエレベーターに乗っています。
カバンなどを持っていないので、本屋で包んでもらったらしき紙袋を大事そうに右腕で抱えている。
何を買ったんでしょうね、この人…。
と、そこに乗り込んで来たのがヘクター・ドイルだった。
こちらは小さめの紙袋を持っていますが、何を買ったんでしょうか。替え刃か、砥石か、なにかメンテナンス用品を買ったのかもしれません。
それはともかく、数多の人がすれ違う大都会で最も危険な中国人と、最も危険なイギリス人が1つ箱の中に会合するとはッ。
「な…ッ」(by ドイル)
「なんという………ッッ」(by 烈海王)
「偶然!!!」(二人揃って)
「買物帰りの二人が―――」
「偶然出会ったということか」
偶然というなら、偶然この場にいてしまった子連れの奥さんが気の毒です。
「オジさんにらめっこしてる」とのんきに言う息子を「シィッ」と激しく制止します。でも、アンタの声の方がでけぇよ…
「CUBE」と言うビデオには短編の映画(たしか「エレベーター」と言う題)がオマケで付いているのですが、エレベーターに1人で女性が乗っていると、大男が乗り込んできてブルブル震え始め、更にシャツを血だらけにして銃を持っている男が乗りこんできてなにやらパネルを操作してエレベーターを止めてしまい、「安心してください、この血は僕のじゃないですから」と余計不安にしてくれる場面から始まるのですが、このエレベーターの状況はそれに匹敵する緊急自体です。
この場の空気に耐えられなかったのか、親子は5階で途中でおります。
そして、本当に密室に二人っきりになった烈とドイル。
この狭い空間では体を動かすのに邪魔にならないドイルの隠し刃が恐るべき威力を発揮しそうだ。
逆に烈海王にも寸勁と言う間合いを必要としない攻撃方法がある。
ここでいきなりバトル開始かッッ!?
だが、ドイルは優しげとも言える表情を見せる。
「こういう偶然もあるワケだ」
「出会ったが最後」
「闘争開始が約束になっている我々だが――――――」
「こんな場所ではそうもいくまい」
「わたしはかまわん」
一方の烈は待った無し。いきなりこの場で闘いになるのも構わないと宣言する。
ドリアンを倒した後はわりと穏やかに過ごしているのかと思いきや、やはりこの人は蛮勇を振るわずにはいられない人のようです。
烈のこのやる気な発言を聞きドイルは「ク〜〜〜〜〜」っと嬉しくて溜まらなさそうな表情を見せる。
登場したての頃は感情の幅が少なそうなクールな印象があったドイルですが、最近は子供のように表情豊かになっています。
この静と動の入り混じるところが、ドイルの恐い所なのではないだろうか。
そんなやり取りをしているうちに1階につき、二人は黙ってエレベーターを降りる。
ちなみに、いつ戦いが始まるか分からないようなこの状況でも烈先生は利腕と思われる右手で本を抱えています。それだけの価値のある本なのでしょうか。
「このまま別れる―――」
「ってワケにもいくまいし」
「かと言ってこの場でザクザク開始(はじ)めるってのも」
「わたしはかまわん」
二人は今度は衣料品&宝石店の前で睨み合う。
よくしゃべるドイルに対し、一言でたち切る烈の同パターンですが、ここにも駆け引きがあるのかもしれません。
死刑囚たちは相手に話しかけながらスキを見つけて不意打ちをする事が多いと思う。ここでドイルはここでは闘わないと言うような会話をする事で烈のスキを作ろうとしているのではないだろうか。
もし、烈が「確かにここで闘うのは問題だ」と言ったとすれば、その直後にドイルは奇襲を仕掛けるかもしれない。
「わたしはかまわん」と言って戦いの意思を見せる事こそが、この場での戦いを回避する方法ではないだろうか。
「酒でも飲まないか」
ニ……… と笑いドイルが烈を誘う。
場所を変えて烈のスキを探り出そうとするつもりだろうか。それとも単にこの駆け引きをもっと楽しみたいだけなのか…。相変わらずドイルの行動は無邪気と言う印象がある。
そして、二人は「Bar Zcon」と言う店へ。
ここの看板には、機動戦士ガンダム・シリーズのジオン軍の紋章にそっくりな紋章がついていて、さらにコロニー落としの絵が描かれていると言うハイセンスなお店です。
なんとなくドイルが気に入っていると言うのも分かります。
店内に入ったドイルは嬉しそうに天井を見上げていますが、天井にはギレンの絵でも描かれているのでしょうか??
それはともかく、内部はグラスに入れられたロウソクが照明と言う落ちついた雰囲気のお店のようです。
ドイルが注文したと思われるスコッチウイスキーのアードベックが2杯出される。
毒を警戒しているのか、ドイルが口をつけてから烈もグラスを傾ける。
「オレの故郷(クニ)の酒だ」
「クセのあるスコッチだが」
「慣れるにつれヤミツキになる」
クセのあると言う所が毒の混入などをイメージさせて少し危険な感じもしますが、酒そのものは上物のようです。
烈も気に入ったのかちゃんと飲んでいます。
でも、烈先生ならアードベックを飲む時「老酒(ラオチュウ)の方が美味いッ!」と言い出すんじゃないかと、期待していたのですが…。
ドイルのほうは更にタバコもふかし余裕を見せる。
「拳法の達人でも買物するんだな」
「鎬 昂昇を相手に爆薬を使用したそうだな」
別に拳法の達人だろうとなんだろうと買物はすると思いますが、問題は何を買ったかと言う事です。ドイルは遠まわしに何の本を買ったのか訊いているのでしょうか?
そして、烈は見事に話をそらしています。
おかげでまったく会話が噛み合っていません。勢いだけで不自然な会話を進めているようです。
そんなに何を買ったのか触れられるのがイヤなんでしょうか?
「そういう名だったのか あのカラテ家…」
「卑怯(アンフェア)だと言うつもりかな」
「わたしは一向にかまわんッッ」
飲み干したグラスをカウンターに叩きつけ烈が吠える。
いかなる武器を使われようと跳ね返す自信がある故の断言なのか、買った本の内容を知られたくない故のごまかしなのか、とにかく烈は吠えた。
これにはバーテンさんも冷や汗をかくしかない。
エレベーターの親子とは違い、この人は仕事なので逃げ出すわけにいかないのが実に不幸です。
烈の武器の使用も問題無いと言う言葉にドイルは満足そうな笑みを浮かべ、アードベックの残りを口に含む。
そう、ドリアンが得意としていた炎の霧吹きだ。
照明に使われているロウソクを利用し炎を吹きかけようとした時、一閃、ドイルが悲鳴を上げる。
ドイルの左目に刃物が刺さっているッ!
中国の手裏剣である金票(ヒョウ:金偏に票)と言うやつでしょうか、どう考えても眼球が無事では済まなそうに刺さっています。
無言でさらにもう一本、烈は金票を構える。
バーテンも大ビックリのまま次回へ続くッッ。ちなみにこのバーテン下半身が描かれていないのですが、多分失禁しているんでしょうね…。
中国拳法では武器を使った闘いも鍛錬すると言うことですが、死刑囚のお株を奪う武器による奇襲で烈が先制攻撃です。
先週ジャックが参戦を宣言していた所なのですが、思わぬ偶然で烈vsドイル戦の開始になったようです。今後どういう流れになるのか読みにくい状況ですね。
ジャックは、ドイルよりはオリバと闘った方が良いバトルになりそうな気がするのですが、その辺の流れも不透明です。
しかし、烈は何を買ったんでしょうか。
死刑囚の動きはチクイチ把握済みでっせな克巳がいるのに烈が死刑囚と出会う。
これには次のケースが考えられます。
(1)烈は今、神心会の世話になっていない
烈がドリアンを保護しているのなら、神心会から出たと言う事が考えられます。ただ、そうなると生活資金はどうしているのかと言う問題もあり、やや現実性がありません。
(2)克巳が故意に仕組んだ
なんか克巳が動くと誰かが傷ついているような気がするので…
確かに疑わしい所はありますが、証拠はありません。
(3)烈がお忍びで買物に行ったから
誰にもないしょでこっそり買いたかった本があったのかも知れません。
エロ本だったりするとまだ笑い事で済みますが、「モーニング娘。」の写真集だったりするとなんか痛寒いような…
先週の感想でステロイドと骨の関係について書きましたが、それについて、甚助さんから以下の指摘を受けました。
「骨粗鬆症の原因となるステロイドは「副腎皮質ホルモン」といい、
カタボリックステロイドであり、筋肉増強に使われるテストステロン等の
アナボリックホルモンとは全く別物です。ドーピング用のステロイドや
成長ホルモンは、むしろ骨量を増やします(病的なところはありますが)。」
ステロイドの種類を間違えたのは私の勘違いと勉強不足でした。
以前ニュースステーションでパンクラスの船木選手(だったと思う)がドーピングを試したところ筋肉トレの効果が各段に上がったが、筋肉の成長に骨がついていけず簡単に骨折し、皮膚に湿疹が生じたため、以後ドーピングは使わないようにしたと言う話が記憶にあったため勘違いしていたようです。
一応、蛋白同化ステロイド(アナボリックステロイド)の副作用(例1、例2)に骨への障害がありますが、骨粗鬆症の原因となる副腎皮質ステロイドとは別物でした。
誤った記述をした事をお詫びいたします。
今後も変な記述があった時はご指摘下さい。
ただし、ギャグで書いている部分は指摘されても困るので大目に見て下さい。
最後におまけ情報です。
コミックスを買った人は当然知っていると思いますが、いたがきぐみ 公式ホームページができたそうです。
URL(http://members.jcom.home.ne.jp/itagaki-gumi-ltd/ITAGAKI_KEISUKE-OFFICIAL_SITE.htm)が長っ、と思って面倒だった貴方も上のリンクをクリックすれば一発で行けます。
2002年3月7日(15号)
第2部 第118話 怒りの剣撃(498回)
◆怒りの飛金票(手裏剣)がドイルの左眼を奪う!!
烈海王、この男を本気にさせた代償はあまりにも高いッッ!!
と言うアオリ文句で始まる今週のバキですが………、「ひょう」はパソコンだと化けちゃうんだってばっ(-_-;
中国拳法では武器の使用も修行するそうですし、烈海王にとっては飛び道具の使用もあたり前の事なのかもしれません。
沖縄で生まれた「唐手」は、反乱防止のため薩摩藩に武器を取り上げられた島民が護身のために編み出した、と言う話が有名です。こういう事情があるのなら、その祖である中国拳法は空手ほど「素手」にこだわっていないのでは無いでしょうか。
刃物による容赦無い攻撃でドイルは左目を失ったものの、その態度には不思議な余裕すらみえる。
金票が刺さったままと言うのに、脂汗をかきながら、口元が笑っている。
「ナ…ル…ホ…ド………………」
「目には目―――」
「歯には……ッッ」
「は…ッッ!?」
と、せっかく余裕を見せていたのに、何やら急にビックリしている。
烈がなんか凄い歯芸でも見せているんでしょうか。歯と言えばジャックの専売特許なんですけど、烈も噛みつき程度は通過済み……、なのかなぁ…
そう思いつつ。ページをめくると。
烈老師が酒瓶片手にロウソクを構えていらっしゃいます。
貴様の技は既に通過済みと言わんばかりの、中華ファイヤーだッ!
完全に決まった不意打ちの炎がドイルを焼く。
火につつまれドイルはのたうつ回り、店内で喧嘩 → 刃傷沙汰 → 放火とエスカレートしていく犯罪行為にバーテンがビビリまくっています。
1人冷静な烈は、落ちついて店内に置いてあったらしき消火器を持ち出しドイルに向けて噴射し、鎮火させる。
火は消えたものの、消火器の噴射で目も開けられず、咳きこむばかりでドイルには反撃はもちろん逃げる事もできそうにない。
使い終わった消火器を投げ捨て、烈は上着の前をはだける。上着の内側には1列4本の金票が8列に渡って備え付けられているッッ。
合計32本の金票を次々に撃ち込む。右手で、左手で、同時に2本、3本と次から次へと撃ち込む、撃ち込む。烈先生、アンタ中国雑技団に入れるよ…
「ミギャアアアアアアアア」
色男が台無しなギャグっぽい悲鳴を上げてドイルが身をよじる。
つうか、32本も刃物を刺されて平気に生きている、この男もただ者じゃありません。
取り合えず夜叉猿に襲われた後で悲鳴を上げて逃げ出す栗木のごとく、ドアをブチ壊して外に逃げ出します。
ホラー映画のモンスターのように、悠然と追う烈海王。
闘いの舞台はこうして店外へ移る。傷害・放火・殺人未遂が行われたこの店は不幸かもしれませんが、店が全壊する前に2人が出ていったのは少しだけ幸運かもしれません。
なお、烈が使った消火器ですが、使い終わった後、カウンターの中に投げ込んでいるように見えます。なにも高価で割れやすい酒瓶の並んでいるカウンターの中に投げ入れなくても…。
この店の損害は神心会が肩代わりするんでしょうか…
逃げ出すドイルの足に文銅付きの紐を飛ばし、絡ませ引き倒す。
もはや、逃げ出す事もできないとドイルは悟ったのか、顔を烈に正対させ鼻をつまむ。そのまま、息をつめ、傷ついた左目から血を飛ばし烈の顔面に飛ばす。
目に血を飛ばされながらも、烈は瞬き1つしない。
「キサマは中国武術を嘗めたッッッ」
久々に、烈大激怒で次号へ続く…。
でも、嘗めたって、いつ・どこで?
なんか言いがかりっぽいですね…。相変わらず我が意を通しまくっていますよ、この人。
先週の「拳法の達人でも買物するんだな」と言う発言に対して怒っているのか、今更武器の使用についての正統性を聞いた事に腹を立てたのか、まったく分かりません。
ちなみに烈の使った文銅らしき武器は「流星錘(りゅうせいすい)」のようです。
なんにしても、烈先生の辞書には「容赦」と言う言葉は存在し無いようです。傷だらけのドイルにもまったく手加減をしていません。
このまま押し切る、と思われますが、ドイルの飛ばした血がなにかの意味を持っているかもしれません。
血を飛ばす直前まで目には金票が刺さっていたので、血を飛ばすために金票を抜くときになにかを仕掛けていたのかもしれません。
また、いくつか指摘されていますが「板垣恵介の激闘 達人烈伝」での蘇東成老師のエピソードに出て来る消火器のエピソードとの共通点も見逃せません。
ただ、「達人烈伝」とは違い消火器をぶちまけても誰も窒息してはいないようですが…。
今後の展開は、その達人烈伝とは違う展開になるのではないでしょうか。何しろ予想は裏切り…の板垣先生ですからね。
2002年3月12日(火)追記
少し書き足りなかった部分があるので追記します。
まず烈老師の服の下ですが、あれだけズラズラ刃物を並べていたのは武器であるのと同時に防具も兼ねていたのかもしれません。 相原コージの忍者漫画「ムジナ」に手裏剣を密に服に挿すことで防弾チョッキも兼ねていると言うシーンがあったのですが、烈はいつ死刑囚に狙われるか分からない状況下にあるので日常的にあれだけの装備をしていた可能性があります。
それはともかく、せっかく買った本を持って出られなかったのは烈老師にとって痛恨事なんでしょうね。消火器ぶちまけちゃったし。
んで、みぎゃーなドイル君なのですが、ドイルは誰かと闘う時、1度ピンチを迎え相手が油断した時に隠し武器で反撃すると言うパターンが多いのです。
そう、まるでイギリス出身である某ジョナサン・ジョースターの「相手が勝ち誇ったとき そいつはすでに敗北している」を地で行くような作戦です。
と、言うわけでミギャーなどと叫びながらも逆転の秘策を練っているのかもしれません。
そんなドイルに近づかずに飛び道具で攻撃する烈の戦い方は、黒格闘界では正統派(ストロングスタイル)なんでしょうけど、今回のラストでちょっと近づきすぎている気がするので不安があります。
スプリングや爆薬を利用すれば、うつ伏せ・腹ばい・逆立ちなどの常識ではあり得ない体勢から飛び上がって、攻撃をしてきそうです。まあ、そこは烈に香港仕込みのワイヤーアクションで切り替えして、「その動きは20年前(?)に通過しているッッ!」と言い放ってもらいたいものです。
最後に、先週書いた映画のタイトルをTAKAさんから教えていただきました。ヴィンチェンゾ・ナタリ監督の「エレベイテッド」だそうです。
息詰まる展開の映画としては「CUBE」共々かなりの傑作ですので、ヒマな方はレンタルなどしてみてはどうでしょうか。
漫画版「スクライド」ファンは三谷幸喜監督・脚本作品の「ラジヲの時間」がお勧めです。こっちのメアリー・ジェーンは戸田恵子さん(アンパンマン)ですが。
2002年3月14日(16号)
第2部 第119話 怒りの剣撃(2)(499回)
◆武器を使わせたら俺の方が上――――――
中国武術が上だッッ!!
このアオリ文句が烈の怒りの発言の真意を表しているのでしょうか。
ちなみに今週のサブタイトルは「怒りの剣撃 Part2」なんですけど丸で囲んだ数字は機種依存文字なので「(2)」と表記しています。
なんにせよ武器の使用も中国武術の方が上と言う事を証明したかったらしいので、烈はここぞとばかりに吠えまくっています。相変わらずこの人は、中国最強・中華万歳・漢民族至上主義者のようです(でも、浅黒い肌をした烈は純粋な漢民族ではないかもしれません)。
「キサマは」
「中国武術を嘗めたッッ」
説明抜きの理不尽とも言える怒りを叩きつけられ、ドイルは「オレ、なんか失言しましたかァ〜〜!?」的な驚愕の表情をするしかなかった。
そんな表情をしたところで烈の追撃は緩むことなく更にヒートアップしていく。
先週ドイルの足に絡ませた紐を今度は体に絡ませ、手元に残る一端に付けられている刃を地面に刺して固定する。これで、ドイルは脱出不能か?
なお先週は烈の紐付き武器を「流星錘(りゅうせいすい)」ではないかと書きましたが先に刃物が付いている所を見ると「縄標(じょうひょう)」の方が近いのかもしれません。
とにかくドイルを地面に縫い付け動けなくしたところで、烈は背中から刃物を抜き出す。
青龍刀。一般的にそう呼ばれる肉厚の刃を持つ刀だ。
今回もただ斬るのではなく、まずは存分に刀を振り回し芸を披露します。…アンタ本当に雑技団に入れるよ。
烈が刀を振り回しているスキに逃げ出そうとするドイルだが、紐に動きを封じられ動きが止まる。
そこを―――――、一閃! ニ閃ッ!
ものすごい形相で斬りつけ、西部劇のガンマンの様に青龍刀をクルクル回して背中に再びしまい込む。
「熱ッ」
「熱いんだ切られると……………」「敗北」「死」「負ける!?」
「誰が!?」「俺が!?」
最近流行りの錯乱風モノローグの語りながらドイルが走る。
だが、ドイルもそこで終わる男ではない。ズボンから缶を取りだし、地面に叩きつける。煙幕だ。
ここまで優位に戦いを進めて来た烈海王だが、せっかくドイルを縛っていた紐ごと青龍刀で切ってしまったのは調子に乗りすぎだったか。
ドイルの姿を見失い、煙が消えた後にフタの開いたマンホールを発見する。
かつて地下鉄に逃げたドイルだけに、今回も地下に逃げこんだのだろうか。そう思ったのか烈はマンホールの下を覗きこむ。
背後から、烈の首元に刃物が突き立てられる。
ドイルだ。マンホールは偽装で背後に潜んでいたのか!?
烈が振り向きざま裏拳を打ちこむ。かわされた。
嘲笑を浮かべるドイルに突っ込む。連打! 連撃!
武器を持っても強いが、武器が無くとも強いのが烈海王だ。
ドイルはたちまち血まみれになり膝から崩れ落ちる。
「片目ってのはダメだな……」
「急所を少し外しちまった……………」
「それと……」
「出血多量…………」
「あれもダメだ…」
背中に青龍刀を仕込んでいるのに、背中から刺すと言うのは失敗する方の確率が高そうですが、その辺の事に気が回らなかったのは、やっぱり出血多量で脳が働いていなかったのか。
首を狙ったのは目標として悪く無いと思いますが、手段の方がついて来れてなかったようです。
首元に金票(ひょう)が刺さったままの状態でも、烈はひるむ事なくドイルに対峙し、次の武器を取り出すのだった。
ズボンの股間部分から、7節棍ッ!
取り出してすぐ、紐を引っ張り1本の棒にしている事から、七節棍と言うより折畳式の棍と言う気もしますが、コイツでドイルに刺さっている金票のみを弾き飛ばす。
「はいいいいいッッッ」
ビシリとドイルに棍の先を突き付け凄む烈海王であった。
一方のドイルは、全身を刺し貫かれ、背中をX字に切られ、敗北までのカウントダウンが迫っているようだ。
「これが…………………」
「……………敗北………………」
とうとう自分で敗北の2文字を思い描いてしまったようです。
この状況下で次号へ続く!
モノローグを語った死刑囚の残り寿命は短いと言う傾向がありますが、今回のドイルは次なる難所を乗り越える事ができるのでしょうか?
烈を乗りきれたとしても次に待っているのはジャックなのでどっちにしろ寿命は短そうですが…。
しかし、この状況でジャックはどのように登場するんでしょうか。今出てくると、かつて刃牙に敗れた烈が取り合えず兄のほうから倒すと因縁をつけてバトル開始になる、とか。
取り合えず、もう1波乱ぐらいはありそうです。
今回も中国武術の武器を見せびらかしてくれた烈海王ですが、外国籍と言う目をつけられやすい立場でありながら、銃刀法違反をまったく気にしていない装備です。
警察官に職務質問されたらどうするつもりだったのでしょうか。いや、もちろん烈先生の事だから気合だけで失禁させてその場を去るんでしょうけど。
リンクを張っていない所もありますが、前々回から器械(中国では武器のことを器械と呼ぶそうです)の説明は中国武術武器博物館を参考にさせて頂きました。中国武術について詳しい説明が載っているので勉強になりました。
例えば、「青龍刀」に関しても以外と知らなかった事が上記のサイトには載せられています。
もう1つ、蛇足になりますが、今週ドイルがマンホールを開けています。マンホールは1人の力では動かないと言う話を聞いたことがあるのですが、NTT関連のページの説明によると従来のマンホールで125kg、新式のロックがかかるマンホールで51.5kgの重さがあるらしい。
これを持ち上げるのは、普通の人ではムリそうですが、重量挙げの世界記録は260kgらしいので、死刑囚であれば平気で持ち上げられるのではないでしょうか。
ところで、烈&ドイルの再登場のあたりからチャンピオンでの「バキ」の掲載位置が少し下がっている気がするんですけど…(エイケンは逆に掲載位置が上がっているような…)。人気が落ちているのかな??
烈の再登場の2回前まで刃牙と梢江の話であれだけ盛り上がっていたんですけど…… 盛り上がっていたよね?
2002年3月20日(17号)
第2部 第120話 とどめ(500回)
先週の引きから決着は近いと思っていた所ですが、今週のサブタイトルは、まさに「とどめ」です。
先週のラストで敗北を認めかけていたドイルですが、自分に棍棒を突きつけるだけで打ちこんでこない烈に、口元を歪め笑い出す。
「どうした…………?」
「あと一歩だぜ」
「その棍棒を一突きするだけで――――」
「勝敗は決定する」
死刑囚お得意の最後の悪あがきの下準備と言う所でしょうか、そう言って烈が攻撃をしかけると何らかの罠が発動しそうです。
一方の烈も、棍を持ち出しながらも直接攻撃をしていないのは、ドイルの罠を警戒して慎重になっているのかもしれません。
「決定してるさ」
「逆転の可能性は果てしなく皆無だ」
なにやら烈老師も久しぶりに穏やかに喋っていますが、これは勝利を確信して中国武術こそが最強だと証明できたので怒りがとけたのかもしれません。
なにしろ、取り合えず「キサマ等の居る場所は既に我々が2000年前に通過した場所だッ」と宣言しない事には、「タフネスだけは賞賛しよう」と人前で他人を誉めない人ですからね。
「学習能力がない……」
「そうやって最後の詰めを誤り」
「獲り返しのつかぬ敗北を喫した仲間を見てきただろうに」
ドイルさん、やっぱりなにか良からぬ事を企んでいたようです。
しかし、学習能力が無いと言うのは烈と言うよりドイルなのかもしれません。今回の闘いでは烈に対し無策と言うか、すでに使い古した方法でしか攻撃していません。
いくら最凶の死刑囚とはいえ、武器の準備もなく、不意も突けなくては脆いものです。
相手と同じ条件で走れば、こんなものでしょうか。
「ファイア…」
これだけ自信タップリなドイルの放った攻撃は、鎬昂昇を屠った爆破(俗称:ブレストファイア)だった。
それを棍棒を軸にしたジャンプでかわし、蹴り!
棒高跳びの要領で相手の攻撃をかわしながらの攻撃だ。頬に高い打点からの飛び足刀を角度良く決めてドイルの目を泳がせる。
中国雑技団クラスの妙技を見せた後は、今度こそ棍で連打、連打。
頬、頭頂、スネ、わき腹、ノド、鼻、頬骨と危険な場所に的確な打撃を次々加え更にヒートアップ。背に刃物刺したまま、棍をしならせ悪鬼のごとき形相で、それでも決めのポーズは美しく攻撃を決めていきます。
十分に打ちのめした所で、棍は投げ捨て、拳を構える。
「どちらが勝ったのか」
「私が判定するッッ」
相変わらず傍若無人な台詞を吐きつつ、深く踏みこみ必殺の一撃を打ちこもうとする。
その烈の背中に、注射器がッ!
刺さったままの金票の下に針が突き立てられ謎の黒い液体が一気に押しこまれる。
烈海王、一瞬にしてダウン。
烈を眠らせたのは読者の予想通りジャックだった。
烈を抱きかかえ、壁にもたれかかせ店に置いてきた本を手にもたせる。そして、ドイルが忘れた紙バックも投げ渡す。
「ジャックってんだ…」
「アンタの敵だ」
人がせっかく望みの敗北を手にしかけたところでいきなり割りこんできて、勝手な事を言う。
やっぱり、この人は範馬勇次郎の血をきっちり引いています。
「今日はもう帰んな」
「元気になったら俺と遊ぼう」
「そん時ゃ素手だ」
とことんまで勝手な事を言って立ち去るジャック範馬であった。
今週はここまで。次週の刃牙はお休み。というラストでした。
わざわざ死にかけのドイルを助けているのですが、これは紅葉との約束を守ろうとしているのでしょうか。
ひょっとすると、手術代をタダにしてもらう代りに「わが最愛の弟・昂昇の仇を討つこと」と言う契約をしたのかもしれません。
(うげっ、契約書に「最愛」とか入れるなよッッ、うわっ、『わたしだけが昂昇を傷つけていいんだ…』とかブツブツ言ってるよ…。なんかヤバイよ、この兄弟。本物だよ。でもこんなバカ高い治療費なんて払えないしな…)
などという葛藤を経て「兄弟愛(ブラザーシップ)には興味がないが………………、俺がアンタの仇を打つことになるだろうな」と契約書にサインしたとか。
どちらにしてもジャックは、もうちょっと周囲に目を向けた方が良さそうな烈海王に恨まれることになりそうです。
これで、ドイルが敗北した後は烈vsジャックと言うスペシャルマッチが行われる可能性が出てきました。
白・黒の戦士が減ってきたのですが、これで人間関係がシャッフルされて今後の展開に幅が出てきたように思えます。
雑誌「ダ・ヴィンチ」の夢枕先生と板垣先生の対談で言っていた事ですが、刃牙も更なる飛躍を得るために戦いへのモチベーションを、自分のためだけの理由である「復讐」から、「愛」に切り替える事でしょう。
ところで烈老師がドイルの体に刺さっている金票を全部抜いてあげたのは、爆破のときに金票まで飛んで来ると避けにくいからなのかもしれません。
手榴弾にしても、人を殺傷するのは爆発の爆風ではなく、爆風によって飛ばされる金属片の方ですから、ドイルがそう言う風に爆破を使わないように先手を打って丸裸にしたのかも。
しかし、いまだに死刑囚辺のラストがどうなるのかがまったく読めません。ありがちな展開だと、バキが2重に童貞を喪失して終わりかな?
ジャックがまた、勇次郎に殴られそうな気がして不安ですが…
2002年3月28日(18号)
バキはお休み
前回めでたく通算500回を迎えた「バキ」ですが、今週はお休みです。
まずは3月12日の追記に対しての訂正です。
Tachibana_Familyさんに指摘を受けたのですが、「相手が勝ち誇ったとき… 」の台詞を言うのはジョナサンではなくジョセフの方でした。なにやら勘違いしてしまいました。
ついでに日付が間違っていると井上さんに教えていただいたので修正をしておきました。
今週のバキはお休みですが、ちょっと先週のおさらいをします。
ジャックの「元気になったら俺と遊ぼう」「そん時ゃ素手だ」ですが、これは『今回は念のために注射と言う武器を用意してきたけど、アンタなんか弱そうだし負け犬臭がただよっているんで、次にあった時は素手で相手しても十分だよね。噛むけど』と言う決意の表れなのではないでしょうか。
で、敗北を掴みそこなったドイルですが、ヤツはヤツで『後10秒、君の登場が遅れたなら、俺の願いはかなったろうに』などと思いながらも、運も実力のうちと言う事で自分はまだ敗北していないと思っていそうです。
で、次回の戦いに向けて追加武装を登載するのでしょう。
取り合えず、ドイルは左目になにかの新兵器を埋め込む……と言うのは安易過ぎる展開ですね。
ここらで、義眼のセンパイ渋川剛気とその愛弟子(?)オリバが柳を探して街中をうろついていたところ、偶然ジャックに出会い、もめると言う展開もアリかもしれません。
なんにせよ2部に入ってから蛮勇を振るい切れない烈海王が少し可哀想な気がします。最大トーナメントでは実現しなかった、ジャックvs烈海王の迫力あるバトルが実現すれば実に嬉しいのですが、どうなることやら…
さて、もう一方で気になるのがバキと梢江のラブラブ・ファイヤーの今後です。
凄まじい修羅場が1つ終わった所ですから、バランスをとるために凄まじい濡れ場が次に来るのかもしれません。
ところで、バキと梢江が執拗にデートを繰り返すさまを描写していたのは、日常の描写を繰り返すことで作中の人物性を明確にしていくと言う意味があるのかもしれません。
映画「Shall we ダンス?」の監督・周防正行さんは登場人物がそこに息づいているように見せるために、日常のディテールを繰り返し描写するとそうですが、バキのデートにもそう言う意図があるのかもしれません。
グラップラー刃牙から続いてきた今までの話は、怪獣同士のぶつかり合いと言える戦いの非日常に対して、高校生である範馬刃牙の日常の描写は少なかったのでこの辺で補充しようとしているのかもしれません。
格闘漫画のインタビューを受ける格闘選手がたまにいますが、そう言う人達は結構そう言った登場人物たちの日常生活に興味を示す事が多く、そう言う部分の描写も必要なのかもしれません。
逆に、日常と言う大地に足が着いていない感のある範馬勇次郎氏ですが、あの人は人ごみの中で仁王立ちをしながらストーキング行為をし、なおかつ相手にばれていないと言う神業を披露しています。
更に、気がついたら部屋に侵入していたリ、いきなり部屋の中から消えたりとエスパー並の行動をしています。
この辺は説明不足のように感じましたが、映画「ハンニバル」の解説を見て納得しました。「ハンニバル」でもレクター博士が部屋に侵入したり逃亡したりする時の描写がされていないのですが、これはレクター博士ならそんな事はできて当然なのであえて描写せずに、その後彼が何をするかを描く事にしたそうです。
つまり、勇次郎はストーキングも侵入も脱出もできる。できて当然。むしろ尾行したあとで何を言うのか、侵入したあとで何を言うのか、帰る前に何を言うのか、そっちが重要と言う事なんでしょう。
と、言うわけで刃牙も父親に近づくにはまず日常性を埋めて、睨んだだけで服が破ける幻想を見せられるようにならないとダメです。
…………………………………ムリだッ
と、オチがついた(?)ところで、ついでに今週のチャンピオンの雑記を書きます。
今週の「A.-D.O.G.S」ですが、皆さんも思った事でしょう。
クサリよ、貴様の居る場所は3週間前に通過しているッッ!
三つ編みに中国武術を思わせる武装で颯爽と登場した時はかなりビックリしましたが、そのあっけなさすぎる最後には笑ってしまいました。
チャンピオン・バトル系漫画として「A.-D.O.G.S」は毎週楽しみに読んでいるのですが、ちょっと話がまとめに入りかけている気がして終了が近いのかと不安です。
しかし、クサリは誰の武術を記憶したんでしょうね…。実はかなりの低レベルな人をコピーしちゃったのでは…。空手で言えば、栗木並の男とか…
ちなみに残りのボア・コンメンバーはコブラ、ニシキ、アナコンダ、サンゴ、パイソン、シマですが、今週の表紙には前回TVジャックで電気を操り(?)忙しく働いていた人が1人だけ描かれていませんでした。ちょっと可哀想だ。
今週で「ショー☆バン」はあっさりと決着がついてしまいましたが、次回への引きをきっちりと残して終わっています。
嘗めてかかる相手チームに爪を伸ばし、本来のピッチングに戻ったショーバンが三振の山を築くと言う展開が待っていそうです。
ところで作画担当の松島幸太郎先生ですが、実は美少女を描くのが上手いんですよ。
これはショー☆バンの連載前に描いた読み切りの表紙はなんですけど、全然絵が違いますね…
ショー☆バンは少年漫画らしくシンプルで力強いタッチの作画にしているようですが、たまにはこう言うキャラも描いて欲しいものです。
で、ショーバンの彼女になって、2人で川原を歩く。
ショーバンは自慢の遠投力を生かして遠くへ石を投げる。
「スゴイ あんな遠くに…」
彼女が感心していると、引退した元キャプテンの生島さんが現われる。
「その娘が欲しいのか、それともオンナが欲しいのかどっちだ……」
いきなり彼女がキレる。
「しつれいじゃん、恋人の前でそんなハナシ…」
そして生島の顔面にボールを投げつける。
「硬球にくらべたら軟球なんて!
軟球が当たって死んだ人間なんていないのよッ!」
残念ながら、それは硬球でした。
「硬球は当たるとすごく痛い…」
そう呟き、生島さんは去っていくのだった。
次回、ショーバンの部屋で親父が応援!? 番太郎 乱れる!
と、言う展開になるとやはり問題がありそうなので、無理に女の子出さないでいいです。
ま、そんなこんなで、次回は連載再開の高橋陽一「ハングリーハート」に注目です! …なのか?
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バックナンバー(仮) 今週の餓狼伝(最新版) 今週のグラップラー刃牙(アニメ版)(5月26日更新予定)