刃牙道「51〜60話」感想

← 41話〜50話  ↑最新↑  61話〜70話→
バックナンバー 過去 どげせん エクゾスカル零 Gロボ 餓狼伝 疵面 みつどもえ blog 掲示板 Twitter リンク12 TOP


2015年3月5日(14号)
第4部 第51話「いい風貌(かお)だぜ」 (1030回)

 戦国の剣豪・宮本武蔵が現代に蘇ったッ!
 宮本武蔵は、なにをするのか? させるのか?
 当然、闘争(たたか)いだッ!
 本人の意思は無視気味なんで、……ちょっと不憫だ。

 むりやり復活させられた武蔵にしても、できることは闘争ぐらいだから しかたがない。
 そして、宮本武蔵が闘争(たたか)うのならば、日本刀だッ!
 地下闘技場で現代では異例のルール、武器解禁の試合が開催されるッ!

 武蔵が、ついに観客の前に姿を見せた。
 そのたたずまいは、問答無用でホンモノのオーラを漂わせている。
 地下闘技場の観客は選ばれた格闘ファンだ。
 只者じゃないことは、見ただけでワカるのだろう。

 普段なら大喜びしそうな徳川さんは目を閉じ渋い顔をしている。
 自分の犯した罪の重さを いまごろ感じているのだろうか。
 いまさら良い人ぶられてもなぁ。
 あ、でも、まだ間に合うぞ。
 せめて木刀での勝負にするんだ!

 かつての死闘で片目を失った渋川さんも、武蔵を見ただけで発汗している。
 知識がなくとも猛獣をナマで見れば、その恐ろしさが一目でわかるように、武蔵のスゴさも一目でワカるのだ。
 渋川さんの師匠・御輿芝喜平は素手だけでなく、剣も達人だ!(たぶん)
 武蔵の剣を見極めるのは、渋川剛気にしかできない。
 あ、あと本部にもできるかもしれない。できないかな。

 そして伝説の剣豪・宮本武蔵に挑むのは、中国武術の雄・烈海王だ!
 地下闘技場で活躍した戦士だけに人気も高い。
 観客の歓声は悲喜交交だ。

「来ちゃったよオイッッ」
「帰ってくれェェェッッ」
「ヤルのか!!?」
「ヤレんのか!!?」
「ぶった斬っちめええええッッッ」
「やめてくれェェェ!!!」


 ひとり、物騒な観客がいるッ!
 ぶった斬れ、かよ!
 そんなに公開処刑がお望みかッ!
 興奮したファンは、時に迷惑な存在になるって一例ですね。

 しかし、烈の勝利を確信しているような発言が見当たらない。
 烈が負けると思っているのか?
 いや、私も勝てるとは思っていないのだが。
 相手は宮本武蔵だ。もはや、どの程度の傷で負けるのか? という勝負になっている気がする。

 闘技場の中央に盛られた砂にはさまざまな武器が刺さっている。
 これら、すべて使って良し。
 もちろん武器の持ちこみも自由だ。
 見学している噛みつき戦士ジャック・ハンマーも思わず汗を流す戦慄のルールである。
 やっぱ、ジャックは手術で身長を伸ばしている場合じゃなかった。

「反則はただ一つ」
「火器の使用のみです」


 これが究極ルールかッ!?
 さすがに火器はダメですかい。
 本部が烈に機関銃(マシンガン)を持たせろと進言していたが、それダメじゃないか。
 ついでに、本部がやたらと自信をもっていたので、柔術と銃器を融合させた本部流銃術を完成させたのかと思っていたが、参加資格無いな。

 なお、中国武術では火薬などの燃焼エネルギーをつかう武器(銃など)を『火器』、肉体の力のみで動かす武器(剣、槍、弓矢など)を『冷兵器』と呼ぶ。(武器と防具 中国編
 冷兵器に該当する日本語は無いようなので、『武器と防具 中国編』でもそのまま使用している。
 エネルギーを他から持ってこないってのが、地下闘技場における最後の一線なんだろうか。
 武器を使おうが、動かすのは鍛えられた肉体だ!
 名前は冷兵器だけど、筋肉の熱で、アツいぜ!

 烈のセコンドには刃牙と郭海皇がついている。
 刃牙は烈の表情を「いい風貌(かお)だぜ」と評しているが……
 昔、愚地克巳も負ける直前に、いい背中を見せていたよな……
 そのときの相手は烈だったが。

 郭海皇は「帰って来い!!!」と送りだす。
 アヘン戦争すら体験している推定146歳だ。
 実戦の厳しさは充分にしっていよう。
 烈海王は無事に帰ることができるのか?

 そして、試合が開始(はじ)まる!
 これから始まるのは、殺し合いだッ!
 観客たちも、認識を改めた。

 武蔵も、烈も、まだ抜いていない。
 柄に手すらかけていないのだ。
 だが、空気が凍るような緊張感が闘技場を満たしている。

 先に動いたのは武蔵だった。
 やはり、貫禄がちがうのか?
 武蔵はなにやら話しかけてくる。
 勝負が始まったというのに、なにを言うのか?
 いつ、流血ショーが始まる?
 次回につづく。


 ついに武器勝負が始まってしまった。
 やはり、肝心なのは、どう決着するのかだ。
 斬られれば、そこで終わりなのか?
 それとも、武士の情けでトドメを刺して楽にするのか?
 烈は武士じゃないから、という逃げが通じなさそう。

 そして、かすかな希望である機関銃を持った本部乱入がついえた。
 いざと言うときは銃を乱射しながら、乱心した本部が乱暴に乱入して場を乱してくれるんじゃないかと期待していたのだが。
 銃の使用が禁止だと、さすがの本部も持ち込みにくいだろうな。

 ところで、前号までのあらすじが『「消力(シャオリー)」を習得し本部を乗り越えた烈。…そして試合当日、両雄入場!!』とある。
 いや、越えてねーよッ!
 勝手に越すな。

 烈は、本部と言う山を越えていません。
 山が背後からの不意打ちで崩れただけです。
 まあ、崩れた山をふみこえて、ここに来たのかも知れないが……
 安易に山を越えたことで、勝利に必要なナニかを得られなかった気がしてならない。

 どの角度から見ても、烈がピンチに思える。
 最大の問題は、せっかく何かを教えにきた本部を気絶させて倒しちゃったことだ。
 本部よ、それでもみんなを守護(まも)ってくれ!

追記 (15/3/11)
 宮本武蔵vs.烈海王が、ついに始まってしまった!
 もっとも、例によってけっこうなじらしプレイをされた感じがしますが。
 いや、まだじらすかもしれない。
 ココからいきなり回想シーンに入る可能性だってあるぞ。

 ところで、武蔵はこれだけの観客を前に闘ったことがあるのだろうか?
 武術にとって技の秘密を守ることは重要だ。
 試合をするにしても、選ばれ限られた人数がひっそりと見守るだけだっただろう。

 真剣勝負の場合、初見殺しの必殺技があれば、理論上無敵だ。
 相手は自分の技を見るのだから、確実に殺せる。
 それで目撃者もいなければ(いても殺せば)、永遠に技の秘密は守られ、永遠に無敵だッ!
 理屈の上の話ですが。

 シグルイで伊良子が衆目の中で最大奥義『流れ星』を見せたとき、牛股師範が周囲を全殺ししたくなるほど怒っていた。(シグルイ41話
 牛股師範の怒りはもっともなワケですよ。
 板垣先生も、塩田剛三先生の黒帯会(黒帯の人だけが受けることのできる練習会)を見学したいといってあっさりOKされビックリしていた。
 曰く「本来、武道の技などというのは、人に見せないものなのだ。」(板垣恵介の格闘士烈伝

 だから、武蔵が大勢の前で闘うのか、不安がのこる。
 見られて恥ずかしいワケでなく、自衛のための秘密主義だ。
「さて、人も多いし場所を変えるか」
 などと言い出したら、どうしよう。

 やっぱ、武道家は夜の公園で勝負でしょう。
 本部が試合に負けたのは、人目を気にして技を出せなかったからかも。
 もっとも、勇次郎には夜の公園で人知れず負けていたのだけど。

 ちなみに、板垣先生がなんで黒帯会の見学を許されたのかと言うと……
『どの技をとっても秘伝や奥義なのだろうが、見ている人間はそれを盗めやしないし、やられている人間も同じことだろう。塩田館長にしかできないことなのだから、いくら人に見せたところでリスクのかけらもないんだ。』
 本部以蔵は人前で本気が出せなくても、渋川剛気なら本気が出せる! って寸法なのか?


2015年3月12日(15号)
第4部 第52話「手裏剣」 (1031回)

 水戸黄門・徳川光圀の昔から続いている闘争(たたか)いの聖地が地下闘技場だッ!
 東京ドーム地下にあるから地下闘技場なんだけど、水戸黄門のころは地下じゃなかったろうな。
 なんて名称だったんだろう。
 ちなみに昔は後楽園球場の地下にあったらしいぞ!

 で今日も最強を求める猛者たちの試合がはじまろうとしていた。
 現代に蘇った宮本武蔵 VS. 中国武術の雄・烈海王だ!
 すさまじいカードを聞いただけでクラクラしてくる。
 しかも、今回は武器の使用を認めているぞ!

 流血必死の死合が始まろうとしたとき、会場に駆け込んできた男二人がいた。
 烈の友人・愚地克巳と、あまり烈と親しくないが昨日ふらっとやってきて気絶した本部以蔵である。
 ちょっと説明を省きすぎた気もするが、先に進もう。

 大切な試合だと言うのに、なぜ二人は遅れたのか?
 しかも克巳の格好はジャージ姿っぽい。
 ジャージかよ!
 なんて格好で来たんだ……
 どうも朝起きたとき、そのままの格好っぽいな。
 ありのままの姿見せたのかよ。

 昨日、本部が乱入して暴れたので、気絶させたあとでダメ押しに薬物でも投入したんだろうか。
 その処置やら ナニやらで来るのか遅れちゃったのかも。
 克巳は神心会の責任者だ(父・愚地独歩はたぶん放浪中)。
 本部の処理にも責任があるので、深夜まで指示していて寝坊しちゃったのだろう。

 でも、ジャージかよ。
 移動中の車の中で着替えるとかできんかったのかね。
 もっとも、克巳はドリアンと戦ったときにジャージで出歩いていた。(バキ8巻 68話
 克巳の基準では、ジャージって遊園地に行ける格好なのかも。


「長引かせるものでもなし」
「最速」
「最短にて決着(おわ)らせるか」


 試合のほうは武蔵が悠然と歩をすすめる。
 まだ刀を抜いておらず、柄に触れてもいない。
 だが、刀をさした武士には独特の迫力がある。
 間合いに入った瞬間、一刀のもとに斬り捨てる気か?

 烈が上着を広げた!
 内側には鏢([金票]ヒョウ)が24本もそろっている。
 鏢は、中国の手裏剣で脱手鏢や飛鏢などと呼ばれる武器だ。(武器と防具 中国編
 12本か9本で1セットにするのが一般的らしい。
 烈は強敵と戦うため、2セット用意したようだ。

 飛び道具を見て、武蔵の動きが止まった。
 烈は容赦なく、投げる。
 が、当たらないッ!
 武蔵がヒョウっとよけていた。

「速ぇえ……ッッ」
「残像が出るほどのスピードだぜ」


 克巳が驚く。
 音速を超える正拳突きを出せる克巳をうならせるスピードかよ。
 剣豪ってのは、攻撃を見切って最小の動きでかわすってイメージだ。
 しかし、この武蔵はムリヤリに速さでよけるタイプなのかも。

 最小の動きでかわすのは、体勢が崩れにくく反撃しやすい。
 だが、見切りそこなうと攻撃を喰らってしまう。
 ムリヤリよけるほうが安全性は高そうだ。
 実戦での防御術って感じですね。

「一投目なら やってやれぬ ことじゃない」

 克巳が驚愕している横で、本部が言う。
 本当かよ!
 できんの、アンタ?
 ちょっと烈さん、本部に全力で投げみて!

 探りの意味もある初弾なら よけられるってコトかもしれない。
 本部も手裏剣術に自信があるみたいだし、防御にも自信があるのだろう。
 どちらにしても、単発の攻撃ならよけることもできる。
 本番はこれからだ。
 残り23本をしのげるのかッ!?

 烈の二投目ッ!
 武蔵は首を傾けてよけた。
 なんか、最小の動きっぽい。
 一投目で攻撃を見切ったのか?
 早いな。どんだけ学習能力が高いんだ?

 外れた鏢(ヒョウ)は白虎の入場口に飛んでいった。
 見学中の選手に当たっていなければ良いのだが……
 帰るときに血まみれのムエタイ選手が倒れていたりして。

 今度の烈は左右の手に一本ずつ鏢(ヒョウ)をもつ。
 左右どちらからでも攻撃できるぞ!
 左右どちらの手でも攻撃できるように、烈は鍛えているようだ。
 だが、右・左と投げた攻撃は、よけられ、手でキャッチされる。
 武蔵は攻撃を完璧に見切っているのか?

 烈は次々と投げこむ!
 よける、よける、よけて、つかむ、つかむ!
 9連続で防御成功だ。
 つかむときに左右両方の手でつかんでいる。
 武蔵も両利きアピールなのか?

 次の攻撃は武蔵のノドを狙っていた。
 武蔵は抜刀し、真っ向から斬りつける。
 鏢(ヒョウ)が真っ二つになった。
 飛び道具という武器の優位性も武蔵には関係ないのかッ!?

 烈はあまり工夫もなく、単調に攻撃しているように見える。
 野球で言えば、直球しか投げていない状態だ。
 もっと、他の攻撃をまぜながら、飛び道具を使えば効果的なのに。

 これは正々堂々と武器勝負をするという烈海王の意思表明だろうか?
 対する武蔵も、堂々と受けている。
 おたがいに姑息な策や術を駆使せず、全力で武器勝負する気だろうか?
 だが、武器で戦うならば、やはり流血から逃れられない。
 これから、どうなるのか。
 次回へつづく。


 激しい投擲だったが、序盤は静かな立ち上がりだったかも。
 そして、本部が間に合ってくれた。
 いざと言うときは本部がってくれるハズだ。
 あ、でも、遅れたのは入り口で火器を持っていないかチェックされたのかも。
 丸腰の本部じゃ、守護(まも)りきれないかも。

 鏢(ヒョウ)は9本か12本で1セットと書いた。
 そのセットの中には1本だけ重量が重く威力の高い鏢(ヒョウ)が入っている。
 これを特に絶手鏢(ぜっしゅひょう)と呼ぶ。(武器と防具 中国編

 烈が今回の最後に投げたのは、絶手鏢だったのかもしれない。
 単調な攻撃と思わせて、強烈な一撃を加える!
 烈海王らしい容赦の無い攻撃だ。

 とにかく、まだ様子見の段階だろう。
 並みの地下闘技場戦士ならすでに10本刺さってエラいことになっている状態だろうが、烈にとってはまだ序盤だ。
 次に烈が使う武器は、なんだろうか?
 あとは本部がいつ動き出すかだけど……

 そういえば、克巳と本部の立ち位置が驚き役と解説になっている。
 愚地克巳の驚き役に、本部の解説だと!
 ものすごい贅沢な配役だな。
 克巳なら、イマジネーションの力で音速を超える驚愕を出してくれるハズだ。
 それを本部が柔術解説で倍返しする!
 本部以蔵の解説を聞く……。ファンサイトにとって最高の栄誉(ステイタス)!

追記 (15/3/18)
 武蔵と烈の武器対決が始まったぞ!
 しかし、武器を持った宮本武蔵でないと、真に倒したとはいえない! と、烈がハードルを上げてしまった。
 これだと、後続が大変なことになる。
 最終的には、刃牙が二刀流の武蔵と戦うことになりそうだよな。
 やっぱ、武器あり本部に守護ってもらうしかないんだろうか。

 ここで問題になるのが、漫画的リアリティーだ。
 超人バトルなら、刃物や銃器相手に素手で勝ってもアリだけど、現実的に考えるとムリってことですね。
 バキ世界は範馬勇次郎が素手の限界をどんどん破壊して広げている。
 もう、範馬勇次郎は機関銃相手でも余裕で勝つだろう。
 実際に勝っているし。

 問題は、勇次郎の後続がどれだけついて来ているのかだ。
 死刑囚編の感じだとトップファイターなら銃に勝てる。
 スペック戦では、最終的に銃より素手のほうが信頼できるって話になっていた。
 オリバはショットガンで撃たれてもステーキ食べれば治ったし。

 死刑囚編からずいぶんたったし、加藤レベルでも銃に楽勝だろうか?
 ただ、銃に勝てそうな死刑囚・柳を倒したのは、日本刀で武装した本部だ。
 つまり、日本刀 > 銃 ってことになる。
 ならば、武蔵が強いのは日本刀を使っているからだ!

 そうなると、本部の機関銃推薦はダメなアドバイスって事になるな。
 徳川さんの火器の使用以外すべて認めますというルールは、本部の忠告を正しく無視した結果の最良解だったのかも。
 でも、本部流機関銃術ならば、バキ世界の法則をくつがえしてくれるかも……

「烈氏にはナイショで、義足に仕掛けをほどこしておきました」
 ぐらいの事を言って欲しいな。
 大丈夫。火薬じゃなくて、バネか空気式ならルール違反にならない!


2015年3月19日(16号)
第4部 第53話「武器術」 (1032回)

 現代に蘇った剣豪・宮本武蔵 vs 中国武術四千年が誇る魔拳・烈海王!
 武器の使用アリで、両雄が激突するッ!
 決闘罪ニ関スル件により、日本じゃ決闘しちゃいけない感じだが、二人は戦っちゃう。

 勝負の立ち上がりは、烈が中国の手裏剣にあたる鏢([金票]ヒョウ)を投げるところから始まった。
 いきなりガチ勝負だ。
 よけそこなったら、死ぬ!
 武器勝負の本質を最初から見せつけた事になる。

 リアルで人死につながりそうな勝負に、観客たちは声もでない。
 なんでも棒手裏剣はフライパンを貫通する威力があるとか。
 頭に当たったら、かなりの確率で死にます。

 スゴいもん好きな観客たちも、さすがに沸けない。
 剣闘士の死闘で熱狂する古代ローマ人とは違い、節度ある態度だ。
 現代日本人なら、当然の態度だろうな。
 戦国時代とかなら、もっと普通に喜んでいたかもしれないが。
 武蔵にとって、このような風景は当たり前なのだろうか?

 って、本部がいるのになぜ解説をさせぬッッ!
 本部といったら解説でしょ!
 下手に戦うと弱くても強くても物議を醸しだしちゃってイロイロ大変だ。
 勇次郎だって「競うな」「持ち味をイカせッッ」と言っている。(バキ24巻 208話
 本部の持ち味は解説なんだってば!

 ずいぶん解説をしないうちに本部の刃は錆びついてしまったのだろうか?
 解説者である前に戦士でありたいとか言っちゃって、禁酒ならぬ禁解説でもしていたりして。
 それとも、きのう郭海皇に気絶させられたときのダメージが残っているのかも。
 実は立っているだけで奇跡といえる状態だったりして。

 烈の鏢(ヒョウ)連投だったが、武蔵はすべてをよけ、つかみ、刀で両断した。
 飛んでくる刃を正面から真っ二つに斬ったのだ
 高速で飛来する点を斬った事になる。
 ドカベン山田太郎でもマネできまいという技量であった。
 この絶技を見て、観客たちはこの男がホンモノの宮本武蔵であると確信する。

 ここで武蔵が刀をおさめる。
 なぜ、しまってしまうのか?
 烈を斬りたくないという心のあらわれだろうか?
 剣豪の行動はワカりにくい。

「納刀しちまいましたね」

 克巳が当然の疑問を口にする。
 現在の克巳は驚き役だ。
 当然のリアクションか。いや、やや驚きが足りないな。
 この辺は加藤に学んでいただきたいところだ。

 さて、克巳の疑問をうけて、本部の解説が光るか!?
 …………
 ……汗を流し、無言だった。
 本部、まさかの無回答ッ!
 どうしたんだ、本部ッ!?
 解説を守護(まも)れてないぞ。

 本部に解説できないのだから、私はなおさらワカらない。
 なぜ武蔵が納刀したのか?
 本来なら、抜刀したままのほうが戦いやすいのだが……

 いっぽう烈は上着にさしていた鏢(ヒョウ)がなくなっていた。
 12本、ぜんぶ投げちゃったのか?
 はしゃぎすぎだぞ。
 いや、出し惜しみしないってコトかもしれない。

 それとも、烈は飛び道具で武蔵の力量をはかろうとしたのかも。
 やはり伝説の剣豪だった。
 ならば、飛び道具で倒すのは無粋だ。
 決着は刀か?

 烈は上着を脱ぎすてる。
 そして、上着をつかんで振りまわした!
 ……ッ!? ナニをやっているんだ?

 烈の表情は真剣そのもので、カ…ッと眼光も鋭い。
 でも、服をふりまわして遊んでいるのは子供みたいだよな……
 ッッて、まさか烈グルグル拳の再来か!?(範馬刃牙12巻 96話

 などと心配したが、ヌンチャクのように高速で振り回す上着さばきは、技として成りたっているようだ。
 刃牙は驚き、郭海皇が笑う!
 本部はッ!?
 解説しないの?

 ドフッ

 烈が上着で地面を打った!
 砂にまざっている爪・歯が散弾となって飛び散る。
 武蔵の顔面にあたり、爪歯が刺さった。
 傷は深くも大きくも無いが、流血している。

 しかし、武蔵は動じていない。
 ギョロリとした目を見開いたまま、不動で攻撃をうけた。
 飛び道具が無くなったら、環境利用で遠隔攻撃だ。
 ここまでは射程距離をイカして烈が一方的に攻撃している。

 だが、納刀した武蔵の余裕が気になるところだ。
 本当に烈が優勢なのか?
 次回につづく。


 今のところ、烈は武蔵に近づかないようにしているようだ。
 蛮勇の代名詞だった烈だが、わりと慎重ですね。
 ボクシングに挑戦して、この慎重さを身につけたのだろうか?

 そして、本部も貝のように口をつぐんでいる。
 炎上を恐れて発言を控えているのだろうか?
 本部も慎重なのかもしれない。

 物事と言うのは、上手く行ってそうな時ほど失敗しやすいものだ。
 調子に乗って失敗の予兆を見逃してしまう。
 今のところ烈は一方的に攻撃している。
 武蔵に少しはダメージを与えているようだ。

 だが、武蔵に 追い詰められている感じがない。
 納刀しているコトがどうしても気になる。
 あと、本部が舌を封じていることも気になるぞ。

 前回「最速」「最短にて決着(おわ)らせるか」と言っていた武蔵だが……
 納刀することが「最速」「最短」につながるのか?
 つながらない気がするなー
 それとも、烈が気がついていないだけで、すでに斬られているのだろうか?
 烈のズボンは無傷かッ!?

追記 (15/3/25)
 前回コメントで、烈の上着技は褂子拳じゃないかとコメントをいただきました。
 なるほど、たしかに沿うかも。本を通して読んだのはかなり前なので忘れていました。
 武術は身近なものを武器に変えるセンスも必要なので、服を武器にするってのは有用ですね。
 ジャッキー・チェンは映画でよくイスなどを武器にしていますが、あれって極めて武術的なのだろう。

 で、本部も身近な解説を武器にしているハズなんだが……
 掲示板で「分かりやすく解説できる状況」ができるまで待機してるのかもという意見をいただきました。
 そう考えるとネコ科の肉食獣のように獲物を狙って解説という牙を研ぎすますイメージだ。
 ちょっと本部にしてはカッコ良すぎか?

 試合のほうは、どちらも有効打を決めておらず、まだ序盤だ。
 でも、砂の散弾でシコルスキーがかなり参っていてことを考えると、武蔵はタフだよな。
 武蔵と死刑囚たちが戦ったら、容赦なく輪切りにされそうで、見たいような見たくないような。

 戦国時代あたりの武士はそうとう野蛮だ。
 殺人に対する抵抗がかなり低い。
 烈は無事に試合を終えることができるのだろうか?

 ちなみに16号の作者コメントは『大人気なさを使い分ける。/達観を拒否する。今年もそれで通すさ。』だった。
 なんとなく予定調和やきれいごとで終わらせる気がないようなコメントなんだが……
 逆に剣豪と戦っているから、死ぬのはしょうがないよねって達観を否定しているようでもある。
 う〜ん、読めません。

 刃牙世界は壮絶な死闘が多い。
 だが、実際に死ぬ名前つきの戦士は意外と少ないのだ。
 もっとも、魅力がなくなると、死んだも同然の扱いを受けるけど。
 花田とか悲惨だぜ。アイツ、見るたびに弱くなっている気がする。

 烈の魅力が無くなるとは思えないので、負傷するが再修業が必要って感じが無難な落としどころだろう。
 でも、板垣先生は「達観を拒否する」んだよな。
 このへんで、強力な一撃を繰りだしそうで心配だ。
 あと、本部のいじり方も心配です。
 なんだよ応募者全員サービス『俺が守護らねばならぬTシャツ』ってッ!?


2015年3月26日(17号)
第4部 第54話「瞬き」 (1033回)

 現代日本の東京ドーム地下で秘密の死闘が行われている。
 武器の使用、ありッ!
 違法な方向がプンプンただよっている。
 審判もいない この試合、いかなる決着となるのか?

 序盤は中国拳法の烈海王が仕掛ける。
 中国の手裏剣・鏢([金票]ヒョウ)を2セット、24本撃ちこんだ!
 だが、宮本武蔵には通用しない。
 余裕で全弾かわされた。さすがよみがえった伝説の剣豪だ。

 鏢(ヒョウ)がなくなった烈は上着を振りまわし、闘技場の砂を吹っ飛ばして攻撃する。
 こ、この闘技(わざ)は まさか呉竜府(ゴルフ)かッ!?
 いや、まさかね。はは……
 砂を打ちぬくバンカーショットで烈は武蔵を攻撃する。

 だが、宮本武蔵は微動だにしない。
 砂に混じる歯や爪が刺さっても動じないぞ。
 白目に刺さってもまったく平気だ!
 さすがに、目はヤバくないか?
 言うまでもなく、視界が限られたら戦闘に不利なんだけど……

 眼球にダメージを受けても、またたき一つしない。
 そんな武蔵を見て、渋川さんと刃牙が汗を流す。
 不動を貫くことで、発汗させたッ!
 眼球へのダメージは、これで帳消しだ!
 帳消しになるのか? だいぶ損をしている気がするけど。

 闘争は肉体と精神の削りあいだ。
 肉体へのダメージを蓄積するのも重要だが、精神面の攻防も見逃せない。
 動揺せずに、引かない覚悟を見せることは地味に大きいのだ。
 ただ、烈はあまり動揺していない。
 少なくとも刃牙のように汗を流していないぞ。
 武蔵の精神攻撃は、あまり効いていないのか?

「飛び道具が続いているが」
「近づくのは好かぬか」
「烈 海王」


 武蔵が烈を挑発している!
 痛いところを正確に突いてきますね。
 たぶん烈は慎重に攻めるため、飛び道具で攻撃している。
 本来なら一方的に攻撃を受けている武蔵が負け犬の遠吠え的に文句言っている状況なのだが……
 なぜか、烈が追い詰められているような印象だ。
 この駆け引きと言うか、言葉のマジックが武蔵のスゴさなのか?

 勝つためなら、卑怯な事だってやるものだ。
 野球でいえば相手四番を敬遠するのも、卑怯だけど勝つための手段である。
 克巳は烈の戦法を肯定した。

 いっぽうの本部は無言だ。
 えっ、ここで解説が欲しいところなのに。
 この本部は、なにか良からぬ事を考えていそうだ。

 克巳やジャックも汗を流している。
 だが、本部は涼しい顔で、汗も無い。
 もしかして、本部はすでに武蔵側の人間だったりして。
 本部は日本刀大好きっぽいし、あっさり武蔵に弟子入りしちゃいそうだよな。

 武蔵の挑発をうけた烈は、上着を直接投げつけた!
 だが、これも武蔵の想定内のようだ。
 飛んできた上着を、抜刀して斬る!
 が、上着の影から武器が飛んできた。
 軟兵器・九節鞭だ。

 油断していたのか、武蔵は額に九節鞭の一撃をくらってしまう。
 これは大きなダメージだ。
 武蔵、ダウンかッ!?

 烈は九節鞭を振りまわし、追撃の構えだ。
 飛び道具の次は、リーチの長い武器で攻める。
 果敢かつ慎重に攻めているぞ。
 烈海王、勝機をつかんだか!?
 次回につづく。


 武蔵は自分の胆力を見せつけようとしすぎて、油断しちゃったのだろうか?
 駆け引きで勝つのが武蔵の試合運びだが、駆け引きで負けるとモロイところもあるのかも。
 武蔵ほどの男でも、ぬるい現代日本で油断しちゃったのかも。

 歴史上の宮本武蔵の逸話で、武蔵が吉岡源左衛門直綱に額を打たれて出血するというものがある。
 さいわい武蔵の頭は頑丈だったので、死なずにすんだ。
 つまり、武蔵の額は弱点ではないッッ!
 限度はあるだろうけど、この一撃ぐらいは耐えられるハズだ。
 明確に倒れたシーンは無かったし。

 ちょっと予想外だったけど、烈が一気に試合の流れをつかんだ。
 このまま決着までもっていけるだろうか?
 逆に手負いになったことで、武蔵は本性をあらわしそう。
 若いころの宮本武蔵は野獣のような闘争心を持った男だった。
 その精神テンションで烈に襲いかかりそう。

 そして、いまだに沈黙を保つ本部が解説を始めるのはいつなのだろう。
 汗もかかず、いやに冷静なのが気になる。
 郭海皇も汗をかいていなさそうだけど、郭海皇の場合は6割ぐらいミイラだから汗があまり出ないんだろうな。

追記 (15/4/1)
 今日はエイプリルフールですが、特にネタはありません。
 刃牙でエイプリルフールネタをやると、マジネタと誤解されることが多かった。
 そんだけ、刃牙は本家のネタ度が強い。
 1年前の私に「今、本部が皆を守護(まも)るって言ってるとこ」って教えても、150%信じないだろう。
 いまでも半分うたがっている。

 そもそも、現在のよみがえった宮本武蔵という状況がウソっぽい。
 現代によみがえった恐竜時代の原始人よりは、ずっとマシだけど。
 いやいや、ダマされているな。

 これからの刃牙には、どんなトンデモ戦士が登場するのだろうか?
 原始人と古の剣豪を出しちゃったから、もう過去ネタは打ち止めという気がする。
 そうなると未来の戦士なんだろうけど、板垣先生がテクノロジーをあまり好きでないっぽい。
 機械や生体強化の戦士ってのは安易だけど強そうだ。

 科学的な強化戦士がダメとなると、天然の超能力者だろうか?
 殺気を読むことができるガイアはすでに超能力者の域だもんな。
 来年の4月1日は、去年の自分に教えてやったら、絶対信じないって話の展開になっているんだろうな、やっぱり。


2015年4月2日(18号)
第4部 第55話「三寸」 (1034回)

 現代の常識をくつがえす、武器使用の試合が東京ドーム地下で行われている。
 試合は、よみがえった宮本武蔵 vs 中国武術の達人・烈海王だ!
 試合の行方は、……よくワカらん。
 剣豪の戦いは難しすぎる。解説もとむ。

 烈は飛び道具中心で戦っていた。
 刀を武器とする武蔵の間合いの外からの攻撃だ。
 なので、いまのところダメージを受けているのは武蔵だけである。
 ついに上着をカモフラージュにつかった、烈の九節鞭が武蔵に当たった。

「完全なるノックダウンじゃッ」

 徳川さんも認める、完全ダウンだ!
 効いていたのか!
 武蔵のことだから平気だと思っていたぞ。

 そりゃ、普通の人なら頭蓋骨を骨折してもおかしくない一撃だった。
 しかし相手は宮本武蔵である。
 あまり効いていないという可能性が高かった。
 飛び道具ばかりで戦う烈を、ビビっていると見下して油断しちゃったのかも。

 武蔵はけっこうハデに流血した。
 だが、すぐに身体を起こす。
 思ったよりダメージは少ないようだ。
 あわてて立ちあがらないのは、スキを押さえ、息を整えるためだろうか?

 烈は九節鞭をブンまわし、追撃の構えだ。
 いや、すぐに近づかない。
 慎重だな。やはり武蔵の剣を恐れているのかも。

 烈は片手にひとつずつ、ふたつの九節鞭をまわしている。
 ちょっと変わった使いかたという気がするな。
 対武蔵のためにコレも準備したのだろうか。
 消力(シャオリー)ばっかり練習していたワケじゃない!
 そういえば、消力(シャオリー)をぜんぜん使ってないな。

 まだ立ちあがっていない武蔵に、烈が追撃をかけた。
 武蔵は座ったまま静かに後退する。
 そんな体勢でも動けるのかよ!

(退いた…ッッ)
(三寸だけ!)


 しゃべった…ッッ 二言だけ!
 本部が軽く汗を流しつつ解説してくれた。
 いや、それは解説でなく、実況だ。
 驚き役の仕事だよ。
 どうしたんだ、本部以蔵よ!

 芸人にボケとツッコミがあるように、解説には驚愕と解説があるのかも。
 だれかが驚いてくれないと、スムーズに解説できない。
 となりにいる克巳の驚愕がたりないので、本部はしかたがなく驚愕をやっていそうだ。

 剣の世界では三寸の見切り、一寸の見切りなどと言う言葉がある。
 襲ってくる剣を約10cmや約3cmでかわす技術のことだ。
 宮本武蔵は五分(約1.5cm)の見切りができたと言う話もあります。
 最小の動きでよけることで、反撃もしやすくなるのだ。

 武蔵は最小の動きができた。本部にはそれが見えた。
 達人・本部は達人・武蔵を知るって事だ。事なのか?
 渋川はんにも意見を聞いてみたいところだ。

 武蔵は眼球に傷を受けていたが、視力に問題はないらしい。
 そして、武蔵は立ち上がり刀を地面に突きたてる。
 無手にて九節鞭と戦う気か?

(速いのは――――)
(先端のみ!!!)
(操作する)
(腕(かいな)の軌道(うご)き自体は――――)
(いたってなだらかなり!)


 武器ではなく、腕の動きを見る!
 さすが百戦錬磨の剣豪だ。すぐに対応している。
 物事の本質を見極めるって感じですな。

 素手の武蔵は両手をあわせて、モミモミしている。
 なんだ? 砂か何かをこねているのか?
 良くワカらない行動をした武蔵は烈に近づく。
 烈海王の攻撃! ミス、武蔵に攻撃が当たらない!
 それどころか、九節鞭を腕に引っかけてつかみ、奪いとった!

 烈よ、あっさり武器を取られてどーする!
 武蔵の握力は刃牙も認める強力なものだった。(4巻 33話
 握力勝負で負けたってことですかね。

 武器をうばわれた烈は、すぐに素手で構える!
 攻守逆転か!?
 今度こそ、練習した消力(シャオリー)を見せることができそうだ。
 いや、消力(シャオリー)は本部に否定されていたな……
 次回、どうなる!?


 意外とあっさりダウンした武蔵だが、そこからの逆転はさすがいにしえの剣豪ってところだ。
 でも、チョット油断しすぎかも。
 戦国時代なら、すでに頭を割られていた可能性もあったぞ。
 刃牙と同じく、武蔵も肉体が強いせいで油断しがちな性格になったのだろうか?

 刀を置いて素手で九節鞭を奪ったのは、烈に自分の強さを見せつけて戦意をそぐ作戦だろうか?
 手をモミモミしていたのは、キャッチするための準備運動だったのかも。
 相手の強味をつぶし、自分の強さを見せつける。
 肉体のダメージは武蔵だけが受けているが、精神ダメージを考えると、二人とも同じぐらいのダメージかも。

 そして、本部がしゃべった! 本部がしゃべったッッ!!
 せっかく解説のチャンスだというのに、仕事しないな。
 でも、一度しゃべったら止まらなくなりそうなのが本部以蔵です。
 今後の解説に期待しておこう。
 あと、烈のピンチで機関銃(マシンガン)を乱射しながら乱入するのも、すこしだけ期待しておこうか。

 いっぽう、渋川さんやジャックや克巳は顔をチラ見させても、あまりしゃべらない。
 彼らはなにを考え、思っているのだろう。
 鎬紅葉にいたっては顔さえみせない。
 現代医学の視点から見て、戦国時代人の体つきがどうなのか気になるんですが。

 武蔵の闘争(たたか)いは難しいので、解説が欲しいところだ。
 せっかくの本部以蔵なのに、ナニをやっているんだか。
 汗を出すぐらいなら、解説を出せ!

 もっとも烈のセコンドについている刃牙も完全なお飾り状態ですが。
 郭海皇はすこし解説してくれたんだけど……
 最近は表紙が無い場合が多いので、グラビア主人公としての存在感も減っている。
 武器をうばわれた烈もピンチだが、出番をうばわれた刃牙はもっとピンチだ!

追記 (15/4/8)
 刃牙道感想で、宮本武蔵は宍戸梅軒の鎖鎌と戦ったから、鎖対策はバッチリだ!と言うのを書き忘れていた。
 武蔵が烈の鎖を巻きとった手際は、吉川版・宮本武蔵の影響だろうか。
 前にトビラで、吉川版・宮本武蔵に挑戦するようなことを書いていたので、吉川版を意識してはいるのだろうが……

 宍戸梅軒は吉川版にしか出てこない。
 そのモデル宍戸某も、信頼性の低い書物にしか出てきていない。
 論文じゃないんだから信頼性は どーでも良いのだが、板垣先生のスタンスがちょっと気になる。

 刀と剣の区別をつけてない。
 鏢(ヒョウ)を手裏剣と呼ぶ。
 日本の手裏剣をイメージするときは車手裏剣しか出てこない。
 方天戟と蛇矛をくっつけたような謎の武器がある。
 これらは、悪いワケじゃないけど気になる。

 この手の情報は知らなくても問題ないし、話の流れを気にするなら無視しちゃったほうが良いかもしれない。
 刀と剣の区別をくどく説明するのは、板垣作品じゃなくて夢枕獏作品のテイストだし。

 板垣先生は格闘描写を、リアリズムよりも迫力重視にしている。
 初めて総合格闘技を見たとき、ホイス・グレイシーらの活躍に、ガチのルール無用は夢が無いと感じて、ならば逆にフィクションで夢を見せればいいんじゃないかと思ったそうだ。
 これは大抵の格闘技スポーツでも、同じで高度なガチ勝負ほどあまり冒険しないで防御重視の地味な戦いになりがちだ。
 最高の技同士をぶつけ合う防御無視のファイトってのは、なかなか成立しにくい。

 だが、フィクションなら全力攻撃のぶつかり合いという理想を具現化できる!
 なので刃牙シリーズはアホじゃねぇかと思うほどに、正面衝突のバトルが繰り返される作品なのだ。

 と、ココまで書けば、ワカるかもしれない。
 宮本武蔵は、わりと防御重視の地味な戦いっぽい気がするのだ。
 真剣勝負だったら防御しないと死ぬからしかたがないんですけどね。

 小道具のリアルは、あまり気にしない。
 だが、ファイトスタイルのリアル加減はちょっと気になる。
 みんながバントも敬遠もしない攻撃的野球をしているなかで、バントや敬遠をしまくるのは、アリなのか?
 あまり武蔵が策を駆使しまくったら、全体の空気が変わりそうで心配だ。

 でも、武蔵ってけっこう油断して攻撃喰らっている。
 この人もそんなに防御重視の地味では無いか。
 今のところ、わりとお茶目な人ってポジションだ。
 刃牙だって、まったく油断しないで圧倒的に勝ったら強いを通りこしてイヤミな奴になっちゃうだろうし。


2015年4月9日(19号)
第4部 第56話「玩具(おもちゃ)」 (1035回)

 現代によみがえった宮本武蔵vs中国武術の烈海王ッ!
 飛び道具と長い武器の九節鞭で一方的に攻撃をしていた烈だが、九節鞭を奪われてしまった。
 今度は逆に長い武器で攻撃されてしまいそうだ。
 それとも、烈のズボンにはまだ武器が入っているのだろうか?

 武器を奪いとり優位にたった武蔵だが、あわてて攻撃しない。
 九節鞭の重みや材質を判定している。
 いやいやいや、戦闘中にナニしてんの!?
 視線も思いっきり上向いちゃって、スキだらけだよ。

 武蔵は九節鞭が軽いだの、鋼(かね)が悪いだの、文句ばかり言う。
 あげく、玩具(おもちゃ)であると断じた。
 相手の武器をけなすのは挑発しているってことか?
 と、なると、スキだらけに見えるのも誘っているってことだな。

(隙など無い! 欠片ほども!)

 誘いと言うのは、烈にもワカっていたようだ。
 烈は汗だらけで息まで乱している。
 よそ見をしている相手に、ここまで消耗しちゃうとはッ!

 動けなかった自分に腹を立てたのか、烈は蹴りを仕掛ける。
 が、武蔵は簡単によけた。
 反撃はッ!?
 ……無いッ!
 ふたたび膠着だ。

 武蔵はなかなか攻撃しない。
 なにを狙っているのだろう。
 九節鞭で頭を打たれたダメージがけっこうあるのか?
 なので、必要以上に九節鞭が弱い武器だと強調していたりして。

 たしかに油断してちょっと当たっちゃったけど、軽い武器だから!
 鋼(かね)も悪いし、痛くなかった。
 ちょっと血が出てるかもしれないけど、せっしゃ的にはノーカンだから!
 って感じにダメージをゴマカしているのかも。

「これはな…」
「こう振る」


 武蔵が二本の九節鞭を両手に持って構えた!
 まだ戦わない気だッ!
 どこまで戦闘を回避するんだろう。
 試合はとっくに始まっているよな!?

 あの武蔵が九節鞭で二刀流を見せる!
 観客は武蔵のパフォーマンスに引き込まれているぞ。
 試合が一向に進んでいないのだが、完全に興味を持っていかれた!

 セコンドの刃牙や郭海皇、観客席の本部・克巳・渋川さんも汗を流して武蔵を見守っている。
 こりゃ、試合の流れを完全にとられてしまったな。
 試合の流れをとられると、疲労が大きくなるそうだ。(平直行の格闘技のおもちゃ箱
 烈もなんかデモンストレーションをして、観客の興味を引き寄せないと!
 ズボンの中から薔薇の花束とか出せないのか?

 武蔵は、例の握りで素振りをする。
 人差し指だけで得物を保持し、振りおろす瞬間に握りこむ!
 おそらく、手の中で武器が加速して驚異のスピードとなるのだろう。
 武蔵の超握力があって初めて成立する技だ。
 花山ならできるかもしれないが、花山はそもそも武器を使わない。残念。
 五輪書にも書いていない、不伝の秘技である。

 ドフュッ

 武蔵の素振りはッ!
 衝撃!
 九節鞭の節をつなぐ金属の輪がちぎれている!
 これには烈海王も電撃が発生するほどオドロくしかなかった。

 武蔵が有言実行で、九節鞭の玩具性を見せつける!
 これで烈の面子も丸つぶれか?
 でも、今の烈は怒るよりも驚いているっぽいな。

「人間(ひと)じゃねェよ もう…ッッ」

「否…………」
「武器じゃない」


 観客の声にたいして、武蔵はあくまで武器にダメだしするのであった。
 でも、本当に武器が悪いとしたら、武蔵は使える武器がほとんど無い 不便な人になってしまうぞ。
 逆に、だから武蔵は素手でも強い説なのか?

 武蔵の怪物性を見せられた烈は精神的動揺を沈められるのか?
 そして、武蔵にダメ出しされない武器を出せるのだろうか?
 烈のズボン内には、まだスペースがあるのか?
 次回につづく。


 せっかく武器をうばったのに、使わず壊す。
 これが武蔵流か。
 相手を精神的に疲れさせる、ジラし殺法かもしれない。
 武蔵は慎重なのか、天然なのかワカらんな。

 烈は蹴りを出していたし、もう用意した武器が無いのかも。
 武蔵は余裕を見せて、まだ刀を使わない気だろうか?
 そうなると、烈と武蔵の素手対決になりそうだ。
 だが、遅刻の達人である武蔵がすんなりと勝負に入るのかどうか……

 武蔵は回りくどく、烈を精神的にゆさぶるところから始めているのかもしれない。
 烈は激昂しやすい男だから、精神への攻撃には弱そうだ。
 その場合は、本部が冷静な解説で烈を沈めてくれればいいのだが。
 でも、いまの本部はミツユビナマケモノなみに動けていない。
 本部も武蔵にならって、出し惜しみしているのだろうか?
 ジラしと遅延行為は武蔵のテクニックかも知れないが、バキ世界の住民に愛用者が多いのが困りものだ。

追記 (15/4/15)
 宮本武蔵は五輪書を書いて、多くの人間が読んでいるからかなり研究されている。
 感想でも書いたが、刃牙道の武蔵が五輪書と逆の握りかたをしているのは、五輪書にニセ情報をのせて幻惑していたって事だろうか。
 板垣先生が五輪書を読み間違えたとかでなくて。

 武蔵の試合展開が遅いのは、やっぱジらし戦法なんだろうな。
 相手は自分のことを知っているが、自分は知らないので、情報収集って意味もあるかも。
 どちらにしても、スローペースだ。
 この性癖は範馬っぽいな。

 武蔵には実子がいなかった。
 だから、範馬の先祖と言う線は無い。
 まあ、伝わっていないだけで、子供がいたという可能性はありますが。

 超握力に代表される身体面の強さと、油断して被弾しちゃうウッカリな性癖、そしてスローペースの戦い方だ。
 これらは範馬と共通した面である。
 巨凶・範馬の血は戦国時代にもあったはずだ。
 範馬勇一郎が突然変異で強くなったのなら別だけど。

 宮本武蔵も範馬のウワサを聞いていたかもしれない。
 それとも、武蔵自身が範馬の傍流だったりして。
 もっとも板垣先生は、過去より現在に興味ありそうだから、昔話はしないんだろうな。
 本当に戦国時代の人がいたら、その記憶は国宝級の財産なんだけど……
 徳川さんたちは、国宝級のワガママを貫いているな。


2015年4月16日(20号)
第4部 第57話「敗れたり」 (1036回)

 現代によみがえった宮本武蔵は、やっぱり超一流だ。
 奪った九節鞭を素振りで破断せしめたッ!
 これには中国武術界の長老・郭海皇も動揺を隠せない。

 汗ダラで修行の日々を思いだしながら、九節鞭は切れませんと郭海皇が力説する。
 郭海皇は知らないけど、武蔵は日本刀も素振りでヘシ折った。(刃牙道 3巻 22話
 武蔵の振りの鋭さは常識を超えている。
 折れた日本刀を、日本刀マニアが見たら、やっぱり汗ダラで驚愕するだろう。
 本部と柳のリアクションがちょっと見てみたい。

 手の皮膚が裂け、消毒に塩をすりこみながら修行したが、それでも九節鞭は切れなかった。
 そう郭海皇は力説する。
 なんか出血した拳に塩をすりこんで消毒して、ひたすら叩きつづける拳道会の修行みたいだ。
 ちなみに、中国でもっとも痛い刑は塩刑で、身体に細かい切れ込みを入れて塩をすりこむらしい。
 修行と言うより、拷問だよッ!

 相手の武器を破壊して得意げな武蔵は、あえて自分の武器を渡した。
 国宝・國虎が、烈海王の手にッ!
 これは、どういう挑発なんだろう。
 烈海王だって刀は扱えるはずだ。
 刀を持つことで、相手の選択肢を狭める気か?

 刀を持つ、烈海王に無手の宮本武蔵が打ちかかる。
 中指一本拳だ。
 武蔵は拳法もつかえるのか!?

 だが、烈は手にした刀で、武蔵の打撃をはらった。
 抜かず鞘ごと使っている。
 柄でアゴに一撃、鐺(こじり)で腹を突いて、また柄でアゴを打つ。
 棒術のように両端を活かしたコンビネーションだ。
 さらに、まわし蹴りで武蔵をダウンさせた!

 武蔵、また油断したか!
 戦国時代なら、この試合で二回ぐらい死んでそうな状態だ。
 ルールを理解したうえで、余裕こいてるんだろうか?
 生き死にでは問題ないけど、武士の体面的に死んでしまいそう。

 敗北=死のシビアな世界で生き延びてきた戦国の武芸者・宮本武蔵が二回目のダウンを見せた。
 会場の有識者たちもそれぞれ驚愕する。
 刃牙とジャックは汗を出し、郭海皇・本部・渋川は出していない。
 歳の差か? 驚きが足りないのか?
 それとも範馬一族は新陳代謝がいいのだろうか?
 克巳や紅葉の様子も知りたいところだ。

 冷静に振りかえると、ダメージを受けているのは武蔵ばかりだ。
 武蔵がやったのは、相手の武器を奪って破壊したぐらい。
 人より物を狙うのは、意外と平和主義者なんだろうか?

「なるほど伝説と違わぬ卑劣ぶり」
「しかしわたしは拳法家」
「素手のまま近付くことは許さんッッ」


 烈が吼えたッ!
 ちょっと、微妙にワカらんのですが。
 卑劣ってのは、あえて素手になったことを言うのか?
 やっぱり何らかの策略があったようだ。
 結果的には、打たれて蹴られただけだったけど。

 拳法家に素手のまま近づくのはダメ、と。
 身の程を知れって事ですか?
 でも、素手になったのは卑劣な手段だったハズ。

 いろいろとワカらん。
 とにかく烈が筋を通して吼えたのだけはワカった。
 ダウンした武蔵に追い討ちかけたりもしない。
 正々堂々とした烈の態度に会場が沸いた。
 観客の心をつかむという点で、武蔵はかなり負けてしまったようだ。

「打倒したその刹那」
「そこにこそ唯一の勝機はあった」
「二度目はない………!!!」
「烈 海王 敗れたりッッ」


 今度は武蔵が吼えた!
 そして、このセリフだ。
 本部はもちろん、外国人の郭海皇や、無学そうな刃牙・克巳も反応しちゃう。
 会場、大爆笑!

 そこ、笑うところなのか?
 たしかに笑っちゃうかもしれないけど。
 生で聞けたら感動しそうな気がするな。

「ホントに言うんだッッ」
「ウケる〜〜〜ッッ」
「武蔵さんバレバレッッ」
「小次郎敗れたり!?」


 会場が騒然となっている。
 結果的には会場の空気を一変させやがったな。
 観客の心をワシづかみにした。
 狙ってやったなら、スゴい。
 天然でやったのだとしたら、天才というか、強運だな。

「伝わってるのか この言葉!?」

「有名です」
 スゴく…


 烈海王も知っている、有名ゼリフでした。
 というか、烈がうつむいている。
 笑いをこらえているのか?
 あ、スキだらけだぞ!
 会場の空気だけでなく、烈の闘志も変質させてしまったようだ。

 たった一言で、なんか流れをつかんでしまった。
 これが剣豪の恐ろしさなんだろうか。
 いまの烈は弛緩して油断しているから、超キケンだぞ。

 と、武蔵は刀を投げ捨て、烈の間合いにはいった。
 あえて虎口に飛びこむというのか!?

「近付いたぞ」
「拳法家よ」


 間合いに入られたッ!
 武蔵ギャグ(?)で、うつむいたりするからだよ。
 烈がピンチだ。
 武蔵は素手だけど、超握力が厄介なのは証明済みだ。

 手足を握られたり、チャームポイントの三つ網をつかまれたら、かなりヤバい。
 拳法家の意地として、素手で遅れをとるわけにはいかないか。
 反撃できるのか、烈海王ッ!
 次回につづく。


 武蔵の時代は情報の伝達が遅かったので、自分の名台詞がどれぐらい流行るかわからんかったのだろうな。
 江戸半ばには、木版による本の流通や芝居による影響などで、けっこう流行語もありそうなんだけど。

 それとも、武蔵は自分の言葉が知られているとワカったうえで、発言したのだろうか?
 結果だけ見たら、観客の心をしっかりつかんでいる。
 戦場であれば逆転の士気高揚って感じだ。
 武蔵は、一軍の将を目指していたとも言うし、戦場での振る舞いを使ったのかも。

 今回の武蔵は自己演出力で烈に勝った。
 烈も対抗して、ドラゴンロードなどの逸話で武蔵を動揺させるしかない。
 でも、必殺の幻惑ゼリフで烈を煙に巻こうとしたら すでにネタバレしていたという状況はけっこう困っただろう。
 武蔵も内心では困っているハズだ。
 武器を投げて、烈に迫ったのも、動揺をごまかすためだったのかも。

 ところで、武蔵の「小次郎、敗れたり。勝って帰るつもりならば、なぜ鞘を捨てる」的なセリフは、実際に言ったのだろうか?
 このセリフは肥後藩士の豊田景英がまとめた『二天記』という書物に出てくる。(宮本武蔵の真実
「小次郎、負けたり。勝者がどうして、そのさやを捨てる」
 やや信頼度の低い書物だが、それなりに歴史のあるセリフなのだ。

 こっちの武蔵は、破れたりのあとに何と言うつもりだったのだろう。
 そこが肝心な部分だったのに。
 むしろ、あとが気になる寸止め行為が武蔵のジラし作戦かもしれない。

追記 (15/4/22)
 武蔵は いまだにどう戦いたいのかがワカらん。
 せっかく刀を貰ったのに、投げ捨ててしまったり。
 やっぱ、木刀の方が良いとか、二刀じゃないとイヤだとか、ワガママ言って長引かせる気だろうか?
 それも心理戦かな。

 武蔵は、どんだけ攻撃をうけても、まともに戦おうとしない。
 こういう態度が卑劣と言われるところだろうか。
 極端な遅延行為はスポーツだと警告の対象だしな。
 よくワカらんのが、ダメージを受けているのが武蔵のほうだってことだけど。
 負けてるのに遅延行為して、どーする。

 前回感想で、刀を持たせて選択肢を狭める策かと書きました。
 今見直したら「刀を持つことで、相手の選択肢を狭める気か?」で、ちょっと誤表現だったけど。
 それについて、コメントや掲示板で複数の説明をいただきました。
 書きかたが間違っていて申し訳ありません。

 「餓狼伝23巻 218話」で丹波がやった策ですね。
 のちに浦安鉄筋家族の小鉄も知っていたほどの策だ。
 孫子は「囲師必闕」と言っている。
 敵軍を完全に包囲すると死に物狂いで抵抗するので、必ず一箇所を開けて逃げるように仕向けなさい、って感じの意味だ。
 武蔵はコレを狙っていたのかもしれない。

 だが、おなじ刀法でも日本と中国じゃ刀の扱いかたがちがう。
 烈が本当に予想通りの動きをしてくれるとは限らない。
 実際に予想外すぎる動きをしたし。
 ちょっと武蔵は見立てが甘いな。

 武蔵って、最終的に勝ったから無敵の剣豪みたいなイメージだったりして。
 実際は、うっかりミスの多いラッキーマンだったのかもしれない。
 いや、すくなくとも握力はあるか。
 握力さえあれば、なんとかなりそうなのが刃牙ワールドであった。


2015年4月23日(21+22号)
第4部 第58話「拳法家」 (1037回)

 現代によみがえった宮本武蔵はなかなか戦わない!
 でもって、刀まで捨ててしまった!
 どーすんだよ、この状況をッ!

 などと心配する展開だったが、宮本武蔵は対戦相手の烈海王に近づく。
 けっこうヤる気じゃねぇか!
 剣豪が素手のまま、攻撃だ!
 なんか、武蔵は武器を持っていないほうが積極的ですね。
 人を斬るコトに飽いた晩年の心境、みたいなモノがあるんだろうか?

 あっという間に拳の間合いになっていた。
 打撃の専門家である中国武術の烈海王にとって、間合いに入られるのは不名誉な事態だ。
 蹴りの間合いを超えて、侵入されるのは殴られたのと同じような不覚のハズ。
 武蔵が刀を捨てていなければ、すでに斬られていたかもしれない。

 危険地帯に入られた烈海王は反射的に左拳を打ちこむ!
 左ッ!?
 利き腕じゃないんだ。いや、烈の利き腕がどっちか不明だけど。
 これは武蔵が左側に回りこんだってことだな。
 つまり、不利な打撃を誘導している!

 武蔵は烈の左拳をよけた!
 まあ、当然か。
 そして両手で烈の腕をつかみに行く。

 投げるか、固めるか。
 とにかく打撃ではなく、柔(やわら)で攻めるらしい。
 武士たるもの、刀だけでなく、槍・弓・馬術・体術もこなせて一人前だ。
 あと、お金があれば鉄砲も。
 当時、弾丸の鉛と火薬の成分である硝石は基本的に輸入品だったので、けっこう高価だったハズだが……。
 そのへんの経済格差と鉄砲普及の具合はなかなか調べてもワカらん。

 話はそれたけど、武蔵は組み技を仕掛ける気だ。
 打撃を得意とする烈を倒すには、組みつくべきだと思ったのか。
 武蔵の左手が、烈の腋にのびる!
 腋だよ、腋ッ!
 あ、腋は動脈や神経も通っているし代表的な急所ですよ。

 烈の腋を責めようとした武蔵だが、目に異物が当たり ひるんでしまう。
 異物――烈のチャームポイント・三つ編みだ!
 烈海王の隠し技が炸裂した。
 目は急所中の急所、まさに急所の女王である。(急所の王様は睾丸だ)
 弱い打撃でも当たるだけで充分な効果がある。
 三つ編みで必要にして十分だッ!

(武蔵さん)
(拳法家に)
(素手で近付いてはならぬッッ)
(その言葉の意味するところ)
(実感(わか)ってもらえたハズ……ッッ)


 三つ編みによる目潰しで武蔵の動きを止め、蹴りッ!
 組み技の間合いでも垂直に蹴りあげるッッ!
 まさに達人の蹴り技だ。
 アゴを打ち抜かれ、武蔵は虚空を見上げたままヒザをつく。

 武蔵、またもやダウンだッ!
 今回のダウンは内容が悪い。
 アゴへの打撃で脳震盪を起こしただろう。
 こりゃスグには回復できまい。
 両ヒザをついて倒れた武蔵を介錯すべく、烈がダメ押しの蹴りを放つ!

 パシッ

 武蔵が烈の義足をつかんだ。
 そして、持ちあげる。片手でッ!
 目はまだ焦点があっていない。
 この状態で動いた。
 しかも立って、持ちあげる!

 ボクシングではヘビー級に所属していた烈海王である。
 その体重は100kgを超える!
 武蔵は烈を片手で持ちあげつつ、烈の技術をほめた。
 二重の意味で持ちあげている!
 ワザとか? 天然なのか?

 持ちあげられている烈は武蔵の握力に驚愕していた。
 驚くところ そこかよ!?
 そういえば、刃牙も武蔵の握力を危険視していたな。(4巻 33話

 刃牙世界では身体能力の中でもっとも重要なのが握力なのかも。
 花山が強いのも握力のおかげだ。
 打撃力=スピード×体重×握力 ッッ!
 加藤もテグスじゃなく、握力を武器にしていれば夜叉猿を昼寝から起こすぐらいできたかも。

 武蔵の握力に驚愕している場合じゃなかった。
 持ちあげられた、この体勢はヤバい!
 刃牙ですら一撃で沈められた、必殺のパターンだ!3巻 26話
 セコンドの刃牙さん、経験者として何かアドバイスをッッ!
 って、無言ですか? 汗も流していない。
 なんか、他人事だよな。

 日本刀を振り折り、青竹をバラバラにし、九節鞭を引きちぎった、宮本武蔵の全力素振りだ。
 地に叩きつける!
 しかも、両手でッ!
 持ちあげるときは片手だったのに、投げつけるときに両手かよ。
 めちゃくちゃ本気じゃねェか。

 烈がバウンドして舞った!
 両者のダメージ量が、この一撃でひっくり返ったぞ。
 タフな刃牙ですら気絶した振りだ。
 烈の目が白目になったままで、黒目がもどらない!

 だが、烈はバウンドした状態から回転して着地する。
 練習していた消力(シャオリー)か!
 いや、肝心な地面との激突を消せていなかったよな。
 白目のままだし。

 立って構えを取っているものの、烈から闘気を感じない。
 まさか、立ったまま気絶しているんじゃなかろうな。
 刃牙・郭海皇・渋川・本部・ジャック・克巳たちも汗を流して見守っている。
 あ、郭海皇と本部は汗を流していない。
 郭海皇はシワで汗が目立たないのかもしれないが、本部の冷淡さが気になる。
 そして、姿を見せなくなった紅葉も気になるかも。

『反撃の狼煙か』
『中国武術せめてもの意地か』
『立ちはだかり構える烈の姿に』
『満場の者全ての胸に去来した思い』
『烈 海王 敗れたり!!!』

 烈を文字通り手玉に取った技術と、恐るべき握力だった。
 観客は烈の敗北を確信してしまう。
 烈はこのまま敗れるのか?
 次回につづく。


 ダラっとした展開だと思っていたら急展開で、決着寸前だ。
 というか、烈はもう立ったまま気絶している気がするんですけど。
 すでに敗れたり、じゃね?

 試合前に武蔵とやりあった烈は義足を折られた。(5巻 43話
 試合では折れない義足にすると言っていたが、有言実行しちゃったね。
 もっと弱い義足だったら、折れることで脱出(エスケープ)できて反撃できたかもしれないのに。
 律儀さが裏目に出たか。

 刃牙が気絶したほどの素振り投げ(仮名)を喰らったが、烈は立っている。
 いつの間にか刃牙より打たれ強くなったのだろうか?
 いや、やっぱり消力(シャオリー)を使ったと考えたい。
 でないと、何のために流血してまで特訓したのかワカらんよ。

 だが、ダメージは深刻だ。
 烈にはもう隠し武器も無いようだし。
 ここから烈は逆転できるのだろうか?
 そもそも動けるのだろうか?
 やっぱり消力(シャオリー)って、身体を掴まれたら力を消せないっぽい。

追記 (15/5/6)
 烈海王の頭上に死兆星が輝いている。
 いや、いまの武蔵は素手だから、むしろ生存フラグかもしれない。
 独歩のときも優しく押し当てただけだったし、よみがえった武蔵は誰も殺していないぞ。

 もしや、影から本部がフォローしているのだろうか?
「ところで、先ほどから それがしの気を乱し、殺気をそいでおるヒゲの御仁よ。そろそろ表に出てきてもらえぬか?」
 みたいな展開が待っていそうだ。
 本部以蔵はすでにみんなを守護(まも)っておりまする。

 昔からそうなんだけど、刃牙世界で新キャラが出てくると範馬勇次郎との絡みが問題になる。
 最強を自称する人間であれば範馬勇次郎に勝つ自信が無いとダメだ。
 最大トーナメントの勝ちのこり組は、みんな範馬勇次郎にスペシャルフォールドをかけるという野心を持っていた。
 それぐらいの自負が無いと刃牙と良い勝負もできないだろう。

 ピクルのときは勇次郎が積極的にかかわった。
 だが、武蔵はガン無視している。
 勇次郎の琴線にはふれなかったのだろうか?
 渋川さんも長年無視されていたようだし、勇次郎は技系の戦士には興味がうすいんだろうか?
 でも、武蔵は握力もスゴいらしいしな。

 見える部分での烈海王vs宮本武蔵だけでなく、見えない部分で範馬勇次郎がどう動くのか、そこにも注目したい。
 その一方で、本部には見える形での解説をしてもらいたいんだけど。


2015年5月7日(23号)
第4部 第59話「気絶」 (1038回)

 拳雄・烈海王の様子がおかしい!
 目はうつろだし、口がだらしなく開いている。
 あ、でも前回は白目だった事を考えると回復しているな。
 目の色が灰色だから半分回復ぐらいか?

 烈海王をこんな状態に追いこんだのは、現代によみがえった剣豪・宮本武蔵である。
 トドメを刺すべく武蔵が近づく。
 烈は反応できない。
 いや、左手が動いたッ!
 意識が無くても、戦士の本能は死なず!

 武蔵はゆっくり動く烈の左手首をにぎり、投げた。
 手首だけを取って投げるなんて、かなりの技量だ。
 武蔵は剣術だけでなく、柔術も達人クラスだな。
 五輪書には投げ技について書いていなかったと記憶しているが、秘密兵器だったのかも。
 そりゃ、公開される文章に技の全部を書いたりしないよね。

 烈を見守る友たちの表情はキビしい。
 刃牙・克巳は汗を流す。渋川・本部の柔術家は眉間にシワをよせる。
 郭海皇はシワが多すぎて表情が読めん。
 いちおうシカメっ面だよね?
 同胞のピンチに表情を殺しているのかもしれない。

 投げ落とされた衝撃で烈は目覚める!
 あおむけの状態から跳ねて蹴り、そして立つ。
 蹴りは不発だったが、寝た状態から起きるという最大のスキが生まれる所をのりきった。

 いや、武蔵はわざと烈を立たせたようだ。
 気絶している烈への攻撃が軽すぎた。
 武器を取って斬りつけていれば、子供でも倒せる状態だったぞ。
 わざと軽く落とし、蘇生させ、立ち上がらせた。

 宮本武蔵よ、なにを狙う!?
 人を殺すことではなく、活かす。
 それが一度人生を全うした武蔵の達した境地なのだろうか?
 まさに、武蔵道だッ!
 こりゃ道場に入門希望者が押しかけるぞ。

 たちあがった烈は左右の拳で攻撃しようとする。
 だが、両拳の初動を抑えられ、拳は掌につかまれてしまう。
 先の先をとられている感じだ。
 0.5秒の先読みってヤツか?4巻 31話

 武蔵の超握力に烈の拳がきしむ!
 かつて刃牙はボクサー高山の拳を握力で破壊できると豪語していたが、武蔵も同等以上の握力を持っているようだ。
 拳が破壊されそうな烈は、蹴りで応戦する。
 だが、防御され、逆関節を極めつつ一本背負い気味に投げられた!

 やはり、この武蔵は柔術も一流だ。
 そして常に烈の一手先を読んで対応している。
 油断しなければ、ここまで強いのか!
 むしろ、いままでの油断っぷりはなんだったんだろう。
 戦国時代の立合いなら、すでに二回ぐらい死んでますよ。

「肘をイカれたッッ」

(帰ってこい)

(もう一撃…………或いは…)


 刃牙がダメージ判定をし、郭海皇が心配して、烈はヒジの状態を確認する。
 郭海皇の思いは「生きて帰ってこい」って事か?
 消えてしまった昔の蛮勇戦士カムバック!って意味じゃないと思うけど。
 郭海皇だけに深い意味があるんじゃないかと疑ってしまう。

 烈がダメージを気にしているうちに、武蔵が闘技場に備えつけられている武器を手にとる。
 手にしたのは、いわゆる青龍刀だ。
 だが、武蔵から見れば、玩具レベルの代物らしい。
 例によって、一振りで折れてしまう。

 二つ目に手にした刀は、鋼(かね)がダメダメだけど、包丁がわりとして使えるらしい。
 包丁を手にした武士となると……黒沢明監督の『用心棒』(AA)か?
 いや、武蔵が映画を知るはずないな。

 なぜか国宝の刀・國虎ではなく、安い刀を振り回す。
 武蔵の狙いはなんだろう。
 トドメを刺す前に刀が折れて、生存させる気か?

 左ヒジを痛めた烈は、ぎこちなく構える。
 オーソドックスタイルだ。つまり左を前にしている。
 痛めた左を犠牲にして、活路を見出す気か?
 そして、この構えは……

(お…ッ)
(俺の構え!!?)


 刃牙が驚愕した!
 その烈の構えは、刃牙と同じものだ!
 これは一体、どんな意味があるのかッッ!?
 いや、特に意味なさそうだし、そんなに驚くことなのか?
 烈よ、中国武術に帰ってこい。
 次回へつづく。


 本気を出したら、やっぱり武蔵は強かった。
 烈ですら手玉に取っているな。
 そして、チラチラと不殺行動が見える。
 この武蔵はけっこう人格者なのかもしれない。

 武蔵は、いわゆる青龍刀にダメ出ししていた。
 だが、世界の刀剣の多くは日本刀と違い刀身と柄が一つの金属でできているから丈夫だったりする。
 スキタイの使用していたアキナスケ剣も刀身と柄が一体の剣で非常に強力だったらしい。(格闘技の歴史

 いっぽうで、鋼(かね)が悪いってのも理解できるところだ。
 日本刀は鉄を叩く鍛造で作る。
 叩くことで炭素などを調整し、強度をコントロールしているのだ。
 逆に世界の剣は型に溶かした金属を流し込む鋳造が多いようだ。
 日本と世界でどれぐらいの差があるのか、なかなか調べてもワカらんのですが、日本刀とその他の刀剣には製造の違いがあるように感じる。

 なので、日本刀は軽くて薄いし、柄と一体じゃないので構造も弱いのだが、製造での優秀さがあるようだ。
 文禄・慶長の役沈惟敬小西行長に『(日本)武具の精巧さを』『認識させるために、日本軍が使用するあらゆる武具の見本を』と言って『槍や長刀(ナギナタ)についても言えるが、とりわけ、日本刀の威力に抵抗できる鎧を製作しようとし』た、と言う話もある。(秀吉と文禄の役―フロイス「日本史」より

 宣教師の報告なので伝聞なのだろうし、その後の戦闘で明軍の鎧に槍が効かないという記述もあるので、話半分だ。
 それでも、日本刀の能力についての自負がうかがえる。
 武蔵はその強力な日本刀をあえて使わない。
 どんな決着を狙っているのだろうか?

 で、烈は刃牙の構えをマネした。
 マネしたといっても、あのフォームは刃牙オリジナルってほどでもない。
 ボクシングのヒットマンスタイルを基本にした構えだ。……たぶん。
 ヒットマンスタイルだと、身長の無い刃牙には不向きなんだけどね。

 あの構えは左手のガードを下げた攻撃的なスタイルだ。
 刃牙の場合は盛り上がった肩の筋肉でアゴ周辺をガードしている。
 左手でボディーを守り、右手は横からの攻撃に備える。と、それなりにガードは固いのかも。
 ただ、素手同士ならともかく武器を持った相手にこの構えは有効なのだろうか?
 ガードしている腕が斬られるから、あえてガードをさげるって意味があるかもしれないが……

 一時期ボクシングをやっていた烈が、ヒットマンスタイルをやってみただけかもしれない。
 刃牙はちょっと自意識過剰かも。
 いつも人の技をパクる刃牙だけど、自分の構えをパクられたら、すごく動揺しちゃうのか?
 コレをきっかけに、刃牙が人に技をパクられると、どんな気持ちになるか……考えていただきたいッッ!

追記 (15/5/13)
 武蔵がダメだししながらも中国風の刀を使うんだから、烈もダメ出ししながら、武蔵の投げた国宝・國虎を奪えばいいのに。
 武器もつと選択肢が狭まるからダメなのかね。

 烈海王は武器を取らず、刃牙の構えを選択したッ!
 トリケラトプスの構えとか、グルグルパンチの構えとか、マッハ突きの構えとか、もっと特徴のある構えなら驚けるのだが、刃牙の構えは普通だよな。
 範馬親子喧嘩いらい、刃牙へのリスペクトが蔓延しているので、刃牙のマネは試合中の失禁でも尊敬の対象になっているのだろうか?

 烈海王が中国武術からはなれちゃったら、その存在意義がかなり危うい。
 刃牙スタイルを中国武術で味付けしたオリジナルで挑むのだろうか?
 でも、あまりトンデモな技を出したら郭海皇に怒られそうだ。
 グルグル拳なんて出したら、烈のほうがグルグルにブン回されて投げ飛ばされてしまいそう。

 板垣先生は闘争を描くとき、あまり細部まで考えず、その場のノリを重視してそうだ。
 上手くハマると先の読めない展開になるんだけど、グダグダになるという可能性もある。
 武蔵がなかなか攻撃しなかったころは、グダりかけていた。
 いまは武蔵が攻撃をはじめたおかげで、かなり緊迫している。
 で、ここに刃牙の構えですよ!

 刃牙の構えは必要だったのだろうか?
 なんとなく、ハチミツがかかったような感じがするんだけど。
 いや、このハチミツが最高のアクセントになるかもしれないがッ!


2015年5月14日(24号)
第4部 第60話「青龍刀」 (1039回)

 現代によみがえった宮本武蔵と中国武術・烈海王の闘争(たたか)いも最終局面だ!
 武蔵が日本刀をすてて、かわりにいわゆる青龍刀を使う。
 けっきょく武器使うなら、最初から日本刀を投げなきゃ良かったんじゃね?
 なんか埋めた穴を掘りかえすような良くワカらない行為だ。

 対する烈海王は、もっていた武器を使いきって、左ヒジを痛めている。
 あと、地面に投げつけられて気絶するほどのダメージをうけたハズだけど、そっちは目を覚ましたら治ったっぽい。
 骨や関節を痛めなければ、ダメージはなんとかなる。
 つまり筋肉最強ってことだ。

 ヒジを痛めた負傷に加え、武器の有無という差もできてしまった。
 烈海王、大ピンチだ。
 はやく武器を拾ったほうがいいぞ。

 この局面で烈海王がとった策はッ!
 範馬刃牙の構えだッッ!
 場内が騒然する。
 本部・克巳・渋川・ジャック・光成、全員が汗をながす。
 いやいやいや、そんなに驚愕(おどろ)くことか?

(爪先に重心を置き…………)(足は前後の自然体…)
(身体は必然 半身……)(相手から見る面積は狭まる)
(前の肩は顎をカバー)(相手にとっての障害物になる)
(利き手も顎の横)(発射に備え握りは緩く…)
(前手は攻防兼備)(型(かたち)は状況に応じる)

(編み出したというより)(気付いたら身に付いていた構え………)


 ボクシングのヒットマンスタイルに似た構えだ。
 総合格闘技でもけっこう有効な構えで、アゴの横に置かれた利き手が左まわし蹴りにたいする有効な防御になっている。
 もうちょっと高く構えたほうが安全ですけど。
 たとえば、ケビン・ランデルマンが、右手を高めに構えて戦っていた記憶があります。

 顔の前に手が無い。
 つまり顔面ガラ空きに見えてキケン度の高そうな印象がある。
 使い手に勇気が求められる構えかもしれない。
 馬鹿と勇気は紙一重とか、そういう事を考えちゃダメだ!

 刃牙が自然に身につけていた型だけに、特殊な構えじゃない。
 突然、テニスの構えとかやりだしたら烈の脳を心配するところだけど、同ジャンルだし。
 テニスの機動性を活用した剣術とかあったら、それはそれで見たい気もするが。

(身体の隅々まで行きわたる中国武術)
(捨てる気はさらさらないが………)


 よかった、烈は中国武術を捨てていない。
 まあ、アレだよ。刃牙スタイルも20年前ぐらいに通過しているんだよ、きっと。
 殺気を出しまくる武蔵を前にしても、烈は動けると確信する。

 古流武術は不整地や鎧の着用を想定した戦いかたを組み立てている。
 なので、平らなリングで戦うボクシングよりも、足運びが遅い。
 そのぶん、安定性は良いのだが。
 烈はヒットマンスタイルっぽい構えをとることで、高速移動できる気になったのだろうか?

 凶刃を手にした宮本武蔵が迫ってくる!
 大きく振りかぶり、一刀両断の構えだ。
 二天一流の特徴である片手斬りだッ!
 刀が、烈の顔面に吸いこまれていくッッ!

 斬った!
 烈の顔に刀がメリこんでいる!
 いいや、斬れていない。
 独歩のときと同じく、当てているだけだ。(5巻 40話
 いや、これはさすがに斬れているでしょ。
 骨に食い込んでるぞ。

「きさま…」
「何故引かんッッッッ」
「何故引き斬らん!!!」
「この烈をッッ」
「侮辱する気かあああああッッ!!!」


 刀が顔面に喰いこんだまま烈がほえる。
 アゴを動かしてしゃべっちゃうから唇が斬れて出血しとるぞ!
 見ているだけで痛そうだ。

 惨殺を容赦した行為を侮辱ととらえる精神に、武蔵は武士(もののふ)を感じる。
 烈士、大丈夫、好漢など言い方はイロイロありますが、命よりも名を重んじる騎士道・武士道的精神はおんなしだ。
 そして、烈の心意気に武蔵は両断で応える。

 だが、ここで烈が回転だ!
 消力(シャオリー)かッ!?
 烈は中国武術を捨てたワケでなく、練習もおぼえていた!
 というか、いままで忘れていた疑惑もありますが。

 ここにきて烈が大回転だ。
 守りの消力(シャオリー)を起点にして、烈は逆転できるのか?
 次回につづく。


 ボクシングっぽく、左右のフットワークを使うのかと思ったら、けっきょく消力(シャオリー)だ。
 中国武術の技を使うのなら、刃牙の構えは関係ないよね?
 構えの意味が、やっぱり良くわからなかった。

 練習の成果ということで消力(シャオリー)だ。
 これなら武蔵の斬撃もかわすことができる。
 だが、武蔵は宙を舞う羽毛すら斬ることができるのだ。
 最後の切り札をつかってしまった烈は、逆にこれが敗北フラグかもしれない。

 あと、忘れちゃいけないのが、本部さんのアドバイスだ。
 正確には、本部のアドバイスを聞かなかった事である。(6巻 49話
 あの時、殴って気絶させずに話を聞いておけば良かった〜〜〜ッッ と、後悔する時がついに来たぞ。
 安易な暴力は良くないという教訓になるエピソードですね。
 本部にゴメンナサイする準備はOKか?

 武蔵が消力(シャオリー)の上を行く実力をもっている以上、本部の守護力に期待するしかない。
 または、鎬紅葉の手術力に期待か?
 さいきん観客席にいるはずの紅葉を見かけないが、帰ったりしてないよね?

 烈海王の消力(シャオリー)が敗れるとき、それは本部以蔵が妙に強かったという秘密が明かされるときだ。
 少なくとも、そう期待したい。
 あとは、さいきん範馬勇次郎がまったく姿を見せないという謎もあるが……
 まさか本部が勇次郎を倒したからって事はないよね。

 話を聞かずに暴力で解決すると、サムライに青龍刀で真っ二つにされる。
 そんな悲しい事実を今回は学ぶことになりそうだ。
 ついでに日本刀のスバらしさも学べそう。
 なんか刃牙って学校教育にぴったりな教材なのでは?
 小学生の授業に『刃牙道』の科目を作らせるってのが、野望だったりして。

追記 (15/5/20)
 宮本武蔵が烈にいわゆる青龍刀を押しつけている!
 ついに斬るのか!?
 それとも、また斬らないのか!?

 バキ死刑囚編は出だしで容赦なく人を殺しまくったので、こんどの敵は次元が違うと言う不気味さがあった。
 そこに行くと、武蔵は不殺を貫いているんだよな。
 剣禅一致で悟りをひらいちゃっているんだろうか?

 加来耕三「宮本武蔵」という剣客』では、晩年の武蔵は達人の境地に達していたと推察していた。
 殺伐とした時代をなんとか生き延びた剣豪には、常人に到達し得ない境地が見えていたのだろう。
 その可能性は高い。

 でも、板垣先生が定義する強さとは、『ワガママを貫くチカラ』だったハズだ。
 そこ行くと、武蔵はあまりワガママも言わないし、無理を通している感じもしない。
 バキ世界の中じゃ、話のわかる人の部類に入りそうだ。

 無理をしない感じの武蔵は、いつ隠したツメを解放するのだろうか?
 戦国という殺伐とした時代を経験した狂気は、死刑囚たちよりも凄まじいものがありそうなんだけど。
 烈を斬るのか、斬らないのか?
 そこで武蔵の本気と、真の姿を見ることができるのだろうか?


← 41話〜50話  ↑最新↑  61話〜70話→
バックナンバー 過去 どげせん エクゾスカル零 Gロボ 餓狼伝 疵面 みつどもえ blog 掲示板 Twitter リンク12 TOP

和書
コミック

 チャンピオン 
ジャンプ
マガジン
サンデー
RED
 板垣恵介 
夢枕獏
山口貴由

DVD
アニメ
CD
 ゲーム 
DS
PSP
Wii
PS3
360
PS2
PCゲーム
 PCギャルゲー 
フィギュア
パソコン
テレビ
メディア
家電
サプリメント
板垣恵介の激闘達人烈伝 板垣恵介の格闘士烈伝
駿河城御前試合 獅子の門 雲竜編 (カッパ・ノベルス)
管理人:とら  連絡先(E-mail):E-Mail
【特定電子メール法に基づく表示】広告メール、迷惑メールの送信はお断りします