今週の『ゆうえんち −バキ外伝−』(漫画版 1話〜10話)感想

← 原作小説161回〜最終回  最新の『ゆうえんち』感想  バックナンバー  漫画版11回〜20回 →
バキ道 異世界 烈海王 バキアニメTV版 疵面 餓狼伝 blog 掲示板 Twitter リンク12 TOP

2022年4月9日(16号)
第1話「ヤツの名は…」

 本格格闘小説の父・夢枕獏による小説『バキ外伝ゆうえんち』がコミカライズだ!
 圧倒的な筆力と熱量により描かれた、もう一つのバキ世界が漫画化する!
 というか、『ゆうえんち』の続きは、どうなっているんですか!?(号泣)

 漫画版はいきなりアレンジだ。
 序章に出てきた花山薫のエピソードや外伝主人公の幼年編が削られて、いきなり本編と本題に突入する。
 暗器の久我重明がプロレスラー3人と戦う!
 容赦なく暗器を使うぞ!
 まあ、使わなくても充分に強いのが久我重明なんですが。

 3対1の戦いだが、久我重明は一歩も退かずに圧倒する。
 これが本気の久我重明だ。
 漫画版『餓狼伝』に客演した時は鞍馬彦一を鍛えるという名目だったので、本気で壊しに来ていなかったと思う。
 それに対して、今夜の久我重明は本気だ。
 なにしろ、レスラー3人を壊すことが依頼なんだし。

 でも、必要以上に追い打ちをかけたりしない所に久我重明の礼節と美学を感じる。
 暴力は強さの発露と証明であって、暴力の喜びが目的じゃあ無い。
 まさに言葉までもが黒い久我重明であった。
 台詞が黒くて完全再現だ!

 そして、この場にまだ10代の少年が乱入してくる。
 美しき少年戦士・葛城無門だ!
 本編バキシリーズにはあまり居ないタイプの戦士である。

 本伝では実現不可能な美男・美女を出すのは外伝の醍醐味ですね。
 『バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ』とかも女性キャラで本気出して良いと思うんだけど。
 カイジの外伝とかでもな。
 あいにく『ゆうえんち』でも女性はほとんど出てきませんけど。

 まあ、とにかく葛城無門だ。
 初見の人には、名前を聞いても何者か分からない。
 だが彼の出自と、半生にはバキの登場人物が多くかかわっている。
 まさに本編の隙間を埋める外伝だ!
 月一連載だけど、今後の楽しみが増えるぞ!

○現在、掲示板の調子が良くありません。
 コメントはblogコメントにお願いします。

週刊少年チャンピオン2022年16号
週刊少年チャンピオン2022年16号

2022年4月21日(20号)
第2話「美麗の少年 葛城無門」

 プロレスラー3人を次々と破壊していく闇の武術家・久我重明の前に一人の少年があらわれた。
 葛城無門と名乗ったのは、まだ10代の少年である。
 いや、この年齢だと、もう青年か?
 女と見間違えるほどの美少年である。

美麗の少年 葛城無門

 まさに、美麗の少年 葛城無門だ!
 夢枕獏作品には欠かせない美少年である。
 ちなみに餓狼伝の久保涼二も設定上は美少年です。

 葛城無門の色気はバキ本編では出せない要素だ。
 男の色気じゃあなく、美少年の色気ですな。
 無門が久我重明の攻撃をよけた時にだした「っぶねぇ」って声がお茶目な感じで、今思えば弟に似ている。
 連載して1年ぐらいすれば、無門の弟も登場するだろう。

 まだ残っていたプロレスラー町田隼人と無門が闘い始める。
 町田の闘いかたはシンプルだ。
 打撃はあえて喰らって、相手を掴んで潰す。
 空手家など打撃屋にとって嫌なタイプの戦法だ。
 何度か打たれただけでは倒れないという耐久力への自信と、掴んだら話さないという筋力への自信に満ちている。

 一見、すらっとした体形の無門は打撃系の戦士に見える。
 組み技と言うのは、相手の肉体を動かす必要があるので自然と筋肉がついてマッチョになる(『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか感想)。
 町田は、組んだら絶対に勝てると思っていただろう。

 勝負は組み合いで始まる。
 筋力でははるかに上だと思っていた町田だが、無門の肉体に異変が起きた。
 無門の筋肉がヘビのように隆起して盛りあがっていく!
 細身に見えた無門だが、隠れた筋肉が凄いぞ!

 さっき見たばかりの久我重明の技をコピーする器用さに加えて、肉体そのものも強い!
 投・打・極の全てがハイレベルで、しかも美少年だ!
 トータルで見れば範馬刃牙にも負けないぞ!

○現在、掲示板の調子が良くありません。
 コメントはblogコメントにお願いします。

週刊少年チャンピオン2022年20号
週刊少年チャンピオン2022年20号

2022年5月9日(26号)
第3話「天才」

 プロレスラーに制裁を加える闇の仕事を置けおった久我重明の前に現れたのは、美麗の少年・葛城無門であった。
 無門は久我重明に恩を売るためプロレスラー町田隼人を倒すと言う。
 そんな無門たちをはるか遠くから監視カメラで見ている者がいた。
 超豪邸に住む謎の少年である。

 まあ、原作を読んでいる人なら知っている人物ですけど。
 原作より前倒しで、思わせぶりに登場しましたね。
 『漫画版 ゆうえんち』は美少年攻勢で行くつもりだろうか。
 と、言っても美少年はこれで打ち止めなんですが。

 話を戻すと、監視カメラで見ている少年は久我重明だけでなく葛城無門にも興味をもったようだ。
 久我重明の動きは洗練されている。
 最小の動きで最大の威力を出している。
 テレビ映えという点では無門のほうが派手で見ごたえがあるのだろう。

 その無門はプロレスラー町田隼人にジャーマンスープレックスを喰らわせた。
 掟破りの逆プロレスだ!
 だが、町田はタフなプロレスラーである。
 この程度では沈まなかった。
 たぶん首を鍛えまくっているので、脳が揺れにくいのだろう。
 打撃への耐性も相当高いはずだ。

 今度はこちらの番だと町田が車のドアを両手に持つ。
 プロレスやるなら、動くな!
 危険な凶器攻撃だ!
 だが、無門はこの凶器を左手一本で、まふ…っと受け止めた。
 まるで真綿に打ち込んだかのような感触だ。

 無門は最初に触れた中指から始まり、指、手首、肘、肩と次々に関節をクッションにして衝撃を吸収したという。
 打撃に使用する8関節を同時に加速させるマッハ突きを逆転させたかのような発想だ!
 小説『餓狼伝』の磯村露風のヤマト流に似ている体術である。
 いわば多関節の同時減速だ。

 町田の追撃をよけて、無門は飛び膝蹴りを町田の顔面に叩きこむ。
 よけてからの素早い動きがただ者じゃあない。
 だが、タフな町田は簡単に倒れない。
 無門の膝蹴りを喰らうが、そのまま足を抱え込む。
 そして、足を掴んで地面に投げつける!

 だが、フワッ!
 無門は両腕の関節をクッションにして衝撃を吸収した。
 なんという受け身の天才だ!
 久我重明も思わず感心する天才っぷりである。

 バキ世界では防御の天才があまり居ない。
 みんな攻撃的で、防御よりも攻撃しがちだからだろう。
 無門はレアキャラな防御タイプなのかも。
 美形なので二重にレアだ。

 受け身の天才ではあるが、打撃や関節技への対応はどうなのだろう。
 打撃なら吸収してしまいそうだ。
 あとは関節技だな。
 町田が関節技では無く、投げ技を選んだのは運が良かったのかも。

 無門はプロレスには飽きたと言って打撃を撃ちこむ。
 左右の拳を連打で打ちこみ、最後は右の横蹴りだ。
 すべて顔面に命中させた。
 見事なコンビネーションだ!

 受け身だけでなく、打撃もイケるぜ!
 連打で町田をダウンさせる。

 ただ、全部顔面なのが単調かも。
 なにか狙いがあるのか?
 立ち上がった町田に対して、今度は上下に散らした連打を叩きこむ。
 顔面だけで倒せないからボディーか!?

 だが、町田は止まらない。
 殴られながらも、無門にタックルを決めてマウントポジションをとった。
 この状態で無門の首を絞める!
 原始的な攻撃方法は、まさにプロレスや試合じゃあない。
 殺し合いだ!

 絶体絶命のピンチだが、無門は相手の股間を掴んでいた。
 向こうが命(タマ)をとる気なら、こっちも玉ァとったる!
 殺人の快楽に狂おうとしていた町田が一瞬で覚醒するほどの激痛だ。

 今度は無門が反撃に出る。
 両手で町田の頭を挟みこむ。
 無門のパワーに町田が動けない。
 パワーモードに入った無門はけっこうマッチョだぞ。
 そして、無門が町田に衝撃を与えた!

 寸勁!?
 相手の頭を掴んでいるというゼロ距離での攻撃なのにタフな町田が気絶して沈む。
 須久根流の無寸雷神だ。
 久我重明が技名を黒い言葉でしゃべった。
 あの久我重明が表情を変えるほどの必殺技だ!

 無門は久我重明に恩を売り、『ゆうえんち』に案内してもらおうと考えている。
 モニター越しに見ている少年も、『ゆうえんち』がもうすぐ開園されるとつぶやく。
 謎の少年は無門を待ち構えるかのように岩を指で削る。
 中国武術の鍛錬法・打岩だ!

 岩の模様が独特なので、ちょっと変わった岩を削っているようだ。
 少年は岩を削り、無門の形に変えていく。
 恐るべき削岩力と芸術センスだ!
 前衛芸術ができそうな技術ですね。
 葛城無門と謎の少年。
 二人の美少年が出会うのは、もうすぐなのか?

○現在、掲示板の調子が良くありません。
 コメントはblogコメントにお願いします。

週刊少年チャンピオン2022年26号
週刊少年チャンピオン2022年26号

2022年6月23日(30号)
第4話「もう1人の天才少年!!」

 作中時間で10年前の事だった。
 ただ、『ゆうえんち』は『グラップラー刃牙』開始よりも数年前の話なので、現在からすると15年ぐらい前になる。
 愚地独歩はミズノ大サーカスでのショーを見に行き、一人の天才少年を見た。
 5歳にして空中ブランコをこなし、5歳の象と綱引きをして、猛るライオンを静める。
 まさに心技体すべてにおいて天才だ。

 これはグラップラー刃牙で描かれたエピソードですね。
 だが、『ゆうえんち』では、このエピソードに壮絶な裏事情があったと判明する。
 今回はまだ出てきません。
 後半の、忘れたころに出てくるんだよな。

 公演終了後に独歩はサーカス団長の水野に会いに行く。
 独歩は天才少年・克巳の素晴らしさを絶賛した。
 今から鍛えれば誰よりも強い武術家になるだろう、と。
 なんでも戦闘能力で考えちゃうのが空手バカ一代の愚地独歩なのであった。

 そんな独歩にミズノさんは克巳を養子にしないかと持ち掛ける。
 克巳には実母がいるのに、なんで養子に出されたのか?
 これは刃牙シリーズの謎なんですが、その謎の答えが明らかになる。
 サーカス団のメンバーは、克巳たちの才能を世界に出してやりたいと思っていたのだ。

 団員全員の総意らしい。
 克巳はみんなに愛されていたようだ。
 目指すは世界ですか。
 でも、サーカスにいても天才少年として世界に名前を轟かせる存在になったと思うけど。
 たぶん、ミズノ大サーカスには、なにか問題があるんだろうな。

 初登場のころの愚地克巳は、世界大会の切り札として温存されていた。
 だが、独歩が範馬勇次郎に敗北したことで地下闘技場に出場することになったのだ。
 範馬刃牙が飛び入り参加した空手大会に克巳が参加していなかったのも世界大会を見据えて調整していたからだろう。
 そう考えると、最初から克巳は世界一を目指していた事になる。
 それがサーカス団の仲間たちの願いだったのだ。

 いっぽうで独歩はミズノさんがなにか隠している事に気がつく。
 この辺はさすが独歩ちゃんだ。
 相手の異変や動揺に敏感である。
 瓶切りしちゃうのも容赦ない恐ろしさだ。
 服がびしょびしょになっちまう。

 で、脅された訳じゃ無いんだろうけど、ミズノさんは隠していた事を話す。
 独歩に会わせたかった天才少年とは、克巳じゃあなく、その兄の無門だったのだ。
 だが無門は2日前に失踪してしまい、現在行方不明なのだった。
 誘拐、などでは無い。

「あの子は克巳ちゃん以上の大天才だ」
「そんじょそこらの大人に連れ去られる子じゃない」

 天才っぷりを見せつけた5歳の克巳よりも、さらに上の大天才だ!
 事故や事件の可能性が無いのなら、自発的な家出と言うことになる。
 なにか帰ることのできない事情があるのだろう。
 ならば無門を探し出して、家に帰すのは難しい。
 無門を探すことに専念したいから克巳を養子に出すという意味もあったのかも。

 独歩は克巳も無門も、任せろと言う。
 神心会100万人の監視体制なら子供一人見つけ出すぐらい簡単だ!
 実際、簡単に見つけ出しそうなところが怖い神心会なのであった。
 そうですよね、ドリアンさん。

 話題となっている、もう一人の天才少年・葛城無門は中華料理屋で食い逃げをしていた。
 食い逃げしにくそうな店を狙ったな。
 わざとか?
 無駄にチャレンジャーな少年だ。
 それとも危険に身を晒すことが快感となっている困った性癖なんだろうか。

 この中華料理屋って独歩が加藤と行っていた所に少し似ている。
 入口に狛犬みたいに獅子が二匹でおもてなししているのが同じだ。
 ただ、店名が『珍漫樓』と『桜…(不明)』で違っている。
 店が同じという偶然ではなかったようだ。

 家なき子・葛城無門はアクロバティックに逃げる。
 帰る家もないまま雨に降られ、ふと目にしたのは光り輝く東京ドームだった。
 その東京ドームの地下ではルールの無い格闘試合が行われる地下闘技場がある。
 無門は、まだその事を知らないし、将来知ることになるのかも分からない。
 15年後ぐらいに、弟の克巳が地下闘技場で闘うことになるのだが、それはまた別の話だ。

 この時、地下闘技場で勝利した筋肉もりもりの男がいた。
 髭をはやしたダンディーな男だ。
 葛城無門と、その男の奇縁が始まるまで、もう少しの時間が必要であった。
 この筋肉男にも複雑な物語があって、それはバキ本編にも関わっているんだろうけど、謎のままだ。

 天才・愚地克巳の兄は大天才・葛城無門だ。
 この葛城無門が、なぜ『ゆうえんち』を探しているのか、そこで何をするのかという物語になる。
 無門の出自をばらすのが原作小説よりずっと早いのは、焦らしプレイがつらいからだろうな。
 親切設計の漫画版は、次回7/21に掲載予定だ。

○現在、掲示板の調子が良くありません。
 コメントはblogコメントにお願いします。

週刊少年チャンピオン2022年30号
週刊少年チャンピオン2022年30号

2022年7月25日(34号)
第5話「はじまりの夜」

 葛城無門は若き天才空手家・愚地克巳の実兄である。
 そして天才・克巳をも上回る、天才を超えた大天才だった。
 だが、無門は両親の元から家出をし、無銭飲食しながら街をさまよっている。
 才能があるがゆえに無茶な生活ができてしまうという不幸であった。

 食い逃げ常習犯の無門が狙ったのは屋台のラーメン屋だった。
 味自慢『ラーメンこずえ』と書かれている。
 『こずえ』と聞けばバキシリーズ永遠のヒロイン松本梢枝を思い浮かべるだろう。
 きっと梢枝出汁の効いた多幸感あふれるラーメンだ。

 だが、屋台『ラーメンこずえ』のラーメンおじさんは永遠ヒロイン松本梢枝のような美少女じゃあ無いッッ!
 まるでプロレスラーか重量級柔道家のようなブ厚い肉体を持っている。
 前回ラストの東京ドーム地下闘技場で勝利していた地下戦士のおじさんだ。
 この風貌は、そうとう強いと見た。

 バキ世界では筋肉が厚くパワーが無いとお話にならない。
 小手先のテクニックなど圧倒的なパワーの前に蹂躙される。
 こういう所はちゃんとリアルですね。
 そういう意味では、このラーメンおじさんは強そうだ。

 タダ者でない感が漂いまくっている店で食い逃げをする気だ。
 無門は命知らずだよな。
 自暴自棄になっているのかもしれないけど。
 捕まって警察に突き出されたら、嫌でも親のところに帰ることになる。
 心の奥底では、帰る事を望んでいるのかもしれない。

 無門はラーメンおじさんが目を離した一瞬で姿をくらました。
 これにはラーメンおじさんも思わずニッコリだ。
 食い逃げされて怒らないとは、筋肉だけでなく人間もできている。

 あちこちで無銭飲食をしていた無門はヤクザ者に追われていた。
 ラーメンおじさんは笑って見逃す気だったようだ。
 だが、ヤクザ者は落とし前として社会勉強をさせる気だ。
 無門はヤクザ者3人に囲まれても平然と微笑を浮かべている。
 小学生でありながら170cmほどの高身長と、少女のような美貌をもつ魔性の美少年だ。
 超天才は見た目もスペシャルだった。

 サーカスの天才少年だった無門はヤクザの蹴りをいなして飛ぶ。
 その勢いを利用して、桜の木を軽業で跳ね登っていく。
 まるで忍者のような動きだッ!
 サーカス出身だから、軽業が超得意ですね。

 地下闘技場では出せない立体の動きである。
 試合場で闘う格闘選手というより、路上で戦う喧嘩戦士って感じだ。
 地下闘技場では本領発揮できないのが残念ですね。
 物の多いところでの立体戦闘が無門の得意分野だ。

 無門は刃物も恐れずヤクザ者を相手にする。
 この感じなら余裕で3人とも倒せそうだ。
 だが、ここにラーメンおじさんが入ってきた。
 刃物をもった3人の男よりも、マッチョなラーメンおじさんに危険を感じるぞ。

 このラーメンおじさんは、どう動くのか!?
 無門の敵となるのか、味方となるのか?
 次回、筋肉の強さを見せつける!

○現在、掲示板の調子が良くありません。
 コメントはblogコメントにお願いします。

週刊少年チャンピオン2022年34号
週刊少年チャンピオン2022年34号

2022年8月25日(39号)
第6話「優しき巨人 松本太山」

 食い逃げをしてヤクザに追われていた葛城無門の前に、屋台ラーメン屋の親父が現れる。
 ラーメン家業とは思えない筋肉の持ち主だ。
 さっきとは違って圧がすごい。
 まるで山だッ!

 なにしろ名前が松本太山だおッッ!
 大きい山じゃなくて、太い山だ。
 いや、太い山ってなんだよ。
 そして娘の名前は松本梢江なのだ。

 ラーメン屋だった時に比べて迫力や圧力があまり出ていなかったらしい。
 そりゃあ、ラーメン屋の親父が圧を出しすぎていたら食が進まん。
 モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず、自由でなんというか救われてなきゃあダメなんだ。
 そう言って食事の邪魔になる圧の強い親父にアームロックかけたくなる。
 だが、この筋肉でアームロック返しをしてきそうだよな。

 松本太山はこんな少年が食い逃げをしている事情を察してやれと言って号泣する。
 物凄い涙と鼻水の量だッ!
 号泣のお手本とも言える号泣の中の号泣だぞ。

 だが、ヤクザたちは号泣ぐらいで帰る人種じゃあ無い。
 邪魔な松本太山を殺せと命じる。
 若手バーテンがアイスピックで松本太山を狙う。
 だが、松本太山はよけない。
 ブ厚い大胸筋で受け止めた。

 いや、大胸筋だけでできるの!?
 なんという筋肉だ。
 山岳信仰ならぬ筋肉信仰だぞ。
 この筋肉信仰が凄い!

 アイスピックを大胸筋で絡めとった松本太山は大胸筋だけで若い男を倒す。
 ○大胸筋vs●アイスピックだ!
 さらに松本太山はヤクザトリオのリーダーも一蹴する。
 恐るべき筋肉であった。

 ヤクザを追い払った松本太山は、無門に一緒に花見をするかと言う。
 だが、桜の花は咲いていない。
 ならば、咲かせる!
 松本太山は桜の木を抱いて圧をかけ、見事に桜を咲かせるのであった。

 花咲か爺さんかよ!
 これも筋肉の力なのか!?
 筋肉だけで防御も攻撃もできるし、花も咲く!
 そりゃあ、無門も明るい表情になっちゃうよね

 家出をして、稼ぎもなく食い逃げで生きていた葛城無門だった。
 だが、優しき筋肉巨人・松本太山と出会って明るい表情になる。
 つらい生活だったが、やっと光明が見えてきたようだ。
 でも、この出会いで美少年・葛城無門もマッチョになるんだろうな。

○現在、掲示板の調子が良くありません。
 コメントはblogコメントにお願いします。

週刊少年チャンピオン2022年39号
週刊少年チャンピオン2022年39号

2022年9月22日(43号)
第7話「ファーストレッスン」

 松本太山と出会ってから5年が過ぎて、葛城無門14歳だ!
 これで中学校も卒業で義務教育も終わりですね。
 『僕の心のヤバイやつ』(AA)の市川京太郎と同学年だ。
 生活環境と作風の違いで、とても同年代に見えませんけど。

 無門の中学校生活はどんものだったんだろう。
 超美形で天才的な体術の使い手だ。
 モテモテだったかもしれない。
 でも、この後で高校に進学しなかった。
 勉強はあまり好きそうに見えないから、中学校をサボりまくっていた可能性もある。

 14歳にして壮絶な過去を持ってしまった無門だけに、同年代の中学生たちとは感覚が合わなかっただろう。
 良くも悪くも、クラスで浮いた存在だったのかもしれない。
 運動系で本気を出せば、超中学生級の活躍ができただろうし、なにか事件も起きたかも。
 無門の中学生日記も見たかったな。

 学生服を着て帽子をかぶった無門は松本太山を待っていた。
 2人の卒業式として本気の試合をするのだ。
 無門は太山を待ちながら、修行の5年間を振り返っていた。
 この公園で松本太山に出会い、この公園で毎晩鍛えてもらったのだ。

 5年前、無門と知り合った太山は徳川光成に頼った。
 無門と言う逸材を援助して欲しいと頼んだようだ。
 徳川さんに頼るのか!
 ちょっとヤバい人に紹介しちゃったな。

 奴隷商人に剣闘士候補を見せるようなもんだよ。
 早速、ライオンと戦わせてみようと言いかねない。
 徳川光成は玩具を全力で愛しながら、全力でぶっ壊す危険な人物だ。
 でも、金は持っているし頼れる人ではあるのだろうけど。

 原作小説でも無門の私生活は謎のままだった。
 だが、住む家の世話をしてくれたのが徳川さんかもしれない。
 もしかしたら、徳川さんが大家という可能性もある。
 格闘技が大好きでトレーニングに特化した賃貸物件だったりして。
 あとで刃牙が住むことになる松本太山の隣家に無門が住んでいた可能性もある。
 だが、話の流れ的に無門14歳の時点では隣家に住んでいないようだ。

 とにかく、無門は徳川さんと顔を会わせ、太山の弟子となる。
 師匠となった太山が最初に教えたのは、敗北だった。
 無門は天才だ。
 どんな技でも、見ただけでコピーできる。
 努力を知らない天才を戒めるため、松本太山は筋肉を見せつけるのだった。

 松本太山の筋肉は、あらゆる技を無効化する大地のような筋肉だ。
 無門がいくら殴っても蹴ってもダメージにならない!
 バキ名物の圧倒的筋肉である。
 ほとんどの格闘技・スポーツが階級別になっているように、体重≒筋肉量は圧倒的な実力差になるのだ。
 天才・葛城無門であっても、松本太山の筋肉には勝てなかった。

 そして、無門は『釣り鐘隠し』または『骨掛(こつか)け』なる妙技も知る。
 電子版チャンピオンだと、再連載しているグラップラー刃牙でも『コツカケ』を使っていてシンクロニシティだッ!
 無門ほどの天才であれば、『骨掛け』もすぐにマスターできそうだ。
 中学生で金玉を弄りすぎるのは、ちょっと心配ですが。

 敗北を知ったことで、無門はさらに強くなるだろう。
 でも、強さの方向性が筋肉一択になりそうで心配だ。
 「とにかく、喰え。筋肉つけろ」という教育方針だったら、どうしよう。
 天才美少年が天才美少年マッチョになってしまうぞ。
 次回は、涙の卒業試験か!?

 徳川さんが葛城無門を知ったのは今後の運命を少し変えた気がする。
 なにしろ、強者の「身体データは無論」「家族構成・恋人 愛人の有無」まで把握しているらしい。(G刃牙20巻 178話)
 ならば、葛城と言う名前にも聞き覚えがあるだろう。
 最近、独歩が葛城克巳という天才少年を養子にしたらしい。
 克巳にはもっと天才の無門と言う兄がいて、現在行方不明だ。
 これぐらいの情報を知っていれば、松本太山の弟子となった少年の正体にも思い当たる。

 そして、徳川さんが独歩にも情報を伝えたとしたら、未来のファインプレーになる。
 だとしたら、徳川さんも時には良いことをした事になりそうだ。
 もっとも、実際に良いことをするのは独歩なんですけどね。
○現在、掲示板の調子が良くありません。
 コメントはblogコメントにお願いします。
週刊少年チャンピオン2022年43号
週刊少年チャンピオン2022年43号

2022年10月13日(46号)
第8話「謎の風来人 磯村露風」

 葛城無門が松本太山を待ちながら、回想開始だ!
 回想が多いのはバキ世界でも夢枕ワールドでも同じです。
 時々、回想中に回想開始と言う荒業が出てきますが、今回はそこまで回想するほどじゃあ無かったか。

 なお、今回のトビラ絵には松本太山の娘が出ていますね。
 荒ぶる女子力を秘めていそうな女傑の素質を、今はまだ感じさせない。
 どうやら、無門も会ったことあるようですね。
 美少年の無門に、ほのかな恋心を抱いたりするロマンスがあったんだろうか?

 それはともかく、無門は松本太山の修行を思いだす。
 二年目の冬、葛城無門は11歳だった。
 この日、松本太山が連れて来たのは磯村露風と言う男である。

 磯村露風!
 小説の『新・餓狼伝』を読んでいれば知っている名前だ。
 世界征服を目標に暗躍する松尾象山のライバルである。
 松本太山は、すごい人脈をもっているな。

 磯村露風の特技はバランスである。
 卵であろうが、針であろうが簡単に立ててしまう。
 バランスのいい山本選手も弟子入りしたくなるような人だ。
 このバランスの良さをどう活かすのか小説を読んでください。
 今日は別の技を見せにきたのだ。

 全身の関節を伸ばした状態から縮めることでクッションとする技だ。
 これを極めると、松本太山のフルスイング圧縮バットを受けてもダメージを吸収できる!
 極めて高度な技術なので素人は真似しないほうが良い。
 というか、普通は怖くて真似できないな。
 無門ですら驚愕する身体操作術であった。

 だが、できる人間がいるという事は、お前にもできるのだ。
 松本太山の強い言葉に無門は動かされる。
 先に誰かがやった事ってのは後追いが簡単になるもんです。
 そういう意味で先駆者ってのは称賛されるべき存在だ。
 武術なんかの流派を創設した人ってのは天才のたぐいなのだろう。

 空中ブランコと受け身が得意な無門にとって、磯村露風の技は相性が良いはずだ。
 松本太山はそこまで考えてスペシャルゲスト磯村露風を呼んだのだろう。
 無門は磯村露風の後をつけ、太山を倒せる技を教えて欲しいと直談判する。

 松本太山の強さは肉体の強さでもある。
 まだ11歳の無門には、そこまでの肉体が無い。
 なので、松本太山に勝つためには、筋肉以外の要素で攻撃する技が必要だ。
 と言うのが露風の見立てである。

 無門の考えを見破った露風は鋭い。
 だが、見破られたとは言え、11歳でこの結論に達した無門も底知れぬ。
 しかし、師匠に黙って技を教えてもらうのは浮気だ。

 あと、自分の技は簡単にできるもんじゃないと露風は言う。
 なにしろ自分は天才なのだから。
 無門も天才だと言うのなら、技を盗んじゃえばいいのだ。
 過激なことを言う露風だが、無門はこういうムチャが好きなのだ。
 表情を明るくして露風に襲いかかる。

 当然、露風のほうが上だ。
 しかし、無門も相手の技をコピーする天才である。
 早くも全関節をクッションにする防御を模倣して見せた。
 恐るべき吸収力だ。
 松本太山の弟子でなければ、露風が自分の弟子にしていただろう。

 露風は無門の天才性に敬意を表し、とっておきの必殺技で昏倒させる。
 無寸雷神だッ!
 寸勁を進化させた必殺技である。

「この技は須久根(すくね)流の」
「姫川源三という男が得意にしていた技なのさ」

 露風も、姫川源三から盗んだ技である。
 盗んだ技をさらに盗ませる。
 須久根流に対して酷い仕打ちだぞ。
 かなり須久根流が嫌いなんだろうな。

 姫川源三との死闘は、『新・餓狼伝4』で描かれている(感想)。
 ちなみにレフリーは主人公の丹波文七だ。
 『ゆうえんち』の回想シーンでも、丹波君がちゃんといるぞ。
 なお姫川源三は現役から退いて長かったので、腹が出ている。
 その腹を見て勝利を確信した露風だった。
 回想でもちゃんと太ってしまった腹が再現されているぞ。

 こうして、無門は『無寸雷神』を知ることができた。
 長きにわたってお世話になる必殺技である。
 しかも、改良しているので、いつまでも楽しめるのだ。

 さらに無門は、この後で奇妙な少年に出会うらしい。
 これはオリジナルの展開か?
 微妙に世界線が変わっていくかもしれない。
 だが、話の筋として無門が『ゆうえんち』を目指す展開に変わりは無いはずだ。
 変わるとしたら……、柳龍光がすごく紳士になっているとか?
 紳士は紳士でも、変態紳士だろうけど。

○現在、掲示板の調子が良くありません。
 コメントはblogコメントにお願いします。

週刊少年チャンピオン2022年46号
週刊少年チャンピオン2022年46号

2022年11月24日(52号)
第9話「月夜の少年」

 葛城無門は磯村露風から須久根(すくね)流の必殺技・無寸雷神を教わったッ!
 さっそく、練習に明け暮れている。
 だが、師匠の松本太山には内緒で会得したい無門だった。

 そんな難しい状況で試し掛けする方法を露風は教えてくれた。
 繁華街で喧嘩に持ち込んで相手に試せ!
 危険すぎる練習方法だ!
 愚地独歩とか渋川剛気もやっていたけど「そのうち捕まっちまうぜ」とか自分で言ってたよ。(範馬刃牙26巻 209話
 でも、バキ世界にふさわしい危険な特訓方法だ。

 無門は目立つから報復が怖いな。
 食い逃げの前科もあるし、顔も割れている。
 でも、恐れ知らずの無門は夜な夜な危険な男を求めて繁華街をさまようのであった。

 そんな男漁りの夜に無門は奇妙な少年を見つける。
 夜の小学校の校庭で華麗な動きで踊っている少年がいたのだ。
 中国舞踊を踊っていたらしい。
 演目は、蘭陵王ですかね。

 黒髪だけど、3話に出てきた謎の少年=蛟小金丸ですね。(漫画 ゆうえんち -バキ外伝-1巻 3話
 このころは、まだ黒髪だ!
 なんで黒髪じゃなくなったのかは、いずれ明かされるだろう。
 ……かなり先の話だろうけど。

 小金丸の動きに感心した無門は自分に気がついた小金丸に声をかける。
 ともに小学6年生の二人であった。
 小学生が夜遊びとは感心できませんな。
 将来、修羅道に進むような大人になりますよ!(確定)

 無門は小金丸を見たことが無いという。
 って、お前はこの学校の生徒だったのか。
 で、同学年の生徒はちゃんと顔を把握しているらしい。
 記憶力が良いんだな。
 勉強が好きそうには見えないけど、地頭が良いようだ。
 小学生の人間関係など、無門には退屈すぎるレベルだろうけど、ちゃんと学校には行っているようだ。
 この外見で無門はランドセル背負って通ってんだよな。

 小金丸は他所から遊びに来たのだろうか?
 地元ではなにかと騒がしいので遠出をしているのかも。
 と、そこにワゴン車が突っ込んでくる。
 車から降りてきたのは中国マフィアの15人だった。
 小金丸を拉致すると金になるらしい。

 日本の誘拐は子供が標的になる。
 だが、中国では父親を誘拐するらしい。(中国の大盗賊
 現代では、また事情が違うのだろうけど、父親を大事にする伝統的な儒教的価値観ですね。(儒教とは何か
 小金丸の祖父は代替わりで引退したのだろうから誘拐できず、子供のほうを狙ったのだろう。

 あきらかに黒社会の連中だけど、小学6年生の無門と小金丸は動揺しない。
 むしろゲーム感覚で中国マフィアをどちらが多く倒せるか競争しようと言い出す。
 恐るべき小学生たちだ。
 小金丸は、見えない所に護衛が潜んでいるのだろうから余裕なのだろう。
 無門は危険に慣れすぎちゃっているから余裕なのだろうな。

『戦いの最中 二人の少年は
 心を踊らさずにはいられなかった』
『――――なぜなら 天賦の才を持つ自分に』
『同じ年頃で競い合う相手など 存在しないと思っていたからだ』

 人生初の好敵手を見つけたッ!
 おそらく自分と互角の相手だ。
 全力で闘える相手である。
 対等な立場の人間を友と呼ぶのなら、二人は初めて共になりうる存在を知った。
 まさに運命の出会いですな。

 この危険な遊戯の中で無門は無寸雷神を完成させる。
 実戦のなかで磨かれた必殺技だ!
 だから、今後も実戦で使用できる。
 葛城無門のレベルが上がった!

 そして、勝負の結果は6対9で無門が負ける。
 無門が敗北だと!?
 この時点では小金丸のほうが上なのか!?
 いや、無門は無寸雷神を練習しながら闘っていたので時間がかかったのだろう。
 倒す数を優先していれば、結果がどうなったことか。

「父の経営する」
「"ゆうえんち"に招待するよ」

 小金丸は最後に、自分の名前を告げ、再会を予感させる。
 いつかで"ゆうえんち"に――――
 小金丸と言う輝く名前も、強さもインパクト強すぎて忘れられないだろうな。
 再会した時にどんな空気が流れるのだろうか?
 と、ここまでが回想でした。

 現在の無門は卒業試験として松本太山との真剣勝負を待っているところだ。
 太山は卒業式の3日前に用事ができたので遅れるかもしれないと言っていた。
 "ゆうえんち"に行くことになった、と。
 なにも知らない無門は本物の遊園地に太山が娘・松本梢江ちゃんを連れていくのかと思ったようだ。

 そう、無門はまだ知らない。
 松本太山が、どこへ行こうとしているのかを。
 そこに行くには、どんな覚悟が必要なのかも知らなかった。
 なんらかの覚悟を決めている松本太山は、無門に特別な言葉をかける。

お前は おれの――

 太山の言葉は回想のゆらぎで聞き取れない。
 この言葉も、かなり後になって明らかになる。
 無門にとって、とても重要な言葉になるのだ。
 人生の救いになる言葉だった。
 すごい胸熱で好きなエピソードなんですけど、それが読めるのって何年後なんだろうな。

 そして、小金丸の因縁もどうなるんだろう。
 なにしろ、原作でも闘うと約束しただけで終わっているのだ。
 幻となった無門vs小金丸が漫画版で実現するのか?

 そして、再び回想を終えた無門の前に、何者かがやってくる。
 まあ、シルエットで見てもわかります。
 松本太山ですね。
 次回は、涙の卒業式だッ!

○コメントは blogコメントにお願いします。

週刊少年チャンピオン2022年52号
週刊少年チャンピオン2022年52号

2023年1月5日(6号)
第10話「卒業式」

 夜の『ゆうえんち』で戦士2人……………、勝負でしょう。
 正確には地面にも血だらけの戦士が転がっていますけどね。
 戦士と言うか戦死だな、こりゃ。

 『ゆうえんち』に立つ戦士のひとりは松本太山であった。
 その松本太山の前に、圧倒的な変態オーラを纏った黒い影が迫る。
 変態と松本太山と夜の『ゆうえんち』だ。
 相性が良すぎて蝕(ベルセルクとか十二国記とかの)が発生してしまいそうな魔空間だぞ。

 回想終わりッ! そして、現在だッッ!
 葛城無門は卒業試験として松本太山と勝負する予定だった。
 だが、無門の前に現れた太山は酷い顔色と脂汗を流して異常な状態だ。
 こんな状態の太山と勝負なんてできない。
 そう言う無門に太山が容赦なく襲いかかる。
 だが……

太山先生のパンチは こんなもんじゃない

「太山先生のパンチは こんなもんじゃない」

 無門は才能と環境に恵まれて、能力を伸ばした。
 だから、このパンチ一発で松本太山が大ダメージを受けている事を理解できたのだろう。
 そして、そんな状態であっても、無門のために太山が死力を尽くしている事も。

 本当に太山を病院に連れて行きたいのなら、手段はいくらでもある。
 例えば気絶させて救急車を呼べばいい。
 念のために縛っておくか?
 とにかく、機転の利く無門ならいくらでも方法を思いついただろう。

 だが、出来ない。
 天才である無門は、松本太山の重症度と同時に、その覚悟も感じ取ったのだろう。
 この戦いは逃げる訳には行かないッッ!

 無門は奇声をあげて太山に殴りかかる。
 この一撃だけで太山は倒れてしまう。
 やっぱり太山は闘う前から戦闘不能な重傷だったのだ。
 本当なら躊躇なく本気を叩き込めたはずの頑強な肉体が、今日は脆い。
 だが、最後の授業はまだ過酷につづく。

「…さぁとどめをさせ」

「どれだけ近しい人間だろうと これができなければ この世界でてっぺんまで いけないぞ」

 両者共に号泣しながらの闘争だ!
 ここまで追い込まれても闘わなくちゃいけないのだろうか。
 本当に、頼むから病院に行ってくれ。
 いやもう手遅れなんだろうけどさ、わずかな可能性ってもんがあるでしょ。

 死にかけの松本太山が泣きながら無門に攻めろと言う。
 ほぼ無傷の葛城無門が泣きながらできないと太山に言う。
 あらゆる感情の涙をこぼしながら、ついに無門は決意する。
 そこまで追い込まれた。
 やっと中学校を卒業したばかりの少年が、なんと苦しい決断をさせたんだ。

 太山には情が湧いて相手を倒せなかった過去があるのだろうか?
 だから無門に厳しく指導しているのかも。
 いったい太山の過去になにがあったんだろう。
 絹代さんと出会って一人娘を授かる過去があったのは知っていますけど。
 外伝の外伝、太山過去編とかも見たくなったかも。
 なお、無門の実弟である愚地克巳は容赦ない攻撃ができなくて敗北したんですけど、それで良いのか?(バキ道9巻 82話

「俺 ほんとうは やれるんです」
「相手がどれだけ 親しくても 身内でも ほんとうはやれるんです」

 無門が悲痛な叫びをあげて、須久根(すくね)流の必殺技・無寸雷神を放つ!
 師匠である松本太山を超えるため身に着けた必殺技だ。
 だが、こんな涙の状況で打つことになるとは想定外すぎるだろう。
 これで太山は完全に意識を失い、敗北する。
 殴るよりはダメージが少なそうな、優しいフィニッシュブローであった。

 倒された松本太山だが、無門に笑顔を見せる。
 師匠として、弟子が自分を超えるのは誇れることなのだ。
 笑顔の太山だが、その胸には肋骨が見えるほど深くえぐられた傷口があった。
 これほどの重傷でありながら、太山はまだ行く場所があるという。

 無門はすぐに病院に連れて行きたいのだが、太山の言う事を聞いてしまう。
 ダメだとわかっていても、行動できない。
 それほど師弟の愛情は深く重いのだろう。
 だからこそ、無門の人生はこの時点ですでに決まってしまったのだ。
 松本太山にこれほどの傷を負わせた相手を、葛城無門はけっして許すことなどできない。

 無門は太山を背負って、指示された場所に向かう。
 徳川光成の邸宅だ!
 ここに来ると悪いことが起きそうな気がするんですけど、太山の指示だから仕方がない。
 最後の悲劇は徳川邸で起きるッ!


○コメントは blogコメントにお願いします。


週刊少年チャンピオン2023年6号
週刊少年チャンピオン2023年6号



← 原作小説161回〜最終回  最新の『ゆうえんち』感想  バックナンバー  漫画版11回〜20回 →
バキ道 異世界 烈海王 バキアニメTV版 疵面 餓狼伝 blog 掲示板 Twitter リンク12 TOP

和書
コミック

 チャンピオン 
ジャンプ
マガジン
サンデー
RED
 板垣恵介 
夢枕獏
山口貴由

DVD
アニメ
CD
 ゲーム 
DS
PSP
Wii
PS3
360
PS2
PCゲーム
 PCギャルゲー 
フィギュア
パソコン
テレビ
メディア
家電
サプリメント
板垣恵介の激闘達人烈伝 板垣恵介の格闘士烈伝
駿河城御前試合 獅子の門 雲竜編 (カッパ・ノベルス)
管理人:とら  連絡先(E-mail):E-Mail
【特定電子メール法に基づく表示】広告メール、迷惑メールの送信はお断りします