今週の範馬刃牙 SON OF OGRE 281話〜290話

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2011年12月22日(4+5号)
第3部 第281話 闘いの聖水 (937回)

 範馬の親子喧嘩が新たな局面(刃牙の失禁)をむかえたころ、花山薫と芝千春は飲んでいた。
 喧嘩の美学をつらぬく花山は他人(ひと)さまン家の親子喧嘩をのぞくような野暮はしたくないのだろう。
 だが、千春はそれでも見たい!という。

 憧れ、尊敬する花山に正面から異議をとなえるのだ。
 柴千春は、おべっか使いでも賛同者でも舎弟でもファンでもない。
 対等な男として花山と付合っているのだろう。
 だから本音を言うし、反対意見も言うのだ。
 さすが、胆力がありますな。

「俺も……」

 って、やっぱり花山も見たかったらしい。
 でも美学ってのは欲望を押さえてこそ光るものだ。
 好きなものを好きなだけ食べるような行為に美学はない。
 というワケで、ガマンしている花山だけど、本当は見たいんだろうな。
 刃牙も喜ぶだろうし、応援に行けばいいのに。

(どうだい みんな…)
(俺の親父 スゲェだろ)
(俺が……)
(範馬刃牙が)
(ションベンもらすほど強ええんだ)


 範馬刃牙、失禁しても誇らしげ。
 圧倒的な自己評価の高さがうかがえる。
 もっとも、実際に刃牙は地上二番目に強い生物といって言いのだろうけど。
 1位と2位の間には失禁するほどの差があるのだ。

 そして、漏らしながらも父親自慢をしている
 確かに範馬勇次郎の腕力は、重機よりも遥かに上っぽい。
 生物の枠を超えて、地上最強の兵器としちゃっても良いんじゃなかろうか?
 戦闘機には届かないから、地上限定だけど。

 父親を尊敬するのは良いが、刃牙はどうやって父を超えるのだろう。
 虎王は勇次郎に決定的なダメージを与える唯一の機会だった。
 同じようなチャンスがまたあると思うなよ。

「うわァ…………」
「失禁してら…」
「きったね…………」


 観客は刃牙の失禁に普通の反応をしていた。
 えッ!? そこは喜ぶところじゃないのか?
 今回のサブタイトル見てみ「闘いの聖水」ですよ。
 最大トーナメント決勝戦で『闘いの聖水を――――』『誰もッッ』『誰もよけることは許されないのですッ』とアナウンサーに言われて、みんなが浴びたり飲んだりした。

 その聖水を汚い、だとッ!?
 いや、一般基準からすれば汚い。
 浴びたくないだろう。
 つくづく、今回の観客は一般人なんだと思い知らされる。
 失禁で喜んでいるの徳川さんと独歩ぐらいじゃないのか?

(手段を選ばず)
(勝ちを拾う)
(泣こうが……)
(漏らそうが…)
(誤魔化そうが……)
(騙そうが…)


 刃牙がついに本気の本気になった。
 カッコ悪くてもイイ。勝つために闘う!
 改めて虎王で折らなかったのが悔やまれる。
 とにかく次のチャンスは逃すな!

 刃牙はハイキックなどで勇次郎を攻める。
 ッッ!
 尿を放出した直後だ。
 おもいっきり蹴ったら、しぶきが飛び散るぞ!
 まさか、尿を武器に使うつもりか?
 これが刃牙のいう手段を選ばない攻撃かも。
 汚いなさすが刃牙きたない。

 だが、刃牙の尿攻撃は届いていない。
 むしろ息子が大好きな勇次郎なら尿すらご褒美・甘露・聖水だろう。
 尿攻撃など効くわけもない。
 で、普通に反撃しちゃう。

「胴回し回転蹴り…に!?」
「胴回し回転蹴りで」
「クロスカウンタ――!!?」


 刃牙の胴回し回転蹴りを同じ技で返した。
 まるで幼年編のころの、親子喧嘩を再現しているようだ。
 刃牙は勇次郎の蹴りを腕でガードしていた。
 幼年編の経験がいきているようだ。

 常に進化する勇次郎は、5年前の動きよりも速い。
 その速くなった攻撃をガードできた刃牙は勇次郎以上に成長している。
 勇次郎をほめつつ、自分も持ちあげる刃牙であった。
 刃牙がだんだん調子にのってきた。

『空手家 愚地独歩は』
『後にこのときの模様をこう語っている』

「オーガのあの姿を見たときには」
「ピンときた……」
「ある種……… 神懸りっていうのかな………」
「息子 刃牙も 気付いたハズさ……」
「嗚呼……………… 成人式が開始(はじ)まるんだ……………と」


 刃牙の成人式って、どういう意味だ?
 また謎の言葉を残して、次回に続いちゃう。
 次回は年明けの1/4なので、謎をのこしたまま年越しですよ。


 成人式ってことは、刃牙を一人前の大人と認める、ってコトだ。
 独歩であれば克巳に館長職を譲ることかもしれない。
 ならば、勇次郎の場合は……
「刃牙よ、今後はオレのかわりに米兵を殴ってくれ」「それ仕事だったの!?」
 ……だったりして。

 アスファルト貫通の衝撃で忘れかけていたけど……
 勇次郎のOKサインはなんだったんだろう。
 けっきょく意味はなかったのかも。
 刃牙の注意を引きつけて、折らせないようにするための、意味ありげな行動だったのかも。

 ならば、成人式も独歩の勘違いという可能性がある。
 次号のチャンピオンは成人式直前に発売されるから、時期があっているだけ、かもしれない。
 成人式帰りで堂々と酒が飲めるようになってはしゃいでいる新成人を巻き込んでの大惨事にならないよう祈っています。


2012年1月4日(6号)
第3部 第282話 佳き夜 (938回)

 刃牙と勇次郎の範馬親子喧嘩もついに本番になってきそうだ。
 親子喧嘩が始まったのが去年の4月28日だから8ヶ月以上もやっている。(30巻 250話
 ついに本気の喧嘩が始まるのだろうか?
 ……そうなると、決着は8ヵ月後ですかね。

 決戦を前にしたためか、ここで回想シーンに突入だ。
 ヤバいッ!
 これは、やっぱり8ヵ月コースの予感がする。

(光………)

(誰だ…… こいつ…?)


 って、小倉ツネさん!?(当時5X歳)
 2巻勇次郎誕生」に登場した産婆さんじゃないですか。
 勇次郎を取り上げた人ね。
 つまり、勇次郎誕生まで話がさかのぼっちゃった。

 ずっと母の胎内にいた赤ちゃんは物を判別できないといわれている。
 目の機能はあるけど、脳での画像データ処理ができていない。
 人の顔を見分けるのには訓練が必要なのだ。
 そもそも、生まれて最初に見た映像に対して「誰だ」「こいつ」は無いだろ。
 大猿を見て「人間じゃねェ」というぐらいに無い。

 いきなり人の判別ができている勇次郎は、目で見ていないのかも。
 なんらかの手段で個人認識をしているのだろう。
 そして、勇次郎は小倉ツネ(5X歳)より強いと確信している
 赤ちゃんだけど超上から目線で命令だ。
 へその緒が取れていない状態で産婆に命令するという超赤ちゃん・後の範馬勇次郎が誕生した瞬間である。

 よく、赤ちゃんに自分の指を握らせることがあるけど、勇次郎に握らせたらボッキボキに折られるんだろうな。
 少し前の「まししの」で主人公が赤ちゃんに乳首をツネられていけど、勇次郎がアレやったら大惨事だ。

 で、とりあえず範馬勇次郎・誕生秘話はこれで終了だ。
 このまま幼稚園編〜小学生編〜中学生編〜ベトナム編と続けば、8ヶ月じゃ済まないところだった。
 話はいきなり現代にもどる。
 話の進みに関しては、綱渡りをしているようなギリギリの攻防だ。

『範馬勇次郎』
『腕力家……』


 地上最強の腕力をもつ男が範馬勇次郎だ。
 ライオン・虎・熊・象など巨大生物だって敵じゃない。
 それらはすでに倒している。
 強さに限らず、評価ってのはやっぱり実戦成績がモノを言う。
 理屈や肩書きは実績の前にかすむ。
 さまざまな生物を実際に屠ってきた範馬勇次郎は地上最強の生物といわれるにふさわしい。

 生物だけじゃなく、地上ならば軍隊ですら倒してきた。
 相手が空さえ飛ばなければ無敵だ。必勝だ。
 などと書くと、「戦闘機くらいは勇次郎なら投石で落とせそうなのが恐い。」とblogにコメントがくるほどに強い。
 圧倒的な信頼感をもたれている。

『海のヤツは!!? 白鯨(マッコウクジラ)とか シャチ(オルカ)とか ジョーズ(ホオジロザメ)とか…』

 って、来たよ。陸海空の、海がきた!
 範馬勇次郎の強さ信仰は陸の範囲を超えはじめている。
 ついに禁断の問いである、範馬勇次郎 vs. 水の生物が提示された。

 常識的に考えて、水中は不利じゃね?
 呼吸できなきゃ戦うどころじゃないし。
 勇次郎は筋肉密度が高すぎて浮かなさそうだ。
 水中戦はニガテだと思う。

 だが、ナレーター(?)の意見としては、水中でも勇次郎の圧勝らしい
 信仰とさえ言えそうな信頼感ですね。
 常識、通用しねーな。
 イメージ映像は水中戦だけど、それでも勇次郎が勝つと想定しているようだ。
 そりゃガンダムも水陸両用モビルスーツに水中で戦って勝利しているンだから、勇次郎だって勝つか。

 思い返せば、勇次郎はバタフライで時速20kmで1時間以上も泳ぐことができる3巻 15話
 人間の領域をはるかに超えた遊泳能力だ。
 水中でもじゅうぶんに戦えるな、こりゃ。

 ところで、勇次郎の対戦相手とされているのは白鯨ジョーズとどちらもフィクション世界の生物だ。
 熊と言わずに赤カブトって感じで。
 ヤツらも普通の個体よりもはるかに強い怪物どもだ。
 もはや幻獣に近い存在の怪物でも勇次郎には勝てないってことなのだろう。
 確かに勇次郎なら仮面ライダーとタイマンはれそうな気がするしな。

(風貌(かお)が)
(優しい…)


 地上最強の生物から地球最強の生物に格上げとなった範馬勇次郎の表情が優しい!
 優しい表情になれていないせいか、ちょっとキモいぞ。不気味だ。
 眉毛の角度が下がり気味で、シワが少ないと優しい表情なんですかね。
 刃牙に見せるとっておきの表情だ。

 表情は優しげだけど、やろうとしていることは厳しい。
 ツンデレというか、デレツンだ。
 まことに面倒なお人です。
 キツいことをやろうとしている時の表情が優しいってのは、やっぱりドSなんだろうか。

「オマエの裡に眠る遺伝子をな……」
「叩き起こす覚悟をした」


 つまり、殺す気で本気の攻撃をする!
 生死ギリギリの状態に追いこみ、刃牙の覚醒をうながす気だ。
 死にそうになったり、仲間が死ぬことでパワーアップするのはよくある現象である。
 勇次郎はそれを意図的に起こす気らしい。

 友人代表としてピクルが狙われなくて良かったな。
 そういう危険があるからオリバは隠れているのだろうけど。
 独歩や徳川さんが顔をさらして見学しているのは、かなり危険な行為だ。
 ピクルは恋人・友人が死亡して覚醒という文化を知らないのだろうから仕方がないんだけど。

 勇次郎は刃牙が覚醒すると信じているのだろう。
 でなきゃ、刃牙の命を賭けることはできない。
 信じていなければ、とりあえず友人や恋人を殺して覚醒するかどうか試す所だろう。
 いきなり刃牙に行くってのは、生半な信頼じゃない。

 刃牙を信頼する勇次郎はいきなり最大の攻撃をだす。
 両腕を天にかかげる構え、背中の鬼が哭いているかのような表情を見せる。
 筋肉を限界までヒネって、最大最速最強の拳とする必殺技、俗称"鬼哭拳"だ!

「な…………哭かせやがったッッ」

「やる気かッッ」
「あれをッ」


 我が身に喰らい、心拍停止に陥った独歩がうめいた。
 その光景を見ていた徳川光成がほえる。
 狙われている刃牙は、さすがに不安な表情だ。

「生きろ……」
「佳(よ)き夜をアリガトウ…………」


 勇次郎は刃牙の覚醒を期待しつつ、振りかぶった。
 上半身が消えて見えるほどの超高速運動は健在だ。
 まちがいない。本気の攻撃だ。喰らったら死ぬ!

 刃牙を信頼するのはモチロンだが、この瞬間の戦いも重要なのだろう。
 赤子の時から地上最強だった勇次郎は退屈だった。
 だから動物と戦い、戦場に出たのだろう。
 勇次郎にとって刃牙こそが最良の敵だ。
 おもわず全力で味わいたくなるのだろう。

「お父さんを喜ばせなさいッッ」

 勇次郎の鬼哭拳が迫る中で、刃牙は母・江珠の言葉を思いだす。
 これは走馬灯なのか?
 それとも覚醒のきざしなのか?
 刃牙は生きのびてパワーアップできるのか?
 次回へつづく。


 刃牙は烈海王と戦ったときに追いつめられて範馬の血に覚醒した。
 やはり限界まで追いつめられないと目が覚めないのだ。
 そして、目覚めちゃうと性格が悪くなるという副作用がまっている。
 今年の刃牙はイロイロと問題児になりそうだぞ。

 勇次郎は憎くて刃牙を攻撃しているワケじゃない。
 ある意味では愛情たっぷりの攻撃だ。
 刃牙を強くするのは"愛"ってことなんですかね。
 となると、梢江は愛情勝負で敗北したってことになるかも
 刃牙をより強くしたのは勇次郎だった。

 刃牙世界だと童貞をすてると強くなる。
 てっきり、刃牙が「童貞を捨てる=初めて人を殺すこと」のかと思ったんだけど。
 行きずりのムエタイ選手で経験させて度胸をつけさせるとか。
 勇次郎は周囲に迷惑をかけずに刃牙を強くする方法を選んだ。
 偶然なのか、刃牙が重視する絆を尊重した行為なのか?
 これも勇次郎の愛情なのかもしれない。

 刃牙が覚醒するのはイイだろう。
 これで立ち上がれなくて(あえて死ぬとはいわない)、範馬刃牙・完!と、なったら嫌だ。
 しかし、刃牙が覚醒した場合だと、両者の攻防はどうなるのだろう?

 覚醒した刃牙は真・剛体術を撃つかもしれない。
 それとも、真・新コブラツイストだろうか?
 だが、勇次郎は最大の技である鬼哭拳を もう出しちゃった。
 勇次郎は、もう出す技がなさそうだ。

 もしかすると、聞こえてきた江珠の声が答えかもしれない。
「お父さんを喜ばせなさいッッ」
 背中の鬼が笑う活人拳・鬼笑拳の誕生だ!
 打たれるとみんな笑顔になる。刃牙世界じゃなんかバッドエンドっぽい必殺技だったりして。

追記 (12/01/11)
 今日Twitterを見ていたら、板垣先生が相撲観戦していたらしい。
 そして、本日の取り組みで行事が土俵から落ちる事故があったそうだ。
 これは偶然なのか!?
 さすが群衆の中で唯一 野村S代に尿意を伝えられた男だ。

 今回の観戦がいずれ刃牙に活きてくる日もあるだろう。
 とりあえず親子喧嘩と烈のボクシング挑戦が終わってからだろうけど。
 刃牙世界だと大相撲はけっこう強い。
 柔道の復権のほうが先だろうな。
 ムエタイについてはあきらめました。

 さて、刃牙の成人式は命がけの度胸試しだ。
 コードレス・バンジージャンプみたいなものですね。
 生と死の狭間を抜けて新・範馬刃牙になれるのか?

 刃牙も覚醒したら髪の色が変わりそう。
 幼年編のころみたいに赤髪になったりして。
 アニメだと染めていると言いづらいのか、成長した刃牙から勇次郎までそろって赤髪だった。
 オマケに夜叉猿Jr.まで。

 刃牙が赤く覚醒しちゃったら、勇次郎も負けずに覚醒しそうだ。
 赤よりももっとレッドに紅の勇次郎に変身する。
 迫力で押しきれば説得力は後からついてくるってモノだ。

 そして、戦いの余波で行事が土俵から落ちる。
 いや、徳川さんが車の屋根から落ちるのだ。
 大切な人の死で刃牙が覚醒するパターンですね。
 さっそく相撲観戦を活かす展開になるんじゃないかと。


2012年1月12日(7号)
第3部 第283話 血の覚醒 (939回)

 範馬勇次郎が必殺最強の必殺技・鬼哭拳を放つッ!
 悪魔に授かった筋肉でただブン殴るだけ。技とは言えない技だ。
 パワー・スピード・タイミングが最高というだけの単純な一撃ゆえに防御が難しい。
 グーをチョキで破壊するような理不尽な攻撃が刃牙を襲う。

 刃牙はこの一撃にどう対応するのか?
 ガードをかためても貫通しそうだ。
 回避するには攻撃が速すぎる。
 どうやって防御すればいいのだろう。

(お父さんを喜ばせなさい!!!)

 刃牙の脳裏に母・江珠の声がよみがえった。
 これは走馬灯か?
 刃牙に、死に際の集中力を理解させるため勇次郎は拳を撃ちこんだことがある。(G刃牙11巻 98話)
 死を覚悟した刃牙は、この時に走馬灯を見ていた。
 今回も刃牙へのレッスンなのだろうか。

 上半身が透けて見えるほどの高速打撃だ。
 勇次郎の右拳が、来るッ!
 刃牙は両手を前に出して、ガードの構えだ。
 ガードできるのか?

 チュドッ

 打撃がはいったッッッ!
 右手を間にはさんでいるようだ。
 ちょっとはクッションになっているのだろうか。
 ガードした腕が折れる可能性も高いので油断できない。

 刃牙が舞った。
 観客が落下地点から逃げだす余裕が生まれるほどの滞空時間だ。
 犠牲フライになるぐらいの高さまで上がったのかも。

 落下地点にはワゴン車があった。
 ワゴン車がクッションになって、落下ダメージはすこしマシになったようだ。
 勇次郎が気をきかせて、ココを狙って落としたのだろうか。
 この親バカめッ!

 と、思ったら追撃の左ストレートが来たッ!
 重さ2トンぐらいありそうな ワゴン車が横滑りする一撃だ。
 ダメ押しすんのかよ。
 これは刃牙が死んじゃう。
 死ななくても、腹に喰らった衝撃でもれる。液体とか固形とかが。

 刃牙はうつろな目になってヨダレをたらす。
 ガードした右腕は無事みたいだ。
 ならば二撃目を喰らったボディーも大丈夫だろう。
 肋骨が折れてもなんとかなるのが刃牙です。

 だが、ヨダレをたらして気絶から短時間で復活するのは刃牙といえども難しい。
 通常なら、このまま気絶してベッドの上で目覚めるパターンだ。

 これは内部か外部からの刺激がないと目覚めなさそうだろう。
 外部の刺激は、やっぱり勇次郎が起こすか。いや、観客たちの応援かもしれない。。
 内部は直前に思い出した江珠が語りかけてくるという可能性がある。
 なにしろ、この喧嘩の原因は「勇次郎はなぜ江珠を殺したのか?」という問いだからだ
 江珠の存在は非常に重要である。
 うっかりすると、忘れかけちゃうけど。


『同日……』
『エジプト カイロ「ギザのピラミッド」にて……………………』


 だが、話はいきなり飛ぶ。
 舞台も飛んで、エジプトだ。
 地球をほぼ半周しやがったよ。
 なんで、こんなところに来たんだ??

 ここではクリス教授がピラミッドの調査をしている。
 そして、思わぬ大発見だ。
 隠し通路の奥にあったモノとは……

「一見して…不吉なもの……………」
「魔物を描いたものだろうが…」
「気になるのは……」

「何故背中なのだろうね」

 ピラミッドの壁画に描かれていたのは、背中に鬼面をもった人間の姿だった!?
 な、なんじゃこりゃ〜〜〜ッッッ!
 範馬一族のルーツはエジプトにあったのか?
 もう、ワケわからん。
 壮大なスケールすぎて笑うしかない。

 中国四千年に対抗するには、古代エジプトをもってくるしかないんだろうか
 勇次郎は濃い顔つきだと思っていたけど、海外の血が流れていたんですかね。
 まさかピラミッド時代に封印されたミイラが復活したりしないだろうけど。

 あまりに予想外の展開がおきている。
 そして、刃牙はおきるのだろうか?
 次回につづく。


 エジプトに範馬のルーツがあった!?
 これはもうムチャクチャだよ。
 昔はほとんど人力で建築していたのだから、超筋力の持ち主はピラミッドの建築現場じゃスーパースターだったんだろうな。
 生き神として信仰の対象になりそうなレベルの人気にちがいない。

 ピラミッドを作ったハンマ一族は強いモノを求めて、日の昇る方角へと旅立ったのかも。
 海に阻まれて執着地点となったのが日本だった。
 それがハンマの祖先なんだろうか。

 範馬一族がアフリカ大陸出身という仮説には一理ある。
『アフリカ出身者のグループは他に比べてミトコンドリアDNAの突然変異が多い』われら以外の人類
 人類発祥の地であるアフリカはスタートが早かったぶん、突然変異の回数も多いのだ。
 突然変異で妙なのが生まれる確率も高い。

 母系に伝わるミトコンドリアDNAの研究では現人類=ホモ・サピエンスと頑丈型人類のネアンデルタール人に混血はないと言われていた。
 だが、DNAの解析により中東あたりで混血した可能性があるという研究が発表されている。(ヒトの進化 七〇〇万年史
 つまり、父がネアンデルタール人で母がホモ・サピエンスという組み合わせが あったらしい。
 ネアンデルタール人にレイプされたんじゃないかという想像が浮かびますが、それは置いとく。

 ハンマ一族はアフリカを出る時に、ネアンデルタール人の遺伝子もゲットしたかもしれない。
 原初の地で生まれた突然変異が、頑丈型の血を受け継ぎ、さらにパワーアップする展開だ。
 もっとも、最初の突然変異で鬼の背中が覚醒しているのなら、すでに完成形なのかもしれないけど。

 さらに、東へ。
 頭ジラミの研究によると、現代人に寄生するには大きく分けて二系統があることがわかった。一つは世界中のどこにでもいる系統で、もう一つは米国人にしか見つからない系統だった。
 これはアジアにいた原人(ホモ・エレクトス)が、後からやってきた現生人類(ホモ・サピエンス)にシラミをうつした可能性を示している。
 もしかしたら、原人が現生人類と格闘した際にシラミがうつったのかもしれない。(「PLoS Biology Vol.2 Issue.11」人類進化の700万年より孫引き)

 米国人にだけ別シラミがあって、中国人に無いのは筋が通らないぞ。
 でも、原人と格闘したという仮説は面白い。
 ちなみに、ホモ・エレクトス(北京原人)と混血はしていないというのが現在の定説です。
 アジアにやってきた範馬一族なら、ホモ・エレクトスと戦っただろう。
 でも、ピラミッド建築にかかわっているのなら、時期が合いませんね。大昔にホモ・エレクトスは滅んでいる。

 とにかく、人類発祥の地で最後に生まれた突然変異な亜人類が範馬一族という可能性はある。
 なにしろ筋肉のつき方がちがう。
 やっぱり これは突然変異だ。
 雷に打たれたときの勇次郎がみせた骨格も普通の人間と違っていた。(26巻 211話
 範馬一族はピクル直系の鬼人種なのかもしれない。

 刃牙が気絶しているスキに、古代エジプト回想編が始まるのだろうか?
 ピラミッドを試し割りするようなムチャをやらかしそうだよな。
 相変わらず先の展開がまったく読めない刃牙であった。
 しかし、鬼壁画のインパクトが強すぎて、刃牙が気絶していることを忘れちゃいそうだ。
 むしろ忘れちゃったほうがイイんだろうか?

追記 (12/01/18)
 ピラミッドに潜む巨凶・範馬の背中!
 かなりワケわからん展開になってきた。
 範馬の血筋はピラミッドにかかわっているのだろうか?

・ ハンマが一晩でやってくれました
 一般的な地球人をはるかに上回る異星人チックな筋力でピラミッドを独力建築しちゃうとか。
 でも範馬の一族は創造よりも破壊のほうが似合っているよな。
 むしろ、ハンマがピラミッドを破壊しないように魔よけで描かれていたのかも。

・ 魔よけ
 こっちのほうが似合っている。
 ハンマ一族がかかわっているピラミッドに手を出すのは怖いよな。
 唐太宗・李世民の最強配下といわれる秦叔宝尉遅敬徳門神として魔よけにされた。
 強すぎる人間を用心棒にするのは、よくあるコトかもしれない。

 範馬一族なら、もはや信仰の対象なのかも。
 アヌビス神とかと同じ感覚で描かれているのかもしれない。
 つまり、範馬一族の神格化は4000年前に通過している!
 鬼を超えて神になっちゃたんでしょうか?

・ 怪物
 ピラミッドは墓だ。公共事業として作ったという説もありますが、目的は墓だ。
 墓に怪物を入れるって発想は無いだろう。
 古代エジプト人は死後の人生を信じていた。死後に目覚めたら怪物と添い寝ってのは精神的に良くないだろう。たとえ死後であっても。
 死者が眠る場所と範馬の食い合わせは良くないだろうな。

 けっきょく、予想がつきません。
 予想が立たないのが予想ってヤツだ。
 刃牙を読むのはバーリ・トゥード(なんでもあり)で戦う覚悟をする必要がある。
 打撃も関節もマスターした! と思っていると爆破が来る、ぐらいバーリ・トゥードだ。


2012年1月19日(8号)
第3部 第284話 父、そして… (940回)

 範馬勇次郎は地上最強の生物と呼ばれている
 最近は水と空にも進出したのか、地球最強の生物と言われるようになっているけど。
 範馬勇次郎の強さは筋力の強さにある。
 たぶん地球最大の力持ちだ。
 ゾウや鯨を持ちあげて投げ飛ばすコトだってできるだろう。

 範馬勇次郎の背中の筋肉は鬼の顔に似た形状をしている。
 これは先天的な畸形と、闘争の積み重ねで打撃に必要な筋肉だけが鍛えられた結果らしい。
 バーベルトレーニングはわりと近代的な訓練だ。
 なので、素質ある人間が古代にいたら、闘争の積み重ねで鬼の形相が背に浮かぶかもしれない。

 そして、クリス教授はピラミッド内で鬼の背中をもつ人間の壁画を発見した!
 先祖か!? 範馬一族の先祖なの!?
 エジプトから強いものを求めて日本まできちゃったんだろうか?

「何故 背中だけが悪魔の貌に…………」

「これは教授」
「宗教画の一種では…」


 残念ながらクリス教授は勇次郎のことを知らないので壁画の意味がわからない。
 まさか、こんな人間がいるなんて想像つかないだろう。
 でも、エジプトの神様は頭がジャッカルだったり猫だったりする。
 だったら、背中が悪魔でもOKなんじゃね? と素人ながらに思うのだった。

 そんな教授に助手(?)は「宗教画」じゃね?と言う。
 教授はガン無視だ。
 ピラミッドは王族の墓なんだから、基本的に壁画や副葬品は ぜんぶ宗教関係なのだろう。
 わかりきったことをクチにだすな、ボケ!ってコトなんだろうか。
 大猿を見て「人間じゃねぇ」と言うぐらい愚かな発言だった

 教授はもう一つの壁画がとなりに並んでいることに気がつく。
 同じく背中に悪魔を宿した人間だ。

「しかし……」
「背景が異なってます」

「武器だ………」
「大小さまざまな先端」
「彼に向けられた武器だ」


 二つ目の壁画には集中線のような線が入っている。
 教授の見解だと、それは武器だ。
 鬼背中の人物に数百の武器が向けられている。
 古代エジプト人は範馬一族への対策を強いられているんだ!(集中線)

 本当にコレが範馬一族だったら、剣や槍で勝てるとも思えないんですが。
 現代だと、銃や戦車でさえ勝てないんだから。
 せめて壁画の上ぐらいは封じたいというコトなんだろうか?
 どちらにしても、これだけの武器を用意しないと対抗できない悪魔の背中おそるべし。
 クリス教授はとりあえず、そう言うのだった。


 現代の魔神・範馬勇次郎は息子の刃牙を全力で殴っている。
 壁をブチ抜き、100人の人間に押しかてる筋力で殴った。
 刃牙が背にしているワゴン車が衝撃で破壊されていく。

 とうぜん刃牙は車以上に衝撃を受けているハズだ。
 このままでは刃牙が破壊されてしまう!
 衝撃で、中身が出ちゃうかも!

 チョロ…


 って、液体のほうが出た!
 尿だ。尿がでたぞ!
 ついさっき(280話)漏らしたばかりなのに、まだ出るのかよ。
 ええい、刃牙の膀胱は四次元ポケットか!

 刃牙が尿を絞りだしても、勇次郎の猛攻は止まらない。
 一撃必殺の拳だから、本当なら二打目は不要なはずだ。
 でも、勇次郎は連打で刃牙を攻めたてる。
 刃牙を覚醒させるため、死ぬ寸前まで追い詰めるハズだった。
 コレはいくらなんでも厳しすぎる。
 連打している分だけ手加減しているのだろうか?

『人間を標的に打撃を撃ち込み――――――――』
『大型ワゴン車もろともクラッシュさせる破壊力』
『刃牙は今更ながら気付かされていた』
『そう……』
『俺が今 闘っているのは』
『国家も畏怖(おそ)れる超暴力』
『俺の全てを出し切ったって…』
(勝てるワケはない)


 脳内麻薬エンドルフィンが放出されるイメージが出つつ、刃牙は服がやぶけて上半身裸になる。
 本来ならコレは覚醒するパターンだ。
 だが、刃牙の心は折れてしまったらしい。
 負けを認めないうちは負けじゃない、のが刃牙世界のオキテだ。

「真の敗北というのは」「心が折れることを言うのだ」G刃牙13巻 109話)

 勝てないと思った時が敗北だ。
 心が折れない限り、挑戦し続ける限り、舞い僕はないッッ!
 だが、刃牙は今、勇次郎に敗北した。

 しかし、闘争(たたか)いは終わっていない。
 かつてガイアと闘った時も、心が折れたが復活したことがある。G刃牙17巻 147話)
 刃牙には、まだチャンスがあるハズだ。

 そして、何者かがやってきた。
 発達した筋肉と長髪の人物だ。
 最大の特徴は、透けている!
 って、コレは幽霊か!?
 ピラミッドで封印が解けで範馬の悪霊が解き放たれちゃったのかも。

 この半透明の人物は刃牙に立ち上がる力をさずけてくれるのか?
 そして、コレも勇次郎の計算どおりだったりして。
 ピラミッドの壁画にはどんな意味があるのか?
 次回につづく。


 いっぽう、親子喧嘩を見守る徳川さんたちにも動きがあった。

「誰……? オマエ カンザキは?

「イヤ…」
「ちょっと交替を………」


 274話で神崎首相がなにやら指示をだしていたが、親子ゲンカ中に首相交替かッ!?
 すでに275話感想のコメントで、首相が交替しているとの指摘もありました。
 神崎首相は地震対策で官邸にもどり、かわりに人を置いていったのかも知れません。
 範馬親子のケンカを見届けた功績で、彼が党代表になるのかも。
 なぜなら範馬は奇跡をよぶのだから。幽霊(?)もよんだ!


 刃牙のそばに現れた半透明な人と、ピラミッドで発見された壁画に関連があるのだろうか?
 筋肉至上主義の世界なのに幽霊がでてくるとは思わなかったよ。
 もっとも、幽霊もマッチョなんだけど。
 筋肉がないと幽霊にもなれないのか?

 古代では、征服者は神も統合して支配地域の神を自分たちの神に統合することが多い。
 だが、古代エジプト人は各地の神を統合せずに受け入れた。
 なのでエジプトの神は数が多く、矛盾した存在も多い。(古代エジプト
 そういう雑多な宗教観をもっているから、範馬ですら神として受け入れたのだろうか。

 壁画が二つあるのも興味深い。
 一つには武器を突きつけている。もう一つの方は束縛していない。
 古代エジプト人と敵対する範馬と、友好的な範馬がいたのだろうか?
 白範馬と黒範馬の闘争がピラミッド時代から続いていたりして。
 もともと、ハンマーという名前だったのが日本にきて範馬と当て字をしたという展開だったりしそう。

 頑丈な刃牙がこれほど死にそうになるのは珍しい展開だ。
 だが、上半身裸になったので、鬼の背中を出すチャンスでもある
 失禁とエンドルフィン効果も加わり、刃牙オリジナルの背中になるかもしれない。
 一度折れた心はふたたび甦るのか?
 刃牙の正念場だ。

 今週のチャンピオンの裏表紙はスパイダーウェブ製作の範馬勇次郎フィギュアの広告だ。
 かなり人間を捨てた感じの形相で、オマケにテッカテカですよ。
 刃牙は、こんなんに勝てるんだろうか。いや、無理だ。
 だが、待ってほしい。刃牙も幽霊に憑依されて自分の尿を浴びたら、テッカテカになるかもしれない。
 両者テラテラに、光り輝く親子対決が実現するかも。
 ハンマー一族は、軍神ガイアにもっと輝くことを強いられているんだ!(集中線)

追記 (12/01/25)
 心の折れた刃牙のところにやってきた半透明人の正体は誰だ!?
 いや、もしかしたら勇次郎への客かも知れませんが。
 最近の勇次郎は高速で動きすぎて半透明になっていることが多かった。
 おなじ仲間だと思って半透明人がやってきたという可能性もある。


 掲示板とblogコメントでいくつかの意見をいただきました。

『でもジョン・L・サリバンの幽霊?が応援に来たアイアン・マイケルはその試合で負けましたよね?
 そう言えば理想の自分が応援に来た烈先生も脚を・・・』

『ついに世界中にばらまかれた俺の子孫3が現れた
 「君はまだ覚醒していないんだねベイビー ねダディ」』

『アイアンマイケルVS柴千春戦にもゆーれい出てましたね』

『最後のページで背中に鬼出てるねバキさん』

『烈さんがピクルと戦ってる時に見たのも幽霊のようななにかでしたね』

『とらさんスルーしてるけどバキの背中に鬼出てるよね?
 こっそり20倍界王拳なうだったフリーザ戦のゴクウを思い出す』

『というかリアルシャドーが幽霊みたいなもnうわなにをするやめ』

『幽霊って、お母さんじゃないのかなぁ。筋骨隆々には見えないけど』


 サリバンと理想の烈海王が幽霊のように出てきたことを失念していました。
 なんか半透明な人から応援されても勝てないもんなんですね。

 ただ、アイアン・マイケルと烈の場合は、妄想というか脳内イメージがリアルに見えちゃっただけという解釈がなりたつ。
 トレーナーと一緒に集団幻覚を見ちゃった。
 これも一種の、リアルシャドーですね。

 理由の一つとして、実際のジョン・L・サリバンは人種差別者だったという話がある。
 黒人ボクサーとの対戦を避けていたサリバンがアイアン・マイケルを応援するだろうか?(参考:カラーライン
 あのサリバンはアイアン・マイケルたちが思い描いていた理想の初代ヘビー級ボクサーの姿だったのかもしれない。

 もし、やってきた半透明な人が古代エジプト範馬なら、事情がちがってくる。
 サリバンや理想の烈海王とちがい、刃牙は古代エジプト範馬を知らない。
 本人の知らない情報を得たとすると、それは本当にオカルトの世界だ。
 もっとも、範馬一族に口伝として伝わった話で、勇次郎が幼年時の刃牙に話していたというオチかもしれないが。

 あと、刃牙の背中が鬼だった件について。
 最近、シャツ着て戦っていたのでワカらなかったが、筋肉の形が鬼で固定化しているようだ。
 もっとも腕をあげてリキんだ時が鬼の完成系である。
 刃牙の本気は、まだこれからだ!

 ところで、鬼背中の構えって、武術の基本から外れている。
 構えってのは、「ワキをしめる」ってのが基本だ。
 武術だけじゃなくて、カメラでもそう。
 鬼背中の構えは常識から大きく外れた構えってコトなんだろうか。


2012年1月26日(9号)
第3部 第285話 息子、父、そして… (941回)

 範馬勇次郎は自他共に認める地上最強の生物だ。
 巨凶範馬の血が強さの秘密らしい勇次郎本人によれば。
 だが、範馬の血筋がどんなモンなのか、いまだに検証されていない。
 刃牙とジャックを見れば充分すぎるほど強いのはワカりますが、それ以外はどうなのだろう。
 そして先祖は?

 エジプトで発見された壁画が範馬の血を証明するのだろうか?
 5000年前からつづく最強筋肉をもった巨凶なる一族の伝説だ。
 軍隊に匹敵するほどの筋肉といわれる存在が今まで闇に埋もれていたってのもアヤシイけど。
 巨凶・範馬でも勇次郎みたいな怪物はレアな存在なのかも

 範馬のルーツは置いといて、前回のおさらいだ。
 また、時間が巻きもどった。
 いかん、進行ペースが遅くなっている。
 古代エジプトに回想する前触れだろうか?

(出てるンだろうな…)
(脳内麻薬………?)

(出現(でて)るんだろうな……)
(小っちゃい鬼………)

(出せるものはすべて出た…………… 小便まで)

(もう十分だ)


 脳内麻薬も 背中の鬼も 尿も、すべて出した。
 ――――いや、まだ大便があるッ!
 それ、出しちゃダメか。
 とにかく刃牙はやりきった気分でいる。

 背中の鬼がいつから出ていたのかワカらない。
 だが、脳内麻薬は殴られてから出た。
 攻撃に利用していないぞ。まだ、やりきってない。
 刃牙め、出し惜しみをしやがって。

 勇次郎の必殺打撃である鬼哭拳を喰らっても刃牙は生きている。独歩は死んだのに。
 さらに、刃牙は意識を保っている。
 脳内麻薬と鬼背中の効果だろうか。
 このタフネスだけでも充分評価に値する。

 まだ、勇次郎に届いていないが、可能性を感じさせる状態だ。
 勇次郎最大の攻撃を受けても、しゃべることができる。
 ここは「勇次郎にこれ以上の滅技(わざ)はない!」「もはや恐るべきものはない」と言い切っちゃえ。
 覚悟完了だ!

 刃牙に足りないのは、自信かもしれない。
 普段はけっこう上から目線で自惚れ気味なのになぁ。
 それだけ勇次郎のことを尊敬して、認めているってことだろうか?
 勇次郎には勝てないと思い込んじゃっているのかも。

「続けるか」

 勇次郎はちゃんと刃牙を評価している。
 まきこまれた大型バンが廃車になるような威力の攻撃だった。
 交通事故クラスのダメージだ。
 普通の人間なら問題なく死ねる。なんで、刃牙さんは普通にしゃべっているんだよ。

 刃牙の異常なタフネスに勇次郎は満足している。
 だから、続行と言っているのだ。
 しかし、刃牙は敗北を認めて止める気マンマンです。
 刃牙って本当に天邪鬼だよ。

「誰?」

 と、ここで前回ラストに登場した半透明の人が登場だ!
 こっから本番だよ。前フリ長ッ!
 で、誰だよ、この人はッ!?

 刃牙の背後にいた人物は誰だ?
 勇次郎の髪が逆立つ。
 ピクルが怯えている!
 野生のカンが危険を知らせているようだ。

 勇次郎にもビビらなかったピクルが怯えているだと!?
 あ、でも幽霊が怖いのは強さと関係ないか。
 ケンカに強くても幽霊やホラー映画やゴキブリが嫌いな人だっているだろうし。
 つうか、原始人も原始人の幽霊を見るんだろうか?

「親父…………」

「迷ったか」
「範馬勇一郎ッッッ」

 刃牙の祖父・範馬勇一郎の登場だ!
 たしかに、この顔は範馬系の顔ですよ。
 そして、異常な筋肉量だ。
 なんか背が低く見えてしまうほど横にまで広がる筋肉をゆうしている。
 勇次郎の父というより、勇次郎とオリバの間にできた子供って感じの筋肉だ。

 範馬勇次郎は、なぜ勇"次郎"なのか?
 兄がいるのだろう。いや、父が太郎だ。
 そんな話題がファンの間で囁かれつづけてきた。
 ついに、父として勇一郎が登場したのだ。

 範馬勇一郎。
 個人的には きさまのことは知らん……
 だが 次郎の上にいるべき一郎に対して、あえて言おう
 とうとう会えたな!

「か……」
「肩巾広…ッッ」


 刃牙が筋肉を見ただけで汗を流している。
 ツッコムところが、そこかよ!?
 勇一郎の耳はつぶれており、組技主体の選手であると推測できる。
 組技系の人は相手の体を動かす必要があるので、打撃系よりも筋肉がつきやすい。
 それにしても、すごい筋肉だ。

 勇一郎は全体的に若々しい。
 顔にシワも少ないし。
 半透明だからワカりにくいが、白髪も無いのかも。
 幽霊は年をとらないだろう。
 勇一郎は若くして亡くなったのだろうか?

「フフ……」
「変わらん」

「我が子相手に…」
「手こずる我が子……」

「刃牙ちゃんや………」

「勝てるぜ」
「お前……」

 幽霊が話しかけてきた!
 しかも的確なアドバイスだ。
 勇次郎は圧倒的優勢に闘っている。
 だが、全力を出しても、まだ刃牙を倒せていない。

 刃牙の心は折れる寸前、というか折れていた。
 そこをフォローするのがお祖父ちゃんの役割ですか。
 ただし、幽霊だけど。
 ……本当に幽霊なんだろうか?

「野多よ…」
「見えたか」

「勇次郎の以前(まえ)に」
「米国に勝った男じゃ………ッッ」


 徳川さんにも見えていた!
 範馬勇一郎は、米国に勝った男だ。
 もしかして、近代における腕力家第一号なのか?

 勇次郎の父ってことは、第二次大戦に参加している可能性もある。
 筋肉で米軍を屈服させかけたのだろうか?
 でも、日本は負けているし、別方面で買ったということかも。
 巨凶範馬の血が作った歴史秘話がついに解禁になりそうだ。
 この親子喧嘩、下手したら二代分になるかも。
 次回につづく。


 それこそ都市伝説だった 第一の範馬である勇一郎が登場した。
 勇次郎は打撃系(ストライカー)だ。
 耳のつぶれている勇一郎は組技系(グラップラー)かもしれない。
 ファイトスタイルが違うのなら、やっぱり親子の相克があったんだろうか。

 勇次郎が誕生した時「自動的に一つだけ「強さ」のランクが下がった」と言われていた。(2巻 勇次郎誕生
 これが本当なら、勇次郎は生まれてすぐに勇一郎を超えている。
 だが、勇次郎も父親に勝てない時期があったような雰囲気だ。
 勇次郎は生まれてすぐに地上二番目の生物となり、勇一郎の死で最強の生物となったのだろうか?

 なお、勇次郎誕生では誕生日を「一九五X年四月X日」としている。
 終戦が1945年だから勇一郎んも戦争参加もありうる年齢だ。
 ただ、長期連載作品の常として年代が怪しくなるのは仕方がない。
 刃牙だけが年をとらず、勇次郎だけは年をとっている印象だよな。
 すべてベトナム戦争への参加が元凶なんだけど。アレでカレンダーが固定化されてしまった。

 勇一郎はどう考えても強そうだ。
 筋肉はパワーです。力ですよ。
 マッスルこそ強さの象徴であるこの世界において、あの肉量は強いに決まっている。

 刃牙が驚いていた肩巾(ママ)だが、2011年50号の作者コメントで『書籍「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」148頁、木村の肩幅に驚け!』と言っている。
 勇一郎の体は木村政彦をさらに強化したものかもしれない。
 書籍148頁の写真も、勇一郎と同じような白い半ズボン(海パン?)をはいているし。

 徳川さんを代表とする年配の人は、彼の伝説を知っているのかも。
 若き日の独歩が憧れ、若き日の渋川も恐れた伝説の腕力家だ。
 エジプトの壁画は放置して、範馬勇一郎伝説が9話ぐらい続いたりして。

 すると、勇次郎の子以外にも範馬の血は流れている可能性がある。
 刃牙の叔父や従兄弟が出てくるかも。
 こりゃ、範馬一族の最大トーナメント「H1グランプリ」開催決定か!?

追記 (12/02/01)
 刃牙の祖父・範馬勇一郎が登場だ!
 じゃあ、ひいおじいさんは範馬勇零郎か?(それは無い

 古代エジプトから勇一郎までずいぶん間があいている。
 時間的・空間的な空白は埋まるのだろうか?
 歴史上の無敵武将はみんな範馬一族説とかもできそうだ。

 さて、範馬勇一郎は米国に勝利した男だそうだ。
 やっぱ、勇次郎みたいに腕力で米軍に勝利したってことなんだろうか。
 零戦にしがみついて、敵艦に降下して敵艦を素手で叩き折ったりしたのかも。

 勇次郎はベトナムで米軍を圧倒した。
 それは勇一郎のマネだったのかも。
 刃牙が勇次郎にあこがれているように、勇次郎も父にあこがれているのだろうか。

 幽霊(?)の勇一郎はけっこう若い。
 勇次郎が地上最強の生物と言われていることを考えると、勇次郎が幼いうちに亡くなったのかも。
 両雄並び立たずというコトで、あの二人が近づいたら戦わずにいられないだろう。
 もし、勇次郎と勇一郎が親子ゲンカしたら、日本の本州が真っ二つに割れるような大惨事になりそうだ。
 関東大震災は範馬親子の喧嘩が震源といわれたらダマされそう!
 年代が違いすぎるから、絶対ちがうけどな。
 ……違うよね、長年生きているのに若いままとかってオチはないよな。

 まあ、範馬一族のことだからノリだけでムチャやっちゃうんだろうけど。
 エジプトの壁画もノリでやっちゃったんだろうな。
 シルクロードは中国武術が蹂躙してドラゴンロードと呼ばれたけど、最初は範馬一族が東に向かって進むオーガロードだったのかもしれない。


2012年2月2日(10号)
第3部 第286話 勇一郎 (942回)

 範馬勇次郎は地上最強の生物といわれている。
 ベトナム戦争に参加して、素手で米軍をたたきつぶした。
 一国の軍隊に匹敵する戦闘力を有しているとすら言われている

 その範馬勇次郎の父が範馬勇一郎だ。
 勇次郎以前に米国に勝ったといわれる男である。
 コイツら、二代がかりで米兵を殴ってきて入るのかよ。
 まるで地獄のミサワだ。
 家庭では「勇次郎もつかまり立ちができるようになったし、そろそろ米兵殴らせるかな?」なんて会話がかわされていたのかも。

 さて、米国に勝った男=範馬勇一郎の神話は徳川光成によって語られる。
 徳川さんもイロイロなことを知っている人ですね。
 かなりの資産家だし、軍や政府の情報も把握していたのかもしれない。
 そして、聞き手はなにも知らない政治家の野多であった。
 情報ですでに負けている。いや、勝ち負けじゃないんだけど。

「太平洋戦争 沖縄戦……」
『1945年4月1日 米軍による沖縄上陸開始から』
『9月7日 嘉手納での降伏文書の調印まで』
「この地獄のおよそ半年間を沖縄戦と呼ぶが」

「あの調印9月7日以後も継続(つづ)いていたのじゃ」
「沖縄本島 北東約12キロメートルに位置する」
「周囲1キロメートルにも満たない」
「地図にも載らないようなちっぽけな孤島で」

『延べにして』
『実に1000トンを超える弾薬を使用している』

「帝国陸軍にではない」
「地元民にでもない」
「範馬勇一郎ただ一人に対してじゃ!!!」


 いきなり爆撃伝説がきた!
 たった一人の戦争、ひとりvs.艦隊、爆薬1000トンの標的にされた男
 強烈なキーワードがつぎつぎと思い浮かぶ。
 これが範馬勇一郎か!

 勇一郎は、なんでそんな孤島に籠もったんだろう。
 そして、米軍はそんな島をなんで攻撃したのか?
 勇一郎が島を選んだのは、頑丈な地下設備があって爆撃にも耐えられ食料もあると言う事情からだろう。
 米軍には、徳川埋蔵金が隠されているとかの情報を流して誘ったのかも。

 戦略的な価値のない場所に兵力を向けるのは、それだけで損失になる。
 燃料や人員が無駄になるし、なによりも使ってしまった時間が取りもどせない。
『空間は奪回可能だが、失った時間は永遠に取り返せないからだ』グナイゼナウ 「名将たちの戦争学」より)
 自分の有利な場所に敵軍を誘導する。軍事的にかなり難しい作戦だが、勇一郎は成功させたようだ。
 範馬勇一郎は知略に関しても超一流のようだ。その手法が伝わっていないっぽいのが残念だけど。

 1000トンの爆撃で焦土と化したはずの島に米兵が上陸する。
 もちろん、範馬勇一郎は生きていた。
 いつのまにか背後を取られている!
 その姿は まさに、恐怖! 瞬間移動する松尾象山って感じだ。

「FUUUCK」

『その右手には不自然に首を折り曲げられた』
『最後尾の隊員がブラ下げられていたという』
『カービンが振り向くより速く』
『味方の肉弾を叩きつけられたという』
『その"投げ"の威力は凄まじく』
『一投げで最低3人以上は死傷したという』


 ピクニック気分になっている米兵の背後をとる。
 上半身ハダカで筋肉をアピールだ。このときオプションとして米兵の首根っこを片手でつかんでおく。
 そして、一気に制圧する!
 ファ――――ックな展開だ。

 この展開は、範馬勇次郎がベトナムで見せたものと同一である。G刃牙40巻 347話)
 勇次郎は父・勇一郎の行動をマネていたってことだろうか。
 あの勇次郎も、実はパパ大好きっ子だったようだ。
 過剰で異常な愛情の連鎖がつづいているんですね。

 ただし、戦いかたが勇次郎と勇一郎では違っている。
 勇次郎は打撃中心の戦法だ。
 だが、勇一郎は投げる
 普通の投げは地面にむかって投げるが、勇一郎は人に向けて投げ飛ばす。
 人を投擲兵器に変える投げだ!

 投げかたも普通じゃない。
 相手の重心を崩したりとか、腰のバネをつかってとか、じゃないのだ。
 ただ、腕力で投げる。
 砲丸投げですらもうちょっと全身を使ってんじゃないかというぐらいの勢いだ。
 人間をまるで野球ボールみたいに投げている。

 野球ボールなみの速度で人体の重さがぶつかったら、大惨事だ。
 上陸部隊はたちまち全滅する。
 なんど繰り返しても全滅だ。
 指揮官であるジェームス少将はブチ切れるのだった。

「あの戦艦大和でさえ」
「撃沈までに要した犠牲者は12名だぞ!!!」
「たった1匹のモンキーに何てザマだッッ」

「効率の問題ではない」
「これは 我が誇り高き海兵隊の威信の問題なのだ!!!」

『あろうことかジェームスは最高指揮官マッカーサー元帥に「原子力爆弾」の使用許可を申請したという』


 とうとう核の使用をする気になった。
 さすがの勇一郎も核には勝てなかっただろう。
 しかし、範馬をしとめるには核兵器以上の破壊力が必要とワカった。
 でも、超軍人ガイアは「核をもってしても殺れやせん」と言われている。(G刃牙16巻 135話)
 範馬も核兵器じゃ殺せないのかも。
 もっとも、発言者のSirはけっこうモウロクしているっぽいので信憑性に疑問がありますが。

 さすがに核兵器の使用許可はおりなかった。
 すでに終戦しているのだ。
 って、まだ戦争が続いていたら使っていたのかよ?

 そして、作戦中止を命じられた夜にジェームス少将は死亡する。
 甲板に頭を突き刺して直立した姿だった。
 これ、日本人が発見していたら『犬神家の一族 →』だと大騒ぎですよ。
 って、当時は作品の発表前か。
 むしろ横溝正史が、この死に着想を得たという超展開かもしれない。
  犬神家の一族 デジタル・リマスター版 [DVD]

 この恐るべき連続殺人はいかにして行われたのか?
 いや、投げ殺されたに決まっているし、犯人もバレバレなんですが。
 米軍には名探偵・金田一耕助がいないので、目撃者の証言に頼るしかないのだ。

『この出来事を』
『たった一人だけ目撃していた隊員がいたということじゃ』
『甲板でくつろいでいたところ』
『凄まじい衝撃に襲われたという』
『振り返った隊員は』
『ハッキリと目撃したという』
『今まさに悠々と立ち去ろうとする』
『凶悪極まる「ONI」の姿を…ッッ』


 犯人は鬼<ONI>だ!
 米軍は戦う相手の研究をちゃんとやっていたので、鬼を知っていたようだ。
 そして犯人は鬼だった。
 範馬勇次郎をも上回りそうな強大な筋肉に鬼の面貌(かお)が宿る。
 カニ界で言えばヘイケガニと言われる範馬の人面筋肉に米兵もビビりまくりだろう。

 司令官をたおせば勝ったも同然だ。
 範馬勇一郎はこうして米国に勝ったのだろう。
 これが巨凶・範馬の血なのだ。
 やっぱ、こいつら人間じゃねェ……(注:サルでもありません)
 次回につづく。


 範馬勇一郎と勇次郎は親子だけあって共通点があった。
 米兵をブチのめすのが共通の趣味ですね。
 半透明な範馬勇一郎は、米国に勝利したこの時の姿そのままだ。
 孫の前ではいつだって全盛期ってことなんだろうか?
 見栄はって若作りで登場したのかも。

 これだけ強い勇一郎だって老いるし、いつか死ぬ。
 米国に勝った後の勇一郎はどんな人生を歩んだのだろうか?
 勇次郎との間にも確執がありそうだ。
 それらの謎は次回以後であきらかになるのだろうか?
 勇次郎のベトナム回想みたいに、はずみで9回ぐらい話をつづけそう。

 得意技を再確認すると、勇次郎は打撃で、勇一郎が投げ技だ。
 投打極のバランスを考えると、刃牙は空白の技術である極を選択したほうがイイのかも。
 関節技や絞め技でキメる!
 実際に、グラップラー刃牙のころは関節と絞め技で勝ったことも多い。

 相手と競わず、持ち味をイカせ!
 刃牙は極め技で勇次郎と戦えば勝てるかもしれない。
 そうなると、虎王で躊躇せずに折っておけば良かったんだよな。

 勇一郎、勇次郎に比べると、どうも刃牙はうっかりミスが多そうだ。
 刃牙が三代にわたる米軍に勝利を目指してケンカを売ってもくだらないミズで負けそう。
 米軍が空爆にきたとき、たまたま野ションをしていて尿が止まらず避難できずに爆死とか、そんな感じで。

追記 (12/02/08)
 範馬勇一郎が腕力で米国に勝った!
 そういえば、どうやって船に乗りこんだんだろう。
 危険な島に接舷したとも思えない。
 海を泳いで、角度が90度以上となっている舷側をよじのぼって侵入した。
 う〜む、ドリアンやスペック、あとシコルスキーも涙目だな。

 ところで、刃牙世界は密室殺人が成立しにくい。
「ドアには鍵がかかっていて、一つだけの窓は断崖絶壁に面していて誰も侵入できません」
「あ、じゃあ犯人はシコルスキーだ」
 みたいな感じに力技で困難をクリアする。

「ドアには鍵がかかっていて、一つだけの窓には鉄格子がハマっています」
「あ、じゃあ犯人はスペックだ」

「周囲に高い建物が無いのに落下死しています。これは不可能殺人ですよ」
「犯人は範馬勇一郎で投げ殺したんでしょ」

 さらに範馬勇次郎レベルになると、気がついたら室内にいることが多い。
 こんなヤツが相手じゃ米国大統領だって気をつかって接待軍人ストライダムを派遣するワケだ。
 勇次郎の機嫌をそこねたらトイレの中にまでワープして来かねない怖さがある。

 刃牙が勇次郎や勇一郎の高みに達するには、やっぱり瞬間移動ぐらいできないとダメだろうか?
 あと、名前が二文字ってのも高級感が足りない。
 思いきって刃牙三郎に改名したらどうだろう。
 いや、つけるなら"勇"のほうか。


2012年2月9日(11号)
第3部 第287話 戦艦内 (943回)

 第二次大戦で日本が降伏したあとも たった一人で米国と戦い続けた男が範馬勇一郎だ。
 武器を持たず素手で。銃はおろか剣や棒すらもっていない。
 おまけにパンツ一丁で!
 全裸まであと一枚というギリギリのファッションだ。

 パンイチ魔神・勇一郎は米国艦隊に乗りこみ指揮官ジェームス少将を屠る。
 その背中には発達しすぎた筋肉が形作る鬼<ONI>の面貌があった。
 パンイチ魔神伝説がパンイチ鬼神伝説に変わった瞬間である。

『甲板の厚さが233ミリを誇る(※)旗艦アイオワ』
(※) 旗艦…司令官が乗り、命令を発する艦。)


 そのブ厚い甲板に、ジェームス少将を"犬神家の一族"風に突き立てた。
 日本の伝統芸能"生け花"ならぬ、"生け人"だ。
 爆撃機や戦艦の攻撃を想定してつくられた甲板に穴をあける。
 戦艦の主砲なみの勢いで叩きつけられたってことだよな。
 上空に向けて投げたら数kmぐらい飛ぶんだろうか。飛びそうだよなー

 指揮官が倒されたってことは命令を出す人がいない状態だ。
 あと、責任を取る人もいない。
 トップが倒れると組織は一時的に機能不全となる。
 ボクシングで言えば頭部に強烈な一撃を喰らった状態だ。
 このままだと、ダウンしちゃう。ケンカならここで勝負アリとなる。

『去ったのではない』
『2000名を超える全乗員』
『彼等が甲板に集まるまで』
『身を隠していたのだと』


 だが、相手をダウンさせたぐらいで済ませる勇一郎じゃない。
 頭部への一撃は脳震盪が治まれば立ち上がることができる。
 だから、念のために手足も潰しておこうという思想か?
 指揮権が副将にうつって再起動する前に全てたたいてしまうつもりだ。

 まるで新選組油小路事件みたいだ。
 敵リーダーの遺体をおとりにして、残存勢力も根絶やしにしようとするキッツい作戦である。
 タイプ的には標的を追いかけて倒す犬型ではなく、身を潜めて襲いかかる猫型ですね。

 日本語のオニは「おぬ(隠)」が語源だ。
 漢字の「鬼」は文字を借りただけなんで、背後の文化がちがう。マグロとtuna(ツナ)みたいな物です。
 で、オニってのは隠れているモノのことだ。隠れて、出てくる存在とも言える。
 つまり、姿を隠して後に現れた範馬勇一郎は、まさにオニそのものだ

『乗員の一人ジョン・ヘイズ氏86歳』
『その時の様子をこのように語る』

「いかなる戦力を備えようがだ」
「戦艦には意外な弱点がある」
「それは」
「船である以上――――――――
 内側からの攻撃には極めて脆いという事実だ」


 火薬兵器のなかった時代は敵船に斬りこむ戦術も有効だった。
 船が不得意だったローマ軍は格闘戦に自信があったので敵船乗り込みの船橋を開発し、カルタゴ軍に勝利する。(戦争学
 だが、銃や大砲の性能があがるにつれて、乗りこみ戦術は廃れていく。

 明治初頭の宮古湾海戦では新撰組だった土方歳三らが乗りこみによる敵船奪取を狙った。
 ただし、この作戦は失敗に終わっている。もはや乗りこみ戦術は時代おくれだったのだ。

 さらに時がたち、誰もが乗りこみ戦術を意識しなくなっている。
 だから、内部に侵入されたときの対応が弱いのだろう。
 銃器が発達することで重い鎧が無意味となり軽装になったため、今度は刀による抜刀隊が有効になったような逆転現象だ。
 まあ、スティーヴン・セガールコックとして雇っておけば大丈夫かもしれないが。

 もっとも、米国海兵隊は全員射撃の訓練を受けた精鋭であるアメリカ海兵隊
 本来なら乗りこまれても逆襲できる強さをもっているハズなのだが……
 相手が悪かった。否、悪すぎた。――――最悪だ。

「ONIときたら……」
「戦車どころじゃねェ……」
「譬(たと)えるなら」
「幼児の集団へ暴れ込む一流ファイター」

 戦車以上の評価いただきました
 そりゃ、甲板に穴をあけるような攻撃力をもっているんだ。
 戦車以上という評価もうなずける。
 そして、幼児に襲いかかる一流ファイターという構図も。

 ところで、この一流ファイターは後姿だけど、ちょっとアイアン・マイケルに似ている。
 何故だろう。今のアイアン・マイケルなら、幼児に同時攻撃で返り討ちにあうイメージわいてしまう。
 昔は、たしかに強い人だったんだけど。

「その船上で勇一郎は」
「ある不思議な技を使用(つか)ったらしい」

「俺たちはその技術(テクニック)を」
「こう呼んだものさ」
「"ドレス"とッ」


 2000名の誇り高き海兵隊を恐怖させ、旗艦を捨てて逃げ出すほどの技術(わざ)だ!
 ジェームス少将を"犬神家の一族"風に突き立てたコトと関係あるのだろうか?
 ドレスは辞書的にいえば『衣服・衣装・服装などの総称。特に、ワンピース型の婦人服。正装や礼服の場合に用いられる。』とある。(大辞泉:ドレス【dress】
 超オス的な存在である範馬が婦人服かよ。

 ジョン・ヘイズ(86)は半世紀たった今でも恐怖でふるえる。
 それほどの恐ろしい秘術なのだ。
 英語だから、勇一郎が自称したのではなく海兵隊が名づけたのだろう
 その技を知るものは……

「懐かしい面を見て」
「思い出しちまった」
「親父の得意技術(わざ)だ」


 範馬勇次郎が知っていた!?
 ドレスと呼ばれる必殺技は息子・勇次郎に伝わっているようだ
 できるのか、ドレスを!?
 かけるのか、刃牙にッ!?

 海兵隊が甲板から海に飛びおりて逃げるような技だ。
 広範囲に被害のでる技かもしれない。
 刃牙と、集まった観客たちは大丈夫か?
 次回へつづく。


 勇一郎の回想は思ったより早く終わった。
 けっきょく、半透明の勇一郎は幽霊だったんだろうか?
 いきなり出てきて勝手なことを言って、いつのまにか消えている。
 行動パターンが勇次郎と同じだ。これが範馬の血筋なのか。
 幽霊になってもエラそうだ。

 勇次郎と勇一郎はどれぐらいの時間を共有したのだろう。
 そして、勇一郎は何故死んだのだろうか?
 やはり、親子喧嘩の果てに死亡したのかも。

 勇一郎はけっきょく、勇一郎を知る人+刃牙ぐらいにしか見えていなかったっぽい。
 この状態であれば集団催眠状態になって、見えたような気になったという説明も成りたつ。
 刃牙と会話しているのが、かなり超常現象ですが。
 あとピクルがおびえていたのも、説明しにくいなー

 とにかく、鬼哭拳をつかって在庫が無くなった勇次郎に新商品が入荷された。
 今度は恐怖の鬼技"ドレス"で精神的優位に立てる。
 ちょっと前に勇一郎が、刃牙ちゃんは勇次郎に勝てると言ったことをウヤムヤにした感じだ285話
 自分が不利になることは、無かったコトにする。
 さすがのワガママだ。

 さて、ドレスとはどんな技だろう。
 実際のところ、技というより現象だと思いますが。
 勇次郎の鬼哭拳は技としては「ぶん殴る」だけだ。
 現象として見ると「防御不可能な最強の打撃」となる。
 聖闘士星矢の技が、基本的に叫んで殴るだけなのと同じ感じだ。

 きっと超筋肉でムチャなことをするのだろう。
 ドレスを着てダンスを踊っているような感じに優雅にブンまわされて、地面に叩きつけるとか。
 日本の伝統芸「良いではないか、良いではないか」風に帯をもってクルクル回す感じをドレスと思ったのかもしれない。
 たぶん、"優雅"と"女性的"がキーワードだ。

 荒木飛呂彦バオー来訪者』(AA)の敵組織が"ドレス"というのだが、その由来は不明だ。
 ちなみに、タイトルにもなっている生物兵器『バオー』は『バイオ』からきている。
 ならば『ドレス』も、似た言葉を変化させたものかもしれない。
 ラテン語の『ドロレス』とか?
 『ドロレス』は悲しみ・悲哀の意であり、女性名でもある。女性名の場合だと愛称はドリー、ロリータ。かの有名な『ロリータ』のヒロインだ。

 掲示板によせられた情報ですと『金属の表面を削る砥石を加工するのに使用していたダイヤモンドを含む砥石をドレッサーと呼んでいました。/人体を素手で削る系の技かもしれません?!』とのこと。
 削られたり、ムシられたりするのは確かにイヤだな。これは逃げ出したい。

 おそらく"ドレス"は逃げ出したくなるような技なのだろう。
 もしかして、ドレスを着こんで女装するとか?
 そのまま迫ってきたら、そりゃ逃げ出したい。全力で。
 つかまったら、いろんな意味でアッーウトだ。

追記 (12/02/15)
 範馬勇一郎の必殺技"ドレス"とは、いったいどんな技なのか?
 イロイロと意見をいただきました。
魚介類の頭部や内臓を除去する処理をドレス処理と言うそうです。
勇一郎の怪力を考えると人間に対しても余裕で出来そうですが・・・でもこんなん喰らったら死ぬよな。
(作劇上ここで死ぬ筈のない)バキに対して実践する以上、致命傷を免れうる技であるはずだし・・・。
ピクルが割り込んで身代わりに→夜叉猿展開かな?


まるでドレスをまとうかのような
華麗な一本背負いだと予想します


勇一郎が使用した謎の技「ドレス」の正体を、ネタバレ覚悟で想像しました^^
まず勇一郎は、近くにいた適当な米兵の頭を片手で無造作にワシ掴み。
これと似た状況で例えると、死刑囚編のドリアンに片手で首吊りにされた克己状態に近いでしょう。
その状態から勇一郎は、おもむろに残った片手で米兵の首から下の皮膚を指で摘まむ。
花山氏と同等の超握力を持つと思われる勇一郎は、そのまま一気に摘まんだ片手をバリッ!と下に引き下ろす(丁度ヘソの辺りまで)
まるでバナナの皮を剥くが如く、3、4回繰り返し、ひん剥かれた生皮の裏地と、筋肉繊維剥き出しの上半身が鮮血で真っ赤に染まり、丁度膝まで垂れた生皮が、まさにドレスのスカートに見えたのでは?
そんなスプラッタホラーを目の当たりにすれば、さすがの屈強な米兵たちといえども、遁走もやむ無しではないでしょうか?^^


むしろドレスは勇次郎には使えないがバキには使えるかもしれない技なのかも
バキが負けそうになってるこの場面で勇一郎を出したのはバキに対する助け舟のはずだし


勇次郎のドレスでバキが大ダメージ負ったら、
勇一郎発言と逆の状態になるな。
ピクル戦で自分でダメージ負って、勝った事があったので、
バキはもっと追い込まれた方が良いのかな。


ガイア「ドレス…?あーアレね、戦場で死んだ敵兵の生皮を剥いで自分の身に纏って変装して敵の本陣に潜入する、え、違う?」


甲板に突き刺さった将校について語る場面で「どんな技術を使ったらこうなるんだ」
みたいな流からの勇一郎登場だったので、よく解りませんが「食らうとああなる」
のがドレスと考えるのが自然かと。
人間をヌンチャクみたいにぶんぶん振り回す残像がひらひらしたドレスをきてるように見え、
存分に加速をつけたその状態から地面に投げ下ろすんですかね


勇一郎の得意技術とは何だろう。
ONIのドレス=オニのパンツと考えると、
股間を利用した技である可能性が捨てきれない。
ナレーションで腕も脚も太いと言われている
ことから、勇一郎が股間の鬼を開放するならば、
それは恐らく白人のそれをはるかに凌駕するものに
違いない。それを見た兵士たちが逃げ出すのも無理はない。
こうして勇一郎は米国(の男性)に(サイズで)勝った男と呼ばれるようになったのだ。


ドレスか…。自らが纏うような技なのか食らった側の表現か
舞踏会で貴婦人が舞うような表現?
エンドレスでは無い事を願う。ドレスを円で買ったとかこのレスがエンドとか


それは背中の鬼がさらに発展して全身の筋肉がなにかしらの形状をなして
それを見たユーモアがきくアメリカ人ならまるでドレスを身につけたようにビューリホーなマッスルだと言うことでしょう。
つまり、ONIを超える戦闘形態じゃないの? 技じゃないけどさ。


wikipediaより
>ドレス(dress)は、女性用の衣服のひとつ。上半身から脚部までを単一の衣装によって被う、いわゆる「ワンピース」の形態をとる。
「海賊王は俺である!」と高らかに宣言した勇一郎が両手の関節を外してゴムのように伸ばしリーチを伸ばして攻撃だ!
喰らった奴は上半身から足先まで棒を挿し込まれたように一直線に甲板に突き刺さる


初期本部が使った、数人の相手を引き寄せて倒す原理不明の技の威力を極限まで引き上げる事によって、全身の骨を砕かれた相手が体から垂れ下がり、あたかもドレスを纏っているように・・・とか。
「考えてみりゃ以前(まえ)にも同じことがあった・・・本部以蔵、彼がやったことも同じ。威力にあまりの差があるので気付かなかったよ」
・・・結局なんだったんだろう、あの技。
柔術には本当にあるの?


俺わかったよ
回転して竜巻おこして周りの人間をひきつけた光景が巨大なドレス着た女みたいなんだろうな


人の皮着るんじゃないの?
 刃牙が死ぬと困るので、死なない技という推測は思い至りませんでした。
 こりゃ確かにそうだ。
 読者にとって刃牙が死んだら困るけど、勇次郎だって死なれたら困るだろう。きっと、読者以上に。
 だからといって、周囲の人間にかけて「なっ、死ぬだろ?」("なっ"じゃーねーよッッ!)みたいなミニコントされても困る。
 人が死んだらさすがに機動隊も介入せざるをえまい。

 範馬という超雄が女性的なドレスという技を使う。
 クライベイビー・サクラも、キッツい怪物に逆のイメージである綺麗な花の名前をつけたらしい。
 同じように逆のイメージをぶつけているのだとしたら、スゴくキッツい技なんだろうな。

 あと、勇一郎の股間が巨大説もあります。
 勇一郎のモデルかもしれないと疑っている(投げキャラだし)柔道家の木村政彦は「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」によれば、巨大な股間を持っていたらしい。
 まさに鬼に金棒!(ゴラク読者向けネタ)

 なお、範馬勇次郎ですがパンツ一丁で開脚しながらテレビを見ていた時に、ぴっちりしたパンツにも関わらず股間がスッキリしていたコトが話題になっていた。
 勇次郎って股間が小さいんじゃね疑惑だ。
 まあ、戦闘種族だし弱点が小さいのはアリじゃないかと。
 勇一郎の弱点を勇次郎は克服したッッ!


2012年2月16日(12号)
第3部 第288話 地上最強の孫 (944回)

 地上最強の生物・範馬勇次郎の父・勇一郎もまた地上最強だった。
 勇一郎はかつて米国に勝利したという。
 米軍を恐怖のおとしいれた技が"ドレス"だ。
 刃牙は歴史の勉強になるッッッ!
 歴史の試験で回答にこまったら、とりあえず『ドレス』と書くんだ!

 いきなり出現した範馬勇一郎の幽霊(?)を見て勇次郎は恐怖の技ドレスを思い出した。
 勇次郎と勇一郎の親子関係は不明のままだ。
 謎は謎のまま、話を自分勝手に進めちゃうのがマイペースと言うかワガママであり、範馬の人間らしい行動である。

「俺と………」
「父 範馬勇一郎はまったくの別人」
「互いが対極に位置する」
「人生観」
「生きかた」
「そして使用(つか)う技術(わざ)も」


 勇次郎が父・勇一郎について語った。
 相手の都合をムシした押しの強い性格とか、そっくりだと思いますが、対極なのだと。
 勇次郎は打撃系で、勇一郎が投技系という違いはある。確かにある。
 だけど、性格や生きかたは同じっぽい。

 二人とも、最強国である米国に素手で戦いを挑んで勝っている。
 単独行動を好み、大義のためというより趣味で戦っているっぽい。
 勇一郎の動機は不明だけど、終戦後も戦っているんだから好きで戦っているンだよな。

 でも、勇次郎が対極といっているのだからちがうのだろう。
 近い環境の人ほど、ささいな違いが気になって仕方がないといいますし。
 ネイティブ関西人はドラマの関西弁の発音にとても厳しいの法則だ。
 刃牙と勇次郎程度には違いがあるのだろう。

 いきなり語りだした勇次郎を見て観客は親子喧嘩が終わったのかと思いはじめる。
 もちろん終わっていない。むしろ、新しいラウンドが始まっているぐらいだ。
 観客数は多いが解説成分が足りない。
 独歩は自分で納得しちゃって、あまり周囲に解説しない人っぽい。求道者タイプだよな。
 その点、本部さんは社交的なんだろうか。アレでも。

 騒ぎの中で、チョット前まで敗北を認めていた刃牙が普通に立ち上がろうとしている。あっさり立った。
 なんという回復力だ。
 やはり、範馬の血は恐ろしい。
 刃牙も寝ていれば"ドレス"とらやを喰らわなくてすむだろうに、わざわざ立ち上がっちゃう
 マゾ……、というかチャレンジャーな血筋だ。

(安心しな皆の衆)
(終わりなんかじゃない)
(範馬勇次郎はそんなタマじゃない)
(もっと我が儘で もっと徹底的で)
(そして――)
(教育熱心なんだ)


 刃牙が突然、皆の衆発言だ。
 カイジの大槻班長か、オマエは。
 18才とは思えない古風な言葉づかいだ。

 そして、圧倒的な父・勇次郎への信頼感がある。
 勇次郎は皆の衆が思うより強大なのだ。
 しかも、教育熱心=親子愛ですよ。
 やっていることは虐待に見えるがちがう。
 お仕置きとかではなく、地上最強を体に教える教育だ。

 勇次郎の過剰で徹底的な愛にこたえるため、刃牙も立ちあがる
 祖父から父に伝わった最強の証明が、今度は子に伝わるのだ。
 勇一郎もわが子の体に必殺技を叩きつけたのだろうか?
 まさに歴史が繰り返されようとしている。

「そんな親父だが」
「たった一つだけ」
「渋々ながらも俺が」
「誇りたくなる技術(わざ)がある」

「この技術(わざ)を海兵隊(マリーン)どもはこう呼んだと云う」
「ドレス」


 勇次郎は足払いで刃牙の足を刈る。
 軽く蹴っただけに見えるが、刃牙の体が半回転するほどの威力だ。
 蹴った下半身が『シェー』のポーズみたいになっているけど、パワーがすごい。
 たぶん、タイミングなども完璧だったのだろう。
 勇次郎は打撃系だけど、投げや関節だって達人レベルなのだ。

 宙に浮いた刃牙の足首をつかむ。
 刃牙が逆さづりにされた
 まるで店先に吊るされた鳥のようだ。
 それとも、これから解体されるイノシシってところだろうか。
 どっちにしても、DEAD ENDっぽさがハンパ無い。
  フリップアップマーカー イヤミ(おそ松くん)


「アキャッ」

 宙吊り状態から刃牙が反撃した。
 なんか夢枕獏っぽい奇声だ。
 追いこまれて急にヤる気が出たのだろうか?
 やっぱり刃牙の教育にはムチが必要らしい。

 だが、刃牙の蹴りがとどく前に、ブンまわされた。
 まるでタオルのようにブルンとふりまわす。
 凄まじい動きで、わずかに残っていた刃牙のシャツがちぎれ飛んだ。
 ココをしのぎきれば、鬼の背中を全開にできる、けど……

「ぬ……」
「双節棍(ヌンチャク)ゥ!!?」


 独歩が見るところ、その動きはヌンチャクのようだ。
 まるでブルース・リーがあやつるヌンチャクのように、人間をふりまわす。
 人間ヌンチャクだ!
 刃牙の顔をワキにはさんでいるのもヌンチャクっぽい。

 勇次郎のワキ圧とワキガはどんな感じなんだろう。
 などと考える間もないスピードと遠心力だ。
 刃牙が出した鼻血はワキにはさまれた圧力なのか?
 それとも、遠心力で頭に血がのぼったのか?

 ヌンチャクは琉球武術が生んだ武器といわれている。
 沖縄近くの島に潜んでいた範馬勇一郎は、沖縄出身なのだろうか?
 勇次郎も御殿手(ウドンデ)の秘術を使える。(G刃牙7巻 57話)
 範馬のルーツは沖縄(琉球)にあるのかもしれない。

「ふしゅる…………」

「直訳するならさしずめ――――」

「"装い"」
「――とでもしておこうか」


 ドレス=装い!
 相手を身にまとわせるような技というコトだろうか?
 そして、遠心力を極限まで高めて地面に尽きさす。
 ドレスで始まり、ドリルに終わるのかも。

 それにしても、勇次郎が「ふしゅる」発言ですよ。
 本部の弟子や、タマ蹴られた後のシコルスキーみたいだ。(G刃牙2巻 9話、バキ16巻 135話
 コレはヒゲでやられ役の音なんだけど……
 もしかして、範馬勇次郎に敗北フラグがたったのだろうか?

(皆の衆…………)
(俺の教育は………)
(やりすぎかい……!?)

 勇次郎も「皆の衆」かよ!

 やっぱり親子、口癖が同しだ。
 というか、コレは刃牙がマネをしたんだろうな。
 父親の影響を受けている証拠だ。

 刃牙は勇次郎の教育を受けようと立ちあがる。
 勇次郎は期待にこたえてキッツい教育をした。
 まさにSとMな親子関係だ。

 刃牙は勇次郎にふりまわされて、地面に激突するのか?
 コンクリートに叩きつけられたら、今度こそ刃牙も終わってしまいそうだ。
 しかし、範馬勇一郎の言葉を信じるなら刃牙が勝つ可能性も高い。
 どうなる、次回!?


 人間ヌンチャクから、人間試着に移行するのがドレスのようだ。
 自分の腕力を見せびらかすパフォーマンス技ですね。
 刃牙世界では強さアピールは重要な行為だ。
 ムエタイ選手を以下に倒すかというムエタイ48手だってある。(ありません)

 ただ、相手を倒すのではなくビビらせつつ勝つのが上策だ。
 周囲もビックリさせれば文句なし。
 勇次郎も気にいった技なんですね。
 きっと蹴りをキャッチして入ることもできるので、ムエタイ料理にも使えるからだろう。

 けっきょく、技というより腕力でムリヤリやっちゃう系の攻撃だった。
 勇次郎の筋肉は勇一郎ほどじゃない。
 だから、威力も若干おちるだろう。
 刃牙が生きのこるには、そこに賭けるしかあるまい。

 足をつかまれていたら、五接地転回法も使えなさそうだ。(G17巻 148話)
 地面に激突するスピードを少しでも遅くするには、どうすればイイのか?
 とっさに、なにかにつかまる。むしろナニにつかまれ!
 勇次郎の股間をつかんでブレーキとする。
 自分の技の威力が自分の股間にかえってきて、勇次郎の自爆で決着だ!

追記 (12/02/22)
 人間ヌンチャクから、どう技を炸裂させるのか!
 ドレスのクライマックスはこれからだ。
 刃牙はドレスのダメージに耐えられるのか?
 たぶん耐えるんでしょうけど。

 刃牙は不意をつかれるとアッサリ気絶するくせに、戦闘中のタフネスがスゴい。
 あらゆる戦士の必殺技を受けながらも立ち上がっちゃうのが刃牙だ。
 思い返すと本当に立ち上がるよな。
 柳龍光の低酸素攻撃ぐらいか、ダウンしたままだったの。
 アレにしても「半日は起き上がってはこねェ」と言ったすぐ後に目を覚ましていた。

 やっぱり刃牙を倒すには不意討ちしかないんだろうな。
 勇次郎だってハンターの不意討ち狙撃に倒されている。
 範馬一族は不意討ちに弱いのだろう。

 そうなると、範馬勇一郎の死因も不意討ちが関係していそうだ。
 勇一郎みたいな怪物だと、どうやっても殺せそうにない。
 ものすごく、くだらない理由で死んだほうが似合っているかも。
 たとえば、バナナの皮ですべって転んで死ぬとか。

 同様に勇次郎もくだらない理由で死んだり敗北しそうだ。
 ドレスの最中に刃牙がこぼした尿ですべって転んで自爆するとか。

 おまけ
朝日新聞デジタル:土下座はんらん マンガにグッズ、動画も人気
 土下座特集で『どげせん』の話が出ている。
『「謝罪だけでなく、祈願や感謝も含めた座礼のマンガを目指す」(板垣さん)、「処世術としての土下座をリアルに表現したい」(RINさん)』
 これが二人の「土下座観の違い」だったようだ。

 たしかに、謝男(シャーマン)では謝罪ではなく祈りの土下座ばかりだった。
 二人の土下座勝負はまだ始まったばかりである。
 どちらの頭が下がるのか!?
 でも、この場合だと土下座したほうが勝ちに見える気がする。

【レビュー・書評】:どげせん [作]板垣恵介&RIN - コミックガイド - BOOK:asahi.com(朝日新聞社)
 以前にも書評を出しているし、朝日新聞は『どげせん』好きなのかも。


2012年2月16日(13号)
第3部 第289話 双節棍(ヌンチャク) (945回)

 刃牙の祖父・範馬勇一郎が米国戦艦アイオワの乗員を恐怖におとしいれた必殺技"ドレス"とは一体どんな技か?
 父・範馬勇次郎が刃牙に教えてくれる。
 身体に刻みつける形で。
 刃牙は、今度こそ敗北するのか?

 勇次郎が見せる"ドレス"の序章は人間双節棍(ヌンチャク)だ。
 刃牙の手足をつかんでヌンチャクのように振りまわす。
 関節の数は二つ以上あるんだから、双節棍というより多節棍じゃね?
 などというツッコミは無しだ。

 ビュババババ
 ビュババババ(パシッ)
 ビュビュビュビュ(パシ)
 ブババッ
 ボババババ(パシ)
 ムンムンムンムンムン


 合間に刃牙の手足を持ちかえる音をさせつつ、凄まじい風切り音だ。
 ムンムンムンって、どんな音だよ。
 範馬一族を高速でブンまわすとムンムンムンって鳴るのかもしれない
 また、刃牙による豆知識が増えた。明日から自慢しよう。

 で、勇次郎が嬉しそうにブンまわしているんですよ。
 息子をまわすのが、そんなに楽しいのかと。
 いや、実際楽しいのだろうけど。
 勇次郎にしたら、コレは息子とのスキンシップなのだろう。

『人間双節棍(ヌンチャク)

『超高速で入れ替わる映像は』
『一瞬で"過去"になり――』
『"記憶"へと追いやられた』


 想像しただけで乗り物酔いしそうだ。
 加速の方向もバラバラに切り替わり、すごい勢いで回転している。
 洗濯機や乾燥機の洗濯物よりも高速でブン回っているハズ。
 これはさっき高級ホテルで食べた高級料理を高級ゲロとして吐きだしそう。

 しかし、刃牙は酔った気配を見せない。
 高加速に慣れているということだろうか?
 なにしろゴキブリダッシュを実現させた男だし。
 刃牙なら後頭部を打っても景色がドロドロになったりしなさそうだ。

 しかし、もはや現状が把握できないほど回転している。
 フィニッシュに行く前に逆転できる可能性は少ない。
 とりあえず叩きつけられるのを待つしかないのか?

『未体験な遠心力は』
『頭部へと血液を振り集め』
『鼻』
『口』
『耳』
『目』
『それらの"穴"は』
『血液の脱出口として機能した』


 拷問としての逆さ吊りは、血液が頭部に集まることで血圧が高まり脳の血管が破れ脳溢血となり死亡する。
 長く苦しめるためには、コメカミ等に切れ目を入れて適度に血を抜く。
 と、『カムイ伝』に解説があった。

 頭部の穴から出血している刃牙は苦しいだろうけど、生きのこる手段として合格だ。
 範馬の生存本能が出血させているのだろうか?
 本格派のマゾである刃牙としても、苦しいのは嬉しかろう。
 刃牙にとって一粒で二度美味しい出血だ。

 それでも、高速で脳が揺さぶられているには違いない。
 幼児虐待の揺さぶりや、柔道における事故で問題となるのは加速損傷だ。(“必修化”は大丈夫か 多発する柔道事故
 頭を打たなくとも、急激な加速を受けると脳はダメージを受ける
 洗濯機で洗われたタコのように、ぐでんぐでんになってヌメリもすっかり取れてしまっているだろう。
 回されているだけで充分にピンチだ。

『加えて……』
『眼球へと大量に流れ込んだ血液は』
『航空業界で云う所謂………"レッドアウト"』
『夜空をも赤く演出した』


 オマケに眼球にもダメージがッ!
 人間の体で、G(加重)にいちばん弱い器官は目だ。(ガンダムUC パラオ攻略戦
 だそうで、脳より先に目がやられそうだ。
 ユニコーンガンダムのパイロットスーツは血管を膨張させる薬物を投薬したり、血管に圧力をかけたりしてG対策としていた。
 刃牙も動脈を自力で押さえれば、レッドアウトがおさまるかもしれない。
 もっとも、本人がタコみたいに骨抜き状態っぽいし、ロクに動けなさそうだ。

 だが、ピンチはチャンスだ!
 痛めつけられているってコトは脳内麻薬が出て刃牙的に逆転フラグですよ。
 あ、もう脳内麻薬は出てたんだっけか。
 なら、アレだ。血液がいつもより集まっているから、いつもより濃い脳内麻薬がでる。
 赤は3倍の法則じゃい!

『突如眼前に発生した巨大なエネルギー』
『一目見て実感する』
『手に負えなさ』
『その危険度はまるで――』
『密室のハンマー投げ』
『父と子の半径100メートルは』
『ほぼ無人と化した』


 密室のハンマー投げは怖いな。
 コレは確かにキツい。
 確かに逃げ出したくなる。
 さすがに100mは逃げすぎだと思うけど。

 100m先だと範馬親子がかなり小さく見えるだろう。
 いくら勇次郎でも刃牙を100m飛ばすことはできまい。
 ……それぐらいなら飛ばせるかもしれない気がしてきた。

 とにかく、範馬ヌンチャク親子の周囲にいるのは独歩・ピクル・徳川さんの三人だ。
 野多は逃げた。オリバはビルの中で安全に見ている。
 巻きぞえを喰らうかもしれない状態で見学するハメになった。
 見学者だって命がけだ。

『人間双節棍(ヌンチャク)の双節棍(ヌンチャク)たる所以はまだ見せていない…』

 まだ、必殺"ドレス"の完成に至ってないのだ。
 ここからが本番ってコトか?
 ヌンチャクたるゆえんって、ナンだ?
 叩きつけてこそのヌンチャクってコトだろうか。

 勇一郎の必殺技"ドレス"は、まだ完成していないようだ。
 ドレスはどんな『装い』を見せてくれるのだろう。
 そして、刃牙はドレスのフィニッシュを喰らっても立てるのだろうか?
 次回につづく!


 って、今週もドレスが決まらなかったよ!
 どこまで引っ張るんだろう。
 オチがあるように装うのもドレスの技なのかもしれない。

 ヌンチャクの構造を考えると、二本の棒を鎖などでつないでいるのが特徴だ。
 持ち運びがしやすく、振りまわすと棒よりも高い威力になる。
 って、コトは刃牙を折りたたんで持ち運びしやすくするのか?
 息子をお持ち帰りするのが勇次郎の目的だった!

 刃牙がまだ動けたら、勇次郎の頭に攻撃したいところだ。
 勇次郎は自分で自分を殴るようなもので、すごいダメージを受けるだろう。
 そんな自爆だったら、俺の攻撃ならしかたないと勇次郎も素直にダウンしそうだ。
 もっとも、刃牙はまるで動けていない。
 勇次郎が動作を誤って本当に自爆するのを待つしかないのか。

 なにしろ、勇次郎は武器をもたない主義だ。
 ヌンチャクだって本当は使えない、というか使わない。
 練習もしないで、こんな難しい技をできるだろうか?

 ヌンチャクを持ったらブルース・リーごっこをやってしまうのは、男子の宿命である。
 そして、自分に当たって痛い思いをするのも宿命だ。
 ヌンチャクのヌンチャクたるゆえんは自爆芸にアリ。
 日米関係なく笑いが取れます。
 勇一郎が勇次郎と対極の存在なら、人を笑わせるのが大好きなのかも。

追記 (12/02/29)
 人間双節棍(ヌンチャク)から最終形態ドレスへッ!
 いつまで引っ張るんだ、このネタでッッ!
 実は勇次郎もココまでしかしらず、フィニッシュをどうするのか悩んでいたりして。

 掲示板で頂いたネタとして。

> あの状態で刃牙が鞭打したら、勇次郎の遠心力が加わって痛そうです。

> やはり何らかの対象物を打撃してこそヌンチャク!
> 避難していないピクルさんの身が心配です…

 たしかにヌンチャクってことは、打撃しないと完成じゃないのかも。
 勇次郎の周囲から逃げ出したのは正解かもしれない。
 戦艦上の勇一郎は人間ヌンチャクで装って周囲の人間をなぎ倒したのかも。

 で、ヌンチャクの速度に刃牙が鞭打をあわせたらスゴい威力になりそうだ。
 はじめての親子の共同作業ですな。
 逃げ出していない人間、つまり標的は独歩・ピクル・徳川さんだ。
 やっぱりピクルに共同作業をブチ当てることになるかも。

「合わせろや、刃牙ッ!」
「応ッ!」

 で、ピクルも轟沈ですよ。
 しかし、これじゃピクルがカワイソウだ。
 ここで、独歩ですよ。
 独歩といえば空手だ。そして空手は琉球武術が基になっている。
 つまり、独歩もヌンチャクが使えるのだ。

 元祖ヌンチャク殺法と範馬流ヌンチャクの激突となる。
 独歩もヌンチャクだとオリジナリティーがないので、人間トンファーかもしれないけど。

「合わせろや、ピクルッ!」
「オキャアッ!」

 しかし、この人間ヌンチャクは他に応用が効かないものだろうか。
 遠心力を利用して打撃以外の攻撃をする。
 刃牙を投げつける人間スリングとかどうだろう。
 ネーミング的には人間ロケットのほうが良いんだけど。
 やっぱり飛び道具は強力だ。
 水鉄砲とかどうだろう。

「合わせろや、刃牙ッ!」
「尿ッ!」

 半径100mを汚染地帯にかえる恐怖の黄金飛沫で、相手の体を装う。
 恐怖、黄金色のドレスがこの技の正体だッ!
 というのはカンベンして欲しい。


2012年3月1日(14号)
第3部 第290話 ドレス (946回)

 かつて範馬勇一郎が米軍を恐怖させた必殺技"ドレス"の正体がついに明らかになるッッッ!
 と書き続けて三週目です。
 今度こそ、本当に明らかになるんだろうな。

 勇次郎が刃牙を回す、廻す、舞わす!
 ドレスの前段階としての人間双節棍(ヌンチャク)だ。
 人間の関節はイッパイあるし、勇次郎は刃牙の両手両足を自在につかんでブンまわしている。
 もうヌンチャクとは言えなさそうなんだけど、強引に言い張っちゃうのが勇次郎です。
 ワガママを通せば、これもヌンチャクだッ!

 今週も勇次郎は嬉しそうにまわしている。
 文字通り息子をオモチャにしている状態だ。
 ちょっと鬼父さん、ハシャギすぎじゃないか?

 歓喜の勇次郎は刃牙をつかむ手から、人差し指を外す。四本指でつかんでいる。
 そこから今度は人差し指・中指・親指の三本つかみに移行した。
 さらに人差し指で引っ掛けるだけのスタイルだ。
 とうとう曲芸まではじめちゃったよ、おい。
 今宵の勇次郎はハメを外しすぎだ。

「勇次郎を覆い隠す」
『半透明な……………………
 "刃牙"という名のドレスというワケかい………………』


 これがドレスの正体だ!
 なんか思っていたのと違うなー
 アレだけ振り回していたら服というより球体に見えるんじゃなかろうか
 まあ、徳川さんがドレスと言っているのだから、ドレスにしておこう。
 たぶん勇次郎もドレスっぽく見えるように振り回しているハズだ。
 ドレスに見えるというワガママを通す!

 コレを見てドレスと名づけた米兵はなかなか独特のセンスをもっている。
 やっぱり婦人服という名前をつけることでチョットでも恐怖心を和らげようとしたのかもしれない。
 武侠小説『笑傲江湖』(AA)でも恐るべき強敵・東方不敗のことを東方必敗と呼んでビビらないようにしていた。
 でも、勇一郎のことを鬼<ONI>と呼んでいる時点で、気持ちで負けていたか

「かつて……」
「バキをバサッ…とやったっけ」
『腕力(ちから)の差を思い知らせるため……』
『こう………………まるでバスタオルのように――――
 バサ…………ッと』

「タオルのように軽々と扱えても」
「道具のように巧みに扱うことはできない…」


 安全なところから見ているオリバは、人間ヌンチャクができないと言う。
 かつてオリバは、刃牙をタオルのように振りまわした。(9巻 66話
 だからパワーは充分だろう。でも、器用さが足りないってコトか?
 普通の人もタオルを振り回すことはできるが、タオル相手にプロレスやるのは技術が必要だし。

 勇次郎はパワーもすごいが、技だって達人クラスだ。
 見ているだけでオリバも発汗するほどの技らしい。
 なにしろ最後は指一本で回しているんだもんな。
 リッパな芸だ。

 まるで使いなれた武器のように息子を操っている。
 オリバは自分の感想に、自分で戦慄をおぼえた。
 そう、ヌンチャクは武器なのだ。
 武器ってコトは攻撃に使う!?

 イヤイヤイヤ。オリバさん、ドレスですから。ドレスは着るものですよ。
 って、着るんかい!?(自分ツッコミ
 着るほうがグロいな。
 ガイアのトンネルじゃないんだし。(バキ外伝 GaiA(ガイア)

「刃牙よ」

『我が身を護身(まも)れッッ』
『「範馬」を名乗るなら』
『護身(まも)り切れッッ』
「死ぬなよ」


 って、やっぱヌンチャクとして使用するのかよ!?
 全ッ然ッッ、ドレスじゃねェッ!
 夜叉猿が人間じゃねェなんてレベルを超えた、それ違いますよ状態だ。
 米兵はヌンチャクを知らなかったからドレスなんて名前にしたんだな。
 気がついたらドレス成分よりも、ヌンチャク成分のほうが多くなっているよ。

 というワケで、名前はドレスだけど、内容は人間ヌンチャクでした
 ヌンチャクだから打撃武器です。
 叩きつけて攻撃だ。
 ちゃんと刃牙のことを心配しているように見せつつ攻撃しちゃう勇次郎はドSすぎる。

 人間ヌンチャクとなった刃牙が、車に叩きつけられた。
 ぶつかった車が回転するほどの衝撃だ
 とうぜん反作用で刃牙にも同じだけの衝撃がきているはず。
 刃牙はちゃんと身を護身(まも)ることができたのか?
 次回につづく。


 ヌンチャクのように打撃武器を連結した武器はテコの原理が働き強力な打撃になる。(武器と防具 中国編
 そのぶん打撃部にも負担がかかるワケですが……
 刃牙はこの打撃に耐えられるのだろうか?

 けっきょくドレスの準備が人間ヌンチャクと思わせて、実は人間ヌンチャクが必殺技だったわけだ。
 相手をつかまえないと発動できないけど、威力は絶大な必殺技だった。
 実力差がないとできない技だろうけど、一度発動しちゃったら叩きつけられるまで終わらない感じだな。
 刃牙と勇次郎の実力差がありすぎたってことなんだろうか。

 人間ヌンチャクとなっている刃牙はすでに意識が無いようだ。
 こうなったら受身も防御も護身もない。
 叩きつけられるだけだ。
 でも、気絶して究極の脱力状態になっているからダメージがあまり無いとか、そういう逆転があるかも。

 このまま負けてしまったら、なんのために範馬勇一郎が出てきたのかワカらない。
 もっとも範馬家の人は難しいことや意味を考えずに出没しそうだけど。
 刃牙が勝てるといったジッちゃんの言葉を信じてもいいんだろうか?

 人間ヌンチャクの勢いを逆に利用して、餓狼伝の姫川みたいにカウンターをかければ勝てる!(餓狼伝21巻 191話
 だが、勇次郎がそこまで油断するのだろうか?
 いや、刃牙が気絶しているから、油断というより心配で注意がそれて不覚を取るかもしれない。
 とりあえず刃牙の勝機はこのへんだろう。

 今週のチャンピオンは刃牙の前に浦安鉄筋家族が掲載されていた。
 禁断の板垣先生ネタだ!
 刃牙ネタを超えて、作者を直接攻撃かよ。
 そしてアシスタントの海王率が高かったりとムチャな展開だ。

 浦安鉄筋家族の影響で海王たちが刃牙の応援に駆けつける展開があるかもしれない。
 そして、まとめて人間ヌンチャクでなぎ倒される。
 う〜む、まるで勝てるイメージがわいてこない。
 勇次郎も女性の前だと優しくなる弱点があればいいのだが
 『ガールズRPG シンデレライフ』(AA)を見る限り、キャバ嬢(?)の前でも範馬勇次郎を貫き通しているンだよな。

追記 (12/3/7)
 範馬勇次郎のふるう人間ヌンチャク刃牙が車を直撃する!
 でも、まあ、刃牙の頑丈(タフ)さは折り紙つきだ。
 不意討ちを喰らわない限り大丈夫、だと思う。

 ぶつけられる直前の刃牙は思いっきり気絶しているようでしたが。
 むしろ、ぶつけられた衝撃が気つけになって復活しそう。
 超マゾ体質の刃牙はキッツイ攻撃を受けたほうが調子がよくなる。
 さて、どんなパワーアップをするんだろう。

(1) 鬼が変なところにも出てくる
 倍にするってのは昔からパワーアップの常套手段ですね。
 ポニーテールがパワーアップするとはツインテールになる!
 いや、ちがうか。

 車に叩きつけられて肋骨が変形した結果、胸にも鬼がッ!
 いや、鬼が出ればいいってモンでもないな。
 でも骨の角度がイイ具合にキマって短時間だけパワーアップできるかも。
 つまり、ピクルの攻撃体勢をパクリまくりだ。
 うん、範馬関係ない!

(2) 鬼の表情が変化する
 勇次郎のフィニッシュブロー鬼哭拳が泣くという表情変化をするように、刃牙も表情をつけたらどうか?
 筋肉を波打たせて、鬼が笑った! 鬼笑拳!
 剛体術の構えで、鬼をツリ目状態にして、鬼を怒らせる! 鬼怒拳!
 エンドルフィン出しすぎて気持ちよくなってしまう、鬼悦拳!
 弛緩してヤる気ゼロっぽい、いかにも刃牙らしい表情の、無鬼力拳!

 どうも、怒る以外は勝てそうもないな。
 いや、意外と無気力とかイケるかもしれない。
 弛緩と緊張の振り幅が打力の要ですよ。
 刃牙がヤる気を出さないのは、ヤる気を出した時のインパクトを高めるためだ!

(3) 脳が鬼だ!
 刃牙の脳は鬼の顔状なんだぞ!
 と、忘れかけていたネタが伏線になる。
 頭蓋骨を割って中身を見せるワケにもいかないんでイメージ上の話しになるんでしょうが、鬼脳が覚醒するのだ。
 でも、板垣先生ノリノリであの話描いちゃったけど翌週には忘れていそうだよな。
 『ラジオデイズ:対談 板垣恵介の巻』で、「範海王って誰だっけ」と言い出したときは、のけぞりましたよ。


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