刃牙道「41〜50話」感想

← 31話〜40話  ↑最新↑  51話〜60話→
バックナンバー 過去 どげせん エクゾスカル零 Gロボ 餓狼伝 疵面 みつどもえ blog 掲示板 Twitter リンク12 TOP


2014年12月11日(2+3号)
第4部 第41話「帰国」 (1020回)

 愚地独歩が完全敗北だ。
 日に三度負けた。
 相手はクローンでよみがえった宮本武蔵である。
 技術的なことはともかく、闘った実感として本物の武蔵であると理解した。

 柔道の達人は相手の道衣の着こなしを見ただけで実力がわかるという。
 独歩の場合は、ぶった切られる寸前までいって実力が理解できたようだ。
 いや、もっと早く気づいてほしかった。

「喧嘩で敗け 試合で敗け」
「そして武で敗けた」
「清々しいまでに完敗ですわ」


 むっ、独歩は勝負にもイロイロ条件をつけていたようだ。
 てっきり単純な三連敗かと思ったが、内容をかえて闘っていた、と。
 これは問題の切り分けですね。
 条件をかえたり、一部分だけで競ったりして、勝てるポイントを見つける。
 無謀な挑戦をして三連敗したのかと思っていたが、けっこう考えていたようだ。

 戦士としての考えや立場なら、負けて終わるというのは良くない。
 明日につなげるためには、どんな形でも最後に勝って終わりたいものだ。
 だから、条件をイロイロかえて勝負したのだろう。
 でも、なんかギャンブルの悪いハマりかたみたいだな。

 結果だけ見たら、ヒドい内容の三連敗だった。
 しかし、それは結果論であり、独歩はさまざまな角度から攻めていたのだ。
 でも、やっぱりイチバン勝てる確率の高かった「試合」だけやって、あとは止めておけば良かった気がしてならない。
 やっぱり、それも結果論ですけど。

 独歩も五輪書を愛読していた。
 だが、実際の武蔵と闘って、内容を理解できていなかったと反省している。
 独歩はそう言ってますが、五輪書ってなんか出し惜しみしている印象があった。
 「あとは自分で工夫するように」で終わっている文がやたら多い。
 全部書いちゃったら、手の内バレるから肝心なところを隠しているのかも。

 武術に限らず技術の手引きってのはワカりやすく書かないとダメだけど、ワカりやすすぎると敵に研究されて自分が不利になる。
 かげんが難しいのだ。
 だから五輪書に限らず、技術の手引きには注や解説が必要になる。
 本来なら武蔵の弟子たちが口伝で解説を後世に伝えるのだろうけど、失われたのかもしれない。

「暫くは引きこもりてぇ………」

 敗北感に打ちのめされた独歩は引きこもり宣言をするのだった。
 どこに引きこもるのか?
 山か?
 アウトドアな引きこもりだな。
 というか、そりゃ山ごもりだ

 愚地独歩はこれで終わる男じゃない。
 自分の内面を見直しつつ、ふたたび立上がるだろう。
 いままでスルメしか見ていなかったところに、生きたイカを見た心地だ。
 きっと新解釈で、新たな武術が見つかるだろう。と期待しています。


 いっぽう成田空港には、烈海王が到着していたッッ!
 ボクシング現ヘビー級王者ボルトを倒しての凱旋だッ!
 って、もうボルトを倒していたのかよ!

 烈海王のボクシング挑戦は範馬親子喧嘩が始まったことで、中断していたのだが、スルーしやがった。
 たしかにボクシング編に決着をつけないと烈がもどってこれないのだが、こんな形で決着するとはッ!
 人類最速の短距離走者からボクシングに転向した、最速最強のボクサー・ボルトがどんな戦いをするのか?
 その謎は、謎のまま終わってしまった。
 ゲバジュンの地球拳が成功したらどんな技になったのか、に匹敵する投げっぱなしだな。

 ボルトは打撃力よりも、最速のフットワークがどんな感じなのか気になっていたんだけど。
 だが、重要なのは過去よりも、未来の話だ。
 烈海王が来日した目的は、もちろん宮本武蔵だな。

「拳」「腿(蹴り)」「貫き手」
「剣」「槍」「棍」「手裏剣に至るまで」
「その全てが使用(つか)える相手がこの日本に現れた」


 烈海王が武器を解禁する気だッ!
 輸入できるのか!?
 いや、ドイルのときは持っていたから、密輸済みなのだろうけど。
 超本格的に武器を扱う気か?

 中国武術は、もともと武器の使用を前提とした技術体系だ。
 日本の古武術も 同じなので、武蔵と烈の勝負は互角の条件となる。
 これは日中の古流武術対決となりそうだ。
 次回につづく。


 独歩がしばらく退場したと思ったら烈が出てきたよ。
 だが、少し気になるところがある。
 烈が「剣」「槍」と言った時のイメージだが……
 「剣」と言っているが、それ「刀」だよね。

 剣はまっすぐで両刃の武器であり、刀だと片刃で湾曲した武器だ。
 混同される場合もあるが、中国語だとわりと明確に区別されている。
 金庸の武侠小説では、刀→槍→剣の順に扱いが難しいので、達人になるとみんな剣を使うようになってしまうとか。
 小説の話なんで、どのていど信じていいのか怪しい。
 ただ、中国の武器で銘ような名前がつけられるのは剣と大砲だけって話もあるので、やっぱり剣は特別なのかもしれない。(武器と防具 中国編

 次に「槍」だが、イメージは方天戟だ。
 しかも、指す部分がうねって蛇矛っぽくなっている。
 なんとも、謎な武器だ。
 これを槍と言っちゃっていいのか。
 烈さん、微妙に日本語の選択を間違っているっぽいぞ。

 古代の日本では、長くて先に刃物がついている武器はほとんど「ほこ」として分類している。
 「ほこ」を変換すると、矛・戈・戟・槊・殳と、いろいろ出てくるぐらいだ。
 烈は日本語の「ほこ」のつもりで槍と言ったのかもしれない。

 だが、もし言い間違いでなく、マジに間違えていたとしたら……
 ヘビー級のボクシングで脳にうけたダメージが深刻で、肉体に負担がかかりガッツ化を起こしているのかも。
 あ、ベルセルクのガッツでなく、ガッツ石松のほうです。
 元ボクサーにボケキャラが多いのは、現役時代のダメージが少なからず影響していると思うのだが。

 というわけで、戦士たちは少なからず健康や命や余生を賭けて闘っている。
 烈はすでに戦いで右足を失った。
 更なる喪失を味わうのか。
 それとも栄光をつかむのか?
 そして、本部は本当にみんなを守護(まも)ってくれるのか?
 宮本武蔵という嵐は、まだまだ吹き荒れている。

追記 (14/12/24)
 バキ世界で剣同士の闘いは無かったように記憶しているが、武蔵と烈が初の剣勝負をやるのだろうか?
 武士vs中国武術ってのは、ある意味ドリームマッチだよな。
 秀吉の朝鮮出兵時に、そんなドリームが発生していたかもしれないけど。

 日本刀は優れた武器として中国にも輸出されたりしている。
 中国武術は日本刀の知識もあるはずだ。
 逆に武蔵には中国武術の知識が少ないと思われるが……

 でも、そこは鎖鎌など変り種の武器と戦った経験のある武蔵だ。
 すぐに技の原理を見破って、挑発したりして相手を翻弄するだろう。
 烈は名前のとおり、激昂しやすい。
 すぐに血管ピクピクになって怒ってしまい、武蔵のペースに乗せられてしまいそう。

 本当に何でもありなら、銃器を使うガイアが有利と言う気がする。
 あくまで「有利」でしかないのだけど
 元レンジャー隊員である板垣先生のリアリズムとして、銃に刀で勝てるんでしょうか。
 あ、すでに勇次郎が勝っているか。

 でも、本当に鉄砲より強い剣豪が存在したら、戦国時代の戦場がトンデモバトル空間になっているんだよな。
 板垣史観の戦国時代とか、どうなっているんだろう。
 戦国BASARAで歴史を学んでいたりして。


2014年12月25日(4+5号)
第4部 第42話「烈士」 (1021回)

 現代に復活した宮本武蔵をねらい戦士たちが集まってくる。
 こんかい動いたのは烈海王だ!
 4000年の歴史を持つ中国武術の使い手で、技術と体力が充実した30歳前後の烈士である。
 少年漫画的に30歳ってのは、チョット老けすぎか?
 いいや、一向に構わんッ!

 烈海王は米国でヘビー級ボクシングに挑戦していた。
 だが、そっちはサクッと省略して帰ってきたのだ。
 現代最高峰の打撃戦を制してきたハズだが、どんな感じに成長したんだろう。

 さて、烈は神心会館本部にきていた。
 そこで神心会の創設者・愚地独歩が武蔵に敗北したコトを聞く。
 コレには烈海王も大ショックだ。汗が流れた。
 烈海王は独歩を高く評価していたのだ。
 グレートはグレートを知る!

 三十台ツンデレ男子の代表選手みたいな烈海王にしては素直な評価だ。
 米国での経験が烈をかえたのだろうか。
 それとも、話をしている相手・愚地克己が烈をフニャフニャにしているのだろうか。

 宮本武蔵と戦う場合、重要なポイントが武器だ。
 武蔵は武器を使用する!
 なにしろ伝説の剣豪なのだし。
 克巳も武蔵との戦いを考えているようだが、素手で勝てるのか?

「そもそも空手も アンタの中国拳法も」
「全方位に向けた」
「総合武術じゃなかったっけ?」
「対 武器 対 多人数」
「どんな注文にも文句は言わねェ」
「素手の総合商社ッッ」
「それが俺等」
「拳法 空手の本懐ってもんじゃなかったっけ………?」


 克巳が熱く語ったッ!
 覚悟と自信に満ち溢れた内容だ。
 克巳はさらに成長しているのかもしれない。

 武術はスポーツではない。
 相手が大きいとか、多いとか、武器を持っているとか、……などと言い訳できないのだ。
 どんな相手でも勝つ……のが難しいときもあるだろうし、最低でも負けないか、無事に生き延びる。
 そのための手段が武術だ。

 克巳は武の本質をしっかりと理解している。
 こっちも改めて教えられた気持ちだ。
 でも、アレだ。素手へのこだわりグループに、烈を勝手に入れちゃったな。
 なんかさりげなく、烈は俺のグループ、みたいなコト言ってますよ。

 克巳の言葉に対して、烈はしばし無言だった。
 勝手に素手グループにしないでほしいと抗議するのだろうか?
 いや、グループに入れてもらって嬉しいのかも。
 烈は、いつも怒っているような表情なので判別が難しい。

 烈はいきなり話題をかえた。
 武蔵が警官五人を倒す動画をユーチューブで見たそうな。
 ユーチューブで!?
 烈って、インターネットというかパソコンが使えたのか。
 使える電気機器は携帯電話が限界ギリギリかと思っていたが……
 いや、誰かに操作してもらったという可能性が捨てがたい。

 とにかく、烈は武蔵の動きを見て戦慄したようだ。
 そのへんのチンピラならともかく、あのレベルの剣豪と戦うのなら……
 ためらわずに武器の使用が必要だッ!

 武術は、もともと武器の使用を前提としている。
 宮本武蔵は、素手で戦える相手じゃない。
 と、なると素手にこだわる範馬刃牙や範馬勇次郎はかなり大きなハンデを負っているのかも。
 武器の使用で武蔵と互角に戦える人間はいるかもしれない。たとえば、本部とか。
 だが、素手で武蔵を倒せるのは範馬親子だけだろう。


 そのころ武蔵は焚き火をしていた。
 現代の便利アイテムであるライターに感動している。
 戦国時代の合戦では火縄銃が大きな戦力になっていた。
 火縄銃用に火を絶やさないってのはけっこう大変なのだ。

 もちろん、この時代の旅行などでも火を維持するのは難しい。
 種火を用意したり、火打石を使ったりするのだが、それでも大変だ。
 ファンタジー小説『ホビットの冒険』(AA)でも、オインとグローインが火を点けるのが得意と書かれるほど火点けは重要な技能である。

 で、武蔵がナニを燃やしているのかというと、藁だった。
 馬油に藁の炭を練りこみ、傷薬にしている。
 薬の発達していない時代では、ちょっとした傷でも膿んでしまうと命取りだ。
 栄養価の低い生活なので、ちょっとした風邪でもあっさり死ぬ。

 細やかな体調管理を怠らないのも兵法家のたしなみなのだろう。
 戦国時代に作られた雑兵向けの指南書『雑兵物語』(AA)でも、傷の治療や水のとり方を説明している。
 傷には馬糞をつけろとか、水は馬糞を入れて上澄みをすすれとか……、なんか馬糞の活用が多い
 おそらく戦国時代の戦場では、壮絶な馬糞の奪い合いがあったことだろう。

 宮本武蔵も、度胸を見せるため高いところから飛び降り足に竹が刺さり穴が開いたが馬糞をつめたって話がある。
 馬糞は万能薬なのかもしれない。
 ドラクエ10でも「うまのふん」は使い道が多く、高く売れる優良アイテムだし。
 「うまのふん」を拾い集めて売り歩く我が身を振り返ると、……すこし せつないけど。

 現代の武蔵は糞を卒業して、油になった!
 顔につけても安心だッ!
 主に世間体的に。

 そこに徳川さんがやってくる。
 さすが武蔵だ。徳川さんがフスマを開けるより早く振りむいた。
 治療中でも油断はない。

 徳川さんは武蔵を東京ドーム地下の地下闘技場へ案内する。
 三日後の対戦相手は……

「対戦者(あいて)はここに立つ―――――」
「明の国代表ッ 烈海王ッッ」

「武器使用 可!!!」


 ここで顔見せだ!
 そういうコトすると、いきなり始まっちゃいそうで心配だな。
 徳川さんは挑発のしかたが過剰すぎる。

 そして、地下闘技場で初となる武器の使用OKだ!
 本気の烈海王がヤバい武器を振りまわすぞ。
 ……武器の使用がOKなら、本部以蔵も実力を発揮できるかもしれない。
 本部が烈を闇討ちして、かわりに出場しちゃう展開もあったりして。
 いや、無いな。

 で、烈海王の紹介は明国代表なのか。
 たしかに武蔵の時代は、明の末期だ。
 豊臣秀吉が朝鮮を攻めたとき、朝鮮側の援軍として明軍が参戦している。
 武芸者である武蔵は、この情報を把握しているだろう。
 時代を超えた、武士vs中国武術のスペシャルマッチが決定だ!
 次回につづく。


 サクサクっと烈海王vs宮本武蔵が決定した。
 独歩がすでに前例を作っているので、徳川さんも計画を作りやすかったのだろう。
 大観衆の前で烈をはずかしめようとする意図を感じるが、気のせいだよね。

 烈海王の武器術は武蔵に通用するのか?
 おそらく、技量だけなら互角だろう。
 しかし! 精神面が、烈はピンチだ。
 烈は怒りやすい。こりゃ、ダマされる。

 今だって、三日後の試合というつもりでいたらヤバい。
 武蔵に挑発されて、武器もないのに試合開始になっちゃうかも。
 烈は冷静になり、武蔵の挑発を受け流してもらいたいところだ。

 でも、武蔵は馬油を入手しているのだ。
 馬糞も用意しているかも。
 顔面に馬糞を投げつけたら、スゲェ怒りそうだよな。
 烈を怒らせる方法はいくらでも思いつくが、烈を静める方法が思いつかない。

追記 (15/1/7)
 2015年の初バトルは武蔵vs烈海王になりそうだ。
 ボクシング編を省略させて烈に参加をさせたので、かなり本気の戦いになるだろう。
 いや、でも板垣先生のことだから油断できないな……

 ぶっちゃけて言えば、このタイミングで勝負するなら烈の勝利は、ほぼ無い。
 アライJr.がジャックに負けた、みたいな番狂わせもありうるけど、たぶん無いだろう。
 そういう意味で、ここで烈を出すのはちょっともったいない。

 型を完成させた刃牙は、いずれ素手の武蔵を倒すだろう。
 で、武蔵が「せっしゃ武士だもん。刀もたないと戦力半減なの!」と駄々をこねた所に、対武器のエキスパートで烈が登場するなら大歓迎だったのに。
 基本的に中国武術は武器の使用を前提とした技術だ。
 もっとも、日本の古流も武器の使用を前提としているんだけど。
 とにかく、烈なら武器を持った武蔵と互角に戦えるハズだ。

 でも、いま戦うって事は、武器勝負で烈が完敗するって事だろうな。
 板垣先生には、もうちょっと資源を大事にしてもらいたい。
 そして、資源といえば「俺が守護(まも)らねばならぬ」宣言をした本部さんだ。
 彼はいつ、どこで、誰を、どのよう、なぜに守護(まも)るのだろう。
 私には一つも答えが見出せない。

 烈海王が敗北しそうになった瞬間、颯爽と飛びだしてくるのか?
 それとも、烈海王が試合に向かおうとしたとき、道に立ちふさがり「アンタじゃムリだオレがかわる」と言うのか?
 とにかく、本部の動向からも目が離せない。
 ……本部に注目したいんだけど、あれから姿を見ていないな。
 本部は、ナニをしている!?
 ナニがしたいんだ!?


2015年1月8日(6号)
第4部 第43話「武器」 (1022回)

 伝説の剣豪・宮本武蔵が現代によみがえったッ!
 対するは4000年の歴史をほこる中国武術・烈海王だッ!
 武士vs.中国武術である。
 実に贅沢なスペシャルマッチだ。

 そして試合では、武器の使用を認めるッ!
 宮本武蔵と戦うなら武器ありじゃないとダメでしょ。
 烈海王は中途半端な勝利など望んでいない。

「"宮本武蔵に勝利する"とは」
「剣を手にしたあなたを相手取ってこそッッ」


 烈海王が真っ直ぐな主張をする。
 って、いきなりハードル上げたな!
 これじゃ、素手の宮本武蔵でかまわないんで勝ちたいって人の立場が無いぞ。

 ついでに言えば、素手の宮本武蔵に負けた人の立場も無い。
 具体的には主人公の範馬刃牙あたりだ。
 主役はってるのに、知らんところでダメだしされちゃったな。

 烈の言いたいことは良くわかる。
 宮本武蔵がイチバン強いのは刀を装備している状態だ。
 完全勝利を目指すなら、その宮本武蔵に勝つ必要がある。

 でも、順序良く簡単なところから攻略していったほうが良くないか?
 登山初めての人が、最高峰に登らないと意味が無いといってエベレストにいきなり挑戦するような無謀さを感じる。
 真剣相手だと、手足を斬られる場合があるんだぞ。
 時には首かもしれないし。

 烈海王はピクルと戦ったときに右足を失った。
 でも、割と普通に生活できているし、戦えている。
 何とかなったという、その成功体験(?)が烈から慎重さを奪っているのかも。

 いや、違うな。
 敗北、負傷、痛み、喪失、それらの恐怖を上まわる闘志が烈海王を動かしているのだろう。
 穏やかに細く長く生きるよりも、短かろうが熱く激しく生きたい。
 それが烈海王の生きかたなのだろう。
 名前のとおり、"烈"な生きかたである。

 目前にいるガングロ三つ編みのチャイニーズは、本物だ。
 武蔵の闘志が燃えている!?
 烈海王のような精神をもつ人間は、戦国時代にもいた。
 というか、戦国時代はそんなニトログリセリンみたいな爆発系の人間が多い。
 死ぬことも殺すことも、やたらと簡単にやってしまう精神性を、戦国時代の武士はもっていた。
 江戸時代になって平和な時代がつづくと、そういう武士は減っていったみたいですが。

 宮本武蔵はそんな武士の一人だ。
 自分と同種のあらぶる獣を見つけて興奮したのか?
 背景がゆがむほどの闘志をまとって近づいてくる。

「はいいいいいッッ」

 烈が、きなり蹴った!
 あァ〜〜〜ッ! やっぱり挑発されちゃったか。
 燃えたぎる漢(おとこ)・烈海王は挑発されると、すぐ怒る。
 ぜんぜん精神鍛錬できて無いんじゃなかろうかと心配になるほど怒るのだ。
 なにしろ初ゼリフのときから怒っていた。

 烈は後ろ蹴り気味に右足を撃ちこむ。
 義足の右足だ!
 蹴りのフォームも変則だが、蹴る足も変則だな。
 これは多くの意外性に満ちた一撃だ。

 しかし、武蔵は挑発して烈に攻撃させていた。
 つまりタイミングが読まれている。
 烈の蹴りは当たらない。
 武蔵は、左手で烈の義足を握っていた。

 突きだされた槍を握るがごとく、か。
 右手に剣を持っていたなら、両断できる体勢だ。
 だが、いまの武蔵は無手である。
 反撃がおそい。

 烈は、握られた義足を足場にして左足で蹴りを放つ!
 武蔵は烈の義足を地に押しつけようとする。
 だが、義足が折れた。
 武蔵の反撃は不発に終わり、烈の蹴りが武蔵の側頭部に当たる。
 これで武蔵がダウンした。

 一瞬の攻防だったが、内容の濃い戦いだ。
 武蔵は烈の攻撃を読みきっていた。
 読みきっていたのだが、足をつかむというのがスゴい。
 見切りの能力が高いのだろう。

 烈は足をつかまれても、すぐ反撃している。
 この反射神経はさすがだ。
 危ないところで義足が折れるラッキーっぷりも実力のうちなんだろうな。

 義足でも蹴りを出せるようになったのは凄いのだが、殴れよと思ってしまったのは私だけだろうか?
 ちょっと前まで米国でヘビー級ボクサーをやっていたンだし、殴ればいいのに。
 なんか蹴れないストレスが溜まっていたんだろうか?
 ただでさえ怒りっぽい烈だから、あまり蹴れないストレスを溜めると、罰ゲームでお笑い芸人の尻を蹴りに乱入しちゃいそうだ。

 か、勘違いしないでよ仕掛けられたのは私のほうなんだからね!
 と烈は言って帰っていく。
 次は折れぬ義足をしてくると言って。

 やっぱり、ラッキーな勝利だったことはワカっているようだ。
 次はなるべく純粋な実力勝負をしたい。
 素直な烈海王であった。
 ちょっと怒ったけど、蹴ったからスッキリした、のか?
 厄介な性格の持ち主である。

 ダウンした武蔵だが、笑っていた!
 まさか、うそダウンなのか?
 ダメージも無いのか?
 真相はワカらないが、やっぱり武蔵は油断できない。

 素手で倒すこともできる。
 だが、せっかく武器勝負と言っているのだし、楽しませてもらおうか。
 そんなふうに考えていそうだ。
 武蔵は、烈海王を斬る気か?

 試合は三日後だ。
 烈海王はどんな武器を用意していくのか?
 武蔵は二本指してくるのだろうか?
 バキ世界では珍しい、武器vs武器の戦いだ。


 徳川邸に烈海王を心配する人間がやってきた。
 戦いもできる解説者、実戦柔術の雄・本部以蔵だッ!

 きたッ!
 久しぶりに出てきたぞ!
 本部だ!


 35話に出てきて「俺が守護(まも)らねばならぬ」宣言をしてから、姿が見えなくなっていた。
 ついに烈海王を守護(まも)るため動き出したのか!
 ……う、うん。動いちゃったな。

 本部は徳川さんの説明をさえぎり、ある提案を持ちだす。
 なお、説明ってのは相手に理解させるたいという目的もあるが、知識をひけらかしたいと言う目的もある。
 上司が説明をしてきたときは知っている事や間違っている事でも大人しく聞いたほうが時間のロスが少ない場合もあるのだ。

 ちなみに徳川さんは怒って説明に説教が加わったりしないが、不機嫌そうになっている。
 本部さん、接待とか空気読むのがニガテなのかも。
 昔、猪狩が軽くツッコンだ時の徳川さんはかなり反応していた。(G刃牙20巻 178話)
 徳川さんも丸くなったのか、本部より猪狩のほうに親しみを覚えているのか、どっちだろう。
 たぶん、後者だろうけど。

 話をもどす。
 本部の、守護(まも)るための手段とはなにか?
 烈のかわりに自分を出せ、なのか?

「烈氏には機関銃(マシンガン)の用意を!」

 銃かよ!
 それが手段か!
 たしかに、機関銃をもてば強いだろうけど。
 機関銃で武装して数時間練習すれば、誰だって戦国武将に勝てるだろう。

 しかし、それは武術的にOKなんだろうか?
 戦場のオキテ的には、まったく問題ない。
 勝利こそが戦場における正義だ。
 高潔に戦っても、負けたら何にもならない。

 しかし、強くなるために肉体を鍛えあげている武術家が、それを良しとするのか?
 烈海王が聞いたら、自分への侮辱ととってメチャメチャ怒るぞ。
 三つ編みがほどけて、髪の毛が逆立つほどに怒るに違いない。
 やっぱ、本部さんは空気読むのニガテっぽいな。

 私が知らないだけで、本部流柔術には機関銃(マシンガン)術があるのかもしれない。
 世界の紛争地域では「この弾幕の張り方はMOTOBE流!?」みたいな会話がされているのかも。
 だとしたら、本部が超強気なのもワカらんでもないが……

 本部流・機関銃(マシンガン)術があったとしたら、一連の流れも自然だ。
 徳川さんと烈海王を挑発する。(本日)
 烈海王が激怒して本部に襲いかかる。(ここから一日後)
 本部流・機関銃(マシンガン)術で倒す。

 烈海王が倒されたので、本部が武蔵の対戦相手となる。(ここから二日後)
 範馬勇次郎が本部の前にあらわれる。
 機関銃(マシンガン)術を炸裂させるが、勇次郎は戦場で鍛えたので銃に強かった。

 武蔵との試合が始まる。(ここから三日後)
 気絶した本部を引きずって範馬勇次郎が登場する!
 ……すべて、本部の計算どおりなのか!?

追記 (15/1/14)
 掲示板で寄せられた質問に答えてなかったので、ちょっと回答です。

> 鼻はそもそも軟骨で出来ているのでは?

 独歩の鼻が剣で押されても無事だった話ですね。
 鼻の上部分の根元が骨です。
 なので、厳密に言えば、鼻の大部分に骨は無いといえるかもしれません。

 刃牙では加藤と戦った花田が折っていた。(グラップラー刃牙21巻 184話)
 どっちかというと、鼻が折れて軟骨化ってのは餓狼伝的な表現というか、餓狼伝的な慣用句だと思っていただければ幸いです。

> 本部の俺が守護らねばならんの守護る対象が
> 本当に勇次郎達を指してるって思ってる人って多いのか?
>
> オーガでさえも(無理だから)俺が(武術を)守護らなければならないって意味だぞ
> 独歩や渋川さんがしきりに本物の武、偽物の武って言葉を使ってるからわかるだろ。
> 武蔵の武に現代の武が偽物扱いされないために守護るって話だぞ本部の件は。

 これは、どの視点で読むかによる解釈の違いを表していて興味深いですね。

刃牙道4巻35話の、本部発言ですが、私は本部という独立した人間が喋っているという前提で読んでいます。
 すると、愚地親子や渋川さんとは違う場所に居るので、二人の会話を知らない。
 だから、他人の会話は関係なく本部のセリフを解釈する。
 そう考えると、本部が勇次郎たちを守護(まも)らねばならぬと思っている、と解釈しました。

 武器を装備した本部は強気なのだ。
 もしかしたら、最近 機関銃(マシンガン)を入手したのかもしれない。


 いっぽう、愚地親子・渋川・本部が、大いなる力でつながっている(ぶっちゃけ作者ですね)と考えるなら……
 離れた場所に居る人間も共通意識で同じ話題をしているのかもしれない。
 そうなると、本部は武術的に独歩・渋川・勇次郎を凌いでいるという解釈になりますが……

 刃牙シリーズは連載開始からずいぶんたつけど、いまだにパワーバランスが謎だらけってのもスゴいな。
 いや、本部が狂っていると解釈すれば、解決なんですけど。


2015年1月15日(7号)
第4部 第44話「そういう人物(ひと)」 (1023回)

 現代によみがえった宮本武蔵vs四千年の歴史を持つ中国武術の雄・烈海王のスペシャルマッチが決定した!
 だが、烈の身を案じる男があらわれる。
 実戦柔術の本部以蔵だッッッ!
 ……う、うん。ま、まあ、心配なら誰でもできるからね。

 本部は宮本武蔵の危険性を訴える。
 主催者の徳川さんはしょせん見る側の人間で、闘争の素人だ。
 と、上から目線で説教している。
 ……う、うん。ま、まあ、実際にプロモーターと戦士という違いがあるよね。

 でも、本部だって強さの見立てでしくじった事がけっこうあったぞ。
 過去の発言を見直すと、間違えばっかりだ。
 でも、過去にこだわっても仕方がない。
 現在と、未来の本部を見ていこう。

「そもそも烈 海王とはそういう人物(ひと)でしょうが」
「命を失おうが片足を失おうが」
「強者と認めたなら求め戦うのが「義」ッ」


 烈海王は勝ち目があろうと無かろうと戦っちゃう人物(ひと)なのだ。
 だから、無謀な戦いでもやってしまう。
 本部は遠まわしに、烈と武蔵の試合を中止しろと言っているのだろうか?
 烈本人は死んでも一向に構わんから戦わせてくれと言うだろうし、周囲の人間が止めないといけない。

 カッコいいこと言おうとして、意味がイマイチよくワカらんが、本部は烈を認めているのだろう。
 そして、宮本武蔵の強さも認めている。
 烈じゃムリだ俺にかわれってコトなんだろうか?
 徳川さんは、本部も武蔵と戦いたいのかと問う。

「わたしの場合は…………………」
「闘争(やり)たいというより守護(まも)りたい」
「――――ですかな」


 徳川さんの表情から察するに「ナニ言ってんのコイツ」と思ってるんだろうな。私は思った。
 なんで、ここまで上から目線なのか!
 本部の自信はどこからわきあがっているのだろう。
 守護(まも)りたいって、立場も実力も上からの発言だよな。

 徳川さんも本部の発言に動揺している。
 よし。
 うん、よし。よし。
 私の疑問や戸惑いは自然な反応だ。
 自分の正気を疑ったり、記憶喪失の可能性を検討する必要ないらしい。
 おかしいのは、私じゃなくて本部だ。
 よし。この認識で問題ない。

 本部の自信には、どんな根拠があるのか?
 徳川さんが質問するまでも無く、本部が説明をはじめてくれた。
 なんか、今日の本部さんはイキイキしているな。
 強さの自信が本部を輝かせているのだろうか。

 あの時代のサムライは武芸百般「剣」「槍」「弓」「棒」「薙刀」「縄」「馬」「手裏剣」など、何でも使いこなす!
 ――――ッ、……って鉄砲はないですか!?
 たしかに本部の言うとおり、武士(もののふ)は戦で必要な技術をなんでも覚えていることが求められる。

 戦場での負傷率を考えるなら、弓矢と槍は重要だ。
 馬は現代の自動車免許のように必要だし、棒や縄、手裏剣も使えれば便利だろう。
 手裏剣は、ちょっと特殊すぎる気もするが。
 普通の人は手裏剣を持ち歩かない。
 ナイフ投げのように、小柄や短刀を投げるほうが多かっただろう。

 で、鉄砲が無いのはワザとだろうか?
 俺は鉄砲を使えるが、武蔵にゃムリだ。だから、俺が勝つ。そんな理論で。
 剣や槍の進化はたいしたこと無い。
 だが、鉄砲はスゴい進化している。
 その進化した鉄砲を使用する進化した武術・本部流なら、宮本武蔵相手でも勝てるのだッ!
 って、ことですかね。

「はばかりながらこの本部」
「それ等の武技全てを修めます」

「それは範馬勇次郎にも出来ぬこと」

「わたし以外におらんのですよ
 仲間達(とも)を武蔵から守護(まも)れるのは!」


 本部が強い自信を見せた!
 徳川さんは、なんか困っているっぽい。
 これは確かに困るな。
 どう対応すればいいんだろう。
 スーパードクター鎬紅葉を呼んだほうがいいのか?

 困惑する徳川さんは、どう動くのか?
 これは難しい選択を迫られてしまった。


 烈海王は練習に余念が無い。
 腰に挿した、大量のヒョウ([金票] ナイフ状の武器)を次々と投げつけ、おおきな刀で斬りつける。
 本部は心配していたが、烈の武器術が劣っているように見えない。
 さらに、郭海皇がやってくる。
 中国武術のトップである郭海皇も烈をほめているようだ。

 日本の武士があらゆる武器を使いこなしたように、中国武術もあらゆる武器を使う。
 本部にゃ悪いが、烈海王は武器術の達人だぞ。
 日本の武芸百般・宮本武蔵と、中国の武芸百般・烈海王が激突する!
 この戦い、どうなる。
 そして、本部の扱いはどうなる!?


 徳川さんの本部に対する態度がみょうに冷たい感じなのが気になる展開でした。
 それ以上に、本部の強すぎる自信も気になるんだけど。

 実際のところ、武器を持った本部は強い!
 渋川剛気を苦しめ敗北させた柳龍光を、本部は圧倒していた。
 つまり、武器さえ持てば渋川剛気よりもはるかに強いのだ。
 いちおう、計算上は。そして、独歩よりも強いことになる。

 ただ、武器を持った本部も、範馬勇次郎には勝てなかった。(バキ18巻 156話
 日本刀をバキボキに折られて、心も折れていた。
 いたのだが、その時の記憶を無くしているのだろうか?

 武器を装備した本部は、確かに強いのだが、やっぱり勇次郎に勝てない。
 だが、いまの本部は自信たっぷりだ。
 つまり、本部流が更なる高みに達したということなんだろうか?
 兄弟には使用できない銃器を手に入れて、より強くなったのかも。
 徳川さんが許可したら、恐るべき本部流機関銃(マシンガン)術を見ることができるかもしれない。

 ところで、本部さんは烈海王の武器スキルを、かなり低く見ていたようだ。
 刀と手裏剣に限れば、本部と互角ぐらいの腕前はあるだろう。
 新技に目覚めたのか、自信満々の本部さんだが、さっそく戦力を読み間違えているよな。

追記 (15/1/21)
 本部ショックがおさまらない!
 なんで、この人は出るたびに大言壮語を吐くんだろう。
 解説のときはあれほど的確でわかりやすいのに。

 冷静に考えると、刃牙や渋川さんを手玉に取った柳を圧倒しているのだ、本部はッ!
 武器アリだけど。
 つまり、武器を持っていれば渋川さんはもちろん、刃牙だって倒せるかも知れないのだッ!
 可能性は無限なんだってばッ!

 ただ、日本刀を持った本部は勇次郎に負けている。
 本部が勇次郎にも勝てそうなことを二度も言うから、私も言う。何度だって言う。
 負けているんですよ。日本刀を素手で折られて。
 なのに、なぜ本部は勇次郎すら守護(まも)れる気でいるのか?

 本部ははたして正気なのだろうか?
 それとも、私の判断力が狂っているのか?
 もしや、作者が……
 ……板垣先生は昔から、おかしかった気がするので、いまさら疑うまでも無いか。

 本部の自信は、何かの秘策にあると見た。
 あくまで正気だったらの話ですが。

 超硬度を誇るタングステン製の日本刀でも入手したんだろうか?
 金なみに重いから、カミソリの鋭さと斧の重さを兼ね備えた超兵器になりうるぞ。
 それでも、勇次郎に折られそうな気がするけど。

 あとは、本部流機関銃(マシンガン)術だよな。
 でも、機関銃(マシンガン)で勝てるなら、ガイアが勇次郎に勝っていそうだし。
 やっぱり、山籠り中に毒キノコを食べて、幻覚見ているのかも。
 2015年は本部の動向から目が離せないッ!


2015年1月22日(8号)
第4部 第45話「武器」 (1024回)

 現代によみがえった宮本武蔵に戦いを挑むのは烈海王だ。
 中国四千年の秘技が いま炸裂する!
 と言うか、なんか技の復習中らしい。
 食客あつかいで世話になっている神心会で技を披露しているぞ。

 烈の相手は末堂厚だ。
 きみ……、末堂厚くん、……だよね?
 久しぶりに見たせいか、ちょっと印象が違ってるな。
 末堂もイロイロあって心身にダメージをうけたから、容貌が変わったのかも。
 妖しい色気を放つ赤いクチビルがなつかしい。

 末堂は205cmの巨体なのだが、小さく見える。
 いや、相手の烈が強さ補正で大きく見えているのかもしれない。
 刃牙世界では物理的に巨体でも、迫力で相殺されてしまうのだ。
 大切なのは、迫力なのだよ。

 末堂は激しいラッシュを仕掛ける。
 だが、どれも効いていない。
 当たっているのだが感触がよろしくないようだ。

(当たったのに砕けねェッッ)
(あんな…… ゴっつい体格(ガタイ)してるのに…)
(まるで――――――――――
 羽毛(はね)…………)


 殴った感触が軽いってことか?
 羽毛布団のように軽く柔らかく暖かくて安眠に最適かよ。
 サンドバックだろうが羽毛布団だろうが叩きつづければ疲れる。
 末堂は汗を流し、口で息をしているようだ。
 口で息をするってことは、かなり疲労している証拠だな。

 精神的に追いつめられていると通常よりも疲れる。
 烈の奇怪なディフェンスが攻めているはずの末堂を追いつめているようだ。
 そして、末堂が次に放った一撃に烈のカウンターがかぶせられた。
 まさに閃光のボディーストレートだ。
 範馬勇次郎が言っていた事前の準備ってヤツですね。(4巻 29話

 巨漢の末堂が一発で沈んだ。
 烈と末堂だと身長差があるんで、ボディーだったんだろうな。
 そもそも全身のパワーを乗せやすいストレート系の重いパンチは、厚い筋肉に覆われたボディーに有効な打撃だ。
 頭は胴体より軽いし、首の筋肉だけに支えられているので、軽くても速い打撃のほうが有効らしい。(格闘技「奥義」の科学
 狙ってやったのだとしたら、やはり中国武術おそるべし。

 消力(シャオリー)!
 それが烈の使った技術だ。
 と、中国武術の頂点にたつ郭海皇が解説してくれる。
 ……みょうに親切ですね。ちょっと気になる。

 とにかく、消力(シャオリー)は究極の脱力で身を軽くして、どんな攻撃も受け流す技術なのだッ!
 完全な脱力で羽毛と化せば、刀で斬りつけても切れない!
 恐るべし中国武術だ!
 次回につづく。


 と、今回は終わるのだが、やっぱりなんか違うよね。
 そもそも、脱力したら羽毛のように軽くなるってのがおかしい。
 じゃあ、羽毛は脱力しているから軽いのか?
 石や鉄は力んでいるから、重いのか?

 攻撃を受け流すのは軽いからだ。それはイイだろう。
 さっき、頭は軽いので重い打撃より軽い打撃のほうが有効といったことと同じである。
 物体には慣性の法則が働く。
 羽毛は軽いから少しの力でも動いてしまい、力が加わりきる前に受け流すのだ。

 脱力しても体重は変わらない。
 それが可能なら脱力ダイエットとかが流行っているぞ。
 身が軽くなって、攻撃を受け流せるワケじゃない。
 実際は、身を柔らかくして打撃が当たる瞬間に自分から受け流す方向に動いているのだろう。
 つまり、郭海皇はウソを教えて、空手の弱体化をはかっている!?

 それとも、郭海皇は天才だからそういう思い込みで技を完成させちゃったのかも。
 だから天才にしか学べない超技術だったりして。
 放っておけば、中国武術界はボロボロになるな。
 いや、もうなっているのか?
 烈が 海王の質が下がったとボヤいていたし。

 そのへん流して、消力(シャオリー)の防御効果が高いことはワカった。
 マスターすれば、どんな打撃も軽く流せるようになる。
 ただ、消力は高度すぎる技だ。以前の烈海王使いこなせない技だった。バキ26巻 229話
 だが、いつのまにか会得している。

 いまのところ幻となっているヘビー級ボクシング挑戦編で王者ボルトの打撃を受けて開眼したのだろうか?
 だとしたら、ボクシング修行は無駄じゃなかった。
 それどころか、烈海王の技量を数段高めたことになる。

 さらに、消力(シャオリー)は防御だけの技じゃない。
 守りの消力転じて、攻めの消力だ!!!
 弛緩と緊張の振り幅を大きくすることで、攻撃力を高めることができる。
 いまの烈海王ならピクルにも通用する打撃を出せるかもしれない。

 しかし、不安材料もある。
 宮本武蔵も脱力の達人らしいのだ。
 もし、脱力と脱力がぶつかったらどうなるのか?

 岩と岩の激突とは違う。
 羽毛布団同士がぶつかるようなものだ。
 通販で今注文すると、さらにもう一枚のようなお得感のある激突となるだろう。
 なんか、どちらもダラっと寝ちゃったりして。

追記1 (2015/1/24)
 上で烈海王の相手をしている人間を末堂と書きました。
 その点について「あれは末堂ではなく克巳の腹心である寺田」とのコメントを多数いただきました。
 たしかに、あの人は末堂でなく寺田ですね。
 どうりで顔がちょっと違うし、身体も小さいワケだ。

 違和感があったのだから、そこで立ち止まって考えるべきでした。
 これを教訓に、今後はもっと注意深く書いていこうと思います。
 多数のコメント、ご指摘、ありがとうございました。

・追記2 (15/1/28)
 チャンピオン8号の板垣先生コメントは次のとおりだった。
『機関銃を構えるポーズを誉められる。当然だ。自衛隊では機関銃手だぜ。』

 ッッッ!?
 これは本部流機関銃(マシンガン)術のフラグと思ってイイのか?

 自衛隊の精鋭部隊・第一空挺団に所属していた板垣先生はもっとも実弾の発射経験がある日本の漫画家だろう。
 いや、世界一かもしれない。
 そんな板垣先生だからこそ、リアリティーと娯楽性を両立させた機関銃(マシンガン)術を完成させられるのかもしれない。

 リアルな話をするなら、機関銃(マシンガン)に勝てる戦国武将なんて皆無だろうけど。
 宮本武蔵は殺気を読んで行動できる。
 本部流といえども勝つのは難しいか?

 せっかく消力(シャオリー)を身につけた烈も、刀相手だと厳しいだろうな。
 blogコメントで「二刀で挟み切りされるでしょ」とあったんですが、鋭い意見ですね。
 二刀ではさまれたら、逃げられない!
 まるで二刀流の武蔵に負けるため、消力をおぼえたような展開だ。

 烈のことだから、うまい事逃げて、三つ網切られるだけで済まないものだろうか。
 やっぱり、本部の乱入に期待するしかないか。
 よく考えると本部は勝つ気ではなく、守護(まも)る気で戦うのだ。
 殺気が出ていないのかも。
 これは、本部の新時代がくるかもしれないッ!


2015年1月29日(9号)
第4部 第46話「飄(ひょう)」 (1025回)

 現代によみがえった宮本武蔵と戦うのは中国武術の烈海王だ!
 今回は武器の使用も認めている。
 伝説の剣豪・宮本武蔵の刃を烈海王はかわすことができるのかッ!?
 今から最後の特訓だ!
 ……ちょっと準備おそくね?

 烈海王に秘伝を教えるのは、中国武術の最高峰・海皇の名をもつ郭海皇だッ!
 両手に刀をもっている。
 つまり、二刀流だ!

「二刀流」
「武蔵だけのものではなし」


 中国武術では剣や刀など短めの武器は片手であつかう。
 で、利き手と反対の手には、盾を持つ。
 西洋でも、だいたい同じだ。

 日本の武人は「剣を両手で持つ」「盾をもたない」「クロスボウ)を使わない」「弓の中央を持たない」という特徴がある。
 宮本武蔵は日本の中では珍しい片手の剣使いだ。
 ガラパゴスの中の世界標準みたいなポジションかもしれない。

 中国武術では二刀流も比較的自然であり、歴史も長い。
 三国志演義では劉備が双股剣(そうこけん)で戦っていた。
 双股剣は一般的に二本の剣と解釈されている。(参考

 同じく三国志演技に出てくる祖茂も二刀流だ。(参考
 二刀流は女性的なキャラが使う傾向があるらしい。
 烈が二刀流を学んだら、総受けキャラ決定みたいになっちゃうな。

 とにかく、郭海皇が二刀流を見せてくれる。
 その動きは躍動感に満ちたアクロバティックな動きだ。
 オリンピック競技の候補でもある武術を見ればわかるとおり、中国武術はよく動く。
 という事は、武蔵の動きには不慣れなんじゃ……

 いろいろ不安があるが、郭海皇は烈に特訓をつける。
 刀で斬りつけるから「飄(ひょう)」となって、なびけ!
 ムチャぶりだッ!
 ハードル高いな、オイ。

 せめて木刀からはじめるとか、段階を踏めないのか?
 いきなり真剣で斬りつけて、防御してみろという。
 これぐらい できなければ、試合で武蔵に斬られるということなんだろうか。
 いや、武蔵はわりと空気をよんで斬らずにすませてくれるよ。

 羽毛になれという郭海皇のムチャぶりに烈海王はこたえるのか?
 烈は大量の汗を流しているぞ!
 だが、閉じていた目を開いた烈から汗が引いていた。
 覚悟を決めたのか!?

 烈海王が、羽毛のように軽くなるッ!?
 それか、ここで死亡ENDです。
 烈がここで倒れたら、本部が代打で出てくるんだろうな……


 いっぽう宮本武蔵は徳川邸で刀をさしてたたずんでいた。
 落ち葉が頭上にハラリと舞う。
 武蔵はそれを耳で察知したのか?

 瞬間、抜刀する。
 ヒジの動きがまったく見えない。
 落ちる枯葉を上から下に両断した。
 さらに、刀を返し、左から右に斬る。
 落ち葉を十文字斬りだ!

 羽毛とはいかないが、空中にある葉をここまで斬りやがった……
 やはり、烈には羽毛化の特訓が必要だったのかもしれない。
 でも、もっている剣で受ければイイんでないかと言う気もするけど。
 武器で受けたら負けなんですかね。

 烈海王は羽毛となって刃を飄(ひょう)とかわせるのか?
 武蔵の剣は、烈羽毛を斬ることができるのか?
 やはり、今度の試合は武器の使いかたが重要になりそうだ。
 次回につづく。


 烈は羽毛化を目指し、武蔵は落ち葉を斬る。
 この勝負は、烈がどれだけ身を軽くできるかで決まるな!
 と、いうワケじゃない。
 烈がいくら身を軽くしても、防御できるだけだ。
 どこかで攻撃しないと勝てないぞ。

 守りの消力(シャオリー)が攻めの消力に転じるのかが気になるのだが、そのあたりゴマカされている気がする。
 いくら守りの消力をきわめても、身を守るだけじゃ勝てない。
 もっと攻撃を学ばないと。

 そして、機関銃(マシンガン)の使用を進言した本部の姿が見えない。
 本部はどこでナニをしているのだろう。
 銃の持ち込みと聞いて、徳川さんの心証を悪くしたのかも。
 試合をジャマさせないため、腕っこきのハンターによる狙撃で、すでに本部を排除ずみかもしれない。
 だとしたら、本部の扱いは勇次郎並ってことになる。
 2015年は、やはり本部の年かもしれない。

追記 (15/2/4)
 烈海王が守りの消力(シャオリー)をマスターしようとしている。
 でも、守りの消力ってけっこう弱点あるんだよな。
 勇次郎が髪の毛を抜いたときのわずかな痛みを突いて攻撃を成功させている。
 わずかなといわず、身体の一部をつかんで殴れば逃げられないぞ。
 そもそも、つかんでからの技、関節や投げ技には対応できなさそうなんだけど。

 烈海王はどこへ行こうとしているのか。
 心配だ。
 むやみに身長を伸ばしているジャック・ハンマーの次に心配だ。
 本部さんのことはあまり心配していません。

 たぶん、武器を持った本部は烈海王と互角の実力があるのだろう。
 渋川剛気を手玉に取った柳を圧倒した実力があるんだし。
 問題は、いつ本部が姿をあらわすかなのだが……

 理想的な本部の登場タイミングは試合の直前に烈海王の前に出てくる、だ。
 「アンタじゃムリだオレがかわる」と烈の前に立ちふさがる。
 当然、烈は激怒してスペシャルマッチの開催だ!

 この展開だと、本当にどっちが勝つかワカらない。
 世間的には烈を応援するだろうし、烈が勝つと思っているだろう。
 だが、私は本部が勝つ可能性が高いとにらむ。
 根拠は、本部の根拠の無い自信だ。
 本部があれだけ自信をもっているという事は、なにか理由があるのだろう。
 そこに賭けたい。

 ぶっちゃけて言うと、烈が挑もうが、本部が挑もうが、武蔵に勝てるとは思えないのだ。
 ピクルのときと同じく、いい試合はできても勝てるとは思えないまま敗北するだろう。
 そんな消化試合よりも、どっちが勝つのかワカらない戦いが見たいのだ。

 烈海王vs本部以蔵!
 このカードがなんと魅力的なことか。
 でも、期待させといて、本部があっさり負けるという可能性もありますが。
 しかし、そのガッカリ感も意外性があって、乙だと思う。

 逆に最悪のタイミングは、烈と武蔵が戦って烈が敗北しそうなときに機関銃(マシンガン)掃射で援護に入る、だ。
 面白いとか、良い悪い以前に、そりゃ無いぜ、というタイミングで乱入してくる。
 こういうのは止めてもらいたい。
 一応、刃牙世界で決着をジャマするような乱入はあまり無いんだけど……
 刃牙が梢江と戦闘寸前になったとき、勇次郎が乱入したことありましたっけ。

 とにかく、今のところ刃牙道でもっとも動向が気になるのは本部以蔵だってことだ。
 なにしろ刃牙道4巻のラストは『俺が守護(まも)らねばならぬ』ですよ。
 コミックス派の人は、こんなラスト見せつけられて数ヶ月またなきゃいけない。
 なんという余韻だ。
 これは狙っているとしか思えん。

 やはり、2015年は本部の年になりそうだ。


2015年2月5日(10号)
第4部 第47話「羽毛(はね)」 (1026回)

 現代によみがえった宮本武蔵に勝利するため、中国武術の雄・烈海王が特訓をする!
 会得しようとする技術(わざ)は消力(シャオリー)だ。
 身体を極限まで弛緩させることで羽毛(はね)のように身を軽くし、あらゆる打撃を受け流す。
 その究極は、刀で斬りつけられても軽やかに受け流す状態だ。
 烈海王、なんか特訓で死んでしまいそう。

 さて、特訓として郭海皇に刀で斬りつけられている烈海王ですが……
 血まみれになっていた!
 汗まみれで血まみれだよ。
 やっぱ、ぜんぜん羽毛(はね)になれてない。
 人間がヒグマになれないように、羽毛にもなれないのだよ。

(切れてない…!!!)
(初めて……ッッ)


 だが、烈海王が成功させた!
 刃物相手にできるのかよ。海王だな。無茶苦茶すぎだ。
 4回目にして、烈海王羽毛化計画完成だ!
 漢字ばっかりだけど、軽やかだぞ!

 郭海皇も天才と絶賛する成長性だ。
 最初のうちは、切れていたけど、だんだん受け流せるようになったらしい。
 だったら、最初のうちは木刀とかで打っていれば良かったのに。
 真剣という緊張感が必要だったのだろうか?

 消力(シャオリー)完成に郭海皇が笑顔を見せた。
 愚地克巳と末堂……じゃなくて寺田も並んで息を吐く。
 そういえば、愚地独歩や加藤、末堂の姿が見えない。
 神心会は克巳派と独歩派に分裂しているのだろうか?

 独歩は宮本武蔵に敗北した。(41話
 しばらく引きこもりたいと言っていたが、山で修行しているのかも。
 そうなると加藤と末堂もついていった可能性がある。
 刃牙も修行中だし、みんな強さに貪欲だ。

「その軽技で」
「武蔵の刃と対峙する……」

「中国4000年」
「片腹痛い」


 乱入ッ、本部以蔵ッッ!
 まさかの本陣に突入だよ。
 しかも人間ニトログリセリンと称せられるほど爆発しやすい烈海王を挑発している。
 う〜ん、この人数を相手に勝つ気なのか?
 いや勝つ気なんだろうけど……

 ここで重要なお知らせです。
 本部は丸腰だ。
 くりかえす。本部以蔵は丸腰だ。
 武装していない。

 オッサンらしい上着の下に武器を隠し持っているのだろうか?
 しかし、服装のラインが自然なので、持っていたとしても小さい武器だろう。
 そんな武器で烈海王に勝てるのか?
 いや、もちろん本部は勝つ気マンマンっぽいけど。

 とにかく、本部がやってきた。
 このあと どうなる。
 まったく予想がつかない。
 この勝負は刃牙世界の秩序を破壊するような一戦になりそうだ。

 そのころ宮本武蔵は落ち葉を刀で斬るに飽きたらず、新たなモノを斬っていた。
 鳥が落とした、羽毛を真っ二つ!
 宮本武蔵は羽毛すら斬ることができる。できるのだ!

 せっかく烈が会得した消力(シャオリー)だが、武蔵には通用しないっぽい。
 自信たっぷりに「ニッポンのサムライよ、貴様の剣技など400年前に通過している! 存分に斬りつけたまえ!」と言わんで良かったな。
 本部さんのナイスフォローで恥をかかずにすんだ。

 だが、神心会にやってきた本部は新たな嵐をまきおこすだろう。
 本部も羽毛を斬ることのできる戦士なのか?
 失敗したら、本部のほうが赤っ恥だぞ。
 多くの不安をかかえたまま、次回につづくのだった。


 本部が直接道場に乗りこむとは思わなかった。
 つまり、徳川さんに相手にしてもらえなかったから、直接きたって事ですよね?
 やっぱり烈海王に機関銃(マシンガン)の装備をすすめるのだろうか?

 本部といえば闇討ちだ。
 夜の公園で人知れず戦い、範馬勇次郎に凹まされることが定番である。
 定番といっても二回しかありませんが。
 ……二回もあれば充分か。

 道場に乗りこんだというあたりが、本部のあせりと自信を感じさせる。
 あせりとは、烈海王の危機を察知し、少しでも早く守護(まも)ろうとする心だ。
 他流の道場に乗りこむということは集団で殴り倒され殺されても文句が言えない。
 そんな状況に飛びこんでも無事にかえるという自信を感じる。

 本部の自信は、どんな理由で支えられているのだろう。
 いや、単に思いあがっているだけかもしれないけど。
 本部も武器を持てば、けっこう強い。
 やはり、自信の源は武装にありそうだ。

 いまの本部はどう見ても素手だ。
 武器を持っていない。
 道場内から見えない死角に機関銃(マシンガン)を隠しているのだろうか?

 本部以蔵の大言壮語には根拠があるのか?
 そして、本部は本当に強いのか?
 本部が烈海王を圧倒したら、1000回を超える刃牙シリーズの歴史が変わるといっても過言じゃないだろう。
 歴史は変わるのか、変わらないのか?
 本部は歴史の破壊者だ。守護(まも)るどころじゃない。

追記 (15/2/11)
 本部以蔵が緊急参戦だ!
 というか、なにしに来た。
 喧嘩を売りにきたようにも見えるが……

 武器を持った本部は、たしかに強かった。
 だが、武器も使える中国武術グループに勝てるのだろうか?
 ものすごいフルボッコにされて泣きながら逃げ出すようなコトはないと思う、けど。

 しかし、なんで本部は勇次郎すら守護(まも)るなんて言ったかな。
 勇次郎さえ混ぜなければ、こんなに本部の精神を疑うことは無かったのに。
 だって、勇次郎にはボキバキに負けてんだよ。

 逆に、ここで勇次郎の名を言わせたところに板垣先生の天才性があるんだろうけど。
 ほんの少しの異物を混ぜることで全体の印象がガラリと変わってしまう。
 応用の効きそうなテクニックだ。

 本部も、ほんの少しの改良でスーパーに強くなったのだろうか?
 「中国4000年」「片腹痛い」だもんな。
 この言葉通り、烈や郭の腹をえぐれるのか!?
 あ、でも、今は武器を持っていないよね。
 泣きながら逃げ出すか。


2015年2月12日(11号)
第4部 第48話「超越(こえ)てゆきねぇな」 (1027回)

 剣豪・宮本武蔵は宙を舞う羽毛すら両断するッ!
 羽毛のように軽やかな身のこなしを会得した烈海王も、これなら真っ二つだ。
 刀を抜くには、腰を切る。腰で抜く!
 宮本武蔵らしい達人的な解説でした。

 居合い術は腰を切るとか、腰で抜く、と言われる。
 龍書文のハンドポケット術もおなじ原理だった。(バキ24巻 208話
 つまり、中国武術も通過している技術なのかも。

 だが、武蔵は郭海皇ですらできなかった羽毛斬りを成功させている。
 武蔵は、ナニかまだ秘密を隠しもっていそうだ。
 音速を超える剣とかやりそうだよな。
 佐々木小次郎を倒したのは、音速を超えた木刀による衝撃波であった! とか。

 明日、地下闘技場で初の武器解禁試合が行われる。
 徳川さんは大流血の予感に戦慄するのだった。
 戦国を勝ち抜いた巨凶・徳川の血が、これからおきる悲劇を感じとったのか?
 烈が、また身体の一部を失いそうな予感がする。


 武蔵と戦う予定の烈海王は羽毛の身軽さを会得して喜んでいた。
 それを全否定しにきたのが本部以蔵である。
 他人の道場に入っていきなりのダメ出し!
 命がいくつあっても足りない無謀な行為だ。
 いや、さすがに殺されはしないか。骨の二三本は覚悟しておいたほうが良いだろうけど。

「アンタそんな――――」
「曲芸まがいの軽業で」
「本気で宮本武蔵の剣を封じられるつもりか」


 言っちゃった!
 たしかに実用というよりは、見世物っぽい曲芸技だと思っていたよ。
 でも、さすがにそれをツッコムのはヤボだ。
 せいぜい、消力(シャオリー)って弱点多いよねーぐらいのコトしか言えない。

 だが、本部以蔵はハッキリといった。
 消力(シャオリー)は「曲芸まがいの軽業」だと。
 さすが本部!  おれたちにいえない事を平然とやってのけるッ!
 でも、やっぱ、マネはできないだろうな。地雷原でダンス踊るようなたぐいの度胸もって無いので。
 ……本部さん、怖くないのか? それとも、アホなの?

「これこれ」
「日本の古きスタイルを重んじる武のお人よ」


 無礼な本部の発言に郭海皇が異議をとなえる。
 初見で本部の流派を見破った。
 そのことに克巳が驚愕している。
 関係ない人に汗三滴のダメージを与えるとは、郭海皇おそるべし。

 足運びとかに古流柔術の特徴があるのだろうか?
 投げを重視する柔術は、すり足という特徴がある。
 ダウンしたら一時休止になるボクシングなどとは足運びがおのずと違ってくるのだ。

 郭海皇のことだから、この無礼なヒゲ親父を、どう叩きのめしてやろうかと脳内シミュレーションしてるんだろうな。
 古流柔術のあやし方もカンペキだ!
 やはり今日の本部さんは、骨折二桁コースか?

 本部さん曰く、戦国の武は負けたら死ぬ。
 厳しいからレベルが高い。
 何度も負けることができる現代武術とは次元がちがう。

「多くが抜け落ちたまま伝わる現代武術」
「未熟だろうが」
「不十分だろうが…」
「旧式でヤルしかねェんだよォ!!!」


 本部が吼えた!
 このタイミングでかよ!
 どこ向けの主張なのか、ちょっとワカりにくい。
 現代に伝わらない古(いにしえ)の超武術に対抗するには、不完全だろうが古流柔術しか無いってコトですかね。

 失敗したときの罰則が厳しくてもレベルは上がらないという話は以前にした。(4巻 33話
 独裁国のスポーツ選手は試合に負けるとムチ打ちとか刑罰を受けるみたいな話を聞きますが、技術が高いワケじゃない。
 負けたら死刑で技術上がるなら、北朝鮮は金メダルをメチャ取っている。

 なにより、敗北という糧を強さにすることができない。
 誰だって最初は上手くいかないものだ。
 人間は失敗から学んで向上していく。
 その学びの機会をうばうことは、全体のレベルを大きく下げるだろう。

 本部は、自分に都合の良い話しかしていない。
 なにが狙いだ?
 これを機に本部流柔術をアピールする気だろうか?
 紛争が起きるとイキイキしちゃう軍事評論家みたいな感じだ。

「降りな」

「機関銃手にしたって勝ち目ねェ」


 で、本部さんから烈への忠告がこれだ。
 徳川さんの前では、烈に機関銃をもたせないとダメとか言っていたのに。
 烈の評価が下がってる!

 そして、また機関銃だ!
 本部、なぜココまで機関銃に固執するんだろう。
 銃の所持が基本ダメな日本で、なぜ機関銃だ。
 機関銃なんて個人じゃ所有できないだろ。
 いや、もしかして、持っているのか? 持ってきているのか!?

 本部の侮辱に烈が怒る。
 いきなり殴らなくなっただけ、大人になったな!
 昔は、もっと些細なことで怒ってケンカを売りにいってたのに。
 だが大人になった烈は、自分にどうしろというのか問う。
 あ、その質問二回目だ。
 会話が噛みあってないのか?

「この本部を」
「超越(こえ)てゆきねェな」


 なんだってッ!?
 それは、自分を踏み台にしろってコトか?
 自分に勝てないようじゃ武蔵にも勝てないから諦めろってコトか?
 いや、その両方かもしれない。

 これは本部vs烈海王のスペシャルマッチだ!
 どちらが勝つのか、まったく予想がつかない。
 金竜山にあっさり負けた本部を思いだせば、烈が片手だけで勝利するだろう。
 柳龍光に完勝した本部なら、烈を倒すかもしれない。
 今日の本部は、どっちの本部だッ!?
 次回につづく。


 はたして本部は正気なのか?
 もちろん、正気だと思う。
 狂っている人は、自分のことを正気だと思っているらしいし。
 いや、そうじゃない。

 素手の本部は大相撲・横綱の金竜山に良いとこなく負けてしまうぐらいの実力だった。
 でも、アレは不運な事故と言うか、普段は神解説できる人なのに自分の試合で知識不足おこすってどういう事よ的な事故です。
 本部は武器を使えば柳龍光を圧倒できる実力をもっているのだ。

 最大トーナメント四強の渋川さんを苦しめ不覚を取らせた柳に勝ったのが本部だ。
 おなじく最大トーナメント四強の烈海王に勝っても不思議ではない。
 い〜や、自然じゃッ!

 ココまでは日本刀で武装した本部の話です。
 で、ココから先が機関銃をもった本部の話だ。

 正直、現代日本で機関銃を持つのは現実的じゃない。
 そもそも銃刀法違反だ。
 あと、簡単に買えないぞ。機関銃はAmazonで売ってるもんじゃない。
 ちゃんとした兵器は最終使用者を証明する書類が必要になる。
 もちろん無法地帯の紛争地域に行けば書類なしで買えるだろうが、日本にもって帰るのが大変だ。

 だが、本部は機関銃を所持している可能性が高いと思う。
 兵器の入手も、現代の"武"だろうからだ。
 戦国の武は、剣・槍・弓矢・鉄砲もあつかった。
 使うだけでなく、作る技術も含まれていたハズだ。
 戦場で武器が壊れたら修理したり、作ったりしないと命に関わる。

 なので、現代の"武"は銃器の入手や隠し方、銃刀法をすり抜ける武器も考える必要があるはずだ。
 本部の機関銃を構えるポーズは見事だったらしい。
 やはり、本部以蔵は、もっている!
 次回、烈海王を蜂の巣ですよ。

 とは言え、本当に機関銃を持ちだしたらヒンシュクだ。
 烈海王といえども泣いて抗議しそう。
 徳川さんだって怒って、腕っこきのハンター100人による一斉射撃をやりかねない。
 兵器というものは、持っていても使えない時があるのだ。

 そうなると、本部は日本刀で烈と試合(しあ)うことになる。
 刀同士の戦いなら、互角か。
 ところで本部さんは、羽毛を斬れるのか?
 なんか、鬼の形相で刀振り回して息を切らし「ごめん。消力(シャオリー)はスゴかった」と謝罪しそう。

追記 (15/2/18)
 本部が古流柔術のスゴさを見せつける!
 これほど不安と期待をごちゃ混ぜにして待った一週間があっただろうか。いや、ない。

 なすさんが中国武術だって命のやり取りをやっているだろうという指摘をしている。
 このへんをツッコむと面倒なことになるんで、今までスルーしてたんですが。

 現代の中国武術はルーツをたどると少林寺に行き着くといわれている。
 少林寺は南北朝に建立された。この時点で四千年の歴史はなく、千五百年ぐらいってことになる。
 しかも、一度戦乱で壊滅しているので、歴史がさらに浅くなるのだ。

 ここで、もう一つ問題が出てくる。
 少林寺って、お寺なの?ってコトだ。
 そう、少林寺は仏教のお寺である。
 インドから来た達磨大師が、仏教のついでに武術も持ってきたということになっているのだ。
 つまり、中国武術ってことでなくインド武術じゃねぇか!

 出自の怪しさを考えると、烈が四千年を強調するたびに、ちょっと失笑してしまう事態になってしまう。
 もっとも、中国では昔から戦乱がよくある。
 史記の刺客列伝などを読むと、あきらかに何らかの戦闘術を学んだ戦士が登場する。
 三国志でも許チョの同郷の部下たちはみな剣術家(原文では「剣客」)であったという記述があった。
 歴史書に残っていない、何らかの武術があった可能性は充分にある。

 じゃあ、なんで歴史書に残らなかったのか?
 それは国民性の差だろう。
 中国では武の立場が低い。圧倒的に低いのだ。
 歴史書を書くのは文人だからってのもあるだろうが、価値観が徹底的に文官よりだ。

 朱徳は、体育教師になると言っただけで親が泣いて反対するほど肉体労働者階級は低く見られていた。(高島俊男「中国の大盗賊」)
 と高島俊男がイロイロな本で書いているので、まあその通りなのだろう。

 ただ、庶民はけっこう武人が好きっぽい。
 楊家将演義は、どんだけ忠義を尽くし国を守っても不遇な楊家の話だ。
 終盤になって、何度助けても国は自分たち武人を冷遇するから、もう助けないと言い出すシーンがある。
 この辺は高学歴エリートに搾取される庶民の心情によりそった告白だろう。
 三国志でも、曹操の息子・曹彰は戦士として生きたいと言い出して家族を困らせている。

 ただ、やっぱり全体として武人は不遇だ。
 日本では鎌倉幕府から武士が政権をとり、いわば軍事政権が続いている。
 価値観として、武の比重が大きい。日本の感覚では、向こうの事情がちょっと分かりにくい。

 じゃあ、中国武術を学ぶ人は居ないのか。
 となると、また難しい話になる。
 中国は広すぎて治安が行き届かないのか、やたらと叛乱が多い。
 とくに異民族が支配しているときは、秘密結社となって地下組織になる。
 どうも、この手の地下組織と武術が結びついている気配があるのだ。

 最初に刺客列伝と書いたが、やっぱり国家組織ではなく闇に潜む任侠な存在が個人の戦闘技術として武術を学っぽい。
 武侠小説も、そんな話が多いですね。
 武術に入門するのも、秘密結社に入会するのも、カルト教団に入るのも、儀式めいたことをするってあたり共通点が多い。
 叛乱組織・秘密結社とカルト教団もかなり同一っぽい部分がある。
 やっぱり歴史書にのる話じゃないんで、かなり推測で書いていますが。
 ちなみに、黄巾賊は道教系、明の母体は仏教系の白蓮教太平天国はキリスト教系と、宗教がらみが多い。

 やっぱり、ややこしい話になって申し訳ないんですが、中国四千年の武術と言っちゃうと、背景がこれだけ怪しくなる。
 烈が歴史を持ちだしたとき、本部さんが根拠を問うたら、面倒なことになりそうだ。
 歴史問題に関しては流して、闘争を楽しむのが肝要じゃなかろうか。

 で、本部さんはちゃんと楽しめる戦いができるんだろうか?
 消力(シャオリー)に手も足も出ないって展開だったら……。
 それはそれで楽しいかもしれない。


2015年2月19日(12号)
第4部 第49話「水準(レベル)」 (1028回)

 烈海王は現代によみがえった宮本武蔵と武器アリで戦うことになった。
 そこにあらわれたのが、実戦柔術の雄・本部以蔵だ。

 本部は無謀な戦いに向かう烈を止めにきたようだ。
 俗に言う、先に進みたければオレを倒していきやがれ! ですな。
 え〜と「ここはオレにまかせて先に行け」は死亡フラグっぽいが、この場合どーだろう。

 烈のほうは、本部と戦いたくないらしい。
 本部が弱いから。
 格下をイジメるのは強者のやることじゃない。
 金庸の武侠小説でも師匠世代の人間は弟子世代と戦わないと言っている。
 「黄河は水たまりを叱りはしない」というし。いや、烈の考えはちがったか。(G刃牙22話 191話)

 だが、本部は本気だッ!
 いきなり烈の射程範囲内に入ってくる。
 我が撃てる距離は、すなわち彼も撃てる距離だ。
 いきなり抜き身の真剣を突きつけられたような状況である。
 戦士としての本能が烈に攻撃をさせた!

 右拳の攻撃だッ!
 人間はとっさのときに利き腕が動く。
 だいたい人間の9割が右利きなので、烈も右利きなのだろう。
 右手を動かしたのは、ちょっと慌てていたようだ。
 蹴りでなく腕ってところも、たやすく間合いに入られた感がある。

 仕掛けた本部にとって、この攻撃は撃たせた打撃だったのだろう。
 来るとワカっている攻撃など、よけて当然じゃ!
 頭だけを動かし、かわす。
 そして肩とアゴで烈の腕をはさみ、ヒジに掌を打ちこむッ!
 これは刃牙が鎬高昇の腕を折ったときと同じパターンだ。G刃牙3巻 25話)

 だが、烈は舞った!
 撃たれた速さで飛び上がり、打撃を無効化する。
 消力(シャオリー)か!
 いや、羽毛のように軽やかじゃない。
 かなり強引な緊急脱出だった。

 身体を弛緩させ、軽やかに攻撃をかわす。
 それが消力(シャオリー)という防御方法だ。
 相手の身体をつかみながら殴れば無効って弱点が、すぐに思いつく。
 とりあえず烈は、その弱点をクリアしたようだ。
 本部にしても、これは最低限クリアしてもらいたい攻撃パターンだったのだろう。

「む………」
「無事…ッッ」
「……ッッ」
「凄まじい…」
「危うく肘を破壊されるところだった」


 烈も思わずダメージチェックをしてしまうほど、ギリギリの攻防だった。
 って、本部さん強くね?
 いや、もちろん強いのは知っていた。
 だけど、それは加藤相手なら楽勝とか、武器もてば強いとか、そういう水準(レベル)の話だ。
 素手で烈海王に冷や汗をかかせるレベルだったのか?

 あ、いま加藤に楽勝と書いちゃったけど、ちがうかも。
 本部が自分より才能があると認めた弟子の花田が加藤にタマつぶされて負けている。
 加藤と戦ったら負けるかもしれないレベルだ。

 武器をもっていない本部がなんでこんなに強いのか?
 謎は謎として、烈がふたたび攻撃する。
 右の手刀、いや掌か?
 変わった攻撃で本部の顔を狙うが、本部は不動でガードし、即座に腕を取る。

 烈が蹴りから入らなかったのは柔術の投げを警戒しているのだろうか?
 フェイントもなしに撃った右は、受けられて当然の攻撃だ。
 ならば、受けてどうするか?
 受けられて、どうするのか?

 本部は烈の腕をとり、すぐに関節を狙う。
 だが、関節を取るため両手を使ったのが痛い。
 防御がガラ空きだ。
 烈はすかさず、腹に左拳を叩きこむ。

 入ったッ!
 本部が喰らってしまったぞ。
 武の達人は歳をとってもやっていけるが、現役選手にゃ引退がある。
 理由はスタミナや耐久力だ。
 打たれる覚悟で出場する試合では、どうしてもダメージの与え合いや、スタミナの削りあいになりやすい。
 歳をとって体力が落ちると、試合に耐えられなくなるのだ。

 なので年齢的に達人っぽくなってきた本部が攻撃を喰らうのはマズい。
 これはゲロってのたうちまわるパターンか?
 と、思ったら本部はとった腕をそのまま関節技にもっていった。
 予想外の頑丈(タフ)さだ。

 だが、烈も黙って腕を極められる男じゃない。
 そのまま身体をまわして、関節から逃げつつ蹴りで反撃だ。
 これは本部の弟子が加藤にやられた展開に似ている。(G刃牙2巻 9話)
 さっきからのシンクロニシティーは、なにかの予兆だろうか?

(強い…ッッ)
(烈さんの強さは当然として…………
 本部以蔵とはこんな水準(レベル)だったのか!!?)


 愚地克巳も驚愕する本部の強さだ!
 やっぱり、驚くよね!
 そりゃ、驚くよねッ!


 私たちは本部が柳を圧倒したことを知っている。
 だが、克巳が知っている本部は、金竜山に踏まれて負けた所だけだろう。
 あの日の本部はかなり、どうかしていた。
 今日の本部こそが、真の本部なのだッ!

 いや、それも違うな。
 本部は確かに強いが、素手でここまで強くなかったハズだ。
 ちょっと山籠りしたぐらいで、ここまで変わるのだろうか?

 技は本部の本来の動きっぽい。
 ならば、スピードが増したのか、洞察力が上がったのか?
 ここに独歩がいたら、謎の解答をくれただろう。
 少なくともヒントや仮説ぐらいは出す。
 残念ながら、この場に本部が急に強くなった謎をとける人間はいなかった。

 反撃の蹴りを頭にくらい、本部はダウンした。
 息が乱れ汗をかいている。
 だが、それは烈も同じだ。
 本部だけがダメージを受けているものの、攻防はほぼ互角か?

「さすがは烈 海王…………」
「俺以上…………………なのだろうな」
「しかし」
「武蔵以上…
 じゃねぇ…」


 鼻血を出しながらも、本部が不敵に笑う。
 勝負は実力だけで決まらない。
 本部は柳に技量で劣っていると自覚しながらも、余裕で勝った。(バキ18巻 155話

 柳のときは精神論を語っていたが、ありゃ半分ウソだろうな。
 平直行は引退試合で「普通にスパーリングやったら、全然敵わない相手」と戦い、勝っている。
 勝てない相手でも、何とかしちゃうのが、経験値や"武"やプロの凄さなのだ。(平直行の格闘技のおもちゃ箱
 本部も力量ではなく、駆け引きで勝っていたのだろう。

 そして、武蔵の名を出した本部は自分の指をにぎる。
 武蔵が見せた、イメージ剣の構えだ。
 これは偶然の一致なのかッ!?
 それとも、本部と武蔵はつながっているとでも……

 衝撃ッ!
 本部は背後から郭海皇に殴られ失神した!

 えぇ〜〜〜〜ッッ!?
 いま、大事なところだったのに。
 海皇さま、なんてコトをッッ!

 郭海皇は本部が強敵と見抜いていた。
 烈海王であっても無傷ですまないほどの難敵だ。
 これ以上は明日の試合にさわる。

「無傷で比武の場に立つ」
「当然の礼儀じゃ」


 郭海皇がさとした。
 当然の心がけなんだろうけど、礼儀じゃないな。
 ギリギリの勝負では可能な限り相手の妨害をするのが、武だ。
 毒を盛ったり、傾国の美女をけしかけたり、と なんでもする。
 郭海皇の言葉は建前なのだろう。

 なにかを伝えようとした本部は轟沈した。
 あの構えはあきらかに武蔵と関連があったぞ。
 ちゃんと戦っておけば良かったと、あとで泣くことにならなければいいのだが。

 時間は飛んで、翌日だ。
 異様な空気に包まれた地下闘技場で試合がはじまろうとしている。
 けっきょく武蔵のへ日本刀対策が完成していない。
 それとも、行間で修行していたのだろうか?
 時は無常にながれ、試合がはじまろうとしている。
 次回につづく。


 本部の強さはなんだったのだろう。
 知らないうちに、武蔵に弟子入りしていたとか?
 この謎はちゃんと解決しておかないと、あとで困りそうだ。
 気絶した本部をちゃんと確保しているのだろうか?

 郭海皇は目前の危機を回避しようとして、もっと大きな危機にぶつかるかもしれない。
 ケガするから危ないと言っていましたが、アンタだって真剣ふりまわして特訓してたじゃないか。
 さすがの郭海皇もボケがはじまってきたのかも。

 結局、剣対策が不安なまま試合がはじまりそうだ。
 徳川さんのご好意で闘技場の横に外科医がスタンバイしているんだろうか?
 流血の予感は当たってしまうのか?
 背後から攻撃されて気絶した本部が復讐で乱入してきて烈を斬る、なんてコトもありうるかも。

追記 (15/2/25)
 本部の強さが止まらない!
 素手で烈海王とほぼ互角に闘い克巳すら驚愕させた。
 その活躍に業界が激震しているッ!

 そんなワケで多数のコメント・書き込みで多くの意見をいただいています。
 自分以外の感想ってのは違う角度からの分析で、興味深くかつ参考になるものが多い。
 で、大雑把に分けると、本部はもともと強いよ派と、本部は強くなかったよ派になるようです。

 本部の強さを論じるときに問題となるのは、次の二点だろう。
(1) 本部が天才と認める弟子・花田純一は負けてばっかりだ
(2) 本部は金竜山に負けた

 この二つの問題をクリアしないと、本部が強いとはいえない。

 まず、(1)は簡単だ。
 本部に見る目が無かった。
 実際、本部は実力を読みとる点で、間違ってばかりだ。

 花田が弟子の中でイチバンの天才だったのは間違いなかろう。
 ああ見えて本部にはけっこう弟子がいる。
 その中でダントツの才能だったのだろう。だから、天才だと思っちゃった。

 もっとも、仕方が無い部分もある。
 花田の実力は加藤よりチョット劣るぐらいだ。
 最大トーナメントならムエタイ勢のかわりに出場できるぐらいの実力はあったハズ。

 加藤は100万人いる神心会の中でも上位五名に入るぐらい強い。
 いわば、20万人に一人の実力者だ。
 花田を10万人に一人の天才と思っても仕方あるまい。
 ある意味、正解だし。

 で、(2)の金竜山問題はむずかしい。
 実際に戦って負けている。

 本部が力士によって小指が命であることを知らなかったことが敗因だ。
 と、言うだけでなく、それ以外の攻防でも本部は遅れをとっていた。

 これは相性の問題かもしれない。
 相撲という立ち技とパワーに特化した格闘技は、日常での戦闘を想定している武術にとって、非日常的すぎるのかも。
 そもそも、相撲は日本における最古の格闘技と言えるかもしれない。
 本部の古流柔術よりも、もっと古い。
 古流柔術の技は、とっくの昔に通過されていたのかも。

 そう考えると、二つの不運で本部は不当に低く評価されていたのかもしれない。
 これからは本部のことを烈海王に負けず劣らずの実力者として見ていこう。
 背後から殴られて気絶している本部を見下ろしながら、そう思うのであった。


2015年2月26日(13号)
第4部 第50話「解禁」 (1029回)

 東京ドームの地下には隠された地下闘技場がある!
 水戸黄門・徳川光圀の時代からつづく地上最強をきめる闘争(たたか)いの聖地だ。
 もともと江戸時代にはじまった闘技場なので、昔は武器アリで戦っていたのだろう。
 だが、現代の管理者・徳川光成は、武器の使用以外なんでもアリのルールで運営されている。

『金的………』
『目突き……』
『噛み付き……』
『全て可!!!』
『十分だろそれで……!?』


 今日の地下闘技場は様子がちがうッ!
 中央にもられた土には剣や槍やヌンチャクや鎖鎌や蛇矛方天戟など、さまざまな武器が刺さっていた。
 江戸時代への原点回帰で、武器解禁だッ!

 目突きや、玉突きで、十分以上にヤリすぎている気がする。
 一度砕けた玉は、二度ともとには……
 だが、今夜はさらに上だ。
 決着が死に直結しかねない、武器での勝負である。

 流血の予感に、さすがの観客も戸惑っている。
 ここの観客はキッツイ闘争が大好きな連中だが、さすがに引いているらしい。
 たたかう姿は見たいが、死ぬ姿を見たいワケじゃないってことだな。

 会場には渋川剛気、鎬紅葉、ジャック・ハンマーたちの姿も見える。
 戦士たちも今日の戦いへの興味が強いようだ。
 渋川さんには、今回の解説を期待して良いのだろうか。

 ジャックはなぜかサングラスをしている。
 骨延長手術で、2m40cmぐらいの巨人になっちゃった男だ。
 ジャイアント馬場が変装しても無意味なように、ジャックもサングラスかける意味がなさそうなんだけど。
 無駄に長身にしちゃって、照れがあるのかも。

 愚地独歩の姿は確認できない。
 完全敗北のショックからまだ立ち直れていないのだろうか?
 鎬昂昇、花山薫、ガイアなどの強者たちも姿がない。
 昂昇はなぜ居ないのだろう。紅葉のとなりにこっそり座っているかもしれないが。
 花山とガイアは試合向きの人じゃないので、見学に来ていないのかも。

 武器アリで行われる今日の試合に出場する一人は、烈海王だッ!
 控え室で静かにたたずむ烈に声をかけたのは、範馬刃牙であった。
 刃牙も型を見直す修行中だったハズだが、試合と聞いて出てきたようだ。

 烈は試合前でも準備運動をしない。
 突然襲ってきた敵に「準備運動するから待ってくれ」などと言っても待ってくれないものだ。
 なので武術家は家を出たら常に戦える心構えと身体の準備をする。
 烈海王は武術家なのだ。

 刃牙は烈の上着にも注目する。
 さまざまな武器を仕込んでいそうだ。
 烈海王は上半身裸で戦うことが多い。
 今回は上着を着ているので、武器がイロイロ出てくるっぽいぞ。

 対戦相手は現代に復活した宮本武蔵だ。
 武蔵と戦うなら、武器アリでしょ!
 相手の土俵に乗りこみ戦うという意識が烈海王らしさだ。
 つまり、相手が女装ファイターだったら、自分も女装して受けて立つって事だな。いや、ちがうか。

「侍なんだから刀剣(かたな)使用(つか)ったらいいじゃん」
「その一言が」
「俺には言えなかった」
「さすがです…」


 刃牙が素直に烈を賞賛している。
 ほめられて烈もちょっと嬉しいだろうな。
 昨日、本部にダメだしされた時とは大違いだ。

 ただ、刃牙と烈では条件がちがう。
 刃牙は父親を素手で倒すために修行をしてきた。
 だから武器の使用も、武器への対処も、想定外なのだ。
 逆に烈は武器の使用も得意である。
 刃牙と烈の違いは、勇気の差というより武器経験の差だ。

 武蔵と戦い、刃牙は敗北した。(4巻 31話
 自分のリベンジより先に武蔵が倒される心配はしていないのだろうか?
 烈が負けるという確信があったりして。
 それとも、烈の勝敗がどうであれ、自分は素手で武蔵を倒すと誓っているのかも。
 素手で宮本武蔵を倒す!
 日本の武道家であれば、ぜひ達成したい偉業だ。

 烈海王も武蔵の強さは体験済みだ。
 素手同士であっても、自分より強いかも。
 だが、戦士は勝てるから戦うのではない。
 勝てるかどうかワカらないから、戦うのだ。
 烈海王が出陣するッ!

 って、本部が出てこなかったな。
 烈は武蔵に敗れると予言し、止めにきた男だ。
 せめて攻略のヒントをくれれば良かったのに。
 殴られて気絶したあとで、ジャマしないように縛られているのだろうか?

 背後から殴られたお返しとして、烈を背後から襲うんじゃないかと 期待 心配していたのだが……
 本部が武蔵と同じ構えをしたのは、偶然と思えない。
 なにか裏があるのかも。
 もし、本部が武蔵サイドの人間で烈の心を乱すために近づいたのだとしたら……
 いや考えすぎだな。とにかく、早く起きて地下闘技場まできてください。


 宮本武蔵も出陣の準備をしていた。
 武士といえば、たすきがけだッ!
 まさに死合への正装といったところか。
 数多の切傷が、この男のただならぬ戦歴を物語っている。

 これから武器をとって戦うというのに、微塵の気負いも恐怖もない。
 むしろ、楽しげに見える。

「未熟者ゆえ」
「明鏡止水とは程遠い……ッッ」
「こみ上げる昂りを止められぬ」
「斬り結ぶ歓喜(よろこ)びに一点の曇りなし!!!」


 曇りなしかよ!
 斬る気マンマン、気合満タン、タンタンメンだよ!
 独歩と戦ったときは、当てるだけ殺法で血を見ずにすんだが、今日はムリっぽいな。

 とうぜん烈も斬る気で戦うだろう。
 今宵の戦いは、流血する。
 本部が乱入しなくとも、大出血が起きかねない。
 次回につづく。


 予想外に刃牙まで応援に来て、オールスター集合のおもむきですね。
 ピクルのときとか、応援する人が増えるとダメージも多かったような気がしますが。
 そもそも、克巳が来ていないんだけど どうした?
 克巳は本部を止めるために残っているのだろうか?

 居ない人間といえば、勇次郎だ。
 ぜんぜん武蔵と絡もうとしていない。
 息子・刃牙と和解できて、満足して闘争(たたか)いへの飢えが満たされちゃったのかも。

 いっぽうの刃牙は、父・勇次郎と和解できて心境の変化があったのだろうか?
 強くなる目標を失ったのだが、トレーニングを続けている。
 武蔵に敗北してからは、打倒武蔵という目標を得て、より熱心になっているようだ。
 この試合を見ることで刃牙は新たな進化をするのだろうか?

 刃牙流格闘技を進化させて、刃牙道という武術を完成させる、かもしれない。
 そうなると武蔵道と刃牙道の対決になりそうだ。
 刃牙道の加藤と、武蔵道の本部が戦ったらどうなるのかッ!?
 なんて夢もふくらむ。
 ひとつ言えるのは、刃牙道も武蔵道も、ムエタイお断りなんだろうな。

追記 (15/3/4)
 バキ世界で、初となる剣対決だッ!
 初だよね、たしか?

 本部vs柳は、日本刀vs鎖鎌だった。
 烈vsドイルは青龍刀(柳葉刀)と隠し刃だ。
 今回こそが、初の剣対決だぞ!

 剣対決ってのが、すでにレアなんだけど、対戦カードが宮本武蔵vs中国武術というムチャな組み合わせだ。
 もう、予想すらできない状態になっている。
 サムライと中国武術が戦うパターンってのはなかなか無い。
 元寇でモンゴル軍が攻めてきたときとか、倭寇で日本人が荒らしまわったときに、あったかも知れないが、どうだろう。

 板垣先生は第一空挺団として、戦場格闘技にも精通しているハズだ。
 ナイフや銃剣での戦闘もお手の物だろう。
 現代日本人のなかでは、真剣勝負に対する取り組みが格段に高い人だ。
 かつて無いほどのリアリズム溢れる真剣勝負が描かれるかもしれない。

 もっとも、読み手に真剣勝負の知識が無いとリアルかどうかわからないんだろうな。
 『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』(AA)のコメンタリーでクリストファー・リーは特殊部隊に居たときの経験から、背中を刺された人間は身体を丸めるという演技をしたそうだ。
 でも、背中刺された人間を見たことないんで、リアルかどうかワカらんよ!
 フィクションの描写は、あるていど地に足の着いたリアルさ加減が必要なのかもしれない。



・ おまけ
第1回グラップラー刃牙検定がチャンピオン誌上でも大々的に告知を始めた!
練習問題やってみたけど2級は真剣にムズい!
参加する人は予習・復習が必要だ!



← 31話〜40話  ↑最新↑  51話〜60話→
バックナンバー 過去 どげせん エクゾスカル零 Gロボ 餓狼伝 疵面 みつどもえ blog 掲示板 Twitter リンク12 TOP

和書
コミック

 チャンピオン 
ジャンプ
マガジン
サンデー
RED
 板垣恵介 
夢枕獏
山口貴由

DVD
アニメ
CD
 ゲーム 
DS
PSP
Wii
PS3
360
PS2
PCゲーム
 PCギャルゲー 
フィギュア
パソコン
テレビ
メディア
家電
サプリメント
板垣恵介の激闘達人烈伝 板垣恵介の格闘士烈伝
駿河城御前試合 獅子の門 雲竜編 (カッパ・ノベルス)
管理人:とら  連絡先(E-mail):E-Mail
【特定電子メール法に基づく表示】広告メール、迷惑メールの送信はお断りします