刃牙道「131〜140話」感想

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2016年10月27日(48号)
第4部 第131話「命の両断」 (1110回)

 伝説の剣豪・宮本武蔵が現代によみがえった。
 現代で剣豪がやることは何か?
 もちろん人斬りである。
 じつは宮本武蔵って斬殺マニアなのだ。

 斬殺大好きな宮本武蔵を止めることができる男は、自分しかいない!
 と、名乗りでたのが本部以蔵である。
 超実戦柔術の雄で、武器を使えば結構強いのが本部です。
 でも、今にも死にそうな劣勢ですが。
 そりゃまぁ、本部だしな。
 武器をもたない本部はかなり切ない戦績になってしまう。

 ここで、回想がはじまり生前の武蔵が出てくる。
 熊本で細川忠利に知行をえていたころだ。
 この頃の武蔵は晩年のハズだけど、わりと若く見える。
 五十八歳の時は髪も真っ白だった。(10巻 86話
 武蔵が細川家の客となっていたのは晩年の5年ぐらいだが、これだと急に老けたように見える。
 回想だから自分を美化しているのだろうか?

 細川忠利は関の刀匠につくらせた新作兜を武蔵に試し割りさせようとする。
 人がかぶっているカブトだ。
 こりゃ中の人が死ぬぞ。
 とうぜん、武蔵は一撃でカブトごと中の人を斬殺するのであった。
 武蔵の攻撃は、防具ていどじゃ防御不能ってことだ。

 そして、現代ッ!
 具足で手足をかためた本部に武蔵の刃が襲いかかる。
 まずは左手だ。
 アラミド繊維製の特注上着も斬られて、腕が前腕部分でブランと折れている。

「皮一枚で繋がったか」
「「具足」もバカにならん」


 皮一枚って、ほとんど両断されとる!
 具足もアラミド繊維も全然ダメじゃん。
 他人を守護(まも)る前に、自分を守護(まも)れていない。
 本部、いきなり崖っぷちのピンチだぞ。

 ただ、武士の言う皮一枚ってのは信用ならない。
 『葉隠』では、首を斬られほとんど皮一枚で繋がっている状態だったが、治ったという話がある。
 いや、治るワケないだろ! 甲賀忍法帖かよ!
 と、ツッコミたくなるが、おなじ『葉隠』には武士たるもの一丁(約109メートル)あるくごとに七度ホラを吹けと言っているので、そういう事なんだろう。

 武蔵の言う皮一枚もかなりあやしい。
 だって出血していないぞ。
 しかし、手がブランとなっているので骨折はしているのかも。
 でも具足が斬られて骨折ってのもヘンだから、やっぱり斬れているのかも。

 防弾チョッキをつけていても、打撃が中の人を直撃したら死ぬ!
 本部の弟子・ガイアは興奮したような表情で心配する。
 その心配はもっともだが、本部の肉体はジャックの攻撃に耐えられるぐらいに鍛えているのだ。(11巻 95話
 でも、今の本部は最低でも骨折している。
 そういうことは、試合前に言ってほしかった。
 解説とは、手遅れになった後でするものなのだ。

 つぎに武蔵は本部の両スネに斬りつける。
 両足も斬られたのか?
 本部は足をイヤな感じに折り曲げて、座りこむ。

 さらに追撃の刃が本部の右肩に入った。
 右鎖骨もヤラれたか!?
 これで両手両足がダメになった。
 本部以蔵、万事休すか。

「勝負ありだァッッ」
「止めろォオオッッッ」

(バカヤロウ…)
(それじゃよぉ…
 守護(しゅご)れねェだろが…)


 今にも死にそうな本部に、刃牙が悲痛な叫びをあげる。
 だが、もとべはまだ守護(しゅご)る気だ。
 いや、もはや守護(しゅご)ってもらうのはアンダのほうだぞ。

 本部はこのまま斬られるのか?
 それとも、まだ反撃できるのか?
 両手両足をやられて、煙幕玉を投げられるのだろうか?
 いや、まだ口がある! で、良いのか?
 次回につづく。


 本部が四肢を断たれた!
 ……のか?
 なぜか出血が確認できない。
 みずから関節を外して、斬られたフリをしている可能性もありそうだ。

 本部は斬られまくってピンチだけど、あまり汗を流していない
 目は虚ろだが、もとからそういう目だった気もする。
 死にかけ本部も擬態だったりして。

 だが、普通に斬られて死にかけと言う気もする。
 なにしろ本部だもんな。
 ちょっと持ちあげると、地に叩きつけられるのが本部だ。
 今回は、ちょっと高くあがりすぎたのかも。
 落下ダメージがかつてないレベルに増えてしまった。

 手足が効かなくなった状態の本部だが、なんか策がありそうだ。
 ドラゴンボールの孫悟空なら、のこった片手がつぶされても舞空術で逆転できた。
 本部も尻にしこんだ煙幕玉の噴射で武蔵に突撃をかけるかも。
 これなら、両腕が使えなくとも、煙幕玉を使うことができる。

 煙幕玉というと、本部はよくわからないタイミングで二個の煙幕玉を投げていた。(126話
 ひょっとして、あの煙に幻覚剤が仕込まれていたとしたら……
 本部を圧倒的に斬っているのは、あくまで武蔵の願望であり、幻覚だ。
 武蔵が何もない空間を斬っているのが現実だったりして。

 今回、武蔵の回想に細川忠利が出てきた。
 忠利は父・細川忠興と大量(約一万通)の書簡をやり取りし、意見交換をしていたそうだ。
 だが、その書簡には宮本武蔵の名が一度も出てこない。(山本博文日本史の一級資料」)
 細川親子にとって宮本武蔵が、いかなる価値を持っていたのか考えさせられる話だ。

 武蔵は死ぬまで名声欲が満たされなかったのかも。
 だから、ムチャなパフォーマンスをしてしまう。
 それは本部も同じかも。
 いままで見せることができなかった本部スペシャルの数々を披露したい!
 みんなを守護(まも)るってのが建前で、本音は技を使いたいだけだったりして。

 最初に斬られた左手は作り物かもしれない。
 中に粘着力のつよい液体が詰まっていて、斬った刀にこびりついて斬れなくしてしまう。
 そのうえで斬られたフリをして、油断させて反撃を狙っているのかも。

 しかし、本部が反撃すると考えると、基本的にダマして油断させて不意打ちのパターンしか思い浮かばない。
 正面から戦って勝てるならとっくにやっているだろうし、卑怯こそ本部の生きる道だ。
 武蔵が本部に勝っている幻覚を見ているぐらいなら、今の展開自体がジャックの連打をあびて死にかけている本部が見ている幻想だってこともありうる。
 いや、幻想だったら、さすがにもうちょっと活躍しているか。
 夢の中でも勝てないんじゃ、本部があまりにも悲しすぎる。

追記 (16/11/1)
 今週は木曜日が祝日なので、チャンピオンが明日の水曜日発売だ!
 つまり、本部の寿命が一日みじかくなった、と。
 いや、まだココから悪あがきしそう。

 武蔵は人斬りが大好きだから生かさず殺さず、じわじわ斬っていくんだよな。
 烈の時もピクルの時も、頸動脈とか狙わず細かく切っていた。
 本部も細切れにされそう。

 武蔵vs本部は、かなり初期から引っ張ってきたスペシャルマッチだ。
 ちゃんと武蔵の復活を感じとって山籠もりをしていたし。(1巻 6話
 正直、この時は本部なんてギャグ要員かにぎやかしだと思っていました。
 本部のかわりに、鎬兄弟とオリバが にぎやかしだよ。

 バトル物の宿命として、新たな強敵が登場したら、強さをアピールして最後に主人公と戦わなくちゃいけない。
 だから、主人公以外との戦いが前座試合になってしまう。
 死刑囚編は敵が5人も出てきて、誰が誰と戦うのかワカらないというワクワク感があった。
 クローン偉人もチーム戦ができたら良かったのに。

 vs本部が終了したら、次こそ刃牙の出番だろう。
 さすがに、これ以上の寄り道はないと思いたい。
 で、刃牙と武蔵が決着つけたら、新たなステージの登場だ。
 範馬兄弟大集合でも、逆に範馬抜き最大トーナメントでも大歓迎だぞ。

 ところで、現在放送中のアニメ『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』で主人公の本棚にグラップラー刃牙とバキが入っているっぽかった。
 巻数がかなり少なかったので、大好きなバトルがある巻を置いているのかも。
 こりゃ、刃牙に風が吹いてるぜ。
 というか、降霊術で宮本武蔵本人を現代によみがえらせるってのが、オカルトだよな。

週刊少年チャンピオン2016年48号 [雑誌]
週刊少年チャンピオン2016年48号

2016年11月2日(49号)
第4部 第132話「孤独」 (1111回)

 超実戦柔術の雄・本部以蔵は武器術に長けている。
 だがバキ世界では武器使いの扱いが悪い。
 素手にくらべると卑怯に見えるのがマイナスポイントだ。
 なので、武器を使う人は白眼視されがちである。

 武器の使用さえ許されたら本部は強いんだけどな。
 弟子の花田に天才ヅラされてワガママ言われることもないし、花田に勝った加藤に空手のあやしかたを教えてやれるし、加藤の師である独歩だって1分以内で殺せるのに。
 武器さえ使えればッ!
 ちなみに土俵の中に武器を持ちこめないので、金竜山にだけは勝てないと思う。

 だが、剣豪・宮本武蔵が現代によみがえって事態が一変した。
 宮本武蔵と真の意味で戦うには、武器アリでないとダメだ。
 ついに本部の時代が来た!

 古からの古流武術を継承し、現代科学で補強した本部流柔術だったが、やっぱり宮本武蔵に届かない。
 もうちょっと最新科学をもりこんだ方が良かったのか?
 鎖帷子や具足で身をかためていたのだが、剣豪・武蔵+名刀・金重の攻撃を防ぎきれない。
 左腕と両足を斬られ、右肩にも刃が喰いこむ。

「勝負ありだッ」
「止めろォォッッ」

(バカヤロウ………)
(止めちまったらよォ………)

「おお…っ」
「少年(ぼん)」


 刃牙が試合中止を訴え、本部が心の声で拒否し、武蔵が刃牙を発見する。
 現時点での重要人物三人がここに集結した。
 武蔵編の転換点になるシーンかもしれない。

 観客席にいる刃牙を見たため、武蔵は本部から目をはなしてしまう。
 戦場において許されざる油断だ。うっかりミスだよ。
 何度目か数えていないけど、またまた武蔵らしいミスが炸裂した!

(守護(しゅご)れねェだろが……)

 両手・両足が使えぬまま、本部が武蔵の腰にタックルした。
 ヒザだけを使って移動したのか?
 あと、ヒザ立ち状態だったから、倒れこむことも移動に利用したのだろう。
 座った状態からの体さばきの応用だろうか。

 総合格闘技におけるタックルは比較的最近になって確立した技術だ。
 とうぜん宮本武蔵が知るはずもない。
 テレビ視聴とかで研究されてなくて良かった。
 いや、研究していたけど油断したスキをつかれたのかも。

 本部は倒れた武蔵に馬乗りになる。
 これが最後のチャンスだ。
 手足を失った本部に残された攻撃手段はッ!
 頭突きだッ!

 本部が渾身の力をこめて、額を打ちつける。頭を叩きこむ。
 拳よりも硬くて重い衝撃が武蔵の顔面に炸裂する!
 武蔵は鼻にくらい、すさまじい勢いで鼻血が噴出した。
 一瞬、ヒゲかと思うような太くて立派な鼻血だ。
 こりゃ、鼻柱とかが折れているんだろうな。

 『葉隠』に言う、剣が折れたら素手でつかみかかり、腕を切り落とされたら肩で押し倒して首に噛み付いて敵を倒せってヤツですな。
 肩を使わず、頭突きなのが近代格闘技による研究の成果か。
 あと、本部の歯は総入れ歯なので、強力な武器になっている可能性もあるぞ。
 特殊合金の歯で噛みつくかも。

 なんども頭突きをくらって武蔵の目がゆれている。
 こりゃ脳も相当ゆれているだろう。
 すかさず本部が次の段階(フェーズ)に移行する。
 武蔵の背後にまわり、斬られた左腕を巻きつけて絞める!
 腕が利かないので袖に噛みつくことで固定した。

 破壊(こわ)された腕を利用した、変形の裸締め(スリーパー)だッ!
 折れた腕を利用した攻撃は、グレート巽をほうふつとさせる。(餓狼伝8巻 51話)
 両手両足を破壊された本部には、反撃する余力などない。
 そんなふうに考えていた武蔵の致命的な油断がありました。

 本部、最後の一撃に刃牙が、独歩が、渋川が、末堂&加藤が、昂昇が、紅葉が、ガイアが、郭海皇が、佐部が沸きたつ。
 通常であれば完璧にはいったスリーパーから脱出することはできない。
 この状況を覆すことができるのは、相手の爪をむしり取った独歩や、超握力で相手の腕を破壊した花山のような、常識を超えた力技が必要になる。
 と、なると青竹を握りつぶせる武蔵なら握力を利用して脱出可能だ。
 本部よ、早くきめないと逆転されるぞ!

 と、武蔵は愛刀・金重を背後に向ける。
 視界の外にいる目標への攻撃だ。
 かなり不確実で、運まかせと言える。
 百戦錬磨の武蔵でも、追いこまれて動揺しているのだろうか?

 刃が背中に刺さっても、本部は止まらない。
 死力をふりしぼり、武蔵への攻撃をつづける。
 長い刀だと、密着した状態では使いにくい。
 脇差もさしての二刀流だったら、小回りの利く短い刀で有効な反撃ができたかも。
 そして、あえて刀を手放し、素手の握力で攻撃していれば……

(この顎をわずかでも緩めちまったら)
(もう守護(まも)れねェ)
(自身を……… 仲間を…… 時代を…… そして何より………)
「アンタをだ」
「武蔵さん」

(アンタの孤独に
 今頃 追い付いたんだ……………)


 本部が武蔵を責めあげながら、ささやきかける。
 自分だけのために頑張るというのは意外と難しい。
 仲間や社会のためという大義名分があるほうがモチベーションが上がる。
 それを悪用すると、マインドコントロールになってテロ組織やブラック企業に奉仕させられるんだけど。(マインド・コントロール
 本部は自分自身をふるいたたせて、武蔵を絞めた!

 武蔵の手から愛刀が落ちて、勝負アリだッ!
 本部以蔵の勝利である。
 って、勝っちゃったの!?
 勝てる見込みなんてゼロだと思っていたよ。
 まさか夢オチじゃないよね?

 衝撃の結末に観客席の戦士たちも汗が止まらない。
 本部に負けたジャックは、心境が複雑だろうな。
 武蔵に勝つぐらいなんだから、自分が負けても仕方がないという言い訳ができる。
 だが、それはけっきょく自分の敗北を認めることだし。

 そんな複雑な思いが交錯する本部の勝利だ。
 これは大金星というか、大波乱だよ。
 刃牙道の流れが完全に乱れた。
 このまま刃牙vs武蔵に向かう道を踏みはずしちゃったぞ。
 かつてない混沌へと向かう予感をさせつつ、次回へつづく。
 ……次回ってどこに向かうんだ?


 本当に予想外の本部勝利だ。
 金竜山が本部に勝った時よりも意外だよ。
 いったい、ナニが起きてしまったんだろう。
 もう『刃牙道』ってタイトルが破綻寸前ですよ。

 敗北した宮本武蔵はブランドイメージが落ちた。
 本部に敗北した戦士と戦う意味があるのだろうか?
 むしろ、本気で完全武装した本部と戦いたいと思うのが人情だろう。
 これにて本部の守護完成だ。
 まさか、本当にやっちゃうとはね。

 とりあえず、今回の戦いは「より多く油断したほうの負け」という予想が当たったようだ。
 最後に致命的うっかりをしたのが武蔵だったワケですよ。
 実は死んだフリで、立ちあがるという可能性が、まだありますが。
 武蔵vs本部が教えてくれた教訓は、油断大敵ですね。

 今回、本部の守護(まも)る範囲に「武蔵」が入っている事が地味な衝撃だった。
 誰かが止めないと、武蔵は斬殺マニアの修羅道から抜けだせないという事なのだろうか?
 現代において武蔵が孤独な存在なのは確かだ。
 せめて、武器OKの戦士として武蔵に並べるヤツもいると示したかったのかも。

 武蔵が勝ちつづけるという事は、新たな犠牲者がどんどん出るという事だ。
 そうなると武蔵への恨みも増えるかもしれない。
 殺し殺され恨まれる、負の連鎖を止めて武蔵を守護(まも)りたいと本部が考えていたのかも。
 ただ、諸悪の根源は徳川さんだから、あの人を何とかしないと別の手段で同じ地獄が再現されるぞ。

 本部の勝利によって、もう武蔵が人斬りをすることが無くなるかもしれない。
 破壊のあとには、建築だ。
 戦国の武術を武蔵から教わり、武蔵に現代格闘術を教える。
 古流武術と近代格闘技の融合で、新たな戦闘術が生まれるかもしれない。
 すなわち『武蔵道』だッ!
 いや、タイトル的には『刃牙道』なんだろうけど。

 武蔵・本部の提唱する『武蔵道』と、刃牙・勇次郎が一般向けに改良した『範馬道』の対決が起きるかもしれない。
 本部が道の無いところに突っこんじゃったので、この先がどうなるのか本気で読めないぞ。
 次回が いきなり20年後から始まっても違和感ナシだ。
 来週から『刃牙道外伝 守護(しゅご)いよ!! 本部さん』が開始(はじ)まろうと、俺はおどろかないぞッ!

追記 (16/11/8)
 う〜む、本部が勝ってしまった。
 まさかここで勝っちゃうとは、本当に読めないオッサンだ。
 これじゃ、刃牙の立場が無いな。
 本部は武蔵を倒し、みんなを守護(まも)り、刃牙をはずかしめた。
 一戦して三勝する偉業を打ちたてた。

 当サイトの検索ワードを見ると「本部 死んだ」というものがそこそこある。
 おそらく連載を見ていないコミックス派の人たちがデマに惑わされて混乱しているのだろう。
 チャンピオンを見ていなかったら私だって「本部が勝つ」より「本部が死んだ」のほうを」信用する。

 ただ、武蔵は死んだフリが得意だ。
 油断していると背後からバッサリやられるかもしれない。
 江戸時代になると、武士の意識が「手段を選ばず勝つ」から「武士らしくふるまう」に変わっていく。
 前に書いたことありますが、『葉隠』聞書十(63)で同僚の喧嘩に加勢した(喧嘩両成敗なので、普通ならこの時点で切腹確定である)武士は背後から近づいても一声かけてから斬りつけている。
 武蔵は時代的に背後から斬っちゃう人かもしれない。

 予想がつかないというと、米国大統領選挙でトランプが勝った。
 Twitterで『トランプが大統領になると、世界に政治・経済的な混乱を招くだろうから、できれば勘弁してほしい。 唯一ともいえる美点は、勇次郎がグリグリする相手としてトランプのほうが抜群に面白いって事ぐらいだ』と書いたときは、それでもヒラリーが勝つだろうと思っていたんだけどな。

 出た結果は受けいれて、勇次郎がトランプをどう扱うかを楽しみにしておこう。
 武蔵も負けたことだし、次の展開が待っているハズだ。
 新大統領が徳川さんの研究を盗み、クローン偉人部隊を作るかもしれない。
 米国は土葬が多いので、遺伝子を取りだすのは日本よりずっと楽だ。
 もっとも、日本だって昔は土葬が主流だったんですけどね。

 ただ、米国にいる古の武人って数が少ないかも。
 そうなると、クローン偉人部隊はダメか。

 倒そうと思っていた武蔵を先に倒されちゃった。
 せっかく鍛え直した拳のやり場をどうするのか?
 武蔵より強い本部を殴るってのは違うよな。
 もしかして、こういう混沌とした状態から行くべき道を探すのが刃牙道ってことなのか?

週刊少年チャンピオン2016年49号 [雑誌]
週刊少年チャンピオン2016年49号

2016年11月10日(50号)
第4部 第133話「ありがとう」 (1112回)

 本部以蔵が現代によみがえった宮本武蔵に勝ったッ!
 マジでッ!?
 夢オチとかじゃないよね!?
 金竜山にふまれた後から、ずっ〜〜〜と夢見ていたとか。
 そんな疑問を不安を抱えて一週間がたちました。
 結論をいうと、本当に本部の勝利だ。

 勝ったけど、本部は満身創痍である。
 両手両足は効かず、右肩に刀が刺さったままだ。
 って、刀が貫通していたのかよッ!
 背中にちょっと刺さったぐらいだと思っていた。
 本部のダメージは深刻だ。
 ギャグ漫画 バキ世界じゃなかったら死んでるぞ。

 本部の勝利を目撃した主催者の徳川さんや刃牙たちは複雑な思いを抱えていた。
 刃牙たちも本部が勝つと考えていなかっただろうしな。
 負けて死ぬか、死なずに負けるの二択だと誰もが思う。私だって思う。

『守護(まも)られてしまった者の内にある』
『解放 安堵 感謝…………の甘み』
『先を越されてしまった者の内にある』
『焦燥 後悔 嫉妬(ジェラシー)…………の苦み』
『二つ我にあり………』


 独歩、渋川、ジャック、加藤、郭海皇、昂昇、紅葉……
 戦士たちは称賛の拍手をおくるが、やっぱり複雑な心境のようだ。
 日本刀を使う武蔵と戦うと、重傷になったり死んだりする。
 やっぱり、みんな本心では戦いたくなかったのかも。

 強いヤツと戦いたい。それが戦士の本能だ。
 でも、死んだり殺したりってのは、やっぱり抵抗あるだろう。
 だから武器アリでは、あまりやりたくない。
 ついでに言うと、動物と戦うってのも かなり変態的な趣味だろうな。

 いっぽうで戦士として、武蔵と戦いたい気持ちもある。
 本部は、武蔵vsピクルに乱入する形で参戦した。
 それだけのムチャと度胸があれば、俺も戦えたのにッ!
 これが実行できるかどうかが、戦士としての資質に直結しそうだ。
 もしかしたら死ぬかもしれないが、挑戦したい。そんな戦士の心意気ですね。

 本部の活躍と勝利は、多くの人に大きな影響を与えただろう。
 強さの基準が何なのか、ワカらなくなった。
 なにが正しくて、なにが間違っているのか。
 米国の大統領選じゃトランプが勝っちゃうし、世の中には ありえないことなど ありえないのだ。
 こういう混沌とした状況では、どこに進むべきかの道を教えてほしくなる。
 すなわち、それが刃牙道となるのだろうか?

 観客の拍手を聞いたのか、武蔵が目覚める。
 で、武蔵は本部と今回の試合を振り返るのだ。
 うん。でも、そのまえに本部に刺さったままの刀をなんとかしようよ。

 本部は、武蔵の攻撃に手加減を感じている。
 武蔵の斬撃は、すべて具足(防具)の上だった。
 それでも充分なダメージだったけど、防具のスキマを狙っていたら、はるかに危険だったハズだ。

「バレてますよ」
「あなたは自著にこう記している」
「千日(3年)の修行をもって「鍛」となし」
「万日(10年)の修行をもって「錬」となす」
「そんなあなたのこと現在(いま)も練っているハズ」
「この練習試合の間も ず〜〜〜〜っと!」


 武蔵にとって、この死闘は練習試合だったのか!
 試合向けの本気で、殺し合い向けの本気じゃないってヤツかよ。
 本部は試合で勝つことはできた。
 だが、殺し合いでは勝てないだろうと考えている。

 武蔵が負けた言い訳をしないのは立派だ。
 でも、負けは負けである。
『軍人にとって、眠っている敵を打撃することは自慢にならない。それは単に打撃されたものの恥に過ぎない』(山本五十六『名将たちの戦争学』より孫引き)

 宮本武蔵と言えば、六十余の勝負をして一度も負けなかった事を売りにしている。(五輪書
 練習だろうと負けちゃったのは、経歴に傷がつくぞ。
 『バガボンド』の武蔵も宝蔵院胤舜との初戦で負けて逃げたが、無敗の武蔵が敗走したことで武蔵業界に激震が走ったとか。
 でも、『五輪書』はすべてを武蔵本人が書いたワケではないらしく、無敗ってのも弟子たちの宣伝文句なのかも。

 現代によみがえった武蔵は、弟子もいない。
 だから、好き勝手に戦って負けるのもOKなのかも。
 身軽になった武蔵は、ここからさらに成長するのかもしれない。
 というか、剣豪として負けたら成長しないとダメだろ。

 武蔵は本部に刺さったままの愛刀・金重の柄に手をかける。
 そして、上に斬りぬけたッ!
 本部の右肩が斬れちまったぞ。
 血の噴水は勢いが良くないので、動脈が無事だろうか。
 でも、かなりの深手だ。

 武蔵は試合で負けたので腹いせに、追加ダメージを与えたのだろうか?
 これ以上、追撃したら本部が死んじゃう!
 武蔵の真意は不明だが、とにかく武蔵は本部に背を向け去っていく。

「ありがとう……
 それでもおまえは勝っている」


 感謝の斬撃(?)で本部の勝利に華をそえた、のか?
 とりあえず、武蔵も本部の勝利を認めたぞ!
 歴史的な大番狂わせである。
 敗北した武蔵はナニをするのか。
 打倒武蔵を目標にしていた刃牙たちは、どうすれば良いのか?
 カオスな状況のまま、次回につづく。


 本部が武蔵に勝利した。
 そこは揺るがない事実だ。
 でも、本部はみんなを守護(まも)ったのだろうか?

 そもそも、武蔵から守護(まも)るってのは何だ?
 極端なことを言うと、武蔵を再起不能にすることだろう。
 戦えなくなった武蔵は、もう誰も傷つけることができなくなる。
 だが、武蔵のダメージは少ないので、この意味だと守護(まも)れていない。

 逆に挑戦者の意欲をそぐことも有効だ。
 武蔵を倒すことで、ブランド・イメージを傷つけ、だれも武蔵に興味を持たなくなる状態にする。
 これは、そこそこ成功していると思う。
 武蔵が、本部に負けた! と、宣伝しまくったら武蔵への挑戦者が激減するぞ。

 ただ、本部自身が言っているように、本気の本気モードで殺し合いをする武蔵は、まだ温存されている。
 本気の武蔵とヤりあいたい。そんな風に考えている格闘士たちがたくさんいそうだ。
 結局、本部の守護(まも)りは未完成なのかもしれない。
 本部は試合に勝って、守護(まも)りに負けた。

 こうなると、本気の武蔵と戦いたがる人が出てくるんだろうな。
 でも、武器アリの武蔵と戦うのは、やっぱりキツい。
 戦う相手は、もう刃牙ぐらいしかいないような気がする。

 範馬勇次郎はけっきょく姿を見せなかった。
 もう、武蔵と戦う気はないのだろうか?
 米国の大統領選で次期大統領がトランプに決まり、来年の1月20日に就任する。
 勇次郎も同時期に米国・範馬勇次郎間の同盟を契約更新するハズだ。
 ついでに、ちょっと空中に放り投げて人間シャッフルするとかの余興をやるかもしれない。
 今の勇次郎は、ちょっと忙しいのかも。

 それにしても……
 SMAPが解散決定し、こち亀が連載終了し、トランプが勝利して、本部も勝った。
 2016年は なんて年だッ!

追記 (16/11/16)
『刃牙道』最初のボスキャラと目されていた宮本武蔵が敗北した。
『範馬刃牙』で言えば、オリバがゲバルに負けちゃったような状況だ。
 ここから、どう話が進むのだろう。
 板垣先生の事だから、ノリでやっちゃって、なにも考えていないんだろうな。

『バキ』の時は死刑囚が五人いたから、スペックが花山に負けても問題なし。
 むしろ、刃牙が梢江とのファイトを望んでいるほうが問題に思えた。
 そして、それは あとで とてつもない衝撃となって読者を襲うのであったが、省略します。

 で、何度も書いていますが、ボス相手に勝ち抜き戦をするのではなく、総当たりと言うか団体戦が見たいワケですよ。
 強くなるなら武器つかう武蔵・本部派と、素手の美学にこだわりたい刃牙・独歩派が分裂して、団体戦とかどうだろう。
 神心会ではテグス使いの加藤が分離しそうだ。
 鎬兄弟も素手にこだわる昂昇と、治療以外のメスさばきを試したくなった紅葉で分裂しそう。
 そんな感じで、新たな技と因縁が生まれそうだ。

 あと、ジャック兄さんの処遇が気になるところだ。
 勝つためには手段をえらばず、ドーピングして身長も伸ばしたジャック兄さんは、ためらいなく煙幕玉という武器を使いだし、さらに弱体化する。
 ……というのは勘弁してほしい。
 ジャック兄さんが、やっとのことで範馬の血に目覚めて筋力が大幅アップしたら、伸ばした骨が耐えられず元のサイズまで縮むとかどうだろう。

 まだ、宮本武蔵の本気ってのがあるのだが、アライJrなみの期待だおれになるかも。
 武蔵はとにかく油断ばっかりする人なので、倒しかたにこだわらなければ加藤でも勝てる気がする。
 いや、ガイアが負けているから、さすがに加藤じゃムリか。
 とにかく、アライJrの時みたいに、何度もトライして結局ダメでしたってオチは勘弁してほしい。
 でも、板垣先生の事だから、ノリでやっているから、本人にもどうなるかワカらないんだろうな。

週刊少年チャンピオン2016年50号 [雑誌]
週刊少年チャンピオン2016年50号

2016年11月17日(51号)
第4部 第134話「時代の『宝』」 (1113回)

 格闘士のあまり強くないほうに所属する本部以蔵が、満身創痍ながら宮本武蔵に勝利した。
 ものスゴい番狂わせであり、異常事態だ。
 バキ世界は先の見えない混沌の時代に突入した。

 左手と両足を斬られた本部は入院中だ。
 そして、見舞いに来たのが範馬刃牙である。
 なんか、この構図は何度も見たな。
 ユリーとか、花山とか、烈海王とか、いろいろと。
 戦い後のフォローをするのは主人公の証だッ!

 刃牙はただ見舞いに来たワケじゃない。
 本部の事を侮っていたので謝りに来たのだ。
 今日の刃牙は謙虚だ。
 このまま本部に弟子入りしちゃうかッ!(それは無い)

 武器を持った本部の強さを刃牙たちは見誤っていた。
 私も見誤っていた。
 本部の事を何度も悪く言ってすいません。
 でも、やっぱり今後も似たようなこと言うと思います。
 だって、それが本部なんだし。

 刃牙は本部を見誤ったように、宮本武蔵の力量も見誤っていた。
 これは武器アリの戦いになれていないから仕方がないのかも。
 逆に本部だって、刃牙の強さを見誤っていたことがあるし。
「子供同士の喧嘩……」「見らんでもわかる」G刃牙4話)
 いや、見誤る以前に、見てもいなかったか。

 刃牙が本部の強さを認め誉めたたえたように、本部は刃牙たち戦士をたたえる。
 なんか仲間内のほめあいだな。
 あるいは傷のなめあいだ。
 前に刃牙と独歩がほめあっていたような感じか。(13巻 108話

 こういう仲間同士のグチの言いあいとかも重要だ。
 人間は孤独に一人だけの作業でモチベーションを維持するのは難しい。
 このサイトの感想文だって誰かが読んでくれていると思わないと、とても毎週書けないし。
 仲間同士でリスペクトし合うのも、戦士には必要なのかも。

「刃牙さん」
「地上最強のガキ」
「アンタは「宝」だ」
「この時代の象徴だ」
「「強さ」という概念は」
「アンタが受け継いでいる」


 いきなり、スゴいほめかた来たな。
 さすがに、それはホメすぎじゃね?
 ホメすぎて、ホメ殺し寸前ですよ。
 「宝」「時代の象徴」「強さの概念を受けついでいる」と来たか。
 まるで世界を救う伝説の勇者だ。

 刃牙は最強の遺伝子を受けつぐ存在だ。
 そして若いというのが良い。
 最低でも今後20年は皆を導く強さの道標になってくれるだろう。
 いや、刃牙ならあと40年は余裕でイケる。

「オーガ…」
「「地上最強の生物」……」
「神だ」
この世界の「秩序」だ」
「神は手離せねぇ」


 刃牙の強さを保証する、強さの絶対基準が範馬勇次郎<オーガ>だッ!
 最強の代名詞であり、誰もが憎み愛し羨望する存在である。
 範馬勇次郎が油断して麻酔銃の乱射を食らったとき、まるで肉親が撃たれたかのような反応で絶叫したのが、ほかならぬ本部だった。(G刃牙32巻 276話)
 本部たちは勇次郎を倒したいと思いつつ、無敵でありつづけて欲しいという複雑な思いがあるのだろう。

「渋川剛気先生」
「その技術はもはや「国宝」の域」
「「無形文化財」は守護(まも)るものだ」


 究極の武とも言える合気を完成させた達人だ!
 おなじ柔術系なんで、本部は渋川さんには敬語をよく使う。
 でも、達人は保護されていると言われていた。
 守護(まも)って鑑賞するモノでなく、実戦を見学したい技術だ。

「愚地独歩」
「近代空手の「父」だ」
「「武神」独歩を失ったなら」
「空手道は「太陽」を失う」
「そんなこたァ 許されねぇ」


 最初のころ、独歩と本部はライバルっぽい関係だった。
 打撃と組み技と言う対照的な戦闘スタイルだし。
 独歩は巨大組織の長だ。
 本部は小規模な道場を経営している。

 現代の武術家は生計を立てるのが難しいのだが、本部って収入をどうしているんだろう。
 副業をやっているようには見えないし、意外と門下生もいるし、武術だけで生活してそうだ。
 こっそり、警察や軍隊の指導教官や、武器・防具開発を手伝っているような雰囲気もある。
 とにかく独歩とは光と影のような違いがありそうだ。

「花山薫だけが持つ」
「天井知らずな「矜持」」

 本部さん、この辺からほめ方が簡単になります。
 つまり、ここから先はあまり親交がないんで思いいれも少ないのだろう。
 本部の見立てでは、花山の強さは精神性にある。
 握力もスゴいはずなんだけどね。

「大化け愚地克己」
「空手界における堂々たる第2の太陽だ」


 さっき独歩は太陽と言いながら、すでに次世代がいると言っちゃった。
 独歩はいつ居なくなっても大丈夫だ。
 ってのが、本部の本音だったりして。
 残念なのは克巳が大化けしたのに、戦いの機会が少ないってことだよな。

「ピクルはあれだ」
「言わずと知れた人類の財産 そして仲間だ」


 恐竜時代の原始人というムチャすぎる存在がピクルだッ!
 人類と言うか、生物史の宝だな。
 いつのまにか本部の仲間になったようだ。
 武蔵の凶刃から守護(まも)ってあげたから、仲間か。

「「ガイア」の地球に優しい戦闘術」

 ガイアの売りは、そこかよ!
 傭兵の経験による実戦経験がガイアの強味だと思っていたが。
 いつのまにエコロジー戦士になったんだろう。
 地球温暖化への対策を中止しようとしている某次期大統領と対決する予兆だろうか?

「「道」に外れても」
「「空手道」だけはブレない加藤清澄」


 ブレてなかったのか!
 というか、加藤のこともひろってくれたよ。
 加藤は本部流で唯一の免許皆伝である弟子の花田を倒した男だ。(G刃牙4巻 30話)
 本部も天才・花田から、どえらいもん(睾丸一個)を奪った男として注目しているのだろう。

「鎬紅葉の「解剖学戦闘術」」


 医者である紅葉は、その知識で自分の肉体を造り、敵の肉体を破壊する。
 でも、どんどん非常識なパワーファイターが登場してきたので、パワーより知識の人になっているな。
 紅葉の持つ現代医学の知識を武術に活かせば、さらに大きな発展が期待できそうなんだけど。
 武術ってのは自分の優位点を守るため、秘密主義になりがちだから協力が難しいか。

「実弟 昂昇の「斬撃流」」

 昂昇の斬撃空手は、肉体を武器化するという意味で、非常に空手らしい技だ。
 ちょっと空手に特化しすぎているのが弱点かもしれないけど。
 鍛え抜かれた指は、組み技の距離で相手の肉体を穿つことができるかもしれない。
 一度、組み技系と戦ってほしい人だ。

「中国武術の権化 郭海皇の長寿」

 郭海皇の強みは長寿かよ!
 年齢146歳以上はダケじゃない!
 本来なら中国武術の代表は烈海王だったんだろうが……
 長寿と言う点では、範馬勇次郎よりも上だしな。

「〇〇の××」
「△△の□□」
「一人残らずが時代の「宝」だ」


 まだまだ数人、名前をあげているようだ。
 ジャックが無視されていますね。
 もう、ダメなんだろうか、ジャックは。

 オリバの名前も出ていないが、これも面識がないからだろうな。
 アライJrも名前が出ていないが、そこは順当かも。
 寂海王も出ていないが、考えの違いが大きすぎて対立関係にあったりして。
 それと死刑囚5人のその後も気になる。
 何人かは、まだ戦えそうな感じなんですねどね。

「だが……」
「それぞれが それぞれに」
「繋がりを持つ」
「武蔵(かれ)はどうだ……?」


 と、ここで本部が問題定義をした。
 これは思いもしなかった話だ。

 刃牙たち戦士は、それぞれ個々に活躍している。
 互いに戦い競い合うことで絆が生まれているのだ。
 生物的にも部外者であるピクルだってタイマンはったら、ダチだもんな。

 しかし、武蔵は孤独な存在だ。
 江戸時代からよみがえったという文化的な異邦人である。
 オマケに武蔵のもつ高度な武術は、現代だと失われていて共感しにくい。

 さらに、武蔵は戦いに対する気構えがちがっている。
 烈海王を斬殺したあとの武蔵は強さを称賛されたが、支持がなかった。
 勝利しても栄光無く、孤独に歩む。

『迷いなし』『躊躇(ためら)いなし』『そして支持はなし……』
『それでも尚』『天下無双也 宮本武蔵』
8巻 66話

 武蔵は思想・歴史・技術的につながりが持てていない。
 本部は、そんな武蔵の孤独をも守護(まも)る気だったのだろう。
 ただ、これは武蔵本人がヤる気を出さないと解決しない問題だろうな。

 戦士たちは、あくまで個人として強さを求めている。
 だが、強さとは相対比較であり、誰かと戦わないと自分の強さがわからない。
 個と個をむすぶ線が、道なのかも。

 と、ここに鎬紅葉が入ってきて、武蔵がTVに出ているという。
 孤立している男・武蔵はなにをする気なのか?
 もしかして、後楽園 御前試合の開催で、お茶の間に斬殺映像を届ける気か?
 本部が負傷している今、みんなを守護(まも)ることができるのは刃牙だけかもしれない。
 次回につづく。


 本部が言っていた武蔵をも守護(まも)るってのは、こういう事だったのか。
 孤立している武蔵を仲間にするため、死合を中止させないといけない。
 これが本部の狙いだったのかも。

 武蔵以上に異分子だったピクルもタイマンはってダチになった。
 だから、武蔵ともダチになることができる勝負が必要なのだ。
 しかし、武蔵には武蔵の考えがあるだろう。
 孤高なる存在になりたいけど、仲良しクラブは不要と思っているかもしれない。

 武蔵を守護(まも)るのは、難しそうだ。
 温暖化から地球を守護(まも)るのと同じぐらい難しい。
 つまり、本部の弟子であるガイアの「地球に優しい戦闘術」が勝利の鍵かも。
 「武蔵を守護(まも)る」も「地球に優しい戦闘術」も意味不明なだけで、ぜんぜん別物かもしれないけど。

追記 (16/11/23)
 先週のチャンピオン作者コメントでフルットの石黒先生が『決まりましたね、アメリカ大統領。刃牙の世界に登場するのが今から楽しみです。』と書いていた。
 で、板垣先生は『トランプかァ…。 / 問題は謎めく構造、あのヘアスタイルだな…。』と書いている。
 石黒先生に期待され、板垣先生もヤる気のようだ。
 こりゃ、バキ世界にトランプ次期大統領が出るのは確実っぽいが、どういう風に絡むんだろう。

 米国大統領は独裁者じゃないので、なんでも好き放題できるわけじゃない。
 議会との折り合いがあるので、最初のうちはあまりムチャもできないはずだ。
 とうぜん実行できない公約が多数出てきて、批判が高まるのだろうが、その時にムチャをするのかどうか。
 バキ世界でムチャするのと、現実世界でムチャするのと、どっちが先だろう。

 8年前にオバマが選挙で勝った時も米国大統領について妄想していた。
 実際に登場したのは2009年10月29日だったので、約1年後だ。
 『外伝ガイア』には就任前の12月に登場している。
 トランプはキャラが立っているので、ネタにしやすそうだ。
 他の漫画でも出てきそうだな。
 バキ世界なら、勇次郎に対抗するための特殊部隊をつくりそう。

 とりあえず、現在の刃牙道は宮本武蔵のテレビ出演が起こす騒動だ。
 武蔵が自分の存在を公表したら、日本は大混乱になる。
 歴史の生き証人が出てきたんだから、戦国末期から江戸初期の日本史にとっての影響が大きい。

 武術界、スポーツ界への影響も大きいだろう。
 スポーツ界はそれほどでもないか。
 一般人の平均的な身体能力はともかく、トップアスリートなら江戸時代の人より身体能力が上だ。
 スポーツの記録は、どれも年々良くなっているワケだし。
 道具の差もあるだろうけど、技術の研究・改良・蓄積ができるようになったことも大きい。
 古流vs現代の武術対決になっても面白い。

 それとも、普通に逮捕・連行されているところだったりして。
 お金を持たずに飲み食いして、徳川さんにツケにしようとしたら断られる。
 逆ギレして日本刀で店員を手打ちにしちゃったのかも。

 取り押さえにきた警官もブッた斬ればさらに大騒動だ。
 こりゃテレビ中継もされるだろうな。
 さて、宮本武蔵のテレビ出演は良いニュースなのだろうか、悪いニュースなのだろうか。
週刊少年チャンピオン2016年51号 [雑誌]
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2016年11月24日(52号)
第4部 第135話「偉大さ」 (1114回)

 米国大統領選で世紀の番狂わせが起きたッ!
 泡沫候補と思われていたあの男が勝利したのだ。
 だが、あの男は知らなかった。
 米国大統領には秘められた約束ごとがあることをッ!

 と言うワケで、次期大統領が現職大統領から業務引き継ぎをしています。
 現大統領はバラク・オズマである。
 オズマから次期大統領トラムプへ伝えられた衝撃の事実とはッ!

 刃牙ファンにはすでにお馴染みの、範馬勇次郎との同盟契約である。
 オズマも、この同盟契約を行った。(範馬刃牙22巻 182話
 なお、連載時では聖書がぬけていたが、コミックスだと ちゃんと聖書を持っています。

 オズマは大学時代から勇次郎を知っていたそうだ。
 だが、次期大統領トラムプは勇次郎の存在を知らないらしい。
 トラムプは政治家の経験もないし、軍人の経験もない男だ。
 ビジネスだけやっていると、勇次郎の情報が入ってこないのかも。
 軍需産業に関わっていたら知っていたかもしれないが、主な事業が不動産だしな。

 超大国アメリカが、一個人に友好と不可侵を誓う。
 次期大統領トラムプにとって、あまりにムチャな内容だ。
 オズマの正気をうたがうかもしれない。

「一個人に"媚びろ"と?」

「イエス媚びるのだ」

「"金持ち"なのか」

「ある意味 世界一のリッチマンと言えるだろう」
「だが そのこととは無関係だ」


 次期大統領トラムプが、恐るべき相手と聞いて最初に思いつくのは財力だった。
 ビジネスマンだから、自分の基準で考えちゃうんだろうな。
 強さ=金持ちだ。
 たしかに、暴力と財力は自分のワガママを通す事ができる強さと言えるかも。

 そう、強さとはッ! 比重の重い金を持ちあげる力のことを言うッ!
 つまり、このトラムプも剛力かもしれない。
 いや、よりリッチに金剛力か?

 オズマ現大統領は勇次郎のことをリッチマンだと言っている。
 最強の腕力があれば、財力も超えるってコトだろうか。
 金ってのは、経済における強さみたいなものだから、地上最強なら財力も最強って理屈なのかも。

 次期大統領トラムプは勇次郎を逮捕したらどうかと言う。
 だが、素手でありながら一国の軍事力に匹敵する強さを持つ勇次郎を逮捕拘束することは難しい。
 利益と損害を比べるのはビジネスマンの思考だからトラムプにも なじむ理屈だろうな。
 むしろ、損をしても理想や正義を求めなきゃいけない政治家のほうが、個人に屈するのを嫌がりそう。

「19XX年」
「第40代――「ロナウド・ウィルソン・リーガン」」
「彼が最初と聞いている」

「なるほどな……」
「まさしく我が国から"偉大さ"が消えたタイミングだ」


 次期大統領トラムプはリーガンから帝国の落日が始まったとの認識があるらしい。
 これは、なかなか面白い分析だ。
 一般的に40代大統領は、冷戦が終わったことにより、国力を経済につぎ込んで自由経済を成長させたと言われている。
 ローマ帝国の繁栄「パクス・ロマーナ(ローマの平和)」を もじった「パクス・アメリカーナ」が始まっていく。
 だが、成長時には、同時に衰退の要素も生まれている。
 この場合は行き過ぎた自由経済化と、そこから発生する貧富の差だ。

 トラムプは成長期に見過ごされていた不安要素が国の偉大さを消すことになったと認識しているのかも。
 ビジネスマンにとって、なにが成長分野で、いつまで成長するのかを見極める嗅覚は重要だ。
 この次期大統領トラムプは、カツラ疑惑の持ちあがる謎な構造の髪型をしているが、頭のキレる人かも。
 いや、考えすぎか?
 思ったことを根拠なくテキトーに言っているだけかもしれない。

 2週間後、ニューヨークのホテル×××〇〇〇△△△最上階にて、次期大統領トラムプは範馬勇次郎と会見する!
 勇次郎の方から出向いたのか!?
 これは先取点をとったようなものだ。
 ホーム勝負でトラムプは攻勢をかける。

『後年 出版することとなる自伝での言葉だ』
『「私で最後だ!」』
『「私で終了(おわ)らせるのだ!」』
『「昂りきって暴発寸前だった私の感情は―――」』
『「『彼』の姿を見たその瞬間―――」』
『「嘘のように霧散していた……。」』


 範馬勇次郎は背を向けタバコをふかしていた。
 なぜか、ヒョウ柄のパンツ一丁の姿だ。
 さらになぜか、全身の血管を浮かせまくっている。
 血管ピクピク、パンイチ状態だッッ!

 よめん。ナニをしていた?
 筋トレした後のリラックスタイムなのか?
 パンイチだけど。

 でも、汗はかいていない。
 トレーニングをしていたワケじゃなさそうだ。
 素で血管ピクピク状態なんだろうか、この人は。
 ものスゴい高血圧なんじゃないかと心配してしまう。
 オマケに、パンイチだし。

 背中を見ただけで、圧倒的な強さが感じられる。
 武器や兵器よりも雄弁に強さを主張する生物がそこにいた。
 ヒョウ柄のパンツ一丁で。

「3分で終わらせろ」

 勇次郎がふりむく。
 地上最強の生物によるメンチ切りだッ!
 次期大統領トラムプはすみやかに 粛々と尿を漏らす。
 初出勤で初接近して初失禁だッ!

『「たとえ粗相をしても」』
『「こういう事態での私は早い。」』
『「念のため………、徹夜で憶えた『宣誓』を」』
『「一字一句 違えることなく絶叫していた……。」』


 ニラむだけで最強国の新しいトップを屈服させた勇次郎であった。
 今回も無事に契約更新だ。
 そして、次期大統領トラムプも勇次郎の強さを認識したようだ。
 軍人経験が無くとも、勇次郎の闘気は膀胱に響いたのだろう。

 そして、漏らしたままで宣誓をするとは、トラムプも なかなかの胆力だ。
 しかも間違いなしでやっている。
 人間、緊張すると細かいミスはどうしても出てしまう。
 米国独立宣言書にはBritishをBrittishとtを一つ多く書いてしまった誤字があるらしい。
 ここでの宣誓も途中で噛んだら、最初からやり直しなんだろうか。

 勇次郎は米国でお仕事を終わらせた。
 しかし、なんでヒョウ柄パンイチだったんだろう。
 ヒョウ柄は保護色ですかね。なんの保護かワカりませんが。
 次回は、話が本題に戻ってくるのだろうか?
 宮本武蔵がテレビに出ているハズだ。
 日本では新たな事件が起きているに違いない。


 いつか登場するだろうと思っていた次期大統領がもう出てきた!
 出るとしたら、大統領に就任する来年の1月以降だと予想していたんだけど。
 トランプめ。俺の予想を覆しやがった。

 しかし、本当に早い。早すぎる。
 ちゃんと就任する前に勇次郎へ宣誓しているぞ。
 今週の『ハリガネサービス』で、セッターがトスを上げるより先にジャンプする『マイナス テンポ スパイク』を決めていたが、こっちは就任するより先に宣誓する『マイナス テンポ トランプ』だな。

 オマケに次期大統領は尿を出すのも早い。
 二重の意味で早すぎだよ。
 この次期大統領は、良いリアクション芸人になりそうだ。

 勇次郎は武蔵と本部が戦うタイミングで渡米したのだろう。
 意外な結末、世紀の番狂わせ、などと言われた勝負を見逃したことになる。
 勇次郎が血管ピクピクでパンイチだったのは、勝負を見逃したのが悔しくて服に八つ当たりしたのかも。

 ヒョウ柄パンツは「君子豹変(君子が過ちを改めることは、豹の模様のようにはっきりしている)」を意識したのだろうか?
 一時の感情に任せて服を破いてパンイチにならないよう、豹変パンツで自分をいましめる。
 ついでに次期大統領も いましめちゃうのが勇次郎の合理性なんだろうか。
 ヒョウ柄パンツは油断しがちな刃牙への土産としても最適かもしれない。

追記 (16/11/30)
 先週のチャンピオン作者コメントで浦安鉄筋家族の浜岡先生が『英国EU離脱、トランプ新大統領、カープ4連敗、本部激勝利…最近意外な結末が多過ぎる!』と書いていた。
 やはり、最近は意外な結末が多すぎる。
 そして、2016年最後の月にも何かが起こるかもしれない。

 先週の刃牙道では、さっそく次期大統領が出てきた。尿も出した。
 トランプさん、怒ると手がつけられないような印象があるんで「自分がネタにされた! ぶっ潰してやる!」と言い出すんじゃないかとチョットだけ心配していた。
 とりあえず、一週間はのりきったので安心しても良いんだろうか。

 勇次郎が渡米しているスキに宮本武蔵がテレビ出演だ。
 なんか、とんでもない事をやらかすかも。
 武蔵には刃牙が負けっぱなしなので、いちおうリベンジの機会が与えられるかもしれない。

 でも、武蔵は本部に負けて、格が暴落している。
 現在は、本部を倒した金竜山 を倒した猪狩 を倒した刃牙 を倒した武蔵 を倒した本部という、無限ループ状態になってしまった。
 はやく刃牙が武蔵を倒して無限ループを解除しないと円環の理とか、そんなんで時空に歪みがしょうじて、みんな戦国時代に飛んでしまう戦国時代編がはじまってしまうかも。
 戦士のほとんどは、大暴れできる戦国時代を歓迎しちゃいそうだ。

 刃牙が戦うのも必要だが、他のキャラクターも出てきてほしい。
 花山や鎬兄弟など、人気キャラがずいぶん戦っていないぞ。
 ムエタイ戦士も、ずいぶん見ていない。
 武蔵の遺伝子にムエタイ戦士の遺伝子もミックスして、タイ捨流を加えた、ムエタイ捨流戦士とか作ってみたらどうか。

 波乱に満ちた2016年、最後の月がはじまろうとしている。
 とりあえず、2016年は本部の年だった。
 流行語大賞で『守護る』が入るんじゃないかと、ちょっと期待していたんだけどな。
週刊少年チャンピオン2016年52号 [雑誌]
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2016年12月1日(1号)
第4部 第136話「騒乱」 (1115回)

 徳川光成がクローン技術と降霊術の合わせ技で、現代に宮本武蔵をよみがえらせたッ!
 墓から遺体を盗んだりと、犯罪スレスレどころか、思いっきり法を破りまくって得た成果である。
 とうぜん、世間に発表できるハズもないのだが、宮本武蔵がテレビ出演しているらしい。
 秘密を守るより、世間の支持を得て犯罪をうやむやにする攻めの姿勢だろうか?

 ミヤネっぽい司会者が生放送で宮本武蔵にインタビューしている。
 自称・宮本武蔵へのインタビューだぞ、いきなりムチャクチャだッ!
 テレビ局には、自分のことを勝手にドラマ化してテレビで流していると文句を言いにくる人がたまに居るらしい。
 と、井上ひさしたそがれヤクザブルース」に書いていた。
 ジョジョ感想でも書いたが、小説家の平井和正もリアル主人公が訪ねてきたので対談とかしちゃったらしい。
 テレビってのは、面白ければそれで良しなんだろうな。

 司会者が紹介する宮本武蔵は、やっぱり強そうだッ!
 迫力がちがうッ!
 まさに現代によみがえった武士(もののふ)ですね。
 というが、現代には武士(もののふ)が居ないので、イメージ感想なんだけど。

 登場した武蔵は左頬の傷も生々しい状態だ。
 本部との戦いで穴があくダメージを受けたんだけど、もうふさがっているのか?
 それともクローン技術の応用で治療しちゃったのかも。
 だとしたら、死んだと思っていたような重傷者もあるいは……

 宮本武蔵は警察官を倒しまくった姿が報道されているので、そこそこ有名だ。(4巻 35話
 警察官襲撃犯の正体が宮本武蔵だとワカり、みんな納得したんだろうな。
 司会者は、あなたが本物の宮本武蔵なのかと問う。
 常識的に考えて、自分が宮本武蔵だと思いこんでいるアブない人だ。
 あなたの作品のリアル主人公ですと名乗る人と対談などしねェよッ!
 いや、対談しちゃった人もいるんだけど。

 自分のことを本物の宮本武蔵なのかと疑う司会者に、武蔵がエア斬撃を放つッ!
 刃牙や本部、紅葉などの戦士たちはテレビ越しでも斬ったのがワカった。
 司会者も左腕と首を斬られたのがワカったようだ。

 最初にエア斬撃をしたときは、斬られた本人だけが感じるものであった。(3巻 21話
 斬られたと感じることができるのは、それなりの技量が必要なのだ。
 しかし、武蔵のエア斬撃は進化していき、徳川さんも斬られた感触を味わうことができるようになる。
 そして、シロウトである司会者も斬られたと感じているようだ。
 武蔵のエア斬撃は進化し、完成に近づいているッッ!
 完成すると どんな技になるのか、まだ謎ですが。

 武蔵は人を斬るのが好きなのか?
 司会者は武蔵に質問する。
 武蔵は、これを挑発と受け取ったようだ。
 立ちあがった武蔵の腰にはエア日本刀がある。
 エアで、またヤる気だ! 本日三回目のエア斬撃か?

 刃牙たちもテレビ越しに、エア日本刀を見た。
 いや、日本中の視聴者にも見えている。
 武蔵のエア能力はテレビ放送でも有効になったのだ!

 すごい進歩だな。
 そのうち、テレビの中から視聴者をエア斬りできるようになるのかも。
 武蔵は、その進化したエア斬撃で司会者を無礼討ちにする。

『後に――――』
『全世界に映像配信されることとなる「『生放送(リアルタイム)』エア斬殺事件」』
『武蔵の命運を決定付ける事となる』

「徳川ッッ」
「帰るぞ!!!」


 全世界に宮本武蔵と言う凶器を見せつけてしまった!
 これを見た戦士たちは、挑戦したいと思うだろうな。
 せっかく本部が武蔵を倒したことで、武蔵の商品価値を下げたのに。
 武蔵に負けた刃牙 に負けた猪狩 に負けた金竜山 に負けた本部 に負けたのだ。
 これで、武蔵も大したことがないと思わせたんだけどな。

 むしろ、これは武蔵のイメージダウンを嫌った徳川さんがしかけた宣伝だったのかも。
 そもそも、武蔵には放送局へのコネがない。
 放送局だって、武蔵の探しようがないだろう。
 徳川さんが武蔵を売りこんだにちがいない。

 で、最後に武蔵が徳川さんの名前を出す。
 これで地下闘技場を知っている人たちは、どこへ行けば武蔵に会えるかを知ったワケだ。
 すべて計算通りってことですね。

 よみがえりし宮本武蔵を世界に宣伝した。
 この計画の狙いはどこにあるのだろうか。
 第二回 最大トーナメントの開催だと嬉しいんだけど。
 次回につづく!


 今回も徳川さんの計画通りなんだろうな。
 ナレーションの『武蔵の命運』って言いかたが、もう不幸フラグじゃないですか。
 ヒドい目にあいますと予告しているようなものだ。
 人を闘犬のように戦わせることが、徳川光成にとって最大の娯楽であり愉悦である。

 武蔵を知った挑戦者たちが多数やってきて、みんな死体袋に入って帰っていくのだろう。
 これぞ武蔵斬殺計画だ。
 世界の金持ちには、クローン技術を売りこんで違法医療で荒稼ぎしそう。
 やはり、徳川光成こそが最大の邪悪だ。

 武蔵は徳川さんのことを呼びすてにしている。
 エラぶっているつもりだろうが、使われているのは武蔵のほうだ。
 この辺の駆け引きは地位と経験の差が出たンだろうな。

 チャンピオンの表紙にも書かれている通り、刃牙シリーズの第二部『バキ』がテレビアニメ化だ。
 このタイミングでの発表も徳川さんの狙いどおりかも。
 みんな戦国覇者・徳川の血におどらされている。

 武器をもった宮本武蔵と戦うと、死ぬか重傷になる。
 睾丸を打たれたら痛い! と同じぐらい確実なんだが、この問題の解決方法があるのだろうか?
 ここを問題解決しておかないと、烈のように斬殺されたり、本部のように重傷になったりする。
 徳川さんに、なにか秘策はあるのだろうか?
 いや、無いんだろうな。

 地下闘技場のある後楽園は、范仲淹が為政者の心得をといた『先憂後楽』から名づけられている。
 為政者は、先手をうって問題を考え対策し、後で繁栄を楽しむべきだと言うような意味です。
 しかし、徳川さんのやっていることは…………
 思いきって、先楽園って名前に改名したらどうか。

追記 (16/12/7)
 衝撃の「『生放送(リアルタイム)』エア斬殺事件」だッ!
 掲示板などの感想を見ていると、『エア』がどこにかかるかで意見が分かれていました。
 あいまいな日本語ってヤツですね。

 単純に考えるとエア『斬殺事件』だろう。
 だから司会者は死んでいない。
 武蔵のエア斬撃は痛みやリアルシャドー風のダメージはあっても本当に斬れたことはなかった。
 ガイアは腱を斬られたが、あのダメージが純粋なエアなのか手刀なのかよくワカらん。(13巻 110話
 とにかく、エア斬撃でリアルに死んだ人はいない。
 だから司会者も無事だろう。

 なので、武蔵が殺人罪で警察に追われる事はない。
 でも、武蔵のエア芸はすごいのでバラエティー番組とかに追われそうだ。
 武蔵の命運はエア斬殺芸人に決定してしまうのか。

 刃牙道14巻 DVD付限定版の特典OVAは、思ったよりボリュームがあった。
 『グラップラー刃牙』『バキ』『範馬刃牙』『刃牙道』のキメ絵を抜き出し一気にふりかえるスペシャル映像
 作者インタビュー
 そして、バキ死刑囚編のダイジェスト イメージ映像の三本立てだ。

 バキ死刑囚編は絵がかなり原作に似せているのが良い。
 バキというより範馬牙刃の絵に近い気がするけど。
 人体破壊も容赦なく映像化しているが、さすがにテレビじゃ黒くなるんだろうな。
 ジョジョよりも真っ黒になりそう。
 死刑囚編は刃牙史上でもっとも過激な描写だからな。

 特典DVDの感想は、後日改めて書く予定です。
 まずは、武蔵の命運とやらを見届けてやらねば。
 もう、不幸と決めつけています。

週刊少年チャンピオン2017年01号 [雑誌]
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2016年12月8日(2号)
第4部 第137話「救助(すく)う」 (1116回)

 世界最強を誇る米軍に至宝と言える一人の軍人がいる。
 接待の絶対王者キャプテン・ストライダムだッ!
 一国の軍隊に匹敵する戦力と評される範馬勇次郎を接待できるのは世界広しといえどストライダムだけであろう。
 つまり、ストライダムの接待は一国の軍隊に匹敵するのだッッ!

 そうなると、一国の軍隊に匹敵する人が、一国の軍隊に所属している事になって、無限ループになってしまう。
 まあ、矛盾や不条理はストライダムに処理してもらおう。
 こまったら、ストライダムに投げよ!
 地上最強の生物のご機嫌取りから、塩漬け保存で現代によみがえった原始人との意思疎通まで、どんと来い!

「そりゃあね」
「あなたの命令とあらば 言われた通りやりますがね」
「仮にあなたが」
「わたしの身内だったのなら」
「身体張ってでも行かせません」


 今日のストライダムはいきなり説教モードだ。
 軍人たるもの、命令にはしたがわなくてはならない。
 命令にしたがいますけど、意見具申いいっスかってのが軍人スタイルだ。
 さすがストライダム、接待のなかでも軍人を忘れていない。
 いや、軍人が本職か。

 命令を出した人物はストライダムとともに要人専用ヘリに乗っている。
 ラフな雰囲気があるので、命令と言っても堅苦しいものじゃ無いようだ。
 さて、ストライダムと話している人物は誰なのか?

「ミセス・ヒナリー」
「あなたはあまりにも理解(わか)っていない」


 米国大統領選でトラムプに敗北したヒナリーだッ!
 135話ではトラムプが勇次郎と友好条約をむすんでいる。
 ヒナリーはそれに対抗する気のようだ。
 いや、どう対抗になるのかよくワカらん。
 選挙で負けた以上、なにをやっても悪あがきにしかならないと思うのだが。

 ヒナリーがストライダムを通した、という事はとうぜん狙うは勇次郎である。
 ストライダムは死にそうな思いをして年一回勝負を挑んで勇次郎の側近となっているのだ。(範馬刃牙23巻 188話
 だからこそ、こうして勇次郎の窓口になることができるのである。
 強者の窓口役は利権がおいしいってのは歴史が証明ずみだ。

 ストライダムは心配しているが、ヒナリーに考えがあるらしい。
 ヒナリーは勇次郎と無関係でないと言う。
 たぶん、夫が大統領だったときに会っていたんだろうな。
 夫(大統領)のボディーガード天内悠を勇次郎が借りていって、みずからブッ壊しちゃった件とかもあった。
 それなりに貸しがあるかもしれない。

 ヒナリーはトラムプから米国を救助(すく)うと考えている。
 選挙に負けたけど、まだ諦めていないのか!?
 まさか、自分についてくる州を集めて、独立を狙っていたりして。
 と、なると米国分裂の危機だな。

 国内で複数の組織が主権を争っている時、外国の協力を求めるというのは良くあるパターンだ。
 で、頼った国にのっとられてしまうのも、良くある。
 日本の明治維新でも、外国の介入をさけて植民地化されなかった所が良く立ち回れた点だ。

 勇次郎の場合は強いけど占領能力を持っていない。純粋な武力だ。
 戦力として期待できるし、利権を奪われる心配はない。
 だから、頼る相手としては良いことずくめなのかも。
 勇次郎と同盟を組んでトラムプに対抗する!
 その先に、どんな計画があるのだろう。

 とにかく、勇次郎と同盟しない事には話にならない。
 ヒナリーは護衛もつけず、単身で勇次郎の部屋のドアを開けるッ!
 ストライダムは後ろに控えているぞ。
 いや、仲介役なんだから、アンタがドアを開けてヒナリーを紹介するのが順番じゃね?

 ドアの向こうには勇次郎が立っていた。
 トラムプの時と同じく、ヒョウ柄パンツ一丁だッ!
 そして、パンツからチンコが出ている。
 ドアの向こうには勇次郎が勃起(た)っているッッ!

 ちょ、勇次郎さん! 出てます。
 ポロリいってますって。
 はみ出している。いや、はみ出すとか生やさしいモノでなく、ギンギンにたってる。

 なんで出してんのッ!?
 しまっとけよ。大事なモンなんだから。
 いや、それ以上になんで戦闘モードなんだよッッ!
 この部屋内で、どんな戦闘(バトル)があったと言うのかッ!

 さすがのヒナリーも指をさして凍りつく。
 いや、そりゃビックリするよ。
 こっちだって、朝っぱらからビックリだ。

 勇次郎はちょっと猫背になっている。
 反り返っている愚息とのバランスをとっているのだろうか。
 トラムプの時はパンツ一丁だったものの、納めるモノは納めていた。
 今回は女性相手だから、ありのままの自分を晒しているのだろうか。

「「宣誓」は受けねェ」
「断ったハズだな」

「貴方の愛妻(おくさん)ミセス江珠とは」
「お友達だったのよ」
「彼女はとってもステキな女性だったわ」
「ええそうよ♥(はぁと)


 夫の元大統領つながりでなく、江珠つながりかよ!
 天内の負傷も軽い扱いだな!
 というか、江珠とヒナリーはけっこう年齢差がありそうなんだけど、どういう仲だったんだろう。
 長期連載だから、現実世界との時間問題がどんどん大変になっていく。

 ヒナリーは江珠とのつながりで攻めた。
 人情に訴えかける作戦は、今までの勇次郎なら通用しなかっただろう。
 勇次郎がもっとも欲するものは闘争だ。
 自分と互角の相手ってのは望んでいないだろうから、ある程度の質と量で機嫌をとれる。

 ストライダムに相談したら、シャンパンタワーの如くピラミッド型にムエタイ選手を集めたムエタイタワーとか用意してくれたかも。
 それでも勇次郎にかかれば1分で砂山のように崩されるのだろうけど。

「江珠のダ友人(ダチ)なら守護(まも)ってやる」
「ただし―――」
「勝手に誓ったら犯す」
「何度もだ」


 ドクンっと、チンコに物言わせてキメたッ!
 "キメ顔""ドヤ顔"ならぬ"キメチンコ""ドヤチンコ"だッッ!
 なんかエラそう!
 目線の下にあるのに、上から目線っぽい。

 今日の勇次郎はなんか人情派だ。
 刃牙と和解してから、丸くなったって事なんだろうけど。
 股間は硬くとがっている感じですが。

 抜身の真剣のような勇次郎の迫力にヒナリーは顔を赤らめ、鼻血を出す。
 さすが大統領の座を狙う野心家だけに、精力が枯れていないようだ。
 ヒナリーがもっと若ければ「刃牙の弟を生めッ!」となったかもしれない。
 というか、世界中にバラまいたという勇次郎の種はどうなっているんだろう。

「こんな怪物(モンスター)に犯されたら」
「ひとたまりもないわネ♥(はぁと)
「さて――――」
「退散退散♥(はぁと)


 トラムプに選挙で負けても屈しなかったヒナリーだが、勇次郎の雄度に負けて晴れやかに帰るのだった。
 なぜかストライダムが敗北感をにじませて、座りこんでいるけど。
 説得力の差に打ちのめされて、うずくまったのだろうか。
 股間が腕で隠れているので、もしかしたら濡れちゃったのかも。
 範馬勇次郎、チンコ見せて一撃二勝である。
 次回につづく。


 武蔵の命運はッ!?
 などと言いながら、また米国だよ。
 しかも、露出が増えている。

 勇次郎はどういうタイミングで勃起したのだろうか。
 ホテルの質はアダルトチャンネルを見れば理解(わか)るッ! という断言を聞いたことありますが、最高級のホテルを満喫していた所だったりして。

 しかし、さすが勇次郎と言ったところだ。
 イチモツの先まで範馬勇次郎である。
 鬼だけにツノですな。いや、金棒か?
 普段は布面積の小さいパンツに収まっているのに、いざと言う時は骨延長したジャック兄さんのように伸びる。

 勇次郎の側近であるストライダムも、こういうのは初めてなのかも。
 ワケわからなさすぎて、立てなくなったのだろうか。
 勇次郎はずっとたっていたのに。

 しかし、モロ出しは事故なのか、ワザとなのか。
 英雄とは幸運をつかんで利用する。
 優れた戦士である勇次郎であれば、事故を逆に利用する機転もあるだろう。
 けっきょく、事故なのか故意なのか真相はヤブのなかだ。

 事故だったとしたら、指さすんじゃなく冷静に伝えてあげれば良かったのかも。
 パニックになって指さすもんだから、勇次郎も引くに引けなくなったんだろうな。
 『囚人リク』の大場みたいに「チンコが出ているのだよ!」「ユア ネーム イズ デテル チンコガ!」と指摘してあげれば良かったのかも。

 今回の接待も、なんとか乗り越えられた。
 やはり米国と勇次郎の間をとりもつストライダムの存在は大きい。
 なにしろ勇次郎の側近だと認められているんだしな。

 そうなると、「オーガの側近と認められたくば――――、貴様も勃起して見せいッッッ!」とか言われて、あのポーズになったのかも。
 範馬勇次郎の無理難題につきあうのが、側近の役割なのだ。

追記 (16/12/14)
 武蔵のテレビ出演により、世界が大きく動くッ!
 と思わせて勇次郎の同盟話だ。
 それも二回も。

 トランプじゃなくて、トラムプの時は急に思いついてやった感じだった。
 ならば、ヒラリーじゃなくてヒナリーはどーなんだろう。
 トラムプから1週空いている。
 武蔵をテレビ出演させたものの良いネタが思い浮かばないで、ヒラリーが選挙に勝っていたらどんな宣誓になるか妄想したら楽しくなって、そっち描いちゃったって気がするんだけど。

 そもそも、ドアを開けたら勃起したチンコがお出迎えって、ムチャクチャだ。
 チンコ出したら、そこで宣誓中断ですよ。
 どう立て直して宣誓すればいいのやら。

 同盟契約で時間をかせぎつつ、武蔵の命運がどうなるのか考えついたんだろうか。
 また勇次郎の海外コントが始まる可能性を捨てきることができない。
 プーチンとか、フィリピンの大統領とか、絡むと面白そうだしな。
 本当は素手でISを壊滅しに行って欲しいんだけど、そりゃ無理だろうな。

 バキのアニメ化が決まったところだし、ここらでデカい花火が欲しい。
 第二回最大トーナメントが理想なんだけど、どうだろう。
 そういえば、独歩が語る理想的な空手家像を理想的なペニス像に言い換えるとか刃牙ファンなら一度ぐらい通る道だろう。
 死刑囚編の予習で、最大トーナメントとかも振りかえって、ぜひ通過してください。

「おめェらに究極の空手家像ってやつを教えてやろう」
「まずは身長185センチ以上!
 体重うっすら脂肪を残し115キロ!」
「脚力! 100mを10秒台で駆け抜ける!」
「ベンチプレスは300キロに達す!」
「そしてそのパワーは!」
「欧米人をはるか凌駕する!!!」

 ↓(例)

「おめェらに究極のペニス像ってやつを教えてやろう」
「まずは竿長185mm以上!
 茎囲うっすら脂肪を残し115mm!」
「射精力! 1000mmを飛ばし抜ける!」
「ペニスプレス(持ち上げ力)は3000gに達す!」
「そしてそのパワーは!」
「欧米人をはるか凌駕する!!!」

 いかん。先週から、チンコの話題ばっかりだ。
 次回は、下ネタから離脱できますように。

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週刊少年チャンピオン2017年2号



2016年12月15日(3+4号)
第4部 第138話「『戦(いくさ)』だ…」 (1117回)

 現代によみがえった宮本武蔵がやることは、やっぱり人斬りだ!
 というワケで、テレビ初出演でも斬ってしまう。
 生放送でインタビューしてきた相手を真っ二つだ!
 ただし、エア斬撃ですけど。

 武蔵の得意技はエア斬撃である。
 長年の斬殺経験によるイメージの攻撃だ。
 テレビ中継で、お茶の間にも斬殺イメージがとどいたらしい。
 武蔵のエア斬撃も進化しているんだな。

 なお、同時期に勇次郎は米国次期大統領とパンツ一丁で同盟契約の更新をしたり、勃起したペニスを出したりしていた
 日本での騒動に参加しそこねてしまった。
 さすがの勇次郎もちょっと悔しいのかも。
 とりあえず、モノをしまってヒョウ柄パンツ以外の衣服も着ましょう。

 武蔵にエア斬殺された司会者だが、今度は自分がインタビューを受けている。
 自分の肉体に刃が入りこんで両断される感覚を確かに受けた。
 で、失神して病院行きになったらしい。
 本人も死んだと思ったそうだ。

 もっと思いこみの激しい人なら、ショック死していたかもしれない。
 マゾ性質で思いこみの激しい刃牙なら、妄想力だけで分断しちゃうかも。
 刃牙にとってエア斬撃は相性の悪い技だ。
 真剣もっているのと条件いっしょだから、ガンバって回避すれば良いんだけど。

 さて、エア斬撃は罪に問えるのか?
 警視庁では問題の映像を確認している。
 これは催眠術で人を傷つけたら罪に問えるのか? みたいな問題だ。
 特殊な場合すぎて、こういうのって前例とかが通じなさそうだな。

 刑事課強行犯係 宅健一
 刑事課強行犯係班長 引木栄一郎
 東京高等検察庁検事 魚堀学

 この三人は武蔵を逮捕しようと考えているようだ。
 とくに検事の魚堀がヤバい。

「捕らえたいのなら」
「街を行く通行人全て」
「塀の中へ入れられます」


 私も警察官に職務質問うけたときに話を聞いたが、銃刀法って、狙えばカッターだろうがハサミだろうが逮捕できる曖昧な法律っぽい。
 そういう曖昧な使いかたのできる法律を利用したら、ほぼ誰でも逮捕できそうだ。
 宮本武蔵、最大のピンチが訪れようとしているかもしれない。

 内海警視総監は、武蔵を重要参考人として連れて行こうと徳川邸にやってきた。
 徳川さんはとうぜん連行を拒否する。
 しかも、武蔵が抵抗したら、どーすんの? と脅す。
 う〜む、武蔵の威をかりる徳川だな。
 人が殺傷しあって破壊されるさまを楽しむのが徳川流だッ!

 と、ここで宮本武蔵が登場するッッ!
 しかも帯刀しているぞ。
 しかも、武士っぽく二本差しだッ!
 これなら百点満点の銃刀法違反の現行犯でイケる!

 前回のヒナリーショックの影響で、武蔵もチンコ出して三本差し! ってなるんじゃないかと身構えてしまった。
 よかった、股間は出していないな。
 だが、油断できない。
 武蔵の時代はポロリしちゃっても、法に触れないだろうから、やりかねないぞ。
 まあ、出したら大ヒンシュクで弟子が辞めていったりしそうだけど。

 股間の獲物はしまっているが、刀を持ちだしているには違いない。
 エアじゃなく、リアルで斬る覚悟を出しまくりだ。
 警官たちは一瞬で逃げだしてしまう。
 次からは網と放水車と長い棒を用意しておかないと。

「開始(はじ)まるぞ徳川」
「「戦(いくさ)」だ……」


 武蔵がなんか開始(はじ)めちゃったッ!
 日本の治安組織に対して宣戦布告だろうか?
 江戸時代とかなら、山にこもって世間から遠ざかるのも可能だろうが、それをやる気ですかい。
 なんかイロイロと生きづらいから、やけになって暴れる気だろうか?

 『宮本武蔵vs日本』の戦争が開始(はじ)まろうとしている。
 このままだと、東京は警察官の斬殺死体が山のように積みあがってしまうぞ。
 そして、刃牙たちは どちらの手助けをするのだろうか?
 次回につづく。


 戦国時代の宮本武蔵だって、人間社会で生きていた。
 仕官を求めたり、弟子をとったり、世間と関わっている。
 おのれの力に頼って、社会に反逆しようとは思わなかっただろう。
 武蔵は本部に敗北したことで、自暴自棄になっているのかも。

 武蔵は、権力に愛想を振りまいたりしない。
 みんなから愛され尊敬される道を選ばなかったって事だ。
 武蔵は、みんなから恐れられ畏怖される道を行く。

 ここは、もう一度武蔵をフルボッコにして協調性を教えてやらねば。
 戦国時代でもたった一人で天下はとれない。
 ちがう時代から来た武蔵は滅びの道を進む気なのかも。
 こうなったら、本部に武蔵を守護(まも)ってもらわないとな。

 というワケで、武蔵への挑戦というより、武蔵の保護と社会復帰がミッションってところか。
 一人で一国に挑むという気概は範馬勇次郎と通じる。
 勇次郎も武蔵に触発されて、反逆に参加しなきゃいいんだけど。
 とりあえず服も着てくれ。

 しかし、武蔵の大暴れ問題って徳川さんが現代社会の基礎知識を教えておけば発生しなかっただろう。
 徳川さんは武蔵が暴発するように、情報を教えず、追いこんでいったのかも。
 武蔵の戦争宣言も、すべて徳川さんの計算通りだったりして。
 そうなると、やっぱ諸悪の根源は徳川光成か?
 本部が倒すべき相手は武蔵じゃなくて、徳川光成だったんだな。
 やっぱり守護失敗だよ。

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2016年12月24日
刃牙道14巻 特典DVD 感想

 今週は年末合併号でチャンピオンが お休みなので『刃牙道14巻 特典DVD』の感想いくぞッ!
 アニメパートは再現性がスゴいんですが、まあ原作通りなのでファンの興味としては、板垣先生の刃牙シリーズ25周年インタビューのほうが気になる。
 と言うワケで、インタビューの感想です。

・ 25年は長かった
 やっぱり25年は長かったそうです。
 私が刃牙感想を書きはじめたのが1997年11月なんで19年たっていますが、やっぱり短いようで長かった。
 ここ25年ってのは、インターネットなどの発達で世界も大きく変わっているし。
 あと、何度目かの格闘技ブームが起きてしぼむのを体感できた。
 格闘技ブームと刃牙シリーズの相関関係も、なかなか興味深いところだ。

・ 一番うれしかったのはグラップラー刃牙1巻が売れた時
 世間や人に認められるってのは、うれしいものだ。
 チャンピオン読者やっていると身に染みてワカるんですが、コミック化って大変なんですよ。
 人気ないとコミックス化すらしないし、売り上げが悪いと最終巻が出ない。

 私も、グラップラー刃牙の連載がつづくのか心配だったし、コミックスが出るのかも心配だった。
 当時は若貴ブームで相撲の人気があって刃牙と同時期にスタートした相撲漫画『オレは力だ!』のコミックスをけっこう見かけたんですけど、刃牙がなくて悔しい思いをしたり。
 だから、コンビニでも刃牙が売っているのを見た時は、我がことのように嬉しかった。

・ 100話に達するまでがつらかった
 25年でイチバンつらかったのが、100話に達するまでだそうだ。
 それまでは、偶然できただけじゃないかと言う疑問もあったが、100話超えたところで自信が持てたと。
 ちなみに100話は夜叉猿と戦うグラップラー刃牙12巻だ。
 たしかに、夜叉猿戦で刃牙の世界が一気に広がった気がする。
 ムチャに歯止めが効かなくなったともいうかもしれないけど。

・ 25年続くとは思っていなかった
 無計画とかでなく、先がどうなるのか ワカらないもんですねー
 だからこそ、25年が長かったんだろう。

・ グラップラー刃牙を描くときのテーマは格闘技
 今までの格闘漫画への不満が、グラップラー刃牙の執筆動機らしい。
 たしかに初期の刃牙は技の描写がリアルだった。
 末堂の裏拳脾臓打ちとか、空手の基本稽古でやるけど試合じゃ使わない技とかがバンバン出てくる。
 今でも、トンデモバトルの土台にこういうリアルが隠れているから刃牙は侮れないのだ。

・ 強さとは「ワガママを通す力」
 そして、刃牙の成長と共に浮かび上がった真実とテーマが『強さとは、ワガママを通す力』だ。
 たしかに強さを純粋に抽出するとこうなりそう。
 今後も、自分の意を通すために戦士たちは強くなる!

・ バキ死刑囚編の見所は「絵柄」
 刃牙シリーズも、けっこう絵柄が変化している。
 最大トーナメントあたりから描きこみ・トーン量が増えていき、『バキ』開始時点でほぼ完成だ。
 あと、『バキ』のころは刃牙シリーズでもっとも手足が長くスタイルの良い時期にあたる。
 スタイリッシュな格闘士の姿はアニメでも映えるだろう。
 花山だって足長いですよ!

・ 沢ヤンチャン編集長(当時)との雑談から生まれた死刑囚編
 この世でもっとも絶望的な状況とは死刑執行直前の死刑囚じゃないだろうか。
 そんな絶望から自分の肉体のみ逆転するというのが死刑囚のスゴみだ。
 細かい整合性よりも、とんでもないキャラクターを押し出すという展開は師匠・小池一夫先生にも ほめられたそうだ。
 たしかに、トンデモ無い死刑囚がつぎつぎに出てくる冒頭は、すごくワクワクしたのを憶えている。
 あのワクワクをアニメでもう一度味わえるってのは幸せだな。

・ アニメ版は刃牙が綺麗で、よく動いている
 今回のアニメ化は原作に近いデザインだ。
 さっきは体形の話をしたが、顔もけっこう変化している。
 おおむね耽美に、美形になっている感じだ。
 アニメの顔は現在の刃牙道風になっているぞ。
 今度の刃牙は3倍美形だッ!(当社比)

・ ファン目線でアニメを楽しみにしている
 昔のことなんで板垣先生も忘れている部分が多いらしい。
 ……最近のことは おぼえていますよね?
 とにかく、死刑囚編は格闘漫画『グラップラー刃牙』が武器だろうが何だろうが何でもアリのバトル漫画にかわる画期だ。
 新しい世界の広がりにあわせて刃牙たちも成長していく。
 ほぼ純粋ギャグ回の体力測定とかもあるぞ!
 そして、……バキSAGAも。

刃牙道(14)(オリジナルアニメDVD付限定版)(マルチメディア扱い)
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2016年12月28日(5+6号)
第4部 第139話「対国家(くに)」 (1118回)

 現代によみがえった宮本武蔵はなにをするのか?
 もちろん、人斬りです。
 現代日本じゃ罪に問われることしかできない宮本武蔵が警察に追われるのは当然と言うか必然であった。

 そこは保護者の徳川さんがフォローしてやらないと。
 徳川さんの脳内には「人と人を戦わせて流血を楽しむ」以外の考えが浮かばないんだろうな。
 いや、「人と動物を戦わせて流血を楽しむ」って考えもあるか。
 さすがに、流血を楽しむために武蔵を追いこんだ。ってのは無いと思いたい。

 徳川さんが現代の剣鬼をかくまえるのは敷地内だけだ。
 外に出てしまったら、法律を曲げるほどの権力がないらしい。
 うむ、そこまでの権力が無いほうが世のためだな。
 徳川さんに好き勝手やる権力があったら、現代が戦国時代に逆戻りしているかも。
 火器の使用ぐらいは禁じてくれるかもしれないが。

「武蔵」
「おぬしは門の外では生きられぬ」

「徳川」
「ありがとう」


 武蔵を止めようとする徳川さんを武蔵は抱きしめ礼を言う。
 門の外で生きられないようになったのは、徳川さんの責任でもある。
 そもそも現代に武蔵を よみがえらせたのは徳川さんだし。
 責任はともかく、徳川さんには武蔵を守護(まも)る意志がある。

 武蔵が徳川さんに頼らないと生きることができない状況にした。
 という謀略を一瞬うたがったが、さすがにそれは無いな。
 無い。と信じたい。

 だが、武蔵は檻で飼われる猛獣などイヤだ。
 何物にも縛られず大地を駆けてこそ獣である。
 たとえ飢え死にしようとも、飼われる獣にはならぬ。

 歴史上の宮本武蔵も客分になったことはあっても、仕官していない。
 仕官できなかったのかもしれないが、雇われると制約を受けるので、それを嫌って仕官しなかった可能性もある。
 剣豪としてなにが良いのかワカらんが、この武蔵は自由をとるようだ。

 ところで、現代の武蔵もやっぱり徳川さんの客分になっていたっぽい。
 夢枕獏の小説でもたまに客分を解説しているので知っている人も多いでしょう。
 主人に自分の能力(強さ・弁舌・芸術など)を認められ、その分野で力を発揮する対価として金銭等をもらうのが客だ。
 金銭の受け渡しをしても、主人と客は雇用関係でなく対等な立場である。
 三国志で劉章が劉備の助力を借りるため、その軍を招こうとしたとき黄権に「賓客として礼待しようとしても、一国に二君は要りません」と忠告された。(「三国志 きらめく群像」※ 正史より、こっちの訳が良いので引用)
 ここでも客は主と同格であるという意識が見える。

 武蔵が徳川さんを呼び捨てにしているのは、客分だから対等と言う意識のあらわれだろう。
 さすがに、呼び捨ては無礼すぎる気もするが。
 今年の夏コミで隣の刃牙サークル「シュナイタさん」と武蔵が客分にしても呼び捨てはチョット……と話していて思いいたったんですが、武蔵の感覚からすると徳川さんって偉そうに見えないのだろう、と。

 人間がガス・水道・電気を使え前は、なんでも人力で行っていた。
 だから偉い人=収入の多い人は、人を多く雇っている。
 江戸時代の感覚からすると、徳川家は人が少なすぎるのだ。
 屋敷の規模にしてはあまりに少ない。
 だから、零落した名門に見えているのかも。
 現代に当てはめると「家は大きいけど電気・ガスが止められていて、ロウソク灯して生活している人」って感じだ。

 武蔵は徳川さんをナメているのかもしれない。
 でも、それなりに感謝はしていたのだ。
 いまごろ礼を言うのは、おそすぎた感謝だな。
 ツンデレ効果を狙っているのかもしれないが。

 武蔵は本部に敗北した。
 客が、主と対等になるために提供していた戦闘力でおくれをとったのだ。
 徳川さんのもとを去るのは、剣客としてのプライドのせいなのかも。

 門の外で待ちかまえるのは『捜査一課 警部補 大塚平兵衛』だ。
 警視総監・内海旬三にはお帰りいただき、現場の人間が指揮をとる。
 内海が人質にされる可能性を考えると、妥当な布陣ってところだろうか。

 日本刀の二本差しで外に出た時点で、銃刀法違反が成立だ。
 任意同行を通りこして現行犯逮捕が可能になっちゃった。
 もはや、国家(ニッポン)対 剣豪(ムサシ)の構図は止められない!

「腰の物に依存するのはけっこうだが」
「アンタ」
「国家(くに)を敵に回すことになるぜ」

「貴様らこそいいのか……?」
「国が俺に斬られても……?」


 剣豪・宮本武蔵が日本に宣戦布告かッ!?
 たいするは、さすまたと拳銃で武装した警官隊だ。最低でも10人いるぞ。
 武蔵の打刀では数でも間合でも負けている。
 このピンチをどう乗り切るのか?
 武蔵は一乗寺下り松で吉岡一門数十人と戦ったとき以来だと思っていそうだが。

 目にもとまらぬ抜き打ちが、さすまた二本をけら首で斬りおとす。
 確実に戦力を削りにきたか。
 だが、拳銃の脅威はさっていないぞ。
 映画『七人の侍』(AA)でも、サムライの死因は全部銃撃だ。
 サムライにとって、もっとも注意すべきは鉄砲なのだ。

 武蔵の斬撃にビビった大塚は、武蔵が動いたら撃てと命じる。
 多数の銃口が武蔵を狙う。
 はたして武蔵はこの危機をのりきれるのか?
 次回につづく。


 武蔵が本気で国家と全面戦争か?
 範馬勇次郎が一国の軍隊と互角の扱いを受けていると聞いて、チャレンジする気になったのかも。
 勇次郎、刃牙、オリバ、ゲバル、ピクルに追加で武蔵も監視だ!
 このペースだと監視衛星がいくつあっても足りないな。

 あ、あと武蔵に勝った本部も監視する必要があるかもしれないが……
 そこはストライダムが確信をもって「本部には要りません!」と力強く助言してくれそう。

 勇次郎は、ベトナムで武装した米兵を蹂躙した。
 武蔵も警察官を撃破して自分の強さをアピールしたいのかも。
 なにしろ本部に負けちゃったのだ。
 名誉挽回のために、勝利の実績が欲しい。

 日本の警察は、かつて最凶死刑囚たちに好き勝手されて面目を失った。
 今度は宮本武蔵にやられるかもしれない。
 おなじ失敗をくりかえさないために、警察は刃牙たち戦士を雇おうとするかも。
 その流れなら、刃牙vs武蔵の再戦もありうる。

 本部が勝っちゃうんだから、なにが起きてもおかしくない。
 ならば、2015年からろくに戦っていない刃牙が戦ってもおかしくないぞ!
 2017年は激動の予感がする。

追記 (17/1/11)
 宮本武蔵が国家にケンカを挑んだッ!
 これは範馬勇次郎が一国の軍事力に匹敵する戦闘力と認定されるまでの姿をなぞる形なのだろうか?
 でも、勇次郎が特殊なのは、勇次郎がヒヨコの中にいる大鷲ぐらいにズバ抜けているって前提が必要だったと思う。

 武蔵も勇次郎なみで軍隊に匹敵しちゃうと、戦国時代でも腕っぷしで天下統一できないとおかしい理屈になる。
 連射できる銃で武装している現代の軍隊は戦国時代の軍より圧倒的に強い。
 勇次郎なら素手で江戸城を陥落させられるだろう。
 で、武蔵が勇次郎と匹敵するなら、愛刀金重で江戸城を真っ二つにできたハズなんだろうけど。

 いちおう、言い訳もできる。
 戦国時代は武のレベルが高いから、武蔵クラスがいっぱいいた。
 だから、武蔵ひとりじゃ天下取れなかったのだ。
 徳川家康が天下を取れたのは柳生新陰流と小野派一刀流を確保していたからだッ!

 ただ、この言い訳をつかうと、武蔵って圧倒的に最強ではなくトップグループの一人ぐらいになっちゃいそうだ。
 本部に負けるぐらいだから、実際その程度だったのかも。
 そうなると武蔵とそこそこ戦えた勇次郎もトップグループの一人になってしまう。
 この宮本武蔵編は、本当にどこへ行くんだろうか。

 とりあえず2017年も始まって、弱虫ペダルのアニメ3期も始まった!
 2017年のチャンピオンは飛躍の年だ!
 弱虫ペダル目当てでチャンピオン読んだ女子が刃牙にもハマること間違いなし!
 などと言うことを、アニメの1期、2期でも言っていたような。

 ただ、今度は『バキ』のTVアニメも待ちかまえているぞ。
 ……でも、刃牙は死刑囚も迎え撃つ地下戦士も年配の人が多いんだよな。
 刃牙と花山が10代だけど、あとはオッサンばっかりだ。
 せけんの女子はついてこれるのか?

 昨年末にバキファンオフ会みたいなの行ったんですが、「本部が勝っちゃったので、もう応援しなくてもいいかな」って人が多かった。
 私も含めてなんですが、勝った本部ってのは違和感あるんだよな。
 若者の本部離れが加速しているようだ。
 今年は本部の出番があるんだろうか?

週刊少年チャンピオン2017年05+06号 [雑誌]
週刊少年チャンピオン2017年5+6号

2017年1月12日(7号)
第4部 第140話「国斬り」 (1119回)

 現代によみがえった宮本武蔵が日本国へ宣戦布告だッ!
 宣戦布告と言うか銃刀法違反の現行犯だけど抵抗しちゃうよ、って状態である。
 江戸時代の人だから現代の法律がよくワカっていないんだろうな。
 というか、人間がある程度の数になると集団内のルールが必要になる。
 武蔵の時代にだってルールはあった。
 ちゃんと現代のルールを教えてあげないと。

 武蔵は、自分の腕力と愛刀であらゆる拘束を斬りはらうという意志を見せている。
 大人しく縛につく気はない。
 己の意志を貫き通すチカラが強さだッ!
 昔も今も変わらない強さ基準のひとつですな。
 この宮本武蔵も多数の吉岡一門を相手にしても屈することがなかった。
 現代の警察官にだって屈しない。

 武蔵を逮捕しようとするのは捜査一課 警部補 大塚平兵衛が率いる警官隊だ。
 拳銃とさすまたで武装している。
 発砲許可も出して、本来なら楽勝の布陣だ。

 警官のひとりが汗をかきつつ銃をかまえる。
 武蔵は先手をうって、金具を投げつけた。
 どっかで手にした金具だろうが、武蔵の力量で投げれば顔に突きささる。
 発砲に不慣れな警官だったようで、わずかな躊躇いのスキを突いた形だ。
 このへんの呼吸はさすが伝説の剣豪ってところか。

 武蔵は肉体を液化させるような脱力による神速で大塚に襲いかかる。
 右の人差し指一本拳で大塚の左目を突きさすッ!
 いきなり取り返しのつかない攻撃をしちゃった!
 これで公務執行妨害と傷害も追加だ。

 武蔵ほどの技量があれば、もっと穏便な攻撃ができたはずだ。
 でも、目をツブした。わざとツブした。
 これは武蔵が徹底的に戦うという意思表明をしたことになるのだろうか?
 もう、後戻りできないぞ。

 警官隊が武蔵をとりかこみ、襲いかかる。
 いや、ダメだ。拳銃つかおうよ!
 文明の利器だ。連射できる鉄砲の恐ろしさを教えてやれ!
 と、思うのだが格闘戦を挑んだ警官隊は予想通りに全滅するのだった。

 武蔵のエア斬撃で警官隊が全滅だ。
 大丈夫、エアだから死んでいません!
 大塚は「抜くのはもっと後のことだ」と、のちに語る。
 って事は、このあとで本格的に大暴れするのか。
 なんかスゴいものを斬りそうな予感がする。

 警官たちは6人同時に飛びかかり、全滅した。
 なぜか?

「自分の前に同僚(なかま)がいたと」
「味方が」
「障害物と化していたと」


 武蔵は巧みな位置取りで、一対一となる状況を作り一人ひとり倒していった。
 五輪書にいう「敵を一列に魚つなぎ」にする技であり、「角を攻め」る技だ。
 まさに戦術、兵法の極意である。
 この強さと兵法は、この男が本物の宮本武蔵という証だ。
 うたがいもなく宮本武蔵である。

 本物の宮本武蔵に出てこられたら、白兵戦じゃ勝てません。
 と言うことで現在は尾行中です。
 あとで抜刀すると言っているので、すぐに血の雨が降るんだろうが……
 ひとまず現在の被害は大塚の左目と、警官が多数負傷だ。
 次回の被害はいかに。


 宮本武蔵は強かった!
 が、それ以上に警察がアホに見える。
 もっとマジメに仕事しようよ。
 ちゃんと結果をだすための努力をしよう。
 この場合、同士討ちをさけた半円の包囲陣形で射撃をするのがシロウトでも思いつく最善の策だ。
 なんでワザワザ近づいて倒されに行くかな。

 日本の警察は発砲に対する過度な規制があって、なるべくなら撃ちたくないのかもしれない。
 撃って逮捕するよりも、撃たずに逃げられる方を選ぶ。
 それが銃アレルギーをもつ日本人の選択なのか。

 範馬勇次郎は幼き日の刃牙に、一度に襲いかかることができるのは4人までだから、4人同時に倒せたら100人相手でも勝てると教えていた。(G刃牙9巻75、77話)
 警官隊は6人を突っこんでいるので、なにもしなくても2人あまる。
 何事も適量ってのが肝心なんだろうな。

 現代の警察はこういう捕縛になれていないので失敗したのだろう。
 江戸時代でも『葉隠』に、捕縛を命じられた時にしっかり準備して手順を確認しないと失敗すると叱られたが、準備のおかげで上手く行ったという話がある。
 平和な時代になると武士と言えども、ゆるみがちになるようだ。

 武蔵は圧倒的な強さと兵法で警官を一人ずつ倒していった。
 かつて勇次郎は機動隊100人相手に押し勝って暴れたことがある。(G刃牙18巻 153話)
 やっぱり、勇次郎のほうが規格外な感じが強い。
 武蔵は"強い人間"だ。勇次郎は"強い怪物"って感じか。
 勇次郎とタメはれるのはピクルしかいないだろうな。

 腕力も極めてしまえば国家に匹敵する。
 その事実が青少年にあたえる悪影響を考慮し、範馬勇次郎は超法規的に見逃されているらしい。
 あと、勇次郎が本気になったら誰であろうと確実に殺されるので、同盟契約で免責ってパターンもある。
 宮本武蔵もその域を目指すのだろうか?

 目の前の敵をひたすら斬って斬って斬りつづけたら、国だって手出しできなくなる。
 そんな境地を目指して武蔵はチャレンジ中なのかも。
 武蔵を捕らえるには、発砲できない警察じゃムリだ。
 ならば、どうやって捕獲するのか?

 青少年への悪影響を考えるなら、なるべく目立たない形で捕獲したい。
 と、なると刃牙たち地下戦士へ警察から依頼がくるかも。
 武蔵と戦いたい戦士はそれなりにいるだろう。
 これから日本の路上が合戦場となるかもしれない。

 本来なら、今こそ武を知らない警察官を守護(まも)るべき時だ。
 でも、守護のエキスパート・本部以蔵は現在入院中である。
 ならば、二年ぶりに我らが主人公・範馬刃牙が戦うかもしれないぞ。
 いや、まだ半年は引っ張るかもしれないが。
 刃牙のジラしプレイは武蔵よりも手ごわいのだ。

追記 (17/1/18)
 掲示板で兵法について解説が欲しいとリクエストがありました。
 角をとる優位は前にも書いたことがありますが、せっかくなので少し詳しく書きましょう。
 多数の敵と戦う場合の位置取りは戦術の基本だ。


 敵集団の正面に位置すると、敵から包囲攻撃をうけてしまう。
 正面とななめ方向からの攻撃を受けて大変だ。

 そこで、敵の横に回りこむと、敵の二番目と三番目は味方がジャマになり攻撃できない。
 多数の相手とも、数的互角に戦える!
 もちろん、疲労度とか交代要員がいないとかの問題が生じますが、とりあえず現状は互角に戦える。
 五輪書では、この状態を「敵を一列に魚つなぎ」にすると言っている。

 五輪書でいう角も、同じく反撃を受けにくい位置のことだ。
 また、側面のことを翼ともいう。
 塁(ベース)を奪っていくスポーツである野球は翻訳に軍事用語がよく使われていて、ライト・レフトが翼面守備のが右翼手・左翼手と呼ばれている。

 私も、ゲームなどで翼面攻撃を試したことがありますが、いちおう理屈通り安全に戦える気がする。
 なぜ、気がするとボカすのか。
 ゲームの場合だと死や負傷のペナルティーが現実より軽いし、敵の攻撃が敵をすり抜けて飛んでくることもあるので、イマイチ効果が薄いような気がするんですよ。

 みなさんも、ゲームやスポーツで兵法を試してみて、効果の有り無しを教えていただけたら大変助かります。
 多少なりとも効果があれば、有用な知識としておぼえて損は無いはず。


 さて、罪を犯しながら異邦の地をさまよう宮本武蔵はどこへ向かうのだろう。
 先週のチャンピオンについていた刃牙道ポスターには刃牙・勇次郎・武蔵・花山が出ていた。
 これは久しぶりに花山も戦うって事か?
 花山は外伝でもあまり戦わないし、久しぶりに戦ってほしいのだが。

 今週末の1/20にはトランプ氏が正式に大統領就任する。
 それから、すごいムチャやったら、また刃牙道に出てくるかも。
 トランプのほうが武蔵より動向が気になったりして。

 そして、今場所の稀勢の里は調子が良くて優勝候補だ。
 いつものパターンだと、板垣先生がコメントで稀勢の里に言及し、直後負ける。
 今回はこのパターンを繰り返さないでほしいところだ。

 武蔵だけでなく、イロイロな人の命運が気になる一月の第三週であった。

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