刃牙道「151〜160話」感想

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2017年3月30日(18号)
第4部 第151話「恐慌」 (1130回)

 現代によみがえった剣豪・宮本武蔵と日本の警察が激突だッ!
 対日本刀の訓練をつんでいない警察隊はなで斬りされてしまうのか?
 殺戮の幕があけようとしている。

 STAT(特殊戦術急襲部隊)隊長の警視・島本頼至の背後に武蔵が、いるッ!
 ふりむいたと同時に、袈裟斬りだッ!
 島本の身体がほぼ両断される。
 今宵、第一の殺人だ。
 さらに武蔵が刀を振るい、STAT隊員の両腕が斬られた。
 凄まじい殺戮だ。

 もう武蔵は人斬りをためらわない。
 江戸時代だって理由もなく人を斬ったら罪に問われる。
 もちろん、理由があっても罪になるぞ。
 蔵の精神テンションは江戸時代よりもはるかにすさんでいるッ!

 なにが武蔵を、こんなヤケクソみたいな状態に追いこんだんだろうか。
 まあ、知り合いが誰もいない未来に復活したら、人生設計に悩んでヤケクソになるのも仕方がないかも。
 つまり、ぜんぶ徳川さんが悪い。

 STATであっても、人が斬殺されるところを見た人間はいないだろう。
 斬殺されるという覚悟が足りなかったのか、STAT隊員たちは恐慌をきたす。
 12台の装甲車に8人ずつ乗っているとして、96名の隊員が大混乱だ。

「こっちだッッ」
「5号車後方ッッ」
「斬られたッッ」
「包囲しろッッ」
「囲むなッッ」
「誰が斬られた……!!?」


 包囲するのか、しないのか、どっちだッ!?
 隊長が斬られて指揮系統が混乱している。
 いや、そもそも対武蔵の作戦が無いっぽい。
 包囲して銃撃するのか、包囲せずに銃撃するのか、決めずに来たのか。
 いや、包囲するかどうかはともかく、銃撃せずに斬られる計画だったりして。

 普通なら、事前にシミュレーションして作戦をたてる。
 武蔵はボルトなみの速力と仮定すると、100mを10秒で移動するだろう。
 自衛隊では動いている目標を狙って撃つまでに4秒かかると教えている。(「できるかなリターンズ」「逃げたいやめたい自衛隊」情報が古いかも)
 ならば余裕を考えても、武蔵とは50mの距離が欲しい。
 包囲はともかく、50m以上離れたところから、銃弾の数で圧倒する。
 これが誰でも思いつく簡単な作戦だ。

 だが、STATは数と装備におごり、ゼロ距離への接近をゆるし銃撃できない状況にした。
 STATの油断と武蔵の兵法が奇跡の斬殺を生みだしたのだッ!
 伝説の剣豪・宮本武蔵が大虐殺をするシーンを見たいという誰かの要求を忖度(そんたく)して、こういう事態になっていたりして。
 忖度は秀吉の時代からつづく日本の伝統芸ですね。

「撃てッッ」
「撃つなバカッッ」


 相変わらずノープランだ。
 こうなってはSTATも木偶人形とかわらん。
 あとは大人しく順番に斬られていくだけだ。

 武蔵の剣が、首を刎ねるッ!
 袈裟斬りだ!
 両腕を飛ばす。
 両足を斬った。
 突く!
 唐竹割りだッッ!
 人体切断のバーゲンセール状態じゃッ!

 武蔵を見失い、武蔵を止められない。
 いまだに一発の銃弾も撃てないSTATは全滅の予感にふるえるのであった。
 武蔵も現代の武士たちが、これほど非実戦的だとは思っても見なかっただろうな。
 このままだと、武蔵のおかげで日本の殺人件数が劇的に増えてしまいそうだ。
 2012年の殺人被害者は383人らしいので、武蔵が100人斬ったら1/4を担当したことになるぞ。

 けっきょく全滅するなら、同士討ち覚悟で発砲するのか?
 警察はどこまで撃たずにたえられるのだろう。
 次回につづく。


 予想通り、いや予想以上に警察が弱味を発揮して全滅しようとしている。
 発砲できないのに銃を持ったせいで、無抵抗のまま斬られていくしかないのだろうか。
 日本人に合う装備は、やっぱ日本刀って事なんですかね。
 今後の警察は、拳銃を使わず日本刀と手裏剣で武装したらどうか。

 弓矢・鉄砲の多数相手と戦う時の常套句「撃つな、味方に当たる!」は今回も健在だ。
 相手をかこんだ時、水平に撃つから味方にあたる。
 ならば、敵の足元やヒザから下を狙えば、弾が外れても地面に当たるので同士討ちにならない。
 子供のころから、なんで足を狙わないのか不思議で仕方がなかったんですが、美意識の問題なのかも。

 同胞をこれだけ殺されたら、もう武蔵は日本人全員の敵と言っても良いだろう。
 ガッチリと根拠もできたことだし、今度こそ射殺して良し、だ。
 とりあえずヘリから狙撃してみようか。
 あ、でも装甲車がジャマをして当たらないという展開が待っていそうだな。

 とくに悪いことをしていない警察官たちを斬殺するから、後味が悪い。
 中東のISとかに潜入して、テロリストを斬りまくったなら、もっと爽快だったかも。
 武蔵が戦える場を提供しなかった徳川さんの責任が、やっぱり大きい。

 しかし、被害が大きくなりすぎて、もう刃牙の手に負えなくなっちゃった気がするぞ。
 気持ちとして、刃牙はすでに行動しているらしいが……
 もしかして、これって刃牙の夢オチだったりして。
 徳川邸で刃牙が武蔵に倒されたときから、今までずっと夢の中だ。
 刃牙の夢にしちゃ、刃牙自身の出番が少なすぎるが、それも刃牙らしさですね。

追記 (17/4/5)
 イギリスやロシアのテロもそうだけど、結構な死者が出ると海外のメディアも取材にくる。
 国内でも、あれだけ死傷者出すと、犯人についての関心も集まるだろうし、素性がバレるかも。
 武蔵が殺すであろう約100人にはその倍以上の家族や友人がいるだろう。
 数百人の遺族が真相の説明を求めたなら、やっぱり原因追及にもなるだろうし。

 そうなると、やっぱり徳川さんが反撃して、新徳川幕府を再建する流れになるような。
 新徳川幕府の公約は、武器の使用以外すべてを認めます! か?
 あ、それだと武蔵もダメだな。

 大統領を襲撃したバキが普通に生活しているし、武蔵もわりとスルーされちゃうのかも。
 数百人の遺族が多少訴えても、最強の剣豪が斬殺しまくるのを見たいという大義の前ではゴミ同然だろうな。
 天下を取るには、数万の人間を平然と殺せる精神性が必要なのだ。

 一人殺せば殺人者で百万人殺せば英雄となる。
 って言葉がありますが、日常で人を殺している限りは犯罪者だ。
 武蔵の殺人を肯定できる場所は戦場しかあるまい。
 徳川さんにできる事は、武蔵を海外逃亡させて紛争地域に傭兵として送りだすことぐらいだろう。

 かつての範馬勇次郎がそうであったように、金でもなく、名誉でもなく、ただ殺戮のために戦場をかける野獣の誕生だ。
 ついでにピクルも連れて行ってあげれば、戦場に野獣が二匹になる。
 それを勇次郎がひきいたら……、火器をつかわず国をつくれちゃうかも。

週刊少年チャンピオン2017年18号 [雑誌]
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2017年4月6日(19号)
第4部 第152話「瞬斬」 (1131回)

 現代によみがえった剣豪・宮本武蔵とSTAT(特殊戦術急襲部隊)が激突する。
 だが、銃に不慣れなSTATは発砲できない。
 このまま武蔵に全員斬られてしまうのか?
 まあ、最終的に全滅するンだろうけど、せめて一発ぐらい銃弾を当てて欲しい。
 う〜〜ん、STATは精鋭なのに期待値が低いな。

 武蔵は、最初に隊長の島本頼至を斬った。
 隊長を失い混乱するSTATにヒット・アンド・アウェイで、少しずつ隊員を削っている。
 武蔵の攻撃に恐慌し、STAT隊員たちは動けない。
 平和な時代を生きてきた日本人は、実戦で戦えない体質になっているのかも。

 隊員は10人はやられたと思っている。
 数えてみたら、前回で少なくとも13人が斬られていた。
 被害を少なく見ているのは、状況を把握できていないって事だろう。
 これは気がついたら、立っているのは自分だけって状態になりそうだ。

「広がれッッ」
「離れろッッ」
「車両から離れろォッッ」

『ここに一人の男が気を吐いた』
『警部 田沼彦二』


 スキンヘッドのSTATナンバー2が指揮を引きついだッ!
 おおっ、ついに命令らしい命令がでたぞ。
 やっと鍛え抜かれた精鋭部隊らしさを発揮するか?

 田沼副長の命令は次の通りだった。
 1号車から6号車(に搭乗していた部隊?)は車両前方に移動する。
 のこりの7号車から12号車は車両後方で待機のままだ。
 2人以上で一組をつくり、車両のスキマを前後から確認する。
 銃撃すべき場所は脚だ。

「膝から下を狙えッッ」

 前回感想で書きましたが、ヒザから下を狙うのはチョット考えれば思いつく方法だ。
 STATがやっと、本気を出す気になり始めたような空気を感じます。(きわめて曖昧)
 なんか、いままでグルグルパンチやノーガード両手ブラリ作戦で戦ってきたボクサーがちゃんと構えてジャブを打ってきたような感じだ。
 このジャブ、まるでジャブのように速いッ!

 でも、この命令も次善の策ですらないんだよな。
 おとなしく全員斬られるまで待機、よりズッとマシだけど。
 現在における最大の問題点は、武蔵を見失っていることだ。
 なんで武蔵を見失っているのかと言うと、自分たちが乗ってきた装甲車が障害物になっているためである。

 だから、最初にやるべきなのは装甲車を移動させることだ。
 12台を、互いに離れたバラバラの位置に移動させる。
 最初に、屋根に武蔵が居るかどうかをヘリコプターから確認だ。
 で、10人とか20人で隊を組んで、装甲車に武蔵がひそんでいないか一台ずつ確認する。
 問題の無い装甲車は、あとで利用されないようにさらに遠くへ移動させよう。
 これなら武蔵を確実に発見できる。と考えるが、どうか?

 装甲車が生みだす死角が武蔵に利用されている。
 ワカっちゃいるけど、やめられない。
 田沼副長は屋根のチェックを指示していなかった。
 で、武蔵は屋根にいた。
 ああ、やっぱり。

 チャンピオンの名作『魔界都市ハンター』でも、実力者のモヒカンが上空への警戒を失念して不覚をとったことあったよな……。
 つまり人間は上空からの攻撃に弱い。
 あのバランスのいい山本選手ですら、中空からの攻撃に反撃できなかったッ!
 そうなると、ヘリから武蔵を狙撃すれば問題解決ですね。

 上空から先手を取ったのは武蔵であった。
 武蔵が吉岡一門と戦った時、先に来て隠れていて、吉岡の大将が来たところに不意打ちかけて斬ったエピソードを思わせる攻撃だ。
 宮本武蔵の魔剣が田沼副長を頭から股まで、両断するッ!
 せっかくマシな行動がとれたのに、指揮官をまた失った。
 足を撃とうと、ついに一人が発砲するが数が足りない。
 武蔵が反撃のヒザ蹴りで撃沈する。

 そして、武蔵が二本目を抜刀したッ!
 宮本武蔵の二刀流だッ!
 なかなか本気を出せないSTATに対して、武蔵は本気の本気で攻める。
 園児が学芸会のためにやっている練習と、プロの役者が大劇場でもっとも緊張する初日に向かう、ぐらいに本気の差があるぞ。
 STATは、このまま全滅一直線か?
 次回につづく。


 あいかわらず、真剣に戦わないSTATだが、少しはやる気になったようだ。
 でも、作戦を今思いついたようにしゃべっているけど、事前の演習をやっていなかったんだろうな。
 なにごとも準備は大事ですよ。

 武蔵は武蔵で、ついに本気の二刀流だ。
 今週の『少年ラケット』でも二刀流が出てきてシンクロニシティーだぞ。
 あと、今週のチャンピオンは「座っているのに勃(た)ってる」状態シンクロニシティーもあったが、刃牙道と関係ない。

 精鋭のSTATだけど、実戦経験が無いから本番に弱いんだろうな。
 武蔵みたいに、超実戦派の人から見たら初心者をイイように斬っている感覚なのだろう。
 上空にいるヘリコプター2機が、もうすこし働いてくれたら助かるんだけど。
 下を見ながら「STATの連中、屋根に武蔵がいると知らず、車の下をのぞきこんでいるよ」と笑っているんだろうか?

 縦割り組織は連携をとれず、能力を発揮できない。
 と言うのは日本のお役所に限らない現象だ。
 中国の清も、末期ごろには軍が弱体化し「敗不相救(負け戦の時に助け合わない)」という問題があったらしい。
 隣の部隊が敗走していても、ヘラヘラ笑って見ているだけだったとか。(中国の大盗賊
 地上部隊とヘリコプターだと管轄も違っていそうだし、仲間意識が弱いのかも。

 しかし、このSTAT(スタット)は本当に精鋭なんだろうか。
 実戦投入していなかったから、幻の精鋭部隊になっていたのかも。
 まさか、本当に出動するときがくるなんて想像もしなかった、って感じで。

 あと、発音がSTAP(スタップ)細胞に似ているのが不吉なのかも。
 人間のクローンとか何とかで、悪い方向にシンクロニシティーしているのかもしれない。
 STAP(スタップ)細胞は、あります!
 STAT(スタット)部隊は、撃ちます!
 ……いつか逆転する日がくるのだろうか。

追記 (17/4/12)
 刃牙道16巻が発売された。
 16巻は刃牙シリーズにしては珍しく話数を入れ替える事態が起きていた。
 具体的には、チャンピオン掲載時の135話「偉大さ」が、コミックスでは142話になっている。
 で、チャンピオン掲載時の136話「騒乱」がコミックスの135話になっている。

 さらに、チャンピオン掲載時の137話「救助(すく)う」がコミックスでは143話になっていた。
 で、チャンピオン掲載時の138話「『戦(いくさ)』だ…」がコミックスでは136話になっている。
 勇次郎と米国大統領の話は番外編みたいなものなので、オマケとして最後にかためて配置したようだ。

 やっぱ、大統領の話は、思いついたから話の流れ関係なく描いちゃったんだろうな。
 例のごとく、編集者が「先生、打ち合わせと違うじゃないですか! 訴えられたら、どーすんですか!」と顔面蒼白になっただろう。
 で、二週間後に、また思いついて ヤっちゃったんだろうな。
 また、編集者が「先生、打ち合わせと全然違うじゃないですか! ミサイル撃ってきたら、どーすんですか!」と顔面蒼白になっただろう。
 
 まさに作者にすら予測不可能な漫画だ。
 個人的には2週間後も、まだパンイチだった勇次郎のほうがジワジワきて好きな。
 むしろパンツが後退している。
 現在はもっと下がっているかもしれない。

 あと、刃牙道140話の懸案事項であった「抜くのはもっと後」発言はそのままだった。
140-1 大塚平兵衛

 大塚は武蔵が抜刀するのを知ったと同時に死ぬ。
 武蔵の抜刀を誰に語れるというのだろう。
 う〜ん、一見矛盾しているようだが、なにか解決策があるのか?
 実は今の展開って撃たれて死にゆく武蔵が見ている妄想だったりして。

「伝説の剣豪も鉄砲には勝てませんでしたね」
「それ戦国時代に通過済み」
「見てください。武蔵さん、良い笑顔じゃないですか」
「最期に良い妄想(ゆめ)を見たようだな」

 だとしたら、死者の数が少ない分だけ平和なのかもしれない。

週刊少年チャンピオン2017年19号 [雑誌]
週刊少年チャンピオン2017年19号


2017年4月13日(20号)
第4部 第153話「絶対的無双」 (1132回)

 現代によみがえった剣豪・宮本武蔵とSTAT(特殊戦術急襲部隊)の死闘もクライマックスだ。
 武蔵がついに二本目を抜く。
 宮本武蔵の代名詞である二刀流だッ!

 両手に刀をもち、上方にかかげる姿は範馬勇次郎のポーズに似る。
 宮本武蔵と範馬一族は血縁関係にあるかも説ですね。
 普通は両手で使用(つか)う日本刀を片手で使用(つか)う。
 常人の二倍の筋力が欲しいところだ。
 やっぱり範馬的な天然パワーをもっているのかも。

 さて、ここで回想開始だ。
 STAT副長の警部・田沼彦二は部下から質問を受けていた。
 日本刀一本だけしかもたない相手に発砲して良いのか、と。

 やはり、STATは銃撃をためらっていたようだ。
 精鋭部隊の誇りとして、銃をもたぬ相手に発砲できないのだろう。
 飛び道具を持たぬ相手を射殺するぐらいなら、死んだほうがマシという高いプライドがあるのかも。
 負けること、死ぬことが恥じではない。銃を持たぬ相手に発砲することが恥なのだ。
 精鋭には命よりも大事なものがある。誇りだッ!
 うむ、少年マンガっぽい。

 田沼は相手が誰であろうと、銃を持っていなかろうと、遠慮しないと言う。
 これもまたプロ意識だ。
 任務を達成してこそプロである。
 社会人の大人としては、こっちの方が好きだな。

 副長だけあって田沼は常識的なことを言う。
 だが、残念なのは田沼がNo.2であることだ。
 隊長の島本頼至は武蔵をナメきって不用意に近づき、武蔵を見失った。
 島本が斬られて、田沼が指揮を引きついだ時点で、すでに詰んでいたのだ。

 野球で言えば、9回に20点差でマウンドを託されたようなものである。
 ハッキリ言って敗戦処理ですね。
 やることは、プレッシャーの無い状況で自分の実力を見せる自己アピールぐらいだ。

 最初から田沼が指揮をとっていたら、普通に距離を取って、普通に一斉射撃して、普通に圧勝していただろう。
 美学も誇りもない、釣り堀での釣りよりも楽な勝利だ。
 精鋭部隊の誇りが凡庸な勝利を許さなかったのだろうか。
 確かに絵にならないし、一方的な虐殺で印象が悪そうだ。

 勝利を追及する方へのプロ意識にあふれている田沼は、武蔵に斬殺された。
 そして、宮本武蔵が二刀を抜く。
 銃器を持たぬ相手に銃は使えない。
 STATたちは、誇りとともに死ぬしかないのか!?

「動きなさるな」
「動けば本人――」
「或いは誰かの首が跳ぶ」


 宮本武蔵が宣言する。
 もちろんSTAT隊員は死など恐れていないのだろう。
 だが、射殺する覚悟ができていない。
 動いてもやることが無いから動けないのかも。

 田沼につづく、No.3は名乗り出ないようだ。
 STATたちは指揮官不在で動けない。
 最小単位である5〜10人ぐらいの隊に隊長がいると思うのだが、この場には名乗りでれないのか。
 警察官も公務員だから規則にはキビしいのかも。

 武蔵は次のリーダーを求めるが、だれも名乗りでない。
 訓練されたSTATは命令がないと動けないようだ。
 そして、ついに武蔵が決着とする。

「終了(おわ)り!!!」
くるま乗って」
「速やかに撤退ッッ!!!」
「残った者は斬るッッ!!!」

『逆らう理由は見ようともせず』
『逆らわぬ理由以外は目にも入らない』
『この日……』
『もっともスムーズな「動き」だったという』


 武蔵の命令で、STATたちが動いた!
 精鋭らしい素早い動きでたちまち撤収していく。
 この素早い動きは、さすが精鋭部隊と言えるかもしれない。

 STATも、命令さえあれば、ちゃんと動けるんですね。
 近づく前に射撃命令を出していれば勝てたかもしれない。
 むなしい、仮定の話ですが。

 武蔵に斬られた十数名の遺体をあえて見ず、無いものとして動いたようだ。
 戦死した仲間はいないから、とうぜん敵討ちなどの感情は起きない。
 怒りも、悲しみも、憎しみもなく、たんたんと帰っていくのだった。

 武蔵vs国家の第二ラウンドも、武蔵の圧勝だッ!
 前回は武蔵も油断して、電撃をくらっていた。
 だが今回は無傷の勝利である。

 完璧すぎる勝利だけに、今度は武蔵が油断をしそうだ。
 と、なれば武蔵の油断につけこんで刃牙たちが奇襲をかけるチャンスかも。
 次回、刃牙は動くか、動かざるか!?
 気持ち的にはすでに動いているらしいンだけど、見える形で動くかどうかって事ですよ。


 せっかくの精鋭STATを出したが、まったく役にたたなかった。
 想像以上にダメダメだ。
 けっきょく武器や人数を集めても、本人たちにヤる気がないとダメってことですね。

 武士道を説く『葉隠』では、戦国時代の武士が目指すスタイルを「曲者(くせもの)」と言っている。
 時代劇で忍者とかが潜んでいると、「やや、曲者!」と言って槍で刺すような感じに出てくる「曲者」です。
 忍者の別名ではなく、油断できないヤツという意味合いだ。

 つまり、こういう場面で「同士討ちでも構わん撃て!」と銃を乱射したりするのが曲者である。
 どっちかと言うと、武蔵に組みついて「構わん、俺ごと撃て!」というのが曲者かも。
 いやいや、みんなが車にのる前に、こっそり抜け駆けして油断している武蔵を銃殺しちゃうのが曲者だ。

 戦国武将はこのような曲者をほめたらしい。
 規律とか、集団行動の面では悪影響があるような気がする。
 ただ、混乱の極みである戦場において、活躍するのはこういう曲者なのかもしれない。
 それが戦国大名の経験と実感なのかも。

 『葉隠』は太平の世になってから書かれた。
 オレの若いころは……的な説教が多く、その説教すら曲者から見たら太平のサムライだ。
 戦国時代の伝聞にでてくる曲者はやっぱりムチャクチャで、金にこまった武士が年貢米を強奪するようなムチャもある。(第三 一六、五二)
 隆慶一郎の小説『死ぬことと見つけたり』(AA)で使われているエピソードですね。

 異常事態に対応でいるのは、チョット異常な曲者のほうが良いらしい。
 刃牙とか、チョットどころでなく スゴい異常なんで、ピッタリだ!

 武蔵も戦国時代の人ですが、正確に言えば安土桃山時代(織豊時代)から江戸時代にかけて生きている。
 乱世から治世に向かう時代なので、平時だと曲者はちょっと扱いにくいと言われる事も多かっただろう。
 だから、ルールを守り集団の和を大切にする官僚的サムライに反感を持っていたのかも。

 今回、戦闘をここで収めたのは、戦わずして勝つという兵法の理想を体現したのだろう。
 あのまま戦っていたら、恐慌した隊員が同士討ちでも構わず銃を乱射したかもしれない。
 場をコントロールできているうちに、終わらせる。
 武蔵は戦士と言うより、兵法者として勝利した。

 『板垣恵介の激闘達人烈伝』で中国武術の蘇老師が『ボスとは戦う相手ではなくて話し合うべき存在であり、戦線の拡大と報復を防ぐために絶対必要な存在となる。』と語っている。
 その点、武蔵はボスをつづけて二人殺したので失敗だ。
 この辺が、一軍の将になりたかったけど実現しなかった宮本武蔵の弱点なのかも。

 STATも誰かが三番目として名乗りでて「同士討ちでも構わんから〜(略)」と言いだしたら、武蔵も危なかっただろう。
 結果的には圧勝だったけど、楽勝ではなかった。
 今度こそ、本当に銃を撃つ気になっている部隊を派遣されたら、危ういな。

 あとは、曲者である刃牙さんにお願いするしかないか。
 でも刃牙はスゴい曲者なんだけど、戦わない方向に曲者の場合が多いので困る。
 まさに油断ならない曲者だ。

追記 (17/4/19)
 板垣恵介×那須川天心 対談!
 高校生格闘家・那須川天心が板垣先生と対談だ!
 那須川選手は、その若き天才っぷりからリアル刃牙とも言われているらしい。
 たしかに10代でスゴい活躍しているのは刃牙っぽい。
 昨年末の『RAIZIN』にも出場している。
 『RAIZIN』は見たんですけど、あんまり覚えていない。残念。

 那須川選手は試合で刃牙のトリケラトプス拳をやったりするらしい。
 アレ、実戦でやっちゃうんだ!
 板垣先生も大喜びしている。

 リアル刃牙と言われている那須川選手だけど、戦いかたは動きで翻弄するようだ。
 刃牙の体格なら、本来はそういう戦いかたをしないと勝てないんだよな。
 やっぱ刃牙は変態だ。

 また格闘技ブームがくれば刃牙道も那須川選手も、さらに大人気になるだろう。
 そろそろブーム再燃しても良いころだと思うが、どうか。

週刊少年チャンピオン2017年20号 [雑誌]
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2017年4月20日(21号)
第4部 第154話「英断」 (1133回)

 警察の精鋭部隊STAT(特殊戦術急襲部隊)が宮本武蔵に完全敗北した!
 やはり現代日本の警察は発砲できなかったようだ。
 40m以上離れた位置から集団で銃撃さえできれば楽勝だったろうに。
 と言うワケで、今回は反省会である。

 警察が総力をあげて宮本武蔵に向かったが敗北した。
 まずは、その報告から入る。
 だが、ここに居る人たちは現場を知らない。
 STATは超全力で手加減をしていた。
 総力とまで言わないが、せめて普通(または常識的)に行動してくれたら武蔵に勝てたのに。
 いったいナニがSTATの行動を狂わせたのだろう。

 敗北の報告はあるが、被害報告が無い。
 武蔵に斬られた十数名など居ないような扱いだ。
 下っ端の命など、いくら失われても気にならないのだろう。
 毛沢東の言う「天下を取るというのは花を飾ったりパーティーを開いたりというようなお上品なことではなく、大暴動なのである。何万何十万の人間を平気で殺せなければ天下は取れない。」ってヤツですね。(三国志きらめく群像

 さて、反省会のメンバーは次の6人である。

『内閣総理大臣 阿部心三』
『警視総監 内海旬三』
『防衛大臣 伊灘真紀』
『陸上幕僚長 火浦功』
『警察庁長官 鮫村文吾』
『御老公』


 って、うォいッッ!
 犯人が居る!
 いや、犯人じゃないんだけど諸悪の根源と言うか、首謀者と言うか、とにかく今回の騒動の原因だ。
 御老公こと徳川光成、とくに拘束もされないで普通に参加しています。

 今回の事件は、徳川が宮本武蔵の遺体を盗み、ヒトクローンを作成して、十数人を斬殺させた。
 どれをとっても大事件だ。
 国内の大事件でもあるし、国際的な大事件でもある。
 だが、今日の徳川さんは他人事というか、責任を感じていないように見える。
 ワシが楽しいなら、それ良し。などと思っていたりして。
 徳川も天下を取れる器ですね。

 なんで徳川さんが、こうして普通にしているのか?
 もしかして150話感想で書いた、阿部総理をクローン人間にすりかえる作戦をやっちまったりして……
 そこまで行かなくとも、総理の弱みをにぎって脅している可能性はあるな。

 とにかく、クローン宮本武蔵の存在がバレたら世界中から非難される。
 なので秘密裏に片付けたい。
 すでに100人ほどの精鋭部隊をブツけて返り討ちにあっているのに、まだ秘密裏にできているつもりなんだろうか。
 この非常識なまでの危機意識の欠如は、洗脳かなにかをうたがってしまうな。

 武蔵を第二の範馬勇次郎にしてはならない!
 と阿部首相は力説する。
 でも、死んだら そこで試合終了ですよ。
 どんなに強くても死んでしまえば、もう脅威ではなくなる。
 死んで伝説になるかもしれないが、現実的な脅威じゃないんだからさほど困らんだろう。

 なんか阿部首相は武蔵を殺さない前提で話をすすめているようだ。
 警官が何十人死のうが構わないという天下人の考えは、まあ良いだろう。善悪は抜きにして。
 それでも、武蔵を生け捕りにしたい理由はなんなのだろう。
 この不自然な方針は、やっぱ徳川さんの影を感じずにいられない。

 徳川さんは陸上幕僚長に自衛隊ならどうかと話を向ける。
 普通に狙撃が許されるのなら楽勝だろうな。
 だが、阿部首相は目立つからダメと言いだす。

 いやいやいや、狙撃なら目立たんでしょ。
 少なくとも100人規模の特殊部隊を動かすよりは、ずっと静かだ。
 武蔵を殺したくないのなら麻酔銃ですぜ!
 あの範馬勇次郎ですら倒すことができた手段が麻酔銃である。
 安心と実績の麻酔銃なら生け捕りだって可能なハズだ。

 ここで、警視総監・内海旬三がある人物を推す。
 腕っぷしも強く、刃物の戦いにも慣れている。
 そして「反社会的な」「側に立つ人物」だ。
 って、該当者が一人しか居ないッ!
 ヤクザ空手家・加藤清澄だッッ!
 いや、それはちょっと無理なボケだったか。

 その侠客(おとこ)とはッ!
 素手喧嘩(ステゴロ)最強と言われるヤクザ・花山薫だッッ!
 19歳でありながら花山組の組長をつとめる男である。
 その顔には刀疵が刻まれていた。
 見えないが、白スーツに包まれた全身にも刀疵がある。
 まさにバキ世界で、もっとも刃物の味を知る男かもしれない。

 花山と面会した内海は、その迫力にたじろぎながらも平静を保っている。
 さすが警視総監にまでのぼりつめた男だ。なかなかの胆力である。
 そして、要件をきりだす。

「国家(くに)の為に動いてはくれませんか…ッッ」

 内海は花山と武蔵をぶつける気だッ!
 毒をもって毒を制す。
 暴力をもって暴力を制す気か!?

 宮本武蔵と言う剣客に対抗するのは、刃物を恐れぬ侠客だ。
 だが、花山はこの申し出を受けるのか?
 花山は、アレでけっこう国民行事をちゃんとやったりするんだよな。(熱夏 バキ3倍祭
 国家のために、花山は動くのか?
 次回へつづく。


 不自然なまでに本気を出さずに敗北した特殊部隊にかわり、花山が刺客となるのか?
 この流れは不自然だからこそ、何者かに作られたものかもしれない。
 早い話、徳川さんが子飼いの地下戦士たちを活躍させて国に恩を売るために、STATをワザと敗北させたのかも。
 STATは 最初にヒドい行動をして、その時点で敗北が決まった。
 徳川さんが買収するか、脅すかしたのかもしれない。

 だが、花山が呼ばれるのは徳川さんにとっても予想外だったようだ。
 私も予想していなかった。
 だって、刃牙はすでに守護るつもりでいる。(148話
 そりゃ、刃牙の出陣に期待しちゃうでしょ。

 だが、刃牙が親子喧嘩で、喧嘩するする詐欺をしていたのを忘れていたよ。
 そうだ。刃牙はヤると決めてからが長い。
 刃牙が守護ると決めたからには、長期戦を覚悟しないとダメだ。

 なので、刃牙参戦には淡い期待ていどで良いだろう。
 問題は花山だ。
 戦うかどうか、まだ不明だが……
 ……花山薫は、宮本武蔵に勝てるのか?

 本部が勝てたんだから、花山が勝っても悪くない。
 むしろ、自然だッ!
 刃物と戦った経験は多いから武蔵とも対抗でるかも。
 ただ、武蔵の剣はその辺のヤクザとは大違いだ。
 へたに正面から受けたら、真っ二つになっちゃうよな。

 花山は刀の攻撃を どうやって耐えてきたのか?
 もしかしたら、スゴい秘策があるのかもしれない。
 花山は、現代の侠客(おとこ)立ちを再現できるのか?
 刃牙がヤる気になって動かない以上、克巳が応援に来ることを期待したほうが良いのかも。

追記 (17/4/26)
 宮本武蔵の攻略戦に花山薫が参戦か!?
 花山が動くかどうか不明ですが、とりあえず警察・自衛隊での確保を諦めたのは英断だ。
 刃牙道は諦めることの大切さを教えてくれた。

 発砲できない警察が範馬刃牙クラスの相手を鎮圧できるワケがない。
 でも、武蔵が強いように見えるのではなく、警官が弱いように見えるってのが問題なんだよな。
 不自然なまでに発砲しない。
 作中に出てきていないだけで、無傷でとらえろとかの命令があるのだろうか?

 武蔵が烈海王の戦闘力を関ヶ原なみと評した時の回想で、普通に弓矢に射られ、足を槍で突かれていた。(8巻 67話
 だから、銃を撃てば当たるハズなんだが。
 あのころの武蔵が未熟だっただけかもしれないけど。

 先週の感想で書いたことですが、「本部が勝ったんだから、花山も勝てる」は説得力がある。
 自分で書いた内容にビックリするって、たまにあるんですがコレがそうだ。
 花山も勝てる!
 だって、本部でも勝ったんだよ!

 超握力で刀をつかんで切れなくする丹波文七流の白刃取りは勇次郎も武蔵相手にやっている。(10巻 83話
 コレなら、たぶん花山もできるぞ!
 つまり、武蔵攻略の可能性は大きい。

 花山が握撃で日本刀をヘシ折って本部が涙目になる姿が見えた!
 いや、本部が涙目になるのは何かおかしいんだけど、そういうイメージがわいたから仕方がない。

週刊少年チャンピオン2017年21号 [雑誌]
週刊少年チャンピオン2017年21号


2017年4月27日(22+23号)
第4部 第155話「国家(くに)の為」 (1134回)

 現代によみがえった宮本武蔵は現在逃走中だ。
 発砲しない警察は、武蔵に返り討ちされて敗退した。
 秘密裏に処理したいから自衛隊を出動するワケにもいかない。
 そんな手詰まり状態が現状です。

 秘密裏とか言っているが、すでに十数人の殉職者を出して、秘密裏どころじゃないんですけど。
 警察官がこんだけ大量死したら世間に説明する必要があるだろう。
 どういって誤魔化すつもりなんだろうか。
 でも、役所の書類は即日廃棄する場合もあるので、なんで死んだのか記録が残っていないので分かりませんで済ませることができるかも。

 さきの事はともかく、いま大事なのは宮本武蔵をどうやって確保するかだ。
 まずは生死を問わずなのか、決めようや。
 警察が大量殉職したのは武蔵を無傷でとらえようとしていたから、……かもしれない。
 殺していいのなら秘密裏にスナイパーで狙撃するのが現実的だ。
 やっぱ、現代人が何百人死のうが宮本武蔵のほうが価値ありって判断なんだろうな。

 目的が定まっていないのに動きだしちゃうと失敗する。
 戦略なき戦術では勝利しても目的につながらない。
 と言うのが第二次大戦で日本の得た教訓なんですが、警視総監・内海旬三は古き良き伝統にしたがう。
 武蔵を捕らえるのか殺すのかはという目標は置いといて、手段の確保に動く。
 腕っぷしも強く、刃物との戦闘にも慣れている男……超A級喧嘩師・花山薫だッ!

「花山さん」
「国家(くに)の為」
「一肌脱いではくれませんか」


 ヤクザである花山に、国家の為と言う。
 しかし、警察とヤクザは敵同士だった
 過去の因縁があるので、急に協力なんてできない。

 でも、これは取引だろうな。
 武蔵を倒すかわりに、花山組になにか便宜をはかる。
 買いたい土地の値段を安くしてくれたりするのかも。
 最近は暴力団対策法があるので、ヤクザも資金調達が難しいらしい。
 その辺を見逃してくれるのかも。

 ビジネスの取引と考えれば、国家に恩を売るのは悪くない。
 だが、花山は慎重な態度をとる。
 どうせ売るなら高い値をつけさせようという駆け引きだろうか?
 相手が宮本武蔵だから、死ぬリスクも相当高いってのも悩むところだ。

 内海は宮本武蔵を「まるで底が知れない」「一頭の怪獣」と称す。
 まるでシン・ゴジラあつかいだ。AA感想1 2 3
 そういえば、シン・ゴジラの時も、初上陸で一発の銃弾も撃てなかった。
 これが日本の現実なのか?

 内海は武蔵の危険度をうったえている。
 つまり、この仕事は難しいという説明だ。
 普通は「誰にでもできる簡単なお仕事で 時給も良いですよ」と都合の良いことだけを言う。
 が、内海は逆を行く。
 なぜか?

 それは、喧嘩師・花山のプライドを狙っているのだろう。
 素手喧嘩(ステゴロ)最強と言われる花山なら、こんな強敵と戦いたいでしょ。
 そう挑発しているのだ。
 警視総監ともなると、利で釣り、自尊心を狙うなど多彩な攻めかたをする。

 情報機関の勧誘テクニックは、MICE(ねずみ・mouseの複数形)が基本だ。(情報機関を作る
 M[Money]金銭、I[Ideology]イデオロギー(思想・信条)、C[Compromise]コンプロマイズ(醜聞ネタ(による強要))、E[Ego]エゴ(自尊心)の4つである。
 内海は金銭と自尊心で攻めたわけだ。

 のこるはイデオロギーと醜聞ネタだけど……
 花山に通じるのだろうか?
 刃牙なら、女子からラブレターもらったのを梢江ちゃんにバラすぜ(醜聞ネタ)と言えば、簡単に落ちそうな気がするんだけど。

 だが、花山はとりあえず今日は帰れと言う。
 せっかく出したワイルドターキー(AA)を内海が飲みそうにないのも原因かも。
 値段交渉をしている時に、店主にコーヒーをすすめられたら交渉を楽しんでいる状態なのでもらったほうが良いらしい。(十二の意外な結末「掘り出し物」)
 内海もガンバって、ワイルドターキーを飲んどけばよかったのかも。

 今日は交渉失敗と言うことで、内海が帰ろうとする。
 だが、扉の前で立ちどまった。

「武蔵に斬られた」
「大塚って奴……」
「俺の同期でさ」
「俺の手で…………」
「仇討とうって…………」
「気負ったはいいが……」
「ハハ……掠り傷一つつくれねェ」


 泣き落としに来たッ!
 コレはキツい。
 花山の信条に刺さる攻撃だろうな。

 任侠には人情だ!
 なにしろ、侠(おとこだて)に任じるのが任侠だし。
 友の仇討ちと聞いて、黙っているのは男がすたるってヤツですよ。
 日本人は仇討ちモノが大好きだし、心が動いちゃう。

「事情(はなし)はわかった」
「家(うち)帰って一杯やっててくれ


 土下座して懇願しようとする内海を止めて、花山が決意を語る。
 利でなく、エゴでもなく、義のために花山が動いたッ!
 ちょっとだけ、ダマされているんじゃないかと言う心配もありますが……
 とにかく花山薫が武蔵討伐にのりだしたッ!
 次回(5/11)に つづく。


 内海が捨て身の交渉で花山を陥落させた!
 様々なアプローチで落としにかかるのは、さすが警視総監ってところか。
 最後の切り札で醜聞ネタを用意していたりして。
「花山さん、外伝のつづき、もうずいぶん止まってますよね〜〜」
 いや、これは脅すには重すぎる……

 土下座も辞さない覚悟なのは良いけど、頭を下げるなら徳川さんだろ。
「ワシの個人的欲望で法とか倫理とか ぜんぶ無視してクローン武蔵つくったんだけど、ヤツが斬殺しすぎて問題になっている。どうかワシの尻をぬぐってくれ!」
 いや、徳川さんじゃ、逆に協力したくなくなるかも。

 花山が「一杯やっててくれ」と言うのは、ワイルドターキーに手をつけなかった事が原因なのかも。
 やっぱ、交渉時には相手の出すものを飲み食いしたほうが良さそうだ。

 さて、花山と武蔵が戦うのならば……
 やっぱり武蔵のほうが強いと思う。
 だが、あの本部以蔵が武蔵に勝ったのだ。
 花山だって勝てるだろう。

 あと、そろそろ援軍として刃牙が来ても良いころだ。
 刃牙は、すでに守護(まも)っていると豪語している。
 その言葉を信じるなら、もう武蔵に新・巌流島固めとかかけて倒していてもおかしくない。
 もちろん1グラムも、信じてないんで今後の増援に期待なんですけど。

 花山も、武蔵のことを殺したいワケじゃ無い。
 警官を守護るように、武蔵も守護りたい。
 国家と敵対しているという意味で、花山の立場は武蔵に近い。
 花山なら、武蔵の心情を理解できるだろう。
 刃牙よ、急がないと花山が武蔵のことを守護(まも)っちゃうぞ。

追記 (17/5/10)
 武蔵への切札として花山薫が参戦だ!
 危険すぎる任務なのに義で動くのが、任侠道ですな。

 スペックと戦った時もそうだけど、花山って世話焼きですね。
 ちゃんと、恩返ししてもらっているんだろうか。
 梢江はスネ蹴りで返しましたが。
 どの業界でも、こりゃご褒美にならないだろうな。

 武蔵vs花山を普通に考えれば、武蔵の勝ちだろう。
 いや、何度も言いますが、本部が勝ったんだから花山だって勝てる。
 とにかく苦戦するのは間違いない。

 花山はタイマンにこだわりそうだから、バキとコンビ組んで戦う、ってのは無さそうだ。
 ピクルの時みたいに、バキが来るまでの時間かせぎならアリなんだろうけど。
 バキはすでに守護るつもりらしいので、花山に協力要請を出す可能性はある。
 また、花山さん貸しっぱなしだ。

 刃牙は覚悟完了している。
 いまさら急いで駆けつけたりしないんだろうな。
 途中でコンビニによったりしながら、ゆっくり歩いてきそう。
 まあ、走らないほうが大物っぽいから、主役の貫禄としてはアリですね。

 千春とかがバイクでむかえに来ても乗車拒否しそう。
「バキさん、送ります。後ろに乗ってください」
「いや、歩いていくよ。武蔵もバイクを使ってないんだろ?」
 すでに守護るつもりなんだから、もうちょっと早く動いてもらえんだろうか。
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2017年5月11日(24号)
第4部 第156話「お迎え」 (1135回)

 現代によみがえった宮本武蔵を止めるため、喧嘩師・花山薫が立ちあがったッ!
 なんか、ダマされている気がするんだけど良いのか、立ちあがって良いのか?
 でも、損得ぬきで人のために尽くすのが任侠道なのかも。

 宮本武蔵は危険な相手であり、冗談ヌキで斬殺してくる。
 何度も斬られたり撃たれたりしながらも素手で勝ってきた花山だが、剣豪クラスと戦った事はないハズだ。
 そもそも現代日本に、もう剣豪は居ない。
 未経験の戦いは、かなり不利だ。

 ただ、花山の握力なら餓狼伝・丹波文七流の真剣白刃取りだってできるだろう。
 勇次郎もやっていたし、たぶん花山もできる。(10巻 83話
 それに、本部が武蔵に勝ったんだから、花山だって勝てるよね!(最近発見した魔法の言葉)

 さて、花山の腹心・木崎は徳川さんに呼びだされていた。
 格上が格下を呼びだす。これが世界のルールですな。
 さすが徳川さん、偉そうだ。
 みんな、この人がこの騒動の首謀者です。
 反省して、徳川さんのほうから出向いても良かったんだぞ。

 で、徳川さんは例の武蔵はクローンの本物だと言う。
 クローンは漫画・アニメ・小説・映画の定番ネタだから、小学生でも知っているぞ! もはや説明不要!
 疵面(スカーフェイス)でも、クローンやろうとしていたし。疵面5巻 32話
 もっとも、知識と現実ではかなり差がある。
 二足歩行ロボット兵器は知っていても、実物のロボットが作成されていないように。

 武蔵が本物であると知らせて木崎をビビらせた徳川さんは、さらにダメ押し情報を伝える。
「烈海王がブッだ斬られとる」
 木崎の顔面が汗まみれになった。
 血の気が引く音が聞こえるかのようだ。
 木崎が期待通りのリアクションをして、徳川さんも満足だろうな。

 徳川さんは、もっと積極的に事態をおさめるように動いてほしい。
 あと、烈のことを他人事のように話すもの印象悪いぞ。
 徳川さんは都合の悪いことを全部かくすつもりなのだろうか。
 最近は徳川さんの信用度が低下しているけど、ますます下がった。

 というか、木崎は烈の事を知らなかったのかよ!
 もちろん花山も知らなかったらしい。
 刃牙たちは誰も花山に伝えなかったのだろうか?
 いや、伝えていないから知らないんだろうけど。
 思っていたより、みんな冷たいな。

 そもそも花山と烈はどれぐらい親しかったのだろうか?
 死刑囚編では地下闘技場代表として、いっしょに戦った。
 でも、顔をあわせた時間は短い。
 やっぱり、あまり親しくなかったのだろう。

 中国武術は反権力な秘密結社と密接にかかわる歴史がある。
 烈が初登場の時は、当時英国領だった香港から来たと紹介されていた。
 海外での華僑ネットワークや裏社会と関係があったと考えられる。
 だとすると、花山とはヤクザ同士で競合する立場だったのかもしれない。
 花山と烈は、誤解されないように意図的に距離をとっていたのかも。

 木崎の報告を聞き、花山が目をむく。
 汗を流していないのはさすがの胆力だが、やっぱり驚いたようだ。
 花山も烈海王の強さはしっかり知っている。
 烈も花山の握力がスゴいことは知っていた。(バキ23巻 200話
 花山と烈は、親しくないが強者としてお互いの事を意識していたのだろう。

「裏 取りました」
「壮絶な……」
「まさしく壮絶な…」「見事な……」
「ご立派な……」
「散り際だったと……」
「徳川の御老公が仰ってました」


 裏、取れてねェッ!
 それ、徳川さんの話だけじゃないかッ!
 あの人は、いま現在 地球でイチバン信じちゃいけない人だ。
 なにしろクローンのことを、ごまかして話しているっぽいし。

 木崎は、けっこうお人よしなんだろうな。
 徳川さんの言葉にダマされちゃって。
 花山もお人よしなんだから、せめて腹心の木崎は疑り深くなってくれないと。
 組織を運営するためには、部下に嫌われるようなこともしなくちゃいけない。
 そういう汚れ仕事をやるのがナンバー2ですよ。
 花山組の経営がちょっと心配になった。

 ただ、この未確定でゴマかされているような情報伝達は何なのだろう。
 なんか烈海王がひそかに生きているような期待をしてしまうが。
 徳川さんと鎬紅葉が手を組んで、意志を持たない人間兵器を作っていたというオチはカンベンして欲しい。

 クローン武蔵は、魔拳・烈海王を倒すほどの手練れだ。
 それを聞いた花山の手から血がしたたる。
 盟友のカタキと知って拳に力が入ったのか?
 それとも、純粋に強者と戦いたいという喧嘩師の血がさわぐのか?
 とにかく、花山の闘争本能に火がついたようだ。

 相手は戦うには危険すぎる本物の宮本武蔵である。
 だが、花山は危険を承知で戦うつもりだ。
 自分の手が傷つくほど、つよく硬く拳を握っている。
 花山は、その超握力ゆえに「本気で拳を握ったことがない」という説があった。疵面1巻 1話
 自重で自らが崩壊・圧縮するブラックホールのように、自らの握力で拳が砕ける可能性があるのだ!

 今度の花山は、自壊の必殺技ブラックホールパンチを使用(つか)うのかッ!?
 いや、名前を克巳のマッハ突きとそろえるならブラックホール突きかも。
 ちょっと語呂が悪いんで、暗黒超重拳とか無明崩壊拳とか。
 名前については、実際に技が出てきて名無しだったら考えましょう。

 花山組の捜査網は、渋谷から新宿へ移動している武蔵の姿をとらえている。
 いまどき二本差しの人が歩いていたら、めだちまくるぞ。
 Twitterとかをちょっとチェックしたら、リアルタイムで居場所がわかりそうだ。

 このあたりは花山の縄張り(しま)だそうで、さっそく花山が出迎えにいく。
 背中に彫られた侠客立ちの刺青とフンドシのみを身につけて、花山薫が動きだす。
 さすがに、ほぼ全裸で外に出るのはマズいのか上からコートをはおる。
 って、それは変質者の恰好っぽくなっているぞ
 コートの前をあけたらほぼ全裸、略して「ほぼぜん」だッ!

 武蔵に会う前に、不審者として通報されないか心配になる。
 花山の言う通り、最短・最速で現場に向かわねば。
 ここまでやったんだから、もう後戻りできない。
 抜身の刃を振るう宮本武蔵と、抜身な生身で戦う花山薫が激突するぞッ!
 次回へつづく。



 さすがにこのファッションは、ツッコミ待ちなんじゃないかと疑ってしまう。
 いや、花山のことだから天然なんだろうけど。
 こういう時に木崎が止めないでどーする。
 なんのために国立大学(こくりつ)を出たんだッ!(学歴 関係無い)

 ソデに腕を通していないので、これは最短・最速で脱げる。
 武蔵が抜刀する速度に対応して脱ぐにはには、この着こなししか無いのだッ!
 そう考えれば変質者と間違えられそうな格好も実戦向きに見えてくる。

 花山がスペックと戦ったときのように、服を破り捨てるんじゃダメなんだろうか?
 時間がかかるし、止めといたほうが良いんだろうな。
 それに武蔵が「花山敗れたり。勝って帰るつもりなら、なぜ服を捨てた!」と言って動揺させようとするかもしれない。
 もっとも、服着て帰れるように脱いだら「花山敗れたり。決死の覚悟無くして、我に勝てると思うたか!」みたいに言われそう。
 問答だと勝てそうに無いんで、花山は無口をつらぬいた方が良いぞ!

追記 (17/5/17)
 掲示板ブログのコメントで、花山と烈は刃牙vsピクルで一緒に観戦していたと教えていただきました。
 うっかり忘れていました。
 情報提供ありがとうございます。

 しかし、烈と交流があったのなら誰か教えてあげればいいのに。
 刃牙は……、マイペースだからやらないだろうな。
 徳川さんは……、むしろ隠蔽しそうだ。
 克巳だけが頼りなのだが、なにをやっているんだろう。

 それと、ブログのコメントで木崎の「徳川の御老公が仰ってました」は、次のページの「相手が悪すぎる……と」にかかってるのではないかとの指摘を受けました。
 言われてみると、確かに「相手が悪すぎる……と」のほうが自然な気がします。
 でも、言われて止める花山じゃないことぐらい徳川さんもワカっていそうなのに。
 もしかして、焚きつけたのか?
 最近は徳川さんの事が疑わしく見えて仕方がない。

 さて、花山は武蔵とどう戦うのだろうか?
 本部は武蔵対策として具足で防御をかためていた。
 花山は逆にほぼ全裸のフンドシ一丁だ。
 本部の具足と逆の発想ッ!

 武蔵の斬撃は具足じゃ完全に止められなかった。
 警察の最新防具もまったく役に立たない。
 それだったら、最初から防具をつけないというのも正解かも。
 烈も素手の拳で武蔵の斬撃を止めて見せた。
 花山だって、できるかも。

 しかし、武蔵編はいまだにどう着地するのかが全然見えてこない。
 警官をあれだけ斬殺しちゃったら、世間の注目も集まるし、武蔵を死刑にしなきゃおさまらないと思うのだが。
 そこを誤魔化すのが不自然主義なのかもしれないが、不自然転じてご都合主義になりそうだ。

週刊少年チャンピオン2017年24号 [雑誌]
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2017年5月18日(25号)
第4部 第157話「侠客(おとこ)立ち」 (1136回)

 素手にこだわる喧嘩ヤクザ・花山薫が出陣する!
 ヤクザだけに刃物で斬られ、銃に撃たれた経験ありだ。
 バキ世界のなかでも刃物経験はトップクラスの逸材である。
 その花山薫のルーツとはッ!

 話はいきなりさかのぼって、江戸初期だ。
『1616年(元和2年)如月(2月)の事』
 武蔵野の豪農・花山家は旅の博徒に一夜の宿を貸す。
 江戸時代の農民は名字帯刀を許されていない。
 花山家は豪農だから、庄屋とかやっていて、名乗ることを許されていたのかも。
 もっとも、禁止はされていても、農民たちは名字をもっていたらしいですが。

 ラジオや電話もない時代は旅人がもたらす情報がけっこう貴重なので、花山家も博徒を歓迎したのだろう。
 客人をもてなせるあたりが、権力のありそうな豪農って感じだ。
 そして、豪農だから金も持っているんだろうと狙う奴らも出てくる。

『その夜…』
『十数名から成る盗族が――――』
『花山家へ押し入る』


 多数の盗族(ママ)が襲いかかってきたッ!
 一家5名が斬殺されるも、一粒種の長男・弥吉は旅の博徒に救われる。
 幼子を背におい、その上に寺の鐘をかぶせ、我が身を盾とし守ったのだ。
 十数カ所を斬られ突かれ、絶命してなお博徒は立っていた。
 とうに命は枯れ果てて されど倒れぬ"侠客立ち"!

 成人した弥吉は博徒稼業に入り、背に博徒の姿を彫る。
 以後、花山家の家長は"侠客立ち"の刺青をいれるようになった。
 花山薫は十六代目として、"侠客立ち"を背中に彫る。

 この時、まだ14歳の中学生だったらしい。
 義務教育中に"侠客立ち"かよッ!
 想定外すぎて、中学校の校則に刺青いれちゃいけませんとは書いて無さそうだけど。
 せめて卒業してからにできなかったものか。

 花山薫は、この"侠客立ち"は完成していないと言う。
 彫りおわった、その足で父のカタキである「富沢会」に単騎殴り込みをかける。
 素手のみで富沢会を壊滅させた花山だが、自身も重傷を負う。
 だが、それこそが花山の狙いだった。

『花山 薫 14歳と2か月』
『刻まれて尚 立ち尽くす』
『ここに真なる「侠客(おとこ)立ち」の完成を見ることとなる』


 斬られることで侠客立ちが完成した!
 そして、素手喧嘩(ステゴロ)最強と呼ばれる、喧嘩師・花山薫も完成する。
 刃物の味は経験済みだ。
 喧嘩師・花山薫が今宵、剣豪に挑む!
 次回につづく。


 今回の話はグラップラー刃牙13巻 116話「刺青の秘密」の焼き直しと言うか、リメイクですね。
 破壊描写がグラップラー時代よりもハデになっているぞッ!
 グラップラー刃牙28巻 245話「侠客(おとこ)立ち」でも、簡単に説明していたんで、これで実質3回目か。

 しかし、リメイクが多いな。
 スパイダーマンかよ。またリメイクかよッ!
 今度のスパイダーマンは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』に出ていたのと同じらしいので、伯母さんが若くて美人になるのだろう。
 たぶん設定も伯母(親の姉)から叔母(親の妹)へ変わっている。
 侠客立ちエピソードも、リメイクで博徒がちょっとイケメンになったかもしれない。
 博徒の生前の顔は今回初めて登場したんで、あまり比較にならないか。

 G刃牙28巻は20年前なので、侠客立ちを知らない読者も多いだろう。
 そういう意味で、最近の読者向けにアピールするのも良いのかも。
 新しい大統領が決まるたびにコントをやりに行く勇次郎みたいに、定期的に侠客立ちアピールが必要かも。

 とにかく、これで花山が斬られた経験をもっていることが周知された。
 日本刀と戦った経験があるのは頼もしい。
 ただ、当たり前だけど花山は斬られて重傷をおっている。
 やっぱり斬られたらそこで試合終了ですよ。
 斬られない工夫とかあるんだろうか?

 花山一族が武蔵野に住んでいたというのは新情報だ。
 宮本武蔵は『五輪書』で自分の事を新免武蔵守藤原玄信と名乗っている。
 武蔵守ってのは官職名なので、武蔵野に住んでいた花山一族とはちょっと縁があるような、無いような。
 官職名と言っても自称が多いので、実際にその土地に行ったことも無い人もいる。
 宮本武蔵も自称なのだろうが、なにか思いいれがあったのかも。
 もっとも、武蔵国と武蔵野はどれぐらい土地が一致しているのか、よくわかりません。

 ひさしぶりに戦いそうな予感の花山だ。
 なにか新必殺技とかを完成させているのだろうか?
 侠客立ちエピソードを出したからには、それに由来する技かもしれない。

 釣鐘を砕くような侠客打ちとか、どうだろう?
 なお釣鐘は柔術などでは、金的(睾丸)の意味である。
 花山の超握力による、釣鐘砕きとか完成しちゃったら、地獄だな。

追記 (17/5/24)
 花山vs武蔵は、開始前から回想だッ!
 これは引き延ばされそうな予感がする。

 武蔵vs国家編で、唐突に大統領コントが2本入ったのって、本編の着地地点が分からず寄り道していたんだろうか。
 なので侠客立ちリメイクも、寄り道なのかも。
 開始前から引き延ばすとは尋常じゃない。
 この勝負、とんでもなく長引くかも。

 ブログへのコメントで指摘されて気がついたんですけど、157話では、盗賊たちを『盗族』と表記されていた。
 誤字だとは思うんですけど、普通に変換できない誤字だし、なにか考えが……
 ……ないか。

 ピクル編だったころ、烈は鍛えた足を食われ、克巳は腕を食われた。
 噛みつき攻撃が得意なジャックは口の周辺を食われている。
 だから花山は背中を食われるんじゃないか? みたいな話があったのを思い出した。

 ピクルの時、時間稼ぎだけなので花山は無傷ですんだ。
 今回は無事に済まなさそうな気もする。
 烈は深く斬られ、本部も重傷だった。
 花山も背中に新しい傷をつけられそうだ。

 花山vs武蔵における最初の注目点は、コートを脱いだらふんどし一丁が出てくるというセクシーコマンドーに武蔵がどう反応するかだ。
 ここの掴みで主導権を握れば、そのまま勝てるかもしれない。
 しかし、なんで あんな変質者スタイルにしちゃったんだろう。

 チャンピオンの予告によると、別冊チャンピオン7月号(AA)の付録が板垣先生の読切り『蹴人 シュート』(1994作品)と『マリア』(1996作品)だそうで。
 『蹴人 シュート』は『闘人烈伝』にも収録されている。
 ここでは『蹴人 シュート』の出典を週刊少年チャンピオン2000年1月25日 増刊号「グラップラーバキFighting」とある。
 初出はチャンピオンと違う雑誌だったはずなので、1994年の作品であるのが正しいのだろう。
 珍しくムエタイが大活躍する作品ですよ。

 もうひとつの『マリア』は、たしかビックコミック・スピリッツに掲載された読み切りですね。
 『マリア』は矢沢永吉さんの曲『MARIA』から着想を得た作品で、たしか誌上で板垣先生と矢沢永吉が対談していたような。
 こちらはメイキャッパー風なラブストーリーですね。

 コミックス未収録だから載せるみたいですが、今後の展開がムエタイ復権とラブストーリーになる予兆だったりして。

週刊少年チャンピオン2017年25号 [雑誌]
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2017年5月25日(26号)
第4部 第158話「純粋(きれ)い」 (1137回)

 花山薫は素手の喧嘩にこだわる男だ。
 彼が武器を手にするのは、相手に使用させるため手渡すときだけである。
 今宵の相手はすでに帯刀している、本物のサムライだ。
 花山は素手で日本刀に対応できるのかッ!?

 ところで花山は刃牙より2歳ぐらい年上だ。
 刃牙が18歳になっているから、現在の花山は20歳のハズ。
 これで誰はばかることなく、酒が飲めますね。
 サムライ相手に、勝利の祝杯をあげることができるのか?
 花山の腹心・木崎のフトコロには今日も酒瓶が仕込まれているに違いない。

 時間はチョットさかのぼって出陣前だ。
 相手は日本刀を用いて、本気で斬り殺しにくるので花山も準備に余念がない。
 フンドシだけでなく、さらしも巻いている。
 さらしッ!?
 具足や、アクリル製の盾、装甲車すら斬っちゃった相手だから、気休めに感じるな。

 ヤクザが さらしを巻くのは、腹を斬られたとき内臓が飛びださないようにするためと聞いたことがある。
 花山は斬られる覚悟を決めているのだろうか。
 烈は内臓ポロリどころか背骨まで断たれる斬撃をうけて反撃不能だと悟った。(8巻 65話
 花山も内臓さえ出なきゃイケると思っていそうだが……

 個人的には、さらしを巻いたぶん全裸度が下がってしまったのが残念だ。
 むしろフンドシすら取ってほしかったッ!
 そのほうがコートを脱いだ時の迫力が増すって寸法だ。
 あ、でも奇襲は男らしくないか。

 さて、いまさらだけど木崎は花山が戦う相手を理解できているのか質問した。
 花山は、かけ算ができなかったりする。
 まあ、算数ができなくても生きていけるよ。不便だけど。
 ならば、歴史はどうか?

「宮本武蔵って言や…」
「あれだろ」
「時代劇の… ――――― あれ…」
「侍の……」


 あやふやだッ!
 花山は宮本武蔵をあまり知らない。
 これには木崎もあせる。

 クローン技術と降霊術の合わせ技で現代によみがえった本物の宮本武蔵が相手だ。
 木崎は宮本武蔵を最強とほめちぎる。
 いや、それはチョットほめすぎだろ。
 けっきょくのところ、武蔵は有名だから強そうに思われているという部分が多い。
 もちろん強いのだろうが、本当に最強なのかどうかは闇の中だ。

 有名なだけに宮本武蔵は逸話が多い。
 二刀流や、長い木刀を愛用するなど、傾向と対策もたてられる。
 プライドを捨てて良いのなら、銃でハチの巣にすれば良いんですけどね。

「落ち着け木崎」
「勝ちてぇから鍛える」
「勝ちてぇから調査(しら)べる」
「純粋(きれ)いじゃねぇ」


 花山は恵まれた資質をもっている。
 筋肉質な巨躯と、計測不能な超握力だ。
 だからこそ、特別鍛えることもなく、素で天然のまま戦う。
 元から強いうえに、鍛えちゃったら、さらに差がつく。
 素手にこだわるのも、同じ思想からだろうな。

 そこから進化して、相手を調査(しら)べることもダメらしい。
 過度に自然にふるまうのは、ちょっと不自然だという気もしますが。
 これが花山のダンディズムだ。
 自分への自信、信念、気位の高さ、などの精神的な強さが肉体の限界を突破させるのだろう。

 でも、掲示板で花山がバキのことを調べていたとツッコミ入れられていました。
 たしかに15歳の花山は、刃牙の先輩から情報を聞き出している。(G刃牙10巻 90話)
 若気のいたりですかね。
 または、刃牙が範馬勇次郎の息子と知ったので、本当に強いのかどうか確かめたのかも。
 天然強者を自負する花山が、自分より年下で体格もおとる相手と戦うには、相手が本当に強いという確証が必要なのだろう。

 相手が誰であろうと、戦うのみッ!
 それが花山薫のスタイルだ。
 フンドシ一丁の上にコートをはおるだけと言うのが現在のスタイルだけど。
 警察に、つかまってくれるなッ!

 と、心配していたら警官二人に声をかけられた。
 マズいッ! 見られたッ! コートの下をチェックしないでッ!
 ではなく、武蔵情報を伝えにきたらしい。
 今の花山は警視総監・内海旬三の個人的な依頼で動いている。
 だから警察も全面協力しているのだろう。

 あれ、個人的な依頼なのに公的な協力があるのか?
 なんか花山はダマされているような……
 でも、約束は約束として、花山は動くのだろう。
 花山は、ダマされているんじゃないかとか、調査(しら)べたりしないッ!
 せめて木崎が調べてフォローしてあげて。

「わたくしの後方 約70メートル」
「こちらへ向け 前進中ですッッ」


 70メートルッ!
 意外と近い。
 いや、まだ遠いな。
 在来線の一車両がだいたい20mぐらいなので、3.5両分の長さだ。
 火縄銃で狙って当たる距離が約18mなので、まだ安全距離と言える。(鉄砲と日本人

 我が敵を視認できる時、敵もまた我を視認す。
 武蔵はこの距離でも花山の異質さを見抜いたようだ。
 悪魔的な武蔵の笑顔に、花山は眼鏡を外して臨戦態勢にはいる。
 ここから、脱ぐのか?
 けっこう通行人が多いぞッッ!

 ともに暴力を生業とする二人が激突する。
 素手にこだわる花山と、斬殺大好きな武蔵の戦いだ。
 相性的に、花山が不利な気がするんだけど、どうだろう。
 すでにみんなを守護ると覚悟完了している刃牙の姿は相変わらず見えないが、次回につづく!


 花山の意外な一面と言うか、宮本武蔵に興味なかったのか。
 男の子はたいてい強いモノに憧れる。
 ロボット・動物・昆虫・恐竜・戦国武将など、ジャンルはちがえど強いモノへの興味がわく。
 花山は、そういう興味が無いんだろうか?
 趣味は酒と釣りっぽいけど。

 花山の場合は自分が強いから、それ以外の強さへの関心がうすいのか?
 でも、侠客(おとこ)立ちのエピソードとかは、やっぱり強さへのあこがれって感じもする。
 刃物を使うから剣豪はダメなんですかね。
 そうなるとロボット物や改造人間もダメか。
 条件厳しいな!

 花山は戦う時に防御しない。
 これも強者としての自負心なのだろう。
 自分はじゅうぶん強いからガードや回避などしない。
 相手の攻撃を全部うけきり、そのうえで勝つ。

 ただ、刃物や銃器はさすがによける必要があるだろう。
 今まで何度も斬られ撃たれた花山の肉体は傷だらけだ。
 しかし、花山が実際に刃物に対応する姿を見たことが無い。

 花山は意外と器用な面もある。
 もしかして、刃物相手のときは、ギリギリで致命傷をさける見切りの防御とかやるんだろうか?
 この戦いは、そういう意味でも未知の戦いになりそうだ。

 それにしても、花山が戦うときってけっこう人が多いですね。
 刃牙戦やスペック戦はかなりの目撃者がいた。
 もしかして、見られるのが好きなのか?

追記 (17/5/31)
 花山と武蔵の距離は70mだ。
 この間合い、勝負が始まるのか始まらないのか。
 難しい距離だ。

 空気を読まずに誰かが花山に声かけたりする可能性もある。
 柴千春あたりが声かけてきたら、このタイミングはちょっと迷惑だなって感じになるだろう。
「自分が迷惑かけてんなら消えちまいましょうかッッ」
 って、千春が切ない感じにキレたら、武蔵との勝負もやりにくいだろうな。

 とっくにヤる気になっている刃牙はいつ介入してくるのだろうか?
 本当にちゃんと型を見直したのかも怪しい。

 最近のチャンピオンは相撲、バレーボール、卓球などで闇堕ちの傾向があった。
「鮫島」は闇堕ちしそうな力士やした力士が多いうえに、作中でも闇堕ち認定されている。
 土俵の下には金以外のナニカが埋まっているのだろうか……

 そこ行くと刃牙は範馬の血に目覚めて闇堕ちしてから十数年そのままだ。
 ついでに、七つの大罪も「暴食」「色欲」「強欲」「怠惰」「傲慢」まで実装済みなので、さらに堕ちる心配があまりないのが強みだ。

 シコルスキーに梢江がさらわれた時は、パンツの着用も許さぬほどの「憤怒」を見せた。
 それ以外でもたまに激怒するが、刃牙はあまり怒らないほうだ。
 あと「嫉妬」に関しては、ほとんど無い。
 闇堕ちしたけど、安定しているのが主人公らしさだ。
 できれば「怠惰」だけは、なんとかして欲しいんだけど。

週刊少年チャンピオン2017年26号 [雑誌]
週刊少年チャンピオン2017年26号


2017年6月1日(27号)
第4部 第159話「闇」 (1138回)

 彼我の距離は70m、いやすでに七歩の距離だッ!
 全裸に近い素手装備で粋な花山薫と、二本差しの人斬り剣豪・宮本武蔵が対峙する。
 この間合いッ! すでに、開始(はじ)まっているかッ!?

 先に動いたのは花山だ。
 メガネを外し、コートを脱ぐッ!
 安心してください、変質者じゃありませんよ。
 下には真っ裸(マッパ)ではなく、フンドシとサラシのみの攻撃的なスタイルだ。
 花山の身体は刀傷と銃創だらけである。
 鍛えてつけた筋肉ではなく、パーフェクト・ナチュラルパワーの肉体だ。

 バーベルなどを使用して筋肉を鍛える思想は、戦前の木村正彦あたりから始まった。(「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか感想
 立ち技で一本を狙う柔道は戦後からの伝統なので、それよりも古い。
 と、言っても武蔵の時代には無かった鍛錬だ。
 花山の肉体は武蔵にとって馴染みのあるものかもしれない。
 刀傷という共通点もあるし、花山と武蔵の肉体はまるで兄弟のように似ているのかも。

 花山の背中には、代々伝わる『侠客(おとこ)立ち』の刺青がある。
 『侠客(おとこ)立ち』については、グラップラー刃牙13巻 116話「刺青の秘密」か、グラップラー刃牙28巻 245話「侠客(おとこ)立ち」か、前々回の157話を見てください。
 大事なことらしいので、3回も説明している。

 だが、あいにく『侠客(おとこ)立ち』は背中なので、武蔵から死角だ。
 見たらどんな反応をするのだろう。
 そして、コートの下はフンドシ一丁というサプライズに無反応だった。
 コートの下、ハダカなのッ!? と、一瞬でも動揺するかと期待していたんだけど。

『若者は考えていた……』
『侍(もののふ)の背後が』
『何故「闇」なのか…………?』

『底なしの……』
『広がり……』
『そのくせ踏み出せば…』
『高くも 低くも 広くもない』
『閉ざされた「闇」かも知れないのだ』


 武蔵の背後にある闇は無限のようであり、狭いようでもある。
 難しい表現だ。
 ナレーションはもっとワカりやすい表現でお願いします。

 早い話、武蔵の戦力がワカらんと言うことだろうな。
 奥深いようで、狭いようで、なにが出てくるのかワカらん。
 まるで本部以蔵のような存在だ。
 その強さをどう評価すればいいのか、よくワカらん。

 ヤクザであり銃と刀の戦いも経験している花山は、危険な気配に敏感なのだろう。
 日本刀を警戒するのは当然として、毒や爆薬も警戒している。
 相手が本部ならともかく、武蔵なら毒や爆薬の心配は少ないハズだ。
 いや、勝つためなら何でもする戦国の武士をあなどっちゃいけない。
 五輪書でも、銃や弓矢など場合によって使い分けろと書いてるし。

 宮本武蔵に不気味なものを感じている。
 だが、花山薫は冷や汗ひとつ流さない。
 ヤクザという暴力の世界にすむ以上、死はすでに覚悟しているのだろう。
 闇の中に、なにが待ちかまえていようと、花山は臆せず進む!

『広く開脚し両拳を高く広げたその姿勢は―――』
『相手の反撃などまるで考慮しない…』
『武術や――』
『格闘競技というより』
『「砲丸投げ」「槍投げ」「円盤……」』
『投擲の姿勢(フォーム)を思わせた……』

 花山薫、必殺の構えだッ!
 格闘技の構えとは、自分の急所を守るために行う。
 攻撃しやすい構えとか、前進しやすい構えとかもありますが、基本的に防御がメインだ。

 だが、花山の構えは違う。
 防御をいっさい考えず、全体重を拳にのせるつもりの攻撃力全振りの構えだ。
 さらに、そこから全身をひねり、投擲するような姿勢に入った。
 空手界の最終兵器と呼ばれた天才・愚地克巳をも震撼させた、超全力打撃の構えである。

 かつて範馬刃牙は、巨大なサル・夜叉猿と戦った。
 野生の獣にダメージを与えるため、格闘技の常識をとっぱらった、野球やサッカーやバレーボールのような全力フォームで攻撃する。
 攻撃力は夜叉猿より上と言われた花山も、常識破りの攻撃だ。

 刃牙が球技なのに対して、花山は陸上競技ですね。
 どっちが上かワカらんが、サルと同じ感覚だ。
 武蔵は夜叉猿を倒しているらしいので、ちょっと不安がある。

『刹那の躊躇(ためら)いもなく』
『闇へと踏み入った…!』


 武蔵と言う闇に向けて、花山が全力で突っこむ!
 待ちかまえているものは、武蔵の剣か?
 次回につづく。


 思ったより、あっさり脱いで、あっさり攻撃したか。
 花山の手首が太すぎて超人ハルクみたいな迫力を出している。
 花山の全力攻撃を喰らったら、さすがの武蔵もタダじゃすまないだろう。
 逆に、刀で迎え撃ったら、花山の拳が裂けそうだけど。

 刃物や銃との戦闘経験がある花山だけに、もう少し器用に動くんじゃないかと予想した。
 でも、今日も花山は愚直なまでに全力だ。
 斬られたり撃たれても、頑丈だから死なない! で、今日までやって来たってことか。

 花山の武器は全力攻撃以外にもいくつかある。
 天性の超握力を活かし、握っただけで大ダメージになる握撃だ。
 これなら日本刀だろうと握って止めることができる。
 攻撃にも防御にも使える切り札だ。

 あとは、克巳と戦った時に見せた胴回し回転蹴りもある。
 166kgの巨体でありながら飛び技を使う。
 この意外性で一度は武蔵の不意を突ける。
 胴回し回転握撃とかの複合技にはつながらなさそうだから、単発攻撃がメインか。

 あとは超握力を限界以上に発揮した拳での一撃もあるらしい。
 三度も説明した『侠客(おとこ)立ち』も、なんかの技につながるのだろうか?
 範馬一族の背中に宿る鬼のように、あるポーズをとると斬られてズレた『侠客(おとこ)立ち』が正しい位置になる!
 これこそ、侠客(おとこ)打ちッ! とか、どうだろう。

追記 (17/6/7)
 花山vs武蔵が開始(はじ)まった!
 この戦いにおける最大の攻防ポイントは日本刀対策だろう。
 武蔵は抜くのか? 抜かないのか?
 花山は刀をよけるのか、よけないのか?

 相手が素手だと、刀で斬るのが卑怯っぽいので抜くのをためらう。
 そんな心理があると隆慶一郎『死ぬことと見つけたり』(AA)にあった。
 だから素手で襲いかかるのは逆に卑怯って話になっていたけど。

 素手で殴りかかってきた相手を斬ったと言うエピソードは元ネタの『葉隠』にもある。
 中野内匠の家来相田吉左衛門が大男の通せんぼを斬る。
 大男は鍋島元茂の駕籠かきだったので、切腹となった。(葉隠(中)第七 五三)
 この場合、切腹させてもらえるのはわりと寛大な処置なので、バカにされて黙っていたら武士じゃないという気風が感じられる。

 『死ぬことと〜』では主人公の弟が大男を斬り、おとがめ無しになる。
 で、大男の遺族が恨んで主人公たちの乗る船に細工をするのだが、それは『葉隠』の船に弱い鍋島直茂が難破しかけた話が元ネタのようだ。(葉隠(上)第三 五四)

 『死ぬことと〜』は未完なのだが、主人公の弟は恩義を感じ藩主の死に追い腹を切る予定だったらしい。
 『葉隠』でも、斎藤佐渡が米を強盗したが許され、せがれの用之助と追い腹切り、用之助の次男権右衛門も殉死した話がある。(葉隠(上)第三 五二)
 次男がいるのだから、長男もいるのだろうということで、名無しの斎藤某が杢之助と言う名を得て主人公になったようだ。

 話がそれたが、素手の相手に対して刀を抜きにくいという心理がある。
 ただ、この武蔵は斬殺マニアだから女子供だろうが容赦なく斬っちゃうかもしれないけど。

 コート脱いだらほぼ全裸という花山の奇襲は効果が無かった。
 考えてみたら江戸時代の人は、ケンカの時に全裸と言うか、半裸になる場合が多かったのかも。
 花山が脱いだらフンドシ一丁というサプライズに対して、武蔵が動揺しなかったのも見慣れていたからだったりして。

 江戸時代の男性はけっこう裸を露出していたのだろうか?
 時代劇とかだと、働く人はわりと露出気味だった気がするが。
 和服だし、現代人よりはハラリと脱ぎやすそうだけど。

 大名の衆道相手だった人は「この体は殿のものなので肌を人目に晒せない」と服を着たまま追い腹切ったという話があります。
 特殊な例だけど、裸を晒す禁忌の理由が自分以外のところにあるってのが重要かも。

 三国志だと男でも身分ある人は肌を晒すもんじゃ無いという価値観が見て取れる。
 呂布伝の注・英雄記に『呂布は反乱者が誰か見当がつかなかったが、ただちに妻を引き連れて、頭巾もかぶらず肩もあらわな姿で、かわやの天井から壁をつたって脱出して』とある。
 でも、呂布だし普段から半裸で暴れていそうなイメージあるよな(偏見)

 呂布伝のこの記事は、奥さんと一緒に脱出しているので、呂布の妻思いな一面がわかる。
 また、反乱者が「河内のなまりがあった」と方言を指摘しているところがあり、やっぱり当時は方言の問題があったであろうと推察できる面白い記事です。
 方言がきつくて会話が成り立たない場面も多かったはずだが(知識人なら筆談で対応できる)、ほぼスルーされている。
 当たり前の話は、わざわざ書かないって事だろうな。

 江戸時代の人である武蔵の常識は、素手の男相手に刀を抜くのか。
 ヤクザ世界の常識で生きている花山は、刀で斬りつけられる覚悟があるだろう。
 どう対応するのか、それともノープランなのか。
 あと、刃牙もそろそろ常識的な主人公らしく行動してください。

週刊少年チャンピオン2017年27号 [雑誌]
週刊少年チャンピオン2017年27号


2017年6月8日(28号)
第4部 第160話「疵と剣」 (1139回)

 クローン技術+降霊術で現代によみがえってしまった宮本武蔵と、素手喧嘩(ステゴロ)最強ヤクザの花山薫が激突するッ!
 素手vs日本刀(しかも二本)という不利な状況で花山はいかに戦うのか?
 日本刀あいてじゃ、素手でガードできないもんな。
 刃物・銃器相手のケンカ経験が多い花山には、活路があるのか?

 背中に彫物をフンドシ男と、二本差しのサムライが街中で対峙している。
 それを警察官も見守っていた。
 この異様な風景に通行人たちも足を止めて見入ってしまう。
 映画の撮影かと思うほどに、異次元な空気を出している。

 スマホを出している人はいないが、録画されて拡散されていそうだ。
 ヒトクローンで宮本武蔵を作ったってのが、マズいので隠密に処理したいというのが国の意向なのだが、目立っていますな。
 警察が全面協力できるんだから、交通規制とかかければ良かったのに。
 へんに警察が介入すると逆に目立つと考えたのだろうか?

『剣豪は考えていた…』
『この若者の背後――――』
『何故 白い……?』


 うォーーい、前回の展開にもどっちゃったよ!
 前回は花山が武蔵の背後に闇を感じていた。
 で、今回は武蔵が花山の背後に白を感じている。

 次は木崎が二人の背後に白黒を感じて、その次が徳川さんが陰陽を感じ、そのまた次に郭海皇がパンダを感じたりするのか?
 なんか『アキレスと亀』みたいに、いつまでたっても追いつかないんじゃないかと不安になってきた。
 この勝負、長期戦になりそうだ。

 武蔵は対戦相手の背後に様々なものを感じとる。
 今までの戦士たちを武蔵は思いだしていく。
 最強の18歳・範馬刃牙には懐石料理(ごちそう)を見た。(3巻 24話
 恐竜時代からよみがえった原人ピクルには黄金と絶賛(ほめ)を嗅ぎとる。(12巻 104話
 地上最強の生物・範馬勇次郎には天まで届く大判・小判だ。(9巻 80話
 最後の達人・渋川剛気のときはお花畑を感じる。(9巻 75話

 多少の違いはあるが、価値あるモノだ。
 渋川さんはかなりグレードが落ちる気がしますが……
 ワカる人にはワカる、そんな価値がある。
 やはり達人の戦いはムズカしいのだろう。

 勇次郎とピクルは問答無用の黄金だけど、刃牙は料理だ。
 これもグレードがやや劣っている。
 でも、刃牙は若いから将来性もあるってことなのかも。
 それとも冷めたら不味くなるという問題を抱えているとか。

 だが、花山は白だ。
 何も無いということか?
 そう武蔵は考えたが、自分で否定する。
 若さと言う可能性に、肉体が物語る歴戦の疵は、花山が超一流の戦士である証だ。
 この男が『無』とは思えない。

 などと武蔵が考え込んでいるうちに、花山は防御をいっさい考えぬ超全力パンチのモーションに入る。
 攻撃のみに意識も身体も集中した姿だ。
 素手vs日本刀、刃物への防御、そう言った考えをいっさい排除した純粋な闘志を感じる。
 雑念が無いからこその、白き光だ!

『あまりの輝き……』
『あまりのまぶしさに剣豪はつい――――』
『「目を閉じてしまった…」んだとさ……♥(はぁと)


 油断というか、怠慢というか、とにかく武蔵に花山の拳がヒットするッ!
 いや、♥(はぁと)じゃねーよ、という感じだけど、目を閉じちゃったのなら仕方がない。
 戦国時代であれば死んでいる行為だが、いまは21世紀の日本である。
 武蔵も安心して目を閉じただろう。

 花山はいつも通りなんだけど、武蔵がかなりユルい。
 これは手抜きして武蔵が負けるパターンか?
 だが、無気力試合では盛りあがりに欠けそうだ。
 なんか別の意味で予想のつかない戦いになりそうな気がする。
 次回、武蔵はマジメに戦うのかッ!?


 前回のラストで、花山が恐れも見せず闇の中へ飛び込んでいった。
 わりとすんなり開始(はじ)まったと思ったのが、巻き戻されたよ。
 でも、今回のラストで拳があたっているし、次こそ話が進むだろう。

 花山の背後には白い光が見える!
 武蔵が感じさせる闇とは対照的だ。
 ライバルキャラと正反対って、なんか主人公みたいだ。
 刃牙はサボっているうちに主役の座をうばわれるぞ。

 白い光は、栄光の光だろうか。
 いや、邪念が無い純粋な戦闘への意志かも。
 これまた主人公っぽい。

 ただ、範馬勇次郎も純粋な戦闘意欲の人である。
 ピクルに いたっては純粋を超えた野性動物だ。
 この二人に黄金を感じたってことは、武蔵から見て価値があるって事だろうか。
 つまり、義によって戦う花山を斬っても世間の評価が上がらない。

 勝っても栄光が得られないのなら、戦う意義が小さい。
 五輪書「地之巻 後書」でも『第九に、役に立ぬ事をせざる事』と戒めている。
 花山に勝っても立身出世の役に立たぬなら、戦ってはいけないのだ。

 もっとも、国家に叛逆し逃亡者となっている今の武蔵の行き先は死罪以外に無い。
 なんとか足掻いてもがいて、活路を探す必要がある。
 国が破綻している紛争地域に海外逃亡ぐらいしか思いつきませんが、そんな感じだろうな。
 江戸時代の直前でも日本に居ることができなくなった人たちは海外へ逃亡している。
 武蔵も、海外逃亡を考えておいたほうが良さそうだ。

 光を放つ花山に純粋なものを感じているのなら、武蔵も武器を使わずに戦うかもしれない。
 素手勝負ならば、花山の勝率がかなり上がりそうだ。
 なんか、このまま決着しちゃうかもしれないな。
 とっくの昔に覚悟を決めている刃牙も、急いで現場に来たほうがイイぞ。

 武蔵は今の刃牙に何を見るのだろう。
 大量に並べられた懐石料理(ごちそう)ッ!
 が、無くなって大量の皿のみがのこっている! だったりして。

追記 (17/6/14)
 花山の攻撃が当たった!
 戦うつもりで出発してから回想があったり、時間を巻きもどしたりで、最初の攻撃が当たるまでにこんな時間がかかるとは思わなかった。
 いや、思っていたのかもしれないが、かからないで欲しいと思っていたのかも。
 この攻撃のダメージが浸透するまでにもう一話ぐらいかかるんだろうか?

 しかし、まだ話が進まない可能性がいくつもある。
(1) 花山の打撃力について木崎が回想
(2) いつから花山が防御しなくなったのかについて木崎が回想
(3) 最大トーナメント前についた銃創について木崎が回想
(4) 最大トーナメントから花山のスネ毛が無くなっている件について木崎が回想
(5) 木崎が国立大学に居た頃の回想

 範馬勇次郎がいつから範馬勇次郎なのかは謎だし、想像すると面白い。
 間違いなく小学生の時点で義務教育のワクに収まらず、学校を破壊して海外に自主留学していそうだ。
 花山も10歳のころ(5歳の異説あり)に超握力に目覚めたので、いやでも波乱の人生になっただろう。

 その辺の話は気になるのだが、いまは闘いに集中して欲しい。
 今の刃牙道は非常に不安定で、ちょっと油断すると回想したり時間を巻きもどしたりする。
 花山の握力でなんとか食い止められないだろうか。

週刊少年チャンピオン2017年28号 [雑誌]
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