スペシャルマッチ! (11)〜(15)


スペシャル・マッチ!(11)〜1回戦、ファイナル!!作:MBO

<前回までのあらすじ>
スペシャル・タッグトーナメントもついに1回戦ファイナル!
パワーアップした北沢とジャック・ハンマーのコンビにナイフ使いの人&倉石のレンジャータッグが挑む!!
準決勝への最後の切符を手にするのはどっちだ!?

〜あと、今回も回想シーンでしたごめん。
ジャック「ここだ」
小さな家だった。ここは、スラムの一角。北沢を伴って、ジャックは再び帰ってきたのだ。そう、彼のもとへ。
ギイィィィーと、軋んだ音を立てながら、ドアは開いた。そして、その中で待っていたのは…
博士「久しぶりだな、ジャック。そして、はじめまして。北沢君」
むせ返るような匂いを放つ夥しい数の薬品の山と、ジョン博士であった。博士の頭は、機械が見え隠れし半ばサイボーグと化している。ちょっとやりすぎだ。ジャックは思った。
しかし、そんな二人に再会の感動を与える間もなく部屋に入った北沢は注射器に向かってダッシュした。
ジャック&博士「…!!?」
片っ端から自らの腕に注射器の針を刺しまくる北沢。
博士「な、何をするんだ君はッ!!」
と、制止しようとする博士を振りほどき、北沢はなおも注射を続ける。ジャックと二人がかりでようやく押さえつけた時には既に30本近くの注射器が空になっていた。
博士「どうしてこんなまねを…」
問いかける博士に、
北沢「……強くなりて…」
博士&ジャック「え?」
北沢「強くなりてえんだよ…」
ジャックはこの発言に驚いたが、それを聞いた博士の表情に気づいてもっと驚いた。
博士「すばらしい…すばらしい! 北沢君、私の研究を君のために役立たさせてくれ!!」
博士は涙を流しながら北沢の手を握り締めていた。

それからの日々は筆舌に尽くし難い。
ドーピングに次ぐドーピング……。日に30時間のドーピングと言う矛盾!
それを薬の密度を高める事で補い、神への挑戦は続けられた。
ジャック「博士、いくらなんでもやり過ぎだ。それにドーピングだけやればいいってものでもないだろう」
心配して忠告するジャックだったが、そんな彼の言葉など聞く耳も持たず、ジョン博士はただ冷ややかな返事を返しただけだった。
博士「ジャック……君は弱くなり過ぎた」
ライバルキャラはいい人になると弱くなるの法則。それから数日、ジャックは二人の前に姿を見せなかった。しかしそんなジャックの気持ちなど気にも留めず、博士は北沢のドーピングを続ける。
博士「今度こそ、今度こそあの男を造る!! いや、あの男を超えるッ!!!」

ビュオォォォー
――北極。
ここが、ジョン博士が北沢の修行の場として選んだ地だった。
何だ、俺の時と同じじゃん、と思ったジャックだったが、その考えはすぐに覆された。
驚異の北極熊100頭掛け
もはや、正気の沙汰とは思えなかった。いや、それ以前にこの熊いったいどうやって集めてきたんだ。しかし、そんな些細な疑問など気にもせぬかのように、北沢は百匹の中に突っ込んでいった!
北沢「たとえ百頭いようが、一度に戦うのは4頭までだぁ〜ッ!!」
そういう問題じゃないと思うが。ジャックと博士の目の前で、北沢は白熊にリンチにされた。
死ななかったのが不思議だ。
だが、翌日からも、この過酷すぎる特訓は続けられた。
最初は、1頭も倒せない日々が続いた。
しかし…
ドオォォーン
巨大な音を響かせ、ついに最後の1頭が倒れた。
もはや立っている白熊はいない。
ジャック「本当に…やっちまいやがった」
ジャックは、我が目を疑った。いや、やっぱりあの熊どもインチキだったんじゃねえか。そんなことさえ考えた。しかし、今、朝日の中に立ち尽くす北沢の姿は美しかった。
彼の後ろには100頭もの熊の無残な死体が、道をつくっているかのように転がっている。
ジョン博士は瞳を潤ませながら、ただ無言で頷いていた。
そして、北沢は…
北沢「……もう沢山だ……もうこりごりだ……」
「幾度もそう思ったハズなのに…」
ブルブルブル
北沢「もうこんなにドーピングしたい


場内アナウンス「青龍の方角、北沢&ジャック!」
ジャック「行こう北沢、生まれ変わったお前の力を見せてやるんだ。観客に、相手チームに、そして――刃牙に」
(続く)



スペシャル・マッチ!(12)〜マリックもびっくり超魔術の世界作:MBO

<前回までのあらすじ>
ジャック&北沢vs倉石&ナイフ使いの人! 刃牙と因縁深きこの二チームが激突する!!

場内アナウンス「白虎の方角、レンジャータッグ!」
倉石「き、来たぜとうとう…」
控え室、冷や汗だくだくの表情で倉石が言った。思わず、ごくりと唾を飲み込む。
ナイフ使いの人「あ、ああ…わかってるな、ぬかるなよ」
自分にも言い聞かせるかのようにそう言うと、ナイフ使いの人も立ち上がった。
緊張の為か、その足はぶるぶると震えている。
正直言って、二人はこの試合がイヤで仕方なかった。よりにもよって、あんなヤバげなチームと1回戦で当たる事になろうとは。下手をすれば、殺されるかもしれない。
倉石「な、なあ、やっぱり棄権しないか?」
ナイフ使いの人「バカ言うな。あれだけカッコよく登場しといて、今更そんな情けねえマネができるか。それともお前、扉の幻覚でも見えるのか」
倉石「そ、そんなこと、ねえけどよ…」

アナ「さあ、続いてレンジャータッグの入場です! おおッ!? 倉石の手に巨大なバケツが握られているぞォ? これは何かのデモンストレーションかァ!?」
バッシャーン
と、周囲の人間に疑問を持つ間も与えず、倉石はバケツの水を闘技場にぶちまけた!!
ジャック&北沢「………!?」
倉石「…す、すんませんバケツひっくり返しちゃって……」
慌ててジャックたちから目をそらし、すがるような顔で小坊主に言う。
小坊主「ちょっと、勘弁して下さいよ。……仕方ないなあ、おい、みんな!」
たちまち小坊主達が集められ、闘技場のコンディション直しとなる。
アナ「思いがけず小休止となりましたァ〜!」
観客席からブーイングが飛ぶ。
いぶかしむジャックたち。一方、レンジャータッグの方はとりあえずの作戦成功に一息ついていた。そして、10分後…
アナ「思わぬアクシデントで一時延期となりましたが、いよいよ試合開始です!」
合図をかけようとする小坊主。が、そこに、
ナイフ使いの人「あ、ちょ、ちょっと待って下さいっス! マジ待って下さいッス!
またも、レンジャー側から待ったがかかった。
チャッ
と、懐から自慢のナイフを取り出す。鉈の重さと、カミソリの切れ味。
アナ「出た〜ッナイフ使いの人必携のアイテムだァ〜〜〜ッ!!」
小坊主「あの、武器の使用は禁じられて…」
ナイフ使いの人「解ってんよそんな事、デモンストレーションだよ、デモンストレーション」
と言いながら、今度は大きな長方形型の紙を取り出す。いったいどうやって隠し持ってたのかってくらいの大きさだ。そしてそれを丁寧に、半分に折りたたむ。
アナ「半分に折ってもまだ縦に長い紙です! いったい何を始めようと言うのかァ?」
スパッ スパッ カカカカカッ
アナ「おおッものすごい速さで紙に切れ目を入れはじめたッ!! …何やら不思議な模様が…ッ」
タンッ
切れ目を入れ終わると、ナイフ使いの人は紙を広げてみせた。そこには…
アナ「ベッベルトです!!! 十億円のベルトの形に刻まれているゥゥ〜〜〜ッ!!」
観客「おお〜〜!!」
アナ「まるでノッポさんの世界だァ〜!!」
ナイフ使いの人「♪でっきるっかな でっきるっかな♪ ほれ倉石、お前も歌え!!
♪はてはてほほ〜♪
倉石「♪はてほほーっ
歌い出す二人。歌は陽気だが、表情は必死だ。
小坊主「(何のデモンストレーションだ?)と、とにかく両チーム、先鋒前へ!」
観客は沸いていたが、ジャックチームと小坊主は半分あきれていた。
倉石「ゲッもう始めるんですか、…は、はい…わかりましたぁ」
めちゃめちゃ嫌そうに返事して中央へ向かう倉石。明らかに脅えている。
アナ「さあ両チーム出そろいました、ジャックチームは北沢が、レンジャーチームは倉石が先手を務めます!」
倉石「アハハ……よ、よろしくね…」
北沢「………」
手を差し出す倉石、しかし、先ほどのことで怒っているのか、北沢は無言だ。
ガシッ
突然、北沢が倉石の手を掴んだ!!
ギリギリギリ…ベキッボキッ
倉石「ひいいぃぃ〜ッッ!」
(続く)




スペシャル・マッチ!(13)〜二人のグレート!!作:MBO

<前回までのあらすじ>
長かった前振りもようやく終わり、ついに一回戦最後の戦いが始まった!

ギリッ ミシッ ギシッ
アナ「う、腕をねじり上げるゥゥ〜〜ッ!!」
倉石「ひいいぃぃ〜ッ」
北沢「質問ッッ格闘ってのは何だ!?」
倉石「お、押忍ッドーピングに次ぐドーピングっス!!」
北沢「よォ〜〜し」
満足げに笑い、倉石の手を解放する北沢。
小坊主「りょ、両者もとの位置ッ!!」
泣きながら戻る倉石。
倉石「なあ、やっぱあいつらやべえよ、もうギブアップしようよ」
ナイフ使いの人「う、うむむむ…」
絶体絶命、レンジャータッグ。しかし、その時異変は起こった!!
小坊主「あの、両者もとの位置…」
びくつきながらも北沢に注意する小坊主。そう、北沢は中央から一歩も動いていなかったのだ。
ジャック「どうした、北沢…」
プルプルプル…と、北沢の全身が震えている。いや、痙攣していると言うべきか。
ドクター&紅葉「マッッ…」
ドクンドクンドクン
ドクター&紅葉「マックシングだッ!!
北沢「オオオオオオオオオォォッッ!!」
アナ「てッ天地を揺るがすかのような凄まじい咆哮だァ〜〜〜〜ッ!!!」
小坊主「は、始めいッ」
あまりの迫力に押され、小坊主はつい始めいコールを出してしまった。
ジャック「…………!!」
そして、
北沢「オゲエェェーー
限界ゲロ。
ゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲーッ
アナ「で、出てくる出てくるッ!! いったいどこにこれだけのゲロが隠されていたのか…ッ」
ゲロを吐き散らしながら暴れまわる北沢、そして不幸な事に、
バシャッ ビシャッ
前の方に座っていた観客達にもこのゲロは容赦なく襲いかかった!!
アナ「この戦いの聖ゲロを我々は避ける事を許されませんッ!」
席を立つ事も許されず、ゲロまみれになる観客達。
そして、当の北沢は一しきりゲロゲロやったあと倒れ、二度と立ち上がる事はなかった。
小坊主「勝負ありッッ
ナイフ使いの人「やったぜ、これを待ってたんだよォ! ただ時間稼いでるだけだと思ったか!」
倉石「えっ(←思った)」
ジャック「…お、俺は……」
アナ「なんとォー! 史上初、試合開始10秒で決着ですッ!!」
ジャック「俺はいったい何を見たんだ!?」


――控え室へと戻る通路を、ジャックは独り歩いていた。
茫然自失。彼は、未だに自分の身に起こった出来事をよく把握できていないようであった。
ただ、漠然と、「やっぱ刃牙と組んどきゃあよかった…」そんな思いが立ち込めていた。
そんな時。
ジャック「!」
通路の遥か先に去って行く人影に彼は気付いた。うつむき歩いていたため確信は持てなかったが、その人影は、手前にあるドア――刃牙チームの控え室――から出てきたようであった。
そして、その後ろ姿に彼は見覚えがあった。
ジャック「まさか…親父!?」
しかし、気付くのが遅かった為、その姿はもう見えなくなってしまった。
ジャック「…………」
範馬ブラザーズの控え室を覗くジャック。そこには、もう誰もいなかった。
ただ、机の上に範馬グレートのマスクと、一枚の紙が置かれてあった。
ジャック「だせえマスク…」
そう呟きながらもマスクをどけ、手紙を読んでみる。
ジャック「後楽園へ向かう、勇次郎…」
違う、裏だ! その裏!!
ジャック「こ、これは…」
使い回しのファックスの裏面には、小さな字でたった一行、
兄弟仲良く、元気でな…
そう書かれてあった。ジャックの脳裏についさっき見た父の背中が蘇る。
ジャック「う、…う…う……」
彼は本当に泣いていた。そして範馬グレートのマスクをおもむろに手に取り、かぶる。
グレートのマスクは、何故か懐かしい匂いがした。
ジャック「親父、グレートマスク、確かに受け継いだ!! 俺は絶対に、絶対に刃牙を優勝させてみせる!!」

なお、この頃、激昂した一部の観客たちが放送席に殴り込みをかけるというアクシデントが発生していたことを付け加えておく。
(続く)



スペシャル・マッチ!(14)〜遥かなる旅路さらば友よの巻作:MBO

<前回までのあらすじ>
レンジャータッグの知性がドーピングタッグのパワーを上回り、1回戦の全ての試合が決着!
ベスト4、出揃う!

高木「ハア、ハア…」
今、息を切らせつつも、必死になって東京ドームへと走る一人の男がいた。
高木「待ってろよ、加藤…」
神心会空手指導員高木――
高木「もうすぐ…もうすぐ、俺が行ってやるからよ…!」

――地下闘技場。
何のイベントも組まれておらず、平穏そのものな東京ドームの地下で、今、嵐のような歓声が巻き起こっていた。
アナ「範馬刃牙と範馬グレートの範馬ブラザーズ!!
烈海王とアレクサンダー・ガーレンの2000万パワーズ!
松尾象山とグレート巽のヘル・グラップラーズ!!
倉石とナイフ使いの人のはぐれレンジャータッグ!」
続々と、2回戦に勝ち残ったチームが入場する。
アナ「いずれ劣らぬ曲者ぞろいッ どのチームが優勝しても納得の顔ぶれです!!」
そうか?
アナ「地上最強の揃い踏みだァァ〜〜〜ッ!!」
ワァァァー、と大興奮の観客達。
刃牙「へっ、どうせ優勝するのは俺達に決まってんのに。な、親父」
範馬グレート(実はジャック)「あ、ああ…」

その頃、加藤のチームが1回戦で消えてしまったとも知らない高木は、ひたすらドーム目指して走っていた。
高木「ハアハア、やった…ついに見えたぞ、ドームだ…!」
しかし、その行く手に突如として小坊主達が立ち塞がる。
小坊主「高木さん、あなたを行かせるわけにはいきません!」
「あなたは神心会空手の指導員として公平な立場にあるお方、個人的な感情だけで
加藤選手の応援にいくのは許されないのです!」
高木「それは分かっている。だが、俺はあの人との戦いからいろんな事を教わった。
後輩として、あの人が苦境に陥っているのを黙って見ているわけにはいかないんだ!」
いや、分かってねえじゃん。

一方、地下闘技場ではちょっとした異変が起きていた。
烈&ガーレンチームが対戦相手をヘル・グラップラーズに代えろと駄々をこね出したのだ。
烈「完璧グラップラーの連中は我々の戦いを”堕落した”と言った。許し難い侮辱だ!」
そんなこと言われても。
ガーレン「あのチームと戦わせろ! すぐにだ!!
小坊主「ひ、ひいいい」
泣きそうな小坊主。辛い立場だ。
象山「相手が誰だろうと、我々は構わんよ」
と、自信満々の象山。また、刃牙チームも烈達よりは弱げなレンジャー達と戦う方がいいに決まっているし、レンジャータッグにしても象山達よりも刃牙チームとの方が戦いやすいのは自明の理だった。つまり、選手達にはこの申し出に反対するものはいなかったのである。
光成「フム、ま、よかろう」

ガシッ
小坊主「ぐわっ」
突然、何者かが高木の前に立ち塞がる小坊主を羽交い締めにした!
門下生「高木さん! ここは俺らに任せて、早く加藤さんの所へ行ってあげて下さいッ!」
神心会の門下生達だ!
門下生「仲間のピンチには迷わず駆けつける…俺達は高木さんに、そう教えて頂きました!」
「友情パワーっすよ、高木さん!!」
高木「みんな…」
教え子達の行動に、思わず涙する高木。
高木「俺は、今まで神心会のために尽くしてきた。そして、館長やみんなに認められて指導員になることができた。だが……俺は今、その多くの人々の期待を裏切り、たった一人の男との友情を貫くためにこの指導員の地位を捨てるッ!!
ダッ
再び走り出す高木。
高木「ありがとうみんな、そして、待っていてくれ…加藤!」

小坊主「た、大変です御老公、変な男が来て加藤選手に会わせろと…」
光成「なんじゃと? とにかく、モニターにうつして見せい」
パッ、と高木の姿が映し出された。
高木「加藤さーん、応援に来たぜーッ!!
制止しようとする小坊主達を引きずりながら、必死でカメラに叫ぶ高木。
相変わらず、加藤が一戦も交えることなく敗北したのは聞かされていないようだ。
光成「な、なんじゃあの男は…」
加藤「高木…」
突然のことに驚く加藤。
しかし、高木の友情に胸が熱くなり、溢れてくる涙を止めることが出来なかった。
光成「ん? 知り合いなのか、加藤」
加藤「え…いや…」
光成の問いかけに、加藤は流れる涙を拭おうともせずに答えた。
加藤「全然知らない人です」

高木は、小坊主に連行され、わめきながら消えていった。

アナ「準決勝第一試合、範馬ブラザーズvsはぐれレンジャータッグ!!」
(続く)



スペシャル・マッチ!(15)〜一寸の虫にも五分の魂?作:MBO

<前回までのあらすじ>
タッグ・トーナメント一回戦最後の試合が終了したその時、勇次郎は密かに控え室を抜け出した。それは、ジャックにグレートマスクを受け継がせるためだった!!
そしてトーナメントはついに準決勝に突入!
第一試合は刃牙&範馬グレート(実はジャック)vs倉石&ナイフ使いの人だ! 勝て、刃牙!!

――レンジャータッグ控え室
ナイフ使いの人「いいか倉石、10秒だ」
倉石「えっ」
ナイフ使いの人「10秒で決着を付ける」
また!?
倉石「ど、どうやって?」
ナイフ使いの人「確かに、俺達は以前より遥かに強くなった………だが、まだ刃牙たちにはまともにやったんじゃ勝てねえだろう」
と、ナイフ使いの人は言葉を切り、うつむいた。
ナイフ使いの人「なあ倉石、俺達の目標は何だ? このトーナメントで優勝することか?」
倉石「い、いや、それは最大トーナメントの時に招待してくれなかった刃牙に復讐すること…」
なんと、この二人は刃牙が最大トーナメントに呼んでくれなかったことを恨んでいるのだ!
ナイフ使いの人「そうだ……そして…範馬一族は飛び道具に弱い!!」
と、ナイフ使いの人の目が妖しく輝いた!
倉石「ま、まさか……あれをやる気かッ!!
ナイフ使いの人「その通りッッ名付けて倉石マグナム!!
今名付けるな。

場内アナウンス「準決勝第一試合、範馬ブラザーズvsはぐれレンジャータッグ!」
刃牙「ふう、久々の登場だぜ。それにしても相手がレンジャータッグなんて弱すぎだっちゅーの、なあ、親父?」
範馬グレート(実はジャック)「ア、アア、ソウダナ…」
ぎこちない返事を返すジャック。喋り方がカタカナに戻ってるぞ。
ナイフ使いの人「ふっふっふ刃牙、今日が貴様の命日だ」
と、自信満々でレンジャータッグも入場してきた。
<ここらで解説>
倉石マグナムとは、倉石の巨体を活かしてその陰に隠れたナイフ使いの人が、倉石の背後からいきなり飛び出し、自慢の飛び出すナイフを相手に発射するという奇襲技だ! スゲエ!
<解説終わり>
刃牙「なんだこいつら、ニヤニヤしやがって…」
範馬グレート(くどいけどジャックね)「(ム、モシヤマタ何カ企ンデイルノデハ…)」
アナ「さ〜あ待ったなし、決戦の時が来たッ!」
小坊主「両者もとの位置ッ」
ナイフ使いの人「(刃牙よ、お前はあの時、最初からスペツナズ・ナイフを使っていれば俺が勝っていたと言った……今、それをやらせてもらうぜ!)」
範馬グレート(もういい?)「刃牙、気ヲツケテイケヨ……何カ作戦ガアルノカモ知レン」
刃牙「なァ〜に言ってんだよ親父、あいつらバカだし、そんなのねえって」
小坊主「始めいッッ」
ナイフ使いの人「いくぞ倉石ッ」
倉石「おおッ!!」
ナイフ使いの人「ダリャァァァーッ!!」
ドシュッ
刃牙「!」
範馬グレート「危ナイッ!!」

ズカッ

……ナイフは、深々と闘技場の柵に突き刺さっていた。
一瞬早く奇襲に気付いたジャックが、刃牙を突き飛ばしたおかげで外れてしまったのだ。
アナ「こッこれは深刻な反則だァ〜ッ!!」
小坊主「勝負ありッッ」
騒然となる場内。
ナイフ使いの人「ちっ、外れちまったぜ」
倉石「ま、まあいいじゃん、痛い思いせずに失格になれたし…」
すごすごと退散するレンジャータッグ。
場内アナウンス「レンジャータッグの反則負けにより、範馬ブラザーズ決勝進出です」
観客席の反応はブーイングと拍手が半々と言ったところだ。何故に拍手?
ナイフ使いの人「それにしても刃牙め、運のいい野郎だ」
と、控え室に戻るべく通路を行くレンジャー二人。が、しかし…
倉石「お、おいアレ…」
恐る恐る指差すその先には…!
勇次郎「キミタチ、反則はいけないなァ
ポキッペキッと指を鳴らす勇次郎、明らかにムカついている。
二人「たッたしゅけて〜〜」
バキッドカッゴッ


アナ「それにしても危機一髪でした、刃牙選手!」
範馬グレート「危カッタナ、刃牙…」
と、刃牙に怪我の無いことを確認するジャックだったが…
刃牙「お、親父その頭は…?」
範馬グレート「頭?」
そう、刃牙をかばった時、スペツナズ・ナイフがグレートマスクをかすめていたのだ!
ジャックの頭(ハゲ)が、わずかだが露出している!!
刃牙「その頭はいったい……」
(続く)



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