今週の『ゆうえんち −バキ外伝−』(101回〜110回)感想

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2020年6月13日(28号)
第101回 巻の十二「ぼくが発見したかたちさ」

 加奈村狂太の使用する技は会津藩の御留め流『御式内(おしきうち)』だ!
 片膝をついて構える独特の姿勢で、葛城無門は攻めあぐねる。
 攻撃をしても流され、投げられてしまう。
 葛城無門は御式内(おしきうち)を攻略できるのか!?

 ふたたび投げられた無門は四つん這いで着地する。
 だが、狂太は近づかない。
 無門の明敏な頭脳は、なぜ狂太が近づかないのかをわずか一行で判断した。
 御式内は四つん這いの相手との戦闘を想定していないのだ。
 だから、すぐに対応ができない。

 実戦では普段想定していない事がおきる。
 だから、道場では基礎を徹底的に鍛え、応用力の土台を作るのだ。
 お互いに未知の状況にある。

『つまりだ、この局面から、どちらが先に新しい理論、フォーム、構図を発見するかということが、この勝負の行方を決めるということになる。
 深い。
 そして、おもしろい。』


 葛城無門と加奈村狂太は格闘の芸術家として、創作バトルをしていくのだ!
 危険中毒者になっていた無門だが、こっちの性癖のほうが健全かも。
 でも、やっぱり妙なことが大好きな変態格闘家になってしまいそうな危うさがある。

 四つん這いの無門に対し、狂太は後ろにさがって靴を脱ぐ。
 裸足だ。
 足を前にして尻をついた姿勢になる。
 猪木アリ状態、または猪狩アライ状態みたいな状態だ。

ぼくが発見したかたちさ

「これはね、大東流にも、御式内にもないかたちだよ。ぼくが発見したかたちさ」

 そうは言うが『東天の獅子』(AA)で似た構えをしていた。
 狂太が学んだ流れとは違うのか、嘘をついている。
 自分のオリジナリティーを強調するための嘘ってほうが、狂太らしいか?

 狂太がその姿勢のまま攻めてくる。
 四つん這いの無門は頭のほうから近づくが、狂太の姿勢だと足から近づく。
 足と頭では、頭のほうが不利だ。
 無門は立ち上がって逃げようとするが、立てなかった。

 狂太の右足が無門のシャツを掴んで引っ張っていたのだ。
 足の指が長い、タコ足と呼ばれる足だった。
 講道館四天王である西郷四郎もタコ足をもつと言われている。
 この身体特徴と御式内が共通しているのだが、もしかして狂太は西郷四郎の子孫だったりするのだろうか?

 立ち上がる途中だった無門はバランスをくずす。
 下でまつ加奈村狂太の上に倒れ込んでいく。
 さっきまでは寝技に持ち込んで無寸雷神で倒すと計画していた無門だ。
 しかし、この流れで寝技になるのは怖い。

『おいで――
 加奈村狂太の顔は、そう言って、無門を誘っていた。
 新郎を、新婦のベッドに誘う、花嫁のように――』


 なんか思っていたのと違う種類の恐怖を予感させつつ無門は倒れていく。
 タコ足による狂太の攻めが始まるのか?
 無門が大ピンチで次回につづくのであった。

週刊少年チャンピオン2020年28号
週刊少年チャンピオン2020年28号


2020年6月20日(29号)
第102回 巻の十二「鼓膜を破らせてもらうよ」

 葛城無門と加奈村狂太は、義理の叔父と甥だ。
 ふたりの間にいる無門の義父であり、狂太の実兄である葛城正介の死因について因縁がある。
 だが、現在の二人はそれとは関係なく、戦闘を楽しみ始めているようだ。
 この勝負は、いったいどうなるのか?

 狂太の足指が無門の服をがっちり掴んで引きこむ。
 バランスを崩した無門は狂太の上に倒れこんでしまう。
 せめて、倒れるさいに打撃を打ち込もうとするも不発だ。
 無門は両手で戦っているが、狂太は足も使う。
 その差で負けたか?

 しかも無門はひっくり返され、仰向けで倒れた。
 背後を取られバックチョークだ。
 狂太がアナコンダのような怪力で締め上げる!
 地下闘技場でも採用される大蛇アナコンダかよ!
 こりゃガーレンでないと脱出不可能だ。

 チョークスリーパーは、完全に決まったら脱出不可能と言われている。
 実際に花山薫ぐらいの超握力でもないかぎり脱出不可能だろう。
 さいわい無門はアゴをはさんでいて、完璧にきめられていない。
 だが、この状態から反撃するのは難しいぞ。

 さらに狂太は、恐るべき仕掛けをしてきた。
 自分のメガネを武器にする!
 メガネのつるで無門の耳を狙い始めた。

「きみの左耳の鼓膜を破らせてもらうよ。ついでに、三半規管、蝸牛部官もほじり出してあげるよ」

 これは食らってはいけないダメージだ。
 痛みもスゴいし、平衡感覚も失ってしまう。
 無門は必死になってメガネを奪い取る。

 そりゃ当然の行動だ。だが、無門には考える余裕が無かった。
 なぜ狂太が これからやることを説明したのか?
 黙って攻撃したほうが成功しやすいハズだ。
 無門の恐怖心をあおるのが、狂太の狙いだろう。

 メガネを奪って無門の気がゆるんだ。
 そりゃ当然だろう。
 だが、気がゆるんでできたスキこそが、狂太の狙いだ。
 すかさず無門のアゴの下に腕をねじ込み、チョークスリーパーを完成させた!
 無門の首が締め上げられ、意識を失うまであと数秒だ!

 無門は残された数秒で必死に考える。
 脱出するには何をすれば良いのか?
 とっさに思いつき、放った技は無寸雷神だ!
 狂太の胴を両腕で挟むように打つ。

『肝臓と、腎臓と胆嚢を、ゆさぶってやったぞ。
 内臓を、素手で殴られたような衝撃があったろう。』


 ゴブリン春日の心臓を止めた実績のある内臓攻撃の無寸雷神だ!(ゆうえんち64回
 本当は頭に当てたかったが仕方がない。
 内臓に直接衝撃を受けた狂太は悲鳴をあげて腕がゆるむ。
 無門はなんとか逃げ出し、立ち上がった。
 反撃する余裕も無かったが、脱出成功だ

 無門は 寝技に持ちこんで無寸雷神で狂太を倒す予定だった。
 だが切り札の無寸雷神は脱出のために使ってしまう。
 狂太おなじ技が二度通じるのだろうか?
 無門は、新しい勝利の方程式を考えなくてはならない。

「想像以上だね、無門くん……」
「きみは、芸術家だよ。先端の数学者と言ってもいい。現場で新しい理論に気がつく。これは、学んで身につくことじゃない。才能だよ」


 いっぽう狂太は無門の独創性に興味を持った。
 即興で新しい技を生み出すセンスが素晴らしい。
 無門に更なる興味を持って狂太が近づいてくる。
 狂太の仕掛けに、無門がどう応じるのか?
 加奈村狂太も兄の死因とか、どうでも良くなっていそうだぞ。

 だが、無門もこの勝負に楽しさを感じている。
 無門は危険中毒者でもあるが、好奇心旺盛な面白もの好きでもあるのだ。
 組もうと誘ってくる狂太と組み合ってしまう。
 そして、組みついた無門は空中に放り投げられる。
 最近、こういう引きが多いな。
 文字通り地に足がつかないまま、次回につづく。

 狂太は計算して戦うタイプだ。
 だから計算外の動きをする無門がおもしろいのだろう。
 組んで投げたところまでは、狂太の計算通りだ。
 この問いに無門は どう答えるのか?

 しかし、ふたりとも闘いが楽しくなっちゃって目的を忘れているっぽいな。
 狂太はますます変態性を高めているし、無門も楽しげだ。
 このままだと柳龍光と闘うまえに燃え尽きてしまうぞ。

週刊少年チャンピオン2020年29号
週刊少年チャンピオン2020年29号


2020年6月27日(30号)
第103回 巻の十三「本部流花田純一は語る」

 葛城無門と加奈村狂太が死闘している途中ですが、ここで新章突入「巻の十三 本部流花田純一は語る」だッ!
 花田かよ! なつかしいヤツが出てきたな。
 師匠の本部以蔵は時々姿を見せるんですが、花田に出番が無かった。
 本部以上の天才と言われた花田ですが、才能だけじゃ届かない境地があるのかも。

 花田が加奈村狂太と出会ったのは、花田が本部流に入門して2年目くらいの頃だった。
 まだ花田が16歳だったころである。
 そうなると14歳で入門したことになるが、どういう経緯だったのか気になるな。
 旧知の本部以蔵を訪ねてアポなしでやってきたが、本部に用があったので花田が対応したらしい。

 本部にはけっこう弟子がいるっぽい。
 だが、2年目の花田に対応させているので、それだけ花田の天才性を買っていたのだろう。
 空海が留学2年目で師の葬儀で弟子を代表して碑文を書いたエピソードのようだ。
 このころの花田は輝いていたんだな。

 スーツを着ていて普通そうに見える狂太だが、花田はタダ者でないと感じている。
 見破る花田は、やっぱり天才だったか。
 だが、16歳のガキが狂太の話し相手をするのは間がもたない。
 ふたりで新宿に出かける。

『その頃つきあってた女の子が、歌舞伎町でホステスやっててさあ、』
『うまくいったら、あのヒトの奢りでその女の子の店に顔を出そうって思ってたんスよね。』


 花田16歳、ホステスと付き合い、店に行くことも計算している!
 まさに早熟の天才だな。
 範馬刃牙17歳よりも、ずっと早熟だ。
 でも、闘争以外の楽しさを早くに憶えちゃったのが、良くなかったのかも。

 花田は狂太をどうやって店に誘うか考えつつ、歌舞伎町を歩いていた。
 そこで、ぼったくり被害の現場に出くわす。
 コワイ系の男が2人で、リーマン1人に絡んでいる。

『でも、オレ、しめたって思ったんだよ。』

 花田はこれを喧嘩のチャンスと見た。
 血気盛んな16歳は、ナイフをもった怖い人を 獲物として見ている。
 だが、花田よりも先に狂太が動いた。
 声をかけてリーマンを逃がすと、コワイ系の男2人の前に立つ。

 獲物をとられた形だが、花田は見物する気になる。
 けっこうやりそうな加奈村狂太が、実際にどれぐらい強いのか?
 いざとなったら助ける距離をたもち見学だ。
 16歳でありながら、花田はなかなか冷静である。

 狂太は胸ぐらをつかんできた男を体さばきだけで投げて、頭から落とした。
 天才・花田だからこそ理解できる超絶技術だ。
 のこったナイフの男は怒るが、この技量を理解できていたのか?
 ここで狂太は予測不可能な動きをする。

『アスファルトの上にさ、膝をついてさ、正座したわけよ。
 土下座しようとしたんだよ。』


 土・下・座ッ!
 そういえば加奈村狂太は『謝男(シャーマン)』の拝一穴に似ている。
 職業も同じ教師だし。
 土下座というか、正座の状態から戦闘をする『御式内(おしきうち)』を礼儀の側から継承したのが、拝一族だったりして。

 狂太は土下座をするために正座したのではない。
 正座こそが狂太の戦闘スタイルなのだ。
 いつでも戦闘できるように革靴でも、つねに裸足だし。
 蒸れて足が臭くなっていそうだが、悪臭すらも武器なのだろうな。
 次回、悪臭と足指攻撃でナイフの人の鼻が曲がるか?

週刊少年チャンピオン2020年30号
週刊少年チャンピオン2020年30号


2020年7月4日(31号)
第104回 巻の十三「山嵐」

 本部流の麒麟児・花田純一が加奈村狂太について語る。
 当時16歳だった花田は狂太と歌舞伎町へ遊びに行き、二人組のチンピラとトラブルを起こす。
 狂太は片膝をついて座る御式内(おしきうち)の構えだ。
 秘伝の技を路上で試す気か!

 片膝をついて座ると、相手は頭に攻撃するしかない。
 来るとわかっている攻撃なら対応できる。
 寝ながら蹴るというような変則的な攻撃でも開発しないと相手の予想を超えられない。
 使うには度胸が必要だが、攻略が難しいのが御式内の構えである。

 チンピラはそこまで考えることなく、ナイフで狂太の顔を狙う。
 だが、狂太は余裕で男の右手首を掴んで、立ち上がりながら投げた。
 頭から真っ逆さまだ!
 アスファルトに落とされていたら、頭がスイカのように割れていたところだろう。
 だが、狂太が落としたのは、先に倒したチンピラの上だった。

 落とす場所も含めて、狂太はすべてコントロールしている。
 心技体のすべてが整った状態だ。
 なにしろ銀行強盗に遭遇してもクールに対応していた。(ゆうえんち81回
 狂太を倒すには、予想外のことで動揺させる必要があるのかも。

 加奈村狂太の投げ技がスゴかった。
 だが、若き天才・花田だからこそ見破った術理がある。
 まあ、いちおう本部にも天才と言われていたヤツだし、スゴいのだろう。

『おっさん、いつの間にか靴を脱いでて、裸足になってたのよ。
 その右足の指でね、相手の右足のズボンの裾をぐいっと握ってたんだよ。』


 狂太の足の指は常人より長い"タコ足"である。(ゆうえんち101回
 この足指でズボンをつかむ!
 まるで手が三本あるような人間の投げ技だ。
 そりゃ普通の人間じゃ勝てんな。

『山嵐だよ、山嵐。
 ほら、姿三四郎の必殺技で、西郷四郎の必殺技の山嵐。』


 花田が言うには、これこそが真の西郷四郎の山嵐だ。
 と言っても本部から聞いたらしいけど。
 さすが本部だ。この場に居なくても解説ができる!

 狂太と同じく"タコ足"だった西郷四郎の山嵐も 相手の足やズボンをつかんで投げていた。
 本部以蔵が言うには、大東流か御式内の技らしい。
 西郷四郎の養父・西郷頼母が会津の大嵐山(おおあれやま)で山嵐を完成した、と言う。
 まさに会津が生んだ必殺技だ。

 西郷四郎と言えば山嵐であり、山嵐と言えば西郷四郎である。
 夏目漱石の『坊ちゃん』(青空文庫)に出てくる会津出身の山嵐はモデルが西郷四郎という説があるほどだ。(伝説の天才柔道家 西郷四郎の生涯
 そりゃ、ちょっと考えすぎだと思うが、山嵐と西郷四郎は一体化している感じだ。

 なお、高島俊男によれば、『坊ちゃん』の敵役である「赤シャツ」「野だいこ」は『吾輩は猫である』(青空文庫)に出てくる「津木ピン助」「福地キシャゴ」とモデルが同一人物である。
 「津木ピン助」「福地キシャゴ」は夏目漱石の同僚である東京帝国大学教師である「杉敏介」「福地信世」がモデルらしい。
 夏目漱石にとっての敵は、遠い愛媛県ではなく学校の同僚に居たのだ。
 だから、たぶん面識のない西郷四郎をモデルにすることは無いと思う。

 西郷四郎の山嵐は足で相手の足を掴んで投げる。
 でも、これってタコ足限定の技っぽい。
 西郷頼母が開発し、西郷四郎が会得したのは偶然なのだろうか?
 それとも御式内には、足の指を伸ばす修行があったりして。
 ならば、加奈村狂太の足の指が長いのも説明がつく。

 狂太は山嵐を試すため、この喧嘩を仕掛けたそうだ。
 なぜ、技を試したのか?
 この時、加奈村狂太は兄の結婚式で葛城無門と出会っている。
 危険な眼をした少年だった。
 いずれこの少年と闘うことになるかもしれない。
 その時のために山嵐を練習したという。

 数学者でもある加奈村狂太はすでに無門との戦いを計算していたのだ。
 ずいぶん前から準備していたことになる。
 準備期間の差もあるし、無門はかなり不利だな。
 しかも使う技は伝説の山嵐だ。それも真・山嵐だぞ。

 花田の話はここで終わる。
 加奈村狂太が葛城無門を倒すために山嵐を試していたことがわかった。
 山嵐の術理を見破った花田もけっこうスゴいと。
 そして、この場にいないのに解説が冴える本部以蔵もスゴい。

『マウント斗羽を一分で倒して、バキのやつは、五分で倒して、次はどうしたって、範馬勇次郎じゃね。
 オレ、たぶん勝っちゃうんじゃないの。』


 そして花田は強くなったと語るのであった。
 コイツ、まるで成長していない……
 今でも5分以内に斗羽に倒されるだろう。
 現在のバキと闘えば2秒だな。

 花田は、今でも花田らしさを保っているな。
 カン違いな感じで最高に笑えた。
 大丈夫だ、キミは何ひとつ変わっていない!
 でも、こんだけ自信あるんだから、本部との乱取りじゃ花田が圧勝していたりするんだろうな。

週刊少年チャンピオン2020年31号
週刊少年チャンピオン2020年31号


2020年7月11日(32号)
第105回 巻の十三「衝撃! 暗黒。光がもどる」

 葛城無門と加奈村狂太、血縁のない甥と叔父の死闘が続いている。
 狂太の使う御式内(おしきうち)には、かの西郷四郎が使った必殺技・山嵐があった。
 しかも、無門と闘うことを想定して練習までしている。
 無門は伝説の必殺技・山嵐に耐えられるのか!?

 組んで、奥襟をとられた瞬間に無門は投げられた。
 投げ技は、投げる前の崩しが重要だ。
 無門ほどの実力者が、組んだ瞬間に投げられるというのは尋常でない。
 おそらく無門にとっても未知の体験だろう。

 御式内の山嵐は、足の指で相手の足やズボンをつかんで持ちあげる。
 相手を崩さずとも投げることができるのだ。
 技の理合を知っていれば、足を掴まれないように警戒してできただろう。
 未知の技は対応が難しいのだ。
 無門の天才なら、次は防げると期待したい。
 足の指問題があるので、山嵐を使うことは出来ないだろうけど。

 無門は投げられながら、この技が山嵐に にていると気がついた。
 そして、狂太が足の指で無門のアキレス腱をつかんでいる点が、柔道の山嵐と違う事にも気がついている。
 無門の恐るべき判断力と冷静さだ。
 死に際の集中力を身に着けたのか!?

 脳天から真っ逆さまに落とされる!
 アキレス腱をつかまれているので身体を回転させることもできない。
 このまま無策で地面に激突するしか無いのか!?

『衝撃!
 暗黒。
 光がもどる。』


 無門の意識が途切れた!
 一流同士の勝負はコンマ1秒の奪い合いだ、と範馬勇次郎も言っている。
 これは超絶に大ピンチだぞ。
 だが、無門は覚醒すると即座に動き、狂太の踏みつけ攻撃を受けながす。

 腕に角度をつけて攻撃を受けると、手首からヒジへと攻撃が流れる。
 先ほど狂太が使っていた防御方法だ。
 さっそくコピーして使った!
 受けるのではなく、滑らす。受け流す。
 角度をつけると受ける範囲が狭まるので高い技術が必要になるが、効果的な受けの技術だ。

 角度をつけた受けは、イスラエルの格闘術『クラヴ・マガ』でも教えている。(最強護身術 クラヴマガ感想
 棒などで襲われたときは、角度をつけて受けべし。
 そうすれば、威力を流せて骨が折れない。
 戦車の傾斜装甲と似ている理論ですね。

 無門は転がりながら逃げる。
 アスファルトの道路に出たところで、狂太の追撃が止まった。
 狂太が拍手をしている。

「たいへんな難問を、今、きみは解いた。」

 頭を打った衝撃で忘れてしまったが、無門は"なにか"をしたらしい。
 なにしろ脳天から落とされても戦闘不能になっていないのだ。
 無門は"なにか"をやって御式内の山嵐を切り抜けた。
 狂太はその"なにか"を解き明かそうと言う。

 加奈村狂太にとって、勝利よりも、謎の探求のほうが重要らしい。
 ダメージを受けた無門にとってありがたい休憩だ。
 狂太が謎の解明大好きな変人で助かった。

 狂太の指摘と、無門の記憶回復により、無門が無事だった理由が判明していく。
 無門は動かすことができた左手を使った。
 そして、磯村露風から学んだ無寸止めでさらに衝撃を弱める。(ゆうえんち97回
 地面が芝生だったこともダメージ減につながった。

「加奈村さん、手加減したよね」

「手加減じゃないよ。計算ミスだよ。」
「あれから変化技の、竹宮流の雛落としにいっていたら、決着はついていたと思う。」


 竹宮流まで使えるのか!
 雛落としは餓狼伝で竹宮流の藤巻十三が長田弘に教えた技だ。(餓狼伝164話
 たしかに雛落としならヒグマでも一発KOする。
 狂太は竹宮流の泉宗一郎や、奥義・虎王も知っているのだが、どういう交友関係なんだろう。

 技や強さを研究し、高めたい。
 狂太は名前通りの研究狂だ。
 おかげで無門もたすかっている。

「これだよねえ、闘うことがおもしろいのは。ぼくは、今の数分間で、間違いなく、その前より強くなっている。でも、無門くん、きみはぼくより伸びしろがある分、もっと強くなっている。お互いに高めあっている。」

 成長と言う意味でも無門はたすかっている!
 加奈村狂太と闘うことでダメージも疲労も増えた。
 だが、得難い戦闘経験と成長を得る。
 そう考えると狂太との戦闘は悪くない寄り道だったのかも。

 でも、やっぱり狂太は強敵だ。
 勝てばいいけど、負けたら拷問される。
 負けたら柳龍光と闘うどころではない。
 それと、勝っても負けても葛城正介の死について話さないといけない。
 この寄り道は有意義だけど、長くなりそうだ。


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