スペシャルマッチ! 外伝 (7)〜(最終話)
スペシャル・マッチ!外伝(7)〜ドラネコ(前編) 作:MBO
<前回までのあらすじ>
金だらいが後頭部に当たって流血だと?
アナ「知念さん、ダッウ〜〜〜ンッ!!!」
突然、金だらいの直撃を後頭部に受け、知念さんはリング上に大の字にのびてしまった。
観客「おいおいおい!」「いくらなんでもッ」「そこまで貧弱!?」
まさかの展開に観客たちも興醒めしたのか、暴動は鎮まりつつあった。
流石に彼らも、地下闘技場の闘士(じゃないけど、一応格闘家)ともあろう者が、いくら不意打ち
だったとは言え一般市民の攻撃で沈むとは予想していなかったのだ。
ピクリとも動かない知念さん。次第にざわめきが客席を支配してゆく。
観客「…マジかよ、おい」「死んだんじゃないよね…」
アナ「ちょっ…、本部さん、救急車を呼んだ方がいいんでしょうか……」
こんな雰囲気ではアナウンサーも不安になるってもんだ。もしもの場合、責任は誰にあるのか?
だがしかし、本部は微塵も動じていなかった。
本部「いや、大丈夫だ。君は、我々格闘家という人種を低く評価しすぎとるようだな?」
アナ「…いや、(お前らヘッポコ格闘家を低く評価してるんだよ)…でも、審判の小坊主さんも
戸惑ってるようですし…」
本部「真剣勝負だぜ」
アナ「ハア?」
本部「審判がどう判定しようが知ったこっちゃねえだろ……見ろ、栗木を」
と本部の指差す方に目をやると、栗木が倒れた知念さんの方に向かって歩を進めている所だった。
アナ「ああッ、い、いつの間に! 卑劣にも栗木、既にダウンしている知念さんに向かって
なおも徹底的にトドメを刺すつもりか〜〜〜〜ッ!?」
ズチャッ ズチャッ ズチャッ
栗木「それが板垣イズムってもんでしょ。ねえ先生」
アナ「誰に言ってるんだ栗木〜〜〜ッ!!」
栗木はアナウンサーの批判など気にかけた様子もなく、余裕たっぷりの風で知念さんに近づいて行く。
観客「知念さん、逃げろオォッッ!!」
我を忘れた知念さんファンの一人が、恥ずかし気も無く絶叫した。
しかし、知念さんは立ち上がらない。
アナ「ああ〜〜駄目なのか知念さん、立ち上がれないのか〜ッ!?」
ズチャッ ズチャッ
迫り来る栗木の脅威に気付かないのか、知念さんの目は虚ろに宙をさまよっていた。
そして、誰にも…栗木にも、観客にも、届いてはいなかったが、彼の口は歌を口ずさんでいたのだ!
知念さん「♪お魚くわえたドラネコ♪追〜おっかけ〜て〜♪チャーチャラッチャー♪」
てなわけで回想シーンにゴー。
(後編に続く)
スペシャル・マッチ!外伝(7)〜ドラネコ(後編) 作:MBO
<前回までのあらすじ>
知念さんの回想シーンが今、はじまる!
それは、ある蒸し暑い夜の事だった。
日が出ている間に”0,99999999999999999989999999999……”
と紙を繋ぎあわせながら書き続けていた知念さんは、いつまでたっても”1”にならないので、
いい加減疲れて眠ろうと思っているところだった。途中でうっかり間違って8を入れてしまった
ために、余計に”1”から遠ざかってしまった気がしていた。
しかし、心身ともに披露しているのに、うだるような熱気が安眠を妨げる。
知念さんは掛け布団を払いのけ、何とか眠ろうとしていた。
そして、ようやくウトウトと寝つきかけていた時だった。
ブ〜〜〜ン
と、一匹のハエが、人の気も知らず寝室に侵入してきたのだ!
さすがの人格者・知念さんも、これには頭にきた。
ガバァッ!
と、突然飛び上がり、18番のマッハパンチを繰り出す!!
シーーーン
知念さんの突き一つで、再び室内は夜のしじまに閉ざされた。ハエの姿はどこにも見えない。
満足げに頷いた知念さん、今し方自慢の突きを放ったばかりの拳に目を移す。そこには……
知念さん「〜〜〜〜ッッ!!!」
なんと、叩き潰してやったとばかり思っていたハエの野郎が、悠々とあぐらをかいていたのだ!
アナ「ハエもとまる超遅拳だァーッ!!」
と、この場にアナウンサーがいたら叫んだであろう。
知念さんは、己の未熟さに対し、やり場の無い怒りに襲われていた。
……と、こんなことを書いても笑わないで欲しい。
知念さんだって格闘家の端くれ(本当に端くれだが)、拳の握り方について悩みつづけた日々
だってあるのだ。3日ぐらいは。
そんな屈辱の日から、時は下って199X年、東京ビッグサイト・コミックマーケット5X。
渦巻く人間の波の中に、知念さんの姿があった。こんな時でも、知念さんの服装は拳法着であった。
「神心会のコスプレだなんて言う奴がいたら、説教してやる」と勝手に息巻く知念さんだったが、
現実は非情である。後ろの方で、彼の事を指しているらしき女の子達の会話が聞こえてきた時、
知念さんは憤りを通り越して愕然としてしまった。
女の子「ねー、あそこの背の高い人、空手着きてるよー。極限流のコスプレかなー?」
「え〜でもハゲてるし〜、なんかダサー」
何と言う事だ。ここにきている連中は、『グラップラー刃牙』のことなど知ってすらいなかったのである。
やけっぱちになった知念さんは逃げるようにその場を去り(ちゃんとマナーは守って走りませんでしたよ)、
お目当てのジャンルの本を物色する事で気を紛らわそうとした。ちなみに、そのジャンルとは残念ながら
格闘ではなく、主にパロディ系である。
知念さん「ん……これは…」
と、知念さんの目をとめた一冊の本があった。サザエさんのパロ本である。
知念さん「ふむ……」
”立ち読みは御自由にどうぞ”の札にしたがって読み始める知念さん。なかなか感心している様子だ。
一般に、サザエさんのような作品は過激な劇画タッチの漫画と組み合わされたりする事が多い
(と思う)が、その本は違った。いたって普通の、文字どおりのサザエさん本だったのだ。
知念さんは値札に目をやり、これで200円なら買いかな、などと思いつつページを繰っていた。
その時である。
一番最後のページの、愚にも付かぬ一つのギャグが、一人の格闘家の運命を変えた。
知念さん「……ッ!!」
それは、サザエさんお馴染みのジャンケンのパロディで、実も蓋もない言い方をすれば、サザエ
さんが「必殺グーチョキーパー」を出す、というシロモノだった。
テーブルを挟んだ向かいでは、売り子の青年がちょっと不安気な顔つきで知念さんの巨体を
見上げている。本を持つ知念さんの手はプルプルと震え、その表情にはありありと歓喜の様相が
浮かんでいた。
知念さん「こッ……これかあッッ!!!」
突如、知念さんが広い会場いっぱいに響き渡るかのような大声で叫んだ。
売り子の青年を始め、周りにいた人々が何事かと言うような視線で知念さんを見つめる。
知念さん「師匠…」
売り子「師匠!!?」
知念さん「免許皆伝、確かに受け取りましたッッ!!
本日この場より、小林流の看板あげさせて頂きますッ!!」
間もなく、知念さんは駆けつけたスタッフ一同に取り押さえられた。
→回想シーン終わり! 次回に続く!!
スペシャル・マッチ!外伝(8)〜奥義対奥義!(前編) 作:MBO
<前回までのあらすじ>
迫り来る栗木をよそに、流血した知念さんは勝手に回想シーンに突入!
そして今、回想シーンは終わった!!
ズチャッ ズチャッ ズチャッ
ゆっくりと、ダウン中の知念さんに向かって行く栗木。
アナ「とどめを刺さんと、”地上最弱の生物”が近づいて行く〜〜!」
ズチャッ ズチャッ
観客「立ってくれ、知念さん〜〜!!」「ガンバレ知念! ガンバレ知念!!」
知念さんファン達は、もう半泣き入っていた。
観客「俺達の知念さんが、栗木ごときに負けてたまるか〜〜ッ!!!」
と、その時。
ピタッ
栗木の足が止まった。
一同「!」
バオッ
突然、知念さんの身体が舞いあがり、カッコ良くリング上に仁王立ちになったのだ!!
アナ「た、立った!!!」
そして知念さんは、そのまま足をふらつかせてカッコ悪くすっ転んだ。
一瞬唖然となった場内はたちまち陽気な笑いに包まれる。
観客「わはははははは」
アナ「ププッ、本部さん、流石の知念さんもダメージが隠し切れないようですね…」
口に手を当てて笑いを押さえながら話しかけるアナウンサー、だが、本部からの返事はなかった。
アナ「…………」
見ると、本部は心底愉快げに、口元をニターッと歪ませて、くっくと卑らしく笑っている。
恐らく、自分より下の格闘家がいることに気をよくしているのだろう、とアナウンサーは思った。
アナ「(こうなっちゃ格闘家もお終いだよな)さあ、落ち着いて、再び立ち上がります、小林流・
知念さん! 汚名挽回なるか〜!?」
汚名を挽回してどうする、と心の中で愚痴りながらも体を起こす知念さん、
知念さん「(もしかして、私は馬鹿にされているんだろうか…?)」←今ごろ気付くなよ
と顔を上げて見てみると栗木までもが表情を引き攣らせ、必死に笑いを堪えている所であった。
知念さん「…………!!」
途端にぶち切れそうになった知念さんだが、何とか歯を食いしばって怒りを押さえる。
そうだ、私は人格者。
知念さん「決着を付けよう、栗木くん」
スッ…とファイティングポーズをとる知念さん。その動作で、場内の笑い声もやんだ。
知念さん「栗木拓次というイロモノの男を相手に、真面目に勝負を挑むことの愚を思い知った」
と、拳を薬指と小指だけ握って後は開いたままという例の形にし、栗木に向けてみせる。
知念さん「戦いとは、元来じゃんけんのような物だ。AがBに勝ち、BがCに勝ったからと
いって、AがCより強いということにはならない…」
アナ「ああ〜ッ、回想シーンだけでは飽き足らず、試合中に語り開始です!!」
とうとうと知念さんの口から紡がれるありがたいお説教の数々。烈海王か、お前は。
知念さん「だがしかし、この”無敵の正拳”ならばッ!!」
その時、それまで大人しく黙って話を聞いていた栗木が動きを見せた。
しかし、しゃべくりモードに入っている知念さんは気付かない。
知念さん「この”無敵の正拳”ならば、あらゆる格闘技に…ッ!!」
メチイッ!!
知念さんの顔面に、栗木のパンチが決まった!
アナ「な…ッ!?」
吹っ飛ぶ知念さん、
ズズゥ〜〜〜ン
ロープを越えて、リングの外に、派手な地響きと共に落下した。
栗木「よく喋りやがんなァこいつ」
アナ「何ですかコレはぁ〜〜〜〜ッ!!!」
(後編に続く)
スペシャル・マッチ!外伝(8)〜奥義対奥義!(後編) 作:MBO
<前回までのあらすじ>
栗木のパンチが知念さんの顔面に炸裂! こんなことがあってもいいのか〜!?
アナ「な、何ですかコレはぁ〜〜〜〜〜ッ!!!」
いきなりの事に、場内は騒然となった。誰もが、我が目を疑った。誰かが遠くで、アンビリー
バボーと連呼している。
アナ「ちょッ、本部さん! こんなことがあってもいいんでしょうか!!? あの栗木の攻撃が
マトモに…ッ!!」
未だに自分の見た物が信じられないアナウンサー、それは本部も同様だった。
本部「奇跡が出よったか……」
アナ「き、奇跡?」
本部「そうだ。今の拳を放った栗木の構えを見てみろ」
アナ「あっ…、言われてみれば、あの構えは…」
それは、タッグトーナメント編で見せた、秘奥義・剛体マッハ拳の構えであった。
本部「あの剛体マッハ拳の関節の動かし方を覚えているか」
アナ「え、ええ。確か剛体術とマッハ突きの中間の発想、全身の関節をてきとうに
動かすとかいう…」
本部「そうだ。そして万が一、億が一、いやそれ以上の…限りなくゼロに近い確率で、その
デタラメな関節の動きが偶然うまく連動したとしたら……?」
アナ「したとしたら…!」
本部「そうだ。あんな具合に、フツーにパンチが打てる」
アナウンサーは、盛大にずっこけた。そんなアホな。たかだかパンチ一発打つのに、そんな。
しかも、その無限大分の一が、今、目の前で起こっただなんて。
その時、場外で倒れていた知念さんに向かって、栗木が声をかけた。
栗木「起きなやボウヤ…」
アナ「ああ〜、な、なんと栗木、大先輩に向かってボウヤ呼ばわりです! 何という慇懃無礼!!」
違う、こんなのは只の無礼だ! と内心毒づきながら知念さんが立ち上がる。
そしてロープを越えてリングに戻った彼が見たものは、再び剛体マッハ拳の構えをとる栗木の姿
であった。
アナ「ななな! 何ということでしょう、栗木!!! 無限大分の一の確率でしか成功しないという
秘奥義・剛体マッハ拳で、二度目のドジョウを狙うつもりか〜〜〜〜!!!!」
およそ正気の沙汰とは思えない、信じ難い光景である。しかし栗木は、その無限大分の一に全てを
賭けたのだ。
本部「馬鹿…」
本部の目から、涙が伝った。
知念さん「いいだろう……勝負だ栗木くん!!」
右手を御自慢の”無敵の正拳”の形に握り、知念さんが走る。
必殺の”剛体マッハ拳”で栗木が迎え撃つ。
この一撃が勝敗の分かれ目となることを、細胞が知っていた。
観客「うおおおお〜知念さあああああん!!!」「み、見えないッ! 涙で栗木が見えない!!!」
最後の対決を予感し、観客達が総立ちとなる。
”答えは至って単純、栗木の伝統派空手と知念さんの小林流拳法、どっちが上か?”
アナ「奥義対奥義の激突だ〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」
カッ
………そしてその日、観客たちは勝者のいない戦いを見た。
→次回、感動の最終回! みんあアリガトウ!!
スペシャル・マッチ! 外伝(最終回)〜馬鹿(ばか)(前編) 作:MBO
<前回までのあらすじ>
必殺の”無敵の正拳”で知念さんが走る!
秘奥義”剛体マッハ拳”で栗木が迎え撃つ!!
知念さんの小林流拳法と栗木の伝統派空手、いったいどっちが下なのか!?
弱者対弱者、へっぽこ対へっぽこ、知念さんvs栗木がここに決着!
―――その日、観客達は敗者しかいない戦いを見た。
ペチッ
観客「……え?」「…おい…」
東京ドームのド真ん中に設置されたリングの中に、観客達が見たものは、お互いの胸に拳を
叩き込んでいる(ように見える)栗木と知念さんの姿だった。
観客「今、なんか”ペチッ”って……」「………ああ……」
永遠とも思えるような、それでいて短い沈黙が、辺りを支配していた。
観客達は、驚きを通り越して呆然としていた。
二人の格闘家が、それぞれ己の命運をかけて放った最後の必殺技同士の激突のハズである。
視覚は、確かにその劇的瞬間を捉えた(ような気がする)が、聴覚が意外な反応を示していた。
……いや、”ペチッ”って………。
栗木ファンも知念さんファンも、誰もが我が耳を疑った。中には、まさか人間の耳には聞き取れ
ないような崇高な音が響いたのではないか、というような(愚かな)事を考えた者さえいた。
アナ「あ、あ、あの、本部さん…」
本部「………う、うむ…」
アナ「ちっとも痛くなさそうなんですけど」
かたやリング上、注目の的である二人のライバルたちは、この僅かな時間の内に、恐るべきことを
やってのけていた。深く心を通わせえた者たちのみができる、アイコンタクトである。
彼らの瞳は、こう語っていた。
知念さん「栗木くん、ダメージはあったかね?」
栗木「全然」
知念さん「私もだよ、栗木くん」
栗木「知念さん……」
その時、二人の心は一つになった。一瞬の内に判断をし、二人はそれぞれ自分の体を大きく後方へ
と跳躍させた!! ………あたかも、相手の攻撃を食らって吹っ飛んだかのように。
ザンッッ
二人は同時にダウンした。
知念さん「ぐふっ」
栗木「ガハッ」
嘘臭い断末魔をあげる。
アナ「ああ〜〜〜ッ、ダ、ダブルK・Oです!! 何か、”こうしておけば手堅く
まとまるだろう”と言うような安易で無難な発想がひしひしと伝わってきます!」
小坊主「勝負ありッッ」
もうどうでもいいやって感じで、小坊主が宣言した。
(後編に続く)
スペシャル・マッチ! 外伝(最終回)〜馬鹿(ばか) 作:MBO
<前回までのあらすじ>
ついに決着、栗木vs知念さん!!
驚天動地のトホホな結末に、客席の反応は……!?
アナ「なんと、両者ノックアウト〜〜〜ッ!! 前代未聞の幕切れですッッ!!!」
必死になってしゃべるアナウンサー。
しかし、客席は沸かない。
彼らは一様に言葉を失っていた。感極まって、むせび泣いているわけではない。言い知れぬ倦怠感
のようなものが、客席に渦巻いているのである。タチの悪いどっちらけムード、と言えば解かって
もらえるだろうか。
アナ&本部「………」(←何となく、本能的に危険を察知した)
みっちゃんと小坊主達は、早々と撤収に入っている。
彼らも、観客達の発する凶悪なオーラを感じ取ったのだろう。
と、その時、リング上の二人がよろよろと体を起こした。
アナ「あっ、栗木と知念さんが…」
周りの険悪な雰囲気も何のその(と言うか気付いてない)、戦い終わった二人の顔には、
すがすがしいまでの微笑みが広がっている。
栗木「知念さん…」
知念さん「栗木くん……」
お互いに歩み寄っていく二人。
そして、どちらからともなく手を取ると、高々と天高く掲げてみせた。
栗木「アンタが…」
知念さん「君が…」
二人「本当のチャンピオンだ!!」
その瞬間、観客達の怒りは頂点に達した。
アナ「ああ〜〜〜ッ、目茶目茶わざとらしいぞ、知念さん&栗木〜〜〜〜〜ッ!!」
絶叫するアナウンサーだったが、しかし、マイクという近代科学を使った彼の声も、原始的な
怒りから来る観客達の罵声と騒音に掻き消されてしまった。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
彼らはその怒りの元凶であるリング上の二人の格闘家に、然るべき報いを食らわしてやらんと
憤怒の形相を浮かべて殺到した。
観客「殺すぞ栗木、コラァーーッ!!!」
「知念のドアホ、死ねやボケーッ!!!」
栗木&知念「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!!!!」
ドーム内は蜂の巣をつついたような騒ぎとなり、キレた観客達は狂ったように暴れ始めた。
辺りはまさに修羅場、ほとんど地獄、と言ってもいいくらいの惨状と化した。
そして、二人の主役は、ボコボコにぶん殴られた。
栗木&知念「はひィィィィ〜〜〜〜〜〜ッッ」
翌日。相変わらず、天気は快晴であった。
マルチが刃牙に手刀を叩き込む看板が、陽射しに反射してきらめく。
都内某所、同人サークル「だったらイケるぜッ!」本部ビル。
下っ端「あットラさん!! おはようございますッッ!!!」
トラ「ああ…」
管理人・トラは、体中に包帯や万創膏を帯びていた。
下っ端「あ…、ど、どうしたんですか!? そのケガ……」
トラ「大したこたねえよ。ちょっとした騒ぎに巻き込まれただけだ」
そう言うと、彼は自室に入りテレビをつけた。
ちょうど、ニュース番組をやっていた。
キャスター「……昨日、東京ドームで起こった暴動に関しては、依然として詳しい事情は分かって
おりません。彼らは”栗木・知念・殺す”などと口汚なく罵り……」
ニュースキャスターは、とりあえず暴動の大きさに比べてケガ人が少なかったのは幸いだったと
述べ、しかし現場に居合わせた二人の格闘家が重傷で病院に運びこまれたと付け加えた。
キャスター「警視庁ではこの事件の捜査について、FBIに協力を求め………」
トラ「フッ」
彼は、ニヤリと笑って言った。
トラ「百年かかったってワカりゃしねえよ。
FBIごときにゃな」
(完)
スペシャルマッチ! 外伝
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