アニメ版シグルイ感想(第十一景、第十二景)
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2007年10月4日
第十一景 月光
虎眼流の強者三名は、虎眼先生・牛股師範・藤木であろう。
この三人が連携を組めば、チンギス・ハーンでさえ勝利を奪うことはできない。
だが、伊良子と検校の姦計により、虎眼流の師弟は分断されてしまうのだった。
今回の話は、漫画版の第二十七景 月光、第27景 双竜にあたる。
同じ感想を繰りかえすのも芸が無いので、主にアニメ版のオリジナル部分の感想を書く。
あと、なんで二十七景が二つ有るのか、気にしてはいけない。
感想は雑誌掲載時の話数に準拠しているが、たぶんコミックスでの話数が正解だ。
若き日の虎眼先生が、やっていたように、牛股師範が『無双許し虎参り』を行った。
無双が名前に入っている他流派を脅して、金を取る。別名「恐喝」とも言う。
金の問題ではない。名誉の問題だ。
虎眼流を嘗めるんじゃねェと、他の道場に恫喝をかけている。
剣術道場は門弟をめぐっての競争している。
人によって修行法や戦法の相性もあるだろうが、強い道場に入門したくなるのが人情だろう。
常に他の道場よりも強いところを見せておかないとマズいのだ。
虎眼流は、できて間もない新興の剣術なので基盤が弱いと思われる。
だから、売名行為で多少(かなり?)のムチャをしてしまうのだ。
百年のちまで栄えるため、現在の危険をあえて無視する。それが虎眼先生の選択であった。
当然と言うべきか、ちゃんと増援がある。
虎眼流・濃尾道場より呼び寄せた免許皆伝の三名だ。
伊吹半心軒、金岡雲竜斎、根尾谷六郎兵衛、人呼んで『濃尾三天狗』である。
免許皆伝なので、虎眼流の技をすべて使える。
藤木や牛股師範と同格なのだ。
量産型っぽい登場をしたせいで弱そうだけど、ちゃんとした実力者である。
後に金岡雲竜斎の弟子となる井上伝八郎も『星流れ』を使える。(参考「秘剣流れ星」)
流れ星だって、ちゃんと使えるのだ。
なお、井上伝八郎は二百石の高額所得者である。
江戸初期の価格で計算すると、だいたい一億円だ。
流れ星には、一億円の価値がある!
ただ、藤木と三天狗は面識が無かったようで、手合わせをしている。
藤木も三天狗の実力を疑っているようだ。
掛川の道場は、いわば本社である。濃尾支店は子会社のようなもの。
同じ免許皆伝でも、自分たちのほうが実力があると自負しているのだろう。
逆にいえば、濃尾支店の連中に虎眼先生を任せても大丈夫なのかと不安なのだ。
虎眼先生が暴れたら、死にそうだし。(そっちの不安かよ)
結果はぼかされたが、藤木と良い勝負をしていたようだ。
さすが免許皆伝である。
藤木も彼らになら虎眼先生を預けても大丈夫と胸をなでおろしたにちがいない。
斬られる前に逃げ出せるだけの実力はあるのだろう。
一応、藤木と三天狗たちは免許皆伝 同士で同格だ。
こういう場合、年功序列で立場が決まるらしい。
だから三天狗のオッサンたちはエラそうなのだ。
実力で藤木が上だとしても、やはり先輩は立てなくてはいけないらしい。
やっぱり、体育会系だな。
一方、牛股師範は待ち伏せ攻撃を受けていた。
本気で狙われた場合、奇襲を防ぐ事はほとんど不可能である。(参考:奇襲の研究)
単独行動をした時点で、牛股師範の不利が始まっていた。
しかし、行きと帰りで道を変え、危険な場所を通らないなど、リスクを減らす方法はあった。
師を思う気持ちが足を急がせ、結果的に遠回りになってしまったのだ。
牛股師範の不覚である。
この人はけっこう勝負弱い体質なんだよな。肝心なところで、活躍できない。
今回も敵を倒すもののうっかり喰らった毒攻撃で沈むのであった。
ちょっと毒が回るのはやすぎと言う気もしますが。
直前に飲んだ川の水が良くなかったのだろうか?
生水は良くない。それが旅のオキテだ。
牛股だけに、牛用の下剤を飲まされた人みたいになっていそうだ。
そのころ、藤木もダマされていた。
虎眼流は謀られるのが、師匠からの伝統になっている喃。
悔しいので藤木は刺客を追い回して、ぶっ殺す。
目前の戦いには勝利したものの、虎眼先生と分断されてしまった。
あせる藤木の表情が物語っている。
濃尾三天狗は使えないッッッ!
三バカたちを信用していない汗をかいている。
なめなくたってワカる汗だ。
三天狗は、伊良子と戦ったら負けるていどの強さなのだろう。
日本刀を持った気違いに追いかけられたい人が喜びそうな活躍をした藤木だったが、今はそれどころではない。
虎眼先生を守るために、急いで帰還しろ。
江戸版の『走れメロス』だ!
でも、刀はちゃんとしまってから走ろうな。
次回は、アニメ版の最終回となる。
DVD『シグルイ HALF-BOX 虎』によると、続編をつくるつもりでいるから、まとめない終わり方になっているそうだ。
次回は、十二景であって最終話ではない!
(更新 07/10/5)
2007年10月11日
第十二景 無明逆流れ
終わった! アニメ版第一部(?)完!
原作であるシグルイがまだ終わっていないので、アニメも話の途中で終わってしまうのだった。
今回は、漫画版の第28景 変身、第29景 盲竜、第31景 死閃、第32景 地獄極楽を適度にまとめた話になっている。
ちなみに連載時とコミックスでは若干のちがいがある。
六巻修正点チェック・七巻修正点チェックも参考にしてください。
伊良子清玄のワナにはまり、めずらしく藤木源之助があせっている。
武士たる者、必要以上に感情を出してはならない。
出自が武士ではない藤木はより武士らしくあろうとしている。
だから、こういう表情はよほどのことなのだ。
まあ、もともと無表情で無口で無謀な男なんですが。
伊良子の作戦は二段構えだ。
藤木を火縄銃で倒せれば良し、倒せなくても時間稼ぎが出きるので戦力を分断できる。
伊良子にはかなりの軍師がついているようだ。
そのころ虎眼邸には、伊良子清玄が襲撃をかけていた。
防御の要である濃尾三天狗は非常に頼りない。
とりあえず、敵をフトコロに誘いこみ、殺害する計画をしているようだ。
なんか行き当たりバッタリで危うい作戦だな。
そして、伊吹半心軒は、いくが脱ぐと言い出すと大喜びするのだった。
この三天狗たちはダメダメだ。
やはり、怖い師匠のもとを離れてゆとりある修行をすると軟弱になるのだろうか。
コレが問題の、いく裸体である。
伊吹さんも大喜びだ。
酒見賢一の『後宮小説』では、胸を隠すのは西洋の風習で、股間を隠すのは東洋の風習という怪しげなネタがあります。
いくは、西洋派で けっこうハイカラな女性らしい。
いくの背中には、盲龍が老虎に喰らいつく図案の刺青がはいっていた。
伊良子が虎眼先生を倒すという挑戦状だ。
虎眼先生を挑発して攻撃させ、正当防衛で倒してしまおうと言う命がけの作戦である。
どうせ皆殺しにする気なら、ここまでやらんでも良かったと思いますが。
伊良子はけっこう律義者ですね。
とにかく虎眼先生は激烈に怒った。
問答無用で、いくを斬る。盲龍の顔部分だけを斬りはがす。
皮がはがれる角度で斬ったとは思えないのだが、そこは虎眼先生の神技が炸裂したのだろう。
師匠がハジけちゃったら、弟子もハジける。
それが鋼鉄の師弟関係と言うものです。
ムカついたから斬ったなんて言い訳が通用するのは、征夷大将軍ぐらいですよ。
大名だって、幕府にばれたら怒られる。
言い訳不可能な状況でも、師匠について行くのが弟子の道だ。無残な……
そして、なにより無残なのは、守るべき師匠に真っ二つにされる弟子二人だ。
間合に入ったほうが悪いと言わんばかりに斬られる。
そして、二人は臓物をブチまけて倒れた。
最終回らしく、命と臓物をハデに散らす。
たまたま、間合に入っていなかった金岡雲竜斎は九死に一生を得た。
そして、ビビってそのまま逃走する(?)。
気持ちは良くわかります。
本来なら、敵は伊良子一人だったはず。
しかし、気がついたら虎眼先生まで敵になっている。
伊良子ならともかく、虎眼先生は怖い。
虎眼流門下生は骨の髄まで虎眼先生への恐怖を植えつけられているから、逆らえないのだ。
虎眼先生が構えた。
どの姿も野性の猛獣から感じるような美がにじんでいる。
これらのカットは、ただカッコイイから貼っただけです。特に意味はない。
作画に気合がはいっているとワカる。
だが、盲目の伊良子には必殺の『無明逆流れ』があった。
キャプできないような壮絶な死闘の末に、伊良子は勝利する。
動画じゃないとワカりにくい攻防であった。
連載時の感想でも書きましたが、勝敗を分けたのは経験の差だろう。
伊良子は以前『流れ星』を体感している。しかし、虎眼先生は『無明逆流れ』を知らない。
その差が二人の生死をわけた。
混乱にトドメを刺すように、三重も登場だ。
血の海に対して無反応とか、白無垢とか、イロイロ突っこむ所が多すぎる。
シグルイ奥義秘伝書によると、『虎眼の最期の姿は、あくまで三重が見た映像』らしい。
都合のいい妄想と言う可能性が高い喃。
『殺し屋1(イチ)』における、最後の殺しみたいな自己中心的な妄想でむりやりイイ話にした状態だろうか。
かなり困った状態だ。いちおう、ヒロインなのに。
そして、ホラー映画から出演依頼が来そうな感じに白目をむいて三重は気絶する。
狂気にドップリつかった三重すらビビらせたモノは、ナニか!?
それは、虎眼先生の死に様である。
リアル描写の脳みそもあったのですが、リアルすぎたので貼るの止めました。
毎回、残酷描写をよく放送できるなと感心しています。
今回は特に思った。
さすがの虎眼先生も、こうなっては生きていけない。
三秒以内に斬れた顔を押しつけたら、くっついたかもしれないが、顔半分は屋根の上だ。
回復不能である。
すべてが終わったあとに戻った藤木は、無残な姿となった師匠を目撃した。
急いで、師の気管につまった血を吸い出す。
そういう治療で治るレベルではない。
師の不死性を信じるから、こういう行動をするのだろうか?
こうして改めて見ると、乱心しているようにも見えるよな。
牛股師範はさらに遅れて到着する。
閉門状態となっている虎眼邸をみて、すべてを悟り涙するのであった。
こうして、虎眼流の名は地におちた。
師の仇を討ち、虎眼流を復活させるには伊良子を倒すほかあるまい。
悲壮な覚悟で虎眼流の生き残りは立ち上がる、と言うのが今後の話だ。
とりあえず、原作のストックは八割がた使ってしまった。
数年後、原作が十三巻ぐらいまで出たら続編の話が出てくるかもしれない。
希望を捨てず、しばし待とう。
(更新 07/10/12)
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