今週の範馬刃牙 SON OF OGRE 251話〜260話

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2011年5月12日(24号)
第3部 第251話 真・親子喧嘩 (907回)

 約20年900回以上もつづく範馬刃牙の歴史がついに収束へ向かう。
 範馬刃牙 vs. 範馬勇次郎
 地上、いや地球史上最大最強の親子喧嘩だ!
 ギリシャ神話のウラノスクロノスゼウスの三代にわたる親子対決も凌駕しそうな勢いだぞ。

 取り飛ばされた刃牙が壁をブチ抜いて隣室のレストランに飛びこんでいく。
 勇次郎がおくれて部屋にはいる。ドアからだ。
 壁に開いた穴を使わずにわまりこんだのか? けっこう行儀がいいな。
 廊下で猛ダッシュして、あわててやってきたのだろう。勇次郎の脚力だから可能な行動だ。
 野獣にして紳士を気取っているのだろうか?
 刃牙を前にして、勇次郎はちょっとカッコつけていそう。

 部屋に入っただけで、勇次郎はレストランの客たちを圧倒する。
 さっきからの怪奇現象はこの怪物が起こしたにちがいない。
 もしかしたら、地震すら勇次郎のせいかも?
 いくら何でも過大に評価しすぎだよな。でも、今日の勇次郎は後光がさしているらしいぞ。

「皆の衆……」
「お楽しみのところ」
「お騒がせした」
「ごらんの通り………………」
「この出来のワルい倅に」
「仕置きを…………」
「躾をほどこしている最中でな」


 勇次郎は左手ハンドポケットのまま悠然と前進する。
 やっと立ち上がった刃牙は、ダッシュして勇次郎に襲いかかった。
 だが、顔面わしづかみで止められてしまう。しかも、左手ハンドポケットのままで。
 バ……バキのマッハパンチが当たらないッッッッ
 実力差がグラップラー刃牙5巻のころから縮んでいないのか!?

 勇次郎は刃牙の顔面をアイアンクローで持ちあげたまま、窓まで歩いていく。
 周囲のお客さんたちに、親子アピールしちゃうのが親バカの証だ。
 勇次郎は、刃牙を窓ガラスに押しつける。
 また、窓の外に投げだすつもりか!?
 否ッ! 刃牙ごと外にダイブしたッッッ!

 まさか、刃牙が好きすぎて心中を選んだのか!?
 否ッ! 否ッッ! 否ッッッ!
 勇次郎は着地する気だ。
 空中で身体をコントロールし、最後に刃牙の後頭部を両腕でホールドした。
 刃牙だけは守る姿勢か!?

 そして、二人は高級自動車の上に落下した。

『陸上自衛隊第一空挺団空挺教育隊所属』
『曹長 加村秋男氏(53)(降下回数345回)はこう語る』

「150メートル以上の高さならば眼下の駐車場」
「目標の一台への着地はあるいは可能では………」

『過去の数例のみ―― 車輌の上に落下したことにより』
『絶命を免れた実例がある…』


 ググってみたら、『39階から飛び降りた男が助かる』ってのがありました。
 地球には重力があるので、高ければ高いほど落下速度は大きくなる。
 だが、空気抵抗があるので時速200kmぐらいが速度の限界だ。(参考:スカイダイビング - Wikipedia
 200kmなら範馬親子にとって散歩しているムエタイ選手にぶつかる程度のキケン度だろう。ぜんぜん問題なし。
 勇次郎は無事に着地する確信をもって飛びおりたことだろう。

 さすが、数百メートルの絶壁に己の身体を転げ落とすことで耐久力を身につけた父親だ。(グラップラー刃牙7巻 58話)
 死に際の集中力を手に入れるため、崖から飛び降りた息子だ。(グラップラー刃牙11巻 98話)
 この親子の得意技は落下だな。
 刃牙なんて、自主落下までやっている。(範馬刃牙20巻 162話

 車の残骸からとうぜんのように範馬勇次郎が立ちあがる。
 右手はいまだに刃牙の顔面をつかんでいた。
 そして刃牙を投げすてると、勇次郎は上着(ジャケット)を脱ぎすてる。
 はやくも、ちょっと本気モードか!

 そして、刃牙にさっさと起きるよううながす。
 首相・神崎尚人たちは目前の超人バトル……というか、超人パフォーマンスにビビりまくっている。
 勇次郎は刃牙にキビしくしているように見えるが、他人の前で自慢しているのかもしれない。
 窓から飛びおりたのだって、刃牙とメシ食えて嬉しかったから、ちょっとハシャギすぎただけかも。

 いっぽう、刃牙はダメージで立てないという。
 ピクル戦で見せたグラビアアイドル顔負けの体育座りはどうした。(範馬刃牙20巻 162話
 だが、ここで刃牙は意外なアピールをする。

「起こしてよ…………」

 コ、コレはッッッ!?
 ギャル漫画・ギャルゲーなどに伝わる、三大おねだり「食べさせて」「一緒に寝て」「起こして」の一つか!?
 近所(お隣が望ましい)に住む幼馴染や、血のつながらない妹が起こしにくるのも定番だが、逆のパターンもある。
 体重差を考慮するなら男が起こすほうがリアルだし、身体が接触することで技のバリエーションが増えるのも利点だ。
 手を引っ張って持ちあげるときに、胸元が見えて動揺して足を滑らして、女子の上に倒れこむ。これが基本である。あとは各自で創意工夫していただきたい。

 とにかく、刃牙が甘えたおねだり殺法をだしてきた。
 さすがの勇次郎も回避不能だ。むしろ喜んで受けとめる。
 刃牙の左手をつかんで引っ張りあげた。
 このスキをのがさない!
 刃牙が勇次郎のアゴに掌底を叩きこむ。

 勇次郎がこんな簡単な手に引っかかるなんて。
 やっぱ、デレて嬉しかったからスキが生まれたのか?
 このあと、刃牙の上に倒れこむ予定かも。たしかに新パターンだな。

"決裂"を意味する左手の握手…… (※他にも侮辱、挑戦の意味があり、失礼なマナーとされる。)
『――――とはいえ父の好意を逆手に取った――――――――』
『あからさまな奇襲!』


 だが、岩ッ!
 それも巨岩だ。打ったときのイメージが不動の巨岩に1センチのゴムをかぶせた物だった。
 ビクともしない。まるで動かない。
 大自然に平手打ちするような無力感だ。

 なお、餓狼伝1巻 2話の梶原もゴムにつつまれた岩という感触だった。
 つまり、なんだ?
 梶原年男って範馬勇次郎になりうる逸材だったのか!
 どこで道を踏み外しちゃったんだろう。

 不動の範馬勇次郎は怒っていた。
 刃牙が奇襲をしたから、では無い。
 急所を外した平手打ちだからだ。
 範馬勇次郎を嘗めた。範馬勇次郎に手加減をした。
 奇襲は許しても、嘗めた態度を許すわけにいかない。
 刃牙って、人を怒らせる才能があるな。

 勇次郎が反撃の平手打ちだ。
 刃牙とおなじく平手打ちだが、そこは勇次郎である。
 刃牙の上半身が一瞬消えて見るほどの速度でブッ飛び、ガラスを突き破ってホテル内に飛びこんだ。
 今日の刃牙は出たり入ったりと、いそがしい。

 この一撃のダメージで、倒れた刃牙はビクンビクンと痙攣している。
 さすがに今度は演技ではなく本当のダメージだろうか。
 機動隊が制止にはいろうとするが、勇次郎に睨まれて全速で逃げだすしまつだった。

 勇次郎は機動隊など居なかったような態度で前進して、歩いてガラスをブチやぶる。
 顔面によるガラス割りだ! ムチャしやがる。ヒッティングの瞬間に急加速したんだろうか?
 となりに刃牙が投げつけられて割れたガラスがあるのに、わざわざ新しい被害を作りやがった。
 今度はドアからはいらない。
 上着(ジャケット)を脱いだ勇次郎は、野獣モードなのか?

 勇次郎は寝たままの刃牙に近づく。
 尻叩き、手叩き、平手打ちの「お仕置きシリーズ」はまだ続いている。
 今度は「ほっぺたつねり」だッ!
 頬をつねって刃牙を持ちあげた。
 指の力だけで刃牙の体重を支えているのか?
 この握力は花山より上かもしれない。

 想像を絶する勇次郎の仕置きシリーズだった。
 刃牙は仕置きに耐えきって、喧嘩に持ちこめるのか?
 次回につづく。


 一方的に刃牙をブン投げて、勇次郎が一人キャッチボールしているみたいだ。
 いつになったら、二人でキャッチボールになるんだろう。
 別に、その辺にいる首相を捕まえて投げあえと言っているワケではありません。

 ホテルの最上階で戦いはじめたから、そのまま最上階で戦う。
 そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。
 まさか一気に地上に降りちゃうとはッ!
 勇次郎の行動を見くびっていた。
 油断したつもりは無かったけど、予想をはるかに超えている。
 おりゃ、私もビンタ喰らうな。

 一気に地上に降りたんだから、逆もありそうだ。
 今度は勇次郎が刃牙を引きずりながら最上階まであがるかもしれない。
 そして、刃牙に おしっこポーズをしつけている姿をレストランの客に見せつけて、高級シャンパンの雰囲気を台無しにする。
 また、そこから刃牙とダイブだ。

 刃牙は「お仕置き」から「喧嘩」に昇格する必要がある。
 エンドルフィンとゴキブリダッシュを同時に発動させて、ゴキブリのように逃げるしかない!
 いや、逃げちゃダメか。
 でも逃げられたら追いたくなる。勇次郎は刃牙を追いかけて、海岸を爆走するかも。

 しかし、今回は刃牙のイチャイチャ甘えプレイに勇次郎が付きあったのが画期的だった。
 仕置きのクセにデレまくりじゃないか。
 下手すると、一緒の布団で寝てくれるかもしれない。
 で、お互い布団のなかで関節を取りあうワケだ。

 始まったけど、まだ親子喧嘩は始まっていない。
 この勝負はどこまでいくのか?
 勇次郎はどこまで礼儀作法情報を教えてくれるのか?
 なんか、勢いで東京ドーム地下まで刃牙を投げ飛ばしつつ行ってしまいそうだ。
 地下闘技場で鬼と握手!(左手で)

追記 (11/5/18)
 範馬家の親子喧嘩は急転直下で地上戦に移行した!
 本当に落ちてる!
 アレか、ギャグ漫画だとどんなダメージを受けても死なないしたいてい次のページでケガが治っているの法則か?

 そういえば、掲示板でアルメイダさんに「落下時に刃牙の頭抱えたのは刃牙自身ですね」と指摘を受けました。
 見直したら頭のガードは刃牙が自分でしていました。
 これはうっかりミスです。申し訳ない。
 頭の下に手を置くだけでダメージが半減するのはナニ漫画の法則なんだろう。

 今のところ、刃牙は一方的にお仕置きを受けているだけだ。
 でも、マゾ属性をもつ刃牙にとって、コレはご褒美かも。
 あんまり痛みを喜んでいたら、先に進まない。
 刃牙は、そろそろマゾ属性を引っこめたほうがいいぞ。
 エンドルフィン出して快楽的に満足すれば戦闘に専念できるかも。

 勇次郎のお仕置きはどんな感じに進むんだろうか?
 レストランでは食事マナーと服の礼儀を教えた。
 このまま刃牙をフロントまで連れていって、宿泊予約とチェックイン・チェックアウトの基礎知識を叩きこむ。文字通り身体にッ!
 そのあとコインランドリーに引きずっていって、洗濯の諸注意をしながら洗濯機であらわれるタコのように刃牙をもみくちゃにする。
 さらに大浴場にはこんで、入浴時のマナーを見せつけるのだ。いや、ホテルには大浴場ないか。
 なんか刃牙が教養漫画に路線変更するかもしれない。

 女子力ならぬ、バキ力をみがくリアル柔術漫画だ。
 いや、柔術は刃牙世界だと噛ませ犬の傾向がありますが。

「ゴメン…」「ちゃんと教えられたことなかったし」

「イヤミか貴様ッッ」

「もちろんイヤミだよ」

 謝罪しながら相手を挑発し、空気を険悪にしていくのがバキ力だ。
 レストランでの食事会が生き死にのかかった修羅場に変わること間違いなし。
 コードレスバンジージャンプを意中の人とやると、すごい一体感が生まれるぞ!
 バキ力だと、『バカ』に字面が似ているのが問題かもしれないが、似たようなモノだから大丈夫!


2011年5月12日(24号)
対談! 板垣恵介 VS ケンドーコバヤシ

 バキ芸人の発起人であるケンドーコバヤシさんと、板垣先生が対談だッ!
 やっぱりバキ芸人をやるだけあって、ケンドーコバヤシさんはディープなバキ好きっぷりを発揮している。
 まずは、いきなり夜叉猿の衝撃から入ってきた。
 猿と大マジメに戦う格闘漫画として、あのシーンは漫画界に衝撃をもたらしたといわれていますからね。

板垣「バトルとして一番噛み合うのが猿かな、って。逆に噛み合わない動物とぶつける面白さもあるんですけどね。」

 まずは、正統派で攻めてみたらしい。
 ムチャやるにしても、やっぱり基本から攻めないとダメなのだろう。
 まずはジャブ!

 で、噛み合わない動物がアナコンダなんだろうか?
 大蛇に首投げってのは刃牙シリーズのムチャ展開でも最高級の一品ですよ。
 あのときの雄姿があるから、ガーレンのことは今でも好きなんだよなぁ。
 ちなみに、勇次郎の松尾象狩りもかなり好きです。

 両者プロレス好きなので、プロレスラーの凄さ大変さで盛りあがっている。
 格闘技がなるべく楽(ダメージを受けず)に敵を倒すことを目指すのに対して、プロレスは楽をしない。相手に一撃を与えるために、それ以上のダメージを受ける覚悟で戦う!
 刃牙が描いた真剣なプロレスってのは、プロレスファンにとっては大きな応援になったらしい。

 ちなみに、ジャック・ハンマーの「1日30時間のトレーニング」ってヤツは、「屋久島は365日のうち400日雨が降る」という表現を応用したものらしい。
 今までジャック・ハンマーの発言についてイロイロ解釈があったのだが、屋久島が元ネタとは縄文杉でもわかるまい。
 ジャック・ハンマーのトレーニングは世界遺産だな!

 そして、ついに始まった親子喧嘩に話題がうつる。
 子供が親にお仕置きされる無力感や、親子喧嘩は誰にでも経験のある話のようだ。
 やっぱり、共通の感覚があったほうが感情移入しやすいんだろうな。
 ただ範馬親子のお仕置き+喧嘩はスケールがデカすぎなんですが。
 旅行経験があっても、月旅行の感覚なんてワカらないものだ。

板垣「まだ最終回をどうするかは決めていないんです」
ケンコバ「しかしここは! やはり決着、ケリをつけてもらいたい! 先生の眼光を見ていると、どうやら"決着"という言葉はこのためにあったんだ、と思える結末が待っていそうです。みなさん、共に今後を期待しましょう!」


 やっぱりオチを考えていないのは板垣先生らしい所だ。
 ただ、オチをつけるという自信はあるようだ。
 ここは、ケンコバの信じる板垣を信じる!

● 過去ログ
アメトーク・刃牙芸人感想
板垣恵介・東野幸治 対談

アメトーーク!DVD13 [DVD]
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には、グラップラー刃牙芸人が収録されています。
刃牙キャラのコスプレで刃牙語りだ! ギャグ漫画じゃないよ!


2011年5月19日(25号)
第3部 第252話 仕置き (908回)

 範馬の親子喧嘩はまだ開始(はじ)まってもいない。
 現在は一方的に勇次郎がお仕置きしている段階だ。
 どのへんで刃牙がもりかえして互角になるのだろうか?
 刃牙はマゾだけに、現状に満足しちゃいそうで心配だ。

 勇次郎のお仕置きは、ほっぺたツネリに移行した。
 サザエさんがカツオに多用することでも知られる、お仕置きの定番である。
 浦安鉄筋家族で地味だけど痛い技と紹介されていた技だ。
 範馬勇次郎のつまみ技だけに地上最強のツネリだ。
 刃牙の身体が勇次郎のツネリで宙に浮く。

 持ちあげる勇次郎のピンチ力(つまむ力)がスゴい。鬼のピンチ力で大ピンチですな。
 そして、自分の体重がかかっているのに切れたりしない刃牙の頬が頑丈だ。
 これが範馬の血筋ってやつか。
 さぞかし面の皮が厚いんだろうな。
 刃牙は両腕で勇次郎の腕につかまっているので、体重が全部かかっているワケじゃないだろうけど頑丈だ。

「〜゛〜゛〜゛〜゛〜゛〜゛〜゛」

 刃牙が変な悲鳴をあげている。
 これは発音不能だ。
 そもそも「〜〜〜〜ッッッ」とかですら、難解な発音なのに濁点までついている。

 「〜〜〜〜ッッッ」は「にょろ〜〜ッッ」と発音する人がいるらしい。
 ならば「〜゛〜゛」は「に゛ょ゛ろ゛」ですかね。
 放尿する時の音に近そうだ。

「この俺に対し」
「手加減する資格………」
「貴様にあるのか…?」
「答えるぉお!!!」


 範馬勇次郎が激怒した!
 手加減、つまりなめている。
 刃牙じゃなくても勇次郎は怒るだろう。
 というか、刃牙だからこれぐらいで許してもらえていると見た。

 しかし、「答えるぉお!!!」ってチョット噛んでないか?
 「るぉお」?
 「答えろぉお!!!」と言いたかったのに舌を巻きすぎたのかも。「ろ」が「る」になるぐらいに。
 だが、そこは範馬勇次郎である。迫力で押し切ってツッコませない。

「い…………」
「痛ぇだろバカッッ」


 つねられた刃牙の、これが精一杯の抗議だった。
 なんかもっとセンスのある言葉で返せなかったものだろうか?
 たとえば「つねるんじゃねェ! カステラじゃあるまいしッッッ!」とか。
 あ、カステラは「ちぎる」の代名詞か。(バキ5巻 39話

 つねるといえば、花山かな。
 死刑囚のスペックをつねり倒したのは記憶に新しい。いや、けっこう前の話か。
 ならば、「こんなの痛くねーし。花山さんにつねられた時のほうが百倍痛かったし!」なんてどうだ。
 あんまりフォローになってないか。
 ……もう「痛ぇだろバカッッ」でイイです。

「フフ……」
「長い夜になりそうだ………」


 刃牙の言葉はまるっきりムシして勇次郎はなんか嬉しそう。
 長い夜って、誤解をまねくような言い方をしやがる。
 方向性はともかく、言葉のセンスと言うかパワーで刃牙は負けているな。
 ここで「忘れられねェ一夜にしてやるぜ」と言いかえせば、とりあえず互角のやりとりっぽくなるのに。

 刃牙はココからしゃべらずに独白(モノローグ)に突入しちゃう。
 会話しろよ、せっかくの親子水入らずなんだから。
 でも、アレか。格闘士は戦いで語りあうからイイのか。

 刃牙はクツ紐をゆるめる。
 そしてジャンプして二段蹴りッ!
 緩んだクツが飛んでいく。
 これは幼年編で刃牙が双子レンジャーにしかけた牽制技だ!G刃牙16巻 139話)

 レンジャーは刃牙のクツを腕でガードしていたが、勇次郎は首を左右にふってかわす。
 さすが勇次郎、レンジャーとはディフェンス能力に天地の差があるな。
 だが、刃牙の本命は次のハイキックだ。
 でも、勇次郎は刃牙の軸足をかるく蹴って崩し、技を殺す。
 刃牙と技術力でもエラい差がある。

 体勢の崩れた刃牙は、そのまま回転する。
 ピンチをチャンスにかえるバックスピン……バックハンドブローだ。
 が、勇次郎は一気に踏みこんで近接間合いになっていた。
 バックハンドブローが根元で当たったため威力はほとんどない。

 さっきまで勇次郎は圧倒的なパワーを見せつけていた。
 今度は華麗なテクニックを見せている。
 相手のバランスを崩し、間合いを潰す。
 技の先読みができているからできる高等技術だ。
 勇次郎は心技体のすべてで刃牙を上回っているとアピールする気か?
 父親として息子にイイ所を見せたいのかも。

 勇次郎が刃牙に鉄槌をくだす。
 狙いは左目の上の額だ。本来なら硬い部分なのでダメージはすくない。
 だが、範馬勇次郎のパワーで打てばイッパツで酩酊状態になってしまう。
 昔の勇次郎は刃牙の右眉あたりを打って気絶させたG刃牙5巻 43話)
 似たような技を使っているのは、勇次郎のこだわりだろうか?

 昔の刃牙は指の打撃で気絶した。
 だが、現在の刃牙は鉄槌の一撃でもなんとか立っている。
 刃牙も確実に成長しているのだ!
 でも、目が泳いで変な方向に歩いているぞ。
 格闘ゲームでいえばピヨっている状態か。

(ダメージを…………… 狙わないとは云え……………)
(相手は範馬勇次郎)


 親子喧嘩だから急所は狙わない。
 ダメージも狙わない方向で行きます。
 それでも範馬勇次郎の攻撃だと死にかける。
 なにしろ愛・ベアハッグで刃牙母を抱き殺した男だもんな。

 ピヨって無防備な刃牙に範馬勇次郎が廻し蹴りだ。
 それって、ダメージ狙っていないか?
 お仕置きで廻し蹴りがでるご家庭なんて、めったにないぞ。
 ホテルの外にまで衝撃音が響き、謎の閃光がほとばしる。
 これがダメージを狙っていない勇次郎キックなのか?

 吹っ飛んだと思われる刃牙は赤ん坊になっていた。
 イメージ映像だろうけど。
 へその緒がついているから、赤ちゃんというより胎児か。
 勇次郎との差は、大人と赤子以上だ。鬼と胎児だ。
 この実力差をどう埋めろというのか?
 次回につづく。


 予想以上に勝てません。
 力で負けて技でも負ける。刃牙さん、いいところまるでなし。
 もう、カワイイだけがとりえですか?
 赤ちゃんの可愛さで勝つ気だったりして。

 実際、勇次郎の弱点は 刃牙が好きすぎる所だ。
 刃牙が可愛くなるのは弱点を狙ううえでの必然かもしれない。
 吹っ飛んで起き上がってみたら、メイド服に着替えていたとかのサプライズがあるかも。
 さすがの勇次郎もメイドップラー刃牙の可憐さに0.5秒ぐらいはスキをみせるかもしれない。

 この勝負はお互いに急所を狙わない。
 つまり決定的なダメージをなかなか負わないってことだ。
 勇次郎の言っていた「長い夜になりそうだ」ってのは、そういうことか。
 刃牙も勇次郎も好き者同士だから本当に長引きそう。

 朝日がのぼるまでに決着がつくのだろうか?
 たぶん時間が濃縮されて40時間ぐらいたっても夜がつづくのだろう。
 範馬親子は高速で動きすぎて時間の流れが遅くなっているのかもしれない。

 そして、刃牙のゴキブリダッシュを出したら、勇次郎は速度でも上回るのだろう。
 刃牙に打つ手なし。
 やっぱ、梢江にセーラー服を借りて着るしかないんだろうか。
 刃牙の淫靡なコスプレを見れば、さすがの勇次郎も「萌えるぉお!!!」と言うしかあるまい。

追記 (11/5/25)
 蹴られた刃牙が赤ちゃん化した!
 あとで思い出したんだけど、これって守りの消力(シャオリー)なのかも。
 高い所から落ちても赤子のやわらかい体は衝撃を吸収すると言ってたし。(バキ26巻 230話
 高等技術が飛びかう親子喧嘩になる。なんか浦安鉄筋家族みたいな展開だ。

 現時点では、まだお仕置き状態である。
 どうやって刃牙は喧嘩という互角の状態にもっていくのか?
 赤ちゃん化が同点の秘策かもしれない。
 リアルシャドーで赤ちゃんのイメージを具現化して勇次郎に攻撃をためらわせる、とか。
 いや、勇次郎は相手が赤子でも容赦しない人と言われているから通用しなさそう。

 刃牙の切り札は今のところゴキブリダッシュだ。
 コイツを使うのはタイミング的に早すぎる。
 今使っちゃったら、喧嘩にはなるかもしれないが勝ち目がなくなるだろう。
 出番はもうちょっと後だな。

 と、なると せっかく赤ちゃんに戻ったんだから、今までの人生を振りかえる走馬灯モードに入ったらどうか?
 仕置きの最中に死に際の集中力パート2だ。
 とりあえず反応速度だけは勇次郎に追いつく。

 パワーで追いつくのは個人の力じゃ無理だろうな。
 この辺でピクルにたすけてもらうのはどうか?
 粋なはからいでティラノサウルスの生肉を差しいれだ!
 生肉ッ!
 そう、食中毒の危険性が話題になっている。
 だが範馬刃牙には裏返りがある。食中毒を利用して裏返るのだッ!
 あ、でも一度裏返っているから表返るのか?

 もう、こうなったらジャック兄さんのドーピングを差しいれに期待するしかないか。
 でも刃牙なら「何しにきた。アンタは戦士として終わってんだよ」と冷たく追いかえしそう。
 …………刃牙さんは、一度じっくりとお仕置きされたほうが良いのかもしれない。


2011年5月26日(26号)
第3部 第253話 超えられぬ父 (909回)

 範馬勇次郎が蹴った。
 思いっきり全力で蹴ってるじゃないか!
 急所を狙わないといいつつ、脇の下を蹴っているし。
 筋肉の厚い胸ならともかく、脇の下はけっこう急所だぞ。(人体の急所 - Wikipedia

 もう、範馬一族に普通の急所が通用しないのかも。
 刃牙だって何度も金玉に攻撃をくらっているけど、いろんな意味で元気みたいだし。
 勇次郎との実力差は大人と赤子なみだ。刃牙はそう感じたけど、急所を蹴られたとは思っていない。
 さすが範馬の一族だな。目玉と睾丸以外は急所じゃないと思っていそうだ。

 蹴られた刃牙は二階に上るエスカレーターの上に落ちた。
 刃牙は尻を上にした状態でかたまり、エスカレーターをのぼっていく。
 勇次郎は狙って蹴ったのだろうか?
 なんかコントのワンシーンみたいな状況になっている。
 ホテルのロビーに怪物二頭が乱入して大暴れという状況でなければ笑いを確実に取れたことだろう。

 エスカレーターで二階に運ばれた刃牙を勇次郎が追う。
 たったの、二足でエスカレーターをのぼった。
 大きいホテルだから、二階部分は6メートルぐらいありそうだ。
 単純に考えれば、一歩で3mぶん飛んだことになる。片足で自分の身長以上の高さにジャンプできるのだ。すごい脚力だな。
 地上に舞い降りた仕置きは、再び頂上を目指すのか!?
 で、また下まで落ちてくる気かも。

 刃牙の前だからか身体能力のアピールに余念がない範馬勇次郎だった。
 ビビったのは刃牙よりも神崎首相かも。
 もう機動隊では手に負えない。

『総理(かれ)の眼からはこの親子はもはや生物の域ではなかった』

『陸上自衛隊第一空挺団』
『20:09(フタマルマルキュウ)出動』

 生物の域じゃないって……。もはやガンダム級ってコトなのか?
 範馬勇次郎のあだ名『地上最強の生物』を、そろそろ更新する必要があるかも。『地上最強の単体武力』とか。
 ゴジラの出現で自衛隊を出動させるぐらいの常識さで、第一空挺団に出動要請がはいった。
 まだ20時ちょっと。日付がかわるのも、夜が明けるのも、まだまだ先だ。
 しばらく暗黒の時間がつづく。


 ダウンした刃牙が起きあがる。
 これだけのダメージを受けていても、意識はハッキリしているし、気持ちも折れていない。
 まだ、刃牙は元気だ。
 そして勇次郎は親子水入らずを楽しんでいる。
 刃牙への仕置きをより長くつづけるためには、どうすれば良いのか?

「かつては… 女 子供の技術(わざ)と貶めたものだが………」
「制裁時(こういうとき)には」
「都合がいい」

(やる気だッッ あれをッッ)

「殺傷力は低く……」
「苦痛は絶大…」
「鞭打……」


 鞭打かよッ!
 ピクルですら嫌がったという、最強の痛めつけ技が鞭打だ。(範馬刃牙20巻 165話
 肉体を破壊するのではなく、肉体に痛みをあたえる。相手の精神に打撃をあたえる技といっても良い。
 息子の教育にはムチが必要ってことでしょうか。

 デコピンでムエタイ戦士を沈めることのできる勇次郎だ。
 それが鞭打を打つ。
 どれほどの威力になるのだろう。

 でも、大丈夫だ!
 刃牙はマゾだから、痛いのは平気です。
 むしろ勃起するほど喜ぶ。
 痛がるのはポーズで、心がおれたりしない。

 刃牙は勇次郎の鞭打と聞いて、変な表情になる。
 期待か!?
 これは期待して興奮している表情か!?
 そして、刃牙が飛びこむ。鞭打で迎撃された!

『タンスの角に小指を強打する…………』
『衝撃が教える 後に襲いくる痛度…………』
『数瞬………… 約束通り訪れる』
『予測を下回ることのない 本痛!!!』

「い゛だあ〜〜〜〜〜〜〜〜」

『本痛の高は………』
『予測を遥かに裏切り…』
『もはや闘うどころではなく…』
『どころではなく…』
『どころではなく…』


 三度も繰りかえすようなクドい痛みが襲ってきた!
 さすがの刃牙も打たれた背中を押さえてのたうちまわる。
 でも、喜ンでね? なんとなく嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか。
 なんか「ご褒美キター!」的な感じだよな。
 ちゃんと痛がっておかないと、二発目打ってくれないかもしれないし、痛がるのは大切だ。

 いいところなく、一方的にいたぶられている範馬刃牙であった。
 でも、実は喜んでいるかもしれない。
 どちらにしても、対等な立場になって喧嘩することはできるのか?
 そして、第一空挺団を呼ぶのはいいけど、役に立つんだろうか?
 次回につづく。


 鞭打は勇次郎が刃牙に教えた技だ。
 二人にとって思い出の技といえる。
 この仕置きは刃牙との絆を再確認する行為だ。
 範馬勇次郎は闘争でしか人と語れないのかもしれない。
 ツンデレだな。いや、グラップラーがデレるから、グラデレか。

 刃牙が勇次郎と対等になるには、反撃しなきゃならない。
 相手の攻撃に対抗するなら、同じ技だ。
 そんなワケで、鞭打には鞭打で対抗するってのはどうか?
 お互いに痛い攻撃をひたすら打ちつづける一見不毛な戦いになる。

 刃牙が勇次郎に勝てそうなのは、痛みにたいする慣れだ。
 真性マゾ疑惑のある刃牙は今まで痛みを経験しまくってきた。
 痛みに耐える勝負なら勇次郎に勝てる! と思うのだが……

 しかし、勇次郎なら刃牙の攻撃をよけるだろう。一般的な反応として。
 逆に刃牙は思わず受けとめてしまう。
 マゾとしての本能が回避を許さない!
 けっきょく勇次郎が一方的に刃牙を打ちまくる展開になりそうだ。

 やっぱり勇次郎には勝てないんだろうか?
 勇次郎にも弱点があれば、そこを突けるのに。
 たとえば、グリンピースが食べられないとかの些細な弱点で良いんだけど。

追記 (11/6/1)
 範馬お仕置き編はけっこう長くつづきますね。
 ドSの勇次郎と、ドMの刃牙で関係が安定しちゃっているのが問題だよな。
 刃牙がこの状況を挽回するには、脳内麻薬を出しすぎてマゾの快楽に飽きるしかない。
 近くに手ごろなムエタイ選手がいれば、破壊の喜びを思いだすキッカケになるかもしれないのだが……

 刃牙が逆襲するには、ナニが必要なのか?
 むしろマゾ属性が余計なのかもしれないけど。
 なんか都合よく血筋が目覚めたり、噛ませ犬的な親友が助けにきて勇次郎に倒されて覚醒したいところだ。
 このへんで加藤が来てくれないかな。高級ホテルには縁なさそうだけど。

メンズナックル風キャッチコピーを作るための10のポイントゴルゴ31さん情報)
 『ガイアが俺にもっと輝けと囁いている』で有名なメンズナックルのキャッチコピーですね。
 これを『ガイアがノムラにもっと輝けと囁いている』と変えるだけで立派な刃牙キャッチコピーになる。
 さらに『ガイアがノムラに「アンタじゃムリだオレがかわる」と囁いている』まで弄ると、原文がほとんど残らないか。

 刃牙が覚醒するために、なんかキャッチコピーを考えたほうが良いのかもしれない。
 『こんな俺様を種提供した親父に本気リスペクト!』とか。
 う〜む、これだと「親父をほめると見せかけて自分をほめる」に見えない。
 純粋に勇次郎をほめているみたいだ。
 勇次郎は強いな。絵の具の黒みたいだ。どんな色に混ぜてもイッパツで勇次郎色に染めあげる。

『オレには100%ホテルから落ちても無事な超能力がある』
 これも勇次郎のことだ。
 刃牙もじゅうぶん変態だけど、勇次郎には負けているもんな。
 どうも刃牙のキャッチコピーが浮かばない。

 もう、とりあえず勇次郎がミスをするのを待つしかない感じだ。
 刃牙は、食前酒で泥酔して おもらしすると言って勇次郎を焦らせるぐらいしか手段がない。
 まあ、勇次郎にとって相手が失禁するのは相撲で力士が塩をなげるぐらい自然なことだから通用しないだろうけど。


2011年6月2日(27号)
第3部 第254話 窮鼠 (910回)

 ピクルも嫌がったといわれる痛技・鞭打が炸裂だ。
 しかも、打つのは範馬勇次郎である。
 ただの鞭打じゃない。スーパー鞭打だ。むしろ大鞭打!
 漏らしそうなほどの痛みが刃牙を襲う。

 だが、範馬刃牙はマゾのエキスパートである。
 痛みなど朝飯前というより、晩飯後のデザートみたいなものだ。
 別腹だから いくらでも入ります。
 そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。

(俺って………)
(こんなにも痛がりだったのか!!?)


 刃牙本人にも意外な痛みだった。
 痛みには強いハズ。
 耐えるというより、受けいれる。喜びとともに。
 苦痛で刃牙の心を折るのは、ネコの肉球で撲殺するぐらいに難しい。

 刃牙は、どのようにして苦痛(いたみ)に強くなったのか?
 身体に負荷をかける鍛錬は苦痛(いたみ)の連続だ。
 一定の回数で止めるのではなく、体が動かなくなるまで行うトレーニングは刃牙に痛覚の耐性をつけた。
 限界じゃなくても、キツかったら止められるのが自主トレだ。

 よほど心が強くないと限界までの負荷ってのはかけられない。
 もっとも、マゾなら苦痛がご褒美だから自然と限界までやっちゃうか。
 イヤイヤやるのと楽しんでやるのでは 成果が違ってくると言いますが……
 とにかく、刃牙は質の高いトレーニングをやってきたってコトだ。

 自分で自分の身体をイジメぬいて鍛えあげてきた。
 そして、闘う。
 闘争は、さらに直接的な痛みがともなう。
 殴られ、蹴られ、突かれる。

 苦痛(いたみ)の対戦相手で刃牙が思い出したのは鎬昂昇の背中だった。
 "滅道"の文字がはいった黒道着がなつかしい。
 なんで鎬昂昇を思い出したのだろうか?
 ハッキリいって、鎬昂昇はあまり強くないキャラクターだ。
 思いだすならピクルあたりにすればいいのに。

 などと思うかもしれないが、苦痛(いたみ)と言えば鎬昂昇なのだ。
「健康(まとも)な神経を切られる痛みは想像を絶する」G刃牙3巻 22話)
 愚地独歩も認める痛い必殺技『紐切り』だ。
 刃牙ですら反撃できないほど痛いと思っている。
 まさに苦痛(いたみ)の代表例といえよう。

 最近、こうやって過去のネタをひろってくるのは最終回が近いと言うことを感じさせる。
 アニメで言えば最終決戦で第一期オープニングが流れるような感じだ。
 まあ、刃牙のことだから最終決戦がエンドレスエイト(AA)並につづくかもしれないけど。

 とにかく、刃牙の人生は痛みとともにあった。
 自分も痛いし、相手も痛めつける。
 オレの父親って地上最強の生物なんだぜ! と自慢するような、イタい子供だったのだろう。
 そして、現在ッッッ!

(苦痛(いたみ)をくぐり抜けた 18年…………………)
(苦痛(いた)いことが日常………)
(苦痛(いた)いからこそ安心………)


 立派なマゾに育ってしまいました。
 公式でマゾ認定きちゃったよ。
 これはもう、どこに出しても恥ずかしい真性マゾだ。

 ジョジョ3部のディオは『安心を求めることこそ人間の目的だ』と言っている。
 安心=苦痛(いたみ)=人間の目的
 刃牙は痛みが目的になっちゃったんですね。
 道を踏み外しまくっているよ。この道はどこへ向かっているんだ?

 痛さに安心できる範馬刃牙であった。
 苦痛(いたみ)こそ人生の目的だ。
 ならば、範馬勇次郎の鞭打も失禁するほど喜べるハズ。

(苦痛(いた)い!!!)
(痛い!!! 激痛(いた)い!!! 苦痛(いた)い!!! 辛苦(いた)い!!! イタい!!!)


 全ッ然ッ、ダメでした。
 なんか目的を超えた量の痛みを受けちゃったみたいだ。
 物事には限度ってモノがあるのだろう。
 巨乳好きな人でも、奇乳クラスになれば、ドン引きするというような感じで。
 あ、でも常に供給されているってことは需要あるンだよな。

 とにかくマゾに自信のあった刃牙でも痛がるような攻撃だ
 言葉にならない悲鳴をあげてのたうち回っている。
 勇次郎は、刃牙のフトモモに二発目の鞭打を撃ちこむ。
 皮膚面積の大きい所を狙ううちだ!

 フトモモの内側は痛みが強い。とっさの護身術としてフトモモの内側をツネるのはとても有効だ。(誰でもできる危機脱出マニュアル
 そんな痛い所に、痛い攻撃を喰らった。
 刃牙はビーンと跳ね上がったあと、狂ったバッタのように飛び跳ねながら、どこぞのガラスを破って転げまわる。

 割れたガラスのうえで転げまわったら、もっと痛かろう。
 でも、刃牙にとってガラスによる痛みは安心の範囲内なのかも。
 ガラスが刺さる痛みよりも超鞭打のほうが痛い。

 鞭打は手足でガードしても、ガードした手足が痛くなる。
 完全によけきるしかない。
 だが、勇次郎相手によけきれるのか?
 ムリですね。攻撃を回避できるのなら、悩む必要もない。
 ならば、この窮地を刃牙はどう乗りきるのか?


『防御(ふせ)ぎきれるものではない…』
『放つしかなかった…………』
『父からの手ほどき… 女 子供の鞭打(ごしんじゅつ)!!!』


 目には目をッ! 鞭には鞭をッッ!
 範馬勇次郎に鞭打をたたきこんだ!
 どっちが痛いのに耐えられるか勝負対決になった。
 なんという不毛な戦いだ。まるで不幸な過去自慢対決だよ。
 横で見ているぶんには楽しいネタではありますが。

 刃牙と勇次郎が最痛の攻撃を打ちあう。
 柳龍光との鞭打合戦では勝利した刃牙だけど、今度の相手は格がちがう。
 刃牙は『山崎VSモリマン』の山崎のように、痛みに耐えられず逃げだしてしまうのか?
 次回、どうなる!?


 というワケで前回の予想がちょっと当たって鞭打対決です。
 強いから滅多に攻撃を喰らわない勇次郎は痛みの耐性が刃牙以下だ。
 ならば、痛みガマン対決にもちこめば刃牙に勝算がある。
 勇次郎の皮膚はテカテカだし、張り手で気持ちいい音が出そうだ。
 そんなふうに考えていた時期は先週でした。

 刃牙の解説を聞くと、特訓=苦痛(いたみ)に耐えること、だ。
 勇次郎はあまり殴られていないかもしれない。
 だが、特訓はけっこう好きなハズ。
 筋トレはしてなさそうだけど、型稽古なんかをやっているっぽい。
 つまり、勇次郎も痛みに耐性をもっている。

 鞭打合戦でも刃牙は不利になりそうだ。
 だが、もうすぐ第一空挺団がやってくる。
 勇次郎が鴨撃ちでもするように、レンジャー狩りを刃牙に持ちかけるかも。
 範馬親子が鞭打でレンジャーたちを打ちまくれば、ちょっとだけ時間を稼ぐことができる。
 その間に次の手を考えねば。

 窮鼠だとしても刃牙が反撃したのは良い傾向だ。
 ここから反撃していけば、そのうち喧嘩になるかもしれない。
 でも、今のままだと喧嘩になった瞬間に秒間30回転ぐらいの勢いで回るような攻撃うけてダウンしそうだけど。

 刃牙は鞭打だけじゃ勝てない。
 もっと新しい要素を加えないと。
 痛いだけではなく、もっと嫌がられる技をだすんだ。
 くさい・きたない・きもちわるい の3Kがそろった便打とか。
 いや、コレをやったら勝負とか親子関係とかよりも、もっと大切なナニかを失う。

追記 (11/6/8)
 鞭打vs鞭打!
 お互いのマゾ性とサド性を確かめ比べあう不毛な対決に突入した!
 刃牙はマゾ性がジャマして打たれたがってしまうだろう。
 勇次郎は打たれるコトになれていない。だから、ちょっと腰が引けてしまいそうだ。
 この勝負なら、互角になりそう。

 で、勇次郎は痛がるんだろうか?
 カッコつけて痛くないフリはするだろう。
 でも、ちょっと早足になったり、ちょっと汗をかいたりしそう。
 いいや、痛くないよ。今身をよじったのは尻がかゆかったからで、痛かったワケじゃないから!

 勇次郎は刃牙を好きすぎるのが弱点だ。
 刃牙だけが範馬勇次郎に勝つことのできる生物である。
 愛する息子に鞭うたれて、勇次郎がナニかに覚醒しちゃったらイヤだよな。
 むしろ、勇次郎の覚醒をうながさないと刃牙に勝ち目がなさそうだ。

 つまり、刃牙は鞭をふるいつつ、アメで勇次郎をとろかさないといけない。
 萌をアピールしないとダメだ。
 ラッキーなことに、このホテルには売店もあるようだし、闘いながら道具を集めていけばいい。
 ネコ耳グッズとか、メイド服を調達して装備したら、勇次郎も赤面して動揺すると言うものだ。
 読者もカイジで美心をみたような胸のムカつきを感じるにちがいない。

 ゴキブリを師匠にして人外の速度を手に入れた刃牙だ。
 いい師匠を見つけたら、スゴいパワーを出しそうだぞ。
 もっとも刃牙の場合はイラっとくる感じにパワーアップなんだろうけど。


2011年6月9日(28号)
第3部 第255話 絶大なる激痛 (911回)

 目には目を、歯には歯を、鞭には鞭を、鞭打には鞭打をッッッ!
 範馬勇次郎のお仕置きに耐えられなくなった刃牙が反撃を開始する。
 まさに窮鼠猫を噛む、だ。
 勇次郎はネコじゃなくて鬼ですが。
 あと、刃牙もネズミじゃなくてゴキブリだけど。

 この反撃は、勇次郎に仕掛けられて行った反撃といえる。
 つまり刃牙の反撃すら勇次郎のタイミングだ。いまだに勇次郎のターンですよ。
 打たされている攻撃ってのは危ない。
 相手は対策をして、待ちかまえている。
 刃牙は勇次郎の手の上でおどっている状態だ。

(痛がりやがれ!!!
 激痛(いた)がりやがれ!!!
 苦痛(いた)がりやがれ!!!
 辛苦(いた)がりやがれ!!!
 イタがりやがれ!!!)


 見事、勇次郎に鞭打を決めた!
 前回の自分と同じ痛がりかたをしやがれ!
 まさに私怨200%って感じで器の小ささを見せつけている。範馬刃牙の恐るべき攻撃だ。

 攻撃を決めた刃牙は、みごとなドヤ顔を決める。
 まさに会心のドヤ顔だ。口角の持ち上がりかたがハンパない。
 猪木(この世界だと猪狩か)のマネをしているような角度でキメている。
 これにはシャフト角度も、ワルプルギスの夜で逃げだすにちがいない。
 これは是非、チャンピオンと見比べて検証してほしいシャフト角度だ。

 刃牙さんが、勝利を確信したようなイイ顔をしている。
 さて、勇次郎はどんな痛がりかたをしているかな?
 勇次郎の顔が苦痛にゆがむ所をチラ見するぜ。
 そんなふうに目論んでいた時期が刃牙にもありました。

 だが、驚愕ッ!
 範馬勇次郎は痛がっていなかった!
 なんか、キモくなっているッッッ!
 全身と言うか、顔中に血管を浮かべて リキみまくりだ。

 まぶたにまで血管がういてンぞ。どんな人体構造だよ。

 まるで皮膚が裏返ったような感じになって、ちょっとしたホラー漫画になっている。
 これは範馬勇次郎が裏返ったと言うべきか。
 チャンピオン読んでいて噴いたことは何度かある。呆然となったのは今回がはじめてだ。
 読者だけでなく、刃牙も呆然となって痛さを忘れたらしい。

『右手を叩いた痛みが――――』
『左手を叩くことで軽減するように』

『動かぬまま五体全ての筋繊維を一気に駆動!』
全身運動の苦痛により』
『皮膚の苦痛(いた)みを分散』
『かろうじて無表情を保持(キープ)していた』


 痛みを痛みで相殺する!
 まるで疵面の、痛すぎて痛くない作戦みたいだ。疵面2巻 9撃
 ……その理論はおかしい。
 おかしいけど、まあイイや。迫力に負けた。

 とにかく勇次郎は全身の筋肉に力を入れることで痛みをうみだして、鞭打の痛みを消していたようだ。
 ……なんか痛いのをやせ我慢してこらえているようにも見える。
 どっちが本当なんだろう。
 痛みをこらえきった勇次郎は、すこし爽やかになって鼻息を盛大に出したとだけ書いておく。
 やっぱ、全身を緊張させてこらえたんじゃね?

 刃牙は勇次郎が痛みを耐えきったことに驚愕していた。
 いや、感動すら起こしているかも。
 けっきょく刃牙は勇次郎信者なのだ。
 やっぱり勇次郎ってヤバい! という、YYY(または3Y)発言をしたいのだろう。

 勇次郎も刃牙に3Yしてもらって大満足だ。
 悪魔にさずかった筋肉を全開にしてガマンしたかいがあったと言うものである。
 筋肉の緊張で足りなかったら、刃牙に見えない角度で自分の尻をつねってガマンしたりしたのかも。
 子供の前でカッコつけるのも大変だ。

「半人前の分際で急所を狙わぬ愚」
「如何に出来の悪い頭にも」
「多少なりとも理解できたことだろう」
「狙ってこい……」
「親の仇のつもりでこいッッ」

「へ……ッ」
「言われなくとも そうするさ…」
「実際カタキだし…………」

『少年のとる』
『今宵初めての戦闘体勢(ファイティングポーズ)


 第一空挺団が近づくなかで、勇次郎が挑発し、刃牙が受ける。
 不毛な痛み合戦から、真の格闘へッ!
 範馬親子喧嘩は、やっと喧嘩になろうとしているのか?

 そして、このタイミングで到着しちゃった第一空挺団の頭上には死兆星が輝いている気がしてならない。
 範馬親子の周囲に一般人の姿はない。危険だから みんな逃げだしたのだろう。
 市民の避難誘導をおこなうハズだった第一空挺団だが、すでに仕事がないのかも。
 そうなると、やっぱり親子喧嘩に巻きこまれて吹っ飛ぶのがお仕事なんだろうか?
 次回につづく。


 今回は勇次郎のキモ顔がすべてだった。
 100万字を費やしても、あの絵のインパクトには勝てません。
 アレを寝る前に見るのは夢見的にどーなのか心配だが、しかたあるまい。

 鞭打の打ち合いは一回で終了した。
 勇次郎が必死に"痛くない"アピールをしたおかげだな。
 で、もう打って欲しくないから、急所を狙えと挑発したみたいだ。
 刃牙があっさり乗ったのは、痛いのイヤだからだろうな。

 けっきょく勇次郎がペースを作って場を支配している。
 刃牙はイロイロな部分で勇次郎に勝てていない。
 ここから どうやって互角に持ちこみ、どうやって勝つのか?
 もっと工夫が必要だ。

 鞭打だって、単発で終わらずに連打すれば良かったかも。
 勇次郎のガマンにも限界があるハズだ。
 思いきって股間に鞭打とか!
 まるで水銀のように柔らかく包みこむ打撃を股間に受けたら、さすがの勇次郎だって悶絶するさ!

 勇次郎の敗因になりそうなのは刃牙への愛だ。
 しかし、刃牙が勇次郎を超えられないのは勇次郎への愛とか敬意が原因かもしれない。
 まず、勇次郎だって弱い所があるんだと思いこまなきゃ勝てないのかも。

 とりあえず勇次郎の顔を写真にとって変顔に加工することで、勇次郎=恐い・強い というイメージを打ち砕いてみたらどうか?
 でも、すでに戦っているから、そんなヒマ無いよね。
 それに多少勇次郎のイメージを悪くしても、今回みたいな表情を見せられたら印象が上書きされてしまう。
 今回の表情は、これからの長い間、Web上でネタにされるだろうな。
 ……それにしても、今日の夢に勇次郎が出てきそうで、寝るのがちょっと恐い。

追記 (11/6/15)
 ついに刃牙が構えた。やっとココからが勝負、とうか喧嘩だ。
 迷走というか、暴走というか、ドコに向かうのかワカらなかったお仕置きもなんとか喧嘩になりそうだ。
 なんやかんやで、親子喧嘩はゴールに向かっている。

 刃牙は構えたけど、勇次郎はまだ構えていないのかもしれない。
 必死になって攻撃してくる刃牙を鞭打で打ちのめすプレイがまっていたらどうしよう。
 2週もどるみたいなもんだよ。

 もっとも、勇次郎だって痛いのはイヤだったみたいだ。
 相殺の理屈はともかく、ガマンするのは一回でカンベンして欲しかったのだろう。
 でなければ、あのまま不毛な鞭打対決になっていた。
 そうなったら真性マゾの刃牙が有利だったかもしれない。
 刃牙は父に勝てるチャンスを逃したってコトになる。
 そんな勝利で良いのかどうかは悩むところだけど。

 さて、刃牙は地上最強の生物にどう攻撃するのか?
 ゴキブリダッシュは、まだ早い。
 あれは最後の切り札なので、勇次郎がシャツを破いて鬼のポーズとってからでないと出しちゃダメだ。

 とりあえず剛体術で殴るってのはどうか?
 鎬紅葉を剛体術で倒したときに、刃牙は「あなたはもう目の前だ」と今思えばカン違いもはなはだしいカッコイイ台詞をはいている。
 つまり、勇次郎とは因縁深い技なのだ。

 もっとも、剛体術はオリバに通用しなかった技ですが。
 逆に言えば、すでに負けた技だから何度負けても大丈夫なのだ。
 一度かませ犬になった戦士は、何度かまれても問題無いという理屈である。
 ちょっと切ない理屈ですが。
 板垣先生、ジャックはもう弄らんといて……

 あと、アレだ。刃牙といえばパクリ技ですよ。
 克己の真マッハをパクって、関節が細分化されたイメージをつかう!
 超関節による、マッハ鞭打だ!
 うん。多関節より液体化のほうがスゴいよね、たぶん。
 真マッハより、ゴキブリダッシュのほうがスゴいって理屈だ。

 きっと勇次郎が更なる高みの技をみせてくれる。
 液体化を上回る、気体化イメージだ。
 もう、すごい飛びます。一反木綿ぐらい飛びます。セリフも九州弁になる。
 勇次郎の二つ名"鬼(オーガ)"はダテじゃなく、やっぱり妖怪のたぐいだったのだ。
 そりゃ、人間じゃ勝てねーよ。


2011年6月16日(28号)
第3部 第256話 反撃の狼煙 (912回)

 範馬刃牙がついに構えた。
 ファイティングポーズ。戦闘体勢である。
 ここからはお仕置きじゃなく、戦闘だ。
 刃牙は拳を握りしめる。

 いっぽう勇次郎は手を広げたままだ。
 両腕を持ちあげる構えは、鬼<オーガ>の構え!
 いや、角度がちょっと足りないか?
 まだ本気じゃない。髪の逆立ち具合もイマイチだし。
 せいぜい、熊<クマー>の構えってところか。

 どっちにしても勇次郎って、あまり拳を握る印象がない。
 普段は開いておいて必要な時に握るって感じだ。
 それでも、刃牙は相手が拳を握らないと不満なのだろうか。
 渋川先生が相手でも「ちゃんと拳を握れ!」って怒りだしそう。

 刃牙は萎縮している。
 不利な状況だからしょうがない。
 だけど、勇次郎を必要以上に大きく見てビビっている部分もある。
 手を開いていることに、いちいち感心しないでもいいんだぞ。

("構え"に俺が"追い込まれ"たんだ)

 刃牙は自分の現状を把握していた。まだ冷静です。
 話は勇次郎のペースで進んでいる。刃牙は自主的にかまえたワケじゃない。
 『シグルイ』で言うなら無明逆流れで待ちかまえている所に斬りかかるようなものだ。
 これは非常にマズい状況といえる。

 かといって、あのまま鞭打の打ち合いしていてもイイことは無かっただろう。
 退路は立たれ、行く先に待たれている。
 これはもう、飛ぶしかないな。
 確か刃牙は妄想力で飛べたハズだ。飛んで勇次郎のドギモぬいたれ!
 あ、でも、勇次郎なら刃牙が飛んだら、もっと高く飛ぶんだろうな。

「存分にやれい刃牙ッッ」

「ジッちゃん……………」


 ここで、意外なサポーターが登場だ。
 余命短い宣言をうけている徳川さんが応援にかけつけてくれました。
 ついでに親子喧嘩を止めようとする首相に、鞭打(ビンタ)したらしい。

 絶妙なタイミングで元気づけられ、刃牙は緊張がとける。
 余計な力が入っていたら、本来の動きはできない。
 みっちゃん、ナイスアシストだ!
 最後の最後でイイ仕事しましたね。

 みっちゃんの登場で勇次郎は舌打ちをする。
 刃牙の復活は勇次郎にとっても喜ばしいことのハズ。
 それでも、親子水入らずをジャマされたのは不愉快なんだろうか。
 どちらにしても、範馬勇次郎であっても、すべて思い通りにすることはできないのだ。
 舌打ちは、勇次郎にも負ける可能性があることを教えてくれた。

 リラックスした刃牙は、とりあえず左拳を撃ってみる。
 さぐりのジャブだ。
 ボクシングっぽい撃ちかたで鋭くせまる。
 アライJr.なんかよりよっぽど速そうなパンチだ。

 だが、撃ったはずの刃牙がフッ飛んで壁にめりこむ。
 勇次郎が左手で弾き飛ばした。

(スゲェ…)
(左ストレート…)
(伸び切った一本の棒と化した まさにその一瞬を)
(合わされた!)

 まるで植芝盛平先生のような神業だ!
 G刃牙 307話感想の時も書きましたが、パンチが伸び切った瞬間に正面から押すと人は吹っ飛ぶと言って、実践したらしいんですよ。(塩田剛三「合気道修行」)
 昭和初期の天才ボクサー・ピストン堀口のストレートをキャッチしたと言う話もあります。(激闘達人烈伝
 ほんの一瞬しかないタイミングを捕らえて反撃したのだ。
 トンデモない神業ですよ。

 そして壁に身体をぶつけてクレーターを作りながらも、まったく平気そうな刃牙もじゅうぶんバケモノだ。
 しかし、コレでもまだ、刃牙も勇次郎も手を抜いていた。
 サボりつづけてきた刃牙も、そろそろ本気を出さなくちゃイケないのか?
 でも、本気を出しちゃったら「俺はまだ本気出してないだけ」という言い訳ができなくなるぞ。
 範馬刃牙、決断の時だ。

「なァ バキィ…」

「もういい加減によォ」
「父さんに実力見せてくれよォォッ」


 勇次郎がッ! 変な顔で可愛くお願いしたッッッ!
 なんだ、この顔芸はッッ!?
 どこで学んだ神業だよ。
 前回は全身キモい芸を見せてくれたが、今回は変な顔芸だ。

 あの"地上最強の生物"範馬勇次郎が眉毛を下げて、汗まで飛ばしてお願いしている。
 勇次郎にこんなコトをさせるのは刃牙ぐらいしかいない。
 やっぱり勇次郎を倒せるのは刃牙だけなんだよ。
 ここで「絶対に本気ださない」とゴネたら、勇次郎が土下座してお願いするかも。

 でも、そこは親父が大好きな刃牙です。
 懇願されて悪い気はしないのだろう。
 それに勇次郎の変顔をこれ以上見たくないのかも。
 いや、徳川さんたちに変顔を見られたくないのかもしれない。

「わ…………」
「わかったよ父ちゃん…」

 とろ‥‥


 刃牙が液化するッ!?
 新必殺技のゴキブリダッシュをもう出すのか?
 そりゃ、本気だすからにはゴキブリダッシュをしなきゃならないんだろうけど。
 まるで仮面ライダーが変身直後に必殺技を出すようなものだ。
 あるいはウルトラマンが変身直後に(略

 段取り無視して いきなりメインディッシュを出す気の刃牙であった。
 速さもスゴいが、それだけじゃない。
 さすがの勇次郎もゴキブリはキモかろう。なるべく触りたくないものだ。
 嫌悪感から反撃しにくい技だと思われる。
 刃牙の液化はッ! 刃牙の新幹線スピードはッ! 刃牙のゴキブリ化はッ! 勇次郎に通用するのかッ!?
 次回につづく。


 刃牙には天運があった。
 徳川さんの登場が刃牙を大きく後押ししている。
 しかし、なんでみっちゃんは場所がわかったんだろう。
 やっぱり警察の通信を盗聴しているのだろうか?
 恐ろしい爺さんだ。

 勇次郎に刃牙が追いつめられている状況は変わらない。
 今度も刃牙はいきなり最終奥義を出さざるをえない状況に追いこまれた。
 余裕のあるうちに相手の切り札を見ることができるから、勇次郎に有利な展開だよな。

 そう考えると、勇次郎はけっこう慎重に戦っているのがワカる。
 普段の勇次郎は、あえて相手の得意な分野に踏みこんで蹂躙したりするの好きだった。
 だが、刃牙との戦いだと優勢であっても気を使って戦っているようだ。
 やっぱり勇次郎は 誰よりも刃牙を評価している。

 刃牙は現在の自分がもつ最速最高の技をだすつもりだ。
 とっておきってアイデアってのは、使わないと次のアイデアが生まれない。
 刃牙は底の底まで吐きだして一度カラッポになるだろう。
 そこから新しいモノが生まれるのかもしれない。

 もしかしたら、勇次郎も刃牙の覚醒を期待しているのかも。
 お互いに限界を超えた覚醒をしまくって、人類未踏の高みに登る気か?
 オマエら親子は、本気で人間(ヒト)じゃなくなりそうだ。
 さすがに尻尾とか羽ははえないと思いますが……
 ツノは、はえるかも。鬼だけに。

追記 (11/6/22)
 刃牙が新必殺技・ゴキブリダッシュをつかうッ!
 いきなり必殺技かよ。
 刃牙は戦いの流れをワカってない。
 と、思ったけど勇次郎相手に出し惜しみする余裕なんて無いか。

 さて、ゴキブリダッシュは通用するのだろうか?
 いきなり通用して勇次郎を倒しちゃったら、ちょっと味気ないな。
 だから通用しないと思う。
 刃牙の一撃で、勇次郎が血管ムッキムキになって我慢して「痛くないよ。ちっとも痛くないから!」と言い張ったら、それはそれで面白いけど。

 勇次郎はどうやってゴキブリダッシュに耐えるのだろうか?
 イチバンありがちなのが、ゴキブリダッシュを上回る速さでよけちゃう。
 刃牙よりも速く後方に飛んでかわす。
 あまり速すぎると後頭部を壁にぶつけそうで注意が必要だ。

 それとも、勇次郎なら速さを凌駕するのは、パワーだ! という展開だろうか。
 ダッシュでぶつかった刃牙だけど、思いっきり弾き返される。
 まるでサンシャイン60に正拳突きを打ち込んだかのようなイメージ。ビクともしない。
 餓狼伝の丹波より弱くなっている!

 ムチャをムチャで止めたほうが 勇次郎らしいと思う。
 花山が背中の侠客(おとこ)立ちで受けたように、勇次郎は背中の鬼で受けてみたらどうか?
 名づけて鬼父山(おとうさん)受け!
 せがれの攻撃を受けとめるのが父親のつとめだとか言っちゃって、刃牙大好きっぷりをアピールだ。

 速さ・力ときたら、次は技だな。
 勇次郎は技術も高い!
 だけど、すでに刃牙を高度な技で吹っ飛ばしているから、もうやんないかな。
 ゴキブリダッシュを合気で返したら、リニアモーターカー並みのスピードで飛んでいくんだろうか。

 あとは液化ゴキブリダッシュを上回る理合をもってくるかも。
 先週書きましたが、液化を上回る気化で対抗するとか。
 さすがに気化は難しいか。ならば煙化でどうだ。
 スモーキン・ジョーのように煙となる。
 こうなったら刃牙は大ピンチだ。
 なにしろ、ゴキブリにはバルサンだから。


2011年6月23日(30号)
第3部 第257話 溶解 (913回)

 いきなり刃牙が切り札をつかう気だッ!
 ゴキブリのスピードを模倣するため、ゴキブリっぽい肉体構造になった気持ちでダッシュする。
 必殺のゴキブリダッシュだ!

 と言うのが先週のラストだった。
 そして、恐るべきことに今週のラストも同じだッ!
 ループしてるッッ!?
 これが円環の理ってヤツか?
 いいえ、話が進んでいないだけです。

 なんで話が進んでいないのかと言うと、時間が少しもどったからだ。
 プチ・タイムトラベルかよ!?
 というワケで、勇次郎が変な顔で「父さんに実力見せてくれよォォッ」と言った直後に話はもどる。

『父が初めて見せた……』
『おそらくは自身初の"お願いごと"』

『逆立つ髪をしおらせて』
『見せた弱気の百面相』
『わからず屋の息子へ対し――』
『愛してくれぬ恋人に不満をぶつけるかのように』
『気位(プライド)をかなぐり捨てた』


 勇次郎のチャームポイントである逆立つ髪がしおれた!
 髪の逆立ち具合は元気のバロメーターだったのか。
 刃牙があまりに本気をださないから、さすがの勇次郎も元気が無くなった。
 ある意味、刃牙は勇次郎を屈服させている。刃牙のやる気のなさはスゴいな。
 北風と太陽が争ったら、五月病が勝ったみたいな展開だよ。

 今回も勇次郎はめったに見せない表情をしてくれる。
 超レアな、眉毛さがりの勇次郎だ
 これを写真にとればプレミアがつくこと間違いなし。
 もっとも、撮られたことに気がついた勇次郎に追いかけられて(勇次郎なら絶対気がつく)カメラを破壊されるだろうけど。

 というワケで今週のチャンピオンはプレミアがつくかもしれない。
 コミックス収録時に、なぜか勇次郎の表情が自信満々に変わっているかもしれないし。
 バキ28巻で、美少女・梢江ちゃんがコミックスで変化していた前例がある。(参考日記05年9月9日
 刃牙のメインヒロインだけに美の追求がハンパ無いぜ!

 そして、強すぎる範馬勇次郎の苦悩が説明されていく。
 内容は本編を見てもらうとして、重要なことが判明する。
 食通が高じて料理人にもなった魯山人のように、勇次郎は戦闘好きが高じて強敵を作ろうとしていたのだ。

 魯山人といえば海原雄山であり、やっぱり範馬勇次郎だよ。
 すべては繋がっていたのだ!
 親父ツンデレはみんな魯山人だったのか。

『そのレベルもはや史上最高位!!!』

 とにかく、範馬勇次郎の鍛え上げた最強の敵=息子=範馬刃牙は、完成した。
 宮本武蔵の姿が見えるほどに史上最高位だ。
 そして、刃牙より強い勇次郎は宮本武蔵以上であると言いたいのだろう。
 たしかに武蔵が足指と口に刀くわえて五刀流になっても勇次郎に勝てないだろうけど。

 刃牙は脱力する。
 ゴキブリダッシュに必要なのは肉体の液化だ(イメージです)。
 全力で、本気をだして、精一杯ゆるめる。
 死に際の集中力でリラックスしていく。
 本気を出さないことに定評のある刃牙だけに、ゆるめるのは得意だ!

 だが、脱力戦術は勇次郎に見透かされていた。
 液化による超瞬発力は勇次郎にとって通過ずみの技なのだろうか?
 それでも刃牙は脱力するしかない。
 マキシマムパワー・フルチャージでリラックスのフルスロットルだ!

 ゴキブリダッシュッ!
 初速から最高速度をだす、(イメージ的に)禁断の技だ。
 食事時をさけたい必殺技で勇次郎に向かっていく。
 この一撃は父に届くのか!?
 次回につづく。


 正直いって、今回の話が無くても本筋には影響が無いだろう。
 前回と次回でたぶん話がつながる。
 ただ、今回は刃牙世界において重要なことが書かれていた。
 範馬勇次郎がなぜ親バカなのか、だ。

 勇次郎が親バカで刃牙のことが大好きなのは今さら書くまでもない。
 では、なぜ勇次郎が親バカなのだろうか?
 コレについては明確な答えがなかった。
 親だから当たり前だ。刃牙が強いから気に入っている。
 そんな推論はあった。

 で、実際に刃牙が強いから好きだったらしい。
 ただ、すこし違うのは勇次郎が刃牙を育てた気になっている点だ。
 勇次郎は自分を楽しませる強敵として、我が子を作った。
 本人が言うように、世界中に何人もいるのだろう。(バキ19巻 168話
 そんな種の最高傑作が刃牙なのだ。少なくとも勇次郎の中では。

 幼年編のとき、うっかり刃牙を壊しかけた。
 これが勇次郎の痛恨事らしい。
 帰りのヘリで勇次郎がアンニュイな表情だったのは「やりすぎた」と反省していたから、とか?
 それだけ勇次郎にとって刃牙は期待の星だったようだ。

 期待して苦労して育てると愛情もわく。
 ジグソーパズルを額にいれて飾るのは、苦労して作ったから。
 ゲームのセーブファイルをなかなか消せないのは、苦労した時間の証だから。
 勇次郎にとって刃牙は食べるための料理だけど、同時に苦労して作った芸術品でもある。
 レオナルド・ダ・ヴィンチモナ・リザを完成後も手元においていたように、自分の作品に愛着を持つのは当然だ。

 勇次郎がジャックに冷たいのは、失敗作と認識しているからだろう。
 薬や外科手術に頼るような人工モノより、天然モノが好きみたいだ。
 トレーニングではなく、戦闘行為で鍛えられた打撃筋肉をもつ勇次郎らしい考えかもしれない。
 刃牙が鬼の背中を手に入れてたのは、リアルシャドーで戦闘を繰りかえしていたからだろうし。

 そうなると、勇次郎はますます刃牙を倒せなくなるかもしれない。
 幼年編で味わった喪失感があるので、トドメの攻撃が出せなくなるかも。
 刃牙が相討ちを狙った攻撃をしたら、勇次郎だけが寸止めしちゃうとか。

「親父、なんで!?」
「刃牙よ、キサマは俺の息子、俺の最高傑作だ。それを壊すなんてできやしねェ」
「親父ィ〜〜〜!!」
「追伸、グラップラー刃牙の最終回に出てきたジェーンのことは忘れてください」
「そこ、投げっぱなしかよ!?」

 みたいな最終回がまっているかも。
 まあ、勇次郎の事だから「また、やっちゃった」って感じに刃牙に本気の一撃を喰らわせそうだけど。

追記 (11/6/29)
 話が進んで無いから、先週と同じコト書けば良いんじゃなイカ?
 そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。

 それにしても、刃牙勝利の下準備が進んでいるように思われる。
 徹底的に勇次郎が負けてもイイ理由づけをしているようだ。
 勇次郎は刃牙に倒されることを夢見ていて、最強の挑戦者=刃牙をつくりあげてきた。
 これだけ刃牙への愛を積み重ねていたら、うっかり敗北する事もありうる。

 いちおう刃牙も強くなっている。
 タイトルが『バキ』になってからは、対戦相手に苦労するぐらいに強くなった。
 おかげで油断ばかりしている増長王子のイメージが定着した気がします。

 でも、勇次郎はそれ以上に強くなっている。
 そりゃあ もう、作者ですら苦労するぐらいに強くなった。
 刃牙を強くするだけじゃなく、勇次郎を弱くしないと勝負にすらならないんだろうな。

 刃牙のゴキブリダッシュは勇次郎に読まれている。
 技そのものじゃなくて、液化するような究極の脱力からの技を読んでいるのだろう。
 さすがの勇次郎も自分の最高傑作が、ゴキブリを師にして技を開発したとは思うまい。
 ゴキブリ息子って勇次郎の美意識にとって許容範囲なんだろうか?

 もし、勇次郎が刃牙のゴキブリ化を許せなかったら……
 こだわりの職人が失敗作にする仕打ちは破壊だろう。
 もうだめ、コイツ無し! となって刃牙を破壊するかもしれない。

 まあ、勇次郎は強さのみを追い求める人だから、強ければゴキブリでも良いと思うかもしれないけど。
 でも勇次郎って服装やテーブルマナーにも詳しい人だからなー
 食事中にゴキブリが出て、刃牙が土下座で感謝をしたら、かなり刃牙への愛情も薄れてしまいそうだけど。

 もしかして、ゴキブリダッシュは勇次郎を本気にするきっかけになるんだろうか?
 勇次郎が本気になるのはイイけど、今の刃牙じゃ勝てないよな。
 刃牙はゴキブリダッシュ以上の新必殺技を考え出さなくちゃならない。今すぐにだッ!
 これがBLEACHなら、どっか適当な場所でいきなり修行をはじめて上から目線になって帰ってくるところなんだけど。

 加藤とかが時間稼ぎに来てくれないかな。
「オレがサンドバックに詰められているうちに、早く修行してこい」
 ……三ヵ月後、刃牙の背中の鬼面がゴキブリ面に変わっていた。
 強くなるかもしれないが、そんな背中じゃキモすぎだろうな。


2011年6月30日(31号)
第3部 第258話 時速270キロ (914回)

 範馬刃牙が本気をだすぞ。今度こそ本気で出すんだからな。
 本気の刃牙はゴキブリだ!
 イメージ悪いから長期的に考えるとダメな本気かもしれないけど。
 だって、今週はいつ"師匠"の姿が出てくるのか。こわごわとしながら読んだし。

『液化へ……』
『さらに意識(イメージ)は』
『液化から気化へと』
〔超…脱…力…〕


 刃牙が溶けたッ!
 液化人間だ。ゴキブリよりも怖いかもしれない。
 グラップラーを極めると液化して気化すンのかよ。
 なんだ。宮本武蔵の死因は液化のち気化だったりするんかい。

 とにかく液化だ。理屈や事実はともかく、液化するとゴキブリっぽくなってダークな感じで最強っぽい。
 刃牙は思いこみの力で宙に浮くぐらいだから、ゴキブリっぽくなればゴキブリ並の速度をだすことだってできるハズ。
 理論とか原理は置いといて。
 初速から最高速度と言うありえない動きで、刃牙はダッシュした。
 勇次郎の胸に飛びこむ!

(いかがですか父上…
 あなたの息子があみ出した
 時速270キロ!!)
(蜚蠊(ゴキブリ)タックル…ッすッッ


 時速270キロと言えば、1分で4500m進む。
 100mを1.33秒で駆け抜ける!
 ウィルバー・ボルトの公式記録が100m:9.49秒だ。(241話
 これはお話にならない実力差だな。
 人類最速とかボクシング最強とかが、小学校の覇権争いに見えてしまう。

 イメージ的に新幹線ぐらいの速さってことで、刃牙は時速270kmと言っている。
 ならば名前は新幹線タックルでも良いんじゃなかろうか。電車好きの子供とかにも受けそうだし。
 でも、刃牙はゴキブリと言う。生物にこだわりが有るんだろうな。
 刃牙は師匠といって尊敬しているみたいだし。

 勇次郎は時速270キロの衝撃を受けとめた。
 足を滑らせながらも、タックルを減速させて、ついに停止させる。
 これは新幹線を止めたに等しい行為だろうか。
 いや、それは言いすぎだな。
 身長2mちかい巨大ゴキブリを止めたようなものと思っておこう。

 だが、止まってからも刃牙の加速は止まらない!
 矛盾した表現だが、刃牙は勇次郎と組みあった状態から最加速する。
 ガラスを破って、勇次郎を壁際に押しこんだッ!
 勇次郎が力負けした!?
 刃牙のタックルを潰せないのか?

 そして、初速から最速ってのが恐ろしい技であることがわかった。
 まるで全身で動く寸勁だ。
 1インチどころか、0インチからタックルしてるよ。
 これを打撃に応用したら、すごい破壊力になるんじゃなかろうか。

 でも、刃牙はあんまり脱力してないよね。
 とうとう脱力しなくても脱力したような効果が出るようになったのだろうか。
 それとも瞬間的に脱力したのかも。
 もしかしたら、液化と速度は関係ないと気がついちゃったのか?
 どちらにしても、刃牙はスゴい技に開眼しちゃった!

「フフ………」
「裸足のまま」
「夥しいガラスの欠片を踏み蹴って…」
「一適の血も流さぬとは……」
「並の修行では―――」


 勇次郎はゴキブリダッシュと ちがう所をほめる。
 それは足裏の強さだ!
 わ、わからんッッッ!
 鬼の誉めポイントは難しすぎるッ!
 古美術の鑑賞みたいに、素人には難しいのかも。

 刃牙の足裏が丈夫になった理由は予想できる。
 激しいトレーニングだ。
 ひたすらダッシュを繰りかえし、大地をつかむ訓練を重ねてきた。
 その結果、毎日素振りをする野球選手の手のひらのように刃牙の足裏は硬く強くなったのだろう。
 たぶん、足裏でタバコの火を消せます。

 勇次郎は目に見える『速度』という結果ではなく、見えにくい『努力』という過程をほめた。
 イイお父さんじゃないですか。
 暴力的で髪が逆立っていて白目むいて皮膚がテッカテカだけど。
 でも、刃牙は勇次郎の言葉を最後まで聞かず、三度目の加速をするのだった。
 親の心、子知らず。

 刃牙の加速は、意外ッ! 逆方向だった。
 ステップバックで、後退する。
 刃牙に寄りかかっていた勇次郎は支えを失い、一瞬無防備な状態をさらす。
 この勇次郎の表情だ!
 呆然としている。あるいは驚愕しているぞ。
 勇次郎が虚を突かれたッッッ!

 すかさず刃牙は左ハイキックを撃ちこむ。
 勇次郎が揺らいで壁にもたれた。
 効いてる? ほんの少しでも、効いてンのか、これ?

 刃牙は追撃のドロップキックを撃ちこむ。
 勇次郎は壁を破り、男子トイレに突っ込み、個室を全部つきやぶって吹っ飛んだ。
 便座に座って孤独な戦いをしている人が巻き込まれなくて良かったな。
 ゴキブリタックルの後で、トイレの惨事じゃ下ネタ過多だよ。

 自分でも会心の一撃だったのか、刃牙が高揚している。
 だが勇次郎は不気味な笑いをみせるのだった。

「あァ〜れェ〜♥(はぁと)

 えっ、このセリフにはどんな意味が……?
 今ので全力なのかなァ〜〜? というコトだろうか。
 勇次郎は誉めどころだけでなく、セリフも難しすぎる。

 刃牙は驚愕の進化をした。
 それでも、勇次郎には届いていないのか?
 次回は解決編だ。……たぶん。


 刃牙は脱力をきわめて液化から気化にランクアップしちゃった。
 気化したらゴキブリと関係ないんだけど。
 そこは感性で生きる範馬刃牙だから問題ないか。
 手段を究めていくうちに、目的など どーでもよくなるモノだ。
 もはやG師匠も超えた!

 で、ゴキブリタックルですよ。
 なんで打撃に応用しないんでしょうか。
 そりゃ、昆虫はパンチやキックをしないからだろう。
 気化で師匠を超えているのに、戦闘スタイルだけは教えを守ろうとする。
 刃牙さんのこだわりがよくワカらん。

 もしかしたら、刃牙はまだ自分のスピードを制御できないのかもしれない。
 千春の指に眼を当てるような芸当はできるけど、打撃はムリとか。
 どんな、器用だけど不器用な主人公なんだか。
 やっぱりG師匠のマネをしているから殴らないのだろう。

 そして、ゼロ距離Gダッシュだ。
 ただ押すだけじゃなくて、これこそ打撃に応用すればいいのに。
 でも、最後の廻し蹴りとドロップキックはGダッシュの応用なのかも。
 勇次郎の吹っ飛びかたが尋常ではなかったし。
 いや、あれは勇次郎のサービスで自分で吹っ飛んでいたりして。

 刃牙の全力攻撃だが、勇次郎は血も汗も流していない。
 やはり、通用しないのか!?
 こうなったら、液化のゴキブリを超える技を、今この場で考えなくてはならないかも。

 さいわいにも刃牙は液化を上回る気化レベルの脱力も会得した。
 気化といえば、蒸気機関に応用できるだろう。(イメージの世界で)
 生物から機械にかわる。グラップラーの産業革命だ。
 国電パンチにも負けない、必殺のSLパンチが誕生するッッッ!
 あ、でもSLは新幹線よりずっと遅いな。

追記 (11/7/6)
 刃牙の必殺ゴキブリダッシュが炸裂した。
 やっぱり、あまり効いていないっぽいけど。
 液体化するほどの脱力からの攻撃など、勇次郎にとってはとっくの昔に通過済みなんだろうか。

 トイレに飛びこむのが刃牙なりのサプライズだったのかもしれない。
 これが『To LOVEる』なんかだと、生徒用の女子更衣室(ホテルなのに)か、女湯に飛びこんで胸か股間に顔をうずめるところだ。
 オリバやドリアンの控え室に飛びこんで大胸筋に顔をうずめなかっただけでも評価すべきなんだろうか。

 しかし、トイレですよ。
 さすがの勇次郎も「トイレかよ!?」ってツッコミたかったかもしれない。
 便器こわしたら、さすがの勇次郎も水のしたたるイイ男になっちまうだろうな。
「あァ〜れェ〜」と、おどけて見せているのは着替えタイムを要求する前フリかも。

 前回、国電パンチにも負けない、SLパンチを刃牙が撃つかも、と書いた。
 すると殺虫パンチで返り討ちにあうだろうと言われました。
 ッッ!? ……たしかにッ!
 素手でゴキブリを殴り殺す狂気(衛生的な面で)の必殺技『殺虫パンチ』は、ゴキブリダッシュにとって最大の天敵かも。
 やはり、刃牙は勇次郎に勝てないのか。

 そもそも、服装のマナーで「ちゃんと教えられたことなかったし」って言い返した時点で負けていたかも。
「じゃあ、死ねって教えられたら死ぬのか」と言い返されなくてよかった。
「墨汁を飲めって言われたら飲むのか?」
「上半身はジャケット着用だけど、下半身は丸出しにしろ。で、チ○コにネクタイを結ぶのがマナーって言われたらやるのか?」
 などと、ネチネチと言われそうだ。

 そして、最終的に
「松本梢江と結婚しろと言われたら、結婚するのか!?」
「いや、チョットそれは考えさせて」
 元ネタ的に、結婚するといって逆転しなきゃいけないところをスルーしちゃうのが刃牙だ。

 勇次郎もそうだけど、梢江のことをどうするんだろうか。
 昔、当サイトの掲示板で最終回予想をした時に、こんなネタが出てきた。
 ついに刃牙は勇次郎を倒した。だが、敵が居なくなったことは刃牙に虚しさを与える。
 そして、刃牙はある決意をかためた。
「梢江、俺の子を生め!」
 最強のライバルがいないのなら、つくれば良い。
 範馬の修羅道は輪廻していく……

 最近の刃牙はやる気がなくなっている感じなので、ここまで積極的に戦わないでしょうが、昔ならあり得たネタだ。
 今の刃牙はゾウみたいなものだ。
 最強の巨体をもっているけど、草食だから獲物を襲って食べたりしない。
 まことに厄介な生物です。

 そりゃ、勇次郎も刃牙に本気だしてくれと哀願するようにもなるよ。
 刃牙は能力を引き籠らせている。
 なんか妙なところで現代っ子だよな。


2011年7月7日(32号)
第3部 第259話 都市伝説 (915回)

 刃牙と勇次郎の激闘で便器大爆発だ!
 男子便所はしばらく再起不能だな。
 世間に迷惑をかけまくるあたりが範馬一族らしい。
 やっぱ、最終目標は瓦礫と化したホテル跡地で夕日を背に殴りあうことだろう。
 さっき日が暮れたばかりだから、あと20時間ぐらい殴りあう必要があるけど。

 刃牙の新必殺技であるゴキブリタックルは時速270kmだ。
 だいたい新幹線ぐらい。
 でも、勇次郎に止められてしまった。
 さすが範馬勇次郎といったところだ。

 しかし、刃牙は勇次郎を後退させてトイレをブチ破ることに成功している。
 つまり勇次郎に押し勝ったのだ。
 相撲で勝負を挑んでいたら勝てていたかもしれない。
 ゴキブリダッシュは静止した状態からでも最高速度が出せる。
 まさにゴキブリのように厄介な技だ。

「多くの競技者 武術家が」
「この脱力という難行を試みるも」
「液体レベルにすらも到達できぬのが実状………」
「その技術……」
「どこで憶えた…」
「誰に習った……」
「師は………?」


 勇次郎が刃牙をベタ誉めだ。
 究極の脱力から出す攻撃は『攻めの消力(シャオリー)』と呼ばれている。(バキ26巻 232話
 中国武術の最大奥義だ。
 刃牙の脱力は『攻めの消力(シャオリー)』に匹敵する。最大奥義を身につけたといってもいい。
 つまり、刃牙は中国四千年に追いついた。

 キッカケや目標はちがったけど、結果的にたどりついたのは同じ技術だ。
 刃牙は知らないうちに『消力(シャオリー)』を身につけていたんですね。
 合気道の塩田剛三先生が金魚の動きに学んだように、柳生宗冬がボウフラの動きに学んだように、動物の動きは技のヒントになるのかもしれない。
 ゴキブリの中身が液体ってのは かなりの間違いだけど、結果オーライだ。

 刃牙は脱力による、『速さの消力(シャオリー)』を会得したのかも。
 我が子が武術・スポーツの最高峰である技術をマスターしたので勇次郎はご機嫌だ。
 師匠はだれだと、質問しまくっている。
 刃牙は答えにくいだろうな。
「師匠はゴキブリです」だなんて言えない。
 言ったら、また勇次郎がガッカリ表情になってしまう。

 カッコよく返すにはどうしたらイイのか?
「俺にとって、この地球そのものが師ですよ」
 自然愛好家っぽい感じで返せば、好印象だ。
 合成素材よりも天然物を喜ぶ傾向がある。
 大地・自然・天然・森・野生などと言っておけば、エコっぽい感じで最強そうに見えるだろう。

 自慢しつつ、相手もほめる。
「独りで考えぬいたんだよ。毎日、毎晩、寝ている時も夢の中で考えた。アンタに、追いつくためッ!」
 ダメだ。刃牙っぽくない。刃牙はもっとダメな方向に育っている子だよ。
 あんまり熱血とかスポ根じゃないのが刃牙なんだよな。

 ごまかす。
「え、まあ、タマタマちょっと家に師匠がいたんで…」
「だから師ってだれだよ」
「……ゴキブリ
「えっ、だれだって?」
「…………ゴキ
「えっ、聞こえないよ」
「ゴーキ……。渋川剛気さんです」
 あの人なら、もしかしたらできるかもしれない。と、納得する。

 勇次郎は自分の腰にしがみつく刃牙を上から抱えた。
 そして、そのままブリッジのするように、後方へ投げすてる!
 頭が自分のカカトにつくような、反り具合だ。
 いや、頭というより鼻がカカトにつく。いやいや、アゴだってつきそうだ。
 とにかく、スゴい柔軟性をもっている。

 刃牙は勇次郎の背後にあった壁を破って、どこかに飛んでいった。
 男子トイレの横には女子トイレがある。
 これが『To LOVEる』だと、間違いなく女子トイレに飛びこんで女子の股間に顔面で着地しているところだ。
 梢江ちゃんの股間に着地しても、あまり嬉しくないので普通の部屋であってほしい。

 壁のむこうに消えた刃牙を勇次郎は追う。
 ここでイキナリ都市伝説の話が語られる。
 徳川埋蔵金などの話もあるが、最近の流行は『最強親子伝説』だそうだ。

 ルール無用の地下闘技場チャンピオンが17歳の少年で、その父親はもっと強い。
 で、その親子がさいきん険悪だ。

 都市伝説の刃牙や勇次郎が、ニセモノっぽくてちょっと面白い。
 なんで勇次郎はフンドシなんだか。
 ピクルと混ざってしまったのかも。
 刃牙の年齢がまだ17歳なので、1年前にはやって情報更新されていない都市伝説ですね。

 つーか、なんでこのタイミングで都市伝説をはさんで範馬親子をおさらいするんだろう。
 噂ってのはイマイチ当てにならないってことなのか?
 突如はじまった都市伝説のナレーションは私たちをどこへ運んでいくのだろう。
 早く喧嘩が再開しないと、勇次郎が刃牙を見失っちゃうぞ。
 次回につづく。
 ……次回はどこに つづくんだろう。


 けっきょく前回の「あァ〜れェ〜♥(はぁと)は何だったんだろうか。
 あァ〜れェ〜は無かったコトに……
 勇次郎が刃牙の脱力をベタ誉めして師匠に話題をふったのは、偽装工作だったりして。

 もしかすると、また時間がすこし巻きもどって違う世界線につながったのかもしれない。
 範馬の筋肉はとうとう時間すら曲げるようになってきたのか。
 ムエタイを曲げ、時間を曲げた。
 勇次郎がいきなり消えたり現れたりするのは、時間を操作しているのかもしれない。
 または、空間を曲げている。

 それはさておき、急に都市伝説の話になった。
 積極的な刃牙とフンドシな父が戦う『範馬刃牙 SON OF OGRE 鬼王神話 外伝』みたいなアナザーストーリーになったりして。
 原作だと扱いが最悪のカニ座じゃなくて、加藤もカッコよくて強くて活躍しちゃうような感じのやつ。

 まあ、加藤のことは割りとどーでもいい。
 刃牙の都市伝説のほうが問題だ。
 都市伝説っていたら、刃牙こそが都市伝説の宝庫でしょ。

・ 首に視神経が通っている
 鎬昂昇が見せてくれた紐切りのわざだ。
 「自分で耳にピアスの穴をあけたら、穴から白い紐がでてきて引っ張って切ったら目が見えなくなった」という都市伝説と、目に効くツボのうちで痛そうな場所、という二つを合わせて作ったアイデアだそうです。

・ カーナビが狂う時は、勇次郎たちが動いた時
 目的地ですと音声がでてからが、真の迷子だ。って感じでたまにカーナビは役に立たなくなる。
 もっともGPSは米国の衛星を利用していて、軍事的理由から精度が落とされている時期があった。
 それで勇次郎伝説が生まれたのかもしれない。

・ 塩漬けにすれば原始人もよみがえる
 微生物と人間を一緒にしちゃダメって話ですよ。

・ 妄想で関節増やして、同時加速したら音速を超える
 さすがに音速は無い。音速に腕が耐えられず、ちぎれます。
 実際に克己が腕の肉を全部ちぎり飛ばしちゃったのはリアルな描写なのかもしれない。

 刃牙発の都市伝説はけっこうあるんだから、紹介しておけばよかったのに。
 あ、あとアレだ。
 ムエタイは噛ませ犬。
 あまりに弄りすぎて、ムエタイが強いからそれを一発で倒す新キャラがスゲーという図式がなりたたなくなりつつある。
 私もムエタイ弄りすぎていました。ちょっと反省。

追記 (11/7/13)
 いきなり都市伝説!?
 勇次郎の息子自慢とかは、勇次郎の敗北因子として重要な要素だった。
 だが、都市伝説になんか意味があるんだろうか?
 板垣先生が予想外の面白いことを思いついちゃったのかも。
 思いついちゃったら塩漬けの原始人をだしちゃうのが板垣先生だから、しかたがないか。

 都市伝説は、現在の刃牙と勇次郎の姿を客観的に見るための物なのだろうか?
 歴史なんかだと複数の資料を突合せ多角的に見ると、新たな事実が見えてきたりする。
 たとえば『銀英伝』みたいに、そういった擬似的な歴史検証をやって見たいのだろうか。
 いや、無いな。

 都市伝説上の勇次郎は背中に鬼の入墨をしているフンドシ男という怪物だ。
 雷にうたれて鬼骨が透けて見えたニュースとか、単品で伝説ができるレベルだけど、あれは採用されなかったのか。
 勇次郎の知り合いなら、あのニュース見てタフマン吹くこと間違いなしなのに。
 ちなみに、タフマンはチャンピオンで連載していた水島新司『虹を呼ぶ男』のネタです。主人公がヤクルトの選手だから活躍するたびにタフマンが背景に出てくる怪作だった。

 刃牙世界の都市伝説だと、首相がコロコロ変わるのは勇次郎のせいと言われていそうだ。
 そんな感じで勇次郎最強伝説を振り返るのだろうか?
 だとしたら、それはそれで面白い企画になりそう。
 話は進まないけど。

 肝心の親子喧嘩は進展するのだろうか?
 光速で動くと時間がゆっくりながれる。(参考:時間の遅れ - Wikipedia
 刃牙と勇次郎の戦いは速すぎて、だんだん時間が遅くなってきているのかもしれない。
 スポーツ漫画ではのこり5分になってからが長かったりするのは常識だし。


・ おまけ
 ちょっとネタにしましたが、聖闘士星矢のダメ黄金聖闘士デスマスクと違い、星矢LCのカニ座マニゴルドは強くてカッコイイんですよ。(参考:マニゴルドとは
 カニ座で星矢にトラウマ抱えている人ほど見てほしい。
 私は乙女座なんで、なんていうか勝者の余裕があるんで、上から目線になっちゃいますけど。
 ところが、OVAのマニゴルドはなんか悪人面だ。
 この絵を描いた人って、牡牛座なんだろうか?

聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話<第2章> Vol.2 [DVD]


2011年7月14日(33号)
第3部 第260話 壁の先 (916回)

 地上最強の生物・範馬勇次郎とその子・範馬刃牙が戦う。
 というか、現在進行形で戦っているハズだが……
 事態が急変した。

 範馬親子は表の戦いにあまり姿を現さない。
 刃牙が神心会のオープントーナメントに参加して優勝したのは珍しい例だ。
 通っている高校までバレて有名になりかけたけど、無名を維持できたのは徳川さんのお陰なんだろうか?
 まるで、テレビ取材お断りの名ラーメン店みたいな知名度だ。

 だが、範馬親子は最強の男として都市伝説になっているらしい。
 それどころか、そろそろ喧嘩をするらしいと言う最新情報もつたわっている。
 世界的に有名になったピクルと関わったせいで、刃牙の知名度も上がったのかもしれない。
 路上でピクルを蹴った姿が大勢に目撃されていたし。

 今回は男子の あるある話から物語がはじまる。
 アニメ・グラップラー刃牙の冒頭ナレーション『男と生まれたからには誰でも一生のうち一度は夢見る「地上最強の男」「グラップラー」とは「地上最強の男」をめざす格闘士のことである!』アニメ1話
 そう、けっこう多くの男子は最強を夢見つつ、現実にぶつかって挫折していく。

 なんて話がリアルエピソードとしてながれる。
 ここはツッコミどころが少ないんで各自で読んでください。
 人によっては、自分の過去を思いだして布団の中で身もだえしたくなるかもしれない話ですが。
 なにしろ、私ですらが身もだえしたくなって、あまり直視できない話ですから。

『一人の例外がいるという……』

『己が最強であることを知っていた』
『あたかも獅子が誰に知らされるともなく捕食者を自覚するように』
『己の戦力を自覚した』

『"腕っぷし"の持つ可能性を極限にまで体現した男………』


 だれもが壁にブチ当たるなかで、無敗をほこる男がいた。
 範馬勇次郎である。
 猛獣が生まれつき獲物を狩る生活をするように、勇次郎は他人を狩る立場にいた。

 勇次郎は子供のころから最強だ。
 ってのは、さすがに都市伝説だろうな。
 子供じゃ大人に勝てない。
 もっとも、勇次郎は生まれる直前に産婆をくだした。
 そして、生まれた直後に母を屈服させる。(範馬刃牙2巻 勇次郎誕生
 たしかに赤子のころから無敗かもしれない。

 小学生時代の勇次郎とか想像つかないなー
 あの顔でランドセル背負ってるんですよ。
 みんなと一緒にリコーダーを吹いたり、九九を言っていたのだろうか。
 リコーダーを吹いたら、風圧で笛が大爆発だ。
「いんいちが、威致(イチ)ッッッ!」 ビリビリビリッ!
「は、範馬くん、もう九九を止めてッッッ!」
 小学生 勇次郎、九九で学級崩壊の巻き。

 勇次郎は、やっぱり小学校制覇していたんだろうか。
 7日で小学校を完全制覇だ。
 1日目で1年生を制覇し、2日目で2年生……、6日目に6年生も支配して、7日目に教師も制覇する。
 きっと給食のメニューすら自在にできる権力があったにちがいない。
 そして、全教科を体育に変更しちゃう。体育算数や体育国語で運動しながら勉強だ。

『この闇情報に』
『青少年達は飛びついた』


 というワケで、勇次郎の存在は都市伝説の本から広まり、けっこう有名になっているらしい。
 まあ、半径100m以内に近づかなければ面白い人だし。
 近いと存在そのものが危険だから恐いけど。
 ネットで噂をするぶんには安全なんだろう。

 勇次郎や刃牙には有名であると言う自覚はないようだ。
 コイツらネットとかやらなさそうだし。
 刃牙もモバゲーになる時代だけど、間違いなく格闘士たちはやったことないだろ。

 さて、やっとココで話がホテルにもどってきた。
 都市伝説が次回につづいたらどうしようかと思ったよ。
 よし、もどってきた。で、刃牙はどこだ?

 勇次郎は外壁にあいた穴から外を見ている。
 あー、そうか刃牙を投げたんだよね。
 イキオイで投げたら外だったので、やりすぎたと後悔していたのかも。
 つまり、地面に潰れたトマトというか、赤い花が咲いているというか、そんな惨状ができあがっていたりして。
 でも、刃牙は落下になれているから大丈夫だ!

『そんな雄(おとこ)でも……………』
『驚愕(おど)ろくことがある…』

「な………」
「なんの騒ぎだ!!?」


 ホテルの外には群衆がいた。
 勇次郎が暴れていると聞いて、多くの人が集まったようだ。
 これには地上最強の生物もビックリしている。
 刃牙を探すことも忘れて、周囲を見回してしまう。
 勇次郎ってドッキリ企画とかはニガテな人なのかも。

 外には空挺団が到着し、人が入らないようにしている。
 だが、群集は圧倒的な人数でホテルに近づこうとしていた。
 市民を避難させたから思うぞんぶん親子喧嘩をしろという徳川さんの構想が崩れている。

 勇次郎は、壁に穴を開けて、そこから顔をだした。
 これはかなりの異常行為だ。
 観客たちは、テッカテカに輝く彼こそが地上最強の生物だと直感する。

「オーガ!?」
「オーガだッッ」
「ホンモノか!!?」
「オーガッッ」

「…………」
「マイッたなこりゃ……」


 鬼の顔にも汗。
 勇次郎すら動揺させる大衆の力なのだろうか。
 それはそうと、刃牙はどうした?
 地面に落ちていたら、観客に注目されているだろうけど。

 自分に逆らうものは赤子であろうと容赦しないと言われる勇次郎である。
 だが、自分に歓声をあびせる人にはどう対応するのだろうか?
 たしかに、これはマイッたなこりゃ……って感じだ。

 地下闘技場で人気選手だった刃牙は歓声になれているだろう。
 むしろ、なれすぎて相手をナメるようになった気もするけど。
 範馬の親子喧嘩は観客を得て、新たな展開に突入するのか?
 次回につづく。


 刃牙の影がものすごい速度でうすくなった。
 前回は都市伝説の主役だったのに、今回は出番すらなかったよ。
 ゴキブリ技の使い手だけに、どこかのスキマに逃げこんだのだろうか?
 集まった観客に気を取られたスキをついて奇襲をしかけるつもりかも。

 それにしても、なんで範馬親子の戦いが世間にバレてしまったのだろう。
 これを知っているのは徳川さんと首相など、ごくわずかなのに。
 ……首相が また思いつきで喋っちゃったのか?

 観客がいるのは刃牙に有利だろう。
 刃牙は戦いながら見るものを魅了するのが得意だ。
 猪狩の愛人だってふりむかせちゃう。
 ……チョット最近の刃牙が戦いで魅了できるのか心配なところですけど。
 なにしろ必殺技がゴキブリダッシュだしな。

 ぎゃくに勇次郎は、恐れられることはあっても、賞賛されることが少なかった。
 声援を力にかえて戦うなんて芸風は勇次郎のものじゃない。
 むしろ圧倒的な暴力で観客をダマらせてこそ範馬勇次郎だ。
 無礼な観客に怒った勇次郎が集団に突っこんで大惨事が起きなければいいが……
 でも、ちょっと期待しちゃう。

 観客出現は勇次郎にとって追加の敗北フラグになるかもしれない。
 なにしろ、あの勇次郎がいきなり汗を流しているんだもんな。
 めったに起きない勇次郎の精神的動揺をつけば、刃牙だって勝利できるかも。
 そのためには、イメージの悪いゴキブリダッシュをやめて、美しい技を用意したほうが良さそうだけど。
 このままだと恐怖のゴキブリ人間という新たな都市伝説が生まれてしまう。

追記 (11/7/20)
 範馬親子の都市伝説は観客動員の伏線だった!
 これは予想外の展開だ。
 観客の有無が勇次郎のメンタルに どう影響するのだろう。

 で、投げっぱなしにされた刃牙はどこに行った。
 すっかりG師匠の本能にめざめて、そのへんのスキマに潜りこんでいるのかも。
 G師匠は人間の視線を感じるらしいし、観客が増えると余計な動きが増えそうだな。
 でも、不可解な動きが勇次郎にとって予想外の動きとなってスキを生みだすかもしれない。

 勇次郎には正攻法じゃ勝てないだろう。
 観客が増えると不確定要素が増えて刃牙の勝率が上がるかも。
 でも、勇次郎も生物憑依してG師匠を狙いにくるかもしれない。
 猫憑依して、目の前をチョロチョロはしる物を叩く姿を見せれば、観客にも大好評となるだろう。

 観客が増えたことで、この勝負は今までとちがう展開になるかもしれない。
 バキ世界では思いこみ……精神力の強さが、しばしば肉体や生物学の限界を突破している。
 個人の精神力が高まれば奇跡を起こすってことだ。
 しかし、観客が増えればユング心理学でいうところの集合的無意識も加わるかもしれない。
 パフォーマンス重視で、より観客の心をつかんだほうの勝ちだ。
 そうなればギャグのレパートリーが多い刃牙のほうが有利だろう。

 しかし、勇次郎がときおり見せる爆発的なギャグは侮れない。
 今夜の天気が雷雨なら、雷直撃でアフロ勇次郎という必殺技が出てくる可能性もある。
 この勝負、よりムチャをしたほうが勝つ!
 ……気がする。


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