今週の範馬刃牙
SON OF OGRE
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2011年1月27日(9号)
第3部 第241話 最速と最強
(897回)
ボクシング界に攻めこんだ中国四千年・烈海王は、ついに王者ボルトと顔をあわせた。
この男がボクシング編のラスボスか!?
握力だけで烈をビビらせるなど、強そうなオーラが出まくっている。
コイツは、どれだけスゴいヤツなのだろう?
(この男が――――――――――ボクシング界… この世界の頂点ッッ)
(デカく見えるッッ)
(データの2m5センチより遥かにッッ)
烈は汗を流しながらボルトを見上げる。
2m以上の巨人属性だとッ!
刃牙世界において、たんなる巨人は噛ませ犬のサインでしかない。
なんか急に心配になってきた。
ボルトって、あのガーレンより5cmも背が高いんだぜ。末堂と互角のサイズなんだぜ。
だがッ! データよりデカく見えるのは吉兆だ。
なにしろ主人公・範馬刃牙だってデカく見えたのだから。(
1巻
2話
)
数値よりもデカく見えるのは強さの証だ。
板垣先生もヒクソンに会ったとき、数字よりもデカく見えてビビッたらしいし。(
激闘達人烈伝
)
サイズのデカさは、迫力のデカさでおぎなえッ!
まあ、ようするに迫力がイチバン大事なんだ。
『ウィルバー・ボルト』
『20歳………』
『陸上短距離走パゴタ代表五輪出場』
『スターターが変形するほどの破壊的ロケットスタートのまま』
『人類初となる9秒前半でゴール』
その間、09.49秒ッ!
二十歳にして9.50秒切り達成だ。
ウサイン・ボルト
よりも、0.09秒早い光速の走りである。
アイシールド21だって、アイシールド落として逃げだすよ。
陸上選手の身体能力はとても高い。
そのためか格闘士には陸上競技と縁のある人物もいる。
餓狼伝のグレート巽は砲丸投げの選手だった。
花山のパンチフォームも砲丸投げからきているそうだ。(
参考
)
なお、
ドーピングしたジャック・ハンマーは最終的に100mを9.37秒で走っている
。(
G刃牙35巻
305話)
これはストップウォッチで計っているので、けっこう誤差がありそうだけど。
全盛期のジャックには負けるかもしれないが、ドーピングしたてのジャックより上だ。
ボルトの身体能力は薬全開のジャック・ハンマーよりやや劣る程度か?
『ゴール直後に放ったビクトリーポーズ』
『当時世界中が―― 模倣
(まね)
ることとなった』
ボルト、勝利のポーズだ。(参考:
ウサイン・ボルト+ポーズ - Google 検索
)
このフォームが猪木のナックルアローと酷似しているのは偶然ではなく必然ッ!
ゆえに妄想がスパークして、電撃のごとく最強ボクサー誕生秘話になったにちがいない。
そして、ボルトはボクシングに転身する。
1年の準備期間をおき、連戦連勝。
デビューからわずか2年で王者となる。
『世界は再び』
『あのポーズを模倣
(まね)
ることとなる』
やはり、このポーズは打撃のフォームだったのか。
と言うか回想シーンでは、ボルトの足しか写っていない。
どう闘い、どう倒したのか?
ボルトの戦闘スタイルはまだ不明なままだ。
とにかく、ボルトはどのシーンでも相手を倒している。
つまり撃墜率の高いハード・パンチャーってワケだ。
スピード × 体重 × 握力 = 破壊力
前回の握力自慢は、破壊力アピールだったのだろうか?
スピードと握力が合わさって、強力なパンチ力を生みだしそうだ。
『最強の脚の持つ実力
(ちから)
を――――』
『拳という最も離れた器官まで送り届ける………』
『この難行を彼の身体
(ボディ)
は』
『いとも易々とやってのけたのだ』
『最速と最強が同一人物――――
――――――という奇跡!!!』
なんとボルトは四団体の統一王者となった!
これはスゴいぞ。よく試合を組んでもらえたな。
ボルトは政治力もあるのだろうか?
でも統一王者なんて、9.49秒の奇跡にくらべたらオマケだよな。
最速・最強のボクサーってだけで、ワクワクしてくるぞ。
とにかく最強のボクサーとしてボルトは現れた。
烈海王と同じく、異分野からの侵略者というところが面白いけど。
柔道出身の山田太郎が野球界を代表する『ドカベン』みたいな感じだな。
ともに異分子としてリングに上がっている二人だ。
ボクシング界にとっては、共倒れになってくれれば大歓迎なのかもしれない。
まさか、コレがプロモーター・カイザーの最終目標だったのか?
そのころ日本では範馬勇次郎とキャプテン・ストライダムが葉巻を吸いながら雑談していた。
接待の達人であるストライダムにかかれば、オーガであっても一服をたのしまざるをえないのだ。
しかし、あいかわらず勇次郎は喫煙派なんですね。
禁欲して手に入れるような強さには意味がないと思っているのだろうか?
不摂生をして好き勝手に生きて、なおそれでも強い。それが範馬勇次郎なのだ。
そろそろ刃牙とヤる。
勇次郎はそう言ったようだ。
刃牙が言うとヤルヤル詐欺みたいだけど、勇次郎がいうのなら信じてみたい。
いいかげん信じさせて欲しいぞ。
「対決じゃねェ」
「親子喧嘩」
勇次郎はあくまで喧嘩を強調する。
なんか刃牙とシンクロニシティーだ。
息子と仲良く喧嘩できるのがうれしいんだろうな。
まったく、親バカめ。
殺し合いにまで発展しかねない対決という表現から喧嘩にかわった。
これで平和的に親子喧嘩が終わったらどうなるのか?
刃牙は勇次郎に料理を作って欲しいといっていた。
勇次郎が負けるとは思えないが、もし負けたとしたら……
「戦場生活は長ぇ………」
「料理くらいは………………」
「作ルノカ!!?」
ストライダムが即座につっこんだ。
まさに戦場の軍人というべき素早い反応だった。
あまりに早すぎて、自分の安全を確保するの忘れているだろ。
だが、勇次郎は機嫌がイイのか自分の言葉をさえぎったストライダムを責めない。
どうやら今日の勇次郎は5年に1度の大デレ期にはいっているようだ。
なんか勇次郎は料理をつくる気になっているっぽい。
本来の勇次郎であれば自分が敗北する可能性すら否定して、料理を喰う準備しかしなかっただろう。
勇次郎の強さは、自分こそ最強であるというエゴイズムの強さにある。
敗北の可能性を考えてしまう現在の勇次郎は、強さが揺らいでいそうだ。
それとも、わざと刃牙に負ける気か?
「ヒョットシテ勇次郎……」
「君ハ――――」
ストライダムは勇次郎の異変を指摘しようとする。
だが、最後まで言えなかった。
勇次郎の蹴りが一閃し、ストライダムのくわえる葉巻が切断される。
一瞬で勇次郎の機嫌が悪くなった!
顔もシワシワのテカテカだ!
(どっちだよ?
刃牙に負けるのは考えてもイイけど、他人が勇次郎敗北の姿を想像することを許せない。……のか?
理不尽に怒る範馬勇次郎であった。
「まさか………」
「"優しくなった"…………………などと云うつもりじゃねェよな」
「ナンカ…ヨリ一層」
「鋭クナッタネ…ッテ ♥
(はぁと)
」
すかさず世辞を かえすストライダムは、やはり接待の天才であった。
だが、勇次郎の不調という予感は消えない。
怖いから本人の前で言えませんけど。
ストライダムは相変わらず危険に踏みこむチャレンジャーだ。(
10巻
79話
)
勇次郎が料理を作る可能性を考えていたころ、刃牙は買い物をしていた。
まさか、勇次郎に作らせる料理の材料だろうか?
親子の縁なのか、刃牙も決戦が近いことを感じている。
でも、料理を作っても固ゆでと半熟ぐらいの好みのちがいで、また喧嘩になるんだろうけど。
烈のボクシングだけでなく、刃牙の人生にもエンディングが近づいていそうだ。
次回へつづく。
範馬勇次郎はどんな料理をつくる気なんだろう?
アフリカで水牛を喰っている姿を見たことがある。
昔は中国でサルの脳みそを喰っていたらしい。
原初の人類みたいに獲物を狩って喰らうことに喜びを感じる人なんだろうか?
タイガーマスク伊達直人 現象で児童養護施設に寄付をする行為がクローズアップされている。
範馬勇次郎なら「強くなりたくば、喰らえ!」とサルの生首を送るかもしれない。
さすがに、こりゃ刃牙でも引く。
ボクシング王者のボルトはかなりの強敵っぽい。
どんなファイトスタイルなのか早く見たいものだ。
スプリンターのダッシュ力で一撃離脱の戦法だろうか?
ボクシングは地面を蹴る格闘技だと言われている。
ならば脚力自慢のボルトは、ボクシングでも金メダルや!
金メダルから格闘技に転身するって展開は
石井慧
に通じる気がする。
石井で見たかったドリームを、ボルトに憑依させる感じだろうか。
世界最速の男が、世界最強となるってロマンだよな。
しかし、愚地独歩の試合情報はどうした?
放置ですか?
秋田書店の誇るグルメ漫画『花のズボラ飯』(
AA
)は「げっ」「ごはんがナイチンゲール!!」とオヤジギャグを飛ばす漫画だ。(参考:
孤独のグルメを超えるか!?萌え人妻自炊マンガ 「花のズボラ飯」:a Black Leaf
)
独歩も「げっ」「出番がナイチンゲール!!」とギャグで誤魔化すしかなさそうだ。
それとも、「コッカケしたら金玉がナイチンゲール!!」だろうか?
・
追記
(11/2/2)
地上最速の拳闘士ウィルバー・ボルト登場だ。
刃牙世界ではパワーこそ命である。
あと、打たれ強さ。
スピード属性の戦士はめずらしい。
もっとも、ボルトは握力もスゴいから、パワーとスピードの二刀流だ。
今までに無いタイプの強敵になるかも。
100m走は前に走るものだ。
でも、ボクシングは前後左右に動かなくちゃならない。
持久力も必要だぞ。
短距離走のスタミナで大丈夫か?
サッカー選手のほうがボクシング向きって気がするけど。
いや、蹴れないからダメだな。
刃牙の格闘士は、ボクシング王者から喧嘩師、軍人、武術の達人まで出尽くした感がある。
なので異分野である陸上選手を参加させたのかもしれない。
あとは重量挙げの選手とか。
卓球の選手を呼んできて、最速の攻撃ってのもあるかも。
いや、迫力がないからダメだな。
重要なのは迫力です。
迫力という点で考えるとスポーツ選手を離れて、長渕剛のほうがインパクトがあるかもしれない。
板垣先生もコミックスで気にしていたみたいだし。
そうなると、最終兵器は板垣先生の敬愛する矢沢永吉 になるのだろうか?
2011年2月3日(10号)
第3部 第242話 逞(たくま)しさ
(898回)
烈海王がボクシング四大タイトル制覇の王者と試合が決まりそうだ。
いっぽう刃牙は地上最強の生物と勝負しそうな感じになっている。
そんな刃牙さんは徳川光成の屋敷に来ていた。
刃牙は徳川さんの病状を知らないハズだ。
そもそも、徳川さんの発病を知っている人間はほとんどいない。
刃牙が徳川さんの余命を知ったらどう動くのだろうか?
でも刃牙のことだから、親子喧嘩は人の生き死にで始めたり回避したりするもんじゃないとクールにかわしそうだ。
作中季節は不明だが刃牙は今日も半袖だ。超元気です。
刃牙は徳川さんに、お願いにきたらしい。
話題はもちろん刃牙と勇次郎の親子喧嘩についてだ。
「親子喧嘩とはいえ――」
「相手は普通じゃない」
「事が――――」
「荒立つことは避けられんでしょ」
地上最強の生物と喧嘩をする。
それは街中でゴジラが暴れたり、戦車が暴走したり、
浦安鉄筋家族
の国会議員が脱糞するぐらいの大惨事だ。
刃牙は範馬勇次郎 注意報を発令した。
そんな刃牙を見て、徳川さんは
「逞しい」
という。
刃牙は昔から、たくましいぞ。刃牙を見
たクマしい
ん(死因)はショック死になるぐらいに。
過去と比較して成長したってコトか。
なにしろ、範馬勇次郎と喧嘩をするぐらいに強くなったのだから。
幼年編で勇次郎と喧嘩して、死にかけた過去がありますけど。
刃牙は自分がたくましいのかと聞きかえす。
勇次郎と比較すれば、貧弱ゥ貧弱ゥという自覚があるのだろう。
「範馬勇次郎」
「ああいうのは逞しいとは言わん」
範馬勇次郎の強さはすでに天災クラスだ。
最近だと大雪とか噴火とかのニュースになるレベルらしい。
勇次郎神話は止まることを知らないな。
刃牙も勇次郎をほめられて嬉しそう。
自分が勇次郎を憎んでいないと自覚したので、堂々と親父LOVEを発揮できる。
刃牙の心情が変化したところも たくましさだろうか?
物事に動じなくなった感じだ。
なんか自信にあふれている気もする。
むしろ、ふてぶてしい。
徳川さんは範馬・親子喧嘩を実現させるために、できるかぎりのことをすると言う。
すでに現金を300キロ(30億円)出したぐらいだもんな。
(
23巻
191話
)
でも、あの首相はやめちゃったからムダ金になったのかも。
とにかく、警察・機動隊・自衛隊を動員してでも、喧嘩を実現させると言う。
「違うなァ…………」
「範馬勇次郎を止められる軍隊」
「そんなものがいったいどこに存在するというんだい………………?」
ウボァー! なんて強気なッ!
勇次郎の強さは、一国の軍隊に匹敵する暴力と言われてきた。
それが、
いかなる軍隊でも止められない暴力
にまで進化しちゃったよ。
刃牙の中ではな……
さすがに米軍全部には勝てないと思いますが。
米軍は勝てるけど、それなりに被害がでて軍が弱体化しちゃうからやらないだけで。
街中で核とか、ようしゃない攻撃をすれば勇次郎を倒せるだろう。
被害が大きすぎて勝利とは呼べないかもしれないけど。
親父憎しの心が消えたら、極端に高く評価しはじめたな。
今じゃ、勇次郎のNo.1ファンは範馬刃牙だよ。
そのうち、リーマンショックは勇次郎が起こしたとか言いだしそうだ。
「人間
(ひと)
の力では」
「もう阻止
(とめ)
られない」
「俺が止める」
「爺っちゃん」
「そん時ゃ頼みます」
「一般市民が巻き込まれぬよう」
「どうか警護
(まも)
ってください」
そして、
自己評価も高い刃牙であった。
たくましい。ふてぶてしい。あつかましい。の、三冠王を狙えるぞ。
刃牙の中だと、親子喧嘩は『ゴジラ vs. ガメラ』みたいなビックカードになっているんだろうな。
もしくは『ガンダム vs. ウルトラマン』だ。
実現不可能な夢のビックカードですよ。
ちなみに『
シャーロック・ホームズ
vs.
アルセーヌ・ルパン
』は実現している。
ルパンの作者が、かってにホームズを登場させちゃったのだ。(参考:
ルパン対ホームズ
(
AA
))
エンターテイメント至上主義だからできるムチャ技ですね。
というワケで、刃牙に餓狼伝の丹波文七が出てきてもおかしくない、かも。
刃牙は親子喧嘩の決意をかためた。
肉親だからこそ戦い、止める。
ジャック兄さんの存在をガン無視だ。
彼は戦士として終わっているので除外なんでしょうか。
やっぱ、ジャック兄さんはむやみに身長を伸ばすべきじゃなかったのかも。
巨人=噛ませ犬の構図は危険すぎる。
今からでも遅くないから、低身長手術を受けたほうがイイぞ。
ホテルのバー『Eau de Vie』では、範馬勇次郎と愚地独歩が飲んでいた。
こやつら、また飲みに来たのか。(
範馬刃牙 17巻
137話
)
前に飲んだ時、けっこう楽しかったので定期的に逢っているのかもしれない。
なお、「eau-de-vie(オー・ド・ヴィ)」とは英語brandy(ブランデー)。生命の水。西欧の蒸留酒の名称の語源だそうだ。
勇次郎は常人なら急性アルコール中毒で死ぬような度数の高い酒が好きっぽい。
さすが、いかなる軍隊でも止められない生物だ。
そんな暴力生物が爆弾発言をする。
「こ……ッッ」
「恋してるっ………て」
「だ………誰に!?」
「倅………」
「刃牙にだ」
禁断の親子愛ッ!
誰が得するんだよ、この展開ッッッ!
ファンサイトの人間だとネタとして得をしますが……、普通の読者はどうだ?
自分を満足させる対戦者として刃牙が育ったことが嬉しいらしい。
なら、そういえば良いのに。
勇次郎は言葉のチョイスも暴力的だ。
シロウトのふるう牛刀なんかよりも独歩にダメージを与えている。
それにしても、告白する勇次郎の表情が怒っているみたいなのは、なんだ?
自動販売機で冷たいを買ったのに熱いが出てきた人でも、ここまで表情ゆがまないってぐらいに怒った顔だ。
これが勇次郎の愛情表現なんだろうか?
それとも本気でしぼりだして告白したのかも。
性的な意味で恋しているワケじゃないと知り、独歩もホっとする。
さすがの武人も勇次郎の告白にはビビったようだ。
むしろ、独歩の反応を見て勇次郎が話をスリかえたのかもしれないけど……
「気付いたら………」
「刃牙のことばかり」
「考えている」
「何をしていても」
「心の隅に刃牙
(やつ)
がいる」
「確かにな…………」
「そいつァ 恋愛
(こい)
だ」
恋愛(こい)とは、歯痛のようなもの。なにをしていても梢江が消えてくれないのだ。(
バキ13巻
112話
)
さすが親子ですな。同じような恋愛観をもっている。
普通の恋愛(こい)に着地したりしません。
空挺部隊のように危険な降下をする。
刃牙の親父LOVEもスゴいが、勇次郎の息子LOVEもスゴい。
地上最強の親子愛だよ。
これって、刃牙の愛に勇次郎が反応したってコトなんだろうか?
勇次郎を倒すのは暴力ではなく、愛だ。
刃牙は愛で勇次郎をとろけさせている。
憎しみだけのジャック・ハンマーにはできない芸当だ。
いや、ジャックの場合は根本的に弱いのかもしれないけど。
強さ+愛 、が勝利の方程式なのか?
「よく見る夢がある」
「奴に…………… 手も足も出ぬ夢……」
「叶わぬ故………」
「夢と云うのだ」
そして、勇次郎は刃牙に敗北することを夢見るようになってしまった。
刃牙の勝利が見えた瞬間である。
何物もつらぬく矛を盾で止めようとしてもダメだ。
矛で対抗しても勝てない。
あえて受ける覚悟で、やわらかく包みこむ。
刃牙の太陽政策が勇次郎の心を溶かしはじめている。
範馬の親子喧嘩が終了したとき、今回の話は重要な伏線になっているかもしれない。
アキレス
のカカト、
ジークフリート
の背中など、無敵の勇者にも弱点がある。
勇次郎の弱点は心の中にあったのだ。
刃牙は父と戦う決意をかためた。
勇次郎は自分の敗北を夢見るようになる。
舞台はととのった。
決戦の時は近いッ!
次回につづく。
勇次郎が本当に敗北を望むようになるなんて……
たぶん、こっそり料理の練習もしているんだろうな。
今回も勇次郎はタバコを吸っている。
せっかく節分にチャンピオンが発売されたんだから、
恵方巻き
を喰えばよかったのに。
もちろん手作りする。そして、刃牙の口にネジこむ。
今回の勇次郎は指でビン切りし、グラスについで飲んでいる。
前に独歩と飲んだときは直接切ったビンに口をつけていた。
アレは、あとでクチビルが切れていたのかもしれない。
勇次郎、はしゃぎすぎたとチョット反省。
たくましくなった刃牙だが、ゴキブリダッシュに開眼したのも大きいのかも。
ボクシング王者ボルトの登場など、刃牙世界ではスピード重視になりつつあるのかもしれない。
攻撃力と防御力を競う戦車の時代から、華麗なる戦闘機の時代に変わって行く感じだ。
もっとも、刃牙は地を高速で這うゴキブリだけど。
・
追記
(11/2/9)
刃牙がどんなにガンバっても勇次郎には勝てない。
そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。
勇次郎が敗北を望むようになったぞ。
これで刃牙が勝利する状況が見えてきた。
しかし、勇次郎はしょっちゅう独歩と飲んでいるんだろうか?
アメリカ接客界の至宝ストライダムは放置かよ。
ストライダムにも接客のプライドがあるだろうに。
「なぜだ!? なぜ、ワタシではなくドッポ・オロチと飲みに行くのだ!?
ワタシとなら(米軍の経費で)高級クラブだろうと、バニーの店でもいくらでも連れて行くぞ」
「ストライダム、だから相手にもされんのだ、俺にも刃牙にもピクルにも」
「イ、イヤ、これでもピクルとは親友(ダチ)だよ」
「ぬるい。ぬるすぎるぞストライダムッ!
キサマとの飲みには一切の緊張感が無い。
愚地独歩はスキあらば襲ってこようとする気概があった。キサマには、それが無い。
俺を満足させたくば、強さを見せよ。闘志を持て。牙を剥けッッッ!」
「ッッッ!」(また、コレ? 今年の分はもうやったのに!)
それと、今度こそ刃牙がヤる気をだしたっぽい。
もう何年もヤルヤル詐欺をしていたのだが、今度こそ本気だ。
……本気だよね?
地下闘技場の最終トーナメントで、刃牙と勇次郎がメインイベントをつとめるのかと思っていたが、路上での遭遇戦になりそうだ。
ゴジラなどの怪獣は人口の多い都市を狙い撃ちにする傾向があるが、範馬親子も大都市で戦うのかもしれない。
でも、刃牙のことだから本当に路上で喧嘩するとは限らないぞ。
地下闘技場に試合枠をつくってもらって、みんなが期待して待つ中で、どっかに逃亡するような予想を裏切る行動をしかねない。
考えただけでも恐ろしいのが範馬刃牙だ。
2011年2月10日(11号)
第3部 第243話 親子愛
(899回)
範馬勇次郎は、息子・刃牙に手も足もでずに倒されることを夢見ていた。
赤子に対しても容赦しないといわれる勇次郎の闘争心がニブっている。
これなら刃牙にもチャンスがあるか。
地上最大最強の親子喧嘩が近づいている。
天気予報で雨といわれていればカサをもって行く。
台風が近づいているのなら、対策をする。
ゴジラが上陸しそうなら…………、人間の兵器じゃあんまり効果なんだよな。
とにかく範馬の親子喧嘩がおきるというのなら、その対策をすべきだろう。
徳川さんは前回、刃牙から「そろそろ喧嘩するよ。今度こそ本気だよ。ヤルときはヤルからね」と言われた。
それで徳川さんが動いたのだろう。
政治・経済の世界に太いパイプをもつ徳川さんだけに、動かす相手がすごい。
内閣総理大臣
・神崎尚人だ。
ちょっと前の首相は波斗山征夫だった(
23巻
191話
)
いつの間にか交代していたようだ。
首相の動向は新聞などできっちり報告されている。徳川さんと会ったのもバレバレなんだよな。
献金スキャンダルになったのだろうか?
現首相・神崎は自衛隊のヘリにのって習志野駐屯所へ視察に行く。
でむかえたのは
『習志野駐屯地司令第一空挺団長』『陸将 八代龍二』
だった。
精鋭無比と言われる
第一空挺団
だ。
日本における最強の歩兵部隊である。
でも、ちゃんと運動会もやったりするらしいぞ。
棒倒しで相手を確実に制圧するため、首を殴ることを推奨しているらしいが……(
バキ総集編 戦場の詩
)
絶対にTV放送できない運動会だ。
「わたしも知識不足でね」
「まさか空挺部隊が総理大臣の直轄部隊だったとは……………」
「ハハハハ」
「おっしゃるとおりです大臣」
「
有事
から夫婦喧嘩に至るまで」
「いつでもわたくしへ
直に
御連絡を……ッッ」
Wikipedia
に、空挺部隊は『防衛大臣直轄』と書いてありますが、まあイイや。
首相は自衛隊の最高指揮監督権をもっている。
最終決定権は総理大臣にあるのだ。
本当に夫婦喧嘩で空挺部隊を呼びだしたら、恥ずかしいよな。
それとも神崎首相の奥さんは浦安鉄筋家族の
花園勇花
みたいな人なのだろうか?
もしくは、
鳥野ねぎま
的な奥さんとか。
「わたくしもこの地位
(ポジション)
に就く以上――」
「幾度もその名を耳にしています」
「かつて……」
「君らはその男の息子と何かあったね……………」
「5年前…………… 北部方面隊管轄 大雪山中にて…」
「我が隊は範馬勇次郎の息子―――」
「範馬刃牙13歳に完膚なきまでに苦渋を飲まされています」
話題はさっそく勇次郎×刃牙の親子喧嘩についてだ。
勇次郎の名前は主要国のトップにとって必要な知識である。
うっかり機嫌を損ねる発言をして、勇次郎が殴りに来たらマジで死ぬから。
どっかの独裁国だって、毎年勇次郎にお中元・お歳暮の贈り物を欠かしていないのだろう。
神崎首相もちゃんと勇次郎の名前を知ったようですね。
そして、刃牙も13歳の時点で自衛隊を苦しめている。
自衛隊にとって範馬親子はかかわりたくない存在だろうな。
でも、任務だからイヤと言えないときもある。
「近くこの父と子が」
「衝突することが予測される」
「この親子喧嘩が」
「都内いかなる場所で勃発
(はじ)
まろうが」
「一般市民 周辺住民を避難させられたいッッ」
阻止(とめ)ろ言われなくて八代陸将ちょっと安心する。
ゴジラとガメラの戦闘(たたかい)を仲裁しろっていうようなモンだよ。
そりゃ、ムチャだ。
とりあえず要求は都内での惨事を防ぐことらしい。
対テロ行動といっしょですな。
都内と限定しているのは、なにか確証があるのだろうか?
とりあえず人の多い場所での喧嘩はカンベンしてくれってことなのかも。
「事前の情報さえ確かなら」
「連絡から現地到着まで30分以内で」
習志野からヘリで直行して活動する。
ピザの配達なみの速度で対応できるらしい。
これは素直にすごいな。
ただ、到着してからがお仕事だ。
しかも、30分間は勇次郎と刃牙が野放し状態である。
勇次郎を見守るのは難しいので、刃牙を見張っておく必要があるな。
いざとなったらムエタイ選手を30人ぐらい投げつける。
1人1分でやられているスキに空挺団到着って作戦でどうか?
「これはある意味実戦だ」
国民の命を守るための戦いがはじまろうとしている。
もしかしたら、殉職者がでるかもしれない。
まさしく実戦だよな。
戦車の使用を許可して欲しい。
もっとも遮蔽物の多い市街地は戦車にとってニガテな場所だ。(
学校で教えない 現代の戦車と戦闘車両
)
都市では
歩兵
の助けが必要になる。
やっぱり街中で勇次郎が暴れる場合は、歩兵に頼るしかないのだろう。
エジプトのデモだと戦車も出動しているが、戦車1両に対し装甲車2台ぐらいがついていた。
戦車は威圧感をだすためで装甲車がメインなのかもしれない。
都市における対勇次郎戦の場合も、戦車では小回りがきかず有効に使えないのだろう。
しかし、歩兵同士の戦いになった場合、勇次郎を止めることはほとんど不可能だ。
これはもう仮面ライダーにでも出てきてもらうしかないよな。
下手なライダーだったら返り討ちにあいそうな気もするけど。
とりあえず、勇次郎は
ライダーマン
や
G3
より強いと思う。
首相や自衛隊まで動きだした。
これで、もう戦うの止めるなんて言わせない。
徳川さんのしいた範馬シフトで親子喧嘩はいやおうもなく盛りあげられていく。
いいか、保護体勢のある都内で戦うんじゃ! ワシの目が届く都内じゃ!
なんとなく、徳川さんの声が聞こえる気がする。
そのころ、刃牙は合気柔術の達人・渋川剛気の道場を訪ねていた。
刃牙が今度こそ本当に(しつこい)勇次郎と戦うというので、話を聞きたくなったのだろうか?
ちなみに渋川さんは勇次郎とは戦いたくないし、戦えないという。
達人は護身完成しちゃっているので、危険を察知した身体が現地まで行かなくなるのだ。
武術家にとって負ける勝負をしないコトはけっこう重要だ。
へんにプライドにこだわらず、実利をとる達人は現実主義者だな。
負けるとわかっていても命令されたら戦わなきゃいけない自衛隊とは違う。
達人が自分より勇次郎のほうがずっと上だと認めた。
刃牙は満足そうに同意する。
すっかり、お父さん大好きっ子になっている。
そんな刃牙にちょっとイラっとした。
渋川さんもイラついたのか、いきなり刃物を抜いて刃牙に突きかかる。
だが、刃牙は渋川さんの手を押さえて止めた。
成長した刃牙は刃物攻撃でも冷静にさばけるようになったのだ。
襲いかかった渋川さんは、何事もなかったかのように話をつづける。
「ねェ刃牙さん」
「無理でしょう……」
「アンタ戦争しようってんじゃないんだ…」
「こんな技量身につけちまって」
「健全な親子喧嘩だなんて…」
「お止めなさい」
「あのお父上から離れなさい」
なんか達人から停戦勧告がでたッ!
みんなの迷惑になるから戦うな、と来ましたか。
刃牙と勇次郎を誉めつつ忠告している。
なかなか上手い説得方法だ。
さすが渋川さん、説教の実力も達人級ですな。
でも、これは刃牙の覚悟を試しているのだろう。
板垣先生の奥さんは、板垣先生が仕事が上手くいかなくてグズると遊びに行こうと誘うそうだ。
そう言われると、逆に遊んでる場合じゃないと思いなおして仕事にむかえるとか。
渋川さんもワザと甘いことを言って刃牙を追いつめる作戦かも。
親子喧嘩は他人のために始めたり止めたりするもんじゃない。
完全に家庭内の問題だ。健全も不健全もない。
唐の知将
李勣
だって、
太宗
に跡継ぎ問題を相談されたら、それは家庭の問題だからと回答しなかったぐらいだ。
刃牙がまたサボるんじゃないかと、渋川さんは先回りして逃げ道をふさぐつもりだろう。
優しい事を言って、実はキビしい。ツンデレと逆の発想だッ!
いろいろなエライ人が刃牙と勇次郎の喧嘩を望んでいる。
だが、薦められたら逃げたくなるのが刃牙の性格だ。
そこで、あえて引くッ!
戦うなと言ってみる。達人の奥義が会話で爆発する!
でも、刃牙が「ですよね〜。俺が本気で戦ったらマジでヤバイっすよ」と同意しちゃったらどうしよう。
それとも、ドMな刃牙と殴られたくなった勇次郎が激突とか。
ふたりとも殴られるのをひたすら待つという放置プレイになったらイヤすぎる。
・
追記
(11/2/16)
実在選手をモデルにしたキャラが刃牙世界でボコられると、実在選手の調子が悪くなる。
そんな傾向があるともっぱらのウワサですが、政界にも影響あんだな。
一週間でイロイロ酷いことになっているぞ。自業自得だけど。
それはともかく、範馬の親子対決ですよ。
『
ラジオデイズ:対談 板垣恵介の巻
』で、そろそろ決着をつけると板垣先生が言っていた。
今度の流れは、ついに本格的な決着にむかうのかも。
ただ、範馬の新兄弟がでるのは親子喧嘩が終わってから発言もある。
刃牙ワールドはまだまだ終わらんぜ。
でも、烈のボクシング編と地下闘技場ファイナル徳川杯がのこっている。
ボクシングは王者ボルトの登場で風呂敷をたたむメドがついてきた。
地下闘技場はどーするんだろ。
マトモにやったらコミックス10巻分ぐらいかかりますよ。
グラップラー刃牙の巻数を超えてしまう!
そんなこんなで、気がつけば次回で記念すべき900回目である。
グラップラー刃牙371話+グラップラー刃牙 外伝9話+バキ276話+範馬刃牙244話=900話!(SAGAは除く)
もう一度言うが、板垣先生は親子対決を進める気マンマンだ。
……1000回までに喧嘩、始まるんだろうか?(夢枕獏先生のあとがきを読んだあとの気持ちで)
2011年2月17日(12号)
第3部 第244話 来訪
(900回)
フルネームがタイトルになっている主人公・範馬刃牙は、そろそろ父親と喧嘩をしようと思っている。
改めて見直すと
「そろそろ父親と喧嘩をしようと思っている」
のフレーズがすごい不自然だな。
理由なき喧嘩という感じだ。
もっとも、刃牙が喧嘩をうる理由は昔からあるのだけど。
親父とヤるヤると言って500話ぐらいたってしまったが、今度こそ本気らしいぞ!
刃牙の父・範馬勇次郎は地上最強の生物と恐れられている。
最近では米軍も恐れるようなレベルの強さに成長しているらしい。
現代の地球では米軍より強い存在がない。
つまり勇次郎の強さもこれ以上は表現できなくなってきたのだ。
やっぱり範馬親子の関係は極まってきている。
勇次郎が空軍と海軍を試し割らなきゃいけなくなるほど追いつめられる前に、戦うしかない!
刃牙は達人・渋川剛気の道場にきていた。
そこで、渋川さんに勇次郎と戦うのをやめたらどうかと言われたのが前回の話だ。
渋川さんは本心で言っているのか?
それとも刃牙を試しているのか?
戦わない事に定評のある刃牙だけに、変なキッカケを与えないで欲しいのだが……
渋川さんが語りかけるのだが、刃牙はまったく返事をしない。
刃牙は無礼の面でもかなり成長しているようだ。
だが、渋川さんは怒らずに話をつづける。
さすが渋川さん、人との接しかたも達人だ。
「かつて範馬勇次郎は」
「腕に憶えのある者」
「すべての標的でした」
「それがいつの日からか………」
「誰も名乗りをあげなくなった」
「なぜだと思うね刃牙さん」
「強くなりすぎた」
なぜだと思うと問われて、4コマもの間沈黙をつづける刃牙はスゴいなぁ。
もう、ここまでくると芸だよ。
無礼芸というか、怒らせ芸だ。
背景から「聞いてやるから話せ」オーラがでている気さえする。
それはともかく。
渋川さんは衝撃の事実をつたえる。
範馬勇次郎が強くなりすぎた!
天井知らずだったインフレも限界に近づいている。
米軍はもっと大切に細かく倒しておくべきだったと後悔していそうだ。
たしかに、グラップラー刃牙時代の範馬勇次郎はがんばれば倒せるかもしれないレベルの強さだった。
そして勇次郎に喧嘩を売る人もいた。
みんなが勇次郎にスペシャルホールドをかける事を夢見ていたものだ。
なにしろ本部さんが勇次郎に喧嘩を売って、しかも勝つ気でいたんだもんなー
だが、そんな本部さんも武器をつかえば強いことが後に判明する。
勇次郎と戦うときも武器を用意しておけば勝てたかもしれない。
イヤ、それはムリか。
とにかく範馬勇次郎は強くなりすぎた。
いまさら刃牙がドーピングで強化しようが、超能力に目覚めようが、勝てる気がしない。
銃弾をかわすため逃げたり隠れたりするのと、勇次郎から逃げるのは同じレベルだ。
渋川さんの見立てでは、
範馬勇次郎の戦闘能力は戦車はヘリコプターなみ
になっているらしい。
機関銃で武装したぐらいの歩兵じゃ勝負にならないレベルだ。
これなら逃げだしても恥ずかしくない。
渋川さんは徹底的に勇次郎を持ちあげている。
勇次郎大好きっ子となった刃牙はコレで機嫌をなおしたのだろう。
刃牙が、ついにしゃべり始める。
「決闘じゃない」
「ましてや腕比べ」
「試合なんかではあり得ない」
「父と子」
「それ以上でもそれ以下でもない」
刃牙はあくまで親子を強調する。
つまり、勇次郎を敬うように、俺も敬えってコトですね。
違うか?
とにかく、親子喧嘩は勝負をつけるのが目的じゃない。
コミュニケーションみたいなものだろうか?
闘うことでしか理解(わか)りあえない親子なのかも。
勝利が目的ではない。
戦うこと自体が目的となっている。
範馬親子の対決はさけて通れない通過儀礼となってきた。
勝たなくてもいいんだから、最悪ボロ負けしても問題なし。
……ずいぶんハードル下がったな。
241話
で、刃牙が勝てるかもと期待させておきつつ、負ける予防線まで張る。
戦う方向に動いているのはワカるが、勝敗の行方はますます混沌としてきた。
なんか親子そろって負けたがっているような感じだよ。
両者ノックダウンでお互いに満足して負けるつもりか?
「一生ないかも知れない」
「明日にも起るかもしれない」
「否――――――」
「そもそも予定するものですらない」
ダメ押しで、戦わないかもしれないフラグまで立てていった!
恐るべき範馬刃牙だ。
この期におよんで、まだ逃げ道を用意しておくとは。
次回が60年後になっていて、78歳の刃牙と100歳を超えた勇次郎が戦いはじめてもおかしくない。
で、試合開始と同時に決着だ。敗因は勇次郎の老衰ってことで。
とにかく刃牙は親子喧嘩をするつもりで帰宅する。
熱心に親子喧嘩論を考えていたせいで、ヤンキー風の男三人にぶつかってしまう。
ゲームセンターのパンチングマシーンで遊んでいた彼らを突き飛ばした刃牙だが、あまり謝罪している感じがない。
当たりがあんまり軽いから、子供かと思ったよ。雌豚のほうがまだ重いね。みたいな言葉で挑発したのかも。
倒された男はいきなり刃牙の顔面を殴った。
だが、まるで効かない。
殴った拳のほうが痛いぐらいだ。
逆に、刃牙はパンチングマシーンに左ジャブを打ちこみ、軸をちぎり折る荒業をみせる。
まさに兵器のような戦力だ。
人間がこのジャブを頭に喰らったら、首がちぎれて頭が吹っ飛ぶかもしれない。
下手な拳銃よりも殺傷能力の高い拳であった。
そりゃ、戦車やヘリを比較対象にしたくなるよ。
刃牙は壊れたパンチングマシーンを放置して去っていく。
のこされたヤンキー三人は修理代を払わされるコトになるんだろうか?
相手を負傷させることなく、精神と財産に大きな傷をつける。
パンチングマシーンって一台いくらするんだろう。
範馬刃牙は恐ろしく成長した。
なんか、イヤな方向にだけど。
自宅に帰った刃牙は食事の準備をする。
シンプルに肉野菜炒めだろうか?
そして、刃牙ハウスに蓬髪の男が近づきつつあった。
(予感…………)
(……というより)
(確信)
(今宵――――)
(親父と水いらず!!!)
ついに、今夜親子喧嘩なのか!?
それとも普通にメシを喰って終わりかも。
刃牙のつくる料理が不味ければ戦いにつながる可能性もあるのだが……
けっこう刃牙って料理が上手そうだから、勇次郎も文句つけようがないんだろうな。
ここまで来て、あの頭は夜叉猿Jr.でしたってオチはないよね?
決戦は近いのか、遠いのかサッパリわからん。
そもそも決戦じゃないと言われそうだけど。
とにかく、次回につづく!
親子喧嘩にいたる道がどんどん整備されていく。
もう、あとは道にそって行くだけって状態だ。
でも本当に進むのかどうかが心配だよな。
刃牙が「一生ないかも知れない」などと言っているし。
お前は主人公がヘタレのラブコメ漫画かと突っこみたい。
布団ならべて寝ても本当に寝るだけで済ますタイプだ。
刃牙のことだから戦わない理由をいくらでもヒネリ出すんだろうな。
その一方で、いきなり戦いがはじまる可能性もすてきれない。
オリバやピクルの戦いは、いきなり始まった。
相手の気分や都合をムシしていきなり始めるのが、最近の刃牙が好きな戦いなのかも。
だとすると、刃牙の作った料理を勇次郎が喰って「旨い」と言った瞬間に刃牙が殴りかかるかもしれない。
せっかく息子の手料理を味わっていた勇次郎には不幸な戦いになりそうだ。
でも、ここで親子喧嘩がはじまると少し困ったコトになる。
ボクシング王者とついに試合が決まりそうな烈海王の立場がない。
でも、勇次郎だけでなく烈の気持ちや立場も踏みにじることができたのなら、刃牙にとっては満足なんだろうな。
今回は、グラップラー刃牙から通算して900話目だ。
(G刃牙371話+G刃牙 外伝9話+バキ276話+範馬刃牙244話=900話)
次回から気持ちを切り替えて親子喧嘩編に入る可能性もあるだろう。
気分を切り替えすぎて、範馬親子が100話ぐらいのあいだ放置される可能性もあるけど。
・
追記
(11/2/16)
勇次郎は敗北フラグを立てて、刃牙も敗北フラグを立てた。
どーすんだよ、コレ。
勝者のない戦いになりそうだよ。
で、勇次郎が突撃セガレの夜ご飯だ。
今度こそ晩飯のマズさに怒って戦闘開始を狙うのか?
迎え撃つ刃牙は料理の美味さで勇次郎をうならせて戦闘を回避する気のようだ。
いや、ここであえてゲキ不味料理をだすのかも。
意図的に砂糖と塩を間違えて勇次郎を怒らせるのだ。
でも、不味すぎると勇次郎が気をつかって、かえって戦闘回避になっちゃうかも。
これは、まさに塩梅が難しいな。
範馬の親子喧嘩を優先した場合、地下闘技場での戦いが放置となる。
もっとも、今までだって放置気味だったけど。
思い切って、地下闘技場は次のシリーズにまわしちゃうのかも。
グラップラー刃牙 → バキ → 範馬刃牙 と来たのだ。
ならば、次は『グラップラー』というタイトルでどうか?
これなら刃牙が居なくても問題ないぞ!
気がつけばコミックスも27巻まで出ている。
このままだと、バキの31巻を超えるのも近い。
やっぱりこの辺で決着だとは思うのだが……
親子喧嘩は何巻分つづく戦いになるんだろう?
デモンストレーションに1巻、バトルに1巻、回想に1巻、で3巻分かな。
2011年2月24日(13号)
第3部 第245話 親子、接触す
(901回)
第二回、チキチキ範馬勇次郎&範馬刃牙、親子食事会!
27巻
218話
で行われた第一回食事会はコーヒーを飲むだけで終わった。
今回はちゃんと食事をするコトをめざしているようだ。
全世界が、範馬のお食事会を注目している!
勇次郎の来訪を感じとり、刃牙は食事の準備をしていた。
ガンダムでいうところの
ニュータイプ
のような行動だ。
突然、虚空をにらんで見えないナニカと会話するような感じで、オールドタイプにとっては恐怖の存在です。
刃牙は勇次郎にちぎられた ちゃぶだいをセットする。(
27巻
219話
)
勇次郎にたいする皮肉だろうか?
でも、ちゃんと修理して使っている。
親父との思い出の品ってコトで大事にしているのかも。
「焼き魚にたっぷりの大根オロシ」
「キュウリの浅漬け」
「メカブに……」
「ゴハンとミソ汁……と」
「まん中にステーキだ」
美味そうだ。夜中に見るのはけっこうつらい。
純和風……と思わせておいて、最後にステーキなのが範馬流だな。
やっぱり肉ですか! 肉ですよね!
きっとステーキを美味く喰うための焼き魚であり、キュウリであり、その他なのだろう。
肉が主食で、肉がオカズだ。
ところで、前回ラストで野菜炒めっぽいモノを作っていたけど、アレは失敗したのか?
それとも肉成分が足りないということでステーキに変更したのだろうか?
いずれにしても ちゃぶだいの中心に居座るステーキが圧倒的存在感をはなっている。
きっと、この肉の取りあいで喧嘩がはじまるんだろうな。
原始人類が脳を大きくすることができたのは、肉食によるカロリー供給のためだ。(
ヒトの進化 七〇〇万年史
)
きっと飽くなき肉への欲求がDNAに刻まれているんだろうな。
準備が終わった瞬間、刃牙の髪が逆立った。
来た! 否ッ、来ている。
勇次郎は、すでに玄関でクツを脱いでいるところだ。
って、勇次郎が普通にクツを脱いでるよ、オイ。
この人も普通にクツ脱ぐんですね。
「邪ッ!」とか叫んでジャンプしたら、クツだけ残っている。
そんな脱ぎかたをイメージしていた。
脱ぐときはクツだろうが服だろうが破らずにはいられないぐらいの破壊衝動をもっているのが範馬勇次郎だろ?
勇次郎は意外と常識的にクツを脱いで家にあがる。
声もかけず、無断であがるあたりは非・常識的だけど。
洋式トイレで用をたすときも、普通にトイレのふたを開けたりするんだろうか。
てっきり「邪ッ!」とか叫んでフタを蹴り飛ばして(以下略)
勇次郎は無言で部屋にはいってくる。
刃牙は勇次郎に席をすすめ、二人は向かいあって座った。
ついに親子の食事が実現する!
(親父が来てくれる…… この現実だけでいい…)
刃牙ははやくも満足して感動しているようだ。
パパ大好きっぷりも すっかり板についてきたな。
まるで相手がきてくれるのを待ち焦がれる別宅の愛人みたいな感じだよ。
うん、なんとなく不健全な気がする。
きっと刃牙が過去の因縁をキレイさっぱり忘れすぎているのが引っかかっているのだろう。
とりあえず、親子喧嘩のコトも忘れる。
戦おうと思えば思うほど、戦いから遠ざかるのが最近の刃牙だ。
こうやって戦いを忘れるのは良い傾向だと思う。
見ているほうも戦いなんて期待してませんよ〜、という態度で見守っていれば向こうも油断して喧嘩をはじめるかも。
闘争心をすてることが、最初の戦いじゃい!
「一七時三〇
(ヒトサンマル)
ッッ」
「○勇
(マルユウ)
と○刃
(マルバ)
」
「○刃
(マルバ)
宅にて接触ッッ」
「現在もなお――」
「継続中にて――」
「予断を許さない状況にあるッッ」
「現在周辺区域を機動隊にて警戒」
「状況に変化が生じ次第」
「我が隊に連絡が入る」
刃牙と勇次郎の接触はただちに空挺部隊に伝えられた。
勇次郎の名称は勇を丸でかこったマルユウで、刃牙がマルバらしい。
(勇)に(刃)だ。
マルユウとかいうと、スーパーなんかにありそうな名前だよな。
勇次郎とは思えないやわらかい感じになっている。
とりあえず刃牙ハウスへの道は機動隊が封鎖した。
空挺団は待機中らしい。
移動するとコストもかかるし、体力も消耗する。
適時の出動をするため、まだ待機状態なのだろう。
空挺団の目的は家族喧嘩の被害拡大を防ぐことだ。
住民の避難と誘導が重要になる。
現地に行って戦闘に巻きこまれ行動不能になったら目も当てられない。
空挺部隊は切り札だから、使いどころを見定め戦力を温存しているのだろう。
親子喧嘩しているので危険だから避難してください。
なんて、言いづらいだろう。
喧嘩がはじまる前から避難させるワケにもいかないし。
今夜は関係者にとって長い夜となりそうだ。
そして、刃牙にとっても長い夜になるかもしれない。
範馬刃牙、渾身のメニューで勝負をかける。
やはり、カギはステーキか?
「いただきま―――」
(お…………親父が―― 会釈!!?)
(「いただきます」の―――― 会釈ゥ!!??)
(そ………………)
(そんな習慣があったのか……ッッ)
範馬勇次郎が会釈をした!
勇次郎も頭をさげることがあったのか!
レストランで食事してもチップを払わないような傲岸さをもっていると思っていたよ。
ちなみにチップはストライダムが払います。……たぶん。
食事の料金もストライダムが払う。
やっぱり「ごちそうさま」の会釈もするんだろうか?
魚の食べかたが汚かったり、好き嫌いで料理をのこしたら怒るのかもしれない。
クツを脱ぐコトといい、今日は勇次郎の秘密をいっぱい知ってしまった。
親子二人は無言で食事をする。
今のところ刃牙だけが汗を流し、劣勢の状態だ。
刃牙は会話をする余裕もないのかも。
(お…………………… 俺は…………………)
(この人のことをちゃんと知っているのか!!?)
勇次郎が会釈したことを刃牙はまだ引きずっていた。
父・勇次郎の事を知っているようで、全然知らなかったのだ。
憧れて追いかけて、憎み追いかけて、和解して食事をする。
つねに父親を意識してきた生涯だったが、勇次郎のことを知らなかった。
刃牙が見てきた勇次郎は、地上最強の生物としての勇次郎だ。
それはライオンの狩りのしかただけを観察するようなことだろう。
食事や生殖、育児などを見ていない。
刃牙も勇次郎の戦闘力しか見ていないから、食事の時のクセも知らなかった。
いまごろになって、人間としての範馬勇次郎を発見する。
朱沢江珠をどう思っていたのかとか、いまさら遅すぎるようなコトも聞けるかもしれない。
はじめて父と向かいあった刃牙は、どうするのか?
次回につづく。
範馬勇次郎の意外な一面を見ることができた。
食事の前に会釈するような人だったなんて。
でも、食事の前に手は洗わないんですね。
ハシを使うから平気なのか?
会釈もそうだけど、やっぱり勇次郎は日本文化になじんでいるな。
刃牙は思いきって勇次郎に質問をぶつけてみたら良いのかも。
とりあえず、ちゃぶだいへのツッコミ無しなのはナゼか聞いてほしい。
よくやるコトだから忘れているんだろうか?
あと、ジャックの母であるジェーンの再登場についても聞いてほしいな。
勇次郎にとって、よくやるコトだから忘れていそうだけど。
世界中にバラまかれた勇次郎の種って、いくつあるんだろう。
刃牙は勇次郎のことを知りたいと思いはじめている。
まるで恋する少女のようだ。
こうなったら、ヤることは決まっている。
闘う!
勇次郎も言っていた、
闘争は最大のコミュニケーションだと
。
相手を知るために闘う。
刃牙の行動がますます愛で動くようになってきたぞ。
愛と闘争は表裏一体だし、相手の望まないことをすれば有利に闘えるってことだ。
でも勇次郎がイチバン望まないモノって……
たぶん、刃牙が戦ってくれないコトだよな……
・
追記
(11/3/2)
明日、3月3日はひなまつりだ。
刃牙に不似合いなイベントだな。
いや、女の子だって刃牙読んでいると思いますが。
さて、いまごろになって勇次郎のことを知らなかったと刃牙が悩みはじめた。
夢枕獏風に心理描写すれば、さぞ名文になりそうだ。
確かに刃牙は勇次郎の戦闘能力しか見ていなかった。
でも今さらそこを蒸し返されると、また話が長くなりそうだよな。
勇次郎を理解するには、身近なところから攻めるのが楽だろう。
刃牙の母親・江珠は雄としての勇次郎に焦がれていた。
母の目を通して勇次郎を見るなら、強さ以外の魅力も理解できるかも。
いや、それだとセックスアピール過剰で変な方向にイっちゃいそうだよな。
それとジャックの母親ジェーンの存在も気になる。
というか、作者忘れていないか?
勇次郎に向ける愛憎はジェーンも江珠と同じだ。
妊娠しているがわかってもおろさなかったんだから、憎しみだけじゃないんだろう。
そういえば
ラジオデイズの対談で
板垣先生は「
チェ・ゲバラ
はモテたらしい。彼の子供を身ごもったら、おろすなんて考えないんじゃないか?」みたいなコトを言っていた。
勇次郎の遺伝子も最強を保障されているようなモノだしな。
なにしろジェーンに関しては一発必中だ。勇次郎は精子まで強い。
けっきょく勇次郎を知ろうとすると生物学的な強さに行き着いちゃいそうだな。
酒にも強い、とか。
胃も強いから、腐りかけの肉だって平気で食べる、とか。
意外と朝だけは弱い、とか。
勇次郎がどんな日常生活をしているのか想像できませんね。
布団で寝るのかベッドで寝るのかすらワカらない。
裏をかいてソファーで寝ていそう。
ゆで卵は半熟派なのか固ゆで派なのかも不明だ。
きっと生卵派だろうけど。
普通に飛行機に乗ろうとしたら、特殊体質すぎて金属探知機が生身に反応しそう。
で、職員が勇次郎を問いただそうとするけど、威圧感に負けて全員失神する。
これじゃ、飛行機が飛べない。
ストライダムを呼びだして米軍機で移動することになるんだろうな。
などと妄想はひろがる。
はたして範馬勇次郎の知られざる姿はあきらかになるのだろうか?
そして、話は対決に向かって進むのだろうか?
2011年3月3日(14号)
第3部 第246話 教育
(902回)
進化しつづける18歳、範馬刃牙が父・範馬勇次郎と初会食だ!
一般人が近づいて被害にあわないよう、機動隊が見守るなかで食事がはじまろうとしている。
かつて
バキSAGA
(
AA
)で、セックスは闘いであるコトを嫌ッッッと言うほど思い知らせてくれた。
今度は食! セックスは食であることを思い知らせるのか!?
いや、そっちじゃ無い。
食べる前から刃牙は汗を流していた。
流れる汗はピンチのしるしだ。
なにに汗を流しているのか?
勇次郎が「いただきます」で会釈したからだ。
(手に入れるとは―――とは 奪うこと)
(それが範馬勇次郎ではなかったのか!!?)
実の父親に向かって、こんな感想をもっている。
それが範馬刃牙だ!
刃牙にとっての父親像は殺して奪って喰らいつくす。
とにかく殺伐としたイメージらしい。
そんなふうに考えていた時期が私にもありましたというか、今でも同じです。
頭は下げるモノではなく、下げさせるもの。
むしろ、頭は殴るためのものだ。
カカト落しで地面に叩きつけるためのモノかも。
勇次郎はそう考えているに違いない。
そう思っていた私たちの常識が崩れてしまった。
(「いただきます」――――!!?)
(いったい何に頭を下げたのだ!!?)
会釈ひとつで、この慌てっぷりだよ。
板垣先生の新作『
どげせん
』(
AA
)では、土下座で奇跡を起こしまくるが、勇次郎は会釈だけで刃牙を震撼させる。
勇次郎はナニに頭をさげたのか?
(両親…!?)(食材となった生き物…………!?)(そこに関わった人々………!?)
刃牙は勇次郎が頭をさげそうなモノの可能性を考える。
最初に両親がくるのは意外だ。
勇次郎は親をまったく気にしてないっぽい。
息子にだって冷淡だ。
勇次郎が、刃牙にかまうのは『刃牙が強い』というのが大きな理由だろうし。
食材というのは、ありそうだ。
勇次郎は『闘って倒す』ことを『喰う』と表現することがある。
そして対戦相手には、けっこう敬意をもっているのだ。
敬意なしにデコピンで倒すこともあるけど。
食にたいしても戦うのであれば、敬意が生まれる可能性だってある。
刃牙のセックス相手である梢江も けっこう評価していたっぽいし。(
バキ13巻
494話
)
ならば、
ステーキにも説教するかもしれない
。
松坂牛とやら……。自己を高めろ。牛として、飽き果てるまで喰らわせつつも足りぬ霜降りであれ!
(俺……!? まさかの俺ェ!!?)
自分がイチバン範馬刃牙でした。
でも、作ってくれた人への感謝は忘れちゃいけないよね。
順当に考えたら、コレが最大候補だろう。
なにしろ勇次郎は親バカだし。超鬼親バカだ。
勇次郎の会釈ひとつでダウン寸前の刃牙は、機械的にキュウリの浅漬けを食べる。
もはや味もわからない状態だろう。
勇次郎が器用に魚の骨を抜き取っているコトに気がついているのかどうか……
戦場であれば二回は殺されているような油断だ。
そして、勇次郎がその気であれば二人の共通オカズであるステーキを二切れは奪われるような油断である。
「漫然と口に物を運ぶな」
「何を前にし―――――」
「何を食べているのかを意識しろ」
「それが命 喰う者に課せられた責任―――」
「義務と知れ」
勇次郎がいきなりマトモなことを言った!
刃牙が一切反論できないようなマトモなことをッッ!
ナニ、この人? 勇次郎さんって、こういうキャラだっけ?
まったく疑問の余地がなく、子供にも聞かせたくなるセリフだ。
でも、なぜか笑ってしまう。読んでる私を不審者にかえるパワーがある。
太らなくちゃいけない力士の宿命を背負う『
バチバチ
』にも出てきそうなセリフだよな。
身体が資本のアスリートは食事にも気をつかう。
食事は身体の材料だ。
F1マシンがビスの一本にまで気を使い設計されるように。日本刀を作るのに良質の鉄を求めるように。
強い肉体が欲しくば、食にも気をつかうのだ。
イブニングで連載している『弾丸ドラッガー』(
AA
)の主人公だって体調管理のために自炊している。
『
のりりん
』(
AA
)でも、自転車乗リはカロリーを気にしていた。
アンディ・フグ
はコーラが好きなのに我慢して夏でも熱い紅茶を飲む。(
アンディ・フグの生涯
)
都並敏史
は筋肉が硬くなるとビールを控える。(
狂気の左サイドバック
)
アスリートは本当に大変な生きかただ。
などと刃牙に食育を伝えながら、勇次郎はキュウリをポリポリ食べる。
勇次郎がキュウリをポリポリ食べてるよ!
すげぇ魔空間だ。
ミルクティーとか出したら、フーフーしながら飲んだりするんだろうか。
どんな萌えキャラ化だよ。
だが、刃牙には突っ込む余力すらないのだった。
闘争だけでなく、食卓でも惨敗だな。
ホームで戦っているというのに、なさけない。
というか範馬勇次郎が全方位に無敵すぎるのか?
命を食べるコトに感謝するってのは、日本的な思想だろうな。
たとえば、「家畜」は英語で「livestock」だ。(
日本の野球には「窓が足りないんじゃないですか?
)
キリスト教徒の「いただきます」は、食を与えてくれた主に感謝するものだし。
肉は人に食われるための存在として作られたのだから感謝する必要ないワケだ。
勇次郎の言葉になっとくできる刃牙は、同じ思想をもって生まれ育ったコトになる。
共感できるのは家族だからだ。広い意味で。
いっしょに食事をするのは、家族としての絆を深めるのだろう。
ちょっとベタな話ですが。
(俺は一体 この人の何を知っているというのだろう)
憧れ、憎み、夢中になって追いかてきたハズの勇次郎だが、知らないことが多すぎる。
刃牙は言葉がでてこないほどのショックを受けていた。
今までの前提が崩れちゃったから、体勢を立てなおしたいのだろう。
そして反撃だ。
刃牙は勇次郎がメカブを食べているのを見て反撃の糸口をつかむ。
会話がつづかないときは、身近なものの話題だ!
「そのメカブ…」
「最近よく食べてるんだ」
「カラダにいいからね」
「パックだから…」
「色々入ってんだろうけど…」
「カラダにいいから…………」
刃牙、テンパリすぎだ!
カラダにいい → 色々入ってる(カラダに悪い) → でも、カラダにいい。
自分で自分を否定して、また肯定した!
トータルで見れば、メカブ > 添加物 ってコトなんだろう。
でも、本当に思いつきでしゃべっているような感じだ。
なんか自信のないプレゼンで聞かれもしないのに商品の欠点をしゃべっちゃうみたいな感じだな。
この会話って勇次郎の「何を食べているのかを意識しろ」に対する返答だよね。
間が長いだけで、ちゃんと会話のキャッチボールをしているな。
なにしろ範馬親子だから、キャッチボールもスゴイ遠投でやっているのだろう。
途中から通りすがりのムエタイ選手にぶつける競技にかわりそうだけど。
「うむ……」
「防腐剤… 着色料… 保存料…」
「様々な化学物質 身体によかろうハズもない」
「しかし」
「だからとて健康にいいものだけを採る」
「これも健全とは言い難い」
「毒も喰らう 栄養も喰らう」
「両方を共に美味いと感じ―――」
「血肉に変える度量こそが食には肝要だ」
(ヤバい… 泣きそうだよ)
(親父が俺にまともな教育をしてくれているッッ)
私は笑いそうだった。否、笑った。
今日の勇次郎は本当にどうかしている。
食の評論家みたいになっているぞ。
しかも狭隘な自然食品至上主義者ではないあたりが、スゴい。
なんか勇次郎のことを普通に尊敬してしまった。
現在の世界では化学物質はさけて通れない。
完全に避けようとすると、それはかえって不自然だ。
『農薬で栽培され病原菌や害虫から何らかの攻撃を受けた野菜や果物は、自らを守るための防御物質を多く作り出すということだ。個人差はあるが、無農薬の野菜や果物を食べた人がアレルギーを発症するリスクは、農薬を使用した作物を食べる場合よりむしろ大きくなる』という話もある。(
思索の副作用
)
不自然なまでに自然をつらぬくよりも、ほどよく毒とつきあったほうがイイ。
道徳的な本ばかりでなく、暴力とエロのある漫画もてきどに読むほうが自然だ。
なにしろ暴力とエロは漫画より前から存在するのだし。
世の中には度量のない人がけっこういるってコトなんだろうか。
今日の勇次郎は魚もキレイに食べる。
まるで漂白剤に落ちた魚が溶けて骨だけになったようにピッカピカだ!(今週の『
行徳魚屋浪漫スーパーバイトJ
』と シンクロニシティー)
箸のもちかたも美しい。
なんという惚れさせ男だ。
こりゃ、息子も惚れる。
否ッ! 惚れなおすッッッ!
(誇らしい……)
(初めて親父が―― まっすぐに誇らしい)
まっすぐに誇らしいときましたか。
今までは歪んで誇らしかったんだろうな。
勇次郎は強いだけがとりえで、料理を手づかみで食べるとか思っていたんだろうか?
少なくとも魚をキレイに食べるとは思っていなかったけど。
骨ごと全部キレイに食べると思っていました。
地上最強の生物と紳士を両立させている。
今日の勇次郎はマジ最強だ。
これでは刃牙が戦意喪失してもしかたあるまい。
刃牙の次回策にご期待くださいだな。
(だからこそ言ってみたい!!!)
("親父ィ…………… 今日は洗い物やってくんね!!?")
チャレンジャー!
刃牙はまだ喧嘩を売ることあきらめていない!
というか、コレは普通に甘えているのか?
「食べさせて……」と言わない正気はもっているみたいだけど、刃牙が乱心したようにも見える。
今日の男前・勇次郎なら完璧に洗い物やって、さらに刃牙を惚れさせる展開もありそうだ。
これではさらに喧嘩から遠ざかるぞ。
刃牙は紳士・勇次郎を怒らせることができるのか!?
って、それが主役のやることですか?
次回につづく。
勇次郎最強伝説が、へんな方向にもふくらんじゃった。
ホストクラブを開いても地上最強になれるよ。
オーガは、夜も地上最強だ!
晩飯という意味で。
範馬親子がなごやかに食事をしていますが、外にいる機動隊たちに不穏なものを感じるな。
なんか怖いもの見たさで刃牙ハウスに近づこうとしていないか?
もし、機動隊が近づいているのなら……
デレ状態を見られた勇次郎が恥ずかしさをゴマカすために機動隊を血祭りにあげるだろう。
これが闘いのゴングとなるのか?
だからとてムエタイだけを狩る、これも健全とは言い難い。ムエタイも喰らう 機動隊も喰らう。
両方を共に美味いと感じ――― 血祭りに上げる技量こそが鬼には肝要だ。
いやね、これだけ勇次郎が良いこと言ったんだから、絶対反動があると思うワケですよ。
良いこと言ったら、その倍は酷いことするのが範馬勇次郎ってモンだ。
・
追記
(11/3/9)
範馬勇次郎は洗い物をするのか、否か!?
意外と普通にやりそうですね。
環境と下水管のことを考え廃油は捨てるな、とか例によってすごくマトモなことを言いながらやりそう。
なんかイキオイで家中の掃除や風呂掃除など片っ端からやってくれそうだ。
勇次郎理論で行けば、人がワカりあうには闘争(たたか)いが最も良い。
だから、刃牙が勇次郎を知ろうとするなら闘争(たたか)うしかないのだ!
と思うんだけど、刃牙はスキを見せたら逃げ出しちゃうからなー。
ひょっとして、あの機動隊は市民を守るためでなく、刃牙が逃げ出さないように見張っているのかも。
もはや作者ですら刃牙を戦わせるのが難しい状況かもしれない。
戦うチャンスはもう何度かあったもんなー
やっぱり逆転の発想で、刃牙に戦いたくないと思わせるしかないのだろうか?
土下座ですべてを手にいれる『どげせん』の瀬戸発ですら、刃牙から闘志を引き出すのは難しかろう。
基本的に土下座はダウナー系の攻撃で意欲を殺す技だし。頭を下げるだけに。
前回、『
アンディ・フグの生涯
』でアンディ・フグが夏でも熱い紅茶を飲むという話をした。
掲示板で、なんで紅茶なのかという質問がありましたが、答えはわかりません。
ちょっと該当部分を引用する。故人フグを偲んで平直行にインタビューしているところだ。
『―― コーラ飲んじゃいけないの?
平 アンディはあんまり飲まなかったですよ。K-1って試合の時に、選手に1本コーラが支給されるんですよ。だから、試合が終わった後に飲んでるのは見たことありますけどね。普段は夏でも温かい紅茶とかアンディは飲んでました。
――へぇ〜。平仲さんはダイエット・コークが好きだと言ってたけど、これは謎ですね。』
と、話題はここで変わってしまう。
記者なら、ここは突っ込んで聞いてみるべきところだと思うのだが。
だいたい、好きだから無分別に飲み食いしていいもんでもないだろう。
さて、なんでフグはコーラを飲まなかったのか?
私の考えでは、体を冷やさないためだとおもう。
コーラでなくとも、冷たい飲み物を控えていたから、紅茶を飲んでいたのだ。
試合が終われば腹下したり風邪をひいても良いので、遠慮なく冷たいコーラを飲むのだろう。
昔、
小川直也
がTVに出ていたとき、シーツは毎日かえると言っていた。
体を冷やさないため、夏でも冷房をつけずに寝るので、シーツを毎日かえる必要があるのだ。
一流になるためには熱くてもコーラを飲まず冷房をつけずに寝るような努力も必要なのだろう。
そして、刃牙はめかぶを食べる。
2011年3月10日(15号)
第3部 第247話 ジャンケン
(903回)
嵐をよぶ範馬家の食卓であった。
ちゃぶだいの上は戦場だッ!
食事は会議室で起きてるんじゃない。ちゃぶだいの上で起きてるんだ!
きっと字は「血邪武台」って書くんだろうな。
発音は「キャオラッ!」っぽい感じで。
とりあえず食事は無事に終わった。
ちゃぶだいの上は空になった食器が並んでいる。
そして、刃牙の食べたあとが汚い。とにかく汚いのだ。
勇次郎の皿はきれいなのだが、刃牙はちゃぶだいに こぼしたり、食器に付着させたりしている。
なんか、刃牙の入ったあとのトイレは使いたくないな。
(会釈…ッッ また………)
(間違いない…………ッ)
(親父は食事で―――― "いただきます" と "ごちそうさま"をするッッ)
刃牙は食後にふんぞり返っていた。
勇次郎と態度がまるでちがう。
まるで紳士と山賊ぐらいの差がある。
範馬刃牙は礼儀作法でも敗北した。
ワガママを通しまくる勇次郎だが、感謝の念は忘れないらしい。
「いただきます」と「ごちそうさま」をキッチリする。
実は「おはようございます」と「おやすみなさい」も言うのかもしれない。
ふだんの相手は、ストライダムだろうから省略していそうだけど。
範馬勇次郎は刃牙にだけデレるッッ!
刃牙は食器をさげた。
ココで勇次郎に食器を洗ってくれとたのむ気だ。
緊張の一瞬である。刃牙は汗を流しながら息を整えた。
vs梢江のときと、どっちが緊張しているんだろう?
いっぽう、勇次郎は壁に背をもたれさせて座ったままだ。
あの勇次郎がも たれかかっている!
疲れているのか?
息子との食事で、勇次郎もけっこう緊張していたのか??
でも「イイこと言って尊敬させたから俺の勝ち」ぐらいは思っているんだろうな。
なお、勇次郎が壁にもたれることで、刃牙のいる台所からイチバン視界がひらけた状態だ。
これは自分を見てくれというアピールか?
むしろ刃牙をこっそり見ているのかも。
なにもするコトがないので、勇次郎はヒマをもてあましている。
いや、刃牙が声をかけるのを待っているのか?
「洗い物やってくんね?」
(言った〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!)
刃牙は"地上最強の生物・範馬勇次郎"ではなく、自分の父親である勇次郎に声をかける。
自分のいうコトに、いちいち内心で自分ツッコミしながらも、ついに肝心の言葉をいった。
ガンバって言ったけど、背中を向けたままだ。
目をあわせて言う勇気はないらしい。
だが、勇次郎からの返事がない。無言だ。
この場合は無反応のほうが怖い。
無言のプレッシャーをうけて刃牙の言葉がどんどん弱くなる。
「忙しいとこワリィんだけど………」
どー考えても勇次郎は忙しくないだろ。
『どげせん』の瀬戸発みたいに禁煙に忙しいってワケでもあるまい。(
どげせん1巻
6話
)
それとも勇次郎は範馬勇次郎であることに忙しいのだろうか?
作家・
北方謙三
も北方謙三であるため、ガンバって眉間にシワをよせていたらしい。
勇次郎も"地上最強の生物"の雰囲気づくりが大変なんだろう。
刃牙は沈黙に耐えきれず振りかえった。
ホラー映画なら、必ずココで絶叫シーンがくる。
そして、やっぱり刃牙も衝撃を受けていた。
電撃ッ! 逆立つ髪ッ! 上に流れる汗ッ!
衝撃の映像は次のページでッッッ!
「ジャンケンだ」
勇次郎が拳を握って待ちかまえていた。
殴られるッ!?
とうぜん刃牙は身構えた。
だが、
この拳は「パンチ」ではない。ジャンケンの「グー」だ。
勇次郎が、食器洗いをかけたジャンケン勝負を提案してきた。
言うことを聞かせたかったら、力尽くで従わせろ。
(
27巻
219話
)
だったハズなのにジャンケンなの?
言っていることが、ずいぶん変わってしまった。
今日の勇次郎はいつも以上に先の読めない存在だ。
運も実力のうちってコトだろうか?
とにかく、洗い物をかけたジャンケン勝負が始まった。
最初はグー、である。
グーと見せかけて殴った、り しない。ちゃんとジャンケンをした。
刃牙はグーで、勇次郎がチョキだ。
「…………勝ったッ…………」
(見れる……ッッッ 親父の食器洗いッッ)
あっさり勝った。
かんたんに勝利してしまう。
思わず刃牙は呆然となって油断してしまった。
勇次郎のチョキが、刃牙のグーを挟みこむ。
まるでエモノをくわえこんだワニだ。
そして、圧倒的な指力で刃牙のコブシをしめつける。
人差し指と中指の力だけで刃牙のコブシは崩壊寸前だ。
ムエタイの神様といわれたチャモアンをデコピンだけで倒した勇次郎である。
いくら刃牙が強くても、コブシひとつがムエタイ神と同等以上ってコトは無いだろう。
……刃牙のほうが上かな。破壊されていないし。
とにかく、刃牙のグーは圧力に負けて、指が開き、パーとなった。
「覚えておけ」
「この世には石をも断ち切る鋏があるということをッッ」
なんか浦安鉄筋家族みたいなコト言ったッッッ!
範馬勇次郎はジャンケンだろうと負けたくない人なんだろうか?
勝利への飽くなき執念が勇次郎を強くしている。
だが、そんな勇次郎も刃牙に負けたいと思いはじめた。(
242話
)
今はまだジャンケンひとつ ゆずれないけど……
とりあえず刃牙は自分で食器を洗う。
負けて不満そうだ。
けっきょく勇次郎は「力尽くで従わせろ」という自分の言葉を実践したにすぎない。
勇次郎を従わせたければ、もっと強くなるしかないのだ。
次回につづく。
とりあえず刃牙の筋力は、まだまだ勇次郎に遠くおよばないことがワカった。
あそこで合気をかけて勇次郎を崩せばよかったかもしれない。
力で負けている分は、速さと技でカバーするんだ!
でも、勇次郎って速さと技も規格外なんだよね。
前回、勇次郎の名言が今回のキーワードかもしれない。
「毒も喰らう 栄養も喰らう」「両方を共に美味いと感じ―――」「血肉に変える度量こそが食には肝要だ」
つまり正攻法だけじゃなく、邪道も重要なのだと。
宇宙兄弟
風に言えば『ジャンケンを超える公平な方法はない』だ。
でも、公平さを腕力で破壊する。
勇次郎に勝ちたいのなら、正面からぶつかるだけじゃダメだ。
もっと工夫をしろ。ストライダムを見習え。(
23巻
188話
)
いや、それだとイロモノ担当になっちまうな。
そうなると、愛しかないんだろうか。
コブシをキャッチされたとき「手をつなぐなんて恥ずかしい」という感じに恥らえば良かったのかも。
思わず勇次郎もテレて力をゆるめたかもしれない。
え〜〜〜っと、愛で戦うって、こういう方法で良かったのか?
どちらにしても、勇次郎は迫力で説得してきた。
「覚えておけ、この世には理屈をも断ち切る迫力があるということをッッ」
ってコトですね。
このセリフは非常に便利だ。
「覚えておけ、この世には萌えをも断ち切る魔法少女があるということをッッ」
『
魔法少女まどか☆マギカ
』ネタ。誰でも思いつくなら、コレだ。
「覚えておけ、この世には推理をも断ち切る萌えがあるということをッッ」
逆パターンだと、『
GOSICK -ゴシック-
』だ。見終わったあと、幸福感があるんだけど推理部分が脳に残っていない。
そして、監督がアニメ刃牙(前期)の人と同じと言うビックリがある。
「覚えておけ、この世にはパンツをも断ち切る光があるということをッッ」
最近のアニメは放送時にパンツを光で隠して、DVDで解禁というパターンが多いですね。
もう光りすぎて、ナニをやっているのかワカらない状態ってことすらあるし。
「覚えておけ、この世には宿命の対決をも断ち切る主人公があるということをッッ」
『はじめの一歩』です。刃牙じゃないよ。
・おまけ
左の画像は
浦安鉄筋家族22巻
313発目より。金的蹴りの擬音が「バキ」
オキテ破りの刃牙パロ逆輸入だ!
手を砕かないあたりが、勇次郎の優しさですね。というか、親バカ。
2011年3月17日(16号)
第3部 第248話 機動隊曰く
(904回)
第二次 範馬親子会食は範馬勇次郎の勝利で終わった。
たかが食事に勝ち負けがあるのかと問われるとムズかしいのだが、勇次郎が勝ったのだからしかたがない。
理屈じゃなく 勝ちは勝ちなんです。
常識や理屈が通るのなら、チョキがグーに勝ったりしません。
食事会は壮絶すぎてギャグの場と化している。
コイツらなら、トイレだろうが風呂だろうが、爆笑の一発芸披露会にかえてくれるだろう。
だが、家の外には大きな動きがつたわっていない。
まるで高速回転するコマが遠くから見れば静止しているように。
親父がチョキの握力で、むりやり息子のグーに勝っている図なんて浦安鉄筋家族の読者じゃないと想像つかない。
市民を範馬親子から守る任務についている機動隊の人は双眼鏡で刃牙ハウスの入口を見張っている。
外から見ていれば、とくに異常はない。
ホラー映画なんかだと、一瞬でも目を離すとトンデモないことが起きるモノだが……
(〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ)
「うそだろ
」
一瞬ッ!
わずか一瞬目をはなしたスキに勇次郎が玄関からでていた。
(1)トビラを開けて。 (2)外にでて。 (3)トビラを閉める。
この三動作を瞬間でおこなった。
ジャブより速ぇえッッッ!
つうか、勇次郎は機動隊が目をはなすタイミングがワカっていたんだろうか?
機動隊が会話をしたのを聞いて外にでたのかも。
どんだけ耳が良いンだよ。鬼だけに地獄耳ですか。
刃牙ハウスのトビラは、高速で開け閉めされただろうけど壊れていない。
主人と同じで頑丈だな。
「!!?」
対象である範馬勇次郎が消えたッ!
と、思ったら背後にいるッッ!
それもハンドポケットのままだッッッ!
100m世界記録保持者のボルトも裸足で逃げだすような超スピードだよ。(
241話
)
勇次郎の高速ダッシュは本当に人間の域を超えている。
刃牙と梢江がバトルするところを寸止めしたときも、勇次郎はフッと消えていた。(
バキ13巻
114話
)
これはもう
「範馬勇次郎はテレポートができる」
と認めちゃったほうが楽なんだろうか。
瞬間移動なんてされたら、ますます勝てる気がしない。
そりゃ機動隊が目をはなしたスキに外に出るコトだって朝飯前だよ。実際は晩飯後だけど。
まあ、フェイントを使って接近した可能性もありますが。
双眼鏡は遠くが見えるかわりに視界が狭くなる。
だから、横に動いて視界から出れば消えたように見えるはずだ。
そこからダッシュする。勇次郎ならば、1秒で10mの移動が可能だろう。……たぶん。
うまく成功すれば瞬間移動したように見えるハズだ。
もっとも、刃牙と梢江の試合を中止に追いこんだときの瞬間移動は説明不能ですが。
勇次郎があの時ジャマしたのは、もっと性欲を高めてスゴい交尾をしろってことだったのだろうか。
青年誌に追いだされるように濃く、コミックス1巻分になるように長く!
武力介入さえなければ、豚骨スープなみの薄味ですんだかもしれない。
「貴様ら………」
「人ン家の周りをウロウロと…」
機動隊に勇次郎が怒ったッ!
これはけっこう正論だから反論しづらい。
勇次郎もイチャイチャを のぞかれたと思っているから怒ってゴマカしたいところだ。
つまり、血の雨がふるな、コリャ。
機動隊の人はポリカ製の透明な盾(
ライオットシールド
)を構えて、とっさに身を守る。
拳銃ならば充分防ぐ事のできる防弾性のある頑丈な盾だ。
だが、勇次郎の右拳はあっさりと盾を突き破る。
機動隊の人は揺るぎもしない。反動がなかったようだ。
まるで薄紙に穴を開けるかのように、かんたんに貫いた。
勇次郎の打撃は拳銃以上なのかッッ!?
そして勇次郎は、機動隊のソデをつかんで持ちあげる。
左手はあくまでハンドポケットのままだ。
盾を破って、すぐに拳を開いてソデをつかんだのか?
瞬時で、それだけ細かい動きをするとは、さすが範馬勇次郎だ。
ある意味、芸人だよな。
力の差を見せつけつつ、勇次郎はすごむ。
息子とすごす蜜月の時間をジャマされたくない親心なんだろうな。
俺にケンカ売ってるのか的の脅しを受けた人はたまらない。
ここは もう全力で否定する!
『後日……』
『隊員達は』
『こう語ったという』
『人間の頭部が』
『あれほどスピーディーに振れるのを』
『初めて見た…………と』
消えて見えるほどの高速首振りだ!
勇次郎の瞬間移動に勝るとも劣らない速度をだしている。
死ぬ気になれば人間はスゴい力が出せるってコトでしょうか。
つまり、勇次郎の瞬間移動も可能だッ!
勇次郎はストライダムを側近としているらしい。
つまり、勇次郎は体をはったギャグをかなり評価しているのだ。
(
23巻
188話
)
機動隊の高速首振りというギャグを見せられ、勇次郎は満足したようだ。
隊員をその場に捨て置き、何処かへと去ってゆく。
息子との健康的な一時をすごす。
コレだけでは健全とは言い難い。
息子も喰らう。機動隊も喰らう。
両方を共に美味いと感じ―――、血肉に変える度量こそが笑いには肝要だ。
『当事者に当たる警部』
『金光 高
(かねみつたかし)
の言葉である』
「まさかね… あれほどのものとは…」
「わたしも… こんな職を選ぶくらいですから」
「どこか強さへの憧れがあるのでしょうねェ………」
「なにかこう……」
「ぶっちゃけ抱きついて キスしたいぐらいでしたよ…………」
機動隊・金光警部も惚れる超暴力だ。
もう、勇次郎の強さは武器を超えて兵器のレベルだもんな。
戦車を素手で止めようとしているようなモノですよ。
金光警部は戦車に抱きついてキスしたいような感じなんだろうな。
今回は勇次郎の機嫌がよかったから、楽しげな雰囲気が出ていたのだろう。
あれだけ至近距離で勇次郎と接していたのに、失禁者が一人もでなかったし。
しかし、範馬の親子喧嘩から市民を守ることは非常に困難だと改めてワカった。
本気で暴れだしたら、戦車が必要だよ。
そのころ刃牙ハウス内では刃牙が悩んでいた。
グーを握力でムリヤリ負かせるのは反則じゃないか。とか、ではない。
握力をあげれば割れないグーになるんじゃないか。とか、を悩めばイイのに。
花山のグーと勇次郎のチョキだと、どっちが勝つんだろう。
そして勇次郎がグーを出したら、パーを突き破って勝つんだろうな。というコトでもない。
刃牙が悩んでいたのは勇次郎が去りぎわに残したセリフについてだ。
玄関を背にした勇次郎は刃牙に宣言する。
「いつも一方的なのは心苦しい」
「明日―― おまえを招待したい」
「空けておけ」
相手の都合を一切ムシした、一方的な勧告で刃牙を誘った!
いきなり、明日かよ。
今、夜だぜ。出かけるの、あと何時間後だよ。
どんだけ頻繁に刃牙と会いたいんだ、この親父は。
今度は勇次郎が刃牙を招待する。
どこで、どんな もてなしが待っているのだろうか?
ムエタイの殺り放題とか、ブラジリアン柔術の踊り喰いとか、そういう接待かも。
ストライダムの爆薬盛りが待ちかまえているかもしれない。
気をつけないと、ムエタイの殺り放題は10分すぎたあたりから、ムエタイに飽きてつらくなるぞ。
勇次郎からの招待という、未知の戦場が待ちかまえている。
刃牙はどんな心構えで向かっていくのか?
勇次郎の去った家で刃牙は思う。
(何 着てきゃいいんだ…?)
いや、それはイチバン悩まなくてイイ部分だろ。
どうせ勇次郎だっていつものカッコなんだろうし。
タキシード着て刃牙を出迎えたら、そりゃビックリして笑うけど。
とにかく、ショックが大きすぎて瑣末な部分に悩む範馬刃牙であった。
次回につづく。
勇次郎の機嫌がよかったのは、次回の約束をしたからだろうな。
で、次回の話をしつつ、勇次郎は瞬間移動するんですよ。
刃牙がとくに驚いていないのは、見慣れているからだろう。
あ、親父また消えたよ。相変わらず、せわしない人だ。ぐらいにしか思っていない。きっと。
勇次郎の招待が食事とは限らない。
イチゴ狩り的な感じで、武道狩りとか、ムエタイ狩りって可能性もある。
そして、もっともありそうなのが、自分をプレゼントだ。
つまり地上最強への挑戦権である。
勇次郎の招待が、そのまま最終決戦につながる可能性は高い。
そうなると、先に烈海王のボクシング挑戦をやっておかないとな。
しかし、勇次郎の瞬間移動を見てしまうと、ボルトのスピードが見劣りする。
刃牙はもうチョット驚いてもイイんじゃなかろうか。
ストライダムなら、きっと良いリアクションをするぞ。
・
追記
(11/3/23)
前回の宿題『勇次郎から誘いを受けた刃牙は、何を着ていけばイイのか!?』
刃牙ならなに着ても外してくれるであろう。
私は刃牙を圧倒的に信頼している!
そして、勇次郎なら刃牙がナニを着ていっても、オチをつけてくれるだろう。
こっちも、信頼感バッチリだ。
で、どんな服を着るのだろう?
・パターン1 普段着
素材で勝負するため、あえてTシャツ短パンで勝負をかける。
高級ホテルの入口で止められてしまう。
勇次郎が武力介入で入口付近の従業員を全員失禁させる。
刃牙、ものスゴクいたたまれなくなって帰りたい。
「親父、オシャレって自分の為だけじゃなく相手や周囲の人のためにもなるんだな」
ここで勇次郎さんが、なんか良いこと言ってハッピーエンドっぽくしめる。
だが尿でしめった絨毯はかんたんに乾かないのだった。
・パターン2 間違ったオシャレ
クジャクの羽根を飾りつけてムダに高級感をかもしだす普段着ではありえないオシャレ着とか。
『STAR DRIVER 輝きのタクト』みたいな感じで。(
『STAR DRIVER 輝きのタクト』23話感想 さすがスガタさんwww凡人とはレベルが違うぜ!
:
好き好き大好きっさん
情報)
刃牙なら、わりと違和感なく着てくれるハズ。
勇次郎も絶賛だ!
「親父、やっぱ死に際の集中力ってスゴイな」
ここで勇次郎さんが、なんか良いこと言ってハッピーエンドっぽくしめる。
だがクジャクがホテル内を徘徊したという都市伝説は簡単に消えてくれず、奇人がよく訪れるホテルになってしまう。
・パターン3 勇次郎のコスプレ
尊敬する親父のマネをしてみた!
「これってペアルックって言うんだろ(はぁと)」
ここで勇次郎さんが、なんか良いこと言ってハッピーエンドっぽくしめる。
だがホテル従業員のあいだに流れたイヤ〜〜ナ空気は1ヶ月間きえなかったという。
・パターン4 フツウにタキシード
徳川さんに借りに行く。
「バカモン、わしゃ和服派じゃ!」
タキシードを借りるコトに失敗し、時間におくれる。
刃牙が遅れたので、キャンセルされたと思った勇次郎が大暴れしてホテルが倒壊していた。
「親父、遅れてゴメン」
ここで勇次郎さんが、なんか良いこと言ってハッピーエンドっぽくしめる。
方向性として、こんな感じじゃないかと思います。
そう思わせておいて、烈のボクシング編になっていたりして。
2011年3月24日(17号)
第3部 第249話 最後の晩餐
(905回)
範馬刃牙vs.範馬勇次郎の第三回チキチキ地上最強の親子会食ッッッ!
第一回はコーヒーのみで終了した。第二回は刃牙の手料理だ。
そして、第三回は勇次郎からさそった。
江戸時代の
花魁
は三回通わないと相手にしてもらえないらしい。
勇次郎との会食も、同じぐらいの進展だ。
勇次郎は住所不定・無職(?)なので、基本的にホテル暮らしをしている。
刃牙が招待されたのは『Hotel Park Hilton』という高級そうなホテルだった。
まあ、予想通りですね。
いきなりアパートに呼びつけて手料理+裸エプロンでもてなしたら、意外すぎて勇次郎の偽者だと思っちゃうよ。
「ま………」
「マズいでしょ………………」
「この服装………」
高級ホテルに舞いおりた地下格闘王子・範馬刃牙の登場だッ!
今日も普段着だぞ!
って、地下からきたンだから「舞いおりた」は変か。
高級ホテルに這い出てきた地下格闘王子ですね。
いつもと変わらぬ服装で自分らしさをアピールしている。
ただ、相手は高級ホテルだ。
ムエタイの練習をして柔道の試合に出るような無謀といえる。
刃牙は無事にホテルに入れるのだろうか?
もしや、これが勇次郎の課した最初の試練かも。
ホテルを突破して俺のところまで来い!
「範馬さま」
「承ってございます」
ちゃんと勇次郎が手配していたらしい。
マネージャーのオッサンが刃牙を待ちかまえていた。
すんなり通したので勇次郎が刃牙の容姿をくわしく伝えていたのだろう。
勇次郎が必死になって説明している姿を想像すると、なんか なごむ。
あ、そういう面倒なことはストライダムにやらせているか。
マネージャーは、勇次郎は個室をとっているので刃牙の格好で問題ないという。
勇次郎は刃牙が普段着でくると読んで、個室をとったのか?
いや、親子水入らずを楽しむために個室にしたんだろうな。
細やかな気づかいが感じられる選択だ。
刃牙は一品6,400yen 〜 10,500yenという値段がのっているメニューを見てビビる。
さらに壁一面が窓ガラスになっている部屋にもオドロいた。
圧倒的なセレブ感に刃牙は精神的ダメージをうけているようだ。
でも、刃牙だって朱沢グループの子として高層ビルの上のほうでトレーニングしていたよね。
戦いに明け暮れる毎日で、昔のことは忘れちゃったのかもしれない。
母のカタキという意識が薄れたので、昔の記憶も消えかけているのかも。
勇次郎はこの部屋をよく利用しているらしい。
読者なら なんとなく知っている情報だが、刃牙は知らなかったのだろうか?
刃牙は勇次郎の強さばかりを見ていたから、それ以外の情報に詳しくないのだろう。
と いうワケで刃牙は勇次郎の食事状況を聞いてみる。
「お肉…… お魚…… お野菜…」
「なんでもよく召し上がります」
「牛やチキンといった家畜よりは」
「鹿や野ガモ 猪などの野生のお肉を好まれ――」
さすが、毒も栄養も喰らい共に美味いと感じ血肉に変える漢(おとこ)だ。(
246話
)
なんでも食べるらしい。
勇次郎は野性っぽく生肉ばかり食べているんじゃないかと思っていたけど、そんなことはなかったぜ。
ただ、野生の肉は好きらしい。
野生の肉はかたくて脂肪が少ない玄人好みのあつかいにくい肉。通好みですな。
勇次郎は自分で狩りをして野生動物を食べたりもしている。
ときにはサルの脳みそが食べたいと言ってマネージャーを困らせたりしているのだろうか?
これは ぜひ勇次郎の注文で困った食材ベスト10を聞いてみたいところだ。
だが、ここで範馬勇次郎が登場する。
いつの間に!
またテレポートかッ!?
(親父がジャケットを…)
刃牙が勇次郎のファッションをチェックする。
そう、範馬勇次郎が上着を着ているのだ!
ほぼ1年365日 年中無休で勇次郎はおなじみの格好をしている。
紅葉に襲撃されたときに寝ていたけど、あの時も同じ服のまま寝ていた。(
グラップラー刃牙6巻
52話)
その範馬勇次郎が上着をきているッッッ!
センスはかなり微妙な気もするけど、胸ポケットにハンカチを入れる本格派だ。
この一戦にいどむ勇次郎の本気がうかがえる。
刃牙はTシャツで来ちゃったことを後悔しているだろうなー
なお、刃牙は勇次郎が瞬間移動してきたコトに驚いていない。
もう慣れているのだろう。
勇次郎は刃牙の前だとカッコつけて瞬間移動を多用しちゃうのだ。
マネージャーがビビっているから、普段はあまり瞬間移動を使わないらしい。
やっぱ勇次郎でも瞬間移動は疲れるのだろう。
勇次郎は個人情報をバラすんじゃないとマネージャーにすごむ。
マネージャーが勇次郎の困った行動を話してくれそうなタイミングで武力介入しやがった。
こりゃ、部屋の中に隠れて出るタイミングをはかっていたな。
こういう細かい芸を積み重ねていくことで、範馬勇次郎の神出鬼没伝説が生まれていくのだろう。
「シティホテルで食事とくれば和・洋・中を問わず」
「ジャケットの着用は必然ッッ」
「それを十八
(18さい)
にもなろう大和男子
(やまとおのこ)
が」
いきなり勇次郎が刃牙の服装に文句をつけた!
刃牙のチェックが上着だったのも驚いたけど、勇次郎も服装からチェックかよ。
この似たモノ親子め!
上で書いた紅葉の襲撃事件では、勇次郎はジャケットを着用しないで食事していた。
ストライダムとレストランで食事していた時も着ていない。(
25巻
202話
)
普段は勇次郎だって着ていないのに、ズルいぞ。
刃牙と食事だから気合を入れてオシャレしたのに、刃牙が普段着だった。
それで勇次郎は怒っているのかも。
「ゴメン…」
「ちゃんと教えられたことなかったし」
「イヤミか貴様ッッ」
勇次郎、大爆発だ。
ホテルごと激震させるような怒鳴り声をだした。
なにしろホテル内のレストランで「!」が飛び交うぐらいだもん。
時期が時期だけに予震だと思った人も多そうだ。
服装で敗北しながらも刃牙は強気だった。
勇次郎がみせた細かな気づかいから、自分が愛されていると感じて余裕が生まれたのかも。
汗はかいているが、刃牙は攻める。
「もちろんイヤミだよ」
「正しい挨拶 正しい言葉遣い 正しい装い」
「正しい接し方 正しいマナー……………」
「俺は一度だって」
「教えられたことがない」
「……く…ッッ」
勇次郎が言い負けたッッッ!
ごく局所的な部分だけど、刃牙が勝ったよ、オイ。
今日は、今日こそ歴史が動くかもしれない。
席につく前から火花を散らす親子であった。
横で見ているマネージャーは震えている。
今夜の行動は、勇次郎の困った行動No.1になるのだろう。
こんなシロウトのマネージャーではなく、プロのストライダムを同席させれば良かったのに。
「"強い"」
「その一点だけは教え通りさ」
「試してみたらいい」
「今ここででも」
刃牙が挑発をつづける。
もう汗はひいていた。
覚悟を決めたのだ。
今日、ここで勇次郎と闘う!
マネージャーにとっては勘弁してほしいだろうけど。
たしかに刃牙は勇次郎から闘争以外のことを求められず、教えられなかった。
でも、それ以外のことは他のところで学べば良い。
教えられたコトだけやる受身じゃなく、自分から学べッ!
と、言ってゴマカすことも勇次郎にはできた。
だがゴマカさなかったのは、勇次郎が刃牙にたいして誠実であろうとした結果だろう。
やはり勇次郎は刃牙に敗北(まけ)たがっている。
このまま食事もしないでバトル開始かッ!?
と、思われたが勇次郎は着席をうながす。
人間、空腹時はいらだつものだ。
空腹時の怒りは純度がひくい。
満腹で満ち足りた時の怒りこそが、地上最強の親子喧嘩にふさわしいのだ。
って、コトか?
単純に勇次郎が刃牙と食事をしたいだけかもしれないけど。
それとも、親子喧嘩は怒りの感情で行うものじゃないと思っているのかも。
神聖な戦いに邪念は不要だ。
どちらにしても親子喧嘩は回避され、食事がはじまる。
二人は正方形のテーブルに斜めの状態で座った。
向かい合わせに座ると視線がぶつかるので対立しやすい。
恋人との食事はカウンター席などで隣に座ったほうがいい、という。
となりに座れないのなら、斜めに座るほうがよい。
この席順は勇次郎が考えたのだろう。
つまり、
勇次郎は本気で刃牙との関係を良好なものにしたいと考えている
。
ストライダムのときは向かい合わせだった。(
25巻
202話
)
やっぱり刃牙は勇次郎にとって特別な人間なのだ。
マネージャーは食前の飲み物を聞く。
戦争が勃発しないで命拾いしたな。
これで安心して職務にもどれる。
とりあえず なんか飲んで落ち着いてくださいというのが本音かもしれないが。
「フレッシュオレンジジュースを…」
「ドライシェリーを」
「大きめのグラスで」
勇次郎は刃牙に注文させてから、自分も注文する。
どんな飲み物をたのむか力量を測ったのだろう。
ミネラルウォーターか? 未成年だけどアルコール?
い〜や ココは炭酸抜きコーラだ!
絞りたてフレッシュ、オレンジジュースは合格なんだろうか?
適度な酸味で食欲を刺激するという意味で、食前酒がわりになりそうだ。
未成年には無難な選択だろう。
ちょっと面白みに欠けるけど。
ここで、メカブ汁と言いだすような無謀が欲しかった。
「代表的な食前酒だ」
「飲
(や)
ってみろ」
「旨いや………」
「ん………」
『こうして俺達親子の宴は火蓋を切られた』
超おだやかな親子の会話で闘争(バトル)スタートだ!
って、勇次郎が「ん………」とか、かわいい返事しちゃってる!
無口系の萌えキャラかよ、アンタ!?
こんな反応されたら、刃牙だって
「これって親父と関節キス……」
とか言い出しかねない。
異様な空間が広がってしまったが、戦闘開始らしいです。
次回につづく。
……つづくのはイイが、来週から4号分おやすみらしい。
つまり連休前まで休載だ。
そして連休だから、1週休みになる。
なんてッ、スケジュール組みやがるんだッッ!
刃牙の供給を断って兵糧攻めをする気か!?
でも、次回はかわりに『餓狼伝』の1話を掲載するそうな。
チャンピオンコミックスとして
リニューアル
するから、その宣伝だろう。
丹波がレストランを揺らしたと思ったけど、本当は勇次郎が怒鳴った時にゆれたモノです、ってネタにされるな。(建物が違います)
イブニングには『
オールラウンダー廻
』(
AA
)というリアル系格闘漫画があるから格闘漫画枠が狭くなったのかも。
もしかしたら、ヤングチャンピオンあたりに移籍だろうか?
まさか少年チャンピオンで刃牙と餓狼伝の同時連載はしないだろうけど。
そして、4月28日の連載再開が最終決戦の開始だ!
とうとう親子喧嘩がはじまる。
穏やかにはじまった食事は、いつどのタイミングで喧嘩にかわるのか?
やはり、メインの肉料理でサイズの大小が原因になるのか?
とにかく、はじまってんじゃん親子喧嘩! 展開になる予感がする。
食前酒で酔った勇次郎が、いきなり絡んでくるという展開もふくめ、油断できないぞ。
出てくる料理すべてが地雷と思えッ!
・おまけ
今週の刃牙の表紙は東日本大地震へのコメントだった。
不可抗力からだって立ち直る。
人の持つ、そんな美しい力を見せて下さい!
人の力を信じる熱いコメントだ。
作者コメントは以下のとおり。
『困難を打開するときこそ自分らしくもない積極性を。俺はそう信じてます。』
被害が軽かった・受けなかった人は、できる限りのことをする!
そんな気になるメッセージですね。
ちなみにイチバン効果的なのは寄付だそうです。
私もささやかながら寄付をしました。でも、ちょっと積極的にまた寄付をしようかな。
すこし面倒でも直接振りこめば、災害復旧や被災者など目的もわけて寄付できるようです。
・
宮城県/寄附金の取扱いについて
・
福島県ホームページ - 組織別 - 寄付金・義援金・義捐物資・ボランティアの受け入れについて
なお、阪神大震災直後の板垣先生コメントは、
22:40 - 情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明さん
が掲載してくれています。
『神戸の皆さん。漫画なんか読んでる時じゃないでしょうが、こんな時こそ漫画なのです。』
漫画には人を立ち上がらせる力がある。
……あるんだけど、4週間も休載だよ。
・
追記
(11/3/31)
連休前まで、刃牙はお休みです。
そのかわりに
餓狼伝
が掲載されています。
タメにタメて、ものすごい食事をするんだろうか、あの二人はッッ!
なお、これから毎号 板垣先生の言葉がのるらしい。
今週の言葉は以下のとおりだ。
『騒ぎ過ぎでしょ、皆さん。
たかが食事ですよ。
ただ…、あの2人
ですからねェ…。』
なんか、他人事みたいな書きかただ。
だが、こういう時ほどヤバい。
地面に叩きつける前に持ちあげるようなものだ。
爆発させるために、静けさを演出する。
きっと、板垣先生はトンデモないネタを仕込んでいるにちがいない。
・
追記
(11/4/7)
連休前まで、刃牙はお休みです。
そのかわり『
餓狼伝
』と『
疵面
』が掲載されています。(疵面は明日更新予定)
刃牙vs.勇次郎の食事会まであと3週間だッッッ!
来週は『疵面』と『バキどもえ』が掲載されるぞ!
『マッチメイクはね。無茶な方がオモシロイんだよ。』
これが、今週の板垣恵介コメントだッ!
でも、ムチャすぎるマッチメイクだと勝敗が見えちゃうんだよな。
グラップラー刃牙の最大トーナメントでは、幼年編と少年王者編のキャラを戦わせたらどうなるかを考えていたらしい。
花山vs加藤とか……
ね、いくらなんでも、コレは結果見えすぎでしょ。
実際に板垣先生だって採用しなかったんだし。
……すると夜叉猿が花山のかわりなのか?
とにかく、範馬家の食事会はムチャなマッチメイク(コース料理)が出てきそうだ。
範馬につりあわないような、料理がッッッ!
「サムワン海王」
「代表的な噛ませ犬(ムエタイ)だ」
「殺(や)ってみろ」
「旨いや………」
「ん………」
なんてムチャな男体盛りが出てきたりして……
・
追記
(11/4/14)
刃牙の再開まであと二週ッ!
普段は19ページぐらいの連載作品が、60ページを二回やるってことは実質6回分だ。
休載意味ねーな。
今週の板垣恵介談は以下のとおり。
『見て来た! アイツらヤってる!』
なんか誤解をまねく「談」ですな。
刃牙と梢江のファイトでも見たんだろうか。
……冗談です。
たのむから冗談であってください。
刃牙と勇次郎がヤリあうのは確定のようだ。
なごやかな食前酒のシーンからなにがどうして殺伐となるんだろうか?
まあ、範馬家の人たちは買った食パンの6枚切りと8枚切りを間違えただけでもブチギレるだろう。
きっとスープの温度が冷たいの熱いのでブチギレだな。
今週と来週は『バキどもえ』が掲載されているぞ!
スイミングクラブ朱沢にやってきたのは烈海王だ。
ギャグにおける烈海王の安定感はバツグンだな。
ボクシングよりもギャグのほうが向いてんじゃね? 天職だよ。
烈はいきなり水上歩行を披露して監視員に怒られる。
右足が義足になってもできたんだ。
きっとたゆまぬ鍛錬の成果だな。
足裏の面積は約半分になっているから、以前の倍踏みこんでいるのだろう。
でも、なんかスゴイ無駄な努力をしている気がしますが。
なんだろう、次の烈チャレンジは水泳編か?
種目は自由形だ。まさに真の自由形です。
・
追記
(11/4/27)
明日、ついに範馬刃牙と範馬勇次郎が戦うッッ!
……らしいぞ。板垣先生が見てきたらしいし。
結果がどうなろうと、これで『範馬刃牙』も最終回になるんだろうな。
エンディングに向けて範馬親子が動き出したのは、とりあえずめでたい。
しかし、烈のボクシング挑戦と徳川さんの余命と地下闘技場スペシャルマッチは、どーすんだろ。
急に親子対決のメドがついちゃったから、そっち優先って感じで放置なんだろうな。
さすが思いつきで十数年も連載やってるぜ。
次回がどーなるのか本当にわからん。
先週の東野幸治対談で、ホテルで始まっちゃったら観客がいなくて寂しいと言われていた。
たしかに寂しい。あと、オドロキ役と解説役が欲しい。
ホテルにたまたま本部さんが泊まっていたりしないもんだろうか?
でも、あの人は金なさそうだから高級ホテルに縁ないんだろうな。
そうなると、やっぱり徳川さんか。
徳川さんが財力にモノをいわせて盗撮部隊をおくりこんでいるかも。
むしろ、おくりこんでいて欲しい。
徳川さんが背後にいれば、ホテルのマネージャーが喧嘩に巻きこまれてリタイヤしても大丈夫だ!
しかし、こんな歴史的瞬間に立ち会うマネージャーは、タダモノじゃないのかも。
実はスゴい実力者だったりして。
2011年4月21日(21号)
板垣恵介・東野幸治 対談
ついに来週、親子喧嘩が開始される! らしい。
きっと、スゲェくだらないことで喧嘩がはじまるんだろうな。
「そういえば親父、餓狼伝と同じイブニングで連載している『
よんでますよ、アザゼルさん。
』が、アニメ化して原作どおりの下ネタにチャレンジしててさー」
「邪ッッッ!」
「えっ、なに怒ってるの? まさか、裏番組の『
GOSICK -ゴシック-
』派なの? ゴスロリ少女好き!? やっぱり俺は親父のことを何も知らない……」
などという展開かもしれない。
ちなみに『GOSICK -ゴシック-』の監督
難波日登志さん
は、アニメ・グラップラー刃牙 前半の監督なので勇次郎も贔屓にしていたのだ、と言うオチだ。
今週は板垣先生と東野幸治が対談だ!
東野幸治と言えばアメトーーク!(
感想
・
AA
)で範馬勇次郎のコスプレをしたぐらいに刃牙が好きな人である。
それだけに核心に踏みこんだ対談となっていた。
イロイロと気になる部分を引用してみる。
板垣「去年までは僕とスタッフ一人、そして編集さん二人の合計四人で打ち合わせをしていたんです。でもいよいよ親子の食事が始まるとなった辺りから、打ち合わせをしなくなりました」
刃牙って、板垣先生が独り思いつくままに描いているのか思っていましたが、それなりの人数で打ち合わせしていたんですね。
ジャンプ・サンデーは担当編集者が一人で、マガジンは複数と言われている。(赤松健
2005年(前半)の日記帳
3/27を参照)
人数が少ないほうがマニアックになる傾向があるらしい。
だから、チャンピオンは担当が0.5人ぐらい(ほとんど放任のため)かと思っていました。
板垣先生の手綱を引くには一人じゃ足りないってことだろうか。
で、現在は板垣先生が打ち合わせなしに書いている。
担当ポイントがゼロになっちゃった!
整数をゼロで割ったら無限大ですよ。
無限のマニアックスだ。
きっと、かつてないほどに尖りまくった展開がまっているぞ。
板垣「もう無理でもいいからマッチメイクしちゃおうと。
戦いはするけど、刃牙が勝つ見込みは低いらしい。
勇次郎の強さは作者ですらもてあますほどだ。
だからといって、勇次郎に勝てるまでまっていたら、いつまでたっても戦いがはじまらない。
そこで、とりあえず投げてみましたって感じだ。
ドリアン vs 加藤みたいな戦いになるかもしれない。
それとも、ドリアン vs 末堂だろうか。
ダラダラと負けつづけられるのは、ちょっとイヤだな。
でも、個人的にドリアン vs 末堂はかなり好きな戦いです。
とにかく、
来週の60ページはスゴいことになっているらしい。
4週間またされた渇きを癒して余りある強力な話のだろう。
次回、歴史が動くのか!?
今週は『バキどもえ』が二本立てだ。
本編に一歩先んじて、松本梢江と絹代の親子喧嘩がはじまった!
ムダにレベルの高い喧嘩していますね。
コイツこそが花山薫に「痛い」と言わせた女だ!
さすがの梢江ちゃんも『バキどもえ』に出演中は、ちょっと美少女になっていますね。
もう一本は神心会トリオだ!
愚地克己は板垣先生も再評価していて、現在も成長中らしい。
人間的にも成長した感じですよね。
『バキどもえ』だと、思いっきりハメられていますが。
2011年4月28日(22+23号)
第3部 第250話 史上最強の親子喧嘩
(906回)
刃牙と勇次郎の親子対決を決着させると銘打ってはじまった『範馬刃牙』が、ついに親子対決しそうだ。
連載開始から5年以上がすぎた第250話のことである。
マラソンで言えば、もうすぐスタート開始ですよ。
うん、きっとココからも長い。
刃牙と勇次郎の晩餐がはじまった。
立派なコース料理だ。
とうぜん 刃牙には未知の料理ばかりである。
総合格闘技に初めて挑戦する空手家の心地だろう。
「前菜の説明をさせていただきます」
「黒トリュフを裏漉しにした…」
「味付けをオリーブの実…」
「和のテイストとして お豆腐と生クリームを裏漉しにした」
「シェフお勧めの一品でございます」
いちおう説明を聞いているが、刃牙は聞き流している。
興味ない話題だから、耳に入っても脳に届かないのだろう。
まるで嫌いな科目の授業を聞いているときのように。
いや、刃牙は実践派だから理屈よりも体験なのかもしれない。
本能的な故………純粋…ッッ! 純粋故に的確
(ただし)
かった。
刃牙は勇次郎に簡単な食事の作法を教わり、食事にかかる。
勇次郎は刃牙にマナーを教わったコトがないと言われたのが効いているのかもしれない。(
249話
)
刃牙にイロイロ教えたくてしかたがないんだろうな。
勇次郎が選んだと思われるコースは刃牙に大好評だ。
きっと刃牙の好みを調べまくって、この日に備えてきたんだろうな。
きっとパックじゃないメカブとかも出たにちがいない。
海亀のスープなど、めずらしい料理をだして刃牙の冒険心を刺激しているようだ。
しかし、世にも奇妙な物語に『海亀のスープ』という話があって、ちょっと微妙な気分になりますが。(参考:
海亀のスープ
)
刃牙と勇次郎の喧嘩は、きっと些細でくだらないことからはじまる。
そう考えていた時期が俺にもありました。
マヨネーズを要求して怒られるとか、鴨肉をわさび醤油で食ったほうが美味いと言い出したり、とか。
美味いものを食っているときは、おおらかな気持ちになれるのかも。
刃牙と勇次郎は、きっちりと最後までたべて、食後のエスプレッソコーヒーを大きめのマグでたのむ。
勇次郎は酒でもコーヒーでも大きいのが好きだな。
やっぱり噛ませ犬もデカいほうが好きなんだろうか?
小粒でもピリリと辛いムエタイよりも、肉ばっかり食っているような巨人が好き。
刃牙も勇次郎をマネて苦いコーヒーを飲む。
素直にバナナジュースとか炭酸抜きコーラを たのめばよかったのに。
それが喧嘩の糸口になったかもしれない。
刃牙はまたチャンスを逃したワケだ。
「なんで……?」
「なんで親父はお袋を殺したの」
「小僧っ子の理解力では」
「踏み込んではならぬ領域がある」
「身の丈をわきまえろ」
いきなり直球がきた!
あまりにド真ン中すぎて予想できなかった、核心を突く質問だ。
すっかり和解したもんだと思っていたが、やはり刃牙は勇次郎が江珠を殺したことにこだわっている。
殺された江珠の心境を聞くことは、もうできない。
ならば、殺した勇次郎の気持ちを聞こう。
勇次郎は刃牙の質問にこたえない。
もしかしたら、勇次郎もワカらないのかも。
江珠を殺したあとの勇次郎は、呆然とした様子を少し見せていた。
そして、周囲にいた人間を漏れなくボコる。ここで花山もボコられていたハズ。
全員KOして勇次郎はヘリに乗って帰る。
この時、勇次郎の表情が憂いを帯びているようにも見えるのだ。
勇次郎と江珠の決着には、謎が多い。
なにしろ男女の機微ってヤツだ。オマケに二人とも普通じゃないから、他人に理解できないことなのだろう。
刃牙は、そのデリケートな部分を直撃した。
息子の権利として。
刃牙は大胆に勇次郎を挑発する。
胸倉をつかみ、首を締めた。
マネージャー野中三夫も、これにはビックリだ。
勇次郎の怒りが爆発したのか、背後の窓ガラスにヒビが入る。
怒りで振動した筋肉が衝撃波でも起こしたのか!?
「地震だッ」
『不思議な光景でした』
『立っていることも やっと という揺れです』
『そんな最中………』
『揺れていないのです』
『あの2人だけが』
『まるで2人の足元だけが』
『静止しているかのように…』
ここで地震発生だ。
幼年編で刃牙と勇次郎が戦った1995年には
阪神・淡路大震災
があった。
そして、また地震である。不気味な因縁だな。
今回を乗りきれば、刃牙と勇次郎はもう戦わないだろうから、しばらく安心かも。
とにかく、地震が起きてもバツグンの足腰で揺るがない範馬親子だった。
電車の中だろうと、船の中だろうと、乱気流にもまれる飛行機の中だろうと、この親子は不動でつかみあえる。
地球上最強の生物が噛みあう。
勇次郎はハンドポケットのまま身体をひねって刃牙を飛ばす。
親切にイスの上に落とした。
さすが親バカだ。
手を出すまでもなく刃牙は投げ飛ばされた。
やっぱり、圧倒的な実力差だ。
しかし、刃牙は生意気な態度を崩さない。
勇次郎もついに怒りを爆発させる。
ズチャ!
足音が変化(かわ)った!
「刃……牙……」
「かしこまれいッッッ」
1ページつかって怒鳴られて、思わず刃牙は直立不動となる。
勇次郎が凄まじい機動力で刃牙の背後を取った。
はたく。吹っ飛ぶ。窓ガラスが割れて、刃牙は外に放り出された。
だが、窓枠にしがみついて落下していない。
高確率で死ぬような一撃を叩き込んできた。
だが、叩いた場所は尻だ。
もちろん人は尻を叩かれて死ぬこともある。
オマケに叩くのは勇次郎だし。
窓を突き破って落ちなくても充分に致命傷になりそうだ。
『臀部
(けつ)
で炸裂
(はじ)
けた…』
『人類
(ひと)
ならぬモノの衝撃………………』
刃牙も勇次郎の威力を感じている。
並みの尻なら今の一撃でヤられていた。
刃牙の鍛えられた尻だからこそ無事でいるのだろう。
お仕置きの定番といえば、尻叩きだ。
勇次郎は定番から入ったらしい。
次にやるのは、ほっぺたツネリだろうか。
と思ったら、手へのビンタだった。
やっぱり死ぬようなところは狙っていないらしい。
だが、範馬勇次郎に叩かれたらハンマーで叩かれるようなものだ。
手や指が骨折して、エラいことになる。
刃牙は叩かれる寸前に手を引っこめて、逃げる。
『少年は理解し始めていた………』
『急所を狙わぬ父親…………』
『闘いではない……』
『これは"仕置き"なのだ……と』
まだ親子喧嘩にすらなっていない。
お仕置きだ。
生意気な態度の刃牙を勇次郎がしつける。
やっぱり、マナー等を教わらなかったといった刃牙の言葉が影響しているのだろうか。
刃牙の手をお仕置きできなかった勇次郎が蹴りこんできた。
狙いは、また尻か?
蹴られた刃牙は吹っ飛んで壁を突き破る。
さすがに外に突き落とすのは危険だと、勇次郎も反省したのかもしれない。
このまま仕置きがつづくと、ホテルが崩壊するぞ。
突如、高級ホテルが危険な戦場と化した。
いそいで利用客を避難させねば!
「どうだ…」
「わたしのカンも…」
「たま〜には当たるだろ」
首相・神崎尚人が機動隊に自慢する。
危機意識のない お人ですな。
そもそも、たまにしか当たらないのかよ。
刃牙は後ろを蹴られているからいいけど、前を蹴られたら玉に当たる情況だと言うのに。
首相がみずから見守るなかで、地上最強の親子喧嘩がはじまろうとしていた。
仕置きとはいえ、実質的に始まっていると見てイイだろう。
このホテルは親子喧嘩に耐えるコトができるのか!?
次回へつづく。
予想していなかった、勇次郎への直撃だった。
寄り道の好きな刃牙が、真っ直ぐに質問するとはッ!
こんな重い質問を出したからには、本気で決着をつけるしかなさそうだ。
刃牙の人生に大きな影響を与えたエピソードだしな。
とりあえず、
闘争 > 喧嘩 > 仕置き
、という感じで順番に闘いが激しくなっていきそうだ。
刃牙はどこまで勇次郎を本気にさせることができるのだろう。
とりあえずジャケットを脱がせたら、仕置きから喧嘩に昇格だ。
で、上半身を裸にさせたら闘争になる。
さらに、鬼の背中を解放させたら、死闘と言えよう。
ここまでは想像できる。
だが、その先はどうだろう。
上を脱ぎきった勇次郎は、下も開放するのか?
刃牙への執拗な尻狙いはその伏線かもしれない。
・
追記
(11/5/11)
親子喧嘩が、ついに始まったァ!
しかも、キッカケが「何で母・朱沢江珠を殺したのか?」だ。
こんな重いテーマでは引くに引けまい。
「う〜ん、その場のノリって言うか、弾みでな。オマエができたのも、ワリと弾みだったし」
実際、これが正解じゃないかと思っているんだけど、こんな軽いノリで返答できないだろう。
この喧嘩はHPの9割ぐらいを削らない限り終わらないぞ。
いや、ホテルが先に崩壊して喧嘩中止になる可能性もありますが。
勇次郎が江珠を殺したのは、愛しすぎた結果かもしれない。
強すぎるとイロイロ不便な事もあるのだろう。
たとえば尿圧が強すぎて、便器をいくつも
水流カッター
で駄目にしているかも。
もしそうだとすると、勇次郎もけっこうさびしい人生だ。
刃牙を強く育てたのは、全力で抱きしめても壊れない人が欲しかったのかもしれない。
話をもどそう。
喧嘩がはじまって、さっそく壁が破壊されている。
刃牙とオリバが戦ったときも刑務所の壁を数枚ブチぬく怪獣大決戦だった。
究極決戦である今度の喧嘩はさらなる破壊がおこりそうだ。
たまたまホテルに宿泊していたストライダムが巻きこまれてコッキャコキャになるかも。
いや、時事ネタを取りいれるなら、たまたま日本に潜伏していたビンラディンが巻きこまれて死亡するってのもアリかな。
ピクルが巻きこまれて泣くようなダメージを受けるような切ない噛ませ犬展開が無いことを祈ろう。
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