今週の範馬刃牙 SON OF OGRE 271話〜280話

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2011年10月6日(45号)
第3部 第271話 引き金(トリガー) (926回)

 範馬刃牙の秘策・0.5秒の無意識パンチが炸裂した。
 防御不可能な攻撃だ。
 これを喰らえばオリバだってダウンする。
 当然、範馬勇次郎もダウ……ン…………?
 範馬勇次郎が倒れる!?

 眼は焦点の定まらず、口も半開きだ。
 典型的な気絶顔である。
 この表情のまま、勇次郎は顔から地面に落ちていく。
 けっして起き上がれぬタイプのダウンだよ

 まさか、ね。
 範馬勇次郎がこんなダウンするわけない。
 こっから、胴廻し回転蹴りに変化して刃牙をドギャッ!っと言わすんだろう。
 そんなふうに考えていた時期が先週の俺でした。

 範馬勇次郎、ダウンッ!
 だが、地面とKISSする0.5秒前に覚醒して、とっさに踏みとどまる。
 関節柔らかッ!
 どんな股関節してんだよ。マタひらきすぎだ。
 このムリヤリな体勢は、勇次郎が追いつめられていた証拠だろう。

「ち………」
「こいつァ いつ以来のダウンだ……?」


 残念、鼻が地面に触れていた。
 勇次郎的に、コレはダウン判定らしい。
 顔が地面につかなきゃセーフ。これ地元じゃノーカンだから。などと見苦しく言い訳しませんね。
 相手が刃牙だから甘いコトを言っているのかもしれないケド。

 というか、勇次郎ってダウンした経験があるのか?
 独歩と戦ったときもチョット苦戦して情けない表情もしていたぐらいだ。
 若いというか幼いころにダウンしたコトもあるのだろう。
 そのかわり100倍返しぐらいに殴って勝ってそうだけど。
 小学生ちびっ子大相撲・初参加の範馬勇次郎(小1)であった、みたいな。
 さすがに6年生には勝てなかった。相手は病院おくりにしたけど、などと言う展開だろう。(決まり手:拳による殴打・反則負け)

 なぜ、範馬勇次郎ともあろう漢(おとこ)がダウンしたのかッ!?
 観客のなかで、この謎にこたえられるのは愚地独歩しかいない。
 独歩先生、頭の中で考えていないで、声に出してあげて。

(武における仕掛けの初動)
(すなわち"起こり")
(脳の命令があり動作が始まる ―――という常識は間違いだ
 脳は命令の0.5秒前に信号を発している)
『脳が信号を発して――』
『肉体に命令を下すまで0.5秒』

『"読み"とは極むるところ』
『"信号"(脳の起こり)の読み合い』
『"脳の起こり"の読み合いにやがて到達する』


 あとで出てくる元ネタの本『ユーザーイリュージョン』によれば、筋肉を動かす時に準備電位と呼ばれる変化が起きる。
 どこの筋肉をどれだけ動かすかと言う情報を準備する反応らしい。
 銃で言えば引き金を引く前の弾込めであり、撃鉄を起こす動作だ。
 準備電位は動作の1秒前に発生する。
 そして、意識が"動かす"と思った瞬間は、準備電位の0.5秒後で動作の0.5秒前だ。
 つまり人間は"動かす"と思う0.5秒前には動く準備をしている。(※ 厳密な数字はちょっと違っています)

 生物の反応速度には神経伝達速度の限界がある。
 闘争が究極に近づくと、意識のズレや神経伝達速度の限界までもが勝敗をわける要素になるのだ。……たぶん。
 武術で言うところの無拍子などは、こういった予備動作や意識のズレを利用する技術なのかもしれない。
 合気と同じく流派によって、意味する所が違っているので、推測に過ぎませんが。

 どちらにしても、最強の戦いは脳科学にまで発展した
 まさに究極の戦いだ。
 将棋の戦いだって、脳活動にまでなかなか踏みこまないぞ。
 もう、脳にエネルギーを補給するため戦闘中に"おやつ開始"しても良いレベルだ。

「古の剣豪レベルならば」
「当然持っていたとされる知覚」
(※)トール・ノーレットランダーシュが」
「著作「ユーザーイリュージョン――――意識という幻想」で述べた言葉」 (※) トール・ノーレットランダーシュ:スカンジナビアを代表する科学評論家。)
「脳の命令0.5秒前の意識の引き金(トリガー)

「不用意に発した俺の信号」
「脳が命じるまでの0.5秒をオマエは手にした」


 最後は範馬勇次郎が話をまとめて、刃牙をほめてつかわす。
 ダウンしたくせに上から目線でエラそうなのが勇次郎らしい
 勇次郎の心は折れるどころか傷ついてもいないようだ。
 鋼鉄というよりダイアモンドの自尊心だな。

 なお、意識が0.5秒おくれるから、その間スキだらけってのは説明として間違っている。
 何度か書いたし、ややこしい話なので後回しにします。
 ダウンして劣勢なはずの勇次郎は意外な行動にでた。

「よくやった」

「撫でてやる」
「きなさい」

「遠慮するな」
「こい」


 範馬勇次郎の、ご褒美タイムだッッ!
 えっ、ナニ…………
 この信じられないセリフは。
 誤字? 誤植?

 これ、範馬勇次郎が言ってんだぜ。
 どんな表情で範馬勇次郎が「撫でてやる」なんて言うんだよ。
 って、普通の表情じゃねェーか!
 もはや自分で突っ込むしかないような異常事態だ。

 やだ、父さん。みんなが見てるよ。
 刃牙はそんなふうにボケれば良いのだろうか。
 もう、本当にワケがワカらないよ。
 つうか、これは笑って良いところだよね。もう笑っちゃっているけど。

 当然、刃牙だってワケわからン状態だ。
 せっかく勇次郎をダウンさせて優位に立ったのに動揺している。
 勇次郎は刃牙を精神的に揺さぶるために、「撫でてやる」と言ったのだろうか?

(これっていったい何なんだ!!?)
「え……」
「な…み……」


 範馬刃牙、泣き入りました。
 父さんに認められ、思わずうれし涙か?
 勇次郎が全力で変な発言をすれば、刃牙も全力でリアクションする。
 まさに芸人親子だ。

 でも、ここで泣かれちゃうと試合終了になりそうで心配だ。
 超ド級マゾの刃牙だから、優しくされるとモチベーションが下がるんだろうな。
 もっとキツく痛いコトをしてあげて!
 刃牙は涙を痛みと羞恥に変換して闘志を燃やし、再び闘うことができるのか?
 次回につづく。


 本ッ当ッッに、この親子は行動が読めない。
 まさか「撫でてやる」から、泣き出すという異常行動にでるなんて。
 こりゃ最終的に泣きあう二人が抱きあって完! というオチが待っているかもしれない。
 などと予想した時点で、たぶんハズレる。
 もっと、脳の使っていない部分に100万ボルトを加えないと出てこないような展開になるのだろう。

 はてさて、0.5秒おくれる意識についてだ。
 そもそも人間の意識や心ってのは、幻想にすぎない。
 人間の活動は全て無意識で行われている。
 意識というのは、"利用者の錯覚(ユーザーイリュージョン)"なのだ。

 パソコンの話をしよう。
 今、モニターにはいくつかのウィンドが開き、ディスクトップにはいくつかのアイコンがあるだろう。
 これらの表示は利用者が便利に使うために作られたプログラムだ。
 実際にパソコンが行っているのは、電子回路内で0と1の信号をやりとりしているにすぎない。
 0と1の計算が人間における無意識で、ウィンド表示などが"利用者の錯覚(ユーザーイリュージョン)"だ。

 つまり、意識があろうが無かろうが無意識はちゃんと情報を処理して身体を動かしてくれている。
 ただし気絶は別の話だ。気絶は脳機能障害で、強烈な光を浴びて一時的な失明みたいなのと同類なので。
 意識は0.5秒おくれた情報を受け取りながらリアルタイムの時間を経験していると錯覚している。
 そして、自分が意識してから行動していると感じているのだ。
 と言うのが、『ユーザーイリュージョン』の主張になる。

 身体がやったコトを意識は自分が決定した事と錯覚している。
 吊り橋効果も同じ原理だろう。身体が恋愛状態に近いから、恋をするみたいな感じで。
 そうなると、悪い言葉や悪い習慣を続けていると悪い人間になるという説教はけっこう正しいのかもしれない。
 私も下ネタばっかり書いているから、どんどん下ネタ人間になっていくような気がする。

 刃牙たちは『ユーザーイリュージョン』の内容を誤解している。
 が、行動はさほど間違っていない。
 意識して動くと準備電位など手続きが多くなり行動が遅れる。
 だが、無意識の行動は早い。

『無意識のうちに刺激に反応するより、行動を決意するほうが時間がかかる』

 攻撃を決意して動くより、相手が動くのを見た瞬間、反射的に動き、無意識に動くほうが早い。(シグルイ感想を参照
 つまり、刃牙がやったのは意識的に動こうとした勇次郎に、反射的な無意識の攻撃を仕掛け、スピードで勝ったのだ。
 圧倒的なカウンター有利論ですな。

 もちろん実戦では相手がどう動くかワカらない。フェイントだってある。
 数百、数千、数万のパターンから適切な反応をして無意識に攻撃を仕掛けるのは、それこそ数十万の練習が必要だ。
 リアルシャドーを毎日やっている刃牙だからこそできた技だろう。
 シロウトの攻撃は恐いという格闘家がよくいます。
 シロウトは洗練されてない想定外の攻撃をするから反応できないってコトなのかも。

 叩いてかぶってジャンケンポンという遊びがある。
 ジャンケンして勝ったほうが棒で叩き、負けたほうがヘルメットをかぶって防御するヤツだ。
 これって、ジャンケンの結果を見て勝ち負けを判断して攻撃か防御を考えるので反射神経と思考力の勝負になる。
 必勝方法を思いついた。
 自分は最初からグーを出すと決めておけば、相手がチョキなら叩き、パーならかぶる。そ無意識に行動できるように思い込んでおく。
 あとは頭をカラッポにして相手の手だけ見て行動する。たぶん勝てる。
 あいこになると仕切りなおしで、動き止るのが弱点だけど。

 と言うのも無意識を利用した行動だ。
 ココリコの遠藤は『叩いてかぶってジャンケンポン』が強いんだけど、あいこの後に行動が途切れてしまう。
 もしかすると、遠藤も無意識方法を使っているのかもしれない。

 さて、勇次郎の言葉に刃牙は無意識に涙を流した。
 ユーザーイリュージョン理論ならば、無意識に涙を流したら意識も感動しちゃう!
 刃牙は大ピンチです。
 この先どーなるのか?

 意識して考えていたら遅い。
 出されたものに瞬間的に反応して無意識で行動する!
 考えるんじゃない、感じるんだ!
 ……いや、刃牙はもうすこし考えて行動したほうが良いと思う。遅いカメだってウサギに勝つことあるんだし。

追記 (11/10/13)
 勇次郎は郭海皇戦でダウンしていると指摘をうけました。

 blogコメントで、通りすがりさんに
「独歩がイリュージョンの説明を頭の中でしている時に、独歩と対峙してる人って久我さんですよね?
対戦したことあるのかこの二人・・・。
あと勇次郎は郭海皇戦の時に確かダウンしてますよ。235話の調子こいてんじゃねえ小僧のあたりで。」

 掲示板で、バロメーターの射精さんに
「郭海皇と戦った時に、勇次郎はダウンしていますよ。結構最近だよね。」

 メールでkiaさんにも指摘を受けました。

 すっかり忘れていました。
 さすが人類技術の最高傑作とも言うべき郭海皇の中国武術ですね。
 刃牙はすでに郭海皇のレベルに達しているようだ。
 いや、勇次郎のダメージは刃牙の攻撃のほうが上かも。
 刃牙は地上二番目に強い生物になっているのかもしれない。

 あと、イメージ映像で独歩と久我重明が戦っているのも書き忘れていました。
 どちらも強さにこだわりを持つ武術家だけに、ふたり並んで歩くと言うわけにも行かないのだろう。
 そういえば、チャンピオンコミック版の餓狼伝10巻が発売されている。
 この巻には久我さんが登場しているのだ。
 久々に久我さんを見て、板垣先生の脳内麻薬がスパークしたのかも。

 そういえば、餓狼伝はどーするんでしょうね。
 原作通りに話を進めるのは、時代が違いすぎるのが悩みだ。
 思い切って久我さんを主人公にした外伝にしちゃったりして。

 いや、板垣先生は『どげせん』が終了して、オリジナルの土下座漫画を描くために、ナニかを練っている頃だろう。
 刃牙と勇次郎の決着も土下座で決まるかもしれない。
「親父、ありがとうございましたッッッ!」
 いかん、これじゃ普通に感動話だ。

・おまけ
ユーザーイリュージョン―意識という幻想 ユーザーイリュージョン―意識という幻想
そういえば、この本の感想って書いていませんでした。無意識に書いた気になっていた。
刃牙70話追記刃牙146話あたりにも、この本の話を書いています。


2011年10月13日(46号)
第3部 第272話 撫でる (928回)

 超一流の証である、脳信号の起こりを刃牙は読むことができるようになった。
 まさに超一流だ。天才だ。さすが範馬勇次郎(オレ)の息子だ!
 というワケで勇次郎さんは大喜びです。
 この人は親バカですからね。

「きなさい」
「撫でてやる」


 息子の成長を喜んだリアクションが「撫でてやる」ってあたり、範馬勇次郎は読めない。
 もう20年ぐらい動向を眼にしているのだが、いまだに読めないんだよ。
 なにが「きなさい」だ。英語で言えば「Welcome」かよ。変態仮面かよ。

 刃牙も観客も範馬勇次郎が「撫でる」と言いだすなんて予想不可能だ。
 みんなが動揺している。
 というか、刃牙と勇次郎のプライベートな会話がマル聞こえかよ
 勇次郎がワザと聞かせていたりして。

 衆目の中で公開なでなでだ!
 勇次郎と刃牙の仲がいい所を全部みせちゃう!
 得体のしれないプレイが始まろうとしていた。
 範馬勇次郎はどこを目指しているというのだ!?

(俺を撫でてやるとッッ)
(何よりあの手のカタチッッ)
(動かぬ証拠…ッッ)
(撫でるしかないカタチ!!)

 私にはムエカッチャー戦士ジャガッタシャーマンを上から押しつぶしそうな手のカタチにも見えます。
 撫でるフリして、グシャッ!とやりそう。
 もっとも刃牙はムエタイとの縁がないので、たぶん大丈夫だと思うけど。
 一般人とムエタイは油断したらジャガられるキケンな手のカタチだ。

 笑顔で撫でてやると言っているお父さんの胸に飛び込むべきか?
 お父さんは上半身ハダカで筋肉がムッキムキのテッカテカだぞ。
 たとえ100%善意だとしても、フトコロに飛びこむのは勇気がいるよな。
 刃牙はどうする?
 とりあえず、動揺してひたすら迷っていた。

「オマエは誉められて当然だ」

「息子の手柄を誉めぬ父親がどこにいる」

『父親から誉められるという当たり前』
『抜け落ちたまま過ぎ去った18年だった……』
『子が父親に誉められた際の――――』
『感激……………… 成就……………… 果報………………』
『この子には一切が無さ過ぎた』
『あまりに不慣れ過ぎていた』


 刃牙、号泣す。
 うむ、実はココまでが前回ラストの話だよな。
 親子対決は光速にせまる勢いだった。そして進む時間がどんどん遅くなる。
 とうとう光速を超えて、時間をさかのぼるようなスピードを出しちゃったんだろうか?
 範馬勇次郎の「撫でてやる」発言は時空すら歪ませるのだ。

 で、なんで泣いたのかの解説が入る。
 だいたい予想通りの理由だ。
 予想通りとはいえ、不憫な18歳ではある。

 父も母もキッツイ人だから、刃牙は誉められる経験が少ないのだろう。
 刃牙の態度が不遜なのも、両親の影響かもしれない。
 あまりにも哀しい少年の姿に、独歩と徳川さんは同情し目元を光らせる。

『あんなにも硬く握られていた父の拳が………』
『あんなにも柔らかく解かれ』
『自分に触れようとしている』
『「もういいッッ」「どうでもいいッッ」』
『「罠だっていいッッ 騙されてもいいッッ」』
『「あの掌に撫でてもらえるなら…………!!!」』


 だが、よけるッ!
 リアルシャドーの達人である刃牙には架空勇次郎の手がハッキリと見えていた。
 父親の手をよける。
 一般人にはナニをよけたのかワカらない動作だ。

 だが、さすがに勇次郎は理解した。
 自分のなでなでを刃牙が拒否しただと!
 せっかくの好意を受けとらないとは、無礼なヤツだ。
 勇次郎、ちょっと怒ったか?
 このままでは、お仕置きタイムに逆もどりだ。

「だめだよやっぱ…」
「こんなのは………」
「これは……」
「かけがえのない"時"だから」
「どっちが勝つかの喧嘩だからッッ」
「どっちが強いかの比べ合いだからッッ」


 刃牙は安易なご褒美よりも闘争をえらぶ。
 格闘士(グラップラー)にとって、闘争こそが最上のコミュニケーションだ。
 誉めてもらえたのは嬉しいけど、戦うことを選ぶ。
 今この瞬間の刃牙はかなり主人公オーラが出ているぞ!

 親から誉められなかった人生は不幸なものだ。
 だが、今誉められることを拒否したのは刃牙自身の選択である。
 刃牙は与えられる喜びよりも、自ら勝ち取る闘争を選んだ
 徳川さんと独歩は、刃牙の決意にひそかな賞賛をおくった。

「いい機会だ」
「強さの本質を実感させる」
「またとない機会だ」

「撫でることを希望(のぞ)む俺」
「撫でられることを拒否するオマエ…」

「実にワカリやすい」
「撫でてやる」


 黙って引き下がるような範馬勇次郎ではない。
 力づくで撫でるつもりだ。
 まるで、撫でる=レイプだな。
 誉めるとか認めるとかよりも、単に勇次郎が刃牙を撫でたいだけなんじゃなかろうか。

 勇次郎は一瞬で刃牙の横に移動し、刃牙の両腕をロックする。
 意識の引き金(トリガー)を読ませない動きだ。
 むしろ、刃牙の意識がスキを見せた瞬間に動いたのかもしれない。
 たまに勇次郎が瞬間移動するように見えるのは、意識の引き金(トリガー)を読んで認識できないように動いているからかも。

 勇次郎のパワーで腕を固められ、刃牙は身動きが取れない。
 圧倒的な膂力の差だ。
 勇次郎は片手で刃牙を支配する。
 そして、あまった左手で刃牙の頭を撫でた!
 撫でる! 撫でる! 撫でくりまわす!(ナレーション:立木文彦

「フン……」
「はしゃいでやがる…」

「甘えた面しおって…」


 まるで、エロ漫画的レイプのテンプレみたいなセリフだ。
 刃牙はイヤだイヤだと暴れているが、本当は喜んでいるじゃないか。
 さすが鬼です。容赦ないレイプ的なナデナデだ。
 撫でる勇次郎の手に浮き上がる欠陥が本気の証である。
 お父さん、力入れすぎ。もっとソフトタッチでお願いします。
 鍛えられた刃牙だからイイけど、一般人やムエタイなら頚骨が克巳の真マッハのイメージ多関節なみに折れているところだろう。

 強さとはワガママを通す力だ。
 自分の意志を通す力だ。
 範馬勇次郎がなでると決めたら、刃牙だろうが、米国大統領だろうが撫でる。
 猫だろうがライオンだろうが撫でまくるのだ。

 刃牙は勇次郎に撫でられ、己の無力さを悟るのだった。
 眼を閉じているからわからないけど、きっと虚ろな眼をしているんだろうな。
 涙も流しているし。
 主人公レイプ状態のまま次回につづく


 範馬勇次郎がかかわると"撫でる"だけでも、えらい大変なことになります。
 前回のラストから、主人公レイプ状態につながるとは予想できないって。
 せっかく、意識の引き金(トリガー)で勇次郎と互角に戦えるかもしれないと思わせておいて、あっさり落とす。
 ふたりの力の差は、まさに大人と子供だ。

 ただ、頭を撫でられて刃牙が変化するかもしれない。
 幸せと屈辱と快楽が合わさってスパーク!
 範馬刃牙スーパー裏返りバージョンになってパワーアップだ。

 勇次郎のパワーなら頭蓋骨を通して脳に変化を与えるかもしれない。
 刃牙の脳は鬼型をしている。(23巻 184話
 鬼に鬼が加わって、トンデモないことが起きるかも。

 でも、それも勇次郎の望み通りなんだよな。
 自分の希望(のぞ)みをかなえる力は、やっぱり範馬勇次郎がイチバンなのかもしれない。
 そんな勇次郎が刃牙に敗北するコトを願っているのだから、勇次郎を倒せるのは刃牙だけってコトなのだろう。

 とりあえず、勇次郎の希望(のぞ)み通りに、刃牙の身体に変化が起きるかも。
 髪型が勇次郎のナデナデで鬼っぽくなるとか。
 または、つむじに鬼が出現するとか。
 勇次郎のナデナデはムエタイには劇薬だが、範馬に対して良薬となるかもしれない。

追記 (11/10/19)
 掲示板に書かれた第272話の感想を読んでいると感動したというものがけっこうあった。
 勇次郎の心情を推測している物もある。

 言われてみると、勇次郎の立場で考えてなかった。
 強すぎる範馬勇次郎は生まれた直後の授乳で母親を屈服させたほどだ。
 愛情をもって抱かれるという経験がそもそも無いのかもしれない。
 ちなみに織田信長も幼児のころ乳母の乳首をつぎつぎと噛み切って、唯一無事だったのが池田恒興の母だったとか。(参考:信長−母と乳母

 歯が生えても母乳を飲んでいたとは、かなり乳離れが遅いし乳母を決めるのが遅すぎるから、ちょっと怪しい話だけど。
 ちなみに避妊方法が確立していない昔で、もっとも有効な避妊方法は授乳を長引かせるというものだ。
 授乳中に分泌される女性ホルモンの関係で排卵されにくくなる。昔の人は経験則で知っていたんですね。
 なので、経済的に余裕がある金持ちの家は乳母を雇って、すぐに次の子供を作ろうとするわけだ。

 話がそれたけど、範馬勇次郎も織田信長ぐらいにキッツイ性格ってことだ。
 強すぎるから、恐れられることはあっても、愛された経験がない。
 息子をふくめて全力でナデナデしたのも初体験かも。

 勇次郎の価値観は強さこそすべて、だ。
 でも、他の価値観にも興味があるだろう。
 いくら肉が好きな人でも、肉ばっか食ってると飽きるから、たまに野菜食べたいって感じで。
 刃牙へのナデナデは勇次郎がはじめて食べる野菜料理なのかも。

 愛情を与えられない勇次郎は、やっぱりチョット不憫な存在かもしれない。
 普通じゃない人間だから、普通の生き方ができないのだろうか。
 で、やっぱり刃牙も普通に生きられない。
 ゴキブリに感謝して土下座する人生って、絶対に普通じゃないよ。


・おまけ
新・餓狼伝 巻ノ二 拳神皇帝編 (FUTABA NOVELS)
新・餓狼伝 巻ノ二 拳神皇帝編
感想書きました


2011年10月20日(47号)
第3部 第273話 超えられまい (929回)

 生でナデられて、オドロキやがれ。
 地上最強の生物・範馬勇次郎による、地上最強のなでなでだッ!
 さすが範馬勇次郎である。癒しをさせても地上最強かもしれない。
 癒されて、死ねッ!

 もっとも刃牙は嫌がっています。
 癒しというよりも嫌しなのか?
 範馬勇次郎には、プラスの感情よりもマイナスのほうが似合っているな。

 勇次郎のことだから、刃牙がイヤがるとワカったうえでやっているのかも。
 人のイヤがることをするのが戦闘だ。
 戦闘行為の結晶体ともいえる範馬勇次郎なら、紳士が淑女をエスコートするよりも自然に、人のイヤがるコトをする。
 結婚式で夫婦初の共同作業・ケーキ入刀をするタイミングで、新婦をケーキにメリこませたりするのは朝飯前だろう。

 いや、もしかすると刃牙はちがう理由でイヤがっているのかも。
 刃牙は長年鍛えあげた本格的なマゾだ。(31巻 254話
 もはや癒しとか安らぎをうけると不快になる体質だったりして
 なでなでされるぐらいなら、鞭打のほうがイイ!

「はなせバカッッ」

「我が子に…………」
「なんちゅう意地悪な………ッッ」

「底の底から」
「サディストめ………………」


 公衆の面前でのナデナデは立派な屈辱刑だと、徳川&独歩も認めた。
 というか、強制ナデナデは相手に無力感をあたえる暴力行為だな。
 やっぱり勇次郎は刃牙を痛めつけている。
 前回追記で勇次郎の不憫さを思いやったのに……
 勇次郎の心情を理解しようなんて、私には100年早かった。

 刃牙を撫でるというか、こねくり回す。
 夜叉猿の生首つかって腹話術をやったときも、こんなノリだったんだろうか。
 このままじゃ、刃牙の首関節が磨耗しちゃう。
 というワケで刃牙が最大限の抵抗をする。

「ガッ」

 ガッ

「ガッ」
「ぐ…ッ」


 なんか、「ガッ」がつづく攻防だった。
 最初の「ガッ」は反撃するときの気合で、次が勇次郎によって反撃不発して自分の顔を蹴ってしまった音だ。
 で、最後の「ガッ」は刃牙の悲鳴です。
 刃牙も音にこだわる余裕がなくなっている。

 自分の蹴りを鼻に喰らって刃牙は涙・鼻血まみれだ。
 勇次郎は、刃牙の鼻血をぬぐい、指についた鼻血をなめとる。
 この行為は、やっぱり愛情表現か!?
 歪んで狂ってサディスティックだけど、鼻血をなめるのは相手のことが好きじゃないとなかなかできない。

 やっぱり息子が大好きな勇次郎は、強さについて説明をしまくる。
 かんたんに要約すると、自分の望みを実現させる力こそが強さだ。
 真に強ければ、ガマンする事もない。
 独裁者のような最強理論ですね。

 勇次郎は刃牙を投げ飛ばしながら説明する。
 投げ飛ばすというか、コマのように回転させて投げた。
 フィギュアスケートなみのスピンだ。
 下手したら地面が削れて穴があくんじゃないかというような回転がかかっている。
 だけど、刃牙は無事に着地した。
 足の裏が丈夫なのは、ゴキブリダッシュ時に証明されているぞ。(258話

 さらに勇次郎は刃牙を蹴り蹴り殴る。
 18歳の少年が蹴鞠のように弾んで飛びまくった。
 まったく手加減なしに本気で打っている。
 刃牙でなければ、すでに死亡してもおかしくない攻撃だ。
 そして、刃牙であっても立ち上がれないほどのダメージを受けている。

『確かに伝わる』
『父の意志…』
『子は痛みによるメッセージを教育として実感す』


 説教しながらの打撃だ。
 いや、打撃しながら説教している。
 どちらにしても、打撃と説教が渾然一体となった攻撃だ。
 刃牙世界では『迫力があるから説得力もあるって寸法だ』格闘士烈伝)の法則が存在する。
 つまり、殴りながら説得するのは迫力も威力もあって、効果的なのだ。

 心と肉体に刻み込むような説教である。
 刃牙は文字通りに身にしみて理解した。
 なにしろ言い返せないぐらい殴られているんだから、強さの本質を実感しまくりだろう。

 刃牙は身も心も勇次郎に屈したのか、ついに白目をむいてしまった。
 このまま立ち上がれないのか?
 なにか反撃・反論できる余地があればいいのだが。
 増長王子・範馬刃牙は上から目線を取りもどせるのか?
 次回につづく。


 真に強い人間はガマンしない。
 最強の人間を仮定したら、まさにその通りなんだよな。
 法だろうとモラルだろうと軍隊だろうと、自分を阻むものがないならガマンしないでいい
 実際は独裁者とか皇帝だってけっこうガマンしているから、あくまで理論遊びみたいなモノなんだろうけど。
 隋を建国した楊堅なんて、恐妻家のあまり側室に手が出せずに耐えていたぐらいだ。
 浮気して怒られて家出をして「吾れ貴くして天子となるも自由を得ず」と叫んだとか。(参考:ギネス「恐妻家」、小説『隋唐演義』などに詳しい)

 強いヤツはガマンしないっての、板垣先生が輪島さんと対談した時の話が元になっている。
 禁欲するようなボクサーはダメとか、好き勝手言ってた。
 確かに、超天然で強い選手はムリな減量や禁セックスもしないで勝つんだろうな。

 また、ガマンとは違うのだが、耐えるンじゃなく喜びにかえるってパターンもある。
『もしかしたら、中村先生の修行には苦しみなんて存在しなかったんじゃないか。もっと言えば、修行が楽しくてしょうがなかったんじゃないかって。』達人烈伝
 つらい修行をイヤと思わず、喜びで続けられる。
 勇次郎も遊んで強くなったワケじゃなく、強くなる喜びと共に成長したのかもしれない。

 そして、もしかすると、刃牙に成長の喜びを教えようとしているのかも。
 ガマンしているうちは、まだ甘い。
 寝食を忘れるほど夢中になって強さを求めろ。って、コトかも。
 範馬親子は食事会から仕置きときて、教育に移っていそうだ。

 ちょっと前の『囚人リク』「強い奴ってのは まっ先に弱い奴に手を差しのべる奴だろう!!」ってセリフがあった。
 勇次郎は手を差しのべてくれないよな。
 強いから人を助ける余裕があるってのも、一つの真理だろう。
 勇次郎は刃牙に手を差しのべて、自分の所まで引っ張り上げようとしているのだろうか?

 ジャック兄さんにも手を貸してあげて欲しい。
 刃牙は、弱っているジャックに戦士として終わっているとトドメを刺していた。
 やっぱり、まだ余裕ない感じですね。


 今週のチャンピオンには舞台『グラッフリーター刀牙(トキ)』が映画化するとの情報がのっていた。
 けっこう出演者が豪華なんですけど。
 刃牙をめぐる最近の動きは、本当に予想ができないな。
 あいかわらず、次回の予想すら困難だし。

追記 (11/10/26)
 強ければ我慢の必要すらない!
 って言いますが、人間は万能じゃないんだから、どこかで人に頼ったりする必要がある。
 大きな目標のためには、小さな我慢をしなきゃいけない。
 我慢できる強さが必要なのだ。

 でも、佐藤優がウィキリークスの情報を見るかぎり、米国の情報精度はあまり良くない、と言っていた。
 米国は強いから情報で先んじれなくても挽回できるから情報精度が高くないのかもしれないと、続けている。
 ある意味、米国は強いからあんまりガマンしていないのかも。
 全盛期はもっとガマンしていなかったよな。
 映画のなかで容赦なくソ連叩いたり好き放題やってたし。

 でも、板垣先生はモハメド・アリみたいに強大な相手にNoを突きつける反骨心も好きみたいだ。
 横暴なガマンしない強さと、勝てないかもしれないけど諦めない精神だ。
 肉体の強さと 精神の強さってコトだろうか。

 刃牙は肉体の強さで勇次郎にかなわない。そりゃあもう、圧倒的な差だ。
 だったら精神的な強さで戦えば良いんじゃないかという方向に持っていくのかも。
 そこで、やっぱり千春流ですよ。
 自分の顔面を勇次郎の拳にぶつける。自分が必殺される自爆戦法だ。

 あぶない、こんなのブツけたら刃牙が死んじゃう!
 と勇次郎が慌てて拳を止めてバランスを崩す。
 そのスキをとらえて刃牙が必殺の攻撃を撃ちこむ。
 これなら刃牙でも勝てる。
 卑怯だけど。

 そして、観客は卑怯な刃牙に幻滅したとネットに書きこみ、刃牙の名が地におちるのだった。
 範馬刃牙・完ッ!
 なんて展開じゃ、ダメだろうな。
 ここまで勝ちにこだわれるのなら、ピクルのときにやっていただろうし。
 やはり範馬勇次郎を倒すことは不可能なのだろうか?
 もう、落雷や隕石に頼るしかないな。


2011年10月27日(48号)
第3部 第274話 可愛がり (930回)

 範馬勇次郎 vs. 範馬刃牙の親子対決も、そろそろクライマックスを迎えようとしているのかも。
 30巻第250話 史上最強の親子喧嘩』をスタートとするなら、もう24話もつづいている。
 でも、まだ互角の喧嘩は成立していない。マラソンで言えば競技場を出たところぐらいかな。
 ちょっと前に始まった『星矢LC 外伝』より2話分も長いンだけど、まだ折り返しにも達していない。

 さて、親子対決となると気になるのが勇次郎の血族だ。
 かつて、勇次郎も親子対決をしたのだろうか?
 勇次郎の父も強そうだ。
 次郎というからには、兄がいそうだし。
 巨凶・範馬の血と自称するのだから、一族そろって強いのだろう。

 勇次郎の縁者が登場する!
 父か? 兄か? 震太郎か?
 などと期待したら、母親でした。
 勇次郎の母は範馬刃牙2巻に収録されている『勇次郎誕生』で登場している。
 だが、顔を出したのは今回がはじめてだ。

「誰も勝てませんよ」
「あの子には」
「人も動物も」
「歴史上の誰でも」


 勇次郎の母は、生後すぐの我が子に屈服させられて出家した。
 2巻の『勇次郎誕生』よりも老けている感じだ。
 瀬戸内寂聴をさらに老けさせたような感じだろうか。
 もっとも瀬戸内寂聴っぽい人はピクルの今後を話し合うところに出てきていますが。(23巻 185話

 母親だけあって、口元のニィっとした感じやツリ目なところ、眉毛の形が似ている。
 眉毛は勇次郎のように太くないのが違いだ。
 あの眉毛の形は母方の遺伝だったのか?
 ならば父親は、わりと普通の顔だったりして。
 細身なのに、なんとなく貫禄があるのは、範馬勇次郎を生んだという経験が人間を育てたためだろうか。

 そして、範馬勇次郎は地上最強の生物であり、人類史上最強であると言い切っちゃう。
 言い切りましたなー。
 勇次郎の親バカは、この人の遺伝だろうか。
 めっちゃ息子のコトを誇っていますね。

 仮に全人類を集めて最強を決めたとすると、誰かが1位になる。
 その誰かが勇次郎だというのなら、可能性は充分にありそう。
 最強武将は誰だ、と議論していると100万の兵士のなかでイチバン強いヤツが有名な武将なんかより強いって意見が出てくる。
 でも、呂布典韋などは兵士から強さを認められて出世したので、数万の兵士のなかでイチバン強いヤツという具体例なのかも。
 で、母は勇次郎も人類最強の具体的な人物と思っているようだ。

「あなたも意地の悪いことを仰る」
「わたしは仏門に生きる身」
「それには答えられませんよ」
「お釈迦様と我が子を」
「闘わせるワケないでしょ」


 インタビュアーが、じゃあお釈迦様と勇次郎はどっちが強いと質問したようだ。
 いやいや、お釈迦様とかキリストとかマホメットは闘わないでしょ。
 いちおう平和主義者だろうし、個人の肉体的強さで宗教おったてたワケじゃないんだし。
 でも、釈迦は武術を習っていてスゲェ強い説ってのもありますが。

 答えられないと言うことは、闘えば勇次郎が勝つと思っているのだろう
 現代人は栄養や医療の発展で恵まれた体格をもっている。
 陸上競技などで記録が確実に伸びているのは、身体能力が上がっている証拠だろう。
 たとえ忍者だろうと、100m走でボルトに勝てるとは思えない。

 あとは、古代人のほうが優れた技術を持っていたのかどうかという点が問題だ。
 でも勇次郎なら技術でも過去の達人と互角だろう。
 なにしろ生きた化石みたいな郭海皇とほぼ互角の技術まで披露したのだから。
 だから、勇次郎はお釈迦様とかキリストとかマホメットにだって勝てる!
 いやいや、偉人は喧嘩買わないだろうけど。

「もし勝てる人がいるとしたら」
「血………」
「範馬勇次郎の血………」
「これがまず絶対不可欠」
「それも」
「とびきり濃い〜〜いやつがね」

 けっきょく自分の血族じゃないとダメってことですね
 濃いとか言われても困るなー。
 もう、息子で一択じゃないですか。
 それこそ、娘つくって娘に自分の子供うませるぐらいの外道をしなきゃ、息子の血縁濃度すら超えられない。

 あとはクローンで同じ遺伝子の勇次郎をつくるぐらいか。
 疵面(スカーフェイス)でクローン勇次郎を研究していたけど、どーなったんだろう。(疵面5巻 32撃
 漫画の連載再開をふくめて、どーなるんだろうか。

 とにかく範馬勇次郎に勝てる可能性があるのは息子しかいないと、母親が太鼓判を押した
 祖母・父・息子と続いた血脈が、刃牙勝利の可能性だ。
 で、勇次郎の父はどんな人なんだろう。
 家が豪邸だから金持ちだとは思うのだけど。


 その刃牙は、勇次郎の攻撃を喰らって起きあがれない。
 意識はあるが、体が動かない状態だ。
 このまま負けたら、刃牙も血が薄いといわれてしまうぞ。
 ジャックを馬鹿にした報いが今頃かえってきたのかも。(馬鹿にはしてないか、たぶん)

 勇次郎は刃牙の頭側に立つ。
 寝ている相手へのポジションとしては理想的だ。
 足側に立っちゃうと、アリ・猪木状態になって膠着する可能性があるし。

 だが、勇次郎はすぐに手を出さない。
 刃牙が回復する時間を与えているのだろう
 何かが裏返って刃牙が復活する展開を内心願っていると見た。
 だが、刃牙が立ち上がるには、なにか一押し足りないようだ。

「!?」

 と、ここでピクル登場だッ!
 友の危機にかけつけてくれたのか?
 恐竜時代にも友情はあるんだ!

 ピクルは有名なので観客も大喜びする。
 このままだと、刃牙の存在がかすんじゃう。
 勇次郎も刃牙に背を向けて、ピクルに相対する。
 画面から刃牙の姿が消えた!

「貴様を………」
「幾度も思った」


 宣戦布告とも取れる勇次郎の言葉に観客がわいた。
 古代の勇者と、地上最強伝説を持つ男の対決だ。
 これは親子喧嘩よりも見たい戦いかもしれない。
 観客達は刃牙とピクルが戦ったコトを知らないから、熱狂している。

 刃牙は忘れ去られた格好となった。
 主人公が放置プレイなのは刃牙世界じゃ良くあることだ。
 でも、良くあることが、許せることとは限らない。
 刃牙が動いたッ!

 ピクルを殴る。
 殴んなよ、ピクルを。友達だろ!?
 歯が、牙が折れて飛んだ。
 野生動物にとって歯の損失は死活問題になる。
 ピクルにとって大ダメージだ。

「フフ……」
「この妬きモチ焼きが」


 範馬勇次郎は満足しているようだ。
 狙い通り刃牙が復活したってことだろうか。
 浮気するフリをして、恋人の心を自分に向けさせる作戦だったっぽい。
 悪鬼というより悪女みたいなコトをしやがる

 殴られ損のピクルは、このまま退場するのか?
 復活したけど、刃牙は勇次郎に勝つ見込みがあるのか?
 勇次郎はどこまで刃牙を可愛がるんだろう。
 さまざまな疑問を抱えながら、親子対決は折り返し地点まで来たのだろうか?
 次回につづく。


 ピクルは刃牙を奮起させるために自ら殴られに来た。
 いや、さすがに自分が殴られるとは思っていなかっただろうケド
 ダーリンの馬鹿! 的な展開で、恋人じゃなく浮気相手に電撃かますようなモンだよな。
 浮気相手を包丁で刺すようなリアルっぽい展開かもしれないけど。

 刃牙は、みんなの期待を裏切るとか、人の楽しみをジャマする行為のほうがモチベーション上がるんだろうか?
 ついさっきまで動けないと言ってたのに、妨害行為のためなら身体が動くようになりやがる。
 負の動機で戦うほうが強いってのは、なんか刃牙に似合っているのかも。

 今回、神崎首相が秘書(?)に何か指示を出していた。
 ピクル登場前だったので、親子喧嘩に決着がついたと思って悪いコトを考えていたのかも。
 刃牙は復活した。だが、ダメージは大きい。
 そんな刃牙にとって有利に働く騒ぎがおきるかも。

 ピクルは刃牙を励ましに来てくれた。……たぶん。
 少なくとも、刃牙に殴られるためじゃないだろう。
 刃牙は存在も知らないだろうが、祖母が刃牙の勝利を保証してくれた。
 そして、神崎首相の判断ミスが結果的に刃牙をサポートをしてくれる、と思う。
 刃牙は見えるところや 見えないところで、イロイロな人に支えられている

 勇次郎は最強かもしれないが、孤独だ。
 刃牙の強さは勇次郎に届かない。
 だが、周囲の人間の絆が刃牙の強さを底上げしてくれる。

 バキ祖母は勇次郎に勝つために絶対不可欠で血が必要といった。
 でも、それだけじゃ足りないだろう。
 次に必要なのは仏教的な発想で、人との関わりである縁なのかもしれない。
 刃牙が懐かしの技を使うのは、過去の絆が武器になっているからかも。
 できれば、完成された地球拳を使って欲しいな。けっきょく、どんな技なのか不明なままだし。

 刃牙は闘争を通じてうまれる絆に重要性を感じていた。
 だから、絆によってパワーアップする展開は問題ない。
 問題ないけど、ピクルを殴るなよ。大事なことなので何度も言うけど。
 ピクルとの絆は、殴り愛ですか?

 相手を理解し、つながるために殴る。
 刃牙が本格的に勇次郎と殴りあいを始めれば、そこにも絆が生まれるのだろうか?
 勇次郎が生まれてはじめて理解しあえる人間に、刃牙はなるのかも。
 そして、刃牙と勇次郎が親子の絆を確認して、殴るのではなく抱きしめあおうとしたのなら……
 ピクルは刃牙を殴ってジャマをしても良いぞ。

追記 (11/11/1)
 今週は木曜日が祝日なのでチャンピオンが水曜日に発売される。
 「木曜日のフルット」の立場がすこし無くなってしまうな。

 日本SF大賞の候補作に「魔法少女まどか☆マギカ」がノミネートされた。
 ならば刃牙がノミネートされてもイイんじゃなかろうか。
 塩漬けになった恐竜時代の原始人が現代によみがえるなんて、実に科学的だ。サイエンス・フィクションだよ。
 SFってSuper Fightの略称だよね。

 で、原始人ピクルさんが刃牙に歯が折れるほど殴られたワケだ。
 刃牙の後ろ向きな情熱はスゴいよな。
 普通なら「俺がいるのによそ見してんじゃねー!」と勇次郎に殴りかかるところなのに、友のピクルを殴るんだもん。

 それとも、アレは刃牙の友情パンチなんだろうか?
 さすがのピクルも勇次郎と戦えば死ぬか重傷だろう。
 だったら、友である俺の手で葬ってやる!
 じゃなくて、勇次郎と戦う前に俺が前にでて止めてやるってことかも。

 でも、勇次郎が急にフレンドリーになって、ピクルを対象にして試し斬り勝負をはじめたりして。
 これだけ頑丈なら、思いっきり叩いてもすぐには壊れんぞ!
 さすがに刃牙も、ここまで暗黒面に落ちていないと思うけど……

 でも、刃牙がはじめて背中の鬼に目覚めたとき、かなり性格が悪くなっていた。
 刃牙はまだ勇次郎に勝てそうもない。
 この壁を乗りこえる、まで行かなくても壁に手が届くようになるためには、更なるパワーアップが必要だ。
 その結果、やっぱり刃牙はさらに黒くなるのだろうか?
 ゴキブリみたいに……


2011年11月2日(49号)
第3部 第275話 邪魔立て (931回)

 本気を出した勇次郎に殴られ、刃牙は立てなくなった。このまま敗北するのか!?
 だけど、腐っても刃牙は主人公である。たとえ、仮に、もしかして腐っていても。
 くさいけどチャンピオンは運も超一流だ。
 乱入してきたピクルのおかげで刃牙が復活する。

 立ち上がった刃牙は、まずピクルを殴った。
 刃牙の左フックがピクルにメリ込むところが、スロー映像で詳細に描写される。
 もっともKO率が高いといわれる左フックだ。
 刃牙は本気でピクルを倒しにきているな。

 ピクルの頚骨は動物なみに頑丈だ。(13巻 99話
 しかし、刃牙の左フックでアゴは上をむいている。
 そしてピクルの牙が折れた。

「カンケイねェんだよテメェは」
「すッこんでろッッ」


 刃牙がピクルに怒った。
 大激怒だ。
 電撃が出るほどの怒り顔をしている。

 別にピクル、悪くないよね?
 刃牙がダウンして立ち上がれないっぽいから様子を見にきただけだろう。
 勇次郎が刃牙よりピクルを優先したのは、ピクルのせいじゃなく刃牙が弱いからだ。
 自分の弱さを棚にあげて、ピクルを怒るのは理不尽じゃなイカ?

『自然界の不文律(おきて)
『割込みは御法度』
『絶対的な法則であった…』


 いやいやいや、だからピクルは割り込んでないよね。
 だって、ピクルが来た時点で刃牙は立ち上がれずにいて、戦闘不能状態だったんだし。
 ピクルが来なかったら刃牙は負けていた。
 とは言っても刃牙世界の説得力は1%の理と99%の迫力で成りたっている
 刃牙の迫力にピクルは反省するしかないのだった。

 なにしろ、自慢の牙を折られている。
 鼻をへし折られたようなもんだ。
 迫力だけじゃなく、暴力まで加えている。
 なんか、主人公によるパワハラだよな

 割込みは自然界のオキテじゃないと思う。
 強さこそが正義、ってのが自然界のオキテだ。
 獲物を狩り、子孫を残し、敵から逃げる。すべて強さだ。

 ピクルは刃牙の強さを見せつけられた。
 弱者はおとなしくさがるのみ。
 というわけで、ピクルはヒザを抱えて座りこむ
 う〜〜む、今週のピクルは不憫萌えですね。
 怒られて凹むイカ娘よりも萌えキャラかも。

「お見苦しいところを…」

「終わりかけた宴…………」
「再び開始(はじ)められる悦びはあれど」
「息子よ」
「親友(ダチ)が現れなきゃ終了(おわ)っていたぞッッ」


 ピクルを退場させて、刃牙はふたたび勇次郎と対峙する。
 勇次郎も刃牙が復活するのを待っていたようだ。
 やっぱり、ピクル悪くないよな。
 刃牙さんも、自分が見苦しいことをしたと自覚しているみたいだし。
 いや、刃牙の言う見苦しいは、起き上がれなかったコトについてか。

 なんにしても、バトル再開だ。
 刃牙には防御不可能な技である、脳の起こり=引き金(トリガー)に対するカウンター技がある。
 幼年編のときは、相手の攻撃が体にふれた瞬間にカウンターを仕掛ける技があった。
 こんどのカウンターはもっと進化している。
 相手が攻撃しようと脳から信号が出た瞬間にカウンターをかけるのだ。

 勇次郎が強く地面を蹴る。
 だが、勇次郎の攻撃は刃牙の予想範囲内だ。
 相手の出すカードをすでに知っているような状態といえる。
 範馬刃牙、必勝の迎撃だ!

『近代初の引き金(トリガー)勝負ッッ』

「そうくることは知っていた」


 ダウンしたのは刃牙だった!
 範馬勇次郎も、引き金(トリガー)カウンターを使えるのだ。
 まあ、勇次郎なら当たり前って気がしますが。

 この展開は幼年編のカウンター合戦と同じだ。
 刃牙が究極のカウンターを出したら、勇次郎が至高のカウンターで返す。
 幼年編のときと同じ展開だ。ならば、このまま刃牙が敗北してしまうのか?
 範馬の親子喧嘩もついに極まってきた。
 もしかしたら、決着が近いのか?
 次回につづく。


 究極の読みである、引き金(トリガー)カウンターにカウンターを重ねる。
 技が究極すぎて、ワケわからん状態になりそうだ。
 引き金(トリガー)にカウンターを合わせる時の脳が出す引き金(トリガー)にカウンターを合わせて倒したってことか?
 実にややこしい。

 私が思うに、引き金(トリガー)カウンターにも弱点はある。
 フェイントに弱いのだ。
 相手の予備動作に先んじて行動する動きは、ニセの予備動作で暴発するだろう。
 撃たされてしまった攻撃は、逆にカウンターの餌食となる。
 高度な戦いになればフェイント合戦になって、なかなか本当の攻撃が出なくなるのかも。

 何かを決断して行動するとき、意識は遅れている。体の動きを事後承認しているのだ。
 だが、非承認の場合は意識が役にたつ。
意識は行為を起こすことはできないが、実行をしてはいけないという決断はできるのだ。』(ユーザーイリュージョン
 行動しようと決断するより、行動していることを中止しようとするほうが、早く反応できる。

 無意識のカウンターはフェイントに弱い。
 だが、フェイントを意識で見破ることができれば、行動の中止が間にあうかもしれないのだ。
 引き金(トリガー)勝負はフェイント勝負になり、見破り勝負にもなるかも。

 刃牙は伝説的な達人の域に達した。
 だが、勇次郎にその上を行かれてしまう。
 刃牙はいつまでたっても勇次郎に追いつけない。

 ならば、どうすればいいのか?
 この場にいるのはピクルと独歩だ。
 かつて範馬勇次郎を苦しめた武神と、たぶん勇次郎よりチョットだけ弱い生物である。
 この二体のパワーを吸収すれば勇次郎に届くかもしれない。
 どうやってパワー吸収するのかという問題はありますが。

 そうなると、神崎首相が前回みせた不審な動きに期待するしかなさそうだ。
 辞任に追い込まれるのが、ほぼ確実だから きっと不手際を発揮して親子喧嘩を台無しにしてくれるのだろう。
 範馬勇次郎の肉体は最強で無敵かもしれない。
 だが、刃牙には運のよさがある。

 運よくピクルがやってきて、運よくピクルを殴ることで回復できた。
 ピクルにとったら、殴られたうえに叱られて不運きわまりないけど。
 とにかく、また刃牙はダウンしたようだけど、きっと盛り返してくれるだろう。
 誰かを踏み台にすれば、まだまだ刃牙は復活できる。
 とりあえず神崎首相を踏んで、戦闘中に首相交代という奇跡を起こすんだ!

追記 (11/11/9)
 刃牙と勇次郎が脳の引き金(トリガー)勝負だ。
 超達人レベルの戦いになっている。
 烈のやっているボクシング挑戦ですらずっとレベルの低い戦いに見えてしまいそうだ。

 でも、引き金(トリガー)勝負が過剰になると、お互いに先の先を読みすぎて一歩も動けなくなりそうだ。
 二人とも動いていないように見えるが、イメージの世界で激しく戦っているみたいな感じで。
 下手すると、いや下手をしなくても、頭の悪そうな戦いになっちゃうよな。
 なんかもう、充分に発達した格闘技は、魔法と見分けがつかないってレベルだよ。

 とりあえず刃牙は勇次郎の打撃を喰らって気絶した。
 ここで踏みとどまって目を覚ますのか、そのまま終わってしまうのか?
 復活しても、もう刃牙に引き出しがなさそうなのが心配だ。
 残っている技は、本当にもう"千春流"しか無いぞ。

 あとは克巳の真マッハをパクるぐらいか。
 やっぱり、刃牙はみんなの力を少しずつパクって強くなるしかない。
 単独じゃ勇次郎に勝てないから、協力して戦う。
 勇次郎とはちがい絆で戦うのが範馬刃牙だ。
 絆というか、パクりだけど。

 しかし、本当に刃牙と勇次郎の戦いはクライマックスをむかえようとしている。
 もう刃牙世界でだせる技術は全部出しちゃった感じだ。
 板垣先生曰く、とっておきのアイデアは使わないと次のとっておきアイデアが出てこない。
 とりあえず溜め込んでいたネタを全部出して、次の戦いに備えるのだろう。
 そしたら、今度こそ世界中にバラ撒いた勇次郎の種が活きてくるのかも。


2011年11月10日(50号)
第3部 第276話 上へ上へ (932回)

 脳が命令してから、筋肉が動くまでには時間がかかる。
 筋肉の初動というより、脳の初動――引き金(トリガー)――がかかった瞬間に反撃だ。
 武術の最高峰ともいえる最強のカウンターを刃牙は仕掛けた。ハズだった。
 だが、倒れたのは刃牙だ。
 白目むいてます。

 地上最強の生物・範馬勇次郎は単純な腕力だけでも地上最強クラスだ。
 オリンピック金メダリストよりも速く走れ、重いものを持ちあげられるだろう。
 そんな肉体だから、あまり使わないけど技術だって超一流なのだ。
 本気を出せば渋川先生と互角なんじゃないかと思えてしまう。
 やんないだろうケド、ダンスとかさせてもムチャ上手い気がする。
 なので、刃牙の引き金(トリガー)カウンターを引き金(トリガー)カウンターで返すのも朝飯前だ。

「Aが攻撃を決断する」
「その決断の――――――」
「0.5秒前にBが知覚し迎え打つ」
「その迎撃をAは直ちに感じ取り」
「Bの迎撃を迎撃………」
「そのAの迎撃をさらにBは」
「さらにAは さらにBは」


 倒れた刃牙に向かって、勇次郎が解説をはじめた!
 いかん、カウンター負の連鎖が始まっている。
 幻覚技で倒しても倒されても実態じゃなかったりするような展開だ。
 またはいつまでたっても本気の本気を隠している超・鷹のツメ作戦かもしれない。
 能ある鷹はツメを108本ぐらい隠し持っている!
 話が一向に進まなくなったらどうしよう。ただでさえ遅いのに。

 でも、勇次郎の説明はおかしい。
 攻撃を決断する0.5秒前に身体が準備に入るので、それを捕らえてカウンターする。
 そのカウンターの動きを0.5秒前に捕らえて……だと、どんどん時間をさかのぼってしまう。
 10秒後にAがする動きを 捉えたBが9.5秒後にする動きを 捉えたAが9秒後にする動きを……、今捉えた!
 って、どんな状況だよ。
 アキレスと亀よりもヒドい理屈だ。

 たぶんコレは勇次郎のジョークだ。
 不毛な戦いはやめようと言う忠告を内包しているのだろう。
 本気でこんな戦いはじめたら、10年先にAがする動きを捉えた Bが9年364日23時間59分59.5秒後にする動きを……、今捉えた!みたいなことになる。
 10年後には動きを捉え続けた二人が立ったまま餓死している姿を今とらえられそうだ。

 ところで、アキレスと亀は「アキレスがどんなに速かろうとアキレスが動いた瞬間、亀もわずかに動いているので絶対に追いつけない」という理屈だ。
 これは元々、物には分解できない最小単位があるということを主張するときに、もし無限に分解できるのならこういう妙な話が成り立ちますよと言い出した例え話だ。
 シュレーディンガーの猫と同じく、反論にために用意した成り立たない話なのだが、妙な理屈が人気になって世間に広まっている。
 ある意味、反対派を補強してしまって考えた人にとっちゃ微妙な結果だろう。
 世の中、ムチャ理論のほうが通りがよいものらしい。
 というワケで、首の神経切ったら失明するとかの理論は大人気になったのだ。

 じっくり解説したのは、刃牙が回復するための時間かせぎだろうか。
 ゆっくり刃牙に近づいた勇次郎は、刃牙の頭に蹴りをいれる!
 が、刃牙は腹筋で起きてかわしていた。
 この短期間で刃牙は完全復活だ。
 ダメージ、どこ行った!?

「カンベンしてよ」
「"よーいドン"で勝てるなら」
「始めからそうしてるさ」
「それができない以上――――」
「こうする他ない」


 刃牙がハンドポケットをしている!
 これは龍書文のハンドポケット居合い術だ。バキ23巻 205話
 刃牙はまだ引き金(トリガー)対決をあきらめていない!
 そ、その手があったのか?

 強敵(とも)の必殺技をコピーしまくるパクりの刃牙だけど、まさか戦ったこともなければ話したこともない人の技を盗むとはッ!
 恐るべき模倣能力だ。
 こりゃ、ピクルの龍殺しタックルとかも真似しちゃうな。
 ちなみに、私はドラクエIXやIIIの盗賊にバキと名づけています。武闘家ではない。

「付き合おう」

 範馬勇次郎もハンドポケットだ!
 さすが地上最強の親バカ男ですな。
 超教育熱心な闘育パパだよ。

 刃牙はまともに勝負したら勝てないから技ににげた。
 しかし、勇次郎にまわりこまれてしまった。
 今度は技ので真っ向勝負になる。
 相手の引き金(トリガー)を読むのが巧いのは、どっちだ。

「古の剣豪同士がそうしたようにッッ」
「かつてのガンマン同士そうしたようにッッ」


 居合い勝負のように、早撃ち勝負のように、拳の居合い勝負だ。
 素人にも違和感が伝わるであろう異質の対決となる。
 どっちが速く抜くのか、抜けるのか?

 勇次郎のことだから、まともに勝負したら刃牙より速いのだろう。
 刃牙はまともに勝負したら負ける。
 だから、奇策とかトリックを使ったほうが良さそうだ。
 長い目で見たら、小手先の技で勝っても良くないのだろうから、奇策に頼るのも考え物だけど。

 刃牙はどんな奇策を考えているのか?
 拳をポケットから抜いて攻撃する、と言う前提をくつがえす。
 たとえば蹴る。
 ポケットから手を抜かず、チャックを破って攻撃だ。(パンツとズボンが破れて丸出しになる危険な賭けだけど)

 でも、どう動こうと「ヤる」と思った瞬間の読み合いだから、あまり関係ないのかも。
 蹴ろうが、パンツ破ろうが、放屁で飛ぼうが、動く瞬間を押さえられたら負けだ。
 ならば相手のタイミングをズラすための奇策が必要になる。
 刃牙に策はあるのか?

「"抜く"と決断する0.5秒前!!!」
「俺がこのアホ勝負(ゲーム)を終わらせるッッ」

「や…………やってみろよ」
(やってみろ!!!)


 声に出すと同時に、脳内でも決意表明する刃牙であった。
 なぜ、脳内でも!?
 (ヤメて)などと思っているのなら、虚勢としてワカりやすいんだけど。
 内心思っていることは勇ましいけど、声がちょっと震えている。
 つまり、身体はビビっているのかもしれない

 そして、範馬勇次郎はこの勝負を"アホ勝負(ゲーム)"と見切っていた。
 見切られちゃったよ、オイ!
 やっぱ、どんどん0.5秒ずつさかのぼって行く読み合いは不毛なアホ勝負(ゲーム)だよな。
 どっちがダメ人間か競うのと同じぐらい不毛だ。
 まあ、それで誰かが喜んでくれるのなら少しは救いあるんだケド。
 範馬親子のアホ勝負(ゲーム)は誰かを喜ばせるモノなのか!?
 次回につづく。


 ちなみに、この手の引き金(トリガー)対決は自分で決断したほうが不利だ。
 前に、シグルイ10巻 五十景の感想を書いたときの使いまわしですが、『ユーザーイリュージョン』にこんな話がのっている。

 ニールス・ボーアは西部劇で主人公が勝つのは、無意識の動作だからという仮説を立てた。
 悪漢は自分から銃をぬく。つまり意識的な動きだ。
 逆に主人公は悪漢の手が動いた瞬間、反射的に銃をぬいて撃つという訓練をする。
 主人公が勝つのは、無意識の行動による速さのおかげだ。
 ボーアはおもちゃの拳銃を買い、この理論で「弟子を全員『射殺』した。」

 無意識のカウンターのほうが、0.5秒遅れの意識した動作より速いのだ。
 でも、勇次郎はそのさらに0.5秒先に動く反射の動きに反射して……
 やっぱりムチャ理論だろ。

 反射攻撃への対抗策は三つある。
 ひとつはフェイントだ。
 フェイントで相手を先に動かす。
 予想された動きなら防御もたやすい。
 そして、相手の反射攻撃に反射して攻撃だ。

 二つ目は無拍子である。
 もうひとつの究極である、無心の攻撃……が無拍子なのかは議論の分かれるところだ。
 とにかく無心攻撃または、ノーモーションの攻撃で、相手に引き金(トリガー)を読ませない。
 独歩の菩薩拳をパクればできるかもしれない。

 最後はサンボのビクトル古賀方式だ。
「狙っていると相手になぜかわかってしまう。」
「だから、僕は試合会場に行ったら」「好みの女の子を捜す」
「その女の子が見えたら、僕は技をかけるんです」
「僕にもいつ技をかけるのかわからない。そうすると、技をかけるタイミングが相手にもわからないんです」(平直行の格闘技のおもちゃ箱

 自分で反射の場を作ってしまうスゴい荒技だ。
 もちろん普通なら、よそ見したら負ける。
 基礎力が高くないと使えない。

 でも、刃牙もやってみたらどうだろうか?
 好みの女の子が視界に入った瞬間に攻撃する。
 反射の攻撃なので、無意識だ。
 擬似・無拍子というか無心攻撃になる!

 だが、大きな問題があった。
 きっと、刃牙の目には勇次郎しか映っていない。

追記 (11/11/16)
 書き忘れていたけど、先々週チャンピオンで刃牙のベストバトルアンケート結果発表があった。
 イロイロと興味深いデータなんでちょっと振りかえってみる。

第1位
範馬勇次郎 VS 郭海皇

1位は「範馬勇次郎 VS 郭海皇」だ。一応、この戦いが現時点での頂上決戦ってところですね。
やっぱり「どっちが強いのか?」「誰が最強なのか?」を決める戦いのほうが盛りあがるのだろう。
力の勇次郎と技の郭海皇、どっちが強いのか!?
この戦いで範馬勇次郎は技で倒すことはできないと判明した。

第2位
花山薫 VS スペック

続いて「花山薫 VS スペック」だ。
最凶死刑囚編の初戦でありいきなり最高戦って感じでした。
どっちが勝つのかわからない。花山が死ぬかもしれない。
先の読めない戦いだった。
花山の戦いも、ある意味で最強を目指す戦いなのかも。
肉体の強さというより、心の強さで戦っている。

第3位
範馬刃牙 VS ピクル

ここで主人公の登場だ。今のところ刃牙の最強決戦ですね。
ダメージがないことを証明するため、自らダイビングするとか、これも意外性のある戦いだった。

第4位
範馬刃牙 VS 範馬勇次郎 [第2戦]

まだ決着はついていないけど、現在進行形の親子対決が4位だ。
この戦いは強さを決める意味でも、ネタ的にもファイナルバトルにふさわしいと思う。

第5位
愚地克巳 VS 花山薫

グラップラー刃牙の最大トーナメントから名試合が選ばれた。
花山が天然の強さと信仰心にもにた精神力を見せる。
そして、おごった天才である克巳が初の挫折を味わい、ただの青二才に戻り、仲間の絆で努力の日々を思いだす。
克巳は覚醒し、花山は試合に勝つためではなく信念を貫くために戦う。
まさに敗者のいない試合だった。

第6位
渋川剛気 VS 愚地独歩

こっちは武の極致ですね。
現在の刃牙と勇次郎の戦いも技術の極みなんだけど、技対決ならやっぱり達人どうしのドリームマッチのほうが上かな。
この二人には、郭海皇と戦ってほしいところだ。

第7位
範馬刃牙 VS ジャック・ハンマー

こちらはグラップラー刃牙のファイナルバトルだ。
完結にふさわしい良きバトルでした。
最大トーナメント決勝だけに、やっぱり最強を決める戦いなんだよな。
どちらも範馬の血族ってあたりに仕組まれている感じがありますが。

第8位
範馬刃牙 VS 花山薫

一番古い幼年編からは刃牙と花山だ。
しかし、花山の戦いは人気ありますね。
相手の攻撃をよけずボロボロになりながらも、戦うのが花山薫です。
この喧嘩は刃牙が負けるんじゃないかと思いながら読んでいた覚えがあります。

第9位
ピクル VS 愚地克巳

灼熱の進化を遂げる克巳の戦いだ。
花山戦といい、克巳は己の無力さに向き合って進化するところに魅力があるようです。

第10位
範馬刃牙 VS オリバ

登場時は勇次郎に次ぐ実力者と思っていたオリバと刃牙が戦う!
なんか刃牙が理不尽に強くなったような印象があったけど、これもまた頂上決戦だ。


 見直すと、やっぱり「最強は誰だ?」という試合に人気があるようだ。
 次に花山の戦いで、克巳が覚醒する戦い、そして達人対決ってところか。
 なんか、ムリに刃牙を出さなくても何とかなりそうな感じだよな。
 花山 VS ジャック・ハンマーで花山が覚醒すれば大人気マチガイなしって感じだ。
 刃牙も、がんばれよ。


・ おまけ
 今週の作者コメントは次のとおり。
『書籍「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」148頁、木村の肩幅に驚け!』

 真剣勝負なら最強とも言われる柔道家・プロレスラーの木村政彦エリオ・グレイシーにも勝っている。
 板垣先生は、さすがにこの本をチェックしているんですね。
 私もあとで読もう。
 ……刃牙世界に柔道家が登場しそうな予感がする。
 柔道家、不遇なんだよな。

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか



2011年11月17日(51号)
第3部 第277話 抜拳 (933回)

 居合い勝負のように、あるいは拳銃早撃ち勝負のようにッ!
 ハンドポケットからの抜拳勝負だ。
 異様な隠し芸対決になってきた。
 刃牙も勇次郎も、いつの間にパンドポケット抜拳術をマスターしたんだろう。
 ぜったい思いつきで行動しているだろ、オマエら。

 ハンドポケット抜拳術においては、ポケットからすばやく拳を抜き取るという技術が重要だ。
 失敗したらパワーあふれる二人のことだからズボンが裂ける事態になりかねない。
 超音速の衝撃波でパンツまで粉みじんになって親子そろって全裸をさらす可能性もある。
 いや、刃牙はまだ上が残っているから、裸Tシャツ状態でしのぐことができるだろう。
 でも勇次郎は全裸になっちゃう。

 いやいや、肝心な技術はそこじゃない。
 重要なのは"抜く"と思う前に動きだす身体の反応だ。
 意思よりも早く訪れる動きの引き金(トリガー)を読み、相手より早い攻撃を出す。
 武における究極の読みあい勝負がはじまった。

 親子はポケットに手を入れて、前かがみだ。
 二人とも姿勢が悪いぞ。なぜに前かがみなんだろう。
 背景がゆがむほどの圧力が両者のあいだに発生いている。
 刃牙は緊張しているのか、大量の汗を流していた。
 緊張と弛緩のふり幅が打撃の要だけに、緊張は良くない。
 自分からはじめた引き金(トリガー)の読み勝負だけど、刃牙のほうが追いこまれている。

 だが、刃牙は緊張しながらも、極限の集中状態にはいっているようだ。
 0.5秒遅れる意識が、どんどん0に近づいているらしい。
 極限の集中力で忘我の状態になっているのだろう。
 いや、ここは無我の境地といったほうが馴染むな。

「あ……」
「そうだ…」


 あと一滴で水がコップからこぼれそうな緊張感のなかで、急に勇次郎が声を出した。
 なんだ!?
 もしかして、コタツを消し忘れたまま外出しちゃったのか?
 この絶妙な間の外し!
 動く0.5秒前にトリガーを感じて話しかけたんだろうな。

 ここから急に、勇次郎が白目になる。
 晋の阮籍は好感のもてる人は青眼で迎え、嫌な人は白眼で迎えたという。(せい‐がん【青眼】
 気に入らない客は白目で威嚇したってコトだろうか?
 青眼は黒い目のことで、好きな人とは視線を合わせて、嫌いな人だと視線を合わせず白目ばかり見える状態なのかも。
 五行で言えば白は西で、青が東を意味する。白青ってのは正反対という意味合いもあるのだろう。

 さて、白眼視している勇次郎です。
 これは隠し事をしている目なのかも。
 だから心理的に目を合わせていない状態なのだ。
 勇次郎の発言は本心を隠している。
 真意はなんなのだろう。

「血の繋がった父と子が」
「胆(はら)の探り合い……」
「どうも違う……」

「攻撃を繰り出す5秒前から」
「俺が自ら」
「カウントダウンしよう」


 とりあえず、親子関係を強調したいのは本心だと思う。
 親子なんだから、探りあう関係はイヤだとおっしゃるか。
 小細工しないで素直にぶつかってきてほしいようだ。

 そして、開いた指を折っていき拳になった時点で攻撃するという。
 カウントダウンするってことは、同時攻撃になるだろう。
 ならば、読みあいではなく単純に攻撃のスピード比べになりそうだ。
 これは勇次郎が圧倒的に有利っぽく思えるが……

 刃牙の都合を聞かずに勇次郎は一方的にカウントダウンをはじめた。
 ワガママを通すことが強さってことを体現した行動だ。
 刃牙の意見や抗議など聞いちゃいない。
 けっきょく勇次郎のペースに巻き込まれているので、刃牙はまだまだ弱者のポジションだ。

 刃牙が動揺している間にもカウントダウンは進み、拳が握られた。
 範馬勇次郎の攻撃がはじまる。
 ハンドポケットしたままの刃牙は対抗できるのか?
 次回につづく。


 刃牙に付きあってハンドポケットと、見せかけてルール変更だ。
 子供に仮面ライダーの映画を見たいと言われて映画館に行くが、見たのが猿の惑星ってぐらいに強引な路線変更ですな。
 範馬勇次郎はハンドポケット戦法の危険性を気にしていたのかも。
 万が一にでもズボンが破けたら赤っ恥だ。

 人の生死にかかわる外科医は、普段から危険を伴う行動を避けることが習慣になるように心がけている。(〈勝負脳〉の鍛え方
 真の戦士として勇次郎も無用な危険を回避したのかも。
 全裸の危険性と、攻撃が当たるというメリットを天秤にかければ、まるだしのほうが嫌だろう。

 逆に刃牙は危険をおかしてでも、攻撃を当てることに賭けているのかも。
 勇次郎とは状況がちがう。
 実力が劣っている刃牙は、ギャンブルをしなくちゃいけないのだ。
 もっとも、判断先送りしていたら最悪の事態に追いこまれただけかもしれないけど。

 5秒後に攻撃すると宣言しているんだから、刃牙は5秒以内に先制攻撃すれば良かったのに。
 勇次郎が宣言を破って反撃するとはおもえない。
 5秒間は殴りたい放題だったハズだ。
 貴重なボーナスタイムを逃してしまった。

 ハンドポケット抜拳術はカウンターを取れるのだろうか?
 龍書文の場合は、相手が攻撃する!と身体が準備に入った瞬間を読んで反撃したと思われる。
 無意識を利用した、反射カウンターだ。
 しかし、カウントダウンされると、相手の攻撃がゼロの瞬間に動く反射攻撃になるのでカウンターしにくい。
 カウンターの優位性が理論上なくなる。

 5秒後に攻撃するってのは、ガイアがシコルスキーの心を折るのに使ったプレイみたいだバキ18巻 154話
 勇次郎は刃牙に極上の恐怖を与えるつもりなのだろうか?
 刃牙を追いこむことで更なる覚醒をすると期待しているのかも。
 シコルスキーほど条件は悪くないし、刃牙なら恐怖というストレスで進化するかもしれない。

 勇次郎は刃牙のハンドポケット抜拳術が見たくなっただけかも。
 せっかく刃牙が工夫して構えているんだから、その成果を見届けよう。
 急に気が変わったのかもしれない。

 どちらにしても勇次郎の真意はわからない。
 白目で感情が読みにくいし。
「血の繋がった父と子が」「胆(はら)の探り合い……」「どうも違う……」
 勇次郎はそう言っていたが、勇次郎本人の行動が読めないせいで探りあうハメになっている。

 本当は親子で腹を割った話がしたいのだろうか?
 ハンドポケットは気持ちを隠すというポーズでもあるワケだし。
 でも、勇次郎だって江珠を殺した理由を話していない。
 勇次郎はあまり胆(はら)を探られたくないのかも。
 背中に鬼が宿る範馬勇次郎だが、反対側の腹が意外と弱かったりして。

追記 (11/11/23)
 勇次郎の打撃予告カウントダウンだ。
 普通は指を全部折ると同時に0になると思う。
 勇次郎は全部指を折った時点で1だ。
 0と1のあいだは自分でタイミングを計れってことですか?
 親切なようでワカりにくい。

 体脂肪計タニタの社員食堂がレシピをにしたところ好評だったため、食堂をはじめるらしい。(体脂肪計のタニタ、1月から食堂始めます
 タニタ以来、レシピ本が好評だそうだ。
 ならば、刃牙もレシピ本を出したらどうだろう。

 格闘描写だけでなく、料理描写も優れているのが刃牙である。
 思い切って格闘料理人・烈海王とか外伝で作ればいいんじゃないかってレベルだ。
 土下座漫画をやれるぐらいだから、料理漫画だってできるだろう。

 でも、刃牙世界の料理って旨そうだけど、あまり凝った調理ではない。
 安藤さんが出してくれた、熊の刺身に生のわさび添えは旨そうだけど、材料入手のハードルが高すぎる。
 飛騨の辺りに行って、ツキノワグマを倒してください。できれば素手で。
 最初の1ページで挫折だよ。

 刃牙の得意料理である、おじやとウメボシとバナナ、そして炭酸抜きコーラの4点セットは材料も調理も簡単そうだ。
 そんなに旨そうじゃないけど。
 つうか、バナナとコーラは出来合いのものを買うってパターンだよね。
 たまに登場するステーキも高い肉を買えば良いような気がする。

 そもそも、刃牙メニューて時代に逆行した高カロリーなんだよな。
 幼年編刃牙の山籠りメニューみたいに高タンパク・高ビタミンを狙っている。
 刃牙レシピでみんなマッチョにというコンセプトならイケるかもしれない。
 刃牙と同じく、主に男性向けで。


2011年11月17日(52号)
第3部 第278話 秘技・秘術 (934回)

 身体を動かすために、脳が信号をおくる瞬間ッ!
 その引き金(トリガー)を起こす瞬間を読みあう究極の早撃ち・居合系勝負だ。
 と、思わせておいて勇次郎が手を抜く。
 まただ。また、この人は息子を甘やかした。
 厳しいようでダメパパだよ。

 『ユーザーイリュージョン』ではニールス・ボーアが自主的に銃を抜くより、相手の行動に対して反射で抜くほうが早く銃を撃てるという理論と実験を行っていた。
 これは、別の人も同じような結果を出している。(西部劇の「電光石火の早撃ち」、科学的に立証? 英研究

 この実験結果をふまえると、先に動いたほうが不利だ。
 純粋な勝負にならない。
 勇次郎は攻撃の開始をカウントダウンすることで、両者が反射による攻撃という互角の状況を作ったのかも。
 息子との勝負で公平を望むという親心だ。
 コイントスとかでも良かったんじゃないかと思うけど。

(今!!!)


 勇次郎が動く!
 その気配を察知した刃牙も動いた。
 って、けっきょく引き金(トリガー)対決になっているよ。
 前回をマルっと無駄にした気分だ。

 まあ、とにかく刃牙が動いた。
 刃牙のパクリ能力は超達人レベルだ。
 龍書文のハンドポケット抜拳術だって見ただけでパクる。
 なんども抜拳術を喰らってもパクれなかったオリバさんの立場がない。

『結果 少年の肉体が選択(えら)んだ最速は』
『手をポケットから引っこ抜かず』
『手拳の位置はそのままに』
『身を沈めることにより抜拳した』
『それはあたかも』
『柄(グリップ)を地に接地したまま』
『腰を切る(開く)ことにより抜刀する』
『居合抜きの理合(身体操作法)に似ることとなる』


 居合いの原理を抜拳術に応用したッ!
 って、なんでも応用すればイイわけじゃないだろう。
 格闘漫画をエロ漫画に応用したら『バキSAGA』(AA)が生まれた!
 なんでも混ぜたり応用すればイイわけじゃないんだ。

 居合いは、室内や座った状態からでも刀を抜く技術でもある。
 いつなんどき敵が襲ってくるかもしれない。
 福岡藩黒田家に奥女中として仕えていた「ひさ」さんは、精神的に武士だったそうだ。
『ひさは、寝顔を決して人には見せず、朝は四時頃に起きた。また、道は必ず真ん中を歩いた。もし、横道から狼藉者が出てきたら、対処できないからだという。』教科書には出てこない江戸時代
 女であっても、この心がけですよ。男ならもっと用心していただろう。

 立ちションしている所を背後から襲われても反撃できる技と心構えをもってこそ、武士だ。
 いや、立ちションしている時点で武士として問題あるかもしれませんが。
 村上春樹がジョギングにおける各国人の国民性を感じた話がある。
 イタリア人はジョギングウェアに凝り、多人数でおしゃべりしながら走り、誰かが立ちションすると雑談しながら待つ。
 アメリカ人なら待たずに先に行くだろうし、ドイツ人ならそもそも立ちションをしない。……そうだ。
 ドイツ人は立ちションしないィィィ!(ジョジョのシュトロハイムっぽく)
 きっと武士もしないな。

 居合いが腰を切るのは、手と腰を同時に動かして少しでも早く抜くためだろう。
 また、室内でも刀を抜けるようにする技術だ。
 刃牙が腕を動かさず身体を動かすのは、なんかちがう気がする。
 腕より身体全体のほうが重い。
 重いほうを動かすから、より大きな力が必要だし初速も遅くなるぞ。

 でも、早く抜けてしまうのは刃牙の身体能力がゴキブリダッシュ並みだからだ。
 理合が間違っていても、身体能力で乗り切るのが範馬一族の怖いところである。
 刃牙世界は細かい技よりもパワーなんじゃよ。

「ヤアアァァアアア」

 せっかくガンバって抜拳したのに勇次郎は、ゆっくりした打撃をだす。
 ゆるゆるした動きがフェイントになったのか、刃牙は思わず動きを止めてしまった。
 達人・渋川が柳龍光のお湯パスに引っかかったように、殺気のないゆったりした動きをされると対処できないのかも。
 野球で言えば、意表をついたスローボールを投げられて見送り三振になるような感じで。

 勇次郎の大きなこぶしが、ゆっくり刃牙の頬までたどり着いた。
 刃牙は棒のように動かず接触をゆるしてしまう。
 このミスター油断大好きめ。また、不意打ち喰らう気か?

 拳が触れた状態から勇次郎は力をこめる。
 寸勁か?
 ジャック・ハンマーが渋川先生と闘ったときの合気対策"ゆっくり動いて相手に触れる"みたいだ。
 勇次郎の寸勁で刃牙の頭がフッ飛んだ!

『息子 刃牙からの 今宵 最大の贈り物(プレゼント)
『上顎(あぎと)と………』
『下顎………』
『噛み砕く虎の顎になぞらえた 秘技』


 刃牙は勇次郎の攻撃を受けながしていた。
 飛び上がって、勇次郎の首に上から左足をかけてロックする。
 そして右足は下から膝蹴りとなって勇次郎の顎を打つ。
 ロックされ逃げ場のない勇次郎の頭に打撃の衝撃が走る。

 崩れ落ちた勇次郎の左腕を腋固め風に極めて落とす。
 打撃と関節技が複合された必殺のカウンターだ。

『その名も虎王(こおう)!!!』

 餓狼伝でおなじみの竹宮流奥義『虎王(こおう)』!
 虎王完成ッ!!
 刃牙が勇次郎に一矢報いた。
 いや、一矢どころじゃない。
 一肩間接を報いた!

 幼年編で親衛隊長・加納秀明を倒した虎王が久しぶりに登場だ。グラップラー刃牙20巻 180話)
 刃牙が幼年期を終えて少年王者にかわる節目を飾った技である。
 それが父親越えという更なる人生の節目で登場した。
 意外と因縁の技だ。
 実はバキSAGAでも、技の流れの中で出てきていたりして。
 梢江が股で挟みこみつつ腕をロックする感じで。

 刃牙に勝が見えなかった親子喧嘩だが、ここで流れが変わった。
 勇次郎の油断とサービス心がアダとなり虎王を喰らってしまう。
 これは、もしや勇次郎の初脱臼か!?
 次回につづく。


 虎王だよ!
 まさかココで虎王を出すとは思わなかった。
 いや、もう虎王は出てこないと思っていたさ。

 虎王は餓狼伝で何度も出てきたので新鮮味が薄れてきている。
 オマケに虎王もザクの派生タイプなみにバリエーションが豊富だ。
 だから、あえて原点回帰でオリジナル虎王を出したのだろうか?

 ちなみに虎王の各バリエーションを書いていくと……
・ 虎王:基本技。藤巻が謎の技として使用してから正体が判明するまでに10年かかったという幻の大技。丹波文七やキマイラシリーズの宇奈月典善も使用している。
・ 双龍脚タイプ:頭をカカト落としと前蹴りではさむ。姫川が使用した。キマイラシリーズの龍王院弘は双龍脚と呼んでいる。
・ 虎王返し:相手の腕を取って虎王をかけようとした瞬間に、地面に落とす虎王のカウンター技。小説で姫川が使おうとした。
・ フェイク虎王:虎王返しをしようとした相手の腕を逆に極めて折る。小説で長田が使用した。名前はゲーム版から。
・ 虎王三角絞め:仮称。基本の虎王と同じように入り、膝蹴りを決めた後で三角絞めをする。小説で堤城平が使用した。
・ 虎王(上):仮称。基本の虎王と同じだが、下からヒザで蹴るのではなく、上からカカトで蹴る。小説で堤城平が使用した。

 ザクのバリエーションには負けるだろうけど、やっぱり多い。
 虎王は奥が深いというか、愛されている技ですね。

『虎王は合作というか、板垣さんが絵にすることで完成した。』(夢枕 獏)

 『餓狼伝 格闘士真剣伝説』での対談で虎王誕生秘話が語られている。
 熱い必殺技の影には熱いドラマがあるのだ。
 で、名前が登場してから10年後に正体が明らかになるのだが、夢枕先生は技をちゃんと考えていなかった。
 そこで板垣先生と二人で、技によるダメージからどんな攻撃だったのかを推測して、板垣先生が動きのコンテを切って虎王が完成する。
 先のことを考えていないあたり、板垣・夢枕の両先生は似たもの同士だよな。

 さて、勇次郎にちゃんと虎王は効いているのだろうか?
 漫画版・餓狼伝では姫川が虎王を喰らいながら逆転した。
 ポイントは"歯"だ。

 顎をヒザで蹴る虎王は喰らうと普通は歯が折れる。
 だが、姫川は歯が折れなかった。そして、逆転した。
 勇次郎も歯が折れていない。
 肩を脱臼した可能性は高いだろう。
 しかし、歯が折れていない以上、まだ敗北していないと予想する。

 グラップラーにとって歯は命なのだ。
 歯が折れるのは心が折れるに等しい。
 逆に言えば、歯が無事なら勝機はじゅうぶんにある。

 例外は花山薫だ。
 あの人は勝っても負けても歯が折れすぎ。
 しかも、次に登場するときはちゃんと歯が元に戻っている。たぶん、差し歯だろうな。
 花山は戦う前にメガネを外すけど、差し歯も外せばいいのに。


餓狼伝 格闘士真剣伝説 (デラックスコミックス)餓狼伝 格闘士真剣伝説
板垣先生と夢枕先生の対談が収録されている。
あと、コミックス未収録の丹波文七vs日本刀のオリジナル読みきりもあるぞ。

追記 (11/11/30)
 刃牙、まさかの虎王完成だ!
 さすが古武術の奥義だ、勇次郎にも効く!
 刃牙はこれで勝てなかったら本当に勝ち目がないな。

 今回、刃牙が虎王を使ったこと対し、ネットで反響が大きかった。
 Twitterでも話題になっている。
 『やべぇやべぇやべぇやべぇやべぇやべぇバキ超やべー!!!!?』に まとめられているので、当時の雰囲気がわかるだろう。

 刃牙が虎王を使うのはこれで二回目だ。
 そして、作者の板垣先生も虎王誕生にかかわっている。
 という裏話を意外と知らない人も多い。
 なので、チョット虎王誕生についての話をします。

 虎王の誕生秘話は『餓狼伝 格闘士真剣伝説』での対談で明かされた。
 最初は小説を漫画にする際の苦労についての話題だ。
 竹宮流の技は、イメージ先行でどんな技か決めていないモノが多いらしい。

夢枕「仰月、浮舟、片羽千鳥……名前だけでも、グッとくるものがあるでしょう。」

 この編は小説と漫画という媒体のちがいでしょうね。
 小説は、読者にイメージの余地を残すことで、読者の脳内に最高の技が生まれるであろう。
 逆に漫画は明確な答えを読者の前に提示しなくてはならない。

 板垣先生が餓狼伝の漫画化で技の形を夢枕先生に聞いたら、決めてないといわれて困ったようだ。
 その反動なのだろうか。板垣先生が原作をかなり弄って漫画化しちゃっているのは。
 イチバン、アレだったのは藤巻が夢精したシーンだろうか。
 原作じゃあんなこと無かったのに。

 そして、技を決めてないの究極が虎王だ。
 すこし長いが引用しよう。

板垣「獏先生から電話をもらって「いよいよ虎王が原作に出てくる」って言うの。小説の中(『餓狼伝III』に、虎王って名前が出てきて、実際に書くまで10年も引っ張ってきた(笑))。僕も一ファンとして、どんな技なのかずっと気になっていたんです。そしたら、具体的な動きは何も考えていないって」
夢枕「考えてなかったんですね(笑)。」
板垣「じゃ、一緒に作ろうかってことになったんだけど、まず、虎王のダメージが体のどこに残るのかを確認し合った。」


 二人ともよく電話で話をしているようです。
 話をしながらお互いに情報のやり取りをしているのだろう。
 イメージ+情報量+妄想力の夢枕先生と、ビジュアル+実戦経験+妄想力の板垣先生がタッグを組めば、スゴい妄想が生まれる!

 面白いのは、二人が技のダメージから虎王の動きを解析しようとしているところだ。
 まるで事件現場の遺留品から犯人を割りだすかのように分析している。
 松尾象山は、首と肩にダメージがあった。
 つまり首と肩にダメージの残る技だ。

 で、夢枕先生はサンボの飛びつき逆十字をイメージしていたらしい。
 一応イメージはあったんですね。
 飛びつき逆十字の応用で、首と肩にダメージが行く技を板垣先生が提案し、言葉じゃうまく伝わらないから、絵を描いてFAXでおくった。
 ちゃんとコマを割った、動きのわかるヤツを。
 格闘漫画家の最高峰である板垣先生がコマ割りしたんだから、動きが良くわかったに違いない。

板垣「で、共同作業のお駄賃というか、「この技を『刃牙』のほうでも使えないか」って頼んだら、獏先生は快く承諾して下さった。」

 これがグラップラー刃牙20巻 180話の虎王につながるわけです。
 今回の、虎王も夢枕先生に許可をもらったのかもしれない。

 なお、グラップラー刃牙180話はチャンピオン1995年30号に掲載された。だいたい6〜7月のあたりですね。
 虎王は餓狼伝VIで正体が判明した。
 餓狼伝VIは小説推理'94年11月号〜'95年3月号に掲載されている。
 だいたい小説の半年後に刃牙が虎王を使ったワケだ。

 少年・刃牙が技名を出さなかったのは、餓狼伝未読の読者に対する配慮だろうか?
 餓狼伝VIが発売されたのは1995年3月30日であり、チャンピオン掲載時だと2〜3ヶ月しかたっていない。
 板垣先生、すぐに使っちゃったみたいですね。

 なんにしても、格闘物語の作家として最高峰の二人がタッグを組んで生まれた技だ。
 カッコ良さ、理論、威力など、どれも素晴らしい。
 それにしても、この時 二人の仕事がどうなっていたのかが気になる。
 虎王は対戦相手だけでなく、担当者をもノックアウトしたのかもしれない。


2011年12月1日(1号)
範馬刃牙はお休みです

 編集部の手違いで、先週のラストに休載の告知がのっていなかったらしい。
 本編がお休みなので、ちょっと過去を振りかえってみる。
 前回のまとめ234話〜261話 ボクシングから親子喧嘩へで親子喧嘩に入ったのが2月3日だった。
 あれから10ヶ月がたち、やっと刃牙に勝利の芽が出てきたかもしれない。
 このペースだと、まるまる1年は親子喧嘩しそうだ。


262話〜278話 範馬の親子喧嘩 (2)
 サブタイトル  内容
 262話 大炎上 大観衆の前で親子喧嘩は続行される。素人には見えない高速の攻防だ
 263話 無礼 観客の中には独歩までいた。勇次郎は刃牙のゴキブリダッシュよりも速い
 264話 激 勇次郎は顔面ビンタで刃牙を痛めつける
 265話 戯れ合い アドレナリンで出血を止めた刃牙は猛然と反撃するが、届かない
 266話 象形拳 ピクルが見ていることを感じつつ、トリケラトプス拳だ
 267話 共同幻想 刃牙のトリケラトプス拳は観客や勇次郎を魅了する
 268話 真・象形拳 トリケラトプス拳は超パワフルだ。そして勇次郎も象形拳をだす
 269話 溶け合い 猛獣より恐竜よりも強い範馬勇次郎はマネをする必要なし。背中の鬼を解放だ 
 270話 巨凶出現 勇次郎は最強っぽさをアピールする。だが、刃牙は実戦性こそ重要と考える
 271話 引き金(トリガー)  脳が体を動かす信号を出すトリガーを刃牙は読んで攻撃した
 272話 撫でる 息子の成長を喜んだ勇次郎は、刃牙に強制なでなでの刑を科す
 273話 超えられまい 強さとは自分の意を通すこと。嫌がる相手に強制なでなで
 274話 可愛がり 勇次郎の攻撃で刃牙は完全ダウンした。応援にきてくれたピクルを殴る
 275話 邪魔立て 刃牙はピクルを殴って復活する。だが、勇次郎もトリガー反撃を使えるのだった 
 276話 上へ上へ トリガー感知能力者どうしの戦いは、ハンドポケット勝負になる
 277話 抜拳 ハンドポケット勝負と思わせて、勇次郎は攻撃へのカウントダウンをはじめる
 278話 秘技・秘術 勇次郎の打撃をかわし、刃牙は秘技・虎王で反撃した


 振りかえってみると、話が進まねェーな〜っと。
 トリケラトプス拳とかハンドポケット対決の辺りなんて、1話ぶん圧縮できる展開の遅さだ。

 そして、刃牙がぜんぜん勇次郎に届いていない。
 新技を出してチョット勇次郎を感心させたら、すぐに上を行かれる。
 この流れで行くと、せっかく虎王を出しても勇次郎にほめられたあとで返されそうだ。
 自ら肩関節を外したからノーダメージと言うかもしれない。

 でも、刃牙が勇次郎を驚かせているのは事実だ。
 ゴキブリダッシュ、トリケラトプス拳、引き金(トリガー)カウンター、そして虎王を決める。
 勇次郎は刃牙の技に驚愕しほめていた。
 攻撃が当たっているし、少しはダメージもあるだろう。
 積み重ねていけば勇次郎にもいつか限界がくるハズだ。
 その前に、なんども壮絶ダウンしている刃牙の限界が来ちゃいそうだけど。

 とりあえず、刃牙はまだ勇次郎に汗を流させていない。
 まず、冷や汗をかかせる。これを目標にしよう。
 本来なら虎王は勇次郎をビビらせるのに充分なインパクトのある技なんだけど。
「まさか虎王を出すとは…… 版権は大丈夫なのかッッ」と勇次郎であっても心配するレベルだ。

 そして、虎王を最初に喰らった男・松尾象山……じゃなくて、愚地独歩がたまたま近くにいたので解説する。
 または、徳川さんの回想シーンに入って、刃牙に虎王を喰らって敗れた加納秀明から話を聞くところがでてくるかも。
 そうなると次回は解説で一回分消費しちゃうな。
 親子喧嘩は2012年2月2日(木)で1周年をむかえる。
 業界初(?)の喧嘩はじめから2年目突入という展開になるのだろうか?

追記 (11/12/7)
 先週は刃牙が休載だった。
 というワケで、改めて勇次郎のダメージが問われる。
 虎王は勇次郎の肩関節を破壊できたのか?

 でも、今までのパターンからすると効いていなさそうな感じだけど……
 今までを振りかえると、勇次郎は刃牙の新技を喰らうと、それ以上の技で返している。
 だから、今度は勇次郎が虎王以上の必殺技を出しそうだ。
 虎と上回るなら、竜王か!? それとも獅子王かも。
 いや、鬼王か?

 虎王は、打撃と関節技の同時攻撃だ。
 その上を行くなら、打撃と関節と投げと絞めも必要だろうか。
 いったいどうすれば、全部の要素を組み合わせることができるんだろうか?
 ジャンプで連載されていた『THE MOMOTAROH』では、モモタロウ・ストライク・スリーという打撃・関節・投げの三要素を合わせた技がでていた。
 これに絞めも加えれば完璧なんだろうけど。

 相手を殴って打ち上げて空中でチキンウィングフェイスロックを極めて関節と絞めをしながら、落下してダメージを与える。
 もう、ワケわからん状態で、どっちにダメージがあるのやらだ。
 親子心中っぽくて勇次郎に似合いの技かもしれない。
 むしろ刃牙がやったほうがイイのかも。

 なんにしても、幼年編思い出の技まで出してきた。
 決着は近そうだ。
 たぶん、2012年中に決着つくな。
 ……つくよね?


2011年12月8日(2+3号)
第3部 第279話 父の上 (935回)

 古武術の奥義・虎王が炸裂した!
 打撃と関節の合わさった強烈な攻撃だ。
 さすがの範馬勇次郎も刃牙に倒されて関節をとられている。
 このまま、勝負アリか!?

 刃牙の快挙に、観客は熱狂する。
 独歩やご老公も汗びっしょりだ。
 ピクルは古武術よりも昔の人だからか、あまり驚いていないっぽい。
 汗を一切流していないぞ。
 難しい技術がワカらんだけかもしれないけど。

「ヘッ」
「あんな古流(クラシック)の合戦の技術に不覚を取るなんて………」
「ヤキが回ったかオーガ……」
「………にしてもだ…」
「バキめ………」
「強すぎだぜ 少年……」


 そして、この人も汗を流していた。
 ミスター・アンチェインこと オリバだッ!
 繋ぎとめられない男が緊急見学していた。
 知性派マッチョの情報通だけに範馬家の親子喧嘩がおきることを知っていたのだろう。
 なにしろ建物の中から見学している。
 あらかじめホテルで親子の会食が行われると知っていたにちがいない。

 徳川さんや首相が会食を知っていたんだから、オリバだって知っていただろう。
 観客に混じらず、建物の中から見ているのは巻き込まれることを避けているのだろうか?
 範馬親子のそばに近づくのは原発の隣に家を建てるより危険かもしれない。
 見えないけどオリバの背後にはマリアがいるのかも。
 自分ひとりなら良いけど、マリアを危険に巻きこむのは良くないもんな。

 オリバは刃牙に敗北した。
 刃牙の強さは充分にしっている。
 知っているはずのオリバですら刃牙の強さに戦慄しているようだ。
 刃牙はさらなる進化を遂げているってコトか?

(膝の下にある太い…………… 父の頸部の確かな感触)
(自由を奪った腕の………… 確かな感触)
(親父は今―――――――― 確かに俺の下にある!!!)


 独歩の見立てだと、勇次郎は油断しすぎだ。
 しかし、理由はともかく刃牙が勇次郎を組み伏せて膝の下にしいて入る事実がある。
 目標としていた父親に一矢むくいて、倒せるかもしれない展開だ。
 刃牙は大きな達成感につつまれていた。

 独歩は勇次郎の油断を原因としつつ、刃牙の実力も認めている。
 刃牙は地上最強の遺伝子を受け継ぐ男だ。
 範馬勇次郎を倒しうる唯一の存在かもしれない。
 ジャック・ハンマーのことも思い出してほしいところだけど、とりあえず忘れよう。

 独歩にとって範馬勇次郎は死んでも倒したい目標だ。
 まるで、世界一の美女に思いをよせるように焦がれている。
 本当なら自分以外の人間に勇次郎が倒されることだって許せないだろう。
 だが、勇次郎が息子に負けるのであれば、ギリギリ許容内じゃなかろうか。

 でも、それでも、勇次郎を自分の手で倒したい。
 そんな想いが消えないのか、独歩の表情は複雑だ。
 本心では、どっちを応援しているのだろうか?

 そして、本心がわからないのは勇次郎も同じだ
 油断して刃牙にやられてしまったのか?
 それとも演技なのか?
 どちらにしても、勇次郎が地面に顔を押しつけられている状況はかわらない。

 脚本家の三谷幸喜がエッセーで犬の散歩中に頭を物にぶつけた話を書いていた。
 もし、大人が不注意で頭をぶつけてしまったら、どうするか?
 痛いし、出血もしている。この状況でもっとも重要なことは、なにか?
 まず、周囲を見回して目撃者がいないかを確認する。
 もし見ている人がいたら、大丈夫なんでも無いですよー、とアピールすることだと書いていた。

 確かに大人になったら、自尊心とかが大切だ。
 頭をぶつけたダメージよりも、頭をぶつけるようなウッカリ大人と思われるほうが社会的・精神的ダメージが大きい。
 たとえ、額の皮がむけて流血しようと、日常によくある風景のようにふるまってやり過ごすべきだ。
 というワケで、流血しながら何事もなく歩こうとしている人を見かけたら、見ないふりをするべきだよな。

 さて、地上最強の生物・範馬勇次郎の場合を考えよう。
 大観衆の中で屈辱的なポーズを取っている勇次郎はどうするべきだろうか?
 自分の体面が傷つかずにすむ方法を必死に考えているのかもしれない。
 さすがに油断しすぎた。どうやって誤魔化そうか。
 勇次郎の機転が問われる場面だ。


「何をしてくるかと思えば」
「いかにもキサマらしい小細工よ」
「親父ィ………」
「そんな台詞も」
「この体勢からは言いにくいよな」

「フザケンナよ親父ィッッ」
「このまま終わる気じゃねェだろなッッッ」
「認めねェぞ そんなこたァッッ」
「逆転してみろッッッ」
「それが範馬勇次郎ってもんだろがァッッ」


 ここで刃牙がほえる!
 勇次郎に勝ちたいという思いはあるのだけど、父には強くあってほしい。
 矛盾した望みが刃牙の中にある。
 勇次郎に対する憎しみと愛が刃牙の中にあったように、二つの心が同居しているようだ。

 もっとも、最近の刃牙は勇次郎への憎しみが消えている。
 逆に迷いがなくなって、愛の心で倒せるようになったのかもしれないけど。

 刃牙はここで勇次郎の腕を折るべきだろう。
 油断した勇次郎が悪い。
 そして、勇次郎の攻撃を虎王で返した刃牙がスゴいのだ。
 勇次郎なら片腕だけでも逆転できる!
 そう信じて折ったほうがイイと思うんだけど。

 だが、刃牙は極める直前で止めたまま、折らない。
 そんな刃牙を見てピクルはあくびをする。
 独歩は刃牙の甘さに歯噛みした。

 野生から見れば、倒せる機会に倒さないのは悪なのだろう。
 生存競争はそんなに甘くない。
 ピクルにとって、この展開は茶番だ。

 武術家にとっても倒せる機会に倒さないのはダメダメだろう。
 生き死にのかかる世界を想定している武術では、甘さが命取りになる。
 客先で出されたお茶にすら警戒する細心さと、極めたら一気に折る非情さが必要だ。

 でも、刃牙にとって勇次郎は父親なのだ。
 不意打ちで傷つけることが許されないのかも。
 刃牙は正面から無傷の父に勝ちたいのだろう。
 たとえ勝てないとしても、不意打ちで勝つよりマシだ。
 二人は親子だから情がわいて甘くなってしまう。

「え……?」


 刃牙は勇次郎の右手を見た。
 その形は"OK"を意味するように、人差し指と親指で円を作っている。
 なんだ、これは?
 刃牙の攻撃は合格って意味だろうか?

 勇次郎のジェスチャーには、どんな意味がこめられているのか?
 本当に勇次郎はここから逆転できるのだろうか。
 勇次郎だから逆転しちゃうだろうという予感はする。
 でも、そうなると刃牙が再逆転するのが大変そうなんだけど。
 新たな謎をはらみつつ、次回の刃牙三倍祭りへとつづく。


 勇次郎は手を抜きすぎた。
 油断の代償が、地面とのディープキスだ。
 刃牙が勇次郎に矛盾した想いを持っているように、勇次郎も矛盾を抱えている。
 負ける気はないけど、刃牙に倒されてみたい。
 おそらく生涯無敗の勇次郎だけど、一度ぐらい敗北したいのだろうか。

 そして、勇次郎のOKサインは意味不明だ。
 強がっているだけかもしれないけど、本気のOKサインかも。
 なにしろ、愚地克巳はイスタス戦で現在と同様の状態から腕力で脱出した。(G刃牙23巻「205話 脱出不可能!!」)
 克巳にできるのなら、勇次郎にもできるだろう。

 そうは言いつつ、勇次郎のOKサインは体面を保つためのごまかしという気もする。
 判定するという立場に身をおくことで上から目線が生じるのだ。
 実際に上に立つわけじゃないんだけど、批評することで偉くなったような気がする。
 なんか駄目な感想サイトとして自虐的なことを言ってしまった気もするが、そんな感じだ。
 今にも腕を折られそうな立場だけど、点数つけている瞬間だけは自分のほうが上みたいな気がするぜ!

 やっぱり、刃牙はさっさと折ってしまったほうが良かった。
 勇次郎も骨が折れたら「ハヒィィイイ〜〜〜〜ッッ!」って悲鳴あげるのだろうか?
 ………………勇次郎の悲鳴。
 あまり聞きたくない。想像したら、ちょっと折れないな。
 刃牙はかなりヨゴレているんで、悲鳴や失禁してもむしろ喝采を浴びるんだろうけど、勇次郎だとキツい。
 折らなかったのが正しい選択だったのかも。

追記 (11/12/14)
 勇次郎が出したサインの意味はなんだ!?
 話はほとんど進んでいないのに、次回への引きが強烈なのが刃牙らしい展開だ。
 きっと、次回も話が進まないにちがいない。
 刃牙三倍祭りは1/3のスピードで進む!

 さて、勇次郎のサインについてイロイロと意見をいただきました。

(1) オッケーではなく、「デコピン」なのでは?
(2) 「とっとと薬局いって、アレ買って来い!!」まさかのSAGA第二部開始だっっっ!!!
(3) カウントダウンのゼロ

(1) デコピン
 デコピンといえばムエタイ先主だ。
 というワケで、視点が低くなっている勇次郎はムエタイ選手を見つけたのかもしれない。
 それとも刃牙のフクロを狙っているのかも。
 新作の小説餓狼伝では堤が虎王をかけるものの、金的を打たれて極めを逃してしまう。
 虎王は股間のガードが弱点なのかもしれない。
 「刃牙よ、虎の舌がガラ空きだぜ」ビシッ! 「〜〜〜〜〜ッッ!?」なんて展開があるかも。

(2) ゴム
「よかったぜ まにあって。始まったばかりというところらしい」
「なにを言ってるッだッッッ。精液を尽くしたこの闘いの決着が彼にしてみるとまだ序盤戦だというのかッッ」
 子供に満足しきれなければ、孫にチャレンジするのが勇次郎だろう。
 子作りには厳しいんだろうな。

(3) カウントダウンのゼロ
 確かに指を全部おった状態で1だったから、ゼロはこれからだ。
 これから反撃開始か!?

 どちらにしても、勇次郎がこれで終わるワケがない。
 たとえ腕を折られようともッ!
 なので、次回は勇次郎反撃編かな。二話分つかって。

追記 (11/12/15)
 チャンピオンが休みだ!
 忘れてた。超ショック、もうそのまま会社休んで家に帰って寝たくなったよ。
 先週、うかつにも発売日のチェックを忘れていた。
 なので、ちょっとした雑談です。

 板垣先生がコメントでふれていた、増田俊也「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」(AA)を読んでいる。
 本で史上最強と断定されている柔道家の木村政彦は合気道の塩田剛三と拓大の同じクラスで親友だった。
 塩田先生から見た木村選手のエピソードの紹介ということで、生前の塩田先生と交遊があった板垣先生も取材を受けていたのだ。
 そんなことをまったく言わず、「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」の宣伝になるコメントをするあたり、お茶目だな。

 木村選手はウエイトトレーニングを取り入れていて、どんな相手だろうとねじ伏せることができる力の柔道を完成させた。
 で、その怪力エピソードがちょっと興味深い。

『当時は電車の吊革の握る丸い部分がプラスチックではなくアルミ製だったが、木村はそのアルミを鷲づかみにしてグシャリと潰したという。』

 恐るべき超握力だ。
 で、これって子供時代の花山薫がドアノブを握りつぶしていたエピソードの原点じゃなかろうか?
 現代の吊革はプラスチック製だから握ると割れちゃう。
 なので、自宅のドアノブを握りつぶす。
 超握力を見せつけるエピソードだ。

 ただ、花山と木村選手は怪力の方向性がまるで逆だけど。
 花山は一切のトレーニングを拒否した天然の強さをもつ。
 木村選手は可能な限り練習と特訓をつづけ、睡眠時間をけずり、1日10時間のトレーニングを達成した。
 才能の強さと、努力による強さの差だ。
 結果として、どちらもスゴい強さなんですけど。

 さて、チャンピオンは休みだけど、週刊漫画ゴラクは発売される。
 そして、明日は「どげせん」につづく土下座マンガ第二弾「謝男(シャーマン)」が連載開始だ。(関連:板垣恵介の新土下座漫画「謝男(シャーマン)」、週刊漫画ゴラク次号(12/16発売)より新連載!
 新たなる土下座伝説は、どんな闘いになるのだろう。
 RIN先生版の土下座マンガはまだ難航しているみたいですが、こちらも新作に期待しています。

追記 (11/12/21)
 刃牙が休載して、さらにチャンピオンも休載という亀の歩みだ。
 そのうえ虎王かけた後からピクリとも動かねぇ。
 次回はちゃんと話が進むのだろうか?

 虎王完了のまま回想に突入しちゃったらどうしよう。
 勢いで虎王を決めちゃったものの、風呂敷のたたみ方がわからなくなって考える時間を稼いでいるのかもしれない。
 さすがの板垣先生もノリで突っ走りすぎたのかも。

 次は疵面との三倍祭りだ。
 疵面も風呂敷をたためず、本編に戻れていない。
 師匠だった板垣先生としては、ここで一発スマートな風呂敷のたたみ方を見せつけてあげてほしい。

 風呂敷ってのは、たたむもんじゃない。包むものだ。
 虎王状態の範馬親子を風呂敷で包みッッッ、
 内側から爆発的に破りすてるッッッ!
 ――――みたいな感じだろうか。

 やっぱり、アレだ。
 板垣先生はオンリーワンすぎて参考にならないんだろうな。


2011年12月22日(4+5号)
第3部 第280話 虎王返し (936回)

 刃牙の虎王で勇次郎は地にはわされた。
 このまま腕を折るのかと思われたが、刃牙はグダグダと話を始める
 そんな刃牙に対して、勇次郎はOKサインを出す。

 OKサインの意味はいったい!?
 息子である刃牙にもワカらない。
 勇次郎のOKサインの意味をあれこれ推測したが、けっきょくワカらん。
 サインの答えがついに明らかになる!?

 勇次郎はOKサインをしていた右腕を持ちあげる。
 刃牙に極められている左腕と同じような格好だ。
 まるで鳥が羽ばたくような姿だった。
 キッツい筋肉を持っているわりに、関節が柔らかい。

(完全に極まったこの体勢から その右手で何が出来るというんだ!!?)


 右腕を持ち上げても、よけいに苦しくなるだけだろう。
 早く折れという意思表示か?
 しかし、範馬勇次郎が自ら敗北を認めるとは思えない。

 限界まであげた右腕を振りおろした。
 というか、これは地面を殴る行為だ。
 殴った反動でジャンプする気か?
 違う。殴った拳がアスファルトをブチ抜いている!
 右腕が地面に埋まった!

 しかし、埋めて終わりじゃない。
 さらに進む。
 地面を貫通して、腕を取っている刃牙を殴った!

 愚地克巳はイスタス戦で片腕だけの力で飛んで脱出している。(G刃牙23巻205話)
 独歩は天内戦で相手の足のつめをムシり取って、脱出した。(G刃牙31巻268話)
 そして勇次郎の脱出方法は、アスファルトの地面を貫通して打撃を叩き込む! だッッ!

 あまりにも常識を超えた攻撃に観客も呆然となる。
 怪獣ゴジラだって、なかなか地面を踏み抜けないというのに、勇次郎は地面を突き破った!
 しかも寝た状態だから、下半身のパワーがほとんど使えない状態だったハズ。
 軍隊に匹敵する戦闘能力をもつ男と言われるにふさわしいムチャっぷりだ。

 観客は勇次郎がアスファルトを拳で貫通させたのを見て「粘土じゃないんだから……………」と言っている。
 ここはやっぱり、「カステラじゃあるまいし」と言ってほしかった。(参考:バキ5巻 39話
 それに、たとえ粘土だとしても拳で貫通させる自信ないよ。
 やっぱカステラだろうな、ハハ。

(オーガにとっちゃ地面やアスファルトの認識が違う……)
(ゼリーや寒天の上で闘ったなら―――
 寝技は寝技にならねェ…………)


 オリバですら戦慄する勇次郎の破壊力だった。
 アスファルトなんて、ゼリーですよ。
 カステラよりも脆そうだ。
 デザートだけに甘すぎる考えだった。

 まさに想定外、規格外の強さだ。
 筋肉も強いし骨も硬い。
 オマケにアスファルトを殴って皮膚にキズ一つできていないときた。
 勇次郎の体はなにでできているのやら。

 父があまりの強いので、不覚にも刃牙は失禁してしまう。
 きたぞ、失禁だ!
 刃牙にとって下ネタは強さにつながる。
 失禁、おおいに結構だ。

 ついに刃牙も極まってきたぞ。
 本日、刃牙三倍祭りにつき、このまま次話になだれこむ!


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