今週の『真・餓狼伝』感想(51〜60)

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2014年4月17日(20号)
第五十一話 嘉納治五郎の柔道

 講道館柔道の創始者嘉納治五郎が、米国戦士をおもてなしする!
 米国大使の息子クリス・バーナードは、ボクシングとレスリングのチャンピオンだ。
 どちらも試合でもまれ磨かれるスポーツでありあなどれない。
 だが、嘉納治五郎は国際オリンピック委員でもあり、西洋の格闘技にも通じているのだ。

 クリスは左右の連打を撃ちこむ。
 激しいラッシュだ。
 だが、嘉納はスウェー、ダッキングっぽい動作でかわす。
 クリスの打撃はジャブってワケでもなく、やや雑な感じだ。
 むしろ嘉納の動きのほうが高度なボクシングっぽい。
 嘉納治五郎は、ボクシングもできるのか!?

 そして、左のカウンターだ。
 相手の攻撃を全部かわし、嘉納が狙い済ました反撃をした。
 左といっても嘉納はサウスポースタイルで構えているので、腰の入った打撃になっている。

 それでも体重差はいかんともしがたいようだ。
 クリスはひるんでいるが、あまり効いていないっぽい。
 逆にクリスのパンチをくらったら一発でダウンしちゃうんだろうな。
 優勢なようでも、キケンな綱渡りである。

 クリスは打撃じゃ分が悪いと感じたのか、こんどはタックルできた。
 嘉納の身体が宙にまいそうな弾丸タックルだ。
 だが、嘉納はクリスの身体を上からかかえこんで後方に投げる!
 投げたッ!
 この体重差でッッ!

 相手の動きを利用した投げだろうか。
 まさに芸術的な投げだ。
 タタミでなければ、この一撃で終わっていただろう。

 命拾いしたクリスは嘉納に組みつく。
 体重差をもっともシンプルに利用する気か!?
 だが、嘉納もアッサリ組まれた。
 なにか策があるのか?

 クリスは腰投げっぽく、嘉納を投げようとする。
 だが、嘉納は裏投げで投げ返した。
 この体重差で返したのか!?
 どんなマジックを使ったんだ?
 肝心な部分が描かれていない。そこが秘伝ってことですかね。

『今日使われているレスリングの「バックドロップ」…ルーツは柔術の「裏投げ」である』

 そうだったのかッ!?
 キケンな角度で落とし、クリスをダウンさせた。
 完全に勝負アリだ。
 これこそが、投げで一本と言う状態ですな。

 柔道における一本は、本来充分なダメージで戦闘不能になるから一本なのだ。
 嘉納治五郎は理論派の創始者で、戦闘は弟子の四天王のほうが強いかと思っていたが、そんなコトなかった。
 いや、四天王のほうがもっと強いんだよな、たぶん。実績的に。
 と、思ったが世代交代が進みつつあるから、前田光世あたりが台頭してきているのだろう。

 勝海舟は嘉納治五郎に、丹水流のウワサを伝える。
 でもって、その日にちょうど丹波久右衛門がやってきたのだった!
 横山が、好人物と見て案内しちゃったらしい。
 う〜む、横山さん、見る目ありますね。

 今日の丹波久右衛門は刺客なのだが、本質的に好人物だ。
 本来ならキケンなところなど微塵もない。
 だが、今日の久右衛門が刺客であるのは揺るがない真実だ。
 どうやって今日の問題を解決するのだろうか。

 現在の話は回想であり、久右衛門が死ぬのはほぼ確定であるのだが……
 問題なのは久右衛門の息子・文吉が嘉納治五郎をカタキと狙っているコトだ。
 とてもキレイに決着がつくとは思えない。
 久右衛門、せめて苦しまないで死ねれば良いのだが……


2014年4月24日(21+22号)
第五十二話 弱き者

 丹水流が陰の最強と言われるのは、世間的に最強といわれる流派を闇討ちで倒しているからだ。
 80年に一度の周期で丹水流は暗躍し、明治の世になってもその活動はつづいていた。
 今回、丹水流から選ばれた刺客は丹波久右衛門だ。
 そして、狙う流派は講道館柔道ッ!
 狙われる側にしたら、すごく迷惑だぞ!

 長い丹水流の歴史上もっとも才が無いといわれるのが丹波久右衛門だった。
 いや、言いすぎか。
 でも刺客である証頂者としてはダントツに才がないハズだ。
 闇討ちするにしても、普通に道場をたずねてしまう。

 いや、それはもう闇討ちじゃない。道場破りだ。
 弟子にとりかこまれてフルボッコにされてもおかしくない行為だぞ。
 やっぱ、才無いのかも……

 牙無きケモノのオーラが出ていたおかげか丹波久右衛門は、講道館四天王の横山に安全判定されて道場に通されてしまう。
 能力に加えて人柄も良いから危険なニオイがしないのだろう。
 久右衛門は才がないなりに強い。
 いっぽ間違えたら、スゴ腕の暗殺者になっていただろうな。

 その夜、道場に通された丹波久右衛門は、講道館柔道の創設者である嘉納治五郎と出会う。
 運命の夜に、なにが起きたのか……

「……そろそろ」
「来る頃だろうと思っていました」
「丹波」「文吉君」


 丹波久右衛門が一子・文吉が治五郎の前にたつ。
 文吉は講道館の猛者たちを闇討ちしまくっていた。
 理由は2年前の久右衛門と治五郎の出会いにあるのだろう。
 しかし、丹水流は本当に闇討ちの好きな流派ですね。

 文吉は前田光世と死闘の末引き分けた。
 若さによる肉体と、経験による技術のバランスを考えれば、前田は講道館最強のひとりだ。
 文吉は前田と互角に闘えたのだから、治五郎あいてなら勝てるハズだが……

「……親父」
「死んだよ」
「近くの神社でさ」
「腹切って」
「果てた」
「あんたと勝負した後にね」
「もう二年も前だけど」


 久右衛門、やっぱり死んでいたか!
 しかも、切腹で。
 自殺のなかで、もっとも痛くて死ににくくて損傷も激しい、キッツイ方法だよ。
 江戸時代の武士・松平外記は、同僚を切り殺したあと切腹したが死にきれず土間へ下りて箱段の下で咽(のど)を突いてそのまま果てたという。(参考:男の嫉妬)
 切腹しても、人間って動き回れるものらしい。

 久右衛門の親友である黒岡喜八も切腹して果てた。
 ほろびつつある武士の時代に二人は殉じたのだろうか。
 おそらく二人とも残していく息子を案じながら逝ったのだろう。
 残念ながら、ふたりの息子はふたりとも、親の気持ちが届かず暴走してしまうのだが。

 文吉は父がなぜ死んだのか知らなかった。
 真相を突きとめるため二年かけて丹水流の暗部を探り、嘉納治五郎にたどりつく。

「親父の遺体を見たよ」
「親父の全身は腫れて痣だらけだった」「数か所骨折もあった」

「講道館は… 嘉納治五郎は」
「"弱い"者をああまで痛めつけて己の強さを証明するのか」


 丹波文吉が執拗に講道館を狙い、恨んでいた理由がこれかッ!
 一流であれば、すぐに久右衛門が弱いとワカる。
 ワカったうえで、痛めつけた。

 武術とは女子供のような弱い人間でも勝てるための術だ。
 だから、弱いものいじめをするためのモノじゃない、ハズ。
 安全に生きるためにも、むやみに敵をつくらないコトも大切だし、恨みを買う行為はつつしむべきだ。

 嘉納治五郎は人格者であると、歴史資料が伝えている。
 理性的にも性格的にも、嘉納治五郎が久右衛門を痛めつけるとは思えない。
 久右衛門を、いたぶったように見える傷痕にも理由がありそうだ。

 だが、頭に血がのぼりきっている丹波文吉は、難しいコトを考える余裕がない。
 生きていた父を痛めつけられ、死した父を侮辱され、ブレーキも後退のネジもハジケとんだ!
 文吉は一直線に治五郎へ飛びかかる!
 まだ、治五郎は肝心なぶぶんを話していないぞ!
 こんな状態で、次回につづいちゃう!


 久右衛門は、やっぱり死んでいた。
 しかも、かなり苦しい死にかたをしている。
 予想よりも、はるかに悪かった。
 嘉納治五郎はスマートに投げ倒すと思っていたんだけど。

 そう、嘉納治五郎ほどの男が、なぜ久右衛門をいたぶるようなコトをしたのか?
 久右衛門は才もないし強くないのだが、理論を語らせるとスゴい。
 我が身を実験台にして、嘉納治五郎と武術談話をしたのかも。
 久右衛門は死ぬのが確定みたいな状態だし、最期に己の理論を伝えたかったのかもしれない。

 嘉納治五郎も才よりも理論で強くなった男だ。
 二人は通じ合うものがあったのかも。
 そして、嘉納は久右衛門から教えられた技術を文吉に伝える気かもしれない。
 すべての真相を知ったとき、文吉はどうするのか?
 ついでに前田光世との決着もどうするんだろう。


2014年5月8日(23号)
第五十三話 違和感

 明治37年(1904年)、日本でもっとも盛んな武術は講道館柔道だ。
 その創始者である嘉納治五郎に少年・丹波文吉が挑む!
 文吉の父・久右衛門は嘉納に深手を負わされた。
 その恨みを晴らすための闘いでもある。

 文吉は容赦なく右掌底で嘉納の顔を打つ!
 素手の拳で硬い部位を殴ると、手のほうを傷めることが多い。
 親のカタキを前にしても、文吉は冷静に嘉納を倒しにかかっているようだ。
 にしても、ジャブ的な攻撃もなしに大振りを打っている。
 やっぱり、文吉はあまり冷静じゃないのかも。

 殴られながらも嘉納は文吉の袖をとって投げ飛ばす。
 文吉は肩から落ちだ。
 受身が取れていない。
 袖のとりかたが巧妙なのだろうか?
 さすが投げの天才・嘉納治五郎だ。

 その後も、おなじような攻防がつづく。
 文吉は打撃で攻め、いくつか当たっている。
 嘉納は打撃をうけつつも、文吉を投げる。

 文吉の打撃は多彩だ。拳をにぎり・開き、蹴りや頭突きも繰りだす。
 嘉納はそんな攻撃を喰らいながらも致命傷を避けている。
 確かな知識と、身体に染みついた経験が、嘉納を守っているのだろう。

 そして、嘉納も多彩な投げをみせる。
 おなじ投げをひとつも見せていない。
 若き天才と、老練な達人の超絶技巧対決となっている。

『…嘉納は国内外の格闘技に精通した』
『武道家だ』
『中でも当て身技を重視しており』
『自身その稽古を深く行っていると聞く』
『…その嘉納が』
『まったく』
『打ち返してこない…』
『そればかりか』
『まったく』
『極めに来ない…』


 『東天の獅子』(AA)の嘉納治五郎は投げの天才だが、それ以外が並みの人だった。
 というか、そもそも『東天の獅子』は、まだ打撃のバリエーションが少ない時代だった。
 以後、研究と精進を重ねて打撃の腕をあげたのだろう。
 もともと嘉納治五郎は研究者であっても戦闘者じゃない。
 たゆまぬ鍛錬があって、現在の強い嘉納治五郎が生まれたのだろう。

 そして、嘉納は投げるだけのようだ。
 総合格闘技で、決着をつけるものは寝技だと木村政彦は言っている。(木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
 ダウンしても試合がつづく総合格闘技では、倒れたその先に決着があるため、寝技での攻防が重要になるのだ。
 打撃で相手を弱らせ、投げて有利なポジションを奪い、寝技で極める。
 これが柔術家の必勝パターンのハズだが……

 何度目かの投げで倒された文吉は、嘉納に抱きしめられているような感覚をおぼえる。
 嘉納の投げには、深い愛情が隠されていたのか?

『…そうだったんだ』
『……俺は』
『絶対』
『この人には勝てねえ……』


 文吉が泣いた!
 決着の究極系は相手を殺すことだ。
 そして、もうひとつの究極が相手の心を折る。
 つまり、こいつには勝てないと心底思い知らせるコトだ。

 文吉は嘉納に勝てないと悟り、涙を流した。
 完全に心折られている。
 これは完全決着だ。
 骨を折られるよりもダメージが大きい。

 前田光世と互角の勝負をした文吉だったが、嘉納との闘いでは精彩をかいているようだ。
 やはり父のカタキを討つという意識が余計な力みになってしまったのだろう。
 そして、嘉納の真意はなんだったのだろうか。
 父親世代だからできる抱擁拳なのかも。
 丹波文吉の修羅道もここで終わるのだろうか?


2014年5月15日(24号)
第五十四話 あの目

 明治37年(1904年)、日本最強といわれている講道館柔道に ひとりで挑む少年がいた。
 丹水流柔術の若き天才・丹波文吉である。
 文吉の父・久右衛門の死に講道館の創始者・嘉納治五郎が関わっていると知り、襲いかかっているのだ。
 ぜんぶ丹水流柔術の都合であり、客観的には嘉納が被害者なんだけど、親のカタキをもちだされるとキビシいな。

 そんなワケで嘉納さんはかなり重度な逆恨みを受けている。
 感情的にはともかく、文吉を理性的に応援しにくい状態だ。
 嘉納治五郎が人格者であるというのは歴史的に知っていたが、これがその姿か!
 この人、まだ怒っていない!

 怒るどころか、嘉納は丹波への攻撃に手心を加えている。
 打撃や関節技を使用せず、投げるだけだ。
 そして、嘉納の目は――――

「親父と同じ目だ」

「いつだって どこだって
 俺を励まし続けてくれたあの目…」

「…こんな こんな目をした人に…」
「俺が」「勝てるワケがない……」


 武の天才である文吉に勝った人間は、今のところ父・久右衛門しかいない。
 久右衛門が文吉の弱点を知り、己の強みをイカして闘ったとしても、文吉に勝てたのが不思議だった。
 勝てた理由のひとつが、コレだったのかもしれない。
 闘う相手を応援する慈父の目だ。

 嘉納治五郎は柔道家であると同時に教育者でもある。
 夏目漱石は嘉納治五郎が校長をつとめる東京高等師範学校に赴任した時のやりとりが、「坊ちゃん」(青空文庫)の校長との会話に応用されているとか。
 実際に、読んで見ると立派すぎてここで教師をやるのは大変っぽい。

 なお、坊ちゃんの友である会津出身の数学教師・山嵐は講道館四天王の西郷四郎の影響があると言う珍説がある。
 会津出身で西郷四郎の必殺技が山嵐だかららしい。(西郷四郎の生涯
 それはちょっとムリヤリすぎだろ。

 文吉は肉体の限界よりも早く、心が折れた。
 偶然かもしれないが、文吉最大の弱点を突いたことになる。
 それとも、教育者としての経験で最適な攻撃をしたのだろうか?
 おおくの生徒と接していれば、文吉のようなタイプの対応法も自然と完成するのかもしれない。

 嘉納は文吉を一室に案内し、二人だけで向かいあう。
 最初から話し合いをすれば良かったのに。
 ……と思ってしまうが、闘ってみないとワカらないコトもあるのだろう。
 むしろ腹を割って話すには、とことんまで闘わないとダメだったのかも。

 嘉納は久右衛門との死闘について語りだす。
 久右衛門には武の才能がない。
 それはもう組み合った瞬間にわかるほどの才のなさだ。

 弱い久右衛門がなぜ刺客となったのか?
 それでいて、なんか強い意思を見せている。
 なんど投げて叩きつけても立ちあがる挫けぬ心だ。

 遺体検分からすると、この時点で久右衛門は数か所の骨折をしている。
 激痛に耐えて立ち上がるのは、文吉を守るためだ。
 それにしても久右衛門はガンバりすぎている。
 ほかにも何か理由があるのかもしれない。

 嘉納治五郎の洞察力は、久右衛門の真意を読みとることができたのか?
 次回につづくのだった。
 しかし、ここで和解しちゃったら文吉と前田光世の再戦はどうなっちゃうんだろう。
 というか文吉の人生から目的が消失しちゃいそうなんだけど。


2014年5月22日(25号)
第五十五話 待っておれよ

 父・久右衛門の仇討ちと 死の真相を探るため、丹波文吉は単身で講道館柔道に勝負を挑んでいた。明治37年(1904年)のことである。
 イロイロあった末に、文吉は講道館の創始者・嘉納治五郎から、久右衛門の死について話を聞けた。
 そうは言っても、かなり予想のつく内容なんだけど。
 当事者とは、受ける印象が違うってことですね。

 嘉納治五郎は自分を狙う刺客・丹波久右衛門をひたすら投げ飛ばしていた。
 丹水流柔術の中でもズバぬけて才が無いといわれる男だ。
 人格者で知られる嘉納さんも、弱いくせにしつこい久右衛門にうんざりしたのだろう。
 とことん痛めつけて、なんでそんなコトするのか吐かせようと考えてしまう。
 いや、チョットちがうな。

 というか、いつでもどこでも選択肢が戦って分かり合う一択だ。
 戦う前に話し合えないのだろうか?
 やっぱ、餓狼だからか?
 どんなに教育を重ねて高潔ぶっても、心に戦いを求める餓狼がすんでいるのかも。

 投げは落とす角度や、体重の預けかたなどで威力が変化する。
 なんど投げられても立ちあがる久右衛門に対し、嘉納は"相手を壊す投げ"をもちいた。
 ふつうなら、この投げを五・六本も喰らえば立ち上がれないハズだった。
 だが、久右衛門は立ち上がる。

 肉体の限界を超える、父の愛が久右衛門を動かしているのか!?
 みんなが内なる餓狼に突き動かされているなかで、久右衛門は父狼だ。
 闘争心よりも親の愛情が勝るってことなんだろうか?

 投げのダメージで久右衛門は文吉とすごした修行の日々を思い出し、笑みすら浮かべる。
 嘉納からしたら不気味だろうな。
 倒せるハズの技で倒せず、なんか笑っている。
 ゾンビを相手にしているような感覚だろう。明治にゾンビの概念はないだろうけど。
 久右衛門は餓狼世界のルールとちがうところで戦っているのだ。

「投げても投げても…」「投げても投げても」
「立ち上がってくる久右衛門殿に」「私は…」
「…私はかつて味わった事のない」
「……得体の知れない」
「恐怖を覚え始めました」

「くわああああああ」
「あきゃ〜〜〜ッ」

 恐怖にかられた嘉納治五郎が夢枕式の奇声を発したッ!
 まさか、嘉納が奇声を発するとはおもわなんだ。
 オリンピック委員が「あきゃ〜〜〜ッ」とか叫んでるんですよ。

 嘉納治五郎は技と肉体の勝負に勝ったが、精神の勝負で敗れた。
 丹波久右衛門は丹水流の恐ろしさをじゅうぶんすぎるほど見せつけたハズだ。
 そうなると、久右衛門が自害する理由が無くなるのだが……
 形式上は久右衛門が負けたと言うコトで、水鵺たちが仕置きしたのかもしれない。

 文吉の闘いは、父・久右衛門が死んだ経緯を解明するためのものだった。
 謎がとけた今、文吉は進むべき目的を失ったといえる。
 まだ17歳ぐらいの若さなのに、家族を失い、目的も無くした。
 丹波文吉は、これからどんな人生を歩めばいいのだろう。

 そして、次回最終回ッ!

 って、最終回なのか!?
 夢枕獏の格闘史において、前田光世関連の話が予告されながら描かれていない。
 そして、前田光世の死に関連するなぞが餓狼伝で示唆されている。
 これらの失われた情報であるミッシングリンクが補完されるのかと期待していたのだが、きっちりと閉じないようだ。

 でも、前田光世の死にかかわるスクネ流の丹水の正体が、丹水流かも知れないなど妄想を刺激する情報が出てきた。
 あれ?
 謎がとけたというより増えてんじゃないのか?

 次回の最終回で、なにかがワカるのだろう。
 それとも、よけいな謎が増えるのだろうか?
 さすがに丹波文吉は、2014年の現代まで生きていないだろうが、その人生の決着を知ることができるかもしれない。
 餓狼伝の丹波文七との関係も明らかになるのだろうか?

 うん、やっぱり謎が大量に残る気がしてきたぞ。


2014年5月29日(26号)
最終話 餓狼の約束

 明治格闘純史、真なる餓狼伝もついに最終話だッ!
 ついにというか、なんか予定の半分ぐらいしか話が進んでいない気もしますが。
 物語はブラジルに住む決意をした前田光世で始まっている。
 つまり、最終的に舞台は世界に広がる予定だったんじゃないか、と。
 ただ、やたらと明治をアピールしているから日本を出るのは最後の最後だったかもしれないが。

 今となっては推測の域を出ない。
 それに、夢枕獏作品のキマイラ・シリーズみたいに、舞台は世界に広がるとあとがきで言い続けながら、国内に留まりつづける例もある。
 夢枕世界は想定どおりに行かないし、休刊や廃刊など日常茶飯事なのだッ!
 あッ、漫画版・餓狼伝の掲載誌が二度も休刊になったのは、原作者効果か?

「私の生涯 一番の強敵は」
「丹波久右衛門氏であったと」


 講道館柔道の総帥・嘉納治五郎も久右衛門を認めた!
 文吉は自分が誉められたかのように感涙する。
 久右衛門は技術で劣っていたが、精神力に支えられた総合力が最強クラスだったのだろう。

 しかも久右衛門は手紙を残していた。
 自分が死んで二年後に届くようにしていたらしい。
 このあたりの知恵もふくめると、やはり久右衛門は一流の戦士なのだろう。

 久右衛門は嘉納治五郎に、最愛の息子・文吉を託していた。
 こんな面倒で痛くて大変な仕事を快くうけてくれる嘉納も、やっぱり大人物だな。
 だから、久右衛門は嘉納に文吉を任せる気になったのだろうけど。
 そして、嘉納の人格を見抜いた久右衛門の眼力も素晴らしい。
 文吉は嘉納を通して、久右衛門の思いを再確認できたのだろう。

 そして、時は流れ、場所も移り、ブラジルへッ!
 前田光世に勝負を挑むのは、丹波文吉だッ!
 文吉、老けたッ!
 美少年が、すっかりオッサンになってしまったぞ!

 そして、デカい。
 胸板も厚く、肉体的には素質充分って感じだ。
 餓狼伝の丹波文七も、体格に優れていた。
 そういう点では、この二人に血縁があるのかもしれない。

 ただ、丹波久右衛門は身長はあまり高くなく、肉質もやや脂肪系だ。
 そして、頭髪が……
 文吉は母親似だったんだろうか?
 いい母をもった。
 作中に出てこなかったから、どんな人か知らないけど。

 文吉の家族関係も謎のまま残ってしまった。
 体格のコトを考えると、母親はかなりの女傑という感じがするのだが。
 廃れゆく武術に憤慨して大陸に渡って馬賊と戦ってたりとか破天荒な人生を歩んでいたりして。

 そして、文吉と前田はブラジルで再び向かい合う。
 再戦を誓う餓狼の約束は、この地で果たせられる。
 どんな決着となったのか?
 すべては謎として残ってしまった。

 とりあえず、必要最小限の部分だけ回収して終わってしまった感じだ。
 丹波文吉と前田光世の闘いは、いつかどこかで語られるのだろうか?
 たとえば、いまだに本編が始まっていない『東天の獅子』あたりで、とか?

 最初の丹波文吉は、闘争に餓えた狼のようだった。
 だが、最後にはかなり紳士的なオッサン変わっている。
 餓狼が、どのように変化していったのか、その過程も見てみたかった。

 丹波文吉と前田光世が再戦を約束したように……
 いつか、丹波文吉との再会を約束したい。
 作中時間と同じだとしたら10年以上かかっちゃうかもしれないけどね!


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