今週のグラップラー刃牙(アニメ版)
最大トーナメント編
 第1話〜第5話

幼年編+少年王者編 第1話〜 第6話〜 第11話〜 第16話〜 第21話〜最終話
最大トーナメント編 第1話〜 第6話〜 第11話〜 第16話〜 第21話〜最終話
ラスト・アニメ刃牙→

2001年7月24日(火)
第1話 開始!(第25回)

 ついに今回から地下闘技場最大トーナメント編が始まります。
 格闘漫画史上・最大最強最高のトーナメント戦。30試合、コミックス21巻分に及ぶ大長編。この闘いがついに映像化ッ!
 ちなみにDVDは2話収録の全24巻なので最大トーナメント編も24話だと思われます。こりゃ、1話1巻ペースですか、ハハ。

 オープニングも一新しています。最新技術のCGによる画期的な映像!
 ハッキリ言ってコイツはキモいッ 凄いッ!

 画面を回転させながらキャラクターを動かし影もそれに合わせて変化させると言う荒業は人間にはできないレベルのものです。
 ただ、見慣れないせいもあるのか生物を動かすと言うのはちょっと違和感が…。こう言うCGの絵はアニメの「ゾイド ZOIDS」シリーズなどで使われていましたが、人間で使われるなんて、あんな技(もん)……ゲームでしか見たことねェ……って感じでした。

 前回、長老の元で眠りについた刃牙が目覚め物語は始まります。
 しかし、新しいキャラクターデザインだと、なんか刃牙の目つきが悪い気がするのですが…

 一方、神心会では独歩が復活。
 回想シーンで虎と闘います。原作でも簡単にしか語られなかった虎殺しの真相、パンツ一丁になぜかベルトと言う奇妙な格好で虎と対峙します。
 虎にマウントポジションを取られるも下から鉄槌や膝などの打撃で切り崩し、抜き手で首を狙う。
 更に獣の常識には無い技術・三角飛びからの飛び足刀で同じ首筋を狙い、止めは手刀ッ!
 その絵がそのまま神心会の虎殺しの絵に重なると言う憎い演出を見せてくれます。
 今回は基本的に原作通りの展開を見せているのですが、こう言った細かい所で原作ファン用のネタが隠されているのがポイントのようです。

 名前だけは以前出たのですが、顔は今回初登場の天才・愚地克巳も初登場。
 ちなみにアニメでは理由もなく喧嘩を売って歩く困った人にされている気がします。
 今回の克巳のセリフはマッハ突き(?)での気合の声だけ。
 本来の彼はおしゃべりなだけに、もうちょっと喋って欲しいところでした。
 ここで、空手の起源が古代中国からと言うところで、後に登場する劉海王と打岩や割れた鐘、そして第2部死刑囚編に登場するドリアンなどがこっそり出てきています。

 そして、トーナメント開催の宣言と時価数十億のベルトの披露。ちなみにこのベルト原作では10億で買ったと言っていましたが、アニメとの約6年のタイムラグの間で価値が数倍にハネ上がったようです。

 なお、ここで未知の強豪として数人の選手のイメージが出てきているのですが、その中にガイアとスペックの姿が!
 どっちもトーナメント編には絶対に出てこないんですけどね。
 ただし、フランケンシュタイン・コートを着ている顔がシルエットの人がスペックそっくりなだけで他人の空似と言う可能性もあるのですが…。
 それと最後に登場した灰色の服を着ていて手のひらをこちらに向けている人が誰だかわかりません。ひょっとすると柳さんかな??

 その後は原作の展開通り、加藤 VS 花田の試合です。この試合はさり気なくいい動きをしていて見ごたえがあります。
 が、なぜか加藤の金的打ちはカットされ、目にヒットすると変更されています。
 金玉はNGでも、目ン玉はOKなんでしょうか。判断がよくわかりません。刃牙は金玉への攻撃が非常に多い漫画なので、今後が心配です。少なくとも試合で3回は金的を打たれる予定があるのですが、それはどうなるのでしょうか…

 その編の描写はともかく、刃牙も彼女同伴で会場入り。多分、みんなにヒンシュクを受けている事でしょう。

 そして世間的に不評な、CM開けに始まる選手入場シーンでの大幅削減。このシーンが再現されないのは確かに寂しい所です。
 それと、もう一つ。アナウンサー役の清水敏考さんの演技は前から気になっていたのですが、やはりあのアナウンサーの熱気を再現しきれていない気がします。
 少し気になったのがアイアン・マイケルがイアン・マクレガーとなっていたことと、柴千春の肩書きが「特攻隊長」から「隊長」なってしまったこと。やっぱり「特攻」はマズイのか…。

 で、第1試合、刃牙 vs アルテミス・リーガン(声・橋本 真也)
 この人も名前が変わっていますが、それ以上に声が気になってしょうがありません。リーガンのイメージからするとちょっと若くて軽い気がするのですが、まあ及第点と言うところでしょうか。
 それと、なぜかボクシングを使うと言うところもNGのようです。これでは「アイツ本格的なジャブを撃ちやがる」と驚かれたキャラクターは負けると言う法則が成り立た無くなってしまうかもしれません。
 それと、試合前に名前が出るのはいいのですが、ついでに身長体重の数値が欲しかった所です。

 そして、容赦なく第2試合のデントラニー・シットパイカー vs ズール。どうも、黒目のあるズールは変でしょうがありません。白目だけってダメっすか? ブラジル人から抗議が来るんでしょうか。
 戦闘自体は、ズールの不気味さが無くなり替わりに、己の血を目潰しとする戦闘の駆け引きを覚え差し引きゼロと言う感じです。

 今回はここで終わり、新エンディングをたらーっと見るわけですが、全選手の顔が出ていてなかなか親切な作りになっています。既に敗北したリーガンとシットパイカーは敗北の証として色が暗くなっているのが芸の細かい所です。
 ちなみにリザーバーもちゃんと最初の方に出てくるのであの栗木くんの勇姿をここで見る事ができます。次回のタイトルからするに、次回で暗くなってしまいそうですが…
 と言うわけで、次回 「超A級リザーバー」に続く!


おまけデーター・今回のスタッフ(敬称略)

範馬刃牙  菊地 正美
愚地独歩  麦人
愚地克巳  藤原 啓司
加藤清澄  室園 丈裕
末堂厚   永野 善一
徳川光成  楠見 尚巳
猪狩寛至  大川 透
マウント斗羽  島香 裕
鎬昂昇   中田 和宏
松本梢江    小島 幸子
松尾    小野 健一
アルテミス・リーガン  橋本 真也(特別出演)
ズール   川村 拓央
ロブ・ロビンソン  松本 大
アナウンサー  清水 敏考
審判    山野井 仁

脚本   谷田部 勝義
絵コンテ 谷田部 勝義
演出   吉川 浩司
作画監督 服部 憲知

 さて、今回ほとんど喋らなかった愚地克巳=藤原啓司さんですが、有名な所では野原ひろし役をやっておられます。そう、「クレヨンしんちゃん」の父親です。
 次回は出番が多いと思いますがどう言う演技をされるのでしょうか。実に気になります。
 あとはほぼお馴染みのメンバーと言う感じですね。北沢役の川村拓央さんがズールをやっておられたり、レンジャー・ナイフ使いの真田役の松本大さんはロブ・ロビンソンをやられております。
 今後もこう言う使い回しが多そうですね。

 さて、全体的に見て新しくなった「グラップラー刃牙」ですが、今回は第1回にしてはやや低調と言う気がします。動画枚数がやや足りていない気がすると言うか…。
 ただ、幼年編のときもエンジンがかかるまで多少時間がかかりましたし、それを思えば今回は十分なできだったといえるのではないでしょうか。

 監督さんが替わってしまったのは少し寂しいですが、これからに期待します。
 前作監督の難波日登志さん、本当にご苦労さまでした。作品を実によく理解した上でアレンジを加える手腕は見事の一言に尽きます。できれば、今後も演出などで参加していただければ嬉しいです。
by とら


2001年7月24日(火)
第2話 超A級リザーバー(第26回)

 今回も驚異の1話1巻ペースで突き進むアニメ・グラップラー刃牙! 1話1話が非常に濃い内容です。
 路上での勝負ならブチ殺されると、刃牙に太鼓判を押されて出陣する猪狩寛至。ところで、19話のアニメオリジナル・エピソードでは猪狩が路上で襲われかけていましたが、実はアレは猪狩寛至最大のピンチだったのでしょうか?
 それはともかく、観客の前では世界最強の猪狩、ロブの攻撃にも倒れず、ヘッドバッドを食らわせバックドロップ。更に引き起こして「ヘラクレスさながらのナックル・アロー」更にバックドロップ2発目、更に「かつてウインダム・レスカとの試合で見せた、あのバックドロップ3連発だ」大技連発・ファンサービス抜群で圧勝!
 反面、久隅を殴ると言うシーンがカットされていたりしますが、個人的には「バカヤロウッッッ」と言って理不尽に殴る猪狩と、殴られながらも「観客の前では今でも猪狩さんは世界最強だッッッッ」と感動してしまう久隅に、たとえ悪事を働いても人を感動させて許されてしまうと言う猪狩の人間力を見た思いがあり、このシーンのカットには寂しいものがありました。
 ちなみにバックドロップ3連発はアントニオ猪木vsウイリエム・ルスカの異種格闘技戦をモチーフにしているようです。(注:発音がよく聞き取れなかったのですが私には「ウインダム・レスカ」と聞こえました)

 そして、次なる試合は大相撲横綱・金竜山と超実戦柔術の雄・本部以蔵
 傍から見ればアホらしくなるほどの格の違いですが、「闘いには必ず一瞬の逆転チャンスってのがある。それを生かすも殺すも経験がものを言うんだぜ」と頼もしいコメントを出してくれる本部さんです。
 が、本部さんの言う一瞬の逆転チャンスに対する行動は「力士の小指を取る」だった。そう、横綱クラスならば4分の1トンを転がす事のできる小指を取ったのだ。
 当然、効果なし。
 一方の金竜山はやぐら投げを食らい動きの止まった本部のスキを見逃さず、四股踏みを応用した踏み付けで勝利ッ!
 どうやら本部さん、経験の差で負けていたようです。
 それとも、勇次郎に投げられたときに頭を打ったのが良くなかったのか…
 ちなみに原作では四股踏みの前に金竜山が髷を自分で切っていますが、その後の展開に差し障るのかアニメでは切っていません。

 ここまでの展開でやはり気になったのが選手に対する印象の弱さです。
 猪狩、本部とお馴染みのキャラクターがいるおかげで何とかなっていますが、試合前の回想が無く、選手紹介も無い展開のせいで「金竜山」といきなり言われてもピンとこないでしょう。せめてアイキャッチもしくは次回予告で次に活躍する選手の紹介を入れて欲しかったです。

 さて、Aブロックの全試合が終了し、スペシャルリザーバーの存在を匂わせつつ前半終了。
Aブロックメンバー表がアイキャッチでCMへ。

 CMでは今ごろグラップラー刃牙のレンタル&販売のお知らせです。
 キャプテン・ストライダムとサーがなぜか英語で漫才をしていると言うCMがあるのですが、それが妙に変で面白かったです。これは是非ともビデオに映像特典として収めていただきたいッッ!!


 Bブロックのメンバー表がCM開けのアイキャッチで、後半戦開始!
 ストーリーは神心会のリーサル・ウェポン愚地克巳と虎殺しの武神・愚地独歩の2人の稽古の風景から始まります。
 刃牙もよける事ができなかった独歩の攻撃をさらりとかわし、撃ち返す克巳。
 前回、ほとんどセリフ無しだった反動か、今回は人のセリフを取ってまでも喋りまくる天才・愚地克巳ですが、演じる藤原啓司さんの演技が実に素晴らしいものです。
 人を小馬鹿にしたような口調と滲み出るエリート意識が実にはまっています。(なんか紅葉役の宮本充さんの時も似たような事書いたような…)
 その克巳にイチャモンをつける男が出現。その男の名は烈海王、中国拳法の達人にして蛮勇を持って己の意を通す超ワガママ男です。
 ちなみに、OSFさんに頂いた情報によると烈海王を演じておられる安井邦彦さんはKOFの八神庵などをやっているそうです。
 そのせいか「ハァ〜〜〜〜…」と言う声が妙に聞き覚えのある感じがします。

 話は戻り、克巳が空手を完成させた男と呼ばれているだけで、文句をつける烈に控え室は一触即発の状態です。 しかし、試合前のいきり立っている選手を同じ控え室に入れるなって…
 あと、「功が成る(注:武術が完全に身につくこと)」に注訳がついていなかったのはチト不親切に感じます。視聴者が全員原作を読んでいるとは限らないですしね。

 この、状況は烈の対戦相手であるセルゲイ・タクタロフとアルテミス・リーガンの介入により、リーガンのヒジ関節が破壊されるだけで済みますが、ここで克巳の対戦相手であるイスタスがタクタロフが怪力の持ち主である事を語ります。なんか、イスタスの髪の色が思ったより金色が強くて違和感がありましたが…。このシーンも原作を知らないと金髪坊主が何者かワカりませんね。そして、アルテミス・リーガン役の橋本 真也さんはこのうめき声でお役御免、お疲れさまでした。パッとしない役柄でしたけど…

 試合の方は烈海王が中国4000年の歴史の差を見せつけ圧勝!
 原作では刃牙と加藤のセリフだった「どう見えるあの体…」と言うやり取りがなぜか独歩と克巳に取られちゃっているのが不憫です。連載中の刃牙の出番の無さを輸入したのでしょうか?
 ところで今思うと組み合った状態から烈がタクタロフをふっとばす技は寸勁だったのでしょうか。タクタロフってば以外とタフネス…
 あと、動きの注文としては、烈の動きはもう少し、ピッ、パシッとした。素早く動きピタッと止める動きにしてもらいたかったです。
 それと、転蓮華は決めてから技の名前を言うのではなく、「転・蓮・華」と言う感じに決めながら言って欲しかったです。
 それと、「おもしれェじゃねェか。次の試合俺が勝てばあいつとやれるってワケだ…」と言って気合を入れている加藤を、刃牙が「ハァ、なに言ってんのアンタ?」みたいな顔をして見るシーンが妙に気になりました。

 一方控え室ではリザーバーの方々がのされて超A級リザーバーの登場が予感されます。
 Web上で強靭な人気を誇る栗木くんの迷台詞「人間じゃねぇ…」と登場するものの、伝説となった華麗なる闘争術がカットされているのが寂しい所です。

 で、加藤vsゲラン戦に乱入した超A級リザーバー。その正体はかつて刃牙が倒した夜叉猿の子、夜叉猿Jrだった!
 昔は灰色だった体毛の色もリニューアル。ワザと誤解を生むような赤毛に成っていますが、展開のタメが無いせいかあんまり”勇次郎”と言う感じがしませんでした。

 で、結局、補欠選手のハズが他のリザーバーを2人潰し、選手を2人叩きのめし、本気でなんのタメに出てきたのかわからない夜叉猿Jrですが、面白そうと言う理由で愚地克巳が猿退治を申し出る。
 果たして天才の真の実力とは…
 と言うわけで、次回 「ファイナルターゲット」に続く!


おまけデーター・今回のスタッフ(敬称略)

範馬刃牙  菊地 正美
愚地独歩  麦人
愚地克巳  藤原 啓司
加藤清澄  室園 丈裕
徳川光成  楠見 尚巳
烈海王   安井 邦彦
猪狩寛至  大川 透
久隅   永野 善一
マウント斗羽  島香 裕
本部以蔵  小室 正幸
アルテミス・リーガン  橋本 真也(特別出演)
金竜山   川村 拓央
ロブ・ロビンソン  松本 大
夜叉猿   柳沢栄治
アナウンサー  清水 敏考
審判    山野井 仁

脚本   あべけん
絵コンテ 吉川 浩司
演出   楠田 悟
作画監督 崔 景石

 今回、作画監督が日本の方では無いようです。そして、原画・動画共に日本人はノータッチ。完全海外生産だったようです。国産で無いとダメ、と言うわけでは無いのですが、やはり絵がなんか違う感じがしました。動きに関しては前回よりも良かったような気もするんですけどね。
 今回は克巳が大活躍の回でした。刃牙が加藤を受け止めると言うホモっぽいシーンまで肩代わりしていましたが、展開をスムーズにするにはあの方が良かったと思います。
 それと、なんか克巳が加藤のことをボロクソに言っていますが、あれで将来「師匠」などと持ち上げたりするのでしょうか…。
 なんにせよ、良い感じに性格の悪さが出ていて、実に克巳らしい感じでした。
 で、次回もうパパが来るみたいですね。早すぎ…。
by とら


2001年8月7日(火)
第3話 ファイナルターゲット(第27回)

「ひっかりと影とかさなる場所へいま…」
 と、いきなり歌いながら夜叉猿を引きずり出す、神心会の秘密兵器・愚地克巳!
 なんか影のつき方がムチャクチャ悪人っぽいです。
 顔つきはともかく、正統派空手の闘いで克巳は夜叉猿を圧倒する。 わざわざ闘技場の真ん中で夜叉猿をブチのめす所が目立ちたがり屋と言う感じがしますが、その実力は確かです。
「途中で起きられちゃ、大会の邪魔だな…。いっそうの事、永遠に眠ってもらおうか」
 原作よりも残虐性を強調したセリフで夜叉猿に止めを刺そうとするが、刃牙の乱入によりそれは阻止される。
 更に一触即発の刃牙と克巳を止めたのは、気絶していたはずの加藤であった。
「この人はオレと違ってちゃんと上まで登ってくる。オレはあのとんでもねぇリザーバーに負けちまったがな」
 と、わざわざ敗北宣言。これからは驚き役としてがんばっていくようです。

 ちなみに、ちゃっかりこの場を締めてしまう独歩ちゃんは、あざといと言うか如才ないと言うか、なんかスゲェ人間力です。

 で、傷ついた夜叉猿を前に勇次郎への復讐の思いを新たにする刃牙なのですが、原作では夜叉猿Jrの父親を倒したのは自分でもあり、責任の一端を感じていて、その上で夜叉猿の仇も果たそうと言う気構えを見せていたのですが、アニメ版では刃牙の責任については極力触れていないようです。前回の展開で、刃牙が夜叉猿の目を潰したことに触れてていなかったのも、刃牙を絶対的な主人公として扱い、悪い面は極力見せないようにすると言う配慮と言う気がしてなりません。
 逆に、そう言う配慮が刃牙の出番と人間的な深みを無くしているような気がするのですが…。

 で、負傷者が出たときの交代要員であるリザーバーが負傷者を作ると言う珍事も終了し、試合は続いていきます。

 日本拳法・稲城文之信の控え室を訪れる御老公はその武道センスを目撃します。
 一方、対戦者の喧嘩師・花山薫の控え室を訪れたのは刃牙。刃牙は久しぶりに会った友人が更にでかくなっている事を知ります。ただし、原作の栗谷川のセリフを見る限り体重は変わっていない様なので、縦に伸びたのか刃牙が勘違いしていると言う可能性があるんですけどね。

 ついでに、原作では刃牙が稲城文之信と花山薫の2人の控え室を行ったり来たりのコウモリ野郎的行動をとっていたのですが、アニメではそれは変更されています。
 やっぱり、主人公として清く正しい行動を取らされたのでしょうか?

 試合の方は、花山さんの圧勝! と、思いきや、花山さんが冷や汗をかく僅差の勝利でした。
 個人的には花山の、右腕がオシャカにされるところだったと言うセリフは背骨を折られながらも関節を狙ってきた稲城に対するリップサービスだと思うのですが。
 あとアニメでの背骨の砕けるシーンは、ちょっとやり過ぎという気が…
 それから、試合前のデモンストレーションでのやり取りなんですが、アニメで見るとですね。何やっているんでしょう、あの2人…なんか笑ってしまいました。せっかくだから、花山が面を潰したときの「返そうとしているがァ? これでは使いにくいぞ!!」も再現して欲しかった。
 そして、稲城が動じないのは面を潰されたのを見た時であって、花山を挑発しておいて動じ無いと言うのはだと思うのですが。

 試合が終わり、稲城の師匠が乱入したところでCM。



 後半戦は花山の喧嘩師としての覚悟で稲城の師匠を追い払う所からスタート。
 この辺のやり取りは進む道は違えど互いに強さを求める武士(もののふ)として認め合っているイメージがあり、刃牙のテーマである絆を感じさせます。
 ちなみに、ここでのNGとして「女喰らってる時」と「弾痕」でした。傷自体はあったんですけどセリフはカットされていましたね。あんまり有名では無いのですがアニメではヤクザ関係の規制も結構厳しい気がします。
 所で木崎さんの上着には酒瓶を入れる隠しポケットがいくつもあるような気がしてなりません。一体、何本隠し持っているんでしょうね?

 一方、克巳の対戦相手として登場したのはレスリングのローランド・グスタフであった。ちなみに声は夜叉猿を演じておられた柳沢栄治さん。とことん、克巳とは相性が悪いようで…。
 原作ではローランド・イスタスと言う名であったローランド・グスタフですが、これもモデルへの配慮から来ていると思われます。
 イスタスのモデルは、おそらく「プロレスの神様」カール・ゴッチであると思われますが、カール・ゴッチの本名が「カール・イスタス」なんですよ。さすがに、これはマズイ名前ですよね。
 まあ、それは置いといて、試合前の回想シーンは「ライオンへ関節技(サブミッション)!!!!」の一言を入れて欲しかったです。

 そして、克巳とグスタフの試合が始まり、天才同士が互いの才能をぶつけ合い、勝利を得たのは愚地克巳であった。
 試合前の独歩への仕打ちといい、克巳は原作よりも性格悪そうに描かれていますね。刃牙とは正反対です。
 この2人の試合は短いながらもなかなかの迫力が出ていました。が、ちょっとタメが少ないような気がします。特に技の入り方の部分が速すぎて凄みが伝わりにくい気がします。
 特に辛かったのが、克巳が後ろ蹴りを決めた後から正拳を出すまでの間。ここで、克巳と刃牙が一言づつセリフを言うのですが、その間が今度は長すぎる。ここでの克巳のセリフは削っても良かったのでは無いかと思うのですが…。
 克巳が蹴りを決めた後、グスタフの肩に乗った時点で一瞬絵を止め克巳の残虐な笑みを見せ、克巳とグスタフの位置関係を見せた所で刃牙が「あの位置から」と叫び、その声が終わった時点で正拳。こんな感じにした方がアニメとしては良かったのでは無いかと思うのですが。
 動きや絵の質も前回に比べ格段に良くなっていたし、出血も頑張ってしていただけに、アニメと漫画と言う表現の差を埋める演出を見せて欲しかったです。
 前の難波日登志監督はその辺の処理が上手いと感じたのですが…。

 もっとも、キャラクターの立て方にはっきりとした方針と意思を感じますし、1話1巻ペースでありながら、露骨に削られている感じがしないと言うのはかなりの力量を感じます。今後の展開に対して期待しても、問題無いと思います。
 斗羽さんの試し割りも後で出てくるものと信じております。

 さて、今回のタイトル「ファイナルターゲット」ですが、これは克巳の最終目標=範馬勇次郎が判明した回と言う事のようですね。
 と言うわけで、今回は克巳が主役の回でした。

 どっちかと言うと「激戦区・Bブロック」と言う感じがするんですけどね。

 さて、次回 「オーガ降臨」に続く!



おまけデーター・今回のスタッフ(敬称略)

範馬刃牙  菊地 正美
範馬勇次郎 乃村 健次
愚地独歩  麦人
愚地克巳  藤原 啓司
加藤清澄  室園 丈裕
徳川光成  楠見 尚巳
烈海王   安井 邦彦
花山薫  中田 雅之
木崎   山野井 仁
鎬昂昇  中田 和宏
アナウンサー 清水 敏考
稲城文之信 川村 拓央
師範   北川 勝博
ローランド・グスタフ 柳沢 栄治
少年時代のグスタフ  渡辺 明乃
グスタフの母親  重松 朋

脚本   田中 哲生
絵コンテ 木宮 茂
演出   木宮 茂
作画監督 原田 峰文

 今回は作画・動画共に国産品に戻ったようです。
 ちょっと複雑な絡みや構図の少ない安易なカットになっている気もしたのですが、絵は高水準でした。
 次回予告を見る限り、次も絵のレベルが高そうで楽しみです。原作とは違い、美少女な梢江ちゃんも楽しみ(自爆)
by とら


2001年8月14日(火)
第4話 オーガ降臨(第28回)

 前回はいきなり空港についていた勇次郎ですが、今回はちゃんと時間をさかのぼり、勇次郎を迎える側の事情から話は進みます。
 例によって超特別待遇で迎えられる地上最強の生物・勇次郎。今までの例から、勇次郎を迎える際の注意事項として「ヒステリックな彼女とベットを共にするように」はNGになるのかと思っていたのですが、今回はそれもOKでした。少しずつ表現の自由度を高めているような気がします。
 そして、時代背景を気にしてか、具体的な戦争名を出すのを避けたのか「湾岸戦争でミサイルの雨を潜り抜けた」と言う原作の台詞から「湾岸」が抜けています。
 どっちにしても勇次郎に迫力負けしている米軍兵士のさまはきっちりと笑いをとることに成功しています。
 なんか、あの勢いだと同じ車の中に乗っていると思わず失禁してしまいそうなぐらい圧倒されています。地上最強の生物・範馬勇次郎もスケールがでかすぎるがゆえに何かと不自由を味わっているのかもしれません。

 そして、そんな範馬勇次郎ご一行を見守る謎の影が…。まあ、原作ファンには誰だか一発でワカるのですが、問題はその登場の仕方です。
 高い塔(?)の上から、まるで特撮物のヒーローのように下を見下ろしているッ!
 なんなんでしょうね、彼は。出る番組を間違っているのような気がするのですが…。宝塚の血が騒いでいるとでも言うべきでしょうか…。


 さて、舞台は地下闘技場に戻ります。こちらではワガママいっぱいの勇次郎さんの息子が、ライバル選手の試合態度について因縁をつけています。
 主張内容に関しては、ある意味正論なんですけど、控え室で喧嘩を売るという行為に関してはお父さんに負けないぐらいワガママだと思うのですが…
 やっぱり負けないぐらい自己中な空手会の最終兵器(リーサルウェポン)・愚地克巳と蹴り合いを始めてしまいます。
 が、そこに割って入ったのは、克巳の次の対戦相手・花山薫でした。
 原作ではかなりムカついていたのか、いきなり刃牙を張り倒していましたが、アニメでは一応お友達と言う関係を気遣い、刃牙の胸倉を掴むだけで済ませています。
 しかし、「愚地克巳は俺の獲物」と言う花山に対して「負けるよ」と返す刃牙はかなり性格が悪いと思うのですが。
 そして、この台詞はどこまで本心で言っていたのかも気になります。もし、心底そう思っていたのなら、花山に対しての過小評価ですし(後の展開を見ると戦略性以外の肉体的潜在能力は花山のほうが上だと思われる)、本当は勝てると思っていたのなら刃牙は克巳を自分の手で倒したいから花山の敗北を願っていたと言う可能性があります。
 まあ、これも真相はわからないのですが、どっちの結論に達しても刃牙の評価が上がることが無いというのが寂しいところです。
 そして、「獲物」発言がきっかけで試合開始前から戦闘を始めかけてしまう克巳と花山。

 そんなこととは無縁に闘技場では闘いが始まります。
 下あごのヒゲがなんか気になるイアン・マクレガーと李猛虎の闘いはイアンの勝ち。
 原作ではかつてのヘビー級チャンピオン・サリバンの幻影が登場したのですが、今回はあいにくそれがカットされています。サリバンの幻影は今後の展開で非常に重要な役割を担ってくるのでここで登場しないのには少々疑問と不満が残ります。
 ただ、かすっただけで眩暈がするという表現は非常に見事に作られていたので許しておきましょう。
 今回の作画に関しては、妙にCGエフェクトが多い気がします。

 一方、大会主催者のご老公の元にも勇次郎降臨の知らせが入ります。
 慌てて、勇次郎を止めに控え室へ急ぐみっちゃん。
 人が犬や鶏のように闘うところを見たい彼であっても、勇次郎に蹂躙されるところは見たくないようです。この人もかなりのワガママですね。
 ところで、勇次郎乱入の際に、勇次郎の名を呼ぶときの刃牙の顔がうれしそうに見えるのですが、これは復讐の相手が目の前に現れたから喜んでいるのでしょうか。

 それはともかく、ここで勇次郎が今まで台詞も無く名前すら呼んでもらえていなかったジャガッタ・シャーマンをつぶします。可哀想に…
 戦力として弱かったジャガッタの代わりとして参加したのが、米軍基地で姿を見せた男・天内悠であった。
 登場すると同時に勇次郎に平手打ち、勇次郎の顔を妙に歪ませます。

 ここでCM。

 CM開けに勇次郎に対し人の痛みについて説き、良い人っぷりをアピールします。アピールするのは良いのですが、ちょっとこの辺の展開は唐突すぎて天内の人間性が描ききれていない気がします。
 で、徳川さんも徳川さんで、弱かったジャガッタの事よりも強い天内のほうが気に入ったようで、新しいおもちゃを手に入れたかのように大喜びしています。なんだかなぁ…

 それはともかく、試合は続きます。
 試合前にジャック・ハンマーと刃牙がファーストコンタクトを取りますが、そんなことは無かったように次の試合、柴千春と畑中公平の試合です。ちなみになぜか今回から場面展開の炎が青になっています。何でなんでしょうね??
 それと、「暴走族」と言う表記もNGのようです。
 しかし、この試合は壮絶です。激しい出血に、折れまくる腕。ダメージ表現率では今までのグラップラー刃牙の中でも最大級の物でしょう。
 勝負は千春の根性勝ち。
 ある意味、予想通り「キングギドラ」はNGでした。その代わり、三つ首の竜と苦しげな呼び方をしていましたが…。

 お次は三崎健吾とマイク・クインの闘い。
 こちらは地味に三崎健吾の勝ち。
 原作で表現されていた少林寺拳法の素早い動きがアニメでは生かしきれていない気がしました。目への攻撃はつぶして抉らなくても軽く叩いてやるだけで十分に相手の視力と戦闘力を奪えるという少林寺拳法の合理性が表現されていたのに対し、アニメだと何をやっているのかがワカりにくく、ただ地味に終わってたのが残念です。

 さて、勇次郎はちょっと外までつまみ食いに…。たまたまいた、ムエタイのチャモアンを弄びます。
 正直に言うとこのシーンはカットして、サリバンのシーンを入れるか三崎健吾のシーンに力を入れてもらいたかったです。
 改めてチャモアンをイジメなくても、視聴者に勇次郎の強さは十分に分かっているはずです。確かに、見た目の面白さはあるでしょうけど、今後活躍する人物の個性を表現するエピソードを削ってまで入れる必要のあるシーンとは思えないのですが…。

 それはさておき、次なる試合はジャック・ハンマーvsセルジオ・シルバ
 ジャックは早くもドーピングに余念が無いッッ! さすがに注射器はNGのようですが、放送コードギリギリの男ジャック・ハンマー次回 「ヤツと闘る権利」にてデビューです!



おまけデーター・今回のスタッフ(敬称略)

範馬刃牙  菊地 正美
範馬勇次郎 乃村 健次
花山 薫  中田 雅之
愚地克巳  藤原 啓司
加藤清澄  室園 丈裕
徳川光成  楠見 尚巳
天内 悠  高塚 正也
三崎健吾  山野井 仁
松本梢江  小島 幸子
畑中公平  平川 大輔
アナウンサー 清水 敏考
柴 千春   西村 朋紘
マイク・クイン 川村 拓央
李 猛虎   永野 善一
イアン・マクレガー 小形 満
司令官   柳沢 栄治
ジャック・ハンマー  坂口 候一

脚本   鈴木 達也
演出   板垣 伸
絵コンテ 板垣 伸
作画監督 栗井 重紀


 今回はCGに頼りすぎて作画がイマイチと言う気がしました。ちょっと、登場人物のデッサンのバランスが崩れているというか…。
 もっとも、それは演出なのかもしれませんし、私の好みの作画ではないと言うだけの話です。

 絵だけではなく、演出もちょっとイマイチという気がしました。
 原作の流れを微妙に変えてスムーズに話を進めつつ、視聴者の興味を逃さない作りにしようとしているのは分かるのですが、かえってエピソードごとのまとまりが無くバラけた印象があります。
 ジャックと刃牙の出会いを前に持ってきた必要性を感じませんし、チャモアンを出すという優先順位にも納得がいきません。

 かすっただけで眩暈のシーンや千春の折れた腕のように際立って良い部分が合っただけに、ちょっと残念です。
 どうも、新シリーズになってから構成・脚本・演出上の不満が増えている気がするのですが…。谷田部勝義 監督がんばってくださいッッ!

 今回は個人的な都合により、放送を1回しか見ていません。表現や時間構成上で間違いがあるかもしれませんがご了承ください。
 時間があれば、木〜金曜日に追記をする予定です。
追記・2001年8月21日(火)
 結局、忙しくて追記できませんでしたが、簡単にいくつか気になったことを…

 ジャガッタ・シャーマンの背骨
 何度も念を入れてコキャコキャいわす勇次郎さんはやっぱりひどい人だと思う。笑ってしまった私も、大バカだ。

 勇次郎の会場入り
 やっぱり入ってくるタイミングが変です。三崎健吾の試合前に入って途中で出ていってつまらない試合ばかりと言うのはちょっとおかしいような…。
 ただ、改めて見ると、勇次郎が乱入すると言う予兆と複線を意味しているセリフなので、このシーンは必要と感じました。
 ただし、原作の勇次郎は熱のこもった試合に体がうずき、うさ晴らしをしていると言う印象を受けるのに、アニメではつまらない試合だからストレス解消に暴れたと言う感じです。私はこのトーナメントの試合は「全ての試合が名試合」だと思っているので、ちとこの辺の違いが気になりました。

 使い回されるモブ(お客さんの)シーンもちょっと気になりました。反転させているせいで余計気になる。同じ使い回しでも小坊主の「始めェ!」「勝負ありッ!」は演技が面白かったので気になりませんでした。
by とら


2001年8月21日(火)
第5話 ヤツと闘る権利(第29回)

 今回の試合は、ジャック・ハンマー vs セルジオ・シルバです。
 試合前から丹念にドーピングをするジャック・ハンマー。注射器はNGだったようですが、錠剤とアンプルをまるで菓子のようにパリポリ、ゴクゴクやって血管を浮きだたせて登場します。
 シャツを脱げば薬を使って鍛え上げられた超肉体が現われ、思わずお客さんも拍手してしまいます。なぜ、拍手?
 ちなみに刃牙も同様なのですが、やはりジャックの体に刻まれた無数の傷跡はNGのようです。

 そして、試合開始。無言でプレッシャーをかけるジャックに対し、間合いを詰めたシルバが前蹴りから胴タックルを決める。だが、動かない。ジャックはビクともしません。
 しかも、そこからジャックは右腕の腕力だけでタックルを切ってしまいます。そこに空いた左腕のアッパーでセルジオ・シルバを空中大回転ッ!
 パターンを変えて、3角度から描いた秀逸なアッパーでセルジオ大回転です。
 ちょっとだけ気になったのですが、このシーンはスローモーションで表現されているのに、回転音や刃牙たちの驚愕する声は通常の再生速度で聞こえています。絵がスローの時は回転音もスローにしたほうがよかったのでは無いかと思いますが…。

 それはともかく「ガマンしろと言う方がムリか…。こんな闘い見せられちゃな…」と独歩が言うように、範馬勇次郎がそそられて出てきます。
 ジャックの肉体に対し「勝つために明日を捨てるか」と筋肉増強剤のステロイド使用を臭わせる発言をしますが「ステロイド」と言う単語そのものはNGのようです。
 一方のジャックは「勝利を捨てても、長生きはしたいか?」と勇次郎に挑むような事を言う。
 ちなみに原作ではここのセリフは「タトエ勝ッテモ長生キハシタイカ」になっています。
 この原作のセリフは難解な事で有名で、とりあえず「勝つために手段は選ばないぐらいのつもりではあっても、長生きはしたいから安易なドーピングはしないのか?」と言う意味だと思われます。アニメ版はそれをわかりやすく変更したようですね。「明日を捨てる」と「勝利を捨てる」で引っかけているところも中々センスあります。
 この挑発に勇次郎が本気になり戦闘態勢をとります。ピキーン・ピキーン・ピキーン・ぽよーんと各人に衝撃が走るッ(注:梢江ちゃんは美少女なので音が違います)
 が、そこに割って入ったのが我らが主人公。「誰にことわって勇次郎に手ェ出してんだよォ」とイチャモンを付けていますが、手を出してきているのは勇次郎パパの方だと思うのは私だけでしょうか?

 が、ジャックは刃牙と争ってまで勇次郎と戦う意思は無いらしく、背を向けて去ろうとします。
 しかし、収まっていないのが勇次郎です。ジャックに負けじと、刃牙に平手打ちを食らわしブン回してフッ飛ばし、刃牙を排除します。
 改めて闘いを迫る勇次郎に、ジャックは何事かを囁く…。
 それを聞いた勇次郎は「そいつァ権利が大ありだぜ」と大笑いするのだった。
 ちなみに原作ではかなり前に権利が何なのか判明しているのですが、この時のジャックの口の開き方からして(以下保護色)「俺はあんたの息子だ」と言っているような気がします。最も「俺は」の後からは時間は合うのですが、唇の動きがあっていないので別のことを言っているのかもしれません。(保護色終わり)

 一方、梢江ちゃんは、勇次郎に吹っ飛ばされた刃牙を心配して声をかけます。ハンカチを渡そうとするのですが、それより早くタオルを差し出す男がいた。その男は天内悠、勇次郎の連れてきた男だ。
 この男の出現に刃牙はまったく気がついておらず、梢江ちゃんの視線を追って初めて側に立っていたことを知る。
 仮に天内に殺意があれば無防備に攻撃を受けている距離だ。
 そのことに気がついているのか、天内に対し警戒心を持つ刃牙であった。もちろん勇次郎が連れて来た男だからと言う理由もあるのでしょうけど。
 刃牙に睨まれても表面上は穏やかに対応する天内であったが、刃牙から背を向け次に行われる試合に望む天内の表情には危険な影が降りていた。
「さ…… 魅(み)せますか……」と悪人声で呟く。

 ここでアイキャッチ。前半終了です。

 さて、その天内悠ですが、対戦相手はシュートレスリングの山本稔です。
「この長い手足を生かした攻撃。予測できるのは、打撃技」
 と、試合経験が豊富らしく相手の戦力を分析します。
 天内の異常に長い手足がなんのためにあるのかを読んだつもりなのでしょうが、その結果がわかるのはずいぶん先の話です。
 そして、試合前に山本に握手を求める天内。本心を見せないにこやかな笑顔です。と言うか、にこやか過ぎてキモいです。
 固い握手を交わした後で試合開始。
 組技に持ちこもうと、山本がダッシュ。
 それに対し天内は両手を広げ白鳥のポーズ!?
 かなり意味不明なまま画面はホワイトアウトし、回想シーンへ。

 大統領のボディーガードとして働いていた日々。闘いとは「愛」だと説く天内に勇次郎が興味をそそられ連れていくと言うエピソードが語られます。
 ところで大統領なのですが、アニメ化する前にクリントン大統領は引退して、若い大統領であるブッシュに変わっていますが、そのバランスを取るためか顔は同じでもちょっと若くなっています

 そして、回想が終わると、天内特有のノーモーション・ジャンプ!
 と言うか浮いています。むしろ、浮きすぎ
 白鳥でもあんな飛び方はできません。
 相手が嫌がるとか、望むとか言う以前に、人間ができない攻撃をしています。変な音も出ているし…
 こんな攻撃をされてはもう何もすることはありません。山本の負け。
 あしの裏を真っ赤に染めて、足跡を残しながら天内退場。

 さて、控え室では独歩が背広に着替えています。
 武神・愚地独歩、普段着で出撃だッ!
次回 「達人」!


 アニメ版は登場人物の性格を微妙に変えているような気がしていたのですが、今回の天内の性格はまるで別人のようでした。
 アニメ版の天内はなんか偽善的な性格と言うか、裏表がありすぎと言う気がします。
 今後の展開では(以下保護色)独歩と闘うわけですが、人気キャラクターである独歩を引きたてるためかワザと悪人気味にしているのかもしれません。こう言う性格の悪さなら、勇次郎によって不幸な最後を迎えても(不確定)それほど後味が悪くならないかもしれませんし。(保護色終わり)
 どうも、全体的に刃牙を引きたてるために他のキャラクターはやや扱いが悪くなっているような気がしてなりません。


おまけデーター・今回のスタッフ(敬称略)

範馬刃牙  菊地 正美
範馬勇次郎 乃村 健次
愚地独歩  麦人
徳川光成  楠見 尚巳
天内 悠  高塚 正也
山本 稔  松本 吉朗
セルジオ・シルバ 斉藤 瑞樹
山本のセコンド  永野 善一
ジャック・ハンマー  坂口 候一
松本梢江 小島 幸子
大統領  小形 満
審判   山野井 仁
アナウンサー 清水 敏考

脚本   山田 靖智
演出   中島 弘明
作画監督 久行 宏和


 さて、今回の作画監督である久行宏和さんはサイバーフォーミュラーやGEAR戦士 電童でキャラクターデザインをしている方で、サンライズ的ロボットアニメの美少年・美少女を描くのが上手い人なのですが、まさかマッチョも上手いとはしりませんでしたよ。
 そんな訳で梢江ちゃんも更に美少女になっていますね。

 今回は絵がよく動いていて、モブシーンでも口が動いていました。
 それと、原作の絵をそのままトレースしたようなカットが多くありまして、原作ファンとしては中々嬉しいところでした。原画に久行宏和さんの名前もありましたし、そのうちのどれかを自ら描いていたのではないでしょうか。
 特に似ていたのが「ジャックに対して勇次郎が構えたシーン」「刃牙がジャックに蹴りを入れるシーン」「刃牙がジャックにタンカを切るシーン」「天内のタオル攻め」などですね。他にも結構あったんですけど、絵が止まっていて印象に残っていたのが、これらのシーンですね。

 今回の作画は影付けが濃かったですね。OSFさんも掲示板で書いていますが、歯も一本一本描いてあって更に濃さが爆発です。
 私は趣味でイラストやマンガを描いたりしますが、そこで知ったテクニックに「絵は写実的に描いた方が怖い」と言う事です。特に目と歯に力を入れて描きこむといい感じでホラーになります。
 そう言う点では今回の作画は闘いと言う非日常に棲む怪物たちを際立たせると言う意味で歯も細かく描き込んでいるのかもしれませんね。

 なんにせよ、今回は見事な回転を見せてくれた回でした。
 佐藤雅将さんが作画監督の回は個人的に涙と鼻水の回と呼んでいますが、久行宏和さんの回はタービン回転の回と呼びたいものです。
 ところで、佐藤雅将さんの作画はもう出てこないのでしょうか。この後の兄弟対決や花山vs克巳なんかは涙が多く出てくるので絶好のポイントだと思うのですが…。

 次回は、よいよ達人・渋川剛気先生の登場ですね。どんな声か、期待と不安でいっぱいです。
by とら


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