刃牙道「31〜40話」感想

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2014年10月2日(44号)
第4部 第31話「察知(キャッチ)」 (1010回)

『近代格闘技 最速の技術(わざ)
『ジャブ』


 やや内角を狙い、えぐり込む様に打つべし!
 あしたのために学ぶボクシング技術のその1だ!
 なんか『あしたのジョー』っぽいな……
 とにかくジャブこそ基本であり、土台である。

 ジャブは人間の反射神経を超えた速度をもつ打撃だ。
 見てから、よけられる技じゃない。
 世界王者でも当てられることを前提にしなきゃいけないのだ。
 でも、実際のボクシングだとよけている人もいるような……。という話は後でします。

 宮本武蔵は、いかにして範馬刃牙のジャブを止めたのかッ!?
 そこは伝説の剣豪である。
 すごいコトをやっていた。
 最速のジャブ、を撃つ前の、後ろ足が大地を蹴る、以前の決意を感じる。

『兵(もののふ)は気付いていた』
『敵の脳が発する 敵本人も気付かない… 決断0.5秒前の信号(シグナル)に!!!』


 オリバも愛読している『ユーザーイリュージョン』(感想)の話だ。
 でも、刃牙世界での解釈はちょっと誤解をしているけど。

 意識は0.5秒遅れてやってくる。
 人がジャブを撃つとき、撃った0.5秒後に撃つと意識する。それがユーザーイリュージョンの説明だ。
 刃牙世界だと、ジャブを撃つと同時に、撃つと意識するが、その0.5秒前に脳が反応しているとなっている。
 でもまあ、刃牙世界だとそういう法則なのかもしれない。

 武蔵は刃牙がジャブを撃つと決意する0.5秒前に動く。
 ジャブが速すぎて反応できないのなら、ジャブを撃つ前に止めれば良いじゃないか!
 五輪書で言うところの、先をとるだな。
 動きの先読みで先手をとる。
 まるで達人同士が殺気をよみあうような対決だ。

 右手でジャブを止め、左手で逆袈裟に斬り落とす!
 ただし、イメージで。
 刃牙は見事に斬られた感覚を味わっている。
 リアルシャドーの思い込みで、本当にダメージを受けることのできる刃牙だ。
 イメージ斬撃でも死ぬほど痛いだろう。

 思い込みの激しい刃牙だから、本当に斬れてないか心配だ。
 ふれてもないのに刃牙が真っ二つになったら、イメージで斬った武蔵だってビックリするだろう。
 出血していないか?
 命にかかわることだけに、心配だ。
 でも刃牙はマゾだから、至福の痛みなんだろうな。

「ぬ"がー!!!」

 勝利を確信した武蔵に刃牙が襲いかかる。
 斬られてもなお、動く。
 死してなお相手を斬って相打ちにするような超(スーパー)武士っぽい刃牙の執念だ。

 渾身のアッパーカットを刃牙が放ったッ!
 武蔵は足裏でうけ、打撃の勢いで屋根まで飛んでいく。
 逆算すると刃牙のアッパーは大人が屋根から跳び降りたときの衝撃に匹敵するってことか。
 当たっていれば即死もありうる攻撃だった。
 股間に当たっていたら、玉砕まちがいなしだな。

「あの袈裟懸けから反撃するとは…………」
「期待以上だ」
「…………」
「まだまだ遊べる」


 そう言いのこして武蔵は去っていった。
 反撃で力尽きたのか刃牙はダウンする。
 この勝負、二戦目も武蔵の勝利だ。

 武蔵の発言は、なんだったのだろう。
 刃牙とはまだ遊べるって意味か?
 それとも、まだ日も高いし、まだ遊べるんで徘徊してきますってことかも。

 刃牙は敗北した。
 しかし、まだ全力を出していない。
 そういう潜在能力を見切った上で、武蔵は「まだまだ遊べる」と言ったのかも。

 どちらにしても、刃牙は敗北して倒れた。
 武蔵は自由の身となり、江戸から変貌した東京の街に飛びだす。
 確実に騒動を起こしそうだが、どうなるのか?
 次回につづく。


 刃牙は勇次郎と信号(シグナル)の読みあい対決をしている。(範馬刃牙34巻 276話
 だから、武蔵の攻撃も読むことができたハズだ。
 やらなかったのは、サボったのか、なまったのか?
 どっちにしても刃牙は、まだ本気を出していない。

 しかし、信号(シグナル)があるとして、武蔵はどうやって感知しているのだろうか?
 脳神経が発する微細な電気信号を読んでいるのか?
 ならば、携帯電話の電源を入れっぱなしにして置いとくだけでジャミングできそうだ。

 実際のところ、ボクサーはジャブをいくらか回避している。
 それは見て、反応しているワケじゃない。
 撃ってきそうな気配を察知したり、撃ってきそうなところをガードしているのだ。

 気配が、脳の出す信号(シグナル)なのかもしれない。
 いや、トリガーと言うよりは足運びや、体重移動などから動きを読んでいるのだろう。
 武蔵たちも、信号(シグナル)を感知しているワケじゃなく、本当は相手の微妙な動きを読み取っていると思われる。
 『ユーザーイリュージョン』によれば、人間の意識ってのは勘違いみたいなものだ。
 脳の出すトリガーを感じたと、勘違いしている可能性が高い。
 か、勘違いしないでよね、ちょっとアンタの信号(シグナル)を感じちゃっただけなんだから!

 とにかく、刃牙が本気をだしたら武蔵と一万年先まで読みあう深読み対決だってできるハズなのだ。
 恐竜時代の原始人とだって戦えたんだ。
 戦国時代の剣豪だって怖くない。
 ……か、勘違いしないでよね、別に刃牙を応援しているワケじゃないんだから!

 それにしても、なんで刃牙はサボってんだろう。
 勇次郎に認められて、達成感のあまり虚脱した生活をしていたのかも。
 肉体が恐竜なみに強いから、半分寝てても今までは楽勝だったのだろうけど、宮本武蔵にゃ勝てんかったか。

 そんなワケで刃牙はなまった心を鍛えなおさないといけない。
 もしかしたら、勇次郎に稽古をつけてもらうかも。
 範馬刃牙は復活どころか、さらなる覚醒をするかもしれない。

 そして、宮本武蔵はどこに行くのだろうか?
 徳川さんの家は東京ドーム付近なのだが、そのあたりに都合よく一流戦士がいると思えない。
 通りすがりのムエタイ戦士など、刃牙の後じゃツマミにもならないだろうが。
 秋葉原のほうまで出歩いて、すごい衝撃をうけてかえって来たりして。

「徳川殿、それがしに専属の めいど を雇っていただけませぬか?」
 武蔵よ、メイドさんに優しくされても勘違いしちゃいけないぞ。

追記 (14/10/8)
 刃牙は敗北し、武蔵が逃亡した。
 たぶん、ここからが刃牙道の本番だ。

 刃牙と武蔵には、それぞれ課題がある。
 まず、刃牙だが、わかりやすく強くなることだ。
 武蔵に負けたのは心理的な問題だろう。
 もっと本気を出せば負けないハズだ。

 勇次郎を素手で倒すことが、刃牙の人生における目的だった。
 だが、強者へのリスペクトからか、刃牙の目的は勇次郎との和解にかわる。
 で、親子喧嘩で勇次郎と和解した。
 今の刃牙は目標を見失ったミサイルのようなものだ。
 誤爆しそうで危険きわまりない。

 刃牙は久しぶりに目標を与えられた。
 それこそ徳川さんの狙いどおりなんだけど。
 新たな目標を得て、刃牙が再始動しそうだ。

 武蔵を倒すため、今度はどんな虫を師匠にするのだろうか?
 いままでの刃牙は、カマキリ、ゴキブリとグロ系の虫を師匠にしていた。
 やっぱ次も虫だろうな。それもグロいやつ。
 クモ、ムカデ、ヤスデみたいな、キモイのを師匠にしたらどうだろう。
 次にあったとき、刃牙の手足は何本になっているかッ!?

 いっぽう宮本武蔵の課題は複雑だ。
 刃牙のジャブで軽く不覚をとったように、近代格闘技に対応できていない。
 武蔵の時代から格闘技はかなり進化している。
 もちろん失われたものもあるだろうが、現代のルールで闘うのなら近代格闘技のほうが有利だ。
 とくに素手での戦闘なら。

 武蔵は近代格闘技がどんなものか知る必要がある。
 誰が教えるのに最適だろうか?
 猪狩とかが関わると興行に利用しちゃいそうだしな。
 実はバランスのいい山本選手が最適かも。
 なにしろバランスが良いらしいし。


2014年10月9日(45号)
第4部 第32話「動揺」 (1011回)

 伝説の剣豪・宮本武蔵をクローン技術や降霊術で現代によみがえらせる!
 無理とか言っちゃダメだ。すでに よみがっているのだから。
 そんなこんなで、よみがえった武蔵が現代の街をゆく!

 宮本武蔵は新宿アルタ前にいた。
 新宿ッ!?
 飛びだした徳川さんの家は水道橋だったよな。
 水道橋から新宿まではけっこう歩くぞ。
 ずいぶん移動したものだ。

 もっとも昔の人は歩くか馬しか陸での移動手段がなかったので、みなさん健脚だった。
 水道橋⇔新宿ぐらいは平気で歩くだろう。
 もっとも、問題は歩けるかじゃなくて、道中の反応なんだけど。
 高層ビルや、車をガンガン目撃していたハズだが、気にしなかったのか?

 武蔵はアルタの大型街頭テレビに驚いている!
 定番だと「箱の中に人が入っている!」と驚くところだけど、それは無かった。
 テレビがデカすぎるから、現実感が無かったんだろう。
 「箱の中に巨人が!」と驚かないのは、武蔵がおバカキャラじゃないからだな。
 恐竜と戦ってきたピクルなら驚いたかもしれないが。

 武蔵は400年の間に変化した世界を実感していた。
 巨大な建築物に、高速で移動する電車など、未知のものばかりだ。
 もっとも、ここまでの変化はここ100年ぐらいに起きている。
 明治の話である真・餓狼伝の丹波文吉も現代に来たら巨大建築物にビビりまくるだろう。

(イカン…………動揺している)
(戦闘(たたかい)とは無関係なことに動揺している)


 宮本武蔵、あくまで冷静だ。
 動揺しているのは認める。
 ウソをついても、動揺しているのは事実だし。
 だが、認めた上で自分の心を落ち着かせようとしている。
 この男、野獣じゃない。、冷静に勝利を奪う、プロの戦士――――兵法者だ。

 でも、ここで「焦るんじゃない 俺は腹が減っているだけなんだ」と誤魔化して、飯を食うのも手だろうけど。
 とにかく、問題があることを認めてる。
 次に解決方法だ。
 武蔵の場合は飯を食うってワケにいかないだろうけど。

(見失うな)
(立ち合う相手は建築物(たてもの)ではない)
(相手は人間(ひと)なのだ)
(人間(ひと)への勝ち方なら心得る)
(否――――――――――
 人間(ひと)への勝ち方しか知らない!)


 問題を自分の得意分野に持ってくる!
 これがトラブル解決や戦闘を有利に進めるやりかただ。
 けっきょく、飯を食うってのも自分の得意分野に持って行くってことだし。
 別作品の感想書いても刃牙の話題がでちゃうって現象も、同じことだ。

 城と戦うのではなく、城にいる兵と戦う!
 そんな感じに置き換えた。
 武蔵は島原の乱で籠城する一揆勢の投石で負傷している。
 巨大建築物には苦い思い出がありそうだ。

 戦う相手は、建物ではなく人間(ひと)である。
 相手がガンダムに乗っていようと、パイロットを倒せば勝てる理論だ!
 とにかく、自分の得意分野で戦うと思えば安心できる宮本武蔵であった。

 しかし、武蔵はあくまで戦うつもりなのか。
 誰と、何のために、戦うのだろう。
 生きて行くため、暴力を使わないといけない場面もある。
 だが、目的もなく使われる暴力はダメダメだ。

 宮本武蔵と言う人生が戦わずにいられないのか?
 たんに戦国時代の人間だから、こう考えるのか?
 どちらにしても、歴史上まれに見る平和な国である日本では浮いた存在だ。
 やっぱり、徳川さんに保護してもらって、試合に自分らしさを発揮してもらうほうが良いんだろうな。
 人生の選択肢が無いと言う点で、不幸すぎるのだが。

 裸足で歩き、財布も持たない、サザエさん一番二番の歌詞を同時に実現している。
 そんな宮本武蔵は、みんなが笑って見てくれない。
 明らかに不審者です。
 あっ、警察官二人に職務質問されました。

 武蔵は警察官の存在や意味を知らされていなかったようだ。
 絵に描いたような不審者トークの果てに、身体検査を拒否し反撃しちゃう。
 首筋に手刀の一撃、もう一人には平拳をのどに突きさす!
 警官二人を一瞬でノックダウンだッ!
 ……やっちまった。

 戦国時代の人間は、やっぱり平和な現代に対応できないのだろうか。
 これで宮本武蔵は追われる立場になった。
 まあ、そのへんは徳川さんが上手くもみ消してくれるのだろうけど。
 そして、警察に近い神心会や、渋川さんが宮本武蔵の存在を知ることになるだろう。
 ここからは武蔵争奪戦かッ!?
 次回につづく。


 宮本武蔵はじめての外出は、やっぱり無事にすまなかった。
 ただ、可能性として次のものを考えていた。

(1) チンピラに絡まれる
(2) 通りすがりの格闘士(たぶんムエタイ)とケンカになる
(3) 秋葉原に行ってメイド喫茶にはまる
(4) 警察とトラブルになる

 今までの刃牙世界では(1)のパターンが多かった。
 だから、(1)だろう、と。
 武蔵のほうが通行人に興味をもつなら(2)のパターンだ。
 秋葉原とは反対の方向に歩いたので、(3)じゃなかった。
 で、けっきょく(4)となったか。

 戦国時代の治安維持は、現在のような科学捜査じゃない。
 目撃者を殺せば、逃亡は簡単だ。
 現代は遺留品の分析や監視カメラがあるから、簡単に逃げられないぞ。
 逃亡者・宮本武蔵の未来は暗い。

 ところで、警察の職務質問に武蔵は生年を1584年と言っている。
 徳川さんが西暦を教えたんだろうか。

 昔は年号が不規則に変わるので、天正12年と言ってもパッと年齢計算できない。
 だから、60年で一回りする干支でおぼえることが多かったようだ。
 武蔵の1584年だと甲申(きのえさる)って具合におぼえる。
 干支は60年周期だから、今年の干支から計算すれば何歳かわかる。
 人間の寿命を考えると、60年単位あれば充分なのだ。

 いっぽう、敗北した刃牙はさっそくの放置プレイか。
 安定した停滞っぷりだ。
 話の中心が武蔵になったので、しばらく放置っぽいな。

 これからは、武蔵狩りとなるのだろうか?
 武蔵が騒動を起こしたので、その存在を知る人間が出てくる。
 そして、武蔵をめぐる争奪戦が始まるだろう。
 ピクルの時がそうだったように。

 ただ、ピクルとちがうのは、宮本武蔵が知恵のある戦士だと言う点だ。
 吉岡門下など敵に狙われながら生き延びてきた武蔵の逃走術が光るのか?
 でも、バイクや車で追われたら走って逃げるのも限界だよね。
 「相手は人間(ひと)なのだ」と、操縦者を直接狙うかもしれないが……
 なんか、最凶死刑囚よりも、ヤバいかも、この人。

追記 (14/10/15)
 宮本武蔵が公務執行妨害だ!
 近代格闘技を学ぶ前に近代の治安ルールを教えておいたほうが良かったな。
 このあとは、武蔵と警察の捕り物になるのだろうか?

 監視カメラや無線のような技術は武蔵の時代にない。
 だから「なんでいつも先回りされているでござるか?」って状況になるだろう。
 でも、武蔵は戦う相手は技術でなく人間だと考えているっぽい。
 監視カメラや無線があっても、逮捕に来るのは人間だッ!
 って、ことで捕縛者を片っ端から殴り倒しそう。
 犠牲者は園田警視正か?

 バキ外伝 疵面(スカーフェイス)も連載再開になった。
 疵面では範馬勇次郎のクローンを作ろうとしていたが、どんな進み具合なのだろう。
 クローン武蔵は骨髄から作って成功している。
 疵面の勇次郎クローン計画は、毛だけだから上手く行かなさそうだ。
 間違って夜叉猿の毛を培養していたりしてそうだし。

 クローン武蔵も重要だが、勇次郎クローンと言うべき息子たちの動きも気になる。
 とくに、間違った方向に強化しちゃっているジャック兄さんが。
 ジャック兄さんはデカくなって、弱体化しちゃってる気がするンだよな。

 そして、以前からウワサになっている、世界中にバラまかれた勇次郎の種が、そろそろ芽吹いても良いと思うのだが。
 もっとも、今のタイミングで出てきたら、まちがいなく武蔵に噛まれる。
 ……ジャック兄さん、嵐が納まるまで退院しちゃダメだ!
 できれば、身長も元にもどして!


2014年10月16日(46号)
第4部 第33話「ツイてる」 (1012回)

 範馬刃牙は地上最強の高校生である!
 19歳にして、その実力はプロ格闘家や、ヤクザ、軍人、野生動物をも凌駕しているのだ。
 あれ、まだ18歳だっけ?
 つまり……、……なんだ、そろそろ地上最強の高校生を卒業して、地上最強の18歳になれたらいいですね。
 ……卒業して。

 学力は置いといて、最強の高校生・刃牙が敗北したッ!
 相手は宮本武蔵だ。
 あの伝説の剣豪・宮本武蔵(1584?〜1645)である。

 刃牙には敗北の屈辱がないようだ。
 ただ純粋に宮本武蔵と闘ったことに驚愕(おどろ)いている。
 14歳の刃牙はボクシングの世界王者に敗北して、悔し涙を流していた。
 今の刃牙は勝負に甘くなってしまったのだろうか?

 刃牙は武蔵の戦闘能力を振り返る。
 特筆すべきは"握力"と"予知能力"だッ!
 ……そうなのか?

 握力と言えば、刃牙世界で最大握力かもしれない花山がいる。
 もちろん地上最強の生物・範馬勇次郎もスゴいだろう。
 その勇次郎とドアノブ回し対決をした鎬紅葉もあなどれない。
 筋肉最大候補であるオリバも強いだろう。
 そして、恐竜時代の原始人・ピクルも忘れちゃいけない。

 宮本武蔵は彼ら握力五強よりも握力があるのだろうか?
 私としては、ちょっと信じられない。
 ちなみに、私の脳内握力ランキングでは、ピクル>勇次郎>花山>オリバ>紅葉ですね。
 紅葉が勇次郎と互角の握力勝負ができたのは、勇次郎が寝起きで調子悪かったせいかと。
 または、ドアノブが壊れるのを心配した勇次郎が手加減したとか。

 刃牙がこれほど握力にこだわるのは、理由があるのだろうか?
 握力の強い人間は強敵と言う法則が刃牙の中にあるのかもしれない。
 つうか、青竹を一振りでバラバラにしたのは、握力とチョット違うよね?
 どんだけ握力を警戒しているんだか。

 握力より、さらに重要なのが"予知能力"だ。
 簡単に言うと、相手の殺気を読む能力である。
 真剣勝負をしていた時代の兵法者なら、身に付けて当然の「嗜み」だ!

 と、刃牙は考えているが、あやしい。
 真剣勝負で敗者が死ぬと言うコトは、敗者復活戦がないってことだ。
 つまり、才能はあるけど経験のない若者があっさり死ぬ。
 死なずに再戦の機会があったほうが、業界全体のレベル向上につながる。

 竹刀で戦う剣道では、むかし三本勝負をしていた。
 だが、一本をとる率が低い。
 それに真剣勝負を想定した場合だと、三本勝負はありえない。
 なので一本勝負の形式に変更した。
 一本取られると即負けるようになり、一本の重みが増えた結果、みんな慎重になって一本をとる率がさらに減ったのだ。(日本剣道の歴史

 戦いの重みが増すと、レベルが上がると言うより、戦う頻度が下がるのだろう。
 つまり、死ぬ確率が高くなると、気軽に戦わなくなる。
 竹刀なら、ゴチャゴチャ言わず勝負だ! となるが、真剣勝負しかないなら話し合いで解決しようと努力するだろう。

 宮本武蔵は、そんな危険な真剣勝負を何度も行った変態であり、かなり希少な存在だ。
 だからこそ歴史に名を残せたのだろうけど。
 武蔵は最強かもしれないが、あの時代の兵法者が全員ハイレベルだったかと言うと、ちがうと思う。

(ツイてる…………)
(滅茶苦茶ツイてる!!!)
(原始の太古からピクルという奇跡がやって来た)
(そして今また戦国の世から「最強」が俺達の前へ)

(時代が……)
(法則が……)
(神が……)
(俺が……)
(人類最強を決定(きめ)ようとしている!!!)


 なんか急に刃牙がポジティブに考えだしたッ!
 敗北した直後だというのに、ツイてると来たもんだ。
 で、人類最強戦の開催決定ですか。
 時代・法則・神と同列で、俺が決定(きめ)た。
 敗戦のショックで、かなり脳が痛んでいそう。

 だけど、イイね。
 脳の働きは気になるけど、前向きで積極的なのがイイぞ。
 なんか、無謀に戦いだしてくれそうな感じだ。
 一時期の、ヤるよ ヤるよ詐欺みたいに、口ばっかりで全然戦わなかった時より はるかに良い。
 なんか、すぐさま武蔵を追いかけて勝負を挑みそうな感じだ。
 武蔵の居場所を知らないから、ムリだろうけど。

 人類最強戦の開催決定は良い。
 だが、刃牙は武蔵に二度も負けている。
 つまり初戦敗退って感じなのだが。
 戦国時代の真剣勝負なら死亡確認されている。

 あまり深刻に考えないのは良いことなんだろう。
 でも、ブレーキもハンドルも故障した車みたいで不安だ。
 アクセルを思いっきり踏むしかできない状態みたいな感じがする。

 逃亡して自由行動中の宮本武蔵は職務質問してきた警察官二人をブッ倒していた。
 そこに応援の警官二人がやってくる。
 とうぜん、コイツらもブッ倒す。
 股間を打ったり、投げ飛ばしたりと大活躍だ。

 いかん、このままだと警官ブッ倒しの連鎖が止まらない!
 どこかで止めないと新宿区の警官全員がブッ倒されてしまいかねないぞ。
 だれか、武蔵を止めてやってくれ!

 武蔵が騒動を起こせば、その存在が世間に伝わる。
 隠しても、戦士たちには宮本武蔵の復活が伝わるだろう。
 強者たちがうごめく。
 人類最強戦に向けて!
 刃牙は(路上で)不敵な笑みを浮かべるのだった。(そして、不審な目で見られる)

 脳裏に戦士たちの姿が浮かぶ。
 地上最強の生物・範馬勇次郎ッ!
 最後の達人・渋川剛気!
 素手喧嘩(ステゴロ)最強のヤクザ・花山薫!
 伝説の空手家、武神・愚地独歩!
 中国武術4000年が生みだした龍(ドラゴン)・烈海王!
 隻腕の若き天才空手家・愚地克巳!
 後ろを向いているけど、たぶん本部以蔵ッ!

 刃牙でなくとも期待が高まる。
 ここからが本番か。
 武蔵をめぐり、強者たちが争う。
 ここからが、刃牙道の本番だッ!
 次回につづく。


 刃牙が修行とか考えず、すぐに戦うっぽい。
 なんで、そんなに自信マンマンなのか少し不安だが、ヤる気だ。
 それとも、しばらくは仲間が武蔵に挑んで敗北するのを観察して対策を練るのだろうか?
 どちらにしても、次の戦いが近そうだ。

 で、刃牙は強者のなかに本部もふくんでくれたんですね。
 後頭部しかうつっていないから、別人かも知れないけど……
 服は着ているし、夜叉猿ってオチは無いよね?

 刃牙は本部を高く評価しているようだ。
 顔を思い出せないけど、存在はボンヤリ後姿っぽく残っているってレベルかも知れないけど。
 でも、まったく出てこない鎬兄弟よりマシだな。
 刃牙のなかでは、本部>鎬兄弟 なんだろうか?
 素手なら鎬兄弟のほうが強そうな気がするんだけど……

 あと、重要人物がいない。
 刃牙の異母兄ジャック・ハンマーだ。
 本来なら、刃牙世界でも屈指の実力者なのに……

 刃牙はかつてジャックに言った。
「アンタはもう」「戦士(ファイター)として終わりなんだよッッ」と。(範馬刃牙19巻 153話
 その言葉通り、ジャックを戦士として数えていないのかも。

 でも、オリバやピクルと言った実力者も漏れている。
 もしかしたら、刃牙は日本人限定で思いだしたのかも。
 いや、烈が居るな。
 じゃあ、アジア人限定で。

 だったら、ジャックが抜けているのも仕方がないか。
 そうなると、鎬兄弟の立場が ますます無くなるけど。
 とにかく、日本近辺に居そうな人を思い浮かべたのだろう。
 烈はまだ米国にいるから、刃牙の勘違いだろうけど。

 はたして、つぎに宮本武蔵と戦う人間は誰だろうか?
 いや、人間とは限らない。
 「数々の兵法者を喰い殺してきた」といわれる夜叉猿も参戦するかも。
 やっぱり、あの後ろ姿は夜叉猿だったのかも。
 道衣を着た夜叉猿の後姿は、本部以蔵と見分けがつかないッ!?

追記 (14/10/22)
『本日●時ごろ、新宿区アルタ前の路上で、裸足で歩く不審な男を発見した警察官が職務質問をしたところ「1584年生まれの宮本武蔵」などと意味のわからないことを喋り、警察官に暴行を……』

 てな感じで武蔵がニュースになっている所だろうな。
 そして、格闘士たちが武蔵を狙う。

 武蔵は殺気を読める達人タイプの戦士だ。
 だから、独歩の菩薩拳とは相性が悪いだろうな。
 それと花山のような型にハマらないタイプも苦手かも。
 今度の戦いは、戦いの相性がかなり影響しそうだ。

 加藤とかは殺気だけは やたらあって読みやすい相手なんだろうな。
 中途ハンパが一番困るってパターンだ。
 そういう意味だと、やっぱり本部は活躍できる余地がない。
 猪狩とかのプロレスラーのほうが意外性を駆使して戦えそうなぐらいだ。

 先週の刃牙道、ラストのコマで後ろ向いている人が本部だと私は思った。
 だが、武蔵だと思った人もそれなりにいるようだ。
 そんなに本部を出したくないのかッッ!(被害者妄想

 武蔵か本部か、決着のつかないネタでしょうが、髪の表現と服の生地表現は本部っぽいと思っています。
 本部のほうが髪は線が目立っている。服は本部が砂地っぽいのに比べ、武蔵だと網っぽい。
 どっちも印象論ですが。

 だが、本部と武蔵が後姿だけでも似ているのなら、重大な事件が起こりうる。
 すなわちッ!
 犯罪者として追われる武蔵を逃がすため、本部を替え玉として差しだすのだッ!

 かつて、烈がピクルと間違えられてつかまるという予想を立てたことがある。
 今度は本部だッ!
 本部は、やっぱり山からおりないほうが良さそうだ。


2014年10月23日(47号)
第4部 第34話「型」 (1013回)

 現代によみがえった宮本武蔵に、刃牙は敗北した。
 それも二回も。
 地上最強の高校生・範馬刃牙が敗北したままでいいのかッ!?
 てなワケで、ここから刃牙の逆襲がはじまる。……ことを期待します。

 刃牙は自宅、というか別宅の俗称バキハウスで武蔵対策を考えていた。
 そういえば、最近の刃牙は松本家のとなりにある家にいない。
 前にシコルスキーが襲撃して松本梢江を拉致したので、周囲に迷惑をかけないように別宅のほうに住んでいるのかも。
 または、梢江ちゃんがウザくなってきたので逃げだした、とか。

 宮本武蔵を倒すにはどうすれば良いのか?
 刃牙はパワーも技術も最高水準に達している。
 地上最強の高校生という称号はダテじゃない。
 いまさら鍛えても、伸びしろが少なさそうだ。

 しいて言えば、刃牙の弱点は心である。
 メンタルが弱いのでは無く、油断しやすい。
 注意力散漫で喰らわなくてすむような攻撃を喰らってしまう。
 もっとマジメに戦えば、武蔵にも勝てたかも。

 肉体を鍛える余地が少ないだけじゃない。
 技術に関しても、刃牙に技を教えられる人間はあまりいない。
 なら、別方向の技術を習うってのはアリだろうな。
 武器の使いかたを本部に教わるとか。
 ……昔は、本部のほうが強そうな雰囲気だしていたんだよな。

『「型」………』
『日本武道ほど「型」を重視する格技は世界でも類を見ない』


 型こそ日本武道の真髄だッ!
 本当に日本だけなのか知らないがナレーションで言っているから、とりあえず信じておこう。

 型が日本で発展したのは江戸時代の存在が大きい。
 徳川家康は剣術好きで天下人が好きなのだから、大名たちも剣術を習うようになった。
 剣は練習で人を斬るワケにいかないから、型稽古が発展したのだろう。

 織田信長は相撲好きであり、相撲大会をひらいて優秀な力士を部下にしたりしている。
 なので、信長が天下をとって長期政権をしたなら、剣より相撲がはやっていただろう。
 相撲は剣とちがって、試合がメインなので型稽古ははやらず、実戦ばっかりする歴史になっていたハズだ。
 そして、日本人の平均体重が増えただろうな。いや、それは無いか。

 中国などは型稽古もちゃんとやっていそうだが、よくわからん。
 西欧だと武術はスポーツ化して、試合中心になったようだ。

『型と実戦を分けて考えるのはスポーツ空手ではやむを得ないかもしれないが、武道では違う。型にこそ実戦の技が集積されており、型、即ち実戦と言っても過言ではない』(板垣恵介の激闘達人烈伝
 などと、日本武道では型を重視している。

 筋トレの限界を脳内麻薬を分泌させることで超えたり、崖から飛び降りて死に際の集中力を身につけたり。
 刃牙は変態の極みのようなトレーニングばっかりやっていた。
 その刃牙が型というクラシックな練習方法をはじめるなんて……
 刃牙は武蔵に負けたショックで、正常な人間になってしまったのか?

 とにかく、刃牙が型稽古する!
 連載1013回目で、衝撃の展開だ。
 ならば、どんな型を稽古するんだろう。
 空手か? 柔術か? 剣道か? 古式ムエタイか?
 いや、刃牙なら昆虫だ! ゴキブリだよッ!

「俺の「型」……」
「範馬刃牙の」
「範馬刃牙による」
「範馬刃牙の為の」
「「型」…………」


 全ッ然ッ、ちがうッ!
 刃牙の型は、オリジナルの、範馬刃牙流の型だ!
 ムチャなことをするな。

 だが、刃牙のような特注の変態を既存の型にハメることは難しい。
 刃牙を活かすには、刃牙の型が必要なのだ。
 そして、その型が刃牙道なのか?

「「型」とは………」
「身体を動かす順序ではない」
「「技」………」
「「技」が要求する身体の動き」
「理想とする身体の動きを探る」


 刃牙は自分の動きを根本から見直すつもりだろうか?
 ハイスペックな肉体というハードウェアを有効に動かすため、OSを更新するような感じで。
 技術系の高い壁を目にして、真の範馬刃牙流を完成させる気か!?

 なんで勇次郎戦の前にやらなかったんだろうと言う気もしますが……。
 勇次郎の場合は、勇次郎が相手の弱点を突くタイプじゃなかったせいだろう。
 悪魔に授かった筋肉で、ただブン殴る。
 戦術という点に限れば、勇次郎は甘い。

 武蔵はおそらく相手の弱点やスキを巧みに突くのだろう。
 強いと言うよりは、上手い。
 狡猾な戦いかたをする、兵法家だ。

 ズル賢いキツネを狩るには、ワナを仕掛けるなどの準備が必要だ。
 刃牙は武蔵を倒すための、より理にかなった新しい身体の動きを模索している。
 各流派の開祖といえども、新しいスタイルを完成させるのには長い年月が必要だ。
 刃牙の生みだす「型」、刃牙道が完成するのはいつなのだろう。

 そのころ、逃亡中の宮本武蔵は渋谷方面に移動中だった。
 警察官を数人たおしたため、被疑者として逮捕対象になっている。
 宮本武蔵は、この包囲網を突破できるのか?
 そして、刃牙の次に武蔵の存在に気がつく戦士は誰なのか?
 次回につづく。


 刃牙が急に普通の特訓を始めたようで不気味だ。
 でも、新しい「型」を作るのであれば、充分ムチャな行動なので刃牙らしいのかも。
 流派・刃牙、すなわち刃牙道がこれから完成するのだろうか?

 でも、刃牙道は脳内麻薬(エンドルフィン)出せ、とか死に際の集中力を身につけろとか、ムチャばっかり要求する。
 とても一般人にはオススメできない。
 常識的な格闘家ですら無理だろう。
 刃牙道は誰にも学べない刃牙オリジナルの格闘技になってしまうのか?
 いや、可能性があるとすれば、刃牙の息子だな……

 前回感想で、剣道が三本勝負から一本勝負になったという話を書きました。
 それについてコメントで情報をいただきまして、現在の剣道は三本勝負になっているそうです。
 情報ありがとうございます。

 改めて『日本剣道の歴史』を確認しますと、一本勝負になったのは昭和14年(1939)のこととある。
 剣道に限らず、柔道・レスリング・ボクシングなどでも、勝利にこだわるほど慎重になってしまうと言う問題が発生しやすい。
 なので、柔道・レスリング・ボクシングでは、レフリーによる注意で積極的な攻撃を促すようにしている。
 リスクの高い真剣勝負は内容が高度になると言うより、慎重になると言う証拠ですね。

 宮本武蔵が強いのは、真剣勝負を生き抜いてきたと言うより、才能があったからだろう。
 真剣勝負の量なら、範馬勇次郎やガイアのほうが武蔵より上のはずだ。
 勇次郎はともかく、ガイアは武蔵に勝てるのだろうか?
 銃の使用を許可したら勝てると思うが、素手だとムリっぽい。
 戦場の経験が強さに直結するってのは、違うと思う。

 なので、刃牙が戦場経験よりも型の見直しをしたことは安心材料だ。
 ただ、型の完成まで、どれぐらい時間がかかるのだろう。
 一流の武術家でも完成させるのは老年に入ってからだよな……
 本部ですら、完成したと思ったら金竜山に負けて、カン違いだったと思い知らされたし。
 型の完成は、まだまだ先だぞ!

追記 (14/10/29)
 刃牙はしばらく型の見直しでお休みしそうだ。
 と、なると戦士たちが武蔵を狙って動くだろう。

 刃牙は殺気というか、行動のトリガーを読まれて敗北した。
 こういう読みあいだと愚地独歩の菩薩拳が強そうだ。
 渋川剛気ですら、意を消されて読めなかったと言っているし。
 そして、渋川さんなら読み合いで武蔵と互角に戦えそうだ。

 あと、アライJr.だ
 ヤツのパンチは優しい打撃らしい。(バキ244話
 たぶん、殺気が無いパンチなのだろう。スポーツマンらしい。
 これなら、武蔵もよけられないかも。
 もっとも、アライJr.は今後名前が出るかどうかすらあやしいが。

 柳龍光、龍書文、楊海王は浦安鉄筋家族の浜岡先生が夜な夜な板垣先生にアピールして再登場しそう。
 少なくとも、アライJr.よりは再登場しそうな気がする。
 柳龍光は再起不能っぽいから、ちょっとムリか。

 龍書文はもう二三回登場しても悪くない。
 ハンドポケットからの抜拳術は勇次郎も愛用するオシャレ技だ。
 宮本武蔵でもおもわず見とれちゃうだろう。

 楊海王はオリバ相手に打たれ強さを見せつけようとして負けちゃった。
 より鍛えぬいて再チャレンジしてもらいたい。
 勇次郎相手とかで。
 いやもう、この人は出オチみたいな存在だ。
 そのへんが浜岡先生の好きなポイントなんだろうか。

 でも、中国武術の人より日本人が先に出てくるだろうな。
 というか、板垣先生は烈海王を出したがっている気がする。
 バキ脳内の強者リストにジャックがいないのに、烈がいたんだし。
 きっと、ボクシング編の決着はなかったコトにして日本に帰しちゃおうかなと考えているに違いない。

 イスラム国関連のテロとかあるし、監視社会化は進むことはあっても、緩くなることは無いのだろう。
 で、暴れている宮本武蔵もすぐに見つかるハズだ。
 武蔵との対決は明日にでもはじまる!

 強くなる手段の方向性を間違えているような気がする上に、刃牙の強者リストからもれていたジャック兄さんに明日は来るのだろうか……
 明日を捨てた上に、今日負けたんじゃ悲しすぎる。


2014年10月30日(48号)
第4部 第35話「集結」 (1014回)

 今日午後3時半ごろ、宮本武蔵と名乗る男が渋谷で暴れまわりました。
 ……さっそくニュースになっとるッ!
 それ、宮本武蔵の遺体から作ったクローンに、降霊術で本人の魂をいれたホンモノですよ。

 な…何を言っているのか わからねーと思うが、おれも 何をされたのか わからなかった…
 目の前で起きていることは、とりあえず信じるものだ。
 渋谷にいたのは、ほぼホンモノの宮本武蔵である。
 警察官5人がかりでも相手にならない。

 背後から襲いかかった警官はスレちがいざまの攻撃で倒れる。
 二人目は股間を握られてダウンした。
 ……テレビで放送しないであげて。せめて顔にモザイクをッ!
 三人目からは警棒で襲いかかるが、武蔵はまったく問題にせず、一呼吸で倒す。

 アナウンサーが、まるで時代劇の殺陣と評したように、鮮やかな立ち回りだった。
 さすが剣豪・宮本武蔵だ。
 動きがスポーツマンじゃなく、サムライっぽいんだろうな。
 きっとオーラの色もサムライ色だ。


 テレビで放送された宮本武蔵を見て、戦士たちに衝撃が走った!
 空手道神心会では愚地独歩と愚地克巳がッ!
 って、この二人はいつも道衣ですね。
 応接室みたいな所だから、練習の後でテレビを見たってことだろうか?

 愚地親子は、この自称・宮本武蔵がホンモノだと一発で見抜く。
 普通なら常識がジャマして、ホンモノだとは思わない。
 だが、武術家は現実主義者(リアリスト)だ。
 目の前の状況を、とりあえず受けいれて、生きのびる。

 ホンモノの宮本武蔵があらわれた。
 ならば、どう戦うのか?
 武術家としては、それだけを考えればいい。
 超戦闘集団の神心会に目をつけられたからには、武蔵が狙われる。


 ジャック・ハンマーはドーピング注射をしながら見ていた。
 刃牙の脳内から戦力外通告されていたジャック兄さんだが、まだ現役だッ!
 武蔵が強いのはすぐに分かったようだが、誰かワカらないらしい。
 ジャックは、日本の歴史に詳しくないようだ。

 とりあえずジャックは身長の延長手術が上手く行き、筋肉もほどよくのっているようだ。
 薬物はともかく、巨漢化は大きく方向性を間違えている気がしてならないんだけど。
 今からでも遅くないから、身長を縮めてみてはどうか?


 現代最後の達人・渋川剛気はショックを受けていた。
 型稽古をしながら、表情が険しくなっている。

(俺(おい)らが偽者だって言うのかい……?)
(あの動き…………)
(あれは… そう言われたも同然だぜ)


 20話感想追記でちょっと書きましたが、渋川剛気は師匠筋をたどると、おそらく幕府講武所という由緒正しいところに行き着く。
 つまり、江戸時代のホンモノな武士の武術を伝承している。
 ところが、宮本武蔵の動きの前では、偽者と思えてしまう。
 劣化コピーあつかいってところだろうか?

 師匠の技を学び、盗み、工夫を加えてきた。
 そんな自分の武を否定するような技の冴えだ。
 独歩たちは純粋に闘いたいのだろう。
 だが、渋川剛気は違う。
 己の人生・経験・全存在をかけて、宮本武蔵を否定せねばならないのだ。
 そりゃ、眉間のシワも深くなろう。


 今回、最後に登場するのは超実戦柔術の雄・本部以蔵である。
 お、おおぅ!
 出て欲しい人だったけど、本当に出るとは思っていなかったんで心の準備ができていなかった。

 とにかく本部です。
 解説のカリスマといわれ、なんでも知っているが、予想は当たらない人である。
 武器を使うとけっこう強い。
 愚地独歩を一分以内に殺せると豪語したときは、ひそかに武器を所持していた説が学会の主流である。

 本部はひとり暗い道場で正座している。
 弟子はいないのか、遠ざけているのか。
 ちなみに本部さんは、けっこう弟子をもっている。
 知識が豊富だけに、教えるのが上手いのかもしれない。

(刃牙も…… 独歩も…… 渋川先輩も…)
(否――― 勇次郎(オーガ)さえも――)
(俺が守護(まも)らねばならぬ)


 え〜〜〜! なに言ってんのォッ!?
 まもる?
 誰を、誰が?
 俺が守護(まも)って もらわねばならぬ、じゃなくて?

 本部以蔵、なぜか超強気モードだ。
 武器を装備して気が大きくなったのだろうか?
 それとも本当に本部はみんなを守れるほど強いのか?

 今までの刃牙世界における強さランキングを勘違いしていたのだろうか。
 私が間違っていた。いや、本部が間違っている。
 う〜ん、判断がつかない。

 本部は山籠りで修行していた。
 そこで食料が足りなくなり毒のあるテングタケでも食べちゃったんだろうか?
 で、山から帰ってくるとき蚊にさされてデング熱に感染しているかも。
 さらに、ひさしぶりの我が家で天狗ブラン(偽電気ブラン)で晩酌して酔っているのかも。
 つまり、本部は異常に自信過剰になって鼻高々ですよ。
 ピノキオの鼻でウソ言っているのかもしれないが。

 とにかく、本部がみんなを守ってくれるらしい。
 まッッッたく、信用できないけど。
 熱が48℃ぐらいあるかもしれない。
 はたして、この本部以蔵は正気なのか?

 とにかく、本人が守護(まも)ると言っているのだから、守護(まも)ってもらうしかない。
 日本経済の行く末や、少子化問題からも守ってもらいたい。
 現在の本部なら、笑顔で任せておけ! と言ってくれそう。


 戦士たちは、ついに宮本武蔵という標的を見出した。
 あとは狩りの時間だ。
 そして一番手は本部以蔵なのか?

 でも、武器を装備した本部は強いと言う実績がある。
 もっとも、日本刀を持っていても、やっぱり勇次郎にはかなわなかった。(バキ18巻 156話
 そんな過去があるのに、なぜ勇次郎を守護(まも)ると言うのか。
 山籠りで脳にダメージを受けたのかも。

 本部が武器に精通しているのはまちがいない。
 だから、宮本武蔵に対抗するには、本部の知識が必要なのかも。
 だが、さっきも言ったが本部は知識があっても予想が当たらない。
 知識があっても武蔵を止められなさそうだ。
 みんなを守ると言う宣言も、実現しなさそう。

 だが、今度の本部はやってくれるかもしれない。
 刃牙も、独歩(+克巳)も、渋川先輩も、勇次郎すらも守ってくれるかも!
 ……ジャックは守ってあげないのだろうか?

追記 (14/11/5)
 本部以蔵が緊急参戦だッ!
 だが、ひさしぶりの登場なので本部以蔵が何者か知らない人もいるだろう。
 と、言うわけで初心者にも優しい、本部以蔵特集だッ!
 珠玉の名言に酔いしれろッッ!


「子供同士の喧嘩……」「見らんでもわかる」グラップラー刃牙1巻 4話)

 これが記念すべき本部の初台詞だッ!
 刃牙の試合を見ての台詞である。いや、正確には見ていないのだろうけど。
 ちゃんと試合を見ていれば、もっと違った感想を言えたのかもしれない。
 初台詞でうっかりミスをしちゃうあたりが、本部以蔵のスゴさである。


「今の貴様なら1分以内に殺せる」グラップラー刃牙1巻 9話)

 愚地独歩に対しての一言である。
 あとの展開を考えると、なにをどう計算しても独歩のほうが強いと思うのだが……
 ずいぶん後で、この時の本部は暗器(隠し武器)を持っていたという説が浮上する。


「君が格闘技の申し子なら 花田は格闘技の大天才と言っていいだろう」
「君の父親 範馬勇次郎がそう呼ばれているようにね」
グラップラー刃牙4巻 30話)

 弟子の中で唯一の免許皆伝である花田純一を、範馬勇次郎と並び評す本部であった。
 ……うん、まあ、あとで布団の中で思い出すと赤面するたぐいの言動ですね。
 実は、範馬勇次郎の名前を漢字で はじめて出したのが、この台詞だったりする。(これ以前にストライダムがカタカナで喋っていますが)
 このあたりは、さすが闘争の百科事典・本部以蔵である。


「もし わたしに花田ほどの才能があったら……」
「あるいは範馬勇次郎ともう一度」
グラップラー刃牙4巻 31話)

 静かで枯れない闘志をみせる本部以蔵であった。
 ここまで持ちあげている天才の弟子・花田ですが、闇討ちされて、この直後に大怪我した姿で放りこまれてくる。
 花田の天才とは、なんだったのだろう。
 なお、本部はけっきょく範馬勇次郎に勝負を挑むことになる。
 ……才能無かったんじゃないのか?


「勝算なくしてケンカを売る武道家はおるまいよ……」グラップラー刃牙6巻 48話)

 範馬勇次郎が独歩と試合をすることになり、独歩に負ける前に借りを返そうと勇次郎へ勝負を挑むのだった。
 二重におかしい行動なのだが、こういうドジっぷりも本部の魅力だろう。
 たぶん、本部以蔵は計算ができない。


「なんでも知っとるわァ〜〜〜〜この人ォ…」グラップラー刃牙7巻 59話)

 これは本部の台詞じゃないんだけど、本部にかかわる台詞なので拾いました。
 勇次郎vs独歩戦で見事な解説をみせる本部に感心した観客が言う台詞である。
 戦士は試合場だけで戦うのではない。
 解説者として、観客席でも戦うのだッ!


「大相撲の現役横綱と齢50を迎える柔術家の他流試合……」
「傍から見りゃアホらしくなるほどの格の違いだ」
「けどよォ……」
「こーゆーのこそがオイシイんだよな」
グラップラー刃牙22巻 189話)

 いろいろと回想をはさんだりで出番が無かった本部だが、最大トーナメントにはエントリーされる実力者なのだ!
 本人はこんなこと言っていますが、読者のほとんどは本部が勝つとかたく信じていたに違いない。
 ……まさか、一回戦でまけるとは、ねぇ。


 とりあえず、初期における本部の活躍をふりかえった。
 台詞だけであっても、本部がいかに偉大な戦士・解説者であったかワカってもらえたと思う。
 その本部が出陣しそうだ。
 みんな、守護(まも)ってもらえッ!

 俺、本部が明日発売のチャンピオンで生き延びたら……
 本部名言集の第二弾をやろうと思うんだ。


2014年11月6日(49号)
第4部 第36話「逢いてぇ」 (1015回)

 徳川光成が現代に蘇らせた宮本武蔵が無断外出だ。
 そして、警察官を何人もブチ倒して指名手配となってしまう。
 やっぱり、まだ単独での外出は早かったかな。

 武蔵は尾行されていた。
 追うのは刑事課強行犯係班長・引木栄一郎と同係・末光高の二人である。
 人通りの少ない道で尾行しているもんだから、目立っているなー。
 尾行はバレないように行うのが基本だ。
 だから複数人によるチームで行う。

 引木たちはせっかく二人いるのに並んで尾行している。
 本来なら一人が先行して、もう一人が先行を尾行するような二段構えをしたいところだ。
 強行犯は「殺人・恐喝・強盗・誘拐」担当なので、尾行スキルが低いのかも。
 というか、武蔵があまりに堂々としているので油断しているのかもしれない。
 武蔵が強いことはワカっているので、単独行動の危険を重視しているのかも。

 どうやら武蔵は尾行に気がついていたようだ。
 立ち止まって引木たちを見た後、跳躍して隣家に侵入する。
 その家こそ、徳川邸だ。

 武蔵が帰ってきた!
 迷子にならずに!
 ホント、よく帰ってきましたね。
 てっきり迷子になって半泣きになっているかと思ったよ。
 「もそっと、もそっと早く!(むかえに着てよ) 」みたいな感じで。

 徳川さんは○○警察署署長・巳代哲を追い返す。
 警視総監・内海旬三にも手を出すなと伝言する。
 自分が騒動の黒幕だと告白しているようなものだ。
 きっと黒い金を警察に流し込んでダマらせているのだろう。

 本日の来客は巳代署長だけじゃ無かった。
 武神・愚地独歩がすでにいる!
 さすが独歩だ。行動が早い。
 って、克巳を切り離して行動したのか。
 早い上に、ワガママだ。

「アンタは東京ドーム地下闘技場の所有者だぜ」
「国内外問わず強者(ツワモノ)の情報は全てアンタに集まる」


 武蔵騒動の黒幕が徳川さんだと見抜いていたワケじゃなかった。
 徳川さんなら情報をもっているだろうと当たりをつけて来たようだ。
 だが、いきなり正解を引き当てるあたり、古強者(ふるつわもの)の直感はあなどれないってコトか。

 いや、独歩は徳川さんを疑っているのかもしれない。
 死刑囚との戦いでは、わりとヒドイ目にあわされたし。
 徳川さんを信用しすぎると、危険だ。

「空手でもない 柔(やわら)でもない 現存するどの体術とも違う」

「剣だよ」
「しかもその水準(レベル)が有り得ねぇ」
「居合など」
「一般的な剣術と比べても2桁以上は上だぜ」


 失われた剣術の動きかッ!
 確かに宮本武蔵の二天一流は剣術の主流にならなかった。
 こういうものは使用者の数が技術の高さに比例する。
 使う人数が少ないと、技術も途絶えてしまうのだ。

 現代に伝わらなかった、幻の剣術を使用する宮本武蔵である。
 2桁以上ってこたァ、剣道換算三百段ってところか。
 ……いやいや、独歩さん、それはハッタリ効かせすぎだろ。
 「小学生でありながらIQ300の天才」みたいな表現になっているぞ。
 IQ(知能指数)は同年代の知能テストにおける偏差値なので、200を超えるような値は現実的じゃないのだ。

 もっとも、独歩が伝えたいのは迫力だろうな。
 現代の剣術家より100倍スゲェ!
 かつて自分も戦ったことのある佐部京一郎(9段)よりもだッ!
 って感じで。

 失われた剣術というと、武蔵と戦ったとされる吉岡流を含む京八流の剣術は飛んだり跳ねたりする技だったとか。
 吉岡重賢は、飛んだり跳ねたりで大暴れしたが(疲れたのか)つまづいて倒れたことが原因で京都所司代・板倉勝重家臣の太田忠兵衛に斬られる。
 そして、吉岡流が絶えてしまい、その技術も幻となった。
 源義経が学んだと言う鞍馬流も京八流なので、やっぱり跳躍が特色なのだろう。

 なんか、すごく興味をひかれる剣術であり、現代に伝わってほしかった。
 ちなみに武蔵は五輪書で特殊な足捌きをする流派にダメ出ししている。
 たぶん、京八流のことだろう。
 ダメですかね、跳躍技……

 とにかく、宮本武蔵に逢いたいッ!
 独歩は、いまにも西野カナの曲を歌いそうなぐらいに思いつめている。

 と、そこに武蔵が登場だ。
 なんというベストタイミングだよ。
 だが、独歩は動揺していない。
 さすがだ。
 もう脈を整えて戦うという状態に入っているっぽい。

 一人旅をしてきた武蔵は飯を所望だ。
 江戸時代の人からしたら現代の食事は美味すぎて肥満にまっしぐらだろうな。
 だが、武蔵の前には飯より うまそうな武人がいる。

「ふむ………」
「この人なら飯の前でも構わんよ」


 武蔵が受けてたつ気だ!
 って、それってどういう意味か?
(1) 飯より、この人と闘いたい
(2) 朝飯前ならぬ、晩飯前で、サラっと片付けます

 どっちだッ!?

 とにかく、願いがかなって独歩が宮本武蔵と勝負する流れになった。
 普通に考えたら独歩に勝ち目は無いのだが……
 だが、独歩には殺気を放たぬ菩薩拳があるッ!
 夜中の蚊すら撃ち抜ける菩薩拳は、武蔵に通用するのかッ!?
 次回につづく。


 さっそく宮本武蔵に挑戦者があらわれた。
 実戦空手の雄・愚地独歩だ。
 前回ラストで息巻いていた本部はどうした。
 いきなり出遅れたのか?

 武士は帯刀するのが当たり前なので、あまり当て身(打撃技)を鍛えていない。
 空手のように素手の肉体を武器化する技術は、あまり馴染みが無いハズだ。
 ただ、武蔵は刃牙の打撃に対応できていた。
 独歩の空手にも対応しちゃうんだろうな……

 いっぽう独歩も武蔵の技を知らない。
 なにしろ「現存するどの体術とも違う」と言っているくらいだ。
 未知の技ってのは、対策がワカらないから強い。
 初期のグレイシー柔術が無敵だったのは、未知の技術体系だったためだ。
 だからこそ、昔の武術は技を隠していた。

 武蔵の使う武術は、現代人にとって未知の技術だ。
 そして、武蔵は駆け引き上手でもある。
 独歩が菩薩拳を使う前に仕留めるかもしれない。
 やはり、この勝負は独歩が不利か?

 しかし、本部はナニをしているんだろう。
 俺が守護(まも)らねばならぬって決意は、そんな軽いものだったのか?
 はやく守護(まも)りに来て!

 それとも、すでに武蔵に倒された後だったりして。
「この人なら飯喰いながらでも構わんよ」
 などと言われていなければ良いのだが……
 守護(まも)るとか、守護(まも)れないとか以前に、出番が無かったですね。

追記 (14/11/12)
 本部以蔵が出てこないッ!
 守護(まも)ってくれるんじゃなかったのかッ!?
 うん、まあ、本部らしい有言不実行かな。

 本部が出てこないが、愚地独歩が出てきた。
 刃牙世界における大ベテランの実力者だ。
 だが、武道家にとって宮本武蔵は天敵かもしれない。
 同じ属性で上位レベルの相手ってのは、もっとも苦戦するパターンだ。
 あとは、独歩の菩薩拳がどれだけ通用するのかだけど。

 宮本武蔵の出現は刃牙世界の戦士たちに影響を与えるだろう。
 武術系の人たちのほうが、受ける衝撃が大きいようだ。
 同じ属性だから、スゴさが理解できるのだろう。

 無策で武蔵と戦っても勝てないだろう。
 だから、本部が守護(まも)るため、止めにはいるのか?
 本部の考えはよくワカらんよ。

 そして、ジャックもよくワカらん。
 ジャックの戦闘スタイルは我流で武術とはチョット遠い。
 純粋に武蔵の強さにひかれているのだろうか。
 ここで、ジャックが武蔵に弟子入りする展開とかあったりして。
 そうなると、なおさら巨体化したのが惜しまれる。

 武蔵が有望な弟子を取りまくって、武蔵グループを作ったらどうなるだろう。
 対抗して刃牙が弟子を取りまくって、刃牙グループを作ったりして。
 それが、武蔵の二天一流vs刃牙道という流れになるとか?

 いまだに刃牙道というタイトルが意味不明ってコトは、物語はまだ序章なんだろうな。
 最近の刃牙は、やる気を出しているが、やる気と物語の展開速度は比例しないのであった。


2014年11月13日(50号)
第4部 第37話「空手」 (1016回)

 最強の剣豪・宮本武蔵が現代によみがえったッ!
 せっかくだから闘いたいッ!
 実戦空手の雄・愚地独歩が勝負を挑むぞ。

 だが、武蔵は独歩を「食事(めし)の以前(まえ)に立ち合っても構わん」と評す。
 朝飯前の相手ってことらしい。
 いや、食事よりも優先したい相手ってコトかもしれないぞ。
 発言の真意を問いただしたいのだが、武蔵は無言だ。

 それだけでなく、なぜか武蔵は上を向いて視線を合わせない。
 で、畳にすわる。
 勝負だったんじゃ無いのか?
 ナゼすわる。
 おぬしは昔の刃牙か。

「抑えられた」
「この部屋に入ってからここに座すまで」
「三度仕掛けてみた」


 いつのまに仕掛けていたッ!
 そして、きっちり抑えていたのか。
 さすが武神・愚地独歩だ。

 佐部京一郎は七度も斬られた。(3巻 21話
 刃牙ですら、足を斬られている。(3巻 24話
 武蔵のイメージ斬撃をすべて止めたのは独歩がはじめてだ。

 刃牙は独歩より、かなり強かった、ハズ。
 なのに、独歩のほうが武蔵の攻撃を防御できる。
 剣に対する経験値の差だろうか?

 あと、油断の差だ。
 刃牙は基本的に打たれるのが好きなので、ついつい油断して打たれてしまう。
 逆に独歩は相手の姿が見えてから常に警戒していたと考えられる。
 武蔵がいつ仕掛けたのかワカらんが、不自然に二人が黙っていた時だろう。
 達人の闘いは難しすぎるッ!

 武蔵も、独歩の実力を理解した。
 ならば食事の後で立ち合おうかと徳川さんは提案する。
 否!
 武蔵は食事よりも立ち合いを優先した。

 コレは朝飯前じゃなく、食事よりも優先したいって事だったのか?
 強いことよりも、相手の強さを見抜く能力のほうが生き延びるのに重要なこともある。
 武蔵が独歩の実力を見誤ったとは思えない。
 最初から武蔵は、食事よりも優先すべき相手だと認識していたのだ。

 徳川さんは、自宅内にある道場へ皆を移動させる。
 アシスタントは警備隊長・加納秀明だ。
 ドリアン襲撃のとき倒されたいたのだが、後遺症もなく無事だったらしい。
 でも、加納のことはあまり重要でないな。

 徳川さんは現代の武神・愚地独歩を改めて紹介する。
 もちろん独歩といえば、試し割の妙技披露だッ!
 コンクリートブロックを、手が触れた状態から割るッ!
 寸勁と同じ打撃だッッッ!

 ビール瓶を手刀で斬る! 斬る!
 さらに手刀を裏拳に変えて、ビール壜(ビン)の胴をそぎ飛ばす!
 そして、飛び足刀で垂木を折る、というより斬る!
 奇跡のような芸術的破壊劇だ。

 ビンのドテッ腹そぎ飛ばす技は、かつて克巳がやっていた技だ。
 その時点で、独歩にはできない技だったハズ。
 だが、いまはできている。
 つまり、独歩は更なる研鑚を積み人間凶器に磨きをかけた!

 還暦手前だというのに、なんという努力だ。
 なんという進歩だろう。
 もう若くないんだから、新しいコトを始めるだけで大変なハズだ。
 なのに進化している。
 もしかしたら、今の独歩はダラけている刃牙より強いかもしれない。

 試し割させた徳川さんの予想すら超えた技だった。
 やっぱり、この人は武神だ。
 この技なら宮本武蔵でもビビるに違いない。

「武と云うよりは舞」
「舞踊だな」
「しかし何故 石や木を………?」

 ダメだしされたッ!
 そう、宮本武蔵は五輪書で徹底的に他流派にダメだしした人だったのだ。
 甲冑をつけて戦った時代からしたら、軽やかに動きすぎと見えるかもしれない。
 実際に人間を斬り殺していた人から見たら、無意味に石や木を壊しているように見えるのかも。
 時代と価値観が違うから、仕方がないんだろうけど。

 武蔵の発言に独歩が怒った。
 フルコンタクト空手は、型中心で組み手をしない伝統派空手をダンス空手と揶揄した歴史がある。
 まさか、自分が舞踊(ダンス)と言われるとは思っていなかっただろうな。

 試し割りの有効性に関しては昔から色々言われていた。
 動かない物を壊してどうする、とか。
 だから、試し割りの理由付けはちゃんともっているのだろう。
 でも、そこにツッコミ受けたら、ちょっとイラっとはくるだろうな。

 達人同士リスペクトしあえる展開と思ったら、いきなり険悪ムードだ。
 これは、血を見る戦いになりそうな予感がする。
 剣豪 vs 武神の時空を超えた戦いが始まろうとしていた。
 次回につづく。


 独歩がいまでも成長しているってのは嬉しい情報だ。
 だが、真剣勝負をくぐりぬけてきた武蔵からすると、反撃しない石や木を壊すのは試しにすぎないってコトっぽい。

 もっとも、武蔵だって毎回人間を斬り殺すワケに行かないから、木などを斬って試し切りをしていただろう。
 今の武蔵は独歩を挑発しているのか?
 わざと怒らせて、心の動揺を誘う気かもしれない。
 独歩の菩薩拳は心が乱れていたら撃てなくなるかもしれないし。

 武蔵は、イメージ斬りを座る前に仕掛けていた。
 勝負はすでに始まっているのだ。
 肉体をぶつけ合うだけが闘争ではない。
 言葉で相手の心を揺らすのも闘争なのだ。

 武蔵は先手をとって言葉の攻撃を仕掛けている。
 老獪な独歩なら、これぐらいかわせそうなんだけど……
 怒っているのも計算の内なのか?

 いずれにしても、守護(まも)ってくれる本部以蔵の到着が待たれる。
 でも、へんなタイミングで本部が登場したら足手まといになりそうな気もするけど。

追記 (14/11/19)
 宮本武蔵が試し割りを全否定だ!
 否定というか、戦国〜江戸前期には素手で試し割りをする人なんてほとんどいなかったから、当然の疑問なんだろうけど。
 このへんの情報を徳川さんは教えていなかったんだろうか。
 ……ワザとか?

 そういえば武蔵が試し割りの疑問を口にしたのもワザとかも。
 相手を挑発して怒らせる。
 これは武蔵の戦術じゃなかろうか。
 朝飯前などと相手を軽んじる発言も挑発だったのかも。

 宮本武蔵は信頼できる資料が少ないので、どんな人物なのかワカりにくい。
 吉川英治の小説では求道者としての面が強調されていた。
 それを原作とするバガボンドも おなじような人物だ。

 板垣版の宮本武蔵は喰えない策略家か?
 刃牙のジャブに不覚を取ったのは事実だし、実戦なら敗北していた可能性大だ。
 でも、うまく誤魔化して刃牙を気絶させたのが武蔵の策だろう。
 けっきょくのところ闘争の決着は、本人が勝った・負けたと思ったかどうかだ。
 刃牙に敗北と思わせたのだから武蔵の勝ちですね。

 独歩は刃牙より弱いかもしれないが、駆け引きじゃ上だろう。
 武蔵の策略に引っかかるのか?
 でも、真剣勝負の世界を生き抜いた武蔵の駆け引きは独歩よりずっと上だろうな。
 やっぱり本部に守護(まも)ってもらわないとダメか?


2014年11月20日(51号)
第4部 第38話「舞踊(おど)る」 (1017回)

 現代によみがえった伝説の剣豪・宮本武蔵と、現代の武士(もののふ)・愚地独歩が激突するッ!
 激突するのだが、激突する前から もめている。
 独歩が自己紹介がわりに見せた試し割りを、武蔵が舞踊だとみなしたのだ。

 そういえば宮本武蔵五輪書で他流派にダメ出ししまくる人だった。
 武蔵が天才だったことは間違いないのだろうが、他人を認める度量の広さが身につかなかったらしい。
 ただ、こういう性格は武士に共通しているものかも。
 『葉隠』ではお国自慢のあまり、忠臣蔵の赤穂浪士たちにダメ出ししている。
 鬼平こと長谷川平蔵は周囲のねたみにより出世できなかった。(旗本たちの昇進競争
 武士の世界は、昼ドラなみにドロドロしていたのかも。

 自分の空手を舞踊(おどり)あつかいされて、独歩が怒った!
 ハンドポケットのまま、すごんで迫る。
 独歩は顔面キズだらけだ。
 普通じゃない迫力がある。
 こんな人に顔近づけられてすごまれたら、肉体が軽量化のため膀胱から液体を強制排出しそう。

 徳川さんは独歩の実戦(ケンカ)を見ることができると、トキメいてる。
 この人は、本当に しみじみと酷い人だ。やっぱり人を闘わせることが大好きらしい。
 独歩のケンカを映像で見たけど、やっぱライブで見たい!
 そんな欲望をたぎらせているようだ。

 空手家が拳を封印するハンドポケット状態で接近する。
 この状態から攻撃はできない、と思わせて頭突きだ!
 完璧な奇襲が決まったッ!
 いや、決まらない。
 武蔵は独歩の頭を抑えてナデナデしている。

 これは独歩の頭突きをよけて、もとの構えにもどる所を押さえたようだ。
 つまり後の先をとったことになる。
 後の先は相手の動きを読んで逆襲する高度な技術だ。
 やはり、この宮本武蔵は達人かッ!

「赦(ゆる)されい愚地さん」
「少しからかってみた」


 なぜか視線を上に向けて武蔵が言う。
 えっ、どこ見てんの?
 佐々木小次郎の霊でも見えているのか?
 というか、視線から自分の意思が読まれないように目を合わせていないのかも。

 武蔵はよく上を見る。
 これは一つのことに集中せず(視線を合わせず)、全体を見ることを心がけているのかも。
 独歩の奇襲も、足運びや間合いの取りかたなど、全体を見て読めていたのかもしれない。

 そして、武蔵は相手を怒らせている。
 宮本武蔵は、試合にわざと遅刻して相手を怒らせたとか言われています。
 この場合はわざと悪口いって相手を怒らせたのか。
 武蔵は戦う前から相手を挑発して自分のペースに持ち込もうとしている。
 喰えない策略家だ。
 などと気がついたのが昨日のことでした。

 独歩の試し割りは、ちゃんとした武である。
 武蔵には見えていた。
 独歩が動かぬ岩木を砕くのではなく、複数の相手を想定し動き5名を倒していたコトをッ!

 気がつかなかった。見えなかったッ!
 前回の独歩が、試し割りをした後にハデな残心のポーズを取っていたのには気がついていた。
 だが、それは一種のパフォーマンスと思い、そこから先を考えていなかったのだ。

 独歩は複数の敵との戦いを想定した動きをしていた。
 それは、まさに演武や型だ。
 独歩はそこに試し割りを組み入れている。
 刃牙のリアルシャドーに匹敵する、試し割り演武だ。

 置いてあるものを漫然と壊していては辿りつけない境地だ。
 私も前回の独歩を見て、よくわからんで思考停止しないで進めばよかった。
 せめて、わからないなら、わからないと書く勇気を出すべきだったか。
 今日は独歩に重要な事を教えてもらった。

 そして、改めて武蔵が勝負を挑む。
 相手を怒らせて機先を制し、精神的優位に立った上で、勝負に入る。
 これは武蔵の必勝パターンっぽい。
 戦う前に勝利しているというのが兵法の理想だ。この戦いは、まさにその状態といえる。

 武蔵は両手にイメージの刀を装備した。
 独歩にもはっきりと見えるほどのイメージだ。
 素手vs.日本刀!
 シロウトが見ても、日本刀が圧倒的優位だ。

 独歩は突きつけられた右刀で間合がとれない。(ただし刀はイメージです)
 間合いの広さと、殺傷力が、全然違う。
 これでは勝負にならない。
 どうする独歩よ。
 刀を弾き飛ばせたら、勝機がありそうだが……

 と、武蔵が気合とともに踏みこむ。
 まるでジャブのような突きだ。
 独歩が右手で払った。
 刀を、素手で!

 イケるか!?

 だが、武蔵の左刀が一閃する。
 右肩から左脇腹に抜ける逆袈裟に斬られた。(※ イメージです)
 シグルイだったら、断面図さらして真っ二つになっていたところだ。
 さすがの独歩も動きが止まってしまう。

「ははは…」
「なぁ愚地さん」
「やはり舞踊(おど)っていたぞ」
「斬るまでもない」


 武蔵の拳が独歩の顔面を撃ちぬいた。
 イメージではなく、リアルに出血し独歩が倒れる。
 あの愚地独歩をもてあそぶ。
 これが宮本武蔵の実力か!?

 斬るまでもないと言っていたけど、その前にイメージで斬っていたじゃないか!
 うまく言葉にウソを混ぜて、相手をまどわし、勝利を演出する。
 この宮本武蔵は、まさに曲者だ。
 やっぱり本部以蔵に守護(まも)ってもらうしか無いのか?
 次回につづく。


 ピクルは圧倒的な肉体の強さで戦っていた。
 それに比べると武蔵は駆け引きと、技と、肉体で勝っている。
 まさに心技体ですね。

 ピクルと武蔵が戦ったら、赤子の手をヒネるように武蔵が勝ちそうだ。
 なにしろ、ピクルはダマしやすそうだし。
 いや、ピクルとは言葉が通じないから、逆にダマせないかもしれないな。

 武蔵の右突き→左斬り→右拳 というコンビネーションは昔から使っていたものなのだろうか?
 長い間合いから、短い間合いにつながる技で、かなり使いこまれている感じがする。
 あの技こそ武蔵スペシャルだったのかもしれない。
 もちろん、途中で相手を挑発するのも技のうちだ。

 独歩はかなり駆け引きが得意な戦士だったが、武蔵にあっさりやられてしまった。
 徳川さんは格が違うと感じている。
 本当に格が違うのかは疑問だけど、そう思わせる技術をもっているってことだろうな。

 武蔵の恐ろしさは、強いと信じさせるところにある。
 刃牙ですら敗北をあっさりと受けいれてしまった。
 イメージ斬撃といい、武蔵は相手の精神を攻撃する技術を死ぬ直前に完成させていたのかもしれない。
 だとしたら、やっぱり空気の読めない戦士のほうが有利かも。
 加藤とかは高度なイメージを読めずに平気な顔しそうだし。

 あと武蔵に対抗できるのは、本部ですかね。
 刃牙史上かつて無いほどに、本部を求める気運が高まっている気がする。
 こりゃ、チャンピオンの表紙を本部が飾る日も近いな。

追記 (14/11/26)
 独歩が武蔵に敗北した!
 でもまあ、これは予想の範囲内か。
 ただ、武蔵が特別なことをしないで、普通に斬撃を決めたのが、ちょっとかなわない感じでマズいかな。

 なじみの強者を倒すってのは新参者がアピールする常套手段だ。
 武蔵の暴れっぷりにアライJr.を思い出して不吉な予感を受けている人も多いようですが……
 どーなるのか、さっぱりワカらん。

 板垣先生は小池一夫のキャラクター理論を忠実に守っている。
 つまり、キャラクターを立てることにとことんこだわり、あとは自由にやらせるのだ。
 これにより作者にすら予想のつかない超展開が生まれる!

 だが、キャラクターが上手く立たないと、悲惨なことになってしまう。
 その失敗例がアライJr.であり、花田純一らしい。
 アライJr.は何度もチャンスを与えたけど、育たなかった。
 チャンスが与えられたぶん、中途半端に期待値が上がっちゃってガッカリ感がハンパなかったよ。

 さて、宮本武蔵はちゃんと立てるのだろうか?
 おそらく日本で一番有名な剣豪だしキャラクター性と言う点ではバツグンなはずだ。
 既存キャラを噛んでアピールしてないで、誰か弟子をとって見違えるように強く成長させたりしてもらえないだろうか。
 ちょうど、本部以蔵と言う逸材が近づいていますよ?

 タイトルが『刃牙道』と、道がついている以上、刃牙が己の流派を打ち立てるのだろうが……
 まだまだ、道は見えない。


2014年11月27日(52号)
第4部 第39話「真剣」 (1018回)

 フルコンタクト空手の父である武神・愚地独歩が一撃でダウンしたッ!
 相手が現代によみがえった宮本武蔵だから、仕方がないのかもしれない。
 だが、この武蔵はバケモノのように強いワケじゃなく、駆け引きが上手いのだ。
 数多の死闘を繰り広げてきた百戦錬磨の独歩なら、武蔵のペースにのせられないと期待していたんだけど……

 だが、倒れた独歩はそのまま手をつき、片手倒立で持ちこたえた。
 そこから半回転して着地、天地上下の構えで闘志をみせる。
 独歩は、まだヤる気らしい。

 しかし、武蔵はもう終わった気でいたようだ。
 イメージ斬撃で真っ二つにした時点で勝利確定のつもりらしい。
 戦国〜江戸時代の武士は容赦なく斬って殺している。
 自分の命も、他人の命も軽い時代だったのだ。
 それでも、やっぱり死にたくないだろう。
 だからイメージ斬撃は傷つかず・死なずに勝負がつくので評判がよかったのかも。

 しかし、愚地独歩はフルコンタクト空手を広めた男である。
 当てたと仮定して勝敗を判定する寸止め空手を否定し、リアルなダメージの実践主義を主張した。
 そんな独歩にとって、斬ったつもりの斬撃は、しょせんイメージなのだろう。
 刃牙のリアルシャドーにも、否定的だったんだろうな。

 武蔵の攻撃は、斬る真似にすぎない。
 独歩が断じた。
 寸止めの一本はノーカンだッ!

 いやいや、独歩さん、アナタ殴られた
 ダウンしたのは殴られたからだ。
 鼻血も出ている。
 斬られたのはイメージでも、打撃が本物だったぞ。

 武蔵は、ちゃんと殴ったと主張するのではなく、真剣を所望する。
 いきなりそっち行くのかよ!
 さっきのように、イメージ斬りを牽制にして打撃で闘えば独歩を倒すこともできるだろう。
 しかし、いきなり真剣を使う気だ。

 武蔵は、わりと大袈裟な人だな。
 いや、死の危険がともなう戦国時代の人だから、少しのリスクでも避けたくて過大な攻撃に走ってしまうのかもしれない。
 とにかく、宮本武蔵が真剣を装備しようとしている。

 武蔵は剣豪だから素手の戦いで遅れを取ることもあるだろう。
 その場合、自分は剣士なんだから剣が無いとダメだと言い出す可能性を考えていた。
「だって、ほら、拙者は剣豪だから。素手だと実力発揮できないんだから!」
 などという感じで、勇次郎に負けたらクドクド言い出しそうな予感がしていた。

 だが、早くも真剣装備だ。
 しかも、さっき自分が倒した相手に対してだよ。
 弱い相手にも徹底して容赦しないのが、宮本武蔵か!
 まさに乱世の武士道だな。

「痩せても枯れても徳川は徳川」
「国宝「國虎」伝家の宝刀……お目にかけよう」


 国宝かよ!?
 すごいモノを出してきたな。
 国宝指定の刀剣は100点ぐらいだが、その中の貴重な一振りか。

 国宝「國虎」、刀のかけかたからすると、打刀のようだ。
 長さは定寸の二尺三寸(約70cm)ていどか。
 反りは大きく、炎のような刃紋が浮きあがっている。

 なお、国宝と言うのは「良く斬れる強い」刀ではなく、「美術品として美しい」刀として評価してのことだ。
 見た目は文句なしに芸術品である。
 だが、武蔵は頑丈さも認めた。
 これなら折れないってことらしい。
 金のかかる剣豪様だ。

 国宝はもったいないから、現代刀を用意すれば良かったのに。
 金属技術が上がった現代の刀は、美術生は低いが頑丈で斬れると評判なんだけど。
 どちらにしても、宮本武蔵が武器を装備した。
 これはまさに鬼に金棒、虎に翼、アムロにガンダムの状態だ。

 対する独歩はあいかわらず素手のままである。
 だが、空手とは肉体を武器化する武術だッ!
 その手足は刀にも槍にもなる!

 ど、独歩は主張していますが……
 それはあくまで比喩であって、リアルな刀にゃ勝てないですよ。
 武蔵は嘲笑する。

「神でもない者を"武神"と称し」
「本人もまたそれを受け入れる」
「紙きれ一つ切れぬ生身に」
「刀だの槍だのと!!!」
「もはや舞踊(おど)りにも値せぬっっ」


 あからさまな挑発だ!
 また、このパターンだよ。
 ワザと相手を怒らせて、攻撃を誘い迎撃する。
 武蔵、必勝の構えですよ。

 独歩よ、挑発にのっちゃイカン!
 と思うのだが、独歩はあっさりノッて飛び蹴りを繰りだす。
 武蔵は刀を鞘走らせて、迎撃体勢だ。
 今度の独歩はリアルに斬られるのか!?
 次回につづく。


 独歩が立ち上がったのは良かったのだが、そのあとが良くない。
 なんの対策もなく、また挑むのかよ。
 よく最近の若者は悲観的だと言われますが、個人的にジジイ入りかけのオッサンが楽天的すぎる気がする。
 対策や努力をしなくとも、昨日までできなかったことが今日できると思う根拠無い自信を、ヤツらはもっているのだ。
 とうぜん、今日も明日もできないのだが。
 私が対策を考えつけば、明後日ぐらいにはできるかもしれないけど。

 ただ、独歩のブチギレは演技も入っていそうだ。
 キレたフリをして不意を突く。
 冷静さを欠いたフリをする。
 ブチギレは奇襲のためのエサだ。

 ただ、独歩の奇襲は最初から成功していない。
 武蔵はよそ見をしているようで、スキがないのだ。
 独歩は奇襲しているのではなく、奇襲させられているように見える。

 今度も失敗したとなると、独歩は日に三度敗れるコトになるだろう。
 ちょっと、負けすぎじゃないか?
 先週の「ウチコミ!!」でも言ってたけど、負けた後でまた闘うのはメンタル的に不利だ。
 独歩は最初の奇襲が失敗したところで、勝負を切りあげておいたほうが良かったのかも。
 不屈の闘志がアダになっとる。

 独歩は人体破壊のエキスパートだ。
 同時に、破壊されるほうでも屈指のエキスパートだったりする。
 顔に屈辱の傷を刻まれ、目を抉られ、心肺停止に追いこまれた。
 ヒザを折らたこともある。
 右手を切断されて、顔面を爆破された。

 今度は刀で斬られるのか?
 なるべくなら治る部分を斬られてもらいたいのだが……
 やっぱ、武器のエキスパートである本部に守護(まも)ってもらいたいッ!

 武蔵は、武神という異名にケチをつけている。
 そういう武蔵だって、同時代の人に武蔵の剣術は神! などと誉められたんじゃなかろうか。
 中国詩だと、「李白の詩は、杜甫の詩は聖」みたいな言いかたがある。(参考
 "○○は神!"みたいな言いかたは、1000年前に通過されているのだ。

 だから、神は軽めの誉め言葉として武蔵の時代にもあったと思う。
 なお、ランク的には 聖 > 神 です。
 詩聖とか、書聖という言いかたは、そのジャンルのナンバー1みたいな、誉めかただ。
 前に武蔵のコトを剣聖って書いちゃったけど、ありゃ誉めすぎた。

 杜甫の評価が高いのは国を憂う政治的スタンスの影響が大きいらしい。
 だが、詩のジャンルを広げた点や、詩に特化しすぎて普通の文章が下手と言う歪な才能などが、まさにナンバー1の天才と思える。(李白と杜甫

 そんなワケで、解説神・本部もそろそろ説聖・本部にバージョンアップしてもいいころかもしれない。
 いや、本部の本職は闘争なんだろうけど。
 でも、ちょっと解説に特化しちゃっているよね。

追記 (14/12/3)
 独歩が斬られそう!
 武神と呼ばれていても、独歩は苦戦もするし大ケガもする。
 だから、板垣先生は かつて極真空手の人に、愚地独歩と大山倍達は別人であると明記しろと言われたことがあるらしい。(参考
 またまた、独歩の苦戦と負傷の歴史が更新されそうだ。

 飛び蹴り、と見せかけて後ろに飛んで、あらかじめ開けておいた窓から逃亡しても良いんだけど。
 それは、餓狼伝のほうか。
 独歩は後退のネジを外しちゃっているらしいから、逃げたりしないかもな。

 今回の戦いで、武蔵の強さを再確認した。
 独歩の決意を改めて知った。
 そして、徳川さんのヒドさを骨の髄まで思い知ったよ。
 真剣を渡しといて、戦うなって、アンタ。
 生肉と生肉用のタレを出しといて、焼いて食べてねと言うのと同じようなヒドさだ。

 武蔵は独歩じゃなく、徳川さんを斬ってくれないものか。
 徳川さんが居なくなれば、日本はかなり平和になる。
 もっとも、退屈になってしまうかもしれないが。

 武蔵が真剣を持ってしまったら、相手になるのは武器使い……本部とガイアぐらいか。あと、テグスの加藤ね。
 烈が日本に居れば問題解決かもしれないが、今は本部とガイアしか居ない。あと、加藤か。
 本部が武蔵と戦うと、勝っても負けても、困ったことしか起きない気がする。
 板垣先生も、昔みたいに「本部(もとべ)が強くて何が悪い。(板垣)」とコメントするハメになりそう。
 なぜか餓狼伝の作者コメントで。
 あ、今は餓狼伝が休載中だから、コメントできないか。


2014年12月4日(1号)
第4部 第40話「ぶった斬り」 (1019回)

 空手 vs. 真剣ッ!
 『真・餓狼伝』では、「剣術の」「熟練者に勝つことなぞ無理」と言っていた。(4巻 31話
 こりゃ、無理かな。
 相手は熟練者どころか、伝説の剣豪・宮本武蔵なのだ。

 対する愚地独歩は、空手の達人で世界でも屈指の実力者である。
 だが、相手が悪い。
 独歩にナニか策はあるのか?

 跳躍してからの蹴り。
 独歩は奇襲でいきなり攻撃を仕掛ける。
 真剣を装備した武蔵相手に、それはちょっと無謀なんじゃないのか?
 それとも、真剣相手だとなにをしても危険だから、あえて賭けに出たのかも。

 だが、独歩の飛び蹴りをよけつつ、武蔵が抜刀した。
 あっという間に、独歩の目前に白刃が迫る。
 早いッ!
 なんという抜刀速度だ!
 宮本武蔵は居合いもできたのか?

 刃が独歩の顔面に食いこむ。
 顔の中でもっとも高い部分、鼻から両断されちゃう!?
 そして、刃を独歩に押しあてたまま地面に叩きつけた。

 刃が独歩に喰いこんでいる。
 が、浅いッッ!
 鼻は真っ二つかもしれないが、脳は平気そうだ。
 いや、鼻が斬れちゃったら、そうとう大変だろうけど。

「斬ってはおらん」

「押しただけでは切れやせぬ」


 日本刀は押しつけただけでは斬れない。
 引きながら斬りつけないとダメなのだ。
 日本刀の刃の上を歩くという大道芸や手品は、この原理を利用している。
 武蔵がやったのは逆トリックというか、斬れない原理を逆利用したってコトですね。

 でも、鉄の棒で殴られたようなものだからダメージはでかい。
 というか、最低でも鼻は斬れてるよね。
 え、斬れてないの?
 独歩の鼻は柔らかいな!

 打撃を何度も受けて、鼻を何度も折って骨がすべて軟骨化しているのかもしれない。
 だから独歩の鼻はつぶれたような外見をしているのだろう。
 鼻が柔軟で助かったな。

 武蔵も出血していた。
 独歩の足刀がかすって切れていたのだ。
 勝者の余裕なのか、武蔵は独歩の技を誉める。
 戦う前は挑発のために相手をけなし、勝ったらバランスをとるため誉めるのだろうか?
 過度に恨まれないように、負けた相手をきっちり殺すか、機嫌をとっておくのも武士のたしなみなのだろう。

『斃れ伏す敗者を足元に』
『ぬけぬけと放つ賞賛』
『褒め称えられながらも動かぬ現実』
『ぶった斬られた……!!!』


 愚地独歩の完全敗北であった。
 日に三度も負けちゃったよ。
 けっきょく、独歩にはどんな勝算があって勝負を挑んだんだろう。
 最初に奇襲が失敗した時点で、いやその次に普通に打撃を喰らってダウンした時点で、引いておくべきだった。
 独歩は後退のネジを付けておけばよかったのに。


 やっぱり圧倒的に強い宮本武蔵であった。
 刀を持っていなくても強かったが、刀を持ったら本当に別格だ!
 素手のときは、わりと駆け引きで有利に立ってから勝負して勝つという印象があった。
 だが、刀を持ってしまったら、正面から戦って倒すようになっている。

 刀を装備した武蔵は、範馬勇次郎とも戦えそうだ。
 二人が戦えば……、どっちが勝つ!?
 やっぱ、サムライを倒すのは銃だ。
 映画『七人の侍』(AA)でも、サムライの死因は100% 銃撃である。

 つまり、武蔵をもっとも倒せる可能性があるのは傭兵であるガイアだ。
 猪狩もシコルスキーとの戦いで銃を使用していた。
 したたかさを考えると、猪狩が武蔵に勝つ可能性もありそうだ。
 少なくとも、本部よりはありそう。

 宮本武蔵は戦国時代生まれだ。
 この年代は荒っぽい。
 簡単に人を殺すし、死にそうな行動もしちゃう。
 その武蔵が、よく独歩を殺さなかったな。

 スポンサーである徳川さんの意向を気にして、手心を加えたのだろうか?
 それとも、自分の剣名を高めるため『シグルイ』風に、相手を伊達にして帰す作戦だったりして。
 ※ 伊達とは本来男前の意味である。だが、ここでは顔面にひどい傷を負わせて、自分たちの強さを宣伝するのが狙いだ。

 宮本武蔵が独歩を倒したというニュースは各方面に伝わるだろう。
 皆が武蔵に注目する。
 武蔵は、コレを狙っていそうだ。

 次に武蔵を狙うのは誰だろう。
 渋川剛気か、ジャック・ハンマーか、鎬兄弟か?
 それとも、本部が出てきちゃうのか?
 本当に守護(まも)ってくれるんだろうな。
 自分自身すら守れなさそうなのに。

追記 (14/12/10)
 40話の作者コメントは「熊本まで行った挨拶が効いている。宮本武蔵が起(た)ちあがってる。」だった。
 確かに宮本武蔵の不気味な強さがたちあがっている。
 だが、なにかが上がるということは、なにかが下がるってことでもある。
 独歩がスゴい勢いで倒れ落ちているんだけど。

 新キャラの登場は、旧キャラが噛まれるのとセットになっている。
 それが世の摂理なんだけど、やっぱ好きなキャラが噛まれると切ない。
 勝てない喧嘩をしかける武道家はいないハズじゃなかったのかよ。

 いまの武蔵は勝ち負けにあまりガツガツしていない感じがする。
 精神が、老成した死ぬ直前の武蔵なんだろうか。
 若いころの武蔵なら、独歩は真っ二つにされていたんだろうな。

 そういう意味では、武蔵は若いころの精神テンションを取り戻せばより強くなる可能性がある。
 いまの肉体に魂がなじむと、さらにパワーアップだ。
 たちあがった武の巨人・宮本武蔵はまだまだ誰かを噛むだろう。
 本部よ、たのむみんなを守護(まも)ってくれ!
 ……あまり期待はしていないんだけど。


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