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ついに第二部公開。いざ、決着の時ッ!
Part1は劉備陣営の活躍が目立つ展開だったが、Part2こそ周瑜が主役となる。
全体的には、三国志演義と同じような話の流れなんだけど、各部で現代的な合理的解釈がされている。
たとえば、曹操陣営での疫病発生だ。
正史には『疫病が大流行し、官吏士卒の多数が死んだ。そこで軍をひきあげて帰還した。』と簡単に記述されている。
映画では疫病がかなり深刻にえがかれていた。
数は少ないようだが実際に死体を積み重ねると印象がまるでちがう。
そして、曹操は非常な策略を実行する。
疫病で死んだ兵士の死体を、敵陣に送りこむ。
モンゴル軍は攻城戦で病死した馬の死体を投げこんで敵に疫病をはやらせたり、捕虜を投げこんで士気をさげたりしたそうだ。(参考)
曹操の策は、部下(荀攸? 程イク?)からもムゴい策だと言われる。
儒教では 遺体はちゃんと埋葬して子孫が祈りをささげるものなのだ。
まだ仏教があまり普及していないので地獄に落ちるという概念はないだろうけど、そんな感じです。
孔明(諸葛亮)は薬学にもくわしく、呉陣営の疫病対策にのりだす。
羽扇が大活躍だ。あおぐぜ〜、超あおぐぜ〜。
孫権もあおいだ!
おいしいトコとられちゃったよ。
劉備離脱で矢が足りない。
また、敵軍には水軍に長けた蔡瑁と張允がいる。
二つの問題を孔明と周瑜が、それぞれ対策にあたった。
演義での展開は、ちょっと無理のあるものだが、レッドクリフだと二つをあわせることで、より精密なものにしている。
Part1で蔡瑁の書に誤字が多かったのは、ここでの伏線だったのか。
有名な10万本の矢をあつめる作戦も小粋だ。
この策は呉主伝(孫権伝)注の魏略が元ネタといわれている。
孫権が船の片側に矢を大量に射かけられ船が傾いたので、反転させて逆側にも射かけさせ船を安定させたというものだ。
孔明も同じことをやっている。
ところで、兵士が3万人いるなら一人が4本の矢を作れば10万本になるんじゃね?
そう考えていた時期が俺にもありました。
しかし、材料も必要だし、くっつけた材料を乾かす時間も必要だ。
やはり10万本の矢を作るのはむずかしい。
船同士をくっつける策は蔡瑁たちが考えたことになっている。
いつでも分離できるから問題なし。
と、思っていたが、蔡瑁たちが居なくなってからは船の分離がうまくいかない。
指揮が乱れるってのは、こういうコトなんだな。
風向きが有利だから、火計をおこなうのは むしろ曹操のほうだ。
この解釈は新しいし。しかも理屈にあっている。
火計の用意をして、可燃物を船にのせていたから大炎上しちゃったワケですね。
しかし、大爆発しすぎだろ。
諸葛亮が秘密裏に開発したニトログリセリンとか混ぜてないか?
火計がはじまってからは、超圧巻のスペクタルだ。
黄蓋たちの名も無き特攻部隊とかゲキ熱ですよ。
矢を受けても、槍で刺されながらも、前進して爆破する。
黄蓋も決死の突撃だ。いちおう、史実では川から引きあげられて助かっています。
そして、甘興も決死の突撃をはかる。
オリジナル武将という時点で想像はついていたけど、これは悲しい。
まあ、甘興らしいハデ爆死だったからいいか。
甘興は矢をうけて死を覚悟するが、張飛はまったく平気だ。
この差はなんなんだろう。
張飛、頑丈すぎですよ。
そして、ジョン・ウーお約束の銃を突きつけあうシーンもある。
銃じゃなくて剣だけど。
後半は名シーン名場面ばかりで、感想書ききれません。
というわけで、そのうち追記します。曹操の描きかたもけっこう良かったなー
更新(2009/4/11)
・ レッドクリフの曹操について
赤壁での曹操はたいてい慢心した悪の帝王として描かれている。
だが、レッドクリフの曹操はやや好意的に描かれていた。
冒頭の曹操は、非情の策略家として登場する。
その一方で蹴鞠で活躍した人間を抜擢する度量の深さと、評価主義を見せた。
まあ、蹴鞠が上手い人間が戦闘も上手いのかと言う疑問はありますが。
走る速さや戦局を見渡す視界の広さなどは蹴鞠とつうじるので、おおむね正しいと思いますけど。
その後は詩を吟じ、文人としての才能をみせる。
この詩は曹操が実際に作った有名な『短歌行』だ。
いつ作られたものか諸説ありますが、『秘曲三国志』やTVドラマの三国志演義だと、赤壁のときに吟っていた。
また、疫病で倒れる兵士に優しい声をかけたりもする。
感染の危険があるから、えらい人は普通近づかないものだ。
だが、こういう所で気づかいを見せられるかどうかが、名将の分かれ目だったりする。
兵士の膿を口で吸いだしてやった将軍がいて、兵士の母が自分の息子はあの将軍のために命を落とすだろうと泣いた故事を思い出す。
また、曹操は一兵士の名前を覚えていて声をかけている。
たしか満囧(マントウ?)って人だが、さすが人材蒐集の鬼というべき記憶力だ。
私なんて1年前に部署を移動したけど、いまだ部長に名前を間違えられる。
そして、曹操は病気がちな愛息・曹沖の話をする。
苛烈な武将も家に帰ればふつうの父親なのだ。
病弱な息子の話をすることで、疫病に苦しむ兵士を心配しているという思いも伝わる。
この辺は地味なシーンだ。
しかし、三国志好きにはたまらぬ味わいがある。
曹操が組んだ陣は背後が手薄になっている。
全面を守ろうとすると防御が全体的に薄くなるため、敵の攻撃が来ない場所は思い切って守らない覚悟が必要なのだ。
『敵の攻めにくいところを不備にせよ』(名将たちの戦争学)
これも兵法として間違っていない運用だ。
実際に曹操の防御陣はすごい厚い。
作中の経過時間を考えると、こんな物作れないだろうと思うけど、そこは映画ですから。
材料のいらずに防御陣となる堀がないのはちょっと不可解だ。
雨が降って水がたまると不衛生になって病気の発生源になる可能性がある。
それで、止めたのかもしれない。
あと、作中では逆茂木が効果的に使われている。
正史の三国志をよんでいると鹿角(逆茂木)を使用している例が多い。(たとえば夏侯淵伝「魏書2」、徐晃伝・李通伝「魏書3」)
野営陣の場合だと、いかに逆茂木を突破するかが腕の見せ所だったようだ。
映画でも坂茂木の突破に苦労している様子が見てとれる。
あと、霹靂車(投石車)を使っているのも曹操らしい。
小喬(↑この人)が美人だった。
Part1ではさほど思わなかったのだがPart2だと話の中心にいるせいか、輝いている。
そりゃ、曹操もときめくよ。
でも肉欲におぼれたりしないのが、成長した曹操なのだ。鄒氏でこりたんだろうか。
だけど、お茶談義とかされちゃうと、悔しいけど気になってしまう。
エロより、知的好奇心なんですね。
もうちょっと後の時代になると、貴族はグルメにこるようになる。
こういう茶の煎れかたは時代の先取りなのだろう。
ところで、小喬の物まねをさせられていた驪姫のすがたを途中で見失ったんだけど、あの人どうなったんだ?
更新(2009/4/27)
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