バジリスク〜甲賀忍法帖〜 感想(1〜10)
基本的に原作ネタバレです。
第1殺(03年2月4日掲載分)
まず、タイトルだが「バジリスク」は眼力で石化させる能力を持つ蛇であり、これが無敵の眼力を持つ伊賀・甲賀の大将を指しているのだろう。既出っぽいですが。
次に、最初の闘いが弾正vsお幻な訳だが、この闘いは最後の闘いの結末を暗示している。
互いの命を取りあった弾正とお幻に対し、弦之介と朧は互いの命を差し出し合う。
生き絶える順番も、弾正→お幻に対し朧→弦之介と対比になっている。2組とも河で死んで、鷹に巻物を運ばせるのも同じだ。
なんて、偉そうに書いているが、この対比に気が付いたのは漫画版を読んでからだったりする。
正直に言って、このラストは切な過ぎるので、漫画版はハッピーエンドになっていてもいいかな〜〜。
第2殺(03年2月18日掲載分)
原作の丈助にはバカ陽気なイメージがあったのだが、その辺が削れちゃっている。なんか、むさいオッサンと言う感じだ。
漫画版の方向性として、硬派に行くのだろうか。
ついでに言うと原作にあった、朱絹 vs 丈助の闘いはカットされている。この後で発生するのかもしれないが、ストーリーをじっくり漫画化するのではなく、スピーディーに展開させるようだ。
もっとも甲賀側の忍者たちも忍法勝負を知る所からが、本番と言えるので序盤は早めに飛ばしていくのかもしれない。
それにしても、わりと美形な薬師寺天膳にまだなれない。
まあ、この人は次第にねちっこくて腹黒くて回りくどいことが好きな、ややこしい本性を表わしてくるでしょうから、段々と悪い顔になっていきそうです。
第3殺(03年2月3日掲載分)
地虫十兵衛のデザインについてだが、顔に傷跡があったりするので、ひょっとしたら手足は切られたと言うイメージなのかもしれない。
同じようにアゴに傷のある筑摩小四郎は、技の修行中に朧に見られ暴発してケガをしたのかも。
ついでに薬師寺天膳はピアスをしているのだが、超回復で治りたがって困るのではないだろうか?
ひょっとしたら、なにかのアイテムだったりして。
筑摩小四郎にとって風待将監は相性が悪すぎるようです。
空気を吸うもんだから、飛んでくるツバを掃除機のように吸いこんじゃうんだもん。
それはもう、口の中までベットリですよ。
朱絹にこの場面を知られておれば小四郎は百年目じゃ…
この展開の早さだと、次回には蛍火が能力使って風待将監を倒すとみました。
こんなペースでやっていたら、1年ぐらいで終わってしまいそうなんだが…。
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第四殺「九対九(その三)」(03年3月18日掲載分)
甲賀衆が一気に2人死にました。
前半登場する忍者は本当に報われない。活躍しきれないうちに死ぬ。
風待将監が蝋斎を選んだのは死相が出ていたためだったりして。蝋斎は撃墜数0のまま死んでしまう悲しい人だ。
予定よりも早く蓑さんが忍術を使っていますが、全身にも毛が生えていることはまだ内緒なので生きていられます。
この人って、鼻毛も伸びるんだなぁ〜と感心していたら、せがわまさき先生の公式ページに「でもアノ御方の鼻毛って本当は鼻毛じゃないらしいですが」と書かれていた(たぶん4月1日までの限定ネタ)。
鼻毛じゃなければ、ナニ毛なんでしょう?
それより、この人ってこれだけ剛毛なのに、ヒゲが無いのは何故でしょうか?
地虫十兵衛の最後の眼が爬虫類系の瞳になっていたり、遠くの木に槍が刺さっていたり、細かい所も見ていて飽きない。
小四郎が落とした鎌もちゃんと書いてあるし。
あそこで、両方の鎌を拾っていれば百年目だったかも。
早くもエロ担当の片鱗を見せ始めた(と思える)薬師寺天膳が「二度‥‥同じ手はくわぬ」とカッコつけていますが、この人って初手は絶対になにがなんでもくって死ぬんですけど。
そりゃ、不死身の肉体を持っているんだから自信過剰になるのはしょうが無いんですけど、ちょっと油断しすぎです。
自分から忍術の秘密(と弱点)をベラベラ喋るし、死の淵ギリギリを歩きたがる遊び好きですね。
この感じだと、次回は朱絹の忍術を省略して雨夜の忍術が炸裂しそうだ。
朱絹の技の衝撃はvs霞まで取っておくのだろう。
その方が、衝撃的だし。
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第五殺「七対九」(03年4月1日掲載分)
丈助と朱絹の闘いをここにもってくるとは予想がつかなかった。
と言うか丈助の命は風前の灯火なんですけど、生き残れるんでしょうか。物凄い死にそう。
原作を知っている人間でもちゃんと楽しめる構成になっているのがうれしい。
そして、甲賀忍法帖では恒例の抜け駆けの功を競うの展開が始まっている。
でも、勇み足して成功した人がいないのが甲賀忍法帖の悲しいところなんだが…。
抜け駆けの功は軍功にあらずみたいなことを映画「7人の侍」で言っていましたが、天膳って統率力ないんでしょうか。1歩間違えると粘着エロ親父だし。
次回は雨夜陣五郎の第2の姿が拝めそうだが、伊賀の塩ってまんべんなく雨夜陣五郎のエキスを吸っているのだろう。
伊賀の漬物が美味いのは、赤穂の塩のせいではなく、雨夜陣五郎のダシがきいているからだろう。
この製法を弦之介に知られておれば朧の恋も百年目じゃて…
第六殺「七対九(その二)」(03年4月15日掲載分)
朧は原作でのイメージより、すっと可愛くていい娘だ。
原作では陣五郎と対峙しているシーンは次のようになっている。
「お前は、弦之介さまをあやめようとしたのか」
朧の目は、殺気すらおびてかがやいた。あゆみよって、縁側から庭へ陣五郎を蹴おとして、
「陣五郎、たとえ可愛い伊賀者であっても、弦之介さまに害意をもつならば、このわたしがそのままには捨ておかぬぞ」
りんとしてさけんだ。
朧さん、陣五郎を蹴おとしています。そんな事されて「可愛い伊賀者」と言われても信用できない気がするのですが、いかがでしょう。
原作では、この辺から朧に対する印象が悪くなり、小四郎自爆事件でむしろマイナスにまで達しました。
まあ、ラスト付近で見せた意地と弦之介に対する想いの深さで、嫌いではないんですけど。
しかし、こうして原作と読み比べると原作をどう作画化しているのかが読めて面白い。
例えば、原作の「朧の目は、殺気すらおびてかがやいた」という部分が、4ページ最後のコマなのだろう。目が輝いている。
…って、殺る気あったんですか、朧さま?
新キャラのデザインについてですが、室賀豹馬は、まつげ長い。朧にも負けないぐらい長そうだ。
今のままでは、ただ目を閉じている人なのか、盲目の人なのか判別できないので、次回だれかが説明してくれるのだろう。
如月左衛門が糸目なので、印象が薄くならないのか、少し心配だ。
霞刑部はイメージ通り。バケモノらしさが良く出ている。
そして、新キャラの中で1番負の怨念を出ていると感じたのが陽炎だった。
と言うか、原作を知っている人間は彼女の姿を見ただけでビビリます。
部屋の中で悶えて、甲賀衆3人を殺したりしないようにお願いしたい。
しかし、せがわまさき先生の公式ページで公開された陽炎のラフ画は色っぽい。まあ、色っぽくないと困るのだが。
公式ページの話でもう1つあるのだが、お胡夷は『ガチムチどぷりーーーん』だそうだ。
最近流行りの妹キャラだし、大ブレイク間違いなしだろうか?
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第七殺「六対九」(03年5月2日掲載分)
霞刑部が「おれが伊賀まで様子を見に行ってもよいが‥‥‥」と言っているのは、己の能力に対する伏線だろう。
今週も能力の片鱗をみせているが、原作を知らない人はどう解釈しているのだろうか。
壁に同化する能力(バビル2世のロデムみたいなヤツ)だと思われているかもしれない。
すでに人間の限界を2歩も3歩もふみこえている連中がいる中でいうのもなんだが、さすがに壁に同化するのは人間のわざじゃねェ。
如月左衛門がお胡夷を使いに出したと言っているときの表情がみょうに自慢気な気がする。
自慢の妹なのだろうか…。
いや、だとすると、お胡夷の最後の時は心中おさっしします。
ずいぶん前から書くと言っていた、甲賀忍法帖のバジリスクのジレンマだが、お胡夷の最後もその1つだ。
甲賀忍法帖では「見る」ことが話のキーワードになっている。
「見る」ことで相手の術を破る能力がその究極なのだが、似た展開はいくつかある。
風待将監は故郷に帰って仲間の姿を見ることなく死ぬ。
地虫十兵衛、鵜殿丈助は仲間と合流することができずに孤独に死ぬ。
お胡夷は最後に兄に逢うことができるが、ちゃんとした姿を見ることができずに死ぬ。
霞刑部は姿を消したまま死ぬ。以下略。
伊賀側でも夜叉丸は恋人の姿を見ることができず死ぬし、また霞刑部や如月左衛門の術を見破れずに死ぬ者が多い。
そんな訳で甲賀忍法帖では人を見ることが簡単にはできない話なのだ。
後で、自爆によって目が見えなくなる筑摩小四郎だが、今回みせた吸息旋風鎌いたちの威力を考えると、よく死なずにすんだなと思わずにはいられない。
小四郎もネタが割れてもあまり困らない忍術なので、バンバン使っていますが、天膳なんかはバレたらおしまいです。
今回の乱闘シーンで、天膳だけがなんの活躍もしていないのは、うかつに闘っちゃうと討ち死にするおそれがあるからだろう。
盲目状態の弦之介に負けるなど、天膳の弱さは実証済みである。
ムチャな行動をする上司に、部下は安心しつつもかなりの不安をかかえて見ていそうだ。
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第八殺「六対九(その二)」(03年5月21日掲載分)
冒頭で甲賀襲撃が失敗に終わったことに蝋斎や蓑さんが文句を言っています。
薬師寺天膳も汗を流している。
彼らはさり気なく上司の戦略ミスを指摘しているのだ。
どう見ても、今回の甲賀襲撃は行き当たりばったりと言う感じがする。薬師寺さん、自分が死なないことをいいことにムチャな作戦ばかり立てるから、部下がついてこないんですよ。精神的にも、生死的にも。
今回ですでに蓑さんが「‥‥ふん」「何をいまさら」と口答えしている。
これは後に抜け駆けをする蓑念鬼の、理由ある反抗の前兆だろう。
同時に、甲賀の霞刑部も猛っている。
彼も単独行動で伊賀衆に迫る、抜け駆け男だ。やはり反骨心の発露がみてとれる。
ある意味最大の反逆者である陽炎は、今はまだ純粋に伊賀衆への怒りをみせている。
「伊賀を襲いたがっておる者は‥‥‥たんといる」
この台詞のタメ部分には、襲いたいのはまぎれもなく自分だという思いがこもっているのだろう。
逆に如月左衛門は冷静な判断力をみせている。
左衛門の変装は特殊能力があるからできるのではない。彼の冷徹な観察眼と判断力、とっさのアドリブを生み出す機転が彼の変装を支えているのだ。
小四郎を葬ったのは陽炎の術だが、左衛門の朱絹ボイスがそこまで導いていたのを忘れてはならない。
横で見ていたら、かなりこっけいなシーンだろうな、アレ。
ところで、如月左衛門には苗字があるのにお胡夷に苗字がないのはなぜなのでしょう。
ちょっとわかりにくそうだったので、前回の補足。
「バジリスクのジレンマ」とは、バジリスクは誰かを好きになっても、その姿を見る事はできない。見ることは、どちらかが死ぬときなのだ。という事です。
今後はなるべく見直してからUPするように心がけます。m(_ _)m
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第九殺「六対九(その三)」(03年6月3日掲載分)
◆ あんまりネタバレじゃない話。
霞刑部を見て思った。服を着ろと。
左衛門「刑部、服だ。服を着ろ」
刑部「脱がずに姿を消そうと思ったが、やむを得なんだわ」
左衛門「それはいいから服を着ろって」
豹馬「目の見えぬわしにも、この痴行はわかる。刑部め何を血迷うたか…」
刑部「ならば、これでどうか」
左衛門「おおっ、股間部分だけが保護色に! いやまて。そんな器用なまねをするぐらいなら、服を着んか」
なんて事を先週の火曜日からずっと思っていた。だって、刑部の股間があまりに見事な保護色だったから。
ここからはネタバレ。
ついに変幻の魔術を披露した如月左衛門だ。
泥に顔を押しつけているあいだ、髪がザワザワしているので、髪も伸びたりするのだろう。
髪が伸びないと蓑念鬼に化けることができない。そして、その時は鼻毛も伸ばさないといけない。
すごいぞ如月左衛門、鼻毛も伸ばせるのか?
お幻屋敷での秘密会議には小四郎と蛍火が参加していない。この2人は若輩だから参加していないのだろう。
特に筑摩小四郎は薬師寺天膳の子飼いなので、一方的に命令を伝えるだけでいいと思っていそうだ。
そういう教育方針(?)が夜叉丸のような若輩ゆえの判断ミスをまねいたのかもしれない。
命令違反で個人プレーに走る人達は、若いころ押さえつけられていた反動なのかも。
そもそも天膳だって、お幻婆さまがいなくなったとたん「いのちの精をそそぎこむのです」だもんな。
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第十殺「六対八」(03年6月17日掲載分)
なんでお胡夷への尋問を小豆蝋斉にやらせたのか考えてみた。
筑摩小四郎は若すぎて危なっかしい。色香にあっさりとダマされる可能性がある。
蓑念鬼はもっと危ない。あのマニアックな捕らえかたはただごとでは無い。2人っきりにすると趣味にはしって尋問が進まないかもしれない。
雨夜陣五郎は別の意味で危ない。すべって転んで塩の中に突っ込んでしまったら笑い話にしかならない。
ちなみに蛍火は行方不明で、朱絹はあまり乗り気ではなかったのかも。
それにしても蝋斉が来るのが遅いので陣五郎にようすを見に行かせたのだろう。
しかし、いきなり下を脱ぐとは思わなんだ。
伊賀の人間はみんなこんなんか。放っておけば交代で全員、塩倉にやってきそうだ。次は間違いなく薬師寺天膳だろう。
陣五郎が「汁気たっぷり」と言っているシーンでからっからになっている蝋斉が見えているのは笑えた。
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