なんか突き抜けちゃった呂布は変人なりに、君主らしくなった。
投降してきた劉備をどう裁くのか?
君主としての判断力が試される!
判決は髠刑(こんけい)!
陳宮も納得の名裁きだ!
まあ、こういう裁判は裁判官の仕事だから君主自ら裁くことはあんまりないハズだ。
編訳:立間祥介『東洋文庫 中国講談選』には龐統(ほうとう)の名裁判という演目がのっていて、文字通り龐統(ほうとう)が名裁判官っぷりを披露している。
立間祥介は『人形劇 三国志』の監修もしていたためか、人形劇でも同じエピソードが使われている。(第38話「玄徳の失敗」)
で、劉備は頭頂を剃られました。
当時は髪に力が宿ると信じられており、髪を剃られるのは屈辱的な行為なのだ。
なにしろ冠が乱れるだけでも、結構気にする。
首を吊るときだって、冠はしっかり残るように気をつけるのが身だしなみらしい。
『ラストエンペラー』(AA)や『大地の子』(AA)でも頭頂を剃られるシーンがあった。
20世紀半ばぐらいまでは充分に通用する屈辱的な行為だったのだろう。
曹操軍は劉備救出と呂布撃破を目指して出陣する。
かつて民を虐殺しまくった徐州での戦いだ。
征服に成功しても、民の忠誠度はきわめて低いんだろうな。
軍師の荀イクと郭嘉も、どう攻略すべきか悩んでいる。
曹操はなにか考えているようであり、なにも考えていないようでもある。
社長にするには、ちょっと重い人だよな。
当面の敵は呂布だ。しかし、曹操の目は最大の敵である袁紹をにらんでいる。
戦いとは常に二手三手先を考えて行うものだ。
歴史上の話をすると、曹操と袁紹は袁術に対抗するため同盟を組んでいる。
呂布は袁術派だ。
袁術・呂布を倒した場合、敵がいなくなり同盟を組む意味も失せる。
ところで、曹操と袁紹は皇帝(献帝)の扱いをめぐって政治的に対立していた。
二人の激突は避けられない問題なのだ。
話をもどす。
呂布陣営には曹操に通じる人間がいた。
陳珪(ちんけい)・陳登(ちんとう)の親子だ。
二人は巧みな弁術で呂布を籠城させる。
呂布の強味は、騎馬による攻めだ。守っては実力が半減してしまう。
この勝負、もらった!
そんなふうに考えていた時期が陳親子にもありました。
呂布の絶倫は想像も常識も超えるものだった。
ダンゴ三兄弟も泣いて逃げだすような串刺しっぷりだ。
槍一本で五〜六人は刺しています。
文字通り兵は蹴散らされ、舞う。
これが、純粋戦士・呂布の底力だ!
もはや関羽でもタイマン勝負できないかもしれない。
曹操陣営で対抗できる人材はいるのだろうか?
名乗りをあげたのは新人軍師の荀攸(じゅんゆう)だった。
武に武で対抗するのではなく、智で対抗する。
その策とは、冬の冷たい水で、水攻めッ!
荀イクも涙する、農地を不毛とさせる非情の策だ。
無敵の呂布も、水には勝てない。
純粋戦士は純粋戦士ゆえに、策に敗れるのか。
・蒼天雑学
・陳珪(ちんけい)・陳登(ちんとう)
徐州のほこる策士親子だ。
前から気になっていたんだけど、劉備の統治時期にはナニやっていたんだろう。
劉備には軍師がいないのが問題だといわれてきた。
徐州時代に仲間にしなかったのだろうか?
劉備は陳登を高く評価している。(呂布伝・附 陳登伝)
ということは、さそったけどフラレたのだろうか?
劉備の人たらしにも限界があるという証明となる人物だろう。
陳登は有能な人物であったが、39歳の若さでなくなった。
もっと長生きすれば、三国志におけるメインキャラになれたかもしれない。
今回の話は、蒼天航路(文庫版)6巻「その百二十七 陳宮の決意」から6巻「その百三十一 雪を走る水」まででした。
(更新2009/8/31)
曹操による非情の水攻めで城は水没した。
さすがの呂布も水には勝てまい。
人は人にしか勝てないのだ。
そのころ、地下牢に閉じこめられていた劉備たちは死亡寸前だった。
地下のくせに、また水没していないのが劉備の奇跡力でござる。
でも、やっぱりこんな目に合ったのは劉備が悪いと思える。
コイツの第六感は1日生きのびるためだけに働いているっぽい。
せめて、一ヶ月先のことも考えようよ。
奇跡で数十分だけ生きながらえてもなぁ。
絶体絶命の劉備は名もなき老侠に助けられる。
最後に頼れるのは、劉備の人徳だったらしい。
逆にいえば劉備には人徳しかないのだろう。
老侠は命をかけて劉備をすくってくれた。
それは、劉備が命をかけて徐州を救ったことへの恩返しだ。
……劉備はどれくらい真剣に命をかけていたんだろうか。
すぐ逃げるから、いまいち信用度が足りない。
窮地を救う守りの人徳転じて、攻めの人徳ッ!
人望をつかませれば、劉備は恐い。
たちまち、呂布陣営の兵士を掌握しちゃったぞ。
曹操(為政者)視点で見たら、劉備ってのはタチの悪い才能だよな。
自分じゃなにもできないけど、人を扇動することは得意だ。
ある意味、大将の器なんだろうけど。
城を失いながらも、呂布は戦うつもりだ。
今日の呂布はキレイな呂布である。
そして、陳宮号泣でした。
だが、陳宮は降伏派に拘束されてしまう。
篭城を献策したのは陳珪親子で策を採用したのは呂布だ。
でも、呂布の部下たちにすれば、軍師筆頭の陳宮が最大戦犯に見えるのだろう。
武官と文官の軋轢ってヤツは昔からあるのだ。
最後の味方である陳宮をうしない、ただ一騎となりながらも、呂布は特攻をかける。
見よ、人がゴミのようだ。
というか、人の血で噴水というか、津波が発生しているんですけど。
この特攻による曹操軍の損害は何万人だろう。
いくらなんでも想像外すぎて、荀イクも驚愕するしかない。
原作よんでる私ですら驚いたんだから、荀イクはもっと驚いただろう。
呂布、強すぎだよ。
連邦の新型にも勝てそうな強さだ。
その武は強大すぎる。
ここだけ見たら、今川監督作品みたいだ。
マジンガーZに素手で勝てそうだぞ。
まさか、三国志でこれほど高度な空中戦を見ることができるとは。
だが、さすがの呂布もついに力つきる。
四方八方から鎖をかけられ、矢を放たれ、槍を投げられた。
たった一人に、曹操軍が全力で攻撃している。
呂布は最後まで前進しようとしたまま縊り殺された。
純粋戦士は敗れてなお ひざまずかぬ。
呂布を一騎討ちで倒せる武将は存在し得なかった。
だが、最強の武であっても集団の力には勝てない。
武将の時代は終わり、軍師の時代が始まろうとしていた。
とらわれの軍師・陳宮は曹操からの誘いを蹴って、呂布に殉じる。
アニメではカットされたけど、呂布の片腕である高順(こうじゅん)も死を受けいれた。
呂布陣営はこうして瓦解したのだ。
もう一人の呂布の片腕・張遼(ちょうりょう)は城外で活動していたため、捕縛をまぬがれていた。
張遼は城にもどり、呂布の死を悼む。
いままで最強の武を目指していた。
武の具現者である呂布が死んだため、生きる目標も消えた。
目標を定めると言うことは限界を作ることだ。
まだ見ぬ最強に戦慄するのが武の心であろう!
我が軍に残り最強の武を求めよ!
いつものように、なんかダマされた感じだけど、張遼は最強の武を目指して曹操陣営に入るのだった。
やっぱり怪しげな勧誘という気がしてならない。
あえて追い込まれるような状況になって、武を振るいまくるつもりなんだろうか。
・蒼天雑学
・三国志の篭城
中国では、街を丸ごと城壁で囲っている。
兵士も住民もなかに篭って敵と戦うのが、中国式の篭城だ。
もっとも、日本でも城内に住民を入れる場合があるそうです(立ち入り制限があるけど)。(雑兵たちの戦場)
敵は城の外で略奪をしほうだいなものの、食糧がなくなったら引き返さなくてはならない。
つまり、敵の補給事情や城壁の防衛力が問われる戦いなのだ。
また、防衛側の兵糧も問題になる。
兵糧切れになったら、それはもう悲惨だ。
前に書きましたが、臧洪(そうこう)伝(三国志 2)は、悲劇の代表みたいなものだ。
なにしろ『薄い粥を作り、みんなに分けてすすらせ、自分の愛妾を殺して将兵たちに食べさせた』ほどだ。
篭城は攻撃側にも被害が多くでる戦いであり、なるべくなら取りたくない作戦なのだろう。
今回の話は、蒼天航路(文庫版)6巻「その百三十二 門を開けろ!!」から6巻「その百三十六 最強への道」まででした。(更新2009/9/7)
曹操が呂布たちと壮絶な死闘をしていた頃、はるか北では袁紹と公孫瓚(こうそんさん)が争っていた。
今までもたびたび登場していたが、袁紹は名門袁家の男であり、袁術の兄(または従兄)だ。
家柄・外見・評判と三拍子がそろい文武に優れた人材を擁している。
いっぽう公孫瓚は卑賤な母の子として生まれた。
容姿美しく大声の持主だったので、見出されて出世する。
理由は知らないが、北方の騎馬民族・烏丸(うがん)に異常な敵意をもっていて、よく攻撃を仕掛けていた。
公孫瓚が指揮する白馬のみで構成された騎射の精鋭部隊「白馬義従」は、当時でも強力な騎馬部隊だ。
名門と成り上がりの戦いは、名門・袁紹の勝ちに終わった。
公孫瓚と戦っていたころの袁紹は胆力のある大将だ。
ぎゃくに公孫瓚は部下を見殺しにするなど、器の小さいところがあり、人心を失っていく。
また、袁紹は烏丸と協力関係をむすんで戦っている。
個人の武勇だけでは、知略には勝てないのだ。
公孫瓚も呂布とおなじく時代に敗れる。
呂布が敗れ、公孫瓚が敗れたのは、武の終焉をつげるものだった。
そして、もうひとつ意味がある。
曹操と袁紹は緊急の敵を倒したということだ。
反董卓連合のころから曹操と袁紹は協力体制にあった。
お互いに敵を抱えていたため、今までは同盟状態が保てた。
だが、いまや敵はいない。(正確には、まだ袁術がいるんですけど)
献帝の存在をめぐって二人は政治的に対立している。
両雄ならびたたず。
中華の支配権をめぐって、二人の対決はさけられない状況になりつつある。
曹操の足元でも陰謀がうごめいていた。
献帝の貴人(側室)の父である董承(とうしょう)が、曹操への反乱を画策している。
とは言っても、献帝も董承も軍事力をもっていない。
だから、だれかの力を借りる必要がある。
そこで劉備に目をつけたのだ!
大丈夫なのか?
劉備って、わりと不幸を呼ぶ男だぞ。
むしろ曹操のしたにいるだけで自動的に組織をダメにしてくれそうな感じがする。
よっぽど人手に困っていたのだろうな。
劉備は曹操と身近に接して、いまさらながら偉人っぷりに驚く。
だが曹操のつくる世界は成長をしいる拡大社会だ。
成功者と失敗者の差が広がる格差社会ともいえる。
曹操どんは、とんでもなく おっかねえんだよ。
宴会にかこつけて、劉備は曹操暗殺を依頼される。
やっぱり劉備にまかせるのは心配だ。
そして、天も曹操の存在を必要としているらしい。
落雷により、劉備たちは武器をすてる。
曹操は雷に愛されているな。
ケチくさい行動は天子のする行為ではない。
劉備は雷に阻まれたこともあり、王道で曹操に対抗する気になったらしい。
曹操にとって、劉備がすこし遠くに行ったのは吉となるか凶となるか。
今回の話は、蒼天航路(文庫版)6巻「その百三十七 天下遼遠」から6巻「その百四十一 天意と雷鳴」まででした。
(更新2009/9/14)
劉備は見事に徐州をのっとった!
曹操の信頼を逆手にとって、逃げだし独立したのだ。
ヒドい。ヒドいよ、劉備。
でも、いささかも人望がおとろえないのが劉備のスゴさだ。
いや、ホントこの人の人間力はハンパないですよ。時間旅行ができるならあってみたい。
劉備が外にでたのは、袁術が北上の動きを見せたからだ。
戦闘をはじめる前に袁術が病死したので、劉備はそのまま飛び出していった。
こうして劉備はふたたび徐州の支配者となる。
曹操は現在 袁紹と交戦寸前の状態だ。
黄河をはさんでにらみあっている。
だから人手不足になっているのだ。
しかたがなく袁術への対応は劉備に任せるコトになった。というのが北方三国志での解釈だった。
歴史上の話をすると、なんで劉備を派遣したのかという理由は書いていないのでわかりません。
やっぱ、信頼されていたんだろうか。
理由はわからないが、劉備はなぜか人に信頼される男なのだ。
曹操の首脳陣は今後の方針について話しあう。
劉備もやっかいだが、最強最大の敵となった袁紹はとくに手ごわい。
難敵ふたりを相手にどう戦えばいいのか?
軍師たちの議論は紛糾する。
そして、曹操はBS漫画夜話でも評価された官能の肩もみを郭嘉(かくか)にくらわせるのだった。
実はこの軍師たちの会議って、あんまり役に立ってないよな。
曹操は自分勝手に作戦を実行してしまう。
劉備のことはひとまず置いて、曹操は袁紹をおちょくることに専念していた。
黄河をわたり、たった六騎で奇襲! ……ではなく、からかいに行く。
命がけで人をからかう態度、嫌いじゃないぞ。
まあ、一軍の将としてはどうかと思いますが。
ここでの行動は曹操と奇策を結びつけさせる狙いだろう。
常に曹操の行動を疑うようになれば、疑心暗鬼におちいる。
悩めば判断がおくれ、決断力の低下につながる。
各界で決断力のなさを欠点としてあげられている袁紹にぴったりの作戦だ。
しかも、怒らせることで主目的から目をそらさせている。
まさに策士!
怒りには怒りをッ!
と、いうことで袁紹陣営は陳琳(ちんりん)の檄文で曹操と父・祖父の悪口を言いまくる。
この時代、親や祖父の悪口をいうのは最大の侮辱だ。
悪口を言わなくても、名前を言うだけでも、侮辱になる。
だから宴会に招待されたら、主催者の親や祖父の名前をしらべて、その字を口に出さないようにするのが礼儀なのだ。
曹操だと、曹騰・曹嵩の「騰」「嵩」は言っちゃダメ。
「嵩山で沸騰」なんて口にしたら、五体八つ裂きでバランバランにされる。
さすがにその場で殺しはしないと思うけど。数年後に復讐されるかもしれない。
というワケで陳琳は祖父と親もふくめて悪口を書きまくる。
曹操は激怒するが、怒りはともかくその文才に惹かれていた。
人材蒐集の熱意は悪口ぐらいじゃ消えないのだ。
名目にこだわらず、実利をとる曹操らしい行動であった。
そして、曹操の長子・曹昂を殺した、賈詡(かく)と張繡(ちょうしゅう)が曹操に投降してきた。
過去の恨みも、誇りを傷つけられた怒りも、すべて飲みこみ才を愛するのが曹操なのだ。
賈詡(かく)も、そのへんのことは読んでいる。
読んでいるからといって、実際に自分の命をカタキの手にゆだねる胆力はタダモノじゃない。
賈詡(かく)は頭がイイだけの薄っぺらい秀才ではないのだ。
でも、まあ怒りは怒りだよね。
と言うわけで曹操は怒りを劉備にぶつけるコトにしたらしい。
ただならぬ怒りの気を感じて劉備は即効で逃げだすのだった。
さすが第六感の男だ。みごとな逃げっぷりである。
置いてきぼりにされた関羽はとうぜんながらションボリしている。
と、思ったがけっこう元気だ。
侠に生きる人は逆境でもくじけないのだろう。
だが劉備の息子を人質にとられて曹操に降る。
ここでも、やはり曹操は才を愛する男であった。
・蒼天雑学
・北は上のほう
袁術が北上と書きましたが、この頃の中国では南を上にして地図を書いたという話を聞いたことがあります。
皇帝は南を向いて命令するのが基本の姿勢であり、皇帝になることを「南面して弧と称す」という。(弧は皇帝の一人称)
だから、皇帝につかえることを「北面する」ともいう。
日本にも天皇につかえる北面の武士がいたが、概念を輸入したのかもしれない。
ならば、袁術は北下したと言うべきなのか?
・劉備と徐州
徐州の民には慕われていますが、歴史上の劉備はあんまり徐州を大事に思っていないようだ。
今回のように、すぐさま逃げだしちゃうし。
もうひとつ証拠がある。
劉備にはイロイロな肩書きがある。
陶謙に徐州を譲られたとき、徐州牧となった。
また、曹操に豫州牧の肩書きをもらっている。
ところが、劉備が一般的に名乗っている肩書きは豫州牧なのだ。
劉豫州という表現は三国志に6回ほど出てくるが、劉徐州という表現は一度もない。
徐州への思いが本当なら、普段から徐州牧を名乗っていてもよさそうだ。
しかし、劉備は豫州牧を名乗る。
ちなみに豫州牧のほうが、ちょっと格上らしい。
劉備のみょうに現実的な考えの一端が見える。
(更新2009/9/21)
家族も関羽もすてて逃げだした劉備と張飛は落ち武者状態で袁紹陣営にやってきた。
ボロボロな状態がみょうににあいます。
いっぽう、袁紹は最大勢力となって男前度もあがっている。
だがッ! 三国一の下げ運 侠(おとこ)劉玄徳をむかいいれても無事でいられるのかッ!?
袁紹陣営の人材は曹操に引けをとらない。
智謀の代表格が沮授(そじゅ)だ。
あと、アニメ版には出てこ無いけど、田豊という策士もいるぞ!
しかし袁紹はあまり献策をうけない。
自分に自信があるから、他人の意見を聞かないのだ。
部下に無理難題をつきつけて智謀をしぼりださせようとする曹操とは逆の人使いだ。
曹操暗殺計画を立てた董承たち約700名を曹操は惨殺する。
これで皇帝は丸裸にされたようなものだ。
それを聞いた劉備は号泣していきどおる。
劉備名物のポロポロ涙じゃ〜〜ッッッ!
曹操と董卓は、皇帝をあやつる魔王だと断じる。
世間に怪物の印象が定着している董卓と曹操を同列にあつかうことで、曹操を絶対悪とした。
劉備の会心の弁舌が決まった!
演説をきいた袁紹軍はふるいたつ。
そして、袁紹が光ったッ!
呂布戦を思いかえせば理解(わか)るだろう。
アニメ蒼天航路では、光ると強くなるのだッ!
つまり、現在の袁紹は至高の強さを手にいれた状態である。
もしかしたら、空も飛べるかもしれない。
光りかがやく袁紹は黄河をわたり、曹操陣営に攻撃をしかける。
先鋒は顔良と劉備だッ!
強烈な攻撃で、曹操の拠点である白馬津は陥落寸前だった。
そこに、曹操から新たなる援軍がやってくる。
光っているッ!
めっちゃ光っているよ!
袁紹の倍は光っていやがる。
正体不明な仮面の騎士が、一気に袁紹軍を蹴散らした。
まさか、あなたが仮面ライダー!?
青龍偃月刀をひっさげて、軍勢をなぎはらい刈りとる。
猛将・顔良ですら腰で真っ二つだ。
仮面の騎士の正体は、やっぱり関羽だった。
だが、劉備と張飛を置きざりにして関羽は去っていく。
関羽が期待どおりの大活躍をして、曹操もうれしそうだ。
曹操は適材適所に人をはめこみ真価を発揮させるのが得意であり、好きなのだろう。
まさに高級食材を手にいれた料理人のようなものだ。
残念ながら、今までの劉備は関羽という素材を使いこなせていなかった。
曹操と袁紹の戦いがはじまった。
その第一戦は曹操軍のあざやかな勝利に終わる。
人材の入手と活用で差がでた格好だ。
今後の戦いを暗示させる展開とも言える。
・蒼天雑学
・劉備さん、マジすごいっス
作中では落ち武者風の劉備ですが、史書だとなんか元気そうだ。
なんか、接待歓迎のギアスでも持っているんじゃないかというほど、どこへ行っても大歓迎される。
徐州から追われた劉備は青州に逃げこむ。
青州は袁紹の長男・袁譚がおさめる土地だ。
劉備はかつて袁譚を茂才に推挙している。(茂才:秀才の言い換え。光武帝・劉秀の諱をさけて茂才という)
だから、袁譚は自ら劉備を出迎えた。
さらに袁紹のところへ行くと、袁紹は本拠地である鄴(ぎょう)から二百里の地点まで出向いて劉備をむかえたのだ。
謎のVIP待遇である。
劉備はもともと公孫瓚(こうそんさん)の部下だった。
そして、公孫瓚は袁紹と敵対している。
劉備と袁紹が仲良くなるきっかけがワカらない。
いつのまに、袁譚を茂才に推挙したのだろう?
そして、自分の主を殺した男の世話になるという、底の見えないあつかましさ!
やはり、劉備という男は常人には理解不能の大器なのだろう。
劉備さん、マジすごいっス!
今回の話は、蒼天航路(文庫版)7巻「その百四十九 袁紹と劉備」から「その五十二 侠者死すべし」まででした。
(更新2009/9/28)
義兄弟であるはずの関羽が敵となり、劉備と張飛は逃げだす。
逃げるのは得意だぞ!
本当は関羽と戦いたいんだけど、追撃担当が張遼(ちょうりょう)になったので逃げの一手だ。
張飛は劉備と顔良の死体を担いで走るのだった。
友の死体をもちかえるのは、侠者の証だ! 曹操だってやってるぞ。
袁紹軍は黄河をわたって曹操陣営に攻めてきている。
黄河は川幅が広いし、しょっちゅう氾濫をおこすので、橋がない。
軍は船で渡河するしかないのだ。
黄河は大量の黄土を運んでいるので黄色い。
土砂は河底にたまり、河底の高さをあげる。だから氾濫が起きるのだ。
渡河に適した場所もかぎられてくるのだろう。
緒戦は船着場である白馬津の争いだった。
とりあえず、曹操は袁紹の第一陣を撃破した!
曹操は自慢をするため、わざわざ顔を見せにきたぞ。
自尊心を傷つけられ袁紹は激怒する。
もっとも、曹操は袁紹の大軍には勝てぬといって引き返すのだった。
袁紹は怒りを飲みこみ耐える。
大軍を用意した自分の勝利だと、ムリヤリ前向きに考えるのだった。
まあ、大軍を用意することが戦略的勝利の条件だしな。
袁紹の負け惜しみは正しいけど、少数に負けたらヘボ将の印象がつきまとうので悔しい。
世間の評判も悪いし。乱世において世間の評判は重要です。
袁紹は、逃げる曹操3000を文醜5000で追わせる。
曹操は逃げるだけではつまらんので、文醜をたおす気だ。
こうして、ふたたび小をもって大を制す戦いがはじまる。
しかし、なんで曹操は軍師にからむとき、こんな官能的になるんだろうか。
才をイロイロな意味で愛しているのか?
関羽・許褚(きょちょ)・張遼を先頭にして突っこめば、5000ぐらい簡単に蹴散らせそうな気もする。
だが、曹操は策を用いて文醜と戦う。
部隊を少数にわけることで、敵部隊の分裂をさそい、いつのまにか数の上で互角の勝負にした。
戦いでは先手をとることが重要だ。
相手の動きを待つのでは、行動が遅れてしまう。
曹操と文醜では軍略の格がちがうのだ。
いっぽう関羽はきっちりと虐殺をしているのだった。
武神関羽が魔神関羽になっている。
張飛は関羽に襲いかかり、劉備は二人を止めようとする。
だが、その決着は見えない。
曹操はトドメとして黄河の堤を崩して文醜軍を流しさる。
呂布のときと同じく、また民に負担のかかる策を……
黄河の水位は高いので、堤防で守っていないとすぐに氾濫を起こすのだ。
曹操は心の闇が大きすぎですよ。
そして、アニメ版 蒼天航路、完ッ!
なんか打ち切りっぽい終わりかたですな。
今後の展開が入らないから、年表で紹介だ。
いや、年表じゃないんですけどね。
そもそも漫画の終わりも年表だったし。
オープニングに出てきた霹靂車(投石器)は間に合わなかった。
あと、徐晃もな。
↑右から四人目の彼ですが、ほんとうに出番がなかった。
たぶん呂布の活躍に時間を使いすぎたのだろう。
アニメ版 蒼天航路の主人公は呂布だったのかもしれない。
(更新2009/10/5)
アニメ版が終了した。
漫画を改めて見直すと、動画にするのが難しい作品だとワカる。
蒼天航路は人の動きを伝えるのではなく、迫力を伝えるように描いているようだ。
動きの中でイチバン見栄えのする部分を抜きだし、見得を切らせる。
たとえるなら京劇のような動きといえよう。
だがアニメは普通に連続して動いている。
蒼天航路の持ち味がいかされていない。
そのへんを考慮しているのか、呂布の場合は動きが大きく変わっている。
おかげで呂布が大暴れする回はかなり面白い。
呂布は飛ぶぜ! 光るぜ!
アニメの呂布は激しく動いているため、静止画を取りだしても迫力がつたわらない。
まさに、アニメーションといったところだ。
おかげで原作にない呂布と董卓の戦いがアニメ版でイチバン迫力のある戦いではないかと思えてしまう。
呂布が良かったからといって、コイツを標準にしちゃうと全武将が飛んで光ることになる。
我はただひとり呂布なり、だ。
飛んで光るのが呂布だけというのがアニメ版の限界だったのかもしれない。
関羽とかたまに光っていましたが、さすがに飛ばなかったし。
アニメ版の呂布には原作とちがう点がまだある。
原作の呂布は吃音のクセがあったが、アニメにはない。
字とちがい、聞き取りにくくなるので不採用だったのだろう。
ちなみに三国志で吃音クセがあると有名なのがケ艾(とうがい)だ。
『ケ艾は口が吃音で、話そうとすると、「艾、艾……」と言った。』(世説新語(AA)・言語篇17)
司馬昭に吃音を からかわれたケ艾は論語を引用してきりかえす。
呂布の場合、不器用ですから方天画戟斬りかえすんだろうな。
アニメ版では曹操の描きかたも変更されている。
あまり画像を抜きだした覚えはなかったのだが、けっこう多い。(※ 上の一群は抜粋)
さすが主人公だ。
話をもどす。
蒼天航路の曹操は、ハッキリいって何を考えているのかワカらない。
常人の上を行って右を行って一歩下がって跳躍するような思考と行動をもっている。
曹操の軍師たちも振りまわされているが、読者も振りまわされているのだ。
アニメの曹操は多少常人にも理解できるような行動をしている。
曹昂が討ち死にするあたりも、原作の曹操は好きでやっているように見えるが、アニメだと心神喪失っぽい。
こんな弱った曹操は想像もしなかった。
異常人を一歩常識に近づけたことで、なじみやすくなったような。変わらんような。
やっぱり、怒ったり笑っているほうが似合っている。
曹操は正史でも演義でもよく笑う人でした。
最近は正史の知識も増えたので、蒼天航路の元ネタもワカるようになった。
はじめはちゃんと元ネタ紹介もできていたんですが、ドラクエが発売されてからはボロボロでしたね。反省しております。
また、逆に蒼天航路を通して、私が正史を理解できていないコトもわかりました。
董卓の台頭あたりから数年間は状況が混乱しすぎているのか、時系列と因果関係が複雑だ。
そういう部分もふくめて、まだまだ蒼天航路には味わう部分がのこっていると思う。
今回のアニメはイキナリ終了した感じでしたが、できれば残りも映像化してもらいたい。
なにしろ、徐晃が登場していないし。
できれば話をムリに縮めず持ち味を活かした感じにやってもらいたい。
蒼天航路 1巻 BD |
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蒼天航路 2巻 BD |
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蒼天航路 3巻 BD |
蒼天航路 3巻 DVD |
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