今週のチャンピオン(と言うかバキ)
2001年8月2日(36号)
第2部 第91話 許されぬ自由(471回)
「一撃だ…」
「地面に落下する以前に絶命しているようです………」
と、前回空中へダイビングしたジェフ・マークソン氏は大地を踏みしめる事なく、死んでしまったようです。地面に落ちる前に死んでしまったと言う事で出血はほとんどありません。そして、彼の死因とは…
「それにしても見ろよこの…」
「胸に残った痕跡………」
「いったいどんな力で…」
そう、ジェフ・マークソンの胸には小型のクレーターのような凹みができている。雨が降れば水溜りができそうなぐらい見事な穴と化している。
オリバの拳の恐るべき破壊力がここに証明されています。
さて、そのクレーターの製作者はと、言うと…
「心配せんでよい」「散弾銃(ショットガン)でチョイと撃たれただけだ」
と、普通なら散弾銃で撃たれた事をイチバン心配するはずなんですが、まるで問題にしていません。
この怪物ぶりには勝手に応援に来られて縄張りを荒らされた警察官の方々も眉間にしわを寄せて黙るしかありません。
「サンキュー ミスターオリバ」
「また助けられたよ」
と一応警察の方からもお礼を言っています。
もっとも、犯人のジェフくんの動機はオリバに対する私怨ですし、オリバさんは呼んでもいないのに勝手に来た訳ですし、お礼を言う必要は特に無さそうなんですけど。
まあ、この人が機嫌を悪くすると周囲の人間にとってロクな事が無さそうですし、ご機嫌取りぐらいはしておかないとマズいんでしょうね。
「いつでも声掛けてくんな(はぁと)」
とぶっとい笑みにウインクで、園田警視正を連れて帰るオリバさん。
「一件落着(イッケンラクチャク)ダ」
となぜかカタカナの日本語で話を締めます。
いや、なんか解決して無い気がするのは私だけでしょうか…。ついでに世の犯罪捜査捜査を扱ったフィクションは、犯人がラストで死にすぎると思うのは私だけでしょうか。
さて、自宅であるアリゾナ州立刑務所に戻ったオリバさんが、まず取った行動とは、食事だった。
「スク…」と抵抗無くナイフで切れる肉厚のステーキッ! そしてワイン。
さすがに園田警視正も、もう「受刑者が―――――」などと驚かなくなりましたが、驚くべきはその量です。
「ミスターは傷を負ったようだな」
「怪我をされたときはいつもそうだ」
「メニューは全てステーキに統一される」
「肉とワイン……………」
「それだけ食し傷をふさぎ」「快復させる…………」「トカゲだなまるで」「シィッ……聞こえるぞ」
と言うわけでオリバさんは自力とステーキで怪我を快復させてしまうと言う超常能力の持ち主のようです。
怪我を快復させるわけですから、肉を喰う喰う。
「ミスター…………」「適量かと…………」
と、お付き(?)の看守さんが言った時には絵に載っているだけで、ステーキ 約91皿、ワイン10本と言う量である。
「いったい何キロ食べたんだ」と、これには園田警視正も突っ込まずにはいられません。
ちなみに警視正はオリバさんが食事中ずっと立ちっぱなしで、ステーキは一皿も出されていなかったようです。日本を出てから、せいぜい機内食ぐらいしか食べていないような状態で、これは拷問のような仕打ちだと思うのですが…
やっぱり、オリバさんは人の事なんか考えていなさそうです。
そんな不幸な園田さんですが、ここでオリバの体に起きた異変に気がつきます。
「数時間前に撃たれた傷が…………」
「もう薄く皮膜が張り早くも快復しかかっている」
人間じゃない…………………
と、地上再弱と噂される栗木くんがかつていったセリフ「人間じゃねェ……」とほぼ同じセリフを言います。これは、最大へっぽこキャラの新旧交代を意味するセリフなのか!?
それはともかく、食事の終わったオリバさんと仲良く所内を歩く園田さん。ちゃんと食事は取ったのでしょうか?
2人が歩く場所は、天井までの高さの数々書物がぎっしり詰まった本棚が一面に並んでいる部屋です。
「ここは……」「図書室か………?」
と、尋ねる園田さんに
「私の蔵書だ」
と、答えるオリバさん。
「服役中にこれを全て読破しているのか!!?」
と、ナイス リアクションで返す園田警視正。すっかり息も合って来ています。
知識=知恵では無いのですが、オリバがただの怪物マッチョでは無く、その頭脳も怪物並と言う事がこの事からもわかります。
伊達に「知らぬことなどないよ彼(ミスター)に………」と評されていません。
「ソノダよ」「協力しよう」
「残る3名―――――――」
「彼らに――――――――」
「わたし以上の自由は許さない!!!」
こうして、オリバついに参戦を表明!
と言うか、なんちゅうワガママな理由なんでしょうね。
この人もまた、己こそ最大、己の意を通す力こそ強さ、な人なんでしょうか。
ついでにこの時点で傷はふさがっていて、警視正も2重にビックリしています。
オリバさんが食後にわざわざ自分の蔵書を見せびらかしたのは、時間を稼いで、参戦宣言と同時に超快復を見せつけようと計算していたのかもしれません。
やっぱり、この人って人を驚かせるのが大好きなのかも…。
そして、東京の高速道路を走行中と思われる車内に場面はいきなり飛びます。
後部座席には園田警視正とオリバさん。運転席には片平恒夫巡査(34)らしき人物が…
片平巡査にしては目元がきりっとしている気がしますが、花山に憧れて鍛えなおして顔つきも変わったのでしょうか。
さて、こんな狭い車内でオリバさんがおとなしくしている訳がありません。
「ソノダよ」
「わたしを1人にしてくれないか」
と言い出すと、返事も聞かず車のドアをブチ破る。
「心当たりがある」
と言ってウインクをぶちかまし、走っている車から飛び降りる。
急いで車を止めたものの、オリバの姿は既に見失われています。
さすがは我らのヘッポコ警視正・園田盛男 オリバ来日初日に早くも失態です…
これ以上、傷付きようが無いと思いますが、これで園田さんのキャリアに新たな傷が付きました…
さて、飛び出したオリバが最初に狙うのは、果たして誰か?
そして、今週はラスト1ページに大どんでん返しが待っていました。
シコルスキーに連れ去られた梢江ちゃん、下着姿で登場だッ!
後ろ手に縛られ、衣服を脱がされ、これは貞操の大ピンチかッッ!?
危険な状況で次回へ続くッ!
さて、一見梢江ちゃんの貞操のピンチですが、まあ、相手が梢江ちゃんだけに心配はいらないと思われます。
次回、ここにやって来るのは刃牙かオリバか!?
まあ、時間と距離の優位性から刃牙がかけつけ、そこにオリバが乱入すると言う構図がもっともありがちな感じです。
ところで、梢江ちゃんの下着ですが高校生にしては気合が入っているように思えます。
刃牙とのデートがあっただけに勝負下着を着用していたのかッ!? スイマセン、緊迫感無い上に下品で…
2001年8月9日(37+38号)
第2部 第92話 もう一人の男(472回)
今週のバキ、表紙からして猛っています。と言うか彼女のピンチに晴れ晴れしい笑顔をしていたら、少年漫画の主役失格でしょうが。
さて、前回のラストで下着姿のまま後ろ手に縛られていた梢江ちゃんが登場して、全国のバキファンの間では衝撃が走りました。
こんなシーンは見たくない、できればアニメのスタッフに梢江ちゃんを描いてもらいたかった、頑張れバキッ! シコルスキーの無謀を阻止しろッッ!
と、何人もの刃牙ファンが主人公にエールを送った事でしょう。
そして、今週はいかにッッ!?
冒頭で、縛られた梢江ちゃんが、ソファーに座り背を向けているシコルスキーに問います。
「こんなことをして いったい なにになるのよ!?」
同感です、大統領。梢江ちゃんを縛ってナニになるんでしょうか。
おそらく、シコルスキーは梢江ちゃんを監禁し、服を剥ぎ取ったのでしょう。
「……ッッッ!?」
だが、相手は仮にもこの作品のヒロイン・松本梢江です。その姿にさすがのシコルスキーも力が入りません。ちなみに、アメリカでオリバさんがショットガンの銃口を向けられ、力いっぱいたぎっていたのはこの時とほぼ同時刻と推測されます。
「コレハマズイッッ」
やや自信を喪失しかけたシコルスキーは、さらなる刺激をわざわざ下着を着せて見たり求め縛りを加えてみました。
だが、シコルスキーはダウンしたまま立ち上がる事は無かった…
「イイサ、俺ハドッチカト言ウト、オ姉サン派ダモン…」
と、自分に言い訳をして梢江ちゃんから目をそむけソファーに座り窓から外を眺めるシコルスキー。
そして、やはり自尊心を傷つけられた梢江ちゃんはそんなシコルスキーに罵声を浴びせます。
「こんなことをして いったい なにになるのよ!?」
なんにもなりませんでした…。シコルスキーの背中が少し寂しそうなのはそう言う意味があったのです。
と、言うような内容の妄想が一瞬で湧き上がったのですが、次ページで話は急展開を見せます。
「闘うってことだけで」「こんなことがどうして必要なの」
と言う梢江ちゃんの問いかけをまったく無視するシコルスキー。
相変わらず梢江ちゃんは、平和主義を貫いているようです。監禁されているのにここまで口答えすると言うのはかなり気丈な少女です。
だが、シコルスキーが気にかけているのは梢江ちゃんではなかった。
「トリアエズ アンタノ指示道リニシテミタ」
「タダ…」
「コレハ俺ノ ヤリカタジャナイ」
そう、この部屋にはシコルスキー以外にも人間がいたのだった。窓からの逆行でその姿は見る事ができない。果たして、この卑劣な誘拐劇を企てた張本人とはッッ!?
ドリアンが無事ならば第1候補なのですが、彼が退場してしまった今では、誰が黒幕なのか予測がつきません。
場面は変わり、刃牙の部屋。
「なんだってェ!?」
「マチガイねェ だろうな ソレ」
そう、人探し・超法規・復讐ならば、この男と組織が日本でイチバンッ!
神心会の最終兵器・愚地克巳の登場だッ!
義父の様態はどうなんだッ!?
昔は結構バキといがみ合っていたし、白格闘vs黒格闘の闘いでは十二支に入れてもらえなかった猫のごとくのけ者にされていましたが、全てを水に流しバキに協力してあげているようです。
すごくイイ奴じゃないですか、克巳くん。ナイスガイですよ。
独歩が入院しているうちに、組織を動員する理由をつけて完全に神心会を支配するという野望を秘めている、と言うブラック克巳的な計算があるのかもしれませんが…
「ワカったぜ」
「梢江ちゃんの居場所」
って、早やッ!!! さすが、警視庁が全力をあげてもヒゲ一本見つけられなかったドリアンをあっさり見つけた神心会です。梢江ちゃんを見つけるのも朝飯前です。
そして、その居場所とは――――――――――
「マジかよ……」
その情報にバキは驚愕し、ムサシも「ピクッ」と反応します。言葉がワカるのか、この犬ッッ!?
さて、シコルスキーが指示を仰いだ相手とは!?
梢江ちゃんの連れ去られた場所とは!?
ページをめくると、見開きで…
地上最強の生物・範馬勇次郎 降臨ッ!
さすがのシコルスキーも冷や汗をかいて、話しかけます。
「ソレニシテモ アンタガコレホドノ 子煩悩ダッタトハナ」
シコルスキー君、ロシアに棲む君はワカらんだろうが、およそ刃牙を長く愛読している者にとってオーガの親馬鹿は常識なんだよ。
前回登場時も刃牙のことを思いっきり心配していましたし…
「失望サセテクレル」
「子ヲ心配スル父親ト」
「腑抜ケタ息子―――」
と、シコルスキー。この人ちゃんとわかっていますね。親馬鹿の親父さんと腑抜けた子供という状況をシコルは完璧に把握しているようです。
この辺で相手の弱点(?)を突いて余裕が出てきたのか、シコルスキーの顔にいつもの人を小馬鹿にしたような表情が戻っています。
「タトエ今 怒リ心頭ノバキガ ココヘ飛ビ込ンデキタトコロデ」
「ワタシヲ満足サセラレルトデモ?」
先の刃牙との小競り合いでは互角かやや刃牙のほうが有利と思えていたのですが、なんかえらく舐めきった発言をしていますね、この人は。いけませんね、相手は仮にも主人公。ピンチになれば不条理なパワーを発揮するものです。
油断はいけませんよシコルスキー。
が、この男は更に無謀な言動を繰返すのだった。
「ナニモ アエテ ヤワナ息子ヲ相手ニスルコトハナイ」
「ココニ誰モガ認メル」
「「地上最強ノ生物」ト言ワレル男ガイルジャナイカ」
そう言って立ちあがるシコルスキー。今まで読者に「そんなに敗北が知りたければ、勇次郎に喧嘩を売れ」と言われつづけてきた死刑囚たちですが、ついに勇次郎に喧嘩を売る奴が出てきたのか!?
もっとも、餓えたライオンの口の中に手を突っ込むようなものですが………
が、せっかく立ちあがったシコルはどさっとイスに腰を下ろす。
「ヘッ」
「ナンダカ気ガ抜ケチマッタゼ」
と、油断させておいて、いきなり蹴るッ!
が、勇次郎にはお見通し、机を蹴り割るシコルスキーの蹴りを、あっさり左手一本でガードする。
「タイミングを外しておいて正面の敵にテーブルを蹴り上げ機先を制す」
「遅れてるなロシアの喧嘩はよ……………………」
と、まるで余裕の勇次郎。
もっとも、ロシアがどうのと言うより、シコルは長い間刑務所に入っていたはずなので流行から遅れているのはしょうがないのではないでしょうか。
まあ、この場合シコルスキーが会心の蹴りを放った所を、敢えて小バカにする事で激昂させて冷静さを失わせる作戦と考えられます。
なぜなら、いきなり涙を流して相手のスキを作り、正面の敵に机を蹴り上げ機先を制すと言う行動をバキがドイルに対して取っているんですよね。
勇次郎の言う通りこの戦法が遅れているものであるのなら、それを使ったバキもそれを避けられなかったドイルもかなり評価が落ちてしまうと思うのですが…
まあ、親バカの勇次郎の事ですから刃牙への目標値も飛びっきり高いと言う事なのかもしれません。
そして、奇襲が失敗したシコルは中指一本拳で逆襲を狙うッ!
が、その拳は止められた。
止めたのは、ミスターオリバッ!
骨が軋む音を立てる凄まじい握力にシコルスキーの表情が歪むッ!
「ごぶさただったな オーガ」
「遅いぜアンチェイン」
「イジめられるところだったじゃねェか…」
なんと、規格外のこの2人は顔見知りだったのだ。
しかも、オリバが真っ先に訪れたのはオーガの元。もしかすると、死刑囚たちのシンクロニシティーはこの2人によって仕組まれていたものだったのか?
さらにこの混迷の最中に我らが主人公が克巳を同伴して訪れる。
どうもホテルの従業員が神心会の門下生だったようです。さすが100万人の武道団体です。園田警視正もオリバなんかに頼まず神心会に頼んでおけばよかったのではないでしょうか。
「なにを考えてやがる」
「親父ッッ」
と、親父の思考を理解できぬまま刃牙がホテルに乗り込む所で次回に続く!
ちなみに、克巳のノドに張られていたバンソウコはもう取れているようです。これで次回噛まれる準備もばっちりですね。
今回は衝撃的な勇次郎再登場と、オリバと勇次郎が知り合いだったと言う事実、そしてシコルスキーが噛ませ犬になりかかっていると言う意外な展開と、かなりの話が詰め込まれています。コイツは次回が楽しみですね。しかし、来週は夏休みで休刊なんですよね。
しかし、冷や汗を流しまくっているシコルには未来は無さそうです。
オリバさんには根強く噛ませ犬説が流れていたのですが、今回の話で噛ませ犬になるのはシコルたち生き残っている死刑囚の方らしいようです。
今回、勇次郎がオリバの事を「アンチェイン」と呼んでいますが、「unchain」には「鎖を解く; 自由にする, 釈放する.」と言う意味があるようです。まさに自由人のオリバさんと言うところでしょうか。
また同名の映画「アンチェイン」と言うものもありまして、こちらはハチャメチャなボクサーの話のようです。
この辺の所から、オリバさんにつけられたあだ名と言う所でしょうか。
ちなみに今回烈が参加していないのは筋肉ダルマの幼児(精神のみ)にキャンディーを買ってあげていて忙しいからでしょうか。
どっちにしろ、あんなバケモノが3匹も揃っているホテルに乗り込んで無事でいられるとは考えにくいです。今後の活躍が期待できる烈には登場を控えてもらっているのでしょうか。
と、なると次回の克巳はすごくピンチなんだろうなぁ…
2001年8月23日(39号)
第2部 第93話 バキくんッッ(473回)
お盆休みを挟んでの長い2週間でした。シコルスキーに負け犬モードが発動しているとみんなに心配された2週間でした。
刃牙に対してはあんまり期待がされていなかったような気もする2週間でしたが、とにかく続きです。
「元気そうでなによりだ…」とオリバさん。
「おめーもな」と勇次郎。
久しぶりの再会を祝う二人ですが、オリバさんはシコルを捕まえたままで平然と会話していて、勇次郎も何事もなかったかのようにそれを受ける。
勇次郎が珍しく穏やかな笑顔(こんな笑顔はお宝映像です)で、オリバはいつもよりチョット真面目な感じの笑顔で、無言で互いに見つめ合う。
この二人の心の交流は、ちと、ホモっぽい気がしますが、色々な意味でこの2人には常識が通じなさそうなので、これが普通の挨拶なのかもしれません。
濃密な再会を祝う二人に対し、無視されたシコルスキーがかなり哀れです。ついでに下着姿の梢江ちゃんも。
と、いきなりオリバさんがシコルスキーを投げ飛ばず。片手で反動もつけずに投げたのにもかかわらずシコルスキーは吹っ飛ぶッ。まさに規格外の筋肉を持つ男オリバです。
シコルスキーの飛ぶ先は床まである大きな窓ガラスだ。当たれば割れる。割れれば落ちる。落ちれば、そこは何階だと言うのだろうか。窓から見えるビルのほとんどは屋上が見えている。
だが、シコルスキーもただ者ではない。冷や汗を掻きながらも体を反転させて着地し、踏ん張ります。靴のかかとを「コンッ」とガラスにぶつけギリギリの所で止まり、シコルスキーはガラスへの直撃を避けた。
100kgを超える体重で、この体術はただ者ではありません。「シコルスキーの持つ身体能力は特別中の特別…………」と評されるだけのことはあります。もっとも、100kgを超えるシコルを軽々と片手で投げるオリバさんも十分過ぎるほどただ者では無いのですが。
「思イ出シタゼ……」
「ミスター範馬ガソノ男ト交ワシタ アイサツ」
「アンチェイン」
と再び冷や汗をかきながらもシコルスキーが語り始める。
「超規格外ノ腕力ト知力ニ モノヲ言ワセ法ノ外ニ君臨スル男」
「コノ地球上最モ自由ニ振ル舞イ生キル コトカラ通称
アンチェイン(繋ぎ止められない)」
国連マークを背に誇らしげに腕を振り上げるオリバさんのシルエット、と言う絵が説明中の背景にありますが、勇次郎が国連公認の一国の軍隊に匹敵する暴力を持つ男ならば、オリバは国連公認の自由人と言った所でしょうか。
キューバ出身アメリカ人、ビスケット・オリバこれがこの規格外のバケモノのフルネームだッ!
しかし、ビスケットですか…。オレオ(たしか世界でイチバン売れているビスケット)じゃないですよね。
「ロシアは情報から閉ざされた国かと思っていたが」「暗黒街ではそうでもないのだな」
とシコルが自分を知っていたからかちょっと機嫌よさそうにオリバさんが近づいてきます。
先ほどまるっきり無視していたのに比べれば、かなりの進展です。一方の梢江ちゃんはコマの端っこにも出ていません。
「幸運ダ」
と、コートを脱ぎ捨てシコルが戦闘モードに入る。
しかし、今まで部屋の中でコートを着っぱなしと言うのもどうかと思いますが。寒いロシアの癖が出ていたのでしょうか。
「地上最強ト地上最自由」
「コノ2人ト同時ニ闘ウ機会ナド
二度トナイト断言デキル!」
と、なんか負け犬ムードが漂っている所にこの暴言です。こんな事を言ってしまうと将来の選択肢がかなり減ってしまうと思うのですが。
ちなみに、この2人と同時に闘う機会は確かに2度無いと断言できると思います。この2人と同時に闘ったら、2度と闘いのできない体にされる事でしょう。
と、この混乱をさらにかき混ぜるかのようにバキがドアを蹴破り乱入ッ!
………ドアの前に梢江ちゃんが居なくて良かったですね。
「バキくんッッ」
と、梢江ちゃんも喜びの声をあげますが、あいにくの下着姿。それを見て刃牙もショックを受けます。
「こんなんなっちゃった…」
と、昔流行った泉アツノさんの占いみたいな事を言う梢江ちゃん。
愛しの梢江ちゃんが下着姿にむかれたのが痛いのか、むかれただけで何もされていないのが痛いのか、下着姿を見ても何も感じなかったのが痛いのか(ボディーラインはきれいだと思います)、心の痛みをこらえ刃牙は震える。
「一人も動くなッッ」
誰かさんの思惑通りなのか、怒り心頭でシコルスキーに刃牙は殴りかかる。
冷静さを欠いたパンチは、シコルの横蹴りにより届かないが、蹴られたまま踏みこみさらに殴るッ!
シコルは両手を使い受けるものの、あいにく投げられた直後で窓の側だった。背がガラスに触れヒビが走った。
思わずシコルスキーが心配そうに背後のガラスを見た瞬間にできたスキを刃牙は見逃さなかった。強烈な横蹴りから怒涛のコンビネーションで、ラッシュ!
シコルスキーの体は高層ビルの窓の外へ吹っ飛んでいく。
◆この高さはヤバイ!!
シコルスキー絶体絶命っ!!
次号につづく!!
と言うわけで、予想とは違ったものの、やっぱりロクな事がなかったシコルスキーな回でした。
こうなると、コートを脱いでしまったのは痛いです。コートがあればロシアン忍者らしく(?)ムササビの術や、実は落ちたのはコートだけでした、とムチャな事を言えたのでしょうがこれでは脱出が大変そうです。
まあ、シコルにはロッククライミングと言う特技があるわけですし、次回は壁を這い登ってくる事でしょう。
しかし、部屋に飛び込んだ刃牙はなぜシコルに殴りかかったんでしょうか?
部屋に勇次郎がいる事はわかっていたはずで、前回のラストでは勇次郎が黒幕だと思っているような感じでした。
なのに殴る相手はシコルスキー。斗羽戦の後に乱入して来た勇次郎に問答無用で殴りかかっていた第1部とは反応が違っています。
やっぱり、梢江ちゃんの前だから、なるべく勝てそうな相手を殴ったのでしょうか?
と、なると熱くなっているようでやっぱり計算高いのかも。
まあ、相手が複数いるときは速攻で片付けられる敵を潰してから、強敵にじっくり当たると言う作戦も有効でしょうし、戦術的に成長しているのかもしれません。
さて、次回は刃牙とオリバさんの初顔合わせですが、どのような波瀾が起きるのでしょうか?
そして、シコルスキーの運命は…
親バカ勇次郎の真意はいかに…
克巳に出番はあるのか?
あと、梢江ちゃんはどうなる??
と、言うわけでやっぱり次回が気になります。
2001年8月30日(40号)
第2部 第94話 デス・ダイブ(474回)
いきなりタイトルからして死にそうなシコルスキーと言う感じです。
空中に放り出されたシコルスキーは足をバタつかせ必死に壁に手を伸ばします。本来ならば窓から飛び出したときの慣性で、壁からどんどん離れていくんですけど、そこは最凶死刑囚の1人シコルスキーです。ルパン3世だって似たようなことをやっています、手を伸ばせば届くッ!(思いこみの力だッ!)
まずは指一本、次に全ての指で壁を引っ掻き、落下速度を落としていく。そして2階の窓枠の端につかまる事に成功し、シコルスキー命がけのダイビングから生還だッ!
爪は剥がれていないようですが、指先から出血し、2階の窓ガラスなどには血の痕がしっかりと残っている。後でパニックになりますね、こりゃ。
さすがのシコルスキーもこのデス・ダイブには肝を冷やしたのか、息を乱し目をぎゅっとつぶるなど恐怖に耐えるような様子が見られます。
そりゃ、まあ普通の人なら高所恐怖症になるでしょう。だが、シコルスキーはその恐怖を味わったばかりだと言うのに、自分の落ちてきた上空を見るのだった…
一方、落とした方の刃牙くんは自分の落としたシコルスキーの様子を見ているようです。
その背中はスキだらけ、ちょっと油断し過ぎなのでは?
そんなバキに声をかけるのは父親ではなく、ミスター・オリバであった。
「オメデトウ 坊や」
「童貞を捨てたな」
各地で突っ込まれていますが、これは傭兵間の(?)隠語で「敵を初めて殺すこと」を意味しています。「グラップラー刃牙 17巻 146話」に出てくる話なのですが、当時からは5年以上たっているんですよね。ずいぶんと月日が過ぎたものですが、これだけ間隔が開いてしまうと覚えている読者も少ないのではないでしょうか。そう言う意味でも、解説を加えて欲しいところです。でないと勘違いして邪推する人が出てきそうです。
それはともかく、この言葉を知っていると言う事はオリバさんも傭兵つながりがあったのでしょうか。オリバさんの出身地であるキューバはアメリカに最も近い社会主義国としてなにかとごたごたが多そうですが、そう言う関係で国益に関わるような秘密を握りアメリカに居座っているのかもしれません。
それはともかく、いまだに振り向かない刃牙にオリバさんはさらに語りかけます。
「この高さでは助かるまい」
「受け止めきれるかな」
「自らの手で他人の人生を断ち切ったこの現実に」
と、やんわりと言葉責めで刃牙を追い詰めてみるオリバさんであった。が、
「現実ゥ?」
「どーしたよ それが」
とまるで意に介さずと言ったような風情の刃牙、いきなりオリバの水月に強烈な後ろ蹴りをぶち込む!
まるでアッパーカットのような打ち上げる軌道の蹴りに、あのオリバの体も浮き上がる。
さらに顔面に打ち下ろすチョッパーフックが炸裂ッ!
「てめェら中心には――――」
「回さなねェェッッッ」
猛りまくる刃牙は膝関節を前から狙う蹴りで体勢を崩し、アッパーカットッ!
怒りに燃えながらも冷静に上下に撃ち分ける見事なコンビネーションを見せてくれます。
それに相手に主導権は渡さないと言う主張にも重要性を感じます。相手は多人数ですし、余計な敵は一気に片をつけてしまい所で、自分のペースで闘う必要があります。
が、そうは上手く行かなかった。
歯を鳴らせて決まったはずのアッパーカットは、オリバの規格外の首の筋肉のため打ち抜けていなかった。
思わず、間合いを取る刃牙。この時点で闘いのペースはオリバにもって行かれいると思われる。
「だ……ッッ」
「だれだい こいつ…ッ!?」
と、今まで全然動いていなかった克巳が驚愕する。
神心会の最終兵器と呼ばれた男も、今では驚き役になっています。先週、刃牙が「一人も動くなッッ」と言ったのを聞いて、バカ正直に動いていなかったのでしょうか?
まあ、怒りに我を忘れた今の刃牙は、カエルの脳みそをセンサーに直結されたようなもので、動くものだったら何であろうと襲いかかりそうな怖さがあります。
殴られたく無ければ、おとなしく言う事を聞いていた方が良さそうです。たとえ、半裸の梢江ちゃんを放ったらかしにしても。
一方のオリバさんは鼻血も汗も出さず、余裕の表情です。
「オーガのせがれならばと……………」
「期待していたンだが……………」
さすが勇次郎のダチをやっている人はスケールが違います。鎬昂昇と闘っていたときならともかく(あの頃はストライダムさんにも呆れられていましたね)、最大トーナメントを制した現在の刃牙ですら相手になら無いと言うのでしょうか。
この筋肉の怪物を前にさすがの刃牙も冷や汗をかきます。
だが、事態はさらに悪化する。
刃牙の背後に立ったのは復活したシコルスキー。
「ラウンド2ゥ〜〜」
シコルスキーがいい笑顔を見せながら反撃宣言で、次回へ続く!
今回もの怒涛の展開です。
とりあえず、童貞を捨てきれなかった刃牙と、復活のシコルスキーが話のポイントでしょうか。
刃牙がシコルを落としておきながら余りショックを受けていなかったようなのは、やはり刃牙は性格が悪い 覚悟を決めているからなのではないでしょうか。
オリバさんのセリフ「受け止めきれるかな」「自らの手で他人の人生を断ち切ったこの現実に」に対して「どーしたよ それが」と刃牙は返しています。
刃牙には過去に、実父の手で実母の人生を断ちきられた現実を経験させられています。そのため母親の死体を背負って現実逃避すると言う少年漫画ギリギリな行為もしちゃいましたが、そこから立ち直った刃牙はある意味で童貞を捨てているのではないでしょうか。
もっとも、本来の意味でのアレは梢江ちゃんを連れ去られ無ければ………。我々刃牙ファンはもっとシコルスキーに感謝すべきなのかもしれませんね…。
さて、そのシコルスキーですが、本当に意地で這い上がって来ましたね。シコルはあんまり道具や武器を使わない死刑囚なのですが、今度の刃牙戦ではどのような戦い方を見せてくれるのでしょうか。今週のあえて壁を登っての奇襲にシコルスキーの活躍はまだあると期待させられました。
しかし、そうなると克巳はやっぱり出番無し?
次回の新連載ですが、「おまかせ! ピース電器店」の能田先生が新連載のようです。今度は再びサッカー漫画で行くようで、ファンとしては楽しみです。
2001年9月6日(41号)
第2部 第95話 クライマー(475回)
タイトルからも分かる通り今回は、シコルスキー大活躍の回に違いない!
噛ませ犬と言う評判から、這いあがって刃牙に一矢報いるのかッ!?
と、期待して最初のページは…
「ラウンド2ゥ」
と、背後をとったにも関わらず思わず声をかけてしまったシコルスキーさん。余計な1言のせいで奇襲効果が無くなってしまいます。
背後からの奇襲に対し、刃牙はオーバーヘッドキックで背後のシコルスキーを逆奇襲するッ!
花山戦で克巳の見せたこの技を使ったのは、この場に克巳がいるからでしょうか。攻撃はかわされたものの、着地と同時にジャンプし裏拳でシコルスキーに追撃をかける。が、これも余裕の笑みを浮かべながらシコルスキーは身を沈めかわす。この態度からすると、奇襲をしなかったのはあえて対等の立場で闘いたかったのかもしれません。
どちらにしろ、ここで一旦しきり直しで、互いに間を取る。
「………………落ちなかったのか………」
危うく童貞を失いかけた者の台詞とは思えない、人間性を疑わせるような台詞を刃牙は吐きます。
どうも刃牙くんは殺す気マンマンだったようです。
ちなみに、シコルスキーは落ちなかったわけではなく、落ちたけど助かっただけです。これなら殺人未遂は確実なんですけど…
「ワタシガドウヤッテ エバンズ刑務所ヲ脱出シタノカヲ聞カセテヤロウ」
と、シコルスキーは自慢話をしてくれます。ちなみに、刃牙はすでに徳川さんからこの話を聞いているので、内心ではそんな話は聞きたく無いと思っている事でしょう。
「起伏ニ富ム ホテルノ壁面ヲ登ルコトナド」
「階段ヲ歩クニ等シイ行為ダ」
と、偉い人のお話なんかよりずっと早くシコルスキーさんのお話は終わります。
ここでも気になるのは、壁を登ると言う行為よりも、落下して助かった行為の方が驚異的だと思うのですが…
それはともかく、この話を聞かされても、オリバさんも勇次郎も全然ビビっていません。
初めて聞いたと思われる、梢江ちゃんと克巳が冷や汗をかいているのとは対照的です。
そして、我らが主人公の表情は…
「そうかい…………」
と、どうでも良さそうな言葉で返していますが、目は半分閉じられていて、まるで偉い人のお話を長時間聞かされて眠くなったような表情をしています。
知っている話をまた聞かされたので、眠くなってしまったのでしょうか?
が、「ヒュウゥ」と息を吸い、気を入れなおし戦闘モードに再び入ります。
「だったら…………」
「何度でも落としてやるぜ」
って、やっぱり、殺す気マンマンじゃねェかッ!
メチャクチャですよ、刃牙くん。17歳は難しい年ごろなんでしょうケド…
そんなキケン度の上がった刃牙に、今度はシコルが攻撃をしかける。
手刀で頭部を狙い、避けられると、今度は金的に蹴りッ!
それも、防がれると手に隠し持っていたガラスの破片を刃牙の顔面に投げつける。この攻撃は、かつて猪狩に対して行った灰皿の破片投げに酷似している事からシコルスキーの得意な戦法と言う気がします。
そして、顔面への攻撃でスキを作ったところで、シコルスキーは頭突きに行く。
だが、刃牙も百戦錬磨の格闘家である。この程度の不意打ちならば、自然に反応できるようだ。とっさにシコルの額を手の平で受け止める。
だが、それもシコルの罠だった。いつのまにか、額に画鋲をセット(?)していたのだ。
芸の細かい人ですね…
あまりの芸の細かさに、驚いて手の平を見てしまった刃牙のスキを見逃すシコルスキーではなかった。
その場でジャンプし、先ほど破片を投げつけたのと同様、猪狩に喰らわせたドロップキックを炸裂させるッ!
これにはさすがの刃牙も吹っ飛び目の揺れてしまう。
「そこまでだッッ」
と、そこに登場したのは、二度と出てこないのでは無いかと思っていた園田警視正と 不幸な仲間 部下たちだった。
「全員動くなッ」
死刑囚と対峙すると言う事で、スペックに色々酷い目にあわされた記憶がよみがえったのか、冷や汗をかいていますが、それでも職務に忠実であろうと声を張り上げています。
カッコ悪いけどカッコイイです。こう言う不器用な大人は尊敬に値します。これで柔道で負けそうになったら最低限怪我をさせろと言わなければもっといい人なんですけど…
が、園田警視正では、刃牙の台詞とほぼ同じ内容を言っても効果が違います。
シコルはあっさりと窓から飛び降りる。やっぱり、登るより降りる(落ちる)方が凄いと思います。変態です、このロシア人。
さて、逃げ出したシコルスキーは置いといて、「大丈夫かお嬢ちゃん」と梢江ちゃんは警察官の一人に上着をかけてもらえます。これで、読者も一安心と言うものです。
園田警視正と再会を果たし、オリバさんも(一方的に)晴れ晴れとした笑顔を見せます。
刃牙はシコルに蹴られたのが不服なのか、険しい顔つきをしています。それを見る勇次郎の表情にやや満足げなものがあるような気がするのですが、ここまでの展開は勇次郎の予定通りのものなのでしょうか。
ちなみに警察官に「アンタどっかで見た顔だな」と言われていますが、警察関係者には超危険人物として勇次郎の顔写真が回されているのでしょうか。
ここでは克巳の対応が描かれていませんが、克巳は警察の突入時に「あちゃ〜、ヤバっ」と言う感じの表情をしている事から、警察情報を操作してシコルスキーの居場所を突き止めていたのでは無いでしょうか。
本当だったら、警察の突入前に梢江ちゃんを連れて脱出する手はずだった計画が狂ってしまったと…。
警察が妙に事情に詳しそうですし、今回は神心会と警視庁は密かに連携をとっていたのかもしれません。
さて、逃げ出したシコルスキーは廃ビルの一室で全裸になって体を拭いています。
ああ言う辺鄙な刑務所では水が貴重品なのかもしれませんし、水を浴びるのではなく、しぼったタオルで体を拭くのがシコルスキーにとっては慣れ親しんだ入浴方法なのかもしれません。
気持ち良さそうに鼻歌まで歌ってご機嫌のようです。
リラックスタイムの入浴中でありながらも、尻を引締めているのが超実戦派と言う事でしょうか。
人が最も油断している時はセックスをしている最中と言われますが、全裸になっての入浴中も危険と言う事ができます。
そして、その入浴中に…
「ラウンド3ィ」
と言うわけで、刃牙の電撃参戦で、次回へ続くッ!
それにしても、オリバさんに続いて素っ裸ですね。
これ以上の全裸は、もう意味を持たない。
これ以上ナニを見たいのですかッッ。
かつての古代ローマのように戦士を全裸で闘わせたあの時代を再現させたいのですかッ。
次回、バトルの前にパンツの使用を認めて下さい。
と、言う気分に少しなりました。
ちなみに、昔のオリンピックは全裸でやっていたそうです。
それはともかく、刃牙もトランクスをはいて登場と言う所が、非常に準備と決意が良いですね。
しかし、刃牙はなぜシコルスキーを追ってきたのでしょうか?
梢江ちゃんは無事に連れ戻しました。しかも、黒幕は勇次郎でシコルスキーはその指示に従ったに過ぎません。
どう考えても、1番悪いのは勇次郎であり、刃牙は勇次郎に対して怒るべきです。
どうやって追いかけたのかと言う方法も謎ですが、目的も謎です。
ドロップキックを食らったのが、そんなに腹立たしかったのでしょうか?
巨凶な血を引いている人の考える事は良く分かりません…
まあ、現時点では刃牙 vs シコルスキーは注目のカードであり、白熱したバトルが見れるのならそれで良いのですが。
でも、刃牙が「ファイナルラウンド」と言わずに「ラウンド3ィ」と言っているのが少し気になります。ラウンド4がなんかありそうで…
2001年9月13日(42号)
第2部 第96話 ラウンド3(476回)
「ラウンド3ィ…………………………………………ってか」
と範馬刃牙が久しぶりに超本気モードに入っています。
そんな刃牙を見るシコルスキーの目は冷ややかです。手首や足首に巻かれたテーピングや試合用のトランクスを見て、コイツもヨーイ・ドンがないと闘えないタイプと思い侮っているようです。
ところで、刃牙のこのトランクスこそが勝負パンツと言う事なのでしょうか。多分、次に梢江ちゃんとデートする時はこのトランクスをはいてくる事でしょう。
「フン」
「ナルホド…………」
と、バカにしたような態度を見せながらシコルスキーはパンツをはこうとする。
「誰がパンツはいていいッつッた」
と、いきなり刃牙がパンツの着用に対し物言いをつける。
いや、いいじゃないっスか、パンツぐらい。いや、むしろ必要ですよ。と言うかパンツはくのに君の許可は要らないだろう。
と、おそらくほぼ全ての読者がそう思ったでしょう。
この申し出にはさすがのスコルスキーも戸惑いを隠せません。
「オイオイ」
「コンナカッコウデ何ヲシロト言ウンダイ?」
まったくです。まったくもって正論です。
だが、それに対する刃牙の返答はこうだった。
「そのままだ」
「フリチンのままでいいんだよ おめェは」
さすが恐るべき17歳です。彼には常識や遠慮と言ったものが微塵も無い様です。
ジェフ・マークソンが24年間かけて編み出した作戦に、たった数時間で追いつこうとしているようです。
「子供(ボーイ)の考エソウナコトダ……」
「試合ノ形式デ闘ウナラ負ケルハズガナイ――――――」
と余裕を持って刃牙を見下すシコルスキーでしたが、その余裕とスキを刃牙は見逃さなかった。
後ろ回し蹴りのように体に捻りを加えたカカト落しッ!
最大高度まで足を振り上げて加速を十分につけた1撃を鼻に喰らい、シコルスキーは吹っ飛ぶ!
無様に転がり、バケツにぶつかるシコルスキー。結構ダメージがありそうです。
「開始(はじ)まってンだぜ とっくに……」
「不用意に間合(エリア)に踏み込むンじゃねェよ」
すっかり範馬の血を発動させているような、荒々しい刃牙の発言と行動です。
しかし、これはシコルスキーが油断し過ぎです。ヨーイ・ドンはすでにかけられているのに、相手をしっかりと見ないで余裕をかましていると言うのは不用意です。
鼻血を吹き侮蔑の言葉をかけられながらもシコルスキーは立ち上がる。
「素手ノワタシガ……………」
「弱イトデモ……………」
などと言っていますが、死刑囚五人の中ではシコルの武器使用率は低い方なので素手で闘ってもかなり強いのではないかと思っていました。……92話で勇次郎とオリバに噛まれかけるまでは。
1度敗北を知りかけた死刑囚はロクな事が無いと言うべきか、台詞を最後まで喋る余裕も与えてくれずに、刃牙のハイキックがアゴに決まる。
「あ〜〜〜〜……………」
「喋りながら喰らったンで舌 噛んじまったか」
と、まったく容赦しません。
そう言えば刃牙はvsジャック戦でも喋っている相手に対して容赦ない攻撃を仕掛けていましたが、その辺のエゲツ無い攻撃はきっちりと勇次郎の血を引いているようです。
一方的に責めこまれてさすがに焦ったのか、シコルスキーはバケツを指にかけて投げつけようとする、が、あっさり刃牙に止められカウンターを喰らう。
更に、そのバケツを頭に被せられ視界を奪われた上でボコられると言う逆襲に遭う。
ボコボコに殴られ変形したバケツはがっちりとシコルスキーにハマってしまう。
慌てて外そうともがくシコルだが、とれません。
思うに単純に上に持ち上げようとしているからとれないので、変形して縮まっているバケツを広げればあっさりとれるのでしょう。
しかし、人間はパニックになると正常な判断ができません。
すぐ前には、危険な少年がいると言うのに、無防備な状態でもがくシコルスキー。
「外れねェか……………」
「そいつァ…」
「自業自得だなッッ」
グチャ
恐ろしい事に、シコルスキノーに生金的蹴りを敢行ッッ!
これにはシコルスキーも悶絶です。声も出せず、両手で股間を押さえながらノックダウン。
両手からボタボタとこぼれる出血を見ると、フクロが破れ睾丸がこぼれ落ちている可能性がありそうです。その睾丸とて、原型をとどめているかどうか怪しいものです。
かつて、花田とズールは1個だけ潰されながらも意識だけは保っていました。が、完全失神しているシコルスキーは、そのダメージからも1個だけとは思えません。
更に陰圭にも裂傷があるのかもしれません。
この状態で小便をしたらあちこち漏れて水芸のような状態になりそうです。
まさに再起不能のダメージを負ったものと考えられます。
さすがにやりすぎたと思ったのか刃牙も一瞬だけ汗を流す。
だが、それもホンの一瞬で倒れたシコルスキーを見る表情に動揺は見られない。
と、そこに場違いな拍手が響く。
「ブラボー」
「ブラボー バキ」
なんと、再びビスケット・オリバの登場だ!
この場に現われたオリバの意図とは?
シコルは本当に沈んでしまったのか?
様々な波瀾を含み、次回へ続くッ!
今回はなんとも痛いバトルでした。
個人的には予想外の短期決戦でシコルは 破れ 敗れたのが意外でした(まだ確定していないかもしれませんが)。もう、すっかりオリバさんの肥しにされてしまったようです。
さて、前回で刃牙がシコルを追う目的がわからないと書きましたが、それに対して、梢江ちゃんが勘違いするような事を言ったために、刃牙はシコルに対して復讐をしようとしているのではないかと言う意見を頂きました。
確かに梢江ちゃんがそう言う目にあわされたと思いこんでいるのでしたら、シコルスキーを追う動機は十分です。
そして、相手はフリチン…。
「これが、梢江ちゃんを………ッッ」「デカい、俺よりもッッ」
イヤでも刃牙の怒りゲージは上がりまくります。
「てめェの●●●は、この世にいちゃならねェッ」
そして、その怒りの果てに訪れた結果は……
そう、刃牙が勘違いしているとしたら今回の内容は実につじつまが合うのです。
と、なるとやっぱり梢江ちゃんのあの台詞は不用意過ぎたかな…。
同じ男としてシコルスキーに同情いたします。
2001年9月20日(43号)
第2部 第97話 ブラボー(477回)
前回のあらすじに「猛然とラッシュをかけたバキはフィニッシュにシコルスキーの股間をツブし何なくKO!!」とわざわざ書かれてしまうほどの衝撃的な生金的で激勝した範馬刃牙(17)を拍手で称える
規格外の自由人ビスケット・オリバさん。
「ブラボー刃牙!」
「ブラボー チャンピオン」
ちなみに、「グラップラー刃牙」が「バキ」になってからは、主人公の範馬刃牙を「バキ」と表記するようになりましたが、さすがなんでも知っているオリバさんはバキの事を「刃牙」と呼んでいます。
ところでタイトルが変わった理由なのですが、コミックスは余り巻数が出過ぎると買われにくくなると言う傾向があるそうです。そこで、マガジンなどは「金田一少年の事件簿 ○○編」と言ったように区切りのある長期作品は分けてコミックにしたそうです。
「バキ」も同じような理由で、タイトルを変えたのかもしれません。
ちなみに「刃牙」ではなく「バキ」になったのは読みを「バギ」と間違える人が多いからではないでしょうか。「牙」は「ぎ」と読めないんですけど、言い間違える人が結構いるんですよね。
昔は、語感から不完全なまま覚えた人名をを不完全なまま発音し、そうとも知らずカン違いしている友人にツッコミまくっていたものですが、最近はそう言う事もありません。タイトルが変わって良かったのかもしれません。
「グラップラー バギ」で検索してみるとそれでも間違っている人がいる事がわかりますが(^^;
すっかり話が逸れてしまいましたが、せっかく良い気分でシコルをぶちのめした所にオリバが現われてチョット怒り気味のバキくんです。
「何しにきた」
「何をさぐってたがる」
と、なんか台詞がとがっています。
それに対し、オリバさんはにこやかな表情で切りかえす。
「イヤ……」
「そこに転がっている男に用ありでね」
「この男をハントする」
「そんな約束をしていてね………………」
と、すっかり忘れていると思われていた園田警視正との口約束をちゃんと覚えていたみたいです。
でも、ここにいると言う事はまた園田警視正を置いてきぼりにしてやって来たと言う事なのでしょう。さすが、誰も縛るの事のできない最自由の男です。
で、一応趣味と実益を兼ねているマンハンティングを完遂しようとシコルスキーに手を伸ばすオリバさん。その気楽そうな姿は、ファーストフード店で持ち帰りの袋に手を出すかのようだ。
が、ここにいるのは営業マニュアルに鍛えられた店員ではない。最ワガママな17歳になりつつある範馬刃牙が止めに入る。
「誰が手を出していいっつったよ」
「舐めてンのかてめェ…」
この不条理な怒り方はなんかお父さんに似てきちゃっています。
しかし、金玉ツブれた人を前(しかもツブしたのは自分)に「誰が手を出していいっつったよ」と言うのはかなり人道的に問題がありそうです。オリバさんに渡さないでどうするつもりなんでしょうか?
玉はツブしたので、念のためにサオをどうにかするとでも言うのでしょうか??
「ン〜〜〜〜……………」
とさすがのオリバさんもこれには困っているようです。彼にしてみればホテルのやり取りで刃牙の実力は見切っているつもりなのでしょうし、いまさら噛みつかれても困ると言う所でしょうか。
そんなオリバの気持ちも知らず、刃牙はいきなり右フックを繰り出す。
が、あっさり片手でキャッチされてしまう。
かつて、刃牙が上級生のボクサー高山にしたように拳を超握力で締め付けられる。こんなところで因果が巡って来るとはさすがの刃牙も考えていなかったでしょう。
と、そこでシコルが復活ッ!!
ダウン状態から血まみれの股間をさらしオリバのアゴを蹴り上げるッッ!!
だが、オリバの恐るべき太さの首は「常人ナラ悪クスルト即死……」「最低デモ昏倒(ダウン)ハ免レヌ」とシコルスキーが判断しただけの一撃を見事に吸収してしまったのだ。
口では強がってみても、内心はオリバの超肉体に驚愕しているシコルスキー。
ユリー、タクタロフ、ガーレンとロシア人は本格バトルの前の輝きが強ければ強いほど惨めな噛ませ犬になると言う恐怖のロシア系ジンクスの前にシコルスキーも屈すると言うのだろうか。
だが、シコルスキーは拳を握る。
その拳は中指一本拳。
舘岡を切り裂き、猪狩を切り裂き、2人組みのレスラーを切り裂いた、シコルの必殺技だ。範馬親子には届かなかったけど…
股間のダメージも問題にせず、シコルは一気に仕掛けるッッ!
だが、
「切レ…」「ナイ!!?」
顔面を狙わなかったのは精神的に圧倒されていたのかもしれないが、確実にボディーを捉えたのにもかかわらず、まったく切り裂けない。
「粗塩を肌にスリ込んである」
「古(いにしえ)のベアナックルボクサー達はそうやって切れにくい肌を完成させたものさ」
と、古のボクサーの絵が出てきますが、このヒゲボクサーは最後のベアナックルチャンピオンのサリバンでしょうか。
ちなみに、この切れにくいボクサーの肌と言う話はサンデーで連載されていた「秘拳伝キラ」と言う作品でも出て来た話なのですが、そちらでは、ビーフの塩付けの汁を塗って2ヶ月日光浴をすると皮が馬の鞍みたいに固くなると書かれています。
今世紀初頭のチャンピオン、ジャック・デンプシーもそう言う事をやっていたそうです。
この「秘拳伝キラ」は「コツカケ」「三戦立ち」「正中線を揺らさない歩行」などと刃牙とネタが結構かぶっている漫画でした。
で、多くの格闘漫画がそうであるように、ラスボスは肉親で主人公の血族に眠る殺戮の血が…と言うありがちな展開なのですが、あえ無く打ちきり。何かサンデーの格闘漫画には打ちきりが多いような気がするのは私だけでしょうか。
ちなみに、「秘拳伝キラ」には刃牙が絶対にかなわないモノが一つあります。それはかわいい女の子…(爆)
作画の人はなにかが吹っ切れたのか、その後「デビデビ」と言う漫画でいっぱいギャルを描きましたとさ…
さて、己の最大の武器である一本拳がまったく通用せず、呆然としているシコルスキーにオリバは無慈悲な追い討ちをかけます。
「攻守交代」
女性のウエストをはるかに越えると称せられた豪腕が、ゆっくりと振り上げられ、そして一気にうなりを上げるッ!
ラリアットのように前腕部分をシコルスキーの体に叩きつけ、ふっとばすッ!
一瞬、残像を残しシコルスキーは窓から飛んで行きそのまま地面へ落下する。
さすがに、今回は壁から離れすぎていた上に、かなりのダメージを受けていたせいで受身をとる余裕も無く、無様に全裸で落下。
「今度は登ってこれぬだろう」
やはり、にこやかなオリバさんの笑顔で今週はお終い。
さすがに、これでシコルスキーも完全敗北でしょう。
しかし、オリバさんはあいからわず犯罪者を生かして捕らえるとかは考えていないみたいですね。
この仕事って、趣味かなのか仕事なのかと聞かれれば、趣味と答えるんでしょうね。
しかし、こんな人を持ち出しちゃって、今後の展開はどうなるんでしょうか?
柳さんは対戦相手が予約済みなのでいいとしても、ロクな見せ場の無かったドイルが大ピンチだと思われます。
次回、登場すると思われるのは、ドイルか、柳か…。それ以外で可能性が高いのはオリバの大暴れの尻ぬぐいで園田警視正が再登場という線ですが、最近の展開は予想するだけ無駄のような気がするので、おとなしく次回を待ちたいと思います。
2001年9月27日(44号)
第2部 第98話 その男再び(478回)
しつこい事が売りである最凶死刑囚たち。反撃不能と思われるダメージを受けながらも、読者のブーイングを受けながらも、それでも復活して(なんか卑怯な方法で)反撃をしてくる死刑囚たち。
が、シコルスキーは違った。
既に、ビル落下、睾丸損傷と言うギャグ漫画でないと死んでいるような状況を潜り抜けたものの、今度ばかりは復活できなかったようです。
「そら……」
「シコルスキーだ……………」
と、オリバさんは園田警視正に、ネコのように首根っこを捕まえたシコルスキーを差し出す。
その目は虚ろで、口からはヨダレをたらしまくっていて、まるで廃人と化したような状態だ。
敗北する事で恍惚の人(色々な意味で)となってしまったスペックやドリアンと比べても哀れさでは負けていなさそうです。
84話に再登場してから、約10話分に登場したのですが、ここまで哀れな最後を遂げるとは…。
ちなみにまだ全裸のままです。この場合の、わいせつ物陳列罪は誰の責任なのでしょうか。まあ、フリチンのまま差し出しているオリバさんか、パンツをはかせなかった刃牙のどちらかなのでしょう。
「遠慮しねェで持って帰ったらいい」
と、オリバさんも自信マンマンです。捕獲すると言うより、なんか危うく殺しかけていると言う気もするのですが、そう言う事はぜんぜん気にしていなさそうです。
しかし、この異様な捕物劇に通行人も「なんだ なんだ?」「腕太ってェ〜」など驚いているようです。普通の人なら素っ裸の外国人が股間から血を流していると言う部分に驚きそうなものですが、この辺の通行者はそう言う事件は見なれているのでしょうか?
それはともかく、日に2度もオリバに置いて行かれた園田警視正さんの表情には苦味がほとばしっています。
「仕事が………………… 早ェえんだな………………」
と、自分たち警察官が何日かけても捕らえる事のできなかった死刑囚を1日で捕らえたオリバにプレッシャーを感じているようです。
「あんたとは関係なく」
「我々は全力を尽くすつもりだ」
と、精一杯の強がりを言って見る園田さん。結果についてではなく、過程に重きを置き始めているところがヤバイ傾向のような気がします…。
「格好つけんでもよろしい」
「君はビールでも飲みながら私の連絡を待てばいい」
しかし、そんな園田警視正の虚勢をあっさりと跳ね除けてしまうオリバさんであった。
人差し指を立ててチッチッと言うように振りながら、子供を諭すように言われてはさすがの警視正も形無しです。
「君にも礼を言わなきゃな」
と、そこでオリバさんは目立たない所にいた刃牙にも声をかける。
「お陰で仕事がやりやすかった」
と言っていますが、どこまで本音なんでしょうね。刃牙がやった事って、シコルに金的を決めたぐらいなんですけど、これは友人である勇次郎に気を使ってのリップサービスと言うことなんでしょうか。
それとも、刃牙の実力が邪魔にならないほどだったお陰で仕事がやりやすかった、とでも言うつもりなのでしょうか?
「強ええな」
「それに」
「格闘技をやってる動きじゃない」
シコルスキーの拳で傷つく事の無かった驚異の肉体を素直に誉める刃牙。そして、格闘技の動きでは無いと改めて指摘されています。
確かに、オリバさんの戦闘方法は技ではなく筋肉で闘うと言う印象を与える異様なものでした。
刃牙はかつて紅葉に「ただの力持ちが勝てるほど甘い世界ではない」と言っていますが、規格外の力持ちならば勝つ事のできる世界でもあると言うことなのでしょうか。
もし、この驚異の肉体と渋川さんの合気がぶつかったら、どちらが勝つのでしょうか?
そう言う対決も実現して欲しいものです。
「なに喰ったらそんな体になるんだい」
と、先週まで問答無用で殴りかかっていたと言うのに、刃牙は妙に気弱な表情でオリバに質問をぶつける。
と、いきなり刃牙を抱きしめるオリバさん。
「愚問だな…」
「愛以外に人を強くするものなどあるものか」
って、この人どこまで本気なんでしょうか?
刃牙の格闘トレーニングなどで作られた不自然な筋肉よりも、自分の知力で鍛え上げた慈愛に満ちた筋肉の方が上だと言うつもりなのでしょうか?
闘争に愛を持ちこんだ、ガイアや天内の末路を考えるとオリバさんの将来にも暗い影がありそうで心配になってしまいます。
ところでオリバに質問した刃牙ですが、さすがにオジヤと梅干と炭酸ぬきコーラの食事に限界を感じているのでしょうか?
強くなる事に飽くなき探求心を持ちつづけると言うのは良いことなのですが、せっかく猛っていた心理状態が元の腑抜けに戻りかけているのが心配です。
このまま姿を消して、次回の登場は来年になったりして…
ちなみに刃牙君はこの後、急いで帰って梢江ちゃんを相手にラウンド4を始める可能性が高いものと思われます。
場面は変わり、怪我人がしょっちゅう出る事で有名な警視庁。
その第二情報処理室でオリバさんは軽やかなキータッチでパソコンを操作しています。
映し出されたデーターは「ヘクター・ドイル」
あのドイルのフルネームが初公開です。
このデーターは日本語で書かれている事から、警視庁の極秘ファイルをハッキングして読み出しているのかもしれません。さすが、縛る事のできない男オリバさんです。
ドイルのプロフィールには、名前と国籍と性別以外は全て「不詳」=「UNKNOWN」です。ちなみにロブの襲撃について書かれていますが、殺害とは書かれていないので、やっぱりロブは生きているようです。
実に1年11ヶ月もほったらかしになっていましたが、これで生きている事は確定と見て良いでしょう。
そう言うめでたいニュースをよそに、オリバさんは葉巻をとりだしスパスパやりだす。
パソコンが置いてあるし、健康管理についてうるさく言われる昨今ですから、おそらく禁煙室なんでしょうけど、そこは縛られない男アンチェインです、まったく気にせず葉巻をふかしています。
そんなオリバさんでももてなしの心は忘れていないのか、婦警さんがコーヒーを持ってくる。
「OH……」
「ブルーマウンテン」
コーヒーの最高峰ブルーマウンテンにオリバさんも喜んでいるようです。
ちなみにブルーマウンテンは普通の豆の半分の量で6倍ぐらいの値段がついているようです。
「うわァ恐い顔…」
とコーヒーを運んで気た婦警さんがモニターに移るドイルを見ていいます。
「恐い男さ…………」
「東京のどこかに隠れているのね」
「ああ意外に近くかもしれん」
と、のんきな会話をしていると…
「真後ロニイタリシテ…」
「ハロー Mr.アンチェイン」
なんと、婦警さんは変装したドイルだった!
マニキュア、口紅、カツラと完全武装。急にカタカナで喋り出して、カツラを取り正体を現す。
とっさにコーヒーカップを投げつけようとする、オリバの手をはじき、ドイルは逆にオリバの目にコーヒーを浴びせ掛ける。
そして、ロブを殺った金属のヒジッ!
肉ダルマと言う巨体でありながらバク宙でそれをかわすオリバ!
互いに譲らぬ規格外の身体能力だッ!
ちなみに、ヒジを使うときのドイルは思いっきり踏みこんでいるせいでスカートがまくれあがり豹がらパンツが丸見えです…
「ミスターオリバニ質問―――――――」
「警視庁ノ中ニイル オレ―――――――」
「ヘクター・ドイルハ――――――――」
「捕マッテ――――」
「イルノデショウカ イナイノデショウカ…?」
さすが他の死刑囚とは一味違い、知性的な風貌を見せるドイルです。まるで量子力学の「シュレーディンガーの猫」のような喩えです。
ちなみに、量子力学的にドイルの問いに答えると「ドイルが捕まっているのかいないかは観察者が展開を見るまで確定しない」です。量子力学は観察による物体変化の影響も考えなくては行けないので、観察者(ドイル、オリバ、読者、作者など)の視点によって答えが変わって来るものなのです。
実際のところ量子力学については、人にわかりやすく説明できるほど私も理解していないので、興味のある人は個々に調べて見てください。
さて、かわしたと思われていたドイルのヒジは実はオリバの頬を切っていた。
「Mr.アンチェインハ君ダケジャナイノダヨ」
オレには女装の自由があるといわんばかりにミニスカートのコスプレ(ハイヒール着用)でオリバに宣戦布告をするドイルであった。
◆シコルスキーですら
傷つけられなかったオリバが出血!?
次号、どうなる―――――ッ!!
と、言うわけで主人公・刃牙は余所にうっちゃったまま次号へ続くッ!
さて、噛まれてなるものかと、死刑囚側からの逆襲が始まったようです。まあ、いつもの事で、これもすぐには決着がつかないと思われますが…。
ちなみに、シコルには傷つけられなかった、と言うのは素手と武器の差だと思います。
意地張らずに武器を使っていれば、シコルだってジェフくん並には怪我を負わせる事ができたはず。
さて、怪我をしてしまったオリバさん。これはステーキを大量に食べないといけません。最近は牛で良くない話が飛び交っていますが、筋肉は平気らしいのでオリバさんが病に倒れると言うオチだけは避けられるでしょう。
さて、ドイルがいれたコーヒーなのです「ブルーマウンテン」には深い意味がこめられていると思います。
ただ単に最高級と言うだけではなく、銘柄がわかると言う事は違いが分かると言う事だ。もちろん、万が一毒を入れられた時の味の違いだ。
もし入れていたとしても違いのわかる男・オリバは飲まず、毒は効かない。
そして、効いたフリをする事でドイルをはめる事もできる。
更に毒入りコーヒーを持って来るような婦警ならば…と事前に奇襲を警戒できる。
あの「ブルーマウンテン」と言う台詞にはそれだけの意味が込められているような気がしてならない。
板垣先生の著書「激闘達人烈伝」の初見先生の話を見た後だと特に…
2001年10月4日(45号)
第2部 第99話 開始(はじ)メヨウ(479回)
「ビスケット オリバ…」
「Mr.アンチェイン(繋ぎ止められぬ男)ハ君ダケジャナイノダヨ」
いきなりの奇襲で優位に立ったもう一人のアンチェイン、ヘクター・ドイルはハイヒールの靴音も高くオリバに迫っていく。
と、言うかハイヒールは脱ぎましょうよ、ドイルさん(涙)
刃牙世界での屈指の美形だったのに、屈指の変態趣味が判明しては女性ファンも激減してしまうことでしょう。
そして、粗塩をすり込み出血に強い皮膚を作ったはずのオリバさんですが、ドイルのヒジ攻撃であっけなく出血してしまい憮然とした表情です。
しかし、ぶすっとしているものの、その表情には焦りや動揺は見られません。出血を許したものの、まだ余裕があるようです。
その出血に対し、オリバがとった行動とは倒れたイスとテーブルを片付ける、でした。
それはもう「キチ…」と音が出るほどにきっちり正しく置かれた椅子とテーブルでございます。
「本当ニヨク現ワレテクレタ……」
ドイルに合わせてなのかカタカナで話し掛けるオリバさん。さらに、部屋の鍵を「カチ」っと入れます。
「コレデ邪魔ハ入ラナイ……」
まるで友人の範馬勇次郎氏がボクサーを監禁したときのような台詞です。この辺の共通した感性がこの2人を友人としているのでしょうか。
「イヤァ………」
「嬉シクッテネ」
と、薄くなっていると言う噂の髪の毛にクシを当てながら、嬉々としてオリバさんは語り出します。
「米国(ステイツ)ジャ…………」
「私ノ前ニ立トウナドト言ウ強者(ツワモノ)ハ」
「トウノ昔ニイナクナッテシマッタ」
この台詞からすると、ドリアンもスペックもアメリカではおとなしい存在だったのでしょうか。それとも、この2人がぶち込まれてからはオリバさんの前に立とうとする者がいなくなったのでしょうか。
スペック&ドリアンの元気っぷりを見る限りでは、後者のようですが。
さて、このお喋りにも意味があったようです。話しかけることで時間を稼ぎ、オリバさんが頬の傷をハンカチでぬぐうと…
「血ガ止マッテイル」
そう、驚異的な回復力もオリバの能力の一つです。あとはステーキを喰えば傷も治って完璧です。
ですが、ドイルはあんまり驚いていないようです。あっさり驚いた園田警視正のようには行きませんでした。
オリバさんとしてはここで驚かせておいて、相手に精神的な圧力をかけておきたかった所でしょうが、その後の台詞を見ると…
「アドレナリンガ分泌シテイルノサ」
「闘志満々ダ」
まあ、精神的な圧力と言うのはオマケのようなものだったのでしょうから、成功しなくても気にしていないようです。と、言うか闘える事が嬉しいのか、相変わらずの余裕のスマイルです。
「開始(はじ)メヨウ」
と、アマレスのようなスタイルで構えるオリバさん。が、ここで異常事態が発生ッ!
いきなりオリバが眩暈を起こし倒れる。
「肘ノ先ニ幻惑剤ヲ仕込ンデアル」
コーヒーには毒は入っていなかったが、肘に毒が仕込まれていたのだッ!
相変わらず、死刑囚たちは勝つためには手段を選びません。勝つための手段はきっちりと仕込んできています。
「我々 死刑囚ガ執行当日 死ノ恐怖ヲ和ラゲルタメニ」
「コッソリ服用シテオクモノダガ――――」
「効果テキメン」
さすがにイギリスで死刑の前に服用せずに残しておいたと言う事はないと思いますので(作中時間はともかく、2年も前の話ですから)、同様の薬を手に入れたのでしょう。なんにせよ、経験者は語ると言う奴ですね。
もちろん、ドイルがこのチャンスを逃すはずもなかった。
今までハイヒールを脱がなかったのはこの時のため、と言わんばかりのハイヒールキックッ!
天井にまで届く血飛沫、尖ったカカトの先にはわずかながらオリバの肉片が付着しているッ!
どうやら、肘でつけた傷口を狙って蹴ったようです。せっかく血の止まった傷口は再び開き、大量に出血している。
本気で、エゲツナイ攻撃を容赦なく仕掛けてきますね、この人は…。
「オ陰デ……」
「目ガ覚メタ」
だが、この状況でもオリバさんの表情には笑顔が浮かんでいる。ただし、今までのような満点スマイルでは無い。眉間にしわのできた悪鬼の笑みだ。
おそらく初めてオリバさんの見せるピンチの表情だ。
アレだけの傷を負わせたのにもかかわらず近づくオリバに対し、ドイルはハイヒールを飛ばし、けん制する。
そして、オリバがスキを見せた、その瞬間ッ!
脱走時に見せた、右拳の一撃ッ!!
体ごとぶつかるような、超高速の一撃だッ!!
刃牙のアッパーにも耐え、シコルの蹴りにもビクともしなかった、オリバへの顔面攻撃。
だが、ドイルの一撃は顔面を見事に変形させる。そして、オリバが大量の出血とともに、顔から床に突っ込む壮絶なダウンッ!
それを表情一つ変えずドイルは見下ろす。
が、まだオリバは死んでいなかった。倒れたままドイルの足首を掴み、立ちあがると同時にドイルを片手で振回すッ!
はたして、オリバのダメージは?
ドイルはあの後、どうなる? どうされる!?
様々な期待を残しつつ、次回へ続くッ!!
今回はかなり白熱したバトルになっています。
難点を挙げれば、ドイルの豹がらパンツが気になると言う点ぐらいですか…。
おそらくオリバさんはあのままドイルを床か壁に叩きつけようとするのでしょう。
そして、それを逆転する武器をドイルは足のどこかに仕込ませているような気がします。ミニスカートであらわになっているからこそ、足が怪しい…
また、今までの傾向から言って鍵はかけているもののあそこからドイルは逃げ出す可能性が高そうです。
なんにせよ、あそこでオリバさんがドイルを倒しちゃったら、刃牙の活躍する余地がなくなっちゃうんですよね。
まあ、柳さんにリベンジしてもいいんですけど、そうなると今度は渋川先生の出番がなくなるし…。
でも、今のままだと刃牙がドイルに闘いを挑む理由も無いし、この予想はチョット強引ですね。
ひょっとすると、擬態を解いたシコルスキー(フリチン・陰部損傷)の電撃復活があったりして…
そう言えば、勇次郎は何をやっているんでしょうね?
2001年10月11日(46号)
第2部 第100話 密室の死闘(480回)
今回で「バキ」が100回を迎えました。
99年の9月16日から第2部が始まっているので2年と1ヶ月と言う所なのですが、長かったような短かったような…。
それはともかく、記念すべき100回目に主人公も表紙で(いつもの通り)ヌードをさらしています。半ケツ姿が非常にセクシー…。ちなみに(今週も)主人公は本編には出てきません。
前回、片足を捕まれ片手でオリバに振り回されたドイル!
その恐るべき筋力にクールなドイルも冷や汗をかいてしまいます。
「片手デ振リ回サレテイル………ッッ」
「80キロヲ超エル ワタシガ」
ドイルの身長は決して低く無いのですが、その身長で80キロ超しか無いと言うのはやや体重が足りないような気がします。
しかし、スマートタイプでは、天内 悠が188cm 89kg、鎬 昂昇が177cm 81kgなので、細めの格闘士としてはこの程度なのではないでしょうか。
ちなみに刃牙は167cm 71kg、太いです…。
なお現実の格闘家としては、ヒクソン・グレイシーが178cm 85kg、桜庭和志が180cm 85kg(サバを読んでいると言ううわさ有り)、ドイルとほぼ同じ?
もう一つ、80kg超を片手で振り回すのはグラップラー刃牙の世界ではそんなに凄くないと言われそうですが、片手で80kgならば両手では160kgの物を振り回せるはずです。
と、なると、ガーレン 169kg、金竜山 166kg、花山 166kgとこの辺の重量級も軽々と縦横に振り回す事ができるはずです。
こうして考えて見るとやはりオリバの筋力はとんでもない物かもしれません。
ただ、勇次郎は幼年編で当時160kgの花山を片手で持ち上げていたので、単純な腕力でも「地上最強の生物」の座は揺るぎそうもありません。
そう言えば「ベルセルク」の主人公・ガッツの愛剣「ドラゴン殺し(斬魔刀)」は計算上では貴乃花と同じくらいの重さらしいのですが、オリバさんの腕力は割とありふれた物と思うべきなのか、人外の者と戦える力を持っていると感心するべきなのか…。
すっかり話しが脱線してしまいました。
とにかく、オリバさんは凄い腕力でドイルをブン回す。
「ヌオォオォッ」
ドカッ
警視庁庁舎を揺るがす勢いで床に叩きつける。
「!」「なんだ?」「地震か?」「え?」
と、それはもうサンシャインビルに叩きこまれた丹波文七の正拳突きよりもはるかに上の衝撃です。
ドイルも、とっさに腕でかばい頭部からの落下だけは避けたようですが、血を吐き悶え、ダメージは深刻だ。
そして、これだけの衝撃を起こしているのだから他の人が気が付かない訳が無い。
「凄い音だったな」
「ここからだと思いますが…………」
と、死闘の行われている密室の前へ、ガングロ、眼鏡、太めの3人の警察官がやってきます。
「スミマセン ミスター」
「どうしました?」
明らかに非常事態と思われる地響きを立てているのにもかかわらず、いきなり踏み込む事無く礼儀正しくドアをノックしています。
のんびりしていると言うか、危機感が無いと言うか…。不謹慎ですが、ここがニューヨークだったら大騒ぎになっていますよ。
それに対して、超知力の持ち主であるオリバさんのごまかし方とはッ!?
「ああ… スマン スマン」
「うっかりイスを倒してしまってね…」
イスってアンタ、もうちょっとマシな言い訳考えましょうよ。コレではこの3人組みも、
「イス…?」
「バカな………」
「開けちゃいましょうか」
と、やっぱりまったく信じていません。
「開けないでくれたまえ………」
「大事な所なんだ」
と、それでもオリバさんはひるまず押しの一手です。
「大事な所」ってなんだッッ!? と、この3人の頭の中は様々な妄想につつまれているのでしょうが、相手は園田警視正も手に負えない怪物です。
「ま……」「次に何かあったらということで……」
「いいんスか?」
と、3人は日本の官僚らしく事無かれ主義を貫くのでした…。でも、いいんスか本当に…。
まあ、ドアを開けると、オリバさんが女装の美青年の豹がらパンツに手をかけている所でいかにも「大事な」シーンが展開されていたら辞職したくなるぐらい嫌でしょうけど。
どちらにしても去った者は帰ってきません。オリバは床で痙攣しているドイルに余裕たっぷりに話しかけます。
「邪魔者ガ去ッタトコロデ………」
「ミスター・ドイルニ質問――――」
「コノ場合(ケース)ハ君ニトッテ…」
「救ワレタノダロウカ 救ワレナカッタノダロウカ」
と、先々週のドイルの問いを逆に返す質問をオリバさんは出してきます。その表情には再び二人っきりの時間と空間を楽しんでいるような余裕の笑みが浮かび、勝利を確信しているようです。
ドイルも必死に起き上がろうとしていますが、痙攣していて素早く動く事ができない。
「ドウヤラ…………」
「後者ノヨウ……―――」
と、オリバさんはドイルの襟を掴み引き起こす。
だが、そう、その襟には…
「襟に…ッッ」
「カミソリッ」
かつてロブ・ロビンソンを落とし入れ、「板垣恵介の格闘士烈伝」にも紹介されてたインドネシアの格闘技ペンチャク・シラットの指導者が指導している特別テロ対策隊で使われているテクニック。襟をつかむと言う白兵戦で最も有効な手段を無効にする裏技だ。
ロブの被害報告書を詳しく読んでいれば、この罠に引っかからなかったかもしれない。しかし、すでに遅すぎた。
一瞬、ひるんだオリバの顔面にドイルの右拳がめり込むッ!
さらに、左拳がボディーにッッ!!
いや、拳ではなかった。
ナイフだ。
刃がほとんど根元まで隠れるほどに深くオリバの肉体に刺さっている。
そこへ、さらに追い討ち。まるで刃牙や克巳のような身軽な身のこなしで、2段蹴りをオリバに喰らわす。
さすがのオリバも脂汗を流し、苦悶の表情を浮かべる。
抜き取られたナイフは決して大きくないとは言え、オリバが握っても刃が少し余りそうなサイズだ。
ためらいなく凶器・武器・毒薬を効果的に使用する。
このヘクター・ドイルと言う男は5人の死刑囚の中で実は最もキケン度が高い男なのかもしれない。
果たして、この2人のアンチェインの闘いはどうなるッッ!?
そして、扉の外では再び異変が…
「先生―――― 稽古中にスミマセン…」
「気にしない 気にしない」
と、密室の死闘とはまるで無縁の平和な会話がかわされている。
「まったく世話の焼ける…………」
とは、園田警視正。
世話が焼けるのは、ちゃんと確認もせずに現場をほっぽりだした3人組みに対してか、第二情報処理室を占拠しちゃってコーヒーサービスまで頼んでいる地上最自由な男の事なのか、とにかく園田警視正はせめて顔だけはいかめしく威厳を持ってドアの鍵を開け扉を開きます。
そして、園田警視正に「先生」と呼ばれる男――――達人・渋川剛気登場!
「ほう…」
と、なにやら普通に驚いていますが、達人の目撃した物とはッッ!?
以下、次号へ続くッッ!?
って、あー 続きが気になるッッ!
と、言うわけで予想外の展開で渋川剛気の登場です。
オリバの筋力に達人の合気がぶつかるとどうなるのか見たい、と以前書きましたがひょっとするとそれが実現しそうな展開です。
最も、それはオリバが無事であり、達人と闘う理由が必要がなのですが、そこは柳への挑戦件でもかけて是非とも…。
さて、今後の事も気になりますが、目前の事も気になります。
密室で何が起きたのか?
ここで、忘れてはならないのがヘクター・ドイルの名前です。偉大なる探偵シャーロック・ホームズを生み出したコナン・ドイルと同姓の彼です、やはり密室トリックでは主役を張るのではないでしょうか?
ドアを開けると血まみれのオリバの死体が。
「こ、これは一体?」
「見るんじゃ園田はん、このでかい男が何かもっとるぞい」
「これはハドソンのシューティングゲーム『ヘクター`87』!? コレは一体どう言う事だ? と言うか良くこんな物を持っていたな…」
「かっかっかっ、わかったぞい、園田はん。
犯人は柳じゃ!」
「え? あ、いや、それ違うんじゃ…」
「いまどき『ふぁみこん』をもっとるのは柳のような古い世代の男しかおるまい!(偏見)」
「あ、持っているのはオリバなんですけど…」
と、言ったように凄まじい頭脳戦が次回は繰り広げられる事に違いありません!
ただ、刃牙ワールドでは密室が成立しにくいのが難点です。
「これは完全な密室殺人…」
「おや、園田はん、あそこに窓が」
「いえ、ここは10階ですし、ベランダも有りません。ロープも使わずに窓からの脱出はあり得ません」
「でも、開くんじゃな?」
「はあ…、しかし窓には鉄格子がついているんですよ」
「その鉄格子、象がふんでも曲がらんのか?」
「へ? あ、いや、さすがに象にふまれたら曲がると思いますが…」
「なら決まりじゃ、犯人は鉄格子を自力で曲げて外に出て、鉄格子を元に戻した上で壁を降りたんじゃ!」
「お言葉ですが、シコルスキーはすでに捕まっていているんですよ」
「なぁに、犯人は柳に決まっとる!」
結局、推理より私怨を優先する達人でしたとさ…。
と、まあくだらない事を長々書いてしまいましたが、実際のところ自由が大好きな2人ですから扉を開けると誰もいなかったと言うオチも考えられます。
それと、ここでドイルvs渋川戦が始まった場合、柳に対して刃牙がリベンジを挑むと言う展開があるでしょうし、それならばドラマ性も生まれやすいと言うものです。
それにしても、「密室の死闘」とは本当に「シュレーディンガーの猫」のような世界ですね。
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バックナンバー(仮) 今週の餓狼伝(最新版) 今週のグラップラー刃牙(アニメ版)(5月26日更新予定)