今週の『ゆうえんち −バキ外伝−』(121回〜130回)感想

← 111回〜120回  最新の『ゆうえんち』感想  バックナンバー  131話〜140話→
バキ道 異世界 烈海王 バキアニメTV版 疵面 餓狼伝 blog 掲示板 Twitter リンク12 TOP

2020年11月7日(49号)
第121回 巻の十五「愚地独歩の拳」

 愚地独歩 vs 龍金剛ッッ!
 今回の"ゆうえんち"における、もっとも贅沢な試合だ。
 いままでも、今後も、この試合を超える大一番は出てこないかも。
 これに勝てるのは独歩・龍金剛 vs 猪狩・斗羽のタッグマッチぐらいか?

 愚地独歩は拳をにぎる。
 15年以上もかけて完成させた拳だ。
 説明に2ページ以上も使ってしまう。
 このくどさッ! 熱量ッ! 歴史ッ! 強さッ!
 誌面が発熱して自然発火してしまいそうだ。

 拳ダコで厚くなった手は、とんでもない握力をかけないと拳にならない。
 完成するのは超圧縮された高密度の拳となる。
 武神と呼ばれる男にふさわしい拳だ。

『つまり、まあ、愚地独歩の拳と言うのは、そのようなものであったのである。』

 そのようなものであったのである、か。
 じつに夢枕獏的な文章であった。

 ところで、花山薫の拳は超握力による異形の拳と言われている。
 天然でこの独歩15年物の拳を再現しちゃっているんだろうか?
 花山が天然でも強い理由がここにありそうだ。
 なにしろ「握力」は「硬さ」だ!(バキ道 73話

 その一方で数年後に愚地独歩がたっした境地が、拳を握らない"菩薩の拳"だった。
 今まで頑張って鍛え、力を込めて握っていたのに、握らない。
 たぶん、拳を握らないまでに至る握りまくった過程があってこそ完成した拳なのだろう。
 なにしろ、見た目は簡単そうだけど、誰もマネしていない。
 あ、バキ読者なら1000万人ぐらいはマネしたことあると思いますが。私もやった。

 拳を握って完成させた独歩は腰を落とす。
 騎馬立ちだ。
 のちに独歩が力士の猛剣と闘った時は"四股立ち"をした。(バキ道7巻 63話
 この時は、四股立ちを思いつかなかったようだ。
 後になって、四股立ちのほうが良かったと考えて、猛剣戦で活きたのかも。

 騎馬立ちも四股立ちも、足を大きく開く安定した立ちかただ。
 ちがいは爪先の向きで、前にすると騎馬立ちで、開くと四股立ちになる。
 安定している反面動きにくい。
 逃げも隠れもしない。正面からかかってきやがれ! というメッセージだ。

『中途半端でない渾身の一撃を、間違いなく当てる。
 それでいい。
 当てる場所は、どこだっていいのだ。』


 一撃必殺を狙う!
 空手における最終目標、一撃必殺だ!
 武術である以上、敵も数も場所も選べない。
 倒すのであれば一撃必殺がもっとも安全だ。
 だから、一撃必殺を目指して求める。

 独歩は、自分の拳で一撃必殺をする気だ。
 相手が力士の龍金剛であろうと、当たる場所がどこであろうと一撃必殺できる!
 腕でガードすれば、ガードした腕を破壊する気だ。
 独歩は必勝の心構えで待ち受けた。

 龍金剛は、ぶちかまさないッ!
 両手を広げ、胸を前に出して、近づく。
最強格闘技の科学』によれば、胸は筋肉が厚く肋骨で守られているので打たれ強い部位だ。
 自信をもって受けるなら、胸だ!
 龍金剛も、自分の肉体に絶対の自信を持っている!

 最強の矛と、最強の盾が激突したッ!
 結果は、龍金剛の肋(あばら)が2本折れる!
 だが、龍金剛は独歩に抱きついた。
 この勝負は引き分け、いや目的を達成したのは龍金剛だから盾の勝ちか!?

 龍金剛がふたたび独歩にサバ折りをかける。
 今度は自分の手を握り合わせているので、帯が切れて失敗することもない。
 独歩、ふたたび大ピンチか!?

 龍金剛は両手の指を組み合わせている。
 アマレスだと反則になるつかみ方だ。
 おなじ力士でも炎はアマレス式のつかみ方をしている。(バキ道5巻 39話
 龍金剛は、炎より相撲度が高い男なのかも。

 独歩の危機かと思われたが、秘策があった。
 龍金剛の肋(あばら)の間に指を突きたてている!
 独歩を絞めあげると、おなじ力で独歩の指が刺さるって寸法だ。
 鍛え抜かれた独歩の指だからできる方法である。

 サバ折りに貫手でカウンターみたいな展開だ。
 窮地に追いこまれた愚地独歩はナイスアイデアを思いついた!
 これが独歩の見たかった愚地独歩か!

 だが、龍金剛だって怪物のはずだ。
 ここから投げに移行するかもしれない。
 しかし、ピンチになったら独歩も より強い愚地独歩へと進化するかも。
 この勝負は、愚地独歩と龍金剛が進化を比べあっているようだ。
 葛城無門のことは しばらく忘れて怪物二人の勝負を見ていたい。

週刊少年チャンピオン2020年49号
週刊少年チャンピオン2020年49号


2020年11月14日(50号)
第122回 巻の十五「神の拳」

 表紙では葛城無門が空手衣をきて三戦(サンチン)立ちをしているが、本編は頭からお尻まで愚地独歩 vs 龍金剛の濃厚な闘いだ。
 主人公は表紙でポーズをとるだけのグラビアアイドルと化す刃牙の伝統ですね。

 独歩は龍金剛のサバ折りに指の貫手刺しで対抗する。
 だが、組みついた状態は、やはり相撲の領域だ。
 龍金剛は独歩を持ちあげ、やぐら投げをしかける!
 偶然なのか今週の『バキ道』でも、独歩の養子であり無門の実弟・愚地克巳が やぐら投げを喰らっている。(バキ道77話
 シンクロニシティか!?

 絶対の安定性をほこる騎馬立ちだったが、下から持ちあげられると弱かった。
 独歩はアスファルトの地面に頭から落とされる。
 だが、独歩は身体を丸め背中から落ちた。
 頭から落ちた克巳とは闘争の年季がちがう!

 背中から落ちたが、地面はアスファルトだ。ダメージは大きい。
 思わず動きが止まってしまった独歩は、上を見て戦慄する。

『龍金剛の右足が、高く持ちあがっているのを。
 その足で、月が隠れていた。
 何をされるかわかった。
 四股だ。』


その足で、月が隠れていた

 これまた、バキ道と同じく四股の踏みつけ攻撃だ!
 上空の月を隠す龍金剛ッ!
 だが、この局面で愚地独歩は反撃する。
 寝た状態で騎馬立ちの構えから正拳突きだッ!
 四股踏みを、正拳突きで迎撃するッッ!

 武神・愚地独歩の拳だ。
 病魔すら払ったことがあるらしい。
 長い年月をかけて鍛えてきた。
 何度も奇跡を起こして自信を深めた。
 それが愚地独歩の拳だ。

『おれの拳は。
 神の拳だ。』


 すさまじい音がした。
 龍金剛の四股保踏みと、愚地独歩の拳がぶつかり、勝ったのは……
 愚地独歩だッ!
 独歩の拳が、龍金剛の右足を砕いたッッ!

 だが、龍金剛の闘志は消えない。
 独歩は勝機ととらえて連打を浴びせる。
 龍金剛はノーガードで打撃を受けきった。
 そして、独歩の打撃をとらえて、ふたたび投げる。

『変形の俵返しだ。』

 龍金剛は独歩を抱えたまま投げつける。
 二人分の体重をかけているのか!?
 やぐら投げよりもダメージがでかい。
 そして、龍金剛がのしかかってくる。

 力士なのに寝技でくるのか!?
 予想外の攻撃がきた。
 龍金剛の奇襲に独歩は対応できるのか!?
 次回へつづくのであった。

 独歩は空手にこだわって闘っている。
 倒れて寝た状態でも空手だ。
 見事に正拳突きで逆転している。

 だが、龍金剛は相撲を捨てた。
 寝技は相撲の領域ではない。
 こだわりを捨てて勝利を目指した。
 だが、相撲を捨てたことは何かの弱みになるだろう。

 短期的には愚地独歩が不利かもしれない。
 だが、独歩なら寝技と言う危機でも使える空手技を編みだしそうだ。
 空手を信じる愚地独歩は、空手に救われるッ!

週刊少年チャンピオン2020年50号
週刊少年チャンピオン2020年50号


2020年11月21日(51号)
第123回 巻の十五「生涯初の」

 夜の格闘遊技場"ゆうえんち"で、神心会空手・愚地独歩と大関・龍金剛が死闘をつづける。
 皮は破れ、肉がつぶれ、骨が折れる闘争だが、二人とも激闘をやめない。
 空手と相撲と言う立ち技同士の闘いだが、意外な流れでグランド勝負になった。

『実戦では、生涯初のガードポジションだよ。』

 独歩が屈辱のガードポジションを取ったッ!
 今まで寝技に追い詰められたことがなかったのか。
 こうなる前に終わらせるのが空手を実践していたワケですね。

 ただ「実戦」と言っている。
 ちゃんと練習はしていたらしい。
 今までガードポジションなど取ったことが無いと自慢に思っていたけど、万が一のために練習する。
 愚地独歩という武人の深みを感じさせるところだ。

 力士がグランド勝負を仕掛けるという奇策にでた。
 独歩の見立てでは右足のダメージが大きいのだろう。
 ここを耐えれば勝利は近い。
 だが、龍金剛は相撲の関節技・閂(かんぬき)で独歩の肘関節を極めにくる。
 寝技になっても力士だな。

 伝説の最強力士・雷電為衛門は「張り手、鉄砲、さば折り、閂」を禁じ手にされていたらしい。
 それほど危険な技なのだ。
 ものすごい制限だな。片手でボクシングしろと言っているぐらいの制限かも。
 雷電は、それだけ強かったってことか。

 独歩は龍金剛の右足のカカトを蹴る。
 負傷しているところをさらに攻める非情の攻撃だ。
 3回目の攻撃で閂がゆるむ。
 龍金剛だって人間だ。無限に痛みを耐えることなどできない。

 独歩が閂から脱出した。
 だが、それは龍金剛の両腕が自由になるということでもある。
 今度は龍金剛がパンチを打ちこむ。
 力士なら張り手を打ちこむところだろうが、拳だ。
 龍金剛に焦りと言うか、動揺を感じる。

 独歩は額で拳を受けた。
 のちにアライJrの拳を破壊する事になる、カウンター頭突きだ!
 龍金剛も拳を痛めたらしい。
 力士が不慣れな拳を使ったので失敗した感じか?

 独歩はうまく脱出できた。
 と思ったら、独歩が起きあがる動作を利用して龍金剛がさらに持ちあげる。
 思いっきり高く持ちあげられた。そのまま放り投げられる。
 ここから投げ技にいくほどの余裕はなかったようだ。

 独歩は四つん這いで着地する。
 格好は悪いがダメージの少ない着地だ。
 この余裕があったからか、独歩は罠をしかける。

『わざと、一瞬、立ちあがるのを遅らせたのである。』

 あえて頭を蹴りやすい高さにとどめた。
 絶妙のタイミングだ。
 罠だとわかっていても、思わず蹴ってしまう。
 そういうタイミングだ。
 この蹴りを独歩は、蹴りで迎撃する!

 龍金剛は傷ついた右足で蹴ってきた。
 中足の前蹴りだ。
 それを独歩が同じく中足前蹴りで迎撃する。
 ボクシングで最も使う打撃がジャブであるなら、空手で最も使う打撃が中足前蹴りだろう。
 愚地独歩の中足前蹴りならば、槍のような殺傷力がある!

『中足と中足の、正面衝突だ。
 どちらも無事というのはあり得ない速度と重さだ。
 どちらかが、負ける。
 負けるのは、弱い方の足だ。中足だ。』


 激突ッ!
 破壊音が響くッ!
 壊れたのは、どっちの中足だ!?
 いや、間違いなく龍金剛の足なんだろうけど。
 逆に独歩が負けていたら世界観が崩壊する。
 どちらが勝ったのかは、次回でッ!

週刊少年チャンピオン2020年51号
週刊少年チャンピオン2020年51号


2020年11月28日(52号)
第124回 巻の十五「範馬勇次郎用に、開発した技だ」

 夜の格闘遊技場"ゆうえんち"で、神心会空手・愚地独歩と大関・龍金剛が激突だ!
 二匹の怪物対決は、愚地独歩が優勢になっている。
 だが、龍金剛の怪力ならば一発逆転も可能だろう。
 この勝負は、まだまだ荒れそうだ。

 愚地独歩と龍金剛が蹴りをぶつけあう。
 勝ったのは、愚地独歩だ。
 やっぱり蹴りの経験値がはるかに上だったのだろう。
 これで龍金剛の右足はカカトと中足の前後をつぶされた。
 もはや両脚で立つこともできない。

 こんな状態でも龍金剛は悲鳴をあげず、まいったも言わなかった。
 独歩は龍金剛が敗北を認めるまでヤる気だ。
 油断も容赦もしない。
 これが人食いオロチの異名をもつ独歩の残虐性だな。
 養子の愚地克巳には、この非情さが足りない。

 一気に攻めようとした独歩だが、龍金剛の構えを見て動きを止める。
 龍金剛が片膝をついて座っていた。
 御式内ッ!?
 というか、独歩はそんな事まで知っているのか!

 でも、これはモンゴルの「座闘」と言う物らしい。
 電子版だと文字がつぶれて読めません。
 まあ、たまたま似た技がモンゴル相撲にあったらしい。
 格闘技の収斂進化ですね。

 未知の構えを前にしても独歩は恐れない。
 慎重に龍金剛を観察しつつ、蹴りを入れる!
 この構えだと、どうしても攻撃手段が蹴りになってしまう。
 独歩も御式内風の構えにとらわれたようだ。

 予想通りの蹴りである。
 龍金剛は両手で受けて、独歩の足を掴む。
 だが、掴まれることは独歩も予想していた。
 龍金剛が予想を超えてきたのは、ここからだ。

 独歩の足を掴んだまま、左足のみで立ちあがった。
 立ちあがりつつ、独歩を釣りあげる。
 そして、負傷している右足で蹴りこんできたッ!

『全力の一撃とわかる。
 もう、右足が使いものにならなくなってもいい。』

『なんと美しい。
 なんて、素敵なんだ。』


 龍金剛の覚悟と行動に独歩は感動していた。
 自分のために、ここまで尽くしてくれるのだ。
 これほど自分を思ってくれる相手がいるだろうか?

 だが、素直にこの攻撃を喰らうわけにはいかない。
 身をよじり、背骨は避けて脇腹で受けた。
 左の肋骨が2本折れている。
 しかし、戦闘不能ではない。

 このダメージでも独歩は立ちあがる。
 左の肋骨が折れているので、左手は使いにくいか?

『腹をくくった。
 すまなかった、龍金剛よ。
 実は、使わなかった技があったのだ。』
『範馬勇次郎用に、開発した技だ。』


 龍金剛の気持ちにこたえるため、独歩は秘密兵器を出す気になった。
 範馬勇次郎に復讐するための必殺技だ!
 そんなもんを隠しもっていたのか!
 次回、独歩の秘密兵器が炸裂するッ!

週刊少年チャンピオン2020年52号
週刊少年チャンピオン2020年52号


2020年12月5日(1号)
第125回 巻の十五「御触れ打ち」

 愚地独歩は、かつて地上最強の生物と呼ばれる範馬勇次郎に不覚を取った。
 それ以来、範馬勇次郎に借りを返すべく愚地独歩は鍛え続けている。
 範馬勇次郎用に、開発した技だ。
 その技を、この強敵である龍金剛にささげよう。
 愚地独歩 vs 龍金剛も最終局面に入ったようだ。

「技の名前は、まだ決めてない。」
「"御触れ打ち"でいいか。」
「おれが、これから、あんたに、どこを打つつもりなのかを教えてやるんだ。そして、その後に、本当にそこに打撃を当てちまうんだ。」


 独歩は猫足立になりつつ、技の説明をした。
 長い説明だったが、龍金剛は黙って聞いている。
 右足を負傷して、モンゴル相撲式・座闘の構えなので動けないのだ。

 独歩は宣言通り、指定した場所に指定した攻撃を打ちこむ。
 右足で腹を、頭、腹、次々と当てていく!
 これ、アレだよ!
 1日1000回の基本稽古を数十年つづけることで完成した打撃だッ!

 範馬刃牙も、範馬勇次郎でさえ避けられなかった打撃である。
 数年後、独歩はちゃんと範馬勇次郎にこの打撃を叩きこむのであった。
 でも、この攻撃の理合って説明ないな。
 究極にまで鍛えあげ完成させた打撃は動きにムダがなく反応できない、とか?

 独歩は脱力して、心も消していく。
 脱力することで速度をあげる。
 意を消すことで相手に動きを読ませない。
 この2要素が"御触れ打ち(仮名)"の理合だろうか?

 独歩は一方的に打撃を決めていく。
 だが、御触れ打ちにも弱点があった。
 予告するので、相手には受ける覚悟を決める時間がある。
 一撃必殺とはいかない。
 プロレスラーでも耐えることができるだろう。

 それでも一方的な攻撃だ。
 龍金剛の肉体にも限界が来るだろう。
 このまま座して敗北するワケにはいかん。
 そう思ったのか、龍金剛が傷ついた足で立ちあがる。

 龍金剛は最後の攻撃に出る気だろう。
 独歩もさがらず迎え撃つ気だ。
 つぎの攻防で決着がつきそうだ。

 傷ついた右足で龍金剛は立ちあがった。
 なにか逆転の秘策があるから立ったのだろう。
 独歩は捨て身の龍金剛を倒しきれるのか!?

週刊少年チャンピオン2021年1号
週刊少年チャンピオン2021年1号


2020年12月12日(2+3号)
第126回 巻の十五「ただ、己のありったけをかけて」

 愚地独歩 vs 龍金剛も決着が近い。
 おおむね独歩が優勢に闘っている。
 だが、一発を喰らって逆転される可能性もあるぞ。
 どちらかが完全に倒れるまで、油断はできない。

 龍金剛は傷ついた右足で立ちあがる。
 最後の攻撃をする気だッ!
 独歩も退かずに受けて立つ。

『すでに、勝ち負けを問う場所には、おれたちは立っていないよな。
 ただ、己のありったけをかけて、全力で神に問うんだ。
 自分が何者かを。
 ここまで来た者だけが、神にそれを問うことができるんだ。』

『おれと、あんたは、来た。
 ひとりじゃ来れない。ふたりだから来られたんだ。』


 闘争の極限で、独歩と龍金剛は神の領域にたっする。
 剣禅一致とか、武術の究極は悟りの境地に近いものがあるようだ。
 エンドルフィンとかの出すぎによる神秘体験かもしれない。
 でも、独歩は神のもとにたどりついたと感じている。

 北辰館の堤城平みたいに、ただひたすら全力で闘う。
 愚地独歩としての全存在をかけて闘うのだ。
 悟りの境地にも似た、最高のコンディションかも。

 のちに独歩は範馬勇次郎と闘う。
 その時は、こういう感じにならなかった。
 悲しいが実力差がありすぎると行けない領域だったのかも。
 つまり、範馬勇次郎は神の領域には永遠にたどりつけない。

 独歩と龍金剛が、最後の攻防をはじめるッ!
 拳と掌底で殴りあう。
 独歩は勇次郎戦に開発した連撃五段打ちをだす。
 偶然にも『バキ道』でも養子の愚地克巳が五連突きをだしている。
 なんというシンクロニシティだ。

 倒れた龍金剛の右腕を独歩は引っ張る。
 助けた、のではない。
 後に死刑囚スペックが使用する、試し割りのテクニックを応用した技だ。
 相手の頭を少し持ちあげて、アスファルトとの間に空間を作り、蹴る。
 蹴られた頭は高速でアスファルトに激突するという寸法だ。

『勝負あり!!
 これをやられて、これまで立ちあがってきた者はいないんだ。』

 独歩、酷いことを何回もやっているらしい。
 おそるべき経験者談だな。
 だが、龍金剛は独歩の経験を上回り、立ちあがった。
 白目をむいて、失神したままで。

 それでも龍金剛は動いている。
 意識の無い相手をどうやって倒せば良いのか?
 これ以上、なにができるのか?
 得体の知れない怪物を相手に、並みの人間なら心折れていただろう。

 独歩は龍金剛を抱きよせる。
 そして、愛の言葉を囁いた。

「最高だったぜ……」
「あんたを尊敬するよ、龍金剛」


 この言葉で龍金剛は止まり、倒れていく。
 龍金剛は愛で止まったのか!?
 なんとも激しく熱い戦いだった。

 龍金剛に足払いをかけて倒しておけば力尽きた気がする。
 でも、それじゃ情緒が無いよね。
 独歩も勇次郎用の技を試すことができて、今後に活かせただろう。

 これで、葛城無門と柳龍光の勝負をジャマする相手はいなくなった。
 ついに"ゆうえんち"最後の勝負が始まるだろう。
 いや、まだ蘭陵王の乱入と言う可能性があったな。
 すべての決着までは、まだ遠そうだ。

週刊少年チャンピオン2021年2+3号
週刊少年チャンピオン2021年2+3号


2020年12月26日(4+5号)
第127回 巻の十五「負けて強くなる」

 葛城無門は師であり父と慕った松本太山の死因を作った柳龍光を追う。
 舞台は夜の格闘遊技場"ゆうえんち"だ。
 死闘につづく死闘のすえに、今宵の"ゆうえんち"も終わりをむかえようとしている。
 セミファイナルと言える愚地独歩 vs 龍金剛も、決着がついた。
 のこるはファイナルバトルだけか?

 龍金剛に勝利した愚地独歩だが、その場で腰をおろし休憩している。
 刃牙本編よりちょっと若いけど年だしね。
 と思ったが、龍金剛に伝えたいことがあって残っていたらしい。

 意識を失っていた龍金剛が覚醒した。
 だが、龍金剛は動かない。
 状況を考え、場合によっては不意打ちも考えているのだろう。
 独歩は、その気配を感じつつ話を始める。
 濃厚に闘った者同士の親近感が芽生えているようだ。

 独歩は、もう一度闘いたいのなら東京ドーム地下闘技場に来いと言う。
 徳川さんに話をしておく、と。
 う〜ん、大丈夫なんだろうか?
 徳川さんに新しい玩具を与えると、壊れるまで遊びたおしそうだ。

『実は、負けた奴ほど、怖ええ奴はいないんだ。』
『おれがそうだったからな。
 負けて、もっと強くなることができたんだ。』


 範馬勇次郎に敗北した経験が、独歩を強くした。
 そういう自分の経験があるから、この言葉だ。
 龍金剛も、負けたことでさらに強くなる。
 強くなって、もう一度勝負だ!

 独歩が強くなったというのは、気持ちの問題だろうな。
 ちょうど神心会の本部ビルが完成したときに範馬勇次郎に敗れた。
 この敗北がなかったら、空手家よりも実業家として生きたかもしれない。
 範馬勇次郎に復讐するという動機が、空手家としての人生を歩ませた。
 そういう気持ちだから、独歩は簡単に看板をおろすとか言っちゃうんだろうな。

 地下闘技場で待つ。
 独歩はそう言って去っていく。
 のこされた龍金剛は静かに、だが激しく慟哭する。
 負けてこれだけ悔しがったのだ、龍金剛は強くなるだろう。
 そして、独歩と再戦したのかもしれない。


『その男は、もののけのように、闇の中を歩いていた。』

 柳龍光である。
 やはり、その気配は妖怪のようだ。
 今回は手ごわい相手が神野仁ぐらいしか居なかったので、少々不満だった。

 柳は葛城無門とも出会っていたが、存在を忘れているようだ。
 直接闘ったワケじゃないから、無門の強さを知らないのだろう。
 そして、柳は自分が強くなったから、相手が弱く感じたのだと考えている。
 この自信過剰は油断となって柳の敗因となるのかも。

 でも、柳が油断で負けたら言い訳が聞く。
 油断しなければ負けなかった。
 もう一度闘えば絶対に勝つ。
 だから自分は負けていない。
 そういう理屈で敗北をノーカンにしそうだ。

『世の中には、負けて強くなる、そんな風なことを口にする奴もいるが、そんな馬鹿なことはない。
 敗北は、死と同じだ。』


 柳龍光は、独歩と逆の考えらしい。
 敗北したことが無いので想像しているだけかも。
 柳に敗北した人間を見て、そう感じたのだろうけど。
 死と同じ、というか殺してきたんだろうな。

 自分に敗北を教えてくれる強者を求めて柳は歩く。
 そして、アスファルトの上に小石で文字が書かれているのを見つけた。
 柳は、驚きつつ邪悪な笑みをうかべる。

「屋上で待つ 松本太山」

 これが葛城無門のメッセージか!?
 たしかに柳龍光にだけ届く言葉だ。
 でも、屋上って、どこの屋上だろう。

 とにかく、これで今回の"ゆうえんち"最後の闘いが確定した。
 闘いの場所は、屋上だ!
 高所での闘いなら、サーカス出身の無門に有利か?
 でも、無門有利なら柳の言い訳が一つ増えてしまいそうだ。


週刊少年チャンピオン2021年4+5号


2021年1月9日(6号)
第128回 巻の十六「二〇階建てのビルの屋上」

 新章突入『あの晩のことを愚地独歩は語る』だッ!
 隻眼となった愚地独歩が、あの時の"ゆうえんち"について語る。
 つまり、現在の愚地独歩ですね。
 相撲編よりは前かもしれないけど。

 龍金剛こそが相撲だ。独歩はそう決めた。
 他の力士に勝とうが負けようが関係ない。
 龍金剛と闘って勝たねば、相撲に勝ったとは言えないのだ。
 まるで運命の恋人でも見つけたかのような持ちあげようだな。

 そういいつつ、空手はこの愚地独歩だと断言する。
 他のどんな空手家が敗北しても愚地独歩に勝たないと、空手に勝ったとは言わせない!
 『餓狼伝』の松尾象山と同じことを言っていますね。
 松尾象山に勝たない限り、空手に勝ったと言わせないと。

 この世界には堤城平がいる。
 ならば松尾象山もいるだろう。
 もし、愚地独歩と松尾象山が出会ってしまったら……
 超空手家ふたりが激突して対消滅を起こして、世界が虚空にのまれてしまうかもしれない。
 これこそ空手の究極破壊奥義だったりして。

 龍金剛を相撲だと認めた独歩は、いついかなる時だろうと勝負を受けなくちゃいけないと思っている。
 病気で死ぬ寸前だろうと立ちあがって闘うのだ!
 勝負が終わって本筋と違うのに、まだ熱い!
 まだ赤く輝いている鉄塊のように熱いぞ。

 話はそれたけど、独歩は葛城無門と柳龍光の勝負を見届行けたいと思っていた。
 独歩は無門がのこしたメッセージを見ている。
 場所を知っているので、行くことにした。

 ついでに独歩は柳龍光と闘うことを妄想する。
 独歩の拳なら、柳の毒を吹っ飛ばすことができる!
 やっぱり、寄り道して妄想してしまう独歩であった。
 まだまだ寄り道しそうな不安もあるが、"ゆうえんち"最後の勝負『葛城無門 vs 柳龍光』が始まろうとしている。

 葛城無門は20階建てのビルの屋上で柳龍光を待っていた。
 柳の毒手と空掌の対策として、羽鳥にもらった黒い布で頭部と両手を覆っている。
 だが、柳の武器はそれだけではない。
 神野仁を倒した技もある。(ゆうえんち80回)
 間違いなく苦しい戦いになるだろう。

 布には、もうひとつ狙いがあった。
 だが、それは置いといて無門は闘いに向けて集中する。
 家出をした無門の面倒を見て、強く鍛えてくれた恩人・松本太山の死因を作った男が柳龍光だ。
 柳龍光にとっても松本太山は強敵だったハズだ。
 だから柳は、松本太山の名前を無視できない。

 敗北したいという異常な欲求をもつ柳は強敵の挑発にのってしまう。
 20階と言う高所で命がけの勝負になるだろう。
 この高さも無門の計算の内かも。

 最後の勝負は、独歩も見学にくるらしい。
 ファイナルバトルにふさわしく豪華メンバーでの死闘だ。
 もしかしたら、追加で乱入者が出てくるかも。
 決着までは、まだ時間がかかるか?

週刊少年チャンピオン2021年6号
週刊少年チャンピオン2021年6号


2021年1月16日(7号)
第129回 巻の十六「闘いってのは、ヘンタイの比べあいだ」

 ついに葛城無門と柳龍光の死闘が始まろうとしている。
 柳は、無門の師匠・松本太山の死因を作った男だ。
 それ以来、無門は太山に瀕死の重傷を負わせた男を探し、追って、ついに ここ"ゆうえんち"で柳龍光をとらえた。

 だが、柳龍光は大人しく倒されるような男ではない。
 20階のビルの屋上で待ちかまえる無門を奇襲すべくガラスの壁面をのぼっている。
 柳は得意技・空掌でガラスに貼りついているのだ。
 屋上で待ち受ける死闘に柳は興奮していた。

『もちろん、勃起している。』

 もちろん――、じゃねーよ!
 柳龍光が変態だとは知っていたが、ここまでの変態だとは。
 範馬刃牙と闘った時も、じつは勃起していたんだろうか?
 のちに最凶死刑囚と呼ばれる柳龍光だが、最狂のほうが合っているかもしれない。

 柳は壁をのぼりながら、相手を想像する。
 松本太山が生きていて待っているのかも。
 それとも、愚地独歩か? マスター国松か? 本部以蔵かも。
 中国には烈海王というヤツもいるらしい。主催者・蘭陵王か?
 翁九心、オーガ<範馬勇次郎>、丹波文七、久我重明――
 シコルスキー、ドイル、スペック、ドリアン、オリバ……とか。

スーパー板垣・夢枕 大戦

 柳の妄想が超豪華スーパー板垣・夢枕 大戦だッ!
 この豪華メンバーなら股間も硬くなるというモンですな。
 翁九心の顔が見当たらないが、まだ秘密なんだろうか?

 『新・餓狼伝5』での翁九心は、60歳ぐらいに見える白髪の老人として登場している。
 殺人を犯しているから表に出られないらしいが、変装した藤巻十三じゃないよね。
 とにかく、柳の妄想がスパークだ。

 松本太山の娘の名前や病歴を調べ上げていただけに、柳の情報収集力はスゴい。
 表の戦士も、裏の戦士も、海外戦士まで知っている。
 だが、柳も数年後にこの中のうち2人にやられるとは想像もしていまい。
 渋川剛気は慎重なので、この時期に挑んでこないと読んでいそうだ。

『闘いってのは、ようするに、ヘンタイの比べあいだ。
 ヘンタイどうしが、変態度を比べる。』


 これが柳龍光の闘争観か!?
 心底ヘンタイだな!
 愚地独歩は「己のありったけをかけて、全力で神に問う」と言っていた。(126回)
 価値観がまるで違う。

 敗北に関しても、独歩と柳は逆の価値観を持っていた。
 この二人はとことん正反対の人間なのかも。
 武器の使用に関しても考えが逆だ。

 独歩と柳は闘ったことが無い。
 でも、闘ったら面白そうだ。
 お互いに譲れない主義をぶつけ合うのだ。
 すごい死闘になるだろう。

 勃起したまま柳は壁をのぼる。
 そこで、柳は屋上に立つ人影を見た。
 柳は、まだ知らないが葛城無門である。

 無門は柳が壁をのぼってくると読んでいた。
 神野仁が空掌で天井にはりついていたのを見たおかげだな。(ゆうえんち1巻 26回)
 そして、柳の奇襲を防ぎ、先手を取った。

 葛城無門は覚悟を決める。
 柳龍光の上を行くのだ。
 ヘンタイを超えた変態になるッ!

 葛城無門は20階の屋上から、身体を投げ出したッ!
 柳に向けて落ちていく。
 訓練しまくった自分の受け身なら死なないと信じて飛び降りた。

 柳龍光ですら驚愕する捨て身のダイブだ。
 葛城無門の覚悟は、ここまで強い!
 恐るべき空中戦をしかけた無門は、間違いなく変態だッ!
 次回、勃起 vs 空中ダイブの変態勝負が始まる!
 己のありったけの変態を、神に見せつけるのだ!

週刊少年チャンピオン2021年7号
週刊少年チャンピオン2021年7号


2021年1月23日(8号)
第130回 巻の十六「全身で受け身をとる」

 葛城無門は師・松本太山の仇である柳龍光とついに闘う。
 場所は相模オリエンタルランドの20階建てビルの屋上だ。
 奇襲をかけようと壁をのぼってきた柳に向かって、無門は20階の高さから飛びおりた。
 柳の予想を超えるため決死のダイブだ!

 20階の高さから自由落下する。
 無門は死に際の集中力で動きがスローモーションのように見えていた。
 柳がどう逃げようと、追跡する!

 右によけた。ならば、追う!
 壁を軽くたたき軌道を変えた。
 このまま、柳にぶつかる!

『柳龍光の身体にタックルして、一緒に落ちる。タックルできないのなら、しがみつくだけでいい。
 一緒に落ちて、地面に触れる時に、柳龍光の身体を下にする。』


 激突ッ!
 だが、柳を捕まえることはできなかった。
 無門と柳は別々に落下していく。
 この高さと速度で地面に落ちれば柳であろうと大ダメージだろう。
 ひとまず無門は受け身に専念する。

『地球という巨大な拳に打たれる。
 それを、無寸受けを使って、全身で受け身をとるのである。』


 投げ技の使い手にとって、地面は武器だ!
 なにしろ動きようのない大地に激突する。
 衝撃はどこにも逃げず、人体を破壊するだろう。
 無門は全身の関節を使って受け身を取ろうとする。
 マッハ突きを逆にした発想だ。

 範馬刃牙の使う五接地転回法による受け身は落下スピードを分散させて吸収している。
 街中などを飛ぶように移動するパルクールでも、高所から飛び降りるときに転がるのだが、転がるってのは有効な受け身方法なのだろう。
 無門も最後は転がって、20階の高さから無事に受け身成功した!
 サーカスなら拍手喝采で大いに受けただろう。

 無門は周囲を見まわし柳を探す。
 ビルの窓ガラスに2つの穴があいていた。
 どうやら、途中でガラスにはりついて速度を殺したようだ。
 柳龍光もまた怪物だな。

 無門の背後に柳は立っていた。
 不意討ちをしないで、声をかけてきたのだ。
 柳はこの闘いを楽しむつもりだろう。
 正面からじっくりと、ねぶりつくすように。

 そして、無門のことをナメているのかも。
 不意討ちしなくても勝つ自信があるのだろう。
 20階から飛び降りるようなムチャをするような相手でも、まだ余裕か。
 それだけ柳は自分の強さに自信があるのだろう。

 接触は無門の覚悟勝ちっぽいが、ダメージゼロだ。
 ここから両者互角の立場で戦闘再開か。
 そのまえに自己紹介かな。
 柳が言葉で挑発して、無門が怒るかも。
 まずは、無門が自分のペースを作れるのか!?

週刊少年チャンピオン2021年8号
週刊少年チャンピオン2021年8号



← 111回〜120回  最新の『ゆうえんち』感想  バックナンバー  131話〜140話→
バキ道 異世界 烈海王 バキアニメTV版 疵面 餓狼伝 blog 掲示板 Twitter リンク12 TOP

和書
コミック

 チャンピオン 
ジャンプ
マガジン
サンデー
RED
 板垣恵介 
夢枕獏
山口貴由

DVD
アニメ
CD
 ゲーム 
DS
PSP
Wii
PS3
360
PS2
PCゲーム
 PCギャルゲー 
フィギュア
パソコン
テレビ
メディア
家電
サプリメント
板垣恵介の激闘達人烈伝 板垣恵介の格闘士烈伝
駿河城御前試合 獅子の門 雲竜編 (カッパ・ノベルス)
管理人:とら  連絡先(E-mail):E-Mail
【特定電子メール法に基づく表示】広告メール、迷惑メールの送信はお断りします