刃牙道「71〜80話」感想

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2015年7月30日(35号)
第4部 第71話「喝あつッッ」 (1050回)

 格闘技には定番の疑問がある。
 一対一なら強くても、大人数相手じゃ勝てないでしょ。ってヤツだ。
 だが、真の達人ならばッ!

『1921年「大本事件」勃発』
  新興宗教「大本」に行われた宗教弾圧事件。
『時の京都府警』
『教祖 出口王仁三郎の逮捕にあたり』
『問題となったのは』
『出口の側近であった一人の「武道家」の存在だった』
『「合気道」開祖 植芝盛平その人である』


 冒頭から、いきなり回想解説が来たッ!
 植芝盛平かよッ!
 合気道を生み出した植芝盛平が出口王仁三郎と行動を共にしていたのは有名だ。
 中国に渡って、馬賊と斬りあいをしたとかムチャなエピソード満載の達人である。

 前回感想で、ちょこっと名前を出した明治の武術家・武田惣角の弟子が植芝盛平である。
 植芝盛平や武田惣角は、めちゃくちゃ強かったらしいのだが、伝説に尾ひれがついているっぽくて評価がむずかしい。
 三国志演義の呂布が実際にどれぐらい強いのか評価するのと同じぐらいむずかしいのだ。

 植芝盛平は警視庁で技の指導をしていた。
 だから警察は植芝盛平の強さを知っている。
 はっきり言ってバケモノだ、と。
 そして、京都府警がたてた作戦とはッ!

『まず消防車で植芝を取り囲む』
『一斉に放水』
『投網を被せる……』
『長ァ〜い棒を用意しておく』
『一斉に叩く!』
『逮捕………と』


 範馬勇次郎・捕獲作戦かよッ!
 人ひとり捕まえるのに、どんだけ戦力投入する気だ。
 あきらかに猛獣の捕獲方法だよな。

 むしろ、範馬勇次郎を止める作戦が、この植芝捕獲作戦の応用だったのかもしれない。
 室内だから放水できず、麻酔銃に変更したのだろう。

 植芝盛平ならば、消防車を配置する前に突破しそうな気もする。
 銃弾をよけて相手の背後に回りこんだというエピソードをもっている人だし。
 タイミングよく囲んで放水という最初の一撃が非常に重要な作戦だ。
 普通に戦国時代の戦いかたみたいになっている。

『作者は以上の逸話(はなし)を30年程昔 植芝盛平の直弟子にあたる塩田剛三氏から幾度か聞かされている』
『植芝が身を隠したため「作戦」は未遂に終わったが』
『完成された武道家は国家権力をして ここまで畏怖(おそ)れさせた…………』

 一国の軍隊に匹敵する腕力と言われる範馬勇次郎に近いレベルの"武"ですな。
 超達人レベルの人だからこそ、ここまで警戒されるのだろう。
 この植芝盛平 制圧作戦は、相手が素手であることを想定しているが、もし日本刀を装備していたらどうなったのか?
 不謹慎だけど、警察相手に暴れる姿を見たかった。

 そして、宮本武蔵である。
 こちらも素手だが、戦闘力は植芝盛平クラスだろう。
 放水車を用意しておいたほうが良かったんじゃないか?

 武蔵は強さをアピールしたいのか、取り囲む機動隊に「喝」と気合を飛ばす。
 関ヶ原などのリアルな戦場を経験している武蔵の気魄に、機動隊が崩れた。
 戦場において大声は有利な武器となる。
 ルイス・フロイスによれば、織田信長もかなりの大声だったそうだ。(回想の織田信長

 機動隊をビビらせ満足したのか、武蔵はおとなしく連行されていく。
 これも相手の戦力を測る行為なのだろう。
 本気で逃げたいときは、大声でビビらせて逃げればよい。
 脱出ルートの確保をしたって寸法だ。

 内海警視総監は武蔵を逮捕する気などなかった。
 武蔵の技術を学ぼうという計画だろうか。
 警視庁には三輪猛丈(38)が待ち構えている。
 うむ……、この人はヤラれ役だな。
 素手の武蔵にすら勝てないだろう。

 こんなワカりやすい噛ませ犬だけとは考えにくい。
 警視庁には、まだ隠し球があるのか、どうか。
 現在の警視庁では、渋川さんが技の指導を行っている。
 宮本武蔵vs渋川剛気のスペシャルマッチ開催なのか?

 いや、渋川さんの危険察知能力なら、警視庁にたどりつけないだろうな。
 そうなると、やっぱり本部の出番なのか?
 いまこそ、消防車を指揮して、本部流・放水術を炸裂させる時だッ!

追記 (15/8/5)
 植芝盛平のリアル秘話、スゴイな。
 板垣先生は塩田剛三氏と交友があったので、この手の話を数多く知っているのだろう。
 同時に著書のなかで、植芝盛平伝説として「ピストン堀口の右ストレートをキャッチした」「バケツ一杯の塩水を飲み干した」「25メートルの距離から6人に拳銃で撃たせたが、全部よけて背後に回ってブン投げた」というエピソードをムチャすぎて簡単には信じられないと言っている。(板垣恵介の激闘達人烈伝
 あれだけムチャ漫画かいていても、板垣先生は意外と冷静なのだ。

 逆に板垣先生のツッコミを見るまで、私はこれらのエピソードに疑問すらもってなかった。
 格闘技好きには達人フィルターがあって、昔の達人は○○って話に弱いんだろうな。
 植芝盛平捕獲作戦を作品に描いたって事は板垣先生のなかで、わりとリアルな部類に入っているのだろう。
 けっきょく未遂だったし、放水車は今でもデモ対策として有効な方法だ。

 板垣先生の自衛隊秘話とかも相当面白い。
 この手の秘話をいくつも抱えているのだろう。
 もっとも公務員って職を離れても数年間は情報を漏らしちゃいけないハズなので、まだ秘密のままだろうか。
 いや、板垣先生もそろそろ許される時期かも。

 で、刃牙の話は宮本武蔵の有効活用についてだッ!
 宮本武蔵って指導者として不向きっぽいンだよな。
 弟子は何人かいたが、武術指南としての実績が無い。
 指導者って腕が立ってれば良いものじゃないのだ。
 逆に選手として有名じゃない指導者はなめられる傾向があるようだけど。

 武蔵の時代に現代の竹刀はなかったから、竹刀で戦ったら武蔵って意外と弱いかも。
 プっ、武蔵さん弱ッ!
 などと笑ったら、素手で周囲の全員叩きのめすという惨劇が起きそうだ。


2015年8月6日(36+37号)
第4部 第72話「剣道」 (1051回)

 現代によみがえった宮本武蔵をどう活用するのか?
 とりあえず戦わせるしか無いんだろうな。
 いや、武蔵は芸術面も優れているので、絵を描かせると言うのもアリだ。
 でもバキ世界の人は、戦わせることしか考えないのであった。

 今回の武蔵さんは警視庁に連行されている。
 待ち構えているのは巡査部長・三輪猛丈(38)七段、全日本剣道選手権4年連続覇者だッ!
 よ、四連覇だとッッ!

 剣道に連覇なしと言われていたほど、剣道での連覇はむずかしい。
 二連覇が過去二人の三回しかないほどだ。
 つまり、レスリングで喩えたらオリンピック三連覇のカレリンの倍で六連覇ぐらいの偉業になる。
 なんか計算がおかしい気もするがッ、とにかくスゴいんだよ。
 迫力を感じろッ!

 三輪七段は武蔵との試合を楽しみにしているようだ。
 そりゃ、伝説の剣豪と戦えるってのは夢のようなものだしな。
 だが、三輪の狙いはもっとデカかった。

「「剣道」とはただの」
「模擬の「斬り合い」なのか…」
「あるいは」
「「剣術」の進化形なのか」

(剣道家(われわれ)は)
(確かに手にしたのだッッ)
(武器の軽量化がもたらした――――)
(速度化(スピード)の飛躍!!!)


 なんか、勝手なことを言ってますな。
 昔の格闘技は、ルールもほとんど無い総合格闘技だった。
 そこから派生して限定的な勝負のボクシングや相撲を、原初の格闘技と比べたいと言っているようなものだ。

 ボクシングルールや、相撲ルールで戦うのなら、常識的に考えて古(いにしえ)の勇者も現代のトップ選手に負けるだろう。
 でも、勝ったから競技が進化したとは言えない。
 進化したと言えるかもしれないが、それはクジラが海に特化して進化したように、特定環境(ルール)への適合と言ったほうが適当だろう。
 クジラが海に入る前の自分の先祖に、海で勝負挑んだら、そりゃ勝ちますよ。

 武蔵に竹刀を持たせ試合をさせたら、三輪に負けるだろう。
 ルールが違う世界では、そんなものだ。

 各界の達人に、当時最強と言われていたヒクソン・グレイシーと戦ったら勝てるのかと質問する。
 答えは同じで「闘いません」だ。
 さらに食い下がって何度も聞くと「リングに上がって、グローブつけて、あのルールでやったら、あちらさんが勝つでしょう」と答えたそうだ。(板垣恵介の激闘達人烈伝
 ルールが違うとは、そういうことなのだ。
 現実をちゃんと認識している達人らしい回答といえる。
 逆にリングに上がっても勝てますよ、と言う人がいたのなら、達人じゃない可能性大だ。

 自分ルールに引き込んで勝ったとして、それは誇れることなのだろうか?
 まあ、ある意味では罠にハメて勝つようなものだから、手段を選ばないという点で武術的かもしれない。
 もちろん、武蔵がブチ切れて日本刀もちだして斬りつけてきても文句言えないというリスクがありますが。
 三輪の頭がスイカ割りのようにバカッと行く光景が予想されてきた。
 相手は武蔵なので、木刀も愛用しますよ。

 そして、宮本武蔵vs三輪七段の試合が開始(はじ)まるッ!
 武蔵さん大人しく竹刀を持ってますな。
 あ、防具は無しですか。
 ちょっとだけ武蔵に譲歩したルールにしている。
 でも、竹刀で闘う限り、武蔵に勝ちはないな。

 武蔵の生きた戦国〜江戸初期には竹刀などない。
 ひきはだ竹刀は柳生新陰流などで使用していたらしいが、現代の竹刀と形状が違う。
 いまの武蔵はグローブをはめられた野見宿禰みたいなモノだ。
 なにこれ、拙者こんなの使ったこと無いよ! 的な困惑状態だろう。

 武蔵は手にした竹刀を眺めている。
 敵前で油断しすぎじゃないか?
 いや、まだ距離が遠いから変なことをしても大丈夫なようだ。
 これって三輪を誘ってんのか?

 と、武蔵は普通に歩きだした。
 あまりに自然な歩きだったためか、三輪は反応できていない。
 武蔵は竹刀を振り上げて、振り下ろす!
 ガードの竹刀をヘシ折り、三輪の頭頂に叩きつけられたッ!
 しかも、頭で竹刀が折れて、先端が背中に当たる!
 一発で、竹刀・頭・背中の三箇所を破壊したッ!

 まるで一球で3ストライクを取るような魔術的一撃だ。
 武蔵の勝利か!?
 って、勝っちゃったよ。100%負けると思っていたのに。
 というか、剣道ルールではダメだよね、これ。
 有効打と認めてもらえるのかどうか。
 とりあえず、三輪は再起不能っぽいので、武蔵の勝ちでしょう。
 次回につづくのであった。


 竹刀対決でも武蔵の勝利だ。
 けっきょく武蔵はルールを破壊して勝ったのだろう。
 相手の土俵にのらず、自分の流儀で勝つ。
 武蔵らしい勝ち方だ。

 剣道は剣術からどう進化したのかの問いは250年前に通過済みだったりする。
 直心影流の長沼四郎左衛門は正徳年間(1711-15)に面と籠手を完成させ、宝暦年間(1751-63)に一刀流の中西忠蔵が胴を加え組織的に訓練をはじめた。
 その中西の時点で、竹刀剣術は実戦と試合の矛盾を抱えている。
 中西はあくまで思いっきり打つことで実戦のシミュレーションを目指していた。
 だが、門人は打ち合いそのものを楽しむようになってしまったのだ。(日本剣道の歴史

 竹刀試合は実戦から遠ざかったかわりに、参加者が増えて活気づく。
 競技人口が増えるということは、レベルが高まることでもあり、剣道として技術向上につながったハズだ。
 なので竹刀で鍛えた技を実戦に落とし込んだ幕末の剣客こそが完成形と言うのが私の意見です。
 ただ、実戦になると やっぱり鉄砲には勝てないという冷たい現実が待ち構えていたのだろうけど。

 剣道は鉄砲には勝てないという現実と日本に浸透する西洋文化の影響で、一度衰退しつつ、第二次大戦前に戦技化して、敗戦により解体し、スポーツとして復活する。
 ここまでくると、戦国はもちろん幕末の剣術すら伝わっているのかどうかワカらない状態なのかも。
 宮本武蔵も、検証対象にされて迷惑だろうな。

 とにかく、武蔵を現代剣道のワクに入れることは不可能なようだ。
 やはり、いにしえの剣豪・宮本武蔵を止められるのは本部しかいないのだろうか。
 いや、本部に弟子入りして生まれ変わった刃牙がやってくれるかも!
 ゴキブリダッシュをしながら、マッハ突きをしつつ、拳銃で撃つことで範馬流マッハ3弾の完成だッ! とか、やりそう。
 たぶん、自分のオリジナリティーを主張して本部流とは名乗らないんだろうな。

追記 (15/8/19)
 宮本武蔵と言う資源をどう使えばよいのか?
 竹刀ふらせるためによみがえらせたンじゃないよね。
 もし竹刀剣道で武蔵に勝っていたとしたら、武蔵より強いんだから武蔵が不要になる。
 警察がなにをやりたいのか、ワカらなくなってきた。

 もちろん、三輪は前フリなのだろう。
 やっぱり三輪程度じゃ相手になりませんね。
 というワケで本命はこちらです!
 渋川剛気+オリバの技とパワーの2000万パワーズの登場だッ!
 とか、無いだろうか。
 渋川先生のことだから、武蔵の危険度にたどり着けなさそうだけど。

 日本刀で容赦なく斬っちゃう武蔵の危険度は渋川先生でなくとも、たどり着けない感じだ。
 歴史的に見ても武蔵は木刀を愛用しているので、木刀勝負に切り替えてもらったらどうか?
 もっとも、木刀だって当たれば充分に人を殺せるのだけど。

 木刀ですら危険と言うことで、武蔵に竹刀を持たせる計画だったりして。
 で、三輪と戦わせて、三輪が死んでなければ成功だ。
 心置きなく、竹刀装備の武蔵と戦える。
 第一候補は園田警視正あたりで。
 そんな計画だったりして。

 刃牙の展開は無計画のようで、ちゃんと理由があったりする。
 武蔵がなかなか烈を斬らなかったのは、ちゃんと計画通りだったし。
 時々、無計画のように見えながら、計画が失敗することもあるけど。
 アライJr.は、完全に計画失敗だよな。
 試練を与えて、化けるかと期待していたら、普通にダメだった。

 武蔵はすべて計画通りとなるのか?
 あと、本部も大丈夫なのか?
 武蔵以上に、本部は読めないんだよな。


2015年8月20日(38号)
第4部 第73話「実力」 (1052回)

 今週の刃牙道は巻頭カラーだ!
 そして、本部がデカい!
 刃牙よりデカい顔して出ている。
 いまの本部は空前絶後の絶頂期だから、大目に見てあげよう。

 そりゃ、チャンピオンおまけのクリアしおりで刃牙・武蔵・本部・勇次郎・烈・花山と6人のラインナップにも入っちゃうよ。
 しかし、あまりに高く持ちあげすぎだな。
 落ちたときのダメージがハンパないぞ。
 いや、本部なら五接地転回法を上まわるニンジャ的な着地で乗りきるかも。

◆大誤算…本部以蔵は強かったッッ!!

 アオリ文句でも書かれちゃった!
 本部はどこへ向かい、なにをしようとしているのか……
 いや、愚問だった。
 守護(まも)るのだ、皆をッ!
 何度聞いても、ウソっぽい。

 現代によみがえった宮本武蔵に竹刀を持たせて試合をさせたら、力任せの一撃で強引に勝利した。
 と言うのが前回のあらすじで今回の前半までの内容だ。
 リプレイ長すぎだよ!
 いくら長期の休み明けだからって、前回のあらすじにページを割きすぎだ。

 普通に考えたら、競技である竹刀剣道で勝負したら、武蔵に勝ち目はない。
 あえて闘気を消すことで、相手の虚をつき、間合いを詰めたようだ。
 競技だろうがなんだろうが、間合いの中にあっさり侵入されたらダメダメだろう。
 武蔵は剣道とはちがうルールで勝負をしかけて勝ったようだ。
 ダマシ討ちなら、武蔵の得意分野だぞ!

 勝利した武蔵は、内海警視総監に帰っていいかと質問する。
 予想していたより ずっとつまらなかったんだろうな。
 私もガッカリだよ。
 折角の高級和牛のステーキにハチミツをかけるがごときだ。
 武蔵の使いかたがワカっていない。

 だが、そこに入ってきた人物により場の空気が一変する。
 合気柔術の達人・渋川剛気だッ!
 武蔵に対抗できそうな数少ない人間の一人がここで参戦かッ!?
 ただし、武蔵が素手の場合に限る。
 日本刀もった武蔵は範馬勇次郎に匹敵する強さを発揮しそうだ。

(久々に――――――
 良い姿を見た)


 達人は立つ姿からして違うのか?
 武蔵は渋川さんの姿をほめる。
 足運びや、体幹の動きがすでに達人なのかも。

 こりゃ、本部の立ち姿も判定して欲しいところだ。
 久々に―― 痛い姿を見たと言われそう。
 最近の本部は増長が服きて歩いているような感じだよな。

 いっぽうの渋川さんは、武蔵がいることに気がついているハズだ。
 しかし、武蔵のほうを見ようともせずに内海警視総監と話している。
 これは誘っているのか?
 興味がないフリをしているっぽい。
 達人によるツンデレ作戦なのか?

 戦国時代の剣豪 vs 現代最後の達人 が内海警視総監の狙いなのだろうか?
 竹刀を持たせるより、数十倍も良いのだが、それでも渋川さんが勝てるとも思えない。
 それとも、素手勝負であれば達人に勝機があるのか?
 次回につづく。


 普通に考えれば達人・渋川と武蔵の対決はイイ勝負になるだろう。
 しかし、本部がはなった呪いの言葉が気になる。
 本部は渋川剛気ですら武蔵に勝てないと断言した。
 もっとも本部の断言はけっこう外れるから、あまり信用していないけど。

 素手勝負なら武蔵にも勝てる。
 そう思わせておいて、ヒモでしばったり、やかんのお湯をかけたりしそうだから武蔵は油断できない。
 本部が言うとおり、武蔵の強さは全方位の戦闘術だ。
 五輪書でも、せっかく二本刀をさしているんだから全部使わないともったいないと主張しているし。
 武蔵は持っている武器は全部使う主義なのだ。

 そうなると、やっぱり武蔵を止めることができるのは本部なんだろうか?
 でも、本部は力士の小指にぶつかって敗北しそうなイメージがどうしても消えない。
 本部流を学んで全方位に強くなった刃牙をぶつけるってのがイチバン現実的な対策と言う気がする。
 使えるものは全部使うのだから、刃牙を使うってのも武だな。
 あとで、勇次郎に激しく怒られそうだけど。

追記 (15/8/26)
 板垣先生は極真の人から愚地独歩と大山倍達は別人であると明記してくれと言われたことがあるそうだ。
 独歩は苦戦もするし負けたりもする。(参考
 大山倍達と同一視されたら困るというわけだ。
 板垣先生的には、作中に大山倍達が出てきたので、別人だという証明になっているらしい。

 71話に最後の達人・塩田剛三が出てきた。
 あたりまえだけど、渋川剛気にそっくりだ。
 いや、渋川剛気のほうが似ているんですけどね。

 大山倍達の例を考えると渋川剛気と塩田剛三は別人ですよって宣言かもしれない。
 つまり渋川剛気になにが起きても無関係ですよという予防線だったりして。
 そうでないことを祈りますが。

 元ネタと決別することでかえってピンチになる。
 モハメド・アリに直接攻撃するのはしのびないから、息子を出しちゃえと生まれたアライJr.の末路をおぼえているだろうか。
 やっぱり、元ネタから離れすぎるのは危険なのかも。

 宮本武蔵は元ネタどころか、クローンの本人だ。
 他のキャラよりも元ネタへのシンクロ度が高いから強いのかもしれない。
 これに対抗するには、元ネタそのもの人か、元ネタが存在しない人じゃないとダメかも。
 刃牙も元ネタのある人だから、武蔵がニガテなのかもしれない。


2015年8月27日(39号)
第4部 第74話「友人(ダチ)」 (1053回)

 よみがえった伝説の剣豪・宮本武蔵と、現代の達人・渋川剛気が遭遇したッ!
 この仕組まれた出会いは、どんな事件を生みだすのか。
 事件解決をするはずの警察、それもそのトップの警視総監・内海が仕組んでいるというのが罪深い。

 渋川さんは武蔵に気づかないフリをして背中を向けたままだ。
 武術家がわざと背中を見せる。
 これは誘っているな!
 もちろん、武蔵も誘われていると見破っているのだろうけど。

 いや、武蔵の興味はそこじゃなかった。
 達人・渋川の立ち姿に感心している。

(真中に一本――――――――
 しっかり通っとる……!


 体幹というか、重心の位置が良いのだろう。
 重心が安定している。
 それでいて、次の動きに素早く対応できる立ち姿かも。

 合気道は、究極的に自然や宇宙との一体感を得るらしい。
 脳内麻薬の出しすぎかも。
 もしくは禅などの東洋哲学による悟りの境地かもしれない。(史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち
 悟りの境地って、武術の究極や、脳科学による意識の説明とそっくりで、もしかしたら同じ現象を違う言葉で説明しているんじゃないかと思えてしまう。

 とにかく、真ん中に一本ですよ。
 ゲバルが失敗した地球拳も、地球との一体感があったかもしれない。(範馬刃牙7巻 52話
 超垂直重心による地球投げとかも完成したりして。

 渋川先生が武蔵をムシしつづけるので、内海は武蔵を紹介する。
 このオッサン、平時に乱を持ちこむタイプかよ。
 だが、渋川さんもタヌキだ。
 笑顔で武蔵に挨拶する。

 まるで初対面のようにふるまっているが……
 渋川さんは烈海王と武蔵の試合を見ていた。
 試合後に控室にも来ていたし。(66話
 まさか、ボケたッ!?

 いやいや、達人は笑顔の時ほど恐ろしい。
 きっと笑顔の下に刃を忍ばせているのだろう。
 スキを見せたら すぐに襲いかかってきそうだ。

「いったい…………」
「どちらが強いのでしょう」


 内海が仕掛けたッ!
 けっきょく、この人も人間を戦わせて喜ぶタイプか。
 コイツが警視総監なんだから、恐ろしい。
 もしかして、地下闘技場が存続できているのは、内海の協力があったからかも?

 渋川さんは、やっぱり笑って流す。
 あやしい。
 なんか狙っていそうだ。
 まさか、となりの部屋に機関銃を装備した本部がひそんでいたりして。

「こうしてお会いできるだけで……」
「光栄の至り…」
「どうか握手をしてもらえませんか」


 西洋式の挨拶だッ!
 武蔵はよくワカっていないようだが、とにかく握手に応じた。
 両者が静かな緊張の中で、手を握る。
 握ったまま、動かない。
 なんだ? 握力勝負をしているのか?
 ではなく、武蔵が手を離せなくなったらしい。

 合気だッ!
 有名な技として、相手に手首を握らせて投げるというものがある。
 投げられるほうが握っているのだが、なぜか手を離せず投げられてしまうらしい。
 相手の動きをコントロールすることで可能というが、ここまで来ると武術というより妖術だ。

 渋川さんは握手のまま武蔵を崩す。
 そして、あおむけに倒した。
 投げたり、関節を極めるのではなく、崩して寝かせた!
 まるで赤子の手をひねるかのように簡単に倒す。

 烈海王は友人(ダチ)だ。
 勝負だからという理屈はワカるけど、割りきれない。
 というワケで倒れている武蔵にダメ押しで拳を叩きこむ達人であった。
 素手勝負で、得意の型に持ちこめば、現代の達人のほうが有利だ!
 次回につづく。


 渋川剛気は真剣勝負で左目を失った経験もある。
 そんなシビアな世界を経験している達人だから、友人の死もドライに受け止めるんじゃないかと思っていた。
 ところがどっこい、熱い友情をもっていたようだ。
 慎重で冷静な人だと思っていたけど、けっこう情熱的なんですね。

 武蔵に攻撃を加えるということは、反撃で斬られる覚悟をするってことだ。
 昔の武士はなめられたままじゃ、士道不覚悟で生きていけない商売だ。
 面子をつぶされたら、倍返ししないと世間体が悪い。
 本気を出す条件がそろった武蔵と戦うことになりそうだぞ。

 合気は武蔵の生きた戦国時代にはなかった技術なんだろうか?
 刀剣はあたりまえ、弓矢・鉄砲だってでてくる。
 そんな戦国時代には合気を磨いている余裕などなかったのかも。
 400年の時はムダじゃなかった。
 新しい技が開発されていたのだ。

 ただ、これで武蔵に勝てるとは思えない。
 武蔵も剣禅一致の境地に達している可能性がある男だ。
 殴られながら、究極の脱力で脱出するかもしれない。

 どっちにしても、武蔵の手が離れて自由に動けるようになったら、渋川ピンチだ。
 剣を持っていなくとも、武蔵は殺気の剣でイメージ斬りができる。
 殴っている渋川さんが有利に見えるけど、実は追い込まれているのかもしれない。

 渋川さんは本当に危険があるなら、その場に近づけない危険回避能力をもっている。
 自動車の自動ブレーキ機能より、ずっと高性能だ。
 その危険回避が働いていないっぽい。
 ならば、安全ってことだろうか?

 渋川さんは、危険を察知してもそのまま進んじゃう人だしな。
 今回も、危険と知りながら、あえて来たのかも。
 というか、渋川さんって危険を感じても止まったことないんだよな。
 なんのための予知なんだか。

 それとも、武蔵が実力を隠して渋川センサーを狂わせたのだろうか?
 あと、最近 本部さんが強いところをアピールしているので、なにが強いのか理解(わか)らなくなっているのかも。

追記 (15/9/2)
 達人・渋川の合気が炸裂だ!
 でも、縛法で縄を使いこなす武蔵だから、縛られたときの対策もありそう。
 小柄とか小刀を隠し持って縄を切るとか。
 つまり、あまり長時間接触していると刺される危険性ありだ。

 それだけでなく、武蔵が擬態でピンチをよそおっている可能性もある。
 武蔵との戦いはフィニュッシュにもっていくのが難しそう。
 慎重な渋川さんでも、ダマされるときはダマされるだろうし。

 掲示板等のコメントで、渋川さんと烈ってそんなに仲良かったのかという疑問が出ていた。
 これは見えないところで、交流があったと思っています。
 刃牙と柴千春だって、共通の友人・花山がいるだけの関係っぽいのに、わりとダチっぽい会話していた。
 最大トーナメント後に、打ち上げの交流会とかもあったのでしょう。

 ただ、渋川さんの場合は、仇討ちを口実に仕掛けている可能性がありますが。
 喰えないジイさんですよ、あの人は。


 合気道と開祖・植芝盛平について、次のメールをいただきました。
 塩田剛三 以外からの視点での情報ですね。
合気道の開祖植芝盛平が、「合気道」という呼称を使い始めたのは1948年です。つまり、当然武蔵以後に成立した武道ということになります。
しかし、合気道の原型となった武術については、様々あります。講道館柔道、起倒流柔術(グラップラー刃牙3話に出てきた鬼頭流柔術のモデル)、柳生心眼流柔術などなど様々です。この中には戦国時代から続いているものもありますので、武蔵が経験した武術もあるかもしれません。
つまり、客観的に見れば、「合気道」とは、戦国時代から戦後までの様々な「柔」の技術を結集した「柔」の究極体、ということになります。
しかし、真実は異なります。
合気道で唯一十段を取得した男、藤平光一がこの真実について著書で述べています。(渋川のモデルとなった塩田剛三ですら九段止まりなのを考えると、まさに伝説の合気道マスターと言えるでしょう。もっとも、塩田さんは十段を取る前に独立したので、実力は藤平さんより上かもしれませんが)
藤平さんは、合気道に入門後、厳しい鍛錬を積みますが、それでも齢70を超える植芝さんに敵わなかったと述べています。まさに「怪物」だったと。
藤平さんは、そうした植芝盛平の強さのルーツを探るため、植芝に柔道を教えていた鈴木新吾、という方にお話を聞きに行ったようです。
そこで鈴木さんは驚くべきことを言います。「植芝盛平は弱かった」と。
驚く藤平さんに、続けてこうも言いました。「柔道を習っても弱い、柳生心眼流の免許をもらっても弱いまま。そして、武田惣角に師事してからも弱かった」と。
武田惣角とは、当時の伝説的武道家で大東流合気柔術の始祖です。ほとんどの人は、この武田さんのおかげで、植芝は強くなり、合気道が生まれた、と誤解していたのです。
そして、鈴木さんは最後にこう話しました。「しかし、大本と出会ってから、植芝は見違えるほど強くなった」と。
藤平さんは、最後のこの一言で、鈴木さんの話が正しいことを確信したと言います。
同時に、植芝さんにまつわる様々な伝説(戦争中に弾を避けた、暴漢数十人を相手取り一人で倒した)が嘘だったことが分かったと言います。
植芝さんが柔道を習ったのが、兵役を終えた後だったので、兵役中にそんな芸当ができるはずがありません。
藤平さんは言います。「植芝盛平に関わるあらゆる伝説は、植芝を恐れ、慕い、憧れていた連中が作り出した幻想だ」と。
そして同時に、「だが植芝先生が強かったのは事実。本当に強かった。まさに怪物だった。その強さの秘密は大本にあったのだと確信できた」と述べています。
大本とは、最近刃牙道でも出てきた宗教のことです。
この大本と出会うことで、植芝は悟りを開き「自然体」を体得しました。そして、あの怪物じみた強さを発揮していたのです。
つまり、合気道とは「柔」という「技術」の究極体などではありません。

とらさんが今週の感想で述べていた様に、合気道は東洋哲学の悟りをもとに作られた「武道哲学」なのです。
古来より、東洋哲学には必ず「自然体」という単語が出てきます。悟りを開いた者は「自然体」になると。
「自然体」とは即ち「脱力」のことです。
植芝は悪魔的な性格の持ち主で、弟子には「脱力」などという言葉は少しも教えずに「柔道のように力を入れろ」と教えていたようです。
しかし、藤平光一は、鈴木氏の話をもとに、植芝の強さの源は「脱力」にあると見極めました。
塩田剛三は、そういった話を聞かず、驚異の観察力で「脱力」を見極めました。
このお二人は、意地悪な師匠の言葉を鵜呑みにしないことで、「合気道」の極意を学んだのです。
塩田さんも、藤平さんも、哲学的な名言には事欠きません。その背景には、大本に出会って強くなった植芝、そして合気道の武道哲学としての側面が大きかったのでしょう。
その証拠に、藤平さんの著作には、合気道の「技術」に関する話は一切出てきません。藤平さんは知っていたからでしょう。植芝盛平の強さとは「柔」という「技術」に支えられたものではなく「東洋哲学」の「悟り」によってもたらされる「脱力」にこそあったということを。
もっとも、植芝の弟子たちは大本の教義には疑問を呈することが少なくなかったといいます。決して大本が究極の宗教、というわけではないのでしょう。
しかし、仏教で悟りを得る人もいれば、イスラム教で得る人もいます。儒教で得る人もいれば、大本で得る人もいる。それだけの話だったのでしょう。
つまり、人間にとって「揺るぎない信念」がどれほど大切なのかということを藤平さんは植芝さんから学んだのでしょう。
すなわち、武蔵が出会った「合気道」とは、戦後に成立したまぎれもない新武道ということになります。その元になる武術を武蔵が経験していても、何の問題もないということです。
長くなりましたがこんなところです。
私が刃牙を好きな理由の一つには、この「脱力」を前面に押し出している、というところもあります。(少々脱力について誤解されてるところもあるようですが・・・)
 いくつか、疑問というか補足ですが……
 「植芝盛平は弱かった」との話ですが、超・達人級に比べてと言うことだと思います。
 本当に弱ければ免許を得ることはできないでしょうし。

 また、合気は各流派、各人によって解釈や説明がちがいます。
 wikipediaの合気を見ると、いろいろな説がのっていることがわかるでしょう。
 また、編集履歴をみるとさらに混沌とした説がのっています。

 たとえば、現在削除されている吉丸慶雪の合気は「合気は伸筋の力」によるものらしい。
 思いっきり略すと、筋肉には、(たとえば腕を)伸ばす筋肉と、曲げる筋肉がある。
 下手に力を入れると両者が相殺してしまう。
 なので、曲げる筋肉を使わず、伸ばす筋肉だけを使うと強い力となる。(合気、その論理と実際

 刃牙世界の(というか渋川さんの)合気は、その理論・理合をまったく説明していない。
 描いているのは、その現象だけだ。
 このへんは理解(わか)らないことは嘘になるから描かないという板垣先生なりの信念なのかもしれない。
 合気というのは、皆の心の中にあるんだよ……
 スイマセン逃げました。


2015年9月3日(40号)
第4部 第75話「アイキ」 (1054回)

 現代によみがえった宮本武蔵に現代の達人・渋川剛気が挑む!
 ただし、武蔵は武器なしだ。
 うむ、これなら合気柔術の達人に分があるぞ。
 武術家は勝ち目のないケンカをしないのだ。

 握手すると見せかけ、武蔵を地面に倒す。
 そして顔面殴打だ。
 まずは達人の先制攻撃が決まった。

 でも、ここまではできる人もいるだろう。
 ここから武蔵にトドメをさすのが難しい。
 武蔵って、さんざん殴られた後でも「現代の武を学ぶため、わざと殴られてました」と言ってノーカンにしちゃいそうだ。
 ここから絞めるとかで、落とせないだろうか?

 と、達人・渋川は手を放してしまう。
 え! 放しちゃうのッ!?
 ダメだろ、それ。
 合気技で武蔵の動きを封じるのは、勝利への必要条件だよ。

 動きを封じたままでも、どう勝利するのか見えてこなかった。
 だが、手を放したら、本当にダメだ。
 不意打ちでなく対等な条件で戦いとか紳士的なことを考える渋川さんじゃないと思うのだが……
 ……渋川さん、ボケちゃったのか?

「詫びる気持ちはさらさらねぇ」

 盟友・烈海王の仇討ちという名目だが、それは建前で個人的な"憂さ晴らし"らしい。
 烈が戦って死んだのは、本人が死ぬかもしれないルールで、最後まで「まいった」をせずに戦ったからだ。
 本人も死ぬ覚悟をしていた戦いである。
 それを勝手に仇討ちするのは、烈の覚悟への侮辱だろう。

 あと、日本の仇討ちは基本的に目下がやるものである。
 師・父・兄などの仇を討つのはOKだ。
 でも、弟子・子・弟の仇を討つのは良くない。
 もっとも荒木又右衛門弟の仇を討つ兄に助っ人参加して有名になった。
 結果オーライってやつですが、仇討ち後に荒木又右衛門は急死したのは逆仇討ちした男をたたえるのは面倒なので死んだことにしたという妄想材料を世にはなったので、やっぱり結果オーライなのかも。

 話をもどすと、渋川さんが烈の仇を討つというのは、烈より格下であると認めるようなものだ。
 実力ともかく、年齢は圧倒的に渋川さんのほうが上だぞ。
 仇討ちを口実に武蔵と戦いたいだけじゃなかろうか。

「凄い妖術(わざ)だな」
「摑(つか)んだ手が放せない」


 武蔵は立ち上がり渋川さんの技術をほめる。
 ついに妖術認定しちゃったか。
 合気は武蔵にとっても謎の技術のようだ。

 戦国時代の組み討ち「捕り手」から柔術が生まれ、安政六年(1859年)に一人の天才が生まれる。
 武田惣角だッ!
 植芝盛平につづいて伝説の達人話だな。
 このへんの人たちはスゴすぎて、伝説の達人というより、達人の伝説みたいな人だ。
 武田惣角は夢枕獏の小説『東天の獅子』でも活躍している。
 『真・餓狼伝』にも登場するんじゃないかと期待していたんだが……

 身長150センチそこそこの体格ながら、合気という秘技をうみだし、武田惣角は達人となる!
 前回の感想追記でも書いたが、合気は流派や個人によって定義が異なる。
 渋川流では相手を無力化する技術を合気としているようだ。

 武田惣角の弟子・植芝盛平の弟子・塩田剛三は「痛いと感じさせるようじゃダメだ」と言っている。
 戦闘中は興奮して痛みを感じなくなるし、痛みを超える覚悟をしているかもしれない。
「痛くて倒れている状況じゃダメなんだ。痛くないけど、どうしようもないという状況まで、持ちこまなければ」
 技をかけられた人によれば、技をかけられると「重かった」そうだ。(板垣恵介の激闘達人烈伝
 相手のバランスを崩し筋力を弱らせているんだろうか?
 とにかく合気は神秘的な秘術なのだ。

「武田惣角 以降 幾人かの才能が生まれるも」
「遂に惣角をも凌ぐ」
「トンデモな大天才がまた一人現れる」
「俺 渋川剛気だ」


 俺こそ大天才という自負だ!
 笑っている。
 だけど、笑顔がなんか怖い。
 狂気を含んだ笑顔だッ!

 日本の武術史上最高の大天才が自分だ。
 そんな感じですね。
 強すぎる自負心が武蔵との対決という暴挙に向かったのだろうか?
 天才というのは間違いないけど、老いが鈍らせているのかも。

 名乗りを上げたことで、武蔵と渋川さんの間に対決ムードが高まる。
 無責任な見学者たちも汗を流して興奮しているぞ。
 彼らは警察官だけど、人と人が命がけで噛みあうところを見たいようだ。

「渋川さん」
「何が見える………?」

「今朝ほどから…」
「お花畑が……」

「俺もだ♥(はぁと)


 達人・渋川剛気は危険な相手がいると門や断崖絶壁などが見えて、その場に近づけない護身センサーをもっている。
 武蔵と出会う今日は、煮えたぎる溶岩の川が見えていたようだ。
 その危険度に汗が流れる。
 今まで汗を流していなかったのは、気を張ってごまかしていたのだろう。

 対する武蔵は、極上の獲物と出会えて、文字通りのお花畑を感じている。
 刃牙と出会ったときも、武蔵と刃牙で感じるイメージに差があった。(3巻 24話
 つまり、渋川さんの負けフラグですね。

 敗北の予感がありながら、なぜ渋川さんは来てしまったのか?
 そもそも、護身センサーに反応あっても、この人は一度も引き返したことないぞ。
 武術家というより、特攻隊だよ。
 それとも、達人にはナニカ秘策があるのだろうか?
 次回につづく。


 話長いよと武蔵にツッコまれながらも、武田惣角と合気の話をしつつ、自分の天才性をアピールする達人であった。
 長い話は心身のコンディションを整えるための時間稼ぎだったりして。
 塩田剛三も話をしながら自分の脈をみてベストコンディションを引き出していたそうだ。

 だが、宮本武蔵に勝てるのだろうか?
 私にはとても勝てそうに思えない。
 なにしろ刃牙ですら負けたのだ。
 さすがに達人でも相手が悪い。

 もう老い先短いから、命よりも好奇心が勝っているのかも。
 達人は技だけでなく、動機も難しすぎる。

 ただ、今回の武蔵は日本刀をもっていない。
 これなら死ぬ確率は低いだろう。
 命がけギリギリの勝負をして、武蔵の技を探る気かもしれない。

 そう考えると、武蔵に剣道七段・三輪猛丈(38)をぶつけたのは、武蔵の動きを観察するためだったのかも。
 まさに捨て石ですね。
 用が済んだら床で倒れているのを放置しているし。
 でも、放置されているだけマシかもしれない。
 本当に用がなくなったら、敗者の姿は消えてなくなる。

 渋川さんの護身センサーに反応がある以上、武蔵と戦うのはキケンだ。
 せっかく護身完成して手に入れた護身センサーなんだから、ちゃんと使えばいいのに。
 もし、刃牙が梢江とSAGA第二章をおっぱじめていたら、タコやイカのバケモノの幻影を見るだろう。
 そういうのは、さすがの達人・渋川剛気も、さけて通ると考えたい。
 SAGA第二章の危険度は武蔵以上ですよ、きっと。

追記 (15/9/9)
 最近ちょっと忘れかけていたけど、タイトルは『刃牙道』だった!
 バキシリーズのタイトルは、『グラップラー刃牙』『バキ』『範馬刃牙』『刃牙道』と変わっている。
 いまさらですが、おさらいとしてタイトルの意味を考えよう。

 『グラップラー刃牙』の開始当時は総合格闘技の夜明け前だった。
 空手と柔道とボクシングは、どれが一番強いのか。
 いずれも闘争術としての流派であるなら、喧嘩などのルール無用で戦う場面もあるだろう。

 『グラップラー刃牙』は、そんな時代に格闘士として時代を切り開くべく戦う。
 当時は耳なれないグラップラーというスタイルを背負っている。
 もっとも刃牙のスタイルは、グラップラー(組み技主体)というよりストライカー(打撃中心)よりですけど。

 格闘士として、総合格闘技の扉を開いた刃牙だが、現実が追いかけてきた。
 実際に総合格闘技を行うようになり、グラップラーという単語も知られるようになる。
 もはや、総合格闘技はドリームマッチとして妄想するものでなく、現実に見るものになった。

 そうなると、バキシリーズは新しい世界を目指さなくてはならない。
 試合よりも危険な世界へ。
 喧嘩ですらない殺し合いに近い闘争の世界だ。
 武器の使用も辞さない最凶死刑囚たちが登場する。

 もはや試合ではなくなった世界は、流派でもくくれない何でもありの『バキ』世界となる。
 格闘士でもなく、日本の範囲にも収まらない。
 ただの『バキ』として、より自由な世界で戦うのだ。

 さらに過激な世界でも最強に近づいた刃牙は、当初からの問題に向き合う必要が出てきた。
 父・範馬勇次郎との決着である。
 『範馬刃牙』というタイトルは、姓がついていることからワカるとおり家族問題の物語である。

 で、『刃牙道』ですよ。
 最近、実在達人の話が多くでている。
 『刃牙道』の『道』とは、武道の道なのかも。
 先人が歩んできた道だ。

 『刃牙道』とは、刃牙に至るまでの道であり、刃牙がこれから進む道かもしれない。
 しかし、いま刃牙のいる一歩か二歩前に本部がいるんだよな……
 そっちの道に進んで大丈夫なのか?


2015年9月10日(41号)
第4部 第76話「合気」 (1055回)

 現代武術の傑作・合気と、戦国時代の剣豪はどちらが強いのか?
 渋川剛気と宮本武蔵が激突する!
 あ、今回の武蔵は非武装の素手勝負です。

 渋川剛気 vs 宮本武蔵は、さておいてインタビューである。
 このタイミングでッ!?
 勝負のゆくえはッッ!?
 などと言っても、回想やインタビューは止められないし止まらないものなのだ。

 話し手は中国武術の最長老にて、最高峰の郭海皇さんです。
 初登場時に146歳というギネスブックもびっくりの超高齢だったが、今は147歳だろうか。(バキ20巻 178話
 いまだに死ぬ気配もなく元気です。

 そんな郭海皇に質問する。
 最高の護身術とはどんなものか?

「我が中国武術に勝る護身術ナシ!!!」
「言えるものなら言いたいが」
「齢150も超えると」
「そう偏ったことも言いにくい」


 でたよ中華主義め!
 と思わせといて、けっこう謙虚だ。
 あと、いつの間に150歳を超えたんだろう。
 数え年なら、150歳ってのもアリかもしれないが……
 それとも、やっぱりボケが加速しちゃったのか?

 100歳未満なら若気のいたりで、中国武術こそ最強だ! と言っても良いのかという疑問ものこる。
 昔の烈はその手の発言をバンバン言っていた。
 若いからノーカンですかね。
 …………烈よ。

 さて、郭海皇の考える護身とは?
 敵を圧倒的な強さで、無傷のまま倒す。
 というのは、完成には程遠い。

 究極の護身とは、危険に近づくことすらできない。
 無意識に危険から遠ざかるのだッ!
 これって、達人・渋川剛気の護身完成と同じ境地だな。
 日本の柔術と中国武術の目指すところが同じなのか。

 前に書きましたが、日本と中国では武に対する態度がかなり違う。
 それでも、目指す地点が同じだとしたら、面白い偶然だ。
 インド哲学や老荘思想、禅、武術の究極、脳科学の研究が、人の無意識を重視した意識構造を指摘しているのと似ているかもしれない。

 孫子の兵法でも、百戦百勝は最善でなく、戦わずして勝つことが最も良いと言っている。(孫子
 戦争は勝とうが負けようが、物資を消費し、時間を費やし、相手の恨みを買う。
 だから、なるべく戦闘をさけて勝利したい。
 戦いを避けるというのは、孫子の兵法にとっても最善の行動かもしれない。

 ただ、郭海皇はこの境地にたっしていないハズだ。
 範馬勇次郎と戦って、死んだフリをするハメになったぐらいだし。

 郭海皇は愛弟子がチョット向こうに行ったということで、数珠をかけて話していた。
 これだけ烈海王が死んだことをアピールされると、逆に死んでいないんじゃないかと思えてしまう。
 クローン技術で、なんとか蘇生させたとか。
 ついでに紅葉が遊び心でイロイロ手をくわえて、生体サイボーグ化しちゃったり。
 烈海王あらため、劣海王だッ!
 あの堅物だった烈が、お下劣な下ネタばかり喋るようになった!
 と、いうのは止めていただきたい。


 いっぽう護身完成している達人・渋川剛気は、マグマの幻影に道をふさがれていた。
 そこで引き返しておけば、護身完成なのに。
 でも、ヤバいもの好きな渋川剛気は巨門だろうが、うずしおだろうが、マグマだろうが乗りこえて行く。
 渋川さんは、根本的に護身が向いていないんじゃなかろうか。
 身をまもるよりも、相手を攻めたい人っぽい。

 そして現在、渋川さんは宮本武蔵と対峙しているのだった。
 よみがえった宮本武蔵こそが、幻影マグマの発信源だ。
 警視総監・内海に話しかけた渋川さんは、左腕ごと首を斬られるイメージを感じる。
 宮本武蔵の得意技・イメージ斬撃だ。
 略して幻斬ってところですか。

 戦う相手を前にしてよそ見をするとは、達人らしからぬ行動だ。
 油断したのか?
 いや、相手はマグマだ。油断できないと理解(わか)っていたハズだ。

 武蔵は素手である。
 渋川さんに油断があったとすれば、相手の間合いや攻撃を素手前提で考えた点だろう。
 よそ見は武蔵を誘う狙いだったのかもしれないが、まさか斬撃がくると思っていなかった。
 こりゃ、二手目を読み間違えたってところですね。

 あらためて武蔵と向きあう達人だが、汗が止まらない!
 この発汗量はジャック・ハンマーとの一戦を超えるか?
 火山の噴火イメージまで見えるほどの、武蔵プレッシャーだ。

 自然体で両腕をダラリとおろしている武蔵だが、その両手には大小の日本刀がある!(※ 刀はイメージです)
 日本刀を相手に無手の合気柔術で対抗できるのか?
 達人・渋川剛気は身を低くして、つっこむ。
 武蔵の顔が近いッ!
 そして、逆袈裟に斬られた!

 イメージだけど斬られたぞ。
 本日二度目の致命傷だが、まだ戦えるのか?
 次回につづく。


 危険だとワカっているなら、行かなきゃいいのに。
 そう思ってしまうのは、私がヘッポコだからだろうか?
 でも、独歩や本部だって勝ち目のない喧嘩はしないと言っているしな〜
 せっかくの護身センサーなのに、イカせてないのが残念だ。

 武蔵は相変わらず、幻斬を使っている。
 これなら銃刀法違反に引っかからないし、便利かも。
 あくまでイメージだから、たぶん死なないし。

 本部も武蔵と同じような構えをしていた。(6巻 49話
 つまり、本部も幻斬を使えるのだろうか?
 最大トーナメントで使っていれば、本部に勝った金竜山を逆に倒し、金竜山を倒した猪狩にも勝って、猪狩を倒した刃牙にも勝てたかも。
 試合で幻斬を使わなかったのは、本部なりの気づかいだったりして。

 幻斬はあくまでイメージであり、おそらく武術レベルの高い人間にしか効果がないだろう。
 渋川さんは護身完成レベルだから、イメージ攻撃を強く受けてしまいそうだ。
 イメージを合気で返すとか、できないだろうか。
 思い切って、武蔵がイメージの刀を武器にするなら、こっちは警視総監・内海を武器にする!
 シロウトの内海なら、幻斬も通用しないぞ!
 内海をブン投げて新必殺技・ポリスデカマグナムの完成でどうか?

追記 (15/9/16)
 先週いただいた意見の中で考えねばならないのが二つあった。
 武芸百般らしい本部はなぜ金竜山に負けたのか?
 本部の技を全部使えるらしい花田も本当は強いのか?
 どっちも本部がらみですね。本部から目が離せない!

 いつの間にか最強候補にいる本部以蔵さんですが、金竜山に負けた過去のせいで、なんか強く見えないのだ。
 本当に、なんで負けたんだろう。
 真剣で斬ったようなイメージを見せてひるんだところを攻撃すればよかったのに。
 武芸百般と言っても、幻術はニガテですか?

 いや、もしかして相手が悪いのかも。
 相撲とは日本最古の格闘技だ。
 神話の時代、野見宿禰当麻蹴速が死闘するあたりから続いている。
 いわば、柔術の祖でもあるのだ。

 さらに言えば、相撲は単なる格闘術でなく神事でもある。
 幻覚攻撃なども、通用しないのかも。
 本部にとって相性最悪の相手と戦うハメになった不運な事故だ。

 あと、花田だ。
 本部流の免許皆伝なんだけど、弱い。
 弱いよな……。しみじみ、弱い。
 マウント斗羽に制裁されボッキボキになり、加藤には片玉つぶされた。

 本部は、花田に素手の技しか伝えなかったのだろうか?
 実際、伝えていないとしか思えないが。

 長期連載は、いろいろ辻褄が合わないことが良く起きるものだが、本部の強さほど悩ましいものは無いだろう。
 それもこれも、板垣先生がその場のノリで……  ……いや、言うまい。

 とりあえず、本部が強いのはなんとか許せる。
 しかし、花田が強くなるとは思えない。
 俺は、花田が弱いままに100万点かけるぜ!
 というか、そもそも出番がないかも。


2015年9月17日(42号)
第4部 第77話「さすがだぜ」 (1056回)

 現代によみがえった剣豪・宮本武蔵 vs 現代の達人・渋川剛気のスペシャルマッチだ!
 と、言っても武蔵の強さはズバぬけている。
 主人公の刃牙ですら、あっさり負けた。
 達人とはいえ、勝てないだろう。

 渋川さん本人も敗北を予感しているようだし。
 ならば、いかに負けるのか、だ。
 後ろ向きな戦いで、ちょっと応援しにくいな。

 無手の宮本武蔵だが、日本刀を持っているイメージを発している。
 殺気が読めるレベルの戦士ならば、殺気イメージの斬撃に反応してしまう。
 ハイレベルの戦いだからこそ、通用する幻影斬だ。

 達人・渋川剛気は、幻影斬を警戒して間合いをあけている。
 そこから踏みこんで、近づ……
 武蔵が来た!
 渋川さんより遅く動きはじめたのに、渋川さんが一歩動く前に二歩以上の距離を進んでいる。

 武蔵が右足を前にしているのは変わらない。
 つまり、左→右と進んだのか、右→左→右と進んだのかだ。
 信じられない速さである。
 もしや、縮地って技か?

 そして、幻影斬だ!
 渋川さんは逆袈裟に斬られ大出血のイメージをうける。
 肉体的なダメージはないが、思わず動きが止まってしまう。
 一流同士はコンマ1秒の争いだ。
 武蔵がその気なら、ここで決着である。

「やられたァ――――!!!」

 達人が身もだえして倒れた。
 芝居がかって大げさだ。
 これはワザと大騒ぎすることで、ガチンコ勝負を茶番のお遊びに変えようとしているのかも。

 武蔵に勝てる可能性が低いのは、ワカっている。
 しかし研究のためにも、ぜひとも立ち合いたい。
 そして、負けるなら傷の浅い負けかただ。
 渋川さんはそんな計算をして戦ったのかも。
 さすが達人、負けっぷりも達人だ。

「さすがは"剣の人"だ」

「一足目を踏む間もなく詰められていた」

「完敗だ」


 そういって渋川さんは手をさしだす。
 武蔵を封じた、合気の握手ふたたびか!?(74話
 だが、今度の武蔵は無防備に合気をかけられたりしない。
 握手しながら幻影斬でメッタ斬りだ。
 これでは、渋川さんも合気を使うどころじゃない。

 なんで渋川さんは、ふたたび握手を求めたのだろうか?
 考えるに、自分の合気に武蔵がどういう対策をするのか見たかったのだろう
 結果は幻影斬の乱れ斬りである。
 強引な手段だが、効果はバツグンだ。
 攻撃は最大の防御である。

 対応策を瞬時に考え、二度目の失敗はしない。
 武蔵の潜在力と対応性を知ることができた。
 イメージで斬られたり、敗北を味わう以上の収穫だったかも。

 やっぱり渋川さんは烈の仇討ちとか考えていなかったようだ。
 武蔵はどんだけ強く、自分の技がどれだけ通用するのか。
 それが知りたかったのだろう。
 無謀なようで慎重な達人であった。

 あと、武蔵vs渋川が高度すぎて、凡人に理解できないのもポイントだ。
 警視総監・内海には次のように見えただろう。

(1) 渋川さんが合気で武蔵を倒し、鼻血を出させる
(2) 武蔵がなにかやったらしく、渋川さんが驚いた
(3) 試合開始で、武蔵が瞬間移動して、渋川さんがやられたと叫ぶ
(4) 最後は、おだやかに握手した

 武蔵が何かしたようだが、良くわからない。
 両者のダメージを見比べると、武蔵だけが鼻血を出している。
 つまり、渋川さんの優勢勝ちに見えるかもしれない。

 試合に負けた。
 でも、自分の体面は守れている。
 さすが達人、勝敗のキモをつかんでいるぜ!


 いっぽう、とあるホテルのVIPルームで事件が起ころうとしていた。
 部屋番号『0000』、仮面ライダー オーガの変身コードは『000』だが、まあ つまり……
 範馬勇次郎の宿泊先だッ!
 そして、本部以蔵が突撃訪問しているッ!!

 まさか、この二人が出会うとはッ!
 いや、出会っても構わないんですけど、いまさら会ってどうするのやら。
 本部は勇次郎に二度負けている。
 日本刀を折られて凹んだのも合わせると、三回だ。
 もう、じゅうぶんでしょう。

 ヒョウ柄のビキニパンツ一丁というラフすぎる格好で勇次郎は寝そべっている。
 ッッ!?
 誘っているのか?
 でも、スキだらけに見えるが、不意打ちへの警戒もありそうだ。

「あまり言いたかねえことだが」
「本部よ」
「おめぇん所 訪ねようとしていた」

「ここんとこ客が増えてんじゃねぇか?」
「奴の事はおめぇがイチバン理解(わか)ってる」


 なん…だと!
 まさかの高評価だ!

◆勇次郎が本部を認めている…だと!?

 アオリ文句でもビックリしている。
 勇次郎は最近の本部が妙に強いことを知っていたのか。
 あ、妙に強いってのは「信じられないぐらい強い」ではなく、「強いようなんだけど、本当に強いのかわからない」という意味で言ってます。

 勇次郎が認めちゃったら仕方がない。
 本部は武蔵をもっとも理解(わか)っている男だ。
 今の本部なら、愚地独歩を1分以内に殺せる!
 ※ ただし、武器の使用が認められた場合です。

 なによりも闘争を愛する男が範馬勇次郎だ。
 しかし、宮本武蔵の復活に絡んでこない。
 前から疑問だったのだが、その答えがあきらかになるのだろうか?
 そして、本部は勇次郎にも「あんたを守護(まも)る」と言えるのか!?
 次回につづく。


 ついに範馬勇次郎が動いた。
 武蔵編も新たな局面を迎えそうだ。
 そして、本部ですよ。
 刃牙道になって、初期から存在感をアピールしてきたが、ついに準主役のポジションになったのかも。

 次の挑戦者は本部だろうか?
 もうちょっと本部ネタを引っ張ってほしかったけど。
 いや、勇次郎が武蔵と戦わないぐらいだから、本部も戦わないのかも。

 勇次郎も本部の強さを認めている。
 本部はいつから強くなったのだろう。

「本部、……いや伯父上」
「そう、このワシこそ範馬勇一郎の姉の子。範馬の傍流、本部以蔵じゃ!」

 なんて、展開があったりして。
 いや、無いか。

 でも、本部と勇次郎って髪の毛が似ているんだよね。血縁を疑ってしまうよ。
 まあそれ言ったら、夜叉猿も範馬の血筋になっちゃいますけど。

追記 (15/9/23)
 チャンピオン42号では板垣恵介先生とUFCフライ級の堀口恭司選手が対談している!
 せっかくなので対談感想を書きます。

 板垣恵介・堀口恭司 対談!

板垣「俺も武術をやっていた時代があるから、武術が総合格闘技の戦いの中で効果を上げている場面を見るのが楽しみなんだ。しかも堀口選手がやっていたのはフルコンタクト空手じゃなくて伝統派空手で、なぜか総合では伝統派の方が効果を上げてる。」

 堀口選手のスタイルは伝統派空手ベースで、総合格闘技をやっている。
 まるで刃牙世界の住人だ。
 フルコンタクト空手は顔面パンチなしのせいで、わりと防御がおろそかになっているのかも。
 竹刀剣道に特化しすぎて、真剣勝負についていけなくなったような感じか?

 伝統派の古武術が想定しているのは、武器すらOKの全方位戦闘だ。
 だから、伝統派のほうが総合ルールに近いのかも。


堀口「相手がガードできないタイミングというのがあって、自分はそこを狙っているんですよね。相手が意識できない、反応できない瞬間を突いて蹴るので大丈夫です。」

 この言葉は、達人的だな〜。
 高度すぎて意味を理解できているのかわからん。
 そもそも反応できない瞬間がわかるのか?

 これって、刃牙道の武蔵も同じようなことを言い出しそうだ。
 だって武蔵も達人だもん。
 五輪書でいう『拍子』のことかもしれないし。

 あと、五輪書に書かれているカカトで地面を蹴れという話が、堀口選手には理解できるとか。
 武蔵の時代は鎧をつけることが前提なので、重さに負けないようにカカトを使うと思っていた。
 しかし、堀口選手は自分の体重に負けない踏みこみをするため、カカトをつけるとか。

 これも伝統派の教えなのかも。
 空手もカカトを浮かせず、すり足で動けと教えますが、これは転倒防止でしょうね。
 実戦で転ぶことは命取りだし。


堀口「例えば蹴りの絵でもちゃんと腰が入っていて、フォームが綺麗なんですよ。だからこの蹴りだったら効くだろうなというのが絵から伝わってくる。あれはどうやって描かれているんですか?」
板垣「他の作家になくて俺にあるものは腰への意識なんだと思う。」
   「あとパンチで言えば頭と肩の位置。」


 バキシリーズの魅力について。
 熱いセリフまわしや、意外性に満ちた展開もあるが、バキシリーズの魅力は絵にもある。
 一撃の重みがつたわる格闘描写だ。

 どこに重みの差がでるのかワカらなかったけど、腰ですか。
 今後は腰にも注目していこう。
 あと、頭と肩の位置にも。
 ただ、やっぱり、こういうのは見る側にも、それなりの知識が必要なんだろうな。

 堀口選手は9/27のUFC日本大会にも出場する!
 体格的には刃牙をちょっと小さくしたぐらいなので、刃牙を思い浮かべながら応援するぞ!

 ※ 『UFC Japan 2015』感想書きました


2015年9月24日(43号)
第4部 第78話「助言」 (1057回)

 本部以蔵は勇次郎の前でも強がりが言えるのかッ!?
 ライオンにエサやりする若手芸人みたいな、ムチャぶり企画だよ。
 いや、企画じゃないんだけど。
 本部はどこまで虚勢を張れるのかッッ!?
 え、虚勢じゃないの?

 勇次郎はコニャック『ハーディ・ドス・ノール』を飲(や)りつつ、本部にもすすめる。
 前回の勇次郎はヒョウ柄パンツ一丁で寝そべっていた。
 今回はいつもの黒シャツ・黒ズボンだ。
 これが範馬勇次郎の基本である。
 春夏秋冬・冠婚葬祭、全方位万能スタイルだ。

 しかし、なんで着たんだろう。
 本部を意識しているのか?
 つうか、そもそもなんでパンイチだったんだ?
 来客がストライダムだとカン違いしていたのか?

 とりあえず、いま確かなことは……
 服は黒で統一しているけど、パンツはヒョウ柄だよね。
 あの時も、その時も、勇次郎のパンツはヒョウ柄だったのだろうか。
 たまに虎柄とか、ライオン柄とかあったかもしれないが。

 勇次郎はグラスのコニャックを一気に口中へ流しこむ。
 そして、モギュモギュっと噛みしめ、飲みこんだ。
 これがコニャックを飲(や)るときの作法なんだろうか?
 牛乳を飲むときは噛むようにして飲むみたいな感じで。(参考

 とりあえず、作法はどーでもいいや。
 問題は頬を膨らませたり、引っこめたりしている勇次郎の顔がかなりの変顔ってところだ。
 あの勇次郎が変顔ですよ。
 たっぷり2ページ使って顔の筋肉を動かしまくる。
 これは笑わせようとしているのか?
 少なくとも私はチョット笑った。

 だが、勇次郎の目前にいる本部は笑えまい。
 命がおしくないなら笑っても良いんだろうけど。
 なんだ、この絶対に笑ってはいけないコニャック飲みはッ!?
 本部が危ない。デンジャラス・モトベ!

 範馬勇次郎は追撃の手を止めない。
 コニャックには、安物のキャンディーが合うと言いだして、飴とコニャックの複合技を仕掛けた!
 そんな酒のマル秘テクニックなんて要らないから!
 "究極の護身は危険地帯にたどり着けないこと"よりは、実用的かもしれないけどッ!

「飴玉を口にする範馬勇次郎」
「とんだ「お宝映像」を見せてもらった」


 本部が冷静にツッコんだッ!
 そうか、こういうツッコミで良いんだな。
 勇次郎をおだてつつ、笑ってしまっても許されそうな雰囲気をつくった。
 武芸百般・本部流ツッコミ術だ。

 しかし、勇次郎がさらにネタを仕込んできたら本部であっても耐えられるかどうか……
「アニメ版の『実は私は』だ。コニャック(こいつ)によく合う。俺も次回予告に出た参考
 などと言いだしたら、本部でも爆笑しちゃってタイキックだな。

「浮かれている………」
「"宮本武蔵"という絶対ブランド」
「逢いてぇ…」


 勇次郎がフルフルしている!
 ああ、そうだよね食事より水より酸素より闘争を好む男なら、すぐにでも武蔵と戦いたいはず。
 むしろ、なんで今までガマンしていたんだろう。
 逢えばいいじゃん。

 そして勇次郎の奇行という謎も解けた。
 闘争をガマンしすぎておかしくなっているンだ。
 じゃあ、なんでガマンしてるのかが新たな謎だけど。

 勇次郎の動機は基本的に二つしかない。
 闘争と息子・刃牙だ。
 武蔵の存在を知ったのだが、刃牙がリベンジしたがっていると知って控えているのだろう。
 この親バカめッッッ!

 本部はコニャックをカッと飲みほす。
 世の中には、アルコールの力を借りないと言えないセリフもあるのだ。

「悪いことは言わん」
「止めておけ」

「アンタの手に負える相手じゃない」


 本部が暴言はきつつ、キャンディーも喰う!
 コニャックと合うと言われていたのに、キャンディー単体で喰っている。
 本部は冷静なフリをするのにイッパイいっぱいだ。

 汗は流していないが、コニャックの飲(や)りかたに動揺が出ている。
 精神統一や呼吸法などで汗をおさえているのだろうか?
 汗は精神ダメージを意味するものなので、強気をよそおうなら止めておきたい。
 本部流・制汗術か?
 あらかじめ、制汗クリームをぬっておくとか、そんな感じで。

 あまりに予想外の事を言われて勇次郎がかたまる。
 そして、やっと脳が理解した。
 なんか侮辱的なことを言われたぞ、と。

 範馬勇次郎が立った。
 座っていたイスの背もたれを握っている。
 つまり、座っていた位置より後ろに移動したことになるハズ。
 一瞬のあいだに、どんな立ち方をしたんだ?
 運動パターンが常人の常識を常に超えているな。

 シャツからみえる両腕は、すでに血管がミミズのように浮きでてピクピクしている。
 この範馬勇次郎はかなり危険だ。
 飢えた手負いで脳に異常のある凶暴な獣も失禁して逃げだすような危険度だぞッ!

「安心していいんだ」
「君らの身は俺が守護(まも)る」


 言ったァ〜〜〜ッッッ!
 今回の無茶ぶり指令『範馬勇次郎にお前を守護(まも)ると言う』を見事クリアした。
 あ〜あ、言っちまったよ。
 崖から飛び降りるような、やっちまった的な余韻だ。

 範馬勇次郎が激怒した。
 髪が逆立つ、なんてもんじゃない。
 怒髪、天を衝くどころじゃないぞ。
 鋭く硬く、まるで髪の毛がハリネズミみたいになっている!

 そして、勇次郎の表情だ。
 なんか見たことのない表情になっている!
 怒りすぎて泣いているようにすら見えるほどだ。
 勇次郎の最大パンチは、背中の鬼が哭(な)いているように見えるが、それと同じ現象か?

「殺"し"て"や"る"〜〜!!!」

 怒りのあまり、発音が濁音だらけになっている!
 そして、涙だ!
 勇次郎が涙を浮かべているぞ。
 涙が出るほどの怒りだ。
 こんな勇次郎も はじめて見た。

 怒りでシワシワになった勇次郎が襲いかかる。
 あまりに怒りすぎちゃって顔が歪みまくりだ。
 範馬勇次郎をここまで怒らせたのは世界初かもしれない。
 本部よ、きみの墓標には「範馬勇次郎をもっとも怒らせて殺された男」と刻まれることだろう。

 ちゅどッ

 って、煙幕だ!
 また煙幕か。親子二代そろって煙幕だよ。
 そして本部以蔵はクールにドアから逃げ出すのだった。
 さすがに勇次郎相手だと背後に回ってチクリとはできませんか。
 彼我の実力をちゃんとわきまえている本部であった。

 クールに去った本部だが、いまごろ全力疾走しているんだろうな。
 あらかじめエレベーターを止めておくとか、ホテルの入口にタクシー待たせるとかの準備もして。
 本部流・逃走術だ。
 でも、勇次郎が本気で急ぐときは、窓から飛び降りちゃう。(範馬刃牙31巻 251話
 本部が無事に逃げられたら良いのだが……
 次回につづく。


 本部がやりやがった。
 なんという命知らずだ。
 勇気と蛮勇は違うということを知らんのかね。
 しかし、それでも偉業には違いない。

 敵を作るってのは、武術的に良くない行為だ。
 本部の行為は、なんか逆効果なんだよな。
 烈・刃牙、そして勇次郎に対して、もうちょっと言い方を考えたらどうか?
 だれも本部の意見に従っていないのは、すごく問題あるぞ。
 武芸百般の交渉術はどうした。

 意表をつく煙幕を効果的にするため、わざと勇次郎を怒らせたのかもしれない。
 しかし、その代償は高くついた。
 今後、勇次郎から逃げまわる人生が待っているかもしれないぞ。

 先のことは、ちょっと置いておこう。
 今日は本部が勇次郎を出しぬいた。
 過去2回(あるいは3回)も勇次郎に敗北した本部だが、過去の敗北はなんだったんだろう。
 煙幕を準備し忘れたのか?

 最近の本部が強気なのは、本部流・煙幕術が完成したからかもしれない。
 こまったら、とにかく煙幕というワンパターンは対策ねられそうで心配だけど。
 まさか、武蔵にも煙幕をつかうつもりだろうか?

 武蔵と戦う前に、考えるべきことがある。
 勇次郎をアレだけ怒らせたのだ。しばらくは勇次郎に追われることを覚悟したほうが良いだろう。
 煙幕をきらさないように注意すべきだ。
 みんなを守護(まも)る前に、自分を守護(まも)れ。

追記 (15/9/30)
 本部以蔵が止まらないッ!
 ヤツはどこに行こうとしているのだろう。
 とりあえず、勇次郎の拳が届かないところへだろうけど。

 本部は勇次郎をふくめた皆を守護(まも)ると言っている。
 そう言っている以上、勇次郎をおちょくって煙に巻く(文字通りに)ぐらいは やって見せないと信用されない。
 しかし、実際やってみてもウソくさく思えるのが不思議だ。
 そこが本部クオリティーだな。

 金竜山に負けた本部が本物なのか。
 最近の本部が真の姿なのか?
 武術家たるもの、虚実を織り交ぜ実力を測らせないのも手段なのだろう。
 しかし、虚実の幅が大きすぎて、本部が二人いるんじゃないかと疑うレベルだよ。

 本部の挑発で勇次郎、涙目!
 鬼の目にも涙 現象も人によってイロイロ解釈がちがっていて面白い。
 勇次郎がひそかに武蔵を恐れていたことを指摘されたから説とかもあった。
 これだと、勇次郎が武蔵に会いに行かなかった理由にもなっているし、なかなか面白い。

 もっともストライダム曰く「ユージローの強さを支えるもの……」「それはヤツの持つ自我(エゴイズム)に他ならない!!」からすると、自分の最強を否定しないだろう。
 刃牙とは譲りあう勝利で引き分けている。
 でも、刃牙は自分の子(複製)だから、ノーカンみたいな心境なのだろう。

 最強の自負をもっている勇次郎が、自分を嘗めた存在を認めるとは思えない。
 武蔵を放置して、本部狩りに行くかも。
 しかし、本当に2015年は本部の年だな。
 あと、2015年は90日ぐらいある。
 本部は、勇次郎から90日間逃げきれるのか!?


2015年10月1日(44号)
第4部 第79話「責務」 (1058回)

 本部以蔵は古流武術の使い手である。
 いかに生き、いかに戦うのか?
 "武"の本質を本部以蔵が教えてくれるぞ!
 ……たぶん。……もしかしたら。

 本部は範馬勇次郎を挑発し、攻撃されるまえに煙幕玉をつかって逃げだした。
 勝てない敵にであったら逃げる!
 どんな局面でも生きのびることが"武"だ。
 善く兵を用うる者は、その鋭気を避けて、その惰帰(だらけ・しぼんでいる時)を撃つ。だ。(孫子 軍争篇)

 でも、逃げるぐらいなら最初から挑発しなきゃ良かったのに。
 相手を怒らせて全力ダッシュしなきゃいけないって、なんかダメな行動だ。
 でも、本部は自分の実力を勇次郎に見せつけ、"武"をアピールする必要があったのだろう。
 実際に戦える強さがなくちゃ、机上の空論、絵に描いた餅、だ。
 地上最強の生物・範馬勇次郎を挑発するとは、命がけの自己アピールだな。

 煙幕玉のせいで勇次郎は本部に逃げられてしまう。
 勇次郎は廊下で立ち止まり追いかけるのをやめた。
 向かってくる相手は叩き潰さずにいられない勇次郎だけど、闘争心なく逃げる相手を追いかけて倒さない主義かも。
 本部は充分な勝算があって逃げたのだろうか?
 行き当たりばったりだとしたら、本部の"武"を疑ってしまう。

 地上最強の生物である範馬勇次郎にとって「守護(まも)る」と言われたのは初めてだった。
 生まれる前の産婆や、授乳する母にすら命令したという天然強者っぷりだ。(範馬刃牙2巻 範馬勇次郎誕生
 まさか、本部の優しさにキュンとなっちゃったとか?

『怒狂(おこ)っていた…』

 あ、やっぱり怒りましたか。
 例によって、怒りの地団駄でホテルを激震(ゆ)らし、窓ガラスをヒビ割れさせた。
 ものすごい怒りようだ。
 アライJr.の時と同じぐらいの怒りっぷりだ。(バキ20巻 バキ172話

 でも、その後の勇次郎はアライJr.と普通につきあっていた。
 勇次郎の怒りは瞬間的なもので、後を引かないのかも。
 ならば、本部も安心だ。
 だが、危険だから数日は勇次郎に近づかないほうが良いだろう。
 みんなを守護(まも)る前に、自分の身を守護(まも)るんだ!


 そのころ、本部はホテルの非常階段で震えていた。
 範馬勇次郎を怒らせて、逃げる!
 ライオンのエサやりより、シロクマにお手を教えるより、はるかに危険なことをやったのだ。
 汗ダラダラ、歯ガチガチ、膝フルフルになっている。
 これは本当に命がけだったんだな。寿命が2年ぐらいは縮んでいそうだ。
 尿ボタボタになっていないところが、最後の意地ってところですか。

 本部の汗は張り付くように出ている。
 勇次郎の前で汗をかかないように、制汗クリームをぬっていたのかも。
 本部は深呼吸をして、心身を落ち着ける。

(ふふ…… やるじゃないか……)
(怒髪天を衝く あの勇次郎(オーガ)に…)
(意志を貫いた……!!!)


 強さとは、おのれの意志を貫く ちからだッ!
 というワケで、勇次郎に対しても自分の意志を貫いた本部は、強かったと言えるだろう。
 本部は瞬間的に勇次郎の強さに並んだ!
 いや、言いすぎか。

 勇次郎も守護(まも)ると言うのであれば、勇次郎に匹敵する所を見せなくちゃいけない。
 本部の無謀な挑発は、やっぱり必要だったのだ。
 目的を達成するために、あえてリスクをとる。
 それも"武"の教えなのだろうか。

 しかし、勇次郎が階段のほうまで探しにこないで良かったな。
 まあ、勇次郎に見つかったら、また煙幕で逃げればいいのだろうけど。
 二度目の煙幕も通じるという前提の話ですが。

(現代(いま)を生きる闘志達には決して見えぬもの
 本部以蔵だから見えるもの)
(古流武術に生きてきた)
(見えてる者が前に立つ あまりにも当然な責務だ)


 ノブレス・オブリージュ(高貴な者には義務がある)的な発言だ。
 むしろ、スパイダーマン的かもしれない。
 大いなる力には、大いなる責任が伴う、だ。
 本部自身は力士の小指つかんで、失敗だ男だけどね。

 中学二年生ぐらい少年が言うならともかく、50過ぎのオッサンが言うと、武士らしさが生まれる。
 武士らしいと言っておけば、とりあえず好感度上がるから便利だ。
 なんか汚い無精ヒゲも、武士らしさと言えばチャームポイントに早変わりする。

 本部の言うことは、わからんでもない。
 総合格闘技の初期にグレイシー柔術が強かったのは、何でもありルールに精通していた点が大きい。
 武器すらOKの戦闘を、よみがえった宮本武蔵とするならば、武器などにも詳しい本部が最適な戦士だ。
 本部はそう思っているのだろう。
 理屈としてはワカるんですが、どうも感覚的に納得いかない感じもする。

 烈海王と武蔵の試合を止めることができず、烈は死んだ。
 もう犠牲者をださないため、本部がみんなの盾になる!
 本当に大丈夫なんだろうか?
 煙幕玉で逃げたら、誰も救えないぞ。
 自分の身は守護(まも)れるかもしれないが。


 武蔵は警察から徳川邸にもどったらしい。
 そこに突然の闘気がッ!
 障子越しに発せられる闘気が空気をゆがめる。真夏の真昼みたいな熱気だ。
 このシルエットは、範馬勇次郎かッ!?
 夜叉猿のように獣っぽくないし、本部にしては足長すぎ。
 やはり勇次郎だな。

 この気配に宮本武蔵も興味をもった!
 本部が守護(まも)る間もなく、勇次郎vs.武蔵がはじまってしまうのか?
 いや、挑発された勇次郎が武蔵との勝負を求めるのは、予想できることだ。
 勇次郎の行動も、すべて本部の計算通りのハズ。
 きっと、いたるところに煙幕玉がしかけられているだろう。
 次回、煙幕ちゅどッ! となるのか?


 本部は思った以上に虚勢をはっていたのか。
 雨にぬれた小動物みたいに震えちゃって。
 限界突破のムチャをした本部にホッコリした。

 ただ、本部のしたことは、目的にかなっているのだろうか?
 自分の身を危険にさらし、勇次郎vs武蔵をプッシュすることになった。
 まさか、勇次郎と武蔵の共倒れを狙い、最強の座を狙ったりしてないよね。

 本部の守護(まも)るリストには刃牙・渋川・ジャック・克巳が入っている。
 とりあえず範馬一族は全員守護(まも)るつもりのようだ。
 こいつらが全滅したら、本部が最強となる可能性も高くなる。
 本部は、いったいどこまで本気で守護(まも)るつもりなんだろう。
 というか、そもそも正気なんだろうか?
 本部似蔵(もとべ にぞう)という双子の兄弟だったりしないよね?

追記 (15/10/7)
 本部の暴走が止まらない。
 いや、これは暴走なのだろうか?
 平常運転だったりして。
 本部の本当の姿を、まだ誰も知らない。

 本部が本当に強いのなら、本部はラストバトル手前の最後の砦ってことになる。
 もし、本部が負けたら、あとは刃牙か勇次郎しかいない。
 ピクル編のジャックと同じ立ち位置ですね。
 どうしても、ウソっぽく感じてしまうが。

 そんなワケで本部vs武蔵は、まだ先だろう。
 本部が守護(まも)る守護(まも)るサギで、みんなを守護(まも)れず、被害者が3人ぐらい出たあたりで、やっと動くだろう。
 というワケで、シルエットクイズの人は武蔵に負ける運命にありそうだ。

 勇次郎が負けるのは考えにくい。
 だから、影の人は勇次郎ではない説だ。
 勇次郎が出てきても、勝負なしになれば良いんだろうけど。

 骨延長のついでに髪も伸ばしたジャックとかどうだ?
 烈戦のときは坊主のままだったけど、髪増毛でロン毛化したとか。

 実現しなかったが、勇次郎vsピクルは、面白みがあった。
 勇次郎にとって おそらく初体験となるパワーで負ける相手との戦いだ。
 テクニシャン勇次郎という珍しい戦いを見ることができただろう。
 そこを考えると、勇次郎vs武蔵は鬼のパワーvs戦国武芸になる。
 武の最高峰である郭海皇との戦いの再現になりそうだし。

 本部が本当に武蔵を倒せるとは思えない。
 武芸百般だけじゃダメだ。
 刃牙の筋肉だけでもダメだった。
 すると、やっぱり刃牙が本部に弟子入りして、新武術・刃牙道を完成させるのが一番かもしれない。

 そうなると、あの影は本部でも良いのか。
 命がけで勇次郎を挑発して、全身震わせている状態からもう回復しているだろうし。
 しかし、あんだけ震えていたら安物のキャンディーをうっかり飲んでノドに詰まらせそうだな。


2015年10月8日(45号)
第4部 第80話「強敵」 (1059回)

 範馬勇次郎はバキ世界における絶対強者である。
 悪魔にさずかったと言われるほどの圧倒的な筋力と、銃弾飛びかう戦場ではぐくまれた戦闘術をもつ。
 武術家、軍隊、野生動物など、あらゆる強者を腕力でねじ伏せてきた。

 そんな範馬勇次郎でも勝てない相手がいるという。
 科学と降霊術でよみがえった剣豪・宮本武蔵だ。
 と、古流柔術の使い手・本部以蔵が申しております。
 う〜ん、でも本部って解説は上手いけど、予想が外れるんだよな。

 本部に「君らの身は俺が守護(まも)る」と言われて、激怒した勇次郎は武蔵に会いに行く。
 うむ。本部の言葉が本当がどうかはさておき、よけいな一言だったのがワカった。
 アンタが「守護(まも)る」と言わなければ、勇次郎はキケン地域に行かなかったのに。

 範馬勇次郎の脅威はスズメバチですら理解(わか)る。
 むしろ、徳川邸親衛隊長・加納秀明が勇次郎に気がつかなかったコトが問題だ。
 勇次郎は闘気を放出しまくったまま歩く。
 それを感知できないってのは、火災警報器を聞きのがすようなものだ。
 徳川さん、加納さんの役職を考え直したほうが良いですよ。

 そして、範馬勇次郎が武蔵と対面する。
 まずは座って酒だ!
 純米吟醸『□徳川』を飲(ヤ)るぜ!
 もしかして、オリジナルの日本酒を作らせているのか?
 徳川さんの財力がどこから来るのか謎だったが、手広く事業をしているのかもしれない。
 徳川ブランドだと、なんとなくスゴそうだし、そのイメージだけで売っているのかも。

 範馬勇次郎、宮本武蔵、徳川光成という超大物の飲み会がはじまった!
 徳川さんですら震える恐るべき飲み会だ。
 ツマミは無いんですか。
 現代の料理は美味いから、あまり食わせると武蔵が堕落しちゃいそうだけど。

 武蔵は範馬勇次郎の姿に「天まで届く」大判小判を見る。
 武蔵が刃牙を見たときは懐石料理だった。(3巻 24話
 達人・渋川さんのときはお花畑だ。(75話
 やっぱり、相手の強さによって見えるモノがちがっている。

 お花畑は見て楽しむだけだ。
 料理は見るだけでなく、食べて楽しめるし、栄養補充にもなる。
 現代の達人として、良い姿勢を見せた渋川さんは見た目が良い。
 力・技・速さの全てが高水準の刃牙と戦えば、近代格闘技の水準がわかり有益だ。

 武蔵が相手に感じる印象は、かなり正確な情報のようだ。
 立ち振る舞いなどを無意識に分析しているのだろう。
 向かい合った瞬間に相手の力量をはかるのも、剣豪には重要なのだ。

 そして勇次郎は大金のイメージらしい。
 単純な価値でいうならば、花畑や料理よりもはるかに上だ。
 さらに貨幣は腐らないので保存もきく。
 永久不滅の価値がある。
 『キングダム』でも人類最大の発明が貨幣制度と言っていた。

 貨幣は人間の欲望を刺激する。
 ギリシャで人類が初めて硬貨をつくり、その後に生まれたのがギリシャ悲劇だったという説もある。(ヒューマン
 範馬勇次郎は大いなる価値であり、悲劇を生みだす元凶でもあるようだ。
 あつかいが難しいというのは、共通点かもしれない。

 一方、範馬勇次郎は武蔵をどう見るのか?
 刃牙や渋川さんは、武蔵に大いなる危険を感じていた。
 地上最強の生物と言われる範馬勇次郎でも、武蔵に脅威を感じるのか?

「宮本武蔵の実物を眼の前にして」
「他の何が見えるという」


 ありのままの 姿見えるのよ!
 とくに飾ることなく、素の武蔵で充分か。
 実力の探り合いは、大人の対応している勇次郎が一歩リードか?

 歴史上の偉人に会えたら、かなりときめく。
 勇次郎も武蔵にあえて、ちょっと興奮しているのかも。
 このまま武蔵と美味い酒が飲めました、で終わると思えないが……

 自他ともに地上最強とみとめる範馬勇次郎は、武蔵と戦うのだろうか?
 かなり緊張感が高まっている気がする。
 わずかなきっかけで爆発しそうだ。
 それにしても、みんなを守護(まも)ると言っていた本部はどこで何をしているのだろう。
 次回につづく!


 勇次郎と武蔵、ひとまずは友好的な出会いとなった。
 刃牙と武蔵のときは、いきなり戦闘モードだった。
 武蔵も相手が大判小判がザックザクだから、遠慮しているのだろうか?

 いつもの武蔵は幻影斬で相手を試す。
 勇次郎が騒がないだけで、すでに試しているのだろうか?
 本部ならば、あるいは殺気に気が付かないということもあるかもしれない。
 だが、勇次郎なら気づくハズだ。
 あえてノーリアクションなのか、武蔵が仕掛けていないのか?

 ここで勇次郎vs武蔵が始まるのは、まだ機が熟していない。
 究極の勝負となりそうだし、もっと後にやればいいのに。
 これも全て本部が悪い。

 豪華なコース料理を頼んだのに、順番バラバラでいきなりメインディッシュが来たようなものだ。
 ここは責任を取って本部に調停をお願いしたい。
 それとも、本部の狙いは勇次郎と武蔵が戦って消耗した瞬間を狙っての漁夫の利か?
 武とはエゲツないものだしな。

 ところで、相手の実力を見抜く武蔵は、本部をどう見るのだろう?
 武蔵も困惑するだろうな。
 甘からず、辛からず、かといって美味からず……

 だが、本部はこう言うかもしれない。
 能ある鷹はツメを隠す。
 優れた武術家も、実力を隠すものなのだ。
 たしかに20年ぐらい隠しっぱなしだったよね。
 つまり、本部のイメージは『徳川埋蔵金』だな。

追記 (15/10/14)
 範馬勇次郎と宮本武蔵が向かい合う!
 でも、ここで勇次郎と武蔵が戦っちゃったら、イロイロな意味でバキ世界が崩壊しかねない。
 どう回避すべきか。

「実は拙者の"宮本"ってのは出身地の名前で、本姓は範馬なんだよ」
「え、マジ!? ご先祖様!?」
 とかは、無いな。さすがに。

 勇次郎は本部にたきつけられて武蔵に会いにきた。
 逆に言えば、本部に挑発されなかったら徳川邸にこなかっただろう。
 勇次郎が武蔵に会いたいのに会わなかった理由は不明だ。
 しかし、今までガマンしていたって事は、もうしばらくガマンできるんじゃなかろうか。

 強すぎる勇次郎は作品のバランスを破壊する。
 いままでの勇次郎は愛息の刃牙という弱点があったので、多少不自由な動きをしていた。
 愛する息子の成長を見守るため、あえて見守るのだ。

 刃牙と和解して、勇次郎は自由になったと思ったのだが……
 勇次郎は今でも、戦いたいのにガマンしまくりだ。
 いったい何を考えているのだ、勇次郎よ。

 刃牙道のテーマは、まだ見えてこない。
 新流派・刃牙道が誕生すると思っていたが、ぜんぜんそんな気配無いし。
 このままだと本部道が誕生しちゃいそうだ。
 いいのか? それで。


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